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  • 特許-捲縮多成分繊維 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-12
(45)【発行日】2024-09-24
(54)【発明の名称】捲縮多成分繊維
(51)【国際特許分類】
   D01F 8/06 20060101AFI20240913BHJP
【FI】
D01F8/06
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021525858
(86)(22)【出願日】2019-11-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-21
(86)【国際出願番号】 US2019062339
(87)【国際公開番号】W WO2020106800
(87)【国際公開日】2020-05-28
【審査請求日】2022-11-07
(31)【優先権主張番号】62/769,615
(32)【優先日】2018-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】チェン、インロン
(72)【発明者】
【氏名】ガーグ、アカンクシャ
(72)【発明者】
【氏名】リン、イージャン
(72)【発明者】
【氏名】ビスワス、サンジブ
(72)【発明者】
【氏名】ウェインホールド、ジェフェリー ディ.
(72)【発明者】
【氏名】ヴァラヴァラ、パバン クマール
(72)【発明者】
【氏名】ラリオス、ファブリコ アルテガ
(72)【発明者】
【氏名】マーティン、ジル
(72)【発明者】
【氏名】オニール-デリオールマンリ、ディディム
(72)【発明者】
【氏名】デミロール、メフメト
【審査官】山本 晋也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-179621(JP,A)
【文献】特開2015-165061(JP,A)
【文献】特開平02-191720(JP,A)
【文献】特表2013-528689(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04H
D01F
C08F
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維重心を有し、第1の重心を有する第1の領域と、第2の重心を有する第2の領域と、を含み、
前記第1の領域が、前記第1の領域の総重量に基づいて少なくとも75重量パーセントの量の、少なくとも70モルパーセントのエチレン系繰り返し単位および30モルパーセント以下の3~10の炭素原子を有するアルファオレフィン系繰り返し単位を含むエチレン/アルファオレフィンインターポリマー組成物を含み、
前記エチレン/アルファオレフィンインターポリマー組成物が、改善されたコモノマー組成分布(ICCD)手順を介した溶出プロファイルにおける少なくとも50℃でかつ90℃未満の低温ピークおよび少なくとも90℃でかつ100℃未満の高温ピークを特徴とし、前記高温ピークの半値全幅が、6.0℃未満であり、
前記エチレン/アルファオレフィンインターポリマー組成物が、0.900~0.940g/cmの範囲の密度を有する低密度画分および少なくとも0.950g/cmの密度を有する高密度画分を有し、
前記エチレン/アルファオレフィンインターポリマー組成物において高温画分が15,000g/mol~70,000g/mol以下のピーク位置分子量および低温画分は30,000~、250,000のピーク位置分子量を有し、
前記第2の領域が、前記第1の領域の前記エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーとは異なるポリマーを含む材料であり、
前記第1の重心および前記第2の重心のうちの少なくとも1つが、前記繊維重心と同じではないように前記領域が配置されている、巻縮繊維。
【請求項2】
前記エチレン/アルファオレフィンインターポリマー組成物が、0.930~0.965g/cmの範囲の密度、10~60g/10分の範囲のメルトインデックス(I)(前記I2が、ASTM D1238、190C、2.16kgに従って測定される)、重量平均分子量対数平均分子量の比(Mw(GPC)/Mn(GPC))として表される1.5~2.5の範囲の分子量分布、1ラジアン/秒で少なくとも50のタンデルタ、のうちの1つ以上をさらに特徴とする、請求項1に記載の繊維。
【請求項3】
前記第1または第2の領域のうちの少なくとも1つが、少なくとも0.1の重心オフセットを有する、請求項1または2に記載の繊維。
【請求項4】
前記第1および第2の領域が、コアシース構造で、並んで、セグメント化されたパイ構造で、または海島構造で配置されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の繊維。
【請求項5】
前記第1の領域対前記第2の領域の重量比が、80:20~20:80である、請求項1~4のいずれか一項に記載の繊維。
【請求項6】
前記繊維が、少なくとも2.0、好ましくは少なくとも2.5mm-1の曲率を有する、請求項1~5のいずれかに記載の繊維。
【請求項7】
前記第2の領域が、ポリプロピレンを含む、請求項1~6のいずれかに記載の繊維。
【請求項8】
前記第1および第2の領域のものとは異なるポリマーを含む第3の領域をさらに含む、請求項1~7のいずれかに記載の繊維。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年11月20日出願の米国出願第62/769,615号の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明の分野は、エチレン/アルファ-オレフィンポリマーの捲縮繊維または巻縮繊維である。
【背景技術】
【0003】
ポリエチレン系繊維は、消費者製品、とりわけ不織布で使用されている。そのドレープ性および滑らかさに起因して、そのような繊維が望ましい。不織布は、フィルター、医療用途における使い捨て材料、およびおむつストックなどの無数の用途を有する。最終製品の重量を低減するために、繊維を捲縮または巻縮することが提案されている。
【0004】
向上した巻縮性(捲縮としても知られている)を有する繊維を形成し、それを効率的に行うことを可能にすることに対する需要が依然としてある。
【発明の概要】
【0005】
本明細書に開示されるのは、異なる成分のポリエチレン系材料を有する多成分繊維と比較して、独特かつ予想外の程度の巻縮性または捲縮を示す多成分繊維である。
【0006】
具体的には、本明細書に開示されるのは、繊維重心を有し、第1の重心を有する第1の領域と、第2の重心を有する第2の領域と、を含み、第1の領域が、第1の領域の総重量に基づいて少なくとも75重量パーセントの量のエチレン/アルファオレフィンインターポリマー組成物を含み、エチレン/アルファオレフィンインターポリマー組成物が、改善されたコモノマー組成分布(ICCD)手順を介した溶出プロファイルにおける低温ピークおよび高温ピークを特徴とし、高温ピークの半値全幅が、6.0℃未満であり、第2の領域が、第1の領域のエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーとは異なるポリマーを含む材料であり、第1の重心および第2の重心のうちの少なくとも1つが、繊維重心と同じではないように領域が配置されている、巻縮繊維である。
【0007】
本明細書で使用される場合、繊維重心は、繊維の断面のすべての点の算術平均を意味する。領域では、重心は、繊維の断面で見ると、領域のすべての点の算術平均を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】試料1のエチレン/アルファ-オレフィン組成物のICCD溶出プロットである。
図2】試料1の樹脂をシースに、ポリプロピレンをコアに用いて作製した、高偏心性コアシース構造繊維の走査型電子顕微鏡写真(SEM)断面画像である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書に開示されるのは、少なくとも第1および第2の領域を有する巻縮多成分繊維である。繊維は、偏心として特徴付けることができる(すなわち、繊維の断面は、少なくとも1つの視点では対称ではなく、例えば、同心のコア/シースなどでなくてもよい)。
【0010】
繊維は、二成分繊維であり得る。繊維は、3つ以上の成分を有し得る。繊維は、繊維の断面が別の領域(シース)によって囲まれている1つの領域(コア)を示すコアシース構成を有し得る。多成分繊維では、1つ以上の内部コア、1つ以上の内部シース、および外部シースが存在し得る。繊維は、並んだ構成を有し得る。繊維は、繊維の断面が一部分、例えば、断面の4分の1、3分の1、半分を占める1つの領域を示し、第2の領域が断面の残りを占めるセグメント化されたパイ構成を有し得る。多成分繊維では、第3または第4の領域がパイ断面の一部分を占める場合がある。多成分繊維では、コアシース構成は、セグメント化されたパイと組み合わせられ得る。例えば、コアは、シースによって囲まれているセグメント化されたパイ構造内に2つの成分を有し得る。多成分系では、第3の成分は、海島構成の第1または第2の領域内に含有され得る。例えば、第3の成分は、コアを形成しシースによって囲まれている第1の領域内に、別個の領域を形成してもよい。
【0011】
繊維は重心を有し、繊維の各領域はそれら自体の重心を有する。本明細書で使用される場合、重心は、繊維の断面の領域のすべての点の算術平均を意味する。同心コアシースでは、繊維、コア領域、およびシース領域は、実質的に同じ重心を有する。繊維重心、および第1の領域もしくは第2の領域のいずれか、または両方の重心は、異なっていてもよい。領域のうちの少なくとも2つは、異なる重心を有し得る。これらの後者の構造は、偏心構成とも称される。繊維の重心は、Cとして示され得、領域の重心は、xが領域を示すCrxとして示され得る。例えば、第1の領域は、重心Cr1を有する。Cから繊維の外面までの平均距離は、「r」であり、次のように計算することができ、
【数1】
式中、Aが、繊維断面の面積である。図2は、20psiのスロットアスピレータ圧力で、試料1のポリマーをシースとして、ポリプロピレン(PP)をコアとして用いて作製された繊維を使用した、繊維の重心および第2の領域の重心を示している。領域の重心から繊維の重心までの距離は、「Prx」である。「Prx/r」は、重心オフセットとして定義される。第1または第2の領域のうちの少なくとも1つの重心オフセットは、少なくとも0.1、または少なくとも0.2、または少なくとも0.3、または少なくとも0.4であり得、かつ1未満、または0.9未満であり得る。
【0012】
本発明者らは、本明細書に記載の特定のエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー組成物を領域のうちの1つで使用すると、巻縮が向上することを見出した。繊維は、他の領域のうちの1つに異なるポリマーを含む。
【0013】
エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー
不織布の重要な特色は、特定のエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー組成物で作製された繊維であることである。インターポリマーとは、ポリマーが2、3、またはそれ以上のモノマーのポリマー、すなわち、コポリマー、ターポリマーなどであることを意味する。この場合、第1のモノマーは、エチレンである。第2のモノマーは、アルファオレフィンである。そのようなアルファオレフィンは、少なくとも3つの炭素原子を有し、例えば、最大20個、または最大10個、または最大8つの炭素原子を有し得る。例示的なα-オレフィンコモノマーとしては、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、および4-メチル-1-ペンテンが挙げられるが、これらに限定されない。任意選択的な第3、第4、またはそれ以上のモノマーは、アルファ-オレフィンであり得る。インターポリマー組成物は二峰性であり、以下でより詳細に説明されるように、異なる分子量および/または異なる密度および/またはICCD溶出における少なくとも2つの異なるピークを有する、2つのエチレン/アルファオレフィンインターポリマーを組み合わせることによって、簡便に作製することができる。
【0014】
インターポリマーは、ランダムインターポリマーであり得る。インターポリマーは、インターポリマー中の繰り返し単位の総モルに基づいて、少なくとも50モルパーセント、または少なくとも60モルパーセント、または少なくとも70モルパーセントのエチレン系繰り返し単位を含み得る。インターポリマーは、インターポリマー中の繰り返し単位の総モルに基づいて、99.9以下、または99.5以下、または99以下、または95以下、または90以下、または85モルパーセント以下のエチレン系繰り返し単位を含み得る。インターポリマーは、インターポリマー(すなわち、第2、ならびに任意選択的な第3および第4のモノマー)中の繰り返し単位の総モルに基づいて、少なくとも0.1、または少なくとも0.5、または少なくとも1、または少なくとも5、または少なくとも10モルパーセントのアルファオレフィン系繰り返し単位を含み得る。インターポリマーは、インターポリマー(すなわち、第2、ならびに任意選択的な第3および第4のモノマー)中の繰り返し単位の総モルに基づいて、50以下、または30モルパーセント以下のアルファオレフィン系繰り返し単位を含み得る。
【0015】
これらのエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー組成物は、少なくとも0.930g/cm、かつ0.965g/cm3以下、または0.940g/cm以下の密度を特徴とし得る。密度は、ASTM D792に従って測定する。開示のエチレン/アルファオレフィンインターポリマーを含む二成分繊維は、良好な巻縮を示す。二峰性ポリマー組成物は、約0.900~約0.940g/cmの範囲の密度を有する低密度画分、および少なくとも約0.950g/cmの密度を有する高密度画分を特徴とし得る。
【0016】
これらのエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー組成物は、10~60g/10分の範囲のメルトインデックス(I2)を特徴とし得、I2が、ASTM D1238、190℃、2.16kgに従って測定される。I10/I2の比は、6.9未満、または6.8未満、または6.7未満であり得、I10が、ASTM D1238、190℃、10kgに従って測定される。より低いI10/I2比は、より良好な紡糸性/加工性をもたらすより低い長鎖分岐を示し得る。
【0017】
これらのエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー組成物は、2.6以下、または2.5以下かつ少なくとも1.5、または少なくとも1.7、または少なくとも2.0の範囲の、重量平均分子量対数平均分子量の比(Mw(GPC)/Mn(GPC))として表される、以下に記載の方法による分子量分布を特徴とし得る。この範囲の分子量分布を有するインターポリマー組成物は、より高い分子量分布を有するインターポリマーよりも良好な加工性(例えば、繊維紡糸)を有すると考えられる。エチレン/アルファオレフィンインターポリマーは、(I10/I2)が-4.63超のMw(GPC)/Mn(GPC)を特徴とし得る。
【0018】
エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー組成物は、15,000g/mol、20,000g/mol、または30,000g/molの下限~100,000g/mol、120,000g/mol、または150,000g/molの上限の重量平均分子量を有し得る。Mz(GPC)/Mw(GPC)は、3.0未満、または2.0未満であり得、かつ1.0超であり得る。二峰性ポリマー組成物は、ICCD溶出プロファイルに2つのピークを示し得る。その場合、高温画分は、70,000g/mol以下、または50,000g/mol以下のピーク位置分子量を有し得る。高温画分は、少なくとも15,000、または少なくとも20,000g/molのピーク位置分子量を有し得る。低温画分は、少なくとも30,000、または少なくとも40,000、または少なくとも50,000g/molのピーク位置分子量を有し得る。低温画分は、250,000以下、または200,000以下、または150,000g/mol以下のピーク位置分子量を有し得る。
【0019】
これらのエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー組成物は、1ラジアン/秒で少なくとも45、または少なくとも50のタンデルタ(tanδ)を特徴とし得る。エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、少なくとも12の、1ラジアン/秒および190℃でのタンデルタ対100ラジアン/秒および190℃でのタンデルタの比を特徴とし得る。これらの特徴は、動的機械分析(DMS)によって測定することができる。
【0020】
これらのエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー組成物は、ピーク間に明確な谷(小さいピークのピーク高さと比較して少なくとも10%の低下)を有する改善されたコモノマー組成分布(ICCD)の溶出プロファイル上で、35℃~110℃にある少なくとも2つの区別可能なピークを特徴とし得、ピーク位置が、最低10℃分離している必要がある。各ピークは、隣接する谷の最も低い高さの点での垂直線で分離される。
【0021】
低温ピークのピーク温度は、少なくとも50℃、または少なくとも60℃であり得、かつ90℃未満、または75℃未満であり得る。高温ピークのピーク温度は、少なくとも90℃、または少なくとも95℃であり得、かつ110℃未満、または105℃未満、または100℃未満であり得る。本発明者らは、50~75℃の範囲の低温ピークが、高度に巻縮した繊維を作製するのに特に有用であることを見出した。
【0022】
低温ピーク画分の重量分率は、溶出されたポリマーの総重量に基づいて、少なくとも25、または少なくとも30かつ65未満、または60未満、または55重量パーセント未満であり得る。高温ピーク画分の重量分率は、溶出されたポリマーの総重量に基づいて、少なくとも35、または少なくとも40、または少なくとも45かつ75重量パーセント以下であり得る。
【0023】
高温ピークの半値全幅は、6.0℃未満であり得る。高密度画分の狭いピークは、より狭い組成分布を示し、紡糸性能を妨げ得るか、または抽出物を生成し得る超高分子量種または超低分子量種を含まない。
【0024】
エチレン/アルファオレフィン組成物は、0.5未満(すなわち、50%未満)、0.3(30%)未満、0.25(25%)未満、0.22(22%未満)、または0.2(20%)未満の組成分布幅指数(CDBI)を有し得る。
【0025】
エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー組成物は、100未満、好ましくは30~80のコモノマー分布定数(CDC)を有し得る。
【0026】
エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー組成物は、0.20超、または0.25超、または0.30超、または0.35超、または0.40超、または0.45超、または0.50超の分子量での(molecular weighted)コモノマー分布指数(MWCDI)を特徴とし得る。MWCDIは、従来のゲル浸透クロマトグラフィーから得られた分子量の関数としてのコモノマー組み込みの傾きの尺度である。MWCDIが0.25超(20,000~200,000g/molの分子量範囲)である場合、樹脂構造は、分布の高分子量側により多くのコモノマーを有する、有意な逆のコモノマーの組み込みを有すると見なされる。
【0027】
本明細書に開示のエチレン/アルファオレフィンインターポリマー組成物は、少量の長鎖分岐(LCB)を特徴とし得る。これは、低いゼロ剪断粘度比(ZSVR)によって示すことができる。具体的には、ZSVRは、1.35未満、または1.30以下であり得る。ZSVRは、少なくとも1.10であり得る。
【0028】
エチレン/アルファオレフィンインターポリマー組成物は、H-NMRによって決定して、230未満、または210未満、または190未満、または170未満、または150未満の、1,000,000個の炭素原子当たりのビニル飽和数を特徴とし得る。
【0029】
任意の従来の重合プロセスを用いてエチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物を生成してもよい。そのような従来の重合プロセスとしては、1つ以上の従来の反応器、例えば、並列、直列、および/またはそれらの任意の組み合わせの、ループ反応器、等温反応器、撹拌槽型反応器、バッチ式反応器を使用する溶液重合プロセスが挙げられるが、これらに限定されない。そのような従来の重合プロセスとしてはまた、当該技術分野で既知の任意のタイプの反応器または反応器構成を使用する、気相、溶液、またはスラリー重合、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0030】
一般に、溶液相重合プロセスは、115~250℃、例えば、115~200℃の範囲の温度、および300~1000psi、例えば400~750psiの範囲の圧力で、1つ以上の等温ループ反応器または1つ以上の断熱反応器などの1つ以上のよく撹拌される反応器中で行われる。一例では、二重反応器の第1の反応器の温度は、115~190℃、例えば、115~150℃の範囲であり、第2の反応器の温度は、150~200℃、例えば、170~195℃の範囲である。別の例では、単一反応器の反応器の温度は、115~190℃、例えば、115~150℃の範囲である。溶液相重合プロセスにおける滞留時間は、典型的には、2~30分、例えば、10~20分の範囲内である。エチレン、溶媒、水素、1つ以上の触媒系、任意選択的に1つ以上の助触媒、および任意選択的に1つ以上のコモノマーは、1つ以上の反応器に連続的に供給される。例示的な溶媒としては、イソパラフィンが挙げられるが、それに限定されない。例えば、そのような溶媒は、ExxonMobil Chemical Co.(Houston,Tex)からISOPAR Eの名称で市販されている。次いで、得られたエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーおよび溶媒の混合物は、反応器から取り出され、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーが単離される。溶媒は、典型的には溶媒回収ユニット、すなわち熱交換器および気液分離器ドラムを介して回収され、次いで重合システムに再循環される。
【0031】
エチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物は、二重反応器システム、例えば、二重ループ反応器システムでの溶液重合を介して生成され得、エチレン、および任意選択的に1つ以上のα-オレフィンが、1つ以上の触媒系の存在下で重合される。さらに、1つ以上の助触媒が存在してもよい。
【0032】
エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、単一反応器システム、例えば、単一ループ反応器システムでの溶液重合を介して生成され得、エチレン、および任意選択的に1つ以上のα-オレフィンが、1つ以上の触媒系の存在下で重合される。二重反応器システムでは、2つの異なる触媒が使用され得る。2つの異なる触媒のうちの一方または両方は、以下に示す式(I)を有する。これにより、上記のような二峰性インターポリマー組成物の製造が可能になる。
【0033】
第1のエチレン/aオレフィンインターポリマーを生成するのに好適な例示的な触媒系は、式(I)の金属-配位子錯体を含むプロ触媒成分を含む触媒系であり得る。
【化1】
【0034】
式(I)では、Mは、チタン、ジルコニウム、またはハフニウムから選択される金属であり、金属が、+2、+3、または+4の形式酸化状態にあり、nが、0、1、または2であり、nが1であるとき、Xが、単座配位子または二座配位子であり、nが2であるとき、各Xが、単座配位子であり、同じかまたは異なり、金属-配位子錯体が、全体的に中性に帯電しており、各Zが、独立的して-O-、-S-、-N(R)-、または-P(R)-から選択され、Lが、(C-C40)ヒドロカルビレンまたは(C-C40)ヘテロヒドロカルビレンであり、式中、各RおよびRが、独立して(C-C30)ヒドロカルビル、または(C-C30)ヘテロヒドロカルビルであり、(C-C40)ヒドロカルビレンが、式(I)の2つのZ基を連結している1炭素原子~10炭素原子のリンカー骨格(これにLが結合している)を含む一部分を有するか、または(C-C40)ヘテロヒドロカルビレンが、式(I)の2つのZ基を連結する1原子~10原子のリンカー骨格を含む一部分を有し、(C-C40)ヘテロヒドロカルビレンの1原子~10原子のリンカー骨格の1~10原子の各々が、独立して炭素原子またはヘテロ原子であり、各ヘテロ原子が、独立してO、S、S(O)、S(O)、Si(R、Ge(R、P(R)、またはN(R)であり、各Rが、独立して(C-C30)ヒドロカルビルまたは(C-C30)ヘテロヒドロカルビルであり、RおよびRが、独立して-H、(C--C40)ヒドロカルビル、(C-C40)ヘテロヒドロカルビル、-Si(R、-Ge(R、-P(R、-N(R、-OR、-SR、-NO、-CN、-CF、RS(O)-、RS(O)-、(RC=N-、RC(O)O-、ROC(O)-、RC(O)N(R)-、(RNC(O)-、ハロゲン、および式(II)、式(III)、または式(IV)を有するラジカルからなる群から選択される。
【化2】
【0035】
式(II)、(III)、および(IV)では、R31-35、R41-48、またはR51-59の各々は、独立して(C-C40)ヒドロカルビル、(C-C40)ヘテロヒドロカルビル、-Si(R、-Ge(R、-P(R、-N(R、-N=CHR、-OR、-SR、-NO、-CN、-CF、RS(O)-、RS(O)-、(RC=N-、RC(O)O-、ROC(O)-、RC(O)N(R)-、(RNC(O)-、ハロゲン、または-Hから選択され、RまたはRのうちの少なくとも1つが、式(II)、式(III)、または式(IV)を有するラジカルであることを条件とし、式中、R、R、およびRが、上に定義されるとおりである。
【0036】
式(I)では、R2-4、R5-7、またはR9-16の各々は、独立して(C-C40)ヒドロカルビル、(C-C40)ヘテロヒドロカルビル、-Si(R、-Ge(R、-P(R、-N(R、-N=CHR、-OR、-SR、-NO、-CN、-CF、RS(O)-、RS(O)-、(RC=N-、RC(O)O-、ROC(O)-、RC(O)N(R)-、(RNC(O)-、ハロゲン、および-Hから選択され、R、R、およびRが、上に定義されるとおりである。
【0037】
式(I)の金属-配位子錯体を含む触媒系は、オレフィン重合反応の金属系触媒を活性化するための当該技術分野で既知の任意の技術によって触媒的に活性にされ得る。例えば、式(I)の金属-配位子錯体を含むものは、錯体を活性化助触媒と接触させるか、または錯体を活性化助触媒と組み合わせることによって、触媒的に活性にされ得る。本明細書に使用するのに好適な活性化助触媒としては、アルキルアルミニウム、ポリマーまたはオリゴマーアルモキサン(アルミノキサンとしても知られる)、中性ルイス酸、および非ポリマー、非配位性、イオン形成化合物(酸化条件下でのそのような化合物の使用を含む)が挙げられる。好適な活性化技術は、バルク電気分解である。前述の活性化助触媒および技法のうちの1つ以上の組み合わせもまた企図される。「アルキルアルミニウム」という用語は、モノアルキルアルミニウムジヒドリドもしくはモノアルキルアルミニウムジハライド、ジアルキルアルミニウムヒドリドもしくはジアルキルアルミニウムハライド、またはトリアルキルアルミニウムを意味する。ポリマーまたはオリゴマーアルモキサンの例としては、メチルアルモキサン、トリイソブチルアルミニウム修飾メチルアルモキサン、およびイソブチルアルモキサンが挙げられる。
【0038】
ルイス酸活性剤(助触媒)は、本明細書に記載されるように、1~3個の(C-C20)ヒドロカルビル置換基を含有する第13族金属化合物を含む。第13族金属化合物の例としては、トリ((C-C20)ヒドロカルビル)-置換アルミニウム化合物、またはトリ((C-C20)ヒドロカルビル)-ホウ素化合物が挙げられる。第13族金属化合物の追加の例は、トリ(ヒドロカルビル)-置換アルミニウム、トリ((C-C20)ヒドロカルビル)-ホウ素化合物、トリ((C-C10)アルキル)アルミニウム、トリ((C-C18)アリール)ホウ素化合物、およびそれらのハロゲン化(過ハロゲン化を含む)誘導体である。第13族金属化合物の他の例は、トリス(フルオロ-置換フェニル)ボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランである。活性化助触媒は、トリス((C-C20)ヒドロカルビル)ボレート(例えばトリチルテトラフルオロボレート)またはトリ((C-C20)ヒドロカルビル)アンモニウムテトラ((C-C20)ヒドロカルビル)ボラン(例えば、ビス(オクタデシル)メチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)であり得る。本明細書で使用される場合、「アンモニウム」という用語は、((C-C20)ヒドロカルビル)、((C-C20)ヒドロカルビル)N(H)、((C-C20)ヒドロカルビル)N(H) 、(C-C20)ヒドロカルビルN(H) 、またはN(H) である窒素カチオンを意味し、各(C-C20)ヒドロカルビルは、2つ以上存在する場合、同じであっても、異なっていてもよい。
【0039】
中性ルイス酸活性剤(助触媒)の組み合わせとしては、トリ((C~C)アルキル)アルミニウムとハロゲン化トリ((C~C18)アリール)ホウ素化合物、とりわけ、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランとの組み合わせを含む混合物が挙げられる。他の例は、そのような中性ルイス酸混合物とポリマーまたはオリゴマーアルモキサンとの組み合わせ、および単一の中性ルイス酸、とりわけトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランとポリマーまたはオリゴマーアルモキサンとの組み合わせである。(金属-配位子錯体):(トリス(ペンタフルオロ-フェニルボラン):(アルモキサン)[例えば(第4族金属-配位子錯体):(トリス(ペンタフルオロ-フェニルボラン):(アルモキサン)]のモルの数の比は、1:1:1~1:10:30、または1:1:1.5~1:5:10であり得る。
【0040】
式(I)の金属-配位子錯体を含む触媒系を活性化して、1つ以上の助触媒、例えば、カチオン形成助触媒、強ルイス酸、またはそれらの組み合わせを組み合わせることによって、活性触媒組成物を形成することができる。好適な活性化助触媒としては、ポリマーまたはオリゴマーアルミノキサン、特にメチルアルミノキサン、ならびに不活性、相溶性、非配位性、イオン形成性化合物が挙げられる。例示的な好適な助触媒としては、変性メチルアルミノキサン(MMAO)、ビス(水素化タローアルキル)メチル、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(1)アミン、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
前述の活性化助触媒のうちの1つ以上を、互いに組み合わせて使用してもよい。トリ((C-C)ヒドロカルビル)アルミニウム、トリ((C-C)ヒドロカルビル)ボラン、またはホウ酸アンモニウムの混合物とオリゴマーまたはポリマーアルモキサン化合物との組み合わせが好ましい。式(I)の1つ以上の金属-配位子錯体の総モル数対活性化助触媒のうちの1つ以上の総モル数の比は、1:10,000~100:1である。比は、少なくとも1:5000、または少なくとも1:1000であり得、かつ10:1以下、または1:1以下であり得る。アルモキサン単独を活性化助触媒として使用するときに用いられるアルモキサンの好ましいモル数は、式(I)の金属-配位子錯体のモル数の少なくとも100倍であり得る。トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン単独を活性化助触媒として使用するとき、用いられ得るトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランのモル数対式(I)の1つ以上の金属-配位子錯体の総モル数は、0.5:1~10:1、1:1~6:1、または1:1~5:1の範囲である。残りの活性化助触媒は一般に、式(I)の1つ以上の金属-配位子錯体の総モル量におよそ等しいモル量で用いられる。
【0042】
繊維。
単独、または他の材料との組み合わせのいずれかの上記のエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、繊維の第1の領域を形成する。
【0043】
繊維の第1の領域の少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%(すべてのパーセントは、第1の領域の総重量に基づく重量パーセントである)は、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーであり得る。第1の領域の残りは、1つ以上の他のポリマーおよび/または1つ以上の添加剤などの追加の成分であり得る。他のポリマーは、別のポリエチレン(例えば、ポリエチレンホモポリマーまたはエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー)、プロピレン系ポリマー(例えば、ポリプロピレンホモポリマー、プロピレン-エチレンコポリマー、またはプロピレン/アルファ-オレフィンインターポリマー)であり得る。他のポリマーの量は、最大25%であり得る。可能性のある添加剤としては、帯電防止剤、発色向上剤、染料、潤滑剤、TiOまたはCaCOなどの充填剤、乳白剤、核剤、加工助剤、顔料、一次酸化防止剤、二次酸化防止剤、加工助剤、UV安定剤、ブロッキング防止剤、スリップ剤、粘着付与剤、難燃剤、抗菌剤、臭気低減剤、抗真菌剤、およびそれらの組み合わせが挙げられ得るが、これらに限定されない。エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーポリマー組成物は、そのような添加剤を含むエチレン系ポリマー組成物の重量に基づいて、合計約0.01、または約0.1、または約1~約25、または約20、または約15、または約10重量パーセントのそのような添加剤を含有し得る。
【0044】
本発明の繊維は、本発明に従ったエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー組成物を、単独で、または1つ以上のポリマーと組み合わせて、外層、例えばシースとして含み得る。本明細書で使用される場合、外層という用語は、繊維表面の少なくとも任意の一部分を指す。本発明の繊維は、本発明に従ったエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー組成物を、単独で、または1つ以上のポリマーと組み合わせて、内層、例えばコアとして含み得る。本発明の繊維は、第2の領域と並んだまたはセグメント化されたパイに隣接した、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーを含み得る。
【0045】
第2の領域は、エチレン/アルファオレフィンインターポリマーとは異なるポリマー組成物を含む。例えば、第2の領域は、上記の添加剤を含むかまたは含まずに、ポリプロピレンなどの異なるポリオレフィン、またはポリエチレンテレフタレートもしくはポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、またはそれらの組み合わせを含み得る。第2の領域は、好ましくは、少なくとも75、または少なくとも80、または少なくとも85、または少なくとも90、または少なくとも99重量パーセントのポリマー材料を含み、第2の領域の残りが、添加剤などの追加の成分であり得る。可能性のある添加剤としては、帯電防止剤、発色向上剤、染料、潤滑剤、TiOまたはCaCOなどの充填剤、乳白剤、核剤、加工助剤、顔料、一次酸化防止剤、二次酸化防止剤、加工助剤、UV安定剤、ブロッキング防止剤、スリップ剤、粘着付与剤、難燃剤、抗菌剤、臭気低減剤、抗真菌剤、およびそれらの組み合わせが挙げられ得るが、これらに限定されない。エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーポリマー組成物は、そのような添加剤を含むエチレン系ポリマー組成物の重量に基づいて、約0.01、または約0.1、または約1~約25、または約20、または約15、または約10重量パーセントの合計重量のそのような添加剤を含有し得る。
【0046】
第1の領域は、繊維の少なくとも20、または少なくとも30、または少なくとも40、または少なくとも50、または少なくとも60、または少なくとも70、または少なくとも80重量%であり得る。第1の領域は、繊維の最大80、またはn最大70、または最大60、または最大50、または最大40、または最大30、または最大20重量%であり得る。二成分繊維では、第2の領域は、繊維の少なくとも20、または少なくとも30、または少なくとも40、または少なくとも50、または少なくとも60、または少なくとも70、または少なくとも80重量%、かつ繊維の最大80、または最大70、または最大60、または最大50、または最大40、または最大30、または最大20重量%であり得る。あるいは、第1の成分または領域対第2の成分または領域の重量比は、少なくとも20/80、または少なくとも30/70、または少なくとも40/60であり得、かつ80/20以下、または70/30、または60/40以下である。
【0047】
本明細書で教示される繊維は、溶融紡糸を含む任意の従来の紡糸技術によって形成することができる。エチレン系ポリマー組成物は、異なる技術を介して、例えば溶融紡糸を介して、二成分繊維に形成される。そのような一成分繊維は、連続フィラメントであり得るか、あるいはステープル繊維であり得る。連続フィラメントをさらに捲縮および/または引き伸ばし、次いで切断してステープル繊維を生成することができる。例えば、ステープル繊維は、例えば、少なくとも0.2、または少なくとも0.5、または少なくとも1cm、かつ16以下、または12以下、または10cm以下の長さを有する長さを有し得る。
【0048】
溶融紡糸では、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー組成物、またはエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー組成物と1つ以上の他のポリマーとのブレンドは、溶融され、共押し出しされ、紡糸口金と呼ばれる金属板の微細なオリフィスを通って空気または他の気体中に押し出され、そこで冷却および固化されて、本発明の二成分繊維が形成される。固化したフィラメントは、エアジェット、回転ロール、またはゴデットを介して延伸され得、ウェブとしてコンベヤベルト上に敷かれ得る。
【0049】
本発明に従った本発明の二成分繊維は、不織布に形成され得る。本開示に従った不織布は、異なる技術を介して製造することができる。そのような方法としては、限定されないが、スパンボンドプロセス、カードウェブプロセス、ウェブを敷くためのエアレイドプロセスが挙げられ、ならびに限定されないが、サーモカレンダリングプロセス、接着剤結合プロセス、熱風結合プロセス、ニードルパンチプロセス、水流交絡プロセス、エレクトロスピニングプロセス、およびそれらの組み合わせを含む方法によって結合される。布地は、接着剤積層、熱積層、押し出し積層、ニードルパンチング、水流交絡、およびそれらの組み合わせなどの多様な積層技術において、他の不織布またはフィルムにさらに積層することができる。有利なことに、本明細書に開示の不織布は、スパンボンディングプロセスによって成分ポリマー材料(複数可)から直接形成することができる。スパンボンドプロセスでは、不織布の製造は以下の工程:(a)紡糸口金から1つ以上のポリマー組成物のストランドを押し出す工程、(b)一般に冷却されている空気流で1つ以上のポリマー組成物のストランドを急冷して、1つ以上のポリマー組成物の溶融ストランドの固化を促進する工程、(c)空気圧でフィラメントを空気流に同伴させるか、またはテキスタイル繊維業界で通常使用されているタイプの機械延伸ロールの周囲に巻き付けることによってのいずれかによって加えられ得る延伸張力で、急冷ゾーンを通してフィラメントを前進させることによって、フィラメントを減衰させる工程、(d)有孔表面、例えば、移動スクリーンまたは多孔性ベルト上で延伸ストランドをウェブに収集する工程、および(e)緩いストランドのウェブを不織布に結合する工程、を含む。結合は、熱カレンダプロセス、接着結合プロセス、熱風結合プロセス、ニードルパンチプロセス、水流交絡プロセス、およびそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない、様々な手段によって達成することができる。
【0050】
本明細書に開示の繊維は、以下の特徴を有する:
【0051】
繊維は、少なくとも3ミクロン、または少なくとも5ミクロン、または少なくとも10ミクロンかつ50ミクロン未満、または30ミクロン未満の直径を有し得る。
【0052】
繊維は、50g/9000m未満の範囲でフィラメント当たりのデニールのデニールを有し得る。50g/9000m未満のすべての個々の値および部分範囲が、本明細書に含まれ、本明細書に開示され、例えば、フィラメント当たりのデニールは、下限値0.1、0.5、1、5、10、15、17、20、25、30、33、40、または44g/9000m~上限値0.5、1、5、10、15、17、20、25、30、33、40、44、または50g/9000mであり得る。例えば、繊維は、40g/9000m未満の範囲のフィラメント当たりのデニールを有し得るか、あるいは繊維は、30g/9000m未満の範囲のフィラメント当たりのデニールを有し得るか、あるいは繊維は、20g/9000m未満の範囲のフィラメント当たりのデニールを有し得るか、あるいは繊維は、10g/9000m未満の範囲のフィラメント当たりのデニールを有し得るか、あるいは、繊維は、0.5~10g/9000mの範囲のフィラメント当たりのデニールを有し得る。
【0053】
本明細書に開示の不織布は、以下の特徴を有し得る:
【0054】
本明細書に開示の布地は、比較的高い巻縮を提供する。そのような低レベルのビニル不飽和は、エチレン系ポリマー組成物に改善された加工性を即時に提供するので、エチレン系ポリマー組成物中で低レベルのビニル不飽和もまた重要である。
【0055】
スパンボンド不織布は、多層または積層構造に形成することができる。そのような多層構造は、少なくとも2つ以上の層を含み、少なくとも1つ以上の層は、本明細書に開示のスパンボンド不織布であり、1つ以上の他の層は、1つ以上のメルトブロー不織布層、1つ以上のウェットレイド不織布層、1つ以上のエアレイド不織布層、任意の不織布または溶融紡糸プロセスによって生成された1つ以上のウェブである、1つ以上のフィルム層から選択される。キャストフィルム、ブローフィルム、例えば、押出コーティング、スプレーコーティング、グラビアコーティング、プリンティング、ディッピング、キスローリング、またはブレードコーティングを介したコーティング組成物に由来する1つ以上のコーティング層など。積層構造は、任意の数の結合方法、熱結合、接着剤積層、水流交絡、ニードルパンチを介して接合され得る。構造は、S~SX、またはSXX、または、SXXX、またはSXXXX、またはSXXXXXの範囲であり得、Sが、本明細書に開示の不織布であり、Xが、フィルム、コーティング、もしくは任意の組み合わせの他の不織布材料であり得るか、またはXのうちの1つ以上がまた、Sであり得る。追加のスパンボンド層は、本明細書に記載されるような、ならびに任意選択的に1つ以上のポリマーおよび/または添加剤と組み合わせた、エチレン系ポリマー組成物から作製され得る。
【0056】
ステープルまたはバインダ繊維の場合では、繊維は、ポリエチレン(PE)、PP、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの合成繊維、またはセルロース、レーヨン、もしくは綿などの天然繊維を含む多様な他の繊維と混合され得る。これらの繊維は、不織布ウェブにウェットレイド、エアレイド、またはカーディングすることができる。その後、不織布ウェブを他の材料に積層することができる。
【0057】
スパンボンド不織布は、おむつ、女性用衛生用品、成人用失禁用品、ワイプ、包帯、創傷包帯などの衛生吸収性製品、使い捨てスリッパと履物、隔離ガウン、手術用ガウン、手術用ドレープとカバー、手術用スクラブスーツ、キャップ、マスク、医療用パッケージなどの医療用用途など、様々な最終用途に使用することができるが、これらに限定されない。
【0058】
繊維は、少なくとも2、または少なくとも2.5、または少なくとも3mm-1の曲率(曲線の半径の逆数)を特徴とし得る。例えば、ポリプロピレンコア上のシースとして本明細書に記載のエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーを有する繊維は、約0.1~0.3(または0.14~0.28)MPaの圧力で約4/1の長さ対直径比を有するダイを通して230~250℃(好ましくは約240℃)の温度で押し出されると、少なくとも2、または少なくとも2.5、または少なくとも3の曲率を有し得る。これらの条件下では、曲率は、最大15または12mm-1であり得る。別の例として、ポリプロピレンコア上のシースとして本明細書に記載のエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーを有する繊維は、約0.1~0.3(または0.14~0.28)MPaの圧力で約4/1の長さ対直径比を有するダイを通して200~220℃(好ましくは約210℃)の温度で押し出されると、少なくとも2の曲率を有し得る。
【0059】
試験方法
密度
エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーの密度測定は、ASTM D792、方法Bに従って行った。
【0060】
メルトインデックス(I2)および(I10)
エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーのメルトインデックス(I2)値は、ASTM D1238に従って、190℃、2.16kgで測定する。同様に、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーのメルトインデックス(I10)値は、ASTM D1238に従って、190℃、10kgで測定する。値はg/10分で報告し、これは10分当たりに溶出したグラムに対応する。
動的機械分光法(DMS)
【0061】
試料を、10MPaの圧力下で、177℃で5分間、厚さ3mm×直径25mmの円形プラークに圧縮成形する。次いで、試料を圧縮機から取り出し、カウンター上に置いて冷却する。圧縮成形したプラークに、窒素パージ下で、25mm平行プレートを備えたARESひずみ制御レオメータ(TA Instruments)を用いて一定温度周波数掃引測定を実施する。各測定では、レオメータを少なくとも30分間熱的に平衡化し、その後ギャップをゼロ点規正する。試料ディスクをプレート上に置き、190℃で5分間溶融させる。次いで、プレートを2mmのギャップまで閉じ、試料をトリミングし、次いで試験を開始する。温度平衡を可能にするために、その方法をさらに5分間の遅延を組み込んでもよい。実験は、190℃で、0.1~100ラジアン/秒の周波数範囲にわたり、10間隔ごとに5つの点で実施する。ひずみ振幅は、10%で一定である。振幅および相に関して応力応答を分析し、それから貯蔵弾性率(G’)、損失弾性率(G”)、複素弾性率(G*)、動的粘度(η*)、およびtanδ(またはタンデルタ)を計算する。1ラジアン/秒のタンデルタおよび100ラジアン/秒のタンデルタが得られる。
【0062】
改善されたコモノマー組成分布(ICCD)
改善されたコモノマー組成分布(ICCD)試験を、IR-5検出器(PolymerChar(Spain))および二角度光散乱検出器モデル2040(Precision Detectors、現在はAgilent Technologies)を備えたCrystallization Elution Fractionation機器(CEF)(PolymerChar(Spain))を用いて実施する。ICCDカラムには、金でコーティングしたニッケル粒子(Bright 7GNM8-NiS、Nippon Chemical Industrial Co.)を15cm(長さ)×1/4インチ(ID)のステンレス管に充填する。カラムの充填およびコンディショニングは、参考文献(Cong,R;Parrott,A.;Hollis,C.;Cheatham,M.WO2017040127A1)に従ったスラリー方法を用いる。トリクロロベンゼン(TCB)スラリー充填の最終圧力は、150バールである。カラムは、検出器オーブンのIR-5検出器の直前に設置する。溶出液として、オルト-ジクロロベンゼン(ODCB、99%無水グレードまたはテクニカルグレード)を使用する。シリカゲル40(粒径0.2~0.5mm、カタログ番号10181-3)をEMD Chemicalsから入手し、ODCB溶媒の乾燥に使用することができる。ICCD機器は、窒素(N)パージ機能を有するオートサンプラを備える。使用前に、乾燥NとともにODCBを1時間スパージする。試料調製は、オートサンプラを160℃で1時間振とうさせながら、4mg/ml(特記しない限り)で行う。注入量は300μlである。ICCDの温度プロファイルは、3℃/分で105℃~30℃での結晶化、次いで30℃で2分間の熱平衡(2分に設定した可溶性画分溶出時間を含む)、続いて3℃/分で30℃~140℃での加熱である。溶出中の流量は、0.50ml/分である。データは、1つのデータ点/秒で収集する。カラム温度較正は、標準物質の直鎖状ホモポリマーポリエチレン(ゼロのコモノマー含有量、1.0g/10分のメルトインデックス(I)、従来のゲル浸透クロマトグラフィーによるおよそ2.6の多分散度Mw(GPC)/Mn(GPC)を有する、1.0mg/mL)、およびODCB中のエイコサン(2mg/mL)の混合物を使用して実施することができる。ICCD温度較正は、(1)エイコサンの測定されたピーク溶出温度から30.00℃を差し引いた間の温度オフセットとして定義される、遅延体積を計算する工程、(2)溶出温度の温度オフセットを、ICCD未修正温度データから除算する工程。(この温度オフセットは、溶出温度、溶出流量などの実験条件の関数であることに留意する)、(3)直鎖状ホモポリマーポリエチレン標準物質が101.0℃でピーク温度を有し、エイコサンが30.0℃のピーク温度を有するように、30.00℃~140.00℃の範囲にわたる溶出温度を変換する線形較正直線を作成する工程、(4)30℃で等温的に測定された可溶性画分について、参考文献(Cerk and Cong et al.,US9,688,795)に従って3℃/分の溶出加熱速度を使用することによって、30.0℃未満の溶出温度を直線的に外挿する工程、の4つの工程からなる。
【0063】
ICCDのコモノマー含有量の検量線(溶出温度(T)に対するモルパーセントでのコモノマー含有量)は、既知のコモノマー含有量を有する12個の標準物質(直鎖状エチレンホモポリマー、およびシングルサイトメタロセン触媒で作製した35,000~128,000g/molの範囲の重量平均分子量を有する11個のエチレン-オクテンランダムコポリマー)を使用することによって行う。これらの標準物質はすべて、4mg/mLで以前に指定したのと同じ方式で分析する。モルパーセントでのコモノマー含有量および溶出曲線上のそのピーク温度は、以下のとおりである。
【数2】
【0064】
ICCD溶出プロファイルにおけるピークおよび半値全幅の決定
単一のベースラインをIR測定シグナルから除算して、その最低および最高溶出温度(典型的には35℃~119℃)においてゼロ相対質量で開始および終了する相対質量溶出プロファイルプロットを作成する。便宜上、これは1に等価な全体の面積に対して正規化された量として表す。ICCDからの相対質量溶出プロファイルプロットでは、各温度(T)での重量分率(w(T))を得ることができる。プロファイル(w(T)vs.T))は、ICCDからの温度工程を0.200℃上昇させながら35.0℃~119.0℃であり、以下のものである。
【数3】
【0065】
(T)vs.T溶出プロファイルでは、単一のピークは、中央に1つの最高点を有し、両側(低温側および高温側)に2つの最低点を有する曲線として定義される。2つの最低点の両方の高さは、最高点の高さよりも少なくとも10%低い必要がある。最低点の一方または両方が、最高点の高さよりも10%未満低い高さを有する場合、すなわち、最低点の一方または両方が、最高点の高さの90%超の高さを有する場合、そのような曲線は、別のピークに関連するショルダーと見なされるが、ピーク自体ではない。次いで、各個別のピークを、w(T)vs.T溶出プロファイルプロットにおけるそのピークの最大高さの50%での摂氏度で幅を測定する。この幅は、ピークの半値全幅と呼ばれる。
【0066】
ICCD溶出プロファイルが複数のピークを有する場合、ピーク間の分離点(T分離)は、隣接する2つのピークの最低点として定義することができる。n番目のピーク(WTピークn)の重量分率は、以下の等式に従って計算することができる。
【数4】
式中、ピーク1、ピーク2、…、およびピークnは、低温から高温の順のピークであり、T分離、nは、nピークとn+1ピークとの間の分離点である。
【0067】
半値全幅は、その個々のピークの最大ピーク高さの半分での前部温度の第1の交点と後部温度の第1の交点との間の温度差として定義される。最大ピークの半分での前部温度は35.0℃から前方に検索され、最大ピークの半分の後部温度は、119.0℃から後方に検索される。
【0068】
コモノマー分布定数(CDC)
コモノマー分布定数(CDC)は、図1にグラフで示されている以下の工程に従って、ICCDによるw(T)vs.T溶出プロファイルから計算する。
(1)35.0℃~119.0℃の範囲で、温度工程を0.200℃上昇させながらICCDからw(T)vs.T溶出プロファイルを得る工程。35℃~119℃での総重量分率を1.0に正規化し、等式2に従う必要がある。
(2)以下の式に従って、累積重量分率0.500での温度中央値(T中央値)を計算する工程、
【数5】
(3)等式1に従い、コモノマー含有量検量線を使用することによって、中央温度(T中央)におけるモル%での対応する中央コモノマー含有量(C中央)を計算する工程。
(4)組成分布幅指数(CDBI)は、35.0℃~119.0℃の、0.5*C中央~1.5*C中央の範囲のコモノマー含量を有するポリマー鎖の総重量分率として定義される。式1に基づいて、0.5*C中央に対応する温度T1、および1.5*C中央に対応する温度T2を見出す工程。組成分布幅指数(CDBI)は、次のようにT1とT2との間の重量分率(w(T))vs.温度(T)プロットから得ることができる。
【数6】
中央が98.0℃より高い場合、組成分布幅指数(CDBI)は、0.95として定義される。
(5)35.0℃~119.0℃における最高ピークでの各データ点を検索することにより、ICCDのw(T)vs.Tプロファイルから最大ピーク高さ(T)での温度を得(2つのピークが同一の高さである場合、低温ピークを選択する)、ピーク温度の差が各ピークの半値全幅の合計の1.1倍以上のとき、インターポリマー組成物の半値幅は、各々のピークの半値全幅の算術平均として計算する工程。ピーク温度の差が、各ピークの半値全幅の合計の1.1倍未満である場合、インターポリマー組成物の半値幅は、最高温度ピークの半値全幅として定義される。
(6)以下の式に従って温度の標準偏差(Stdev)を計算する工程。
【数7】
(7)コモノマー分布定数(CDC)を、以下の等式から計算する工程
【数8】
【0069】
従来のゲル浸透クロマトグラフィー(従来型GPC)およびMWCDI
クロマトグラフのシステムは、内蔵型IR5赤外線検出器(IR5)を備えたPolymerChar GPC-IR(Valencia,Spain)高温GPCクロマトグラフからなる。オートサンプラのオーブンコンパートメントは、160℃に設定し、カラムコンパートメントは、150℃に設定する。使用したカラムは、4つのAgilent「Mixed A」30cm、20ミクロンの直線混合床カラムである。使用したクロマトグラフの溶媒は、1,2,4トリクロロベンゼンであり、200ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有する。溶媒源は窒素注入される。使用される注入体積は、200マイクロリットルであり、流量は、1.0ミリリットル/分である。
【0070】
GPCカラムセットの較正は、580~8,400,000g/molの範囲の分子量を有し、個々の分子量間に少なくとも10の間隔を空けて、6つの「カクテル」混合物中に配置した、少なくとも20の狭い分子量分布ポリスチレン標準物質を用いて実施する。標準物質はAgilent Technologiesから購入する。ポリスチレン標準物質は、1,000,000g/mol以上の分子量の場合は「50ミリリットルの溶媒中0.025グラム」で、および1,000,000g/mol未満の分子量の場合は「50ミリリットルの溶媒中0.05グラム」で調製する。80℃で穏やかに30分間撹拌しながら、ポリスチレン標準物質を溶解する。ポリスチレン標準ピーク分子量を、以下の等式を使用してエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー分子量に変換する(Williams and Ward,J.Polym.Sci.,Polym.Let.,6, 621(1968)に記載されている)。
ポリエチレン=A×(ポリエチレン)(等式7)
式中、Mは分子量であり、Aは0.4315の値を有し、Bは1.0に等しい。
【0071】
五次多項式を使用して、それぞれのエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーに等価な較正点を適合させる。NIST標準NBS1475を52,000g/molの分子量で得られるように、Aに対してわずかな調整(約0.39~0.44)を行い、カラム分解能およびバンド広がり効果を補正する。
【0072】
GPCカラムセットの合計プレートカウントは、(「50ミリリットルのTCB中0.04g」で調製し、穏やかに撹拌しながら20分間溶解した)エイコサンを用いて実施する。プレートカウント(等式8)および対称性(等式9)を、以下の等式に従って200マイクロリットルの注入で測定する。
【数9】
式中、RVはミリリットルでの保持体積であり、ピーク幅はミリリットルであり、ピーク最大値はピークの最大高さであり、半分の高さはピーク最大値の1/2の高さである。
【数10】
式中、RVはミリリットルでの保持体積であり、ピーク幅はミリリットルであり、ピーク最大値はピークの最大位置であり、1/10の高さはピーク最大値の1/10の高さであり、リアピークはピーク最大値よりも後の保持体積でのピークテールを指し、フロントピークはピーク最大値よりも前の保持体積でのピークフロントを指す。クロマトグラフィーシステムのプレート計数は22,000超であるべきであり、対称性は0.98~1.22であるべきである。
【0073】
試料はPolymerChar「Instrument Control」ソフトウェアを用いて半自動式で調製する。これは、試料の目標重量を2mg/mlとし、PolymerChar高温オートサンプラを介して、予め窒素注入されたセプタキャップ付きバイアルに溶媒(200ppmのBHTを含有)を添加する。試料を、「低速」振とう下で、160℃で3時間溶解させる。
【0074】
n(GPC)、Mw(GPC)、およびMz(GPC)の計算は、PolymerChar GPCOne(商標)ソフトウェア、等間隔の各データ収集点i(IR)でベースラインを除算したIRクロマトグラム、および等式7からの点iの狭い標準検量線から得たエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー等価分子量(g/molでのMポリエチレン、i)を使用して、等式11a~cに従うPolymerChar GPC-IRクロマトグラフの内蔵型IR5検出器(測定チャネル)を使用したGPCの結果に基づく。続いて、GPC分子量分布(GPC-MWD)プロット(wtGPC(lgMW)vs.lgMWプロット(wtGPC(lgMW)が、lgMWの分子量を有するインターポリマー分子の重量分率である))を得ることができる。分子量はg/molであり、wtGPC(lgMW)は等式10に従う。
【数11】
【0075】
数平均分子量Mn(GPC)、重量平均分子量Mw(GPC)およびz平均分子量Mz(GPC)は、以下の等式のように計算することができる。
【数12】
【数13】
【数14】
【0076】
経時的な偏差をモニタリングするために、PolymerChar GPC-IRシステムで制御されたマイクロポンプを介して各試料に流量マーカー(デカン)を導入する。この流量マーカー(FM)を使用して、試料(RV(FM試料))内のそれぞれのデカンピークのRVを、狭い標準較正(RV(FM較正))内のデカンピークのRVと整列させることによって、各試料のポンプ流量(流量(公称))を線形に補正する。次いで、デカンマーカーピークの時間におけるあらゆる変化は、実験全体の流量(流量(有効))における線形シフトに関連すると仮定する。流量マーカーピークのRV測定の最高精度を促進するために、最小二乗フィッティングルーチンを使用して、流量マーカー濃度クロマトグラムのピークを二次方程式に適合する。次に、二次方程式の一次導関数を使用して、真のピーク位置を求める。流量マーカーピークに基づいてシステムを較正した後、(狭い標準較正に関して)有効流量を等式12のように計算する。流量マーカーピークの処理は、PolymerChar GPCOne(商標)ソフトウェアを介して行う。許容可能な流量補正は、有効流量が公称流量の0.5%以内であるようになされる。
流量有効=流量公称××(RV(FM較正済み)/RV(FM試料))(等式12)
【0077】
IR5検出器比の較正は、少なくとも8個のエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー標準物質(1つのポリエチレンホモポリマーおよび7つのエチレン/オクテンコポリマー)のホモポリマー(0SCB/1000個の総C)~およそ50SCB/1000個の総C(式中、総C=骨格中の炭素+分岐中の炭素)の範囲の既知の短鎖分岐(SCB)頻度(13C NMR方法で測定される)を使用して実施することができる。各標準物質は、GPCによって決定して、36,000g/mol~126,000g/molの重量平均分子量を有する。各標準物質は、GPCによって決定して、2.0~2.5の分子量分布(Mw(GPC)/Mn(GPC))を有する。「IR5メチルチャネルセンサのベースラインを除算した面積応答」対「IR5測定チャネルセンサのベースラインを除算した面積応答」の「IR5面積比(または「IR5メチルチャネル面積/IR5測定チャネル面積」)」(PolymerCharによって供給される標準フィルターおよびフィルターホイール:部品番号IR5_FWM01は、GPC-IR機器の一部として含まれる)を、「SCB」標準物質の各々について計算する。「IR5面積比」に対するSCB頻度の直線適合は、以下の等式の形態で構築する。
SCB/1000個の総C=A+[Ax(IR5メチルチャネル面積/IR5測定チャネル面積)](等式13)
式中、Aはゼロの「IR5面積比」における「SCB/1000合計C」の切片であり、Aは「SCB/1000合計C」対「IR5面積比」の傾きであり、「IR5面積比」の関数としての「SCB/1000合計C」の増加を表す
【0078】
「IR5メチルチャネルセンサ」によって生成したクロマトグラムについての一連の直線ベースラインを除算したクロマトグラフィーの高さを、カラム溶出体積の関数として確立して、ベースライン補正クロマトグラム(メチルチャネル)を生成する。「IR5測定チャネル」によって生成したクロマトグラムについての一連の直線ベースラインを除算したクロマトグラフィーの高さを、カラム溶出体積の関数として確立して、ベースライン補正クロマトグラム(測定チャネル)を生成する。
【0079】
「ベースライン補正クロマトグラム(メチルチャネル)」対「ベースライン補正クロマトグラム(測定チャネル)」の「IR5高さ比」は、試料積分境界にわたって各カラム溶出体積指数(各々等間隔に離間した指数、1ml/分の溶出における1秒当たりの1データ点を表す)で計算する。「IR5高さ比」に係数A1を乗算し、係数A0をこの結果に加算して、試料の予測SCB頻度を生成する。以下の等式14のように、結果をモルパーセントコモノマーに変換する。
モルパーセントコモノマー={SCB/[SCB+((1000-SCB*コモノマーの長さ)/2)]}*100(等式14)
式中、「SCB」は、「1000個の総C当たりのSCB」であり、「コモノマーの長さ」は、コモノマーの炭素数、例えば、オクテンでは8、ヘキセンでは6などである。
【0080】
Williams and Wardの方法(上記、等式7)を使用して各溶出体積指数を分子量値(Mwi)に変換する。「モルパーセントコモノマー」を、Ig(Mwi)の関数としてプロットし、傾きは、20,000のMwi~200,000g/molのMwiで計算する(鎖末端に対する末端基の補正はこの計算では省略する)。線形回帰を使用して、20,000~200,000g/molのMwi間の傾きを計算し、濃度クロマトグラムの高さ(wtGPC(lgMW)vs.lgMWプロット)が、クロマトグラムのピーク高さの少なくとも10%である。この傾きは、分子量でのコモノマー分布指数(MWCDI)として定義される。
【0081】
ゼロ剪断粘度比(ZSVR)
ゼロ剪断粘度比は、以下の等式に従って、等価重量平均分子量(Mw(GPC))での分岐ポリエチレン材料のゼロ剪断粘度(ZSV)対直鎖状ポリエチレン材料のZSVの比(ANTECの議事録を参照されたい)として定義される。
【数15】
【0082】
インターポリマーのZSV値(η0B)を、下述の方法を介して190℃でのクリープ試験から得る。Mw(GPC)値は、上に論じた従来のGPC法(等式11b)によって決定する。直鎖状ポリエチレンのZSV(η0L)とそのMw(GPC)との間の相関性は、一連の直鎖状ポリエチレン標準物質に基づいて確立する。ZSV-Mw(GPC)の関係性についての説明は、ANTECの議事録:Karjala et al.,Detection of Low Levels of Long-chain Branching in Polyolefins,Annual Technical Conference-Society of Plastics Engineers(2008),66th 887-891に見出すことができる。
【0083】
クリープ試験
インターポリマーのZSV値(η0B)は、DHR(TA Instrument)を使用して、窒素環境中190℃での一定応力レオメータクリープ試験から得る。互いに平行に配置された2つの直径25mmのプレート固定具の間の流れを試料に施す。試料は、インターポリマーのペレットを約1.5~2.0mmの厚さの円形プラークに圧縮成形することによって調製する。プラークを直径25mmのディスクにさらにカットし、TA Instrumentのプレート固定具の間に挟む。試料を充填した後、プレート固定具間のギャップを1.5mmに設定する前に、TA Instrumentのオーブンを5分間閉じ、オーブンを開いて試料の縁部をトリミングし、オーブンを再び閉じる。クリープ試験の前後に、190℃、300秒の浸漬時間、および10%のひずみで0.1~100ラジアン/秒の対数周波数掃引を行い、試料が劣化したかどうかを決定する。定常状態の剪断速度がニュートン領域にあるのに十分に低いことを確実にするために、試料のすべてに20Paの一定の低剪断応力を加える。定常状態は、「lg(J(t))vs.lg(t)」(式中、J(t)がクリープコンプライアンスであり、tがクリープ時間である)のプロットの最後の10%の時間枠内のデータについて線形回帰を取ることによって決定する。線形回帰の傾きが0.97より大きい場合、定常状態に達したと見なし、次いでクリープ試験を停止する。この試験におけるすべての場合において、傾きは、1時間以内に基準を満たす。定常状態の剪断速度は、「εvs.t」(式中、εがひずみである)のプロットの最後の10%の時間枠内のデータ点のすべての線形回帰の傾きから決定する。ゼロ剪断粘度は、加えられた応力の定常状態の剪断速度に対する比から決定される。
【0084】
H NMR法
原液(3.26g)を10mmのNMR管内の0.133gのポリマー試料に添加する。原液は、テトラクロロエタン-d2(TCE)およびペルクロロエチレン(重量で50:50)と、0.001MのCr3+との混合物である。管内の溶液を5分間Nでパージして酸素量を減少させる。蓋をした試料管を室温で一晩放置して、ポリマー試料を膨潤させた。試料を110℃で周期的にボルテックス混合しながら溶解させる。試料は、不飽和の一因となり得る添加剤、例えばエルカミドなどのスリップ剤を含まない。各H NMR分析を、Bruker AVANCE 400MHz分光計で、120℃の10mmの凍結プローブを用いて実行する。
【0085】
不飽和度を測定するために2つの実験:1つは対照実験、もう1つは二重事前飽和実験を実行する。対照実験では、データは1Hzの線幅広幅化を用いる指数ウィンドウ関数で処理し、ベースラインは約7~-2ppmに補正する。TCEの残留1Hからのシグナルを100に設定し、対照実験でのポリマー全体からのシグナルとして-0.5~3ppmの積分値(Itotal)合計を使用する。ポリマー中の総炭素数NCは、等式16に従って計算する。
NC=I合計/2(等式16)
【0086】
二重事前飽和実験では、データは1Hzの線幅広幅化を用いる指数ウィンドウ関数で処理し、ベースラインは約6.6~4.5ppmに補正する。TCEの残留Hからのシグナルを100に設定し、不飽和についての対応する積分値(Iビニレン、I三置換体、Iビニル、およびIビニリデン)を積分する。ポリエチレン不飽和を決定するためにNMR分光法を使用することは周知であり、例えば、Busico,V.,et al.,Macromolecules,2005,38,6988を参照されたい。ビニレン、三置換体、ビニル、およびビニリデンの不飽和単位の数を、以下のように計算する:
ビニレン=Iビニレン/2(等式17)、
三置換体=I三置換体(等式18)、
ビニル=Iビニル/2(等式19)、
ビニリデン=Iビニリデン/2(等式20)。
【0087】
総炭素1,000個当たりの不飽和単位、すなわち、骨格および分岐を含むすべてのポリマー炭素は、次のように計算する:
ビニレン/1,000C=(Nビニレン/NC)*1,000(等式21)、
三置換体/1,000C=(N三置換体/NC)*1,000(等式22)、
ビニル/1,000C=(Nビニル/NCH)*1,000(等式23)、
ビニリデン/1,000C=(Nビニリデン/NC)*1,000(等式24)。
【0088】
TCE-d2からの残留プロトンからのHシグナルでは、化学シフト標準を6.0ppmに設定する。制御は、ZGパルス、NS=4、DS=12、SWH=10,000Hz、AQ=1.64秒、D1=14秒で実行する。二重事前飽和実験は、O1P=1.354ppm、O2P=0.960ppm、PL9=57db、PL21=70db、NS=100、DS=4、SWH=10,000Hz、AQ=1.64秒、D1=1秒(D1が事前飽和時間である)、D13=13秒の修正パルスシーケンスで実行する。
【0089】
13C NMR法
0.025MのCr(AcAc)を含有するテトラ-クロロエタン-d2/オルトジクロロベンゼンのおよそ3gの50/50混合物を、Norell 1001-7 10mmのNMRチューブ内のポリマー試料0.25gに添加することによって、試料を調製する。窒素で管ヘッドスペースをパージすることにより、試料から酸素を除去する。次いで、加熱ブロックおよびヒートガンを使用して、チューブおよびその内容物を約150℃に加熱することにより、試料を溶解し、均質化する。各試料を目視検査して、均質性を確実にする。試料は分析の直前に完全に混合し、加熱したNMRプローブに挿入される前に冷却しない。これは、試料が均質かつ全体を代表するものであることを確実にするために必要である。すべてのデータは、Bruker凍結プローブを備えたBruker 400MHz分光計を使用して収集する。データは、6秒パルス反復遅延、90度フリップ角、および120℃の試料温度を用いた逆ゲート付きデカップリングを使用して取得する。すべての測定をロックモードの非回転試料で行う。試料を、データ取得前に7分間熱平衡化させる。13C NMR化学シフトは30ppmでのEEEトライアドを内部参照とする。
【0090】
C13 NMRコモノマー含有量:ポリマー組成物を決定するためにNMR分光法を使用することはよく知られている。ASTM D 5017-96、”NMR and Macromolecules”ACS Symposium series 247においてJ.C.Randall et al.が、J.C.Randall,Ed.,Am.Chem.Soc.,Washington,D.C.,1984,Ch.9、および”Polymer Sequence Determination”,Academic Press,New York(1977)においてJ.C.Randallが、NMR分光法によるポリマー分析の一般的な方法を提供している。
【0091】
デニールの測定
繊維サイズは、光学顕微鏡を介して測定する。デニール(9000メートルのそのような繊維の重量として定義される)は、各ポリマー成分の密度および繊維サイズに基づいて計算する。
【0092】
巻縮
巻縮は、光学顕微鏡を介して測定する。巻縮(繊維の曲率として定義される)は、繊維によって形成されるおよそのらせんの半径の逆数に基づいて計算する。これは、繊維によって形成されるおよそのらせんをそれに垂直な表面に投影することによって形成される円の半径に等しい。少なくとも5つの試料の平均値を報告する
【実施例
【0093】
実施例1 エチレン/アルファオレフィンポリマーの合成
すべての原料(エチレンモノマーおよび1-オクテンコモノマー)およびプロセス溶媒(狭い沸点範囲の高純度イソパラフィン溶媒、ExxonMobil Chemicalから市販の製品名称Isopar-E)をモレキュラーシーブで精製し、その後反応環境に導入する。水素は、高純度グレードとして加圧されて供給され、それ以上精製されない。反応器エチレン供給流を、機械圧縮機を介して反応圧力よりも高い圧力に加圧する。溶媒およびコモノマーの供給は、ポンプを介して反応圧力以上に加圧される。個々の触媒成分を、精製された溶媒を用いて好適な成分濃度まで手動でバッチ希釈し、反応圧力よりも高い圧力に加圧する。すべての反応供給流は、質量流量計を用いて測定し、コンピュータにより自動化された弁制御システムによって独立して制御される。
【0094】
2つの反応器システムを直列構成で使用する。各連続溶液重合反応器は、熱を除去する連続撹拌タンク反応器(CSTR)を再現する、液体が充填された非断熱、等温循環ループ反応器からなる。すべての新鮮な溶媒、エチレン、水素、および触媒成分供給物の独立した制御が可能である。供給流を熱交換器に通過させることによって、各反応器への全新鮮供給流(溶媒、エチレン、1-オクテン、および水素)を、単一の溶液相に維持するように温度制御する。各重合反応器への全新鮮供給物を、各注入場所の間でほぼ等しい反応器体積で、2つの場所で反応器に注入する。新鮮供給物を制御し、各注入器は、全新鮮供給物質量流量の半分を受容する。触媒成分は、特別に設計された注入ストリンガーを通って重合反応器に注入される。主要な触媒(プレ触媒)成分供給物は、各反応器のエチレン転化を特定の目標で維持するようにコンピュータ制御する。主要な触媒(プレ触媒)成分に対して計算された特定のモル比に基づいて、助触媒成分を供給する。各々の反応器供給注入場所の直後に、供給流を循環重合反応器の内容物と静的混合要素を用いて混合する。各反応器の内容物を反応熱の大部分を除去する役割を果たす熱交換器に通して、および特定温度で等温反応環境を維持する役割を果たす冷却剤側の温度で連続的に循環させる。各反応器ループの周りの循環は、ポンプによって提供される。
【0095】
二重直列反応器構成では、第1の重合反応器からの(溶媒、エチレン、1-オクテン、水素、触媒成分、およびポリマーを含有する)流出液は、第1の反応器ループを出て、第2の反応器ループに添加される。
【0096】
第2の反応器流出液は、水の添加および水との反応によって不活性化されるゾーンに入る。触媒の不活性化および添加剤の添加に続いて、反応器流出液は、ポリマーが非ポリマー流から除去される脱揮発システムに入る。単離されたポリマー溶融物を、ペレット化して収集する。非ポリマー流は、システムから除去されるエチレンの大部分を分離する様々な機器を通過する。溶媒および未反応な1-オクテンの大部分は、精製システムを通過した後、反応器に再循環される。少量の溶媒および1-オクテンをプロセスからパージする。
【0097】
実施例を生成するために使用した、表1の値に対応する反応器流供給データフロー。データは、溶媒再循環システムの複雑さが考慮され、反応システムが貫流フローダイアグラムとしてより簡単に処理できるように表示される。使用した触媒成分を、表2に参照する。
【0098】
上に記載の方法に従って様々な特性について、作製したポリマーを試験した。加えて、両方ともThe Dow Chemical CompanyからのASPUN(商標)6835単峰性エチレン/1-オクテンコポリマー、およびASPUN(商標)6000二峰性エチレン/1-オクテンコポリマー。結果を表3に示す。
【表1】
【表2】

【表3】
【0099】
実施例2-繊維の調製
繊維は、Hills Bicomponent Continuous Filament Fiber Spinning Lineで紡糸する。高度に偏心したコアシース構成を有する二成分繊維は、Exxon 3854 PPコア、およびシースとしてエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーのうちの1つで作製した。繊維は、以下の条件に従ってHills Lineで紡糸した。押出機プロファイルは、240℃の溶融温度を達成するように調整する。各穴のスループットレートは、0.5ghm(1時間当たり1分当たりのグラム数)である。1つの押出機ではExxon 3854 PPを用い、別の押出機ではエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーを用い、Hills Bicomponentダイを使用し、40/60コア/シース比(重量)で操作する。ダイは、0.6mmの穴の直径、および5/1の長さ/直径(L/D)を有する、144個の穴からなる。急冷空気温度および流量は、それぞれ15~18℃、および520cfm(1分当たり立方フィート)に設定する。急冷ゾーンの後、スロットユニット内で空気圧を用いてフィラメントを空気流に同伴させることによって、144本のフィラメントに延伸張力を加える。気流の速度は、スロットアスピレータの圧力によって制御する。
【0100】
表4に、実施例1、ASPUN(商標)6835およびASPUN(商標)6000で作製した二成分繊維の曲率を示す。実施例1で作製した二成分繊維は、ASPUN(商標)6835およびASPUN(商標)6000で作製した試料よりも明らかに高い曲率を示している。
【表4】
【0101】
実施例3-繊維の調製
繊維は、Hills Bicomponent Continuous Filament Fiber Spinning Lineで紡糸する。高度に偏心したコアシース構成を有する二成分繊維は、Exxon 3854 PPコア、およびシースとしてエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーのうちの1つを使用して作製した。繊維は、以下の条件に従ってHills Lineで紡糸した。押出機プロファイルは、210℃の溶融温度を達成するように調整する。各穴のスループットレートは、0.5ghm(1時間当たり1分当たりのグラム数)である。1つの押出機ではExxon 3854 PPを用い、別の押出機ではエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーを用い、Hills Bicomponentダイを使用し、40/60コア/シース比(重量)で操作する。ダイは、0.6mmの穴の直径、および5/1の長さ/直径を有する、144個の穴からなる。急冷空気温度および流量は、それぞれ15~18℃、および520cfm(1分当たり立方フィット)に設定する。急冷ゾーンの後、スロットユニット内で空気圧を用いてフィラメントを空気流に同伴させることによって、144本のフィラメントに延伸張力を加える。気流の速度は、スロットアスピレータの圧力によって制御する。
繊維実施例の曲率を、表5に示す。
【表5】

本願は以下の態様にも関する。
(1)繊維重心を有し、第1の重心を有する第1の領域と、第2の重心を有する第2の領域と、を含み、前記第1の領域が、前記第1の領域の総重量に基づいて少なくとも75重量パーセントの量のエチレン/アルファオレフィンインターポリマー組成物を含み、前記エチレン/アルファオレフィンインターポリマー組成物が、改善されたコモノマー組成分布(ICCD)手順を介した溶出プロファイルにおける低温ピークおよび高温ピークを特徴とし、前記高温ピークの半値全幅が、6.0℃未満であり、前記第2の領域が、前記第1の領域の前記エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーとは異なるポリマーを含む材料であり、前記第1の重心および前記第2の重心のうちの少なくとも1つが、前記繊維重心と同じではないように前記領域が配置されている、巻縮繊維。
(2)前記エチレン/アルファオレフィンインターポリマー組成物が、0.930~0.965g/cm の範囲の密度、10~60g/10分の範囲のメルトインデックス(I2)(前記I2が、ASTMD1238、190C、2.16kgに従って測定される)、重量平均分子量対数平均分子量の比(Mw(GPC)/Mn(GPC))として表される1.5~2.5の範囲の分子量分布、1ラジアン/秒で少なくとも50のタンデルタ、のうちの1つ以上をさらに特徴とする、上記(1)に記載の繊維。
(3)前記第1または第2の領域のうちの少なくとも1つが、少なくとも0.1の重心オフセットを有する、上記(1)または(2)に記載の繊維。
(4)前記第1および第2の領域が、コアシースで、並んで、セグメント化されたパイで、または海島構造で配置されている、上記(1)~(3)のいずれか一項に記載の繊維。
(5)前記第1の領域対前記第2の領域の重量比が、80:20~20:80である、上記(1)~(4)のいずれか一項に記載の繊維。
(6)前記繊維が、少なくとも2.0、好ましくは少なくとも2.5mm -1 の曲率を有する、上記(1)~(5)のいずれかに記載の繊維。
(7)前記第2の領域が、ポリプロピレンを含む、上記(1)~(6)のいずれかに記載の繊維。
(8)前記第1および第2の領域のものとは異なるポリマーを含む第3の領域をさらに含む、上記(1)~(7)のいずれかに記載の繊維。
図1
図2