(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-12
(45)【発行日】2024-09-24
(54)【発明の名称】チケット発券システム、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240913BHJP
G06Q 20/40 20120101ALI20240913BHJP
G07B 1/00 20060101ALI20240913BHJP
G07C 9/37 20200101ALI20240913BHJP
G07C 9/38 20200101ALI20240913BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q20/40 300
G07B1/00 E
G07C9/37
G07C9/38
(21)【出願番号】P 2022148766
(22)【出願日】2022-09-20
(62)【分割の表示】P 2022016791の分割
【原出願日】2020-05-29
【審査請求日】2023-05-25
【審判番号】
【審判請求日】2024-01-05
(31)【優先権主張番号】P 2019101142
(32)【優先日】2019-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517201127
【氏名又は名称】playground株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 圭史
(72)【発明者】
【氏名】宮西 裕紀
【合議体】
【審判長】篠塚 隆
【審判官】伊藤 隆夫
【審判官】野崎 大進
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-104530(JP,A)
【文献】特開2009-031991(JP,A)
【文献】特開2007-226441(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07B 1/00-1/08
G07B 15/00
G07C 9/00-9/38
G06T 7/00
G08B 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
例示的な生体情報に関する特徴情報を含む特徴量データを格納する特徴量テーブルと、
発券されるチケットの利用者の生体情報に関する特徴情報を取得する利用者特徴情報取得手段と、
前記特徴量テーブルに格納されている前記特徴量データの中から、前記利用者特徴情報取得手段が取得した生体情報に関する特徴情報との類似度が所定の基準を満たす類似特徴量データを特定する類似特徴量データ特定手段と、
前記類似特徴量データ特定手段が特定した類似特徴量データに対応し、かつ前記利用者の顔画像を含まない認証情報
(前記利用者の似顔絵を除く)を記録したチケットを発券する発券手段と
を備えるチケット発券システム。
【請求項2】
コンピュータを、請求項1に記載のチケット発券システムとして機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、興行等の入場に用いるチケットを発券するチケット発券システム、当該チケット発券システムにて発券したチケットの検札をするための検札装置、およびコンピュータにてこれらを実現するプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、各種の興行のチケットの不正な転売が問題となっている。そこでチケットの正規の保有者の情報(例えば、顔画像、指紋、虹彩、静脈、筋電位など、個人を識別可能な生体情報)をチケットに記録しておき、興行の会場への入場の際に、チケットを使って入場しようとしている人が、そのチケットの真の保有者か否かを確認することが提案されている。例えば特許文献1には、正規の保有者の情報としてチケット保有者の自身の顔または自身の顔の特徴量を示す情報を記録しておき、入場口で入場しようとしている人の顔を撮影し、チケットに記録されている保有者の自身の顔または自身の顔の特徴量と照合する顔認証によって入場しようとしている人が正規の保有者か否かを確認することが開示されている。なお、以下の説明では、クーポン、スタンプカード、イベントチケット、商品引換券等を総称して「チケット」という。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている手法をはじめとする、顔認証を利用してチケットの保有者を確認する従来の手法では、正規の保有者の顔の情報として、顔の画像や顔の特徴量がチケットに記録される。顔の画像や顔の特徴量は、保有者自身の個人情報であるところ、これらをチケットに記録した場合、個人情報が意図せず第三者に渡る可能性があるため、個人情報の保護やセキュリティの観点で問題視されることがあった。多数のチケットについて記録されているデータを解析して、顔認証に必要な正規の保有者の情報(またはその特定方法)を解き明かせば、チケットを不正に作成することが可能となる恐れがある。また、顔の画像は情報量が多く、情報量を削減すべく特徴量のみを記録したとしても検札の際の情報の読み取りや照合に時間がかかり、入場者を円滑に処理できず、混雑や遅延を引き起こすことがある。また、スマートフォン等を用いた電子チケットにより、個人の認証を強化する方法もあるが、スマートフォンを持たない利用者への適用ができない、バッテリ切れの場合に不都合が生じるといった様々な問題があり、普及の妨げとなっている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態に係るチケット発券システムは上記の課題を解決すべくなされたものであり、例示的な生体情報に関する特徴情報を含む特徴量データと当該特徴量データを識別するための特徴IDとを対応付けて格納する特徴量テーブルと、発券されるチケットの利用者の生体情報に関する特徴情報を取得する利用者特徴情報取得手段と、特徴量テーブルに格納されている特徴量データの中から、利用者特徴情報取得手段が取得した生体情報に関する特徴情報との類似度が所定の基準を満たす類似特徴量データを特定し、当該類似特徴量データに対応する特徴IDを取得する類似特徴量データ特定手段と、類似特徴量データ特定手段が取得した類似特徴量データに対応する特徴IDを含む認証情報を記録したチケットを発券する発券手段とを備える。
【0006】
本発明において、生体情報に関する特徴情報は、人の顔の外観に関する特徴情報とするとよい。また、認証情報は、複数の特徴量データに対応する特徴IDを含むとよい。また、認証情報は、特徴IDに加え、当該チケットを特定するためのチケットID及び/又は当該チケットで入場可能な興行の情報を含むとよい。
【0007】
本発明において、発券手段は、特徴IDを、機械による読み取りが可能な態様でチケットの券面に記録するとよい。また、特徴量テーブルに格納される特徴量データは、実在しない人物の顔の外観に関する特徴情報を含んでもよい。
【0008】
本発明において、チケット発券システムは、類似特徴量データ特定手段が、特徴量テーブルに格納されている特徴量データの中から利用者特徴情報取得手段が取得した生体情報に関する特徴情報との一致度が所定値以上である類似特徴量データを特定できない場合に、利用者特徴情報取得手段が取得した生体情報に基づいて、利用者特徴情報取得手段が取得した生体情報との一致度が所定値以上となる新たな特徴量データを特徴量テーブルに登録する、特徴量データ登録手段をさらに備えるとよい。
【0009】
本発明の他の実施形態に係るチケット発券システムは、例示的な生体情報に関する特徴情報を含む特徴量データと当該特徴量データを識別するための特徴IDとを対応付けて格納する特徴量テーブルと、発券されるチケットの利用者の生体情報に関する特徴情報を取得する利用者特徴情報取得手段と、前記特徴量テーブルに格納されている前記特徴量データの中から、前記利用者特徴情報取得手段が取得した生体情報に関する特徴情報との類似度が所定の基準を満たす類似特徴量データを特定し、当該類似特徴量データに対応する前記特徴IDを取得する類似特徴量データ特定手段と、発券されるチケットを識別するためのチケットIDを含む認証情報を記録したチケットを発券する発券手段と、前記類似特徴量データ特定手段が取得した類似特徴量データに対応する前記特徴IDを、前記チケットIDと紐づけて記録する記録手段と、を備える。
【0010】
また、本発明の実施形態に係る検札装置は、検札所において当該検札所を通過しようとする利用者が持つチケットを検札する。検札装置は、例示的な生体情報に関する特徴情報である特徴量データと識別情報とを対応付けて格納する特徴量テーブルと、チケットを利用する利用者の生体情報を取得する利用者生体情報取得手段と、利用者生体情報取得手段が取得した利用者の生体情報について、特徴情報を算出する特徴情報算出手段と、チケットに記録された識別情報を取得する識別情報取得手段と、識別情報取得手段が取得した識別情報に紐づけられた特徴量データを、特徴量テーブルに照会して取得する対比特徴量データ取得手段と、特徴情報算出手段が算出した特徴情報と、対比特徴量データ取得手段により取得した特徴量データとの一致度を求め、当該一致度に応じた判定結果を出力する判定手段とを備える。
【0011】
本発明において、生体情報に関する特徴情報は、人の顔の外観に関する特徴情報とするとよい。
【0012】
本発明において、検札装置は、チケットに識別情報が記録されていない場合に、特徴量テーブルに格納されている特徴量データの中から、特徴情報算出手段が取得した生体情報に関する特徴情報との一致度が所定値以上である類似特徴量データを特定し、当該類似特徴量データに対応する識別情報を取得する類似特徴量データ特定手段と、類似特徴量データ特定手段が特定した類似特徴量データに対応する識別情報を、チケットに対応する類似特徴量データとして記録する類似特徴量データ記録手段とをさらに備えるとよい。
【0013】
本発明において、識別情報は機械による読み取りが可能な態様でチケットに記録されているとよい。そして、識別情報取得手段は、利用者が持つチケットに記録された識別情報を読み取って、識別情報を取得するとよい。
【0014】
本発明において、利用者生体情報取得手段および識別情報取得手段は、共通の撮像手段により実現され、当該撮像手段は、利用者の顔と利用者が持つチケットとを含む利用者画像を取得し、識別情報取得手段は、利用者が持つチケットに記録された識別情報を、撮像手段が撮影した利用者画像を解析して読み取るとよい。このとき、特徴情報算出手段は、利用者画像において、チケットの券面に対し所定の位置に写る顔を入場者の顔として認識して当該顔の外観に関する特徴情報を算出するとよい。
【0015】
本発明において、利用者生体情報取得手段は、撮像手段により実現され、当該撮像手段は、利用者の顔を含む利用者画像を取得し、撮像手段から利用者画像に写る人物までの距離に基づいて、利用者画像に写る利用者を特定して、その生体情報を取得するとよい。
【0016】
また、本発明の他の実施形態に係る検札装置は、検札所において当該検札所を通過しようとする利用者が持つチケットを検札する検札装置である。検札装置は、例示的な生体情報に関する特徴情報である特徴量データと特徴IDとを対応付けて格納する特徴量テーブルと、チケットを識別するためのチケットIDと当該チケットの利用者に対応する前記特徴IDとを対応付けて格納するチケット情報テーブルと、前記チケットを利用する前記利用者の生体情報を取得する利用者生体情報取得手段と、前記利用者生体情報取得手段が取得した前記利用者の生体情報について、特徴情報を算出する特徴情報算出手段と、前記チケットに記録された前記チケットIDを取得するチケットID取得手段と、前記チケットID取得手段が取得した前記チケットIDに紐づけられた前記特徴IDを、前記チケット情報テーブルに照会して特定し、特定した前記特徴IDに対応する前記特徴量データを前記特徴量テーブルに照会して取得する対比特徴量データ取得手段と、前記特徴情報算出手段が算出した特徴情報と、前記対比特徴量データ取得手段により取得した特徴量データとの類似度を求め、当該類似度に応じた判定結果を出力する判定手段とを備える。
【0017】
本発明の実施形態に係るプログラムは、コンピュータを上記いずれかのチケット発券システムとして機能させる。また、本発明の実施形態に係るプログラムは、コンピュータを上記いずれかの検札装置として機能させる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】チケット発券システムの構成を示す模式図である。
【
図3】チケット購入端末の構成を示すブロック図である。
【
図6】発券処理の手順を示すフローチャートである。
【
図7】チケット発券システムにより発券されるチケットの券面の一例を示す。
【
図8】検札処理の手順を示すフローチャートである。
【
図9】検札装置の表示部における表示の一例を示す。
【
図10】第3実施形態における検札処理の手順を示すフローチャートである。
【
図11】第4実施形態における検札処理の手順を示すフローチャートである。
【
図12】第5実施形態における発券処理の手順を示すフローチャートである。
【
図13】第5実施形態における検札処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
〔第1実施形態〕
以下、図面を参照して本発明の第1実施形態に係るチケット発券システム1と、チケット発券システム1で発券されたチケットの検札を行う検札装置5とを説明する。
【0020】
図1は、チケット発券システム1の構成を示す模式図である。
図1に示すように、チケット発券システム1は、サーバ2、チケット購入端末3、及び発券機4を備える。サーバ2、チケット購入端末3、及び発券機4はネットワークNWを介して通信可能に接続される。なお、サーバ2、チケット購入端末3、及び発券機4は、物理的に離れた遠隔地に配置されてもよいし、一部または全部が同じ場所に配置されてもよい。
【0021】
サーバ2は、例えば、コンピュータシステムであり、キーボード、マウス、タッチパネル等の入出力装置、CPU(Central Processing Unit)等の演算部及びRAM(Random Access Memory)、ROM(read only memory)等の記憶装置を備えた本体、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等の表示装置等から構成される。
【0022】
図2は、サーバ2の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、サーバ2は、少なくとも、制御部20、記憶部22、通信部24を備える。サーバ2は、これらのほか、必要に応じて入力手段(例えばキーボード、マウス等)や出力手段(例えばディスプレイ、プリンタ等)を備えてもよい。
【0023】
制御部20は、チケット購入端末3から送信されるリクエスト等に基づき、記憶部22に記憶されたプログラムに従った処理を実行する。例えば、制御部20は、記憶部22に記憶されているチケットデータベース22Aや特徴量テーブル22Bに対するデータの検索、新規登録、削除、更新といった処理を実行したり、チケット保有者の顔の画像(以下、顔の画像のことを単に「顔画像」という場合がある)と特徴量データとの類似度が所定の基準を満たす(例えば、一致度が所定値以上である)特徴量データを特徴量テーブル22Bから見つける処理を実行したりする。すなわち、制御部20は、記憶部22に記憶されたプログラムに基づいて、特徴量テーブル22Bに格納されている特徴量データの中から、利用者の顔画像との類似度が所定の基準を満たす類似特徴量データを特定し、当該類似特徴量データに対応する特徴IDを取得する類似特徴量データ特定手段として機能する。また、制御部20は、記憶部22に記憶されたプログラムに基づいて、特徴量テーブルに22B格納されている特徴量データの中から利用者の顔画像との類似度が所定の基準を満たす類似特徴量データを特定できない場合に、利用者の顔画像に基づいて、当該利用者の顔画像との類似度が所定の基準を満たす新たな特徴量データを特徴量テーブル22Bに登録する、特徴量データ登録手段として機能する。
【0024】
記憶部22には、制御部20にて実行されるプログラムや、当該プログラムで用いられるデータ等が記憶されている。例えば、記憶部22は、チケット発券システム1におけるサーバ2の機能を実現するためのプログラム、チケット発券システム1にて発券するチケットに関する情報を集約するチケットデータベース22A、例示的な生体情報に関する特徴情報を含む特徴量データを識別情報である特徴IDと対応付けて格納する特徴量テーブル22B等を記憶する。本実施形態では、特徴量データに含まれる生体情報に関する特徴情報は人の顔の外観に関する特徴情報(例えば特徴量のパラメータ値)である。特徴量テーブル22Bは、実在しない人物の顔の画像に基づく特徴量データ(例えば、絵やコンピュータグラフィックス等により生成した顔から算出した顔の特徴を表す情報)を含んでよい。また、特徴量テーブル22Bは、顔の画像に基づくことなく演算により生成された特徴量データを含んでもよい。演算により特徴量データを生成する場合、特徴量データにより表すことのできる特徴量空間内に、等しい密度で特徴量データが分布するように特徴量データを生成するとよい。サーバ2は、上記の各構成が物理的に一体として構成されていなくてもよい。例えば、上記構成要素の一部または全部が遠隔地に分散して配置されていてもよく、それらが協働してサーバ2として機能するようにすればよい。通信部24は、制御部20による制御のもと、ネットワークNWを介して、チケット購入端末3、発券機4等との通信を行う。
【0025】
チケット購入端末3は、チケットを購入する際に購入者またはチケット販売店の店員が操作して、発券に必要な情報をサーバ2に送るための装置である。ここで、発券に必要な情報とは、少なくとも、購入しようとするチケットの情報、および購入したチケットの保有者となる人物(典型的には購入者)の顔画像を含む。チケット購入端末3は、例えば、チケット販売店に設置された端末装置であってもよいし、個々の購入者が保有するコンピュータであってもよい。
【0026】
図3は、チケット購入端末3の構成を示すブロック図である。
図3に示すように、チケット購入端末3は、少なくとも、操作部30、記憶部31、制御部32、通信部33、表示部34、およびカメラ35を備える。チケット購入端末3は、例えば、カメラ35を内蔵するノート型のコンピュータ、タブレット端末等を用いてもよいし、カメラ35を内蔵しないコンピュータにカメラ35を接続して用いてもよい。本実施形態において、カメラ35は、発券されるチケットの利用者の生体情報に関する特徴情報を取得する利用者特徴情報取得手段の一部として機能する。
【0027】
操作部30は、購入者またはチケット販売店の店員よる操作を受け付ける。操作部30は、表示部34に重ねて配置されたタッチパネルと、その他のボタンとを備える。記憶部31は、ROM、RAM、ハードディスク等の記憶媒体であり、制御部32で実行するプログラムや、当該プログラムで用いるデータ等を記憶する。記憶部31には、例えば、オペレーションシステム(OS)、サーバ2にチケットの購入・発券に必要な情報を送信するためのアプリケーションプログラム等が記憶されている。制御部32は、CPU等の演算装置であり、記憶部31に記憶されている各種のプログラムを実行する。通信部33は、ネットワークNWを介して、サーバ2との通信を行う。表示部34は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の表示素子であり、制御部32による制御の下、各種の情報(例えばチケット購入のためのユーザインタフェース)を表示する。表示部34は、操作部30のタッチパネルと協働して各種の入力インタフェースを実現する。
【0028】
発券機4は、サーバ2からの命令に基づいて、所定の用紙にチケットの情報を印刷してチケットを発券する。発券機4は、類似特徴量データに対応する特徴ID(識別情報)を含む認証情報を、当該チケットで入場可能な興行の情報等の諸情報とともに機械による読み取りが可能な態様でチケットの券面に記録する。具体的には、特徴ID等をQRコード(登録商標)にエンコードして、チケットの券面に印刷する。発券機4は、チケット購入端末3と同じ場所(例えばチケット販売店)に配置されるとよい。
図4は、発券機4の構成を示すブロック図である。
図4に示すように、発券機4は、少なくとも、記憶部40、制御部42、通信部44、および印刷部46を備える。発券機4は、これらのほか、必要に応じて入力手段(例えばキーボード、マウス等)や出力手段(例えばディスプレイ、プリンタ等)を備えてもよい。
【0029】
記憶部40には、制御部42にて実行されるプログラムや、当該プログラムで用いられるデータ等が記憶されている。例えば、記憶部40には、サーバ2からの命令に基づきチケットの情報を印刷するよう印刷部46を制御するプログラム等が記憶される。
【0030】
制御部42は、記憶部40に記憶されている各種のプログラムを実行する。例えば制御部42は、サーバ2からの命令に応じてチケットを印刷すべく印刷部46を制御する。
【0031】
通信部44は、ネットワークNWを介して、サーバ2との通信を行う。その他、通信部44は、近距無線通信(NFC)や、赤外線通信、可視光通信等が可能に構成されてもよい。印刷部46は、チケットを所定の用紙に印刷するプリンタである。チケットの用紙は、例えば所定の寸法に予め裁断され、必要に応じてミシン目が設けられた紙片としてもよいし、ロール紙を用いて印刷の都度所定の長に切断するようにしてもよい。
【0032】
検札装置5は、検札所において当該検札所を通過しようとする利用者が持つチケットを検札するための装置である。本例では、検札装置5は、チケット発券システム1で発券されたチケットを、興行の入場口に設けられる検札所で検札する。
図5は、検札装置5の構成を示すブロック図である。検札装置5は、制御部51、記憶部52、表示部53、通信部54、及びカメラ55を備える。検札装置5は、これらのほか、必要に応じて入力手段(例えばキーボード、マウス等)等を備えてもよい。検札装置5は、カメラ55を内蔵するノート型のコンピュータ、タブレット端末等を用いるとよい。
【0033】
制御部51は、CPU等の演算装置であり、記憶部52に記憶されている各種のプログラムを実行する。記憶部52は、ROM、RAM、ハードディスク等の記憶媒体であり、制御部51で実行するプログラムや、当該プログラムで用いるデータ等を記憶する。記憶部52には、例えば、オペレーションシステム(OS)、チケットの検札処理を行うプログラム、検札用特徴量テーブル52A等が記憶されている。検札用特徴量テーブル52Aは、人の顔の特徴を示す情報である特徴量データを識別情報である特徴IDと対応付けて格納するデータベースである。検札用特徴量テーブル52Aは、発券時にサーバ2で用いた特徴量テーブル22Bをそのまま(発券時に類似特徴量データとして特定されなかったものも含めて)用いてもよいし、発券時に類似特徴量データとして特定された特徴量データのみを格納するようにしてもよい。
【0034】
表示部53は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の表示素子であり、制御部51による制御の下、各種の情報を表示する。通信部54は、ネットワークNWを介して、サーバ2等との通信を行う。カメラ55は、本発明における利用者生体情報取得手段に相当し、検札装置5の正面方向を撮影するように配置されチケットを利用する利用者の顔、および利用者が持つチケットを含む利用者画像を撮影する。赤色灯56は、制御部51の制御の下で動作する報知手段の一例であり、例えば、利用者画像から抽出した顔画像と、検札用特徴量テーブルから取得した特徴量データとの類似度が所定の基準を満たさない(例えば、一致度が所定値を超えない)場合に点灯するように制御される。
【0035】
制御部51は、記憶部52に記憶されているプログラムに基づき、カメラ55で撮影した利用者画像から利用者の顔画像を抽出する。また、制御部51は、記憶部52に記憶されているプログラムに基づき、利用者が持つ前記チケットに記録されたQRコードを、カメラ55で撮影した利用者画像を解析して読み取り、QRコードにエンコードされている特徴IDを取得する。また、制御部51は、記憶部52に記憶されているプログラムに基づき、取得した特徴IDに紐づけられた特徴量データを、検札用特徴量テーブル52Aに照会して取得する。また、制御部51は、記憶部52に記憶されているプログラムに基づき、利用者画像から抽出した顔画像と、検札用特徴量テーブルから取得した特徴量データとの類似度を求め、当該類似度が所定の基準を満たす場合に当該利用者が検札所を通過することを許可する。このようにして、制御部51は、記憶部52に記憶されたプログラムを実行することにより、本発明の特徴情報算出手段、識別情報取得手段、顔画像取得手段、および判定手段の機能を実現する。
【0036】
〔チケットの発券〕
続いて、
図6に示すフローチャートを参照して、上記のように構成されるチケット発券システム1によりチケットを発券する発券処理の手順を説明する。
【0037】
本例では、購入者やチケット販売店の店員がチケット購入端末3を操作することにより、チケットの発券が実施される。本例では、購入者自身がチケットの利用者(すなわち、当該チケットを利用して興行の入場口を通過する者)となる場合を例に説明する。はじめに、購入者やチケット販売店の店員が、チケット購入端末3にて、興行、席種等を選び、購入ボタンを押すなど、購入操作を行う(ステップS100)。チケット購入端末3は、選ばれたチケットの情報と、利用者の顔画像をサーバ2に送り、サーバ2はこれを取得する(ステップS110)。顔画像はチケット購入端末3のカメラ35にて撮影してもよいし、利用者があらかじめ撮影しておいたものを、有線又は無線の通信にてチケット購入端末3に取り込んで用いてもよい。
【0038】
サーバ2は、チケット購入端末3から受け取った利用者の顔画像を、特徴量テーブル22Bに照会する(ステップS120)。このときサーバ2は、任意の顔照合手法により、特徴量テーブル22Bに格納されている各特徴量データと利用者の顔との類似度を算出する。なお、顔画像と特徴量データとの類似度として、顔画像から特徴量の情報を抽出し、この抽出した特徴量と特徴量データに含まれる特徴量の情報とに基づく演算により一致度を算出するとよい。また、類似度は、例えば0から10までの値に正規化されたスコアとして算出される。そして、利用者の顔画像との類似度が所定の基準を満たす特徴量データがある場合、(ステップS120;Yes)、サーバ2は、利用者の顔画像との類似度が所定の基準を満たす類似特徴量データを1つ特定して、当該特定した類似特徴量データに対応する特徴IDを取得する(ステップS130)。なお、サーバ2は類似特徴量データを特定した後、利用者の顔画像をサーバ2から完全に消去することが好ましい。
【0039】
サーバ2は、利用者の顔画像について、特徴量テーブル22Bに含まれるすべての特徴量データとの一致度を算出し、一致度が最も高いものを類似度が所定の条件を満たす特徴量データ特定してもよい。あるいは、特徴量データを1つずつ任意の順番で照会し、類似度が所定の条件を満たす(例えば、一致度が所定値以上となる)特徴量データが1つ見つかった時点で、その特徴量データを類似特徴量データとして特定し、更なる照会を行わないようにしてもよい。一致度が最も高いものを特定する場合、処理の完了までに時間を要するが、認証の精度を高めることができる。類似度が所定の条件を満たす特徴量データが見つかった時点で更なる照会を行わない場合には、認証の精度が犠牲になる可能性があるものの、処理を短時間で終わらせることが可能となる。
【0040】
サーバ2は、利用者の顔画像との類似度が所定の基準を満たす特徴量データが特徴量テーブル22Bに含まれない場合(ステップS120;No)、利用者の顔画像に基づく新たな特徴量データを特徴量テーブル22Bに登録した上で(ステップS140)、当該新たな特徴量データを類似特徴量データとして特定し、その特徴IDを取得する(ステップS130)。
【0041】
ステップS140において新たに特徴量データを登録する際、サーバ2は、利用者の顔画像そのものから算出した顔の特徴を示す情報を特徴量データとして登録してもよいが、利用者の顔画像そのものではなく、利用者の顔画像との類似度が所定の基準を満たす特徴量データを生成して登録することが好ましい。具体的には、利用者の顔画像との一致度が所定値以上であるが完全には一致しない(適度に似ていない部分がある)特徴量データを生成するとよい。このようにすれば、個人情報である利用者の顔画像が特徴量テーブル22Bにそのまま含まれることがなく、プライバシーに配慮した運用を行うことができる。
【0042】
類似特徴量データが特定されると、サーバ2は、購入されるチケットの情報に紐づけて、特定した類似特徴量データの特徴IDをチケットデータベース22Aに格納する(ステップS150)。
【0043】
続いて、サーバ2は、チケットの券面に印刷する情報を生成し、発券機4に送信する(ステップS160)。券面に印刷する情報は、入場時の検札の際に必要な認証情報、興行の情報、券種の情報等を含む。本例では、認証情報は、類似特徴量データの特徴IDを含むQRコード(登録商標)である。
【0044】
券面に印刷する情報を受けとった発券機4は、
図7に示すように、興行の情報、券種の情報等の文字、及び認証情報を含んだQRコードがチケットの券面に印刷される。
【0045】
以上のようにして発券されるチケットには、認証情報の中に利用者自身の顔画像のような個人情報が含まれないので、チケットを介した個人情報の漏洩を防ぐことができる。また、類似特徴量データの特徴IDは、顔画像そのものと比べデータ量が小さく、後述する検札装置5を用いて行う検札処理を行う際の認証情報の読み取りを短時間で済ますことができる。
【0046】
〔チケットの使用〕
続いて、
図8に示すフローチャートを参照して、チケット発券システム1により発券されたチケットを、イベント等の興行の会場の入場口に設けられる検札所にて、個々の入場者に対して実施される検札処理の手順を説明する。
【0047】
興行の会場の入場口には検札所が設けられ、入場者が入ってくる方向にカメラ55が向くように検札装置5が設置される。検札装置5には、発券の際に用いた特徴量データを格納した検札用特徴量テーブル52Aが予め(入場開始時間より前に)格納されている。なお、検札装置5は、通信部54を介してサーバ2から特徴量テーブル22Bの複製を受け取り、これを検札用特徴量テーブル52Aとして用いるとよい。
【0048】
入場が開始されると、検札装置5はカメラ55による撮影を開始する(ステップS200)。このとき、チケットを持った入場者は、チケットと自身の顔が同時に撮影されるように、検札装置5の前に立つ。このとき、
図9に示すように、検札装置5の表示部53には、チケットを顔の傍に持つよう指示する案内、カメラ55で撮影している画像、及び認証の結果を表示するとよい。なお、チケットと入場者の顔を同時ではなく順次撮影するように構成してもよい。また、制御部51は、カメラ55で撮影している画像から、入場者が、眼鏡、サングラス、マスク等を着用していることを認識した場合、これらを外すように指示をするように構成するとよい。
【0049】
検札装置5の制御部51は、カメラ55で撮影した画像(利用者画像)から、顔、及びQRコードをそれぞれ認識する(ステップS210)。そして、制御部51は、認識したQRコードを解析して、認証情報に含まれる特徴IDを取得する(ステップS220)。続いて、取得した特徴IDに対応する特徴量データを検札用特徴量テーブル52Aから取得する(ステップS230)。そして、制御部51は、カメラ55で撮影している映像に含まれる顔と取得した特徴量データとの類似度を算出する(ステップS240)。
【0050】
なお、検札時には、顔の下にチケットを位置させる等、顔とチケットとの位置関係を固定して撮影するとよい。そして、チケットの券面に対し所定の位置に写る顔を入場者の顔として認識して抽出するようにするとよい。あるいは、検札装置5からの距離(利用者画像における奥行)に基づいて入場者の顔を認識してもよい。例えば測距センサ等を備えて入場者までの距離を実測してもよいし、利用者画像に写る複数の顔のうち画像に占める面積が最も広いものを入場者の顔として認識してもよい。このようにすることで、複数の人が映像に映りこんでも、認証対象とする人物を容易に特定することができる。検札装置5は、複数の入場者を同時に認証できるように構成されてもよい。この場合、認識したQRコードの数に応じた人数の認証を行うものとし、QRコードに対して所定位置(例えばQRコードの上)に認識された顔を認証の対象とするとよい。
【0051】
続いて制御部51は、算出した類似度が所定の基準を満たす(発券時よりも基準を低くしてもよい)か否かを判定する(ステップS250)。このステップS250における判定は、本発明における類似度に応じた判定の一例である。類似度が所定の基準を満たす場合(例えば、一致度が所定値以上である場合)には(ステップS250;Yes)、入場を許可する旨が表示部53に表示される(ステップS260)。一方、類似度が所定の基準を満たさない場合(例えば、一致度が所定値未満である場合)には(ステップS250;No)、入場を許可する旨が表示部53に表示されず、顔認証の不一致を係員に報知するべく赤色灯56を点灯させる。このほか、例えば、警告表示、警告音の発報、フラッシュの点灯等の警報の発報を行ってもよい(ステップS270)。このようにステップS260およびS270のいずれかを経て、1人の入場者に対する検札処理が終了する。なお、類似度が所定の基準を満たさない場合に、その結果をどのように出力するかは上記に限定されない。例えば、報知・警告等する代わりに、検札所の渋滞を避けるために入場許可の表示を表示部53に出しつつ、検札所の係員には類似度が所定の基準を満たさない旨を通知し、入場者が検札所を通過した後で不正か否か等を係員が確認するようにしてもよい。
【0052】
興行の会場の入場口では、同様の処理が個々の入場者に対して行われる。このような構成により、不正な利用や譲渡等を防ぎつつ、入場口での検札を円滑に行うことが可能となる。
【0053】
〔第2実施形態〕
続いて、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態に係るチケット発券システム1および検札装置5の構成は、以下の点で第1実施形態と異なっている。以下で特に言及しない点については、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0054】
本実施形態のチケット発券システム1において、サーバ2が記憶部22に、ユーザ情報データベース22Cを持つ。このユーザ情報データベース22Cは、ユーザを識別するユーザIDに紐づけて、ユーザに関する様々な情報(例えば、生年月日、性別、住所、電話番号、登録年月日、等)を格納する。また、本実施形態においてチケットデータベース22Aは、各チケットのチケットIDに紐づけて、利用者のユーザIDを格納する。したがって、本実施形態では、チケットIDを特定すれば、チケットIDに紐づくユーザIDを経由して利用者の各種の属性を参照することが可能となる。
【0055】
また、本実施形態において、検札装置5は、サーバ2とネットワークNWを介して通信可能とされる。そして、検札処理はこのようにネットワークNWを介したサーバ2との通信が可能な状態で実施される。
【0056】
チケットの購入・発券時に、発券に必要な情報のひとつとして、ユーザIDがチケット購入端末3からサーバ2に送られる。サーバ2は、チケットデータベース22Aにおいて、販売するチケットのチケットIDに紐づけて、チケット購入端末から受け取ったユーザIDを記録する。また、サーバ2は、類似特徴量データに対応する特徴IDに加え、チケットIDを認証情報に含める。そして、この認証情報を含むQRコードをチケットの券面に印刷させる。
【0057】
チケットの使用時、検札所に配置された検札装置5は、第1実施形態と同様、チケットの券面の画像からQRコードを認識し、これを解析する。そして、認証情報に含まれる特徴IDおよびチケットIDを取得する。そして、取得した特徴IDに関しては第1実施形態と同様、対応する特徴量データと、撮影した顔画像との類似度を算出し、認証に利用する。一方、取得したチケットIDについては、サーバ2に当該チケットIDに紐づくユーザの情報を照会する。具体的には、チケットIDに紐づくユーザの年齢、性別等の属性情報をサーバ2から取得する。そして、カメラ55で撮影した入場者の画像と属性情報とを照合する(つまり、入場者がその属性を有するか否かを判定する)。属性情報の照合結果は、特徴量データの照合結果と同様、検札所の通過可否の判定に用いることができる。このようにすれば、成りすまし等不正な方法で検札所を通過される可能性を低減することができる。なお、上記のように属性情報の照合を行うのではなく、サーバ2から取得した属性情報を、目視により不正入場者を見つけるための参照情報として、検札所に配置された係員に提示してもよい。
【0058】
〔第3実施形態〕
続いて、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態に係るチケット発券システム1および検札装置5の構成は、以下で説明する点において上述の各実施形態と異なっている。以下で特に言及しない点については、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0059】
本実施形態のチケット発券システム1において、チケットデータベース22Aは、各チケットのチケットIDに紐づけて、特徴IDを格納する。本実施形態では、第1実施形態等と異なり、利用者の類似特徴量データは、チケットを印刷するまでに確定されている必要はない。チケットを印刷するまでに利用者の類似特徴量データが確定している場合には、当該類似特徴量データに対応する特徴IDがチケットIDに紐づけられてチケットデータベース22Aに格納されるとともに、第1実施形態と同様に特徴IDを(および必要に応じて第2実施形態と同様にチケットIDをも)含む認証情報がQRコードとしてチケットの券面に印刷される。
【0060】
一方、チケットを印刷するまでに利用者の類人デックス情報が確定していない場合、チケットの券面には、特徴IDが未定であることを示す情報と、チケットIDとを含んだQRコードが印刷される。
【0061】
また、本実施形態において、検札装置5は、サーバ2とネットワークNWを介して通信可能とされる。そして、検札処理はこのようにネットワークNWを介したサーバ2との通信が可能な状態で実施される。以下、本実施形態での検札処理を、
図10に示すフローチャートを参照して説明する。
【0062】
第1実施形態と同様、興行の会場の入場口には検札所が設けられ、入場者が入ってくる方向にカメラ55が向くように検札装置5が設置される。入場が開始されると、検札装置5はカメラ55による撮影を開始する(ステップS300)。撮影する画像には、チケットと入場者の顔が含まれるようにする。
【0063】
検札装置5の制御部51は、カメラ55で撮影した画像(利用者画像)から、顔、及びQRコードをそれぞれ認識する(ステップS305)。そして、制御部51は、認識したQRコードを解析して、認証情報を取得する(ステップS310)。制御部51は、認証情報に類似特徴量データの特徴IDが含まれるか否かを判定する(ステップS315)。
【0064】
類似特徴量データの特徴IDが認証情報に含まれていない場合(ステップ315;No)、検札装置5は、サーバ2に取得したチケットIDについて特徴IDが登録されているか否かを照会する(ステップS320)。特徴IDが未登録である旨をサーバ2が回答した場合(ステップS320;No)、検札装置5は、取得したチケットIDと、カメラ55で撮影した入場者の画像と、をサーバ2に送信する。これを受けったサーバ2は、第1実施形態と同様の手法で特徴量テーブル22Bから類似特徴量データを特定し、類似特徴量データに対応する特徴IDをチケットIDに紐づけてチケットデータベースに格納する(ステップS325)。類似特徴量データの特徴IDが認証情報に含まれていない場合、以上で、検札処理が終了となる。ステップS325での処理に示されるように、サーバ2は、本発明における類似特徴量データ特定手段および類似特徴量データ記録手段として機能する。なお、類似特徴量データおよび対応する特徴IDの特定を、検札装置5が、検札用特徴量テーブル52Aを用いて行ってもよい。この場合、検札装置5は、サーバ2にチケットIDと特定した類似特徴量データの特徴IDとを送信するとよい。
【0065】
一方、特徴IDが登録されている旨をサーバ2が回答した場合(ステップS320;Yes)、検札装置5は、サーバ2からチケットIDに紐づく特徴IDを取得し(ステップS330)、当該特徴IDに対応する特徴量データを検札用特徴量テーブル52Aから取得する(ステップS335)。そして検札装置5の制御部51は、カメラ55で撮影した映像に含まれる入場者の顔と取得した特徴量データとの類似度を算出する(ステップS340)。続いて制御部51は、算出した類似度が所定の基準を満たす(例えば、一致度が所定値以上である)か否かを判定する(ステップS345)。このステップS345における判定は、本発明における類似度に応じた判定の一例である。類似度が所定の基準を満たす場合(ステップS345;Yes)、入場を許可する旨が表示部53に表示される(ステップS350)。一方、類似度が所定の基準を満たさない場合(ステップS345;No)、入場を許可する旨が表示部53に表示されず、顔認証の不一致を係員に報知するべく赤色灯56を点灯させる。このほか、例えば、警告表示、警告音の発報、フラッシュの点灯等の警報の発報を行ってもよい(ステップS355)。ステップS350およびS355のいずれかを経て、1人の入場者に対する検札処理が終了する。
【0066】
一方、認証情報に類似特徴量データの特徴IDが含まれている場合には(ステップ315;Yes)、当該特徴IDを用いてステップS335~S355の処理を実施する。すなわち、第1実施形態と同様、類似特徴量データを用いた認証により、検札所通過の可否を判定する。
【0067】
以上のように、本実施形態によれば、チケットを印刷するまでに類似特徴量データを確定できなかった場合においても、最初に検札所を通る際に類似特徴量データをチケットに紐づけることが可能となり、以後の検札(例えば、再入場等)において、初回と異なる利用者がチケットを使用することを防ぐことができる。
【0068】
なお、本実施形態において、第2実施形態と同様、サーバ2が記憶部22に、ユーザ情報データベース22Cを持ち、初回入場時に取得したユーザの顔画像(またはそこから取得した特徴ID)を、ユーザIDに紐づけて格納してもよい。このように格納したユーザの顔画像(または特徴ID)を、当該ユーザが新たにチケットを購入する際に、認証情報を生成するために使用してもよい。
【0069】
〔第4実施形態〕
続いて、本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態に係るチケット発券システム1および検札装置5の構成は、以下で説明する点において上述の各実施形態と異なっている。以下で特に言及しない点については、第1実施形態等と同様であるため、説明を省略する。
【0070】
第1実施形態では、チケットを発券機から紙に印刷したが、本実施形態のチケット発券システムでは、チケットを紙に印刷することなく、スマートフォン等の携帯端末にチケットの券面を表示させ、これを用いて検札処理を行ういわゆる電子チケットを採用する。また、本実施形態では、第2実施形態と同様、記憶部22は、ユーザ情報データベース22Cを記憶し、利用者に関する諸情報(少なくとも、電子チケットの送付先の情報を含む)をユーザIDに紐づけて格納する。また、チケットデータベース22Aは、チケットIDに紐づけて当該チケットの利用者のユーザIDを格納する。
【0071】
本実施形態では、第1実施形態等と異なり、利用者の類似特徴量データは、チケットを使用する(つまり検札処理を受ける)までに確定されている必要はない。検札処理までに利用者の類似特徴量データが確定している場合には、当該類似特徴量データに対応する特徴IDを含む認証情報が、電子チケットに記録される。なお、認証情報は、券面にQRコードとして表示し、検札時に検札装置5で読み取らせるようにしてもよいし、認証情報を携帯端末の画面に表示させることなく、無線通信等を利用して検札装置5に送信するようにしてもよい。
【0072】
利用者の類似特徴量データが確定した状態では、電子チケットに記録される認証情報には、類似特徴量データに対応する特徴IDが含まれる。一方、利用者の類似特徴量データが確定していない状態では、電子チケットに記録される認証情報には特徴IDが未定であることを示す情報が含まれ、その後、類似特徴量データが確定したことに応じて、類似特徴量データに対応する特徴IDを含むものに認証情報が更新される。例えば、認証情報が券面にQRコードとして表示される場合には、類似特徴量データが確定される前後で券面に表示されるQRコードが変化されることになる。
【0073】
続いて、本実施形態での検札処理を、
図11に示すフローチャートを参照して説明する。なお、以下では、認証情報が券面にQRコードとして表示される態様を例に説明する。
【0074】
第1実施形態と同様、興行の会場の入場口には検札所が設けられ、入場者が入ってくる方向にカメラ55が向くように検札装置5が設置される。入場が開始されると、検札装置5はカメラ55による撮影を開始する(ステップS400)。撮影する画像には、入場者が持つ携帯端末の画面に表示されたチケットの券面と入場者の顔が含まれるようにする。
【0075】
検札装置5の制御部51は、カメラ55で撮影した画像(利用者画像)から、顔、及びQRコードをそれぞれ認識する(ステップS405)。そして、制御部51は、認識したQRコードを解析して、認証情報を取得する(ステップS410)。制御部51は、認証情報に類似特徴量データの特徴IDが含まれるか否かを判定する(ステップS415)。
【0076】
類似特徴量データの特徴IDが認証情報に含まれていない場合(ステップ415;No)、検札装置5は、取得したチケットIDと、カメラ55で撮影した入場者の画像と、をサーバ2に送信する。これを受けったサーバ2は、第1実施形態と同様の手法で特徴量テーブル22Bから類似特徴量データを特定する(ステップS420)。なお、類似特徴量データおよび対応する特徴IDの特定を、検札装置5が、検札用特徴量テーブル52Aを用いて行ってもよい。この場合、検札装置5は、サーバ2にチケットIDと特定した類似特徴量データの特徴IDとを送信するとよい。また、このときサーバ2は、類似特徴量データに対応する特徴IDをチケットIDに紐づけてチケットデータベースに格納してもよい。
【0077】
続いて、サーバ2は、類似特徴量データに対応する特徴IDを含んだ更新版の認証情報を生成し、チケットIDに紐づいたユーザIDを持つ利用者に送信する(ステップS425)。利用者の携帯端末では、受信した更新版の認証情報を、以後の検札の際に使用するよう電子チケットを更新する(ステップS430)。類似特徴量データの特徴IDが認証情報に含まれていない場合、以上で、検札処理が終了となる。
【0078】
一方、認証情報に類似特徴量データの特徴IDが含まれている場合には(ステップ415;Yes)、当該特徴IDに対応する特徴量データを検札用特徴量テーブル52Aから取得する(ステップS435)。そして検札装置5の制御部51は、カメラ55で撮影した映像に含まれる入場者の顔と取得した特徴量データとの類似度を算出する(ステップS440)。続いて制御部51は、算出した類似度が所定の基準を満たす(例えば、一致度が所定値以上である)か否かを判定する(ステップS445)。このステップS445における判定は、本発明における類似度に応じた判定の一例である。類似度が所定の基準を満たす場合(ステップS445;Yes)、入場を許可する旨が表示部53に表示される(ステップS450)。一方、類似度が所定の基準を満たさない場合(ステップS445;No)、入場を許可する旨が表示部53に表示されず、顔認証の不一致を係員に報知するべく赤色灯56を点灯させる。このほか、例えば、警告表示、警告音の発報、フラッシュの点灯等の警報の発報を行ってもよい(ステップS455)。ステップS450およびS455のいずれかを経て、1人の入場者に対する検札処理が終了する。
【0079】
以上のように、本実施形態によれば、最初の検札までに類似特徴量データを確定できなかった場合においても、最初に検札所を通る際に類似特徴量データを電子チケットに紐づけることが可能となり、以後の検札(例えば、再入場等)において、初回と異なる利用者がチケットを使用することを防ぐことができる。
【0080】
なお、本実施形態において、第2実施形態と同様、サーバ2が記憶部22に、ユーザ情報データベース22Cを持ち、初回入場時に取得した利用者の顔画像(またはそこから取得した特徴ID)を、ユーザIDに紐づけて格納してもよい。このように格納したユーザの顔画像(または特徴ID)を、当該ユーザが新たにチケットを購入する際に、認証情報を生成するために使用してもよい。
【0081】
〔第5実施形態〕
続いて、本発明の第5実施形態について説明する。本実施形態に係るチケット発券システム1および検札装置5の構成は、以下で説明する点において上述の各実施形態と異なっている。以下で特に言及しない点については、第1実施形態等と同様であるため、説明を省略する。
【0082】
第1実施形態では、チケットに記録される認証情報として、特徴IDをQRコードに含めて発券したが、本実施形態のチケット発券システムでは、チケットに記録される認証情報には、特徴IDは含まれず、当該チケットを識別するためのチケットIDが含まれる。また、チケットデータベース22Aは、チケットIDに紐づけて当該チケットの利用者のユーザIDを格納する。また、本実施形態の検札装置は、検札用特徴量テーブル52Aに加え、検札を実施する興行で利用することができるチケットのチケットIDと当該チケットの利用者に対応する特徴IDとを対応付けて格納するチケット情報テーブル52Bを備える。
【0083】
図12は、本実施形態のチケット発券システム1によりチケットを発券する発券処理の手順を示している。
【0084】
本例では、購入者やチケット販売店の店員がチケット購入端末3を操作することにより、チケットの発券が実施される。本例では、購入者自身がチケットの利用者(すなわち、当該チケットを利用して興行の入場口を通過する者)となる場合を例に説明する。はじめに、購入者やチケット販売店の店員が、チケット購入端末3にて、興行、席種等を選び、購入ボタンを押すなど、購入操作を行う(ステップS500)。チケット購入端末3は、選ばれたチケットの情報と、利用者の顔画像をサーバ2に送り、サーバ2はこれを取得する(ステップS510)。顔画像はチケット購入端末3のカメラ35にて撮影してもよいし、利用者があらかじめ撮影しておいたものを、有線又は無線の通信にてチケット購入端末3に取り込んで用いてもよい。
【0085】
サーバ2は、チケット購入端末3から受け取った利用者の顔画像を、特徴量テーブル22Bに照会する(ステップS520)。このときサーバ2は、利用者の顔画像との類似度が所定の基準を満たす特徴量データがある場合、(ステップS520;Yes)、サーバ2は、利用者の顔画像との類似度が所定の基準を満たす類似特徴量データを1つ特定して、当該特定した類似特徴量データに対応する特徴IDを取得する(ステップS530)。なお、サーバ2は類似特徴量データを特定した後、利用者の顔画像をサーバ2から完全に消去することが好ましい。
【0086】
サーバ2は、利用者の顔画像との類似度が所定の基準を満たす特徴量データが特徴量テーブル22Bに含まれない場合(ステップS520;No)、利用者の顔画像に基づく新たな特徴量データを特徴量テーブル22Bに登録した上で(ステップS540)、当該新たな特徴量データを類似特徴量データとして特定し、その特徴IDを取得する(ステップS530)。
【0087】
類似特徴量データが特定されると、サーバ2は、購入されるチケットのチケットIDに紐づけて、特定した類似特徴量データの特徴IDをチケットデータベース22Aに格納する(ステップS550)。
【0088】
続いて、サーバ2は、チケットの券面に印刷する情報を生成し、発券機4に送信する(ステップS560)。券面に印刷する情報は、入場時の検札の際に必要な認証情報、興行の情報、券種の情報等を含む。本例では、認証情報は、特徴IDを含まず、チケットIDを含むQRコード(登録商標)である。
【0089】
券面に印刷する情報を受けとった発券機4は、興行の情報、券種の情報等の文字、及び認証情報を含んだQRコードがチケットの券面に印刷される。
【0090】
以上のようにして発券されるチケットには、認証情報の中に利用者自身の顔画像のような個人情報が含まれないばかりでなく、利用者自身の顔の特徴と関連する特徴IDすら含まないので、チケットを介した個人情報の漏洩を防ぐことができる。
【0091】
図13は、本実施形態のチケット発券システム1により発券されたチケットを、イベント等の興行の会場の入場口に設けられる検札所にて、個々の入場者に対して実施される検札処理の手順を示すフローチャートである。
【0092】
興行の会場の入場口には検札所が設けられ、入場者が入ってくる方向にカメラ55が向くように検札装置5が設置される。検札装置5には、発券の際に用いた特徴量データを格納した検札用特徴量テーブル52Aと、当該興行の入場に利用することができるチケットのチケットIDに各チケットの利用者の類似特徴IDが対応付けて格納されたチケット情報テーブル52Bとが予め(入場開始時間より前に)格納されている。なお、検札装置5は、通信部54を介してサーバ2から特徴量テーブル22Bおよびチケットデータベース22Aの複製を受け取り、これらをそれぞれ、検札用特徴量テーブル52Aおよびチケット情報テーブル52Bとして用いるとよい。
【0093】
入場が開始されると、検札装置5はカメラ55による撮影を開始する(ステップS600)。このとき、チケットを持った入場者は、チケットと自身の顔が同時に撮影されるように、検札装置5の前に立つ。このとき、第1実施形態と同様、検札装置5の表示部53には、チケットを顔の傍に持つよう指示する案内、カメラ55で撮影している画像、及び認証の結果を表示するとよい。
【0094】
検札装置5の制御部51は、カメラ55で撮影した画像(利用者画像)から、顔、及びQRコードをそれぞれ認識する(ステップS610)。そして、制御部51は、認識したQRコードを解析して、認証情報に含まれるチケットIDを取得する(ステップS620)。続いて、取得したチケットIDに対応する特徴IDをチケット情報テーブル52Bに照会して特定し、特定した特徴IDに対応する特徴量データを検札用特徴量テーブル52Aから取得する(ステップS630)。そして、制御部51は、カメラ55で撮影している映像に含まれる顔と取得した特徴量データとの類似度を算出する(ステップS640)。
【0095】
続いて制御部51は、算出した類似度が所定の基準を満たす(発券時よりも基準を低くしてもよい)であるか否かを判定する(ステップS650)。このステップS650における判定は、本発明における類似度に応じた判定の一例である。類似度が所定の基準を満たす場合(例えば、一致度が所定値以上である場合)には(ステップS650;Yes)、入場を許可する旨が表示部53に表示される(ステップS660)。一方、類似度が所定の基準を満たさない場合(例えば、一致度が所定値未満である場合)には(ステップS650;No)、入場を許可する旨が表示部53に表示されず、顔認証の不一致を係員に報知するべく赤色灯56を点灯させる。このほか、例えば、警告表示、警告音の発報、フラッシュの点灯等の警報の発報を行ってもよい(ステップS670)。このようにステップS660およびS670のいずれかを経て、1人の入場者に対する検札処理が終了する。なお類似度が所定の基準を満たさない場合に、その結果をどのように出力するかは上記に限定されない。例えば、報知・警告等する代わりに、検札所の渋滞を避けるために入場許可の表示を表示部53に出しつつ、検札所の係員には類似度が所定の基準を満たさない旨を通知し、入場者が検札所を通過した後で不正か否か等を係員が確認するようにしてもよい。
【0096】
興行の会場の入場口では、同様の処理が個々の入場者に対して行われる。このような構成により、不正な利用や譲渡等を防ぎつつ、入場口での検札を円滑に行うことが可能となる。
【0097】
〔実施形態の変形〕
なお、上記に本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。例えば、上記の実施形態では、顔画像による認証を行ったが、顔画像に代えて他の生体情報(例えば、指紋、虹彩、静脈、筋電位など)による認証を採用してもよい。この場合、生体情報の複数のパターン(すなわちインデックス)を特徴IDと紐づけて特徴量テーブルに格納しておき、利用者の生体情報に近いパターンに対応する特徴IDを認証情報に含めるようにするとよい。
【0098】
また、上記の各実施形態では、認証情報に1つの特徴IDを含めたが、認証情報に複数の特徴IDを含めてもよい。例えば、利用者の顔画像との一致度が高い順に所定数(例えば3つ)の類似特徴量データを特定し、各類似特徴量データに対応する特徴IDを認証情報に含めてもよい。また、特徴量テーブルに含まれる特徴量データを複数のグループに分類し、各グループから利用者の顔画像との一致度が所定値よりも高い類似特徴量データを特定し、それぞれの類似特徴量データに対応する特徴IDを認証情報に含めてもよい。
【0099】
チケットに記録される認証情報に複数の特徴IDが含まれる場合、検札装置は、複数のうち所定数(1つ、一部、全てのいずれとしてもよい)の特徴IDに対応する特徴量データとの一致度が所定値以上であれば検札所の通過を認めるようにするとよい。また、認証情報には当該チケットで入場可能な興行の情報(興行ID等)を含んでもよく、検札装置は認証情報に含まれる興行の情報に基づき入場の可否を判定してもよい。
【0100】
また、上記の各実施形態では、検札装置5において、類似度に応じた判定として、取得した利用者の生体情報(すなわち顔画像)と、チケットに紐づいている特徴IDに対応する特徴量データとの類似度を比較し、その比較結果に応じ判定(入場可否の判断等)を行ったが、他の方法で判定を実施してもよい。例えば、検札装置5において取得した利用者の生体情報に基づいて、当該生体情報に関する特徴情報に類似する特徴量データを新たに求めるとともに、この新たに求めた特徴量データに対応する特徴IDを特定し、この検札装置5にて特定された特徴IDと、チケットに紐づいている特徴IDとの比較結果に基づいて判定を実施してもよい。
【0101】
具体的には、検札装置5にて特定した類似特徴IDとチケットに紐づいている特徴IDと同一であるか否かを基準に判定をしてもよい。また、チケットに複数の類似特徴IDを品のづけるとともに検札装置5にて特徴IDを複数特定する構成とし、一致する特徴IDの数が所定に達するか否かを基準に判定をしてもよい。
【0102】
また、上記の各実施形態では、発券および検札の際に、顔画像との類似度が所定の基準を満たす類似特徴量データを特定する処理を実施するが、このとき用いられる所定の基準は任意である。例えば、特徴量データとの一致度が所定値以上であることを所定の基準とするとよい。あるいは、所定値との比較を行わず、顔情報との一致度が最大であることを所定の基準とし、一致度が最大の(複数の類似特徴量データを特定する場合には、最大から所定数番目までの)特徴量データを類似特徴量データとして特定してもよい。
【0103】
また、上記の第1実施形態では、チケット購入時にチケット購入端末3で利用者(購入者自身)の顔画像を撮影しサーバ2に送信したが、チケット購入後、発券までに利用者(購入者と異なる人物であってもよい)の顔画像をサーバ2に送信するようにしてもよい。具体的には、チケットを購入すると、サーバ2から発券用のウェブサイトへアクセスするための情報を発行し、のちの発券時までに当該発券用のウェブサイトにアクセスしてサーバ2に写真を送るようにするとよい。この場合、サーバ2が写真を受け取ると、発券のための情報(例えば、識別情報とパスワード)を購入者に発行し、発券機4が設置された店舗等に発券用の発券のための情報を持って行き発券するようにするとよい。このような構成にすれば、複数枚のチケットをまとめて購入し、チケットごとに入場者の顔画像を登録することが容易となる。
【0104】
また、チケットの券面には、これらのほか、類似特徴量データに基づき生成した、当該類似特徴量データとの一致度が高い顔の画像(似顔絵)を印刷するようにするとよい。このようにすれば、チケットの持ち主を推定することができ、複数枚のチケットを購入した場合等に正しい持ち主にチケットを配ることが可能である。その他、チケットに利用者の情報が紐づけられている場合には、券面に利用者の情報を印刷してもよい。
【0105】
また、上記の実施形態では、予め特徴量データを特徴量テーブル22Bに登録したが、特徴量テーブル22Bに予めなくてもよい。つまり、特徴量テーブル22Bの初期状態として特徴量データを含まないようにしてもよい。この場合、一致度が所定値以上となる特徴量データが特徴量テーブル22Bに含まれない場合には(最初の発券者については必ず)、購入者の顔画像に基づく特徴量データを特徴量テーブル22Bに登録するようにするとよい。このようにすれば、興行毎に特徴量テーブル22Bに含まれる特徴量データが異なるようになる。その結果、多数の認証情報を解析しても認証情報を推定して生成することができなくなり、不正を効果的に防ぐことができる。
【0106】
また、上記の実施形態では、認証情報をQRコードとしてチケットの券面に印刷したが、検札装置5で認識できれば他の手法で認証情報をチケットに記録してもよい。例えば、バーコード、文字列、図形等を認証情報として券面に印刷してもよい。例えば、チケットにメモリ等の電子データを保持できる記憶媒体が設けられるように構成し、当該記憶媒体に記録された認証情報を、無線通信(例えばRFタグを利用した近距離無線通信)、可視光通信等の任意の手段により検札装置5に送信するように構成してもよい。あるいは、チケットに認証情報を格納したICチップを埋め込んで、有線または無線の通信にてICチップに格納された認証情報を検札装置5が読み出すようにしてもよい。
【0107】
また、上記の実施形態では、チケット発券システムおよび検札装置を紙のチケットに適用する場合を例に説明したが、チケットはスマートフォン等の携帯端末を用いて実現される電子チケットであってもよい。
【0108】
また、上記の実施形態では、検札所において検札装置5がチケットと入場者の顔とを同時に、1つのカメラ55で撮影したが、これらを異なるタイミングで、および/または異なる装置で撮影してもよい。例えば、入場者の顔はカメラ55で撮影し、チケットに印刷されたQRコードは別途用意したQRコードリーダにより読み取るようにしてもよい。
【0109】
また、上記の第1実施形態では、発券するチケットを専用の発券機4から専用紙に印刷する場合を例に説明したが、チケットは購入者の自宅等にある通常のプリンタから普通紙に印刷するようにしてもよい。この場合、チケットは購入者の自宅等にある通常のプリンタが発券機の役割を果たすものと解釈することができる。
【0110】
また、前述の実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものや、各実施形態の特徴を適宜組み合わせたものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含有される。
【符号の説明】
【0111】
1 チケット発券システム
2 サーバ
3 チケット購入端末
4 発券機
5 検札装置