(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-12
(45)【発行日】2024-09-24
(54)【発明の名称】制御回路、制御方法及びスイッチング電源
(51)【国際特許分類】
H02M 3/28 20060101AFI20240913BHJP
【FI】
H02M3/28 H
(21)【出願番号】P 2021011807
(22)【出願日】2021-01-28
【審査請求日】2023-12-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110858
【氏名又は名称】柳瀬 睦肇
(74)【代理人】
【識別番号】100172627
【氏名又は名称】宮澤 亘
(74)【代理人】
【識別番号】100220928
【氏名又は名称】冨田 昌明
(72)【発明者】
【氏名】品川 盛治
(72)【発明者】
【氏名】久田 茂
(72)【発明者】
【氏名】笹岡 史典
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0187335(US,A1)
【文献】特開2002-325451(JP,A)
【文献】特開2013-021758(JP,A)
【文献】特開2001-258269(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子を制御する制御回路であって、
前記第1のスイッチング素子の一端と前記第2のスイッチング素子の一端を電気的に接続する接続点の電圧の微分信号をデッドタイミング検出信号として生成する微分信号生成部と、
前記微分信号生成部が生成した前記微分信号からエッジ検出信号を生成するエッジ検出信号生成部と、
前記エッジ検出信号生成部が生成した前記エッジ検出信号に基づいて充放電可能なコンデンサへの充電を開始させる電圧信号生成部と、
前記エッジ検出信号生成部が生成した前記エッジ検出信号に基づいて制御信号を生成する制御信号生成部と、
前記制御信号生成部が生成した前記制御信号に基づいて前記第1及び第2のスイッチング素子を駆動する駆動信号を生成するドライブ信号生成部と、
を具備することを特徴とする制御回路。
【請求項2】
請求項1において、
前記制御回路は、最小のデッドタイムを設定することが可能なタイミング設定部を有し、
前記エッジ検出信号が生成された時点で前記コンデンサの電圧波形が放電終了閾値に到達していない場合は、前記コンデンサの電圧波形が放電終了閾値に到達した時に、前記タイミング設定部が前記電圧信号生成部により前記コンデンサへの充電を開始することを特徴とする制御回路。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記制御回路は、最大デッドタイムを計測する最大デッドタイム・タイマー部を有し、
前記最大デッドタイム・タイマー部は、前記エッジ検出信号が生成される前に前記最大デッドタイムに到達した場合、前記最大デッドタイムに到達した時に、前記電圧信号生成部により前記コンデンサへの充電を開始することを特徴とする制御回路。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の制御回路と、
前記第1のスイッチング素子の他端に電気的に接続され、前記第1のスイッチング素子に電力を供給する電源と、
を有することを特徴とするスイッチング電源。
【請求項5】
請求項4において、
前記制御回路は、
前記接続点に一端が電気的に接続されたデッドタイム検出コンデンサと、
前記デッドタイム検出コンデンサの他端が電気的に接続された電圧検出端子と、
前記電圧検出端子が一端に電気的に接続されたデッドタイム検出抵抗と、
を有し、
前記微分信号生成部は前記電圧検出端子に電気的に接続されており、
前記微分信号生成部は、前記接続点の電圧の微分信号を検出して微分検出信号を生成することを特徴とするスイッチング電源。
【請求項6】
請求項4又は5において、
前記電圧信号生成部は、
前記充放電可能なコンデンサの充電電流源と、
前記充電電流源に一端が電気的に接続された充電制御スイッチ素子と、
前記充電制御スイッチ素子の他端が、一端に電気的に接続された放電制御スイッチ素子と、
前記放電制御スイッチ素子の他端が電気的に接続された前記充放電可能なコンデンサの放電電流源と、
を有し、
前記充電制御スイッチ素子の他端及び前記放電制御スイッチの一端は前記充放電可能なコンデンサに電気的に接続されていることを特徴とするスイッチング電源。
【請求項7】
請求項4から6のいずれか一項において、
前記充放電可能なコンデンサを含む受動部品とは別の部品のICチップには、前記充放電可能なコンデンサを含まない前記電圧信号生成部及び前記制御信号生成部が含まれていることを特徴とするスイッチング電源。
【請求項8】
請求項4から7のいずれか一項において、
前記制御回路は、前記接続点と第2のスイッチング素子の他端との間に接続された共振トランス、1次巻線、共振コンデンサによる共振回路を有することを特徴とするスイッチング電源。
【請求項9】
微分信号生成部が、デッドタイミング検出信号として、第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子とを接続する接続点の電圧の微分信号を検出して微分検出信号を生成し、
エッジ検出信号生成部が、前記微分検出信号に基づいてエッジ検出信号を生成し、
電圧信号生成部が、前記エッジ検出信号に基づいて充放電可能なコンデンサへの充電を開始し、
制御信号生成部が、前記エッジ検出信号に基づいて制御信号を生成し、
ドライブ信号生成部が前記制御信号に基づいて前記第1及び第2のスイッチング素子を駆動する駆動信号を生成することを特徴とする制御方法。
【請求項10】
請求項9において、
前記エッジ検出信号が生成された時点で前記コンデンサの電圧波形が放電終了閾値に到達していない場合は、前記コンデンサの電圧波形が放電終了閾値に到達した時に、タイミング設定部が前記電圧信号生成部により前記コンデンサへの充電を開始することを特徴とする制御方法。
【請求項11】
請求項9又は10において、
前記エッジ検出信号が生成される前に最大デッドタイムに到達した場合は、前記最大デッドタイムに到達した時に、最大デッドタイム・タイマー部が前記電圧信号生成部により前記コンデンサへの充電を開始することを特徴とする制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御回路、制御方法及びスイッチング電源に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の制御回路は、一方のスイッチング素子と他方のスイッチング素子とが、同時にオンしないようにデッドタイムが設定されていた(例えば特許文献1参照)。そのため、デッドタイムの不足によるサージ電流を発生させないように設計者が回路設計を行っていた。それにより、設計が煩雑となったり、サージ電流発生を回避することで他の負荷領域での効率の悪化が生じることがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の種々の態様は、デッドタイムを補正することで、デッドタイムの過不足を抑制し、ZVS(Zero Voltage Switching)が可能となる制御回路、制御方法及びスイッチング電源を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下に本発明の種々の態様について説明する。
【0006】
[1]第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子を制御する制御回路であって、
前記第1のスイッチング素子の一端と前記第2のスイッチング素子の一端を電気的に接続する接続点の電圧の微分信号をデッドタイミング検出信号として生成する微分信号生成部と、
前記微分信号生成部が生成した前記微分信号からエッジ検出信号を生成するエッジ検出信号生成部と、
前記エッジ検出信号生成部が生成した前記エッジ検出信号に基づいて充放電可能なコンデンサへの充電を開始させる電圧信号生成部と、
前記エッジ検出信号生成部が生成した前記エッジ検出信号に基づいて制御信号を生成する制御信号生成部と、
前記制御信号生成部が生成した前記制御信号に基づいて前記第1及び第2のスイッチング素子を駆動する駆動信号を生成するドライブ信号生成部と、
を具備することを特徴とする制御回路。
【0007】
[2]上記[1]において、
前記制御回路は、最小のデッドタイムを設定することが可能なタイミング設定部を有し、
前記エッジ検出信号が生成された時点で前記コンデンサの電圧波形が放電終了閾値に到達していない場合は、前記コンデンサの電圧波形が放電終了閾値に到達した時に、前記タイミング設定部が前記電圧信号生成部により前記コンデンサへの充電を開始することを特徴とする制御回路。
【0008】
[3]上記[1]又は[2]において、
前記制御回路は、最大デッドタイムを計測する最大デッドタイム・タイマー部を有し、
前記最大デッドタイム・タイマー部は、前記エッジ検出信号が生成される前に前記最大デッドタイムに到達した場合、前記最大デッドタイムに到達した時に、前記電圧信号生成部により前記コンデンサへの充電を開始することを特徴とする制御回路。
【0009】
[4]上記[1]から[3]のいずれか一項に記載の制御回路と、
前記第1のスイッチング素子の他端に電気的に接続され、前記第1のスイッチング素子に電力を供給する電源と、
を有することを特徴とするスイッチング電源。
【0010】
[5]上記[4]において、
前記制御回路は、
前記接続点に一端が電気的に接続されたデッドタイム検出コンデンサと、
前記デッドタイム検出コンデンサの他端が電気的に接続された電圧検出端子と、
前記電圧検出端子が一端に電気的に接続されたデッドタイム検出抵抗と、
を有し、
前記微分信号生成部は前記電圧検出端子に電気的に接続されており、
前記微分信号生成部は、前記接続点の電圧の微分信号を検出して微分検出信号を生成することを特徴とするスイッチング電源。
【0011】
[6]上記[4]又は[5]において、
前記電圧信号生成部は、
前記充放電可能なコンデンサの充電電流源と、
前記充電電流源に一端が電気的に接続された充電制御スイッチ素子と、
前記充電制御スイッチ素子の他端が、一端に電気的に接続された放電制御スイッチ素子と、
前記放電制御スイッチ素子の他端が電気的に接続された前記充放電可能なコンデンサの放電電流源と、
を有し、
前記充電制御スイッチ素子の他端及び前記放電制御スイッチの一端は前記充放電可能なコンデンサに電気的に接続されていることを特徴とするスイッチング電源。
【0012】
[7]上記[4]から[6]のいずれか一項において、
前記充放電可能なコンデンサを含む受動部品とは別の部品のICチップには、前記充放電可能なコンデンサを含まない前記電圧信号生成部及び前記制御信号生成部が含まれていることを特徴とするスイッチング電源。
【0013】
[8]上記[4]から[7]のいずれか一項において、
前記制御回路は、前記接続点と第2のスイッチング素子の他端との間に接続された共振トランス、1次巻線、共振コンデンサによる共振回路を有することを特徴とするスイッチング電源。
【0014】
[9]微分信号生成部が、デッドタイミング検出信号として、第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子とを接続する接続点の電圧の微分信号を検出して微分検出信号を生成し、
エッジ検出信号生成部が、前記微分検出信号に基づいてエッジ検出信号を生成し、
電圧信号生成部が、前記エッジ検出信号に基づいて充放電可能なコンデンサへの充電を開始し、
制御信号生成部が、前記エッジ検出信号に基づいて制御信号を生成し、
ドライブ信号生成部が前記制御信号に基づいて前記第1及び第2のスイッチング素子を駆動する駆動信号を生成することを特徴とする制御方法。
【0015】
[10]上記[9]において、
請求項9において、
前記エッジ検出信号が生成された時点で前記コンデンサの電圧波形が放電終了閾値に到達していない場合は、前記コンデンサの電圧波形が放電終了閾値に到達した時に、タイミング設定部が前記電圧信号生成部により前記コンデンサへの充電を開始することを特徴とする制御方法。
【0016】
[11]上記[9]又は[10]において、
前記エッジ検出信号が生成される前に最大デッドタイムに到達した場合は、前記最大デッドタイムに到達した時に、最大デッドタイム・タイマー部が前記電圧信号生成部により前記コンデンサへの充電を開始することを特徴とする制御方法。
【発明の効果】
【0017】
本発明の種々の態様によれば、デッドタイムを補正することで、デッドタイムの過不足を抑制し、ZVSが可能となる制御回路、制御方法及びスイッチング電源を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一態様に係る制御回路を概略的に示す図である。
【
図2】
図1に示す制御回路、LLC回路及びフィードバック制御部を有するスイッチング電源である。
【
図3】
図2に示す発振制御部の詳細を示す図である。
【
図4】
図2及び
図3に示す回路の動作を説明するためのシーケンス図である。
【
図5】比較例としてのデッドタイムが不足した場合のシーケンス図である。
【
図6】比較例としてのデッドタイムが長すぎた場合のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下では、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0020】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の一態様に係る制御回路を概略的に示す図である。
図1に示す制御回路は第1のスイッチング素子Q1と第2のスイッチング素子Q2を制御する回路であり、第1及び第2のスイッチング素子Q1,Q2それぞれは主スイッチである。接続点pは微分信号生成部11に電気的に接続されている。接続点pの電圧Vsが上昇又は下降するときに微分信号DTが発生する。微分信号DTは、デッドタイムタイミング検出信号であり、デッドタイムの自動補正のために用いられる。
【0021】
第1のスイッチング素子Q1は駆動信号VGHによってオンオフされる。
第2のスイッチング素子Q2は駆動信号VGLによってオンオフされる。
【0022】
第1のスイッチング素子Q1の一端と第2のスイッチング素子Q2の一端を電気的に接続する接続点pの電圧Vsの微分信号DTを微分信号生成部11がデッドタイミング検出信号として生成する。
【0023】
微分信号生成部11はエッジ検出信号生成部12に電気的に接続されている。微分信号生成部11が生成した微分信号DTからエッジ検出信号DToutをエッジ検出信号生成部12により生成する(
図4参照)。
【0024】
エッジ検出信号生成部12は電圧信号生成部(VCt信号生成部)13に電気的に接続されており、電圧信号生成部13はコンデンサCtに電気的に接続されている。コンデンサCtはタイミングコンデンサである。なお、
図1に示すVCtはタイミングコンデンサCtの端子の電圧波形であり、この電圧波形は
図4に示されている。
【0025】
エッジ検出信号生成部12が生成したエッジ検出信号DToutに基づいて電圧信号生成部13が充放電可能なコンデンサCtへの充電を開始させる。これにより、デッドタイムを補正することができ、その結果、デッドタイムの過不足を抑制し、ZVSが可能となる。
【0026】
エッジ検出信号生成部12が生成したエッジ検出信号DToutに基づいて制御信号生成部14により制御信号Dr_outを生成する。制御信号生成部14は電圧信号生成部13の信号をもとにオン期間とオフ期間の信号となる制御信号Dr_outを生成するものである。
【0027】
電圧信号生成部13は制御信号生成部14に電気的に接続されており、制御信号生成部14はドライブ信号生成部15に電気的に接続されている。制御信号生成部14が生成した制御信号Dr_outに基づいてドライブ信号生成部15が第1及び第2のスイッチング素子Q1,Q2を駆動する駆動信号VGH,VGLを生成する。オン期間とオフ期間の信号となる制御信号Dr_outを一周期毎にVGHとVGLに振り分け第1及び第2のスイッチング素子Q1、Q2を制御する。
【0028】
図1に示す制御回路は、第1のスイッチング素子Q1と第2のスイッチング素子Q2を制御する回路であって、微分信号生成部11と、エッジ検出信号生成部12と、電圧信号生成部13と、制御信号生成部14と、ドライブ信号生成部15とを有する。
【0029】
本実施形態によれば、接続点pの電圧Vsの微分信号DTを微分信号生成部11が生成し、その微分信号DTに基づいてエッジ検出信号DToutをエッジ検出信号生成部12により生成し、その生成したエッジ検出信号DToutに基づいて電圧信号生成部13がコンデンサCtへの充電を開始させる。これにより、デッドタイムを補正することができる。その結果、デッドタイムの過不足を抑制し、ZVSが可能となり、サージ電流の発生も防止できる。従って、設計者がサージ電流が発生しないように回路設計するといった設計の煩雑さを無くすことができ、他の負荷領域での効率を向上させることも期待できる。
【0030】
(第2の実施形態)
図2は、
図1に示す制御回路、LLC回路及びフィードバック制御部を有するスイッチング電源であり、
図1に示す制御回路の詳細も示されている。
図3は、
図2に示す発振制御部の詳細を示す図である。
図4は、
図2及び
図3に示す回路の動作を説明するためのシーケンス図である。
【0031】
図2に示すスイッチング電源の制御回路は、最小のデッドタイムを設定することが可能なタイミング設定部を有する。このタイミング設定部は
図3に示すタイミングコンデンサCtとタイミング抵抗Rtを有する受動部品21、及び電圧信号生成部(VCt信号生成部)13に対応する。
別言すれば、この制御回路は、最小のデッドタイムを設定することが可能な、タイミングコンデンサCt、タイミング抵抗Rt及びVCt信号生成部13によるタイミング生成部を有する。
【0032】
図2に示す制御回路は第1のスイッチング素子Q1と第2のスイッチング素子Q2を制御する回路である。第1のスイッチング素子Q1の一端と第2のスイッチング素子Q2の一端は接続点pを介して電気的に接続されている。
【0033】
第1のスイッチング素子Q1はハイサイドMOSFETであり、第1のスイッチング素子Q1がオンするとハイサイドMOSFETドレイン電流IDHが流れる。第2のスイッチング素子Q2はローサイドMOSFETであり、第2のスイッチング素子Q2がオンするとローサイドMOSFETドレイン電流IDLが流れる。
【0034】
第1のスイッチング素子Q1の他端は入力電源Vinのプラス端子及び入力コンデンサCinの一端に電気的に接続されている。つまり、第1のスイッチング素子Q1はドレインが入力電源Vinのプラス端子に接続されたnMOSFETである。入力電源Vinのマイナス端子及び入力コンデンサCinの他端は1次回路のGNDに電気的に接続されている。第1のスイッチング素子Q1の制御電極はスイッチング制御部のドライブ信号生成部15に電気的に接続されている。
【0035】
第2のスイッチング素子Q2の他端はGNDに電気的に接続されており、第2のスイッチング素子Q2の制御電極はスイッチング制御部のドライブ信号生成部15に電気的に接続されている。第2のスイッチング素子Q2は、ドレインが第1のスイッチング素子Q1のソースとの接続点pに接続されたnMOSFETである。
【0036】
スイッチング制御部は、第1のスイッチング素子Q1及び第2のスイッチング素子Q2を制御するものである。
また、
図1及び
図2に示す微分信号生成部11及びエッジ検出信号生成部12はDT検出部ともいう。
【0037】
図2に示すエッジ検出信号生成部12でエッジ検出信号DToutが生成された時点でコンデンサCtの端子の電圧波形VCtが放電終了閾値(例えば
図4に示すVCt=1.5V)に到達していない場合は、コンデンサCtの電圧波形VCtが放電終了閾値に到達した時に、タイミング設定部が電圧信号生成部13によりコンデンサCtへの充電を開始する(
図4に示すT1期間参照)。
【0038】
電圧信号生成部13とタイミングコンデンサCtとタイミング抵抗Rtによって最小のデッドタイムが設定されていることといえ、ここで設定された最小デッドタイム期間より先にDtout信号が生成されても最小デッドタイム期間が優先されることを示している。
【0039】
別言すれば、エッジ検出信号DToutが生成された後にコンデンサCtの端子の電圧波形VCtが放電終了閾値(例えば1.5V)に到達するような場合(
図4に示すT1の期間の場合)は、コンデンサCtの電圧波形VCtが放電終了閾値に到達した時に、タイミング設定部が電圧信号生成部13により電圧信号を加工した充電信号(
図4に示す制御信号Dr_outと同一の信号)を生成し、この充電信号によりコンデンサCtへの充電を開始させる。
【0040】
この制御回路によれば、確実にZVSを実行することができる。
また、ターンオフ直後のサージノイズによる誤動作を防止できる。
【0041】
図5は、比較例としてのデッドタイムが不足した場合のシーケンス図である。
デッドタイムが不足すると、ZVSができなく、ターンオン時に
図2に示す第1のスイッチング素子Q1のオン電流IDH、第2のスイッチング素子Q2のオン電流IDLにおいてサージ電流が発生する。その結果、負荷領域での効率が低下したり、ノイズが増加したり、スイッチング素子の誤動作の原因となることがある。
これに対し、上述したように、最小のデッドタイムを決定するタイミング設定部を有することで、確実にZVSを実行することができ、効率低下、ノイズ増加、スイッチング素子の誤動作を防止できる。
【0042】
本実施形態によれば、エッジ検出信号DToutが生成された時にコンデンサCtの電圧波形VCtが放電終了閾値に到達していない場合は、コンデンサCtの電圧波形VCtが放電終了閾値に到達した時に、タイミング設定部が電圧信号生成部13によりコンデンサCtへの充電を開始する。これにより、確実にZVSを実行することができる。
【0043】
図3に示すように、制御回路は、最大デッドタイムを計測する最大デッドタイム・タイマー部16を有する。
【0044】
最大デッドタイム・タイマー部16は、エッジ検出信号DToutが生成される前に最大デッドタイムに到達した場合(例えば
図4に示すT3期間であって最小デッドタイムにデッドタイム待機期間を付加した期間に到達した場合)、その最大デッドタイムに到達した時に、電圧信号生成部(VCt信号生成部)13によりコンデンサCtへの充電を開始する。
【0045】
別言すれば、最小デッドタイムに500nsのデッドタイム待機期間を付加した期間(即ち、最大デッドタイム)が経過した後にエッジ検出信号DToutが生成される場合、最大デッドタイム・タイマー部16は、最大デッドタイムに到達した時に、電圧信号生成部13により電圧信号を加工した充電信号(
図4に示す制御信号Dr_outと同一の信号)を生成し、この充電信号によりコンデンサCtへの充電を開始させる。
この制御回路によってデッドタイムが長くなり過ぎることを防止できる。
【0046】
図6は、比較例としてのデッドタイムが長すぎた場合のシーケンス図である。
デッドタイムが長すぎると、ボディダイオードに流れる電流がなくなった後にターンオンするため、ZVSができなくなり、サージ電流が発生する。その結果、負荷領域での効率が低下したり、ノイズが増加したり、スイッチング素子の誤動作の原因となることがある。
これに対し、上述したように、最大デッドタイムを計測する最大デッドタイム・タイマー部16を有することで、デッドタイムが長くなり過ぎることを防止でき、効率低下、ノイズ増加、スイッチング素子の誤動作を防止できる。
【0047】
図2に示す制御回路は第1のスイッチング素子Q1と第2のスイッチング素子Q2を制御する回路であり、第1のスイッチング素子Q1の他端には入力電源Vinのプラス端子が電気的に接続されている。この入力電源Vinは第1のスイッチング素子Q1に電力を供給するものである。
【0048】
上述した制御回路と、第1のスイッチング素子Q1に電力を供給する入力電源Vinを有することで、スイッチング電源として機能する。
【0049】
図2に示すように、第1のスイッチング素子Q1の一端には接続点pが電気的に接続されており、この接続点pにはデッドタイム検出コンデンサCdの一端が電気的に接続されている。
【0050】
デッドタイム検出コンデンサCdの他端は電圧検出端子17に電気的に接続されており、この電圧検出端子17はデッドタイム検出抵抗Rdの一端に電気的に接続されている。即ち、電圧検出端子17は、デッドタイム検出コンデンサCdの他端とデッドタイム検出抵抗Rdの一端に電気的に接続されている。また、デッドタイム検出抵抗Rdの他端はGNDに電気的に接続されている。
【0051】
微分信号生成部11は電圧検出端子17に電気的に接続されている。
微分信号生成部11は、電圧検出端子17の電圧の微分信号を生成することにより、接続点pの電圧VSの微分信号DTを生成する(
図4参照)。
【0052】
本実施形態によれば、第2のスイッチング素子Q2がオンからオフになる時に接続点pの電圧VSが上昇してデッドタイム検出コンデンサCdに充電され、第2のスイッチング素子Q2がオフからオンになる時に接続点pの電圧VSが低下してデッドタイム検出コンデンサCdが放電される。デッドタイム検出抵抗Rdで流れる電流を検出し、発生した電圧を電圧検出端子17から検出する。前記微分信号生成部(11)は、前記接続点(p)の電圧(Vs)の微分信号(DT)を検出して微分検出信号11aを生成する(
図1参照)。この微分検出信号11aが微分信号生成部11よりエッジ検出信号生成部12へ出力され、その微分検出信号11aからエッジ検出信号生成部12によりエッジを検出してエッジパルス(エッジ検出信号)Dtoutが生成される。
【0053】
図3に示す電圧信号生成部(VCt信号生成部)13は、充放電可能なタイミングコンデンサCtの充電電流源IR1を有する。充電電流源IR1には充電制御スイッチ素子SW1の一端が電気的に接続されている。充電制御スイッチ素子SW1の他端は、放電制御スイッチ素子SW2の一端に電気的に接続されている。放電制御スイッチ素子SW2の他端は充放電可能なタイミングコンデンサCtの放電電流源IR2に電気的に接続されている。充電制御スイッチ素子SW1の他端及び放電制御スイッチSW2の一端は充放電可能なタイミングコンデンサCtに電気的に接続されている。
【0054】
本実施形態によれば、電圧信号生成部(VCt信号生成部)13の充電制御スイッチ素子SW1がオン状態で、放電制御スイッチ素子SW2がオフ状態のときに、充電電流源IR1から充電制御スイッチ素子SW1を通って電流がタイミングコンデンサCtへ供給されることで、タイミングコンデンサCtへの充電が開始される。
【0055】
また、電圧信号生成部(VCt信号生成部)13の充電制御スイッチ素子SW1がオフ状態で、放電制御スイッチ素子SW2がオン状態のときに、電流が放電制御スイッチ素子SW2を通って放電電流源IR2に流れることで、タイミングコンデンサCtの放電が開始される。
【0056】
図3に示す制御信号生成部14は、
図1及び
図2に示すエッジ検出信号生成部12に電気的に接続されており、エッジ検出信号生成部12で生成されたエッジ検出信号DToutがリセットスイッチRに入力されるフリップフロップRS-FFを有している。このフリップフロップRS-FFのQバー出力はANDゲート18の第1入力に電気的に接続されている。充電制御スイッチ素子SW1の他端及び放電制御スイッチSW2の一端はヒステリシス・コンパレータ19の入力に電気的に接続されている。ヒステリシス・コンパレータ19の出力はNOTゲート20の入力に電気的に接続されている。このNOTゲート20の出力は、フリップフロップRS-FFのセットスイッチS及びANDゲート18の第2入力に電気的に接続されている。
【0057】
ヒステリシス・コンパレータ19の出力は、前記放電制御スイッチSW2を制御する端子に電気的に接続されている。ANDゲート18の出力は、充電制御スイッチSW1を制御する端子に電気的に接続されるとともに、制御信号Dr_outが入力される
図2に示すドライブ信号生成部15に電気的に接続されている。
【0058】
図3に示すように、
図2に示すエッジ検出信号生成部12で生成されたエッジ検出信号DToutはORゲート25の第1入力の端子に入力され、最大デッドタイム・タイマー部16の信号はORゲート25の第2入力の端子に入力される。ORゲート25の出力信号はフリップフロップRS-FF(リセット優先)のリセットスイッチRに入力される。フリップフロップRS-FFのQバー出力の信号はANDゲート18の第1入力の端子に入力される。
【0059】
ヒステリシス・コンパレータ19の出力は、最大デッドタイム・タイマー部16に電気的に接続されるとともに、放電制御スイッチSW2の制御端子に電気的に接続されている。ヒステリシス・コンパレータ19の出力信号は
図4に示すCt_outに相当する。
【0060】
充電制御スイッチSW1がオン状態で、かつ放電制御スイッチSW2がオフ状態とされると、充電電流源IR1から充電制御スイッチ素子SW1を通って電流がコンデンサCtへ供給されることで、コンデンサCtが充電される。
【0061】
放電制御スイッチSW2がオン状態で、かつ充電制御スイッチがオフ状態とされると、コンデンサCtから放電制御スイッチSW2を通って放電電流源IR2へ電流が供給されることで、コンデンサCtが放電される。
【0062】
図3に示すように、制御回路は、受動部品21及びICチップ22を有し、受動部品21は充放電可能なタイミングコンデンサCtを含むとともにタイミング抵抗Rtを含む。ICチップ22には、タイミングコンデンサCtを含まない電圧信号生成部13及び制御信号生成部14が含まれている。つまり、ICチップ22は
図2に示す発振制御部に対応する。
【0063】
本実施形態によれば、電圧信号生成部13及び制御信号生成部14を含むICチップ22と、充放電可能なタイミングコンデンサCtを含む受動部品21を別々の部品とすることで、受動部品21のタイミングコンデンサCtを容易に変更することができる。このタイミングコンデンサCtの容量値によって最小のデッドタイムを設定しているため、受動部品21を変更することで最小のデッドタイムを簡単に変更することができる。別言すれば、ICチップ22の外部に受動部品21のタイミングコンデンサCtを電気的に接続する構成としているため、タイミングコンデンサCtの容量値を変更することで、容易に最小デッドタイムの設定が可能となる。
【0064】
図2に示すように、制御回路は、接続点pと第2のスイッチング素子Q2の他端との間に接続された共振トランスLr、1次巻線W1、共振コンデンサCrによる共振回路を有する。
【0065】
詳細に説明すると、
図2に示すように、接続点pは共振トランスLrの一端に電気的に接続されており、共振トランスLrの他端はメイントランスT1に電気的に接続されている。メイントランスT1は、1次巻線W1と、2次巻線W21,W22とを有する。1次巻線W1の一端は共振トランスLrの他端に電気的に接続されており、1次巻線W1の他端は共振コンデンサCrの一端に電気的に接続されている。共振コンデンサCrの他端は第2のスイッチング素子Q2の他端に電気的に接続されている。また、2次巻線W21,W22は、1次巻線W1に磁気結合する。
【0066】
制御信号Dr_outに基づいてドライブ信号生成部15が第1及び第2のスイッチング素子Q1,Q2を駆動する駆動信号VGH,VGLを生成する。ドライブ信号生成部15は、第1のスイッチング素子Q1及び第2のスイッチング素子Q2がオフした状態(
図4に示すT2期間:第1のスイッチング素子Q1のゲート電圧VGH及び第2のスイッチング素子Q2のゲート電圧VGLがローレベルの状態)で、タイミングコンデンサCtの電圧波形VCtが下限閾値(
図4に示す1.5V)に達した後にエッジ検出信号生成部12がエッジ検出信号DToutを生成した時に、第2のスイッチング素子Q2をオフしたまま第1のスイッチング素子Q11をオンする。具体的には、第1のスイッチング素子Q1のゲート電圧VGHをハイレベルに制御することで、第1のスイッチング素子Q1をオンする。
【0067】
第1のスイッチング素子Q1がオンすることで、メイントランスT1の一次側では、入力電源Vin、第1のスイッチング素子Q1、共振トランスLr、1次巻線W1、共振コンデンサCrの順に電流が流れる。また、メイントランスT1の二次側では、2次巻線W21、出力整流ダイオードD21、出力コンデンサCoの順に電流が流れる。なお、
図2において、第1のスイッチング素子Q1に流れる電流は符号IDHで表されている。
【0068】
また、メイントランスT1の二次側の2次回路出力電圧Voは、フィードバック制御部によってスイッチング制御部に入力される。スイッチング制御部は、フィードバック制御部からの入力電圧FBに基づいて第1のスイッチング素子Q1及び第2スイッチング素子Q2のオンオフの周波数を制御する。入力電圧FBは
図3に示すカレント・ミラーに接続されている。また、フィードバック制御部は、出力電圧検出抵抗R21,R22、フィードバック電流制限抵抗R23、シャントレギュレータSR、フォトカプラPCを備えている。
【0069】
第1のスイッチング素子Q1をオンした後に、スイッチング制御部は、タイミングコンデンサCtの電圧波形VCtが上限閾値(
図4に示す3.5V)に達したときに、第1のスイッチング素子Q1をオフする。具体的には、スイッチング制御部は、第1のスイッチング素子Q1のゲート電圧VGHをローレベルLに制御することで、第1のスイッチング素子Q1をオフする。
【0070】
第1のスイッチング素子Q1をオフした後に、スイッチング制御部は、コンデンサCtの電圧波形VCtが下限閾値(例えば1.5V)に達した後にエッジ検出信号生成部12がエッジ検出信号DToutを生成した時に、第1のスイッチング素子Q1をオフしたまま第2のスイッチング素子Q2をオンする。具体的には、第2のスイッチング素子Q2のゲート電圧VGLをハイレベルに制御することで、第2のスイッチング素子Q2をオンする。なお、この工程は
図4には示されていない。
【0071】
第2のスイッチング素子Q2がオンすることで、メイントランスT1の一次側では、共振コンデンサCr、1次巻線W1、共振トランスLr、第2のスイッチング素子Q2の順で電流が流れる。また、メイントランスT1の二次側では、2次巻線W22、出力整流ダイオードD22、出力コンデンサCoの順に電流が流れる。なお、
図2において、第2のスイッチング素子Q2に流れる電流は符号IDLで表されている。
【0072】
本実施形態によれば、デッドタイムを適切に補正することで、第1及び第2のスイッチング素子Q1,Q2および共振回路(共振トランスLr、1次巻線W1、共振コンデンサCr)による構成において理想的なZVSを実現することができる。
【0073】
(第3の実施形態)
図1に示すスイッチング電源の制御回路は以下の方法で制御される。
【0074】
微分信号生成部11が、デッドタイミング検出信号として、第1のスイッチング素子Q1と第2のスイッチング素子Q2とを接続する接続点pの電圧Vsの微分信号DTを検出して微分検出信号11aを生成する。
【0075】
次に、エッジ検出信号生成部12が、微分検出信号11aに基づいてエッジ検出信号DToutを生成する。
【0076】
次いで、電圧信号生成部(VCt信号生成部)13が、エッジ検出信号DToutに基づいて充放電可能なタイミングコンデンサCtへの充電を開始する。
【0077】
次に、制御信号生成部14が、エッジ検出信号DToutに基づいて制御信号Dr_outを生成する。
【0078】
次いで、制御信号Dr_outに基づいてドライブ信号生成部15が第1及び第2のスイッチング素子Q1,Q2を駆動する駆動信号VGH,VGLを生成する。
【0079】
本実施形態によれば、微分信号生成部11が接続点pの電圧VSの微分信号DTを検出して微分検出信号11aを生成し、その微分検出信号11aに基づていエッジ検出信号生成部12がエッジ検出信号DToutを生成し、そのエッジ検出信号DToutに基づいて電圧信号生成部13によりタイミングコンデンサCtへの充電を開始する。これにより、デッドタイムを補正することができる。その結果、デッドタイムが不足することを抑制し、ZVSが可能となり、サージ電流の発生も防止できる。従って、設計者がサージ電流が発生しないように回路設計するといった設計の煩雑さを無くすことができ、他の負荷領域での効率を向上させることも期待できる。
【0080】
図2に示すエッジ検出信号生成部12でエッジ検出信号DToutが生成された時点で、
図3及び
図4に示すタイミングコンデンサCtの端子の電圧波形VCtが放電終了閾値(例えば
図4に示すVCt=1.5V)に到達していない場合は、タイミングコンデンサCtの電圧波形VCtが放電終了閾値に到達した時に、タイミング設定部が電圧信号生成部13によりタイミングコンデンサCtへの充電を開始するように制御回路が制御する(
図4に示すT1期間参照)。
【0081】
詳細には、タイミングコンデンサCtの端子の電圧波形VCtが放電終了閾値(例えば
図4に示すVCt=1.5V)に到達していない場合は、
図3に示すヒステリシス・コンパレータ19の出力信号Ct_outがNOTゲート20の入力端子に入力され、NOTゲート20の出力信号がフリップフロップRS-FFのセットスイッチS及びANDゲート18の第2入力の端子に入力される。これにより、
図2に示すエッジ検出信号生成部12で生成されたエッジ検出信号DToutがORゲート25の第2入力の端子に入力されても、コンデンサCtの端子の電圧波形VCtが放電終了閾値(
図4に示すVCt=1.5V)に到達するまでタイミングコンデンサCtへの充電が開始されず、タイミングコンデンサCtの電圧波形VCtが放電終了閾値に到達した時に、タイミングコンデンサCtへの充電が開始される。
【0082】
本実施形態によれば、エッジ検出信号DToutが生成された時にタイミングコンデンサCtの電圧波形VCtが放電終了閾値に到達していない場合は、タイミングコンデンサCtの電圧波形VCtが放電終了閾値に到達した時に、タイミング設定部が電圧信号生成部13によりタイミングコンデンサCtへの充電を開始する。また、本実施形態によればタイミングコンデンサCtにより最小のデッドタイムを設定することが可能であり、これによりノイズ等による誤検出を防止できる。
【0083】
図2に示すエッジ検出信号生成部12でエッジ検出信号DToutが生成される前に、
図3に示す最大デッドタイム・タイマー部16で測定した最大デッドタイムに到達した場合(例えば
図4に示すT3期間であって最小デッドタイムにデッドタイム待機期間を付加した期間に到達した場合)は、その最大デッドタイムに到達した時に、最大デッドタイム・タイマー部16から
図4に示す信号Timer outが出力されることにより、電圧信号生成部13によりタイミングコンデンサCtへの充電を開始するように制御回路が制御する。
【0084】
詳細には、
図3に示す最大デッドタイム・タイマー部16から出力された信号Timer outがORゲート25の第2入力の端子に入力され、ORゲート25の出力信号がフリップフロップRS-FFのリセットスイッチRに入力され、フリップフロップRS-FFのQバーからの出力信号がANDゲート18の第1入力に入力され、ANDゲート18の出力信号が充電制御スイッチ素子SW1の制御端子に入力される。これにより、タイミングコンデンサCtへの充電を開始する。
【0085】
本実施形態によれば、最大デッドタイムを設定することで、デッドタイムが長くなり過ぎることを防止できる。
【0086】
なお、上記の第1から第3の実施形態は互いに組み合わせて実施することも可能である。
【符号の説明】
【0087】
11 微分信号生成部
11a 微分検出信号
12 エッジ検出信号生成部
13 電圧信号生成部
14 制御信号生成部
15 ドライブ信号生成部
16 最大デッドタイム・タイマー部
17 電圧検出端子
21 受動部品
22 ICチップ
Q1 第1のスイッチング素子
Q2 第2のスイッチング素子
p 接続点
Vs 電圧
DT 微分信号
DTout エッジ検出信号
Ct タイミングコンデンサ
Dr_out 制御信号
VGH,VGL 駆動信号
Vin 入力電源
Cd デッドタイム検出コンデンサ
Rd デッドタイム検出抵抗
IR1 充電電流源
IR2 放電電流源
SW1 充電制御スイッチ素子
SW2 放電制御スイッチ素子
Lr 共振トランス
W1 1次巻線
Cr 共振コンデンサ
VCt タイミングコンデンサの電圧波形