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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-12
(45)【発行日】2024-09-24
(54)【発明の名称】建物用シャッター装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/15 20060101AFI20240913BHJP
   E06B 9/17 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
E06B9/15 Z
E06B9/17 U
E06B9/17 M
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021008668
(22)【出願日】2021-01-22
(65)【公開番号】P2022112747
(43)【公開日】2022-08-03
【審査請求日】2023-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000252034
【氏名又は名称】株式会社鈴木シャッター
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】大場 広敦
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-165530(JP,A)
【文献】特開2002-004748(JP,A)
【文献】実開平01-107796(JP,U)
【文献】特開平11-299909(JP,A)
【文献】登録実用新案第3004808(JP,U)
【文献】実開昭60-102394(JP,U)
【文献】特開2002-327586(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00,9/02,9/06-9/18,
9/40-9/50,9/56-9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出入り口等の開口部の左右に建て付けられるガイドレールと、該ガイドレールに左右両端縁部が昇降案内されて開口部の開閉をするシャッターカーテンと、開口部の上方に配され、シャッターカーテンが巻装される巻き取り体とを備えて構成される建物用シャッター装置において、
前記シャッターカーテンの下端縁部に設けられる座板の下端縁部に、内外透視可能な窓板材が設けられた透視用スラットをさらに設けたことを特徴とする建物用シャッター装置。
【請求項2】
透視用スラットは、座板に後付け取り付け可能に設けられることを特徴とする請求項1記載の建物用シャッター装置。
【請求項3】
透視用スラットは、シャッターカーテンが全開状態で、開口部上端縁部の天井内に収納されることを特徴とする請求項1または2記載の建物用シャッター装置。
【請求項4】
透視用スラットには、窓板材を保護するための保護部材が設けられることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1記載の建物用シャッター装置。
【請求項5】
保護部材は、反射面を有した桟体を備え、該反射面を介して内外傾斜状の透視ができるように構成されていることを特徴とする請求項4記載の建物用シャッター装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビル、住宅等の建物の出入り口等の開口部に建て付けられる建物用シャッター装置の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
今日、ビル、住宅等の建物の出入り口等の開口部の開閉をするため、該開口部の左右に建て付けられたガイドレールに開閉案内されて開口部の開閉をするシャッターカーテンを備えた建物用のシャッター装置が知られているが、このようなシャッター装置に用いられるシャッターカーテンの殆どは、鋼製やステンレス製等の金属材料を曲げ加工して形成したスラットを上下方向に一連状にインターロック結合することで構成されている。そしてこのように構成されるシャッターカーテンは、屋内外を見通すことができず、このため例えば屋内側において火災が発生したような緊急時において、屋外側から屋内の状況を知ることができないという問題がある。
そこでスラットに窓部を貫通状に形成し、該窓部に透光性の窓板材を取り付けるようにして屋内外が見通せるようにしたものが提唱されている(例えば特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3004808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら前記従来のものは、窓板材を取り付けるスラットを窓部が形成された特殊なものにしなければならないため、既設のシャッターカーテンに後付けしようとした場合に、スラットの交換が提唱されるが、スラットの交換は、左右両端縁部がガイドレールに嵌合案内されているシャッターカーテンから抜き取る等の面倒かつ煩雑な作業が必要になって現実性に乏しく、シャッターカーン全体、さらにはシャッター装置全体を取り換えなければならない等の問題があり、これらに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、出入り口等の開口部の左右に建て付けられるガイドレールと、該ガイドレールに左右両端縁部が昇降案内されて開口部の開閉をするシャッターカーテンと、開口部の上方に配され、シャッターカーテンが巻装される巻き取り体とを備えて構成される建物用シャッター装置において、前記シャッターカーテンの下端縁部に設けられる座板の下端縁部に、内外透視可能な窓板材が設けられた透視用スラットをさらに設けたことを特徴とする建物用シャッター装置である。
請求項2の発明は、透視用スラットは、座板に後付け取り付け可能に設けられることを特徴とする請求項1記載の建物用シャッター装置である。
請求項3の発明は、透視用スラットは、シャッターカーテンが全開状態で、開口部上端縁部の天井内に収納されることを特徴とする請求項1または2記載の建物用シャッター装置である。
請求項4の発明は、透視用スラットには、窓板材を保護するための保護部材が設けられることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1記載の建物用シャッター装置である。
請求項5の発明は、保護部材は、反射面を有した桟体を備え、該反射面を介して内外傾斜状の透視ができるように構成されていることを特徴とする請求項4記載の建物用シャッター装置である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、シャッターカーテン最下端の座板の下端縁部に、内外透視可能な窓板材が設けられた透視用スラットがさらに設けられたものになる結果、シャッターカーテンにおける途中のスラットを抜き取るような面倒な作業をすることなく透視用スラットが設けられたものにできることになる。
請求項2の発明とすることにより、透視用スラットは、座板に後付けされることで既設のシャッターカーテンをそのまま用いて取り付けることができることになる。
請求項3の発明とすることにより、座板に設けた透視用スラットを、天井内に収容できることになって視認性が損なわれることがない。
請求項4の発明とすることにより、透視用スラットに設けられる窓板材の保護が図れることになる。
請求項5の発明とすることにより、保護部材として備えられる桟体に設けた反射面を通して内外を傾斜状に透視できる結果、透視用スラットが最下端にあっても、視認者は立ち姿勢の状態で内外透視できることになって作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】シャッター装置の正面図である。
図2】全閉状態のシャッター装置の側面図である。
図3】全開状態のシャッター装置の側面図である。
図4】透視用スラット部位の断面側面図である。
図5】(A)~(D)は透視用スラットを取り付ける手順を示す作用説明図である。
図6】(A)(B)は第二の実施の形態の透視用スラット部位の断面側面図である。
図7】第三の実施の形態の全開状態を示すシャッター装置の側面図である。
図8】(A)(B)は第四の実施の形態の透視用スラット部位の断面側面図、正面図である。
図9】第五の実施の形態の透視用スラット部位の断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図において、1は、ビル、住宅等の建物の出入り口等の開口部Eに建て付けられる建物用のシャッター装置であって、該シャッター装置1は、開口部Eの左右に設けられるガイドレール2、該ガイドレール2に左右両端縁部が嵌入して開閉案内されるシャッターカーテン3、開口部Eの上方に設けられ、シャッターカーテン3が渦巻き状に巻回される巻き取り体4、該巻き取り体4を開閉駆動する電動式の開閉機5等の各種の部材装置を用いて構成されることは何れも従来通りである。尚、本実施の形態のシャッター装置1は電動式としているが、本発明は、電動式でなく手動式のシャッター装置1であっても実施できることは言うまでもない。
そして前記シャッターカーテン3は、鋼製の板材を曲げ加工することで形成したスラット3aの適数枚を上下方向に一連状にインターロック結合することで形成されるものであり、その最下端縁部に座板(座板スラット)3bが設けられるが、該座板3bに本発明が実施された透視機能を有した透視用スラット6が連結されている。
【0009】
前記透視用スラット6は、四周が枠材7によって囲繞され、該枠材7に、耐熱性を備えかつ屋内外(室内外)を透視できる素材、例えば透明な耐熱ガラスや低膨張防火ガラスを用いて形成された窓板材8が組み込まれた構成になっているが、該透視用スラット6は座板3bに後付け可能な状態で着脱自在に取り付けられるよう構成されている。
つまり本実施の形態の座板3bは、最下端スラット3aの下半部に、断面角筒形状をしたボトム部3cがビス等の締結体3dを介して取り付け固定された構成になっている一方、透視用スラット6の枠材7の上枠部7aには、屋内側に蝶番9aを介して第一係止片部9が揺動自在に支持されている一方、屋外側に第二係止片部10が一体的に取り付けられている。
因みに本実施の形態の透視用スラット6は、複数の縦桟7bが間隙を存して設けられたものとなっていて、窓板材8が左右に分割された構成にしているが、縦桟7bがなく一枚板状にしたものであってもよく、また左右方向適長さのものを一つだけ設けたものであってもよいことは言うまでもない。
【0010】
そして前記透視用スラット6を座板3bに取り付ける場合に、透視用スラット6の左右両端縁部をガイドレール2に嵌入組み込みする必要があるが、そのためにはシャッターカーテン3を全開(若しくは半開)した状態で、透視用スラット6を上下方向に傾斜姿勢にして左右両端縁部をガイドレール2に嵌入し、左右水平姿勢にして床面に起立させ、この起立状態で、シャッターカーテン3を下降せしめて座板3bを透視用スラット6の上枠部7aに当接させる。
次いで第二係止片部10をボトム部3cに形成される屋外側の第二上片部3fに係止すると共に、さらに第一係止片部9を上動して屋内側の第一上片部6eに係止し、第一係止片部9と第一上片部6eとをビス等の締結体3gを介して締結することで透視用スラット6の座板3bへの着脱自在な取り付けができることになり、このようにすることで透視用スラット6がシャッターカーテン3の最下端のスラット、つまり座板としての機能を呈することになる。
因みに、透視用スラット6は、前述したように既存のシャッターカーテン3に簡単に組み付けることができるが、新設時において工場や建て付け現場において予めシャッターカーテン3に組み付けたものとすることもできる。
【0011】
そして本実施の形態において透視用スラット6は、シャッターカーテン3を巻き取り体4に巻き取った全開姿勢とした場合に、天井板11内に収納されたものとなっている。つまりこのものでは、天井板11には、シャッターカーテン3を呑み込むためのマグサ部12が設けられているが、該マグサ部12と巻き取り体4とのあいだには、巻き取り体4から繰出されるシャッターカーテン3の案内をするべく回転自在に軸支されたローラ状の案内体13が配されており、この案内体13の配設スペースを、透視用スラット6が収容される収容スペースとして有効利用できるように配慮されたものとなっている。そしてこの場合、開口部Eのガイドレール2の上端縁部に設けられる、シャッターカーテン3の左右両端縁部を案内するため設けられる上端縁ほど拡開した案内体13(図7に図示される)を取り除いた構成にしている。
【0012】
叙述の如く構成された本実施の形態において、シャッターカーテン3の下端縁部に設けられる座板3bの下端縁部に、窓板材8が設けられた透視用スラット6が設けられ、そして該透視用スラット6を介して内外を透視することができる結果、シャッターカーテン3が全閉状態になっていたとしても、透視用スラット6を介して屋内外を透視できることとなる結果、例えば屋内に火災が発生している緊急時において、消防隊員は、屋外から透視用スラット6を介して屋内の様子を伺い知ることができることになって、消防活動の遂行を円滑にできることになる。
そしてこのように屋内外を透視できる透視用スラット6は、シャッターカーテン3の最下端部に設けられる座板3bに設けられるものであるため、シャッターカーテン3において途中のスラット3aを抜き取るような面倒な作業をすることなく座板3bに後付けすることで、既存のシャッターカーテン3を、透視用スラット6が設けられたものに簡単にすることができる。
【0013】
そしてこのように座板3bに透視用スラット6が設けられたものにおいて、透視用スラット6を、シャッターカーテン3が全開になった状態で、開口部Eの上端縁部の天井内に収納できるため、透視用スラット6が設けられたものであっても視認性が損なわれることはない。
【0014】
尚、本発明は前記実施の形態に限定されないものであることは勿論であって、透視用スラット6を座板3bに取り付ける手段として、蝶番9aを持ちいることで第一係止片部9を揺動自在に設けた構成にすることなく、例えば図6(A)(B)に示す第二の実施の形態のように、座板3bの下端縁または透視用スラット6の上端縁部に冂字形の取り付け片部14を設け、該取り付け片部14を、透視用スラット6の上端縁部または座板3bに締結体14aを介して固定するようにしたものとすることもできる。
【0015】
また本発明は、図7に示す第三の実施の形態のように、シャッターカーテン3を全開状態にした場合に、透視用スラット6が天井内に収納されることなく、座板3bがマグサ12部位に位置し、透視用スラット6がマグサ12から垂下した状態となるようにしたものであってもよい。そしてこの場合には、案内体13を取り除く必要はない。
【0016】
さらに本発明を実施する場合に、透視用スラット6は座板3bから垂下する状態で座板3bの下側に設けられるものであるため、床面に近く、窓板材8が靴で蹴破られて破損するような可能性が高く、そこでこれを避けるため、透視用スラット6に、窓板材8を保護するための保護部材を設けることができ、このような保護部材として、図8に示す第四の実施の形態のように、一条の桟体15が設けられたものとすることができるが、保護部材としては、一条の桟体15に限定されず複数条としてもよく、また格子状(網状も含む)にしてもよく、さらには透視孔(窓)が穿設されたパンチングメタル等の板材を用いてもよい。
そして桟体15を保護部材として用いる場合に、横桟、縦残、格子桟等、適宜の桟体を用いることができ、さらに桟体15を、図9に示す第五の実施の形態のように反射面15aを有したものとし、そして該反射面15aを介して内外傾斜状の透視ができるようにすることで、透視用スラット6がシャッターカーテン3の最下端にあっても、視認者は、反射面15aを通して立ち姿勢の状態で内外透視できることになって作業性が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明は、ビル、住宅等の建物の出入り口等の開口部に建て付けられる建物用シャッター装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0018】
1 シャッター装置
2 ガイドレール
3 シャッターカーテン
3b 座板
4 巻き取り体
6 透視用スラット
8 窓板材
14 桟体
E 開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9