(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-12
(45)【発行日】2024-09-24
(54)【発明の名称】遺伝子修正自己ケラチノサイトを使用する劣性栄養障害型表皮水疱症のための遺伝子療法
(51)【国際特許分類】
A61L 27/60 20060101AFI20240913BHJP
A61L 27/16 20060101ALI20240913BHJP
A61L 27/18 20060101ALI20240913BHJP
A61L 27/24 20060101ALI20240913BHJP
A61L 27/34 20060101ALI20240913BHJP
A61L 27/36 20060101ALI20240913BHJP
A61L 27/38 20060101ALI20240913BHJP
A61L 27/44 20060101ALI20240913BHJP
A61K 35/36 20150101ALI20240913BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240913BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20240913BHJP
A61K 35/30 20150101ALI20240913BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20240913BHJP
C12N 15/867 20060101ALI20240913BHJP
C12N 15/864 20060101ALI20240913BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240913BHJP
C12N 5/071 20100101ALI20240913BHJP
C12N 11/08 20200101ALN20240913BHJP
【FI】
A61L27/60
A61L27/16 ZNA
A61L27/18
A61L27/24
A61L27/34
A61L27/36 200
A61L27/36 400
A61L27/38 300
A61L27/38 100
A61L27/44
A61K35/36
A61P17/00
A61P27/02
A61K35/30
C12N15/12
C12N15/867 Z
C12N15/864 100Z
C12N5/10
C12N5/071
C12N11/08
(21)【出願番号】P 2022164008
(22)【出願日】2022-10-12
(62)【分割の表示】P 2018534551の分割
【原出願日】2017-01-03
【審査請求日】2022-10-12
(32)【優先日】2016-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515158308
【氏名又は名称】ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ レランド スタンフォード ジュニア ユニバーシティー
(73)【特許権者】
【識別番号】513171172
【氏名又は名称】ザ ユナイテッド ステイツ ガバメント アズ レプリゼンテッド バイ ザ デパートメント オブ ベテランズ アフェアーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】シプラシュヴィリ,ズラブ
(72)【発明者】
【氏名】グエン,ンゴン ティ.
(72)【発明者】
【氏名】マリンコヴィチ,エム.ピーター
(72)【発明者】
【氏名】タァング,ジーン
(72)【発明者】
【氏名】レーン,アルフレッド ティ.
(72)【発明者】
【氏名】カバリ,ポール エイ.
【審査官】関 景輔
(56)【参考文献】
【文献】JOURNAL OF INVESTIGATIVE DERMATOLOGY,2014年,VOL. 134, NO. SUPPL 1,PAGES. S75,https://www.researchgate.net/publication/285484247_Phase_I_clinical_trial_of_genetically_corrected_autologous_epidermal_keratinocytes_for_recessive_dystrophic_epidermolysis_bullosa
【文献】HUMAN GENE THERAPY,2010年10月,VOL:21, NR:10,PAGE(S):1299 - 1310,http://dx.doi.org/10.1089/hum.2010.023
【文献】EXPERIMENTAL DERMATOLOGY,2013年12月30日,VOL. 23, NO. 1,PAGES. 1 - 6,https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24107073
【文献】SCIENCE TRANSLATIONAL MEDICINE,2014年11月26日,VOL. 6, NO. 264,PAGES. 264RA163-1/23,https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4428910/
【文献】INVESTIGATIVE OPTHALMOLOGY & VISUAL SCIENCE,2014年04月11日,VOL. 55, NO. 4,PAGES. 2337-2343,https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24651553
【文献】Mol.Ther.,2014年,Vol.22, Suppl.1,S218 No.562
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 27/60
A61L 27/16
A61L 27/18
A61L 27/24
A61L 27/34
A61L 27/36
A61L 27/38
A61L 27/44
A61K 35/36
A61P 17/00
A61P 27/02
A61K 35/30
C12N 15/12
C12N 15/867
C12N 15/864
C12N 5/10
C12N 5/071
C12N 11/08
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
角膜細胞シートまたはケラチノサイトシートを作製する方法であって、
(a)角膜糜爛に罹患している対象から得られた角膜細胞の集団または表皮水疱症(EB)に罹患している対象から得られた皮膚細胞の集団を、機能性コラーゲンVII(COL7A1)タンパク質をコードする遺伝子構築物を含むウイルスで前記角膜細胞または皮膚細胞を形質導入することにより、エクスビボで修正すること、及び
(b)遺伝子修正角膜細胞または遺伝子修正皮膚細胞を培養して、前記角膜細胞シートまたはケラチノサイトシートを形成すること
を含んでおり、
前記ウイルスは、レトロウイルス、レンチウイルス、またはアデノ随伴ウイルス(AAV)から選択され、
修正された角膜細胞または修正された皮膚細胞は、50%を超えるウイルス形質導入効率(VTE)の放出前基準を満たし、3以下のプロウイルスゲノムコピー数(PGCN)を有する、
方法。
【請求項2】
前記修正された角膜細胞または修正された皮膚細胞のPGCNは、2、1.5、1、または0.5以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記修正された角膜細胞または修正された皮膚細胞のPGCNは、2である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記機能性COL7A1タンパク質は、全長野生型ヒトCOL7A1タンパク質である、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
(a)前記角膜細胞は、角膜上皮細胞を含むか、
(b)前記皮膚細胞は、ケラチノサイト細胞を含むか、または、
(c)前記角膜細胞または皮膚細胞は、前記対象について自己である、
請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記対象は、劣性栄養障害型表皮水疱症(RDEB)、重度の全身性RDEB、または、優性栄養障害型表皮水疱症(DDEB)に罹患している、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記対象は、ヒトである、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記レトロウイルスは、GalV偽型である、請求項1~
7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記角膜細胞の集団または皮膚細胞の集団は、幹細胞を含む、請求項1~
8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
ステップ(a)における形質導入の前、後、または間に、前記幹細胞を、角膜上皮細胞またはケラチノサイト細胞に分化することをさらに含む、請求
項9に記載の方法。
【請求項11】
前記角膜細胞シートまたはケラチノサイトシートは、VTE試験、PGCN試験、無菌試験、エンドトキシン試験、マイコプラズマ試験、グラム染色無菌試験、LEAES生存率試験、放出後試験、複製可能な
レトロウイルス(RCR)試験、細胞傷害性T細胞アッセイ、抗C7 LH24 mAb特性決定、電子顕微鏡検査法、免疫電子顕微鏡検査法、免疫蛍光染色、C7発現、及びAF分析からなる群から選択される1つ以上の試験を受ける、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記角膜細胞シートまたはケラチノサイトシートは、前記RCR試験を受ける、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記免疫蛍光染色は、直接または間接免疫蛍光染色を含む、請求項
11に記載の方法。
【請求項14】
前記角膜細胞シートまたはケラチノサイトシートを、無細胞マトリックス、コラーゲンマトリックス、または生体適合性メッシュ上に配置することをさらに含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記無細胞マトリックスは、ヒトの真皮または動物の真皮を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記角膜細胞シートまたはケラチノサイトシートは、熱可塑性樹脂、ポリエチレン、超高分子量のポリエチレン、高分子量のポリオレフィン、非コーティング単繊維ポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンテレフタラート、ポリテトラフルオロエチレン、発泡ポリテトラフルオロエチレン、ナイロン、シリコン、またはそれらの任意の組み合わせで作製される生体適合性メッシュ上に配置される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記遺伝子構築物は、配列番号1の位置2325~11157に対応するヌクレオチド配列を含む、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に、表皮水疱症(EB)及び角膜糜爛を処置するための方法及び組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
劣性栄養障害型表皮水疱症(RDEB)は、COL7A1遺伝子(コラーゲンVII、C7)の変異により引き起こされる、継承される遺伝性水疱形成皮膚疾患であり、C7機能の欠損をもたらす。この障害を有する患者は、中咽頭、結膜、食道、ならびに泌尿生殖器及び胃腸管の遠位側面を含む皮膚及び粘膜組織の広範囲にわたる水疱形成及び糜爛により特徴付けられる。痛みを伴う水疱形成及び糜爛は、主要な障害であるが、治癒した創傷からの瘢痕は、ミトン手指変形(偽合指症)、眼の瞼球癒着、食道の狭窄、小口症、舌癒着症、及び四肢の狭窄を含む重大な罹患も引き起こす。慢性創傷及び瘢痕化が、浸潤性扁平上皮癌浸潤の素因となり、これは、RDEBの重大な問題であり、浸潤性扁平上皮癌は、10代から始まるこの集団における主な死因である。それ故、この疾患の最適な治療法は、機能障害性瘢痕化の発生を防ぎ、かつ水疱形成を防止するために、早期に実施することができるものであろう。また、皮膚及び粘膜組織の双方を全身的に修正する能力は、RDEB治療アプローチにおいて非常に望ましいであろう。
【0003】
VII型コラーゲン(C7)は、大きなホモ三量体三重らせんコラーゲン分子であり、これは、NC2末端で逆平行の二量体形成、続いて、アンカリングフィブリルと呼ばれる結合構造への超分子集合を受け、これは、基底膜ゾーン(BMZ)の緻密層を、真皮乳頭層に連結する。C7は、大きなNC1ドメインを含有し、これは、緻密層及びコラーゲンドメイン中のラミニン-332を結合し、これは、真皮乳頭層内の間質性コラーゲン線維を包み込む。従って、RDEBにおけるC7の欠如は、真皮乳頭層及び緻密層の間に水疱形成を生じる。
【0004】
この疾患の分子診断の進歩にもかかわらず、現在の治療法は、緩和ケアに限定されている。C7に代わるいくつかのアプローチが提案されているが、全ては、限界がある。局所的に適用される場合、rC7は、無傷の皮膚を透過することができず、損傷領域に制限される。RDEB患者の皮内rC7タンパク質注射は、別の代替手段である。しかし、通常の針注射からの拡散の制限により、臨床使用にはまだ利用できないrC7マイクロニードルアレイ送達が必要とされる。
【0005】
治療目的では、C7の皮膚への局所送達が望ましい。本発明は、この問題を扱う。C7の全身療法は、全身毒性を引き起こし得る。(Hou et al.(2015),Journal of Investigative Dermatology 135,3060-3067を参照のこと。)
【発明の概要】
【0006】
ヒト対象における表皮水疱症(EB)の処置のための組成物及び方法が提供される。本発明の処置方法では、ヒトケラチノサイトの集団は、野生型ヒトC7をコードする遺伝子構築物をインテグレートすることにより、C7を発現するように操作される。一部の実施形態では、発現レベルは、正常なヒトケラチノサイト発現レベルよりも高い。一部の実施形態では、発現レベルは、正常なヒトケラチノサイト発現レベルよりも小さく、類似しており、または同じである。本発明には、野生型C7を発現するように、本発明の方法により操作されたケラチノサイトの単離集団が含まれ、これは、医薬単位用量組成物で提供され得る。一部の実施形態では、対象は、表皮水疱症(EB)を引き起こすC7の遺伝的欠陥を抱えるヒトである。実施形態では、遺伝的欠陥は、RDEBである。
【0007】
一部の実施形態では、処置に利用されるケラチノサイトは、自己ケラチノサイトである。エクスビボ操作方法は、限定されないが、レトロウイルス(例えば、ガンマレトロウイルス)、AAVウイルス、及びレンチウイルスを含む、限定されないが、ウイルスにより引き起こされるもの、または非ウイルスベクター、トランスポゾン、ミニサークルインテグレーション、CRISPR/Cas9ゲノム編集システムなどを含むウイルスフリーインテグレート法から選択されてもよい。一部の実施形態では、ガンマレトロウイルスは、マウス白血病ウイルス(MLVもしくはMuLV)、ネコ白血病ウイルス(FeLV)、テナガザル白血病ウイルス(GALV)、及び異種マウス白血病ウイルス関連ウイルス(XMRV)を含み、それから本質的になり、またはそれからさらになる。一部の実施形態では、非ウイルスベクターは、ゲノム編集機能の能力を有するエピソームベクターもしくは組み込みベクターを含み、それから本質的になり、またはそれからさらになる。一部の実施形態では、MLV LTRの制御下で機能性COL7A1 cDNAを含有するGMPグレードのGalV-偽型LZRSE-COL7A1ウイルスは、C7遺伝子をケラチノサイトにインテグレートするために使用される。一部の実施形態では、機能性COL7A1 cDNAは、全長野生型ヒトCOL7A1 cDNAである。一実施形態では、機能性COL7A1 cDNAは、全長野生型ヒトCOL7A1 cDNAからの遺伝子改変を含む。一部の実施形態では、ウイルス形質導入は、細胞培養上にウイルス上清を重層することにより実施される。一部の実施形態では、このように処理されたケラチノサイトは、50%を超えるウイルス形質導入効率(VTE)及び3以下のプロウイルスゲノムコピー数(PGCN)の放出前基準を満たす。一部の実施形態では、PGCNは、3、10、20、40、または60を超える。一部の実施形態では、PGCNは、2、1.5、1、または0.5未満である。
【0008】
一部の実施形態では、内在性変異、機能不全、または短縮型C7遺伝子は、本明細書に記載されているようなCRISPR/Casシステム(または該CRIPSR/Casシステムをコードするベクター)及び標的とする切断後に、遺伝子に挿入される「ドナー」配列(例えば、機能性COL7A1 cDNAまたはC7遺伝子)を使用して置換される。
【0009】
本発明の一部の実施形態では、EBの処置のための方法が提供され、方法は、EBに罹患する対象由来のケラチノサイト集団を得ること、野生型ヒトC7を発現するように、レトロウイルス形質導入によりケラチノサイトを改質すること、及びケラチノサイトを個体に再導入することを含み、それから本質的になり、またはそれからさらになる。一部の実施形態では、ケラチノサイトは、血清を含むか、または含まないケラチノサイト培地中、インビトロで培養される皮膚パンチ生検から得られる。一部の実施形態では、ケラチノサイトは、細胞のフィーダー層を有するか、または有さない培地中で培養される。表皮は、真皮層から分離され、ケラチノサイトは、表皮層から得られる。少なくとも約106 個の細胞、少なくとも約2×106 個、及び/または少なくとも4×106 個の細胞は、遺伝子修正細胞の集団を提供するために形質導入に使用される。細胞は、移植のための約25cm2 ~約1002 cmのシートを生成するように培養される。遺伝子修正ケラチノサイトシートは、扁平上皮癌(SCC)の臨床所見がない感染してない、糜爛した、及び/または瘢痕化した創傷部位上に配置される。創傷部位は、約50cm2 、約100cm2 、及び/または約200cm2 からであってよい。一部の実施形態では、移植片のための創傷が生成される。一部のこのような実施形態では、創傷は、残存する非修正創傷床ケラチノサイトを切除するために電気焼灼される。移植片は、創傷床の調製後に溶解可能な縫合糸により創傷床に固定される。
【0010】
別の実施形態では、本開示は、EBの症状を低減するために有効な用量で野生型ヒトC7を発現するように遺伝子修正ケラチノサイトの集団を含むか、それから本質的になるか、またはそれからさらになる組成物、及び薬学的に許容される担体を提供する。本開示の一態様では、組成物は、凍結される。一部の実施形態では、ケラチノサイトは、処置のために選択された個体に対して自己である。
【0011】
別の実施形態では、本開示は、ケラチノサイトシートを含むか、それから本質的になるか、またはそれからさらになる医薬組成物を提供し、これは、機能性COL7 A1タンパク質をコードする遺伝子構築物がエクスビボでインテグレートされた皮膚細胞を含み、それから本質的になり、またはそれからさらになる。一部の実施形態では、ケラチノサイトシートは、生物工学により製造された皮膚同等物上に配置される。一部の実施形態では、ケラチノサイトシートは、無細胞マトリックス、コラーゲンマトリックス、ECMタンパク質、もしくは化学層、または生体適合性メッシュ上に配置される。一実施形態では、無細胞マトリックスは、ヒト及び/または動物の真皮から作製される。一部の実施形態では、生体適合性メッシュは、熱可塑性樹脂、ポリエチレン、超高分子量のポリエチレン、高分子量のポリオレフィン、非コーティング単繊維ポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンテレフタラート、ポリテトラフルオロエチレン、発泡ポリテトラフルオロエチレン、ナイロン、シリコン、またはそれらの任意の組み合わせで作製される。
【0012】
本明細書では、自己RDEBケラチノサイトを皮膚生検から単離し、機能性(例えば、全長)ヒトCOL7A1を有するレトロウイルスで形質導入した。各対象では、自己表皮シート(約35cm2 )を製造し、調製した創傷床に移植した。エンドポイントは、ベースラインと比較した創傷治癒のパーセントとしての安全性、有効性、及び移植の3ヶ月後及び6ヶ月後でのC7発現の形跡を含んでいた。全ての移植片は、全ての対象により十分に忍容され、重大な有害事象(全身ウイルス感染、自己免疫、移植片内の皮膚癌の発生)は、報告されなかった。3~6ヶ月で、移植片の大部分は、75%の治癒を示した。移植部位の生検は、正常なアンカリングフィブリル存在下の、3ヶ月及び6ヶ月の真皮-表皮接合部に強力なC7発現を示した。COL7A1エクスビボ遺伝子導入は、好ましい安全性プロファイルを有しており、継承RDEBを有する対象における有望な有効性を示した。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】Aは、RDEB遺伝子修正フローチャートを示し、KC-表皮ケラチノサイト、LEAES-LZRSE-COL7A1で操作された自己表皮シート移植片を表す。Bは、LZRSE-COL7A1ウイルスを形質導入したRDEB KCの間接免疫蛍光法(IIF)を示し、抗VII型コラーゲンポリクローナル抗体(オレンジ)、Hoechst33342核(青色)を表し、スケールバーは100μmである。Cは、4人のRDEB対象の修正KCにおけるウイルス形質導入効率(VTE)の定量化を示す。Dは、4人のRDEB対象の修正KCにおける平均プロウイルスコピー数(PGCN)の定量化を示す。Eは、移植片の移植前及び移植後のRDEB表現型の臨床表示を示し、LEAES移植の3ヶ月前及び6ヶ月前と比較した、修正皮膚移植前及び未処置の創傷における水疱に注意する。Fは、皮膚移植片におけるVII型コラーゲン発現のIIF分析を示し、抗VII型コラーゲンNC2 Mab LH24及びNC1 Pab FNC1(緑色)、Hoechst33342核(青色)、修正組織移植片の真皮-表皮接合部におけるVII型コラーゲンの線状緑色染色に注意し、スケールバーは100μmである。Gは、修正RDEB皮膚移植片の免疫EM分析を示し、組織切片を、抗VII型コラーゲンNC2 Mab LH24、続いて、抗マウスIgMコンジュゲートイムノゴールド粒子(黒い点、矢印で示す)で一括して標識しており、スケールバーは200nmである。
【
図2】第I相試験における対象の登録のCONSORT図である。
【
図3】NC1ドメインに特異的な抗VII型コラーゲンポリクローナル抗体を使用した培養KC上清のウェスタンブロット分析を示し、試験に登録された全ての対象においてNC1ドメインを含有する短縮型C7タンパク質発現に注目する。
【
図4】収穫前の成熟LEAES、アセンブリされた最終のLEAES移植片を示す。
【
図5】Aは、移植片の移植前及び移植後のRDEB表現型の臨床表示を示す。Bは、皮膚移植片におけるVII型コラーゲン発現のIIF分析を示し、抗VII型コラーゲンNC2 Mab LH24(緑色)、Hoechst33342核(青色)、ケラチン14(抗K14 Pab、オレンジ)、ケラチン1(抗K1 Pab、オレンジ)、及びロリクリン(抗ロリクリンPab、オレンジ)を表し、全時点での修正組織移植片の真皮-表皮接合部でのVII型コラーゲンの線状緑色染色に注意し、スケールバーは100μmである。
【
図6】Aは、移植前及び移植後の対象2の創傷、移植片の移植前及び移植後のRDEB表現型の臨床表示を示す。Bは、移植前及び移植後の対象2の創傷、皮膚移植片におけるVII型コラーゲン発現のIIF分析を示し、抗VII型コラーゲンNC2 Mab LH24(緑色)、Hoechst33342核(青色)、ケラチン14(抗K14 Pab、オレンジ)、ケラチン1(抗K1 Pab、オレンジ)、及びロリクリン(抗ロリクリンPab、オレンジ)を表し、3ヶ月後の修正組織移植片の真皮-表皮接合部におけるVII型コラーゲンの線状緑色染色に注意し、スケールバーは100μmである。
【
図7】Aは、移植前及び移植後の対象3の創傷、移植片の移植前及び移植後のRDEB表現型の臨床表示を示す。Bは、移植前及び移植後の対象3の創傷、皮膚移植片におけるVII型コラーゲン発現のIIF分析を示し、抗VII型コラーゲンNC2 Mab LH24(緑色)、Hoechst33342核(青色)、ケラチン14(抗K14 Pab、オレンジ)、ケラチン1(抗K1 Pab、オレンジ)、及びロリクリン(抗ロリクリンPab、オレンジ)を表し、全時点での修正組織移植片の真皮-表皮接合部でのVII型コラーゲンの線状緑色染色に注意し、スケールバーは100μmである。
【
図8】Aは、移植前及び移植後の対象4の創傷、移植片の移植前及び移植後のRDEB表現型の臨床表示を示す。Bは、移植前及び移植後の対象4の創傷、皮膚移植片におけるVII型コラーゲン発現のIIF分析を示し、抗VII型コラーゲンNC2 Mab LH24(緑色)、Hoechst33342核(青色)、ケラチン14(抗K14 Pab、オレンジ)、ケラチン1(抗K1 Pab、オレンジ)、及びロリクリン(抗ロリクリンPab、オレンジ)を表し、LH24 Mabを用いた3ヶ月での修正組織移植片及びNC1 Pabを用いた6ヶ月での修正組織移植片の真皮-表皮接合部でのVII型コラーゲンの線状緑色染色に注意し、スケールバーは100μmである。
【
図9】抗C7 LH24モノクローナル抗体の特性決定を示し、NC2ドメインを含有するカルボキシル末端ペプチドに対するLH24 Mab交差反応性を示す酵素的に消化されたC7のウェスタンブロット分析を示し、NC2特異的pAb(NC2-10)5で確認されたペプシンで消化されたC7画分中のNC2ドメインの存在を表し、FNC1 pAb 6を使用して同定されたコラゲナーゼで消化されたC7画分中のNC1ドメインを表す。
【
図10】対象4の非修正創傷の臨床表示、未処置創傷における特徴的な自発的な水疱発生を示す。
【
図11】Aは、対象4の、血清VII型コラーゲンに対する血清反応性、移植片の移植前及び移植後(3ヶ月)の対象4血清の全長C7に対する交差反応性を示すウェスタンブロット分析を示す。Bは、対象4の、血清VII型コラーゲンに対する血清反応性を示し、移植前及び移植の3ヶ月後に得られた対象4の血清は、NC2ドメインを含有する酵素的に(ペプシンで)消化されたC7タンパク質に特異的であり、対照(右レーン)は、NC2特異的Pab(NC2-10)5を使用して消化されたC7画分中のNC2ドメインの存在を確認する。
【
図12】移植前及び移植の12ヶ月後の対象1の創傷、ベースライン及び移植の12ヶ月後における創傷の臨床表示、皮膚移植片におけるVII型コラーゲン発現のIIF分析を示し、抗VII型コラーゲンNC1 Pab(緑色)、Hoechst33342核(青色)、ケラチン14(抗K14 Pab、オレンジ)、ケラチン1(抗K1 Pab、オレンジ)、及びロリクリン(抗ロリクリンPab、オレンジ)を表し、修正組織移植片の真皮-表皮接合部におけるVII型コラーゲンの線状緑色染色に注意し、スケールバーは100μmである。
【
図13】pLZRSE-COL7A1レトロウイルスプラスミドのマップを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、記載された特定の方法論、プロトコール、細胞株、動物種または属、及び試薬に限定されず、そのようなものであるから、変動し得ることを理解すべきである。また、本明細書で使用される用語は特定の実施形態のみを説明する目的のためであり、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲を限定するものではないことも理解すべきである。
【0015】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈に別途明示がない限り、複数の指示対象を含む。従って、例えば、「細胞」についての言及は、複数のこのような細胞を含み、「培養物」についての言及は、当業者らに既知の1つ以上の培養物及びその同等物についての言及を含む。本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、別途明示がない限り、本発明が属する技術分野の当業者に一般に理解されるのと同じ意味を有する。
【0016】
本方法、装置、及びシステムのいずれかの任意の実施形態は、記載の工程及び/または機能を-含む/含む/含有する/有するよりはむしろ-それからなり、またはそれから本質的になり得る。従って、請求項のいずれかでは、「からなる」または「から本質的になる」という用語は、制約がない連結動詞を別途使用しているものから、所与の請求項の範囲を変更させるために、上に引用された制約がない連結動詞のいずれかと置換され得る。
【0017】
特許請求の範囲における「または」という用語の使用は、代替物のみを指すことが明示されない限り、「及び/または」を意味するために使用され、または、代替物は、互いに排他的である。但し、本開示は、代替物及び「及び/または」のみを指す定義をサポートする。
【0018】
本出願の全体にわたって、「約」という用語は、値を決定するために用いられている装置または方法の誤差の標準偏差を、値が含むことを示すために使用される。
【0019】
本発明の操作されたケラチノサイトでの処置のための目的の状態は、後天性及び先天性形態を含む種々の形態の表皮水疱症を含むが、これらに限定されず、これらのうちの後者は、劣性または優性であってよい。
【0020】
最近の分類システムに基づいて、栄養障害型表皮水疱症(DEB)は、3つの亜型:劣性DEB、重度の全身性(RDEB-sev gen)(以前はHallopeau-Siemens型(RDEB-HS)と呼ばれていた)、劣性DEB、他の全身性(RDEB-O)(以前は非Hallopeau-Siemens型(非HS型RDEB)と呼ばれていた)、及び優性DEB(DDEB)を含む。RDEB-sev genでは、全身に影響を及ぼす水疱は、新生児期に存在し得る。口腔病変は、口の水疱形成、舌の口底部への融合、及び口腔のサイズの漸進的な縮小をもたらし得る。食道糜爛は、重度の嚥下障害を引き起こす可能性があるウェブ及び狭窄につながる可能性がある。従って、重度の栄養不足及び2次的な問題が一般的である。角膜糜爛は、瘢痕化及び視力喪失につながる可能性がある。手及び足の水疱形成、続く、瘢痕は、指趾を融合して、この疾患の特質である「ミトン」の手及び足になる。積極的な扁平上皮癌の生涯リスクは、90%を超える。DDEBでは、水疱形成は多くの場合、軽度であり、手、足、膝、及び肘に限定されるが、それにもかかわらず、瘢痕化を伴って治癒する。ジストロフィー爪、特に、足の爪は、一般的であり、DDEBの唯一の症状であり得る。
【0021】
創傷被覆材及び栄養補助を含む、症状の通常の処置は、主に有効である。作業療法は、手の拘縮を予防するために役立ち得る。指の外科的解放は多くの場合、繰り返される必要がある。
【0022】
野生型C7を発現するように操作されたケラチノサイトは、栄養障害型表皮水疱症の治療での使用を見出すことができる。
【0023】
遺伝性形態のEBに加えて、後天性形態の表皮水疱症(EBA)は、VII型コラーゲンにおける病状を含み、本開示の操作されたケラチノサイトで処置され得る。EBA患者において循環血中の自己抗体は、VII型コラーゲン分子中のエピトープを認識し、VII型コラーゲンcDNAの分子クローニングは、VII型コラーゲンのアミノ末端NC-1ドメイン内で優性な免疫エピトープを同定するツールを提供している。NC-1(VII)ドメインの抗原特性は、後天性形態のEBを有する患者の皮膚のVII型コラーゲンをマッピングするために臨床的に使用されているH3A及びL3Dなどのモノクローナル抗体がタンパク質のこの部分のエピトープも同定するという事実によりさらに強調される。EBAにおけるVII型コラーゲンエピトープを認識する循環血中の自己抗体に加えて、全身性エリテマトーデスを有する一部の患者における水疱性病変は、抗VII型コラーゲン抗体とも関連している。
【0024】
コラーゲン
本明細書中で使用される場合、「コラーゲン」という用語は、存在するタンパク質の少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%以上が、三重らせん立体配置のコラーゲンである組成物を指す。個々のα鎖の三重らせん立体配座へのフォールディングは、繰り返しのGly-X-Y三重項配列を含む特徴的な1次配列に基づく。コラーゲンは広く、脊椎動物種で見出され、多くの異なる種のために配列が決定されている。種間の、例えば、哺乳動物種間の、高度の配列類似性に起因して、異なる種由来のコラーゲンは、生物学的目的のために使用することができる。但し、ヒトタンパク質が好まれ得る。
【0025】
FACITコラーゲン(中断された三重らせんを有する線維関連コラーゲン)は、IX、XII、XIV、XIX、XX、及びXXI型を含む。後者の型のコラーゲンのいくつかは、より大きなコラーゲン線維と関連し、会合し、分子ブリッジとして機能し、細胞外マトリックスの構成を安定化させる。コラーゲンVII(COL7A1、染色体3、NC_000003.10(48576510..48607689、補体))は特に興味深い。VII型コラーゲンは、アンカリングフィブリルの主要構成成分である。
【0026】
VII型コラーゲンは、隣接非コラーゲン配列を有する長い424nmの三重らせんドメインである。VII型コラーゲン分子は、非コラーゲンNC-1及びNC-2ドメインが隣接する主要コラーゲン、トリプルヘリックスセグメントを含む。間質性コラーゲンとは異なり、繰り返しのGly-X-Y配列は、Gly-X-Y反復配列中のアミノ酸の挿入または欠失に起因する19個の欠陥により中断される。最も顕著であるのは、三重らせんドメインの中央には、39アミノ酸の非コラーゲン「ヒンジ」領域があり、これは、ペプシンを用いるタンパク質分解消化に感受性がある。サイズが約145kDaのVII型のアミノ末端NC-1ドメインは、軟骨基質タンパク質(CMP)と相同性を有するセグメント、9つの連続したフィブロネクチンIII型様(FN-III)ドメイン、von Willebrand因子のAドメインと相同性を有するセグメント、ならびに短いシステイン及びプロリンリッチ領域を含む既知の接着タンパク質と相同性を有するサブモジュールを含む。カルボキシ末端の非コラーゲンドメインであるNC-2は、約30kDaと比較的小さく、それは、Kunitzプロテアーゼインヒビター分子と相同性を有するセグメントを含有する。
【0027】
ヒトVII型コラーゲン遺伝子であるCOL7A1は、合計118個の別々のエクソンを有する複雑な構造を有する。しかし、遺伝子は、比較的コンパクトであり、イントロンの大部分は、比較的小さい。従って、ヒトCOL7A1遺伝子全体のサイズは、約8.9kbのメッセンジャーRNAをコードする、わずか約32kbである。COL7A1は、ヒト3番染色体の短腕である領域3p21.1にマッピングされている。VII型コラーゲン遺伝子構造及びタンパク質のコードされた1次配列は、よく保存され、例えば、マウス遺伝子は、ヌクレオチドで84.7%の相同性及びタンパク質レベルで90.4%の同一性を示す。
【0028】
VII型コラーゲンは、培養中の表皮ケラチノサイト及び皮膚線維芽細胞の双方により合成される。完全なプロα1(VII)ポリペプチドの合成時に、3つのポリペプチドは、コラーゲン部分がフォールドして三重らせんが形成される三量体分子にカルボキシ末端の端部を介して会合する。次いで、三重らせん分子は、細胞外環境に分泌され、2つの種類のVII型コラーゲン分子はアラインメントして逆平行二量体になり、アミノ末端ドメインは、分子の両端に存在する。この二量体アセンブリは、VII型コラーゲン分子の双方のカルボキシ末端の一部をタンパク質分解的除去及び分子間ジスルフィド結合形成による安定化を伴う。続いて、多数のこれらの逆平行二量体は、横方向に凝集してアンカリングフィブリルを形成する。
【0029】
優性栄養障害型表皮水疱症(DDEB)において、COL7A1の三重らせんドメイン(特に、エクソン73、74、及び75)のグリシン置換変異が優勢である。変異p.Gly2034Arg及びp.Gly2043Argは、最も一般的なDDEBを引き起こす変異であり、最大の米国コホートで報告された優性変異の50%を占める。グリシン置換ならびにこの領域外の他のアミノ酸置換及びスプライス接合変異は、優性DEBにも見出され得る。
【0030】
全形態のDEBについて、遺伝子全体にわたる400を超える劣性DEBを引き起こす変異が記載されている。しかし、各変異は、変異の総数の1%~2%以下を占める。グリシン置換及び他のアミノ酸置換が記載されているが、RDEBでは、ヌル変異が優勢である。より軽度の形態のRDEBは多くの場合、スプライス接合部変異または他のミスセンス変異により引き起こされる。
【0031】
「天然配列」ポリペプチドは、天然由来のポリペプチドと同じアミノ酸配列を有するものである。このような天然配列ポリペプチドは、本明細書に記載の方法に従って組み換え手段により生成することができる。従って、天然配列ポリペプチドは、例えば、天然に存在するヒトポリペプチド、マウスポリペプチド、または他の任意の哺乳動物種由来のポリペプチドなどのアミノ酸配列を有することができる。「天然配列コラーゲンVIIタンパク質」という用語は、開始N末端メチオニン(Met)を有するか、または有しない天然のタンパク質を含む。
【0032】
「多様体」ポリペプチドは、天然配列ポリペプチドと100%未満の配列同一性を有する、以下に定義されるような生物学的に活性なポリペプチドを意味する。このような多様体は、1つ以上のアミノ酸残基が、天然の配列のN末端もしくはC末端で、または天然の配列内で添加されるポリペプチドを含み、約1~40のアミノ酸残基が欠失され、かつ1つ以上のアミノ酸残基により任意に置換されるポリペプチド、及び得られる産物が天然に存在しないアミノ酸を有するように、アミノ酸残基が共有結合的に修飾されている上記ポリペプチドの誘導体を含む。通常、生物学的に活性なコラーゲンVII多様体は、天然配列コラーゲンVIIポリペプチドと少なくとも約90%、好ましくは、少なくとも約95%、より好ましくは、少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を有するであろう。
【0033】
天然配列コラーゲンであるVIIポリペプチドの「機能性誘導体」は、天然配列コラーゲンVIIポリペプチドと共通の定性的生物学的特性を有する化合物である。「機能性誘導体」は、天然配列のフラグメントならびに天然配列コラーゲンVIIポリペプチドの誘導体及びそのフラグメントを含むが、これらに限定されない。但し、それらは、対応する天然配列コラーゲンVIIポリペプチドと共通の生物学的活性を有する。「誘導体」という用語は、コラーゲンVIIポリペプチドのアミノ酸配列多様体及びその共有結合修飾物の双方を包含する。
【0034】
「創傷床」という用語は、創傷の生存可能な一番上の層を指す。一実施形態では、創傷床は、スラフまたはエスカーで覆われる。別の実施形態では、創傷床は、肉芽組織線維スラフ、エスカー、骨、腱、及び/または他の下にある構造体の存在について評価することができる。
【0035】
「ウイルス形質導入効率(VTE)試験」という用語は、ウイルスを形質導入した細胞数の、形質導入を受けた全細胞数に対する比率を測定するための試験である。一実施形態では、VTEは、形質導入されたウイルス上で発現されるタンパク質を標的とする抗体を用いる蛍光抗体染色により測定される。別の実施形態では、VTEは、リアルタイムPCRまたは定量PCRにより測定される。
【0036】
「プロウイルスゲノムコピー数」または「PGCN」という用語は、ウイルス形質導入細胞におけるプロウイルスDNAコピーの数を指す。従って、PGCN試験は、ウイルス形質導入または感染後の細胞におけるプロウイルスDNAのコピーの数を測定する。一実施形態では、コピー数は、リアルタイムPCRまたは定量PCRにより測定される。別の実施形態では、PGCNは、サザンブロットまたはハイスループット法により測定される。一部の実施形態では、PGCNは、3、2、1、0.5未満である。一部の実施形態では、PGCNは、3、10、100、または1,000を超える。
【0037】
「無菌試験」という用語は、試料中の生存可能な汚染微生物の有無を明らかにするために試みられる試験を指し、多くの場合、偽陽性の結果を排除するために使用される。一実施形態では、偽陽性の結果は、環境からの汚染または誤差に起因して生じる。
【0038】
「エンドトキシン」という用語は、限定されないが、Brucella、Neisseria、及びVibrio種を含む特定のグラム陰性細菌の外膜に関連する毒素を指す。一実施形態では、エンドトキシンは、分泌されないが、細胞が破壊されるときにのみ放出される。エンドトキシンは、ゲル-クロット法、発色法、比濁法、またはそれらの組み合わせにより測定または試験することができる。
【0039】
「マイコプラズマ」という用語は、細菌が特定の種類の抗生物質により影響を受けにくいように、または影響を受けないように、細胞膜の周りの細胞壁を欠いている細菌の集団を指す。マイコプラズマ試験は、寒天及びブロッティング手順、DNA検出、酵素、及びELISA法、ならびにPCRを含むが、これに限定されない。
【0040】
「グラム染色無菌試験」という用語は、試料中の細菌及び/または真菌を検出するための手順を指す。一実施形態では、グラム染色滅菌試験は、試料中の細菌または真菌の存在もしくは不存在、及び/またはそれらの一般的な種類を示すことができる。
【0041】
「生存率試験」という用語は、器官、細胞、または組織が生存率を維持または回復する能力を決定する試験を指し、これは、器官、細胞、または組織の機械的活性、運動性、収縮性、有糸分裂活性を含むが、これらに限定されない。一実施形態では、LZRSE-COL7A1で操作された自己表皮シート(LEAES)生存率試験は、LEAES上の細胞または組織が生存率を維持または回復する能力を試験することである。
【0042】
本開示では、「複製能力があるレトロウイルス(RCR)」という用語は、レトロウイルスベクターが複製欠損であるように設計されている場合であっても、複製することが可能なレトロウイルスを指す。一実施形態では、RCRは、プロデューサー細胞内の導入ベクターのパッケージング構成要素及び内在性レトロウイルスエレメントの間の相同または非相同組み換えにより、製造中に生成される。RCR試験は、試料中のRCRを検出することである。
【0043】
「細胞傷害性T細胞アッセイ」という用語は、細胞媒介性免疫機能を評価するためのアッセイを指す。
【0044】
本開示における「放出後試験」という用語は、限定されないが、無菌試験、RCR試験、マイコプラズマ試験、生存率試験、及びグラム染色無菌試験を含む、表皮シートがプレートから放出された後の1つ以上の試験を指す。
【0045】
「遺伝子改変」という用語は、生体の遺伝子を変更するか、または遺伝子を1つの生物から別の生物に挿入するプロセスを指す。一実施形態では、遺伝子改変は、挿入、欠失、及び/または変異を含み、それから本質的になり、またはそれからさらになる。「挿入」という用語は、1つ以上のヌクレオチド塩基対をヌクレオチド配列に付加することを意味する。「欠失」という用語は、除去されるか、または欠損している染色体またはヌクレオチド配列の一部を指す。「変異」という用語は、ヌクレオチド配列(例えば、DNA配列)の変更である。変異は、限定されないが、染色体の単一塩基対(すなわち、点変異)、いくつかの塩基対、または多くとも大きなセグメントを含む種々のサイズで生じる可能性がある。
【0046】
「保存的遺伝子改変」という用語は、遺伝子改変された遺伝子によりコードされるポリペプチドの、同じまたは類似の生化学的特性を維持する遺伝子改変を指す。例えば、アスパラギン酸及びグルタミン酸の双方は共に、負に荷電した小さな残基である。一部の実施形態では、それは、ポリペプチド中でアスパラギン酸をグルタミン酸に変異させることによる保存的遺伝子改変である。
【0047】
プロリル4-ヒドロキシラーゼ(P4HA;EC 1.14.11.2)は、コラーゲン合成において中心的な役割を果たす。それは、ペプチド連結におけるプロリン残基のヒドロキシル化により、コラーゲン中の4-ヒドロキシプロリンの形成を触媒する。4-ヒドロキシプロリン残基は、新たに合成されたプロコラーゲンポリペプチド鎖の三重らせん分子へのフォールディングに必須である。活性酵素は、約240,000の分子量を有する2αサブユニット及び2βサブユニットの四量体である。βサブユニット(P4HB)は、酵素ジスルフィドイソメラーゼ(EC 5.3.4.1)及び主要な細胞甲状腺結合タンパク質と同一である。αサブユニットは、酵素の触媒部位の大部分に関与する。ポリペプチドは、517アミノ酸残基及び17アミノ酸のシグナルペプチドである。
【0048】
P4HA遺伝子は、69キロベースを超えて包含し、16エクソンからなる。遺伝子のRNA転写物の相互に排他的な選択的スプライシングのための証拠が以前に提示されていた。本データは、mRNAに見出される相互に排他的な配列が、2つの連続した相同の71bpエクソン9及び10によりコードされることを示した。これらのエクソンは、最初の5塩基対で同一であり、それらの間の全体的な同一性は、ヌクレオチドレベルが61%であり、コードされたアミノ酸のレベルが58%である。双方の種類のmRNAは、研究された全ての組織において発現されることが見出されたが、一部の組織では、エクソン9またはエクソン10配列をコードする種類は、他の種類よりも豊富であった。
【0049】
「核酸構築物」とは、天然には一緒には見出されない1つ以上の機能性単位を含むように構築されている核酸配列を意味する。例としては、環状、線状、二本鎖、染色体外DNA分子(プラスミド)、コスミド(λファージ由来のCOS配列を含有するプラスミド)、非天然核酸配列を含むウイルスゲノムなどが挙げられる。
【0050】
本方法では、コラーゲンVIIは、通常は、ウイルス発現構築物を、インテグレート時に、細胞集団に導入することにより生成される。コラーゲンVIIポリペプチドをコードするDNAは、種々の供給源から調製された、コラーゲンVIIポリペプチドmRNAを発現する組織から調製された任意のcDNAライブラリーから得られ得る。コラーゲンVIIポリペプチドコード遺伝子も、ゲノムライブラリーから、またはオリゴヌクレオチド合成により得られ得る。遺伝子コードを特定する別の手段は、PCR方法論を使用することである。
【0051】
コラーゲンVIIポリペプチドをコードする核酸(例えば、cDNAまたはゲノムDNA)は、発現のために必要な要素に作動可能に連結される発現のための構築物に挿入される。多くのこのような構築物が、利用可能である。構成要素は一般に、次のコード配列、1つ以上のマーカー遺伝子、エンハンサー要素、プロモーター、及び転写終結配列のうちの1つ以上を含むが、これらに限定されない。
【0052】
「ベクター」は、核酸配列を標的細胞に導入することが可能である。例えば、ベクターは、標的細胞において発現されることが可能なコード配列を含み得る。本発明の目的では、「ベクター構築物」、「発現ベクター」、及び「遺伝子導入ベクター」は一般に、目的の遺伝子の発現を導くことが可能な任意の核酸構築物を指し、これは、目的の遺伝子を標的細胞に導入することに有用である。従って、この用語は、クローニング及び発現ビヒクル、ならびに組み込みベクターを含む。
【0053】
「発現カセット」は、目的の遺伝子/コード配列ならびに非翻訳RNA、例えば、shRNA、マイクロRNA、siRNA、アンチセンスRNAなどを含む任意のRNA転写物の発現を導くことが可能な任意の核酸構築物を含む。このようなカセットは、発現カセットを標的細胞に導入するために、「ベクター」、「ベクター構築物」、「発現ベクター」、または「遺伝子導入ベクター」に構築することができる。従って、用語は、クローニング及び発現ビヒクル、ならびにウイルスベクターを含む。
【0054】
核酸は、別の核酸配列と機能的関係に置かれた場合に、「作動可能に連結される」。例えば、シグナル配列のDNAは、ポリペプチドの分泌に関与するプレタンパク質として発現される場合、ポリペプチドのDNAに作動可能に連結され、プロモーターもしくはエンハンサーは、配列の転写に影響する場合、コード配列に作動可能に連結され、またはリボソーム結合部位は、翻訳を促進するように配置されている場合、コード配列に作動可能に連結される。一般に、「作動可能に連結される」は、連結されているDNA配列が連続しており、分泌リーダーの場合には、連続しており、かつ読み取り段階にあることを意味する。しかし、エンハンサーは、連続している必要はない。連結は、都合がよい制限部位での連結により達成される。このような部位が存在しない場合、合成オリゴヌクレオチドアダプターまたはリンカーは、通常の実施に従って使用される。
【0055】
発現ベクターは、自己白血球、またはmRNAの発現のための宿主細胞により認識され、かつコラーゲンVIIコード配列に作動可能に連結されるプロモーターを含有するであろう。プロモーターは、作動可能に連結される特定の核酸配列の転写及び翻訳を制御する(一般に約100bp~1000bp内の)構造遺伝子の開始コドンの上流(5′)に位置する非翻訳配列である。このようなプロモーターは通常は、2つのクラスである誘導性及び構成性に分類される。誘導性プロモーターは、培養条件のいくつかの変化、例えば、栄養素の有無、または温度の変化に応答して、それらの制御下でDNAからの増加したレベルの転写を開始するプロモーターである。様々な潜在的宿主細胞により認識される多数のプロモーターは、周知である。異種プロモーターは、一般により大きな転写及びより高い収量を可能にするので、好ましい。
【0056】
哺乳動物宿主細胞におけるベクターからの転写は、例えば、ウイルス、例えば、ポリオーマウイルス、鶏痘ウイルス、アデノウイルス(例えば、アデノウイルス2)、ウシ乳頭腫ウイルス、トリ肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎、シミアンウイルス40(SV40)のゲノムから、異種哺乳動物プロモーター、例えば、アクチンプロモーター、PGK(ホスホグリセリン酸キナーゼ)、または免疫グロブリンプロモーターから、熱ショックプロモーターから得られたプロモーターにより制御され得る。但し、このようなプロモーターは、宿主細胞系と適合性がある。SV40ウイルスの初期及び後期プロモーターは、SV40ウイルス複製起点も含有するSV40制限フラグメントとして都合よく得られる。ヒトサイトメガロウイルスの即時型初期プロモーターは、HindIII E制限フラグメントとして都合よく得られる。
【0057】
高等真核生物による転写は多くの場合、エンハンサー配列をベクターに挿入することにより増加する。エンハンサーは、DNAのシス作用性エレメントであり、通常は約10bp~300bpであり、これは、プロモーターに作用して転写を増加させる。エンハンサーは、相対的な配向性及び位置独立性であり、イントロン内及びコード配列自体内の転写ユニットの5′及び3′に見出されている。ここで、多くのエンハンサー配列は、哺乳動物遺伝子(グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α-フェトプロテイン、及びインスリン)から知られている。しかし、通常は、真核生物細胞ウイルス由来のエンハンサーを使用するであろう。例としては、複製起点の後側のSV40エンハンサー、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後側のポリオーマエンハンサー、及びアデノウイルスエンハンサーが挙げられる。エンハンサーは、コード配列の5′または3′の位置で発現ベクターにスプライシングされ得るが、好ましくは、プロモーターから5′の部位に位置する。
【0058】
真核宿主細胞で使用される発現ベクターは、転写の終結及びmRNAの安定化に必要な配列も含有するであろう。このような配列は一般に、真核生物またはウイルスのDNAまたはcDNAの5′及び場合により3′非翻訳領域から入手可能である。これらの領域は、mRNAの非翻訳部分にポリアデニル化フラグメントとして転写されたヌクレオチドセグメントを含有する。
【0059】
発現カセットの細胞へのインテグレーションのためのベクター及びシステムは、当該技術分野で知られており、限定されないが、レトロウイルスベクターを含み得る。外来遺伝子を標的哺乳動物細胞に導入するために有用な多くのベクターは、利用可能である。レトロウイルス系ベクターは特に有用であることが示されている。レトロウイルス及び適切なパッケージング株の組み合わせが使用されてもよく、キャプシドタンパク質は、標的細胞を感染させるために機能するであろう。通常、細胞及びウイルスは、培地中で少なくとも約24時間インキュベートされる。次いで、細胞は、一部の用途では、短い間隔で、例えば、24~73時間、または少なくとも2週間、培地中で成長させ、分析前に、5週間以上成長させ得る。一般に使用されるレトロウイルスベクターは、「欠陥があり」、すなわち、生産的感染に必要なウイルスタンパク質を生成することができない。ベクターの複製は、パッケージング細胞株における成長を必要とする。
【0060】
レトロウイルスの宿主細胞特異性は、エンベロープタンパク質、env(p120)により決定される。エンベロープタンパク質は、パッケージング細胞株により提供される。エンベロープタンパク質は、少なくとも3つの種類、エコトロピック、アンフォトロピック、及びゼノトロピックである。アンホトロピックエンベロープタンパク質、例えば、4070A(Danos et al、上掲)を有するレトロウイルスは、ヒト、イヌ、及びマウスを含むほとんどの哺乳動物細胞型に感染することが可能である。アンフォトロピックパッケージング細胞株は、PA12(Miller et al.(1985)Mol.Cell.Biol.5:431B437);PA317(Miller et al.(1986)Mol.Cell.Biol.6:2895B2902);GRIP(Danos et al.(1988)PNAS 85:6460B6464)を含む。ゼノトロピックエンベロープタンパク質、例えば、AKR envと共にパッケージされたレトロウイルスは、マウス細胞を除くほとんどの哺乳動物細胞型に感染することが可能である。レトロウイルスの5′及び3′末端の配列は、長い末端反復(LTR)である。MMLV-LTR、HIV-LTR、AKR-LTR、FIV-LTR、ALV-LTRなどを含むLTR配列の数は、当該技術分野で既知であり、使用され得る。5′LTRは、強力なプロモーターとして作用し、標的細胞ゲノムへのインテグレーション後に導入された遺伝子の転写を引き起こす。
【0061】
ケラチノサイト
新たに収集した初代ケラチノサイトは、皮膚パンチ生検から収集され、単離され、培養期間後に形質導入されて、ケラチノサイトを真皮細胞から単離し得る。インビトロで増殖した上皮ケラチノサイトは、シートを形成することができる。一部の実施形態では、形質導入された細胞は、細胞が形質導入された時点から約1~100日、1~50日、1~20日、1~10日、1~5日、1~3日、1~2日、または1日以内に患者に投与される。
【0062】
当業者に知られているように、様々な培地のいずれかは、本方法において使用され得る(例えば、Current Protocols in Cell Culture,2000-2009 by John Wiley & Sons,Inc.を参照のこと)。実例となる培地は、ケラチノサイト培地も含まれるが、これに限定されず、これは、無血清であることがあり、適切なケラチノサイトサプリメントを含有し得る。
【0063】
本開示は、対象における表皮水疱症(EB)を処置する方法を提供し、方法は、対象の皮膚細胞の集団を得ること、機能性(例えば、全長野生型)ヒトコラーゲンVII(COL7A1)タンパク質をコードする遺伝子構築物のインテグレーションにより皮膚細胞をエクスビボで修正すること、遺伝子修正細胞を培養して、ケラチノサイトシートを形成すること、及びケラチノサイトシートの移植片を皮膚創傷床に移植することを含み、あるいはそれから本質的になり、またはそれからさらになる。本開示はまた、対象の表皮水疱症(EB)を処置する皮膚細胞の集団の使用にも関し、皮膚細胞の集団は、プロウイルスゲノムコピー数(PGCN)を有する形質導入皮膚細胞の集団を得るために、全長野生型ヒトコラーゲンVII(COL7A1)タンパク質をコードする遺伝子構築物を含むウイルスで形質導入することにより修正され、皮膚細胞の形質導入された集団のPGCNは、3以下である。一部の実施形態では、遺伝子修正細胞は、ダルベッコ改変イーグル培地及びF12培地を含むか、あるいはそれから本質的になるか、またはそれからさらになるDFF31培地中で培養される。一実施形態では、皮膚細胞は、発現構築物を含むか、あるいはそれから本質的になるか、またはそれからさらになるウイルスで形質導入することにより修正され、ウイルスは、レトロウイルス、AAV(アデノ随伴ウイルス)、またはレンチウイルスを含み、あるいはそれから本質的になり、またはそれからさらになる。別の実施形態では、レトロウイルスは、LZRSEウイルスである。一実施形態では、レトロウイルスは、GalV-偽型である。さらなる実施形態では、このように形質導入されたケラチノサイトは、50%を超えるウイルス形質導入効率(VTE)及び3以下のプロウイルスゲノムコピー数(PGCN)の放出前基準を満たす。一部の実施形態では、PGCNは、2.5、2、1.5、または1未満である。別の実施形態では、PGCNは、3~20、20~40、40~60、60~80、または80~100である。別の実施形態では、PGCNは、100を超える。一部の実施形態では、ケラチノサイトシートは、サイズが異なる。当業者は、ケラチノサイトシートのサイズを決定することができる。
【0064】
一部の実施形態では、内在性変異、機能不全、または短縮型C7遺伝子は、本明細書に記載されているようなCRISPR/Casシステム(または該CRIPSR/Casシステムをコードするベクター)及び標的とする切断後に、遺伝子に挿入される「ドナー」配列(例えば、機能性COL7A1 cDNAもしくはC7遺伝子または全長野生型COL7A1 cDNAもしくは遺伝子)を使用して置換される。CRISPR/Casシステムは、細菌の40%及び古細菌の90%に見られ、それらのシステムの複雑さは異なる。例えば、全体として参照により組み込まれる米国特許第8,697,359号を参照のこと。CRISPR遺伝子座(規則的にクラスター化された間隔が短いパリンドロームリピート)は、外来DNAの短いセグメントが短いリピートパリンドローム配列の間にインテグレートされる生体のゲノム内の領域である。これらの遺伝子座は、転写され、RNA転写物(「pre-crRNA」)は、短いCRISPR RNA(crRNA)にプロセシングされる。これらのRNA及び「Cas」タンパク質(CRISPR関連)として知られているタンパク質を全て組み込む3種類のCRISPR/Casシステムがある。I型及びIII型は双方ともに、いずれも、pre-crRNAをプロセシングし、crRNAに完全にプロセシングされたときに、crRNAに相補的である核酸を切断することが可能であるマルチCasタンパク質複合体をアセンブルするCasエンドヌクレアーゼを有する。ゲノム内の内在性遺伝子(例えば、内在性もしくはセーフハーバー遺伝子、または制御遺伝子もしくはそのDNA標的)の目的の領域における標的部位に結合するCRISPR/Casシステムであり、CRISPR/Casシステムは、標的遺伝子及び機能ドメイン(例えば、転写制御ドメイン及び/またはヌクレアーゼドメイン)を認識する1つ以上の操作されたシングルガイドRNAを含む。一部の実施形態では、本明細書に記載されるようなCRISPR/Casシステムは、遺伝子内にもしくは遺伝子に隣接したコード領域もしくは非コード領域、例えば、リーダー配列、トレーラー配列、もしくはイントロンの、またはコード領域の上流もしくは下流のいずれかにある非転写領域内の、目的の領域(例えば、EB組織由来の内在性C7遺伝子)に結合及び/またはそれを切断し得る。特定の実施形態では、CRISPR/Casは、遺伝子、例えば、変異、機能不全、または短縮型C7遺伝子に結合及び/または切断する。
【0065】
一態様では、創傷は、非修正創傷床ケラチノサイトを含まない。一実施形態では、創傷は、非修正創傷床ケラチノサイトを切除するために処置される。別の態様では、対象は、劣性栄養障害型表皮水疱症(RDEB)に罹患している。異なる態様では、対象は、ヒトである。
【0066】
別の実施形態では、ケラチノサイトシートは、VTE試験、PGCN試験、無菌試験、エンドトキシン試験、マイコプラズマ試験、グラム染色無菌試験、LEAES生存率試験、放出後試験、RCR試験、細胞傷害性T細胞アッセイ、抗C7 LH24 mAb特性決定、電子顕微鏡検査法、免疫電子顕微鏡検査法、免疫蛍光染色、C7発現、及びAF分析からなる群から選択される1つ以上の試験を受ける。一態様では、免疫蛍光染色は、直接または間接免疫蛍光染色を含み、あるいはそれから本質的になり、またはそれからさらになる。
【0067】
一部の実施形態では、ケラチノサイトシートは、無細胞マトリックス、コラーゲンマトリックス、または生体適合性メッシュ上に配置される。一実施形態では、生体適合性メッシュは、熱可塑性樹脂、ポリエチレン、超高分子量のポリエチレン、高分子量のポリオレフィン、非コーティング単繊維ポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンテレフタラート、ポリテトラフルオロエチレン、発泡ポリテトラフルオロエチレン、ナイロン、シリコン、またはそれらの任意の組み合わせで作製される。
【0068】
一部の実施形態では、皮膚細胞は、ケラチノサイトを含み、あるいはそれから本質的になり、またはそれからさらになる。一実施形態では、皮膚細胞は、幹細胞を含み、あるいはそれから本質的になり、またはそれからさらになる。別の実施形態では、方法は、幹細胞をケラチノサイトに分化させることをさらに含み、あるいはそれから本質的になり、またはそれからさらになる。一態様では、幹細胞は、形質導入の前、後、または間に分化する。一部の実施形態では、幹細胞は、形質導入の前に(例えば、ケラチノサイトまたは角膜上皮細胞に)分化する。一部の実施形態では、幹細胞は、形質導入後に分化する。さらなる実施形態では、幹細胞は、形質導入中に分化する。
【0069】
RDEB患者は、衰弱させる痛みを伴う角膜糜爛を頻繁に発症する可能性がある。従って、対象の角膜糜爛を処置する方法も本開示で提供され、方法は、角膜細胞の集団を対象から得ること、機能性(例えば、全長野生型)ヒトコラーゲンVII(COL7A1)タンパク質をコードする遺伝子構築物のインテグレーションにより、エクスビボで角膜細胞を修正すること、遺伝子修正細胞を培養して、角膜細胞シートを形成すること、及び角膜細胞シートの移植片を、角膜表面に移植することを含み、あるいはそれから本質的になり、またはそれからさらになる。一部の態様では、角膜細胞は、角膜上皮細胞を含み、あるいはそれから本質的になり、またはそれからさらになる。別の態様では、角膜細胞は、幹細胞を含み、あるいはそれから本質的になり、またはそれからさらになる。一部の実施形態では、方法は、幹細胞を角膜上皮細胞に分化させることをさらに含み、あるいはそれから本質的になり、またはそれからさらになる。
【0070】
一部の態様では、角膜細胞は、遺伝子構築物を含むウイルスで形質導入することにより修正され、ウイルスは、レトロウイルス、レンチウイルス、またはAAVを含み、あるいはそれから本質的になり、またはそれからさらになる。一実施形態では、レトロウイルスは、LZRSEウイルスである。一部の実施形態では、レトロウイルスは、GalV-偽型である。一部の実施形態では、このように形質導入された角膜細胞は、50%を超えるウイルス形質導入効率(VTE)及び3以下のプロウイルスゲノムコピー数(PGCN)の放出前基準を満たす。一部の実施形態では、PGCNは、2.5、2、1.5、または1未満である。別の実施形態では、PGCNは、3~20、20~40、40~60、60~80、または80~100である。別の実施形態では、PGCNは、100を超える。一部の態様では、対象は、劣性栄養障害型表皮水疱症(RDEB)に罹患している。異なる態様では、対象は、ヒトである。
【0071】
一態様では、角膜細胞シートは、VTE試験、PGCN試験、無菌試験、エンドトキシン試験、マイコプラズマ試験、グラム染色無菌試験、LEAES生存率試験、放出後試験、RCR試験、細胞傷害性T細胞アッセイ、抗C7 LH24 mAb特性決定、電子顕微鏡検査法、免疫電子顕微鏡検査法、免疫蛍光染色、C7発現、及びAF分析からなる群から選択される1つ以上の試験を受ける。一実施形態では、免疫蛍光染色は、直接または間接免疫蛍光染色を含み、あるいはそれから本質的になり、またはそれからさらになる。一部の実施形態では、角膜細胞シートは、無細胞マトリックス、コラーゲンマトリックス、または生体適合性メッシュ上に配置される。
【0072】
一態様では、生体適合性メッシュは、限定されないが、生体適合性金属、例えば、チタン合金、ステンレス鋼、コバルト-クロム合金、及びニッケル-チタン合金を含む非再吸収性材料から作製することができる。別の態様では、生体適合性メッシュの層は、限定されないが、熱可塑性樹脂、ポリエチレン、超高分子量のポリエチレン、高分子量のポリオレフィン、非コーティングモノフィラメントポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンテレフタラート、ポリテトラフルオロエチレン、発泡ポリテトラフルオロエチレン、ナイロン、1つ以上の二重結合を含有する任意のポリマーもしくは脂肪族炭化水素、他の任意の適切な多孔質材料、または曲げられるか、もしくは別途形状に形成される可能性がある他の任意の適切な多孔質材料を含む非再吸収性ポリマー材料から作製することができる。
【0073】
別の態様では、生体適合性メッシュは、限定されないが、ポリグリコール酸、ポリ-L-乳酸(PLLA)、ポリD、L-乳酸(PDLA)、トリメチレンカーボネート(TMC)、ポリ-ε-カプロラクトン、ポリ-P-ジオキサノン、ラクチド及びグリコリドのコポリマー(PLGA)、ポリヒドロキシ-3-ブチラート、コラーゲン、ヒアルロン酸、シルク、バイオセルロース、他のタンパク質系ポリマー、多糖類、ポリ(DTEカーボネート)、ポリアリラート、PLLA、PLDA、またはPLGAとTMCとのブレンド、ならびにこれらのポリマーの他の組み合わせを含む合成または生物学的吸収性ポリマー材料から構成することができる。
【0074】
一実施形態では、生体適合性メッシュは、熱可塑性樹脂、ポリエチレン、超高分子量のポリエチレン、高分子量のポリオレフィン、非コーティング単繊維ポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンテレフタラート、ポリテトラフルオロエチレン、発泡ポリテトラフルオロエチレン、ナイロン、シリコン、またはそれらの任意の組み合わせで作製される。
【0075】
ケラチノサイトシートを含むか、あるいはそれから本質的なるか、またはそれからさらになる組成物も本開示で提供され、ケラチノサイトシートは、対象の皮膚細胞の集団を得る工程、機能性(例えば、全長野生型)ヒトコラーゲンVII(COL7A1)タンパク質をコードする遺伝子構築物のインテグレーションにより、エクスビボで皮膚細胞を修正する工程、遺伝子修正細胞を培養してケラチノサイトシートを形成する工程を含むか、あるいはそれから本質的になるか、またはそれからさらになるプロセスにより調製される。一部の実施形態では、皮膚細胞は、ケラチノサイトを含み、あるいはそれから本質的になり、またはそれからさらになる。一実施形態では、皮膚細胞は、幹細胞を含み、あるいはそれから本質的になり、またはそれからさらになる。別の実施形態では、幹細胞は、ケラチノサイトに分化する。一部の実施形態では、幹細胞は、形質導入の前、後、または間に分化する。
【0076】
ケラチノサイトシートを含むか、あるいはそれから本質的になるか、またはそれからさらになる医薬組成物がさらに提供され、該ケラチノサイトシートは、機能性COL7A1タンパク質をコードする遺伝子構築物がエクスビボでインテグレートされた皮膚細胞を含み、あるいはそれから本質的になり、またはそれからさらになる。一態様では、皮膚細胞は、対象から得られる。一部の実施形態では、対象は、ヒトである。一部の実施形態では、皮膚細胞は、機能性COL7A1タンパク質をコードする遺伝子構築物がエクスビボで組み込まれた幹細胞から分化する。一実施形態では、対象は、RDEBに罹患している。一部の実施形態では、皮膚細胞または幹細胞は、遺伝子構築物を含むウイルスで形質導入され、ウイルスは、レトロウイルス、レンチウイルス、またはAAVを含む。
【0077】
一実施形態では、機能性COL7A1タンパク質は、全長野生型ヒトCOL7A1タンパク質である。一態様では、機能性COL7A1タンパク質は、全長野生型ヒトCOL7A1タンパク質からの遺伝子改変を含み、あるいはそれから本質的になり、またはそれからさらになる。別の態様では、機能性COL7A1タンパク質は、全長野生型ヒトCOL7A1タンパク質からの遺伝子改変を含み、あるいはそれから本質的になり、またはそれからさらになり、遺伝子改変は、保存的である。さらなる態様では、遺伝子改変は、挿入、欠失、及び/または変異を含み、あるいはそれから本質的になり、またはそれからさらになる。
【0078】
角膜細胞シートを含むか、あるいはそれから本質的になるか、またはそれからさらになる医薬組成物も本開示で提供され、該角膜細胞は、機能性COL7A1タンパク質をコードする遺伝子構築物がエクスビボでインテグレートされた角膜細胞を含む。一部の実施形態では、角膜細胞は、機能性COL7A1タンパク質をコードする遺伝子構築物がエクスビボでインテグレートされた幹細胞から分化する。別の実施形態では、角膜細胞は、対象から得られる。一実施形態では、対象は、RDEBに罹患している。一部の実施形態では、対象は、ヒトである。一部の実施形態では、角膜細胞または幹細胞は、遺伝子構築物を含むウイルスで形質導入され、ウイルスは、レトロウイルス、レンチウイルス、またはAAVを含む。一実施形態では、レトロウイルスは、LZRSEウイルスである。一部の実施形態では、レトロウイルスは、GalV-偽型である。さらなる実施形態では、形質導入された細胞は、50%を超えるウイルス形質導入効率(VTE)及び3以下のプロウイルスゲノムコピー数(PGCN)の放出前基準を満たす。
【0079】
一態様では、機能性COL7A1タンパク質は、全長野生型ヒトCOL7A1タンパク質である。
【0080】
特定の実施形態では、細胞は、1~21日間培養される。さらなる実施形態では、細胞は、7、14、21日またはそれ以上培養される。従って、細胞は、適切な条件下で、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29日間以上培養され得る。細胞は、リプレーティングされ、培地及びサプリメントは、当該技術分野において既知の技術を使用して、必要に応じて、添加または変更され得る。
【0081】
特定の実施形態では、遺伝的に変更されたケラチノサイトは、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の細胞がC7導入遺伝子を発現するような条件下及び十分な期間で培養され得る。
【0082】
一実施形態では、本開示の細胞組成物は、EBの処置に有効な量の天然ヒトC7タンパク質を発現する、遺伝子変更された自己ケラチノサイト集団を含み、あるいはそれから本質的になり、またはそれからさらになる。標的細胞集団は、1つ以上の薬学的または生理学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤と組み合わせて、対象への移植のためにシート中で成長する。このような組成物は、緩衝液、例えば、中性緩衝食塩水、リン酸緩衝食塩水など、炭水化物、例えば、グルコース、マンノース、スクロースまたはデキストラン、マンニトール、タンパク質、ポリペプチドまたはアミノ酸、例えば、グリシン、抗酸化剤、キレート剤、例えば、EDTAまたはグルタチオン、アジュバント(例えば、水酸化アルミニウム)、及び防腐剤を含み得る。
【0083】
本開示の細胞組成物は、EBの処置に適切な手法で投与される。投与の量及び頻度は、患者の状態、ならびに患者の疾患の種類及び重症度のような因子により決定されるであろう。但し、適切な投薬量は、臨床試験により決定され得る。
【0084】
細胞は、通常は皮膚移植片の形態で、当業者らに周知の方法により対象に投与され得る。開業医は、部分的に、疾患の種類及び場所に基づいて特定の対象に好適な投与経路を決定することができるであろう。トランスフェクトされた細胞は、創傷部位に局所的に投与され得る。
【0085】
対象に投与するための操作された細胞の医薬製剤は、本発明により検討される。当業者は、細胞を対象に投与するための技術に精通しているであろう。さらに、当業者は、対象に投与する前に、これらの細胞シートを調製するために必要な技術及び医薬品に精通しているであろう。
【0086】
本発明の特定の実施形態では、医薬製剤は、C7及び任意にプロリル-4-ヒドロキシラーゼを過剰発現するように改変されている、操作された細胞を含むか、あるいはそれから本質的になるか、またはそれからさらになる水性組成物である。特定の実施形態では、形質導入された細胞は、対象から得られている細胞(すなわち、自己細胞)を使用して調製される。
【0087】
本発明の医薬組成物は、薬学的に許容される担体または水性媒体中のトランスフェクトされた細胞の有効量の溶液を含む。本明細書で使用される場合、「医薬製剤」または「医薬組成物」は、任意の溶媒及び全ての溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤などを含む。医薬活性物質のためのこのような媒体及び薬剤の使用は、当該技術分野で周知である。任意の通常の媒体または薬剤が細胞と適合しない場合を除いて、治療組成物におけるその使用が検討される。補助的な活性成分は、組成物に組み込むこともできる。ヒト投与では、製剤は、FDA Center for Biologicsの要求に応じて、無菌性、発熱原性、一般安全性、及び純度基準を満たすべきである。
【0088】
当業者は、他の任意の経路による適用のための滅菌溶液を生成するための技術に精通しているであろう。細胞移植片のサイズ及び移植片上の細胞数の決定は、当業者によりなされるであろう。特定の態様では、複数用量が、数日、数週間、数ヶ月、または数年間にわたって投与され得る。対象は、例えば、同じ領域または異なる領域の、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20個の移植片を投与され得る。一実施形態では、対象は、同じ領域または異なる領域に再移植され得る。別の実施形態では、対象の生物学的試料(例えば、ケラチノサイトまたは角膜細胞)は、適切な条件で保存される。生物学的試料が保存されると、対象が新しい移植片を必要とする場合、パンチ生検は必要ではない。保存された生物学的試料は、対象により必要とされる移植片を決定するために十分な情報または補助的な情報を提供することができる。
【0089】
「有効量」または「治療量」が示される場合、投与されるべき本開示の組成物の正確な量は、患者(対象)の年齢、体重、及び状態の個体差を考慮して、医師が決定することができる。本明細書に記載の細胞を含む細胞組成物が、これらの範囲内の全ての整数値を含む、1~100、1~103 、1~104 、1~105 、1~106 、1~107 、または107 個の細胞を超える量で投与され得ることを、一般に述べることができる。細胞組成物はまた、これらの投薬量で複数回投与され得る。細胞は、免疫療法で一般に知られている注入技術を使用して投与することができる(例えば、Rosenberg et al.,New Eng.J.of Med.319:1676,1988を参照のこと)。特定の患者のための最適な投薬量及び処置レジメンは、患者を疾患の徴候について監視すること、及びそれに応じて、処置を調整することにより、医学分野の当業者により容易に決定することができる。
【0090】
本開示の特定の実施形態では、本明細書に記載の方法または当該技術分野で既知の他の方法を使用して遺伝子操作されたケラチノサイトは、任意の数の関連治療モダリティと共に(例えば、前に、同時に、または後に)患者に投与される。
【実施例】
【0091】
次の実施例は、本発明の作製方法及び使用方法の完全な開示及び説明を当業者らに提供するために記載され、発明者らが発明とみなすものの範囲を制限するものではなく、または以下の実験が実施された全ての実験もしくは唯一の実験を表すものではない。使用される数値(例えば、量、温度など)に関して正確さを保つための取り組みがなされているが、一部の実験誤差及び偏差が考慮されるべきである。別途指示がない限り、部は、重量部であり、分子量は、重量平均分子量であり、温度は、摂氏であり、圧力は、大気圧またはほぼ大気圧である。
【0092】
本明細書で引用される全ての刊行物及び特許出願は、個々の刊行物または特許出願のそれぞれが、参照により組み込まれることを具体的にかつ個別に示すように、参照により本明細書に組み込まれる。
【0093】
本発明は、本発明の実施のための好ましい様式を含むために、本発明者により見出され、または提案された特定の実施形態について記載されている。本開示に照らして、本発明の意図された範囲から逸脱することなく、例示された特定の実施形態において多くの修正及び変更を行うことができることが、当業者らに理解されるであろう。例えば、コドン冗長性により、潜在的なDNA配列中の変更は、タンパク質配列に影響を及ぼすことなく行うことができる。さらに、生物学的機能的均等性の考慮のために、種類または量における生物学的作用に影響を与えることなく、タンパク質構造に、変更をなすことができる。このような改変は全て、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図される。
【0094】
実施例1
劣性栄養障害型表皮水疱症(RDEB)の処置としての自己細胞の細胞リプログラミング
【0095】
劣性栄養障害型表皮水疱症(RDEB)は、VII型コラーゲン(C7)をコードする遺伝子であるCOL7A1の機能変異の欠損により引き起こされる重度の水疱形成皮膚疾患である。C7は、表皮基底膜ゾーン(BMZ)を真皮に固定するアンカリングフィブリル(AF)の主要な構成成分である。C7は、BMZリガンドに結合するアミノ末端非コラーゲンNC1ドメイン、三重らせんにアセンブリする中央コラーゲンドメイン、及びAFへのC7アセンブリを触媒するNC2ドメインを含む、複数のドメインの使用によりこの機能を実行する。RDEBにおけるこれらの機能性C7ドメインの欠損は、重度のBMZ分離をもたらす。これは、広範のかつ痛みを伴う水疱形成、糜爛、及び瘢痕を生じさせ、これは、順次、20代及び30代に出現する悪性の、多くの場合、致命的な形態のSCCにつながる可能性がある。この疾患の分子診断の進歩にもかかわらず、現在の治療法は、緩和ケアに限定されている。同種異系線維芽細胞の臨床試験(Venugopal et al,J.Am.Acad.Dermatol.2013;69(6):898-908)、骨髄移植(Wagner et al,N.Engl.J.Med.2010;363(7):629-639)、骨髄由来の間葉系間質細胞の皮内及び静脈内送達(Conget et al,Cytotherapy 2010;12(3):429-431;Petrof et al,J Investig.Dermatol.2015;135 (9):2319-2321;Gorell et al,Pediatr.Dermatol.2015;32 (2):220-225)、及び皮膚代替物(Falabella et al,Arch Dermatol.2000;136(10):1225-342)は、有効性及び安全性の可変の割合で行われている。前臨床試験は、静脈内及び局所C7を含む潜在的な治療モダリティ、誘導性多能性幹細胞、及びアミノグリコシドを調査している。
【0096】
遺伝子療法は、RDEBなどの一因性疾患の処置のための潜在的に強力なツールである。しかし、重度の複合免疫不全症及びWiskott-Aldrich症候群の患者における遺伝子導入後に、重大な安全性の懸念が提起された。挿入的変異導入が依然として潜在的な懸念事項として残っているが、皮膚遺伝子療法の利点は、移植された組織が表面に配置されるために、新生物をより容易に臨床評価できることである。さらに、遺伝子改変された皮膚移植片は、接合部型EBを有し、長期間の修正を伴い、かつ有害な副作用を伴わない1人の患者を処置するために効率よく使用されている。再生ヒト表皮における長期C7発現のためのプラットフォームを確立して、免疫不全マウスに移植した(Siprashvili et al,Hum. Gene Ther.,2010,21(10):1299-1310)。目下、本開示は、重度のRDEBを有する対象に移植されたLZRSE-COL7A1で操作された自己表皮シート(LEAES)のエクスビボでの遺伝子導入の第I相臨床試験の結果を提供する。
【0097】
臨床結果
対象及び処置
スクリーニングされた38人の対象のうち、8人が本研究に同意し、4人の対象が登録され、移植片を受けた(
図2)。対象は、短縮型C7(NC1ドメイン)の発現をもたらす種々の化合物であるヘテロ接合型COL7A1変異を有していた。これは、ウェスタンブロットによりケラチノサイト培地中で検出された(
図3)が、IIFにより組織中では検出されなかった(
図1F、
図5B、
図6B、
図7B、
図8B、
図12)。全ての対象は、23(範囲:18~32)の平均年齢で、かつ4%~30%の全身面の病変に罹患している男性であった。それぞれは、貧血、食道狭窄、及び偽合指症の病歴を含む皮膚症状を伴う重篤な疾患を有していた(表1)。
【0098】
初代RDEBケラチノサイトを、無傷の皮膚から単離し、細胞当たり70%の効率及び0.8のプロウイルスゲノムコピーの平均値(
図1B~D)を有するLZRSE-COL7A1レトロウイルスベクターで形質導入した。各患者の5つの瘢痕化及び/または糜爛した創傷、ならびに1つの誘導創傷に移植した。移植された慢性創傷の大部分は、5年間を超えて存在していた(表3)。24の移植片全てを、パーセント創傷治癒、感染、疼痛、及び痒みについて連続的に監視した。
【0099】
有効性
全ての対象は、創傷治癒及び皮膚強度の改善、ならびに移植部位における痛み及び掻痒の減少を報告した。移植片はベースラインと比較して水疱形成の減少を示し、各対象からの代表的な写真が示される(
図1E、
図5A、
図6A、
図7A、
図8A、
図12)。対照的に、未処置創傷は、継続的な水疱形成を示した(
図10)。
【0100】
移植の1ヶ月後に、20/24の創傷(83%)は、75%以上の治癒を示した一方、4つの創傷のみが50%~74%の治癒を示した(表3)。3ヶ月で、21/24(87%)の創傷は、75%以上が治癒した一方、3/24(13%)は、50%~74%が治癒した(表3)。6ヶ月で、16/24(67%)は、75%以上が治癒し、5/24(21%)は、50%~75%治癒し、3/24(13%)の移植部位のみは、水疱を示し、移植不全とみなされた(0%~49%が治癒した)。
【0101】
LEAES移植片の分子分析は、3ヶ月の9/10(90%)の試料及び6ヶ月の8/12(66%)の試料で、強力なC7発現を示した。LEAESのIIF分析は、未修正皮膚対照とは対照的に、表皮-皮膚接合部でのC7の適切な局在を示した(
図1F、
図5B、
図6B、
図7B、
図8B、
図12)。LEAES移植片は、棘状層及び顆粒層を有する完全に分化した表皮を示し、これは、正常皮膚に似ている表皮マーカーであるケラチン14、ケラチン1、及びロリクリンに対して陽性であった(
図1F、
図5B、
図6B、
図7B、
図8B、
図12)。陰性試料の中で、C7は、6ヶ月の対象2から得られた分析生検で検出されなかった。しかし、アンカリングフィブリル(AF)は、対応する生検で存在していた。6ヶ月で、C7は、NC1ドメインに特異的な抗体を使用して、対象4において同定された(
図1F)。
【0102】
修正試料中のBMZの分子構造を評価するために、LEAES移植片から得られた生検も、透過型電子顕微鏡(法)で分析した。3ヶ月で、5/7の試料(71%)は、形態学的に正常な外観及びNC2反応性AFの頻度を明らかにした(
図1G)。6ヶ月で、4/12(33%)の生検で、AFを検出し、対象4から得られた生検で、AFを検出しなかった(
図1G)。
【0103】
安全性
重大な有害事象は、報告されていなかった。移植部位の痒み(n=3)、続いて、移植部位の排液(n=2)の増加は、最も一般的な有害事象(グレード1または2)であり、悪性腫瘍の臨床徴候は認められなかった。RCR及び細胞傷害性T細胞アッセイは、全時点で陰性であった(表2)。
【0104】
創傷の排液の増加は、2/24の創傷で見られたが、紅斑、浮腫、疼痛、または圧痛がないことを含む感染症の徴候がないことが、部位で認められた。6ヶ月で、対象3の部位Zは、創傷コロニー形成(グレード2)を有し、移植不全と考えられた(表3)。痒みは、3/24の移植部位及び2つの周辺区域(グレード1)で認められた。
【0105】
C7免疫応答を、この研究の間密接に監視した。対象は、全身性自己免疫症状または移植領域外での水疱形成の増加がなかった。対象1では、IIFまたはDIFにより循環血中の抗体または組織に結合した抗体は観察されなかった(表2)。3ヶ月の対象2は、2つの創傷(A及びE)のDIF分析により、補体なしで、1+(軽度)線状IgG、IgM、IgAを示した。これらの免疫反応物質は、移植の6ヶ月後に観察されなかった。対象3は、DIFにより6ヶ月目にIgM及びIgAの1+線状組織染色のわずかな痕跡と共に、IIFにより3ヶ月目に線状血清IgAの一時的な上昇(1:320)を示した。対照的に、対象4は、DIFにより3ヶ月目に3つの移植片で検出された1~2+IgG、IgA、C3、及びIgM染色と共に、IIFにより1ヶ月目及び3ヶ月目の循環血中の線状IgG抗体が1:160力価であることを明らかにした(表2)。しかし、全身性自己免疫症状または移植片の外側の水疱形成の増加は認められず、C7特異的細胞傷害性T細胞アッセイの結果は陰性であった。6ヶ月目に、血清抗体IgG及びC3レベルは低減し(1:40)、組織結合免疫複合体は、移植片で検出されなかった(表2)。対象4の表皮下線状免疫沈着の発見後に、本発明者らは、精製C7タンパク質のウェスタンブロット分析を使用して、対象4のベースライン血漿抗C7抗体レベルを再評価した。負のベースラインIIFデータとは対照的に、ウェスタンブロット分析は、ベースライン(1:300)及び血清移植の3ヶ月後(1:1000)の双方が、精製されたC7に反応性であったことを示して、対象4が、移植片の配置前に外来C7に感受性があったことを示した(
図11A)。対象4の血清抗体反応性を、移植片の配置前及び配置後の双方で、以前に特性決定されたカルボキシル末端C7ペプシンフラグメント内で確認した(
図11B)。
【0106】
考察
RDEBの遺伝子修正は、9kbを超えるCOL7A1 cDNAを包含する大きな導入遺伝子の効率的な送達を必要とするような実質的な課題を課す。ここで、本開示は、RDEBを有する4人の対象において、有望な有効性及び許容される安全性を有する、遺伝子修正自己表皮ケラチノサイト移植のインヒューマン研究を提供する。遺伝子修正表皮細胞は、移植の6ヶ月後に試験された移植部位の67%を超えて、機能性自己複製表皮を再生し、C7は、1対象に対し1年まで検出可能であった(
図12)。これは、慢性創傷の2/9(22%)のみが18週で治癒した同種異系ケラチノサイト移植片よりも顕著な改善であった。LEAES移植片は、同種異系線維芽細胞注射と比較して、より良好な創傷治癒結果も生じた。これは、BM-MSCのプラセボまたは皮内もしくは静脈内注射と比較して、創傷治癒において一部の初期改善を示したが、長期間の差異を示さなかった。類似した方法論を使用する、接合部型表皮水疱症のための遺伝子療法の症例報告は、長期間の治療効果に優先する長くとも6年間の修正を示した。本発明者らがLEAES移植片に認める6ヶ月の継続したC7発現は、6つの表皮ターンオーバーサイクルの期間に及び、本発明者らは、遺伝子導入技術で幹細胞をうまく標的化していることを意味する。
【0107】
本発明者らの研究では、創傷治癒の改善及び皮膚の耐久性の増加は、BMZにおける検出可能な全長C7生成及びAF形成に直接関連していた。移植前に存在しなかったが、双方は、各研究時点で存在したが、可変の効率で、即ちC7発現の場合に66~90%及びAF形成の場合に33~71%で、検出された。生検サンプリングの変動性は、修正表皮細胞の異種集団または部分的な移植片の取り込みのいずれかに起因する可能性がある。一部の実施形態では、移植片領域は、対象が生活の質に有益であると感じる領域とすることができる。しかし、移植片の配置の重要な最初の数日間に、領域の一部は、固定化することまたは機械的摩擦から保護することが困難であった(例えば、対象2の背下部E、左肩部B、表3、肩後部D、
図6A)。さらに、対象が他の試験参加者と比較して移植後の固定化が最短であったので、対象2の6ヶ月のサンプリングした生検において、IFによる全体の創傷治癒の低減及び検出可能なC7の不存在により示されるように、観察されるような移植後の固定化時間が短いと、移植片の取り込みに悪影響を及ぼし得る(表1)。さらに、誘発創傷は、良好な治癒能力を示したが、最も少ないC7発現を示した。電気焼灼などの破壊的な方法がなければ、残存する非修正創傷床ケラチノサイトは、覆っているLEAES移植片の定着を妨げている可能性があった。これらの知見は、創傷床ケラチノサイトをより効率的に切除する創傷床調製技術が、移植片の取り込みを改善する可能性があったことを示唆している。
【0108】
安全性に関しては、いくつかの有害事象が報告され、認められたものは、全て軽度であった。対象は、任意の時点で、血液中のRCRの形跡、または移植片での扁平上皮癌を示さなかったが、潜在的な有害事象の長期監視は進行中である。遺伝子導入を含む全ての分子置換アプローチは、特に、ヌル変異を有する対象において、治療産物に対する望ましくない免疫応答のリスクをもたらす。この研究では、全ての対象が、NC1ドメインを含有する短縮型C7分子を発現し、これは、タンパク質の抗原性部分であると考えられており、それ故、潜在的な免疫反応のリスクを最小限にする。C7関連細胞傷害性T細胞活性の形跡は、研究中の全ての対象の任意の時点で認められなかった。しかし、対象4のIIF及びDIF研究は、1ヶ月及び3ヶ月のBMZ反応性IgG、3ヶ月の補体C3固定、移植の6ヶ月後のより低い血清IgG力価を明らかにした(表2)。NC1ドメインは、C7の最も抗原性が高い部分として報告されているが、カルボキシル末端のNC2ドメインは、小さな抗原性エピトープも含有し、RDEB患者における抗C7自己抗体の存在は、過去の著作物で多数回報告された。対象4が、ウェスタンブロット分析を使用した移植前に検出可能な抗C7抗体(CLIA認定IIFアッセイでスクリーニングプロセス中に同定されなかった)を有していたという知見は、より感度が良い標準化された方法が、今後の治療研究におけるベースライン免疫交差反応を評価するために開発されるべきであることを示唆する。
【0109】
結論として、遺伝子修正自己表皮皮膚移植片は、重篤なRDEB患者においてC7沈着の増加及び水疱形成の低減を示し、患者集団は、他の具体的な処置の選択肢を有していた。より若いRDEB対象に関する大きな研究は、このアプローチの長期間の有効性及び安全性を評価するために計画されている。
【0110】
【0111】
【0112】
【0113】
【0114】
方法
研究デザイン
これは、第I相非盲検臨床試験(NCT01263379)である。主な研究目的は、全長COL7A1コード配列を含有するレトロウイルスベクターで形質導入した遺伝子操作された自己ケラチノサイトを移植したRDEB対象における安全性及び有効性のデータを得ることであった(
図1A)。2013年10月~2015年2月の間に、4人の成人RDEB対象にLEAESを移植した。全対象のデータを、少なくとも6ヶ月の経過観察で収集する。この研究は、Food and Drug Administration(IND#13708)及びStanford IRB(Protocol#14563)により承認された。
【0115】
対象
対象は、18歳以上であり、RDEBと臨床診断され、LEAES移植に適する100cm
2 ~200cm
2 の面積だけ開いた糜爛を有する。対象はまた、全身麻酔を受けることができ、スクリーニングプロトコールに基づいて選択された。これにおいて、RDEBが、遺伝子検査(GeneDx、メリーランド州ゲーサーズバーグ)により確認された。C7のNC1ドメインの存在を、培養ケラチノサイト(KC)上清のウェスタンブロット及び皮膚生検試料の間接免疫蛍光顕微鏡法(IIF)により評価した。生検試料中の全長C7及び成熟AFの不存在は、C7のカルボキシル末端NC2ドメインに特異的なLH24抗体を使用したIIF及び免疫電子顕微鏡法(IEM)により確認された(
図9)。霊長類食道の血清及び対象の生検部分の直接免疫蛍光法(DIF)をそれぞれ使用したIIFにより、循環血中の及び組織に結合したIgG、IgA、IgM、及びC3を分析した。HIV、肝炎、全身感染、または心臓異常を含む重大な非RDEB合併症を有する対象は除外した。臨床的に重大な貧血を、移植前に処置した。
【0116】
試験処置
無傷の非瘢痕皮膚の領域からLEAES製造のために2つの8mmのパンチ生検材料を得た。CBC、完全生化学検査(CMP)、ならびに複製可能なトレトロウイルス(RCR)及びC7感受性細胞傷害性T細胞アッセイに対するベースライン血液試料を得た。自己ケラチノサイト由来の皮膚生検は、LZRSE-COL7A1で形質導入し、8つのLEAES移植片を生成するために使用した(
図4)。SCCの臨床所見を欠く感染していない、糜爛した、かつ/または瘢痕化した創傷部位に、6つの移植片を適用した。6つの移植創傷部位(A、B、C、D、E、Z、表3)のうち、機械的摩擦(「部位Z」)により、手術時の各対象の1つの創傷を作成した。全身麻酔下で、保持された表皮幹細胞の可能性を最小限にするために、創傷床を焼灼した。LEAES移植片を、創傷床の調製後に溶解可能な縫合糸を介して創傷床に固定した。対象3及び4は、経過観察の移植片同定を補助するために、各移植片の角に小さなインド・インク・タトゥーを入れることに同意した。移植片を、標準的な創傷被覆材及び局所的なムピロシンで覆い、これを、移植の5~7日後に除去した。
【0117】
エンドポイント及び評価
移植の1、3、6、及び12ヶ月後に、対象を追跡した。各研究訪問で、IIF、C7感受性細胞傷害性T細胞アッセイに、CBC、及びCMPにより、循環血中の自己抗体について血清試料を評価した。血清中のRCRの存在を、3及び6ヶ月で評価した。各受診時に、代表的な移植片を生検して、DIFにより組織に結合した免疫グロブリン及び補体を、IIFによりC7発現を、ならびにIEMによりアンカリングフィブリルの存在を、評価した。創傷を、臨床的に評価し、デジタル写真及び/またはCanfield Vectraカメラを使用して、ベースラインと比較して、100%~75%が治癒し(重大な創傷治癒として定義される)、74%~50%が治癒し、49%~25%が治癒し、25%未満が治癒したと査定した。
【0118】
材料及び試薬
LEAES製造中に使用された全ての材料及び試薬には、製造者により提供された分析の証明を基準にして、偶発性ウイルスを含めなかった。ウシ由来試薬を含む各ロット組織培地を、偶発性ウイルスを試験する市販の9CFR吸光試験(American BioResearch、ワシントン州プルマン)により試験し、陰性であることが判明した。
【0119】
RDEBケラチノサイトの単離及び増殖
皮膚試料を、2つの8mmパンチ生検として得、30μg/mLのアミカシン(HIkma Pharmaceuticals、英国ロンドン)、20μg/mLのバンコマイシン(Sigma Aldrich、ミズーリ州セントルイス)、及び0.5μg/mLのアンフォテリシンB(USBiological、マサチューセッツ州サレム)と共に、35mLの生検収集培地50/50A(ヒトケラチノサイト成長サプリメントを含む50%のケラチノサイト培地154(Life Technologies、カリフォルニア州カールスバッド)、及びサプリメントを含む50%の規定されたケラチノサイト血清不含培地(Life Technologies、カリフォルニア州カールスバッド))に導入した。表皮を真皮から分離するために、25カゼイン分解ユニット/mLのディスパーゼを含有するディスパーゼ溶液(Life Technologies、カリフォルニア州カールスバッド)に、皮膚試料を5℃で16~20時間置いた。翌日、表皮を、真皮から慎重に剥がし、TrypLE Select 10X(Life Technologies、カリフォルニア州カールスバッド)溶液中に37℃で20~30分間置いた。この溶液を、1200rpmにスピンダウンして、ケラチノサイトペレットを得た。細胞を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS、Life Technologies、カリフォルニア州カールスバッド)で1回洗浄し、ケラチノサイトを、50/50A培地で、PureCoat Collagen I Mimetic Cultureware(Corning Life Sciences、マサチューセッツ州テュークスベリー)にプレーティングした。ケラチノサイトが、60~70%コンフルエンスに達した後、細胞を、TrypLE Select 10Xで処理し、ウイルス形質導入のためにプレーティングした。形質導入プロセスを開始するためには、少なくとも4×106 個の細胞を必要とした。
【0120】
ケラチノサイト修正
MLVLTRの制御下の、全長COL7A1 cDNAを含有するcGMPグレードのGalV-偽型LZRSE-COL7A1ウイルスを、Siprashvili et al 2010に記載されるように、現在のGood Manufacturing Practicesを使用して、Indiana University Vector Production Facilityにより作成した。pLZRSE-COL7A1プラスミドのマップを、
図13に示し、完全な配列を配列番号1に示す。各プレートに対し12mLのウイルス上清を重層すること、ならびに1250rpm及び32℃で1時間の細胞の遠心分離により、ウイルス形質導入を実施した。遠心分離後、修正ケラチノサイトの増殖のために使用して、PBS及び50/50V培地で洗浄することにより、ウイルス上清を除去した。修正KCが、50%を超えるウイルス形質導入効率(VTE)及び3以下のプロウイルスゲノムコピー数(PGCN)の放出前基準を満たし続けている限り、必要に応じて、形質導入を繰り返した。
【0121】
放出前試験
VTE試験。抗VII型コラーゲンモノクローナル抗体NP32、NP185、または抗VII型コラーゲンポリクローナル抗体FNC1を用いるIF技術を使用して、VTE試験を実施した。細胞を、メタノール/アセトン混合物の溶液中で固定し、洗剤で透過処理し、抗C71次抗体と共に、室温で1時間インキュベートした。多数回洗浄後、Alexa Fluor555色素にコンジュゲートした2次抗体を加え、さらに1時間インキュベートした。細胞核を、Hoechst33342で10分間標識し、洗浄し、金退色防止試薬(Life Technologies、カリフォルニア州カールスバッド)でマウントした。青色核のC7陽性細胞との比率を計数することにより、VTEを決定した。放出前基準を満たすために、少なくとも50%の細胞は、C7発現について陽性であった。
【0122】
PGCN試験
レトロウイルス形質導入後に、修正RDEB KCから単離されたゲノムDNAのqPCR分析を介して、PGCN試験を行った。Qiagen DNeasy Blood & Tissue Kit(Qiagen、ドイツ)を使用して、ゲノムDNAを、3×106 個の修正細胞から精製した。標準分光測光技術を使用して、DNAを定量化し、qPCR分析に使用した。プラスミドDNA対照の量からの、鋳型の閾値サイクル(Ct)及びCt依存度の標準曲線を使用して、プロウイルス用量を決定した。平均PGCNを、PGCN=(TPCN×6.16pg)/(Ctempl.×103pg)(式中、TPCN=総プロウイルスコピー数)から計算した。6.16pg=体細胞におけるゲノムDNAの量。Ctempl.=ナノグラム単位の、PCRで使用された鋳型量。放出前基準を満たすために、各ケラチノサイトゲノムに対し、3以下のプロウイルスゲノムコピー数が平均して存在した。
【0123】
無菌試験
潜在的な偽陰性を、培地に存在する抗生物質から排除するように設計されたMillipore Steritestシステムを使用した膜濾過(Pacific BioLabs、カリフォルニア州ヘラクレス)により、培養上清の試料を、無菌状態について試験した。濾過及び洗浄後、試料を、ソイビーン・カゼイン・ダイジェスト培地及び液体チオグリコレート培地に入れ、14日間インキュベートした。毎日の微生物汚染の形跡について、試料を観察した。
【0124】
エンドトキシン試験
培養上清の試料を、製造者の推奨に従って、Limulus Amebocyte Lysate(LAL)QCL-1000アッセイ(Lonza、スイス、バーゼル)により評価した。この試験の結果は、産物の放出要件を満たすために、1.0EU/mL未満であった。
【0125】
マイコプラズマ試験
製造者の要求に従って、MycoAlert Mycoplasma Detection Kit(Lonza、スイス、バーゼル)を使用して、細胞培養上清を、マイコプラズマについて試験した。この試験の結果は、産物の放出要件を満たすためには、0.9未満であった。
【0126】
LEAES開始及び処理
修正ケラチノサイトが、100%コンフルエンスに達すると、LEAES開始プロセスを開始し、成長培地を、50/50Vから表皮シート生成培地DFF31に変更した。これは、10%のウシ胎児血清(Lonza、スイス、バーゼル)、36ng/mLのヒドロコルチゾン(Spectrum、ニュージャージー州ニューブランズウィック)、25μg/mLのアデニン(Sigma Aldrich、ミズーリ州セントルイス)、5μg/mLの組み換えヒトインスリン(Sigma Aldrich、ミズーリ州セントルイス)、2ng/mLのリオチロニン(Spectrum、ニュージャージー州ニューブランズウィック)、5μg/mLのウシトランスフェリン(Millipore、マサチューセッツ州ビルリカ)、10ng/mLの組み換え上皮成長因子(R&D Systems、ミネソタ州ミネアポリス)及び30μg/mLのアミカシン(Hikma Pharmaceuticals、英国ロンドン)、ならびに20μg/mLのバンコマイシン(Sigma Aldrich、ミズーリ州セントルイス)を含有するダルベッコ改変イーグル培地(Life Technologies、カリフォルニア州カールスバッド)及びF12培地(Lonza、スイス、バーゼル)からなる。
【0127】
LEAESアセンブリ及び輸送
LEAESアセンブリを、移植の日に開始した。ディスパーゼ(Life Technologies、カリフォルニア州カールスバッド)で酵素消化させることにより、表皮シートを、プレートの表面から37℃で20~30分間放出させた。培地及びディスパーゼの残留量を除去するために、表皮シートを、50/50VCで少なくとも5回洗浄した。それを、手術用ヘモクリップでサイズのマッチした石油ガーゼに固定し、基底面に無菌黒縫合糸でマークした。アセンブリされたLEAESを、50/50VCの輸送培地に浸漬し、ガス透過性滅菌膜で密閉した。次いで、LEAES表皮移植片を、移植のために手術室に輸送した。
【0128】
放出試験
グラム染色滅菌試験。LEAES放出の日に、培地の試料を、迅速なグラム染色試験のために、Stanford Hospital Clinical Laboratoryの臨床検査室に送った。試験の陰性結果を、LEAESロット放出基準として使用した。
【0129】
LEAES生存率試験
LEAES試料を、Hoechst33342及びSYTOX Green染色を含有する核染料混合物と共に20分間インキュベートした生存性試験を実施した。SYTOX緑色染色のHoechst33342染色に対する比率を、70%以上で計算して、産物を放出させた。
【0130】
放出後試験
培地及びLEAES移植片の試料を、送出試験のために提出した。長い期間の試験プロセスに起因する移植片移植後に得られるべき試験結果を期待した。これらの「放出後」試験結果が、規格外であった場合に、安全性計画は実施されていた。放出後基準は、追加の無菌試験(放出前試験の無菌試験を参照のこと)、RCR試験(Indiana University Vector Production Facility)及びマイコプラズマ試験(Bionique Testing Laboratories、ニューヨーク州サラナクレイク)を含んでいた。
【0131】
RCR試験
LEAES及びLEAES培養した上清の試料を、Indiana University Vector Production Facilityの拡張PG-4 S+L-細胞プラークアッセイにかけ、放出基準として使用される試験結果「RCRの形跡なし」であった。ベースライン、3ヶ月、及び6ヶ月で、血液試料を、Indiana University Vector Production Facilityで分析して、定量的ポリメラーゼ連鎖反応(Q-PCR)を使用して、存在するGALVエンベロープ(GALV-E)配列のレベルを決定した。血液試料の量の妥当性を、ヒトアポリポタンパク質B遺伝子配列のための第2のプローブ及びプライマーセットにより評価した。ゲノムDNA0.12μg当たり105、104、103、102、及び10コピーのGALV-E配列を含有するゲノム12/22/15 8DNAを使用した標準曲線を、陽性対照として使用した。陰性対照は、形質導入されていないヒトゲノムDNA及び水を含んでいた。
【0132】
細胞傷害性T細胞アッセイ
細胞傷害性T細胞アッセイについて、ベースライン、1ヶ月、3ヶ月、及び6ヶ月に、15mLの全血を採取した。Ficoll-Paque(GE Healthcare)密度勾配遠心分離を使用して、末梢血単核細胞を、軟膜または全血から単離した。次いで、接着性単球を、ペトリ皿中で2時間インキュベートした後に回収した。MACS磁気細胞選別キット(Miltenyi Biotech)を使用して、非接着細胞を、常磁性マイクロビーズに結合した抗CD4及び抗CD8抗体とインキュベートすることにより、CD4+及びCD8+Tリンパ球を一緒に精製した。96ウェルPVDFフィルタープレート(Millipore)を、IFN-γ(BD Pharmingen)またはIL-4(BD Pharmingen)に対するモノクローナル抗体でコーティングし、5%のヒトAB血清を含むRPMI培地を使用してブロックし、無血清RPMIで洗浄した。CD4+及びCD8+Tリンパ球(2×105 細胞/ウェル)及びγ照射単球(2.5×104 細胞/ウェル)を、空気インキュベーター中で加湿した、5%のCO2 の中で、20UI/mlのIL-2の存在下、37℃で、40時間、プレート上で同時インキュベートした。培地は、リンパ球を刺激するために、10μg/mlの組み換え型VII型コラーゲンまたは3μg/mlのコンカナバリンA(Sigma)のいずれかを含有していた。プレートを洗浄し、1μg/mlのビオチン化抗IFN-γまたは抗IL-4モノクローナル抗体(BD Pharmingen)、続いて、ストレプトアビジンコンジュゲートアルカリホスファターゼ(Roche)の1:1000希釈液で、各ウェルを連続的に反応させることにより、個々の細胞により分泌されたIFN-γまたは抗IL-4をその場で検出した。BCIP/NBT発色基質(Promega)を使用して、検出を実施した。水で洗浄することにより、反応を停止させ、CTL ELISPOTリーダーを使用して、スポットを計数した。抗原なしのT細胞を使用して、陰性対照を並行して実施し、対応するスコアを、未知数のものから差し引いた。
【0133】
抗C7 LH24 mAbの特性決定
LH24 mAbを予め同定して、表皮基底膜2と反応させた。本発明者らの研究における、C7ヌルRDEB患者の皮膚の特異的な不存在は、それがC7上のエピトープを認識したことを示した。C7分子上のLH24反応性をさらに局在化させるために、NC1及びNC2ドメインを含有するC7の酵素消化物に対するLH24反応性を、ウェスタンブロットにより試験した。C7フラグメントを含有するNC1ドメインを、上述したように、高度に精製された細菌コラゲナーゼ(Worthington)を用いた精製C7の消化から生成された。C7フラグメントを含有する3つのNC2 12/22/15 9を、上述したように、精製C7のペプシン消化後に生成した。
【0134】
電子顕微鏡検査法
0.05%のタンニン酸を含有するダルベッコ無血清培地(SFM)中の1.5%のグルタルアルデヒド/1.5%のパラホルムアルデヒドに最低1時間浸漬させ、続いて、SFM中で多数回すすぎ、次いで、1%のOsO4 中で60分間、後固定することにより、3mmの皮膚パンチ生検を、電子顕微鏡検査法のために調製した。試料を、SFM中で洗浄し、次いで、100%までの段階的な一連のエタノールで脱水し、プロピレンオキシド中ですすぎ、Spurrエポキシに合計2時間にわたって浸透させ、マイクロ波エネルギーを介して加速させた。試料を、18時間かけて70℃で重合させた。
【0135】
免疫電子顕微鏡検査法
SFM中で多数回すすぎ、次いで、4℃で一晩、SFM中で1:5に希釈したコラーゲンVIIのNC2領域に特異的なマウスIgM LH24抗体に浸漬させ、SFM中で多数回すすぎ、次いで、SFM中で1:3に希釈したヤギ抗マウスIgM超小型コロイド金コンジュゲート(Aurion)中で、4℃で一晩インキュベートすることにより、免疫電子顕微鏡検査法のための3mmの皮膚パンチ生検試料を調製した。SFM中で多数回すすいだ後、試料を、金増感溶液(Nanoprobes)に15分間氷上で曝露し、次いで、25℃まで急速に温め、さらに5分インキュベートした。次いで、試料を、氷冷SFMですすぎ、次いで、上記のように固定及び包埋した。間接免疫蛍光法(IIF):ヒト血清をサル食道上に置き、ヒトIgA、IgM、IgG、及びC3に対する抗体で染色した。1:40以上の抗体希釈で検出されたシグナルは、バックグラウンドを超えると考えられる。
【0136】
直接免疫蛍光法(DIF)
12/22/15 10組織を、5マイクロメートルに切断し、ヒトIgA、IgM、IgG、C3、及びフィブリノゲンのフルオロフォアコンジュゲート抗体で染色した。正常対照を、並行して実行した。C7発現及びAF分析:3mmの皮膚パンチ生検試料を、8マイクロメートルに切断し、(C7のNC1ドメインに対する)抗VII型コラーゲンポリクローナル抗体FNC1またはモノクローナル抗体LH24(C7のNC2ドメイン)を使用したIIFにより分析した。要約すると、切片を、メタノール/アセトン混合物の溶液中で固定し、洗剤で透過処理し、室温(25℃)で1時間、抗C71次抗体とインキュベートした。多数回洗浄後、Alexa Fluor 555または488色素にコンジュゲートされた2次抗体を加え、1時間インキュベートした。細胞核を、Hoechst33342で10分間標識し、洗浄し、金退色防止試薬(Life Technologies、カリフォルニア州カールスバッド)でマウントした。表皮マーカーの場合、Covance(カリフォルニア州エメリービル)から入手したケラチン1、ケラチン14、及びロリクリン抗体である。生検材料は、真皮-表皮接合部でのVII型コラーゲンの連続線状染色が検出された場合、C7発現について陽性とした。生検は、密度、厚み、湾曲、弓状部、及びループを含むAFの特性を有する超微細構造のNC2ドメイン特異的LH24抗体を表す金コンジュゲート粒子が検出された場合、アンカリングフィブリル(AF)について陽性とした。
【0137】
写真
対象2~4では、Canfield Vectra 3Dカメラを使用して、複数の角度から各移植部位の約5枚の画像を撮影した。次いで、これらの画像をつぎ合わせて、包括的な3D画像を作成した。Mirror Software(Canfield、ニュージャージー州フェアフィールド)を使用して、目印を選択し、各画像の対応する場所を識別するために番号を付け、次いで、単一の画像に融合した。移植片の縁を正確に追跡するために、経過観察受診の融合画像を、0日目の移植の輪郭の上に置いてベースライン画像と比較した。解剖学的目印(例えば、刺青の点)を再度確認して、輪郭を正しく配置した。デジタル写真(Canon Powershot)を用いて、必要に応じて、対象2~4に対する追加写真及び対象1の全ての画像を得た。
【0138】
均等物
本開示が、上記実施形態に関連して説明されているが、上述の説明及び実施例が、例示するものであって、本開示の範囲を限定するものではないと理解すべきである。本開示の範囲内の他の態様、利点、及び修正は、本開示が属する当業者らには明らかであろう。
【0139】
別途定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する当業者が一般に理解するのと同じ意味を有する。本明細書で提供される全てのヌクレオチド配列は、5′から3′の方向に提示される。
【0140】
本明細書に例示的に記載された実施形態は、本明細書に具体的に開示されていない任意の要素(複数可)、制限(複数可)の不存在下で適切に実施され得る。従って、例えば、「を有する」、「を含む」、「を含有する」などの用語は、広範にかつ制限なしに読まれるものとする。さらに、本明細書で用いられる用語及び表現は、説明のかつ非限定の用語として使用されており、示され、かつ説明された特徴の任意の均等物またはそれらの部分を除くこのような用語及び表現を使用する意図はないが、種々の修正が本開示の範囲内で可能であることが認識される。
【0141】
従って、本開示が、具体的な実施形態により具体的に開示されているが、開示された本明細書のその中の実施形態の任意の特徴、修正、改良、及び変形は、当業者らによって用いられることがあり、かつこのような修正、改良、及び変形が、本開示の範囲内であるとみなされると理解すべきである。本明細書で提供される材料、方法、及び実施例は、特定の実施形態の代表例であり、例示であり、本開示の範囲を限定するものではない。
【0142】
本開示の範囲は広く一般に本明細書に記載されている。一般的な開示にあてはまる、より狭い種及び亜属郡のそれぞれもまた、本開示の一部を形成する。これは、削除された材料が本明細書に具体的に列挙されるか否かに関わらず、任意の主題を属から除外する条件または否定的な制限を伴う一般的な説明を含む。
【0143】
加えて、本開示の特徴または態様が、マーカッシュ群に関して記載される場合、本開示の実施形態も、それにより、マーカッシュ群の任意の個々のメンバーまたはメンバーのサブグループに関して記載され得ることを、当業者らは認識するであろう。
【0144】
本明細書に記載の全ての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、それぞれが個別に参照により組み込まれているような同じ程度で、全体として参照により明示的に組み込まれる。矛盾する場合、定義を含めて本明細書が支配するであろう。
【0145】
本発明は、National Institutes of Healthにより授与された契約AR055914に基づく政府支援によりなされた。政府は、本発明に一定の権利を有する。
【0146】
関連出願の相互参照
本願は、2016年1月4日に出願された米国特許出願第62/274,700号及び2016年10月28日に出願された米国特許出願第62/414,533号に対する米国特許法119(e)の優先権を主張し、それぞれの内容は、参照により本明細書に組み
込まれる。
【配列表】