(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-12
(45)【発行日】2024-09-24
(54)【発明の名称】加熱調理システム
(51)【国際特許分類】
F24F 7/06 20060101AFI20240913BHJP
F24C 7/04 20210101ALI20240913BHJP
H05B 6/12 20060101ALI20240913BHJP
F24F 7/007 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
F24F7/06 101Z
F24C7/04 301A
H05B6/12 302
H05B6/12 324
F24F7/007 C
(21)【出願番号】P 2021022198
(22)【出願日】2021-02-16
【審査請求日】2023-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】弁理士法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】橋本 道弘
(72)【発明者】
【氏名】杉本 喜輝
【審査官】広瀬 雅治
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-078249(JP,A)
【文献】特開2006-204375(JP,A)
【文献】特開2005-267949(JP,A)
【文献】特開2008-192494(JP,A)
【文献】特開2020-008186(JP,A)
【文献】特開2007-205666(JP,A)
【文献】特開2016-004669(JP,A)
【文献】特開2017-156058(JP,A)
【文献】特開2009-092338(JP,A)
【文献】特開2017-040430(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110594822(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0230662(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02749818(EP,A2)
【文献】中国実用新案第205102213(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/06
F24C 7/04
H05B 6/12
F24F 7/007
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱物を加熱する加熱手段を有する加熱調理器と、
前記加熱調理器の上方に設置されて前記被加熱物の加熱によって発生する熱気を換気するファンと、前記ファンを制御するファン制御部と、を有する換気装置と、を備えた加熱調理システムであって、
前記換気装置は、少なくとも前記ファンの稼働情報を表示する表示部と、
前記表示部の視認性を維持する所定動作を行う作動状態と、前記所定動作を行わない停止状態と、に切り替わる視認性維持手段と、を有し、
前記ファン制御部は、少なくとも前記加熱調理器の使用状況を反映し、かつ前記表示部の前記視認性に影響を与え得る影響要因に応じて、前記視認性維持手段を前記停止状態と前記作動状態とに切り替えるように構成され
、
前記視認性維持手段は、
前記作動状態において、前記表示部を覆う空気を前記表示部から遠ざける気流を発生させる一方、前記停止状態において、前記気流の発生を停止する気流発生手段と、
前記作動状態において、前記加熱手段から前記表示部に至る最短経路と交差するように突出する一方、前記停止状態において、前記最短経路から退避する遮蔽手段と、
前記作動状態において、前記表示部の輝度を高く変更する一方、前記停止状態において、前記表示部の輝度を変更しない輝度変更手段と、
の少なくとも1つを有していることを特徴とする加熱調理システム。
【請求項2】
前記加熱調理器は、前記加熱手段を制御して加熱調理を行う加熱制御部を有し、
前記影響要因は、前記加熱手段の運転状態であり、
前記ファン制御部は、前記加熱制御部との間の通信によって取得した前記運転状態が所定の条件を満たしたときに、前記視認性維持手段を前記停止状態から前記作動状態に切り替える請求項
1記載の加熱調理システム。
【請求項3】
前記加熱調理器は、前記被加熱物の温度を検出する温度検出手段を有し、
前記運転状態は、前記温度検出手段が検出した前記被加熱物の検出温度であり、
前記所定の条件は、前記検出温度が第1閾値以上であるときである請求項
2記載の加熱調理システム。
【請求項4】
前記加熱調理器は、前記被加熱物の温度を検出する温度検出手段を有し、
前記運転状態は、前記温度検出手段が検出した前記被加熱物の検出温度であり、
前記所定の条件は、前記検出温度が第1時間以上、平衡状態になったときである請求項
2記載の加熱調理システム。
【請求項5】
前記運転状態は、前記加熱手段の加熱出力であり、
前記所定の条件は、前記加熱出力が第2閾値以上で、第2時間以上継続されたときである請求項
2記載の加熱調理システム。
【請求項6】
前記加熱調理器は、前記加熱手段を制御して加熱調理を行う加熱制御部と、
前記加熱制御部が前記加熱調理を自動で行うための自動調理モードを設定可能なモード設定部と、を有し、
前記影響要因は、前記モード設定部によって設定された前記自動調理モードに係るモード設定情報であり、
前記ファン制御部は、前記加熱制御部との間の通信によって取得した前記モード設定情報が所定の前記自動調理モードと一致したときに、前記視認性維持手段を前記停止状態から前記作動状態に切り替える請求項
1記載の加熱調理システム。
【請求項7】
前記加熱調理システムは、油煙又は湯気の発生度合いを検出して前記ファン制御部に伝達する煙検出手段を備え、
前記影響要因は、前記煙検出手段が検出した前記発生度合いであり、
前記ファン制御部は、前記発生度合いが第3閾値以上であるときに、前記視認性維持手段を前記停止状態から前記作動状態に切り替える請求項
1記載の加熱調理システム。
【請求項8】
前記煙検出手段は、前記加熱調理器及び前記表示部の少なくとも一方である撮像対象を撮像可能な撮像手段と、
前記撮像手段が取得した撮像データを解析し、前記撮像対象に重なって映る油煙又は湯気を識別して前記発生度合いを導出する画像解析部と、を有している請求項
7記載の加熱調理システム。
【請求項9】
前記加熱調理システムは、湿度を検出して前記ファン制御部に伝達する湿度検出手段を備え、
前記影響要因は、前記湿度検出手段が検出した前記湿度であり、
前記ファン制御部は、前記湿度が第4閾値以上であるときに、前記視認性維持手段を前記停止状態から前記作動状態に切り替える請求項
1記載の加熱調理システム。
【請求項10】
前記加熱調理システムは、においの程度を検出して前記ファン制御部に伝達するにおい検出手段を備え、
前記影響要因は、前記におい検出手段が検出した前記においの程度であり、
前記ファン制御部は、前記においの程度が第5閾値以上であるときに、前記視認性維持手段を前記停止状態から前記作動状態に切り替える請求項
1記載の加熱調理システム。
【請求項11】
前記加熱調理システムは、複数の前記視認性維持手段を備え、
前記換気装置は、複数の前記視認性維持手段の中から特定視認性維持手段を選択するための入力操作を受ける選択入力部を有し、
前記ファン制御部は、前記影響要因に応じて、前記特定視認性維持手段を前記停止状態と前記作動状態とに切り替える請求項1乃至1
0のいずれか1項記載の加熱調理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は加熱調理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の加熱調理システムの一例が開示されている。この加熱調理システムは、加熱調理器及び換気装置を備えている。
【0003】
加熱調理器は、加熱手段を有している。加熱手段は、標準バーナ、小バーナ、高火力バーナ及びグリルバーナを有し、それらによって被加熱物を加熱する。
【0004】
換気装置は、ファン及びファン制御部を有している。ファンは、加熱調理器の上方に設置されて被加熱物の加熱によって発生する熱気を換気する。ファン制御部は、ファンを制御する。
【0005】
この加熱調理システムでは、特許文献1の表2に示されているように、加熱調理器において、標準バーナ、小バーナ、高火力バーナ及びグリルバーナの少なくとも1つの使用状態に応じて、換気装置の設定風量を「強」、「中」又は「小」に決定し、換気装置において、ファン制御部がその決定した設定風量に係る信号を受信し、その信号に係る設定風量でファンを作動させる。
【0006】
こうして、この加熱調理システムでは、ユーザが標準バーナ、小バーナ、高火力バーナ及びグリルバーナの少なくとも1つの使用状態に応じて、換気装置の設定風量のうちの1つを手動で決定する手間を抑制して、利便性の向上を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記従来の加熱調理システムにおいて、換気装置が少なくともファンの稼働情報を表示する表示部を有する場合がある。この場合において、加熱調理器の加熱手段が加熱する被加熱物の種類によっては、油煙や湯気が大量に発生するおそれがある。そして、換気装置のファンがその油煙や湯気を換気し難くなると、換気装置の外側に油煙や湯気が溢れ出て表示部を覆うおそれがあり、表示部の視認性が低下し易くなるという問題がある。
【0009】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、被加熱物から発生する油煙や湯気によって表示部の視認性が低下することを抑制できる加熱調理システムを提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の加熱調理システムは、被加熱物を加熱する加熱手段を有する加熱調理器と、
前記加熱調理器の上方に設置されて前記被加熱物の加熱によって発生する熱気を換気するファンと、前記ファンを制御するファン制御部と、を有する換気装置と、を備えた加熱調理システムであって、
前記換気装置は、少なくとも前記ファンの稼働情報を表示する表示部と、
前記表示部の視認性を維持する所定動作を行う作動状態と、前記所定動作を行わない停止状態と、に切り替わる視認性維持手段と、を有し、
前記ファン制御部は、少なくとも前記加熱調理器の使用状況を反映し、かつ前記表示部の前記視認性に影響を与え得る影響要因に応じて、前記視認性維持手段を前記停止状態と前記作動状態とに切り替えるように構成され、
前記視認性維持手段は、
前記作動状態において、前記表示部を覆う空気を前記表示部から遠ざける気流を発生させる一方、前記停止状態において、前記気流の発生を停止する気流発生手段と、
前記作動状態において、前記加熱手段から前記表示部に至る最短経路と交差するように突出する一方、前記停止状態において、前記最短経路から退避する遮蔽手段と、
前記作動状態において、前記表示部の輝度を高く変更する一方、前記停止状態において、前記表示部の輝度を変更しない輝度変更手段と、
の少なくとも1つを有していることを特徴とする。
【0011】
本発明の加熱調理システムでは、ファン制御部は、影響要因に応じて、視認性維持手段を停止状態と作動状態とに切り替えることにより、換気装置の外側に油煙や湯気が溢れ出て表示部を覆う可能性が高い場合に、視認性維持手段が作動状態に切り替わって表示部の視認性を維持する所定動作を行うので、表示部が油煙や湯気に覆われ難い。
【0012】
したがって、本発明の加熱調理システムでは、被加熱物から発生する油煙や湯気によって表示部の視認性が低下することを抑制できる。
【0013】
視認性維持手段は、作動状態において、表示部を覆う空気を表示部から遠ざける気流を発生させる一方、停止状態において、気流の発生を停止する気流発生手段を有していることが望ましい。
【0014】
この場合、気流発生手段が発生させる気流によって、被加熱物から発生する油煙や湯気を表示部から遠ざけることができる。その結果、この加熱調理システムでは、被加熱物から発生する油煙や湯気によって表示部の視認性が低下することを確実性高く抑制できる。
【0015】
視認性維持手段は、作動状態において、加熱手段から表示部に至る最短経路と交差するように突出する一方、停止状態において、最短経路から退避する遮蔽手段を有していることが望ましい。
【0016】
この場合、遮蔽手段が最短経路と交差するように突出することによって、被加熱物から発生する油煙や湯気を遮蔽手段から迂回するように上昇させて、表示部から遠ざけることができる。その結果、この加熱調理システムでは、被加熱物から発生する油煙や湯気によって表示部の視認性が低下することを確実性高く抑制できる。
【0017】
視認性維持手段は、作動状態において、表示部の輝度を高く変更する一方、停止状態において、表示部の輝度を変更しない輝度変更手段を有していることが望ましい。
【0018】
この場合、輝度変更手段が表示部の輝度を高く変更することによって、表示部が発した光が被加熱物から発生する油煙や湯気を透過し易くなり、ユーザに到達し易くなる。その結果、この加熱調理システムでは、被加熱物から発生する油煙や湯気によって表示部の視認性が低下することを確実性高く抑制できる。
【0019】
加熱調理器は、加熱手段を制御して加熱調理を行う加熱制御部を有していることが望ましい。影響要因は、加熱手段の運転状態であることが望ましい。そして、ファン制御部は、加熱制御部との間の通信によって取得した運転状態が所定の条件を満たしたときに、視認性維持手段を停止状態から作動状態に切り替えることが望ましい。
【0020】
この場合、ファン制御部は、加熱手段の運転状態に基づいて、被加熱物から油煙や湯気が大量に発生し易い状況か否かを精度良く予測できる。その結果、この加熱調理システムでは、被加熱物から発生する油煙や湯気によって表示部の視認性が低下することを確実性高く抑制できる。
【0021】
加熱調理器は、被加熱物の温度を検出する温度検出手段を有していることが望ましい。運転状態は、温度検出手段が検出した被加熱物の検出温度であることが望ましい。そして、所定の条件は、検出温度が第1閾値以上であるときであることが望ましい。
【0022】
この場合、ファン制御部は、温度検出手段が検出した被加熱物の検出温度と、第1閾値とに基づいて、被加熱物から油煙や湯気が大量に発生し易い状況か否かを一層精度良く予測できる。その結果、この加熱調理システムでは、被加熱物から発生する油煙や湯気によって表示部の視認性が低下することを確実性高く抑制できる。
【0023】
加熱調理器は、被加熱物の温度を検出する温度検出手段を有していることが望ましい。運転状態は、温度検出手段が検出した被加熱物の検出温度であることが望ましい。そして、所定の条件は、検出温度が第1時間以上、平衡状態になったときであることが望ましい。
【0024】
この場合、ファン制御部は、温度検出手段が検出した被加熱物の検出温度と、平衡状態に対応して設定される第1時間とに基づいて、水等の被加熱物が沸騰して湯気が大量に発生し易くなったり、調理容器等の被加熱物の焦げ付きによる煙が大量に発生し易くなったりする状況か否かを精度良く予測できる。その結果、この加熱調理システムでは、被加熱物から発生する油煙や湯気によって表示部の視認性が低下することを確実性高く抑制できる。
【0025】
運転状態は、加熱手段の加熱出力であることが望ましい。そして、所定の条件は、加熱出力が第2閾値以上で、第2時間以上継続されたときであることが望ましい。
【0026】
この場合、ファン制御部は、加熱手段の加熱出力と、加熱出力が高いまま長時間が経過する状況に対応して設定される第2閾値及び第2時間とに基づいて、水等の被加熱物が沸騰して湯気が大量に発生し易くなったり、揚げ油等の被加熱物が過熱されて油煙が発生し易くなったり、調理容器等の被加熱物の焦げ付きによる煙が大量に発生し易くなったりする状況か否かを精度良く予測できる。その結果、この加熱調理システムでは、被加熱物から発生する油煙や湯気によって表示部の視認性が低下することを確実性高く抑制できる。
【0027】
加熱調理器は、加熱手段を制御して加熱調理を行う加熱制御部と、加熱制御部が加熱調理を自動で行うための自動調理モードを設定可能なモード設定部と、を有していることが望ましい。影響要因は、モード設定部によって設定された自動調理モードに係るモード設定情報であることが望ましい。そして、ファン制御部は、加熱制御部との間の通信によって取得したモード設定情報が所定の自動調理モードと一致したときに、視認性維持手段を停止状態から作動状態に切り替えることが望ましい。
【0028】
この場合、ファン制御部は、モード設定情報と、所定の自動調理モードとに基づいて、加熱調理器において実行中の自動調理モードによって被加熱物から油煙や湯気が大量に発生し易い状況か否かを精度良く予測できる。その結果、この加熱調理システムでは、被加熱物から発生する油煙や湯気によって表示部の視認性が低下することを確実性高く抑制できる。
【0029】
加熱調理システムは、油煙又は湯気の発生度合いを検出してファン制御部に伝達する煙検出手段を備えていることが望ましい。影響要因は、煙検出手段が検出した発生度合いであることが望ましい。そして、ファン制御部は、発生度合いが第3閾値以上であるときに、視認性維持手段を停止状態から作動状態に切り替えることが望ましい。
【0030】
この場合、ファン制御部は、煙検出手段が検出した油煙又は湯気の発生度合いと、第3閾値とに基づいて、実際に被加熱物から油煙や湯気が大量に発生する状況か否かを精度良く判断できる。その結果、この加熱調理システムでは、被加熱物から発生する油煙や湯気によって表示部の視認性が低下することを確実性高く抑制できる。
【0031】
煙検出手段は、加熱調理器及び表示部の少なくとも一方である撮像対象を撮像可能な撮像手段と、撮像手段が取得した撮像データを解析し、撮像対象に重なって映る油煙又は湯気を識別して発生度合いを導出する画像解析部と、を有していることが望ましい。
【0032】
この場合、ファン制御部は、撮像手段及び画像解析部により、実際に被加熱物から油煙や湯気が大量に発生する状況か否かを一層精度良く判断できる。その結果、この加熱調理システムでは、被加熱物から発生する油煙や湯気によって表示部の視認性が低下することを一層確実性高く抑制できる。
【0033】
加熱調理システムは、湿度を検出してファン制御部に伝達する湿度検出手段を備えていることが望ましい。影響要因は、湿度検出手段が検出した湿度であることが望ましい。そして、ファン制御部は、湿度が第4閾値以上であるときに、視認性維持手段を停止状態から作動状態に切り替えることが望ましい。
【0034】
この場合、ファン制御部は、湿度検出手段が検出した湿度と、第4閾値とに基づいて、被加熱物から油煙や湯気のうちの特に湯気が大量に発生し易い状況か否かを精度良く予測できる。その結果、この加熱調理システムでは、被加熱物から発生する油煙や湯気によって表示部の視認性が低下することを確実性高く抑制できる。
【0035】
加熱調理システムは、においの程度を検出してファン制御部に伝達するにおい検出手段を備えていることが望ましい。影響要因は、におい検出手段が検出したにおいの程度であることが望ましい。そして、ファン制御部は、においの程度が第5閾値以上であるときに、視認性維持手段を停止状態から作動状態に切り替えることが望ましい。
【0036】
この場合、ファン制御部は、におい検出手段が検出したにおいの程度と、第5閾値とに基づいて、被加熱物から油煙や湯気が大量に発生し易い状況か否かを精度良く予測できる。その結果、この加熱調理システムでは、被加熱物から発生する油煙や湯気によって表示部の視認性が低下することを確実性高く抑制できる。
【0037】
加熱調理システムは、複数の視認性維持手段を備えていることが望ましい。換気装置は、複数の視認性維持手段の中から特定視認性維持手段を選択するための入力操作を受ける選択入力部を有していることが望ましい。そして、ファン制御部は、影響要因に応じて、特定視認性維持手段を停止状態と作動状態とに切り替えることが望ましい。
【0038】
この場合、選択入力部により、ユーザが望むように表示部の視認性を維持できるので、ユーザの快適性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明の加熱調理システムによれば、被加熱物から発生する油煙や湯気によって表示部の視認性が低下することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】
図1は、実施例1の加熱調理システムの斜視図である。
【
図2】
図2は、実施例1の加熱調理システムのブロック図である。
【
図3】
図3は、実施例1の加熱調理システムに係り、表示部の視認性維持プログラムのフローチャートである。
【
図4】
図4は、実施例2の加熱調理システムに係り、表示部の視認性維持プログラムのフローチャートである。
【
図5】
図5は、実施例3の加熱調理システムに係り、表示部の視認性維持プログラムのフローチャートである。
【
図6】
図6は、実施例4の加熱調理システムに係り、表示部の視認性維持プログラムのフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施例5の加熱調理システムに係り、表示部の視認性維持プログラムのフローチャートである。
【
図8】
図8は、実施例6の加熱調理システムに係り、表示部の視認性維持プログラムのフローチャートである。
【
図9】
図9は、実施例7の加熱調理システムに係り、表示部の視認性維持プログラムのフローチャートである。
【
図10】
図10は、実施例8の加熱調理システムに係り、表示部の視認性維持プログラムのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明を具体化した実施例1~8を図面を参照しつつ説明する。
【0042】
(実施例1)
図1に示すように、実施例1の加熱調理システム100は、本発明の加熱調理システムの具体的態様の一例である。加熱調理システム100は、加熱調理器1及び換気装置6を備えている。加熱調理器1は、台所等に設置される所謂ビルトイン式のガスコンロである。換気装置6は、加熱調理器1の上方に設置されて加熱調理器1によって発生する熱気を換気するレンジフードである。
【0043】
なお、
図1では、加熱調理器1の前面パネル8P側を前方と規定し、天板9側を上方と規定して、前後方向及び上下方向を表示する。また、前面パネル8Pに対面する状態で加熱調理器1を見たときに左に来る側を左方と規定して、左右方向を表示する。
【0044】
<加熱調理器の構成>
加熱調理器1は、調理器本体8及び天板9を備えている。調理器本体8は略箱状体であり、その前面に前面パネル8Pが配置されている。天板9は、調理器本体8の上面を覆うように配置された略矩形平板である。
【0045】
また、加熱調理器1は、
図2に示す加熱制御部20と、
図1及び
図2に示す燃焼部10、操作部30及び第1通信部29とを有している。燃焼部10は、本発明の「加熱手段」の一例である。
【0046】
<加熱制御部>
図2に簡略して示すように、加熱制御部20は、CPU、ROM、RAM等を含んで構成された周知の制御回路である。加熱制御部20は、燃焼部10を制御して加熱調理を行うとともに、操作部30がユーザから受ける操作の情報を取得する。
【0047】
また、加熱制御部20は、記憶部21を含んでいる。記憶部21は、燃焼部10を制御して加熱調理を行うための加熱調理実行プログラムを含む各種の制御プログラムや、各種の設定情報を記憶している。
【0048】
<燃焼部>
図1に示すように、燃焼部10は、天板9上に設けられた複数のガスバーナ11を有している。本実施例では、2つのガスバーナ11が天板9上の右部分と左部分とに設けられている。左右のガスバーナ11のそれぞれに付帯する部品等の構成は、同じである。
【0049】
天板9上には、ガスバーナ11を囲む五徳11Gが設けられている。五徳11Gには、鍋やフライパン等である調理容器5が載置される。調理容器5は、本発明の「被加熱物」の一例である。また、調理容器5に収容された肉、魚、揚げ油、水、調理液等の被調理物も、本発明の「被加熱物」に含まれる。さらに、焼き網や、焼き網に載置された肉や魚等の被調理物も、本発明の「被加熱物」に含まれる。
【0050】
ガスバーナ11の中央には、有蓋筒状の温度センサ11Dが上向きに突出するように設けられている。温度センサ11Dは、本発明の「温度検出手段」の一例である。温度センサ11Dは、五徳11Gに載置された調理容器5等の被加熱物に当接したときに、内蔵するサーミスタ等によって調理容器5等の底部の温度を検出し、検出結果を加熱制御部20に伝達する。
【0051】
ガスバーナ11の炎孔形成部の近傍には、点火プラグ11Eが設けられている。点火プラグ11Eは、
図2に示すイグナイタ11Hによって高電圧が印加されることにより、ガスバーナ11を点火する。
【0052】
図1に示すように、ガスバーナ11の炎孔形成部の近傍における点火プラグ11Eから離れた位置には、炎検出部11Fが設けられている。炎検出部11Fは、熱電対の熱起電力に基づいて、ガスバーナ11の燃焼炎の有無を検出する。
【0053】
調理器本体8内には、
図2に示す燃料制御弁11Vが設けられている。燃料制御弁11Vは、ガスバーナ11の点火時に開いてガスバーナ11に燃料ガスを供給し、消火時に閉じる主弁や、ガスバーナ11の火力調整に応じて開度調整されて燃料ガスの供給量を調整する火力調整弁等の複数の制御弁が組み合わされてなる。
【0054】
点火プラグ11E、イグナイタ11H、燃料制御弁11V、温度センサ11D及び炎検出部11Fも、燃焼部10の一部を構成している。
【0055】
燃焼部10は、加熱制御部20に制御されて、ガスバーナ11、点火プラグ11E、イグナイタ11H、燃料制御弁11V、温度センサ11D及び炎検出部11Fが連携動作することによって、調理容器5等の被加熱物を加熱し、調理容器5等に収容され、又は載置された被調理物の加熱調理を行う。この際、加熱制御部20は、ガスバーナ11の加熱出力を制御する。本実施例では、加熱出力は火力と同義である。
【0056】
また、燃焼部10は、
図1に示すように、調理器本体8の内部中央に設けられた加熱庫17を有している。前面パネル8Pの中央には、グリル扉17Mが配置されている。加熱庫17は、グリル扉17Mによって閉鎖されている。そして、グリル扉17Mを引く操作によって、グリル扉17Mに連結された図示しないグリルトレーを加熱庫17から引き出すことが可能となっている。
【0057】
図示は省略するが、加熱庫17内には、複数のガスバーナと、ガスバーナを点火する点火プラグ及びイグナイタと、ガスバーナに燃料ガスを供給する燃料制御弁と、温度センサと、炎検出部とが設けられており、これらも燃焼部10を構成している。
【0058】
加熱庫17は、図示しないグリルトレー上に載置された調理容器や、グリルトレー内の焼き網に載置された被調理物等をガス燃焼により加熱して、グリル調理やオーブン調理を行う。この際、加熱制御部20は、加熱庫17の加熱出力を制御する。また、加熱庫17に対応する温度センサは、加熱庫17内の調理容器等の温度を検出し、検出結果を加熱制御部20に伝達する。
【0059】
<操作部>
操作部30は、加熱調理器1の電源のオン及びオフを切り替えるための電源スイッチ33を有している。電源スイッチ33は、前面パネル8Pにおけるグリル扉17Mよりも右方に位置する領域の右上部分に配置されている。
【0060】
また、操作部30は、左右のガスバーナ11及び加熱庫17のそれぞれについて、点火、消火及び加熱出力調整を操作するための3つの操作ダイヤル31を有している。左右のガスバーナ11用の2つの操作ダイヤル31は、前面パネル8Pにおけるグリル扉17Mよりも右方に位置する領域に配置されている。加熱庫17用の1つの操作ダイヤル31は、前面パネル8Pにおけるグリル扉17Mよりも左方に位置する領域に配置されている。
【0061】
さらに、操作部30は、各種の設定や選択入力を行うための操作ボタン32A、32B、32Cを有している。操作部30は、前面パネル8Pにおけるグリル扉17Mよりも右方に位置する領域の右下部分に配置されている。
【0062】
図2に示すように、操作部30は、モード設定部35を有している。モード設定部35は、ユーザが操作ボタン32A、32B、32Cを操作することにより、加熱制御部20が加熱調理を自動で行うための自動調理モードを設定可能である。
【0063】
自動調理モードは、例えば、高温調理モード、揚げ物温度調節機能使用モード、煮込みモード、湯沸かしモード、グリル自動運転モード等である。ユーザが複数の自動調理モードの中から所望する自動調理モードを選択する操作入力を行った場合、モード設定部35は、その選択された自動調理モードを設定して加熱制御部20に伝達する。すると、加熱制御部20は、加熱調理を実行するときに、その設定された自動調理モードで燃焼部10を制御する。モード設定部35は、後述する実施例4で利用される。
【0064】
<第1通信部>
図1に示すように、第1通信部29は、前面パネル8Pにおけるグリル扉17Mよりも右側に位置する領域の左上部分に配置されている。第1通信部29は、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信、又はWi-Fi(登録商標)等の無線通信によって、換気装置6との間で双方向通信が可能である。
【0065】
<換気装置>
換気装置6は、
図2に示すファン制御部70と、
図1及び
図2に示すファン60、表示部90、操作部80及び第2通信部79とを有している。
【0066】
<ファン>
図1に示すように、ファン60は、燃焼部10の上方に設置されており、図示しない電動モータに駆動される。ファン60は、調理容器5等の被加熱物の加熱によって発生する熱気を換気装置6の底面に設けられた導入口6Hから吸い上げ、図示しない換気ダクトを経由して屋外に排出する。
【0067】
<ファン制御部>
ファン制御部70は、CPU、ROM、RAM等を含んで構成された周知の制御回路である。ファン制御部70は、ファン60の換気開始、出力調整、換気終了等を制御したり、表示部90の表示を制御したりする。また、ファン制御部70は、操作部80がユーザから受ける操作の情報を取得する。
【0068】
また、ファン制御部70は、
図2に示すように、記憶部71を含んでいる。記憶部71は、ファン60、表示部90等を制御するための各種の制御プログラムや、各種の設定情報を記憶している。また、記憶部71は、
図3に示す表示部90の視認性維持プログラムを記憶している。
【0069】
後で詳しく説明するように、ファン制御部70は、換気装置6の電源がオンの状態で、表示部90の表示開始指示があったときに、
図3に示す表示部90の視認性維持プログラムを他の制御と同時並行的に実行し、表示部90の表示終了指示があったときに、そのプログラムを終了する。
【0070】
ファン制御部70は、図示しない電動モータへの給電電圧等を段階的に増減させることにより、ファン60の風量を複数段階で変更可能である。
【0071】
<表示部>
表示部90は、換気装置6の底面を構成しつつ前向きに庇状に延出する延出部6Aの前面の中央に設けられている。表示部90は、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等であり、文字情報、図形情報、映像等の各種情報を表示可能である。
【0072】
ファン制御部70は、表示部90を制御して、少なくともファン60の稼働情報、具体的には、ファン60が換気中であるか否かや、ファン60の風量がどの段階であるか等の情報を表示させる。また、ファン制御部70は、表示部90を制御して、調理中のユーザが所望する情報、例えば、ニュース、気象情報、調理アドバイス、連動する音楽再生機器の演奏情報等を表示させる。
【0073】
<操作部>
操作部80は、換気装置6の延出部6Aの前面における表示部90の隣に設けられている。操作部80は、換気装置6の電源のオン及びオフを切り替えるための電源スイッチ83を有している。また、操作部80は、ファン60及び表示部90を操作したり、各種の設定や選択入力を行うための操作ボタン82A、82B、82Cを有している。
【0074】
ユーザが操作ボタン82A、82B、82Cを操作することにより、ファン60の換気開始、出力調整、換気終了等の指示や、表示部90の表示開始、表示内容の切り替え、表示終了等の指示がファン制御部70に伝達される。
【0075】
<第2通信部>
図1に示すように、第2通信部79は、換気装置6の延出部6Aの前端に設けられている。第2通信部79は、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信、又はWi-Fi(登録商標)等の無線通信によって、加熱調理器1の第1通信部29との間で双方向通信が可能である。
【0076】
ファン制御部70は、第1通信部29及び第2通信部79を経由して、加熱制御部20に対して燃焼部10の運転状態等に関する情報の送信を要求し、加熱制御部20から送信される情報を取得可能である。
【0077】
例えば、ファン制御部70は、加熱制御部20から取得した情報に基づいて、燃焼部10の運転状態等がファン60の風量を大きくすべき状態か否かを判断して、ファン60の風量を調節可能である。
【0078】
また、ファン制御部70は、
図3に示す表示部90の視認性維持プログラムの実行中において、加熱制御部20から取得した情報を利用する。
【0079】
換気装置6は、ユーザが表示部90を見ながら加熱調理器1を使用するときに調理容器5等の被加熱物から油煙や湯気が発生しても表示部90の視認性を維持するため、複数の視認性維持手段、すなわち
図1及び
図2に示す気流発生手段51及び遮蔽手段52と、
図2に示す輝度変更手段53とを有している。
【0080】
<気流発生手段>
図1に示すように、気流発生手段51は、換気装置6の延出部6Aの前面において、表示部90よりも右方かつ下方の位置と、表示部90よりも左方かつ下方の位置と、に一対設けられている。
【0081】
気流発生手段51は、表示部90に到達するように斜め上方に向けて開口する複数の吐出孔を有している。また、気流発生手段51は、清浄空気誘導手段51Fを有している。
【0082】
清浄空気誘導手段51Fは、ファン制御部70に制御されて作動する小型の送風ファンと配管とによって構成されている。清浄空気誘導手段51Fは、燃焼部10から離れて油煙や湯気が存在し難い領域において清浄空気を吸入して吐出孔に誘導する。
【0083】
気流発生手段51は、ファン制御部70に制御されて、作動状態と停止状態とに切り替わる。
【0084】
気流発生手段51は、作動状態において、表示部90の視認性を維持する所定動作として、清浄空気誘導手段51Fが作動し、気流発生手段51の吐出孔から表示部90に向けて清浄空気を吐出することで、表示部90を覆う空気を表示部90から遠ざける気流を発生させる。
【0085】
その一方、気流発生手段51は、停止状態において、清浄空気誘導手段51Fが停止することで、表示部90を覆う空気を表示部90から遠ざける気流の発生を停止する。
【0086】
<遮蔽手段>
遮蔽手段52は、換気装置6の延出部6Aの前端の下面側に支持されて前後方向にスライド可能な略平板である。遮蔽手段52は、表示部90の真下に位置している。遮蔽手段52の左右方向の長さは、表示部90の左右方向の長さよりも余裕を持って大きく設定されている。
【0087】
遮蔽手段52は、ファン制御部70に制御されて作動する小型のアクチュエータ52Aに駆動されて、
図1に実線で示すように、延出部6Aの前端よりも前方に突出する位置と、
図1に二点鎖線で示すように、延出部6Aの前端よりも後退する位置と、スライドする。
【0088】
遮蔽手段52は、ファン制御部70に制御されて、作動状態と停止状態とに切り替わる。
【0089】
遮蔽手段52は、作動状態において、表示部90の視認性を維持する所定動作として、アクチュエータ52Aが作動し、遮蔽手段52が
図1に実線で示す位置まで前進することで、燃焼部10の左右のガスバーナ11から表示部90に至る最短経路R1、R2と交差するように突出する。
【0090】
その一方、遮蔽手段52は、停止状態において、アクチュエータ52Aが逆向きに作動し、遮蔽手段52が
図1に二点鎖線で示す位置まで後退することで、最短経路R1、R2から退避する。
【0091】
<輝度変更手段>
輝度変更手段53は、ファン制御部70の内部に設けられている。輝度変更手段53は、表示部90が液晶ディスプレイであればバックライトの電圧を変更したり、表示部90が有機ELディスプレイであれば有機EL素子の駆動電圧を変更したりすることにより、表示部90の輝度を変更可能である。また、輝度変更手段53は、コントラスト比、すなわち、表示部90の画面内の「白(最大輝度)」と「黒(最小輝度)」の輝度比を変更することによっても、表示部90の輝度を変更可能である。
【0092】
輝度変更手段53は、ファン制御部70に制御されて、作動状態と停止状態とに切り替わる。
【0093】
輝度変更手段53は、作動状態において、表示部90の視認性を維持する所定動作として、表示部90の輝度を高く変更する。
【0094】
その一方、輝度変更手段53は、停止状態において、表示部90の輝度を変更しない。
【0095】
<選択入力部>
図2に示すように、操作部80は、選択入力部89を有している。選択入力部89は、ユーザによる操作ボタン82A、82B、82Cの入力操作を受けて、複数の視認性維持手段、すなわち気流発生手段51、遮蔽手段52及び輝度変更手段53の中から、ユーザが利用を希望する視認性維持手段である特定視認性維持手段を選択するための入力操作を受ける。
【0096】
ユーザは、選択入力部89を利用することで、気流発生手段51、遮蔽手段52及び輝度変更手段53の内から1つを特定視認性維持手段として選択したり、それらの内から2つを特定視認性維持手段として選択したり、それらの全てを特定視認性維持手段として選択したりすることができる。特定視認性維持手段の情報は、記憶部71に記憶される。
【0097】
<煙センサ>
図1及び
図2に示すように、換気装置6は、調理容器5等の被加熱物から発生する油煙や湯気を検出するため、煙センサ75を有している。
【0098】
図1に示すように、煙センサ75は、換気装置6の延出部6Aの前端の下面側に設けられて、加熱調理器1の燃焼部10の上方に位置している。
【0099】
例えば、煙センサ75としては、その内部に煙が入った場合に、発光部から出る光が煙の粒子にあたって乱反射し、その乱反射を受光部で感知することにより、煙の発生度合いを検出するセンサを採用できる。また、煙センサ75としては、送光部から受光部に照射される目に見えない光ビームが煙によって遮られて光量が減少することを受光部が感知することにより、煙の発生度合いを感知するセンサを採用できる。
【0100】
煙センサ75は、本発明の「煙検出手段」の一例である。煙センサ75は、後述する実施例5で利用される。
【0101】
<撮像手段及び画像解析部>
換気装置6は、調理容器5等の被加熱物から発生する油煙や湯気を検出するため、
図1及び
図2に示す撮像手段76と、
図2に示す画像解析部77とを備えている。
【0102】
図1に示すように、撮像手段76は、換気装置6の延出部6Aの前端の下面側に設けられて、加熱調理器1の燃焼部10の上方に位置している。撮像手段76は、加熱調理器1の燃焼部10を撮像可能である。加熱調理器1は、本発明の「撮像対象」の一例である。撮像手段76は、調理容器5等の被加熱物から油煙や湯気が発生する場合、燃焼部10に重なって映る油煙や湯気も撮像可能である。
【0103】
図2に示すように、画像解析部77は、ファン制御部70の内部に設けられている。画像解析部77は、撮像手段76が取得した撮像データを解析し、加熱調理器1の燃焼部10に重なって映る油煙又は湯気を識別して、油煙又は湯気の発生度合いを導出する。
【0104】
撮像手段76及び画像解析部77も、本発明の「煙検出手段」の一例である。撮像手段76及び画像解析部77は、後述する実施例6で利用される。
【0105】
<湿度センサ>
図1及び
図2に示すように、換気装置6は、加熱調理器1の周辺の湿度を検出してファン制御部70に伝達する湿度センサ74を有している。
【0106】
図1に示すように、湿度センサ74は、換気装置6の延出部6Aの前端の下面側に設けられて、加熱調理器1の燃焼部10の上方に位置している。
【0107】
湿度センサ74としては、抵抗変化型湿度センサ、静電容量変化型湿度センサ等の周知の湿度センサを採用できる。湿度センサ74は、本発明の「湿度検出手段」の一例である。湿度センサ74は、後述する実施例7で利用される。
【0108】
<におい検出手段>
図1及び
図2に示すように、換気装置6は、加熱調理器1の周辺のにおいの程度を検出してファン制御部70に伝達するにおい検出手段73を有している。
【0109】
図1に示すように、におい検出手段73は、換気装置6の延出部6Aの前端の下面側に設けられて、加熱調理器1の燃焼部10の上方に位置している。
【0110】
におい検出手段73は、第1ガスの濃度を検出する第1ガスセンサ、第2ガスの濃度を検出する第2ガスセンサ、及び第3ガスの濃度を検出する第3ガスセンサ、がユニット化されてなる。
【0111】
第1~第3ガスは、調理容器5等の被加熱物から発生する油煙や湯気に含まれる可能性が高い複数のガス成分の中から適宜選択される。第1~第3ガスセンサとしては、半導体式ガスセンサ、電気化学式ガスセンサ等の周知のガスセンサを採用できる。におい検出手段73は、後述する実施例8で利用される。
【0112】
<表示部の視認性維持プログラム>
ファン制御部70は、換気装置6の電源がオンの状態で、表示部90の表示開始指示があったときに、表示部90の表示制御と同時並行的に、
図3に示す表示部90の視認性維持プログラムを開始する。
【0113】
初めに、ファン制御部70はステップS101において、特定視認性維持手段の情報を記憶部71から読み出す。
【0114】
次に、ファン制御部70はステップS102に移行し、気流発生手段51、遮蔽手段52及び輝度変更手段53の中から特定視認性維持手段として選択されたものを停止状態で待機させる。
【0115】
次に、ファン制御部70はステップS103に移行し、第2通信部79及び第1通信部29を経由して加熱制御部20との間で通信を行う。ファン制御部70は、この通信において、加熱制御部20に対し、温度センサ11Dが検出した調理容器5等の被加熱物の検出温度ST1の送信を要求する。
【0116】
温度センサ11Dが検出した検出温度ST1は、少なくとも加熱調理器1の使用状況を反映し、かつ表示部90の視認性に影響を与え得る影響要因の具体例である燃焼部10の運転状態の一例である。
【0117】
加熱制御部20は、燃焼部10を制御して加熱調理を開始すると、ファン制御部70からの要求に応じて、温度センサ11Dが検出した検出温度ST1を第1通信部29及び第2通信部79を経由してファン制御部70に送信する。
【0118】
次に、ファン制御部70はステップS104に移行し、温度センサ11Dが検出した検出温度ST1を受信したか否かを判断する。
【0119】
ファン制御部70は、加熱制御部20から検出温度ST1を受信した場合、ステップS104において「Yes」となるので、ステップS105に移行する。
【0120】
その一方、ファン制御部70は、加熱制御部20から検出温度ST1を受信しない場合、ステップS104を繰り返す。
【0121】
ステップS104からステップS105に移行すると、ファン制御部70は、検出温度ST1が第1閾値G1以上であるか否かを判断する。
【0122】
ステップS105において「Yes」の場合、ファン制御部70は、調理容器5等の被加熱物から油煙や湯気が大量に発生し易い状況であると予測し、ステップS106に移行する。そして、ファン制御部70は、気流発生手段51、遮蔽手段52及び輝度変更手段53の中から特定視認性維持手段として選択されたものについて、既に作動状態であればその状態を維持し、停止状態であれば作動状態に切り替える。その後、ファン制御部70は、ステップS108に移行する。
【0123】
検出温度ST1が第1閾値G1以上であるとき、すなわち、ステップS105において「Yes」となるときは、本発明の「所定の条件」の一例である。
【0124】
気流発生手段51は、ステップS106において作動状態に切り替わった場合、吐出孔から表示部90に向けて気流を発生させることで、表示部90を覆う油煙や湯気を表示部90から遠ざける。
【0125】
遮蔽手段52は、ステップS106において作動状態に切り替わった場合、
図1に実線で示すように、燃焼部10から表示部90に至る最短経路R1、R2と交差するように突出することで、油煙や湯気を遮蔽手段52から迂回するように上昇させて、表示部90から遠ざける。
【0126】
輝度変更手段53は、ステップS106において作動状態に切り替わった場合、表示部90の輝度を高く変更することで、表示部90が発した光について、調理容器5等の被加熱物から発生する油煙や湯気を透過し易くし、ユーザに到達し易くする。
【0127】
ステップS105において「No」の場合、ファン制御部70は、調理容器5等の被加熱物から油煙や湯気が大量に発生し易い状況ではないと予測し、ステップS107に移行する。そして、ファン制御部70は、気流発生手段51、遮蔽手段52及び輝度変更手段53の中から特定視認性維持手段として選択されたものについて、既に停止状態であればその状態を維持し、作動状態であれば停止状態に切り替える。その後、ファン制御部70は、ステップS108に移行する。
【0128】
ステップS106又はステップS107からステップS108に移行すると、ファン制御部70は、表示部90の表示終了指示があったか否かを判断する。
【0129】
ステップS108において「No」の場合、ファン制御部70はステップS104~S108を繰り返す。
【0130】
その一方、ステップS108において「Yes」の場合、ファン制御部70はステップS109に移行し、気流発生手段51、遮蔽手段52及び輝度変更手段53の中から特定視認性維持手段として選択されたものについて、既に停止状態であればその状態を維持し、作動状態であれば停止状態に切り替える。
【0131】
次に、ファン制御部70はステップS110に移行し、第2通信部79及び第1通信部29を経由して加熱制御部20との間で通信を行う。ファン制御部70は、この通信において、加熱制御部20に対し、温度センサ11Dが検出した調理容器5等の被加熱物の検出温度ST1の送信の停止を指示する。その後、ファン制御部70は、このプログラムを終了する。
【0132】
<作用効果>
実施例1の加熱調理システム100において、ファン制御部70は、表示部90の表示制御と同時並行的に、
図3に示す表示部90の視認性維持プログラムを実行する。
【0133】
そして、ファン制御部70は、ステップS105において、影響要因に応じて、具体的には、燃焼部10の運転状態の一例である温度センサ11Dが検出した検出温度ST1に応じて、気流発生手段51、遮蔽手段52及び輝度変更手段53の中から特定視認性維持手段として選択されたものを停止状態と作動状態とに切り替える。
【0134】
これにより、換気装置6の外側に油煙や湯気が溢れ出て表示部90を覆う可能性が高い場合に、ステップS105において「Yes」となってステップS106に移行し、気流発生手段51、遮蔽手段52及び輝度変更手段53の中から特定視認性維持手段として選択されたものが作動状態に切り替わって表示部90の視認性を維持する所定動作を行うので、表示部90が油煙や湯気に覆われ難い。
【0135】
したがって、実施例1の加熱調理システム100では、調理容器5等の被加熱物から発生する油煙や湯気によって表示部90の視認性が低下することを抑制できる。
【0136】
また、この加熱調理システム100において、換気装置6は、視認性維持手段としての気流発生手段51を有している。そして、作動状態に切り替わった気流発生手段51が発生させる気流によって、調理容器5等の被加熱物から発生する油煙や湯気を表示部90から遠ざけることができる。その結果、この加熱調理システム100では、調理容器5等の被加熱物から発生する油煙や湯気によって表示部90の視認性が低下することを確実性高く抑制できる。
【0137】
さらに、この加熱調理システム100において、換気装置6は、視認性維持手段としての遮蔽手段52を有している。そして、作動状態に切り替わった遮蔽手段52が最短経路R1、R2と交差するように突出することによって、調理容器5等の被加熱物から発生する油煙や湯気を遮蔽手段52から迂回するように上昇させて、表示部90から遠ざけることができる。その結果、この加熱調理システム100では、調理容器5等の被加熱物から発生する油煙や湯気によって表示部90の視認性が低下することを確実性高く抑制できる。
【0138】
また、この加熱調理システム100において、換気装置6は、視認性維持手段としての輝度変更手段53を有している。そして、作動状態に切り替わった輝度変更手段53が表示部90の輝度を高く変更することによって、表示部90が発した光が調理容器5等の被加熱物から発生する油煙や湯気を透過し易くなり、ユーザに到達し易くなる。その結果、この加熱調理システム100では、調理容器5等の被加熱物から発生する油煙や湯気によって表示部90の視認性が低下することを確実性高く抑制できる。
【0139】
さらに、この加熱調理システム100において、影響要因は、燃焼部10の運転状態である。そして、ファン制御部70は、加熱制御部20との間の通信によって取得した燃焼部10の運転状態が所定の条件を満たしたときに、気流発生手段51、遮蔽手段52及び輝度変更手段53の中から特定視認性維持手段として選択されたものを停止状態から作動状態に切り替える。この構成により、ファン制御部70は、燃焼部10の運転状態に基づいて、調理容器5等の被加熱物から油煙や湯気が大量に発生し易い状況か否かを精度良く予測できる。その結果、この加熱調理システム100では、調理容器5等の被加熱物から発生する油煙や湯気によって表示部90の視認性が低下することを確実性高く抑制できる。
【0140】
また、この加熱調理システム100において、燃焼部10の運転状態は、温度センサ11Dが検出した調理容器5等の被加熱物の検出温度ST1である。そして、所定の条件は、検出温度ST1が第1閾値G1以上であるときである。この構成により、ファン制御部70は、温度センサ11Dが検出した調理容器5等の被加熱物の検出温度ST1と、第1閾値G1とに基づいて、調理容器5等の被加熱物から油煙や湯気が大量に発生し易い状況か否かを一層精度良く予測できる。その結果、この加熱調理システム100では、調理容器5等の被加熱物から発生する油煙や湯気によって表示部90の視認性が低下することを確実性高く抑制できる。
【0141】
さらに、この加熱調理システム100において、換気装置6は、複数の視認性維持手段、すなわち気流発生手段51、遮蔽手段52及び輝度変更手段53の中から特定視認性維持手段を選択するための入力操作を受ける選択入力部89を有している。そして、ファン制御部70は、影響要因に応じて、特定視認性維持手段を停止状態と作動状態とに切り替える。このような選択入力部89により、ユーザが望むように表示部90の視認性を維持できるので、ユーザの快適性を向上させることができる。
【0142】
(実施例2)
実施例2の加熱調理システムでは、ファン制御部70は、換気装置6の電源がオンの状態で、表示部90の表示開始指示があったときに、表示部90の表示制御と同時並行的に、
図4に示す表示部90の視認性維持プログラムを開始する。
【0143】
実施例2のその他の構成は、実施例1と同様である。このため、実施例1と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略又は簡略する。
【0144】
初めに、ファン制御部70は、ステップS201~S204を実行した後、ステップS205に移行する。ステップS201~S204の処理内容は、
図3に示すステップS101~S104の処理内容と同じであるので、説明は省略する。
【0145】
実施例2においても、温度センサ11Dが検出した検出温度ST1は、少なくとも加熱調理器1の使用状況を反映し、かつ表示部90の視認性に影響を与え得る影響要因の具体例である燃焼部10の運転状態の一例である。
【0146】
ファン制御部70は、ステップS204からステップS205に移行すると、検出温度ST1が第1時間T1以上、平衡状態であるか否かを判断する。ここで、平衡状態とは、温度の変化が所定の極小値以下の状態であって、実質的に一定温度を維持する状態である。
【0147】
ステップS205において「Yes」の場合、ファン制御部70は、調理容器5内の水等の被加熱物が沸騰して湯気が大量に発生し易くなったり、調理容器5等の被加熱物の焦げ付きによる煙が大量に発生し易くなったりする状況であると予測し、ステップS206に移行する。そして、ファン制御部70は、気流発生手段51、遮蔽手段52及び輝度変更手段53の中から特定視認性維持手段として選択されたものについて、既に作動状態であればその状態を維持し、停止状態であれば作動状態に切り替える。その後、ファン制御部70は、ステップS208に移行する。
【0148】
検出温度ST1が第1時間T1以上、平衡状態であるとき、すなわち、ステップS205において「Yes」となるときは、本発明の「所定の条件」の一例である。
【0149】
ステップS205において「No」の場合、ファン制御部70は、調理容器5内の水等の被加熱物が沸騰して湯気が大量に発生し易くなったり、調理容器5等の被加熱物の焦げ付きによる煙が大量に発生し易くなったりする状況ではないと予測し、ステップS207に移行する。そして、ファン制御部70は、気流発生手段51、遮蔽手段52及び輝度変更手段53の中から特定視認性維持手段として選択されたものについて、既に停止状態であればその状態を維持し、作動状態であれば停止状態に切り替える。その後、ファン制御部70は、ステップS208に移行する。
【0150】
ステップS206又はステップS207からステップS208に移行すると、ファン制御部70は、表示部90の表示終了指示があったか否かを判断する。
【0151】
ステップS208において「No」の場合、ファン制御部70はステップS204~S208を繰り返す。
【0152】
その一方、ステップS208において「Yes」の場合、ファン制御部70はステップS209、S210を実行する。ステップS209、S210の処理内容は、
図3に示すステップS109、S110の処理内容と同じであるので、説明は省略する。その後、ファン制御部70は、このプログラムを終了する。
【0153】
<作用効果>
実施例2の加熱調理システムでは、ファン制御部70は、
図4に示す表示部90の視認性維持プログラムを実行することにより、影響要因に応じて、具体的には、燃焼部10の運転状態の一例である温度センサ11Dが検出した検出温度ST1に応じて、気流発生手段51、遮蔽手段52及び輝度変更手段53の中から特定視認性維持手段として選択されたものを停止状態と作動状態とに切り替える。
【0154】
ここで、気流発生手段51、遮蔽手段52及び輝度変更手段53の中から特定視認性維持手段として選択されたものを停止状態から作動状態に切り替えるための所定の条件は、検出温度ST1が第1時間T1以上、平衡状態になったときである。
【0155】
この構成により、ファン制御部70は、温度センサ11Dが検出した調理容器5等の被加熱物の検出温度ST1と、平衡状態に対応して設定される第1時間T1とに基づいて、調理容器5内の水等の被加熱物が沸騰して湯気が大量に発生し易くなったり、調理容器5等の被加熱物の焦げ付きによる煙が大量に発生し易くなったりする状況か否かを精度良く予測できる。その結果、この加熱調理システムでは、調理容器5等の被加熱物から発生する油煙や湯気によって表示部90の視認性が低下することを確実性高く抑制できる。
【0156】
(実施例3)
実施例3の加熱調理システムでは、ファン制御部70は、換気装置6の電源がオンの状態で、表示部90の表示開始指示があったときに、表示部90の表示制御と同時並行的に、
図5に示す表示部90の視認性維持プログラムを開始する。
【0157】
実施例3のその他の構成は、実施例1と同様である。このため、実施例1と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略又は簡略する。
【0158】
初めに、ファン制御部70は、ステップS301、S302を実行した後、ステップS303に移行する。ステップS301、S302の処理内容は、
図3に示すステップS101、S102の処理内容と同じであるので、説明は省略する。
【0159】
ファン制御部70は、ステップS302からステップS303に移行すると、第2通信部79及び第1通信部29を経由して加熱制御部20との間で通信を行う。ファン制御部70は、この通信において、加熱制御部20に対し、燃焼部10のガスバーナ11等の加熱出力HP1の送信を要求する。
【0160】
燃焼部10の加熱出力HP1は、少なくとも加熱調理器1の使用状況を反映し、かつ表示部90の視認性に影響を与え得る影響要因の具体例である燃焼部10の運転状態の一例である。
【0161】
加熱制御部20は、燃焼部10を制御して加熱調理を開始すると、ファン制御部70からの要求に応じて、燃焼部10の加熱出力HP1を第1通信部29及び第2通信部79を経由してファン制御部70に送信する。
【0162】
次に、ファン制御部70はステップS304に移行し、燃焼部10の加熱出力HP1を受信したか否かを判断する。
【0163】
ファン制御部70は、加熱制御部20から加熱出力HP1を受信した場合、ステップS304において「Yes」となるので、ステップS305に移行する。
【0164】
その一方、ファン制御部70は、加熱制御部20から加熱出力HP1を受信しない場合、ステップS304を繰り返す。
【0165】
ステップS304からステップS305に移行すると、ファン制御部70は、加熱出力HP1が第2閾値G2以上で、第2時間T2以上継続されたか否かを判断する。
【0166】
ステップS305において「Yes」の場合、ファン制御部70は、調理容器5内の水等の被加熱物が沸騰して湯気が大量に発生し易くなったり、調理容器5内の揚げ油等の被加熱物が過熱されて油煙が発生し易くなったり、調理容器5等の被加熱物の焦げ付きによる煙が大量に発生し易くなったりする状況であると予測し、ステップS306に移行する。そして、ファン制御部70は、気流発生手段51、遮蔽手段52及び輝度変更手段53の中から特定視認性維持手段として選択されたものについて、既に作動状態であればその状態を維持し、停止状態であれば作動状態に切り替える。その後、ファン制御部70は、ステップS308に移行する。
【0167】
加熱出力HP1が第2閾値G2以上で、第2時間T2以上継続されたとき、すなわち、ステップS305において「Yes」となるときは、本発明の「所定の条件」の一例である。
【0168】
ステップS305において「No」の場合、ファン制御部70は、調理容器5内の水等の被加熱物が沸騰して湯気が大量に発生し易くなったり、調理容器5内の揚げ油等の被加熱物が過熱されて油煙が発生し易くなったり、調理容器5等の被加熱物の焦げ付きによる煙が大量に発生し易くなったりする状況ではないと予測し、ステップS307に移行する。そして、ファン制御部70は、気流発生手段51、遮蔽手段52及び輝度変更手段53の中から特定視認性維持手段として選択されたものについて、既に停止状態であればその状態を維持し、作動状態であれば停止状態に切り替える。その後、ファン制御部70は、ステップS308に移行する。
【0169】
ステップS306又はステップS307からステップS308に移行すると、ファン制御部70は、表示部90の表示終了指示があったか否かを判断する。
【0170】
ステップS308において「No」の場合、ファン制御部70はステップS304~S308を繰り返す。
【0171】
その一方、ステップS308において「Yes」の場合、ファン制御部70はステップS309に移行し、気流発生手段51、遮蔽手段52及び輝度変更手段53の中から特定視認性維持手段として選択されたものについて、既に停止状態であればその状態を維持し、作動状態であれば停止状態に切り替える。
【0172】
次に、ファン制御部70はステップS310に移行し、第2通信部79及び第1通信部29を経由して加熱制御部20との間で通信を行う。ファン制御部70は、この通信において、加熱制御部20に対し、加熱出力HP1の送信の停止を指示する。その後、ファン制御部70は、このプログラムを終了する。
【0173】
<作用効果>
実施例3の加熱調理システムでは、ファン制御部70は、
図5に示す表示部90の視認性維持プログラムを実行することにより、影響要因に応じて、具体的には、燃焼部10の運転状態の一例である燃焼部10の加熱出力HP1に応じて、気流発生手段51、遮蔽手段52及び輝度変更手段53の中から特定視認性維持手段として選択されたものを停止状態と作動状態とに切り替える。
【0174】
ここで、気流発生手段51、遮蔽手段52及び輝度変更手段53の中から特定視認性維持手段として選択されたものを停止状態から作動状態に切り替えるための所定の条件は、加熱出力HP1が第2閾値G2以上で、第2時間T2以上継続されたときである。
【0175】
この構成により、ファン制御部70は、燃焼部10の加熱出力HP1と、加熱出力HP1が高いまま長時間が経過する状況に対応して設定される第2閾値G2及び第2時間T2とに基づいて、調理容器5内の水等の被加熱物が沸騰して湯気が大量に発生し易くなったり、調理容器5内の揚げ油等の被加熱物が過熱されて油煙が発生し易くなったり、調理容器5等の被加熱物の焦げ付きによる煙が大量に発生し易くなったりする状況か否かを精度良く予測できる。その結果、この加熱調理システムでは、調理容器5等の被加熱物から発生する油煙や湯気によって表示部90の視認性が低下することを確実性高く抑制できる。
【0176】
(実施例4)
実施例4の加熱調理システムでは、ファン制御部70は、換気装置6の電源がオンの状態で、表示部90の表示開始指示があったときに、表示部90の表示制御と同時並行的に、
図6に示す表示部90の視認性維持プログラムを開始する。
【0177】
実施例4のその他の構成は、実施例1と同様である。このため、実施例1と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略又は簡略する。
【0178】
初めに、ファン制御部70は、ステップS401、S402を実行した後、ステップS403に移行する。ステップS401、S402の処理内容は、
図3に示すステップS101、S102の処理内容と同じであるので、説明は省略する。
【0179】
ファン制御部70は、ステップS402からステップS403に移行すると、第2通信部79及び第1通信部29を経由して加熱制御部20との間で通信を行う。ファン制御部70は、この通信において、加熱制御部20に対し、モード設定部35によって設定された自動調理モードに係るモード設定情報の送信を要求する。
【0180】
モード設定部35によって設定された自動調理モードに係るモード設定情報は、少なくとも加熱調理器1の使用状況を反映し、かつ表示部90の視認性に影響を与え得る影響要因の具体例である燃焼部10の運転状態の一例である。
【0181】
加熱制御部20は、燃焼部10を制御して加熱調理を開始すると、ファン制御部70からの要求に応じて、モード設定情報を第1通信部29及び第2通信部79を経由してファン制御部70に送信する。
【0182】
次に、ファン制御部70はステップS404に移行し、モード設定情報を受信したか否かを判断する。
【0183】
ファン制御部70は、加熱制御部20からモード設定情報を受信した場合、ステップS404において「Yes」となるので、ステップS405に移行する。
【0184】
その一方、ファン制御部70は、加熱制御部20からモード設定情報を受信しない場合、ステップS404を繰り返す。
【0185】
ステップS404からステップS405に移行すると、ファン制御部70は、モード設定情報が所定の自動調理モードと一致したか否かを判断する。
【0186】
ここで、所定の自動調理モードは、調理容器5等の被加熱物から油煙や湯気が大量に発生し易い状況を招くおそれがある自動調理モードとして、記憶部71に予め記憶されている。具体例としては、所定の自動調理モードは、高温調理モード、揚げ物温度調節機能使用モード、湯沸かしモード及びグリル自動運転モード等である。
【0187】
ステップS405において「Yes」の場合、ファン制御部70は、加熱調理器1において実行中の自動調理モードによって調理容器5等の被加熱物から油煙や湯気が大量に発生し易い状況であると予測し、ステップS406に移行する。そして、ファン制御部70は、気流発生手段51、遮蔽手段52及び輝度変更手段53の中から特定視認性維持手段として選択されたものについて、既に作動状態であればその状態を維持し、停止状態であれば作動状態に切り替える。その後、ファン制御部70は、ステップS408に移行する。
【0188】
モード設定情報が所定の自動調理モードと一致したとき、すなわち、ステップS405において「Yes」となるときは、本発明の「所定の条件」の一例である。
【0189】
ステップS405において「No」の場合、ファン制御部70は、加熱調理器1において実行中の自動調理モードによって調理容器5等の被加熱物から油煙や湯気が大量に発生し易い状況ではないと予測し、ステップS407に移行する。そして、ファン制御部70は、気流発生手段51、遮蔽手段52及び輝度変更手段53の中から特定視認性維持手段として選択されたものについて、既に停止状態であればその状態を維持し、作動状態であれば停止状態に切り替える。その後、ファン制御部70は、ステップS408に移行する。
【0190】
ステップS406又はステップS407からステップS408に移行すると、ファン制御部70は、表示部90の表示終了指示があったか否かを判断する。
【0191】
ステップS408において「No」の場合、ファン制御部70はステップS404~S408を繰り返す。
【0192】
その一方、ステップS408において「Yes」の場合、ファン制御部70はステップS409に移行し、気流発生手段51、遮蔽手段52及び輝度変更手段53の中から特定視認性維持手段として選択されたものについて、既に停止状態であればその状態を維持し、作動状態であれば停止状態に切り替える。
【0193】
次に、ファン制御部70はステップS410に移行し、第2通信部79及び第1通信部29を経由して加熱制御部20との間で通信を行う。ファン制御部70は、この通信において、加熱制御部20に対し、モード設定情報の送信の停止を指示する。その後、ファン制御部70は、このプログラムを終了する。
【0194】
<作用効果>
実施例4の加熱調理システムでは、ファン制御部70は、
図6に示す表示部90の視認性維持プログラムを実行することにより、影響要因に応じて、具体的には、燃焼部10の運転状態の一例であるモード設定情報に応じて、気流発生手段51、遮蔽手段52及び輝度変更手段53の中から特定視認性維持手段として選択されたものを停止状態と作動状態とに切り替える。
【0195】
ここで、気流発生手段51、遮蔽手段52及び輝度変更手段53の中から特定視認性維持手段として選択されたものを停止状態から作動状態に切り替えるための所定の条件は、モード設定情報が所定の自動調理モードと一致したときである。
【0196】
この構成により、ファン制御部70は、モード設定情報と、所定の自動調理モードとに基づいて、加熱調理器1において実行中の自動調理モードによって調理容器5等の被加熱物から油煙や湯気が大量に発生し易い状況か否かを精度良く予測できる。その結果、この加熱調理システムでは、調理容器5等の被加熱物から発生する油煙や湯気によって表示部90の視認性が低下することを確実性高く抑制できる。
【0197】
(実施例5)
実施例5の加熱調理システムでは、ファン制御部70は、換気装置6の電源がオンの状態で、表示部90の表示開始指示があったときに、表示部90の表示制御と同時並行的に、
図7に示す表示部90の視認性維持プログラムを開始する。
【0198】
実施例5のその他の構成は、実施例1と同様である。このため、実施例1と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略又は簡略する。
【0199】
初めに、ファン制御部70は、ステップS501、S502を実行した後、ステップS503に移行する。ステップS501、S502の処理内容は、
図3に示すステップS101、S102の処理内容と同じであるので、説明は省略する。
【0200】
ファン制御部70は、ステップS502からステップS503に移行すると、煙センサ75によって、油煙又は湯気の発生度合いM1を検出する。
【0201】
煙センサ75が検出した油煙又は湯気の発生度合いM1は、少なくとも加熱調理器1の使用状況を反映し、かつ表示部90の視認性に影響を与え得る影響要因の具体例である。
【0202】
次に、ファン制御部70はステップS504に移行し、油煙又は湯気の発生度合いM1が第3閾値G3以上であるか否かを判断する。
【0203】
ステップS504において「Yes」の場合、ファン制御部70は、実際に調理容器5等の被加熱物から油煙や湯気が大量に発生する状況であると判断し、ステップS506に移行する。そして、ファン制御部70は、気流発生手段51、遮蔽手段52及び輝度変更手段53の中から特定視認性維持手段として選択されたものについて、既に作動状態であればその状態を維持し、停止状態であれば作動状態に切り替える。その後、ファン制御部70は、ステップS508に移行する。
【0204】
ステップS504において「No」の場合、ファン制御部70は、実際に調理容器5等の被加熱物から油煙や湯気が大量に発生する状況ではないと判断し、ステップS507に移行する。そして、ファン制御部70は、気流発生手段51、遮蔽手段52及び輝度変更手段53の中から特定視認性維持手段として選択されたものについて、既に停止状態であればその状態を維持し、作動状態であれば停止状態に切り替える。その後、ファン制御部70は、ステップS508に移行する。
【0205】
ステップS506又はステップS507からステップS508に移行すると、ファン制御部70は、表示部90の表示終了指示があったか否かを判断する。
【0206】
ステップS508において「No」の場合、ファン制御部70はステップS503~S508を繰り返す。
【0207】
その一方、ステップS508において「Yes」の場合、ファン制御部70はステップS509に移行し、気流発生手段51、遮蔽手段52及び輝度変更手段53の中から特定視認性維持手段として選択されたものについて、既に停止状態であればその状態を維持し、作動状態であれば停止状態に切り替える。その後、ファン制御部70は、このプログラムを終了する。
【0208】
<作用効果>
実施例5の加熱調理システムでは、ファン制御部70は、
図7に示す表示部90の視認性維持プログラムを実行することにより、影響要因に応じて、具体的には、煙センサ75が検出した油煙又は湯気の発生度合いM1に応じて、気流発生手段51、遮蔽手段52及び輝度変更手段53の中から特定視認性維持手段として選択されたものを停止状態と作動状態とに切り替える。
【0209】
より詳しくは、ファン制御部70は、発生度合いM1が第3閾値G3以上であるときに、気流発生手段51、遮蔽手段52及び輝度変更手段53の中から特定視認性維持手段として選択されたものを停止状態から作動状態に切り替える。
【0210】
この構成により、ファン制御部70は、煙センサ75が検出した油煙又は湯気の発生度合いM1と、第3閾値G3とに基づいて、実際に調理容器5等の被加熱物から油煙や湯気が大量に発生する状況か否かを精度良く判断できる。その結果、この加熱調理システムでは、調理容器5等の被加熱物から発生する油煙や湯気によって表示部90の視認性が低下することを確実性高く抑制できる。
【0211】
(実施例6)
実施例6の加熱調理システムでは、ファン制御部70は、換気装置6の電源がオンの状態で、表示部90の表示開始指示があったときに、表示部90の表示制御と同時並行的に、
図8に示す表示部90の視認性維持プログラムを開始する。
【0212】
実施例6のその他の構成は、実施例1と同様である。このため、実施例1と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略又は簡略する。
【0213】
初めに、ファン制御部70は、ステップS601、S602を実行した後、ステップS603に移行する。ステップS601、S602の処理内容は、
図3に示すステップS101、S102の処理内容と同じであるので、説明は省略する。
【0214】
ファン制御部70は、ステップS602からステップS603に移行すると、撮像手段76によって、加熱調理器1の燃焼部10を撮像する。この際、調理容器5等の被加熱物から油煙や湯気が発生していれば、撮像手段76は、燃焼部10に重なって映る油煙や湯気も撮像する。
【0215】
次に、ファン制御部70は、ステップS604に移行し、画像解析部77によって、撮像手段76が取得した撮像データを解析し、次に、加熱調理器1の燃焼部10に重なって映る油煙や湯気を識別し、最後に、油煙又は湯気の発生度合いM2を導出する。
【0216】
発生度合いM2は、例えば、撮像対象の何%を油煙又は湯気が覆っているかや、撮像対象の不明瞭の程度がどの程度か、等の情報を数値化したものである。また、油煙又は湯気が全く発生していない場合に撮像手段76が取得した撮像データを基準画像として記憶部71に予め記憶しておき、発生度合いM2を導出するときに、その基準画像と比較することで、発生度合いM2の精度を向上させることができる。
【0217】
撮像手段76及び画像解析部77によって導出された油煙又は湯気の発生度合いM2は、少なくとも加熱調理器1の使用状況を反映し、かつ表示部90の視認性に影響を与え得る影響要因の具体例である。
【0218】
次に、ファン制御部70はステップS605に移行し、油煙又は湯気の発生度合いM2が第3閾値G3以上であるか否かを判断する。
【0219】
ステップS605において「Yes」の場合、ファン制御部70は、実際に調理容器5等の被加熱物から油煙や湯気が大量に発生する状況であると判断し、ステップS606に移行する。そして、ファン制御部70は、気流発生手段51、遮蔽手段52及び輝度変更手段53の中から特定視認性維持手段として選択されたものについて、既に作動状態であればその状態を維持し、停止状態であれば作動状態に切り替える。その後、ファン制御部70は、ステップS608に移行する。
【0220】
ステップS605において「No」の場合、ファン制御部70は、実際に調理容器5等の被加熱物から油煙や湯気が大量に発生する状況ではないと判断し、ステップS607に移行する。そして、ファン制御部70は、気流発生手段51、遮蔽手段52及び輝度変更手段53の中から特定視認性維持手段として選択されたものについて、既に停止状態であればその状態を維持し、作動状態であれば停止状態に切り替える。その後、ファン制御部70は、ステップS608に移行する。
【0221】
ステップS606又はステップS607からステップS608に移行すると、ファン制御部70は、表示部90の表示終了指示があったか否かを判断する。
【0222】
ステップS608において「No」の場合、ファン制御部70はステップS603~S608を繰り返す。
【0223】
その一方、ステップS608において「Yes」の場合、ファン制御部70はステップS609に移行し、気流発生手段51、遮蔽手段52及び輝度変更手段53の中から特定視認性維持手段として選択されたものについて、既に停止状態であればその状態を維持し、作動状態であれば停止状態に切り替える。その後、ファン制御部70は、このプログラムを終了する。
【0224】
<作用効果>
実施例6の加熱調理システムでは、ファン制御部70は、
図8に示す表示部90の視認性維持プログラムを実行することにより、影響要因に応じて、具体的には、撮像手段76及び画像解析部77によって導出された油煙又は湯気の発生度合いM2に応じて、気流発生手段51、遮蔽手段52及び輝度変更手段53の中から特定視認性維持手段として選択されたものを停止状態と作動状態とに切り替える。
【0225】
より詳しくは、ファン制御部70は、発生度合いM2が第3閾値G3以上であるときに、気流発生手段51、遮蔽手段52及び輝度変更手段53の中から特定視認性維持手段として選択されたものを停止状態から作動状態に切り替える。
【0226】
この構成により、ファン制御部70は、撮像手段76及び画像解析部77によって導出された油煙又は湯気の発生度合いM2と、第3閾値G3とに基づいて、実際に調理容器5等の被加熱物から油煙や湯気が大量に発生する状況か否かを一層精度良く判断できる。その結果、この加熱調理システムでは、調理容器5等の被加熱物から発生する油煙や湯気によって表示部90の視認性が低下することを一層確実性高く抑制できる。
【0227】
(実施例7)
実施例7の加熱調理システムでは、ファン制御部70は、換気装置6の電源がオンの状態で、表示部90の表示開始指示があったときに、表示部90の表示制御と同時並行的に、
図9に示す表示部90の視認性維持プログラムを開始する。
【0228】
実施例7のその他の構成は、実施例1と同様である。このため、実施例1と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略又は簡略する。
【0229】
初めに、ファン制御部70は、ステップS701、S702を実行した後、ステップS703に移行する。ステップS701、S702の処理内容は、
図3に示すステップS101、S102の処理内容と同じであるので、説明は省略する。
【0230】
ファン制御部70は、ステップS702からステップS703に移行すると、湿度センサ74によって、加熱調理器1の上方における湿度H1を検出する。
【0231】
湿度センサ74が検出した湿度H1は、少なくとも加熱調理器1の使用状況を反映し、かつ表示部90の視認性に影響を与え得る影響要因の具体例である。
【0232】
次に、ファン制御部70はステップS704に移行し、湿度H1が第4閾値G4以上であるか否かを判断する。
【0233】
ステップS704において「Yes」の場合、ファン制御部70は、調理容器5等の被加熱物から油煙や湯気のうちの特に湯気が大量に発生し易い状況であると予測し、ステップS706に移行する。そして、ファン制御部70は、気流発生手段51、遮蔽手段52及び輝度変更手段53の中から特定視認性維持手段として選択されたものについて、既に作動状態であればその状態を維持し、停止状態であれば作動状態に切り替える。その後、ファン制御部70は、ステップS708に移行する。
【0234】
ステップS704において「No」の場合、ファン制御部70は、調理容器5等の被加熱物から油煙や湯気のうちの特に湯気が大量に発生し易い状況ではないと予測し、ステップS707に移行する。そして、ファン制御部70は、気流発生手段51、遮蔽手段52及び輝度変更手段53の中から特定視認性維持手段として選択されたものについて、既に停止状態であればその状態を維持し、作動状態であれば停止状態に切り替える。その後、ファン制御部70は、ステップS708に移行する。
【0235】
ステップS706又はステップS707からステップS708に移行すると、ファン制御部70は、表示部90の表示終了指示があったか否かを判断する。
【0236】
ステップS708において「No」の場合、ファン制御部70はステップS703~S708を繰り返す。
【0237】
その一方、ステップS708において「Yes」の場合、ファン制御部70はステップS709に移行し、気流発生手段51、遮蔽手段52及び輝度変更手段53の中から特定視認性維持手段として選択されたものについて、既に停止状態であればその状態を維持し、作動状態であれば停止状態に切り替える。その後、ファン制御部70は、このプログラムを終了する。
【0238】
<作用効果>
実施例7の加熱調理システムでは、ファン制御部70は、
図9に示す表示部90の視認性維持プログラムを実行することにより、影響要因に応じて、具体的には、湿度センサ74が検出した湿度H1に応じて、気流発生手段51、遮蔽手段52及び輝度変更手段53の中から特定視認性維持手段として選択されたものを停止状態と作動状態とに切り替える。
【0239】
より詳しくは、ファン制御部70は、湿度H1が第4閾値G4以上であるときに、気流発生手段51、遮蔽手段52及び輝度変更手段53の中から特定視認性維持手段として選択されたものを停止状態から作動状態に切り替える。
【0240】
この構成により、ファン制御部70は、湿度センサ74が検出した湿度H1と、第4閾値G4とに基づいて、調理容器5等の被加熱物から油煙や湯気のうちの特に湯気が大量に発生し易い状況か否かを精度良く予測できる。その結果、この加熱調理システムでは、調理容器5等の被加熱物から発生する油煙や湯気によって表示部90の視認性が低下することを確実性高く抑制できる。
【0241】
(実施例8)
実施例8の加熱調理システムでは、ファン制御部70は、換気装置6の電源がオンの状態で、表示部90の表示開始指示があったときに、表示部90の表示制御と同時並行的に、
図10に示す表示部90の視認性維持プログラムを開始する。
【0242】
実施例8のその他の構成は、実施例1と同様である。このため、実施例1と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略又は簡略する。
【0243】
初めに、ファン制御部70は、ステップS801、S802を実行した後、ステップS803に移行する。ステップS801、S802の処理内容は、
図3に示すステップS101、S102の処理内容と同じであるので、説明は省略する。
【0244】
ファン制御部70は、ステップS802からステップS803に移行すると、におい検出手段73によって、加熱調理器1の周辺におけるにおいの程度を検出する。
【0245】
具体的には、におい検出手段73は、第1ガスセンサによって第1ガスの濃度C1を検出し、第2ガスセンサによって第2ガスの濃度C2を検出し、第3ガスセンサによって第3ガスの濃度C3を検出する。
【0246】
におい検出手段73が検出したにおいの程度、具体的には、第1~第3ガスセンサが検出した第1~第3ガスの濃度C1、C2、C3は、少なくとも加熱調理器1の使用状況を反映し、かつ表示部90の視認性に影響を与え得る影響要因の具体例である。
【0247】
次に、ファン制御部70はステップS804に移行し、第1ガスの濃度C1が濃度閾値G51以上であるか否かを判断する。濃度閾値G51は、本発明の「第5閾値」の一例である。
【0248】
ステップS804において「Yes」の場合、ファン制御部70は、調理容器5等の被加熱物から油煙や湯気が大量に発生し易い状況であると予測し、ステップS807に移行する。そして、ファン制御部70は、気流発生手段51、遮蔽手段52及び輝度変更手段53の中から特定視認性維持手段として選択されたものについて、既に作動状態であればその状態を維持し、停止状態であれば作動状態に切り替える。その後、ファン制御部70は、ステップS809に移行する。
【0249】
ステップS804において「No」の場合、ファン制御部70はステップS805に移行し、第2ガスの濃度C2が濃度閾値G52以上であるか否かを判断する。濃度閾値G52も、本発明の「第5閾値」の一例である。
【0250】
ステップS805において「Yes」の場合、ファン制御部70は、調理容器5等の被加熱物から油煙や湯気が大量に発生し易い状況であると予測し、ステップS807に移行する。ステップS807の処理内容は上述した通りである。その後、ファン制御部70は、ステップS809に移行する。
【0251】
ステップS805において「No」の場合、ファン制御部70はステップS806に移行し、第3ガスの濃度C3が濃度閾値G53以上であるか否かを判断する。濃度閾値G53も、本発明の「第5閾値」の一例である。
【0252】
ステップS806において「Yes」の場合、ファン制御部70は、調理容器5等の被加熱物から油煙や湯気が大量に発生し易い状況であると予測し、ステップS807に移行する。ステップS807の処理内容は上述した通りである。その後、ファン制御部70は、ステップS809に移行する。
【0253】
ステップS806において「No」の場合、ファン制御部70は、調理容器5等の被加熱物から油煙や湯気が大量に発生し易い状況ではないと予測し、ステップS808に移行する。そして、ファン制御部70は、気流発生手段51、遮蔽手段52及び輝度変更手段53の中から特定視認性維持手段として選択されたものについて、既に停止状態であればその状態を維持し、作動状態であれば停止状態に切り替える。その後、ファン制御部70は、ステップS809に移行する。
【0254】
ステップS807又はステップS808からステップS809に移行すると、ファン制御部70は、表示部90の表示終了指示があったか否かを判断する。
【0255】
ステップS809において「No」の場合、ファン制御部70はステップS803~S809を繰り返す。
【0256】
その一方、ステップS809において「Yes」の場合、ファン制御部70はステップS810に移行し、気流発生手段51、遮蔽手段52及び輝度変更手段53の中から特定視認性維持手段として選択されたものについて、既に停止状態であればその状態を維持し、作動状態であれば停止状態に切り替える。その後、ファン制御部70は、このプログラムを終了する。
【0257】
<作用効果>
実施例8の加熱調理システムでは、ファン制御部70は、
図10に示す表示部90の視認性維持プログラムを実行することにより、影響要因に応じて、具体的には、におい検出手段73の第1~第3ガスセンサが検出した第1~第3ガスの濃度C1、C2、C3に応じて、気流発生手段51、遮蔽手段52及び輝度変更手段53の中から特定視認性維持手段として選択されたものを停止状態と作動状態とに切り替える。
【0258】
より詳しくは、ファン制御部70は、第1ガスセンサが検出した濃度C1が濃度閾値G51以上であるとき、第2ガスセンサが検出した濃度C2が濃度閾値G52以上であるとき、又は第3ガスセンサが検出した濃度C3が濃度閾値G53以上であるときに、気流発生手段51、遮蔽手段52及び輝度変更手段53の中から特定視認性維持手段として選択されたものを停止状態から作動状態に切り替える。
【0259】
この構成により、ファン制御部70は、におい検出手段73の第1~第3ガスセンサが検出した濃度C1、C2、C3と、濃度閾値G51、G52、G53とに基づいて、調理容器5等の被加熱物から油煙や湯気が大量に発生し易い状況か否かを精度良く予測できる。その結果、この加熱調理システムでは、調理容器5等の被加熱物から発生する油煙や湯気によって表示部90の視認性が低下することを確実性高く抑制できる。
【0260】
以上において、本発明を実施例1~8に即して説明したが、本発明は上記実施例1~8に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0261】
実施例1~8では、加熱手段がガス燃焼式の燃焼部10であるが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、加熱手段は、抵抗加熱や電磁誘導加熱等を利用した電気式でもよい。
【0262】
実施例1~4では、加熱制御部20とファン制御部70とが第1通信部29及び第2通信部79を経由して双方向通信を行うが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、加熱制御部20からファン制御部70への一方向通信が可能であり、加熱制御部20からファン制御部70に対し、一方的に燃焼部10の運転状態に係る情報を送信し、ファン制御部70がその情報を受信するだけである構成も本発明に含まれる。
【0263】
実施例1~4では、加熱制御部20とファン制御部70との間の通信が無線であるが本発明はこの構成には限定されず、加熱制御部20とファン制御部70との通信が有線であってもよい。
【0264】
実施例6では、撮像手段76の撮像対象が加熱調理器1の燃焼部10であるが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、撮像手段76の撮像対象は、表示部90であってもよいし、加熱調理器1及び表示部90であってもよい。なお、表示部90を撮像対象とする場合、撮像手段76の位置を
図1に示す位置から変更し、表示部90を撮影し易い位置に、例えば、台所における換気装置6と対向する壁等に、移動させることが好ましい。
【0265】
実施例1等では、換気装置6において、操作部80が表示部90とは別に設けられているが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、表示部90がタッチパネルであり、表示部90の表面にユーザが指で触れて操作するようになっていてもよい。
【0266】
実施例1等では、気流発生手段51が吐出孔から気流を吐出するが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、気流発生手段は、表示部の近傍で空気を吸入することにより、表示部を覆う空気を表示部から遠ざける気流を発生させてもよい。
【0267】
実施例1等では、遮蔽手段52が平板状であるが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、遮蔽手段は、V字状に屈曲してもよいし、U字状に湾曲していてもよい。
【0268】
実施例1等では、換気装置6が選択入力部89を有しているが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、換気装置が選択入力部を有していない構成も本発明に含まれる。
【0269】
実施例8では、におい検出手段73が第1~第3ガスセンサを有しているが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、におい検出手段は、1個のガスセンサを有していてもよいし、2個又は4個以上のガスセンサを有していてもよい。また、におい検出手段は、ガス成分を特定せずに臭気の強度や不快指数等を検出するにおいセンサを有していてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0270】
本発明は例えば、住宅や調理施設等に設置される加熱調理システムに利用可能である。
【符号の説明】
【0271】
100…加熱調理システム
5…被加熱物(調理容器)
10…加熱手段(燃焼部)
1…加熱調理器
60…ファン
70…ファン制御部
6…換気装置
90…表示部
51、52、53…視認性維持手段(51…気流発生手段、52…遮蔽手段、53…輝度変更手段)
R1、R2…加熱手段から表示部に至る最短経路
20…加熱制御部
11D…温度検出手段(温度センサ)
ST1…検出温度
G1…第1閾値
T1…第1時間
HP1…加熱出力
G2…第2閾値
T2…第2時間
35…モード設定部
M1、M2…油煙又は湯気の発生度合い
75…煙検出手段(煙センサ)
76、77…煙検出手段(76…撮像手段、77…画像解析部)
G3…第3閾値
1…撮像対象(加熱調理器)
H1…湿度
74…湿度検出手段(湿度センサ)
G4…第4閾値
C1、C2、C3…においの程度(C1…第1ガスの濃度、C2…第2ガスの濃度C3…第3ガスの濃度)
73…におい検出手段
G51、G52、G53…第5閾値(濃度閾値)
89…選択入力部