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特許7555353第1の部分を第2の部分に取り付けるための装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-12
(45)【発行日】2024-09-24
(54)【発明の名称】第1の部分を第2の部分に取り付けるための装置
(51)【国際特許分類】
   F16B 19/00 20060101AFI20240913BHJP
   B60R 13/02 20060101ALI20240913BHJP
   F16B 5/00 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
F16B19/00 N
B60R13/02 B
F16B5/00 F
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021565911
(86)(22)【出願日】2020-05-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-13
(86)【国際出願番号】 FR2020050757
(87)【国際公開番号】W WO2020225514
(87)【国際公開日】2020-11-12
【審査請求日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】1904784
(32)【優先日】2019-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】505003193
【氏名又は名称】アー レイモンド エ シー
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー サンチェス
【審査官】鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-038185(JP,A)
【文献】実開昭61-166212(JP,U)
【文献】特開2011-089538(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0180083(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 17/00- 19/14
B60R 13/02
F16B 5/00- 5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の部分を第2の部分に取り付けるための装置(100)の雄型部材(300)であって、前記雄型部材(300)は、
前記第2の部分を保持するためのフランジ(310)と、
足部(321)、本体(322)、および、頭部(323)を有する、ネイル(320)であって、前記ネイル(320)は、前記足部(321)によって、前記第1の部分に取り付けられた、雌型部材(200)の空洞(210)に、軸方向に挿入されることを意図され、前記足部(321)は、前記雌型部材(200)内にネイル(320)を軸方向に保持することを意図された雄型組立要素(324)を備え、前記本体(322)は、溝部(325)を有する、前記ネイル(320)と、
を備え、
前記フランジ(310)は、
前記ネイル(320)を受け入れ、前記フランジ(310)が、前記第1の部分または前記第2の部分に加えられた引き抜き力に応答して、前記ネイル(320)上で、第1の位置から第2の位置に、軸方向に動かされることを可能にする、軸方向開口部(311)と、
前記溝部(325)に弾性的に係合し、前記フランジ(310)を、前記ネイル(320)上で、前記第1の位置に保持するように構成された保持部材(312)と、
前記開口部(311)の内側の半径方向リブ(313)であって、前記フランジ(310)が前記第2の位置にあるとき、前記半径方向リブ(313)が、前記ネイル(320)の前記頭部(323)に当接する、前記半径方向リブ(313)と、
を備えることを特徴とする雄型部材(300)。
【請求項2】
請求項1に記載の雄型部材(300)であって、前記保持部材(312)は、少なくとも1つの可撓性タブ(314)を備えることを特徴とする雄型部材(300)。
【請求項3】
請求項2に記載の雄型部材(300)であって、前記可撓性タブ(314)は、前記フランジ(310)が、前記第1の位置にあるとき、前記溝部(325)に弾性的に係合することを意図されたラグ(315)を備えることを特徴とする雄型部材(300)。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の雄型部材(300)であって、前記本体(322)は、前記溝部(325)が形成されたカラー(326)を備えることを特徴とする雄型部材(300)。
【請求項5】
請求項4に記載の雄型部材(300)であって、前記ネイルの前記頭部に対向して配置される、カラー(326)の側面が、前記第2の位置から前記第1の位置への、前記保持部材(312)の移動を容易にするために、面取りされた形状を有することを特徴とする雄型部材(300)。
【請求項6】
請求項1から3のいずれか一項に記載の雄型部材(300)であって、前記本体(322)は、前記溝部(325)と前記頭部(323)との間に配置された、第2の溝部(328)を有することを特徴とする雄型部材(300)。
【請求項7】
請求項6に記載の雄型部材(300)であって、前記保持部材(312)は、また、前記第2の溝部(328)に弾性的に係合し、前記ネイル(320)上で、前記フランジ(310)を前記第2の位置に保持するように構成されることを特徴とする雄型部材(300)。
【請求項8】
請求項6または7に記載の雄型部材(300)であって、前記ネイル(320)は、前記雄型部材(300)が前記雌型部材(200)に保持されたとき、前記雌型部材(200)に当接することを意図された基部(329)を備えることを特徴とする雄型部材(300)。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の雄型部材(300)であって、前記ネイル(320)は、前記本体(322)に沿って軸方向に延びる、少なくとも1つの軸方向リブ(327)を備えることを特徴とする雄型部材(300)。
【請求項10】
請求項9に記載の雄型部材(300)であって、前記軸方向リブ(327)が、第1の端部および第2の端部を有し、前記第1の端部が、前記ネイル(320)の前記頭部(323)と接触し、前記第2の端部が、前記足部(321)に対向し、前記第2の端部は、前記雄型部材(300)が前記雌型部材(200)に保持されたとき、前記雌型部材(200)に当接することを特徴とする雄型部材(300)。
【請求項11】
請求項2から8のいずれか一項を引用する、請求項9または10に記載の雄型部材(300)であって、前記保持部材(312)は、前記軸方向リブ(327)を受け入れ、前記ネイル(320)上での前記フランジ(310)の軸方向変位を案内し、その軸方向回転を防止するための、半径方向幅で互いに分離された、少なくとも2つの可撓性タブ(314)を備えることを特徴とする雄型部材(300)。
【請求項12】
請求項11に記載の雄型部材(300)であって、前記ネイル(320)は、前記本体の周りに均一に分布された、3つの軸方向リブ(327)を備え、前記保持部材(312)は、それぞれ、前記軸方向のリブ(327)を受け入れる、半径方向幅で互いに分離された、3つの可撓性タブ(314)を備えることを特徴とする雄型部材(300)。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の雄型部材(300)であって、前記フランジ(310)は、前記フランジ(310)が前記第1の位置にあるとき、前記雌型部材(200)と接触することを意図された圧縮カラー(316)を備えることを特徴とする雄型部材(300)。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の雄型部材(300)と、前記第1の部分に取り付けられることを意図された雌型部材(200)を含む取り付け装置(100)であって、前記雌型部材(200)は、軸方向空洞(210)と雌型組立要素(230)を有し、前記雌型組立要素(230)は、前記雄型組立要素(324)と結合するように構成されることを特徴とする取り付け装置(100)。
【請求項15】
請求項14に記載の取り付け装置(100)の使用であって、前記第1の部分は、自動車のドアの内側の金属シートであり、前記第2の部分は、自動車のドアの内側のトリムパネルであることを特徴とする取り付け装置(100)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの部分を一緒に組立てるための取り付け装置に関する。本発明は、より具体的には、第1の部分、例えば、自動車ドアのトリムパネルを、第2の部分、例えば、車両ドアの内壁に組み付けるための取り付け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車産業において、自動車のドア内壁に取り付けられた、ドアトリムパネルまたはライニングは、通常の使用時だけでなく、側面衝突の場合にも、それが、ドア内壁に適切に保持されることを可能にする、取り付け手段を有さねばならない。取り付け装置は、特に、衝撃の影響下で、ドアトリムパネルが、ドア壁の金属シートから分離し得ること、特に、それが、エアバッグの展開経路上に配置されるとき、車両の客室に危険な状態で放り出されること、を防止することを可能にしなければならない。
【0003】
そのような取り付け装置は、特許文献1から知られる。この装置は、ドア内壁に取り付けられることを意図され、雌型組立要素を含む雌型部材、および、トリムパネルを保持するためのフランジと、雌型結合要素内に、雄型結合要素を介して係合し、雌型部材にネイルを保持することを意図された、ネイルとを含む、雄型部材を含む。
【0004】
通常の使用中、トリムパネルは、ネイルを把持し、雄型組立要素に当接する、雌型組立要素によって、ドアの側壁に組立てられ、保持される。
【0005】
側面衝撃が発生した場合、トリムパネルとドアの間に引き抜き力が加えられ、それらを、激しく、互いから分離する。この力は、組立要素に、それらが損傷され得る、影響を及ぼす。衝撃が、特に激しい場合、取り付け装置は応力の下で破損し得る。
【0006】
また、この取付け装置は、本質的に、取付け機能を含まない。これは、カバーパネルをドアの内壁に取り付けるために、この装置を補完する他の取付け手段を提供することを必要とし、これは、システムをより高価にし、使用するのをより複雑にする。
【0007】
特許文献2は、組立部材での衝撃の影響を減衰させるように設計された取り付け装置を記載する。この目的のために、ネイルは、傾斜した側面を備え、2つのスペースを区切り、雌型組立部材の柔軟な顎部を通るクリッピングゾーンを構成する、カラーを有する。通常の使用では、顎部は、ネイルの雄型組立要素から最も遠い、第1のスペースでネイルを把持する。側面からの衝撃に続いて、ネイルは、雌型部材から引き離され、カラーの傾斜した端部は、顎部に対して投げ出される。顎部の柔軟性のために、それらは、カラーを通過させるためにわずかに弛緩し、次に再び閉じて、ネイルの雄型組立要素に対して当接するに至る。
【0008】
しかし、この解決策は、満足のいくものであるように思えない。一方では、通常の使用では、顎部とカラーの傾斜した端部との間の唯一の接触によって提供される、雄型部材と雌型部材との間の保持は、最適ではない。他方、衝撃時には、カラーが通過することを可能にした後、顎部が、十分に速く閉じず、その後、ネイルの雄型組立要素と当接するに至り得ないリスクが存在する。その時、結果は、雌型部材に対する雄型部材の解放であり、取り付け装置の取り外しであって、これは、使用者にとって危険である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】仏国特許第3,038,019号明細書
【文献】欧州特許第3,357,759号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、雄型部材の雌型部材への良好な取り付けと、衝撃が発生した場合に、装置に加えられる引き抜き力を減衰させることの両方を可能にする、前述された技術水準に対する代替の取り付け装置を提案することによって、技術水準の前述された欠点の少なくともいくつかを克服することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
これを行うために、本発明は、第1の部分を第2の部分に取り付けるための装置の雄型部材を提供し、雄型部材は、
-第2の部分を保持するためのフランジと、
-足部、本体、および、頭部を有するネイルであって、ネイルは、第1の部分に取り付けられた雌型部材の空洞に、足部によって軸方向に挿入されることを意図され、足部は、雌型部材内でネイルを軸方向に保持することを意図された雄型組立要素を備え、本体は、溝を有する、ネイルと、
を含む。
【0012】
雄型部材は、フランジが、
-ネイルを受け入れ、第1または第2の部分に加えられた引き抜き力に応答して、フランジが、第1の位置から第2の位置に、ネイル上で軸方向に動かされることを可能にする、軸方向開口部と、
-溝部に弾力的にかみ合い、フランジを、ネイル上で第1の位置に保持するように構成された保持部材と、
-開口部の内側の半径方向リブであって、フランジが第2の位置にあるとき、ネイルの頭部に当接する、半径方向リブと、
を有する点で注目に値する。
【0013】
単独で、または、技術的に実現可能な任意の組み合わせで採用される、本発明の他の有利で非限定的な特徴によれば、
-保持部材は、少なくとも1つの柔軟なタブを含み、
-柔軟なタブは、フランジが第1の位置にあるとき、溝部に弾力的に係合することを意図されたラグを備え、
-本体は、溝部が形成されたカラーを備え、
-ネイルの頭部に対向して配置されるカラーの側面は、第2の位置から第1の位置への、保持部材の移動を容易にするために面取りされた形状を有し、
-本体は、溝部と頭部の間に配置された、第2の溝部を有し、
-保持部材は、また、第2の溝部に弾性的に係合し、フランジを、ネイル上で第2の位置に保持するように構成され、
-ネイルは、雄型部材が雌型部材に保持されるとき、雌型部材に当接することを意図された本体を備え、
-ネイルは、本体に沿って軸方向に延びる、少なくとも1つの軸方向リブを含み、
-軸方向リブは、第1端と第2端を有し、第1端は、ネイルの頭部と接触し、第2端は足部に対向し、雄型部材が雌型部材に保持されるとき、第2端が雌型部材に接触し、
-保持部材は、軸方向リブを受け入れて、ネイル上でのフランジの軸方向変位を案内し、その軸方向回転を防止する、半径方向幅で互いに分離された少なくとも2つの可撓性タブを備え、
-ネイルは、本体の周りに均一に分布された3つの軸方向リブを含み、保持部材は、それぞれ、軸方向リブを受け入れるための、半径方向幅で互いに分離された3つの可撓性タブを含み、
-フランジは、フランジが第1の位置にあるとき、雌型部材と接触することを意図された圧縮カラーを備える。
【0014】
本発明の別の目的は、上で説明されたところに従った雄型部材と、第1の部分に取り付けられることを意図された雌型部材とを備える、取り付け装置に関し、雌型部材は、軸方向空洞と雄型組立要素を有し、雌型部材は、雄型組立要素と結合するように構成される。
【0015】
本発明はまた、第1の部分が自動車のドアの内側の金属シートであり、第2の部分が自動車のドアの内側のトリムパネルである、上で説明されたところによる、取り付け装置の使用に関する。
【0016】
本発明の他の利点および特殊性は、添付の図面に関する、決して限定するものではない、実装例、および、実施形態の詳細な説明を読むことで明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1a】本発明による雄型部材の第1の実施形態による、取り付け装置の分解斜視図である。
図1b】本発明による雄型部材の第2の実施形態による、取り付け装置の分解斜視図である。
図2a】本発明による雄型部材の第1の実施形態による、ネイルの全体的な斜視図である。
図2b】本発明による雄型部材の第2の実施形態による、ネイルの全体的な側面図である。
図3】本発明によるフランジの断面図である。
図4a】第1の位置にある、本発明による第1の実施形態による雄型組立体の断面図である。
図4b】第1の位置にある、本発明による雄型要素の第1の実施形態による取り付け装置の全体図である。
図5a】第2の位置にある、本発明による第1の実施形態による、雄型組立体の断面図である。
図5b】第2の位置にある、本発明による雄型部材の第1の実施形態による、取り付け装置の全体図である。
図6a】第1の位置にある、本発明による第2の実施形態による、雄型組立体の断面図である。
図6b】第1の位置にある、本発明による雄型部材の第2の実施形態による、取り付け装置の全体図である。
図7a】第2の位置にある、本発明による第2の実施形態による、雄型組立体の断面図である。
図7b】第2の位置にある、本発明による雄型部材の第2の実施形態による、取り付け装置の全体図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の説明を単純化するために、本発明の異なる実施形態において、同一であるか、または、同じ機能を実行する要素に対して、同じ参照記号が使用される。
【0019】
一般に、本発明は、自動車ドアの内側金属シートなどの、第1の部分を、例えば、自動車ドアの内側トリムパネルなどの、第2の部分に取り付けるための装置の雄型部材に関する。しかしながら、本発明は、そのような用途に限定されず、第1の部分は、また、例えば、ウィンドウリップ機構であり得、一方、第2の部分は、自動車のドアウィンドウであり得る。
【0020】
取り付け装置の一般的な説明
図1a、および、図1bは、2つの実施形態による、本発明による取り付け装置100の分解斜視図を示す。各実施形態の詳細は、以下で説明されるであろう。
【0021】
一般に、そのような装置100は、雌型部材200、ここでは、円筒形の軸方向空洞210を有する中空クリップを含む。雌型部材200は、第1の部分に取り付けられることを意図され、すなわち、それは、第1の部分に係合される手段220を備える。これらの手段は、プレート・スペーサ・対向プレート組立体220、スペーサに挿入され得る、適切な開口が事前に穿孔された金属シートなど、それ自体がよく知られる任意の性質のものであり得る。有利なことに、これらの手段は、トリムパネルとドアの分離を可能にするために抜き差し可能である。
【0022】
雌型部材200は、また、雌型組立要素230を備える。
【0023】
本説明において、「雌型組立部材」という用語は、雌型要素に関連する組立部材を意味する。この組立部材は、実際上、雌型の構成要素であり得、すなわち、以下で説明されるであろう雄型組立部材のような、雄型の構成要素を、貫通によって受け入れることを意図される。しかし、それは、雌型の構成要素と協力し得る、雄型の構成要素であり得る。同様に、以下に説明される雄型組立部材は、雄型要素に関連する組立部材としてのみ理解される。
【0024】
特定の構成によれば、雌型組立要素230は、取り外し可能なU字型部材であり、雌型部材200の半径方向ハウジング240に挿入され得る。そのような雌型組立部材の特に有利な構造、ならびに、そのような構造に関連する効果は、特許文献1において完全に説明されており、ここでは、より詳しく説明されないであろう。
【0025】
もちろん、本発明は、雌型組立部材のそのような構成に決して限定されず、それは、相補的な組立部材と協働し得る、任意の組立部材であり得る。
【0026】
図1a、および、図1bの説明に戻ると、取り付け装置100は、また、第2の部分を保持することを意図されたフランジ310と、ネイル320を備える、雄型部材300を備える。
【0027】
図2a、および、図2bは、2つの実施形態による、本発明によるネイル320の全体的な側面図を示す。
【0028】
一般に、そのようなネイル320は、足部321、本体322、および、頭部323を有する。ネイル320の本体322に実質的に垂直である頭部323は、本体322よりも大きな断面を有する。
【0029】
ネイル320は、雄型部材300を雌型部材200に組立てるために、足部321によって雌型部材200の空洞210に軸方向に挿入されることを意図される。
【0030】
この目的のために、足部321は、例えば、雌型組立要素230に弾性的に係合し、ネイル320を、雌型部材200内で軸方向に保持することによって、雌型組立要素230と組立てられるように構成された、雄型組立要素324を備える。
【0031】
図1a、図1b、図2a、および、図2bに示される特定の構成では、雄型組立要素324は、雌型組立要素230のU字に嵌合するように構成されたオジーブ形状の先端から構成される。好ましくは、第1または第2の部分に衝撃が加えられた場合に、ネイル320の引き抜き強さを最大にするために、ネイル320の本体322に対して、オジーブ形状の先端によって形成される肩部は直角である。
【0032】
もちろん、そして以前に特定されたように、雄型組立要素324は、そのような構成に限定されず、雌型組立要素230と協働し得る任意の組立部材であり得る。それは、同様に、雄型構成要素または雌型構成要素であり得る。
【0033】
ネイル320の本体322は、溝部325を有する。有利なことに、そして、図2aに示されるように、ネイル320の足部321に最も近い溝部325の縁部は、ネイル320が失われ得ないことを確実にするため、本体322に垂直である。頭部323に最も近い溝部325の縁部は、第2の部分の引き抜き力を管理するために、その部分として、本体322に垂直であるか、または溝部325の底部に対して鈍角を形成し得る。これらの2つの特徴は、本説明の残りの部分で、より詳細に説明されるであろう。
【0034】
図3は、本発明によるフランジ310の断面図を示す。
【0035】
図3に見られ得るように、フランジ310は、第2の部分を保持するための手段を備える。雌型部材200に関しては、これらの手段は、それ自体がよく知られている任意の性質のものであり得、プレート317、スペーサ318、および、対向プレート319を含み得、トリムパネルは、スペーサ318に挿入され得る、好適なオリフィスを、予め穿孔される。これらの手段は、また、トリムパネルとドアの分離を可能にするために、抜き差し可能であり得る。
【0036】
第2の部分を保持するための手段が何であれ、フランジ310は、また、その足部321によってネイル320を受け入れるための、軸方向開口部311を有する。開口部311は、また、第1または第2の部分に加えられた引き抜き力に応答して、フランジ310が、第1の位置から第2の位置に、ネイル320上で軸方向に移動させられることを可能にするように構成される。
【0037】
図4a、および、図4bは、それぞれ、第1の位置にある、本発明による雄型組立体300の断面図、および、取り付け装置100の全体図を示す。これらの図は、雄型部材300の第1の実施形態による取り付け装置100を示す。図6a、および、図6bは、それぞれ、雄型部材300の第2の実施形態について、図4a、および、図4bと同種の図を示す。
【0038】
同様に、図5a、および、図5bは、それぞれ、第2の位置にある、本発明による雄型組立体300の断面図、および、取り付け装置100の全体図を示す。これらの図は、雄型部材300の第1の実施形態による取り付け装置100を示す。図7a、および、図7bは、それぞれ、雄型部材300の第2の実施形態について、図5a、および、図5bと同種の図を示す。
【0039】
図4a、および、図4bに示されるように、第1の位置は、フランジ310が、雌型部材200と可能な限り近く、好ましくは、その端部の1つ316で、雌型部材200と接触する位置である。
【0040】
有利には、フランジ310の端部316は、フランジが第1の位置にあるときに、雌型部材200と接触することを意図された圧縮カラー316である。そのような圧縮カラー316は、第1または第2の部分を通って伝播する、音波、振動、または、がたつきを吸収して、騒音を低減し、振動および音響の快適さを改善することを可能にする(一般に、「騒音、振動、および、耳障り感」の略語NVHによって言及される)。
【0041】
図5a、および、図5bに示されるように、第2の位置は、フランジ310が、第1の位置よりも、雌型部材200から遠い位置である。
【0042】
本発明によってフランジ310に与えられた、衝撃中に第1の位置から第2の位置に移動する可能性は、その衝撃中に、第1の部分を担持する雌型部材200、および、第2の部分を担持するフランジ310に及ぼされる、引き抜き力を部分的に吸収することを可能にする。
【0043】
したがって、2つの組立部材間の接触時に及ぼされる力は、雄型要素が雌型要素に対して完全に固定されている、技術水準から知られる装置と比較して、弱められる。同時に、この接触点は固定されたままであるため、衝撃の際にネイルが雌型要素に対して移動する、技術水準から知られる装置の場合よりも堅固である。言い換えれば、本発明による取り付け装置は、第1の部分と第2の部分との間の強固な保持を保証し、一方で、衝撃を吸収するために、2つの部分の間のわずかな遊びを可能にする。
【0044】
この目的のために、フランジは、溝部325に弾性的に係合し、フランジ310をネイル320上で、第1の位置に保持するように構成された保持部材312を備える。
【0045】
図3図4aおよび図4b、ならびに、図6aおよび図6bに示されるように、保持部材312は、開口部311の内側に配置され得、少なくとも1つの可撓性タブ314を含み得る。
可撓性タブ314は、フランジ310が第1の位置にあるとき、溝部325に弾性的に係合することを意図されたラグ315を備え得る。
【0046】
ネイル320上でフランジ310をよりよく保持するために、保持部材312は、複数の可撓性タブ314、例えば、2つ、3つ、または4つの可撓性タブを含み得る。
【0047】
前述された効果を強化するために、ラグ315は、好ましくは、前述された溝部325の形状と相補的な形状を有し、すなわち、一端は、可撓性タブ314に対して直角を形成し、基部は、可撓性タブ314に対してわずかに傾斜する。
【0048】
したがって、ネイル320が、雄型部材300の組立のために、開口部311の内側に足部321によって挿入されるとき、雄型組立要素324の形状、特にそのオジーブ形状は、ラグ315が、動きに対抗することなく、可撓性タブ314が、開口部311の壁に押し付けられることを可能にする。
【0049】
ネイル320は、保持部材312が、溝部325に弾性的に係合する、第1の位置まで楽に挿入され得る。
【0050】
この位置において、足部321およびラグ315の端部に最も近い溝部325の縁部について上述された有利な形状は、ラグ315が、溝の縁部に当接し、ネイル320が、フランジ310に対して後方に戻るのを防止し得、したがって、ネイル320が失われ得ないことを保証することを可能にする。
【0051】
衝撃が発生した場合、フランジ310に加えられる引き抜き力は、ラグ315を溝部325から引き抜き、フランジ310を、雌型部材200から離れるように移動させることをもたらし得る。しかしながら、溝部325内のラグ315の当接は、この接触点で、フランジ310によって受けられる力の一部を伝達することを可能にし、それに応じて、組立要素324、230に加えられる力を低減させる。
【0052】
フランジ310が、衝撃で、ネイル320から引き出されるのを防ぐために、フランジ310は、また、開口部311の内側に半径方向のリブ313を備える。
【0053】
半径方向リブ313は、形状が環状であり、開口部311の内側全体に延び得る。あるいは、リブ313は、開口部311の一部のみに延び得る。リブ313は、また、半径方向面における、突出部分の連続から構成し得る。
【0054】
リブ313の形状が何であれ、フランジ310が第2の位置にあるとき、リブ313は、ネイル320の頭部323に対して当接するように配置される。
【0055】
別の言い方をすれば、衝撃で、リブ313が、ネイル320の頭部323に当接するまで、フランジ310は、雌型部材200から離れて移動する。
【0056】
この第2の位置は、フランジ310のネイル320への堅固な取り付けを保証してその分離を回避し、一方で、2つの組立部材の間と、リブ313と、ネイル320の頭部323との間に位置する、接触点間で引き抜き力を分散させることを可能にする。
【0057】
次に、本発明による雄型部材300の2つの実施形態が、連続して説明されるであろう。
【0058】
雄型要素の第1の実施形態
本発明による雄型部材の第1の実施形態は、図1a、図2a、図4a、図4b、図5a、および、図5bに示される。
【0059】
特に、図2aに見られ得るように、雄型部材300は、有利には、溝部325が形成されたカラー326を備え得る。
【0060】
カラー326の存在、特に、形状の選択は、ネイル320のフランジ310への挿入力、および、フランジ310のある位置から別の位置への通過を管理することを可能にする。
【0061】
有利には、ネイル320の頭部323の対向側に位置するカラー326の側面は、フランジ310の保持部材312の第2の位置から第1の位置への移動を容易にするために面取りされた形状を有する。別の言い方をすれば、カラー326のこの有利な形状のために、フランジ310が第2の位置にあるとき、フランジ310または第2の部分への単純な圧力によって、フランジ310を第1の位置に再配置することが可能である。第2の位置から第1の位置へのフランジ310の移動は、これらの形状によって容易にされ、保持部材312は、それが溝部325に嵌合するまで、カラーの側面上を楽に滑る。
【0062】
ネイル320は、また、本体322に沿って軸方向に延びる、少なくとも1つの軸方向リブ327を備え得る。
【0063】
有利には、軸方向リブ327は、第1端部および第2端部を有する。特に、図2aに見られ得るように、ネイル320の強度を強化するために、第1端部はネイルの頭部と接触する。第2端部は、足部321に対向して配置され、その結果、第2端部は、図4b、および、図5bに示されるように、雄型部材300が雌型部材200に対して保持されるとき、雌型部材200に当接する。
【0064】
好ましくは、保持部材312は、軸方向リブ327を受け入れ、その軸方向回転を防止しながらネイル320上のフランジ310の軸方向変位を案内するために、半径方向幅で互いに分離された少なくとも2つの可撓性タブ314を備える。
【0065】
特に有利な構成では、ネイル320は、本体322の周りに均一に分布させられた、3つの軸方向リブ327を備え、保持部材312は、それぞれ、軸方向リブ327を受け入れるために、半径方向幅で互いに分離された、3つの可撓性タブ314を備える。
【0066】
雄型要素の第2の実施形態
本発明による雄型部材300の第2の実施形態は、図1b、図2b、図6a、図6b、図7a、および、図7bに示される。
【0067】
この実施形態では、ネイル320の本体322は、これまでに説明された第1の溝部325とネイル320の頭部323との間に配置された、第2の溝部328を有する。
【0068】
次に、保持部材312は、また、図7a、および、図7bに示されるように、第2の溝部328に弾性的に係合して、ネイル320上でフランジ310を第2の位置に保持するように構成される。
【0069】
したがって、フランジ310が第2の位置にあるとき、ネイル320上でのフランジ310の保持は、ネイル320の頭部323に対するリブ313の当接によって、および、第2の溝部328における、保持部材312の弾性係合によって保証される。
【0070】
したがって、引き抜き力は、組立要素324、230の間、リブ313と頭部323の間、および、保持部材312と第2の溝部328との間の接触点の間で分散され、衝撃が発生した場合、取り付け装置100の強度を増大させる。
【0071】
この実施形態では、ネイル320は、また、第1の実施形態に記載されたものと同様で、同じ利点を有する、少なくとも1つの軸方向リブ327、または、いくつかの軸方向リブ、例えば4つの軸方向リブを備え得る。
【0072】
雄型部材300の雌型部材200への取り付けの安定性をさらに高めるために、ネイル320は、また、雄型部材300が雌型部材200に保持されるとき、雌型部材200に当接することを意図された基部329を備え得る。
【0073】
雄型部材300の実施形態が何であれ、取り付け装置100の様々な要素、すなわち、雌型部材200、フランジ310、および、ネイル320は、プラスチック材料を型成形することによって、またはプラスチック射出によって、完全に製造され得る。これらの要素は、また、3Dプリンタにプラスチックを加えることによって作成され得る。したがって、そのような取り付け装置は、低コストで製造され得るという利点を有する。
【0074】
もちろん、本発明は、記載された実施形態に限定されず、特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲から逸脱することなく、変形を追加することが可能である。
【0075】
したがって、雄型部材300は、内側ドア壁に非常にうまく取り付けられ得、一方、雌型部材200は、トリムパネルを受け入れ得るであろう。
図1a
図1b
図2a
図2b
図3
図4a
図4b
図5a
図5b
図6a
図6b
図7a
図7b