(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-12
(45)【発行日】2024-09-24
(54)【発明の名称】膜ベースのピストンポンプおよび膜ベースのピストンポンプを含む均質化装置
(51)【国際特許分類】
F04B 43/06 20060101AFI20240913BHJP
【FI】
F04B43/06 A
(21)【出願番号】P 2022541296
(86)(22)【出願日】2022-02-21
(86)【国際出願番号】 IB2022051520
(87)【国際公開番号】W WO2023007251
(87)【国際公開日】2023-02-02
【審査請求日】2023-04-05
(32)【優先日】2021-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515165030
【氏名又は名称】ジーイーエー メカニカル イクイプメント イタリア エス.ピー.エー.
【氏名又は名称原語表記】GEA MECHANICAL EQUIPMENT ITALIA S.P.A..
【住所又は居所原語表記】Via Angelo Maria da Erba Edoari, 29,I-43123 Parma,Italy
(74)【代理人】
【識別番号】100159905
【氏名又は名称】宮垣 丈晴
(74)【代理人】
【識別番号】100198650
【氏名又は名称】小出 宗一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100142882
【氏名又は名称】合路 裕介
(74)【代理人】
【氏名又は名称】吉田 新吾
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】フォンタネージ,フィリッポ
(72)【発明者】
【氏名】フォレッザーニ,マッテオ
(72)【発明者】
【氏名】ベナッシ,マッシミリアーノ
【審査官】森 秀太
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-518740(JP,A)
【文献】実開平04-071781(JP,U)
【文献】実開昭56-4695(JP,U)
【文献】実開昭60-55786(JP,U)
【文献】特開2004-360667(JP,A)
【文献】特表2016-502026(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 43/06
F04B 49/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
均質化装置(100)で使用するための膜ベースのピストンポンプ(1)であって、
流体製品(P1)の製品側を作動流体(P2)の作動流体側から分離する膜部(2)と、
前記作動流体(P2)と連動して作動する往復ピストン(3)と、
前記作動流体側と前記作動流体(P2)を収容するタンク(10)との間における流体の選択的な連絡を確立するように構成された弁部(4)とを備え、
前記弁部(4)は、
前記ピストンポンプ(1)の作動状態において、所定の第1閾値を超える圧力の前記作動流体(P2)を前記作動流体側から前記タンク(10)に向かって排出し、前記作動流体側の圧力が所定の第2閾値を下回ったことに応答して、前記作動流体(P2)を前記タンク(10)から前記作動流体側に引き込むように構成された第1弁装置(5、6)と、
前記ピストンポンプ(1)の少なくとも1つの非作動状態において、前記作動流体側から前記タンク(10)に向かって
、前記第1閾値及び前記第2閾値よりも低い所定の第3閾値を超える圧力の前記作動流体(P2)を排出するように構成された第2弁装置(7、8)と
を有する、
膜ベースのピストンポンプ(1)。
【請求項2】
前記非作動状態は、
保守状態である、
請求項1に記載の膜ベースのピストンポンプ(1)。
【請求項3】
前記非作動状態は、
洗浄状態である、
請求項1に記載の膜ベースのピストンポンプ(1)。
【請求項4】
前記所定の第1閾値
及び前記所定の第2閾値は、
50バール
以上450バール
以下であり、
前記所定の第3閾値は、
5バール
以上50バール
未満である、
前述の請求項のいずれかに記載の膜ベースのピストンポンプ(1)。
【請求項5】
前記第1弁装置(5、6)は、
第1過圧弁(5)およびキャビテーション防止弁(6)を含む、
前述の請求項のいずれかに記載の膜ベースのピストンポンプ(1)。
【請求項6】
前記ピストンポンプ(1)の作動状態において、前記第1過圧弁(5)は、
前記作動流体側から前記タンク(10)に向かって前記作動流体(P2)を排出するために、前記所定の第1閾値を超える圧力の前記作動流体(P2)に応答する開位置と、
前記所定の第1閾値を下回る圧力の前記作動流体(P2)に応答する閉位置と
の間に設定可能である、
請求項5に記載の膜ベースのピストンポンプ(1)。
【請求項7】
前記ピストンポンプ(1)の作動状態において、前記キャビテーション防止弁(6)は、
前記作動流体側の前記作動流体(P2)が前記所定の第2閾値を下回ったことに応答する開位置と、
前記作動流体側の前記作動流体(P2)が前記所定の第2閾値を超えたことに応答する閉位置と
の間に設定可能である、
請求項5または6に記載の膜ベースのピストンポンプ(1)。
【請求項8】
前記第2弁装置(7、8)は、少なくとも1つの前記ピストンポンプ(1)の前記非作動状態において、
前記作動流体側から前記タンク(10)に向かって前記作動流体(P2)を排出するために、前記所定の第3閾値を超える圧力の前記作動流体(P2)に応答する開位置と、
前記所定の第3閾値を下回る圧力の前記作動流体(P2)に応答する閉位置と
の間に設定可能である第2過圧弁(7)を有する、
前述の請求項のいずれかに記載の膜ベースのピストンポンプ(1)。
【請求項9】
前記第2弁装置(7、8)は、
前記ピストンポンプ(1)の作動状態において、前記作動流体側から前記タンク(10)に向かう前記作動流体(P2)の流れを防止する逆止弁(8)と、
前記タンク(10)と前記逆止弁(8)との間に挿入される前記第2過圧弁(7)と
を有する、
請求項8に記載の膜ベースのピストンポンプ(1)。
【請求項10】
前記膜部(2)および前記流体製品(P1)のための製品チャンバ(11)を収容し、前記製品側で得られる膜収容体(9)と、
前記作動流体(P2)のための流体チャンバ(13)を収容し、前記ピストン(3)が部分的に収容されスライド可能に取り付けられたポンプ収容体(12)と、
前記膜収容体(9)と前記ポンプ収容体(12)との間に挿入され、前記膜収容体(9)の水圧側に配置される第1端部(14a)と前記流体チャンバ(13)に配置された第2端部(14b)とを有し、前記流体チャンバ(13)と前記タンク(10)との間および/または前記タンク(10)の間における流体の選択的な連絡を確立するように構成されるパイプ(14)と
をさらに備える、
前述の請求項のいずれか1項に記載の膜ベースのピストンポンプ(1)。
【請求項11】
前記膜部(2)を収容する単一の収容体と、
前記製品側で得られる前記流体製品(P1)のための製品チャンバ(11)と、
前記作動流体側で得られる前記作動流体(P2)のための流体チャンバ(13)と、
前記流体チャンバ(13)に部分的に収容され、その中にスライド可能に取り付けられたピストン(3)と
をさらに備える、
請求項1から9のいずれか1項に記載の膜ベースのピストンポンプ(1)。
【請求項12】
前記第1弁装置(5、6)および前記第2弁装置(7、8)の両方を収容する弁収容体(15)をさらに備える、
前述の請求項のいずれかに記載の膜ベースのピストンポンプ(1)。
【請求項13】
前記第1弁装置(5、6)を収容する第1弁収容体と、
前記第2弁装置(7、8)を収容する第2弁収容体と
をさらに備える、
請求項1から11のいずれか1項に記載の膜ベースのピストンポンプ(1)。
【請求項14】
前述の請求項のいずれか1項に記載の複数の膜ベースのピストンポンプ(1)と、
前記膜ベースのピストンポンプ(1)の下流に配置された均質化弁と、
前記膜ベースのピストンポンプ(1)の前記ピストン(3)を往復運動させるように構成された作動手段と
を備える、
均質化装置(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膜ベースのピストンポンプと、膜ベースのピストンポンプを含む均質化装置に関する。
【0002】
ここで提案された発明は、食品産業、特に乳製品部門で使用される。本発明はまた、化学、製薬または化粧品産業で使用することができる。
【0003】
様々な、現在知られている実施形態において、均質化装置は、高圧ポンプおよび均質化弁を含み、これらは、粒子を含む流体生成物に作用して、以下を行う。
-粒子を粉砕して寸法を均一にし、製品を安定させ、乳状液(エマルジョン、emulsions)の場合はその貯蔵寿命を延ばすために、平均サイズと分布の分散を減らす。
-医薬品用途の場合、有効成分の抽出を容易にするために細胞膜を破壊する。
-化学用途やセルロースの場合は、粒子の構造を変更する。
【0004】
この文脈では、ポンプシステムが注目されている。
【背景技術】
【0005】
(汚染された)外部環境に対する流体自体の分離を確実にするため、パルス力(pulsing force)を流体に伝達して均質化する可撓性部材(正確には「膜」または「ダイヤフラム」)を用いた膜(またはダイヤフラム)ポンプの使用が知られている。
【0006】
たとえば、特許文献1(米国特許出願公開第2012/0011998号明細書)は、可撓性部材が、均質化する流体の閉じ込めチャンバと、ピストンが収容されオイルを含んだ流体チャンバとの間のセパレーター要素として機能する膜ポンプを開示している。
【0007】
既知の解決策では、50バールに達する圧力の洗浄液でシステムを洗浄する際の、膜の損傷が問題となる可能性がある。これは、膜の急速な摩耗や破損にさえつながる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これに関連して、本発明の基礎となる技術的課題は、膜ベースのピストンポンプおよび膜ベースのピストンポンプを含む均質化装置を提案することであり、これは、先行技術の上記の欠点を克服する。
【0009】
特に、本発明の目的は、洗浄または保守操作中にも膜の完全性が維持される膜ベースのピストンポンプを提案することである。
【0010】
本発明の別の目的は、コンパクトでモジュール式である膜ベースのピストンポンプおよび膜ベースのピストンポンプを含む均質化装置を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
記載された技術的課題および特定の目的は、均質化装置で使用するための膜ベースのピストンポンプによって実質的に達成される。この膜ベースのピストンポンプは、
流体製品の製品側を作動流体の作動流体側から分離する膜部と、
作動流体と連動して作動する往復ピストンと、
作動流体側と作動流体を収容するタンクとの間で流体の選択的な連絡を確立するように構成された弁部とを備える。
【0012】
ここで、弁部は、
ピストンポンプの作動状態において、所定の第1閾値を超える圧力の作動流体を作動流体側からタンクに向かって排出し、作動流体側の圧力が所定の第2閾値を下回ったことに応答して、作動流体をタンクから作動流体側に引き込むように構成された第1弁装置と、
ピストンポンプの少なくとも1つの非作動状態において、作動流体側からタンクに向かって圧力が所定の第3閾値を超える圧力の作動流体を排出するように構成された第2弁装置とを有する。
【0013】
本発明の一態様によれば、非作動状態は、保守状態である。
【0014】
本発明の一態様によれば、非作動状態は、洗浄状態である。
【0015】
本発明の一態様によれば、所定の第1閾値は、50バールから450バールの間に含まれ、所定の第3閾値は5バールから50バールの間に含まれる。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、第1弁装置は、第1過圧弁およびキャビテーション防止弁を含む。
【0017】
特に、ピストンポンプの作動状態において、第1過圧弁は、
作動流体側からタンクに向かって作動流体を排出するために、所定の第1閾値を超える圧力の作動流体に応答する開位置と、
所定の第1閾値を下回る圧力の作動流体に応答する閉位置との間に設定可能である。
【0018】
ピストンポンプの作動状態において、キャビテーション防止弁は、
作動流体側の作動流体が所定の第2閾値を下回ったことに応答する開位置と、
作動流体側の作動流体が所定の第2閾値を超えたことに応答する閉位置との間に設定可能である。
【0019】
一実施形態によれば、第2弁装置は、ピストンポンプの非作動状態において、
作動流体側からタンクに向かって作動流体を排出するために、所定の第3閾値を超える圧力の作動流体に応答する開位置と、
所定の第3閾値を下回る圧力の作動流体に応答する閉位置と、
の間に設定可能である第2過圧弁を有する。
【0020】
好ましくは、第2弁装置は、ピストンポンプの作動状態において、作動流体側からタンクに向かう作動流体の流れを防止するように構成される逆止弁を含む。
【0021】
第2過圧弁は、タンクと逆止弁との間に挿入される。
【0022】
一実施形態によれば、膜ベースのピストンポンプはさらに、
膜部および流体製品のための製品チャンバを収容し、製品側で得られる膜収容体と、
作動流体のための流体チャンバを収容し、ピストンが部分的に収容されスライド可能に取り付けられたポンプ収容体と、
膜収容体とポンプ収容体との間に挿入され、膜収容体の水圧側に配置される第1端部と流体チャンバに配置された第2端部とを有し、流体チャンバとタンクとの間および/またはタンクの間における流体の選択的な連絡を確立するように構成されるパイプとをさらに備える。
【0023】
一実施形態によれば、膜ベースのピストンポンプはさらに、
膜部を収容する単一の収容体と、製品側で得られる流体製品のための製品チャンバと、作動流体側で得られる作動流体のための流体チャンバと、流体チャンバに部分的に収容され、その中にスライド可能に取り付けられたピストンとをさらに備える。
【0024】
一実施形態によれば、膜ベースのピストンポンプは、第1弁装置および第2弁装置の両方を収容する弁収容体をさらに備える。
【0025】
一実施形態によれば、膜ベースのピストンポンプは、第1弁装置を収容する第1弁収容体と、第2弁装置を収容する第2弁収容体とをさらに備える。
【0026】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図に示されるように、膜ベースのピストンポンプおよび膜ベースのピストンポンプを含む均質化装置の好ましいが排他的ではない実施形態の非限定的な説明からより完全に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明に係る膜ベースのピストンポンプの流体回路を示す。
【
図2】
図1の膜ベースのピストンポンプの断面とそのコンポーネントの分布を示す。
【
図3】膜ベースのピストンポンプの一部(弁収容体)を示す。
【
図6】
図5の均質化装置の膜ベースのピストンポンプを示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図を参照すると、番号1は、以下の開示において略して「ピストンポンプ」とも呼ばれる膜ベースのピストンポンプ1を示す。
【0029】
ピストンポンプ1は、流体製品P1の製品側を作動流体P2(すなわち、油)の作動流体側から分離する膜部2(membrane means 2)を備える。
【0030】
本発明の一態様によれば、膜部2は単層である。
【0031】
本発明の別の態様によれば、膜部2は、サービス流体を収容する中間チャンバを規定するように相互に間隔を置いて配置された2つの層を含む。
【0032】
膜部の層は、好ましくは、ポリマー材料、すなわち、PTFEによって作られる。
【0033】
ピストンポンプ1は、作動流体P2と連動して作動する往復ピストン3をさらに備える。
【0034】
ピストンポンプ1はまた、作動流体側と作動流体P2を収容するタンク10との間における流体の選択的な連絡を確立するように構成された弁部4を備える。
【0035】
ピストンポンプ1は、以下で説明するように、作動状態および少なくとも非作動状態となるように操作される。
【0036】
弁部4は、ピストンポンプ1の作動状態において、作動流体側からタンク10に向かって所定の第1閾値を超える圧力の作動流体P2を排出し、作動流体側4の圧力が所定の第2閾値を下回ったことに応答して、作動流体P2をタンク10から作動流体側に引き込むように構成された第1弁装置5、6を備える。
【0037】
本発明の一態様によれば、所定の第1閾値は、製品側の(均質化される)流体製品の圧力を相殺するために、50バールと450バールとの間に含まれる。
【0038】
一実施形態によれば、第2閾値は、第1閾値と一致する。
【0039】
弁部4はまた、ピストンポンプ1の少なくとも1つの非作動状態において、作動流体側4からタンク10に向かって所定の第3閾値を超える圧力の作動流体P2を排出するように構成される第2弁装置7、8を備える。
【0040】
本発明の一態様によれば、所定の第3閾値は、5バールから50バールの間に含まれる。
【0041】
第1弁装置5、6は、第1過圧弁5およびキャビテーション防止弁6を含む。
【0042】
ピストンポンプ1の作動状態において、第1過圧弁5は、
作動流体P2を作動流体側からタンク10に向かって排出するために、所定の第1閾値を超える圧力の作動流体P2に応答する開位置と、
所定の第1閾値未満の圧力の作動流体P2に応答する閉位置と
の間に設定可能である。
【0043】
ピストンポンプ1の作動状態において、キャビテーション防止弁6は、
作動流体側の作動流体P2が所定の第2閾値を下回ったことに応答する開位置と、
作動流体側の作動流体P2が所定の第2閾値を超えたことに応じた閉位置と
の間に設定可能である。
【0044】
特に、作動状態の間、第1過圧弁5およびキャビテーション防止弁6は、一方のみが開くことができるように、すなわち、両方を同時に開くことができないように制御される。
【0045】
ピストンポンプ1の非作動状態において、作動流体側の圧力が第2閾値よりも低く、第3閾値よりも低いため、第1過圧弁5およびキャビテーション防止弁6は閉位置に設定可能である。
【0046】
第2弁装置7、8は、第2過圧弁7および逆止弁8を含む。
【0047】
第2過圧弁7は、タンク10と逆止弁8との間に挿入されている。
【0048】
ピストンポンプ1が作動していない状態において、第2過圧弁7は、
作動流体P2を作動流体側からタンク10に向かって排出するために、所定の第3閾値を超える圧力の作動流体P2に応答する開位置と、
所定の第3閾値未満の圧力の作動流体P2に応答する閉位置と
の間に設定可能である。
【0049】
ピストンポンプ1の作動状態において、逆止弁8は、作動流体側からタンク10への作動流体P2の流れを防止するように構成される。
【0050】
図2の実施形態によれば、ピストンポンプ1は、膜収容体9およびポンプ収容体12を含む。
【0051】
膜収容体9は、膜部2および流体製品P1のための製品チャンバ11を収容する。製品チャンバ11は製品側で得られる。
【0052】
ポンプ収容体12は、作動流体P2用の流体チャンバ13を収容している。
【0053】
ピストン3は、流体チャンバ13に部分的に収容され、その中にスライド可能に取り付けられている。
【0054】
膜収容体9とポンプ収容体12は、パイプ14によって接続されている。
【0055】
パイプ14は、膜収容体9の作動流体側に配置された第1端部14aと、流体チャンバ13に配置された第2端部14bとを有する。
【0056】
弁部4は、流体チャンバ13とタンク10との間、および/またはパイプ14とタンク10との間における流体の選択的な連絡を確立するように構成される。
【0057】
この実施形態では、膜収容体9は、ポンプ収容体12に遠隔接続されている。
【0058】
別の実施形態(図示せず)によれば、ピストンポンプ1は、膜部2を収容する単一の収容体、製品側で得られる流体製品P1のための製品チャンバ11、および作動流体側で得られる作動流体P2のための流体チャンバ13を備える。
【0059】
ピストン3は、流体チャンバ13に部分的に収容され、その中にスライド可能に取り付けられている。
【0060】
ピストンポンプ1は、ピストンポンプ1の動作を開始する前に、タンク10と流体チャンバ13との間における流体の選択的な連絡を可能にするように構成されたさらなる弁18を備える。
【0061】
この弁18は、逆止弁または手動弁または制御手段を介して操作されるゲート弁であり得る。
【0062】
図3および4に示される実施形態によれば、ピストンポンプ1は、第1弁装置5、6および第2弁装置7、8の両方を収容する弁収容体15を備える。
【0063】
特に、第1過圧弁5およびキャビテーション防止弁6は、タンク10から流体チャンバ13(またはパイプ14)まで延びる第1チャネル16に沿って配置されている。
【0064】
逆止弁8は、タンク10と流体チャンバ13(またはパイプ14)との間の連絡を確立するために、第2チャネル17に沿って配置されている。第2チャネル17は、第1チャネル16とは異なる(分離されている)。
【0065】
別の実施形態(図示せず)によれば、ピストンポンプ1は、第1弁装置5、6を収容する第1弁収容体と、第2弁装置7、8を収容する第2弁収容体とを備える。したがって、第1弁収容体および第2弁収容体は、近接して取り付けられ得る、すなわち一緒に収容され得る別の構造物である。
【0066】
本発明に係る膜ベースのピストンポンプの機能を以下に説明する。
【0067】
ピストンポンプ1が作動状態にあると、製品チャンバ11は均質化される流体製品P1で満たされる。
【0068】
ピストンポンプ1の作動状態の間、第1過圧弁5は、流体チャンバ(またはパイプ4)内の作動流体P2の圧力値に応じて、開位置または閉位置のいずれかに設定可能である。
【0069】
特に、作動流体P2の圧力値が所定の第1閾値を下回るまで、第1過圧弁5は介入しない。このことは、第1過圧弁5が閉位置に維持されることを意味する。
【0070】
流体チャンバ13(またはパイプ4)内の作動流体P2の圧力値が所定の第1閾値を超えるとすぐに、第1過圧弁5は、流体チャンバ13(またはパイプ14)とタンク10との流体の流通を確立するために開位置に移動する。これにより、流体チャンバ13(またはパイプ14)からタンク10に向かって作動流体P2の排出が可能となる。
【0071】
特に、流体チャンバ13内の作動流体P2の圧力値が第1閾値を下回るまで、所定量の作動流体P2が流体チャンバ13(またはパイプ14)4からタンク10まで第1チャネル16によって排出される。
【0072】
ピストンポンプ1の作動状態の間、キャビテーション防止弁6は、流体チャンバ13(またはパイプ14)内の作動流体P2の圧力値に応じて、開位置または閉位置のいずれかに設定可能である。
【0073】
特に、流体チャンバ13(またはパイプ14)内の作動流体P2の圧力値が所定の第2閾値を超えるまで、キャビテーション防止弁6は介入しない。このことは、キャビテーション防止弁6が閉位置に維持されることを意味する。
【0074】
流体チャンバ13(またはパイプ14)内の作動流体P2の圧力値が所定の第2閾値を下回るとすぐに、キャビテーション防止弁6は、流体チャンバ13(またはパイプ14)とタンク10との流体の流通を確立するために開位置に移動する。これにより、より多くの作動流体P2をタンク10から流体チャンバ13(またはパイプ14)に引き込むことが可能となる。
【0075】
特に、流体チャンバ13(またはパイプ14)内の作動流体P2の圧力値が第2閾値に達するまで、所定量の作動流体P2がタンク10から流体チャンバ13に第1チャネル16によって充填される。たとえば、漏れが発生した場合、所定の第2閾値を下回る圧力弁の低下が発生する可能性がある。
【0076】
ピストンポンプ1が作動状態にあるとき、逆止弁8が閉じられ、第2チャネル17に沿った流体チャンバ13とタンク10との流通が遮断される。
【0077】
したがって、第2過圧弁7は介入しない。このことは、第2過圧弁7が閉位置に維持されることを意味する。
【0078】
ピストンポンプ1を洗浄する必要がある場合、ピストンポンプ1は非作動状態(例えば、洗浄状態)で作動している。
【0079】
ピストンポンプ1は、CIPサイクルの間、洗浄状態にあり、製品チャンバ11は、洗浄液で満たされている。
【0080】
本発明の別の実施形態によれば、非作動状態は、保守状態である。ピストンポンプ1が非作動状態にあるとき、第1過圧弁5およびキャビテーション防止弁6は閉位置に設定される。
【0081】
第2チャネル17では、逆止弁8が開いており、このことは、逆止弁8が流体チャンバ13とタンク10との間の流体連絡を可能にすることを意味する。
【0082】
第2過圧弁7は、流体チャンバ13(またはパイプ14)内の作動流体P2の圧力値に応じて、開位置または閉位置のいずれかに設定可能である。
【0083】
特に、流体チャンバ13(またはパイプ14)内の作動流体P2の圧力値が所定の第3閾値を下回るまで、第2過圧弁7は閉位置のままである。
【0084】
流体チャンバ13(またはパイプ14)内の作動流体P2の圧力値が所定の第3閾値を超えるとすぐに、第2過圧弁7は、流体チャンバ13(またはパイプ14)とタンク10との間の流通を確立するために開位置に移動する。これにより、流体チャンバ13(またはパイプ14)からタンク10に向かう作動流体P2の排出が可能となる。
【0085】
特に、流体チャンバ13(またはパイプ4)内の作動流体P2の圧力値が所定の第3閾値を下回るまで、所定量の作動流体P2は、第2チャネル17によって流体チャンバ13から(またはパイプ14から)タンク10に排出される。
【0086】
非作動状態が洗浄状態である場合、第2過圧弁7は、製品チャンバ11(15バールから50バールとのの間に構成される)内の洗浄液の圧力を相殺するように作動する。
【0087】
図5には、均質化装置100が示されている。均質化装置100は、
複数の膜ベースのピストンポンプ1(上記のとおり)と、
膜ベースのピストンポンプの下流に配置された均質化弁と、
膜ベースのピストンポンプ1のピストン3を往復運動させるように構成された作動手段とを備える。
【0088】
図6から分かるように、複数の膜ベースのピストンポンプ1は、互いに隣り合って配置され、対応するパイプ14が束を形成している。
【0089】
本発明に係る、膜ベースのピストンポンプおよび膜ベースのピストンポンプを含む均質化装置の特徴および利点は、利点と同様に明らかである。
【0090】
製品側の洗浄液の圧力を相殺するために作動流体側から作動流体を排出することを可能にする第2弁装置の存在のおかげで、膜へのストレスは、洗浄または保守作業中に制御下に維持される。
【0091】
特に、膜部の破壊または損傷(これにより装置を停止し膜部を交換する必要がある)の可能性がある圧力の値に到達することが回避される。
【0092】
さらに、弁構成を同じ弁収容体に収容できるため、ピストンポンプはコンパクトである。
【0093】
これはまた、コンパクトでモジュール式の均質化装置をもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0094】
【文献】米国特許出願公開第2012/0011998号明細書