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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-12
(45)【発行日】2024-09-24
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/36 20060101AFI20240913BHJP
   G02F 1/1347 20060101ALI20240913BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20240913BHJP
   G09G 3/34 20060101ALI20240913BHJP
   G02F 1/133 20060101ALN20240913BHJP
【FI】
G09G3/36
G02F1/1347
G09G3/20 612U
G09G3/20 632G
G09G3/20 641Q
G09G3/20 680E
G09G3/20 680H
G09G3/34 J
G02F1/133 575
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021086185
(22)【出願日】2021-05-21
(65)【公開番号】P2022178999
(43)【公開日】2022-12-02
【審査請求日】2023-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石原 朋幸
(72)【発明者】
【氏名】原田 勉
【審査官】石本 努
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0284546(US,A1)
【文献】特開2019-158959(JP,A)
【文献】特開2020-021029(JP,A)
【文献】特開2008-122940(JP,A)
【文献】国際公開第2016/063675(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F1/133-1/1334
1/13357
1/1339-1/1341
1/1347
G09F9/00-9/46
G09G3/00-3/08
3/12
3/16-3/26
3/30
3/34-5/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素を有する第1パネルと、
前記第1パネルの板面に対して略平行に設けられた板面を有する第2パネルと、を備え、
前記第1パネルの板面及び前記第2パネルの板面は曲面を含み、
前記第1パネルで光を透過するよう制御される前記画素と対向する前記第2パネルの調光用画素にぼかし処理が適用され、
前記ぼかし処理では、外部から入力される画像信号に含まれる画素信号が示す階調値に基づいて、当該画素信号が与えられる前記画素の周囲に位置する所定範囲内に配置された前記調光用画素が光を透過するよう制御され、
前記曲面が凸部である場合、前記第1パネルで光を透過するよう制御される2つの前記画素が前記凸部に位置するとき、当該2つの前記画素同士の距離に比して、当該2つの前記画素に対応して前記ぼかし処理が適用される2つの前記所定範囲の中心同士の距離が小さく、
前記曲面が凹部である場合、前記第1パネルで光を透過するよう制御される2つの前記画素が前記凹部に位置するとき、当該2つの前記画素同士の距離に比して、当該2つの前記画素に対応して前記ぼかし処理が適用される2つの前記所定範囲の中心同士の距離が大きく、
前記凸部では、前記第1パネルの曲率が前記第2パネルの曲率よりも小さく、
前記凹部では、前記第1パネルの曲率が前記第2パネルの曲率よりも大きい、
表示装置。
【請求項2】
前記第1パネルの板面及び前記第2パネルの板面は平面を含み、
前記第1パネルで光を透過するよう制御される2つの前記画素が前記平面に位置する場合、当該2つの前記画素同士の距離と、当該2つの前記画素に対応して前記ぼかし処理が適用される2つの前記所定範囲の中心同士の距離とが等しい、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
複数の画素を有する第1パネルと、
前記第1パネルの板面に対して略平行に設けられた板面を有する第2パネルと、を備え、
前記第1パネルの板面及び前記第2パネルの板面は平面と曲面とを含み、
前記第1パネルで光を透過するよう制御される前記画素と対向する前記第2パネルの調光用画素にぼかし処理が適用され、
前記ぼかし処理では、外部から入力される画像信号に含まれる画素信号が示す階調値に基づいて、当該画素信号が与えられる前記画素の周囲に位置する所定範囲内に配置された前記調光用画素が光を透過するよう制御され、
前記曲面が凸部である場合、前記第1パネルで光を透過するよう制御される2つの前記画素のうち一方が前記凸部に位置し、他方が前記平面に位置するとき、当該2つの前記画素に対応して前記ぼかし処理が適用される2つの前記所定範囲のうち前記一方と対向する前記所定範囲が前記他方と対向する前記所定範囲よりも大きく、
前記曲面が凹部である場合、前記第1パネルで光を透過するよう制御される2つの前記画素のうち一方が前記凹部に位置し、他方が前記平面に位置するとき、当該2つの前記画素に対応して前記ぼかし処理が適用される2つの前記所定範囲のうち前記一方と対向する前記所定範囲が前記他方と対向する前記所定範囲よりも小さく、
前記凸部では、前記第1パネルの曲率が前記第2パネルの曲率よりも小さく、
前記凹部では、前記第1パネルの曲率が前記第2パネルの曲率よりも大きい、
表示装置。
【請求項4】
前記第2パネルの出力に反映される信号は、前記画像信号に対して予め定められたガンマ値に応じたガンマ補正を行った信号である、
請求項1から3のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1パネルの出力に反映される信号は、前記画像信号に対して前記第1パネルのガンマ値に応じたガンマ補正を行った信号である、
請求項1から4のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第2パネル側から前記第1パネル側に向かう光を発する発光面を有するバックライトを備え、
前記発光面は、前記第2パネルの板面に対して略平行に設けられる、
請求項1から5のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第2パネルはモノクロの液晶パネルである、
請求項1から6のいずれか一項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示パネルと光源との間に調光パネルを設けて画像のコントラストをより高める構成が知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2019/225137号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
液晶表示パネルが曲面を有する場合、調光パネルも、当該液晶パネルの板面に沿うように曲面を有するものであることが望ましい。ここで、当該液晶表示パネルにおいて光を透過するよう制御される画素の位置を単純に当該調光パネルにおける透光位置として適用すると、液晶表示パネルの曲率と調光パネルの曲率との差によって、当該画素の位置と当該透光位置とにずれが生じる場合があった。
【0005】
本開示は、上記の課題に鑑みてなされたもので、光源と、曲面を有する液晶表示パネルと、の間に設けられて当該液晶表示パネルの曲面に沿う曲面を有する調光パネルにおける透光位置がより適切な表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様による表示装置は、複数の画素を有する第1パネルと、前記第1パネルの板面に対して略平行に設けられた板面を有する第2パネルと、を備え、前記第1パネルの板面及び前記第2パネルの板面は曲面を含み、前記第1パネルで光を透過するよう制御される前記画素と対向する前記第2パネルの調光用画素にぼかし処理が適用され、前記ぼかし処理では、外部から入力される画像信号に含まれる画素信号が示す階調値に基づいて、当該画素信号が与えられる前記画素の周囲に位置する所定範囲内に配置された前記調光用画素が光を透過するよう制御され、前記曲面が凸部である場合、前記第1パネルで光を透過するよう制御される2つの前記画素が前記凸部に位置するとき、当該2つの前記画素同士の距離に比して、当該2つの前記画素に対応して前記ぼかし処理が適用される2つの前記所定範囲の中心同士の距離が小さく、前記曲面が凹部である場合、前記第1パネルで光を透過するよう制御される2つの前記画素が前記凹部に位置するとき、当該2つの前記画素同士の距離に比して、当該2つの前記画素に対応して前記ぼかし処理が適用される2つの前記所定範囲の中心同士の距離が大きく、前記凸部では、前記第1パネルの曲率が前記第2パネルの曲率よりも小さく、前記凹部では、前記第1パネルの曲率が前記第2パネルの曲率よりも大きい。
【0007】
本開示の一態様による表示装置は、複数の画素を有する第1パネルと、前記第1パネルの板面に対して略平行に設けられた板面を有する第2パネルと、を備え、前記第1パネルの板面及び前記第2パネルの板面は平面と曲面とを含み、前記第1パネルで光を透過するよう制御される前記画素と対向する前記第2パネルの調光用画素にぼかし処理が適用され、前記ぼかし処理では、外部から入力される画像信号に含まれる画素信号が示す階調値に基づいて、当該画素信号が与えられる前記画素の周囲に位置する所定範囲内に配置された前記調光用画素が光を透過するよう制御され、前記曲面が凸部である場合、前記第1パネルで光を透過するよう制御される2つの前記画素のうち一方が前記凸部に位置し、他方が前記平面に位置するとき、当該2つの前記画素に対応して前記ぼかし処理が適用される2つの前記所定範囲のうち前記一方と対向する前記所定範囲が前記他方と対向する前記所定範囲よりも大きく、前記曲面が凹部である場合、前記第1パネルで光を透過するよう制御される2つの前記画素のうち一方が前記凹部に位置し、他方が前記平面に位置するとき、当該2つの前記画素に対応して前記ぼかし処理が適用される2つの前記所定範囲のうち前記一方と対向する前記所定範囲が前記他方と対向する前記所定範囲よりも小さく、前記凸部では、前記第1パネルの曲率が前記第2パネルの曲率よりも小さく、前記凹部では、前記第1パネルの曲率が前記第2パネルの曲率よりも大きい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の実施形態の表示装置の主要構成例を示す図である。
図2図2は、画像表示パネル、調光パネル、光源装置の位置関係の一例を示す図である。
図3図3は、調光パネルの表示面側に偏光板が設けられている例を示す図である。
図4図4は、画像表示パネルの画素配列の一例を示す図である。
図5図5は、画像表示パネルの概略断面構造の一例を示す断面図である。
図6図6は、信号処理部の機能構成例を示すブロック図である。
図7図7は、空間処理の種類と、正面視及び斜視で視認される画像の状態と、空間処理の概要を示す模式図と、の関係を示す図である。
図8図8は、第1パネル、第2パネル及び光源装置の断面形状の一例を示す図である。
図9図9は、光を透過する画素と、当該画素と光軸を共有する調光用画素と、の位置関係を示す模式図である。
図10図10は、凹部と同様、ユーザから見て第1パネルが窪んで見える曲面におけるぼかし範囲の導出方法に関する事項を示す図である。
図11図11は、凸部と同様、ユーザから見て第1パネルが盛り上がっているように見える曲面におけるぼかし範囲の導出方法に関する事項を示す図である。
図12図12は、空間処理演算部の機能構成を示すブロック図である。
図13図13は、凹部を有する参考例を示す模式図である。
図14図14は、参考例において光を透過する画素の位置と、調光用画素によるぼかし処理の範囲と、の関係を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本開示の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0010】
(実施形態)
図1は、本発明の実施形態の表示装置1の主要構成例を示す図である。実施形態の表示装置1は、信号処理部10、表示部20、光源装置50、光源制御回路60及び調光部70を備える。信号処理部10は、外部の制御装置2から入力される入力信号IPに基づいた各種の出力を行い、表示部20、光源装置50及び調光部70の動作を制御する。入力信号IPは、表示装置1に画像を表示出力させるためのデータとして機能する信号であり、例えばRGB画像信号である。信号処理部10は、入力信号IPに基づいて生成された出力画像信号OPを表示部20に出力する。また、信号処理部10は、入力信号IPに基づいて生成された調光用信号DIを調光部70に出力する。また、信号処理部10は、入力信号IPが入力されると、光源装置50の点灯を制御するための光源駆動信号BLを光源制御回路60に出力する。光源制御回路60は、例えば光源装置50のドライバ回路であり、光源駆動信号BLに応じて光源装置50を動作させる。光源装置50は、発光面LAから光を発する光源を有する。実施形態では、光源制御回路60は、フレーム画像の表示タイミングに応じて光源装置50の発光面LAから一定光量の光が照射されるよう光源装置50を動作させるものとする。
【0011】
表示部20は、表示パネル30及び表示パネル駆動部40を有する。表示パネル30は、複数の画素48が設けられた表示領域OAを有する。複数の画素48は、例えばマトリクス状に配置されている。実施形態の表示パネル30は、液晶画像表示パネルである。表示パネル駆動部40は、信号出力回路41及び走査回路42を有する。信号出力回路41は、いわゆるソースドライバとして機能する回路であり、出力画像信号OPに応じて複数の画素48を駆動する。走査回路42は、いわゆるゲートドライバとして機能する回路であり、マトリクス状に配置された複数の画素48を所定行(例えば、1行)単位で走査する駆動信号を出力する。画素48は、駆動信号が出力されたタイミングで出力画像信号OPに応じた階調値の出力が行われるよう駆動される。
【0012】
調光部70は、光源装置50から照射されて表示領域OAを経て出力される光量を調節する。調光部70は、調光パネル80及び調光パネル駆動部140を有する。調光パネル80は、光の透過率を変更可能に設けられた調光領域DAを有する。調光領域DAは、表示領域OAを平面視した場合に表示領域OAに重畳する位置に配置されている。調光領域DAは、平面視で表示領域OA全体をカバーする。発光面LAは、平面視で表示領域OA全体及び調光領域DA全体をカバーする。
【0013】
図2は、表示パネル30、調光パネル80、光源装置50の位置関係の一例を示す図である。実施形態では、図2に例示するように、表示パネル30、調光パネル80、光源装置50が積層されている。具体的には、光源装置50から光が出力される照射面側に調光パネル80が積層されている。また、調光パネル80を挟んで光源装置50の反対側に表示パネル30が積層されている。光源装置50から照射された光は、調光パネル80の調光領域DAで光量を調節されて表示パネル30を照明する。表示パネル30は、光源装置50が位置する背面側から照明されて、その反対側(表示面側)に画像を表示出力する。このように、光源装置50は、表示パネル30の表示領域OAを背面から照明するバックライトとして機能する。また、実施形態では、調光パネル80は、表示パネル30と光源装置50との間に設けられている。以下、表示パネル30、調光パネル80、光源装置50が積層される方向をZ方向とする。また、Z方向に直交する2方向をX方向及びY方向とする。X方向とY方向は直交する。複数の画素48は、X方向とY方向に沿ってマトリクス状に並ぶ。
【0014】
なお、表示パネル30は、アレイ基板30aと、アレイ基板30aに対して表示面側に位置してアレイ基板30aと対向する対向基板30bとを有する。後述するように、アレイ基板30aと対向基板30bとの間には液晶層LC1が配置されている(図5参照)。アレイ基板30aの背面側には偏光板30cが設けられている。対向基板30bの表示面側には偏光板30dが設けられている。また、調光パネル80は、第1基板80aと、第1基板80aに対して表示面側に位置して第1基板80aと対向する第2基板80bとを有する。後述するように、第1基板80aと第2基板80bとの間には液晶層LC1と同様の液晶層が配置されている。第1基板80aの背面側には偏光板80cが設けられている。偏光板30cは、表示パネル30の背面側の偏光と調光パネル80の表示面側の偏光とを併せて行う。
【0015】
以下、アレイ基板30a及び対向基板30bならびにアレイ基板30aと対向基板30bとの間に挟まれた液晶層LC1を包括した構成を第1パネルP1と記載する。第1パネルP1には、アレイ基板30aと対向基板30bに積層された図示しない構成も当然含まれる。また、第1基板80a及び第2基板80bならびに第1基板80aと第2基板80bとの間に挟まれた液晶層LC1を包括した構成を第2パネルP2と記載する。第2パネルP2には、第1基板80aと第2基板80bに積層された図示しない構成も当然含まれる。
【0016】
図3は、調光パネル80の表示面側に偏光板80dが設けられている例を示す図である。図3に示すように、第2基板80bの表示面側に偏光板80dが設けられていてもよい。また、図3に示すように、偏光板30cと偏光板80dとの間に光を拡散する拡散層80eを入れてもよい。
【0017】
図4は、表示パネル30の画素配列の一例を示す図である。図4に例示するように、画素48は、例えば、第1副画素49Rと、第2副画素49Gと、第3副画素49Bとを有する。第1副画素49Rは、第1原色(例えば、赤色)を表示する。第2副画素49Gは、第2原色(例えば、緑色)を表示する。第3副画素49Bは、第3原色(例えば、青色)を表示する。このように、表示パネル30に行列状に配列された画素48は、第1の色を表示する第1副画素49R、第2の色を表示する第2副画素49G及び第3の色を表示する第3副画素49Bを含む。第1の色、第2の色及び第3の色は、第1原色、第2原色及び第3原色に限られず、補色など色が異なっていればよい。以下の説明において、第1副画素49R、第2副画素49Gと、第3副画素49Bとをそれぞれ区別する必要がない場合、副画素49という。
【0018】
画素48は、第1副画素49R、第2副画素49Gと、第3副画素49Bに加えて、さらに副画素49を有していてもよい。例えば、画素48は、第4の色を表示する第4副画素を有していてもよい。第4副画素は、第4の色(例えば、白色)を表示する。第4副画素は、同じ光源点灯量で照射された場合、第1の色を表示する第1副画素49R、第2の色を表示する第2副画素49G、第3の色を表示する第3副画素49Bよりも明るいことが好ましい。
【0019】
表示装置1は、より具体的には、透過型のカラー液晶表示装置である。図4に例示するように、表示パネル30は、カラー液晶表示パネルであり、第1副画素49Rと画像観察者との間に第1原色を通過させる第1カラーフィルタが配置され、第2副画素49Gと画像観察者との間に第2原色を通過させる第2カラーフィルタが配置され、第3副画素49Bと画像観察者との間に第3原色を通過させる第3カラーフィルタが配置されている。第1カラーフィルタ、第2カラーフィルタ及び第3カラーフィルタは、後述するフィルタ膜26に含まれる構成である。
【0020】
なお、第4副画素が設けられる場合、第4副画素と画像観察者との間にカラーフィルタが配置されていない。この場合には、第4副画素に大きな段差が生じることとなる。このため、第4副画素には、カラーフィルタの代わりに透明な樹脂層が備えられていてもよい。これにより、第4副画素に大きな段差が生じることを抑制することができる。
【0021】
信号出力回路41は、信号線DTLによって表示パネル30と電気的に接続されている。表示パネル駆動部40は、走査回路42によって、表示パネル30における副画素49を選択し、副画素49の動作(光透過率)を制御するためのスイッチング素子(例えば、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor))のオン(ON)及びオフ(OFF)を制御する。走査回路42は、走査線SCLによって表示パネル30と電気的に接続されている。
【0022】
実施形態では、複数の信号線DTLは、X方向に並ぶ。各信号線DTLは、Y方向に延出する。複数の走査線SCLは、Y方向に並ぶ。各走査線SCLは、X方向に延出する。従って、実施形態では、走査回路42から出力される駆動信号に応じて、走査線SCLを共有するようにX方向に並ぶ複数の画素48を含む画素列(ライン)単位で画素48が駆動される。以下、単にラインと記載した場合、走査線SCLを共有するようにX方向に並ぶ複数の画素48を含む画素列をさす。
【0023】
各走査線SCLの延出方向に沿う方向を水平走査方向とする。また、複数の走査線SCLの並び方向を垂直走査方向と記載する。実施形態では、X方向が水平走査方向に該当し、Y方向が垂直走査方向に該当する。
【0024】
図5は、表示パネル30の概略断面構造の一例を示す断面図である。アレイ基板30aは、ガラス基板等の画素基板21の上方に設けられたフィルタ膜26と、フィルタ膜26の上方に設けられた対向電極23と、対向電極23の上に接して設けられた絶縁膜24と、絶縁膜24の上の画素電極22と、アレイ基板30aの最上面側に設けられた第1配向膜28とを有する。対向基板30bは、ガラス基板等の対向画素基板31と、対向画素基板31の下面に設けられた第2配向膜38と、上面に設けられた偏光板35とを含む。アレイ基板30aと対向基板30bとはシール部29を介して固定されている。アレイ基板30a、対向基板30b、及びシール部29によって囲まれた空間には、液晶層LC1が封止されている。液晶層LC1は、印加される電界に応じて配向方向が変化する液晶分子を含む。液晶層LC1は、電界の状態に応じて液晶層LC1内部を通過する光を変調するものである。液晶層LC1の液晶分子の方向が、画素電極22と対向電極23との間で印加される電界によって変化し、液晶層LC1を通過する光の透過量が変化する。複数の副画素49はそれぞれ、画素電極22を有する。複数の副画素49の動作(光透過率)を個別に制御するための複数のスイッチング素子は、画素電極22と電気的に接続されている。
【0025】
調光部70は、調光パネル80と調光パネル駆動部140とを備える。実施形態の調光パネル80は、フィルタ膜26が省略されることを除いて、図5に示す表示パネル30と同様の構成である。従って、調光パネル80は、カラーフィルタの色によって区別された第1副画素49Rと第2副画素49Gと第3副画素49Bとを含む画素48(図4参照)と異なり、カラーフィルタが設けられていない複数の副画素49を含む調光用画素148を備える(図1参照)。すなわち、調光パネル80は、モノクロの液晶パネルである。
【0026】
調光パネル駆動部140が備える信号出力回路141及び走査回路142は、接続される対象が調光パネル80であることを除いて、表示パネル駆動部40と同様の構成である。図1に示す調光パネル80と調光パネル駆動部140との間の信号線ADTLは、図4を参照して説明した信号線DTLと同様の構成である。図1に示す調光パネル80と調光パネル駆動部140との間の走査線ASCLは、図4を参照して説明した走査線SCLと同様の構成である。
【0027】
実施形態では、表示領域OAにおける複数の画素48の配置と調光領域DAにおける複数の調光用画素148の配置とは同じである。従って、実施形態では、表示領域OAのX方向に並ぶ画素48の数と、調光領域DAのX方向に並ぶ調光用画素148の数と、は同じである。また、実施形態では、表示領域OAのY方向に並ぶ画素48の数と、調光領域DAのY方向に並ぶ調光用画素148の数と、は同じである。また、実施形態では、表示領域OAと調光領域DAとがX-Y平面視点で重なる。また、Z方向は、光源装置50の発光面LAから照射される光の光軸LL(図7参照)に対応する。従って、複数の画素48のうち1つと、X-Y平面視点で当該画素48と重なる位置にある1つの調光用画素148と、は、光軸LLを共有する。ただし、発光面LAから照射される光は放射状に拡散するインコヒーレント光である。従って、光軸LLに沿わない方向の光線も調光用画素148及び画素48に進入することがある。
【0028】
図6は、信号処理部10の機能構成例を示すブロック図である。信号処理部10は、第1ガンマ変換部11と、空間処理演算部12と、第2ガンマ変換部13と、を備える。
【0029】
第1ガンマ変換部11は、入力値と出力値との間でガンマ補正が必要な場合にガンマ補正処理を行う。ここでいう入力値は、入力信号IPが示すフレーム画像に含まれる各画素のRGB階調値である。また、出力値は、表示パネル30に含まれる画素48が入力値に応じた電圧で制御された場合に表示領域OAを視認するユーザが認識する画素48の明るさである。実施形態では、各RGB階調値と各画素48との1対1の関係で見た場合に入力値に応じた画素48の制御によって適切な出力値が得られるものとし、特段の補正は行われない。ただし、表示パネル30のガンマ特性によっては、第1ガンマ変換部11によるガンマ補正処理が行われる。
【0030】
実施形態では、上述の第1ガンマ変換部11に関する説明のように、1つのフレーム画像に対応する入力信号IPがある位置の画素48に対して与える画素データが示すRGB階調値(入力値)と、当該入力信号IPに基づいた出力画像信号OPが当該画素48に対して与える画素データが示すRGB階調値(出力値)と、は同一である。従って、入力値をIcとし、出力値をg0(Ic)とすると、Ic=g0(Ic)が成り立つ。また、g0(Ic)は、RGB階調値、すなわち、(R,G,B)=(α,β,γ)の形式で表せる。ここで、α,β,γは、それぞれ階調値を示す情報のビット数に対応した数値である。例えば8ビットの場合、α,β,γは、それぞれ0から255の範囲内の値を取る。
【0031】
図6に示す第2ガンマ変換部13は、調光階調値に対してガンマ補正が必要な場合にガンマ補正処理を行う。実施形態では、第2ガンマ変換部13は、調光パネル80と表示パネル30がいずれも最低階調(0)の場合と、調光パネル80と表示パネル30がいずれも最高階調(8ビットならば255)の場合との間のガンマカーブが所望のガンマカーブ(例えば、ガンマ値=2.2に対応したガンマカーブ)となるようにガンマ補正処理を行う。ガンマ補正処理で用いられる係数をg1とすると、第2ガンマ変換部13によるガンマ補正処理後の調光階調値は、g1(Icmax+A)と表せる。
【0032】
図6に示す第1ガンマ変換部11は、出力画像信号OPを表示パネル30に出力する。ここで、出力画像信号OPは、複数の画素48の各々に対する上述のg0(Ic)の集合である。表示パネル駆動部40の動作によって、各画素48がg0(Ic)に応じて駆動される。第2ガンマ変換部13は、調光用信号DIを調光パネル80に出力する。ここで、調光用信号DIは、複数の調光用画素148の各々に対する上述のg1(Icmax+A)の集合である。調光パネル駆動部140の動作によって、各調光用画素148がg1(Icmax+A)に応じて駆動される。すなわち、複数の調光用画素148の各々による光の透過の度合いが各々の調光階調値に対応するよう、調光パネル80が動作する。なお、実施形態では、1つの調光用画素148が有する複数の副画素49が全て当該1つの調光用画素148の調光階調値に対応した光の透過の度合いとなるよう駆動される。これによって、表示領域OAで入力信号IPに対応するフレーム画像が表示され、かつ、図7を参照して説明した「実施形態」の空間処理が適用された調光用画素148の制御が行われる。従って、正面視FVであっても斜視DVであっても、入力信号IPに対応したフレーム画像を十分な精度でユーザに視認させることができる。
【0033】
空間処理演算部12は、空間処理を行う。空間処理とは、調光用画素148に適用される調光階調値を、当該調光用画素148と光軸LLを共有する画素48に対する入力値及び当該画素48の周囲に配置された他の画素48に対する入力値に基づいて決定する処理である。なお、調光階調値は、調光用画素148による光の透過の度合いを示す値である。すなわち、調光用画素148に含まれる液晶層(図5に示す液晶層LC1と同様の構成)の向きを制御するために信号出力回路141から与えられる信号の電圧は、調光階調値に対応する。
【0034】
図7は、空間処理の種類と、正面視FV及び斜視DVで視認される画像の状態と、空間処理の概要を示す模式図と、の関係を示す図である。図7の模式図では、正面視FVと斜視DVとを、表示パネル30に対する目の位置及び視線の角度で示している。
【0035】
まず、空間処理が行われない場合、すなわち、図7における「空間処理」が「無し」の場合について説明する。空間処理が行われない場合とは、調光用画素148に適用される調光階調値を、当該調光用画素148と光軸LLを共有する画素48に対する入力値のみに対応させる場合である。この場合、正面視FVでは正常に画像が視認される。一方、斜視DVでは画素48と調光用画素148で共有される光軸LLと視線との不一致によって右目で視認された画像と左目で視認された画像とに視差が生じる。この視差のため、斜視DVとなる角度で表示パネル30を見るユーザは画像を二重像として認識してしまう。
【0036】
そこで、画素48が0を超えるRGB階調値に対応して光を透過するよう制御される場合に、当該画素48と光軸LLを共有する調光用画素148だけでなく当該調光用画素148の周囲に位置する他の調光用画素148にもある程度の光を透過させるようにする。すなわち、他の調光用画素148にとって「正面視FVに対する画素48と調光用画素148との光軸LL」に限らず、当該画素48の周囲に配置された他の画素48に対する入力値に基づいて光を透過させるようにする。これによって、空間処理が行われない場合に生じていた斜視DVにおける二重像の認識を抑制することができる。
【0037】
しかしながら、図7において「空間処理」が「比較例1」である場合のように、光を透過させる画素48に対する正面視FV、斜視DVの角度に対して複数の調光用画素148が光を透過させる範囲が不十分である場合、表示パネル30において画素48が点灯することで視認される画像のドットが描く線が細く見えるようになる細小化が生じる。
【0038】
また、図7において「空間処理」が「比較例2」である場合のように、光を透過させる画素48に対する正面視FV、斜視DVの角度に対して複数の調光用画素148が光を透過させる範囲が不必要に広すぎる場合、表示パネル30において画素48が点灯することで視認される画像に光暈(halo)が生じているかのように視認される。以上のように、「空間処理」が「無し」、「比較例1」又は「比較例2」である場合、画質改善の余地がある。
【0039】
そこで、実施形態では、複数の画素48の各々の階調値と、表示パネル30の視野角特性と、を考慮して複数の調光用画素148の各々の光の透過の度合いを制御する。これによって、図7における「比較例1」、「比較例2」のような状態の発生を抑制できる。すなわち、図7において「空間処理」が「実施形態」である場合のように、正面視FVでも斜視DVでも正常な画像を視認させることができる。図7では、実施形態によるぼかし範囲BLUが、正面視FVでも斜視DVでも正常な画像を視認させることができることを模式的に示している。なお、ぼかし範囲BLUは、入力信号IPに基づいて光を透過するよう制御される画素48に対応したぼかし処理において、当該画素48に到達する光を透過させるよう調光用画素148の動作を制御する目的で、平面視点で当該画素48の周囲に配置されている調光用画素148のうち、当該ぼかし処理によって調光階調値(光の透過の度合い)に加えられるプラス分が0を超える調光用画素148が配置されている範囲である。従って、ぼかし範囲BLUよりも外の範囲に位置する調光用画素148には、当然、ぼかし処理が行われても、ぼかし処理によって調光階調値(光の透過の度合い)に加えられるプラス分は生じない(0である)。すなわち、ぼかし範囲BLUの内外を区別する境界線は、入力信号IPに基づいて光を透過するよう制御される画素48に対応したぼかし処理における調光階調値(光の透過の度合い)に加えられるプラス分の有無によって決定する。
【0040】
なお、視野角とは、表示装置1の表示出力内容を視認するユーザがそれぞれ異なる輝度で点灯するよう制御される画素48の輝度差をコントラストの差として十分に認識可能な角度範囲をさす。視野角における基準角度(0度)とは、表示領域OAに対してZ方向の位置(真正面)からユーザが表示領域OAを視認する場合をさす。そして、視野角特性とは、表示パネル30で採用される液晶の駆動方式等によって決定される視野角の広さその他の表示出力内容のコントラストに関する特性である。より具体的には、視野角特性とは、表示領域OAに対してZ方向の位置からずれた位置にいるユーザが表示領域OAを視認した場合の画素48の輝度差とユーザが認識する各画素48のコントラストの差との関係によって生じる「表示領域OAを視認するユーザの表示領域OAに対する位置角度と、ユーザが認識する表示領域OAの表示出力内容(画像)のコントラストの認識との関係」である。
【0041】
図8は、第1パネルP1、第2パネルP2及び光源装置50の断面形状の一例を示す図である。図8に示すように、第1パネルP1、第2パネルP2及び光源装置50は、Y方向に直交する断面形状に湾曲形状を含む。図8では、第1パネルP1側を視認するユーザから見て第1パネルP1が窪んで見える凹部PA1と、第1パネルP1が盛り上がっているように見える凸部PA2と、を含む断面形状を例示している。また、図8では、さらに、第1パネルP1、第2パネルP2及び光源装置50が、Z方向に直交する平面に沿っている平面部PA3を含む。
【0042】
図8では、X方向の一端P0から他端PEに向かって平面部PA3、凹部PA1、凸部PA2の順に並んでいる例を示している。従って、第1パネルP1を視認するユーザ視点で、他端PE側の凸部PA2に対して、凹部PA1を境に一端P0側の平面部PA3が相対的に窪んでいるような構造として認識される。ただし、第1パネルP1、第2パネルP2及び光源装置50の断面形状は、これに限られるものでない。異なる例としては、凹部PA1と凸部PA2の相対位置関係が入れ替わっていてもよい。その場合、他端PE側の凹部PA1に対して、凸部PA2を境に平面部PA3側が相対的に盛り上がっているような構造として認識される。また、一端P0又は他端PEをX方向の中心として、図8に示す例又は上述の異なる例による構造がX方向に線対称になっている断面形状であってもよい。
【0043】
光源装置50が発する光の光軸LL1,LL2,LL3,LL4,LL5,LL6は、光源装置50における光の出射面の法線に沿う。従って、当該出射面がZ方向に直交する範囲内で光源装置50から発せられる光の光軸LL1,LL2は、Z方向に沿う。また、当該出射面がZ方向に直交しない範囲内で光源装置50から発せられる光の光軸LL3,LL4,LL5,LL6は、X方向、Y方向及びZ方向に交差する。
【0044】
光源装置50における光の出射面がZ方向に直交しない範囲内で光源装置50から発せられる光で照明される画素48と、当該画素48と光軸(例えば、光軸LL3,LL4,LL5,LL6のいずれか等)を共有する調光用画素148と、は平面視点でZ方向に重ならない。そこで、実施形態では、光源装置50における光の出射面がZ方向に直交しない範囲内で光源装置50から発せられる光で照明される画素48と、当該画素48と光軸を共有する調光用画素148との位置関係を考慮した座標管理が行われる。以下、当該座標管理を含む、画素48と調光用画素148との位置関係の考え方について、図9を参照して説明する。
【0045】
図9は、光を透過する画素48と、当該画素48と光軸を共有する調光用画素148と、の位置関係を示す模式図である。なお、後述及び図9において図示する座標Xf2,Xf3、円弧長Xdは、実際には第1パネルP1の一面の長さをさす。また、座標Xr2,座標Xr3は、実際には第2パネルP2の一面の長さをさす。図9では、これらが第1パネルP1の一面又は第2パネルP2の一面から離れた位置で図示されており、必ずしも第1パネルP1の一面又は第2パネルP2の一面の長さに忠実に対応したものでないが、これは描き分けの都合上やむをえずこのように図示されているものであり、矢印の厳密な長さに技術的な意味はない。
【0046】
図9に示す第1パネルP1及び第2パネルP2は、一端P0から境界座標Ptまでの範囲内ではZ方向に直交する平面に沿う平面部PA3を有する。一端P0は、第1パネルP1及び第2パネルP2のX方向の一端である。境界座標Ptは、一端P0よりもX方向の他端側に位置する。また、図9に示す第1パネルP1及び第2パネルP2は、境界座標PtよりもX方向の他端側に、凹部PA1と、凸部PA2と、を有する。凹部PA1における第1パネルP1及び第2パネルP2の板面は、第1パネルP1に対して光源装置50からの光の出射方向側に位置する中心点Q1を中心とした円弧状である。凸部PA2における第1パネルP1及び第2パネルP2の板面は、第2パネルP2に対して光源装置50側に位置する中心点Q2を中心とした円弧状である。凸部PA2は、凹部PA1よりも他端PE側に位置する。他端PEは、第1パネルP1及び第2パネルP2のX方向の他端である。凹部PA1は、平面部PA3と凹部PA1との間に位置する。凹部PA1と凸部PA2との境界線は、図9に示すように、Y方向に直交する断面視点で、中心点Q1と中心点Q2とを結ぶ直線Zbと重なる。また、平面部PA3と凹部PA1との境界線は、Z方向に沿い、かつ、中心点Q1を通る直線Zaと重なる。直線Zaと第1パネルP1及び第2パネルP2とが交差するX方向の位置が、上述の境界座標Ptである。
【0047】
平面部PA3内に位置する画素48である画素Laが光を透過するように制御される場合、光源装置50からの光の光軸LLaを画素Laと共有する調光用画素148である調光用画素Baを中心にぼかし処理が適用される。ここで、第1パネルP1における画素Laの座標を座標Xf1とする。また、第2パネルP2における調光用画素Baの座標を座標Xr1とする。座標Xf1は、一端P0を原点とした第1パネルP1の座標である。すなわち、座標Xf1は、入力信号IPに基づいて各画素48に与えられる画素信号に応じて光を透過するように制御される画素48ののうち、平面部PA3内に含まれる画素48のX方向の座標である。座標Xr1は、一端P0を原点とした第2パネルP2の座標である。座標Xf1と座標Xr1とは、等しい。従って、図9において、以下の式(1)が成立する。言い換えれば、平面部PA3の範囲内では、入力信号IPに基づいて各画素48に与えられる画素信号に応じて光を透過するように制御される画素48の位置と、光を透過するように制御される画素48と光軸を共有する調光用画素148の位置と、は、平面視点で重なる。
Xf1=Xr1…(1)
【0048】
凹部PA1における第1パネルP1の曲率は、中心点Q1を中心として第1パネルP1が描く円弧の径Rfdに対応する。径Rfdは、凹部PA1における中心点Q1と第1パネルP1との距離と等しい。径Rfdは、第1パネルP1の設計事項として予め定められている。
【0049】
凹部PA1における第2パネルP2の曲率は、中心点Q1を中心として第2パネルP2が描く円弧の径Rrdに対応する。径Rrdは、凹部PA1における中心点Q1と第2パネルP2との距離と等しい。また、径Rrdと径Rfdとの関係は、以下の式(2)が成立する関係である。なお、Gは、第1パネルP1の一面と第2パネルP2の一面との距離である。第1パネルP1の一面は、第1パネルP1の板面のうち、中心点Q1と対向する側の面である。第2パネルP2の一面は、第2パネルP2の板面のうち、第1パネルP1と対向する側の面である。Gは、表示装置1の設計事項として予め定められている。従って、径Rrdも、第2パネルP2の設計事項として予め定められているといえる。
Rrd=Rfd+G…(2)
【0050】
凹部PA1内に位置する画素48である画素Lbが光を透過するように制御される場合、光源装置50からの光の光軸LLbを画素Lbと共有する調光用画素148である調光用画素Bbを中心にぼかし処理が適用される。ここで、第1パネルP1における画素Lbの座標を座標Xf2とする。また、第2パネルP2における調光用画素Bbの座標を座標Xr2とする。座標Xf2は、一端P0を原点とした第1パネルP1の座標である。すなわち、座標Xf2は、入力信号IPに基づいて各画素48に与えられる画素信号に応じて光を透過するように制御される画素48ののうち、凹部PA1内に含まれる画素48のX方向の座標である。座標Xr2は、一端P0を原点とした第2パネルP2の座標である。直線Zaと光軸LLbとが形成する角度θ1は、以下の式(3)のように表せる。なお、πは円周率である。また、Xtは、平面部PA3のX方向の幅を示す。幅Xtと記載した場合、式(3)等でXtと記載されている事項をさす。幅Xtは、第1パネルP1の設計事項として予め定められている。
θ1={(Xf2-Xt)/(2π×Rfd)}×360…(3)
【0051】
上述の式(3)によって求められた角度θ1に基づいて、座標Xr2は、以下の式(4)によって導出される。
Xr2=Xt+{2π×(θ1/360)×Rrd}…(4)
【0052】
なお、中心点Q1を中心とした凹部PA1の角度範囲に対応する角度θ2は、表示装置1の設計事項として予め定められているが、以下の式(5)のように表せる。式(5)におけるXdは、凹部PA1内で第1パネルP1の一面が描く円弧の長さである。Xdは、表示装置1の設計事項として予め定められている。
θ2={Xd/(2π×Rfd)}×360…(5)
【0053】
凸部PA2における第1パネルP1の曲率は、中心点Q2を中心として第1パネルP1が描く円弧の径Rfpに対応する。径Rfpは、凸部PA2における中心点Q2と第1パネルP1の一面との距離と等しい。径Rfpは、第1パネルP1の設計事項として予め定められている。
【0054】
凸部PA2における第2パネルP2の曲率は、中心点Q2を中心として第2パネルP2が描く円弧の径Rrpに対応する。径Rrpは、凸部PA2における中心点Q2と第2パネルP2の一面との距離と等しい。また、径Rrdと径Rfdとの関係は、以下の式(6)が成立する関係である。なお、径Rrpも、第2パネルP2の設計事項として予め定められているといえる。
Rrp=Rfp-G…(6)
【0055】
凸部PA2内に位置する画素48である画素Lcが光を透過するように制御される場合、光源装置50からの光の光軸LLcを画素Lcと共有する調光用画素148である調光用画素Bcを中心にぼかし処理が適用される。ここで、第1パネルP1における画素Lcの座標を座標Xf3とする。また、第2パネルP2における調光用画素Bcの座標を座標Xr3とする。座標Xf3は、一端P0を原点とした第1パネルP1の座標である。すなわち、座標Xf3は、入力信号IPに基づいて各画素48に与えられる画素信号に応じて光を透過するように制御される画素48ののうち、凸部PA2内に含まれる画素48のX方向の座標である。座標Xr3は、一端P0を原点とした第2パネルP2の座標である。直線Zbと光軸LLcとが形成する角度θ3は、以下の式(7)のように表せる。
θ3=[{Xf3-(Xt+Xd)}/2π×Rfp]×360…(7)
【0056】
上述の式(7)によって求められた角度θ3に基づいて、座標Xr3は、以下の式(8)によって導出される。
Xr3=Xt+{2π×(θ2/360)×Rrd}+{2π×(θ3/360)×Rrp}…(8)
【0057】
第1パネルP1において光を透過させるように制御される画素48(例えば、画素La,Lb,Lc)の座標は、表示装置1に入力される入力信号IPに基づいて各画素48に与えられる画素信号に応じて決定される。また、光を透過させるように制御される画素48と光軸(例えば、光軸LLa,LLb,LLc)を共有する調光用画素148(例えば、調光用画素Ba,Bb,Bc)のX座標は、上述の式(1)から式(8)及びこれらの式に関する説明に基づいて導出される。なお、実施形態では、Y方向の座標は、画素48と調光用画素148とで共通である。このようにして導出された、光を透過させるように制御される画素48と光軸を共有する調光用画素148の各々のぼかし範囲は、各調光用画素148が位置する第2パネルP2の曲率に対応する。なお、上述の式(1)から式(8)に基づいた調光用画素148のX座標の導出は、あくまで図9に示す構成例に対応したものであって、本開示による実施形態で採用可能な第1パネルP1及び第2パネルP2の形状ならびに調光用画素148のX座標の導出のための式をこれに限定するものでない。例えば、平面部PA3がなく、第1パネルP1及び第2パネルP2の大部分又は全部が曲面状である場合、式(3)、式(4)、式(7)、式(8)におけるXtはなくなる。この場合において、仮に、式(3)、式(4)、式(7)、式(8)をそのまま適用する場合、Xtを0とすればよい。なお、平面部PA3がなかったとしても、凹部PA1及び凸部PA2のように本開示で想定する曲面は、X方向及びY方向の両方に湾曲するものでなく、X方向及びY方向の一方(例えば、X方向)に湾曲し、他方(例えば、Y方向)に沿う。従って、第1パネルP1の板面及び第2パネルP2の板面は、少なくとも1方向の直線軸を含むものでもよい。
【0058】
ここで、曲面において光を透過するよう制御される画素48が2つある場合を考える。例えば、凹部PA1において、画素Lbの位置と、径Rfdの先端が指し示す位置と、の2つの位置に光を透過するよう制御される画素48がある場合を想定する。この場合、ぼかし範囲を適用される所定範囲(図7のぼかし範囲BLU参照)の中心となる調光用画素148が、調光用画素Bbの位置と、径Rrdの先端が指し示す位置と、の2つの位置に設定される。ここで、凹部PA1における第1パネルP1は、凹部PA1における第2パネルP2に比して、中心点Q1を中心として内径側に位置する。従って、凹部PA1では、第1パネルP1の曲率が第2パネルP2の曲率に比して大きい。このような曲率の関係は、すなわち、画素Lbの位置と、径Rfdの先端が指し示す位置と、の間隔に比して、調光用画素Bbの位置と、径Rrdの先端が指し示す位置との間隔が大きいことを示す。このように、凹部PA1のような凹部では、第1パネルP1で光を透過するよう制御される2つの画素48が当該凹部に位置する場合、当該2つの画素48同士の距離に比して、当該2つの画素48に対応して当該ぼかし処理が適用される2つの調光用画素148の中心同士の距離が大きい。ここでいう距離として、2つの画素48同士又は2つの調光用画素148同士を直線的に結ぶ弦として示せる距離として解釈しても、第1パネルP1及び第2パネルP2が描く曲面に沿った円弧状の距離として解釈しても、いずれにおいても距離の大小関係は成立する。
【0059】
また、凸部PA2において、画素Lcの位置と、径Rfpの先端が指し示す位置と、の2つの位置に光を透過するよう制御される画素48がある場合を想定する。この場合、ぼかし範囲を適用される所定範囲(図7のぼかし範囲BLU参照)の中心となる調光用画素148が、調光用画素Bcの位置と、径Rrpの先端が指し示す位置と、の2つの位置に設定される。ここで、凸部PA2における第1パネルP1は、凸部PA2における第2パネルP2に比して、中心点Q1を中心として外径側に位置する。従って、凸部PA2では、第1パネルP1の曲率が第2パネルP2の曲率に比して小さい。このような曲率の関係は、すなわち、画素Lcの位置と、径Rfpの先端が指し示す位置と、の間隔に比して、調光用画素Bcの位置と、径Rrpの先端が指し示す位置との間隔が小さいことを示す。このように、凸部PA2のような凸部では、第1パネルP1で光を透過するよう制御される2つの画素48が当該凹部に位置する場合、当該2つの画素48同士の距離に比して、当該2つの画素48に対応して当該ぼかし処理が適用される2つの調光用画素148の中心同士の距離が小さい。ここでいう距離として、2つの画素48同士又は2つの調光用画素148同士を直線的に結ぶ弦として示せる距離として解釈しても、第1パネルP1及び第2パネルP2が描く曲面に沿った円弧状の距離として解釈しても、いずれにおいても距離の大小関係は成立する。
【0060】
以下、第2パネルP2の曲率に対応したぼかし範囲の導出方法について、図10及び図11を参照して説明する。図10は、凹部PA1と同様、ユーザから見て第1パネルP1が窪んで見える曲面におけるぼかし範囲の導出方法に関する事項を示す図である。図10及び図11は、前述の図9と同じ断面を正面視する断面図である。
【0061】
まず、光を透過するよう制御される画素48である画素Ldと、当該画素Ldと光軸を共有する調光用画素148である調光用画素Bdと、が上述の図9を参照した説明に基づいて特定される。また、図10では、第1パネルP1の一面が描く円弧の径を示す線分であって後述する光軸LLdをなぞる線分を径Rfとして図示している。また、図10では、光軸LLd上をなぞる位置にギャップGを図示している。
【0062】
次に、調光用画素Bdを含む調光パネルが、調光用画素Bdの光軸に直交する平面に沿うフラットパネルFPであると仮定した場合のぼかし範囲Faが特定される。ここでいうぼかし範囲Faは、調光用画素Bdを中心としてフラットパネルFPの板面に沿う所定方向に広がるぼかし範囲全体のうち、調光用画素Bdを中心に当該ぼかし範囲を所定方向に二分した範囲の一方をさす。すなわち、フラットパネルFPにおけるぼかし範囲全体には、調光用画素Bdを挟んで当該所定方向に2つのぼかし範囲Faが並ぶ。ぼかし範囲Faの特定方法については後述する。以下、フラットパネルFPの一面と記載した場合、フラットパネルFPの板面のうち、第1パネルP1と対向する側のフラットパネルFPの面をさす。
【0063】
次に、画素Ldの第1パネルP1の一面側における中心点で、第一直線LLdと第二直線LLpとが形成する鋭角の角度を角度θaとする。光軸LLdは、当該中心点を通って画素Ldの光軸をなぞる直線である。第二直線LLpは、フラットパネルFPの一面側の一点であって、フラットパネルFPにおいてぼかし範囲Faとされる範囲のうち画素Ldからの距離が最も遠い点FP1と当該中心点とを結ぶ直線である。角度θaは、以下の式(9)のように表せる。
θa=tan-1(Fa/G)…(9)
【0064】
また、上述の第二直線LLpと中心点Qaとの距離d1は、以下の式(10)のように表せる。中心点Qaは、図9における中心点Q1と同様、ユーザから見て第1パネルP1が窪んで見える第1パネルP1及び第2パネルP2が描く円弧の中心点である。距離d1を示す線分は、図10に示すように、第二直線LLpに直交し、かつ、一端側が中心点Qaである線分として示すことができる。
d1=Rf×sin(θa)…(10)
【0065】
また、光軸LLdと上述の距離d1を示す線分とが形成する鋭角の角度を角度θbとする。角度θbは、以下の式(11)のように表せる。
θb=cos-1(d1/Rf)…(11)
【0066】
また、中心点Qaと点FP1とを結ぶ線分Rrの長さは、以下の式(12)のように表せる。
Rr=Rf=G…(12)
【0067】
また、径Rfと線分Rrとが形成する鋭角の角度を角度θcとする。角度θcは、以下の式(13)のように表せる。
θc=(θc+θb)-θb=cos-1(d1/Rr)-θb…(13)
【0068】
そして、調光用画素Bdを基準とした第2パネルP2のぼかし範囲Fcは、以下の式(14)のように表せる。ここでいうぼかし範囲Fcは、調光用画素Bdを中心として第2パネルP2の円弧状の板面に沿う所定方向に広がるぼかし範囲全体のうち、調光用画素Bdを中心に円弧状の当該ぼかし範囲を二分した範囲の一方をさす。すなわち、第2パネルP2におけるぼかし範囲全体には、調光用画素Bdを挟んで当該所定方向に2つのぼかし範囲Fcが並ぶ。
Fc=2π(θc/360)Rr…(14)
【0069】
図10を参照して説明したように、画素Ldと光軸を共有する調光用画素Bdに適用される第2パネルP2のぼかし範囲の導出では、調光用画素Bdが当該光軸に直交するフラットパネルFPにあると仮定した場合のぼかし範囲Faを特定したうえで、当該ぼかし範囲Faから角度θa、距離d1、角度θb、線分Rr、角度θcを導出し、ぼかし範囲Fcを導出する処理が行われる。
【0070】
図11は、凸部PA2と同様、ユーザから見て第1パネルP1が盛り上がっているように見える曲面におけるぼかし範囲の導出方法に関する事項を示す図である。
【0071】
まず、光を透過するよう制御される画素48である画素Leと、当該画素Leと光軸を共有する調光用画素148である調光用画素Beと、が上述の図9を参照した説明に基づいて特定される。また、図11では、第1パネルP1の一面が描く円弧の径を示す線分であって後述する光軸LLeをなぞる線分を線分Rgとして図示している。
【0072】
次に、調光用画素Beを含む調光パネルが、調光用画素Beの光軸に直交する平面に沿うフラットパネルFPであると仮定した場合のぼかし範囲Fbが特定される。ここでいうぼかし範囲Fbは、調光用画素Beを中心としてフラットパネルFPの板面に沿う所定方向に広がるぼかし範囲全体のうち、調光用画素Beを中心に当該ぼかし範囲を所定方向に二分した範囲の一方をさす。すなわち、フラットパネルFPにおけるぼかし範囲全体には、調光用画素Beを挟んで当該所定方向に2つのぼかし範囲Faが並ぶ。ぼかし範囲Fbの特定方法については後述する。以下、フラットパネルFPの他面と記載した場合、フラットパネルFPの板面のうち、第1パネルP1の一面とは反対側の面をさす。なお、パネル間のギャップGが図10図11とで同値の場合、パネルがフラットな場合のぼかし範囲は同値である。すなわち、パネル間のギャップGが同値の場合、図10に示すぼかし範囲Faと図11に示すぼかし範囲Fbとは同値である。また、パネル間のギャップGが同値の場合、図10に示す角度θaと図11に示す角度θdは同値である。
【0073】
次に、画素Ldの第1パネルP1の一面側における中心点で、第三直線LLeと第四直線LLrとが形成する鋭角の角度を角度θdとする。光軸LLeは、当該中心点を通って画素Leの光軸をなぞる直線である。第四直線LLrは、フラットパネルFPにおいてぼかし範囲Fbとされる範囲のうち画素Leからの距離が最も遠い点であってフラットパネルFPの他面側の点FP2と当該中心点とを結ぶ直線である。角度θdは、以下の式(15)のように表せる。
θd=tan-1(Fb/G)…(15)
【0074】
また、上述の第四直線LLrと中心点Qbとの距離d2は、以下の式(16)のように表せる。中心点Qbは、図9における中心点Q2と同様、ユーザから見て第1パネルP1が盛り上がっているように見える第1パネルP1及び第2パネルP2が描く円弧の中心点である。距離d2を示す線分は、図10に示すように、第四直線LLrに直交し、かつ、一端側が中心点Qbである線分として示すことができる。
d2=Rg×sin(θd)…(16)
【0075】
また、中心点QbとFP2とを結ぶ線分Rsの長さは、以下の式(17)のように表せる。
Rs=Rf=G…(17)
【0076】
また、線分Rsと上述の距離d2を示す線分とが形成する鋭角の角度を角度θeとする。角度θeは、以下の式(18)のように表せる。
θe=cos-1(d2/Rs)…(18)
【0077】
また、光軸LLeと線分Rsとが形成する鋭角の角度を角度θfとする。角度θfは、以下の式(19)のように表せる。
θf=(θf+θe)-θe=cos-1(d2/Rg)-θe…(19)
【0078】
そして、調光用画素Beを基準とした第2パネルP2のぼかし範囲Fdは、以下の式(20)のように表せる。ここでいうぼかし範囲Fdは、調光用画素Beを中心として第2パネルP2の円弧状の板面に沿う所定方向に広がるぼかし範囲全体のうち、調光用画素Beを中心に円弧状の当該ぼかし範囲を二分した範囲の一方をさす。すなわち、第2パネルP2におけるぼかし範囲全体には、調光用画素Beを挟んで当該所定方向に2つのぼかし範囲Fdが並ぶ。
Fc=2π(θf/360)Rs…(20)
【0079】
図11を参照して説明したように、画素Leと光軸を共有する調光用画素Beに適用される第2パネルP2のぼかし範囲の導出では、調光用画素Beが当該光軸に直交するフラットパネルFPにあると仮定した場合のぼかし範囲Fbを特定したうえで、当該ぼかし範囲Fbから角度θd、距離d2、線分Rs、角度θe、角度θfを導出し、ぼかし範囲Fdを導出する処理が行われる。
【0080】
図9図10及び図11を参照して説明した処理は、空間処理演算部12(図6参照)によって行われる。
【0081】
図12は、空間処理演算部12の機能構成を示すブロック図である。空間処理演算部12は、曲面情報保持部121と、座標変換部122と、空間フィルタ処理部123とを有する。
【0082】
曲面情報保持部121は、設計事項として予め定められているとした上述の各種パラメータを示す情報を保持する。具体的には、曲面情報保持部121は、上述した径Rfd(径Rf)、径Rrd(線分Rr)、ギャップG、幅Xt、円弧長Xd、角度θ2、径Rfp(線分Rg)、径Rrp(線分Rs)を保持する。また、曲面情報保持部121は、凹部PA1における中心点Q1(中心点Qa)の位置、凸部PA2における中心点Q2(中心点Qb)の位置、凸部PA2で第1パネルP1及び第2パネルP2が中心点Q2を中心に描く円弧の角度等、図9から図11を参照して説明した事項のうち、入力信号IPに応じた動的な変更が生じない静的な情報を保持している。
【0083】
座標変換部122は、上述した図9を参照した説明に基づいて、入力信号IPに応じて光を透過するよう制御される画素48(例えば、画素La,Lb,Lc)の座標を、当該画素48と光軸を共有する調光用画素148(例えば、調光用画素Ba,Bb,Bc)の座標に変換する処理を行う。具体的には、座標変換部122は、上述の式(1)から式(8)の式に基づいて、画素48(例えば、画素La,Lb,Lc)の座標から調光用画素148(例えば、調光用画素Ba,Bb,Bc)の座標を導出する。
【0084】
空間フィルタ処理部123は、上述した図10図11を参照した説明に基づいて、調光用画素148のぼかし範囲を導出する。
【0085】
なお、上述したぼかし範囲Fa(図10参照)及びぼかし範囲Fb(図11参照)のように、ぼかし範囲の中心になる調光用画素148がフラットパネルFPのような平面状の第2パネルP2にある場合のぼかし範囲(標準ぼかし範囲)は、予め定められている。従って、図9を参照して説明した調光用画素Ba(図9参照)のぼかし範囲は、標準ぼかし範囲として予め定められている。
【0086】
標準ぼかし範囲は、例えば図7を参照して説明した実施形態の「空間処理」のように、表示パネル30の視野角特性等、表示パネル30の光学的特性に応じて定められる。具体例を挙げると、上述の角度θa(図10参照)、角度θbのような角度が表示パネル30の視野角(水平視野角又は垂直視野角)に対応するようぼかし範囲Fa(図10参照)、ぼかし範囲Fb(図11参照)が定められている。角度θaに対応したぼかし範囲Faの大きさ及び角度θbに対応したぼかし範囲Fbの大きさは、ギャップGに対応する。角度θa及び角度θbが予め表示パネル30の視野角特性に応じて予め定められている条件下では、ギャップGが大きいほど、ぼかし範囲Fa及びぼかし範囲Fbが大きくなる。
【0087】
より具体的な例を挙げると、入力信号IPに応じて光を透過するよう制御される画素48と光軸を共有する調光用画素148が最高の透過率(100%)で光を透過するよう制御されるとする。そして、予め定められた標準ぼかし範囲によって、当該調光用画素148からn個目の調光用画素148の光の透過率が、{100×(m-n)/m}%の透過率となるよう制御され、調光用画素148からm個目の調光用画素148の光の透過率が0%の透過率となるよう制御されるものとする。n及びmは自然数である。また、n≦mである。ここで、当該調光用画素148からn個目の調光用画素148とは、当該調光用画素148に対してX方向に並ぶ調光用画素148であって、当該調光用画素148との間に(n-1)個の他の調光用画素148を挟んだ位置にある調光用画素148をさす。なお、当該調光用画素148に対してY方向に並ぶ調光用画素148の光の透過率も同様の考え方で予め設定される。斜め方向についても、表示パネル30の視野角特性等、表示パネル30の光学的特性に応じて予め設定される。
【0088】
上述したより具体的な例では、入力信号IPに応じて光を透過するよう制御される画素48と光軸を共有する調光用画素148のX方向の中心と、m個目の調光用画素148のX方向の中心と、を結ぶ距離が上述のぼかし範囲Fa、ぼかし範囲Fbに該当する。空間フィルタ処理部123は、このようなぼかし範囲Faと、上述した図10を参照した説明に基づいて導出されたぼかし範囲Fcと、の比に基づいて、ぼかし範囲Fcの範囲内にある調光用画素148の光の透過率を制御する。一例として、m=10とする。この場合、入力信号IPに応じて光を透過するよう制御される画素48と光軸を共有する調光用画素148に対してX方向に並ぶ他の調光用画素148の透過率は、当該画素48と光軸を共有する調光用画素148から1つずつ遠ざかる程に、90%,80%,70%,60%,50%,40%,30%,20%,10%,0となる。ここで、Fa:Fcが2:1だとすると、ぼかし範囲Fcに含まれる調光用画素148の透過率は、当該画素48と光軸を共有する調光用画素148から1つずつ遠ざかる程に、80%,60%,40%,20%,0%となる。同様の考え方で、空間フィルタ処理部123は、ぼかし範囲Fbと、上述した図10を参照した説明に基づいて導出されたぼかし範囲Fdと、の比に基づいて、ぼかし範囲Fdの範囲内にある調光用画素148の光の透過率を制御する。
【0089】
図10に示すように、ぼかし範囲Faと、ぼかし範囲Fcとを比較した場合、ぼかし範囲Fcは、ぼかし範囲Faよりも小さい範囲になる。このように、表示パネル30及び調光パネル80の曲面が凹部である場合、表示パネル30で光を透過するよう制御される画素Ldが当該凹部に位置するとき、当該画素Ldに対応して生じるぼかし範囲Fcは、当該調光パネル80が平面状のフラットパネルFPであったと仮定したときに生じるぼかし範囲Faに比して小さい。また、図11に示すように、ぼかし範囲Fbと、ぼかし範囲Fdとを比較した場合、ぼかし範囲Fdは、ぼかし範囲Fbよりも大きい範囲になる。このように、表示パネル30及び調光パネル80の曲面が凸部である場合、表示パネル30で光を透過するよう制御される画素Leが当該凸部に位置するとき、当該画素Leに対応して生じるぼかし範囲Fdは、当該調光パネル80が平面状のフラットパネルFPであったと仮定したときに生じるぼかし範囲Fbに比して大きい。
【0090】
以下、実施形態と異なり、湾曲した表示パネルの画素と湾曲した調光パネルの調光用画素との位置関係のずれを考慮しない参考例について、図13及び図14を参照して説明する。
【0091】
図13は、凹部を有する参考例を示す模式図である。図13に示す第1パネルPaは、ユーザから見て凹部に見える湾曲があり、凸部に見える湾曲がないという点を除いて、第1パネルP1と同様の構成である。また、図13に示す第2パネルPbは、湾曲が第1パネルPaに沿っているという点を除いて、第2パネルP2と同様の構成である。
【0092】
図13に示す第1パネルPaが備える画素48のうち、画素Lf及び画素Lgが光を透過するように制御されるものとする。ここで、一端P0から画素Lfまでの範囲にはZ方向に直交する平面しかない。このため、第2パネルPbが有する調光用画素148の座標に画素Lfの座標Xfaをそのまま適用した調光用画素Bfにぼかし処理を適用することで、画素Lfの光軸と調光用画素Bfの光軸が光軸LLfで一致する。従って、調光用画素Bfに限っては、参考例でも実施形態と同様にぼかし処理の効果を得られる。
【0093】
一方、一端P0から画素Lgまでの範囲には、曲面が含まれている。このため、第2パネルPbが有する調光用画素148の座標に画素Lgの座標Xfbをそのまま適用した調光用画素Bgにぼかし処理を適用すると、調光用画素Bgの光軸LLgは、画素Lgの中心からずれた位置になる。
【0094】
図14は、参考例において光を透過する画素Lf,Lgの位置と、調光用画素Bf,Bgによるぼかし処理の範囲と、の関係を示す平面図である。図14に示すように、画素Lfと調光用画素Bfの中心とは一致している。一方、調光用画素Bgの中心である光軸LLgは、画素Lgとずれている。このようにずれた調光用画素Bgでは、画素Lgに対してぼかし処理の効果を十全に発揮することができない。このように、参考例では第1パネルPa及び第2パネルPbの曲面に対応した座標管理が行われないため、曲面においてぼかし処理を適切に行うことができない。
【0095】
これに対し、実施形態によれば、図9から図11を参照した説明のように、第1パネルP1及び第2パネルP2の曲面に対応した座標管理及びぼかし範囲の導出が行われるので、光を透過するように制御される画素48の座標に関わらず、当該画素48と光軸を共有する調光用画素148の座標及びぼかし範囲を適切に制御できる。
【0096】
なお、図9から図11を参照して説明した式(1)から式(20)のような各種の演算式はあくまで一例であり、ぼかし範囲の導出及び座標管理の仕組みをこれに限定するものではない。例えば、Z方向に直交するフラットな第1パネルP1、第2パネルP2(例えば、図8に示す平面部PA3)に比して、凹部PA1のような凹面では、原点(例えば、一端P0)からの第1パネルP1における画素48の座標に対して当該画素48と光軸を共有する調光用画素148の第2パネルP2における座標及び当該調光用画素148を中心としたぼかし範囲を曲面の湾曲方向に長く取るようにする。このとき、調光用画素148の第2パネルP2における座標及び当該調光用画素148を中心としたぼかし範囲をどの程度長くするかについては、例えば当該凹面における第1パネルP1の曲率と第2パネルP2の曲率との比に対応させることで、座標及びぼかし範囲の制御をより適切に行える。また、Z方向に直交するフラットな第1パネルP1、第2パネルP2(例えば、図8に示す平面部PA3)に比して、凸部PA2のような凸面では、原点(例えば、一端P0)からの第1パネルP1における画素48の座標に対して当該画素48と光軸を共有する調光用画素148の第2パネルP2における座標及び当該調光用画素148を中心としたぼかし範囲を曲面の湾曲方向に短く取るようにする。このとき、調光用画素148の第2パネルP2における座標及び当該調光用画素148を中心としたぼかし範囲をどの程度短くするかについては、例えば当該凹面における第1パネルP1の曲率と第2パネルP2の曲率との比に対応させることで、座標及びぼかし範囲の制御をより適切に行える。これらによって、参考例のように曲面における座標管理等に何ら対処しない場合に比して、第2パネルP2による光の透光制御をより適切に行える。
【0097】
以上説明したように、実施形態によれば、表示装置1は、複数の画素(画素48)を有する第1パネル(第1パネルP1)と、当該第1パネルの板面に対して略平行に設けられた板面を有する第2パネル(第2パネルP2)と、を備える。当該第1パネルの板面及び当該第2パネルの板面は曲面(例えば、凹部PA1、凸部PA2の少なくとも一方)を含む。当該第1パネルで光を透過するよう制御される画素と対向する当該第2パネルの調光用画素(調光用画素148)にぼかし処理が適用される。当該ぼかし処理では、外部から入力される画像信号(入力信号IP)に含まれる画素信号が示す階調値に基づいて、当該画素信号が与えられる画素(画素48)の周囲に位置する所定範囲(例えば、図7に示すぼかし範囲BLU)内に配置された調光用画素(調光用画素148)が光を透過するよう制御される。ここで、当該曲面が凸部(例えば、凸部PA2)である場合、当該第1パネルで光を透過するよう制御される2つの画素(画素48)が当該凸部に位置するとき、当該2つの画素同士の距離に比して、当該2つの前記画素に対応して当該ぼかし処理が適用される2つの所定範囲の中心同士の距離が小さい。ここで、当該「所定範囲の中心」とは、光を透過するよう制御される画素(画素48)と光軸を共有する調光用画素(調光用画素148)の中心である。当該凸部では、当該第1パネルの曲率が当該第2パネルの曲率よりも小さい。また、当該曲面が凹部(例えば、凹部PA1)である場合、当該第1パネルで光を透過するよう制御される2つの画素(画素48)が当該凹部に位置するとき、当該2つの画素同士の距離に比して、当該2つの前記画素に対応して当該ぼかし処理が適用される2つの所定範囲の中心同士の距離が大きい。当該凹部では、当該第1パネルの曲率が当該第2パネルの曲率よりも大きい。
【0098】
これによって、ぼかし処理が適用される所定範囲の中心に位置する調光用画素(調光用画素148)の位置が、第1パネル(第1パネルP1)と第2パネル(第2パネルP2)がそれぞれ有する曲面の曲率の大小関係に応じた位置になる。従って、第2パネル(第2パネルP2)における透光位置がより適切になる。
【0099】
また、第1パネル(第1パネルP1)の板面及び第2パネル(第2パネルP2)の板面は平面を含む。当該第1パネルで光を透過するよう制御される2つの画素(画素48)が平面(例えば、平面部PA3)に位置する場合、当該2つの画素同士の距離と、当該2つの画素に対応してぼかし処理が適用される2つの所定範囲の中心同士の距離とが等しい。
【0100】
また、実施形態によれば、表示装置1は、複数の画素(画素48)を有する第1パネル(第1パネルP1)と、当該第1パネルの板面に対して略平行に設けられた板面を有する第2パネル(第2パネルP2)と、を備える。当該第1パネルの板面及び当該第2パネルの板面は曲面(例えば、凹部PA1、凸部PA2の少なくとも一方)と平面(例えば、平面部PA3)とを含む。当該第1パネルで光を透過するよう制御される画素と対向する当該第2パネルの調光用画素(調光用画素148)にぼかし処理が適用される。当該ぼかし処理では、外部から入力される画像信号(入力信号IP)に含まれる画素信号が示す階調値に基づいて、当該画素信号が与えられる画素(画素48)の周囲に位置する所定範囲(例えば、図7に示すぼかし範囲BLU)内に配置された調光用画素(調光用画素148)が光を透過するよう制御される。当該曲面が凸部(例えば、凸部PA2)である場合、当該第1パネルで光を透過するよう制御される2つの画素(画素48)のうち一方が当該凸部に位置し、他方が当該平面に位置するとき、当該2つの画素に対応して当該ぼかし処理が適用される2つの所定範囲のうち当該一方と対向する所定範囲(例えば、図11に示すぼかし範囲Fd)が当該他方と対向する所定範囲(例えば、図11に示すぼかし範囲Fb)よりも大きい。また、当該曲面が凹部(例えば、凹部PA1)である場合、当該第1パネルで光を透過するよう制御される2つの画素(画素48)のうち一方が当該凹部に位置し、他方が当該平面に位置するとき、当該2つの画素に対応して当該ぼかし処理が適用される2つの所定範囲のうち当該一方と対向する所定範囲(例えば、図10に示すぼかし範囲Fc)が当該他方と対向する所定範囲(例えば、図10に示すぼかし範囲Fa)よりも小さい。
【0101】
これによって、ぼかし処理が適用される所定範囲(例えば、ぼかし範囲Fc,Fd)が、第1パネル(第1パネルP1)と第2パネル(第2パネルP2)がそれぞれ有する曲面の曲率の大小関係に応じた範囲になる。従って、第2パネル(第2パネルP2)における透光位置がより適切になる。
【0102】
また、第2パネル(第2パネルP2)の出力に反映される信号は、画像信号(入力信号IP)に対して予め定められたガンマ値に応じたガンマ補正を行った信号である。これによって、当該ガンマ値に基づいて、調光用画素(調光用画素148)による光の透過の度合いをより適切に制御できる。
【0103】
また、第1パネル(第1パネルP1)の出力に反映される信号は、画像信号(入力信号IP)に対して当該第1パネルのガンマ値に応じたガンマ補正を行った信号である。これによって、当該第1パネルのガンマ特性に応じた表示出力をより適切に行える。
【0104】
また、第2パネル(第2パネルP2)側から第1パネル(第1パネルP1)側に向かう光を発する発光面(発光面LA)を有するバックライト(光源装置50)を備える。当該発光面は、当該第2パネルの板面に対して略平行に設けられる。これによって、当該第1パネル及び当該第2パネルに対してよりムラなく光を照射できる。
【0105】
また、第2パネル(第2パネルP2)はモノクロの液晶パネルである。これによって、当該第2パネルによる光の透過率をより高めやすくなる。
【0106】
なお、1つの調光用画素148に含まれるモノクロの副画素は、平面視点での画素48の大きさ及び形状に対応した1つの副画素であってもよいし、画素48が有する複数の副画素49の大きさ、形状及び数に対応した複数の副画素であってもよい。副画素の数が複数であっても、1つの調光用画素148に含まれるモノクロの副画素は、光の透過の度合いが同じになるように制御される。その光の透過の度合いは、上述のぼかし処理によって決定された光の透過の度合いである。
【0107】
また、実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について本明細書記載から明らかなもの、又は当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本開示によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0108】
1 表示装置
30 表示パネル
48 画素
50 光源装置
80 調光パネル
148 調光用画素
LA 発光面
P1 第1パネル
P2 第2パネル
PA1 凹部
PA2 凸部
PA3 平面部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14