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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-12
(45)【発行日】2024-09-24
(54)【発明の名称】ハイブリッド車のトルク配分戦略
(51)【国際特許分類】
   B60W 20/15 20160101AFI20240913BHJP
   B60K 6/442 20071001ALI20240913BHJP
   B60K 6/52 20071001ALI20240913BHJP
   B60L 15/20 20060101ALI20240913BHJP
   B60L 50/16 20190101ALI20240913BHJP
   B60W 10/06 20060101ALI20240913BHJP
   B60W 10/08 20060101ALI20240913BHJP
   F02D 29/06 20060101ALI20240913BHJP
   F02D 45/00 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
B60W20/15
B60K6/442 ZHV
B60K6/52
B60L15/20 J
B60L50/16
B60W10/06 900
B60W10/08 900
F02D29/06 G
F02D45/00 374
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022564026
(86)(22)【出願日】2021-04-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-29
(86)【国際出願番号】 EP2021060451
(87)【国際公開番号】W WO2021214182
(87)【国際公開日】2021-10-28
【審査請求日】2022-12-19
(31)【優先権主張番号】2005811.1
(32)【優先日】2020-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】512308720
【氏名又は名称】ジャガー ランド ローバー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Jaguar Land Rover Limited
【住所又は居所原語表記】Abbey Road Whitley Coventry CV3 4LF UNITED KINGDOM
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100112911
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】アドコック,リー
(72)【発明者】
【氏名】コップ,デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】オサリバン,クリスティーナ
(72)【発明者】
【氏名】サリバン,マット
(72)【発明者】
【氏名】ロック,オリヴィエ
【審査官】冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-233006(JP,A)
【文献】特開2010-184615(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 20/15
B60K 6/442
B60K 6/52
B60W 10/06
B60W 10/08
F02D 29/06
F02D 45/00
B60L 50/16
B60L 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の電気機械を制御するための制御システムであって、
前記車両は、第1車軸車輪トルクを生成するために前記車両の第1の車軸にトルクを提供するように構成された内燃式のエンジンと、第2車軸車輪トルクを生成するために前記車両の第2の車軸にトルクを提供するように構成された電気機械とを含み、
前記制御システムは、1以上のコントローラを含み、
前記制御システムは、
前記エンジンのトルク要求および前記電気機械のトルク要求を出力することであって、前記エンジンの前記トルク要求と前記電気機械との前記トルク要求は、前記第1車軸車輪トルクと前記第2車軸車輪トルクとの間の要求トルク分割に依存する第1の比率を有し、受け取った前記第1車軸車輪トルクおよび受け取った前記第2車軸車輪トルクは、前記エンジンと前記電気機械との車輪トルク応答能力の差に依存する可変的な第2の比率を有し、受け取った前記第1車軸車輪トルクは前記第1の車軸の車輪で受け取るトルクで、受け取った前記第2車軸車輪トルクは前記第2の車軸の車輪で受け取るトルクである、ことと、
前記内燃式のエンジンによって提供可能なトルクに応じて、前記エンジンのトルク要求に対する不足の指標を受信することであって、前記第1の比率からの第2の比率の偏差が前記不足の指標に依存する、ことと、
トリガ条件が充足されることを決定することであって、前記トリガ条件が低トラクショントリガ条件である、ことと、
前記トリガ条件が充足されると、前記第1の比率からの前記第2の比率の偏差を抑制するように前記電気機械に対するトルク要求の決定を抑制偏差制御すること、を行うように構成されている、制御システム。
【請求項2】
前記低トラクショントリガ条件の充足は、低トラクション駆動面に関連する地形への、前記車両に対する地形の変化に依存し、
前記車両に対する地形が変化したという判断に応答して、前記車両に対する地形が低トラクション走行路面に関連しない地形に変化したという後の判断まで、抑制偏差制御が維持される、請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
地形が変化したという前記判断は、前記車両が現在走行している路面の特性及び/又は種類を判定することを含む、請求項2に記載の制御システム。
【請求項4】
地形が変化したという前記判断は、前記車両ユーザからの前記車両の地形モードを選択する少なくとも1つの入力を受け取ることを含む、請求項2または3に記載の制御システム。
【請求項5】
前記トリガ条件の充足は、車輪スリップの検出に依存し、
前記車輪スリップの検出に応答して、前記車輪スリップがもはや検出されないことに関連する終了条件が満たされるまで、制御が維持される、請求項1から4のいずれかに記載の制御システム。
【請求項6】
前記電気機械に対する前記トルク要求および前記内燃機関に対する前記トルク要求は、前記車両の前記トルク要求に依存しており、
前記電気機械が前記第2の車軸にトルクを提供し、前記エンジンが前記第1の車軸にトルクを提供する、請求項1から5のいずれかに記載の制御システム。
【請求項7】
前記要求トルク分割は、車速、車両ステアリング、横方向加速度、または縦方向加速度のうちの少なくとも1つに依存する、請求項1から6のいずれかに記載の制御システム。
【請求項8】
前記抑制偏差制御は、前記電気機械から要求可能なトルクを制限する制約を用いて行われる、請求項1から7のいずれかに記載の制御システム。
【請求項9】
前記抑制偏差制御は、前記電気機械に対するトルク要求を低減するように構成され、これにより、前記エンジンが前記エンジンのトルクを変化させる速度に基づいて、前記電気機械が前記電気機械の提供トルクを前記電気機械の能力よりも遅い速度で変化させることを許容される、請求項1から8のいずれかに記載の制御システム。
【請求項10】
前記電気機械のトルク要求の低減は、検出または推定されたエンジントルクに依存するエンジントルク制約に依存し、
前記エンジントルクは、前記エンジンに対する前記トルク要求に応答して前記エンジンにより提供可能なトルクに依存する、請求項9に記載の制御システム。
【請求項11】
前記電気機械に対する前記トルク要求の判断を制御して、前記電気機械に補償トルクを前記第2の車軸に提供させ、
前記補償トルクは、前記不足分を補償するが、可変の前記第2の比率を前記第1の比率から偏移させるように構成され、
トリガ条件が満たされると、前記抑制偏差制御は、前記第1の比率から前記第2の比率への偏差が抑制されるように、前記第2の車軸への前記補償トルクの提供を抑制する、請求項8に記載の制御システム。
【請求項12】
請求項1から11のいずれかに記載の制御システムと、前記電気機械と、前記内燃機関とを備え、
前記車両は、前記エンジンから前記第1の車軸にトルクを機械的に供給し、前記電気機械から前記第2の車軸にトルクを供給するように構成されるが、前記エンジンから前記第2の車軸にトルクを機械的に供給することができず、前記電気機械から前記第1の車軸にトルクを機械的に供給することができない、システム。
【請求項13】
車両の電気機械を制御する方法であって、
前記車両は、第1の車軸車輪トルクを生成するために前記車両の第1の車軸にトルクを提供するように構成された内燃式のエンジンと、第2の車軸車輪トルクを生成するために前記車両の第2の車軸にトルクを提供するように構成された電気機械とを含み、
前記方法は、
前記エンジンに対するトルク要求と前記電気機械に対するトルク要求とを出力するステップであって、前記エンジンに対する前記トルク要求と前記電気機械に対する前記トルク要求は、前記第1車軸車輪トルクと前記第2車軸車輪トルクとの間の要求トルク分割に依存する第1の比率を有し、受け取った前記第1車軸車輪トルクと受け取った前記第2車軸車輪トルクは、前記エンジンと前記電気機械との車輪トルク応答能力の差に依存する第2の可変比率を有し、受け取った前記第1車軸車輪トルクは前記第1の車軸の車輪で受けるトルクであり、受け取った前記第2車軸車輪トルクは前記第2の車軸の車輪で受けるトルクである、ステップと、
前記内燃式のエンジンによって提供可能なトルクに応じて、前記エンジンのトルク要求に対する不足の指標を受信するステップであって、前記第1の比率からの前記第2の比率の前記偏差が前記不足の指標に依存する、ステップと、
トリガ条件が充足されたことを判断するステップであって、前記トリガ条件が低トラクショントリガ条件である、ステップと、
前記トリガ条件が充足されると、前記第1の比率からの前記第2の比率の偏差が抑制されるように、前記電気機械に対するトルク要求の決定を制御するステップとを有する、方法。
【請求項14】
実行されると、請求項13に記載の方法を実行するように構成されるコンピュータソフトウェア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ハイブリッド車両のためのトルク配分戦略に関する。特に、全輪駆動が可能なハイブリッド車両のためのトルク配分戦略に関するが、これに限定されるものではない。
【背景技術】
【0002】
全輪駆動ハイブリッド車両アーキテクチャは、エンジン駆動車軸に関連する内燃機関と、電気駆動車軸に関連する電気機械とを有する。
【0003】
内燃機関が突然大きなトルクを提供するように要求されたとき、初期トルクの増加は、エンジンのスパークタイミング及び/又は燃料補給を調整することによって急速に提供することができるが、その後、トルク増加率は、エンジンを通る現在のゆっくりと変化する空気流の慣性のために遅くなる。このようなシナリオは、例えば、ドライバが素早く加速したい場合に発生する可能性がある。これは、2つの車軸間のトルク分割が所望の比率から逸脱する結果となり、ある地形での車両のハンドリングまたは能力に悪影響を及ぼす可能性がある。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、先行技術に関連する1つまたは複数の欠点に対処することである。
【0005】
本発明の態様および実施形態は、添付の特許請求の範囲に記載の制御システム、システム、車両、方法、およびコンピュータソフトウエアを提供する。
【0006】
本発明の一側面によれば、車両の電気機械を制御するための制御システムが提供され、車両は、第1車軸車輪トルクを生成するために車両の第1の車軸にトルクを提供するように構成された内燃エンジンと、第2車軸車輪トルクを生成するために車両の第2の車軸にトルクを提供するように構成された電気機械を備え、制御システムは1または複数のコントローラを備え、制御システムは以下のように構成される。エンジンに対するトルク要求および電気機械に対するトルク要求を出力し、トルク要求は、第1車軸車輪トルクと第2車軸車輪トルクとの間の要求トルク分割に依存する第1の比率を有し、受け取った第1車軸車輪トルクおよび受け取った第2車軸車輪トルクは、エンジンと電気機械との車輪トルク応答能力間の差に依存する第2の可変比率を有し、トリガ条件が満たされたことを決定し、トリガ条件の満足に依存して、第1の比率からの第2の比率の偏差を抑制するように電気機械に対するトルク要求の決定を制御することを含む。
【0007】
利点は、車両のハンドリング特性の一貫性が改善されることである。
【0008】
1つ以上のコントローラは、情報を受信するための電気入力を有する少なくとも1つの電子プロセッサと、少なくとも1つの電子プロセッサに電気的に結合され、そこに記憶された命令を有する少なくとも1つの電子メモリデバイスを有し、少なくとも1つの電子プロセッサは、制御システムにトルク要求の出力、決定、および制御を行わせるように少なくとも1つのメモリデバイスにアクセスしてその上で命令を実行するように構成される。トリガ条件は、低トラクショントリガ条件であってもよく、低トラクショントリガ条件の満足は、車両の地形の変化(低トラクション駆動面と関連付けられる地形)に依存して行われる。
【0009】
車両の地形の変化の判定に応答して、抑制された逸脱制御は、車両の地形が低トラクション走行路面に関連しない地形に変化したとのその後の判定まで維持され得る。
【0010】
地形の変化を決定することは、車両が現在走行している路面の特性及び/又は種類を決定することを含んでいてもよい。
【0011】
地形の変更を決定することは、車両の地形モードを選択する車両のユーザから少なくとも1つの入力を受信することを含んでもよい。
【0012】
トリガ条件の充足は、車輪のスリップの検出に依存してもよい。
【0013】
車輪スリップの検出に応答して、車輪スリップが検出されなくなることに関連する終了条件が満たされるまで、抑制された逸脱制御が維持されてもよい。
【0014】
電気機械のトルク要求と内燃機関のトルク要求とは、電気機械が第2の車軸にトルクを提供する一方で内燃機関が第1の車軸にトルクを提供するように、車両のトルク要求に依存してもよい。
【0015】
要求トルク分割は、車速、車両操舵、横加速度、または縦加速度のうちの少なくとも1つに依存してもよい。
【0016】
抑制偏差制御は、トリガ条件に依存して、かつ、第1の比率の第2の比率からの偏差の指示に依存して実行されてもよい。
【0017】
逸脱抑制制御は、電気機械から要求可能な拘束制限トルクを用いて行われてもよい。
【0018】
抑制偏差制御は、内燃機関がトルクを変化させる速度に基づいて、電気機械がその提供トルクを電気機械の能力よりも遅い速度で変化させることを許容するように、電気機械に対するトルク要求を低減させるように構成されてもよい。
【0019】
電気機械のトルク要求の低減は、検出または推定された燃焼機関トルクに依存する機関トルク制約に依存してもよく、燃焼機関トルクは、機関に対するトルク要求に応答して機関により提供可能なトルクに依存する。
【0020】
制御システムは、燃焼エンジントルクとエンジン用トルク要求との間の不足の指示を受信し、電気機械に補償トルクを第2の車軸に提供させるために電気機械用トルク要求の決定を制御し、補償トルクは不足を補償するように構成されているが、第2の可変比率を第1の比率から偏差させ、トリガ条件が満たされると、偏差抑制制御は、第1の比率からの第2の比率の偏差を禁止するように、第2の車軸への補償トルクの提供を抑制する、を有する構成であってもよい。
【0021】
本発明の一側面によれば、制御装置と、電気機械と、内燃機関とを備えるシステムが提供される。
【0022】
本発明の一側面によれば、本システムを含む車両が提供される。
【0023】
いくつかの例では、車両は、内燃機関から第1の車軸にトルクを機械的に提供し、第1の電気機械から第2の車軸にトルクを提供するように構成されるが、内燃機関から第2の車軸にトルクを機械的に提供することができず、第1の電気機械から第1の車軸にトルクを機械的に提供することができない。
【0024】
本発明の一態様によれば、車両の電気機械を制御する方法が提供され、車両は、第1車軸車輪トルクを生成するために車両の第1の車軸にトルクを提供するように構成された内燃機関と、第2車軸車輪トルクを生成するために車両の第2の車軸にトルクを提供するように構成された電気機械とを含み、この方法は、エンジンに対するトルク要求および電気機械に対するトルク要求を出力し、トルク要求は、第1車軸車輪トルクと第2車軸車輪トルクとの間の要求トルク分割に依存する第1の比率を有し、受信した第1車軸車輪トルクおよび受信した第2車軸車輪トルクは、エンジンと電気機械との車輪トルク応答能力間の差に依存する第2の可変比率を有する;トリガ条件が満たされたことを決定し、トリガ条件の満足に依存して第1の比率からの第2の比率の偏差が抑制されるように電気機械に対するトルク要求の決定、を制御する、ことを含むことを特徴とする。
【0025】
本発明の一態様によれば、実行されると、本方法を実行するように配置されるコンピュータソフトウエアが提供される。本発明のさらなる側面によれば、プロセッサによって実行されると、本明細書に記載の方法のいずれか1つ以上の実行を引き起こすコンピュータ可読命令を含む、非一時的なコンピュータ可読媒体が提供される。
【0026】
本発明の一態様によれば、車両の電気機械を制御する方法が提供され、車両は、第1車軸車輪トルクを生成するために車両の第1の車軸にトルクを提供するように構成された内燃機関と、第2車軸車輪トルクを生成するために車両の第2の車軸にトルクを提供するように構成された電気機械とを備え、この方法は、車両トルク要求に依存して、内燃機関に対するトルク要求および電気機械に対するトルク要求を出力し、トルク要求は、第1車軸車輪トルクと第2車軸車輪トルクとの間の要求トルク分割に依存する比率を有し、受信した第1車軸車輪トルクおよび受信した第2車軸車輪トルクは、エンジンと電気機械との車輪トルク応答能力の間の差に依存して第2の可変比率を有しており、第2の比率は変動が許容されるステップと トリガ条件が満たされることを決定し、トリガ条件が満たされることに依存して、要求されるトルク分割を維持するために電気機械のトルク要求を低減し、内燃機関がその提供トルクを変更できる速度に基づいて、電気機械が可能な速度よりも遅い速度でその提供トルクを変更することが許可されるように、電気機械のトルク要求を低減することを含むことを特徴とする、内燃機関が提供できる速度が、電気機械が可能な速度よりも遅い速度で、その提供トルクを変更できるように、内燃機関がその速度よりも遅い速度で、電気機械のトルク要求の低減を許可される。
【0027】
1つ以上のコントローラは、情報を受け取るための電気入力を有する少なくとも1つの電子プロセッサと、少なくとも1つの電子プロセッサに電気的に結合され、そこに記憶された命令を有する少なくとも1つの電子メモリデバイスと、を集合的に備えてもよく、少なくとも1つの電子プロセッサは、制御システムに方法の実行を起こさせるように少なくとも1つのメモリデバイスにアクセスしてその上の命令を実行するよう構成される。
【0028】
本願の範囲内で、前の段落、特許請求の範囲及び/又は以下の説明及び図面に記載された様々な態様、実施形態、例及び代替案、特にその個々の特徴は、独立して又は任意の組み合わせで取ることができることが明示的に意図される。すなわち、全ての実施形態及び/又は任意の実施形態の特徴は、そのような特徴が両立しない場合を除き、任意の方法及び/又は組み合わせで組み合わせることが可能である。出願人は、元々そのように請求されていないが、他の請求項の任意の特徴に依存し、及び/又はそれを組み込むように、元々提出された請求項を修正する権利を含む、元々提出された請求項を変更し、又はそれに応じて任意の新しい請求を提出する権利を留保する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
次に、本発明の1つ以上の実施形態が、添付の図面を参照しながら、例としてのみ説明される。
【0030】
図1図1は、車両の一例を示す図である。
図2図2は、システムの一例を示す図である。
図3A図3A図3Bは、制御システムおよび非一過性のコンピュータ可読記憶媒体の一例を示す図であり、図3Aは、制御システムおよび非一過性のコンピュータ可読記憶媒体の一例を示す図である。
図3B図3A図3Bは、制御システムおよび非一過性のコンピュータ可読記憶媒体の一例を示す図であり、図3Bは、制御システムおよび非一過性のコンピュータ可読記憶媒体の一例を示す図である。
図4図4は、方法の一例を示す図です。
図5A図5Aは、それぞれエンジンと電気機械のトルクのグラフの一例を示す図である。
図5B図5Bは、それぞれエンジンと電気機械のトルクのグラフの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、本発明の実施形態を実施することができる車両10の一例を示す図である。必ずしも全ての例ではないが、いくつかの例では、車両10は、乗用車または自動車とも呼ばれる乗用車両である。他の例では、本発明の実施形態は、産業用車両などの他の用途に実施することができる。
【0032】
車両10は、複数のトルク源を有する。トルク源は、エンジン、電気機械などの原動機を指す。車両は、第1車軸車輪トルクを生成するために、車両の第1の車軸にトルクを供給するように構成された第1トルク源を備える。車両は、第2車軸車輪トルクを生成するために車両の第2の車軸にトルクを提供するように構成された第2トルク源をさらに備える。
【0033】
トルク源は、異なる車輪トルク応答能力を有する異なるトルク源である。車輪トルク応答能力、または「トルクレート能力」は、トルク源が車両の車輪で測定されるようにそのトルクを変化させることができる最大速度を規定する。トルク源のホイールトルク応答能力は、そのマシントルク応答能力と、ホイールへの選択されたギヤ減速に依存する。ギヤリングとマシントルク応答能力は、トルク源間で異なる可能性がある。
【0034】
機械トルク応答能力率は、トルク変化の最大率のハードウェア制限された物理的限界、または下限許容限界のいずれかに依存し得る。機械のトルク応答能力は、トルク源の動作点(速度など)などの変数に依存する。エンジンのトルク応答性能は、低エンジン速度における低い値から上昇し、プラトーに達した後、高エンジン速度に低下する傾向がある。電気機械のトルク応答性能は、機械速度がゼロのときに最大となり、その後、プラトーに達した後、低下する傾向がある。
【0035】
いくつかの例では、トルク源の一方がエンジンで、他方のトルク源が電気機械を有することがある。エンジンは、ある動作点またはすべての動作点において、電気機械よりも遅いトルク応答能力を有する場合がある。
【0036】
あるいは、機械のトルク応答能力が異なるため、および/または、トルク源と車輪との間に異なるギヤ比があるため、両方のトルク源が、異なる車輪トルク応答能力を有する電気機械から構成されてもよい。
【0037】
車両10は、ハイブリッド電気自動車(HEV)であってもよい。車両10は、パラレルHEVとして動作するように構成されていてもよい。パラレルHEVは、エンジンと少なくとも1つの車両車輪との間のトルク経路と、電気機械と少なくとも1つの車両車輪との間のトルク経路とを含んで構成される。トルク経路は、クラッチやトランスミッションなどのトルク経路コネクタによって切断可能であってもよい。一般的に、シリーズHEVではエンジンの目的は電気エネルギの生成であり、エンジンと車両車輪の間にはトルク経路が存在しないため、パラレルHEVはシリーズHEVとは異なる。しかし、パラレルHEVの中には、「スルー・ザ・ロード」ハイブリッドのように、シリーズHEVとして動作するように構成できるものもある。この場合、エンジンから車両ホイールに直接トルクが供給されるかどうかに応じて、このようなハイブリッド車両をパラレルHEVモードで動作する、またはシリーズHEVモードで動作すると、有用に表現することができる。
【0038】
図2は、HEV10のためのシステム20の一例を示している。システム20は、少なくとも部分的に、HEVのパワートレインを規定する。
【0039】
システム20は、制御システム208を含む。制御システム208は、1つ又は複数のコントローラを有する。制御システム208は、ハイブリッドパワートレイン制御モジュール;エンジン制御ユニット;トランスミッション制御ユニット;トラクションバッテリ管理システム;及び/又は、同様のもののうちの1つ以上を含んでいてもよい。
【0040】
システム20は、1つ以上のトルク源を有する。トルク源は、エンジン、電気機械などの原動機を指す。電気機械は、本明細書では、電気機械とも称される。図示されたシステム20は、エンジン202を含む。エンジン202は、内燃機関(ICE:Internal Combustion Engine)である。図示されたエンジン202は、3つの燃焼室を有するが、他の実施例では、異なる数の燃焼室が提供されてもよい。
【0041】
エンジン202は、制御システム208がエンジン202の出力トルクを制御できるように、制御システム208に動作可能に結合される。エンジン202の出力トルクは、エンジン202の種類に応じて、空燃比;スパークタイミング;ポペットバルブリフト;ポペットバルブタイミング;スロットル開度;燃料圧力;ターボチャージャブースト圧;および/または同様のもののうちの1つまたは複数を制御することにより、制御されてもよい。
【0042】
システム20は、エンジン202からの出力トルクを受けるための変速機204を含んで構成される。変速機204は、自動車両用変速機、手動車両用変速機、又は半自動車両用変速機から構成されてもよい。変速機204は、1つ以上のトルク経路コネクタ218と、トルクコンバータ217と、歯車列204aとを含んで構成されてもよい。ギヤトレイン204aは、車両10の選択されたギヤに応じた選択されたギヤ減速を提供するように構成される。ギヤトレイン204aは、5つ以上の異なる選択可能なギヤリダクションから構成されてもよい。ギヤトレイン204aは、少なくとも1つのリバースギヤとニュートラルギヤとから構成されてもよい。
【0043】
システム20は、ギヤトレイン204aから出力トルクを受けるための第2のギヤトレインであるディファレンシャル204bを含んでいてもよい。ディファレンシャル204bは、トランスアクスルとして変速機204に一体化されていてもよいし、別途設けられていてもよい。
【0044】
エンジン202は、トルク経路220を介して第1組の車両車輪(FL,FR)に正トルクを与えるように機械的に接続(結合)または連結可能(カップリング可能)である。トルク経路220は、エンジン202の出力からトランスミッション204へ、次いで、第1の車軸または車軸222a、222bを介して第1の車両車輪のセット(FL、FR)へ延在している。車両のオーバーラン及び/又は摩擦制動状況において、負のトルクは、第1の車両車輪のセット(FL、FR)からエンジン202に流れることがある。
【0045】
図示された第1組の車両車輪(FL,FR)は前輪を構成し、車軸222a,222bは前横軸である。したがって、システム20は、エンジン202による前輪駆動のために構成されている。別の実施例では、第1の車両車輪のセットは、後輪(RL,RR)を構成する。図示された第1組の車両車輪(FL,FR)は一対の車両車輪であるが、他の実施例では異なる数の車両車輪および車軸が提供され得る。
【0046】
図示されたシステム20では、ハイブリッド車両コンポーネントのためのスペースを確保するために、縦方向(中心)のドライブシャフトは設けられていない。したがって、エンジン202は、第2の組の後輪(図示では後輪RL,RR)に接続可能ではない。エンジン202は、スペースを節約するために横置きにしてもよい。代替例では、エンジン202は、前輪および後輪を駆動するように構成されてもよい。
【0047】
トルク経路コネクタ218は、トランスミッション204のベルハウジングの内側および/または外側に設けられてもよい。トルク経路コネクタ218は、エンジン202と第1組の車両車輪(FL、FR)との間のトルク経路220を接続するように構成され、かつ切断するように構成される。トルク経路コネクタ218は、トルクコンバータ217又はギヤトレイン204aの一部であってもよく、又は、別個の摩擦クラッチであってもよい。システム20は、ユーザの介入なしにトルク経路コネクタ218を自動的に作動させるように構成されてもよい。
【0048】
システム20は、第1電気機械216を含んで構成される。第1の電気機械216は、交流誘導モータまたは永久磁石モータ、あるいは他の種類のモータであってもよい。 第1電気機械216は、トルク経路220が第1組の車両車輪(FL、FR)から切り離されるとき、第1電気機械216も切り離されるように配置されている。あるいは、第1電気機械216は、第1組の車両用車輪(FL,FR)に接続されたままであるように配置されてもよい。
【0049】
第1電気機械216は、ベルトまたはチェーンを介してエンジン202に機械的に接続(結合)または連結可能(結合可能)であってもよい。例えば、第1電気機械216は、ベルト一体型スタータジェネレータ(BISG)であってもよい。第1電気機械216とエンジン202は、共に第1組の車両車輪(FL、FR)のトルク源を形成する。図では、第1電気機械216は、エンジン202の車両トランスミッション端の反対側にある、エンジン202のアクセサリ駆動端に配置されている。代替例では、第1電気機械216は、エンジン202の車両トランスミッション端に位置する、クランクシャフト一体型モータジェネレータ(CIMG)である。CIMGは、典型的なBISGとは異なり、電気のみの走行を持続させることができる場合がある。
【0050】
第1電気機械216は、例えば、エンジン202の出力トルクを高めること、停止中または惰性走行中にエンジン202を休止(遮断)すること、エンジン202を起動(始動)すること、補助負荷用に電力を生成すること、および/または回生モードでの回生制動などの機能を提供するために、エンジン202のクランクシャフトに正のトルクを加えるように構成され、また、負のトルクを加えるよう構成される。パラレルHEVモードでは、エンジン202および第1の電気機械216は、出力トルクを高めるために同時に正のトルクを供給するように共に動作可能であってよい。第1電気機械216は、電気のみの走行を持続することができないものであってもよい。代替例では、第1電気機械216は、エンジン202を始動させる以外に正トルクを供給するように制御可能でない。さらなる実施例では、エンジン202を始動させるためにピニオンスタータ206が設けられる。
【0051】
図2は、電気のみの走行からなる電気自動車モードを少なくとも可能にするように構成された、電気牽引モータとも呼ばれる第2の電気機械212を例示している。第2の電気機械212の別の用語は、電気駆動装置である。必ずしもすべての例ではないが、いくつかの例では、第2の電気機械212の公称最大トルクは、第1の電気機械216の公称最大トルクよりも大きい。
【0052】
エンジン202と第1組の車両車輪(FL,FR)との間のトルク経路220が切断されても、第2電気機械212が少なくとも1つの車両車輪に機械的に接続されているので、車両10を電気自動車モードで駆動することができる。
【0053】
図示された第2の電気機械212は、図示された第2の組の車両車輪(RL、RR)にトルクを提供するように構成されている。車両車輪の第2のセット(RL、RR)は、車両車輪の第1のセット(FL、FR)ではない車両車輪から構成される。図示された第2のセットの車両車輪(RL,RR)は後輪を有し、第2の電気機械212は、第2の、後方の横軸または車軸224a,224bを介して後輪RL,RRにトルクを提供するように動作可能である。したがって、図示された車両10は、電気自動車モードでは後輪駆動である。代替的な実施例では、第2の車両用車輪のセットは、第1の車両用車輪のセットの少なくとも1つの車両用車輪を有する。さらなる代替的な実施例では、第2の電気機械212は、各後輪車両車輪RL,RRのための1つの、2つの電気機械と置き換えられる。
【0054】
制御システム208は、寄生ポンピングエネルギ損失を低減するために、電気自動車モードにおいて、エンジン202と第1組の車両車輪(FL,FR)の間のトルク経路220を切断するように構成されてもよい。例えば、クラッチ218が開放されてもよい。図2の例では、これは、第1電気機械216も第1組の車両用車輪(FL,FR)から切り離されることを意味する。
【0055】
第2の電気機械212の別の利点は、第2の電気機械212が、センタードライブシャフトがないにもかかわらず多軸駆動(例えば全輪駆動)動作を可能にするために、パラレルHEVモードで動作可能であるように構成されてもよいということである。
【0056】
電気機械のための電気エネルギを貯蔵するために、システム20は、トラクションバッテリ200のような電気エネルギ貯蔵手段を構成する。トラクションバッテリ200は、電気機械のような電力ユーザが必要とする公称電圧を供給する。
【0057】
トラクションバッテリ200は、高電圧バッテリであってもよい。高電圧トラクションバッテリは、数百ボルトの公称電圧を提供する。トラクションバッテリ200は、持続的な距離の電気のみの走行をサポートするための電圧および容量を有していてもよい。トラクションバッテリ200は、航続距離を最大化するために、数キロワット時の容量を有していてもよい。容量は、数十キロワット時であってもよいし、百キロワット時以上であってもよい。
【0058】
トラクションバッテリ200を一体物として図示しているが、車両10の異なる位置に設けられた複数の小型のトラクションバッテリを用いてトラクションバッテリ200の機能を実現することも可能である。
【0059】
第1電気機械216および第2電気機械212は、図示のように、同じトラクションバッテリ200から電気エネルギを受け取るように構成されてもよい。
【0060】
最後に、図示のシステム20は、インバータを含んで構成されている。2つのインバータ210,214が示されており、各電気機械に対して1つずつ設けられている。他の実施例では、1つのインバータまたは2つ以上のインバータが提供され得る。
【0061】
代替的な実施例では、車両10は、図2に示される以外のものであってもよい。例えば、第1の電気機械216は、クラッチまたはギヤを介してエンジン202に接続されてもよいし、エンジンの反対側、おそらくトランスミッション204内またはドライブシャフト上に配置されてもよい。
【0062】
図3Aは、制御システム208がどのように実装され得るかを示している。図3Aの制御システム208は、コントローラ300を例示している。他の例では、制御システム208は、車両10に搭載及び/又は搭載されていない複数のコントローラで構成されてもよい。
【0063】
図3Aのコントローラ300は、少なくとも1つのプロセッサ302;及び電子プロセッサ302に電気的に結合され、そこに格納された命令306(例えばコンピュータプログラム)を有する少なくとも1つのメモリデバイス304を含み、少なくとも1つのメモリデバイス304及び命令306は、少なくとも1つのプロセッサ302と共に、ここに記載する方法のうちの任意の1つ又は複数を実行させるように構成されたものである。プロセッサ302は、情報を受信し、外部コンポーネントと相互作用するための、電気入出力I/O又は電気入力を有していてもよい。
【0064】
図3Bは、命令306(コンピュータソフトウエア)を含む非一過性のコンピュータ可読記憶媒体308を示す。
【0065】
制御システム208は、設定値に向かって変数(例えば、トルク/速度)を操作する出力トルクを制御するために、コントローラ出力を提供するように構成されてもよい。設定値の例は、トルク目標または速度目標である。
【0066】
出力トルクは、少なくとも1つの受信したトルク要求を満たすように操作されることができる。トルク要求は、車両10に対する負荷ベースのトルク要求であってもよい。この種のトルク要求は、車両トルク要求または車両全体の総トルク要求と呼ばれてもよく、特定のトルク源に特定されるものではない。総トルク要求は、車両の車輪におけるトルクであってもよい。負荷は、運転者のトルク要求(例えば、アクセルペダル踏み込みAPDに基づくトルク設定値)、又は自律走行トルク要求に基づく、及び/又はクルーズコントロール速度設定値等の速度設定値に依存するものであってもよい。
【0067】
アービトレーション(調停)関数は、負荷及び他の車両サブシステムからの要求を含む複数のトルク要求を満たすために、総トルク要求を変更/増加させるために適用されてもよい。シェーピング関数は、調停された総トルク要求を平滑化してもよい。
【0068】
制御システム208は、整形された裁定総トルク要求から、車両10の車両動作モードに応じて、エンジンの出力トルクを制御するためのエンジントルク要求、及び/又は、電気機械若しくは各電気機械の出力トルクを制御するための電気機械トルク要求(複数)を導出してもよい。要求トルク分割分布関数が、エンジントルク要求と電気機械トルク要求の導出を制御してもよく、電気機械は、第2電気機械212である。
【0069】
要求トルク分割は、比率であってもよい。この例におけるトルク分割は、前車軸と後車軸のトルクの間の、前:後トルク分割である。要求トルク分割は、車両10の全輪駆動バランス(前方偏重、後方偏重、または50:50)を維持するのに役立つ。いくつかの例では、要求されるトルク分割は、動的に変化してもよい。要求されるトルク分割は、車速;車両ステアリング;横方向加速度;及び/又は縦方向加速度などの変数に依存してもよい。要求トルク分割は、走行ダイナミクスモード、地形モード及び/又は地形タイプ、車速、車両ステアリング、横方向加速度、及び/又は縦方向加速度、及び/又は他の要因などの変数に依存してもよい。
【0070】
シェーピング関数は、ゼロクロス点(ラッシュクロス)の周りのエンジンおよび電気機械のトルク要求を滑らかにするために適用されてもよく、その結果、エンジンおよび電気機械のトルク要求が成形される。
【0071】
図2のパワートレインのようなシステム20は、複数の車両動作モードで動作させることができる。1つ以上の車両動作モードでは、エンジン202は非作動とされ、エンジン202と第1組の車両車輪(FL,FR)との間のトルク経路220は切断される。別の1つ以上のモードでは、エンジン202は再活性化され、トルク経路220は再接続されてもよい。
【0072】
電気自動車モードでは、エンジン202は非作動状態であり、第1組の車両車輪(FL,FR)とエンジン202isとの間のトルク経路220は切り離される。一実施例では、不活性化および切断の組み合わせの効果は、エンジン速度がゼロに向かって低下することである。不活性化は、エンジン202が駆動のための正の出力トルクを発生しないか、または不十分な正の出力トルクを発生することに関連する。燃料噴射は、燃料消費を低減するために、停止することができる。
【0073】
シリーズHEVモードでは、エンジン202は活性化状態であるが、トルク経路220は切断されている。エンジン202および第1電気機械216は電力を発生し、第2電気機械212は第2組の車両車輪(RL,RR)にトルクを供給する。電気機械212,216の一方または両方が車両用車輪にトルクを供給する。第2の電気機械212が使用される場合、全輪駆動が可能である。
【0074】
パラレルHEVモードでは、エンジン202は活性化状態にあり、トルク経路220は接続されている。活性化状態では、エンジンの燃焼室内で燃料が燃焼され、エンジン202がトルク経路220に正の出力トルクを供給する。エンジン202および第1電気機械216は、任意に電力を発生させてもよい。
【0075】
内燃機関モードでは、エンジン202は起動状態であり、トルク経路220は接続されている。しかし、第1および第2の電気機械212,216は、車両車輪にトルクを与えるためのモータとして動作可能ではない。エンジン202および第1電気機械216は、任意に電力を発生させてもよい。第2電気機械212は、任意に電力を生成してもよい。
【0076】
車両運転モードは、手動、半自動、または自動で選択可能であってよい。現在のモード(例えば、出口電気自動車モード)よりも多くの充電を可能にする車両動作モードに変更するための遷移条件は、手動ユーザ選択、トラクションバッテリの充電状態が閾値を下回ること、温度が閾値を下回ること(例えば、氷点下)、走行力学モードの変更、地形モードの変更、エアコンユニットやヒーター付きフロントガラスなどの高負荷補助装置の作動が求められることによる電力消費の増加、及び/又は同様のものの少なくともいずれかを要求してもよい。
【0077】
現在のモード及び/又は全輪駆動(例えばパラレルHEVモード)よりも大きな正味トルクを許容する車両動作モードに変更するための移行条件は、手動ユーザ選択、閾値を超えるトルク要求(例えばキックダウン機能)、走行ダイナミクスモードの変更、地形モードの変更等の少なくとも一つを要求してもよい。
【0078】
現在のモード(例えば、HEVモード又は電気自動車モードのうちの1つ)よりも電気走行が可能な車両動作モードに変更するための移行条件は、手動によるユーザ選択、トラクションバッテリの充電状態が閾値よりも上昇すること、トルク要求が閾値よりも低下すること、温度が閾値よりも高いこと、ドライビングダイナミクスモードの変更、テレインモードの変更、及び/又は同様のことの少なくとも1つを必要としうる。
【0079】
ドライビングダイナミクスモードとは、サスペンション設定、スロットルレスポンス設定、ギヤシフトポイント設定、車両ブレーキまたはトラクションコントロール設定、トルク配分設定、トルクシェーピング設定、ステアリング加重設定等のうち1つ以上を設定するモードのことである。
【0080】
地形モードとは、一般に、特定の走行路面での走行に最適化された車両モードのことをいう。地形モードの一例は、オフロード地形モードであり、草地、砂利、砂、泥、あるいは岩の上を這うように横断する際に必要となりうるようなオフロード地形での走行用に車両を最適化するように配置されている。地形モードの他の例としては、路面車両最適化モードがあり、雪や氷に覆われた路面など、摩擦の少ない路面を走行するために車両を最適化するように構成される。車両は、通常の路面用の基本的なオンロードモードおよび/または基本的な路面車両最適化モードを含んでいてもよく、様々な路面および/または地形用の複数の地形モードを含んでいてもよい。
【0081】
地形モードおよび/または特定の地形タイプの検出は、差動ロック設定および/またはトラクションコントロール設定などの1つまたは複数の路面トラクション関連設定を構成することができる。さらに、または代替的に、サスペンション設定、車高設定、サスペンションダンパー設定、スロットル応答設定、ギヤシフトポイント設定、車両ブレーキまたはトラクションコントロール設定、トルク配分設定、トルク整形設定、またはステアリング加重設定などの他の設定を調整することができる。ドライビングダイナミクスモードと地形モードの間には重複がある場合がある。設定は、予め決められていてもよいし、設定可能であってもよい。
【0082】
手動によるユーザの選択は、ヒューマンマシンインターフェース入力装置の使用からなる場合がある。入力装置は、エンジンスタートボタンから構成されてもよい。入力装置は、ドライビングダイナミクスモードセレクタを含んでいてもよい。入力装置は、地形モードセレクタを含んでいてもよい。いくつかの例では、地形モードおよび/または走行力学モードは、自動的に変更可能であってもよい。
【0083】
本発明の一態様に従い、図4に示すように、車両10のためのコンピュータ実装方法400が提供され、方法400は少なくとも以下のステップを含む。
【0084】
エンジン202のトルク要求と電気機械212のトルク要求とを出力するステップ。トルク要求は、第1車軸車輪トルクと第2車軸車輪トルクとの間の要求トルク分割に依存する第1の比率を有し、受け取った第1車軸車輪トルクと受け取った第2車軸車輪トルクは、エンジン202と電気機械212の車輪トルク応答能力間の差異に依存する第2の可変比率を有する(ブロック402)。
【0085】
トリガ条件が満たされることを決定するステップ(ブロック424)。
【0086】
トリガ条件の充足に依存して、第1の比率からの第2の比率の偏差が抑制されるように、電気機械のトルク要求の決定を制御するステップ(ブロック426)。
【0087】
通常動作中に第2の比率が第1の比率から逸脱することが許容され得る理由は様々である。例えば、個々のトルク要求が要求トルク分割及び選択されたギヤ減速に従って決定された後、偏差を生じさせることができるトルク整形関数が個々のトルク要求に適用されることがある。例えば、トルクシェーピング機能は、ラッシュクロス保護のために、ゼロクロス点の周りのトルク源の許容トルク変化率を減少させることができる。これにより、トルク源の応答性が低下し、要求されるトルク分割からの短時間のずれが生じる。さらに、要求されるトルク分割からの偏差は、第2の電気機械212が、車両のトルク要求に応答して、エンジン202が可能であるよりも高いレートでそのトルクを増加させることが許される場合に発生し得る。さらに、制御システム208が、他方のトルク源のトルク要求に対する他方のトルク源からのトルクの検出されたトルク不足を補償するために、一方のトルク源が余分なトルクを提供することを可能にする補償トルク機能からなる場合、偏差が発生し得る。補償トルクの量は、不足の量に比例してもよい。他のトルク源からのトルクの不足の結果として、一方のトルク源による補償トルクの提供は、要求されるトルク分割からのより大きな偏差をもたらすが、総必要トルクが提供されることを確実にする。しかし、トリガ条件が満たされると、要求トルク分割の遵守がより高い優先度を与えられる。
【0088】
図4のブロック402で、方法400は、エンジン202および第2の電気機械212のためのトルク要求を出力するステップを有する。トルク要求は、上記で定義したように、エンジントルク要求(ICEトルク要求)および電気機械トルク要求を含む。エンジントルク要求および電気機械トルク要求は、第1車軸車輪トルクと第2車軸車輪トルクとの間の要求トルク分割に依存する第1の比率を有する。要求は、受信した車両(トータル)トルク要求から導出されてもよい。車両10がパラレルHEVモードである場合、エンジントルク要求と電気機械トルク要求の両方は、車両トルク要求から導出される。
【0089】
例示的な使用例では、トルク要求は、図5A及び図5Bの線502及び508で示すように、車両を加速するため、又は増加する坂道で速度を維持するために、上昇している。図5Aおよび5Bを図2の例示的な車両10の文脈で読むと、図5Aは前輪トルクに関連し、図5Bは後輪トルクに関連することが理解されるであろう。エンジントルク要求は、実線502で示されている。エンジントルク要求は、高い割合で増加する。図5Bの実線508は、電気機械トルク要求を示している。いくつかの例では、方法400はさらに車両減速に適用されてもよく、トルク要求は増加する負の値を有していてもよい。
【0090】
方法400のブロック404は、エンジントルク要求に応答して、エンジン202によって提供可能なトルクに依存するトルクパラメータを決定または推定することを含む。
【0091】
空気密度などの可変の実世界条件(例えば、燃料噴射制限などの制約、トルクシェーピング、およびいくつかの他の要因)のために、エンジン202によって提供される出力トルクは、トルク要求の動きより遅れる場合がある。遅れの量(不足分)は、変動する条件によって異なる。この結果、所定の車両トルク要求に対して一貫した加速が得られない。図5Aは、エンジントルク要求502に基づいて第1の車両車輪のセット(FL、FR)で要求され、かつ受信可能なトルクを示す、第1車軸車輪トルクの一例を示す図である。破線504は、エンジン202によって提供可能なトルクを表している。エンジン202は、当初、スパークタイミングおよび/または燃料補給を進めることによって高い応答性を示すので、線502と504との間の不足分は無視できる程度である。しかしながら、エンジントルクを上記の高速な方法によってさらに増加させることができなくなると、主にエンジン202を通る空気流の慣性によって、エンジン202の応答が遅くなる。したがって、不足分が増加し、要求されるトルク分割からの逸脱をもたらし、車両ドライバによって加速が鈍いと認識される可能性がある。
【0092】
ブロック404を実装するために、既知のトルク感知技術が適用されてもよい。この決定は、エンジントルク要求に基づいてエンジン202を制御することに応答して提供されるICEトルクを決定するフィードバックとして実装されてもよい。しかしながら、制御システムアーキテクチャおよびセンサ由来の信号の通信ネットワークレイテンシによっては、代わりに、エンジン202の提供可能なトルクのコントローラモデルに基づいて、トルクパラメータの期待値を事前に推定することによってトルクパラメータを決定することがより速いかまたはより効率的である場合がある。
【0093】
方法400のブロック406は、エンジントルク要求に対するエンジンによって提供可能なトルクの不足分(差分)を決定することを含む。例えば、ブロック406は、トルクパラメータとエンジントルク要求との間の差を決定することからなる場合がある。いくつかの例では、不足分は、ギヤリングを考慮して第1の車両車輪のセット(FL、FR)の観点から表される車輪トルク不足分であってよい。ゼロでない不足分は、エンジン202がその定常状態能力に従って実行されていない可能性があることを示す。非ゼロ不足は、車両車輪で受けるトルクの比率が、車両車輪で要求されるトルクの比率から乖離することをもたらす。この要求トルクの比率の偏差は、要求トルクの分割の偏差に相当する。 エンジン202によって提供可能なトルクの不足(504)の結果は、要求トルク分割からの逸脱のために、車両10のハンドリング特性および/またはトラクション性能に一時的に影響を与える可能性があることである。
【0094】
したがって、方法400は、トリガ条件が満たされるかどうかを決定することと、その決定に依存して電気機械トルク要求に応答して電気機械のトルク出力を抑制するために少なくとも第2の電気機械212を制御することとを含む、次の一連の動作に進む。
【0095】
ブロック424において、本方法は、トリガ条件が満たされるかどうかを決定する。まず、トリガ条件を説明する。
【0096】
いくつかの実施例では、トリガ条件は、低トラクショントリガ条件であってよい。これは、車両のオーバーステアまたはアンダーステアは、低トラクション表面で発生しやすいので、一貫した車両ハンドリングが重要であるためである。低トラクション路面とは、車両タイヤと車両が移動する地形との間の牽引力を低減させるだけの路面であり、低摩擦路面と呼ばれることもある。
【0097】
低トラクショントリガ条件の一例は、低トラクション走行路面に関するものである。実施態様において、低トラクショントリガ条件の充足は、車両10の地形が、低トラクション駆動面に関連する地形に変化することに依存してもよい。
【0098】
例えば、本方法のブロック420では、車両10に対する地形の変化の指示を受信することを含んでいる。ブロック424は、指示に依存して地形の変化を決定することと、地形の変化に依存してトリガ条件が満たされるかどうかを決定することとを含んでいてもよい。
【0099】
いくつかの、しかし必ずしもすべての例ではないが、地形の変化が低トラクション走行面に関連する地形へのものであると決定することは、車両10の地形モードを、低トラクション走行面に関連する地形モードへ変更することを決定することを含んでもよい。
【0100】
地形モードには、低トラクション走行面に関連するものと、そうでないものとがある。低トラクション駆動面に関連する地形モードは、例えば、草/砂利/雪地形モード、砂地形モード、岩地形モード、及び/又はウェーディングを含む。地形モードがデフォルトである場合、および/または舗装道路に関連する場合、低トラクション走行面は決定されないことがある。いくつかの例では、地形モードの変更を決定することは、車両10のユーザから車両10の地形モードを選択する少なくとも1つの入力を受信することを含む。
【0101】
いくつかの、しかし必ずしも全ての例ではないが、地形の変化が低トラクション走行路面に関連する地形へのものであると決定することは、車両10が現在運転されている路面の特性及び/又はタイプ(地形タイプ)を決定することからなる場合がある。地形タイプは、自動的に決定されてもよいし、手動で選択されてもよい。地形タイプを自動的に決定することは、センサから走行路面を示す情報を受信することを含んでいてもよい。センサは、カメラ、水深センサ、レーダセンサ(radio detection and ranging)又はライダセンサ(light detection and ranging)から構成されてもよい。情報は、走行路面の摩擦を示すものであってもよい。低トラクション走行面に関連する地形タイプの例としては、草/砂利/雪の地形タイプ、砂地形タイプ、岩地形タイプ、及び/又はウェーディングが挙げられる。地形タイプがデフォルトまたは舗装道路である場合、低トラクション走行面は決定されない場合がある。
【0102】
低トラクション走行路面に関連する地形モードおよび/または地形タイプは、全輪駆動を必要とする場合がある。全輪駆動は、地形タイプ及び/又はモードが変化し、全輪駆動を必要としなくなるまで、係合したままであってもよい。
【0103】
いくつかの例では、トリガ条件424が満たされたとき、車両10は既に全輪駆動(パラレルHEVモード)であってもよい。いくつかの例では、トリガ条件424は、全輪駆動が既にアクティブでない場合、全輪駆動の活性化を要求してもよい。
【0104】
車両10が既に全輪駆動であった後にトリガ条件424が満たされた場合、要求トルク分割は、既存の要求トルク分割であってもよい。実装によっては、トリガ条件は、既存の要求トルク分割の値を修正してもよいし、以前の値を維持してもよい。要求トルク分割からの許容される逸脱は、上述したように抑制される。トリガ条件424が満たされない場合、要求トルク分割からの逸脱がさらに許容される場合がある。
【0105】
低トラクションのトリガ条件424の他の例は、車輪のスリップである。例えば、本方法のブロック422は、検出された車輪スリップの指示を受信することからなる。ブロック424は、検出された車輪のスリップに依存してトリガ条件が満たされるかどうかを決定することを含んでいてもよい。トリガ条件は、全輪駆動における車両10の起動および/または継続的な動作を要求してもよい。トリガ条件は、車輪のスリップがもはや検出されないことに関連する終了条件が満たされるまで、満たされたままであってもよい。終了条件は、車輪の滑りが検出されなくなるとすぐに満足されてもよいし、終了条件に何らかのヒステリシスを組み込んでもよい。
【0106】
トリガ条件が満たされると、本方法はブロック426に進む。ブロック426は、第1の(要求)トルク分割比からの第2の(提供または提供可能)トルク分割比の偏差が抑制されるように、電気機械トルク要求の決定を制御することを含んでいる。ブロック426は、第1の比率と第2の比率との間に偏差が存在するという指示をさらに要求してもよく、そうでなければ、比率は一致し、ブロック426は要求されない。例えば、エンジントルク要求に対してエンジントルクの閾値以上の不足が検出または予想され、トリガ条件が満たされた場合、ブロック426が実行される。
【0107】
実施態様では、ブロック426は、第2の電気機械212から要求可能なトルクを制限する制約を使用する。制約は、要求トルクの分割に基づいてもよい。制約は、車両車輪で受けるトルクの比率の要求トルク分割からの許容される逸脱を抑制してもよい。
【0108】
要求トルク分割からの逸脱を実質的に排除するために、ブロック426は、電気機械トルク要求が電気機械が可能な最大/典型的な変化率よりも遅い速度で変化することを許可することによって実施されてもよく、遅い速度は、内燃機関がそのトルクを変化できる速度に基づくものである。これにより、第2の電気機械212は、エンジン202が第1の組の車両車輪(FL、FR)における車輪トルクを増加させることができるよりも速く第2の組の車両車輪(RL、RR)におけるその車輪トルクを増加させることを防止する。
【0109】
電気機械トルク要求の低減は、図5Bの鎖線破線510をもたらす。低減された電気機械トルク要求510は、不足分を含む提供された内燃機関トルク504を反映する。したがって、線504:510の比率は、要求されるトルク分割が一貫して維持されるように、本来要求される比率502:508と実質的に一致する。
【0110】
ブロック426の例示的な実装では、エンジントルク制約が、ブロック404で決定された燃焼エンジントルクに基づいて決定される。ブロック426は、第2電気機械212のトルク要求をエンジントルク制約に一致するように変更する。エンジントルク制約とは、トルクレート制限のようなトルク制限であってもよい。トルクレート制限値は、電動機トルク要求の変化率を超えると、電動機トルクの変化率を制限して、エンジン202の車輪トルク応答能力に合わせて第2の電動機212の車輪トルク応答能力を遅くすることができる。したがって、車両10の前車軸と後車軸のトルクは同じ最大速度で増加し、要求されるトルク分割が維持される。
【0111】
エンジントルク制約を決定するために、制御システム208は、エンジントルク要求に応答して提供可能な燃焼トルクを測定または推定してもよい。推定は、エンジン202の提供可能なトルクのコントローラモデルを利用してもよい。測定は、トルクセンサなどのセンサを利用してもよい。結果として生じるエンジントルク制約は、提供可能な燃焼エンジントルクに依存してもよく、例えば、それと等しいか又は相関していてもよい。
【0112】
第2電気機械212に適用されるエンジントルク制約の大きさは、第1ギヤ比と第2ギヤ比との差に依存してもよい。第1ギヤ比は、エンジン202と第1組の車両車輪FL,FRとの間の総ギヤ減少量を示している。第2ギヤ比は、第2電気機械212と第2組の車両用車輪RL,RRとの間の総ギヤ減少量を示すものである。第2ギヤ比は、第1ギヤ比と異なっていてもよい。第2ギヤ比とは異なり、第1ギヤ比は、変速機204における選択されたギヤに依存してもよい。第1のギヤ比は、トルクコンバータの検出された又はモデル化されたトルク増分に依存してもよい。ギヤ比は、例えば、異なる車軸の車輪が異なる半径を有する場合、車輪(すなわち、文字通りタイヤ)の半径に依存してもよい。エンジントルク制約(ブロック426)および/または不足分(ブロック406)の大きさは、車輪トルクとして計算されてもよく、これは、ギヤ比のこの差に基づいて電気機械トルク要求に変換される。
【0113】
本開示の目的のために、本明細書に記載されるコントローラ(複数可)はそれぞれ、1つ以上の電子プロセッサを有する制御ユニットまたは計算装置で構成され得ることが理解される。車両および/またはそのシステムは、単一の制御ユニットまたは電子コントローラを構成し得るか、あるいは代替的に、コントローラ(複数可)の異なる機能が、異なる制御ユニットまたはコントローラに具現化され得るか、またはホストされ得る。実行されると、前記コントローラ(複数可)または制御ユニット(複数可)に本明細書に記載の制御技術(記載の方法(複数可)を含む)を実施させる一組の命令が提供され得る。命令のセットは、1つまたは複数の電子プロセッサに組み込まれてもよく、あるいは、命令のセットは、1つまたは複数の電子プロセッサ(複数可)によって実行されるソフトウェアとして提供され得る。例えば、第1のコントローラは、1つまたは複数の電子プロセッサ上で実行されるソフトウェアで実装されてもよく、1つまたは複数の他のコントローラも、1つまたは複数の電子プロセッサ(オプションとして、第1のコントローラと同じ1つまたは複数のプロセッサ)上で実行されるソフトウェアで実装され得る。しかしながら、他の配置も有用であり、したがって、本開示は、任意の特定の配置に限定されることを意図していないことが理解されよう。いずれにせよ、上述の命令のセットは、機械または電子プロセッサ/計算機によって読み取り可能な形態で情報を格納するための任意の機構を含んでいてもよいコンピュータ可読記憶媒体(例えば、非一時的コンピュータ可読記憶媒体)に組み込まれてもよく、これには限定されないが、磁気記憶媒体(例えば、磁気記憶媒体(例えば、フロッピーディスク);光学記憶媒体(例えば、CD-ROM);光磁気記憶媒体;読み取り専用メモリ(ROM);ランダムアクセスメモリ(RAM);消去可能プログラマブルメモリ(例えば、EPROMおよびEEPROM);フラッシュメモリ;または電気または他のタイプの媒体であってかかる情報/命令を記憶するためのもの、などである。
【0114】
本願の範囲から逸脱することなく、本発明に様々な変更および修正を加えることができることが理解されよう。
【0115】
図4に図示されたブロックは、方法におけるステップおよび/またはコンピュータプログラム306におけるコードのセクションを表すことができる。ブロックに対する特定の順序の図示は、必ずしもブロックに要求されるまたは好ましい順序があることを意味するものではなく、ブロックの順序および配置は変化してもよい。例えば、いくつかの例では、トリガ条件が満たされたという決定(ブロック424)は、方法の最初のステップであってよく、トルク要求の出力(ブロック402)、内燃機関によって提供可能なトルクの決定(ブロック404)、およびトルク要求に対して提供可能なトルクの不足の決定(ブロック406)は、トリガ条件が満たされたという決定に続いて実施されてもよい。
【0116】
さらに、いくつかの例において、いくつかのステップが省略されることが可能であり得る。
【0117】
本発明の実施形態は、様々な例を参照して前の段落で説明されたが、与えられた例に対する修正は、請求された本発明の範囲から逸脱することなく行われ得ることが理解されるべきである。例えば、トリガ条件が満たされたときに、先に述べた補償トルク機能を抑制/解除するだけで、比率の偏差を減少させることができる。なぜなら、一方の車軸に結合されたトルク源が、他方の車軸におけるトルクの不足を補償するために余分なトルクを提供すると、それぞれの車軸におけるトルクの比率は、必要なトルク分割から遠ざかっていくからである。
【0118】
前述の説明で述べた機能は、明示的に記述された組み合わせ以外の組み合わせで使用することも可能である。
【0119】
特定の特徴を参照して機能を説明したが、それらの機能は、説明されているか否かにかかわらず、他の特徴によって実行可能である場合がある。
【0120】
特定の実施形態を参照して機能を説明したが、それらの機能は、説明されているか否かにかかわらず、他の実施形態にも存在することができる。
【0121】
前述の明細書では、特に重要であると考えられる本発明の特徴に注目するように努めたが、出願人は、特に強調されているかどうかにかかわらず、本明細書で言及され、および/または図面に示された特許可能な特徴または特徴の組み合わせに関して保護を主張することを理解されたい。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B