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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-12
(45)【発行日】2024-09-24
(54)【発明の名称】集塵装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 46/72 20220101AFI20240913BHJP
   B01D 46/42 20060101ALI20240913BHJP
   F27D 17/00 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
B01D46/72
B01D46/42
F27D17/00 105A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021013845
(22)【出願日】2021-01-29
(65)【公開番号】P2022117252
(43)【公開日】2022-08-10
【審査請求日】2023-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000229047
【氏名又は名称】日本スピンドル製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179969
【弁理士】
【氏名又は名称】駒井 慎二
(74)【代理人】
【識別番号】100173532
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 彰文
(72)【発明者】
【氏名】三坂 浩司
【審査官】中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-287525(JP,A)
【文献】特開2003-010621(JP,A)
【文献】実開昭61-130317(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 46/00-90
F01N 3/023
F27D 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異物を含む異物含有ガスが供給される第1室、 前記第1室に設置され、前記異物含有ガスが通過することにより、該異物含有ガス中の前記異物を捕捉するフィルタ、及び、前記フィルタを通過したガスが導入される第2室を備える装置本体と、
前記装置本体に接続され、前記フィルタによって前記異物含有ガスから前記異物が捕捉されて、除去された異物除去ガスが排出される排出流路と、
前記フィルタを清掃するクリーニングガスを前記フィルタに前記第2室側から前記第1室側に向かうように噴射するクリーニングガス噴射部と、
前記フィルタの温度、および、前記異物除去ガスの温度を検出する温度検出部と、
前記温度検出部により検出された前記フィルタの温度、および、前記異物除去ガスの温度に基づいて、前記異物除去ガスと前記クリーニングガスとの温度差が小さくなるように、前記クリーニングガスの温度を調整する温度調整部とを備えることを特徴とする集塵装置。
【請求項2】
前記異物除去ガスの流量を検出する流量検出部を備え、
前記温度調整部は、前記流量検出部の検出結果に基づいて、前記クリーニングガスの温度を調整する請求項に記載の集塵装置。
【請求項3】
前記異物除去ガスに含まれる水分量を検出する水分量検出部を備え、
前記温度調整部は、前記水分量検出部の検出結果に基づいて、前記クリーニングガスの温度を調整する請求項またはに記載の集塵装置。
【請求項4】
前記異物除去ガスに含まれる成分量を検出する成分量検出部を備え、
前記温度調整部は、前記成分量検出部の検出結果に基づいて、前記クリーニングガスの温度を調整する請求項のいずれか1項に記載の集塵装置。
【請求項5】
前記温度調整部は、前記クリーニングガスを加熱する加熱部を有する請求項1~のいずれか1項に記載の集塵装置。
【請求項6】
前記温度調整部は、前記クリーニングガスを一時的に貯留する複数の貯留部を有し、
前記加熱部は、各前記貯留部内の前記クリーニングガスを加熱可能に構成されている請求項に記載の集塵装置。
【請求項7】
前記装置本体に接続され、前記フィルタによって前記異物含有ガスから前記異物が捕捉されて、除去された異物除去ガスが排出される排出流路を備え、
前記加熱部は、前記異物除去ガスの熱を前記クリーニングガスの加熱に用いる請求項またはに記載の集塵装置。
【請求項8】
前記排出流路には、加熱された触媒を有し、前記異物除去ガスが接する触媒部が設置されており、
前記触媒部に接した後の前記異物除去ガスの熱を前記クリーニングガスの加熱に用いる請求項に記載の集塵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集塵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
可燃性廃棄物の焼却や溶融の各種工程からは、ばいじん等が含まれる排ガスが生じる。排ガスは、ろ布を備えるバグフィルタ装置によって処理されて、装置外に排出される(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のバグフィルタ装置では、排ガスがろ布を通過することにより、排ガスからばいじんが除去される。
【0003】
特許文献1に記載のバグフィルタ装置では、パルスジェット気体をろ布に向けて噴射することにより、ろ布を清掃することができる。
また、特許文献1に記載のバグフィルタ装置では、パルスジェット気体をろ布の耐熱温度以下に加熱することができる。加熱されたパルスジェット気体をろ布に噴射することにより、ろ布の目詰まりの原因となる、反応生成物の潮解、固着の進行を回避することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-81958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のバグフィルタ装置では、ろ布は、排ガスとパルスジェット気体との双方に接することとなるが、これら双方の温度差の程度によっては、それが起因となって、劣化し易くなるという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、異物含有ガスとクリーニングガスとの温度差によるフィルタの劣化を防止することができる集塵装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の集塵装置の一つの態様は、異物を含む異物含有ガスが供給される装置本体と、
前記装置本体に設置され、前記異物含有ガスが通過することにより、該異物含有ガス中の前記異物を捕捉するフィルタと、
前記フィルタを清掃するクリーニングガスを前記フィルタに噴射するクリーニングガス噴射部と、
前記フィルタの温度、および、該フィルタの温度に関連する温度のうちの少なくとも一方を検出する温度検出部と、
前記温度検出部の検出結果に基づいて、前記クリーニングガスの温度を調整する温度調整部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、異物含有ガスの温度に応じて、クリーニングガスの温度を温度調整部で調整することができる。これにより、異物含有ガスとクリーニングガスとの温度差、すなわち、双方の温度の乖離をできる限り解消することができる。これにより、異物含有ガスとクリーニングガスとに接するフィルタが、双方のガスの温度差を起因として劣化するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の集塵装置(通常使用状態)の第1実施形態を示す垂直断面図である。
図2図2は、本発明の集塵装置(クリーニング状態)の第1実施形態を示す垂直断面である。
図3図3は、本発明の集塵装置の主要部のブロック図である。
図4図4は、本発明の集塵装置(通常使用状態)の第2実施形態を示す垂直断面である。
図5図5は、本発明の集塵装置(通常使用状態)の第3実施形態を示す垂直断面である。
図6図6は、本発明の集塵装置(通常使用状態)の第4実施形態を示す垂直断面である。
図7図7は、本発明の集塵装置(通常使用状態)の第5実施形態を示す垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の集塵装置を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。なお、以下では、説明の都合上、図1図2および図4図7中の上側を「上(または上方)」、下側を「下(または下方)」と言う。
<第1実施形態>
図1図3を参照して、本発明の集塵装置の第1実施形態について説明する。
【0011】
図1に示す集塵装置1は、例えば、産業廃棄物や家庭ゴミ等を処理する処理施設の他、製鉄、製鋼施設等の産業施設に設置され、焼却炉や破砕設備等(以下「焼却炉」を代表とする)から排出される異物含有ガス(含塵空気)AR1を浄化するのに用いられる。そして、浄化された異物含有ガスAR1は、異物除去ガス(浄化空気)AR2として、例えば、大気中に排出される。
【0012】
図1図2に示すように、集塵装置1は、装置本体である筐体2と、異物含有ガスAR1に含まれる塵(埃も含む)等の異物EMを捕捉する複数のフィルタ3と、クリーニングガス(空気)AR3を噴射するクリーニングガス噴射部4と、浄化空気AR2を排出する排出部5と、フィルタ3の温度に関連する温度を検出する温度検出部61と、クリーニングガスAR3の温度を調整する温度調整部7とを備える。また、図3に示すように、集塵装置1は、クリーニングガス噴射部4、温度検出部61および温度調整部7と電気的に接続された制御部8も備える。以下、各部の構成について説明する。
【0013】
筐体2は、例えば本実施形態では円錐台形状をなし、その中心軸O2が鉛直方向に沿った姿勢で支持されている。この筐体2は、内部が隔壁部23によって上下に2つの空間に区画されている。下側の空間は、異物含有ガスAR1が通過する第1室21である。上側の空間は、異物含有ガスAR1から塵等の異物EMが除去されて、浄化された異物除去ガスAR2が通過する第2室22である。
隔壁部23は、筐体2の内部を上下に2つの空間に区画することの他に、各フィルタ3を支持する支持部としても機能する。各フィルタ3は、水平方向に沿って間隔を置いて配置されている。なお、フィルタ3の配置数については、特に限定されない。
【0014】
また、筐体2の底部24は、テーパ状をなす。これにより、異物EMが、後述するように落下してきた際、その異物EMを底部24の中央部に集中して集めることができる。そして、底部24の中央部に集められた異物EMは、筐体2から排出される。これにより、筐体2に異物EMが残留するのを防止することができる。
【0015】
各フィルタ3は、第1室21と第2室22との間に配置されたろ過材である。各フィルタ3は、セラミックで構成されている。なお、フィルタ3の構成材料としては、セラミックの他に、例えば、金属、アルミナ、シリカ、ガラス等の耐熱材料(高温素材)を用いることができる。
各フィルタ3は、鉛直方向に沿った円筒状または角筒状をなし、上端部は第2室22に開口し、下端部は閉塞している。そして、異物含有ガスAR1がフィルタ3を外側から内側に向かって通過することにより、図1に示すように、異物含有ガスAR1に含まれる異物EMがフィルタ3に捕捉される。これにより、異物含有ガスAR1から異物EMを除去することができ、よって、異物除去ガスAR2が生成される。このような状態(動作)を「通常使用状態(集塵状態)」と言う。
【0016】
また、筐体2には、筐体2の第1室21に異物含有ガスAR1を導入する導入管(導入流路)28と、筐体2の第2室22から異物除去ガスAR2を排出する排出管(排出流路)52とが接続されている。
導入管28は、第1室21に連通している。また、導入管28は、筐体2と反対側で、焼却炉に接続されている。これにより、焼却炉で生じた異物含有ガスAR1を、導入管28を介して、筐体2の第1室21内に供給することができる。
【0017】
排出管52は、排出部5の一部であり、第2室22に連通している。排出部5は、排出管52の途中に設けられたポンプまたはファン(排風機)(図示せず)を有する。また、排出管52は、その下流側で煙突(排気塔)53と接続されている。
そして、ポンプまたはファン(排風機)が作動することにより、第2室22内の異物除去ガスAR2を、排出管52、煙突53を順に介して、迅速に排出することできる。
【0018】
図1に示すように、各フィルタ3は、異物EMを捕捉した際、当該異物EMがそのまま付着する場合がある。この場合、異物EMの付着の程度によっては、フィルタ3に目詰まりが生じるおそれがある。集塵装置1では、クリーニングガス噴出部4により、フィルタ3の目詰まりを解消することができる。このような状態(動作)を「クリーニング状態(払落し状態)」と言う。クリーニングガス噴出部4は、フィルタ3を清掃するクリーニングガスAR3を筐体2内に導入する導入管42を有する。
導入管42は、筐体2の第2室22内に挿入されている。導入管42は、筐体2と反対側で、クリーニングガス供給管43と接続されている。これにより、クリーニングガスAR3は、圧縮空気として、導入管42を通過することができる。
【0019】
導入管42は、各フィルタ3に臨むノズル421を有する。図2に示すように、各ノズル421は、導入管42を通過してきたクリーニングガスAR3を、当該ノズル421に対向するフィルタ3の内側に向けて噴出することができる。これにより、フィルタ3に付着した異物EMを、フィルタ3の外側に吹き飛ばして離脱させることができ、よって、フィルタ3の目詰まりを解消することができる。
なお、フィルタ3から離脱した異物EMは、筐体2の第1室21内を落下していき、筐体2の底部24に到達する。その後、異物EMは、底部24の中央部に集められて、筐体2から排出される。
【0020】
このように、集塵装置1では、フィルタ3に異物EMが付着して、フィルタ3に目詰まりが生じた際、フィルタ3に対して、第2室22側から第1室21側に向かうクリーニングガスAR3を噴出することができる。これにより、クリーニング状態となって、フィルタ3の目詰まりを解消することができ、よって、その後の通常使用状態を安定して継続することができる。
【0021】
図3に示すように、制御部8は、クリーニングガス噴射部4、温度検出部61および温度調整部7と電気的に接続されており、これらの作動を制御する。制御部8は、CPU81と、記憶部82とを有する。CPU81は、例えば、記憶部82に予め記憶されている制御プログラムを実行することができる。制御プログラムには、例えば、集塵装置1が通常使用状態となるためのプログラムや集塵装置1がクリーニング状態となるためのプログラム等が含まれる。
【0022】
前述したように、通常使用状態では、異物含有ガスAR1は、各フィルタ3を外側から内側に向かって通過する。このときの異物含有ガスAR1は、一般的に約170度以上の高温状態となっている。従って、各フィルタ3は、異物含有ガスAR1が通過する際に、異物含有ガスAR1に接するため、この高温状態の異物含有ガスAR1で加熱されることとなる。
【0023】
また、クリーニング状態では、各フィルタ3は、クリーニングガスAR3が吹き付けられる。従って、通常使用状態で加熱されていた各フィルタ3は、クリーニング状態でクリーニングガスAR3に接する。そのため、各フィルタ3は、クリーニングガスAR3による温度変化が伴う。
例えばクリーニングガスAR3が常温である場合、温度変化が著しくなり、それが起因となって、各フィルタ3は、劣化し易くなるおそれがある。
【0024】
そこで、集塵装置1では、このような不具合を解消可能に構成されている。以下、この構成および作用について説明する。
図1図2に示すように、集塵装置1は、温度検出部61と、温度調整部7とを備える。
【0025】
温度検出部61は、フィルタ3の温度に関連する温度を検出する温度センサ(サーミスタ)である。
温度検出部61は、本実施形態では、例えば排出管52のできる限り筐体2に近い部分に配置、固定されている。これにより、温度検出部61は、フィルタ3の温度に関連する温度として、排出管52を通過する異物除去ガスAR2の温度を検出することができる。
【0026】
異物除去ガスAR2は、異物含有ガスAR1が各フィルタ3を通過して、異物含有ガスAR1から異物EMが除去された状態のガスであり、フィルタ3の温度に影響を与える異物含有ガスAR1の一部を構成している。従って、異物除去ガスAR2の温度は、フィルタ3の温度に関連する温度として、十分に採用することができる。
【0027】
温度調整部7は、温度検出部61の検出結果に基づいて、クリーニングガスAR3の温度を調整する装置である。温度調整部7は、クリーニングガスAR3を一時的に貯留する第1貯留部71および第2貯留部72と、クリーニングガスAR3を加熱する加熱部73とを有する。
【0028】
第1貯留部71と第2貯留部72とは、クリーニングガスAR3をそれぞれ独立して貯留するタンクである。第1貯留部71は、その上流側で接続管741を介して、クリーニングガスAR3の供給源44と接続されており、第2貯留部72は、その上流側で接続管742を介して、供給源44と接続されている。これにより、第1貯留部71および第2貯留部72にクリーニングガスAR3を供給して、一時的に貯留することができる。
【0029】
また、第1貯留部71は、その下流側で接続管743を介して、クリーニングガス供給管43と接続されており、第2貯留部72は、その下流側で接続管744を介して、クリーニングガス供給管43と接続されている。クリーニングガス供給管43により、図2に示すように、第1貯留部71および第2貯留部72に貯留されたクリーニングガスAR3を、導入管42に送り出すことができる。
【0030】
接続管743の途中には、第1切換弁771が設けられ、接続管744の途中には、第2切換弁772が設けられている。
第1切換弁771と第2切換弁762とは、いずれも、クリーニングガスAR3の通過と遮断と切り換える電磁弁である。これにより、クリーニングガスAR3を第1貯留部71から得るのか、または、第2貯留部72から得るのかを選択することができる。
【0031】
加熱部73は、第1貯留部71の外周部に螺旋状に巻回された第1螺旋管731と、第1貯留部71内に設けられた第1電熱体732と、第2貯留部72の外周部に螺旋状に巻回された第2螺旋管733と、第2貯留部72内に設けられた第2電熱体734とを有する。
第1螺旋管731と第2螺旋管733とは、それぞれ、上流側で接続管751を介して、排出管52と接続されており、下流側で接続管752を介して、排出管52と接続されている。
【0032】
これにより、図1に示すように、接続管751を介して、異物除去ガスAR2を第1螺旋管731と第2螺旋管733とに供給することができる。前述したように、異物除去ガスAR2は、高温状態にある。これにより、異物除去ガスAR2は、第1螺旋管731を通過する過程で、第1貯留部71ごとクリーニングガスAR3を加熱することができる。同様に、異物除去ガスAR2は、第2螺旋管733を通過する過程で、第2貯留部72ごとクリーニングガスAR3を加熱することができる。
【0033】
そして、加熱に供された異物除去ガスAR2は、接続管752を介して、排出管52に戻される。
このように、加熱部73は、第1貯留部71および第2貯留部72内のクリーニングガスAR3を加熱可能に構成されている。そして、その加熱に、異物除去ガスAR2の熱を用いることができる。これにより、異物除去ガスAR2の熱を無駄なく有効に利用することできる。
【0034】
また、第1螺旋管731と接続管751との間には、第1切換弁761が設けられ、第2螺旋管733と接続管751との間には、第2切換弁762が設けられている。
第1切換弁761は、異物除去ガスAR2の通過と遮断と切り換える電磁弁(絞り弁)であり、第1螺旋管731への異物除去ガスAR2の供給量を調整することができる。
同様に、第2切換弁762も、異物除去ガスAR2の通過と遮断と切り換える電磁弁(絞り弁)であり、第2螺旋管733への異物除去ガスAR2の供給量を調整することができる。
【0035】
第1電熱体732は、通電により発熱するヒータであり、第1貯留部71内のクリーニングガスAR3を加熱することができる。
同様に、第2電熱体734も通電により発熱するヒータであり、第2貯留部72内のクリーニングガスAR3を加熱することができる。
【0036】
以上のような構成の加熱部73では、第1螺旋管731への異物除去ガスAR2の供給量と、第1電熱体732の発熱量との組み合わせにより、第1貯留部71内のクリーニングガスAR3を第1温度範囲内で加熱することができる。また、第2螺旋管732への異物除去ガスAR2の供給量と、第2電熱体734の発熱量との組み合わせにより、第2貯留部72内のクリーニングガスAR3を、第1温度範囲と異なる第2温度範囲内で加熱することができる。本実施形態では、一例として、「(第1温度範囲)<(第2温度範囲)」なる関係を満足することとする。
【0037】
異物含有ガスAR1は、一般的に約170度の高温状態で筐体2内に流入してくるが、その温度は常に一定に維持されておらず、約±10度の範囲で変化している。従って、異物除去ガスAR2も温度が変化する。
制御部8は、温度検出部61で検出された異物除去ガスAR2の温度を得、その温度が閾値(例えば170度以上とする)よりも低い第1温度か、または、閾値以上の第2温度であるか否かを判断する。
【0038】
そして、例えば異物除去ガスAR2の温度が第1温度の場合にクリーニング状態とする際には、前記第1温度範囲内で加熱されたクリーニングガスAR3を導入管42から各フィルタ3に噴射する。
また、異物除去ガスAR2の温度が第2温度の場合にクリーニング状態とする際には、前記第2温度範囲内で加熱されたクリーニングガスAR3を導入管42から各フィルタ3に噴射する。
【0039】
このように集塵装置1では、異物含有ガスAR1の温度に応じて、クリーニングガスAR3の温度を調整することができる。これにより、異物含有ガスAR1とクリーニングガスAR3との温度差、すなわち、双方の温度の乖離をできる限り解消することができる。
これにより、異物含有ガスAR1とクリーニングガスAR3とに接する各フィルタ3が、双方のガスの温度差を起因として劣化するのを防止することができる。
なお、上記は一例である。例えば加熱部73は、第1貯留部71のみで構成され、クリーニングガスAR3を加熱可能に構成されていてもよい。この場合、クリーニングガス供給管43から導入管42に至る経路の途中で別の加熱部や別の冷却部を備えることで、異物含有ガスAR1の温度に応じてクリーニングガスAR3の温度を調整してもよい。
【0040】
<第2実施形態>
以下、図4を参照して本発明の集塵装置の第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0041】
図4に示すように、本実施形態では、集塵装置1は、流量検出部62に代えて、異物除去ガスAR2に含まれる水分量を検出する水分量検出部63を備える。水分量検出部63は、例えば赤外線水分計で構成され、制御部8と電気的に接続されている。
ここで、単に温度検出部61の検出結果に基づいて、クリーニングガスAR3の温度を調整した場合を考えてみる。この場合、クリーニングガスAR3をフィルタ3に噴射すると、フィルタ3が露点に達して、異物含有ガスAR1(異物除去ガスAR2)に含まれる水分がフィルタ3上で結露するおそれがある。
【0042】
そこで、温度調整部7は、温度検出部61の検出結果と、水分量検出部63の検出結果とに基づいて、クリーニングガスAR3の温度を調整する。すなわち、温度調整部7は、水分量検出部63の検出結果によって、水分量が多い場合は結露が発生し易いために温度調整部7によってクリーニングガスAR3の温度を上げる。これとは反対に、水分量が少ない場合は、結露が発生しにくいために、温度調整部7による温度を一定あるいは低めることで結露の発生を抑制することができる。これにより、フィルタ3上での結露の発生を防止することができる。
なお、水分量検出部63としては、図4に示すものに限定されず、例えば、煙突53に予め設置されているものを用いることもできる。
【0043】
<第3実施形態>
以下、図5を参照して本発明の集塵装置の第3実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0044】
図5に示すように、本実施形態では、集塵装置1は、異物除去ガスAR2に含まれる成分量を検出する成分量検出部64を備える。成分量検出部64は、例えば分光分析により成分量を検出するよう構成され、制御部8と電気的に接続されている。なお、異物除去ガスAR2に含まれる成分としては、例えば、硫黄成分、塩素成分等がある。
成分量検出部64は、本実施形態では、排出管52の途中から分岐する分岐管54の端部に配置、固定されている。
【0045】
ここで、単に温度検出部61の検出結果に基づいて、クリーニングガスAR3の温度を調整した場合を考えてみる。この場合、クリーニングガスAR3をフィルタ3に噴射すると、フィルタ3が酸露点に達して、硫酸や塩酸が発生し、筐体2等を腐食させるおそれがある。
【0046】
そこで、温度調整部7は、温度検出部61の検出結果と、成分量検出部64の検出結果とに基づいて、クリーニングガスAR3の温度を調整する。すなわち、温度調整部7は、成分量検出部64の検出結果によって、成分量が多い場合は、温度調整部7によってクリーニングガスAR3の温度を上げる。これによって、フィルタ3が酸露点に達しにくくなり、硫酸や塩酸が発生することを抑制できる。これにより、筐体2等の腐食を防止することができる。
なお、成分量検出部64としては、図5に示すものに限定されず、例えば、筐体2の第1室21内に設置されていてもよい。
【0047】
<第4実施形態>
以下、図6を参照して本発明の集塵装置の第4実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0048】
図6に示すように、本実施形態では、集塵装置1は、異物除去ガスAR2の流量を検出する流量検出部62を備える。流量検出部62は、例えば超音波式流量計または電磁式流量計で構成され、制御部8と電気的に接続されている。
流量検出部62は、本実施形態では、例えば温度検出部61に対向して(隣り合って)配置、固定されている。これにより、温度検出部61と同条件で、異物除去ガスAR2の流量を検出することができる。
【0049】
例えば、温度検出部61の温度が所定の温度(例えば170℃)である場合に、異物除去ガスAR2の流量が少なすぎて熱量低下となり、集塵装置1の筐体2からの放熱で、図6で示す左右のフィルタ3の温度(筐体2の壁に近い方のフィルタ3)が中央のフィルタ3に比べて温度低下を受ける。
このような状態になると、クリーニングエアAR3で異物EMを除去しようとしても、フィルタ3および異物EM自体が冷えているので、異物EMが落とされにくくなる可能性がある。
そこで、異物除去ガスAR2の流量が少ないと流量検出部62で検出された場合は、温度調整部7の温度を高めることでフィルタ3の異物を落とし易くする。これにより、フィルタ3の温度そのものを高めることができ、筐体2に近い左右のフィルタ3がクリーニングエアAR3で異物EMを除去する機能を損なうことを抑制する。
これにより、異物除去ガスAR2の流量の多少に関わらず(影響を受けずに)、クリーニングガスAR3の温度を正確に調整することができる。
【0050】
<第5実施形態>
以下、図7を参照して本発明の集塵装置の第5実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0051】
図7に示すように、本実施形態では、集塵装置1は、触媒を有する触媒部91と、触媒部91(触媒)を加熱する加熱部92とを備える。
触媒部91は、排出管52の温度検出部61と接続管751との間に設置されたフィルタであり、異物除去ガスAR2が通過することができる。
【0052】
加熱部92は、例えば通電により発熱するヒータで構成され、制御部8と電気的に接続されている。なお、加熱部92としては、ヒータの他に、例えば、スチーム機等のように、高温ガスの熱を交換する熱交換機等を用いることができる。
異物除去ガスAR2は、触媒部91を通過する際に、加熱部92で加熱された触媒に接することにより、さらに浄化される。
また、異物除去ガスAR2は、触媒部91を通過過程で加熱され、温度がさらに上昇する。そして、この異物除去ガスAR2の一部は、接続管751に流入して、クリーニングガスAR3の加熱に用いられる。
【0053】
このように、本実施形態では、触媒部91に接した後の異物除去ガスAR2の熱をクリーニングガスAR3の加熱に用いることができる。これにより、異物除去ガスAR2の熱を無駄なく有効に利用して、クリーニングガスAR3を安価に、また、さらに高温に加熱することができる。
【0054】
以上、本発明の集塵装置を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、集塵装置を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
また、本発明の集塵装置は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【0055】
温度検出部61は、前記各実施形態では、フィルタ3の温度に関連する温度を検出するよう構成されているが、これに限定されない。例えば、温度検出部61は、フィルタ3自体の温度を検出するよう構成されていてもよいし、フィルタ3の温度、および、フィルタ3の温度に関連する温度の双方を検出するよう構成されていてもよい。
【0056】
温度検出部61がフィルタ3自体の温度を検出する場合には、その温度検出部61として、例えば、サーモグラフィを用いることができる。
また、温度検出部61がフィルタ3の温度、および、フィルタ3の温度に関連する温度の双方を検出する場合には、温度検出部61の検出結果として、これらの平均温度、または、これらの温度のうちの高い方の温度を採用することができる。そして、温度調整部7は、この温度検出部61の検出結果に基づいて、クリーニングガスAR3の温度を調整することとなる。
【0057】
また、温度検出部61は、フィルタ3の骨部にあたるリテーナに直接設置されていてもよい。
また、温度検出部61は、導入管28と導入管28とに設置されていてもよい。この場合、導入管28に設けた温度検出部61と、排出管52に設けられた温度検出部61との値に基づいて、フィルタ3の温度を予測することができる。
また、フィルタ3の温度に関連する温度としては、導入管28の温度を用いてもよいし、筐体2内部の温度を用いてもよい。
【0058】
また、温度調整部7は、前記各実施形態では、クリーニングガスAR3を一時的に貯留する貯留部を2つ有するが、貯留部の設置数は、2つに限定されず、例えば、1つまたは3つ以上であってもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 集塵装置
2 筐体
21 第1室
22 第2室
23 隔壁部
24 底部
28 導入管(導入流路)
3 フィルタ
4 クリーニングガス噴射部
42 導入管
43 クリーニングガス供給管
44 供給源
5 排出部
52 排出管(排出流路)
53 煙突(排気塔)
54 分岐管
61 温度検出部
62 流量検出部
63 水分量検出部
64 成分量検出部
7 温度調整部
71 第1貯留部
72 第2貯留部
73 加熱部
731 第1螺旋管
732 第1電熱体
733 第2螺旋管
734 第2電熱体
741 接続管
742 接続管
743 接続管
744 接続管
751 接続管
752 接続管
761 第1切換弁
762 第2切換弁
771 第1切換弁
772 第2切換弁
8 制御部
81 CPU
82 記憶部
91 触媒部
92 加熱部
AR1 異物含有ガス(含塵空気)
AR2 異物除去ガス(浄化空気)
AR3 クリーニングガス(空気)
EM 異物
O2 中心軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7