(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-12
(45)【発行日】2024-09-24
(54)【発明の名称】縦型電界効果トランジスタ、それを製造するための方法、および縦型電界効果トランジスタを有するデバイス
(51)【国際特許分類】
H01L 21/338 20060101AFI20240913BHJP
H01L 29/812 20060101ALI20240913BHJP
H01L 21/337 20060101ALI20240913BHJP
H01L 29/808 20060101ALI20240913BHJP
H01L 29/778 20060101ALI20240913BHJP
H01L 29/41 20060101ALI20240913BHJP
H01L 29/47 20060101ALI20240913BHJP
H01L 29/872 20060101ALI20240913BHJP
H01L 21/28 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
H01L29/80 E
H01L29/80 V
H01L29/80 H
H01L29/80 L
H01L29/80 C
H01L29/44 L
H01L29/44 S
H01L29/48 D
H01L21/28 301A
(21)【出願番号】P 2022549447
(86)(22)【出願日】2021-02-15
(86)【国際出願番号】 EP2021053597
(87)【国際公開番号】W WO2021165184
(87)【国際公開日】2021-08-26
【審査請求日】2022-09-21
(31)【優先権主張番号】102020202034.5
(32)【優先日】2020-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】フーバー,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】バリングハウス,イェンス
【審査官】戸川 匠
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/147541(WO,A1)
【文献】特開2019-047122(JP,A)
【文献】国際公開第2011/013500(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/138505(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/28
H01L 21/337
H01L 21/338
H01L 29/41
H01L 29/47
H01L 29/778
H01L 29/808
H01L 29/812
H01L 29/872
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドリフト領域(12)の上または上方にある、p導電型を有する第1の半導体層(13)と、
前記第1の半導体層(13)を縦に貫通するトレンチ構造(50)であって、
電界効果トランジスタ(FET)チャネル領域が形成されている少なくとも1つの側壁を有し、前記FETチャネル領域が、III-V族ヘテロ構造(15/16)を有して、前記III-V族ヘテロ構造(15/16)の界面に2次元電子ガスを生成する、トレンチ構造(50)と、
前記III-V族ヘテロ構造(15/16)と導電接続されているソース/ドレイン電極(21)と、
少なくとも前記ドリフト領域(12)とショットキーまたはヘテロ接触を形成する、少なくとも部分的に前記ドリフト領域(12)の上または上方にあるコンタクト構造(24、25)であって、
前記ソース/ドレイン電極(21)に導電接続されており、
少なくとも前記コンタクト構造(24、25)と前記ドリフト領域(12)との間の縦方向の領域には前記第1の半導体層(13)が存在しない、コンタクト構造(24、25)と、
を有する縦型電界効果トランジスタ(10)
において、
前記コンタクト構造(24、25)が、前記III-V族ヘテロ構造(15/16)上に形成されている、
縦型電界効果トランジスタ(10)。
【請求項2】
前記コンタクト構造(24、25)が、横方向で前記トレンチ構造(50)に並べて形成される、請求項
1に記載の縦型電界効果トランジスタ(10)。
【請求項3】
p導電型を有する遮蔽構造(18)をさらに有し、前記遮蔽構造(18)が、前記ソース/ドレイン電極(21)と導電接続されており、前記遮蔽構造(18)が、前記III-V族ヘテロ構造(15/16)よりも深く前記ドリフト領域(12)の方向に、または前記ドリフト領域(12)内に延在し、
前記コンタクト構造(24、25)が、横方向で、前記トレンチ構造(50)と前記遮蔽構造(18)との間に形成されている、
請求項1
または2に記載の縦型電界効果トランジスタ(10)。
【請求項4】
ドリフト領域(12)の上または上方にある、p導電型を有する第1の半導体層(13)と、
前記第1の半導体層(13)を縦に貫通するトレンチ構造(50)であって、
電界効果トランジスタ(FET)チャネル領域が形成されている少なくとも1つの側壁を有し、前記FETチャネル領域が、III-V族ヘテロ構造(15/16)を有して、前記III-V族ヘテロ構造(15/16)の界面に2次元電子ガスを生成する、トレンチ構造(50)と、
前記III-V族ヘテロ構造(15/16)と導電接続されているソース/ドレイン電極(21)と、
少なくとも前記ドリフト領域(12)とショットキーまたはヘテロ接触を形成する、少なくとも部分的に前記ドリフト領域(12)の上または上方にあるコンタクト構造(24、25)であって、
前記ソース/ドレイン電極(21)に導電接続されており、
少なくとも前記コンタクト構造(24、25)と前記ドリフト領域(12)との間の縦方向の領域には前記第1の半導体層(13)が存在しない、コンタクト構造(24、25)と、
を有する縦型電界効果トランジスタ(10)において、
前記トレンチ構造(50)が、底部を含む第1の側壁および第2の側壁を有し、前記コンタクト構造(24、25)が、前記底部および/または第1と第2の側壁のうちの1つの上方で前記III-V族ヘテロ構造(15/16)上に形成されている、
縦型電界効果トランジスタ(10)。
【請求項5】
前記III-V族ヘテロ構造(15/16)の上または上方に絶縁層(31)およびゲート電極(22)をさらに有し、前記絶縁層(31)が、前記コンタクト構造(24、25)と前記ゲート電極(22)との間に形成されている、請求項
4に記載の縦型電界効果トランジスタ(10)。
【請求項6】
前記コンタクト構造(24)が、ショットキーダイオードの一部であり、
または前記コンタクト構造(25)が、ヘテロダイオードの一部で
ある、
請求項1
~5のいずれか一項に記載の縦型電界効果トランジスタ(10)。
【請求項7】
前記コンタクト構造(24、25)が、ポリシリコンを有する、もしくはポリシリコンから形成されている、請求項
6に記載の縦型電界効果トランジスタ(10)。
【請求項8】
第1の半導体層(13)上にある電気絶縁性の第2の半導体層(14)をさらに有し、前記トレンチ構造(50)が、前記第1の半導体層(13)および前記第2の半導体層(14)を縦に貫通し、少なくとも前記コンタクト構造(24、25)と前記ドリフト領域(12)との間の縦方向の領域には前記第1の半導体層(13)および前記第2の半導体層(14)が存在しない、
請求項1~
7のいずれか一項に記載の縦型電界効果トランジスタ(10)。
【請求項9】
第1の縦型電界効果トランジスタ(10a)および第2の縦型電界効果トランジスタ(10b)を有するデバイス(51)であって、前記第1の縦型電界効果トランジスタ(10a)および前記第2の縦型電界効果トランジスタ(10b)がそれぞれ、
ドリフト領域(12)の上または上方にある、p導電型を有する第1の半導体層(13)と、
前記第1の半導体層(13)を縦に貫通するトレンチ構造(50)であって、
電界効果トランジスタ(FET)チャネル領域が形成されている少なくとも1つの側壁を有し、前記FETチャネル領域が、III-V族ヘテロ構造(15/16)を有して、前記III-V族ヘテロ構造(15/16)の界面に2次元電子ガスを生成する、トレンチ構造(50)と、
前記III-V族ヘテロ構造(15/16)と導電接続されているソース/ドレイン電極(21)とを有し、
デバイス(51)が、少なくとも部分的に前記ドリフト領域(12)の上または上方にコンタクト構造(24、25)をさらに有し、前記コンタクト構造(24、25)が、横方向で、前記第1の縦型電界効果トランジスタ(10a)の前記トレンチ構造(50)と前記第2の縦型電界効果トランジスタ(10b)の前記トレンチ構造(50)との間に形成されており、前記第1および第2の縦型電界効果トランジスタ(10a、10b)の少なくとも1つのソース/ドレイン電極(21)と導電接続されており、
少なくとも前記コンタクト構造(24、25)と前記ドリフト領域(12)との間の縦方向の領域には前記第1の半導体層(13)が存在しない、
デバイス(51)
において、
前記コンタクト構造(24、25)が、前記III-V族ヘテロ構造(15/16)上に形成されている、
デバイス(51)。
【請求項10】
第1の縦型電界効果トランジスタ(10a)および第2の縦型電界効果トランジスタ(10b)を有するデバイス(51)であって、前記第1の縦型電界効果トランジスタ(10a)および前記第2の縦型電界効果トランジスタ(10b)がそれぞれ、
ドリフト領域(12)の上または上方にある、p導電型を有する第1の半導体層(13)と、
前記第1の半導体層(13)を縦に貫通するトレンチ構造(50)であって、
電界効果トランジスタ(FET)チャネル領域が形成されている少なくとも1つの側壁を有し、前記FETチャネル領域が、III-V族ヘテロ構造(15/16)を有して、前記III-V族ヘテロ構造(15/16)の界面に2次元電子ガスを生成する、トレンチ構造(50)と、
前記III-V族ヘテロ構造(15/16)と導電接続されているソース/ドレイン電極(21)とを有し、
デバイス(51)が、少なくとも部分的に前記ドリフト領域(12)の上または上方にコンタクト構造(24、25)をさらに有し、前記コンタクト構造(24、25)が、横方向で、前記第1の縦型電界効果トランジスタ(10a)の前記トレンチ構造(50)と前記第2の縦型電界効果トランジスタ(10b)の前記トレンチ構造(50)との間に形成されており、前記第1および第2の縦型電界効果トランジスタ(10a、10b)の少なくとも1つのソース/ドレイン電極(21)と導電接続されており、
少なくとも前記コンタクト構造(24、25)と前記ドリフト領域(12)との間の縦方向の領域には前記第1の半導体層(13)が存在しない、
デバイス(51)において、
前記トレンチ構造(50)が、底部を含む第1の側壁および第2の側壁を有し、前記コンタクト構造(24、25)が、前記底部および/または第1と第2の側壁のうちの1つの上方で前記III-V族ヘテロ構造(15/16)上に形成されている、
デバイス(51)。
【請求項11】
前記第1および第2の縦型電界効果トランジスタ(10a、10b)がさらにそれぞれ遮蔽構造(18)を有し、前記遮蔽構造(18)が、p導電型を有し、対応する前記縦型電界効果トランジスタ(10a、10b)の前記ソース/ドレイン電極(21)と導電接続されており、前記遮蔽構造(18)が、対応する前記縦型電界効果トランジスタ(10)の前記III-V族ヘテロ構造(15/16)よりも深く前記ドリフト領域(12)の方向に、または前記ドリフト領域(12)内に延在し、前記コンタクト構造(24、25)が、横方向で、前記第1の縦型電界効果トランジスタ(10a)の前記遮蔽構造(18)と前記第2の縦型電界効果トランジスタ(10b)の前記遮蔽構造(18)との間に形成されている、請求項
9または10に記載のデバイス(51)。
【請求項12】
縦型電界効果トランジスタ(10)を製造するための方法(200)であって、
ドリフト領域(12)の上または上方に、p導電型を有する第1の半導体層(13)を形成するステップ(210)と、
前記第1の半導体層(13)を縦に貫通するトレンチ構造(50)を形成するステップ(230)であって、
前記トレンチ構造(50)が、電界効果トランジスタ(FET)チャネル領域が形成される少なくとも1つの側壁を備えて形成され、前記FETチャネル領域が、III-V族ヘテロ構造(15/16)を有して、前記III-V族ヘテロ構造(15/16)の界面に2次元電子ガスを生成する、ステップ(230)と、
前記III-V族ヘテロ構造(15/16)と導電接続されているソース/ドレイン電極(21)を形成するステップ(240)と、
コンタクト構造(24、25)を少なくとも部分的に前記ドリフト領域(12)の上または上方に形成するステップ(250)であって、前記コンタクト構造(24、25)が、少なくとも前記ドリフト領域(12)とショットキーまたはヘテロ接触を形成し、前記コンタクト構造(24、25)が、前記ソース/ドレイン電極(21)と導電接続され、
少なくとも前記コンタクト構造(24、25)と前記ドリフト領域(12)との間の縦方向の領域には前記第1の半導体層(13)が存在しない、ステップ(250)と、
を有する方法
において、
前記コンタクト構造(24、25)が、前記III-V族ヘテロ構造(15/16)上に形成されている、
方法。
【請求項13】
縦型電界効果トランジスタ(10)を製造するための方法(200)であって、
ドリフト領域(12)の上または上方に、p導電型を有する第1の半導体層(13)を形成するステップ(210)と、
前記第1の半導体層(13)を縦に貫通するトレンチ構造(50)を形成するステップ(230)であって、
前記トレンチ構造(50)が、電界効果トランジスタ(FET)チャネル領域が形成される少なくとも1つの側壁を備えて形成され、前記FETチャネル領域が、III-V族ヘテロ構造(15/16)を有して、前記III-V族ヘテロ構造(15/16)の界面に2次元電子ガスを生成する、ステップ(230)と、
前記III-V族ヘテロ構造(15/16)と導電接続されているソース/ドレイン電極(21)を形成するステップ(240)と、
コンタクト構造(24、25)を少なくとも部分的に前記ドリフト領域(12)の上または上方に形成するステップ(250)であって、前記コンタクト構造(24、25)が、少なくとも前記ドリフト領域(12)とショットキーまたはヘテロ接触を形成し、前記コンタクト構造(24、25)が、前記ソース/ドレイン電極(21)と導電接続され、
少なくとも前記コンタクト構造(24、25)と前記ドリフト領域(12)との間の縦方向の領域には前記第1の半導体層(13)が存在しない、ステップ(250)と、
を有する方法において、
前記トレンチ構造(50)が、底部を含む第1の側壁および第2の側壁を有し、前記コンタクト構造(24、25)が、前記底部および/または第1と第2の側壁のうちの1つの上方で前記III-V族ヘテロ構造(15/16)上に形成されている、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
縦型電界効果トランジスタ、それを製造するための方法、および縦型電界効果トランジスタを有するデバイスが提供される。
【背景技術】
【0002】
窒化ガリウム(GaN)ベースのトランジスタは、シリコンまたは炭化ケイ素ベースの同等の素子よりも低いオン抵抗およびそれと同時に高いブレークダウン電圧を有する素子を実現する可能性を提供する。そのようなトランジスタに関して可能な設計は、いわゆるVHEMT(Vertical Groove High Electron Mobility Transistor;縦型溝高電子移動度トランジスタ)であり、チャネルがAlGaN/GaNヘテロ構造の界面での2次元電子ガス(2DEG)によって形成され、2DEGはV字形トレンチ内で成長する。
図1は、従来のVHEMTトランジスタ100に関する一例を示す。
図1での構造は、2つのトランジスタセルを示す。トランジスタセルはそれぞれ、弱くnドープされたGaNドリフト領域112が適用された導電性GaN基板111からなる。ドリフト領域112の上にはpドープGaN区域113があり、その上方には絶縁性GaNまたはAlGaN区域114がある。両方の区域113、114はV字形トレンチによって穿通され、トレンチの上方に非ドープのGaN区域115およびAlGaN区域116が延在する。2つの区域115、116の界面で、しかし区域115内に、2次元電子ガス(2DEG)が生成される。V字形トレンチにpドープGaN区域117が導入されており、トランジスタのノーマリオフ(normally-off)動作を保証する。ゲート電極122はp-GaN区域117に接触する。オフ時に発生する高い電界からゲートトレンチを遮蔽するために、高濃度にドープされたp区域118がドリフト領域112に導入されている。ソース接点121は、2DEGにもp区域113、118にも接触する。基板111の裏面にはドレイン電極123がある。
【0003】
ゲート電圧が印加されていない場合、p-GaN区域117の下の2DEGが空乏化されているので、トランジスタ100はノーマリオフである。ゲート電極122への正電圧の印加により、2DEG全体が電子で満たされ、電子はソース電極121からゲートトレンチの側壁を通ってゲートトレンチの底部に流れ、そこからドリフト領域112に、さらにはGaN基板111を通ってドレイン電極123に流れる。
【0004】
トランジスタ100の使用に関して、例えばインバータ用途では、素子の逆導電性が必要とされる。
図1に示される構造では、この逆方向動作は、p区域118とn型ドリフト領域112との間に形成されるいわゆるボディダイオードを介して生じる。したがって、逆方向動作では、電子は2DEGを通って非ドープGaN区域115に流れるのではなく、ドレイン電極123から基板111、ドリフト領域112、p区域118を通ってソース電極121に流れる。この意味で、ボディダイオードはトランジスタと並列に接続されている。GaNの大きなバンドギャップにより、p-n接合にエネルギー障壁が生成され、その結果、ボディダイオードの高い順方向電圧(約3V)が生じる。この順方向電圧は、トランジスタの逆方向動作時に大きな電気的損失をもたらす。
【0005】
さらに、低損失の逆方向動作のために追加のショットキー接触を提供する他のパワートランジスタアーキテクチャが知られている。例えば、米国特許第9184286号明細書またはZhu他(「Vertical GaN Power Transistor With Intrinsic Reverse Conduction and Low Gate Charge for High-Performance Power Conversion(高性能電力変換のための固有逆伝導および低ゲート電荷を有する縦型GaNパワートランジスタ)」IEEE Journal of Emerging and Selected Topics in Power Electronics, Vol. 7, No. 3, DOI: 10.1109/JESTPE.2019.2903828)を参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【非特許文献】
【0007】
【文献】ZHU, Ruopu, et al. Vertical GaN power transistor with intrinsic reverse conduction and low gate charge for high-performance power conversion. IEEE Journal of Emerging and Selected Topics in Power Electronics, 2019, 7.3: 1449-1455.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、逆方向動作時のより低い導通損失、およびそれと同時に低いシート抵抗を備えるノーマリオフ縦型電界効果トランジスタを可能とする縦型電界効果トランジスタ、それらを製造するための方法、および縦型電界効果トランジスタを有するデバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、本発明の一態様によれば、縦型電界効果トランジスタによって解決される。縦型電界効果トランジスタは、ドリフト領域の上または上方にある、p導電型を有する第1の半導体層と、第1の半導体層を縦に貫通するトレンチ構造であって、電界効果トランジスタFETチャネル領域が形成されている少なくとも1つの側壁を有し、FETチャネル領域が、III-V族ヘテロ構造を有して、III-V族ヘテロ構造の界面に電子ガスなどの2次元電荷キャリアガスを生成する、トレンチ構造と、III-V族ヘテロ構造と導電接続されているソース/ドレイン電極と、少なくともドリフト領域とショットキーまたはヘテロ接触を形成する、少なくとも部分的にドリフト領域の上または上方にあるコンタクト構造であって、ソース/ドレイン電極に導電接続されており、少なくともコンタクト構造とドリフト領域との間の縦方向の領域には第1の半導体層が存在しない、コンタクト構造とを有する。これは、逆方向動作時のより小さい導通損失、およびそれと同時に低いシート抵抗を備えるノーマリオフトランジスタを提供することを可能にする。具体的には、p-nダイオードを介した損失の大きい導電メカニズムが、縦型電界効果トランジスタに統合されたショットキーまたはヘテロダイオードによって置き換えられている。これは、従来のp-n接合よりも低い順方向電圧を可能にする。それにより、逆方向動作時のFETの導通損失が大幅に低減され得、したがって縦型電界効果トランジスタの効率が高められる。縦型電界効果トランジスタの順方向動作では、ショットキーダイオードまたはヘテロダイオードは逆方向にバイアスされており、したがって常に遮断され、縦型電界効果トランジスタのスイッチング挙動は影響を及ぼされない。
【0010】
任意選択で、電気絶縁性の第2の半導体層が第1の半導体層上に形成されていてもよい。トレンチ構造は、第1の半導体層および第2の半導体層を縦に貫通することができる。コンタクト構造とドリフト領域との間の縦方向の領域には第1の半導体層および第2の半導体層が存在しなくてもよい。
【0011】
上記の課題は、本発明のさらなる態様によれば、デバイスによって解決される。デバイスは、第1の縦型電界効果トランジスタおよび第2の縦型電界効果トランジスタを有し、第1の縦型電界効果トランジスタおよび第2の縦型電界効果トランジスタがそれぞれ、ドリフト領域の上または上方にある、p導電型を有する第1の半導体層と、第1の半導体層を縦に貫通するトレンチ構造であって、電界効果トランジスタFETチャネル領域が形成されている少なくとも1つの側壁を有し、FETチャネル領域が、III-V族ヘテロ構造を有して、III-V族ヘテロ構造の界面に2次元電子ガスを生成する、トレンチ構造と、III-V族ヘテロ構造と導電接続されているソース/ドレイン電極とを有し、デバイスが、少なくとも部分的にドリフト領域の上または上方にコンタクト構造をさらに有し、コンタクト構造が、横方向で、第1の縦型電界効果トランジスタのトレンチ構造と第2の縦型電界効果トランジスタのトレンチ構造との間に形成されており、第1および第2の縦型電界効果トランジスタの少なくとも1つのソース/ドレイン電極と導電接続されており、少なくともコンタクト構造とドリフト領域との間の縦方向の領域には第1の半導体層が存在しない。
【0012】
任意選択で、縦型電界効果トランジスタは、電気絶縁性であり、第1の半導体層上に形成されている第2の半導体層を有してもよい。コンタクト構造とドリフト領域との間の縦方向の領域には第1の半導体層および第2の半導体層が存在しなくてもよい。
【0013】
上記課題は、本発明のさらなる態様によれば、縦型電界効果トランジスタを製造する方法によって解決される。この方法は、ドリフト領域の上または上方に、p導電型を有する第1の半導体層を形成するステップと、第1の半導体層を縦に貫通するトレンチ構造を形成するステップであって、トレンチ構造が、電界効果トランジスタFETチャネル領域が形成される少なくとも1つの側壁を備えて形成され、FETチャネル領域が、III-V族ヘテロ構造を有して、III-V族ヘテロ構造の界面に2次元電子ガスを生成する、ステップと、III-V族ヘテロ構造と導電接続されるソース/ドレイン電極を形成するステップと、コンタクト構造を少なくとも部分的にドリフト領域の上または上方に形成するステップであって、コンタクト構造が、少なくともドリフト領域とショットキーまたはヘテロ接触を形成し、コンタクト構造が、ソース/ドレイン電極と導電接続され、少なくともコンタクト構造とドリフト領域との間の縦方向の領域には第1の半導体層が存在しない、ステップとを有する。
【0014】
任意選択で、電気絶縁性の第2の半導体層は第1の半導体層上に形成されてもよい。トレンチ構造は、第1の半導体層および第2の半導体層を縦に貫通することができる。少なくともコンタクト構造とドリフト領域との間の縦方向の領域には第1の半導体層および第2の半導体層が存在しなくてもよい。
【0015】
態様のさらなる発展形態は、従属請求項および本明細書に記載されている。本発明の実施形態を図面に示し、以下により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】関連技術のVEHMTトランジスタの概略断面図である。
【
図2】様々な実施形態による縦型電界効果トランジスタを備える素子の概略断面図である。
【
図3】様々な実施形態による縦型電界効果トランジスタを備える素子の概略断面図である。
【
図4】様々な実施形態による縦型電界効果トランジスタを備える素子の概略断面図である。
【
図5】様々な実施形態による縦型電界効果トランジスタを備える素子の概略断面図である。
【
図6】様々な実施形態による縦型電界効果トランジスタを備える素子の概略断面図である。
【
図7】様々な実施形態による縦型電界効果トランジスタを備える素子の概略断面図である。
【
図8】様々な実施形態による縦型電界効果トランジスタを備える素子の概略断面図である。
【
図9】様々な実施形態による縦型電界効果トランジスタを備える素子の概略平面図である。
【
図10】様々な実施形態による縦型電界効果トランジスタを備える素子の概略平面図である。
【
図11】様々な実施形態による縦型電界効果トランジスタを製造するための方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の詳細な説明では添付図面を参照する。添付図面は本明細書の一部を成し、添付図面には、本発明を実施することができる特定の例示的実施形態が例示の目的で示されている。本発明の保護範囲から逸脱することなく、他の例示的実施形態を利用することもでき、構造的または論理的な変更を行うこともできることを理解されたい。本明細書で述べる様々な例示的実施形態の特徴は、特に別段の指示がない限り、互いに組み合わせることができることを理解されたい。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきではなく、本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。図中、同一または同様の要素には適宜、同一の参照符号が付されている。
【0018】
図2~
図8はそれぞれ、様々な実施形態による縦型電界効果トランジスタ10、10a、10bを備える素子51の概略断面図を示し、
図9および
図10はそれぞれ、素子51の概略平面図を示す。
図6、
図9、および
図10はそれぞれ電界効果トランジスタ10を例示し、
図2~
図5および
図7~
図8はそれぞれ、第1の縦型電界効果トランジスタ10aおよび第2の縦型電界効果トランジスタ10bを例示する。例示されている縦型電界効果トランジスタ10、10a、10bはそれぞれ、少なくとも1つの縦型電界効果トランジスタ(FETセル)を備えるデバイスの個々のセルである。いくつかのFETセルを組み合わせることによって、FETセルの2次元に広がるフィールドが得られる。縦型電界効果トランジスタは、パワー半導体デバイスでよい。
【0019】
縦型電界効果トランジスタ10、10a、10bは、半導体基板11、例えばGaN基板11上に、ドリフト領域12、例えばnドープGaNドリフト領域12を有する。ドリフト領域12の上に、p導電型を有する第1の半導体層13、例えばpドープ半導体層13がある。第1の半導体層13上に、任意選択で、第2の半導体層14、例えば電気絶縁性半導体層14、例えば電気絶縁性GaNまたはAlGaN半導体層14が形成されていてもよい。第1および(任意選択の)第2の半導体層13、14は、V字形トレンチによって貫通される。V字形トレンチ内に、第1の半導体層13および(任意選択の)第2の半導体層14を縦に貫通するトレンチ構造50が形成されている。トレンチ構造50は、電界効果トランジスタ(FET)チャネル領域が形成されている少なくとも1つの側壁を有する。トレンチ構造50は、底部を含む第1の側壁および第2の側壁を有し得る。FETチャネル領域は、III-V族ヘテロ構造15/16を有して、III-V族ヘテロ構造15/16の界面で2次元電子ガスを生成する。III-V族ヘテロ構造15/16は、例えば非ドープGaN層15およびAlGaN層16を有する。2つの層15、16の界面で、しかし層15内に、2次元電子ガス(2DEG)が生じる。V字形トレンチ内には、さらにpドープGaN層17が形成されており、縦型電界効果トランジスタ10、10a、10bのノーマリオフ(normally off)動作を保証する。ゲート電極22がp-GaN層17に接触する。オフ時に発生する高い電界からトレンチを遮蔽するために、p導電型を有する遮蔽構造18、例えば高濃度にドープされたpドープ層18がドリフト領域12に形成されていてもよい。遮蔽構造18は、ソース/ドレイン電極21と導電接続されていてもよい。遮蔽構造18は、III-V族ヘテロ構造15/16よりも深くドリフト領域12の方向に、またはドリフト領域12内に延在することができる。ソース電極21は、III-V族ヘテロ構造15/16と接触する、すなわち導電接続され、2DEGならびに第1の半導体層13および(任意選択で)遮蔽構造18も、III-V族ヘテロ構造15/16と接触する、すなわち導電接続されている。基板11の裏面にはドレイン電極23がある。
【0020】
縦型電界効果トランジスタ10、10a、10bはさらに、少なくとも部分的にドリフト領域12の上または上方にコンタクト構造24を有し、コンタクト構造24は、少なくともドリフト領域12とショットキーまたはヘテロ接触を形成する。様々な実施形態において、コンタクト構造24は、ショットキーダイオードの一部である(
図2~
図6を参照)。代替として、コンタクト構造24は、ヘテロダイオード(
図7および
図8を参照)の一部であり、例えばポリシリコンを有する、またはポリシリコンから形成されている。コンタクト構造24は、ソース/ドレイン電極21に導電接続されている。少なくともコンタクト構造24とドリフト領域12との間の縦方向の領域には第1の半導体層13および第2の半導体層14が存在しない。
【0021】
コンタクト構造24は、
図2~
図4および
図8に示されているように、III-V族ヘテロ構造15/16上に形成されていてもよい。代替として、コンタクト構造24は、
図5~
図7に例示されているように、ドリフト領域12上に直接形成されていてもよい。コンタクト構造24は、底部(
図2および
図3を参照)および/または第1と第2の側壁のうちの1つ(
図3を参照)の上方でIII-V族ヘテロ構造15/16上に形成されていてもよい。
【0022】
縦型電界効果トランジスタ10は、III-V族ヘテロ構造15/16の上または上方に絶縁層31をさらに有してもよい。絶縁層31は、コンタクト構造24とゲート電極22との間に形成されていてもよい(
図8参照)。
【0023】
代替として、コンタクト構造24は、横方向でトレンチ構造50に並べて形成されてもよい(
図4~
図7参照)。
例えば、コンタクト構造24は、横方向でトレンチ構造50と遮蔽構造18との間に形成されていてもよい(
図6参照)。
【0024】
代替として、コンタクト構造24は、FETセル10の外側に、例えば横方向で、隣接する縦型電界効果トランジスタ10a、10bの遮蔽構造の間に配置されていてもよい(
図4、
図5、または
図7参照)。この場合、デバイス51は、例えば、少なくとも1つの第1の縦型電界効果トランジスタ10aおよび1つの第2の縦型電界効果トランジスタ10bを有する。第1および第2の縦型電界効果トランジスタ10a、10bはそれぞれ、ドリフト領域12の上または上方にある、p導電型を有する第1の半導体層13と、第1の半導体層13上にある電気絶縁性の第2の半導体層14と、第1の半導体層13および第2の半導体層14を縦に貫通するトレンチ構造50であって、電界効果トランジスタFETチャネル領域が形成されている少なくとも1つの側壁を有し、FETチャネル領域が、III-V族ヘテロ構造15/16を有して、III-V族ヘテロ構造15/16の界面で2次元電子ガスを生成する、トレンチ構造50と、III-V族ヘテロ構造15/16と導電接続されているソース/ドレイン電極21とを有する。デバイス51は、少なくとも部分的にドリフト領域12の上または上方にコンタクト構造24をさらに有し、コンタクト構造24が、横方向で、第1の縦型電界効果トランジスタ10aのトレンチ構造50と第2の縦型電界効果トランジスタ10bのトレンチ構造50との間に形成されており、第1および第2の縦型電界効果トランジスタ10a、10bの少なくとも1つのソース/ドレイン電極21(例えば、両方のソース/ドレイン電極21)と導電接続されている。少なくともコンタクト構造24とドリフト領域12との間の縦方向の領域には第1の半導体層13および第2の半導体層14が存在しない。第1および第2の縦型電界効果トランジスタ10a、10bはそれぞれ遮蔽構造18をさらに有してもよく、遮蔽構造18が、p導電型を有し、対応する縦型電界効果トランジスタ10a、10bのソース/ドレイン電極21と導電接続されている。遮蔽構造18は、対応する縦型電界効果トランジスタ10のIII-V族ヘテロ構造15/16よりも深くドリフト領域12の方向に、またはドリフト領域12内に延在することができる。コンタクト構造24は、横方向で、第1の縦型電界効果トランジスタ10aの遮蔽構造18と第2の縦型電界効果トランジスタ10bの遮蔽構造18との間に形成されていてもよい(
図4、
図5、または
図7参照)。
【0025】
トレンチ構造50は、縦方向に垂直な長手方向で、ストリップ形状または六角形状を有することができる。コンタクト構造24は、長手方向で柱状の断面形状を有することができる(
図9参照)。代替として、コンタクト構造24は、縦型電界効果トランジスタ10の幅にわたって横方向に延在するストリップ形状を有することができる(
図10を参照)。
【0026】
ゲート電圧を印加せず、ソース電極21に対してドレイン電極が正の電位になっていない場合、pドープ層17の下の2DEGが空乏化されているので、縦型電界効果トランジスタ10、10a、10bはノーマリオフである。ゲート電極22への正電圧の印加により、2DEG全体が電子で満たされ、電子はソース電極21からゲートトレンチの側壁を通ってトレンチの底部に流れ、そこからドリフト領域12に、さらには基板11を介してドレイン電極23に流れる。
【0027】
明らかに、
図2に例示される実施形態では、ゲート電極22および下にあるpドープGaN層17がトレンチの底部で中断され、コンタクト構造24が底部に導入されており、コンタクト構造24は、III-V族ヘテロ構造15/16および/またはドリフト領域12とショットキー接触を形成する。この場合、逆方向動作時の電子の流れは、ドレイン電極23から、基板11、ドリフト領域12、III-V族ヘテロ構造15+16を通ってコンタクト構造24に至る。コンタクト構造24は、ソース電極21に電気的に接続されている。この接続は、デバイス51の各FETセル、またはFET10、10a、10b内の別個の区域で局所的に行われ得る。代替として、コンタクト構造24の下のIII-V族ヘテロ構造15+16が除去されていてもよい。これは、ショットキー接触に有利であり得る(図示せず)。この場合、コンタクト構造24は、ドリフト領域12上に直接位置する。
【0028】
図3に例示されている実施形態では、コンタクト構造24は、トレンチの底部だけでなく、側壁にわたっても形成されている。これは、かなり大きい接触面積を必要とし、したがってボディダイオードの抵抗の低下を必要とする。さらに、チャネルがトレンチ構造の一方の側壁のみに形成されているので、チャネル抵抗が増加する。この実施形態は、逆方向動作時に特に低い損失を要求する用途に有利である。さらに、この実施形態は、層17およびゲート電極22の中断部にコンタクト構造24が挿入されないので、例えば
図2での実施形態に比べてリソグラフィに対する要求を低くすることができる。コンタクト構造24は、一方向でのみ正確に調整すればよい。これにより、製造の労力を大幅に削減することができる。この実施形態でも、コンタクト構造24の下の領域にはIII-V族ヘテロ構造15/16が存在しなくてもよい。
【0029】
図4に例示されている実施形態では、コンタクト構造24は、FETセル10a、10bの外側、例えば2つの隣り合うFETセル10aと10bの間に配置されている。これにより、製造の労力をさらに削減することができる。この実施形態でも、遮蔽構造18は、オフ時に電界からコンタクト構造24を遮蔽する。FETセル10a、10bの外側でのコンタクト構造24の位置決めにより、リソグラフィ要件はより低い。さらに、素子51のピッチが増加し、その結果、順方向動作時の最大電流密度が増加される。この場合、第1および第2の半導体層13、14は、コンタクト構造24の下で中断され、コンタクト構造24、例えばショットキー接触を通る逆方向動作時の電流の流れを可能にする。この中断は、例えば
図5に例示されているように、第1および第2の半導体層13、14ならびにIII-V族ヘテロ構造15/16を貫通するトレンチの底部にコンタクト構造24を配置することによって実装され得る。代替として、コンタクト構造24を含むトレンチがFETセル内に導入されていてもよい(
図6参照)。コンタクト構造24が形成され得る材料は、スパッタリング、熱蒸着、および/または電子ビーム蒸着によって適用されてもよい。ショットキー接触、およびそれに対応してボディダイオードとしてのショットキーダイオードに対する代替として、コンタクト構造24は、例えばポリシリコン25で作られた、またはポリシリコン25を含むコンタクト構造24によって半導体ヘテロ接合を実現することもできる(
図7参照)。例えば化学気相からのポリシリコン25の共形堆積により、トレンチをポリシリコン25で完全に充填することができる。ポリシリコン25は、トレンチの上縁部でソース電極21によってソース電位と簡単に接続されている場合もある。ポリシリコン25からドリフト領域12、例えばn-GaNドリフト領域への接合部に、典型的なショットキー接触よりも高いが、p-n接合の場合よりも低いエネルギー障壁を形成することができる。したがって、素子51の逆方向動作時、約1.2V~約1.8Vの順方向電圧が生じ得る。代替として、ボディダイオードは、
図8に例示されているように、ゲートトレンチ内のポリシリコン25によって形成されていてもよい。ここで、ポリシリコンコンタクト構造24(25)は、絶縁層31によってゲート電極22およびp-GaN層17から電気的に絶縁されている。素子51において、
図2~
図8に例示されている断面構造は、断面図に垂直な長手方向(紙面の平面内)でストリップ形状または六角形状としてさらに延びることができる。このストリップ形状または六角形状では、各FETセルの各セクションが長手方向でボディダイオードコンタクト構造24を有することは任意選択であり、または必須ではない。個々のセクションに、対応するボディダイオードコンタクト構造24を提供すれば十分であり得る。
図9の平面図では、ボディダイオードコンタクト構造24がゲートトレンチ内に導入されており、さらに部分的に遮蔽構造の代わりに導入されている、ストリップ形状での実施形態が示されている。
図10に例示されているように、部分的に長手方向でFETセルの全幅にわたってボディダイオードコンタクト構造24を形成することも可能である。この場合、長手方向で、ボディダイオードコンタクト構造24を有さないFETセルと、ボディダイオードコンタクト構造24を排他的に有し、例えば第1および第2の半導体層13、14、III-V族ヘテロ構造15/16、および層17が少なくとも部分的にまたは完全に除去されたFETセルとが交互にされる。これにより、リソグラフィプロセスに対する要求を低減することができる。
【0030】
図11は、様々な実施形態による縦型電界効果トランジスタを製造するための方法200の流れ図を示す。方法200は、ドリフト領域12の上または上方に、p導電型を有する第1の半導体層13を形成するステップ210と、第1の半導体層13を縦に貫通するトレンチ構造50を形成するステップ230であって、トレンチ構造50が、電界効果トランジスタFETチャネル領域が形成される少なくとも1つの側壁を備えて形成され、FETチャネル領域が、III-V族ヘテロ構造15/16を有して、III-V族ヘテロ構造15/16の界面に2次元電子ガスを生成する、ステップ230と、III-V族ヘテロ構造15/16と導電接続されるソース/ドレイン電極21を形成するステップ240と、コンタクト構造24、25を少なくとも部分的にドリフト領域12の上または上方に形成するステップ250であって、コンタクト構造24、25が、少なくともドリフト領域12とショットキーまたはヘテロ接触を形成し、コンタクト構造24が、ソース/ドレイン電極21と導電接続され、少なくともコンタクト構造24、25とドリフト領域12との間の縦方向の領域には第1の半導体層13が存在しない、ステップ250とを有する。
【0031】
任意選択で、電気絶縁性の第2の半導体層14が第1の半導体層13上に形成されてもよい。トレンチ構造50は、第1の半導体層13および第2の半導体層14を縦に貫通することができる。少なくともコンタクト構造24、25とドリフト領域12との間の縦方向の領域には第1の半導体層13および第2の半導体層14が存在しなくてもよい。
【0032】
上述して図面に示した実施形態は、単に例として選択されている。異なる実施形態を、完全に、または個々の特徴に関して互いに組み合わせることができる。1つの実施形態を、さらなる実施形態の特徴によって補完することもできる。さらに、記載した方法ステップを繰り返すことができ、記載したのとは異なる順序で実施することもできる。特に、本発明は、提示した方法に限定されない。