(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-12
(45)【発行日】2024-09-24
(54)【発明の名称】均一な照明のためのバックライト
(51)【国際特許分類】
G02F 1/13357 20060101AFI20240913BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20240913BHJP
【FI】
G02F1/13357
F21S2/00 481
(21)【出願番号】P 2022506567
(86)(22)【出願日】2020-07-23
(86)【国際出願番号】 IB2020056975
(87)【国際公開番号】W WO2021024078
(87)【国際公開日】2021-02-11
【審査請求日】2023-07-21
(32)【優先日】2019-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】ボイッド,ガリー ティー.
【審査官】近藤 幸浩
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0240981(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2001/0008464(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0134623(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0039012(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/13357
G02B 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
個別の光源の行及び列のアレイを形成する複数の個別の光源であって、各個別の光源は、約410nm~約470nmの範囲内の青色波長で非偏光青色光を発するように構成されている、複数の個別の光源と、
前記複数の個別の光源上に配置された多層ポリマーの部分反射体であって、実質的に垂直な入射光に対して、かつ直交する第1の偏光状態及び第2の偏光状態の各々について、前記部分反射体は、
前記青色波長を含む反射帯域と、
前記青色波長での約80%超の反射率と、
約370nm~約420nmの間にある
、前記反射帯域にかかる左帯域端と、
約500nm~600nmの間にある
、前記反射帯域にかかる右帯域端と、
前記右帯域端よりも大きい可視波長に対して、約20%~約80%の間にある平均透過率と、を有する、多層ポリマーの部分反射体と、
前記部分反射体上に配置された反射偏光子であって、前記青色波長を有する実質的に垂直な入射光に対して、前記第1の偏光状態を有する前記入射光の少なくとも60%を反射し、前記第2の偏光状態を有する前記入射光の少なくとも60%を透過する、反射偏光子と、
を備える、ディスプレイパネルに均一な照明を提供するためのバックライト。
【請求項2】
前記青色波長での少なくとも60%の反射率を有し、かつ、内部に複数の貫通開口部を画定する、反射層を更に備え、各個別の光源は、対応する貫通開口部の中に配置されている、請求項1に記載のバックライト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、バックライト付き照明システムに関し、具体的には、ディスプレイパネルに均一な照明を提供するためのバックライトに関する。
【背景技術】
【0002】
光学ディスプレイは、広告掲示板、テレビ、ラップトップコンピュータ及びデスクトップコンピュータ、携帯電話などのハンドヘルド式デバイス、及び他の用途に一般的に使用されている。広く使用されているタイプのディスプレイは、液晶ディスプレイ(LCD)である。LCD自体は、光を生成しないので、照明源、すなわち、反射周囲光又はより一般的にはバックライトからの光のいずれかを必要とする。バックライトは、一般に、照明デバイスを含み、この照明デバイスは、発光ダイオード又は蛍光灯などの光源と、照明デバイスとLCDパネルとの間のいくつかの光管理フィルムと、を含み得る。一般に、光管理フィルムは、より効率的かつ効果的な光の使用を促進することによって、ディスプレイの動作を向上させる。
【発明の概要】
【0003】
本開示のいくつかの態様では、ディスプレイパネルに均一な照明を提供するためのバックライトが提供される。バックライトは、個別の光源の行及び列のアレイを形成する複数の個別の光源を含む。各個別の光源は、約410nm~約470nmの範囲内の青色波長で非偏光青色光を発するように構成されている。多層ポリマーの部分反射体が、複数の個別の光源上に配置されている。実質的に垂直な入射光に対して、かつ直交する第1の偏光状態及び第2の偏光状態の各々について、部分反射体は、青色波長を含む反射帯域と、青色波長での約80%超の反射率と、約370nm~約420nmの間にある左帯域端と、約500nm~600nmの間にある右帯域端と、右帯域端よりも大きい可視波長に対して、約20%~約80%の間にある平均透過率と、を含む。反射偏光子が、部分反射体上に配置されている。反射偏光子は、青色波長を有する実質的に垂直な入射光に対して、第1の偏光状態を有する入射光の少なくとも60%を反射し、第2の偏光状態を有する入射光の少なくとも60%を透過する。
【図面の簡単な説明】
【0004】
本開示の様々な態様は、添付の図面を参照してより詳細に論じられる。
【
図1】本開示のいくつかの実施形態による、ディスプレイパネルに照明を提供するためのバックライト照明システムを概略的に示す。
【
図2】約410nm~470nmの青色波長範囲を概略的に示す。
【
図3】本開示のいくつかの態様による、アレイにおける個別の光源の配置を概略的に示す。
【
図4】本開示のある特定の態様によるバックライト照明システム内における光の伝播を概略的に示す。
【
図5】本開示のいくつかの態様による、部分反射体及び反射偏光子への垂直な入射光を概略的に示す。
【
図6】本開示のいくつかの態様による、異なる複数の波長での光の相対透過率を示す透過スペクトルのグラフ表示である。
【
図7】本開示のいくつかの態様による、部分反射体の構造を概略的に示す。
【
図8】本開示のいくつかの態様による、バックライト照明システムにおいて部分反射体の上方に配置されたプリズム構造体を有する層の構造を概略的に示す。
【
図9】本開示の他の態様による、バックライト照明システムを概略的に示す。
【0005】
これらの図は、必ずしも一定の比率の縮尺ではない。図面で使用されている同様の番号は同様の構成要素を示す。しかし、特定の図中のある構成要素を示す数字の使用は、同じ数字を付した別の図中の構成要素を限定することを意図するものではないことが理解されよう。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下の説明では、本明細書の一部を形成し様々な実施形態が例示として示されている添付図面が参照される。他の実施形態が想到され、本明細書の範囲又は趣旨から逸脱することなく実施されてもよい点を理解されたい。したがって、以下の発明を実施するための形態は、限定的な意味では解釈されない。
【0007】
例えば、液晶ディスプレイ(LCD)などのディスプレイパネルは、効率的であり、空間的に、角度的に、かつスペクトル的に均一であることが望ましいバックライト構成を利用することが多い。1つの照明方法では、LEDなどの個別の光源の行及び光ガイドを利用して、ディスプレイの領域全体に光を均一に広げる。これらのLEDは、バックライト構成の平面全体に発光するように配向されている。別の方法は、バックライト構成の平面全体にアレイとして配置されたLEDを使用する。これらのLEDは、ディスプレイパネルに向かって、バックライトの平面に対して垂直に発光する。アレイに配置されたLEDは、LEDの各々又はグループに対する輝度制御を行い、ディスプレイパネルの画像と協調して照明を動的に変動させる。バックライティング技術は、ディスプレイの独立した複数の領域に対して幅広い範囲の輝度を提供するための効果的な手段であり、ユーザの視覚的体験を向上させる。バックライティング法は、一般に、均一性及び輝度の仕様を達成するために追加の光学系を利用する。バックライティング構成のバックライト構成要素の総厚が最小限であることが望ましいことが多い。本明細書に記載の実施形態は、バックライト構成の平面内に光を効果的かつ均一に広げるという、これら及び他の課題に対処する。
【0008】
図1に概略的に示すように、照明付きディスプレイシステム(300)は、ディスプレイパネル(10)と、ディスプレイパネル(10)に均一な照明を提供するためのバックライト(200)とを含む。いくつかの実施形態では、ディスプレイパネル(10)は、液晶ディスプレイ(LCD)パネルを含むことができる。バックライト(200)は、
図3に最もよく見られるように、個別の光源(20)の行(22)及び列(23)のアレイ(21)を形成する複数の個別の光源(20)を含む。いくつかの態様では、アレイ(21)は、光源(20)を、所望に応じて正方形のパターン又は任意の矩形のパターンで配置することによって形成され得る。必要とされる光源の実際の数は、ディスプレイのサイズ、各光源の光束、及び所望の輝度に依存する。いくつかの態様では、複数の個別の光源(20)は、複数の個別の発光ダイオード(LED)を含む。個別の光源(20)のアレイを形成するLEDは、LEDが直列もしくは並列の様式で、又は所望に応じて直列と並列との組み合わせで動作できるように、電気的に連通している。いくつかの実施形態では、複数の個別の光源は、LEDなどの個別の光源の行であってもよい。LEDをアレイに配置することで、LEDの各々又はグループに対してより良好な輝度制御が行われ、LCDパネルの画像と協調して照明を動的に変動させることができる。
【0009】
いくつかの態様では、LEDなどの複数の個別の光源(20)の幅は、10μmから10mmまで変動し得る。LEDは、1mmから10mmまで変動できるピッチだけ間隔があけられてもよい。携帯型ディスプレイの場合、LEDの幅は、約100~300μmであり得、ピッチは、約1~10mmであり得る。LEDは、LEDダイ、又は「LED」として販売される被覆もしくは封入された半導体デバイスを含んでもよく、従来の又はスーパーラジエントのタイプであってもよく、順方向放射タイプ又は側方放射タイプであってもよい。LEDダイは、表面実装構成、チップオンボード構成、フリップチップ構成、又は他の知られている実装構成向けに構成され得る。
【0010】
いくつかの実施形態では、複数の個別の光源(20)は、回路基板(70)上に配置される。光源(20)のアレイ(21)は、例えば、機械的締結、はんだ付け、又は接着剤の使用などの任意の技術によって回路基板に取り付けることができる。回路基板(70)は、個別の光源(20)の発光を励起及び制御するための、個別の光源(20)に接続された複数の導電性トレース(71)を含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、バックライト(200)は、反射層(80)を含む。反射層(80)は、高い反射率を有し得、回路基板の平面上で個別の光源(20)の間に配置され得る。いくつかの態様では、反射層は、青色波長での少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又はいくつかの態様では少なくとも90%の反射率を有する。高いリサイクル効率を達成するために、高反射性材料が反射層(80)として使用され得る。これは、以下に説明されるように、光管理光学フィルムが使用される場合に重要になるが、それは、これらのフィルムが、最初の通過では使用できず、かつ、後続の通過(単数又は複数)の間にディスプレイパネルの出力に寄与するためにリサイクルできない光を、反射するためである。反射層(80)は、いくつかの態様では、白色レジストであってもよい。いくつかの他の態様では、反射層(80)は、複数の貫通開口部(81)を画定し、各個別の光源(20)は、各個別の光源からの光を透過することを可能にするために、対応する開口部(81)の中に配置され得る。
【0012】
各個別の光源(20)は、
図2に概略的に示されるように、約410nm~約470nmの範囲内の青色波長(31)で非偏光青色光(30)を発光するように構成されている。いくつかの実施形態では、青色波長(31)は、約430nm~約470nmの範囲内であり、例えば、約450nmである。
【0013】
いくつかの実施形態では、多層ポリマーの部分反射体(40)が、複数の個別の光源(20)上に配置されている。
図4において矢印を用いて示されるように、部分反射体(40)によって反射される複数の個別の光源(20)からの光は、反射層(80)で反射し、かつ、部分反射体(40)によって透過され得る。部分反射体(40)によって透過される出力光の光角度分布は、LEDの発光角度分布、反射層(80)の拡散反射率、並びに部分反射体(40)の透過特性及び反射特性の関数である。
【0014】
いくつかの態様では、多層ポリマーの部分反射体(40)は、面内屈折率nx、nyを有する交互になった材料のスタックからなり得る。部分反射体(40)は、左帯域端(LBE)のより低い波長と右帯域端(RBE)のより高い波長との間の軸方向入射光(0°)に対して高い反射率を有し得る。より高い角度で入射する光は、より低い波長に向かってシフトされる反射スペクトルを経験することになる。軸方向入射光の波長がRBE未満である場合、軸方向入射光は、通常、反射されることになる。波長がシフト後のRBEを上回る、幾分より高い入射角では、光は透過されることになる。多層ポリマーの部分反射体(40)及びその結果として生じる透過スペクトルを設計することによって、狭帯域の光源は、より高い入射角ではより高い透過率を経験する一方で、より低い入射角での光を反射することができ、それによって、光が横方向に広がり、空間的均一性を向上させる。
【0015】
図6にグラフで表されるように、いくつかの実施形態では、実質的に垂直な入射光(32)に対して(
図5に示す)、かつ互いに直交する第1の偏光状態(x軸)及び第2の偏光状態(y軸)の各々につて、部分反射体は、青色波長を含む反射帯域(41)、及び青色波長での約80%超の反射率を含む。部分反射体(40)は、実質的に垂直な入射光(32)に対して、かつ直交する第1の偏光状態(x軸)及び第2の偏光状態(y軸)の各々について、約370nm~約420nmの間にある左帯域端(42)と、約500nm~600nmの間にある右帯域端(43)とを含む。更に、部分反射体(40)は、実質的に垂直な入射光(32)に対して、及び直交する第1の偏光状態(x軸)及び第2の偏光状態(y軸)の各々について、右帯域端よりも大きい可視波長に対して、約20%~約80%の間にある平均透過率を含む。
図6に、様々な透過率曲線について、nm単位の右帯域端の波長が示されている。
【0016】
図7に示すように、いくつかの実施形態では、多層ポリマーの部分反射体(40)は、複数のポリマー層(44、45)を含んでもよい。ポリマー層(44、45)は、主に強め合う光学干渉又は弱め合う光学干渉によって光を反射又は透過し得る。例えば、ポリマー層(44、45)は、一部の光が隣接する層の間の境界面で反射されるように、異なる屈折率特徴を有してもよい。ポリマー層(44、45)は、複数の境界面で反射された光が強め合う干渉又は弱め合う干渉を受けて、多層ポリマーの部分反射体(40)に所望の反射特性又は透過特性を付与するように、十分に薄くすることができる。いくつかの実施形態では、ポリマー層は、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PETG)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、及びPEN/PETコポリマーのうちの1つ以上を含む。
【0017】
多層ポリマーの部分反射体(40)の反射特性及び透過特性は、それぞれのポリマー層(44、45)の屈折率の関数である。各層は、少なくとも局所化された位置においては、面内屈折率nx、nyによって特徴付けることができる。これらの屈折率は、互いに直交するx軸及びy軸に沿って偏光された光に対する対象材料の屈折率を、それぞれ表す。いくつかの態様では、複数のポリマー層は、交互になった第1のポリマー層(44)及び第2のポリマー層(45)を形成する。第1のポリマー層(44)は、実質的に等方性、すなわち、nx~nyであり得る。第2のポリマー層(45)は、実質的に複屈折性であり得、かつ、直交する方向に沿った面内屈折率nxとnyとの間の差は、約0.02超であり得、又はいくつか場合には、約0.05超であり得る。例えば、ポリマー層(44、45)は、交互になった複屈折PENの層と等方性PMMAの層を使用して設計され得る。交互になったPET層及びPMMA層など、高屈折率材料と低屈折率材料との他の組み合わせを使用してもよい。
【0018】
いくつかの態様では、複数のポリマー層(44、45)は、約50~約200個の、交互になった第1の層(44)と第2の層(45)との対を含んでもよい。波長範囲全体の層の対の数が少なくなると、狭帯域幅の光源の対応する入射角におけるより低い波長での透過率が高くなり得る。
【0019】
図1を参照すると、いくつかの実施形態では、バックライト(200)は、部分反射体(40)と複数の個別の光源(20)との間に配置された封入層(60)を含む。封入層(60)は、複数の個別の光源(20)を実質的に完全に封入する。いくつかの場合には、封入層(60)は、複数の個別の光源(20)を覆う光学的に透過性の誘電体コーティングであってもよい。いくつかの他の場合には、封入層は、光源(20)に適合する、接着剤の透明な層であってもよい。封入層(60)は、複数の個別の光源からの光結合を向上させ、物理的環境及び環境的影響から光源を保護する。いくつかの態様では、部分反射体(40)は、封入層(60)の上方に配置されてもよく、封入層(60)に付着されても、又は光学的に結合されても、あるいはされなくてもよい。他の態様では、部分反射体(40)と封入層(60)との間に空気間隙が実質的になくてもよい。
【0020】
封入層の屈折率は、照明の均一性を向上させるように調整することもできる。封入層の屈折率がより低いと、光源(20)からの光がより高い角度で屈折することが可能になり、横方向の広がりが促進される。封入層の屈折率は、約1.3~1.7、又は約1.4~1.65であり得る。
【0021】
照明の性能を向上させるために、追加の光学素子及びこれらの素子を取り付けるための手段が、部分反射体(40)の上方に配置されてもよい。そのような構成要素としては、拡散体及びプリズムフィルムが挙げられ得るが、これらに限定されない。例えば、青色LEDが回路基板(70)上で使用される場合、
図9に示されるように、ダウンコンバージョン層(85)が追加されてもよい。ダウンコンバージョン層は、青色光の一部をより高い波長(赤色及び緑色)に変換して、バックライト構成からの白色照明を達成する。ダウンコンバージョン層は、LEDからの青色励起光を拡散させるためのバルク散乱材料を含み得る。青色の拡散はまた、ある特定の出力角度の部分反射体(40)からの光を抽出するのにも役立つ。ダウンコンバージョン層(85)の材料は、青色光の一部分を赤色及び緑色に変換して、白色に近い出力を達成するように選択され得る。そのような材料の例としては、赤色及び緑色の蛍光体又は量子ドットがあり得る。青色を拡散させる材料としては、ダウンコンバージョン層の中の、又はダウンコンバージョン層(85)と部分反射体(40)とを接合する接着剤の中の、TiO2ナノ粒子を挙げることができる。
【0022】
部分反射体(40)は、低い角度又は中程度の角度(例えば、40度未満)で入射する青色光を反射して、励起光源を空間的に拡張する一方で、ダウンコンバージョン層(85)に向かって、その光をより高い角度で透過する。また、部分反射体(40)は、ダウンコンバージョン層(85)内における青色光の部分的変換によって生成された緑色光及び赤色光を観察者に向けて反射する。部分反射体(40)の後者の目的のために、RBEは、少なくとも緑色帯波長を超え、何らかの場合には、赤色帯波長も超えることがある。これら2つの効果は、
図9において矢印を用いて示されており、それらは、1)光を広げるために低角度範囲にわたる青色光を反射し、青色を高角度で透過すること、及び、2)ダウンコンバージョン層(85)からの赤色及び緑色をリサイクルすることと特定される。次いで、RBEの選択が、均一性とこれらの効果の各々を含む全体的な光学効率との間のトレードオフによって決定され得る。
【0023】
高い入射角の光を優先的に透過する部分反射体(40)は、光が部分反射体(40)と反射層(80)との間を伝播するにつれて、光の幅広い空間的広がりをもたらす。いくつかの実施形態では、
図7に概略的に示されるように、多層ポリマーの部分反射体(40)は、光学拡散構造化主表面(46)を含む。例えば、光学拡散構造化主表面(46)は、部分反射体(40)の上面に拡散コーティングとして形成され得る。より高い拡散は、より高い照明の均一性にもつながり得る。拡散につながる構造化主表面(46)の表面粗さは、例えば、その表面角度分布のガウス幅sによって測定することができ、ここで、sは、5度、又は10度、又は20度、又は30度、又は40度であり得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、バックライトは、部分反射体(40)上に配置された反射偏光子(50)を含む。反射偏光子(50)は、第1の波長範囲において、直交する第1の偏光状態及び第2の偏光状態のうちの一方(例えば、電界がx軸に沿った第1の偏光状態)を有する光を実質的に反射し、第1の偏光状態及び第2の偏光状態のうちの他方(例えば、電界がy軸に沿った第2の偏光状態)を有する光を実質的に透過する。いくつかの実施形態では、青色波長(31)を有する実質的に垂直な入射光に対して、青色波長(31)において第1の偏光状態を有する入射光の少なくとも60%が偏光子(50)によって反射される場合、反射偏光子(50)は、青色波長において第1の偏光状態を有する光を実質的に反射すると言うことができる。いくつかの実施形態では、青色波長において第1の偏光状態を有する入射光の少なくとも70%、又は少なくとも80%が、偏光子(50)によって反射される。いくつかの実施形態では、青色波長を有する実質的に垂直な入射光に対して、青色波長において第2の偏光状態を有する入射光の少なくとも60%が反射偏光子(50)から透過される場合、反射偏光子(50)は、青色波長(31)において第2の偏光状態を有する光を実質的に透過すると言うことができる。いくつかの実施形態では、青色波長において第2の偏光状態を有する入射光の少なくとも70%、又は少なくとも80%が、偏光子(50)から透過される。
【0025】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの赤色波長(33)について、多層ポリマーの部分反射体は、第1の偏光状態を有する実質的に垂直な入射光(32)の少なくとも30%を透過し得、反射偏光子は、第1の偏光状態を有する実質的に垂直な入射光(32)の少なくとも60%を反射し得る。いくつかの態様では、多層ポリマーの部分反射体は、入射光の少なくとも約40%~少なくとも約50%を透過し得、反射偏光子は、入射光の少なくとも約70%~少なくとも約80%を反射し得る。
【0026】
本明細書の光学システムに使用される反射偏光子(50)は、任意の好適なタイプの反射偏光子であってもよい。他の箇所で更に説明するとおり、反射偏光子は、実質的に一軸配向であり得るポリマー多層光学フィルムであってもよい。実質的に一軸配向された反射偏光子は、3M Companyから商品名Advanced Polarizing Film5又はAPFで入手可能である。他のタイプの多層光学フィルムの反射偏光子(例えば、3M Companyから入手可能なDual Brightness Enhancement Film又はDBEF)を使用することもでき、これらの反射偏光子は、1つの面内軸に沿った成分で偏光された光に対して低い反射率を有し、第2の、直交する面内軸に沿った成分で偏光された光に対して高い反射率を有する。いくつかの実施形態では、他のタイプの反射偏光子(例えば、ワイヤグリッド偏光子)が使用される。
【0027】
いくつかの他の実施形態では、
図1を参照すると、光学拡散層(100)は、多層ポリマーの部分反射体(40)によって透過される光を拡散させるために、多層ポリマーの部分反射体(40)と反射偏光子(50)との間に配置され得る。光学拡散層(100)は、出力光角度分布を更に調整するために光の抽出を促進してもよく、更に均一な広がりのために光を部分反射体(40)内に部分的に反射して戻してもよい。
【0028】
いくつかの態様では、ダウンコンバージョン層(85)に衝突する青色光について同様の光角度分布を達成するために、光学素子を部分反射体(40)の上方に追加して、高い角度の光を軸方向に向かって方向転換し、続いて広範な光角度分布を達成するように拡散させてもよい。そのような光学素子としては、上面拡散体、交差線状プリズムフィルム、又はクリアピラミッド又は円錐などのプリズム構造体のアレイを有する転向フィルムが挙げられる。いくつかの実施形態では、プリズム層(90)は、多層ポリマーの部分反射体(40)と反射偏光子(50)との間に配置されてもよい。
図8に示すように、プリズム層(90)は、規則的に配置されたプリズム(91)のアレイを含み得る。各プリズム(91)は、頂上(93)で交差する複数の側面(92)を含む。いくつかの態様では、各プリズム(91)は、4つの等しい側面(92)を有する。いくつかの実施形態では、
図1に最もよく見られるように、頂上(93)は、部分反射体(40)に面している。プリズムの側面(92)は、いくつかの態様では、角度の広がりを向上させるために湾曲していてもよい。
【0029】
他のタイプのプリズムフィルムとしては、ピラミッド状構造体、円錐、部分球(ビーズコーティング)、又はそのような構造体の逆のアレイが挙げられる。構造体は、個別の光源(20)のアレイに対して向くように又は背くように面することができる。別の実施形態では、部分反射体(40)は、拡散材料でコーティングされてもよく、プリズム層(90)は、プリズム構造体が個別の光源(20)のアレイに面した状態で、そのコーティングの上方に、取り付けられない状態で配置されてもよい。拡散材料は、部分反射体(40)から光を抽出し、一方でプリズム層は、角度分布を方向転換し、部分反射体(40)からの出力を再画像化して、均一性を向上させる。最大の輝度及び良好な均一性を提供する画像及びコノスコープ出力が、プリズムの頂角の関数としてシミュレートされ得る。頂角は、良好な均一性及び出力角度分布のために、約50°~80°であり得る。以下に例示的実施形態を示す。
[項目1]
個別の光源の行及び列のアレイを形成する複数の個別の光源であって、各個別の光源は、約410nm~約470nmの範囲内の青色波長で非偏光青色光を発するように構成されている、複数の個別の光源と、
前記複数の個別の光源上に配置された多層ポリマーの部分反射体であって、実質的に垂直な入射光に対して、かつ直交する第1の偏光状態及び第2の偏光状態の各々について、前記部分反射体は、
前記青色波長を含む反射帯域と、
前記青色波長での約80%超の反射率と、
約370nm~約420nmの間にある左帯域端と、
約500nm~600nmの間にある右帯域端と、
前記右帯域端よりも大きい可視波長に対して、約20%~約80%の間にある平均透過率と、を有する、多層ポリマーの部分反射体と、
前記部分反射体上に配置された反射偏光子であって、前記青色波長を有する実質的に垂直な入射光に対して、前記第1の偏光状態を有する前記入射光の少なくとも60%を反射し、前記第2の偏光状態を有する前記入射光の少なくとも60%を透過する、反射偏光子と、
を備える、ディスプレイパネルに均一な照明を提供するためのバックライト。
[項目2]
前記青色波長は、約430nm~約470nmの範囲内である、項目1に記載のバックライト。
[項目3]
前記多層ポリマーの部分反射体は、主に強め合う光学干渉又は弱め合う光学干渉によって光を反射又は透過する複数のポリマー層を含む、項目1に記載のバックライト。
[項目4]
前記複数のポリマー層は、交互になった第1のポリマー層及び第2のポリマー層を形成し、前記第1のポリマー層は、実質的に等方性であり、前記第2のポリマー層は、実質的に複屈折性であり、かつ、直交する方向に沿った面内屈折率nx及びnyを有し、nxとnyとの差が、約0.02超である、項目3に記載のバックライト。
[項目5]
前記多層ポリマーの部分反射体は、光学拡散構造化主表面を含む、項目1に記載のバックライト。
[項目6]
前記部分反射体と前記複数の個別の光源との間に配置されており、かつ、前記複数の個別の光源を実質的に完全に封入する、封入層を更に備え、前記部分反射体と前記封入層との間に空気間隙が実質的にない、項目1に記載のバックライト。
[項目7]
前記複数の個別の光源は、回路基板上に配置され、前記回路基板は、前記個別の光源の発光を励起及び制御するための、前記個別の光源に接続された複数の導電性トレースを含む、項目1に記載のバックライト。
[項目8]
前記青色波長での少なくとも60%の反射率を有し、かつ、内部に複数の貫通開口部を画定する、反射層を更に備え、各個別の光源は、対応する貫通開口部の中に配置されている、項目1に記載のバックライト。
[項目9]
前記第1の偏光状態を有する実質的に垂直な入射光に対して、かつ少なくとも1つの赤色波長について、前記多層ポリマーの部分反射体は、前記入射光の少なくとも30%を透過し、前記反射偏光子は、前記入射光の少なくとも60%を反射する、項目1に記載のバックライト。
[項目10]
前記多層ポリマーの部分反射体と前記反射偏光子との間に配置されたプリズム層を更に備え、前記プリズム層は、規則的に配置されたプリズムのアレイを含み、各プリズムは、頂上で交差する複数の側面を含み、前記頂上は、前記部分反射体に面しており、各プリズムは、4つの等しい側面を含む、項目1に記載のバックライト。