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特許7555421カテーテル、及び、再開通カテーテルシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-12
(45)【発行日】2024-09-24
(54)【発明の名称】カテーテル、及び、再開通カテーテルシステム
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/00 20060101AFI20240913BHJP
   A61M 25/09 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
A61M25/00 534
A61M25/00 622
A61M25/09
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022550085
(86)(22)【出願日】2020-09-16
(86)【国際出願番号】 JP2020035039
(87)【国際公開番号】W WO2022059084
(87)【国際公開日】2022-03-24
【審査請求日】2023-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】390030731
【氏名又は名称】朝日インテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100160691
【弁理士】
【氏名又は名称】田邊 淳也
(74)【代理人】
【識別番号】100157277
【弁理士】
【氏名又は名称】板倉 幸恵
(72)【発明者】
【氏名】加藤 修
(72)【発明者】
【氏名】長谷 由希子
(72)【発明者】
【氏名】下神 学
(72)【発明者】
【氏名】西内 誠
【審査官】田中 玲子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/189826(WO,A1)
【文献】米国特許第05389087(US,A)
【文献】特表2003-525711(JP,A)
【文献】特表2002-543938(JP,A)
【文献】国際公開第2012/035695(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/00
A61M 25/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトを有するカテーテルであって、
前記シャフトは、
前記シャフトの長手方向に延びる第1ルーメンと、
前記シャフトの基端部から先端側に向かって、前記第1ルーメンと並んで配置された第2ルーメンと、
前記第2ルーメンの先端において、前記第2ルーメンに連通する先端開口が形成された端面と、
前記第1ルーメンを含み、前記端面よりも先端側に突出した突出部と、を有し、
前記シャフトの側面のうち、前記先端開口よりも基端側には、前記第2ルーメンに連通する側面開口が形成されており、
前記側面開口には、医療デバイスが前記シャフトの先端側から前記第2ルーメンに挿入された第1の場合に、当該医療デバイスの基端部を、前記第2ルーメンの内側から前記側面開口を介して外部に出るように誘導し、かつ、医療デバイスが前記シャフトの基端側から前記第2ルーメンに挿入された第2の場合に、当該医療デバイスの先端部が、前記側面開口を介して外部に出ることを規制し、前記第2ルーメンの先端に向かうように誘導する誘導部が設けられており
前記誘導部は、
基端部が前記シャフトの外周面に固定され、前記シャフトの外周面から前記第2ルーメンの内側に向かって傾斜したフラップ部と、
前記シャフトの周方向を取り囲む本体部であって、前記フラップ部と一体的に形成された本体部と、を有し、
前記本体部は、前記シャフトの周方向を取り囲む環状の部材であり、
前記フラップ部は、前記第1の場合に、医療デバイスの基端部を前記フラップ部の外側面に接触させることで、当該医療デバイスの基端部が外部に出るように誘導し、前記第2の場合に、医療デバイスの先端部を前記フラップ部の内側面に接触させることで、当該医療デバイスの先端部が外部に出ることを規制する、カテーテル。
【請求項2】
請求項に記載のカテーテルであって、
前記フラップ部は、前記本体部の周方向に沿って延びる基端部を有し、かつ、当該基端部から先端側に向かって、前記第2ルーメンの側に傾斜した平板状部材である、カテーテル。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のカテーテルであって、
前記本体部は、放射線不透過性を有している、カテーテル。
【請求項4】
請求項から請求項のいずれか一項に記載のカテーテルであって、
前記フラップ部は、放射線不透過性を有している、カテーテル。
【請求項5】
シャフトを有するカテーテルであって、
前記シャフトは、
前記シャフトの長手方向に延びる第1ルーメンと、
前記シャフトの基端部から先端側に向かって、前記第1ルーメンと並んで配置された第2ルーメンと、
前記第2ルーメンの先端において、前記第2ルーメンに連通する先端開口が形成された端面と、
前記第1ルーメンを含み、前記端面よりも先端側に突出した突出部と、を有し、
前記シャフトの側面のうち、前記先端開口よりも基端側には、前記第2ルーメンに連通する側面開口が形成されており、
前記側面開口には、医療デバイスが前記シャフトの先端側から前記第2ルーメンに挿入された第1の場合に、当該医療デバイスの基端部を、前記第2ルーメンの内側から前記側面開口を介して外部に出るように誘導し、かつ、医療デバイスが前記シャフトの基端側から前記第2ルーメンに挿入された第2の場合に、当該医療デバイスの先端部が、前記側面開口を介して外部に出ることを規制し、前記第2ルーメンの先端に向かうように誘導する誘導部が設けられており、
前記誘導部は、
前記第2ルーメンの内周面のうち、前記側面開口よりも先端側であって、前記側面開口が形成された側とは反対側の領域が、前記側面開口に向かって隆起した第1隆起部と、
前記第2ルーメンの内周面のうち、前記側面開口よりも基端側であって、前記側面開口が形成された側と同じ側の領域が、前記側面開口から遠ざかる方向に隆起した第2隆起部と、により構成され、
前記第1の場合に、医療デバイスの基端部を前記第1隆起部に接触させることで、当該医療デバイスの基端部が外部に出るように誘導し、
前記第2の場合に、医療デバイスの先端部を前記第2隆起部に接触させることで、当該医療デバイスの先端部が外部に出ることを規制する、カテーテル。
【請求項6】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載のカテーテルであって、
前記シャフトは、さらに、前記突出部の先端部に配置され、前記シャフトの長手方向に延びる第3ルーメンを有し、
前記突出部の先端面には、前記第3ルーメンに連通する第1開口が形成され、
前記突出部の側面には、前記第3ルーメンに連通すると共に、前記先端開口よりも先端側に設けられた第2開口が形成されている、カテーテル。
【請求項7】
再開通カテーテルシステムであって、
請求項1から請求項のいずれか一項に記載のカテーテルと、
前記第1ルーメンに挿入され、前記第1ルーメンにおいて生体組織の情報を取得するセンサと、
前記第2ルーメンに挿入され、前記先端開口から外部へ誘導されると共に、生体組織を貫通するガイドワイヤと、
を備える、再開通カテーテルシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カテーテル、及び、再開通カテーテルシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
慢性完全閉塞(CTO:Chronic Total Occlusion)のように、血管内が閉塞物によって閉塞されてしまう場合がある。特許文献1~4には、CTO開通(再疎通)のために、偽腔から真腔へと、医療デバイスを再入させる内膜下アプローチについて開示されている。なお、偽腔とは、医療デバイスにより形成された真腔以外の全ての解離腔を指す。CTO開通のための手技では、一般に、デリバリーガイドワイヤを用いて、カテーテルをCTO病変の位置までデリバリした後、デリバリーガイドワイヤとは異なる貫通用ガイドワイヤを用いて、貫通用ガイドワイヤを真腔に再入させる。この点、特許文献1に記載のカテーテルは、デリバリーガイドワイヤ用のルーメンと、貫通用ガイドワイヤ(閉塞横断デバイス)用のルーメンとを個別に備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6030655号公報
【文献】特許第6182660号公報
【文献】特許第6118335号公報
【文献】特許第5564416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、血管内に挿入されるカテーテルは、可能な限り細径化することが好ましい。また、CTO開通のような複雑な手技においては、センサのガイド下(例えばIVUS Guide)での手技を実現するために、カテーテルに対してセンサ用のルーメンを設ける場合がある。このような場合、特許文献1に記載のカテーテルでは、少なくとも3つのルーメンを要することになるため、カテーテルが太径化するという課題があった。また、特許文献2~4に記載のカテーテルでは、デリバリーガイドワイヤと、貫通用ガイドワイヤとの併用について何ら考慮されていない。
【0005】
なお、このような課題は、CTOの開通に限らず、デリバリーガイドワイヤと、貫通用ガイドワイヤのように、異なる医療デバイスを交換しつつ手技を進めるデバイスの全般に共通する。また、このような課題は、血管系に限らず、リンパ腺系、胆道系、尿路系、気道系、消化器官系、分泌腺及び生殖器官といった、生体管腔内に挿入されるデバイスの全般に共通する。
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、センサのガイド下での手技を実現可能であり、かつ、異なる医療デバイスを交換しつつ手技を進めることが可能なカテーテルにおいて、医療デバイスの交換に掛かる手間と時間を削減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【0008】
(1)本発明の一形態によれば、シャフトを有するカテーテルが提供される。このカテーテルにおいて、前記シャフトは、前記シャフトの長手方向に延びる第1ルーメンと、前記シャフトの基端部から先端側に向かって、前記第1ルーメンと並んで配置された第2ルーメンと、前記第2ルーメンの先端において、前記第2ルーメンに連通する先端開口が形成された端面と、前記第1ルーメンを含み、前記端面よりも先端側に突出した突出部と、を有し、前記シャフトの側面のうち、前記先端開口よりも基端側には、前記第2ルーメンに連通する側面開口が形成されており、前記側面開口には、医療デバイスが前記シャフトの先端側から前記第2ルーメンに挿入された第1の場合に、当該医療デバイスの基端部を、前記第2ルーメンの内側から前記側面開口を介して外部に出るように誘導し、かつ、医療デバイスが前記シャフトの基端側から前記第2ルーメンに挿入された第2の場合に、当該医療デバイスの先端部が、前記側面開口を介して外部に出ることを規制し、前記第2ルーメンの先端に向かうように誘導する誘導部が設けられている。
【0009】
この構成によれば、カテーテルのシャフトのうち、第2ルーメンに連通する側面開口には誘導部が設けられている。誘導部は、医療デバイス(例えばデリバリーガイドワイヤ)がシャフトの先端側から第2ルーメンに挿入された第1の場合に、当該医療デバイスの基端部を、第2ルーメンの内側から側面開口を介して外部に出るように誘導する。換言すれば、誘導部は、カテーテルをラピッドエクスチェンジタイプ(Rxタイプ)として用いる第1の場合に、医療デバイスの基端部を、ガイドワイヤポートとして機能する側面開口から外部に出るように誘導することで、Rxタイプのカテーテルとしての使い勝手を向上させる。また、誘導部は、医療デバイス(例えば貫通用ガイドワイヤ)がシャフトの基端側から第2ルーメンに挿入された第2の場合に、当該医療デバイスの先端部が、側面開口を介して外部に出ることを規制し、第2ルーメンの先端に向かうように誘導する。換言すれば、誘導部は、カテーテルをオーバーザワイヤタイプ(OTWタイプ)として用いる第2の場合に、医療デバイスの先端部が第2ルーメンの先端に向かうように誘導することで、OTWタイプのカテーテルとしての使い勝手を向上させる。
また、本構成のカテーテルによれば、第2ルーメンを異なる医療デバイスで共有することができるため、カテーテルを細径化することができ、生体管腔内(例えば冠動脈内、CTO内部等)に対する、カテーテルの挿入を容易にできる。
さらに、本構成のカテーテルによれば、例えば、第1ルーメンにIVUS(生体組織へ超音波を発信及び受信することで、生体組織の情報を取得するセンサ)を挿入し、第2ルーメンにデリバリーガイドワイヤまたは貫通用ガイドワイヤを挿入する、といったように、複数の医療デバイスを一つのカテーテル内で同時に保持することができる。また、シャフトは、第2ルーメンに連通する先端開口が形成された端面よりも先端側に突出した突出部であって、第1ルーメンを含む突出部を有している。このため、第1ルーメンにIVUSを挿入し、突出部にIVUSのトランスデューサ(生体組織へ超音波を発信及び受信する部位)を配置することによって、第2ルーメンに挿通された医療デバイス(例えば、デリバリーガイドワイヤや、貫通用ガイドワイヤ等)の先端部をIVUSで観察することができる。これにより、術者は、IVUSによる2次元画像のみで生体管腔内(例えばCTO)の状態と、医療デバイスの先端部の位置とをリアルタイムで認識することができる。すなわち、本構成のカテーテルによれば、センサのガイド下(例えばIVUS Guide)での手技において従来必要とされていた、複数のデバイスを別々に操作するスキルや、センサ画像とX線画像の3次元的再構築のスキルを必要とすることなく、センサのガイド下における手技を実現できる。さらに、本構成のカテーテルによれば、センサの画像を参照するのみで手技が実現可能なため、X線画像の取得頻度を少なくすることもでき、X線撮影に伴う術者及び患者の被爆量の低減や、X線撮影のための造影剤の使用量の低減を期待できる。
これらの結果、本構成のカテーテルによれば、センサのガイド下での手技を実現可能であり、かつ、異なる医療デバイスを交換しつつ手技を進めることが可能であり、かつ、医療デバイスの交換に掛かる手間と時間を削減できる。
【0010】
(2)上記形態のカテーテルにおいて、前記誘導部は、基端部が前記シャフトの外周面に固定され、前記シャフトの外周面から前記第2ルーメンの内側に向かって傾斜したフラップ部であって、前記第1の場合に、医療デバイスの基端部を前記フラップ部の外側面に接触させることで、当該医療デバイスの基端部が外部に出るように誘導し、前記第2の場合に、医療デバイスの先端部を前記フラップ部の内側面に接触させることで、当該医療デバイスの先端部が外部に出ることを規制してもよい。
この構成によれば、誘導部は、基端部がシャフトの外周面に固定され、シャフトの外周面から第2ルーメンの内側に向かって傾斜したフラップ部である。このため、医療デバイスの基端部をフラップ部の外側面に接触させることで、簡単に、医療デバイスの基端部が外部に出るように誘導できる。同様に、医療デバイスの先端部をフラップ部の内側面に接触させることで、簡単に、医療デバイスの先端部が外部に出ることを規制できる。
【0011】
(3)上記形態のカテーテルにおいて、前記誘導部は、さらに、前記シャフトの周方向を取り囲む本体部であって、前記フラップ部と一体的に形成された本体部を有していてもよい。
この構成によれば、誘導部は、さらに、シャフトの周方向を取り囲む本体部であって、フラップ部と一体的に形成された本体部を有する。このため、例えば、カテーテルが曲率半径の小さい生体管(換言すれば、急カーブの生体管)を進む場合において、シャフトが湾曲した際に、フラップ部がシャフトから脱落することを抑制できる。
【0012】
(4)上記形態のカテーテルにおいて、前記誘導部は、前記第2ルーメンの内周面のうち、前記側面開口よりも先端側であって、前記側面開口が形成された側とは反対側の領域が、前記側面開口に向かって隆起した第1隆起部と、前記第2ルーメンの内周面のうち、前記側面開口よりも基端側であって、前記側面開口が形成された側と同じ側の領域が、前記側面開口から遠ざかる方向に隆起した第2隆起部と、により構成され、前記第1の場合に、医療デバイスの基端部を前記第1隆起部に接触させることで、当該医療デバイスの基端部が外部に出るように誘導し、前記第2の場合に、医療デバイスの先端部を前記第2隆起部に接触させることで、当該医療デバイスの先端部が外部に出ることを規制してもよい。
この構成によれば、誘導部は、第2ルーメンの内周面が隆起した第1隆起部と、第2隆起部とにより構成されている。このため、医療デバイスの基端部を第1隆起部に接触させることで、簡単に、医療デバイスの基端部が外部に出るように誘導できる。同様に、医療デバイスの先端部を第2隆起部に接触させることで、簡単に、医療デバイスの先端部が外部に出ることを規制できる。また、本構成によれば、特別な部材を追加することなく、誘導部を構成できる。
【0013】
(5)上記形態のカテーテルにおいて、前記シャフトは、さらに、前記突出部の先端部に配置され、前記シャフトの長手方向に延びる第3ルーメンを有し、前記突出部の先端面には、前記第3ルーメンに連通する第1開口が形成され、前記突出部の側面には、前記第3ルーメンに連通すると共に、前記先端開口よりも先端側に設けられた第2開口が形成されていてもよい。
この構成によれば、シャフトは、さらに、突出部の先端部に配置され、シャフトの長手方向に延びる第3ルーメンを有する。このため、第3ルーメンにデリバリーガイドワイヤを挿通させることによって、第2ルーメンよりも先端側において、デリバリーガイドワイヤを固定することができる。デリバリーガイドワイヤの固定により、センサの画像上では、デリバリーガイドワイヤを常に一定の方向に存在させることができる。このため、術者は、センサの画像を参照しつつ、デリバリーガイドワイヤを基準として、カテーテルを前後方向へ移動させたり、回転させたりすることによって、カテーテルと生体組織の標的部位(貫通用ガイドワイヤで生体組織を貫通しようとする標的部位)との位置関係を調整できる。また、第3ルーメンは、突出部の先端部に配置されているため、カテーテルを細径化することができ、生体管腔内(例えば冠動脈内、CTO内部等)に対する、カテーテルの挿入を容易にできる。
【0014】
(6)本発明の一形態によれば、再開通カテーテルシステムが提供される。この再開通カテーテルシステムは、上記形態のカテーテルと、前記第1ルーメンに挿入され、前記第1ルーメンにおいて生体組織の情報を取得するセンサと、前記第2ルーメンに挿入され、前記先端開口から外部へ誘導されると共に、生体組織を貫通するガイドワイヤと、を備える。
【0015】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、カテーテル、カテーテルの製造または使用方法、カテーテルとセンサ、デリバリーガイドワイヤ、貫通用ガイドワイヤ等の他のデバイスとを含むカテーテルシステム、カテーテルシステムの製造または使用方法などの形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】再開通カテーテルシステムの構成を例示した説明図である。
図2図1のA-A線におけるカテーテルの横断面図である。
図3】カテーテルの先端側の概略側面図である。
図4】B方向(図3)から見た誘導部の構成を示す図である。
図5】第1の場合における誘導部の動作について説明する図である。
図6】第2の場合における誘導部の動作について説明する図である。
図7】イメージングセンサの概略図である。
図8】再開通カテーテルシステムの使用方法について説明する図である。
図9】再開通カテーテルシステムの使用方法について説明する図である。
図10】第2実施形態のカテーテルの先端側の概略側面図である。
図11】B方向(図10)から見た誘導部の構成を示す図である。
図12】第3実施形態のカテーテルの先端側の概略側面図である。
図13】第1の場合における誘導部の動作について説明する図である。
図14】第2の場合における誘導部の動作について説明する図である。
図15】第4実施形態のカテーテルの先端側の概略側面図である。
図16】第5実施形態のカテーテルの先端側の概略側面図である。
図17】第6実施形態のカテーテルの横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、再開通カテーテルシステム1の構成を例示した説明図である。再開通カテーテルシステム1は、例えば、血管に生じたCTO(慢性完全閉塞、CTO:Chronic Total Occlusion)を順行性アプローチで治療する場合に用いられる。再開通カテーテルシステム1は、カテーテル100と、イメージングセンサ200と、イメージングコンソール300と、貫通用ガイドワイヤ400と、を備えている。図1では、カテーテル100の概略側面図を表すと共に、第1インナーシャフト102に挿入されたイメージングセンサ200の先端側の一部分を、実線で表す。
【0018】
図1では、説明の便宜上、各構成部材の大きさの相対比を実際とは異なるように記載している部分を含んでいる。また、各構成部材の一部を誇張して記載している部分を含んでいる。また、図1には、相互に直交するXYZ軸を図示する。X軸はカテーテル100及び貫通用ガイドワイヤ400の長手方向に対応し、Y軸はカテーテル100及び貫通用ガイドワイヤ400の高さ方向に対応し、Z軸はカテーテル100及び貫通用ガイドワイヤ400の幅方向に対応する。図1の左側(-X軸方向)をカテーテル100及び各構成部材の「先端側」と呼び、図1の右側(+X軸方向)をカテーテル100及び各構成部材の「基端側」と呼ぶ。また、カテーテル100及び各構成部材の長手方向(X軸方向)における両端のうち、先端側に位置する一端を「先端」と呼び、基端側に位置する他端を「基端」と呼ぶ。また、先端及びその近傍を「先端部」と呼び、基端及びその近傍を「基端部」と呼ぶ。先端側は生体内部へ挿入され、基端側は医師等の術者により操作される。これらの点は、図1以降においても共通する。
【0019】
図2は、図1のA-A線におけるカテーテル100の横断面図である。図3は、カテーテル100の先端側の概略側面図である。図3では、カテーテル100内のルーメンを破線で表すと共に、第1インナーシャフト102に挿入されたイメージングセンサ200の先端側の一部分を、実線で表す。また、図3の上部破線枠のうち、左側の破線枠内には、誘導部13を取り外した状態のシャフト101~104を図示する。右側の破線枠内には、誘導部13を図示する。
【0020】
図1図3を用いて、カテーテル100の構成について説明する。図1に示すように、カテーテル100は、シャフト101~104と、誘導部13と、先端マーカ128と、基端マーカ129と、調節器105と、を有している。なお、図1及び以降の図では、他の部材との区別のため、誘導部13に斜線ハッチングを付す。
【0021】
図2に示すように、シャフト101~104は、アウターシャフト101と、第1インナーシャフト102と、第2インナーシャフト103と、先端チップ104(図1参照)と、封止部材114と、ブレード115とを有している。
【0022】
アウターシャフト101、第1インナーシャフト102、及び第2インナーシャフト103は、いずれも中空の長尺状であり、略円形状の横断面を有している。第1インナーシャフト102及び第2インナーシャフト103は、アウターシャフト101のルーメン内に挿入されており、アウターシャフト101の長手方向に沿って、互いに略平行に延びている。第1インナーシャフト102の内側には、第1ルーメン102Lが設けられている。第1ルーメン102Lは、シャフト101~104に対して、イメージングセンサ200を挿入するための「センサ用ルーメン」として機能する。第2インナーシャフト103の内側には、第2ルーメン103Lが設けられている。第2ルーメン103Lは、シャフト101~104に対して、デリバリーガイドワイヤ70(図2)や貫通用ガイドワイヤ400(図1)を挿入するための「ワイヤ用ルーメン」として機能する。詳細は後述する。第1ルーメン102Lと第2ルーメン103Lとは、互いに略平行となるように、並んで配置されている。
【0023】
封止部材114は、アウターシャフト101内において、第1インナーシャフト102及び第2インナーシャフト103を封止(固定)している。封止部材114は、アウターシャフト101の内側、かつ、第1インナーシャフト102及び第2インナーシャフト103の外側に配置されている。アウターシャフト101、第1インナーシャフト102、第2インナーシャフト103、及び封止部材114は、絶縁性を有する樹脂で形成され、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンープロピレン共重合体などのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタラートなどのポリエステル、ポリ塩化ビニル、エチレンー酢酸ビニル共重合体、架橋型エチレンー酢酸ビニル共重合体、ポリウレタンなどの熱可塑性樹脂、ポリアミドエラストマー、ポリオレフィンエラストマー、ポリウレタンエラストマー、シリコーンゴム、ラテックスゴム等により形成され得る。なお、絶縁性を有する樹脂に代えて、公知の材料によって形成されてもよい。
【0024】
ブレード115は、素線を編組して形成した補強部材である。ブレード115は、アウターシャフト101の肉厚部に埋設されている。ブレード115を構成する素線は、金属材料(例えば、SUS304等のステンレス鋼、ニッケルチタン合金、X線不透過材料である金、白金、タングステンを含む合金等)で形成され得る。ブレード115を構成する素線は、これら以外の公知の金属材料で形成されてもよい。なお、アウターシャフト101の肉厚部には、ブレード115に代えて、素線を螺旋状に巻回して形成されたコイル体が埋設されていてもよい。コイル体を構成する素線は、ブレード115と同様に、公知の金属材料で形成できる。
【0025】
図1に示すように、第1インナーシャフト102の長さは、アウターシャフト101及び第2インナーシャフト103の長さよりも長い。また、第2インナーシャフト103の長さは、アウターシャフト101の長さと略同一、または、アウターシャフト101の長さよりもわずかに長い。アウターシャフト101、第1インナーシャフト102、及び第2インナーシャフト103は、基端をそろえた状態で固定されている。すなわち、図1に示すように、第1インナーシャフト102の先端側の一部分と、第2インナーシャフト103の先端側の端面108とは、それぞれ、アウターシャフト101の先端から突出している。
【0026】
図3に示すように、第1インナーシャフト102の先端側の一部分(アウターシャフト101の先端から突出した部分)には、イメージングセンサ200のトランスデューサ201が配置される。このトランスデューサ201によって、第2ルーメン103L(ワイヤ用ルーメン)に挿通されたデリバリーガイドワイヤ70(図5において後述)や、貫通用ガイドワイヤ400(図6において後述)の様子を観察できる。イメージングセンサ200は、トランスデューサ201から、生体組織に超音波を発信するとともにその反射音を受信する。このため、第1インナーシャフト102の先端側の一部分(アウターシャフト101の先端から突出した部分)は、第1インナーシャフト102のうちのアウターシャフト101の内部に位置する部分と比べて、生体組織との音響インピーダンスの差が小さい樹脂、例えば、ポリエチレンで形成されることが好ましい。また、第1インナーシャフト102の先端側の一部分(アウターシャフト101の先端から突出した部分)は、肉厚部の厚さを、第1インナーシャフト102のうちのアウターシャフト101の内部に位置する部分と比べて、薄くしてもよい。
【0027】
第2インナーシャフト103の先端側の端面108は、アウターシャフト101の中心に近い側から、外側に向かって傾斜している。また、端面108には、第2ルーメン103L(ワイヤ用ルーメン)に連通する先端開口103aが形成されている。
【0028】
先端チップ104は、第1インナーシャフト102の先端部に接合されている。先端チップ104は、先端部にRが付された略円柱状の部材である。先端チップ104は任意の形状とでき、例えば、基端側から先端側に向かって外径が縮径した略円錐台状であってもよい。先端チップ104には、シャフト101~104の長手方向(X軸方向)に延びる第3ルーメン104Lが形成されている。また、先端チップ104の先端面には、第3ルーメン104Lに連通する第1開口104aが形成されている。先端チップ104の側面には、第3ルーメン104Lに連通する第2開口104bが形成されている。図1に示すように、第1開口104aは、第2開口104bよりも先端側に配置されている。また、第2開口104bは、第2インナーシャフト103の先端開口103aよりも先端側に配置されている。先端チップ104は、柔軟性を有する樹脂材料、例えば、ポリウレタンエラストマーで形成されることが好ましい。先端チップ104と第1インナーシャフト102との接合には、例えば、熱溶融による樹脂同士の接合またはエポキシ系接着剤などの絶縁性の接着剤による接合を採用できる。
【0029】
以降、第1インナーシャフト102の先端側のうち端面108よりも先端側に突出した部分と、先端チップ104とを総称して「突出部109」とも呼ぶ。
【0030】
シャフト101~104の側面のうち、先端開口103aよりも基端側には、側面開口103bが形成されている。図3左側の破線枠内に示すように、側面開口103bは、シャフト101~104(具体的には、アウターシャフト101と、第2インナーシャフト103と、封止部材114と、ブレード115)の一部分を、周方向に切り欠いた切欠部SOにより形成されている。図3の下部に示すように、側面開口103bには、誘導部13が設けられている。
【0031】
誘導部13は、第2ルーメン103Lに挿入された医療デバイス(デリバリーガイドワイヤ70や、貫通用ガイドワイヤ400)の端部を誘導するための部材である。本実施形態の誘導部13は、アウターシャフト101の外周面のうち、側面開口103bが形成された位置に嵌め込まれている。図3右側の破線枠内に示すように、誘導部13は、本体部131と、フラップ部132を有している。なお、誘導部13は、本体部131の内周面と、アウターシャフト101の外周面とを接合することにより、シャフト101~104に固定されてもよい。接合には、エポキシ系接着剤などの任意の接合剤を利用してもよく、熱溶融による接合でもよい。
【0032】
図4は、B方向(図3)から見た誘導部13の構成を示す図である。本体部131は、アウターシャフト101の周方向を取り囲む環状の部材である。図4に示すように、フラップ部132は、本体部131に繋がる基端部から、先端側に向かって内側に傾斜した、略半円形の平板状部材である。なお、フラップ部132は、略半円形状のほか、略円形状、略楕円形状、略矩形形状、略多角形形状等の任意の形状としてよい。また、フラップ部132は、平板状のほか、波板状、湾曲板状、屈折板状、隆起状等の任意の形状としてよい。図3の下部に示すように、誘導部13がアウターシャフト101に嵌め込まれた状態において、フラップ部132は、基端部がアウターシャフト101の外周面に固定され、アウターシャフト101の外周面から第2ルーメン103Lの内側に向かって傾斜した状態となる。本実施形態では、本体部131とフラップ部132とは、一体的に形成されている。本体部131及びフラップ部132は、例えば、ウレタン樹脂やシリコン樹脂等の、伸縮性を有する樹脂材料により形成できる。
【0033】
図5は、第1の場合における誘導部13の動作について説明する図である。なお、図5では、医療デバイスとしてのデリバリーガイドワイヤ70を、ドットハッチングを付して表す。デリバリーガイドワイヤ70が、シャフト101~104の先端側から第2ルーメン103Lに挿入されて、第2ルーメン103Lの内側を先端側から基端側に向かって進む場合を「第1の場合」と呼ぶ。換言すれば、第1の場合は、カテーテル100をラピッドエクスチェンジタイプ(Rxタイプ)のカテーテルとして用いる場合である。
【0034】
図5に示すように、第1の場合において術者は、デリバリーガイドワイヤ70の基端部を、第1開口104aから第3ルーメン104Lに挿通し、第2開口104bから外部へ引き出し、先端開口103aから第2ルーメン103Lに再び挿通し、側面開口103bから外部へ引き出す。この時、誘導部13は、デリバリーガイドワイヤ70の基端部を、第2ルーメン103Lの内側から、側面開口103bを介して外部に出るように誘導する。具体的には、誘導部13のフラップ部132は、デリバリーガイドワイヤ70の基端部を、フラップ部132の外側面132oに接触させることで、デリバリーガイドワイヤ70の基端部が、外部に出るように誘導する。
【0035】
図6は、第2の場合における誘導部13の動作について説明する図である。なお、図6では、医療デバイスとしての貫通用ガイドワイヤ400を、ドットハッチングを付して表す。貫通用ガイドワイヤ400が、シャフト101~104の基端側から第2ルーメン103Lに挿入されて、第2ルーメン103Lの内側を基端側から先端側に向かって進む場合を「第2の場合」と呼ぶ。換言すれば、第2の場合は、カテーテル100をオーバーザワイヤタイプ(OTWタイプ)のカテーテルとして用いる場合である。
【0036】
図6に示すように、第2の場合において術者は、貫通用ガイドワイヤ400の先端部を、第2ルーメン103Lの基端側の開口103c(図1)から第2ルーメン103Lに挿通し、先端開口103aから外部へ引き出す。この時、誘導部13は、貫通用ガイドワイヤ400の先端部が、側面開口103bを介して外部に出ることを抑制し、第2ルーメン103Lの先端に向かうように誘導する。具体的には、誘導部13のフラップ部132は、貫通用ガイドワイヤ400の先端部を、フラップ部132の内側面132iに接触させることで、貫通用ガイドワイヤ400の先端部が外部に出ることを規制する。この結果、図6に破線で示すように、貫通用ガイドワイヤ400は、側面開口103bを乗り越えて、第2ルーメン103Lを先端側に向かって進み、貫通用ガイドワイヤ400の先端部を先端開口103aから突出させることができる。
【0037】
図1に戻り、説明を続ける。先端マーカ128及び基端マーカ129は、突出部109の側面に配置されており、血管内に挿入されたカテーテル100の位置(具体的には突出部109の位置)を表す目印として機能する。先端マーカ128は、シャフト101~104の長手方向(X軸方向)において、第1インナーシャフト102と先端チップ104の間に設けられている。基端マーカ129は、シャフト101~104の長手方向(X軸方向)において、突出部109の基端部に設けられている。先端マーカ128及び基端マーカ129は、放射線不透過性を有する樹脂材料や金属材料により形成できる。例えば、樹脂材料を用いる場合、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂等に対して、三酸化ビスマス、タングステン、硫酸バリウム等の放射線不透過材料を混ぜて形成できる。例えば、金属材料を用いる場合、放射線不透過材料である金、白金、タングステン、またはこれらの元素を含む合金(例えば、白金ニッケル合金)等で形成できる。
【0038】
図1に示すように、調節器105は、第1ルーメン102Lにおけるイメージングセンサ200の前進後退を行うための操作部である。調節器105は、術者が操作可能なダイヤルを備えており、ダイヤルを回転させることで、第1ルーメン102Lに挿入されたイメージングセンサ200が、前進、または後退する。調節器105は、アウターシャフト101と同様に、絶縁性を有する樹脂、または、公知の材料によって形成されている。調節器105の材料は、アウターシャフト101の材料と同じでもよく、異なっていてもよい。
【0039】
図7は、イメージングセンサ200の概略図である。イメージングセンサ200は、長尺状の外形を有し、生体組織の情報を取得する「センサ」である。イメージングセンサ200は、トランスデューサ201と、ドライビングケーブル202と、コネクタ203を有している。トランスデューサ201は、生体組織に向けて超音波を発信し、生体組織を伝搬して反射した超音波を受信する超音波探触子(超音波振動子、圧電体、超音波送受信素子、超音波素子とも呼ばれる)を備えている。ドライビングケーブル202はその内側に、トランスデューサ201とモータドライブ204とを電気的に接続する同軸線を有する。コネクタ203は、ドライビングケーブル202の同軸線とトランスデューサ201の回転を制御するモータドライブ204とを接続する。なお、モータドライブ204はケーブル50によりイメージングコンソール300と電気的に接続されている。
【0040】
図1に示すイメージングコンソール300は、イメージングセンサ200を制御すると共に、画像を生成し、表示する。具体的には、イメージングコンソール300は、調節器105の操作に応じて、第1ルーメン102L内のトランスデューサ201を、第1インナーシャフト102の長手方向(X軸方向)に移動させ、また、第1インナーシャフト102の周方向(YZ軸方向)に回転させる。また、イメージングコンソール300は、図示しない入力手段を介した術者の操作に応じて、トランスデューサ201から超音波を発信し、トランスデューサ201によって反射波を受信させる。トランスデューサ201が受信した反射波は、ドライビングケーブル202及びケーブル50を介して、イメージングコンソール300に送信される。イメージングコンソール300は、受信した反射波の強度に応じた濃淡の諧調を付した画像(2次元画像)を生成し、生成した画像をディスプレイ302に表示させる。以降、イメージングセンサ200により取得され、ディスプレイ302に表示された画像を「センサ画像」とも呼ぶ。
【0041】
図1に示す貫通用ガイドワイヤ400は、先端に尖状部を備える長尺な医療デバイスである。尖状部は、基端側から先端側に向かって、やじり形状或いは楔形状とされた部分である。貫通用ガイドワイヤ400では、先端に設けられた尖状部によって、生体組織を貫通することができる。貫通用ガイドワイヤ400は「生体組織を貫通するガイドワイヤ」に相当する。
【0042】
図8及び図9は、再開通カテーテルシステム1の使用方法について説明する図である。図8及び図9では、生体管腔の一例としての冠動脈80と、冠動脈80に発生したCTO81と、冠動脈80の内膜または内膜下に形成された偽腔82(デリバリーガイドワイヤ70により形成された真腔以外の全ての解離腔)と、真腔84と、偽腔82と真腔84との間に存在する線維性皮膜またはプラーク83(以下「線維性皮膜83」とも呼ぶ)と、をそれぞれ示す。なお、線維性皮膜83は、CTO病変の表面に繊維状に形成されることがある。
【0043】
図8(A)は、冠動脈80にデリバリーガイドワイヤ70を挿入した様子を示す。図8(A)では、術者が操作するデリバリーガイドワイヤ70が、冠動脈80の内膜に迷入し、あるいは内膜下で偽腔82を形成している。
【0044】
図8(B)は、デリバリーガイドワイヤ70を用いてカテーテル100をデリバリする様子を示す。術者は、図5で説明した操作を行うことによって、カテーテル100にデリバリーガイドワイヤ70を挿通する。図5で説明した通り、本実施形態のカテーテル100では、先端開口103aから第2ルーメン103Lに挿通したデリバリーガイドワイヤ70を、側面開口103bから外部に引き出す。このため、デリバリーガイドワイヤ70を、基端側の開口103cから引き出す場合(以降「従来の場合」とも呼ぶ)と比較して、第2ルーメン103L内においてデリバリーガイドワイヤ70を送り出す距離を短くできる。この結果、カテーテル100のデリバリー時にデリバリーガイドワイヤ70の基端部を支持することが可能となり、カテーテル挿入に伴うデリバリーガイドワイヤ70のずれや抜けを防止することができる。を挿通するために要する時間を短縮できる。その後、術者は、図8(B)に示すように、デリバリーガイドワイヤ70に沿わせて、カテーテル100を偽腔82までデリバリする。
【0045】
図9(A)は、カテーテル100及びイメージングセンサ200の位置を調整する様子を示す。術者は、次のa1~a3に示す各位置の調整を行う。
(a1)カテーテル100の長手方向(図1:X軸方向)における位置の調整。術者は、カテーテル100を冠動脈80に沿って移動させることで、カテーテル100の突出部109を、貫通用ガイドワイヤ400による真腔84への穿通のために最適な位置に配置する。調整a1は、X線画像上の先端マーカ128及び基端マーカ129、または、センサ画像上の冠動脈80を確認しつつ、実施できる。
(a2)カテーテル100の周方向(図1:YZ軸方向)における向きの調整。術者は、カテーテル100を周方向に回転させることで、カテーテル100が、図示の向き(すなわち、先端開口103aがCTO81側に位置する向き)となるよう調整する。調整a2は、センサ画像上のデリバリーガイドワイヤ70と冠動脈80との位置関係を確認しつつ、実施できる。
(a3)イメージングセンサ200のトランスデューサ201についての、長手方向(図1:X軸方向)における位置の調整。術者は、調節器105を操作することで、トランスデューサ201が、貫通用ガイドワイヤ400の穿通を観察するために適した位置となるよう、トランスデューサ201を移動させる。調整a3は、センサ画像上の冠動脈80を確認しつつ、実施できる。
【0046】
図9(B)は、貫通用ガイドワイヤ400で生体組織を貫通する様子を示す。まず術者は、デリバリーガイドワイヤ70を抜去する。この際、本実施形態のカテーテル100では、第2ルーメン103L内に挿入されているデリバリーガイドワイヤ70の長さが、図8(B)で説明した従来の場合よりも短い。
【0047】
デリバリーガイドワイヤ70の抜去後、術者は、図6で説明した操作を行うことによって、カテーテル100に貫通用ガイドワイヤ400を挿通する。図6で説明した通り、本実施形態のカテーテル100では、誘導部13によって、貫通用ガイドワイヤ400の先端部が誘導される。このため、貫通用ガイドワイヤ400の先端部を、スムーズに先端開口103aから突出させることができる。その後、術者は、センサ画像上の貫通用ガイドワイヤ400の先端を確認しつつ、貫通用ガイドワイヤ400の尖状部を前述の穿通の至適部位に誘導する。その後、貫通用ガイドワイヤ400の尖状部を用いて生体組織を貫通し、貫通用ガイドワイヤ400の先端を真腔84に到達させる。
【0048】
このような方法により、再開通カテーテルシステム1によるCTO81の開通が可能となる。上述した方法はあくまで一例であり、再開通カテーテルシステム1は、種々の手技で使用できる。例えば、再開通カテーテルシステム1は、偽腔82から真腔84へのアプローチに限らず、近位側の真腔84から遠位側の真腔84へのCTOを貫通するアプローチを行う際に使用されてもよい。
【0049】
以上のように、第1実施形態のカテーテル100によれば、シャフト101~104のうち、第2ルーメン103Lに連通する側面開口103bには誘導部13が設けられている。誘導部13は、医療デバイス(例えばデリバリーガイドワイヤ70)がシャフト101~104の先端側から第2ルーメン103Lに挿入された第1の場合に、当該デリバリーガイドワイヤ70の基端部を、第2ルーメン103Lの内側から側面開口103bを介して外部に出るように誘導する(図5)。換言すれば、誘導部13は、カテーテル100をラピッドエクスチェンジタイプ(Rxタイプ)として用いる第1の場合に、デリバリーガイドワイヤ70の基端部を、ガイドワイヤポートとして機能する側面開口103bから外部に出るように誘導することで、Rxタイプのカテーテルとしての使い勝手を向上させる。また、誘導部13は、医療デバイス(例えば貫通用ガイドワイヤ400)がシャフト101~104の基端側から第2ルーメン103Lに挿入された第2の場合に、当該貫通用ガイドワイヤ400の先端部が、側面開口103bを介して外部に出ることを規制し、第2ルーメン103Lの先端に向かうように誘導する。換言すれば、誘導部13は、カテーテル100をオーバーザワイヤタイプ(OTWタイプ)として用いる第2の場合に、貫通用ガイドワイヤ400の先端部が第2ルーメン103Lの先端に向かうように誘導することで、OTWタイプのカテーテルとしての使い勝手を向上させる。
【0050】
また、第2ルーメン103Lを異なる医療デバイス(例えば、上述したデリバリーガイドワイヤ70と貫通用ガイドワイヤ400)で共有することができるため、カテーテル100を細径化することができ、生体管腔内(例えば冠動脈80内、CTO81内部等)に対する、カテーテル100の挿入を容易にできる。
【0051】
さらに、例えば、第1ルーメン102LにIVUS(生体組織へ超音波を発信及び受信することで、生体組織の情報を取得するセンサ)を挿入し、第2ルーメン103Lにデリバリーガイドワイヤ70または貫通用ガイドワイヤ400を挿入する、といったように、複数の医療デバイスを一つのカテーテル100内で同時に保持することができる。また、シャフト101~104は、第2ルーメン103Lに連通する先端開口103aが形成された端面108よりも先端側に突出した突出部109であって、第1ルーメン102Lを含む突出部109を有している。このため、第1ルーメン102Lにイメージングセンサ200(IVUS)を挿入し、突出部109にイメージングセンサ200のトランスデューサ201(生体組織へ超音波を発信及び受信する部位)を配置することによって、第2ルーメン103Lに挿通された医療デバイス(例えば、デリバリーガイドワイヤ70や、貫通用ガイドワイヤ400等)の先端部をイメージングセンサ200で観察することができる。これにより、術者は、イメージングセンサ200による2次元画像のみで生体管腔内(例えばCTO81)の状態と、医療デバイスの先端部の位置とをリアルタイムで認識することができる。すなわち、第1実施形態のカテーテル100によれば、イメージングセンサ200のガイド下(例えばIVUS Guide)での手技において従来必要とされていた、複数のデバイスを別々に操作するスキルや、センサ画像とX線画像の3次元的再構築のスキルを必要とすることなく、イメージングセンサ200のガイド下における手技を実現できる。さらに、第1実施形態のカテーテル100によれば、イメージングセンサ200のセンサ画像を参照するのみで手技が実現可能なため、X線画像の取得頻度を少なくすることもでき、X線撮影に伴う術者及び患者の被爆量の低減や、X線撮影のための造影剤の使用量の低減を期待できる。
【0052】
これらの結果、第1実施形態のカテーテル100によれば、イメージングセンサ200のガイド下での手技を実現可能であり、かつ、異なる医療デバイス(例えば、上述したデリバリーガイドワイヤ70と貫通用ガイドワイヤ400)を交換しつつ手技を進めることが可能であり、かつ、医療デバイスの交換に掛かる手間と時間を削減できる。
【0053】
また、第1実施形態のカテーテル100によれば、誘導部13は、基端部がシャフト101~104(具体的には、アウターシャフト101)の外周面に固定され、アウターシャフト101の外周面から第2ルーメン103Lの内側に向かって傾斜したフラップ部132である。このため、デリバリーガイドワイヤ70の基端部をフラップ部132の外側面132oに接触させることで、簡単に、デリバリーガイドワイヤ70の基端部が外部に出るように誘導できる。同様に、貫通用ガイドワイヤ400の先端部をフラップ部132の内側面132iに接触させることで、簡単に、貫通用ガイドワイヤ400の先端部が外部に出ることを規制できる。
【0054】
さらに、第1実施形態のカテーテル100によれば、誘導部13は、さらに、シャフト101~104(具体的には、アウターシャフト101)の周方向を取り囲む本体部131であって、フラップ部132と一体的に形成された本体部131を有する。このため、例えば、カテーテル100が曲率半径の小さい生体管(換言すれば、急カーブの生体管)を進む場合において、シャフト101~104が湾曲した際に、フラップ部132がシャフト101~104から脱落することを抑制できる。
【0055】
さらに、第1実施形態のカテーテル100によれば、シャフト101~104(具体的には、先端チップ104)は、さらに、突出部109の先端部に配置され、シャフト101~104の長手方向に延びる第3ルーメン104Lを有する。このため、第3ルーメン104Lにデリバリーガイドワイヤ70を挿通させることによって、第2ルーメン103Lよりも先端側において、デリバリーガイドワイヤ70を固定することができる(図5)。デリバリーガイドワイヤ70の固定により、イメージングセンサ200のセンサ画像上では、デリバリーガイドワイヤ70を常に一定の方向に存在させることができる。このため、術者は、センサ画像を参照しつつ、デリバリーガイドワイヤ70を基準として、カテーテル100を前後方向へ移動させたり、回転させたりすることによって、カテーテル100と生体組織の標的部位(貫通用ガイドワイヤ400で生体組織を貫通しようとする標的部位)との位置関係を調整できる。また、第3ルーメン104Lは、突出部109の先端部に配置されているため、カテーテル100を細径化することができ、生体管腔内(例えば冠動脈80内、CTO81内部等)に対する、カテーテル100の挿入を容易にできる。
【0056】
<第2実施形態>
図10は、第2実施形態のカテーテル100Aの先端側の概略側面図である。図10の構成は、図3の構成と同様である。図11は、B方向(図10)から見た誘導部13Aの構成を示す図である。第2実施形態の再開通カテーテルシステム1Aは、第1実施形態で説明したカテーテル100に代えてカテーテル100Aを備える。カテーテル100Aは、第1実施形態で説明した構成において、誘導部13に代えて誘導部13Aを備える。誘導部13Aは、フラップ部132のみからなり、本体部131を備えていない。フラップ部132の縁部132e(図11:破線枠内)は、アウターシャフト101の外周面のうち、切欠部SOの端部に接合されている。接合には、エポキシ系接着剤などの任意の接合剤を利用してもよく、熱溶融等によって埋設されてもよい。
【0057】
このように、誘導部13Aの構成は種々の変更が可能であり、フラップ部132のみから誘導部13Aが構成されてもよい。また、フラップ部132の形状は、第1実施形態で説明した通り、種々の変更が可能である。以上のような第2実施形態のカテーテル100Aを備える再開通カテーテルシステム1Aによっても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0058】
<第3実施形態>
図12は、第3実施形態のカテーテル100Bの先端側の概略側面図である。第3実施形態の再開通カテーテルシステム1Bは、第1実施形態で説明したカテーテル100に代えてカテーテル100Bを備える。カテーテル100Bは、第1実施形態で説明した構成において、誘導部13に代えて誘導部13Bを備える。
【0059】
誘導部13Bは、第2ルーメン103Lに挿入された医療デバイス(デリバリーガイドワイヤ70や、貫通用ガイドワイヤ400)の端部を誘導するための構成である。本実施形態の誘導部13Bは、第2ルーメン103Lの内周面に形成された第1隆起部SP1とと、第2隆起部SP2とにより構成されている。第1隆起部SP1は、第2ルーメン103Lの内周面のうち、側面開口103bよりも先端側であって、側面開口103bが形成された側とは反対側の領域(図12:-X軸方向かつ+Y軸方向の領域)が、側面開口103bに向かって隆起した部分である。第2隆起部SP2は、第2ルーメン103Lの内周面のうち、側面開口103bよりも基端側であって、側面開口103bが形成された側と同じ側の領域(図12:+X軸方向かつ-Y軸方向の領域)が、側面開口103bから遠ざかる方向に向かって隆起した部分である。
【0060】
図13は、第1の場合における誘導部13Bの動作について説明する図である。第1の場合とは、カテーテル100をRxタイプのカテーテルとして用いる場合である。図13に示すように、第1の場合において誘導部13Bは、デリバリーガイドワイヤ70の基端部を、第2ルーメン103Lの内側から、側面開口103bを介して外部に出るように誘導する。具体的には、誘導部13Bは、デリバリーガイドワイヤ70の基端部を第1隆起部SP1に接触させることで、デリバリーガイドワイヤ70の基端部が、外部に出るように誘導する。
【0061】
図14は、第2の場合における誘導部13Bの動作について説明する図である。第2の場合とは、カテーテル100をOTWタイプのカテーテルとして用いる場合である。図14に示すように、第2の場合において誘導部13Bは、貫通用ガイドワイヤ400の先端部が、側面開口103bを介して外部に出ることを抑制し、第2ルーメン103Lの先端に向かうように誘導する。具体的には、誘導部13Bは、貫通用ガイドワイヤ400の先端部を第2隆起部SP2に接触させることで、貫通用ガイドワイヤ400の先端部が外部に出ることを規制する。この結果、図14に破線で示すように、貫通用ガイドワイヤ400は、側面開口103bを乗り越えて、第2ルーメン103Lを先端側に向かって進み、貫通用ガイドワイヤ400の先端部を先端開口103aから突出させることができる。
【0062】
このように、誘導部13Bの構成は種々の変更が可能であり、本体部131やフラップ部132を用いずに構成してもよい。また、第1隆起部SP1及び第2隆起部SP2の隆起形状は任意に定めることができる。第1隆起部SP1と第2隆起部SP2のうちの少なくとも一方は、第2ルーメン103Lの内周面に対して、任意の接合剤や、ろう材、光硬化性樹脂等を盛ることにより形成してもよい。以上のような第3実施形態のカテーテル100Bを備える再開通カテーテルシステム1Bによっても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0063】
さらに、第3実施形態のカテーテル100Bによれば、誘導部13Bは、第2ルーメン103Lの内周面が隆起した第1隆起部SP1と、第2隆起部SP2とにより構成されている。このため、医療デバイス(デリバリーガイドワイヤ70)の基端部を第1隆起部SP1に接触させることで、簡単に、デリバリーガイドワイヤ70の基端部が外部に出るように誘導できる。同様に、医療デバイス(貫通用ガイドワイヤ400)の先端部を第2隆起部SP2に接触させることで、簡単に、貫通用ガイドワイヤ400の先端部が外部に出ることを規制できる。また、第3実施形態のカテーテル100Bによれば、特別な部材を追加することなく、誘導部13Bを構成できる。
【0064】
<第4実施形態>
図15は、第4実施形態のカテーテル100Cの先端側の概略側面図である。第4実施形態のカテーテル100Cは、第1実施形態で説明したカテーテル100に代えてカテーテル100Cを備える。カテーテル100Cは、第1実施形態で説明した構成において、誘導部13に代えて誘導部13Cを備える。誘導部13Cは、フラップ部132Cのみからなり、本体部131を備えていない。フラップ部132Cは、シャフト101~104の一部分を用いて形成されている。
【0065】
フラップ部132Cは、例えば、次のようにして形成できる。まず、シャフト101~104(具体的には、アウターシャフト101と、第2インナーシャフト103と、封止部材114と、ブレード115)に対して、周方向に延びる切り込みSO1を設ける。次に、切り込みSO1よりも基端側のシャフト101~104を加熱し、シャフト101~104を、第2ルーメン103Lの内側に向かって収縮(変形)させる。
【0066】
このように、誘導部13Cの構成は種々の変更が可能であり、シャフト101~104の一部分を用いてフラップ部132Cを形成してもよい。フラップ部132Cは、加熱加工以外の任意の加工により形成してよい。フラップ部132Cは、図5及び図6で説明したようにして医療デバイスを誘導可能な限りにおいて、任意の形状とできる。以上のような第4実施形態のカテーテル100Cを備える再開通カテーテルシステム1Cによっても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、第4実施形態のカテーテル100Cによれば、特別な部材を追加することなく、簡単に、誘導部13Cを構成できる。
【0067】
<第5実施形態>
図16は、第5実施形態のカテーテル100Dの先端側の概略側面図である。第5実施形態の再開通カテーテルシステム1Dは、第1実施形態で説明したカテーテル100に代えてカテーテル100Dを備える。
【0068】
カテーテル100Dは、第1実施形態で説明した構成において、先端チップ104及び第2ルーメン103Lを備えていない。また、第1インナーシャフト102の先端には、第1ルーメン102Lに連通する第1開口102aが形成されている。第1インナーシャフト102の側面であって、第2ルーメン103Lの中心軸の延長線に面する側には、第1ルーメン102Lに連通する第2開口102bが形成されている。カテーテル100Dでは、デリバリーガイドワイヤ70を挿通させる際に、まず、第1開口102aから第1ルーメン102L内にデリバリーガイドワイヤ70を挿通し、第2開口102bからデリバリーガイドワイヤ70を引き出す。次に、先端開口103aから第2ルーメン103Lにデリバリーガイドワイヤ70を挿通し、側面開口103bからデリバリーガイドワイヤ70を引き出す。
【0069】
このように、カテーテル100Dの構成は種々の変更が可能であり、先端チップ104を設けずに、第1インナーシャフト102を用いて、第1実施形態と同様の構成を実現してもよい。以上のような第5実施形態のカテーテル100Dを備える再開通カテーテルシステム1Dによっても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、第5実施形態のカテーテル100Dによれば、特別な部材を追加することなく、簡単に、第1実施形態の第3ルーメン104Lに相当する構成を実現できる。
【0070】
<第6実施形態>
図17は、第6実施形態のカテーテル100Eの横断面図である。図17は、図1のA-A線におけるカテーテル100Eの横断面図を表す。第6実施形態の再開通カテーテルシステム1Eは、第1実施形態で説明したカテーテル100に代えてカテーテル100Eを備える。
【0071】
カテーテル100Eは、第1実施形態で説明したアウターシャフト101、第1インナーシャフト102、第2インナーシャフト103、先端チップ104、封止部材114、及びブレード115を有しておらず、単一のシャフト101Eにより構成されている。シャフト101Eは、単一の部材により構成されている点を除いて、第1実施形態のシャフト101~104と同様の構成を有する。すなわち、シャフト101Eの内側には、第1ルーメン102L、第2ルーメン103L、及び第3ルーメン104Lが形成されている。また、シャフト101Eは、突出部109、第1開口104a、第2開口104b、先端開口103a、側面開口103b、基端側の開口103c、端面108を有している。シャフト101Eの側面開口103bに対応する位置には、第1実施形態で説明した誘導部13が設けられている。
【0072】
このように、カテーテル100Eの構成は種々の変更が可能であり、単一のシャフト101Eにより構成されてもよい。また、シャフト101Eは、第6実施形態で省略するとした部材の少なくとも一部(例えば、第3ルーメン104Lが形成された先端チップ104)を備えていてもよい。以上のような第6実施形態のカテーテル100Eを備える再開通カテーテルシステム1Eによっても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0073】
<本実施形態の変形例>
本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0074】
[変形例1]
上記第1~第6実施形態では、再開通カテーテルシステム1,1A~1Eの構成の一例を示した。しかし、再開通カテーテルシステム1の構成は種々の変更が可能である。例えば、イメージングセンサ200として、超音波の発進及び受信以外の他の手段で生体組織の画像を取得するセンサを利用してもよい。また、イメージングセンサ200に替えてOCT(Optical Coherence Tomography)やカメラを挿入して血管内の生体組織の画像を取得することもできる。
【0075】
例えば、再開通カテーテルシステム1,1A~1Eは、貫通用ガイドワイヤ400を使用せずに、プラズマを利用した生体組織のアブレーションを行うプラズマガイドワイヤを用いてCTOの開通を図るシステムとして構成されてもよい。この場合、カテーテル100,100A~100Eにおいて、ブレード115を導電性の金属材料で構成した上で、アウターシャフト101の先端側に、ブレード115に電気的に接続された電極を設けることが好ましい。そうすれば、アウターシャフト101の先端側に設けられた電極と、ブレード115の基端側とをRFジェネレータに接続することで、プラズマガイドワイヤを利用できる。
【0076】
例えば、再開通カテーテルシステム1,1A~1Eは上述しない他の方法で使用されてもよい。例えば、再開通カテーテルシステムは、冠動脈以外の血管(例えば脳血管等)に使用されてもよく、血管以外の生体管腔内において使用されてもよい。例えば、再開通カテーテルシステム1は、CTOの開通以外の他の治療や、検査のために使用されてもよい。
【0077】
[変形例2]
上記第1~第6実施形態では、カテーテル100,100A~100Eの構成の一例を示した。しかし、カテーテル100構成は種々の変更が可能である。例えば、カテーテル100が有する第1ルーメン102Lと、第2ルーメン103Lとは、略同一の径とされてもよく、第1ルーメン102Lの方が第2ルーメン103Lよりも細径に構成されてもよい。例えば、カテーテル100は、第1ルーメン102Lや第2ルーメン103Lのほかに、他の医療デバイスのため、またはデリバリーガイドワイヤ70と貫通用ガイドワイヤ400とを同時に挿通させるための更なるルーメンを備えていてもよい。
【0078】
例えば、第1インナーシャフト102のうち、突出部109に対応する部分は、イメージングセンサ200の超音波透過性と肉厚確保との両立の観点から、ポリアミドで形成されることが好ましい。一方、第1インナーシャフト102のうち、突出部109に対応しない部分、及び、第2インナーシャフト103等は、剛性確保の観点から、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリイミド、四フッ化エチレンとパーフルオロアルコキシエチレンとの共重合体(PFA)等により形成されることが好ましく、アウターシャフト101及び封止部材114は、ポリアミドで形成されることが好ましい。また、先端チップ104は、柔軟性確保の観点から、ポリウレタンにより形成されることが好ましい。
【0079】
第1インナーシャフト102のうち、突出部109に対応しない部分の肉厚は、導電性を有するブレード115との絶縁のために、10ミクロン以上とされることが好ましい。第2インナーシャフト103の端面108は、傾斜しておらず、平坦(X軸方向に垂直)であってもよい。例えば、カテーテルは、ブレード115に代えて、導電性を有する金属材料で形成されたコイル体を、補強部材として備えていてもよい。また、ブレード115と、コイル体との両方を備えていてもよい。例えば、誘導部13は、絶縁性を有する樹脂によりコーティングされていてもよく、表面に薬剤が塗布されていてもよい。
【0080】
[変形例3]
上記第1~第6実施形態では、誘導部13,13A~13Cの構成の一例を示した。しかし、誘導部13の構成は種々の変更が可能である。例えば、本体部131と、フラップ部132との少なくとも一方を、放射線不透過性を有する部材により形成してもよい。また、誘導部13が設けられる位置に、放射線不透過性を有するマーカ部を形成してもよい。そうすれば、術者は、X線画像上で誘導部13の位置を把握できる。
【0081】
例えば、誘導部13のフラップ部132について、医療デバイスの端部の押圧を受けた場合に可動する構成としてもよい。具体的には、例えば、フラップ部132の先端側の一部分は、デリバリーガイドワイヤ70が外側面132oに接触した際に、第2ルーメン103L側に向かって動く(しなる)構成であってもよい。同様に、フラップ部132の先端側の一部分は、貫通用ガイドワイヤ400が内側面132iに接触した際に、カテーテル100の外側に向かって動く(しなる)構成であってもよい。そうすれば、より一層医療デバイスを挿通しやすくなる。
【0082】
[変形例4]
第1~6実施形態のカテーテル100,100A~100Eの構成、及び上記変形例1~3のカテーテル100,100A~100Eの構成は、適宜組み合わせてもよい。第3実施形態で説明した第1隆起部SP1及び第2隆起部SP2と、第1又は第2実施形態で説明したフラップ部132とを組み合わせて誘導部13を構成してもよい。第2,3,4実施形態のいずれかで説明した構成において、第5実施形態で説明したシャフト101~104や、第6実施形態で説明したシャフト101~104を用いてもよい。
【0083】
以上、実施形態、変形例に基づき本態様について説明してきたが、上記した態様の実施の形態は、本態様の理解を容易にするためのものであり、本態様を限定するものではない。本態様は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本態様にはその等価物が含まれる。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することができる。
【符号の説明】
【0084】
1,1A~1E…再開通カテーテルシステム
13,13A~13C…誘導部
50…ケーブル
70…デリバリーガイドワイヤ
100,100A~100E…カテーテル
101~104,101E…シャフト
101…アウターシャフト
102…第1インナーシャフト
102L…第1ルーメン
102a…第1開口
102b…第2開口
103…第2インナーシャフト
103L…第2ルーメン
103a…先端開口
103b…側面開口
103c…基端側の開口
104…先端チップ
104L…第3ルーメン
104a…第1開口
104b…第2開口
105…調節器
108…端面
109…突出部
114…封止部材
115…ブレード
128…先端マーカ
129…基端マーカ
131…本体部
132,132C…フラップ部
132e…縁部
132i…内側面
132o…外側面
200…イメージングセンサ
201…トランスデューサ
202…ドライビングケーブル
203…コネクタ
300…イメージングコンソール
302…ディスプレイ
400…貫通用ガイドワイヤ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17