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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-12
(45)【発行日】2024-09-24
(54)【発明の名称】冷却モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/473 20060101AFI20240913BHJP
   H01L 23/36 20060101ALI20240913BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
H01L23/46 Z
H01L23/36 Z
H05K7/20 N
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022186573
(22)【出願日】2022-11-22
(62)【分割の表示】P 2020513520の分割
【原出願日】2018-09-06
(65)【公開番号】P2023029879
(43)【公開日】2023-03-07
【審査請求日】2022-12-21
(31)【優先権主張番号】1714304.1
(32)【優先日】2017-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1714308.2
(32)【優先日】2017-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1714313.2
(32)【優先日】2017-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1809681.8
(32)【優先日】2018-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】520018266
【氏名又は名称】アイスオトープ・グループ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ICEOTOPE GROUP LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アモス,デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】エドマンズ,ニール
(72)【発明者】
【氏名】ヤング,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】キッドジャー,ジャスパー
(72)【発明者】
【氏名】ロングハースト,ネイサン
【審査官】金田 孝之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第03406244(US,A)
【文献】米国特許第08944151(US,B2)
【文献】特開平02-073657(JP,A)
【文献】米国特許第05491363(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0103614(US,A1)
【文献】特開昭63-138799(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/34-23/473
H05K 7/20
G06F 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電子デバイス用の冷却モジュールであって、
冷却液が前記複数の電子デバイスを少なくとも部分的に浸漬できるように前記複数の電子デバイスおよび前記冷却液を収容するための容器と、
前記容器内に搭載され、内容積を画定する壁装置を有する、ヒートシンクと、を備え、前記内容積内には前記複数の電子デバイスの1つが搭載されかつ動作中は前記複数の電子デバイスの1つの周りに前記冷却液が蓄積し、よって、熱は、前記複数の電子デバイスの1つから、前記内容積内にたまる前記冷却液に移送され、かつ、前記複数の電子デバイスの1つは、少なくとも部分的に前記冷却液に浸漬され、
前記ヒートシンクの前記壁装置は、
前記冷却モジュール内に前記ヒートシンクを搭載するように構成されるベースと、
前記ベースから延びる保持壁と、を備え、前記ベースおよび前記保持壁は、前記冷却液を蓄積するため前記内容積を画定し、
前記壁装置は、前記冷却液が前記内容積から前記容器内に流れ出ることを可能にする、または促進するための流し口をさらに画定し、前記壁装置は、前記内容積内にためられる冷却液のレベルが前記容器内の前記内容積外にある冷却液のレベルより高くなるように配置される、冷却モジュール。
【請求項2】
前記内容積を画定する前記ベースの表面は、平面である、請求項1に記載の冷却モジュール。
【請求項3】
前記冷却液を前記容器内で流すようにさらに構成され、かつ
前記ヒートシンクの前記内容積外の前記容器から流れる冷却液を受け入れるように配置され、かつ出口を有する少なくとも1つの管をさらに備え、前記流れる冷却液は、前記少なくとも1つの管から前記ヒートシンクの内容積に方向づけられる、請求項1に記載の冷却モジュール。
【請求項4】
前記冷却液を前記容器内で流すように構成されるポンプをさらに備える、請求項1から3のいずれか1項に記載の冷却モジュール。
【請求項5】
前記ポンプは前記容器内にある、請求項4に記載の冷却モジュール。
【請求項6】
前記内容積の形状は、延伸され、これにより、前記延伸された内容積の対向する両端における第1および第2の端部分を画定し、前記管の出口および流し口は、各々前記第1および第2の端部分に位置決めされる、請求項3に記載の冷却モジュール。
【請求項7】
前記出口は、前記内容積の上半分の高さに位置決めされる、請求項3または請求項6に記載の冷却モジュール。
【請求項8】
前記出口は、前記内容積の下半分の高さに位置決めされる、請求項3または請求項6に記載の冷却モジュール。
【請求項9】
前記管の前記出口は、1つまたは複数のノズルを備え、各ノズルは、前記流れる冷却液を前記内容積の個々の部分に方向づけるように構成される、請求項3または6に記載の冷却モジュール。
【請求項10】
前記1つまたは複数のノズルは各々、前記少なくとも1つの管の個々の一端に押込み嵌めにより結合するように構成される、請求項9に記載の冷却モジュール。
【請求項11】
前記複数の電子デバイスは、電源ユニットである、請求項1に記載の冷却モジュール。
【請求項12】
前記冷却液は、1次冷却液であり、前記冷却モジュールは、
2次冷却液を受け入れて前記1次冷却液から前記2次冷却液に熱を移送するように構成される熱交換器
をさらに備える、請求項1に記載の冷却モジュール。
【請求項13】
前記熱交換器は、前記容器内にある、請求項12に記載の冷却モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の技術分野
本開示は、冷却液に浸漬される電子デバイス用のヒートシンク、1つまたは複数のこのようなヒートシンクを備える電子デバイス用の、電子デバイスが冷却液に浸漬されることを可能にする冷却モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
多くの種類の電気コンポーネントは、動作中に熱を発する。具体的には、マザーボード、中央処理装置(CPU)およびメモリモジュールなどの電気コンピュータコンポーネントは、使用に際して大量の熱を放散することがある。電気コンポーネントが加熱により高温になると、損傷が生じ、パフォーマンスに影響し、または安全上の問題が生じる可能性がある。したがって、電気コンポーネントを効果的かつ安全に冷却するための効率的で高性能なシステムを見出す多大な努力が払われている。
【0003】
あるタイプの冷却システムは、液体冷却を用いる。様々な液体冷却アセンブリが実証されているが、概して、電気コンポーネントは、発熱する電気コンポーネントと冷却材との間に熱交換のための広い表面積を提供するように、冷却液に浸漬される。
【0004】
米国特許第7,905,106号明細書は、ラックシステムに連結される複数のケース内の幾つかの電子デバイスを冷却する液沈冷却システムについて記述している。ハウジングは、誘電性冷却液で満たされ、誘電性冷却液には、発熱する電子コンポーネントが沈下されている。ラックシステムは、複数のケースの液体移送を可能にするマニホールドと、誘電性冷却液をラックから出し入れするポンプシステムとを含む。外部熱交換器は、加熱された誘電性冷却液がラックに戻される前に冷却されることを可能にする。かなりの熱が存在する部位には、指向性の液体フローを用いて局所的冷却が提供される。マニホールドからは、標的である特定のホットスポットに誘電性冷却液を方向づけるために、複数の管が延びている。管の端は、所望されるホットスポットに隣接して位置合わせされるか、または、標的であるホットスポットに戻り液のフローを方向づける手助けをするために管を分散プレナムに連結することができる。これにより、各ケース内の冷却流体の方向づけまたは集中は、他のコンポーネントがさほど効果的には冷却され得ないという犠牲の上で行われる。さらに、冷却液の熱伝達容量は、効率的に使用されない場合がある。これらの理由により、この技法は、ラック内の各ケースにかなりの量の誘電性冷却流体が出し入れされることを必要とする。
【0005】
米国特許第8,305,759号明細書では、ケース内の回路基板上に配置された発熱する電子コンポーネントを冷却するために、誘電性液体が使用される。液体は、電子コンポーネント上に注がれるか、そうでなければ、液体が下向きにコンポーネント上に流れることを支援する重力によって、電子コンポーネント上に方向づけられ、この後、液体は、サンプに集められて最終的に電子コンポーネントに戻る。電子コンポーネント上に配置されるプレナムは、液体が電子コンポーネント上を流れる際に液体を入れるために提供される。その意図は、より多くの液体をコンポーネントに接触させ、よって液体冷却の効果を高めることにある。これもやはり、大量の誘電性冷却液を必要とし、また重力支援に依存するものであって、システムの柔軟性を低下させ、かつシステムの効率を下げることになり得る他の設計上の制約を導き入れる可能性がある。
【0006】
米国特許第8,014,150号明細書は、冷却装置が基板に結合されて電子デバイス
の周りに密封されたコンポーネントを形成する、電子モジュールの冷却について記述している。密封された区画内には、誘電性流体が電子デバイスに向かって圧送されるようにポンプが位置決めされる。冷却は、誘電性流体の相を液体から蒸気に変えることによって生じ、蒸気は次に、第2の流体が供給される液冷コールドプレートに向かって上昇するにつれて凝結される。しかしながら、この冷却システムは、ケース内の高圧シールおよび複数の冷却区画、延ては第2の冷却流体用に比較的複雑な配管装置を必要とする。
【0007】
したがって、冷却液を用いて電子システムを冷却するためのより効率的な方法が望まれている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の概要
こうした背景に対しては、概して、発熱する電子デバイスを冷却するためのヒートシンクが提供されている(例については後述する)。ヒートシンクは、冷却モジュール内で用いるように設計され、電子デバイスが冷却液内に部分的または完全に浸漬される。これは、発熱する電子デバイスに対して冷却液をためる、または保持するための、たとえば槽またはリザーバに似た容積を提供する。冷却材は、次に、冷却モジュール内の低レベルから、より高いレベルにあるヒートシンクの容積内にポンピングされてもよい。本明細書では、この設計によるヒートシンクおよび/または冷却モジュールの幾つかの異なる構造および実施形態について論じる。
【0009】
第1の態様では、請求項1に記載の、冷却液に浸漬される電子デバイス用のヒートシンク、および請求項8に記載の、電子デバイス用冷却モジュールが提供されている。この態様のさらなる特徴は、従属請求項および本明細書に詳述されている。
【0010】
ヒートシンクは、集積回路、コンピュータプロセッサまたは(通常動作で電力が供給されると熱を発する)他の電子コンポーネントなどの発熱する電子デバイスに搭載可能である。ヒートシンクは、冷却モジュール内で用いるように設計され、電子デバイスが冷却液内に浸漬される。これは、発熱する電子デバイスに対して冷却液をためる、または保持するための、たとえば浴槽またはリザーバに似た容積を提供する。この方法では、最大量の熱が発生する1つまたは複数の場所に冷却液をより効果的に与えることができる。したがって、冷却材の使用量を減らすことができる。冷却材は高価で重いことから、冷却材の量を減らせば、柔軟性、効率および信頼性を向上させることができる(たとえば、冷却材の漏れが生じにくいから、また、容積内の冷却材が、システム内の他のコンポーネントの故障に起因する瞬間的な温度変化に耐え得ることがその理由である)。
【0011】
電子デバイス用の冷却モジュールは、電子デバイスが冷却液に(少なくとも部分的に)浸漬され得るように電子デバイスを収容する容器を有し、電子デバイスには、本明細書で開示しているような第1の態様によるヒートシンクが搭載されている。実施形態によっては、電子デバイスは、平面であるか、平面である回路基板上に搭載されており、かつ冷却モジュールは、電子デバイスおよび/または回路基板の平面が水平になるように動作するように構成される。容器は、電子デバイスおよび/または回路基板の平面に準じて延伸されてもよく、たとえば、電子デバイスおよび/または回路基板の形状に整合する形状を有してもよい。
【0012】
このようなヒートシンクに関して、冷却液をためる、または保持するための容積は、ベースと、保持壁(一体式であっても別個であってもよい)とで画定され得る。ベースは、電子デバイスの上部(より具体的には、電子デバイスの伝熱面)に搭載されるヒートシンクの一部であって、伝熱面から熱を移送する。ベースは、典型的には、容積を画定する平
面を有する(よって、ベース自体の形状が平面であってもよい)。ベースを介して(具体的には、容積を画定するその表面を介して)移送される(典型的には、伝導される)熱は、容積内に保たれる冷却液に移送される。保持壁は、ベースから延びる。
【0013】
このタイプのヒートシンクの1つの効果は、ヒートシンクの容積内に入れられる冷却材のレベルを、容積外部のレベルより高くすることにある(たとえば、電子デバイスおよび/または回路基板の平面を水平にした状態で冷却モジュールが動作され、かつ冷却モジュールの容器内の冷却材の量が保持壁の高さより低い場合)。この場合も、必要な冷却材の量が低減される。
【0014】
有利には、ヒートシンクは、ベースから(または、さほど好ましくないが保持壁から)容積内に延びる突起(ピンおよび/またはフィンなど)を有する。これらの突起は、有益には、保持壁ほどにはベースから先に(具体的には、ベース平面から垂直方向に)延びない。これにより、冷却液が全ての突起を沈めることが保証され得る。より好ましくは、突起は、ベースから保持壁と略同じ距離まで延びる。これにより、さらに、容積内での、突起を迂回する可能性もある経路の生成が回避され得る。突起により、冷却液は、(たとえば、電子デバイスの最も熱い部分に一致する)ベース表面上の既定点から離れて半径方向に拡散し得る。具体的には、これらの突起は、非線形パターンで形成されてもよい。
【0015】
冷却液は、有利には、容器内で、好ましくは冷却モジュールの一部としてのポンプによって、またはさほど好ましくはないが冷却モジュールの形状(たとえば、対流を促進する形状)によって、流れるようにされる。これにより、冷却液は、ヒートシンクの容積まで達し得る。たとえば、流れる、またはポンピングされる冷却液を受け入れて、これをヒートシンクの容積へと方向づけるノズル装置が、さらに提供されてもよい。ノズル装置は、典型的には、1つまたは複数のノズル(押込み嵌め式であってもよい)を備え、その各々が、流れる、またはポンピングされる冷却液をヒートシンクの容積の個々の一部、具体的にはヒートシンクのベースの一部に方向づける。たとえば、各ノズルは、流れる、またはポンピングされる冷却液を、最大温度またはしきい値レベルを超す温度を有する電子デバイスの伝熱面の一部(すなわち、デバイスの最も熱い部分のうちの1つ)に隣接するヒートシンク容積の個々の一部へ方向づけてもよい。最も好ましくは、ノズル装置は、流れる、またはポンピングされる冷却液をヒートシンクのベースに対して垂直方向に方向づける。これにより、冷却材が直に容積内に押しやられ、放熱が向上し得る。
【0016】
第2の態様では、請求項16に記載の、電子デバイス用冷却モジュールが提供されている。本発明のさらなる特徴は、従属請求項および本明細書に詳述されている。
【0017】
冷却モジュールは、電子デバイス(集積回路、コンピュータプロセッサ、電子コンポーネントまたは回路基板など)が冷却液内に(少なくとも部分的に)浸漬され、かつ電子デバイス上にヒートシンクが設けられるように配置される。ノズルは、冷却材をヒートシンクに、具体的にはヒートシンクのベースに方向づけるように位置合わせされる(ベースは、冷却されるべき電子デバイス上に搭載される、または搭載されるように構成される部分である)。好ましい実施形態において、ノズルは、冷却液をヒートシンクのベースに対して垂直方向に(かつ/または、電子デバイスが平面であれば、この平面に対して垂直方向に)流す。
【0018】
冷却モジュールは、好ましくは、電子デバイスを冷却液に少なくとも部分的に浸漬できるように、電子デバイスを冷却のために収容する容器を備える。ヒートシンクは、電子デバイスに搭載されるベースを備える。ノズルは、ノズル装置の一部である。有利には、冷却液は、容器内部を冷却モジュールの一部として、好ましくはポンプによって流れるようにされる。ノズル装置は、流れる、またはポンピングされる冷却液を受け入れるように配
置されてもよい。ノズル装置は、ヒートシンクの最も熱い部分に冷却材を直に送達することを可能にし得、かつこれにより逆方向の流れを提供し得る。
【0019】
有利には、ノズル装置は、流れる、またはポンピングされる冷却液を、電子デバイスの最も熱い部分に隣接するヒートシンクの一部に方向づけるように配置される。ノズル装置は、有益には、1つまたは複数のノズルを備える。次に、1つまたは複数のノズルは各々、流れる、またはポンピングされる冷却液をヒートシンクの個々の一部に方向づけるように構成されてもよい。実施形態によっては、ノズル装置は、複数のノズルを備える。次に、各ノズルは、流れる、またはポンピングされる冷却液を、しきい値レベルを超える温度を有する電子デバイスの一部に隣接するヒートシンクの個々の一部に方向づけるように構成されてもよい。しきい値レベルは、電子デバイスの最も熱い部分の温度に基づいて、たとえばパーセントに基づいて設定されても、電子デバイスの最も熱い所定数の部位を冷却するように設定されてもよい。
【0020】
好ましい実施形態において、冷却モジュールは、冷却液を(ポンプが設けられる場合、好ましくはポンプから)ノズル装置に輸送するように配置される少なくとも1つの管をさらに備える。次に、1つまたは複数のノズルは各々、少なくとも1つの管の個々の一端に結合するように構成されてもよい。好ましくは、結合は、押込み嵌めによる。言い換えれば、各ノズルは、押込み嵌めによって個々の管端に結合されてもよい。
【0021】
冷却液は、1次冷却液であってもよい。よって、冷却モジュールは、2次冷却液を受け入れて1次冷却液から2次冷却液に熱を移送するように構成される、熱交換器をさらに備えてもよい。ポンプは、冷却液を流して熱交換器に出入りさせるように構成されてもよい。ノズル装置は、有利には、熱交換器から1次冷却液を受け入れるように配置される。この方法において、ノズル装置によりヒートシンクに方向づけられる冷却材は、最も低温の冷却材であってもよい。次に、これは、有益には、ヒートシンクの最も熱い部分に方向づけられてもよい。
【0022】
第3の態様では、請求項28に記載の電子デバイス用ヒートシンク、および請求項34に記載の冷却モジュールが提供されている。本発明のさらなる特徴は、従属請求項および本明細書に詳述されている。
【0023】
ヒートシンクは、冷却モジュール内に設けられてもよい。ヒートシンクは、電子デバイス(たとえば、電源ユニット)を含み、冷却液がその周りに蓄積することが可能になる。これにより、電子デバイスは、冷却液内に(少なくとも部分的に)浸漬される。ヒートシンクは、有利には、電子デバイスを搭載する内容積を画定する壁装置を有する。これにより、動作中、電子デバイスの周りに冷却液が蓄積し、よって、電子デバイスから内容積内に入っている冷却液に熱が移送される。
【0024】
壁装置は、冷却モジュール内にヒートシンクを搭載するように構成されるベースと、ベースから延びる保持壁とから形成されてもよい。これで、ベースおよび保持壁は、冷却液をためるための内容積を画定し得る。内容積を画定するベースおよび/またはベース面は、好ましくは平面である。
【0025】
電子デバイス用の冷却モジュールは、電子デバイスが冷却液内に少なくとも部分的に浸漬され得るように電子デバイスを収容するための容器と、容器内に搭載される、本開示の第3の態様によるヒートシンクとを備えてもよい。冷却モジュールは、冷却液が容器内で、好ましくはポンプを用いて、流れるようにさらに構成されてもよい。さらに、冷却モジュールは、流れる、またはポンピングされる冷却液を受け入れるように配置され、かつ流れる、またはポンピングされる冷却液がそこからヒートシンクの内容積内に方向づけられ
る出口を有する、少なくとも1つの管を備えてもよい。
【0026】
壁装置は、有益には、冷却液が内容積から流れ出ることを可能にする、または促進するための流し口をさらに画定する。これは、内容積を介する冷却液の流れの方向を(少なくとも部分的に)画定してもよい。あるいは、または追加的に、内容積は、形状が延伸されてもよく、これにより、細長い内容積の対向する両端に第1および第2の端部分が画定される。管の出口および流し口は、有利には、各々第1および第2の端部分に位置決めされる。
【0027】
実施形態によっては、出口は、内容積の上半分の高さ内に位置決めされる。他の実施形態において、出口は、内容積の下半分の高さ内に位置決めされる。管の出口は、1つまたは複数のノズルを備えてもよい。よって、各ノズルは、好ましくは、流れる、またはポンピングされる冷却液を内容積の個々の一部に方向づけるように構成される。場合により、1つまたは複数のノズルは各々、少なくとも1つの管の個々の一端に押込み嵌めにより結合するように構成される。
【0028】
第4の態様では、請求項43に記載の、電子デバイス用のヒートシンク装置、および請求項61に記載の、電子デバイス用冷却モジュールが提供されている。本発明のさらなる特徴は、従属請求項および本明細書に詳述されている。
【0029】
電子デバイスは、容器内の表面に、容器の床に対して略垂直な向きで搭載されるものであり、床は、概して、電子デバイスの向きが略垂直であるように平坦な水平面である。たとえば、電子デバイスは、プリント基板上に搭載され、かつプリント基板は、容器の床に対して略垂直に(すなわち、概して容器の水平な床に対して垂直に)向けられてもよい。プリント基板は、容器の床に対して略平行に向けられ得るマザーボードに結合される、ドーターボードであり得る。他の実施形態において、プリント基板は、マザーボードであってもよく、よって、容器の床に対して略平行に向けられるさらなるプリント基板が存在しても、存在しなくてもよい。
【0030】
ヒートシンク装置は、内容積を少なくとも部分的に画定するように構成される、保持壁を有する。保持壁は、内容積へと方向づけられる冷却液が内容積内に蓄積するように、電子デバイスが搭載される表面(プリント基板上に電子コンポーネントが搭載される場合、この表面は、プリント基板であってもよい)および/または電子デバイス上に搭載される表面(プレートなど)と協働する(または、協働するように構成される)。これは、内容積が、電子デバイスが搭載される表面(この場合、内容積は、電子デバイスを囲み得る)および/または電子デバイス上に搭載される表面(この場合、内容積は、電子デバイスに隣接して搭載され、かつ電子デバイスに熱結合され得る)と協働する保持壁によって画定され得ることを意味する。これらの配置により、熱は、電子デバイスから内容積内に蓄積した冷却液に移送されることが可能となる。
【0031】
これは、電子デバイスが搭載されるべき表面および/または電子デバイス上に搭載される表面(以下、一方または双方の表面と称する)がヒートシンク装置と協働する、またはヒートシンク装置の一部を形成することを意味し得る。たとえば、保持壁と一方または双方の表面との間の密封が漏れを防止するに足るものである必要はない(よって、実施形態において、このような密封が必要とされない場合がある)とはいえ、保持壁は、液体が内容積内にたまることを可能にするほど十分に、電子デバイスが搭載されるべき表面および/もしくは電子デバイス上に搭載される表面に取り付けられてもよく、かつ/またはこれに十分に近づいて(もしくは、密封されて)いてもよい。保持壁には、冷却液が規定速度で通過するための孔が設けられてもよい。保持壁および一方または双方の表面は、好ましくは、内容積が、内容積内にたまった冷却液を出せるようにする少なくとも1つの開口(
先に示したように、これは、容器の床より遠位であり得、もしくは孔の形態で設けられる場合には、保持壁のベース部に存在し得る)を有するように協働する(または協働するように構成される)。電子デバイス上に搭載される表面は、電子デバイスの一部であってもよい(すなわち、電子デバイスと一体式であってもよい)。
【0032】
ヒートシンク装置は、有利には、冷却液を受け入れて冷却液をヒートシンクの内容積内に方向づけるように配置される、ノズル装置を含む。ある実施形態において、ノズル装置は、容器の床から遠位の内容積の開放側(上側)から冷却液を、たとえば内容積の上部に向かって位置決めされるノズルを用いて、方向づけるように配置される。
【0033】
概して、保持壁は、立方体形の内容積を画定する。保持壁のみにより画定される内容積は、2つの側面、すなわち電子コンポーネントに隣接する第1の側面、および典型的には容器の床から遠位である第2の側面(上側)、の一方または双方がオープンであってもよい。場合により、保持壁は、容器の床に対して略平行に向けられるベース部を備える。よって、1つまたは複数(典型的には、3つ)の側壁部は、ベース部から(容器の床に対して略垂直方向に)延びてもよい。別の意味では、保持壁が、容器の床に対して略平行に延びる側壁部と、容器の床に対して略垂直に向けられる、側壁部とぴったり合って内容積を画定するように配置されるカバー部と、を備えるように見えることもある。側壁部は、カバー部から分離可能であってもよい。ある特定の実施形態において、保持壁は、容器の床に対して略垂直に向けられる、側壁部とぴったり合って内容積を画定するように配置される搭載板を備えてもよい。搭載板は、電子デバイスに搭載される表面であってもよい。
【0034】
保持壁および/または電子デバイス上に搭載される表面(たとえば、プレート)からは、突起(ピンおよび/またはフィンなど)が内容積内に延びてもよい。電子デバイスと電子デバイス上に搭載される表面との間には、熱界面材料が配置されてもよい。突起は、電子デバイスの平面に対して垂直方向(電子デバイスが略平面である場合)かつ/または容器の床に対して平行方向に延びてもよい。突起は、線形または非線形パターンで配置されてもよい。実施形態によっては、突起は、内容積内部の冷却液の流れを方向づけるための1つまたは複数のバフルを備える。バフルは、冷却液を、まず(重力下で)内容積の下部に、次いで内容積の上部に流れるようにさせ得る。あるいは、または追加的に、バフルは、冷却液を、内容積のより中心部寄りから内容積のより外側部分寄り(内容積から出る前)に流れるようにさせてもよい。バフルは、冷却液の流れを2つの別個の流路(概して、対称性または非対称性であり得る)に分割させてもよい。
【0035】
ある実施形態において、ノズル装置は、冷却液が流れるための少なくとも1つのチャネルを形成する配管システムを備える。少なくとも1つのチャネルは、1つまたは複数の孔を有し、その各々が、冷却液をチャネルからヒートシンクの内容積内に方向づけるためのノズルとして作用する。チャネルは、場合により、容器の床に対して垂直方向に向けられる。チャネルは、保持壁の一部内に一体化されてもよい。場合により、配管システムは、第1および第2のパネルを備え、第1および第2のパネルの一方または双方は、少なくとも1つのチャネルを形成するように成形される。よって、第1および第2のパネルは、冷却液が少なくとも1つのチャネルを通って流れることができるように、互いに取り付けられてもよい。
【0036】
電子デバイス用の冷却モジュールは、床を画定しかつ電子コンポーネントを床に対して略垂直の向きで収容するための容積を画定する内面を有する、容器を備えてもよい。本明細書に開示する第4の態様のヒートシンク装置は、容器の容積内に搭載されてもよい。実施形態において、電子デバイスは、容器の容積内に搭載される。ノズル装置は、流れる冷却液を受け入れ、これをヒートシンク装置の内容積に方向づけてもよい。場合により、ノズル装置は、流れる冷却液を、電子デバイスの最も熱い部分に隣接するヒートシンク装置
の内容積の一部に方向づけてもよい。ノズル装置は、複数のノズルを備えてもよく、各ノズルは、流れる冷却液を、しきい値レベルを超える温度を有する電子デバイスの一部に隣接するヒートシンク装置の内容積の個々の一部に方向づけるように構成される。ポンプは、冷却液を容器内で流すように構成されてもよい。少なくとも1つの管は、冷却液をポンプからノズル装置に輸送するように配置されてもよい。単一の管(または連結された複数の管)は、冷却液を第1のヒートシンク装置に、かつ第1のヒートシンク装置から第2のヒートシンク装置に(「デイジーチェーン」または直列リンク配列で)輸送してもよい。
【0037】
本明細書に開示する全ての態様に関しては、さらに、開示するヒートシンクおよび/または冷却モジュールのうちのいずれか1つまたはそれ以上における特徴に対応する製造および/または操作方法の特徴が提供され得る。態様は、組み合わされることも可能である。さらに、一態様の特有の特徴と、別の態様のヒートシンクおよび/または冷却モジュールとの組合せも開示するが、こうした組合せは、互換的である。本明細書では、こうした組合わせの特有の例を、例示として提案する。
【0038】
本発明は、幾つかの方法で実施されてもよく、以下、添付の図面を参照して、好ましい実施形態を単に例示として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本開示による冷却モジュールの一実施形態を示す図である。
図2図1の実施形態の分解図である。
図3】本開示によるヒートシンクの第1の実施形態を示す図である。
図4図3の実施形態の分解図である。
図5図3のヒートシンクの動作中の断面図である。
図6図3の実施形態の、ノズル装置を示す上面図である。
図7図3の実施形態のノズル装置の第1の変形例を示す上面図である。
図8図3の実施形態のノズル装置の第2の変形例を示す上面図である。
図8A図3の実施形態のノズル装置の第3の変形例を示す斜視図である。
図8B図8Aの図解の断面図である。
図8C図3の実施形態のノズル装置の第4の変形例を示す斜視図である。
図8D図3の実施形態のノズル装置の第5の変形例を示す斜視図である。
図8E図3の実施形態のノズル装置の第6の変形例を示す斜視図である。
図8F図8Eの図解の部分断面図である。
図9図3の実施形態の一部の、突起装置を示す拡大上面図である。
図10図3の実施形態の突起装置の第1の変形例を示す上面図である。
図11図3の実施形態の突起装置の第2の変形例を示す上面図である。
図12図3の実施形態の突起装置の第3の変形例を示す上面図である。
図13図3のヒートシンクの一部の、突起装置の高さを示す断面図である。
図14図3の実施形態の突起装置の高さの第1の変形例を示す断面図である。
図15図3の実施形態の突起装置の高さの第2の変形例を示す断面図である。
図16】本開示によるヒートシンクの第2の実施形態の断面図である。
図17図16のヒートシンクの斜視図である。
図17A図16および図17の実施形態の第1の変形例を組み込んだ冷却システムの斜視図である。
図17B図17Aの冷却システムの分解図である。
図17C図16および図17の実施形態の第2の変形例を示す図である。
図17D図17Aに示す第2の変形例の改変を示す図である。
図18図16および図17の実施形態の第3の変形例を示す分解斜視図である。
図19図18の、ノズル部が取り外されている状態の分解図を示す。
図20】本開示によるヒートシンクの第3の実施形態の斜視図である。
図21図20に示す実施形態の一変形例を示す分解斜視図である。
図22A】本開示によるヒートシンク装置の第4の実施形態の分解正面図である。
図22B図22Aの実施形態の組立斜視図である。
図22C図22Aの実施形態の組立側面図である。
図22D図22Aの実施形態の分解背面図である。
図23A】本開示によるヒートシンク装置の第5の実施形態の分解正面図である。
図23B図23Aの実施形態の組立斜視図である。
図23C図23Aの実施形態の組立側面図である。
図23D図23Aの実施形態の分解背面図である。
図23E図23Aの実施形態の組立断面図である。
図23F】第5の実施形態の第1の変形例の組立斜視図である。
図23G図23Fの第1の変形例の断面図である。
図23H】第5の実施形態の第2の変形例の組立斜視図である。
図23I図23Hの第1の変形例の断面図である。
図24】本開示によるヒートシンク装置の第6の実施形態の分解正面図である。
図25A図24の実施形態の第1の変形例の分解正面図を示す。
図25B図25Aの実施形態の一部分の、組み立てられた形態における正面図である。
図26A図24の実施形態の第2の変形例の分解正面図を示す。
図26B図26Aの実施形態の一部分の、組み立てられた形態における正面図である。
図27A】冷却液の流れを示すためにさらなるパーツと共に組み立てられたヒートシンク装置を示す図である。
図27B図27Aの実施形態の、容器内部を示す切欠き図である。
図28A図27Aの変形例における、さらなるパーツと共に組み立てられたヒートシンク装置を示す図である。
図28B図28Aの実施形態の、容器内部を示す切欠き図である。
図29A】複数のヒートシンクが直列して冷却液を受け入れるように連結されている、第1の設計を示す斜視図である。
図29B】複数のヒートシンクが直列して冷却液を受け入れるように連結されている、第2の設計を示す斜視図である。
図29C】複数のヒートシンクが並列して冷却液を受け入れるように連結されている、第1の設計を示す斜視図である。
図29D】複数のヒートシンクが並列して冷却液を受け入れるように連結されている、第2の設計を示す斜視図である。
図29E図29Dの設計の部分断面図である。
図30A】第1のタイプのヒートシンクから第2のタイプのヒートシンクへの冷却材の移送を示す設計の斜視図である。
図30B図30Aの設計の断面図である。
図31A】さらに適合化されたヒートシンクを示す上面斜視図である。
図31B図31Aのヒートシンクの底面斜視図である。
図31C図31Aのヒートシンクの側面断面図である。
図31D図31Aのヒートシンクの第1の変形例の底面斜視図である。
図31E図31Aのヒートシンクの第2の変形例の底面斜視図である。
図32A】変形ノズル装置を伴ったヒートシンクを示す上面斜視図である。
図32B図32Aのヒートシンクの上部断面図である。
図32C図32Aのヒートシンクの側面断面図である。
図33A】ベースを介して冷却材が導入されているヒートシンクの斜視図である。
図33B図33Aのヒートシンクの側面断面図である。
図34A】ヒートシンクと一体化された発熱するデバイスの第1の設計を示す斜視図である。
図34B図34Aのヒートシンクの側面断面図である。
図34C図34Aのヒートシンクの側面断面図である。
図34D】分離可能なヒートシンクを伴う発熱するデバイスを示す斜視図である。
図34E図34Dのヒートシンクの側面断面図である。
図34F図34Dのヒートシンクの側面断面図である。
図34G】ヒートシンクと一体化された発熱するデバイスの第2の設計を示す斜視図である。
図34H図34Eのヒートシンクの側面断面図である。
図34I】マルチ容積垂直ヒートシンク設計の斜視図である。
図35A】複数のデバイスを冷却するためのヒートシンク装置の第1の設計を示す斜視図である。
図35B図35Aの設計の分解図である。
図35C】複数のデバイスを冷却するためのヒートシンク装置の第2の設計を示す斜視図である。
図35D図35Cの設計の分解図である。
図35E】複数のデバイスを冷却するためのヒートシンク装置の第3の設計を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
好ましい実施形態の詳細な説明
図1を参照すると、本開示による冷却モジュール(「ブレード」と称することもある)の一実施形態が示されている。また、図1の実施形態の分解図を示す図2についても考察する。冷却モジュール100は、比較的高い温度を発するコンポーネント12と比較的低い温度を発するコンポーネント10とを収容する容器110(蓋なしで示されている)を備える。低温コンポーネント10および高温コンポーネント12は共に、回路基板15上に搭載されている。図1および図2には、容器110内にこうした同一の回路基板15が2つ示されている。ヒートシンク1は、高温コンポーネント12上に搭載される。続いて、ヒートシンク1に関して詳細に論じる。
【0041】
容器110は、動作中、1次冷却材と称され得る誘電性冷却液(不図示)で満たされる。冷却液は、導電性でなく、通常は熱伝導性であって、伝導および/または対流により熱を運ぶことができる。容器110内の冷却液の量は、低温コンポーネント10を少なくとも部分的に覆うまたは浸漬するに足るものであるが、必ずしも低温コンポーネント10を完全に浸漬するものでなくてもよい。動作中に使用される冷却液のレベルについては、後述する。冷却液は、ポンプ11により管5を通って流され、熱交換器19に至る。熱交換器19は、2次冷却液(典型的には、水または水ベース)を受け入れ、容器110内の冷却液からの熱をこの2次冷却液に移送する。2次冷却液は、界面接続部18を介して熱交換器19に提供され、かつ界面接続部18を介して熱交換器19から出る。冷却された1次冷却液は、ポンプ11により、管5を介して熱交換器19から出され、ノズル2を介して出る。管5およびノズル2は、冷却材を直にヒートシンク1上に流すように位置合わせされている。
【0042】
冷却モジュール100は、典型的にはラックマウント式モジュールであり、容器110内の電子コンポーネントは、好ましくは、たとえばマザーボードおよび関連コンポーネントを備えるコンピュータサーバ回路の少なくとも一部である。したがって、冷却モジュールの高さは、ラックユニット1個分(1U、44.45mmに相当)またはラックユニット整数個分であってもよい。冷却モジュール100は、複数のこうした冷却モジュール(そのうちの1つ、幾つかまたは全ては、本明細書に開示する冷却モジュール100とは異なる内部構造を有し得る)を収容する対応するラック内に据え付けられても、据え付けら
れるように構成されてもよい。この構成において、2次冷却液は、直列または並列に配置される冷却モジュール間で共有されてもよい。ラック内には、これを可能にするためのプレナムチャンバおよび/またはマニホールドが設けられてもよい。ラック内には、効率および安全を目的として、他のコンポーネント(電源レギュレータ、1つまたは複数のポンプまたは類似デバイスなど)が提供されてもよい。
【0043】
図3を参照すると、本開示によるヒートシンクの第1の実施形態が示されている。図4を参照すると、図3の実施形態の分解図が示されている。これは、図1および図2に示されているヒートシンクの拡大図である。ヒートシンク1は、マウント16およびマウント16に固定される平面基板17で構成されるベースと、平面基板17に取り付けられる保持壁7と、突起6(ピンの形で示されている)と、基板17をマウント16に取り付ける固定ねじ13とを備える。この方法において、平面基板17は、高温コンポーネント12上に直に置かれ、高温コンポーネント12から、平面基板17および保持壁7により画定されてその中に突起6が設けられる容積に熱を移送する。
【0044】
ヒートシンク1は、単一のコンポーネントから、たとえば、ダイカスト、ロストワックス鋳造、金属射出成形(MIM)、付加製造または鍛造によって製造されることが可能である。また、これは、材料ブロックから機械加工される、または削られる可能性もある。ヒートシンク1は、金属または他の熱導体などの熱伝導性であるあらゆる材料から形成されてもよい。幾つかの例として、アルミニウム、銅または炭素が挙げられ得る。
【0045】
図3および図4には、管5およびノズル2も示されている。冷却液は、ノズル2を介してヒートシンク1に送達される。ノズル2は、冷却材を基板17の平面に対して垂直に方向づけるように配置される。これにより、冷却液の噴射または流れが、ヒートシンク1の基板17および保持壁7により画定される容積内に直に押しやられる。その結果、放熱が向上する。これは、特に、空冷システムなどの、冷却材がヒートシンクを覆って流れるようにヒートシンク基板の平面に対して平行方向に方向づけられるシステムと比較される事例である。
【0046】
図3および図4に示す例では、ノズル2は、冷却材を、基板17および保持壁7により画定される容積の中心に直に送達する。この例において、この容積の中心は、高温コンポーネント12に隣接する(かつその直上にある)基板17エリアの最も熱い部分に相当する。これにより、最も冷たい冷却材がヒートシンクの最も熱いエリアに接触すべく方向づけられるような逆方向の流れが生じる。冷却材は、最も熱い部分から外に放射状に移動する。
【0047】
ノズル2は、管5への押込み嵌め接続部3を有するように設計される。これにはツールが不要であり、よって、着脱が簡単にできる。その結果、コンピュータのマザーボードであり得る回路基板15および全てのコンポーネントを簡単かつ迅速に交換することができる。ノズルには、管5およびノズル2における静電気の蓄積を排除するために、大地または接地点に結合されることが可能なアースポイント4がさらに設けられる。
【0048】
図5を参照すると、図3のヒートシンクの動作中の断面図が示されている。先の図面に示されているものと同じ機能は、同じ参照数字で識別されている。矢印は、冷却材8をヒートシンク1の基板17および保持壁7により画定される容積内に提供し、かつ冷却材9をヒートシンク1の外側に提供するための、管5内部の冷却材の流れを示す。先に示したように、ノズル2から出てくる冷却材は、容積の中心(基板17の表面積の中心に対応する)へと方向づけられ、ここから半径方向外向きに保持壁7に向かって移動する。冷却材は、ノズル2を介して容積内に十分にポンピングされ、よって、保持壁7から溢れ、残りの冷却材9と共にヒートシンク1の外部に集まる。
【0049】
側壁として作用する保持壁7は、異なるレベルの冷却材を有効化する。ヒートシンク1の容積内の冷却材8は、比較的高いレベルにあり、低温コンポーネント10(本図には示されていない)を少なくとも部分的に浸漬する冷却材9は、それより低いレベルにある。これにより、全てのコンポーネントを同じ高さで覆う他の類似システムより格段に少ない量の冷却液の使用が可能になる。
【0050】
これにより、幾つかの利点が実現される。第1に、使用される誘電性冷却材が少なくなり、かつこの冷却材が高価である可能性があることから、コストの大幅な削減が可能である。
【0051】
誘電性冷却液は、典型的には、極めて重い。冷却液の使用量が減ることにより、冷却モジュール100の据付けおよび/または持ち上げがより簡単になり得る。また、冷却モジュール100の据付けに必要なインフラストラクチャも減らすことができる。加えて、冷却モジュール100は、1次冷却液を格段に多く用いる類似デバイスやシステムより扱いやすい。容器110の大部分における1次冷却液9のレベルは、容器の上部に近くない。結果として、コンポーネントの保全または交換中にこれが流出する可能性は低い。また、漏れの危険性も減る。
【0052】
保持壁7は、堰止め効果をもたらす。比較的低いレベルにおける冷却材9は、冷却液がなければ通常空気により冷却される低温コンポーネント10を冷却する。低温コンポーネント10は、冷却液内に完全に浸漬される必要はない。
【0053】
基板17および保持壁7により境界をつけられる容積のさらなる利点は、一時的冷却冗長性にある。ポンプ11または冷却液の流れにとって極めて重要な別のコンポーネントが故障しても、ヒートシンク1の容積内には、一定量の冷却材が閉じ込められている。この冷却材は、少なくとも短時間、高温コンポーネント12を冷却し続けるに足るものである。これは、高温コンポーネント12上の瞬間的な温度変化に対抗しかつ潜在的にこれを防止し、よって、これらのコンポーネントがシャットダウンする徴候が減じられかつそのための時間が与えられる。
【0054】
次に、本発明の一態様をより概括的に論じる。たとえば、考察し得る、冷却液に浸漬される電子デバイス用のヒートシンクは、電子デバイスの伝熱面の上部に搭載されかつ伝熱面から熱を移送するように構成されるベースと、ベースから延びる保持壁とを備える。具体的には、ベースおよび保持壁は、冷却液の一部をためるための容積を画定し、よって、ベースを介して移送される熱は、容積内にたまった冷却液に移送される。この容積は、有利には、熱を伝熱面に隣接して保持することを可能にする。
【0055】
誘電性冷却材は、既存の冷却システムまたは冷却モジュールの場合より少ない量が使用され得る。ベースおよび保持壁は、好ましくは、容積内にためられる冷却液のレベルが容積外の冷却材のレベルより高くなるように配置される。たとえば、これは、マウントを備えるベースによって実装されてもよく、これにより、容積がベース底部より上に持ち上げられ得る。ベースは、容積の一部を画定する、マウントと一体式の、またはマウントに取り付けられる基板をさらに備えてもよい。ベースおよび保持壁は、別個のパーツであっても、一体であってもよい。
【0056】
好ましい実施形態において、容積を画定するベースの表面(ベースの基板部など)は、平面であるか、本質的にまたは略平面である。しかしながら、これは、必須ではない。ベース(電子デバイス上に搭載される表面とされ得るもの)は、保持壁に取り付けられ、かつ/または電子デバイスと一体化されてもよい。場合により、保持壁は、内容積が内容積
内にたまる冷却液の退出を可能にする少なくとも1つの開口を有するように、ベースと協働する。
【0057】
有利には、容積内部において、ベースおよび/または保持壁から突起が延びる。具体的には、これらの突起は、ベースから(ベース平面に対して垂直方向に)保持壁と略同じ距離で延びてもよい。突起は、ピンおよび/またはフィンを備えてもよい。突起は、好ましくは、ベース平面に対して垂直方向に延びる(突起は、有益には真っ直ぐである)。具体的には、突起は、冷却液をベース表面上の既定点(電子デバイスの最も熱い部分と一致する、またはこれに隣接する点など)から離れて半径方向に拡散させるように配置されてもよい。突起は、好ましくは、非線形パターンで形成される。これは、冷却材が既定点から放射状に分散することを可能にし得る。
【0058】
別の態様において、提供されている電子デバイス用の(密封可能な)冷却モジュールは、電子デバイスを冷却液に少なくとも部分的に浸漬できるように電子デバイスを収容する容器と、電子デバイス上に搭載される、本明細書に記述するヒートシンクとを備える。冷却モジュールは、冷却液をさらに含んでもよい。冷却液は、有利には、誘電体である。これは、有益には、熱伝導性かつ電気絶縁性である。
【0059】
冷却モジュールは、冷却液を容器内で流すようにさらに構成されてもよい。具体的には、冷却モジュールは、冷却液が容器内で流れるためのポンプをさらに備えてもよい。あるいは、または追加的に、冷却液を、容器内で冷却モジュールの構成によって(たとえば、冷却液の対流を可能にする、または促進することにより)流すようにさせてもよい。いずれの場合も、冷却液は、1次冷却材であってもよい。冷却モジュールは、2次冷却液を受け入れて1次冷却液から2次冷却液に熱を移送するように構成される、熱交換器を備えてもよい。熱交換器は、好ましくは、容器内部に存在する。ポンプは、冷却液を流して熱交換器に出入りさせるように構成されてもよい。場合により、こうした熱交換器が複数設けられてもよい。
【0060】
有益には、冷却モジュールは、流れる、またはポンピングされる冷却液を受け入れて、これをヒートシンクの容積に方向づけるように配置される、ノズル装置をさらに備えてもよい。ノズル装置は、流れる、またはポンピングされる冷却液を、ヒートシンクのベースの一部、および/または電子デバイスの伝熱面の最も熱い部分に隣接するヒートシンクの容積の一部に方向づけるように配置されてもよい。ノズル装置は、有利には、流れる、またはポンピングされる冷却液をヒートシンクのベースに対して垂直方向に方向づけるように配置される。
【0061】
ノズル装置は、好ましくは、1つまたは複数のノズルを備える。1つまたは複数のノズルは各々、流れる、またはポンピングされる冷却液をヒートシンクの容積の個々の一部に方向づけるように構成されてもよい。実施形態によっては、ノズル装置は、複数のノズルを備える。次に、各ノズルは、流れる、またはポンピングされる冷却液を、しきい値レベルを超える温度を有する電子デバイスの伝熱面の一部に隣接するヒートシンクの容積の個々の一部に方向づけるように構成されてもよい。しきい値レベルは、電子デバイスの伝熱面の最も熱い部分の温度に基づいて、たとえばパーセントに基づいて設定されても、伝熱面の最も熱い所定数の部位を冷却するように設定されてもよい。
【0062】
冷却モジュールは、冷却液を(ポンプが設けられる場合、好ましくはポンプから)ノズル装置に輸送するように配置される少なくとも1つの管をさらに備えてもよい。次に、1つまたは複数のノズルは各々、少なくとも1つの管の個々の一端に結合するように構成されてもよい。好ましくは、結合は、押込み嵌めによる。言い換えれば、各ノズルは、押込み嵌めによって個々の管端に結合されてもよい。
【0063】
次に図6を参照すると、図3の実施形態の、ノズル装置を示す上面図が示されている。先に述べたように、ノズル2(その押込み嵌め接続部3が見えている)は、管5に結合される。ノズル2は、基板17(本図には示されていない)の表面積の中心に面するように位置合わせされる。本図における矢印は、冷却材の半径方向の流れを示す。
【0064】
ノズル2については、代替位置が可能である。次に、このような位置の幾つかについて、図3の実施形態のノズル装置の第1の変形例の上面図が示されている図7を参照し、かつ図3の実施形態のノズル装置の第2の変形例の上面図が示されている図8を参照して説明する。まず、図7を参照すると、ノズル2が中心から外れて示されている。こうした配置は、温度コンポーネント12の最も熱い部分が基板17の中心に隣接していない場合に用意され得る。図8を参照すると、2つのノズルが示されている。2つのノズル2は、下の高温コンポーネント12(不図示)の最も熱い2つの部分に隣接する基板17(不図示)の表面積の上に位置合わせされる。
【0065】
次に図8Aを参照すると、図3の実施形態のノズル装置の第3の変形例の斜視図が示されている。この変形例では、保持壁7の内側に複数のピン6が示されている。管5aは、平面基板17内の開口に直に結合される。これは、図8Aの図解の断面図が示されている図8Bを参照するとより分かりやすい。これにより、管5aは、冷却材を保持壁7により画定される容積内に直に提供し得る。さらなる変形例(不図示)において、管5aは、保持壁7の側面における開口または間隙に直に結合されてもよい。
【0066】
次に、図8Cを参照すると、図3の実施形態のノズル装置の第4の変形例の斜視図が示されている。この変形例は、図7に示す設計に類似する。管5およびノズル3は、ノズル3が保持壁7で画定される容積に対してより中央寄りに位置決めされるように位置合わせされている。
【0067】
さらに、内容積の一部を覆うために、部分的な蓋7aが設けられている。部分的な蓋7a内の1つまたは複数の間隙は、ノズル3からの冷却液が内容積に到達できるようにし得る。部分的な蓋7aは、ノズル3の一部に取り付けられてもよいが、これが必須というわけではない。
【0068】
部分的な蓋は、冷却材の圧力および流量の増加を許容し得る。言い換えれば、これは、冷却材が保持壁7の側面を越えて容積から直に出ていくことを停止し得る。この変形例では、部分的な壁が保持壁7に接合している。しかしながら、これが、個々のヒートシンクの望ましさおよび/または要件に基づいて調整され得ることは、認識されている。たとえば、蓋の形状および位置、および蓋が保持壁7に接合するかどうか、接合方法および接合場所、のうちの1つまたはそれ以上が、冷却液の流れを変更しかつ冷却材が保持壁7から溢れる場所を設定または調整するために、適合化されてもよい。図8Dを参照すると、図8Cに示す第4の変形例に類似する、図3の実施形態のノズル装置の第5の変形例の斜視図が示されているが、部分的な蓋7bは、部分的な蓋7aより小さく、保持壁7に接合されていない。
【0069】
次に、図8Eを参照すると、図3の実施形態のノズル装置の第6の変形例の斜視図が示されている。この変形例では、ノズルが管5bと一体化されている。これは、図8Eの図解の部分断面図が示されている図8Fを参照すると、より明確に分かる。
【0070】
管5bの下側における間隙または孔3aは、別個のノズルを必要とすることなく、冷却液が保持壁7により画定される容積に方向づけられかつ/または分配されることを可能にする。こうした配置は、単一の管5bを用いて、冷却材を異なる部位により均一に拡散さ
せることを可能にし得る。孔3aの位置、数、ピッチおよびサイズのうちの1つまたはそれ以上は、所望されるパフォーマンスに適合するように設定または調整されてもよい。たとえば、図8Fでは、孔3aのうちの少なくとも1つが他の孔より大きい直径を有していて、その孔を介する冷却材の流量が他の孔より多いことが分かる。管5bは、一方に閉端3bを有し得るが、これは、必須ではない(これについては、後に詳述する)。幾つかのさらなる変形例(不図示)において、管5bは、先細にされてもよく、その他、異なる部位間の冷却材の分配を制御しかつ/または均衡させるためにその断面積を変えてもよい。
【0071】
本開示の別の一般化された態様について次に論じるが、ここで提供されている冷却モジュールは、冷却用の電子デバイスを、電子デバイスが冷却液に少なくとも部分的に浸漬され得るように収容する容器と、電子デバイス上に搭載されるベースを備えるヒートシンクと、冷却液を受け入れて、これをヒートシンクのベースに方向づけるように配置されるノズル装置とを備える。具体的には、ノズル装置は、受け入れた冷却液を、ベースに対して垂直方向にヒートシンクへと方向づけるように配置されてもよい。実施形態によっては、ノズル装置は、受け入れた冷却液を、ヒートシンクの内部(リザーバ)容積を介してヒートシンクのベースに方向づけるように配置されてもよい。冷却液の流れをこれらの方法で方向づけることは、より冷たい冷却液が最も熱い部分へと効率的に方向づけられるという理由で、ヒートシンクを介する電子デバイスの冷却を促進し得る。
【0072】
ノズル装置は、冷却液をたとえばポンプから受け入れるように配置される、管を備えてもよい。管の一端は、ヒートシンクにより画定される容積の外側にあってもよい。この場合、ノズルは、冷却液を方向づけるために、管のこの端に取り付けられ、搭載され、または配置されてもよい。ノズルは、冷却材を適宜方向づけるために、管内に1つまたは複数の孔を設けることにより、管と一体化されてもよい。管内に複数の孔が設けられる場合、孔の位置、数、ピッチおよびサイズのうちの1つまたはそれ以上は、孔毎に異なってもよい。保持壁により画定される容積には、その一部を覆う蓋が設けられてもよく、これが場合により保持壁に接合されてもよい。蓋は、冷却液が容積に到達できるように、但しベースおよび/または保持壁によって境界をつけられていない開放部を介して一部の冷却材が容積から出るのを防止するように、位置合わせされかつ/または構成されてもよい。別の実施形態において、管は、(冷却材がベースに方向づけられるように)ヒートシンクのベースに結合されても、ベースに隣接するヒートシンクの側壁に結合されてもよい。
【0073】
有利には、冷却液は、容器内で流れるようにされる。実施形態によっては、冷却モジュールは、冷却液が容器内で流れるようにするためのポンプをさらに備える。ノズル装置は、流れる、またはポンピングされる冷却液を受け入れるように配置されてもよい。ノズル装置は、ヒートシンクの最も熱い部分に冷却材を直に送達することを可能にし得、かつこれにより逆方向の流れを提供し得る。
【0074】
有利には、ノズル装置は、流れる、またはポンピングされる冷却液を、電子デバイスの最も熱い部分に隣接するヒートシンクの一部に方向づけるように配置される。ノズル装置は、有益には、1つまたは複数のノズルを備える。次に、1つまたは複数のノズルは各々、流れる、またはポンピングされる冷却液をヒートシンクの個々の一部に方向づけるように構成されてもよい。実施形態によっては、ノズル装置は、複数のノズルを備える。次に、各ノズルは、流れる、またはポンピングされる冷却液を、しきい値レベルを超える温度を有する電子デバイスの一部に隣接するヒートシンクの個々の一部に方向づけるように構成されてもよい。しきい値レベルは、電子デバイスの最も熱い部分の温度に基づいて、たとえばパーセントに基づいて設定されても、電子デバイスの最も熱い所定数の部位を冷却するように設定されてもよい。
【0075】
好ましい実施形態において、冷却モジュールは、冷却液を(ポンプが設けられる場合、
好ましくはポンプから)ノズル装置に輸送するように配置される少なくとも1つの管をさらに備える。次に、1つまたは複数のノズルは各々、少なくとも1つの管の個々の一端に結合するように構成されてもよい。好ましくは、結合は、押込み嵌めによる。言い換えれば、各ノズルは、押込み嵌めによって個々の管端に結合されてもよい。先に述べたように、代替配置も可能である。
【0076】
この態様のヒートシンクは、先に述べた他の態様のヒートシンクであってもよい。たとえば、ヒートシンクのベースは、電子デバイスの伝熱面の上部に搭載されかつ伝熱面から熱を移送するように構成されてもよい。ヒートシンクは、ベースから延びる保持壁をさらに備えてもよく、ベースおよび保持壁は、冷却液の一部をためるための容積を画定し、よって、ベースを介して移送された熱は、容積内にたまった冷却液に移送される。ベースおよび保持壁は、容積内にためられた冷却液のレベルが容積外の冷却材のレベルより高くなるように配置されてもよい。容積を画定するベースの表面は、平坦である。ヒートシンクの容積は、ノズル装置から容積内に受け入れられる冷却材が、そこで冷却材を受け入れる容積の部分から半径方向外側に移動するように構成されてもよい。ヒートシンクは、容積内部においてベースおよび/または保持壁から延びる突起をさらに備えてもよい。
【0077】
好ましくは、突起は、ベースから保持壁と略同じ距離まで延びる。突起は、有利には、ピンおよび/またはフィンを備える。実施形態において、突起は、ベース平面に対して垂直方向に延びる。突起は、冷却液をベース表面上の既定点(最も熱い部分など)から離れて半径方向に拡散させるように配置されてもよい。たとえば、これらの突起は、非線形パターンで形成されてもよい。
【0078】
冷却液は、1次冷却液であってもよい。よって、冷却モジュールは、2次冷却液を受け入れて1次冷却液から2次冷却液に熱を移送するように構成される、熱交換器をさらに備えてもよい。ポンプは、冷却液を流して熱交換器に出入りさせるように構成されてもよい。ノズル装置は、有利には、熱交換器から1次冷却液を受け入れるように配置される。この方法において、ノズル装置によりヒートシンクに方向づけられる冷却材は、最も低温の冷却材であってもよい。次に、これは、有益には、ヒートシンクの最も熱い部分に方向づけられてもよい。
【0079】
(ピンおよび/またはフィンとしての)突起6は、ヒートシンク1の残りの部分と一体形成される、または、ヒートシンク1の残りの部分とは別個のコンポーネントから製造される可能性もある。突起6は、所定位置に公差嵌合され、接着され、またはろう付けされる可能性もある。あるいは、または追加的に、保持壁7は、たとえば押出し成形によってヒートシンク1の残りの部分と一体成形される、もしくは残りの部分とは別個に製造される可能性もあり、または、組み立てられたシートメタル部品である可能性もある。次に、保持壁7は、公差嵌合され、所定位置に接着され、ろう付けされ、または溶接される可能性もある。
【0080】
図9を参照すると、図3の実施形態の一部の、突起装置を示す拡大上面図が描かれている。この実施形態で分かるように、突起6は、規則的に離隔されたピンである。
【0081】
突起6はピンとして示されているが、他の配置も可能であり、実際に有利であり得る。突起6は、フィンであっても、ピンとフィンとの組合せであってもよい。以下、こうした変形例の幾つかについて説明する。たとえば、ピンおよび/またはフィンは、非線形的に(直線状でなしに)配列されてもよい。これにより、冷却材の半径方向の流れが改善され得る。これから説明する変形例は、代替実装としての可能性を示す例であり、当業者には、さらなる選択肢が容易に考慮されるであろう。
【0082】
図10を参照すると、図3の実施形態の突起装置の第1の変形例の上面図が示されている。この場合の突起は、螺旋設計で配列されたピン6およびフィン6’を備えている。これらの突起もやはり、冷却液の半径方向の流れを促進する。
【0083】
図11を参照すると、図3の実施形態の突起装置の第2の変形例の上面図が示されている。突起は、「クモ状」設計で配列されたピン6およびフィン6’’を備えている。先の設計と同様に、これも半径方向の流れをさらに促進した。
【0084】
図12を参照すると、図3の実施形態の突起装置の、突起がピン6およびピン-フィン6’’’を備える、第3の変形例の上面図が示されている。これらは、「バースト」設計で配列され、同様に半径方向の流れを促進する。
【0085】
次に、図13を参照すると、図3のヒートシンクの一部の、突起装置の高さを示す断面図が示されている。本図で分かるように、ピン6は、保持壁7の高さと同一平面上にある。これには、幾つかの利点がある。保持壁7は、全ての突起6の完全な湿潤を保証することができる。言い換えれば、(ピンであれ、フィンであれ、またはこれらの組合せであれ)突起6の全ては、冷却材8内に沈められることが意図されている。これは、可能な限りのあらゆる表面が放熱に使用されていることを確実にする手助けとなり得る。さらに、突起6が保持壁7と同じ高さであることから、冷却材は、突起6を迂回することも、これらを乗り越えていくこともできない。突起6が図13に示すようなピンである必要はなく、こうした設計は、突起6の形成方法に関わらず可能であり得る。
【0086】
次に、図14を参照すると、図3の実施形態の突起装置の高さの第1の変形例の断面図が示されている。本図では、突起6aが保持壁7より低い高さにある。この場合は、突起が完全に濡れるという利点が保たれるものの、冷却材が突起を迂回し得るという利点はない。図15を参照すると、突起6bが保持壁7の高さより高い、図3の実施形態の突起装置の高さの第2の変形例の断面図が示されている。これは、冷却材が突起6bを迂回できないという利点を保っているものの、全ての突起6bが完全に濡れるという利点はない。
【0087】
次に、図1および図2を再度参照して、(図1に最も明確に示されている)冷却モジュール100の別の部分について論じる。容器110の中央には、電子デバイス24が置かれている。これは、典型的には、電源である。これは、保持壁27により境界をつけられる、容器110のベース部位の、回路基板15とは別個の部分内に位置する。ここで図16を参照すると、図1に示す電子デバイス24および保持壁27の一変形例に対応する、本開示によるヒートシンクの第2の実施形態の断面図が示されている。図17は、図16のヒートシンクの斜視図を示す。図17は、図16のヒートシンクの斜視図を示す。
【0088】
この実施形態では、ヒートシンク20は、容器110のベース120上に設けられている。ヒートシンク20は、ベース21と、保持壁27とを備える。電源24などの電子デバイスは、ベース21および保持壁27により画定される容積(内容積)内で、ヒートシンク20のベース21上に位置する。ヒートシンク20の構築プロセスおよび/または材料は、先に述べたヒートシンク1に対して使用されたものと同一であっても、類似するものであってもよい。
【0089】
冷却材は、管22によってこの容積内に運ばれる。図16に示すように、この冷却材は、チューブの端から、ベース21および保持壁27により画定される容積の下側部分に直に流れ込む。電子デバイス24は、冷却材内に完全に沈められて示されている。しかしながら、これは、熱抽出および冷却材の量に関する最も効率的なシナリオに依存して、部分的に沈められるだけでよい場合がある。
【0090】
本開示における他の実施形態の場合のように、冷却材は、複数の冷却レベルを見込んで、保持壁27を乗り越えて流れることができる。この特徴について先に同定したものと同じ利点が、この実施形態にも等しく当てはまる。さらに、これは、2つの冷却レベルを提供することができ、低温コンポーネント10は、ヒートシンク20の容積内の冷却材のレベルではない層レベルの冷却材によって冷却される。この場合も、一時的冷却冗長性の利点が提供される。
【0091】
切欠き25は、冷却材送込み管22とは反対側の容積の他端に流し口を作るために使用される。これは、冷却材の流れに方向を与え、かつより冷たい冷却材が側壁を越えて真っ直ぐにポンピングされる際に、コンポーネントが停滞した冷却材内に留まることのないように保証することができる。
【0092】
これについては、様々な設計が可能である。図17Aを参照すると、図16および図17の実施形態の第1の変形例を組み込んだ冷却システムの斜視図が示されている。図17Bも参照すると、図17Aの冷却システムの分解図が示されている。冷却システムの発熱(または放熱)コンポーネントまたはデバイスは、典型的には回路基板(PCBまたはマザーボードなど)である基板112上に搭載される。これらのコンポーネントまたはデバイスの中には、低レベルの冷却液では容易に冷却され得ないものがある。解決策としては、図16および図17に示すヒートシンク20の一般的な設計によるものが実現可能である場合もある。しかしながら、ベース(ヒートシンク20のベース21など)は、不要である。
【0093】
代わりに、保持側壁が設けられ、これが、冷却材を保持するための容積を生み出す堰止壁として作用する。容積のベースは、基板112によって提供される。例としては、第1の保持壁113、第2の保持壁114および第3の保持壁115が挙げられる。保持壁は、あらゆる材料(金属、プラスチック、シリコーンなど)から作成可能であって、基板に接着、粘着、ねじ留めされる、または他の方法で固定または取り付けられることが可能である。また、側壁は、オーバー成形、シリコーン鋳造または3D印刷される可能性もある。側壁と基板との間の接合部は、ガスケットまたは粘着テープを用いて密封される可能性もある。保持壁および基板により形成されるヒートシンクは、冷却されるコンポーネントの冷却要件または設置面積に依存して、いかなる形状または高さであってもよい。
【0094】
冷却材は、ポンプ(不図示)から、基板112および第1の保持壁113により形成される容積に、第1の管116を用いて供給され、基板112および第2の保持壁114により形成される容積には第2の管117を用いて、かつ基板112および第3の保持壁115により形成される容積には第3の管118を用いて供給される。図17Aおよび図17Bに示す設計では、各管が冷却材を個々の保持壁の上部に供給するように示されているが、冷却材の送達に(たとえば、本明細書でさらに開示するような)他の方法も使用可能であることは、理解されるであろう。
【0095】
この設計の第2の変形例では、ベース21は、設計の別個のコンポーネントである必要はなく、容器のベースまたは回路基板のベースであってもよい。図17Cを参照すると、こうした方針に沿った図16および図17の実施形態の第2の変形例が示されている。基板121は、容器の既存部分であって、たとえば、(図16に示すような)容器ベース120または(たとえば、図2に示すような)回路基板15である。保持壁は、基板121に対して垂直である垂直回路基板122によって部分的に形成される。垂直回路基板122により形成されていない保持壁のパーツは、側壁部123によって形成される。この場合、2つの垂直回路基板122は、対向する壁を形成するように設けられ、同じく対向する壁を形成する側壁部123と共に長方形の内容積125を形成する。垂直の回路基板122および側壁部123は、基板121に対して部分的に密封され、よって、内容積12
5に方向づけられる冷却液は、内容積125内のコンポーネント(不図示)間に保たれる。部分的な密封により、一部の液体は、シールの隙間を介して内容積125から流れ出ることがあるが、その流量は、典型的には、液体の供給量より格段に少ない(内容積125に供給される液体量の50%、30%、25%、20%、10%、5%または1%)。場合により、基板121に対する垂直回路基板122および側壁部123の密封は、より堅固または完全なものであってもよい。冷却液(不図示)を内容積に方向づけるための手段としては、本明細書において、たとえば図7図8図8A図8Fまたは図16を参照して説明したもの、または後述するさらなる選択肢のうちのいずれが含まれてもよい。
【0096】
次に、図17Dを参照すると、図17Cに示す第2の変形例の改変が示されている。ここでは、唯一の垂直回路基板122が3つの側壁部123と共に設けられ、合わせて基板121に対する内容積125を提供している。垂直回路基板122および側壁部123の数は、さらに変更されてもよく(保持壁の形状が正方形である必要はない)、よって実際のところ、保持壁の全てが完全に側壁123によって、または完全に垂直回路基板122によって提供され得ることが、認識されるであろう。このような設計は、スペース効率がよいものであり得、かつ特定のコンポーネント構成用に最適化され得る。たとえば、保持壁の一部または全ては、既存のコンポーネントを用いて形成することが可能である。これにより、堰止め効果を用いて内容積125が生み出される。
【0097】
図18を参照すると、図16および図17の実施形態の第3の変形例の分解斜視図が示されている。この実施形態において、ヒートシンク20’は、ベース21および保持壁27によって画定される容積を含む。電子デバイス24は、この容積の内部に用意される。冷却材は、管22を介して容積に送達される。しかしながら、この冷却材は、容積の下部へと供給される代わりに、ノズルアタッチメント23を介して容積の上部に供給される。これにより、冷却材の流れの方向がより良く制御され得る。冷却材送込み管22とは反対側にある容積の他端における流し口25は、この場合も冷却材の流れに方向を与え得る。この変形例では、流し口25に関わる他の利点も提供される。図19を参照すると、図18の、ノズル部3を取り外されている状態の分解図が示されている。ノズルを設ける必要はなく、冷却材は、管の端から直に流れ得る。
【0098】
図20を参照すると、本開示によるヒートシンクの第3の実施形態の斜視図が示されている。これは、電子デバイス34が用意される容積を画定するベース31および保持壁37を備えることにおいて、第2の実施形態に類似する。冷却材は、管32を介して容積内に到達し、管32とは反対側の容積の他端に、冷却材を流すための流し口35が設けられている。
【0099】
図21は、図20に示す実施形態の一変形例の分解斜視図を示している。同じ特徴を示す場所には、同じ参照数字を用いている。この変形例では、管32にノズルアタッチメント33が装備され、よって冷却材は、ベース31および保持壁37により画定される容積の上部に供給される。
【0100】
これに関しては、ノズルアタッチメント33が省略される、さらなる変形例も提供されるであろう。
【0101】
次に、本開示の一般化されたさらなる態様について考察する。
冷却モジュール内に位置決めされかつ冷却液に浸漬される電子デバイス用ヒートシンクが、提供され得る。ヒートシンクは、内容積を画定する壁装置を有し、内容積内には電子デバイスが搭載されかつ動作中は電子デバイスの周りに冷却液が蓄積し、よって、熱は、電子デバイスから、内容積内にたまる冷却液に移送される。場合により、電子デバイスは、内容積内に取り付けられて、さらに提供されてもよい。好ましい実施形態において、電
子デバイスは、電源ユニットである。
【0102】
典型的には、壁装置は、冷却モジュール内にヒートシンクを搭載するように構成されるベースと、ベースから延びる保持壁とを備え、ベースおよび保持壁は、冷却液を蓄積するための内容積を画定する。したがって、壁装置は、上部が開いた(または、部分的に囲まれた)直方体形状または角柱形状の構造体を画定してもよい。具体的には、内容積を画定するベースまたはベース面は、平面である。たとえば、ベースの表面は、結果としてヒートシンクが搭載される容器の表面にぴったりくっついてもよい。また、平坦なベース面は、特に電子デバイスも平坦な搭載面を有する場合、内容積内において電子デバイスがベースにぴったりくっつくことを可能にし得る。
【0103】
場合により、ベースは、冷却モジュールを収容する容器の表面、または冷却モジュール内の回路基板によって提供されてもよい。あるいは、または追加的に、保持壁の一部または全ては、冷却モジュールを収容する容器の側面、または冷却モジュール内の回路基板によって形成されてもよい。これにより、ベースおよび/または保持壁は、ヒートシンクの別個のパーツである必要がない場合もあり、冷却モジュールの他のパーツまたはコンポーネントと一体化されてもよい。
【0104】
本開示の他の態様または実施形態に関して述べたように、壁装置は、有益には、内容積内にたまる冷却液のレベルが内容積外部の冷却材レベルより高くなるように配置される。こうした利点(および場合により、実装)は、概して、他の実施形態または態様の場合と同じである。
【0105】
好ましい実施形態では、壁装置が流し口をさらに画定する。これは、冷却液が内容積から流れ出ることを可能にし得る。また、これは、ヒートシンクの内容積を介する、かつ/または内容積内部の冷却液の流れも(少なくとも部分的に)画定し得る。流し口は、たとえば、壁装置または保持壁における切り欠きであってもよい。
【0106】
さらに、電子デバイスが冷却液に少なくとも部分的に浸漬され得るように電子デバイスを収容するための容器と、本態様に関連して本明細書で記述しているヒートシンクとを備える、電子デバイス用の冷却モジュールも考察され得る。冷却モジュールは、具体的にはポンプを備えることにより(但し、本明細書の他所で論じた代替物も代わりに使用され得る)、冷却液が容器内を流れるようにさらに構成されてもよい。さらに、冷却モジュールは、ポンピングされる冷却液を受け入れるように配置されかつ流れる、またはポンピングされる冷却液がそこから出てヒートシンクの内容積内に方向づけられる出口を有する、少なくとも1つの管を備えてもよい。
【0107】
内容積の形状は、延伸されてもよい(たとえば、長方形の外形を有する)。これにより、延伸された内容積の対向する両端における第1および第2の端部分が画定されてもよい。よって、管の出口は、好ましくは第1の端部分に位置決めされ、かつ流し口は、好ましくは第2の端部分に位置決めされる。これにより、内容積の延伸された大きさに沿って冷却液の流れが促進され、電子デバイスとのより効率的な接触が可能となる。
【0108】
実施形態によっては、出口は、内容積の上半分の高さ(言い換えれば、内容積の上半分)内に位置決めされる。これにより、冷却液の流れは、出口が下半分に位置決めされる場合より良好に方向づけられ得る。他の実施形態において、出口は、内容積の下半分の高さ内に位置決めされる。これにより、最も冷たい冷却材が電子デバイスと接触する時間が長くなり得、出口を上半分に設ける場合に比べて効率が高まり得る。さほど好ましくない実施形態では、出口は、内容積の高さの中間辺りに位置決めされる。
【0109】
管の出口は、1つまたは複数のノズルを備えてもよく、各ノズルは、流れる、またはポンピングされる冷却液を内容積の個々の一部に方向づけるように構成される。たとえば、この配置は、本開示の他の実施形態または態様に関して記述したもののようであり得る(かつ/または、記述したものと同様に実装され得る)。たとえば、1つまたは複数のノズルは各々、少なくとも1つの管の個々の一端に押込み嵌めにより結合するように構成されてもよい。
【0110】
冷却液は、有利には、1次冷却液である。よって、冷却モジュールは、2次冷却液を受け入れて1次冷却液から2次冷却液に熱を移送するように構成される、熱交換器を備えてもよい。1次および2次冷却液に関する詳細は、他の態様に関連して先に論じている。ポンプは、冷却液を流して熱交換器に出入りさせるように構成されてもよい。1つまたは複数のノズルは、好ましくは、熱交換器から1次冷却液を受け入れるように配置される。
【0111】
これまで、特定の実施形態について説明してきたが、当業者には、様々な改変および代替が可能であることが認識されるであろう。容器110の設計は、示されたものとは形状および/または構造が異なっていてもよい(たとえば、直方体でなくてもよい)。本明細書に開示する設計の熱伝導性部品のいずれも、銅またはアルミニウムなどのあらゆる熱伝導材料を用いて形成されてもよい。熱性能を向上させるために、金メッキなどの様々なプランティングまたはコーティングが使用される可能性もある。表面積を増やすために、レーザ焼結、ハニコーンまたはフォームなどの様々な材料構造が使用される可能性もある。
【0112】
ヒートシンク1に関して言えば、ベース構造が異なってもよい。たとえば、マウント16は、異なる方法で設けられてもよい。基板17は、平面である必要はない。
【0113】
固定ねじ13については、接着剤、リベットまたは他のアタッチメント形式などの代替品が検討されてもよい。保持壁17、37は、単一(一体式)の壁として設けられても、複数の壁として設けられてもよい。また、保持壁17、37の形状および/またはサイズも、調整されてもよい。
【0114】
また、ヒートシンク20の設計も、異なる形状、サイズおよび/または実装によって変更されてもよい。たとえば、これは、複数の保持壁を用いて、かつ/または非平面のベースを用いて形成されてもよい。ベース120および保持壁27(または、これらの変形例)は、一体式のコンポーネントであっても、別個のコンポーネントであってもよい。高温コンポーネント12および電子デバイス24などの電子デバイスまたはコンポーネントが、少なくとも1つ(または、幾つかもしくは全て)の平面、特にヒートシンクが搭載され、配置されまたは固定される表面(取付け面)、を有することは、典型的である。しかしながら、本開示の態様は、平面を持たない電子デバイスおよび/またはコンポーネントと共に使用されるように容易に適合化されることが可能である。たとえば、取付け面は、バンプを有し、湾曲され、ポイント(たとえば、三角形または他の多角形状に成形されたもの)を備えることが可能である。
【0115】
高温コンポーネント12および/または電子デバイス24として示されているものについては、たとえば、異なる形状、構造または用途を有する代替の電子デバイスが使用されてもよい。実施形態によっては、低温コンポーネント10が設けられなくてもよく、かつ/または異なる設計の回路基板15が存在していても(または、実際のところ、存在していなくても)よい。回路基板15および/またはコンポーネントの配置は、大幅に変更されてもよい。たとえば、電子デバイス24の位置は、図示されているものとは異なってもよい。
【0116】
容器内部における冷却液の流れは、好ましくは、ポンプ11を用いて達成される。しか
しながら、存在するポンプの数は、図示されているものより多くても少なくてもよく、かつ実際のところ、実施形態によっては、設けられるポンプが1つであってもよい。あるいは、冷却液の流れは、ポンプなしに達成されかつ/または促進されてもよい。たとえば、容器110および/または冷却液の構成が何らかの他の方法によって冷却液の流れを可能にするものであれば、これが可能である。1つのアプローチは、冷却モジュールの動作の自然な結果、すなわち、電子コンポーネントおよび/またはデバイスは、動作すると、冷却液の加熱および対流を引き起こすこと、を利用するものである。冷却液が対流すると、冷却液が流れる。容器110を適切な向きまたは設計にすれば、冷却液の対流を容器110内で循環させ得る。次いで、冷却液の流れは、容器110内部のバフル板または他の適切な構造体によってさらに促進され得る。また、冷却液を流す他の設計も適するであろう。
【0117】
本開示のさらなる態様のヒートシンク装置は、垂直に向けられたプリント基板(PCB)上に搭載される(冷却対象である)発熱する電子デバイス上に、またはその周囲に嵌まるように設計される。この態様の特徴は、適用可能であれば、本明細書に開示する他の態様にも適用され得る。電子デバイスは、プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、または動作中にかなりの熱出力を伴う他の電子デバイスであってもよい。この態様のプリント基板は、冷却モジュールの容器内に搭載され(「ブレード」と称することもあるが、後述の図には示されていない)、かつたとえば、容器内に水平に搭載されるマザーボード上に(またはマザーボードに隣接して)搭載されるドーターボードであってもよい。本明細書で使用する垂直および水平という用語は、床と、床から延びる側壁とを備える冷却モジュールの容器を指す。水平は、床に平行であることを含意し、垂直は、床に垂直(典型的には、1つまたは複数の側壁に平行)であることを含意する。上部は、容器の床から遠位であることを含意し、下部は、容器の床に近接することを含意する。冷却モジュールの容器は、冷却モジュールの内容積を密封するための蓋を有してもよい。
【0118】
図22Aを参照すると、ヒートシンク装置の第4の実施形態の分解正面図が示されている。ヒートシンク装置は、熱界面材料41と、ヒートシンク突起部42と、保持壁46と、管49とを備える。ヒートシンク突起部42は、搭載面部42a(熱界面材料41上に搭載されるべきもの、熱界面材料41がない場合は、電子デバイス43の表面上に直に搭載される)と、突起44とを備える。冷却液は、管49を介して供給され、保持壁46および搭載面部42aにより形成される内容積内に進む。熱界面材料41は、ヒートシンク突起部42を電子デバイス43に熱接合する。保持壁46は、金属などの熱伝導材料から形成されてもよい。突起44は、本実施形態では線形フィンとして示されているが、ある範囲のタイプのフィン、ピンまたはピンとフィンとの組合せを代替として使用することができる。また、PCB45上には、追加のデバイス61が設けられるが、この場合、これらはランダム・アクセス・メモリ(RAM)デバイスである。
【0119】
図22Bを参照すると、図22Aの実施形態の組立斜視図が示されており、図22Cを参照すると、図22Aの実施形態の組立側面図が示されている。これらの図から、保持壁46と管49との相対的な位置合わせが分かる。使用に際して、冷却液は、管49から供給されて、保持壁46と搭載面部42aとで画定される内容積内に蓄積する。図22Cには、通常動作における容器の冷却液レベル54も示されている。容器内の冷却液の深さは、いずれの電子デバイスをも沈める必要がないことから、低いままに(電子デバイス43および/または保持壁46の高さより低く)しておくことができる。正確に言えば、冷却液は、(熱界面材料41を介して電子デバイス43に熱結合される)ヒートシンク突起部42に当てて保持されるが、保持壁46により画定される内容積の上部は開いている。これにより、冷却液は、内容積から溢れ出ることが可能となる。
【0120】
図22Dも参照すると、図22Aの実施形態の分解背面図が示されている。これは、管
49から、管49内の一連の冷却材送達孔50を介して、保持壁46により画定される内容積に至る冷却液の流れを詳しく示している。冷却材送達孔50の位置合わせおよび間隔は、所望に応じて冷却液を内容積の特定部分に送達するように設定されてもよい。PCB45上のRAM61などの他のコンポーネントには、他の管(不図示)を用いて冷却材が送達される。
【0121】
保持壁46のベース(すなわち、底部)には、冷却液用の小孔48が設けられている。これらの孔のサイズおよび/または管49を介する冷却液の流量は、冷却液が内容積内に少なくとも既定の持続時間に渡って保持されるように構成されてもよい。こうした孔は、同様の目的で、(たとえば、図3および/または図16を参照して)本明細書に記述している他の実施形態および設計にも適用されてもよい。
【0122】
一般的に言えば、容器内の表面に、容器の床に対して略垂直な向きで搭載されるべき電子デバイス用のヒートシンク装置が考えられ得る。このヒートシンク装置は、内容積を少なくとも部分的に画定するように構成される保持壁を備える。保持壁は、内容積内に方向づけられる冷却液が内容積内に蓄積するように、電子デバイス上に搭載される表面(プレートまたは別の表面などであって、平面または他の形状であり得る)と協働する(または協働するように構成される)。ヒートシンク装置は、冷却液を受け入れかつ冷却液をヒートシンクの内容積に方向づけるように配置されるノズル装置をさらに備えてもよい。具体的には、内容積は、熱が電子デバイスから内容積内に蓄積された冷却液に移送されるように画定されかつ/または配置されてもよい。場合により、電子デバイス上に搭載される表面は、保持壁に取り付けられる。
【0123】
有利には、保持壁は、容器の床に対して略平行に向けられるベース部を備える。保持壁は、電子デバイス上に搭載される表面(搭載面)をさらに備えてもよい。電子デバイス上に搭載される表面および保持壁(または、保持壁の残りの部分)は、有利には、内容積が、内容積内に蓄積される冷却液を退出させる(好ましくは、容器の床から遠位である)少なくとも1つの開口を有するように協働する(または、協働するように構成される)。ヒートシンク装置は、電子デバイスと電子デバイス上に搭載される表面との間に配置される熱界面材料をさらに備えてもよい。
【0124】
ヒートシンク装置は、保持壁および/または電子デバイス上に搭載される表面(搭載面部など)から内容積内に延びる突起をさらに備えてもよい。突起は、場合により、ピンおよび/またはフィンを備える。突起は、電子デバイスの平面に対して垂直方向(具体的には、電子デバイスが略平面である場合)に延びてもよい。実施形態において、突起は、搭載面などの電子デバイス上に搭載される表面から内容積内に延びる。
【0125】
設計によっては、保持壁は、容器の床に対して略平行に延びる側壁部(ベース部を含み得る)を備える。よって、保持壁は、容器の床に対して略垂直に向けられる、かつ内容積を少なくとも部分的に画定するように側壁部に嵌まるように配置される、搭載板または搭載面部をさらに備えてもよい。搭載面部または搭載板は、電子デバイスに隣接して、かつ/または電子デバイス上に(具体的には、電子デバイスと熱連通して)搭載されるように構成されてもよい。したがって、搭載面部または搭載板は、電子デバイス上に搭載される表面であってもよい。
【0126】
ノズル装置は、場合により、内容積の側面上で容器の床から遠位(内容積の上部)に位置決めされる少なくとも1つのノズルを備える。設計によっては、ノズル装置は、冷却液が通って流れる少なくとも1つのチャネルを形成する(たとえば、管形状の)配管システムを備える。よって、少なくとも1つのチャネルは、各々が冷却液をチャネルからヒートシンクの内容積内に方向づけるためのノズルとして機能する、1つまたは複数の孔を有し
てもよい。少なくとも1つのチャネルは、場合により、容器の床に対して平行方向に向けられる。
【0127】
保持壁(特に、容器の床に近接する保持壁の一部)には、保持壁を介して冷却材を流しかつ内容積から冷却材を退出させることが可能な少なくとも1つの間隙が設けられてもよい。
【0128】
次に、図23A図23Eを参照し、第5の実施形態について説明する。
次に、図23Aを参照すると、ヒートシンク装置の第5の実施形態の分解正面図が示されている。この第5の実施形態の幾つかの態様は、第4の実施形態と同様であり、よって、同じコンポーネントを示す場合には、同じ参照数字を使用している。PCB45、電子デバイス43、ヒートシンク突起部42およびRAM51の構造は、第4の実施形態の場合と同じである。
【0129】
主たる相違は、冷却液の送達にある。パネル52は、保持壁46aおよびRAM51などの基板上の他のコンポーネントに面して垂直に搭載される。パネル52には、チャネル53が設けられ、これらのチャネルは、プレート56によって密封される。図23Bを参照すると、図23Aの実施形態の組立斜視図が示されており、パネル52が保持壁46aおよびRAM51を覆って配置されていることが分かる。
【0130】
次に、図23Aの実施形態の組立側面図が示されている図23C図23Aの実施形態の分解背面図を示す図23D、および図23Aの実施形態の組立断面図を示す図23Eを参照する。チャネル53は、冷却液を受け入れ、冷却材送達孔50aを介してこれを分配する。これらは、冷却液の噴流55を、保持壁46a(およびベース部42a)により画定される内容積内に、およびRAM51などの基板上の他のコンポーネント上に注ぎ、または吹き付ける。冷却材送達孔50aは、冷却材の送達を変更するように調整されかつ位置変えされることが可能である。パネル52とプレートアッセンブリ56とのアッセンブリは、マザーボードまたは他のコンポーネントに別々に装着されることも可能である。
【0131】
パネル52は、冷却材送達孔50aで発生する電荷を消散させるように、導電性でありかつ電子コンポーネントと平衡状態にあってもよい。PCBの反対側面には、PCBの裏側に搭載されるコンポーネントを冷却するために、余分のパネル52が追加される可能性もある。
【0132】
図23Fを参照すると、第5の実施形態の第1の変形例の組立斜視図が示されている。本図には、先に述べた実施形態で示したものと同様または同一の保持壁46が見える。ヒートシンク突起部42’は、垂直のフィン突起を備える。管49’は、保持壁46の下側ベース内の開口に直に結合されている。これは、図23Fの第1の変形例の断面図が示されている図23Gを参照するとより分かりやすい。これにより、管49’は、冷却材を保持壁46により画定される容積内に直に提供し得る。これは、たとえば図8Aに示す設計に類似している。図23Hを参照すると、第5の実施形態の第2の変形例の組立斜視図が示されており、図23Fの設計に類似しているが、ヒートシンク突起部42’’がピン突起で形成されている。図23Iでは、図23Hの第1の変形例の断面図が示されており、管49’がより明確に分かる。ここで説明している2つの変形のいずれかに対するさらなる変形例(不図示)では、管49’は、保持壁46の側面における開口または間隙に直に結合されてもよい。
【0133】
上述の概論においては、少なくとも1つのチャネルが容器の床に対して垂直方向に向けられていることが考えられ得る。あるいは、または追加的に、配管システムは、第1および第2のパネルを備えてもよく、第1および第2のパネルの一方または双方は、少なくと
も1つのチャネルを形成するように成形され、かつ第1および第2のパネルは、冷却液がこの少なくとも1つのチャネルを流れることを可能にすべく相互に取り付けられる。第1または第2のパネル(特に、少なくとも1つのチャネル)には、冷却液を少なくとも1つのチャネルから内容積に流すことを可能にする1つまたは複数の孔が設けられてもよい。保持壁における(たとえば、容器の床に垂直な部分の縁に沿った)開口は、冷却液が孔のうちの1つまたはそれ以上から内容積に入ることを可能にし得る。
【0134】
次に、図24を参照すると、本開示によるヒートシンク装置の第6の実施形態の分解正面図が示されている。この実施形態では、ヒートシンクを構成するコンポーネントのみが示されている。本明細書で説明する第4および第5の実施形態からは、ヒートシンクが(たとえば、熱界面材料の使用に関連して)電子デバイスおよび冷却材モジュール内の他のあらゆるコンポーネントにどのように嵌合されかつ/または結合されるかが理解されるであろう。ヒートシンク装置は、搭載面部61と、突起(ピン形式)62と、バフル63と、保持壁64と、カバー部65とを備える。
【0135】
搭載面部61上のピン62およびバフル63のパターンは、冷却液が流れるための対称的な2チャネルを作り出す。保持壁64およびカバー部65は、搭載面部61と共に、ヒートシンクの内容積を画定する。冷却液は、(先に述べたような)第4および/または第5の実施形態または代替実施形態のノズル装置を用いて内容積に供給される。この方法において、冷却液は、垂直に配向されるPCBに対して平行または垂直のいずれかで内容積に流れ込む。冷却液は、内容積の上部および中央に向かって送達される。この方法において、冷却液は、双方のチャネルへと流される。これにより、冷却液は、ピン62の底部へと押し下げられ、その後再び上昇して上側部(角)から内容積を出る。有益には、これにより、冷却液が電子デバイスのより広い(および潜在的には可能な限り広い)表面積、および/または電子デバイス上に搭載される、もしくは熱結合される表面(搭載面部61など)に接触することが保証され、また、冷却液が電子デバイスの全表面を通って流されてこれを冷却する。
【0136】
これは、本明細書に開示する他の実施形態またはその変形例と組み合わせることが可能である。たとえば、冷却液が内容積に供給される方法は、第4の実施形態、第5の実施形態またはこれらの組合せに従って実装されることが可能である。
【0137】
次に、図25Aを参照すると、図24の実施形態の第1の変形例の分解正面図が示されている。図24の実施形態と同様に、ヒートシンク装置は、搭載面部61と、突起(ピン形式)62aと、バフル63aと、保持壁64aと、カバー部65aとを備える。搭載面部61を除く、他のコンポーネントの構成および/または構造は、図24に示すものとは異なる。具体的には、図25Aに、単一の螺旋形バフル63aが示されている。ピン62aおよび保持壁64aには、バフル63aの設計に対応する適合化が行われている。搭載面部61、保持壁64aおよびカバー部65aは、協働して内容積を画定する。さらに、カバー部65aは、冷却液を受け入れかつ/または冷却液を内容積内に方向づけるための入口またはノズルとして作用することができる孔66を含む。冷却液は、カバー部65aの中央部分(カバー部65aの幅および/または高さのサイズに対して)から内容積内に方向づけられる。
【0138】
図25Bを参照すると、図25Aの実施形態の一部分の、組み立てられた形態における正面図が示されている。冷却液は、内容積内の搭載面部61のエリアの中央部分に対して垂直に内容積に入る。したがって、冷却液が、バフル63aにより形成される螺旋経路を回って進められ、延ては全ての内容積を通過した後に内容積を出る様子が分かる。
【0139】
次に、図26Aを参照すると、図24の実施形態の第2の変形例の分解正面図が示され
ている。図24の実施形態の場合のように、ヒートシンク装置は、搭載面部61と、突起(ピン形式)62と、バフル63bと、保持壁64bと、カバー部65bとを備える。搭載面部61およびピン62を除く、他のコンポーネントの構成および/または構造は、図24図25Aおよび図25Bに示すものとは異なる。しかしながら、バフル63bは、図24に示すバフル62に類似する。
【0140】
主たる変更は、保持壁64bおよびカバー部65bにある。具体的には、カバー部65bは、冷却液を受け入れかつ/または冷却液を内容積内に方向づけるための入口またはノズルとして作用することができる、開口67を含む。冷却液は、カバー部65aの上部中央部分(上部は高さに対して、中央は幅に対して)から内容積に方向づけられる。
【0141】
次に、図26Bを参照すると、図26Aの実施形態の一部分の、組み立てられた形態における正面図が示されている。この構成は、図24の実施形態の対応する構成と同様(または同じ)である(バフルが内容積内に冷却液を流すための2つのチャネルを形成している)。図24の設計では、冷却液が内容積内へと下向きに、すなわち、容器の床に対して略垂直方向に方向づけられる。これに対して、図26Aの実施形態は、冷却液を内容積内へと横向きに、すなわち、容器の床に対して略平行方向に方向づける。双方の実施形態で、冷却液は、内容積の(容器の床から遠位にある)上部から内容積内へと方向づけられる。具体的には、冷却材は、内容積の幅(容器の床に平行なサイズ)に対して中心部に方向づけられる。
【0142】
先の一般論で言えば、保持壁は、容器の床に対して略平行に延びる側壁部(ベース部を含み得る)を備えるものと考えられ得る。よって、保持壁は、容器の床に対して略垂直に向けられる、側壁部とぴったり合って内容積を画定するように配置される、カバー部をさらに備えてもよい。側壁部およびカバー部は、分離可能であってもよい。このようなある特定の実施形態は、先に述べたように、搭載面部と組み合わされてもよい。
【0143】
実施形態において、突起は、内容積内の冷却液の流れを方向づけるように構成される1つまたは複数のバフルを備える。たとえば、1つまたは複数のバフルは、冷却液を容器の床に近接する内容積の第1の部分に(たとえば、重力下で)流すようにし、かつ続いて、容器の床から遠位である内容積の第2の部分に流れるように構成されてもよい。これは、内容積を巡る冷却液の循環を、具体的には冷却液の動きを促進する重力を利用して可能にし得る。あるいは、または追加的に、1つまたは複数のバフルは、有利には、冷却液を、具体的には内容積から出る前に、内容積のより中心部寄りから内容積のより外側部分寄りに流すように構成される。設計によっては、1つまたは複数のバフルは、冷却液を蛇行形状および/または螺旋形状のチャネルに流すように構成される。
【0144】
ある特定の実施形態において、1つまたは複数のバフルは、ノズル装置からヒートシンクの内容積内に受け入れられる冷却液が2つの別個の流路を介して流れるように構成される。特に、冷却液が内容積へと(容器の床から遠位である)その上部から方向づけられる場合、これにより、冷却材は、内容積の全ての部分、具体的には内容積内の電子デバイスに隣接する表面積、に到達することが可能となり得る。別個の2流路は各々、概して、電子デバイスおよび他の構成態様に依存して対称であっても、非対称であってもよい。
【0145】
ノズルの位置は、内容積の上部または(具体的には容器の床に対して垂直なサイズに沿った)内容積の表面積の中心部にあってもよい。好ましくは、ノズルは、冷却液を容器の床に平行な内容積のサイズ(具体的には、こうしたサイズの長い方)に沿って内容積の中心部に方向づけるように位置合わせされる。ノズルの位置は、場合により、動作中に冷却液を内容積の最も熱い部分に方向づけることを可能にする。
【0146】
本開示によるヒートシンク装置がタンク内に搭載されることは、理解されるであろう。考えられるタンク(容器または冷却モジュール)構成の詳細は、図1図21を参照したこれまでの論考、ならびに国際特許公開第2018/096362号パンフレットおよび国際特許公開第2018/096360号パンフレットに見出し得る。タンク(「ブレード」と称されることもある)は、典型的には、内部にそのうちの少なくとも1つが垂直に搭載される1つまたは複数の電子デバイスおよび冷却液を保持するための内容積を画定する、概ね直方体形状の容器である。このようなタンク構成は、典型的には、ポンプ、1次冷却材としての冷却液からタンク外部の2次冷却材に熱を移送するための熱交換器、および容器容積内で冷却液を移送するための配管システム、のうちの1つまたはそれ以上を含む。容器は、通常、内側から冷却液が漏れないように密封される。容器内部の冷却液の量は、典型的には、冷却液がポンピングされずに容器内に留まった状態で電子デバイスを覆うほど十分なものではない(この状態は、容器内で、垂直に搭載されるいかなる電子デバイスより容器の床により近づいて水平に搭載される一部の、大部分の、または好ましくは全ての電子デバイスにも当てはまり得る)。これは液浸液冷却と称され、冷却液がポンピングされずに容器内に留まった状態で冷却材のレベルが電子デバイスを覆うに足るものである液沈冷却とは対照的である。本開示によるヒートシンク装置を用いれば、動作中に複数の冷却液レベルが生じ、これにより、冷却液が熱移送効率を高めるように方向づけられる。
【0147】
このような浸漬冷却は、多くの利点を実現する。第1に、使用される誘電性冷却材が少なくなり、かつこの冷却材が高価である可能性があることから、コストの大幅な削減が可能である。誘電性冷却液は、典型的には、極めて重い。冷却液の使用量を減らすことで、タンクの据付けおよび/または持ち上げをより簡単にすることができる。また、タンクの据付けに必要なインフラストラクチャも減らすことができる。さらに、タンクは、格段に多い1次冷却液を用いる類似のデバイスまたはシステムより扱いやすいことがある。容器の大部分における1次冷却液のレベルは、容器の上部に近くない。結果として、コンポーネントの保全または交換中にこれが流出する可能性は低い。また、漏れの危険性も減る。
【0148】
次に、図27Aを参照すると、冷却液の流れを示すためにさらなるパーツと共に組み立てられたヒートシンク装置が示されている。このヒートシンク装置には、垂直PCB45と、RAMデバイス51と、冷却液をヒートシンク装置の内容積および/またはRAMデバイス51に方向づけるためのパネル52とが示されている。したがって、ヒートシンク装置は、図23A図23B図23C図23Dおよび図23Eに示すものに準じてもよいヒートシンク装置および他のパーツは、基板70上に搭載され、実施形態によっては、基板70は、マザーボード、ベースボードまたはキャリアボードである。垂直PCB45は、基板70に差し込まれる。場合により、こうした垂直PCBが複数設けられてもよい。実施形態によっては、基板70が省かれてもよい。
【0149】
他のパーツとしては、ポンプ72と、熱交換器74とが含まれる。冷却液(容器内のものについては、「1次」冷却材と称する)は、1次冷却材入口73を介してポンプ72に受け入れられ、ポンプは、冷却液を第1の管76を介して熱交換器に方向づける。1次冷却液は、熱交換器で冷却され、冷却された1次冷却液は、第2の管82を介してパネル52のパネル入口84に輸送され、ここでヒートシンク装置の内容積に、かつ/またはRAMデバイス51上に方向づけられる。
【0150】
熱交換器74は、2次冷却材(通常は液体、たとえば建物の主供給源から到来し得る水)を受け入れるための2次冷却材入口78と、2次冷却材出口80とを含む。2次冷却液は、熱交換器74を介して1次冷却液から熱を受け取り、こうして1次冷却液を冷却する。熱を帯びた2次冷却材は、2次冷却材出口80を介して熱交換器(および場合により容器)を出る。
【0151】
図27Bを参照すると、図27Aの実施形態の、容器内部における切欠き図が示されている。容器の側壁90および床91が見える。設計によっては、基板70が省かれてもよく、よってPCB45(または同等物)が床91または側壁90上に搭載されてもよい。
【0152】
次に図28Aを参照すると、図27Aの変形例におけるさらなるパーツと共に組み立てられたヒートシンク装置が示されている。これには、図27Aに示す設計との類似点が幾つかあり、具体的には、ヒートシンク装置が、垂直PCB45と、RAMデバイス51と、冷却液をヒートシンク装置の内容積および/またはRAMデバイス51に方向づけるためのパネル52(図23A図23B図23C図23Dおよび図23Eに示すものに準じる)とを備える。また、ヒートシンク装置および他のパーツは、基板70上に搭載され、基板70は、マザーボード、ベースボードまたはキャリアボードであってもよい。コールドプレート95を貫通する孔は、垂直PCB45を基板70に取り付けることを可能にする。場合により、こうしたPCBが複数設けられてもよい。
【0153】
また、ポンプ92も、1次冷却液を受け入れるための1次冷却材入口93を伴って設けられる。ポンプは、冷却液をパネル52に方向づけ、冷却液は、パネル52でヒートシンク装置の内容積内および/またはRAMデバイス51上に方向づけられる。
【0154】
主たる相違は、コールドプレート95として設けられる熱交換器の形式にある。コールドプレート95の主要面(伝導面)は、この面と接触する1次冷却液から2次冷却材(有利には、液体であって、たとえば建物の主供給源からの水など)に熱を移送する熱導体として機能する。コールドプレート95は、2次冷却材(通常は液体であって、たとえば取り込まれる水)を受け入れるための2次冷却材入口97および2次冷却材出口99を含む。2次冷却液は、コールドプレート90を介して1次冷却液から熱を受け取り、この熱を2次冷却材に移送することによって1次冷却液を冷却する(2次冷却材は、冷却プレート90の伝導面に隣接する管またはチャネルを通り得る)。熱を帯びた2次冷却材は、2次冷却材出口99を介してコールドプレート(および場合により容器)を出る。
【0155】
次に、図28Bを参照すると、図28Aの実施形態の、容器内部における切欠き図が示されている。この場合も、容器の側壁90および床91に関連する装置の位置合わせが分かる。代替実施形態では、基板70が省かれてもよく、よってコールドプレート95が床91または側壁90上に搭載されてもよい。よって、コールドプレート95内の孔は、不要となることがある。
【0156】
したがって、一般的に言えば、床を画定しかつ電子コンポーネントを床に対して略垂直の向きで収容するための容積を画定する内面を有する容器と、容器の容積内に搭載される、本明細書に開示するヒートシンク装置と、を備える電子デバイス用冷却モジュールが考えられ得る。冷却モードは、容器の容積内に搭載される電子デバイスも含んでもよい。電子デバイスは、プリント基板上に、容器の床に対して略垂直に向けられて搭載されてもよい。プリント基板は、場合により、容器の床に対して略平行に向けられて(かつ好ましくは容器内に搭載されて)マザーボードに連結され得るドーターボードである。
【0157】
好ましい実施形態において、ノズル装置は、流れる冷却液を受け入れ、これをヒートシンク装置の内容積に方向づけるように配置される。たとえば、ノズル装置は、流れる冷却液を、電子デバイスの最も熱い部分に隣接するヒートシンク装置の内容積の一部に方向づけるように配置されてもよい。実施形態によっては、ノズル装置は、複数のノズルを備え、各ノズルは、流れる冷却液を、しきい値レベルを超える温度を有する電子デバイスの一部に隣接するヒートシンク装置の内容積の個々の一部に方向づけるように構成される。
【0158】
冷却モジュールは、冷却液を容器内で流すように構成されるポンプをさらに備えてもよい。少なくとも1つの管は、冷却液をポンプからノズル装置に輸送するように配置されてもよい。
【0159】
これまで、特定の実施形態について説明してきたが、当業者には、様々な改変および代替が可能であることが認識されるであろう。たとえば、ノズル装置は、設けられるノズルの数、タイプ、形状および/またはスタイルの変更が可能である。冷却液を動作中の内容積の特に熱い部分に方向づけるために、複数のノズルが使用されてもよい。冷却液は、各々が別々のヒートシンク装置用である複数のノズル装置に輸送されてもよい。これが、並行して行われてもよい。あるいは、別々のヒートシンク装置用の複数のノズル装置が、直列に、所謂「デイジーチェーン」構成で連結されることもある。よって、冷却材を第1のヒートシンク装置に送達する管が、適宜、第2のヒートシンク装置へと続いてもよい。
【0160】
電子デバイスは、容器内のPCB上に搭載される必要はなく、別のコンポーネント上または容器の側壁上に搭載される。PCBは、マザーボードである可能性もある(すなわち、必ずしもドーターボードである必要はない)。容器内には、1つまたは複数のさらなるPCBが存在してもよい。これらのさらなるPCBは、容器の床に対して略平行に向けられても、容器の床に対して略垂直に向けられてもよい。電子デバイス上に搭載される表面は、電子デバイスに取り付けられる別個のコンポーネントであり得るが、当業者には、電子デバイス上に搭載される表面が電子デバイスと一体化されても、電子デバイスの一部であってもよいことが認識され得る。よって、保持壁は、電子デバイスに直に取り付けられてもよい。
【0161】
ヒートシンク装置の内容積内部の突起は、様々なパターンが採用されてもよい。突起のパターンは、線形、非線形およびランダムパターンが使用可能である。バフルの位置合わせおよび形状は、図示されているものとは異なってもよい。
【0162】
内容積の全てのパーツ内に冷却液を流す代替的なバフル設計は、内容積内で冷却液を流すための1つ、2つまたはそれ以上のチャネルを用いるものが考えられ得る。パフォーマンス向上のために、多孔質の連続気泡金属発泡体が突起と共に、または突起の代替として使用される可能性もある。これは、容積の特定の部位における密度を高めるために鋳造されてもよい。
【0163】
上述の実施形態では、搭載面部を用いて内容積が画定されている。しかしながら、他のコンポーネントが(保持壁と協働して)内容積を画定することも可能であり得る。たとえば、PCB(すなわち、電子デバイスが搭載されている、または搭載されるべき表面)は、保持壁6と協働することによって内容積を画定してもよい。よってこの場合、電子デバイス3、場合により熱界面材料1およびヒートシンク突起部2の全てが、内容積内に設けられることになる。
【0164】
一般的に言えば、容器内の表面に、容器の床に対して略垂直な向きで搭載されるべき電子デバイス用のヒートシンク装置として、最も一般的な態様の一変形例が考えられ得る。このヒートシンク装置は、電子デバイスを少なくとも部分的に囲って内容積を画定するように構成される保持壁を備える。保持壁は、内容積内に方向づけられる冷却液が内容積内に蓄積するように、電子デバイスが搭載されている、または搭載されるべき表面(プレートまたは容器のハウジングもしくは壁、または別の、平面または別様に成形され得る表面など)と協働する(または、協働するように構成される)。電子デバイスが搭載されている、または搭載されるべき表面は、保持壁に取り付けられてもよい。本明細書に記述している他の特徴は全て、任意選択であるなしに関わらず、この変形例で使用されてもよい。
【0165】
本明細書に開示する設計の熱伝導性部品のいずれも、銅もしくはアルミニウムまたはこれらの組合せなどのあらゆる熱伝導材料を用いて形成されてもよい。熱性能を向上させるために、金メッキなどの様々なプランティングまたはコーティングが使用される可能性もある。表面積を増やすために、レーザ焼結、ハニコーンまたはフォームなどの様々な材料構造が使用される可能性もある。
【0166】
ヒートシンク装置に関しては、図示されているものとは構造が異なってもよい。たとえば、これは、異なる方法で搭載されてもよい。1つまたは複数の保持壁は、単一(一体式)の壁として設けられても、複数の壁として設けられてもよい。また、1つまたは複数の保持壁の形状および/またはサイズも、調整されてもよい。
【0167】
ヒートシンクの設計も、単一の一体式コンポーネントまたは別々のコンポーネントの使用を含み、様々な形状、サイズおよび/または実装によって変更されてもよい。電子デバイスまたはコンポーネントが、少なくとも1つ(または、幾つかまたは全て)の平面、特にヒートシンク突起部が搭載され、配置されまたは固定される表面(取付け面)、を有することは、典型的である。しかしながら、本開示の態様は、平面を持たない電子デバイスおよび/またはコンポーネントと共に使用されるように容易に適合化されることが可能である。たとえば、取付け面は、バンプを有し、湾曲され、またはポイント(たとえば、三角形または他の多角形状に成形されたもの)を備えることが可能である。
【0168】
図示されている、または説明しているものについては、たとえば、異なる形状、構造または用途を有する代替の電子デバイスが使用されてもよい。実施形態によっては、異なる設計のプリント基板45があってもよい(または、実際のところ、プリント基板が全く存在しなくてもよい)。回路基板45および/またはコンポーネントの配置は、大幅に変更されてもよい。たとえば、RAM51の位置は、図示されたものとは異なっていてもよく、RAM51の代わりに、またはRAM51に加えて他のコンポーネントが設けられてもよく、または実際のところ、他のコンポーネントを設ける必要はない。
【0169】
ヒートシンク装置の他の詳細は、先に述べたような他の態様に関連して見出される場合もある。
【0170】
次に、全ての態様に関連するさらなる組合せおよび変形例について論じる。効率向上のためには、複数のヒートシンクを互いに連結することが可能である。たとえば、図29Aを参照すると、複数のヒートシンクが直列して冷却液を受け入れるように連結されている第1の設計の斜視図が示されている。4つのヒートシンク201が示されており、その各々は、概して図3に示すものに一致している(但し、本明細書に開示している他のあらゆるヒートシンク設計で置換され得ることは、認識されるであろう)。管202は(図示されていないポンプから)冷却液を供給し、各ヒートシンクは、個々のノズル203を介して管から冷却材を直列に受け入れる。各ノズル203内の間隙サイズは、各ヒートシンク201への一様な冷却材分配を可能にするように変えられてもよい。たとえば、ポンプ出口に近い方のノズル203は、ポンプ出口からより遠いノズル203よりも小さい間隙サイズを有してもよい。
【0171】
ヒートシンク201およびノズル203の数は、適宜変えられてもよい。
図29Bを参照すると、2つのヒートシンク201が直列に設けられる、複数のヒートシンクが直列して冷却液を受け入れるように連結されている第2の設計の斜視図が示されている。
【0172】
あるいは、または追加的に、冷却液は、ヒートシンク201に並行して供給されてもよい。図29Cを参照すると、複数のヒートシンクが並列して冷却液を受け入れるように連
結されている第1の設計の斜視図が示されている。管204からは、ノズル203を介してヒートシンク201に冷却材を送達する第1の管材205に、かつノズル203を介してヒートシンク201に冷却材を送達する第2の管材206に、分岐が設けられている。ノズルの間隙サイズは、変更される必要がないこともあれば、上述の直列連結式ヒートシンクの場合ほどには変更する必要がないこともある。
【0173】
次に、図29Dを参照すると、複数のヒートシンクが並列して冷却液を受け入れるように連結されている第2の設計の斜視図が示されている。管206は、ノズル203を介してヒートシンク201に冷却材を供給し、かつここから、ノズル212を介してさらなるコンポーネント212に冷却材を供給する第1の管材207と、個々のノズル203を介して垂直基板209(垂直DIMM)に冷却材を供給する第2の管材208とに枝分かれする。図29Eを参照すると、さらなるコンポーネント212が改変されたノズル210を介して冷却材を受け入れ、かつ垂直基板209が改変されたノズル211を介して冷却材を受け入れる、図29Dの設計の改変例の部分断面図が示されている。改変されたノズル210および改変されたノズル211の設計は、たとえば、図8Eおよび図8Fのノズルに類似する。
【0174】
次に、図30Aを参照すると、第1のタイプのヒートシンクから第2のタイプのヒートシンクへの冷却材の移送を示す設計の斜視図が示されている。具体的には、冷却液は、概して図3に示すものに準じる(かつ典型的には、比較的熱いコンポーネントを冷却するための)第1のヒートシンク201から、概して図16に準じる(かつ概して比較的低温で動作するデバイス235を冷却するための)第2のヒートシンク230に進む。第1のヒートシンク201は、第1のレベルにおいて第1の基板221上に配置され、第2のヒートシンク230は、第1のレベルより低い第2のレベルにおいて第2の基板222上に配置される(これにより、冷却材の流れは、重力によって方向づけられる)。管225は、冷却材を運ぶために配置される。ヒートシンク230には、冷却材が第2のヒートシンク230の内容積に入れるようにする入口231が設けられている。図30Bを参照すると、図30Aの設計の断面図が示されており、本図から、第1のヒートシンク201の内容積から管225へのアクセスを提供する第1のヒートシンク201内の出口223を見ることができる。管225は、ホース、チャネル、または、冷却液を運ぶことに適する他のデバイスに置換される可能性もある。
【0175】
特に図3のヒートシンクおよびその変形例に関連する(但し、本明細書に開示している他のヒートシンクにも当てはまる)さらなる適合化においては、熱移送を促進するために、蒸気導管、ベイパーチャンバもしくはペルチェ素子などのヒートパイプまたは同等物が設けられてもよい。図31Aを参照すると、こうしたさらに適合化されたヒートシンクの上面斜視図が示されている。ヒートシンクは、図3に示すものを基礎としており、保持壁250および突起251を有する。ヒートシンクは、ベース252も有するが、これは、本図では見えず、図31Aのヒートシンクの底面斜視図を示す図31Bを参照すれば見える。
【0176】
ベース252の上または内部には、ヒートパイプ253が設けられる。これらの配置は、既存の空冷式ヒートシンクに設けられるものに類似する。ヒートパイプ252は、ヒートシンクに渡るより良い熱移送を可能にし、よって、熱をより良く拡散させ得る。これにより、ヒートシンクの表面積をより効率的に使用できるようになり得、または、別段で可能になったと思われる表面積より大きい表面積を有するヒートシンクを使用できるようになり得る。この特徴は、図31Aのヒートシンクの側面断面図が示されている図31Cを参照することによっても、より明らかに分かる。
【0177】
ヒートパイプの配置は、大幅に変更されてもよい。一例として、第1の変形例の底面斜
視図が示されている図31Dを参照する。保持壁250およびベース251が図示されており、ヒートパイプ254は、「X」形状である。次に、図31Eを参照すると、第2の変形例の底面斜視図が示されており、ヒートパイプ255が、平行線として形成されている。
【0178】
たとえば図23A図23Eを参照して示されているパネルノズル装置は、他のヒートシンク装置に適用されてもよい。一例を、こうした変形ノズル装置を備えるヒートシンクの上面斜視図が示されている図32Aを参照して示す。ヒートシンク301は、概して図3に準じるものであるが、本明細書に開示しているこうしたあらゆる変形例、または代替のヒートシンクによって置換されてもよい。管302は、パネルノズル装置303に冷却材を供給し、パネルノズル装置303は、ヒートシンク301の内容積に冷却材を方向づけるように構成されている。
【0179】
次に、図32Bを参照すると、図32Aのヒートシンクの上面断面図が示されており、パネルノズル装置303のさらなる詳細が分かる。
【0180】
管302からの冷却材は、複数のチャネル304に沿って方向づけられる。各チャネル304のベースには、ノズル孔305が形成され、これにより、冷却材は、ノズル装置303からヒートシンク301内に送られる。図32Aのヒートシンクの側断面図が示されている図32Cも参照すると、ノズル孔305が見える。各ノズル孔305のサイズ、位置およびピッチのうちの1つまたはそれ以上は、変更されてもよい。あるいは、または追加的に、チャネル304の数、位置および直径のうちの1つまたはそれ以上も、変更可能である。また、単一のパネル303に渡るチャネル304および/またはノズル孔305のこれらのパラメータの変更も可能であり、たとえば、テーパリングによるチャネル304のサイズ変更を含む。これらにより、冷却材供給量の制御および/またはバランシングが可能となり得、たとえば、一様な冷却材分配が可能となり得る。ヒートシンクに冷却材を供給する方法は、様々なタイプのノズル設計を含み、多種多様に採用され得ることが認識されるであろう。
【0181】
これまでに、ヒートシンクのベースからの冷却材導入について、たとえば図8A図8Bおよび図32F図32Iを参照して論じてきた。次に、こうした実施形態に対するさらなる変形例について、ベースを介して冷却材を導入するヒートシンクの斜視図が示されている図33Aを参照して詳述する。ヒートシンクは、ベース321を伴う保持壁320を有する(これは、本図では図3に示す設計に概して準じるものであるが、本明細書で示す、または論じているあらゆる代替例に従って、変更される可能性もある)。ベース内には、孔322が形成され、冷却材が、保持壁320およびベース321により形成される内容積内に供給される。冷却材は、管325を介して到達する。突起(ピンおよび/またはフィン)が示されていないが、単に明確化を期するという理由によるものであり、よってこうした突起は、たとえば本明細書において他の実施形態に関連して開示している通りに設けられ得る。
【0182】
図33Bを参照すると、図33Aのヒートシンクの側断面図が示されており、孔323が見える。管325から到達する冷却材は、ベース321と下部ベース326との間に形成されるチャネル322に供給される。次に、冷却材は、孔323を通過して内容積内に入る。各孔323のサイズ、位置およびピッチのうちの1つまたはそれ以上は、単一のヒートシンク内および/または複数のヒートシンク間で変更されてもよい。あるいは、または追加的に、チャネル323のサイズおよび/または形状は、変更可能である。単一のヒートシンクに渡る孔322および/またはチャネル323に関するパラメータの変更により、冷却材供給量の制御および/またはバランシングが可能となり得、たとえば、一様な冷却材分配が可能となり得る。これには、たとえば、テーパリングによるチャネル304
のサイズ変更が含まれてもよい。
【0183】
図33Aおよび図33Bを参照して示す設計の利点は、冷却材がベース321に送達されることにある。水平ヒートシンク(たとえば、図3を参照して示されている)の場合、ベースは、典型的には、動作中のヒートシンクの最も熱い部分である。このようなシステムは、たとえば、ヒートシンク内容積の深さが大きく、高い冷却容量が可能であり得る場合に、特に有益であり得る。
【0184】
ヒートシンクとコンポーネントとの一体化は、さらなる利点となり得る。図34Aを参照すると、ヒートシンクと一体化された発熱するデバイスの第1の設計の斜視図が示されており、図34Bを参照すると、図34Aのヒートシンクの側断面図が示されている。コンポーネントおよびヒートシンク装置310は、基板300(たとえば、回路基板)上に搭載される。ヒートシンクおよびコンポーネントは、一体化された形態315であり、よって、保持壁は、コンポーネントハウジングと一体式に形成されている。この設計におけるコンポーネントは、プロセッサであるが、この設計は、あらゆるタイプの発熱するコンポーネントまたはデバイスに適し得る。図34Cを参照すると、図34Aのヒートシンクの側断面図が示されており、この一体化をより明確に見ることができる。
【0185】
次に図34Dを参照すると、分離可能なヒートシンクを伴う発熱するデバイスの斜視図が示されており、図34Eを参照すると、図34Dのヒートシンクの側断面図が示されている。この設計では、ヒートシンクおよびコンポーネン装置320が分離可能な形態を有し、よって、保持壁327は、コンポーネントハウジング325に(たとえば接着またはこれに類似するものによって)取り付けられている。この設計におけるコンポーネントは、プロセッサであるが、この設計は、あらゆるタイプの発熱するコンポーネントまたはデバイスに適し得る。図34Fを参照すると、図34Dのヒートシンクの側面断面図が示されており、保持壁327とコンポーネントハウジング325との間の分離をより明確に見ることができる。
【0186】
図34Gを参照すると、ヒートシンクに一体化された発熱するデバイスの第2の設計の斜視図が示されている。一体化されたコンポーネントおよびヒートシンク330は、基板上に搭載される。図34Hを参照すると、図34Gのヒートシンクの側断面図が示されている。この設計は、ソリッド・ステート・ドライブ(SSD)メモリの形態である。
【0187】
図34Iを参照すると、マルチ容積垂直ヒートシンク設計の斜視図が示されている。垂直基板350(たとえば、冷却モジュールハウジングの側面であっても、垂直に搭載された回路基板であってもよい)には、複数のヒートシンク351、352、353が搭載されて備わっている。第1のヒートシンク351は、一番上にあって、第2のヒートシンク352は、第1のヒートシンク351の下方に、第1のヒートシンク351から横方向に僅かにオフセットして搭載され、よって、冷却材は、第1のヒートシンク351から溢れて第2のヒートシンク352へと方向づけられる。同様に、第3のヒートシンク353は、第2のヒートシンク352の下方に、第2のヒートシンク352から横方向に僅かにオフセットして搭載され、よって、冷却材は、第2のヒートシンク352から溢れて第3のヒートシンク353へと方向づけられる。これを、カスケード配置と称することがある。基板350内には、上側の各ヒートシンクからの溢流を下側の個々のヒートシンクの適正場所に方向づけるためのスロット(不図示)が設けられてもよい。
【0188】
単一のヒートシンクを使用して、複数のコンポーネントまたはデバイスを冷却することができる。これを説明するために、例を幾つか論じる。これら全ての例において、ヒートシンクは、概して図3に準じるものであるが、当業者には、これを本明細書に開示しているヒートシンクのあらゆる変形例または代替例によって置換し得ることが認識されるであ
ろう。
【0189】
次に、図35Aを参照すると、複数のデバイスを冷却するためのヒートシンク装置の第1の設計の斜視図が示されている。ヒートシンク401は、基板400上に搭載されている。図35Bを参照すると、図35Aの設計の分解図が示されている。単一のヒートシンク401の下には、大きいコンポーネント402(プロセッサなど)および複数のより小さいコンポーネント403が用意され、これらの全てが1つのヒートシンク401によって冷却される。このような配置は、たとえば(GPU)に典型的である。
【0190】
図35Aおよび図35Bに示す配置は、拡大されてもよい。図35Cを参照すると、複数のデバイスを冷却するためのヒートシンク装置の第2の設計の斜視図が示されている。ヒートシンク410は、基板400上に搭載されている。図35Dを参照すると、図35Cの設計の分解図が示されている。単一のヒートシンク410の下には、複数の大きいコンポーネント412(その各々がプロセッサであってもよい)および複数のより小さいコンポーネント413が用意され、これらの全てが1つのヒートシンク410によって冷却される。
【0191】
図35Eは、複数のデバイスを冷却するためのヒートシンク装置の第3の設計の分解斜視図を示している。これは、第2の設計(図35Cおよび図35Dに示す)に類似する。単一のヒートシンク410の下には、複数の大きいコンポーネント412が用意され、その各々が、典型的にはプロセッサである。このような配置は、エクサスケールコンピュータに典型的であり、この場合プロセッサは、パフォーマンス向上のために、4つのバッチで搭載されてもよい。
【0192】
本明細書に開示している特徴は全て、こうした特徴および/またはステップのうちの少なくとも幾つかが相互に排他的である場合の組合せを除き、いかなる組合わせで組み合わされてもよい。具体的には、本開示の各態様の好ましい特徴は、概して、本開示の全ての態様に適用可能であり、かつ全ての態様の特徴は、いかなる組合せで使用されてもよい。同様に、本質的でない組合せにおいて説明されている特徴は、別々に(組合せではなく)使用されてもよい。
【0193】
本明細書に開示しているデバイスのいずれかの製造および/または動作方法も提供する。本方法は、開示している特徴の各々を提供するステップ、および/または個々の特徴をその記述された機能に合わせて設定するステップを含み得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図17A
図17B
図17C
図17D
図18
図19
図20
図21
図22A
図22B
図22C
図22D
図23A
図23B
図23C
図23D
図23E
図23F
図23G
図23H
図23I
図24
図25A
図25B
図26A
図26B
図27A
図27B
図28A
図28B
図29A
図29B
図29C
図29D
図29E
図30A
図30B
図31A
図31B
図31C
図31D
図31E
図32A
図32B
図32C
図33A
図33B
図34A
図34B
図34C
図34D
図34E
図34F
図34G
図34H
図34I
図35A
図35B
図35C
図35D
図35E