(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-12
(45)【発行日】2024-09-24
(54)【発明の名称】放射線療法システム及び照射パラメータ検証装置の動作手順
(51)【国際特許分類】
A61N 5/10 20060101AFI20240913BHJP
【FI】
A61N5/10 J
(21)【出願番号】P 2022575314
(86)(22)【出願日】2021-04-21
(86)【国際出願番号】 CN2021088672
(87)【国際公開番号】W WO2021249033
(87)【国際公開日】2021-12-16
【審査請求日】2023-01-11
(31)【優先権主張番号】202010510248.8
(32)【優先日】2020-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520417207
【氏名又は名称】中硼(厦▲門▼)医▲療▼器械有限公司
【氏名又は名称原語表記】Neuboron Therapy System Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.2060 Wengjiao West Road, Haicang District Xiamen, Fujian Provance, 361026 P.R.China
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100159916
【氏名又は名称】石川 貴之
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼▲韋▼霖
【審査官】段 吉享
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-306617(JP,A)
【文献】特開2014-161623(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療用放射線を発生させる放射線発生装置と、
放射線の照射を受ける患者を配置する照射室と、
患者を搬送して載置する載置装置と、
前記照射室内に設けられたコリメータと、
照射パラメータ検証装置と、
コリメータモデルと、
を含み、
前記コリメータは、放射線が射出されるコリメータ出口を含み
、
前記照射パラメータ検証装置は、患者及び前記コリメータモデルの画像データを取得する画像取得ユニットを含み、
前記コリメータモデルの中心線に平行な方向における前記コリメータモデルのサイズは、前記コリメータの中心線に平行な方向における前記コリメータのサイズよりも小さく、
前記コリメータモデルは、異なるサイズの複数のコリメータモデル出口を有し、
各前記コリメータモデル出口の形状及びサイズは、
それぞれ、特定の前記コリメータの前記コリメータ出口の形状及びサイズ
と同じであり、
かつ、前記コリメータモデルの内部に異なるサイズの複数のキャビティが加工され、
各キャビティは、
それぞれ、特定の
前記コリメータモデル出口を表すことを特徴とする、
患者に対して放射線療法を行う放射線療法システム。
【請求項2】
前記照射パラメータ検証装置は、
前記画像取得ユニットから取得された、患者及び前記コリメータモデルの画像データを記憶する記憶ユニットと、
前記記憶ユニットにおける、患者及び前記コリメータモデルの画像データを、照射点及び照射角度を含む照射パラメータに変換する変換ユニットと、
前記変換ユニットにおける前記照射パラメータを組み合わせて、対応するセットアップにいるときの患者体内の放射線の線量分布を計算する計算ユニットと、
前記計算ユニットにより算出された線量分布を所定の線量分布と比較する比較ユニットと、
を更に含むことを特徴とする、
請求項1に記載の放射線療法システム。
【請求項3】
前記画像取得ユニットは、CTスキャナを含むことを特徴とする、
請求項2に記載の放射線療法システム。
【請求項4】
前記コリメータモデルの中心線に平行な方向における前記コリメータモデルのサイズは、1~10mmであることを特徴とする、
請求項1に記載の放射線療法システム。
【請求項5】
前記コリメータモデル出口が位置する端面には、異なるサイズを有する複数の環状溝が間隔を隔てて成形され、
各溝は、
それぞれ、特定の
前記コリメータモデル出口を表すことを特徴とする、
請求項1に記載の放射線療法システム。
【請求項6】
前記載置装置は、
患者を載置する載置部と、
前記載置部が移動するように駆動する駆動部と、
前記載置部と前記駆動部との間に接続された接続部と、
を含むことを特徴とする、
請求項1に記載の放射線療法システム。
【請求項7】
前記放射線療法システムは、中性子捕捉療法システムであることを特徴とする、
請求項6に記載の放射線療法システム。
【請求項8】
治療用放射線を発生させる放射線発生装置と、
放射線の照射を受ける患者を配置する照射室と、
患者を搬送して載置する載置装置と、
前記照射室内に設けられたコリメータと、
コリメータモデルと、
を含み、
前記コリメータは、放射線が射出されるコリメータ出口を含み
、
前記コリメータモデルの中心線に平行な方向における前記コリメータモデルのサイズは、前記コリメータの中心線に平行な方向における前記コリメータのサイズよりも小さく、
前記コリメータモデルは、異なるサイズの複数のコリメータモデル出口を有し、
各前記コリメータモデル出口の形状及びサイズは、
それぞれ、特定の前記コリメータの前記コリメータ出口の形状及びサイズ
と同じであり、
かつ、前記コリメータモデルの内部に異なるサイズの複数のキャビティが加工され、
各キャビティは、
それぞれ、特定の
前記コリメータモデル出口を表すことを特徴とする、
患者に対して放射線療法を行う放射線療法システム。
【請求項9】
前記コリメータモデルの中心線に平行な方向における前記コリメータモデルのサイズは、1~10mmであることを特徴とする、
請求項8に記載の放射線療法システム。
【請求項10】
患者のセットアップを検証する照射パラメータ検証装置を更に含むことを特徴とする、
請求項8に記載の放射線療法システム。
【請求項11】
前記照射パラメータ検証装置は、
患者及び前記コリメータモデルの画像データを取得する画像取得ユニットと、
前記画像取得ユニットから取得された、患者及び前記コリメータモデルの画像データを記憶する記憶ユニットと、
前記記憶ユニットにおける、患者及び前記コリメータモデルの画像データを、照射点及び照射角度を含む照射パラメータに変換する変換ユニットと、
前記変換ユニットにおける前記照射パラメータを組み合わせて対応するセットアップにいるときの患者体内の放射線の線量分布を計算する計算ユニットと、
前記計算ユニットにより算出された線量分布を所定の線量分布と比較する比較ユニットとを含むことを特徴とする、
請求項10に記載の放射線療法システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線照射システムに関し、特に、放射線療法システム及び照射パラメータ検証装置の動作手順に関する。
【背景技術】
【0002】
原子科学の発展に従って、コバルト60、線形加速器、電子ビームなどの放射線療法は、既にがん治療の主な手段の1つとなった。放射線療法の過程において、ビームを用いて一定の時間内に患者を照射し続ける必要がある。照射する前に、患者を適切な位置にセットアップして、放射線が患者体内の腫瘍細胞を最大限に死滅させ、かつ放射線の周囲の正常組織に対する損傷をできるだけ低減することを保証する必要がある。患者のセットアップは、コリメータの中心に対する患者の腫瘍中心の位置パラメータ、即ち、照射パラメータであり、各組の上記照射パラメータは、照射点及び照射角度を含む。照射パラメータが分かってから、該組の照射パラメータに対応する線量分布が要件を満たすか否かを検証する。
【0003】
現在、CTスキャナなどの画像取得装置を用いてコリメータと患者の画像データを取得した後に、計算により、患者が該セットアップにいるときに対応する照射パラメータを取得する。しかしながら、コリメータ及び画像取得装置のサイズの制限のため、サイズが大き過ぎるコリメータの場合、患者と共に画像取得装置内に搬送されて造影することができない。
【発明の概要】
【0004】
上記問題を解決するために、本発明は、画像取得装置の動作範囲のサイズに対して追加の要件がない放射線療法システム及び照射パラメータ検証装置の動作手順を提供する。
【0005】
前記放射線療法システムは、治療用放射線を発生させる放射線発生装置と、放射線の照射を受ける患者を配置する照射室と、患者を搬送して載置する載置装置と、前記照射室内に設けられたコリメータと、照射パラメータ検証装置と、コリメータモデルとを含み、前記コリメータは、放射線が射出されるコリメータ出口を含み、前記コリメータモデルは、コリメータモデル出口を含み、前記コリメータモデル出口と前記コリメータ出口とは、形状及びサイズが同じであり、前記照射パラメータ検証装置は、患者及び前記コリメータモデルの画像データを取得する画像取得ユニットを含み、前記コリメータモデル出口に垂直な方向における前記コリメータモデルのサイズは、前記コリメータ出口に垂直な方向における前記コリメータのサイズよりも小さい。
【0006】
更に、前記照射パラメータ検証装置は、前記画像取得ユニットから取得された患者及び前記コリメータの画像データを記憶する記憶ユニットと、前記記憶ユニットにおける患者及び前記コリメータモデルの画像データを照射パラメータに変換する変換ユニットと、前記変換ユニットにおける前記照射パラメータを組み合わせて対応するセットアップにいるときの患者体内の放射線の線量分布を計算する計算ユニットと、前記計算ユニットにより算出された線量分布を所定の線量分布と比較する比較ユニットとを更に含む。
【0007】
好ましくは、前記画像取得ユニットは、CTスキャナを含む。
【0008】
更に、前記コリメータモデル出口に垂直な方向における前記コリメータモデルのサイズは、1~10mmである。
【0009】
更に、各前記コリメータモデルは、異なるサイズの複数のコリメータモデル出口を有し、各前記コリメータモデル出口の形状及びサイズは、1つの前記コリメータの前記コリメータ出口の形状及びサイズに対応する。
【0010】
好ましくは、前記コリメータモデルの内部に異なるサイズの複数のキャビティが加工され、異なるサイズの各キャビティは、1つのコリメータモデル出口を表す。
【0011】
好ましくは、前記コリメータモデル出口が位置する端面には、異なるサイズの複数の溝が間隔を隔てて成形され、異なるサイズの各溝は、1つのコリメータモデル出口を表す。
【0012】
更に、患者と前記コリメータモデルとの間の相対位置を調整して固定する調整機構を更に含む。
【0013】
前記放射線療法システムは、中性子捕捉療法システムである。
【0014】
好ましくは、中性子捕捉療法システムは、ホウ素中性子捕捉療法システムである。
【0015】
好ましくは、前記ホウ素中性子捕捉療法システムは、加速器によるホウ素中性子捕捉療法システムである。
【0016】
前記照射パラメータ検証装置の動作手順は、前記載置装置を前記画像取得ユニットの動作領域に移動させて患者及び前記コリメータモデルの画像データを取得するステップS1と、前記記憶ユニットによって、前記画像取得ユニットから取得された患者及び前記コリメータモデルの画像データを記憶するステップS2と、前記変換ユニットによって、前記記憶ユニットにおける患者及び前記コリメータモデルの画像データを前記照射パラメータに変換するステップS3と、前記計算ユニットによって、ビーム強度、腫瘍の大きさなどの他の情報を前記照射パラメータと組み合わせて患者が該前記照射パラメータに対応するセットアップにいるときの患者体内の放射線の線量分布を計算するステップS4と、前記比較ユニットによって、前記計算ユニットから算出された線量分布を所定の線量分布と比較するステップS5と、前記コリメータモデルと患者との相対位置を調整し、前記計算ユニットから得られた線量分布と所定の線量分布との間の差が許容可能な範囲内にあるまでS1~S5を繰り返すステップS6とを含む。
【0017】
従来技術に比べて、本実施例に記載の技術手段は、以下の有益な効果を有する。コリメータモデル出口が上記コリメータ出口と形状及びサイズが同じであるが、長さが上記コリメータよりも小さいコリメータモデルを使用して、患者と共に上記画像取得ユニットの内部に搬送して画像を取得することにより、上記コリメータモデル出口に対する患者のセットアップが放射線照射療法に適するか否かを判断し、完全なコリメータを上記画像取得ユニットに入れる必要がなく、上記画像取得ユニットの動作範囲のサイズに対する要件を低下させ、製造コストを減少させる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係る照射パラメータ検証装置を除く放射線療法システムの上面図である。
【
図2】本発明に係る放射線療法システムの、患者を載置する載置装置、調整機構及びコリメータモデルの概略斜視図である。
【
図3】本発明に係る放射線療法システムの実施例1におけるコリメータモデルの概略斜視図である。
【
図4】本発明に係る放射線療法システムの実施例2及び実施例3におけるコリメータモデルの正面図である。
【
図5】本発明に係る放射線療法システムの実施例2におけるコリメータモデルの断面図である。
【
図6】本発明に係る放射線療法システムの実施例3におけるコリメータモデルの断面図である。
【
図7】本発明に係る放射線療法システムの照射パラメータ検証装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら本発明の実施例を更に詳細に説明することにより、当業者であれば、明細書の文字を参照して実施することができる。
【0020】
本発明の目的、技術手段及び利点をより明確にするために、以下、図面及び実施例を参照しながら、本発明を更に詳細に説明する。以下の説明に記載の「接続」、「取付」、「固定」などの用語は、特に説明しない場合に、直接的な接続、取付、固定であってもよく、第三者物質の介入が許可される間接的な接続、取付、固定であってもよく、取り外し可能な接続、取付、固定であってもよく、取り外し不可能な接続、取付、固定であってもよい。
【0021】
放射線療法は、一般的ながん治療の手段であり、
図1~
図3に示すように、放射線療法を行う放射線療法システムは、治療用放射線を発生させる放射線発生装置1と、放射線の照射を受ける患者Sを配置する照射室2と、照射制御を実施する管理室3と、患者Sを搬送して載置する載置装置4と、患者Sのセットアップが適切であるか否かを決定する照射パラメータ検証装置5とを含む。
【0022】
図1に示すように、上記放射線発生装置1は、上記照射室2の外で放射線を発生させ、かつ上記照射室2内に配置された患者Sに放射線を照射することができるように構成され、上記照射室2内にコリメータ6が設けられ、上記コリメータ6は、放射線が入る入口61及び放射線が射出されるコリメータ出口62を含み、上記コリメータ出口62の中心線Xは、患者Sの照射される必要がある部位に位置合わせされる。上記コリメータ6は、2つの部分に分けられ、上記入口61に近い部分を前端部64と定義し、上記コリメータ出口62に近い部分を末端部65と定義し、上記コリメータ6の上記中心線Xに平行な方向において、上記コリメータ6の上記末端部65のサイズは、1mm~10mmである。上記管理室3は、放射線照射を行う治療工程全体を管理し、制御する部屋であり、例えば、管理者は、上記管理室3の室内から患者Sが所定の位置に配置されるか否かなどを肉眼で確認し、上記載置装置4は、患者Sを回転、平行移動及び昇降移動させるように載置する。
【0023】
図2に示すように、上記載置装置4は、患者Sを載置する載置部41と、上記載置部41が回転及び/又は移動するように駆動する駆動部42と、上記載置部41と上記駆動部42との間に接続された接続部43とを含む。本願に開示された実施例では、上記載置部41は、平板状の床板であり、上記接続部43は、ロボットアームであり、上記駆動部42は、ロボットアームが動作するように駆動するシリンダなどの一般的な動力源又は人力駆動によるものである。他の実施形態では、上記載置部41は、椅子状の載置椅子として設けられてもよく、上記接続部43は、リンク機構として設けられてもよく、当然のことながら、以上に挙げられた構造に限定されない。
【0024】
放射線照射療法を行う前に、管理者は、患者Sが適切な位置にセットアップされるか否かを決定する必要があり、具体的には、上記コリメータ出口62に対する患者Sのセットアップが放射線照射療法を行うことに適するか否かを決定する。適切なセットアップで放射線照射療法を行う場合、放射線で患者S体内の腫瘍細胞を最大限に死滅させ、放射線の周囲の正常組織に対する損傷をできるだけ低減することができる。したがって、放射線照射療法を行う前に、上記照射パラメータ検証装置5で患者Sのセットアップを検証して患者Sが適切な被照射位置にいることを確保する必要がある。患者Sのセットアップは、座標原点に対する患者Sの腫瘍中心の位置パラメータ、即ち、照射パラメータであり、各組の上記照射パラメータは、照射点及び照射角度を含み、本願に開示された実施例では、上記コリメータ出口62の中心点を原点として上記照射パラメータ(X、Y、Z、φ)を決定する。
【0025】
図3に示すように、上記照射パラメータ検証装置5は、患者S及び上記コリメータ6の画像データを取得する画像取得ユニット51と、上記画像取得ユニット51から取得された患者S及び上記コリメータ6の画像データを記憶する記憶ユニット52と、上記記憶ユニット52における患者S及び上記コリメータモデル6の画像データを対応する照射パラメータに変換する変換ユニット53と、上記変換ユニット53における上記照射パラメータを組み合わせて該セットアップにいるときの患者S体内の放射線の線量分布を計算する計算ユニット54と、上記計算ユニット54により算出された線量分布を所定の線量分布と比較する比較ユニット55とを含む。所定の線量分布は、上記記憶ユニット52に記憶される。
【0026】
図1及び
図4に示すように、上記コリメータ6の形状は、実際の必要に応じて、円柱状、直方体状、円錐状などであってもよい。本願では、円錐状のコリメータ6を例とし、使用されたコリメータ6の長さは、0~50cmであり、上記入口61の直径は、0.5~30cmであり、上記画像取得ユニット51の入口のサイズは、100cmよりも小さい。患者S及び上記コリメータ6の画像データを取得する過程において、上記コリメータ6のサイズが大きい場合、完全なコリメータ6を患者Sと共に上記画像取得ユニット51の内部に搬送して画像を取得することができない。実際の操作過程において、上記変換ユニット53は、上記コリメータ出口62と患者Sとの間の相対位置の画像データだけで、座標原点(上記コリメータ出口62の中心点)に対する患者Sの腫瘍中心の位置パラメータ、即ち、上記照射パラメータを取得することができる。具体的には、上記コリメータ出口62の形状、サイズ及び上記コリメータ出口62の端面と患者Sとの間の相対位置の画像データを上記変換ユニット53に提供すればよく、したがって、上記コリメータ出口62の形状及びサイズを確実に呈することができるコリメータモデル8を製造して患者Sと共に上記画像取得ユニット51の内部に搬送して造影すればよい。上記コリメータモデル8は、コリメータモデル入口81及びコリメータモデル出口82を含み、上記コリメータ出口62及びコリメータモデル出口82に垂直な方向を長さ方向と定義すると、上記コリメータモデル出口82は、上記コリメータ出口62と形状及びサイズが同じであるが、上記コリメータモデル8の長さは、上記コリメータ6の長さよりも小さい。
【0027】
本願では、上記コリメータ6の上記末端部65と形状及びサイズが完全に同じである上記コリメータモデル8を製造して患者Sと共に上記画像取得ユニット51の内部に搬送して造影する。即ち、上記コリメータモデル8の上記中心線Xに平行な方向において、上記コリメータモデル8のサイズは、1mm~10mmである。
【0028】
他の実施形態では、上記コリメータ6と形状及びサイズが完全に同じであるシミュレーションコリメータを製造してもよく、上記シミュレーションコリメータは、上記コリメータ6と上記入口61、上記コリメータ出口62、上記先端部64及び上記末端部65の定義が一致し、次に、上記シミュレーションコリメータの上記末端部65を切り取って上記コリメータモデル8として患者Sと共に上記画像取得ユニット51の動作範囲内に入れて造影する。具体的には、上記シミュレーションコリメータの上記中心線Xに平行な方向において、上記末端部65のサイズは、1mm~10mmである。
【0029】
他の実施形態では、上記コリメータ出口62と形状及びサイズが同じである中空円柱を上記コリメータモデル8として製造して患者Sと共に上記画像取得ユニット51の動作範囲内に入れて造影してもよく、上記コリメータモデル8の上記中心線Xに平行な方向において、上記コリメータモデル8のサイズは、1mm~10mmである。
【0030】
図4及び
図5に示すように、患者Sと上記コリメータモデル8との間の相対位置の調整及び固定を実現するために、上記放射線療法システムは、患者Sと上記コリメータモデル8との間の相対位置を調整して固定する調整機構9を更に含む。患者S及び上記コリメータモデル8を上記画像取得ユニット51の動作範囲内に搬送して造影する前に、医師又は物理士は、自身の経験に基づいて、上記調整機構9により上記コリメータモデル8を調整して、適切と思われる位置に固定し、該位置で、患者Sの腫瘍中心は、1組の照射パラメータに対応する。上記調整機構9の構造は、限定されず、上記コリメータモデル8と患者Sとの間の相対位置を調整して固定することができればよい。
【0031】
放射線照射療法を行う前に、上記照射パラメータ検証装置5により、上記コリメータモデル出口82に対する患者Sのセットアップが放射線照射療法を行うことに適するか否かを決定する必要があり、検証する前に、医師又は物理士は、自身の経験に基づいて、患者Sを上記載置部41上の対応する位置に配置して固定し、次に、患者Sに対する上記コリメータモデル8の位置を調整して上記コリメータモデル8をロックし、具体的なステップは、以下のとおりである。
【0032】
ステップS1では、上記載置部41を上記画像取得ユニット51の動作領域に移動させて患者S及び上記コリメータモデル8の画像データを取得し、
ステップS2では、上記記憶ユニット52によって、上記画像取得ユニット51から取得された患者S及び上記コリメータモデル8の画像データを記憶し、
ステップS3では、上記変換ユニット53によって、上記記憶ユニット52における患者S及び上記コリメータモデル8の画像データを該セットアップに対応する照射パラメータに変換し、
ステップS4では、上記計算ユニット54によって、ビーム強度、腫瘍の大きさなどの他の情報を上記照射パラメータと組み合わせて患者Sが該上記照射パラメータに対応するセットアップにいるときの患者S体内の放射線の線量分布を計算し、
ステップS5では、上記比較ユニット55によって、上記計算ユニット54から算出された線量分布を所定の線量分布と比較し、
ステップS6では、上記コリメータモデルと患者との相対位置を調整し、上記計算ユニット54から得られた線量分布と所定の線量分布との間の差が許容可能な範囲内にあるまでステップS1~S5を繰り返す。
【0033】
対応する線量分布が許容可能な範囲内にある上記照射パラメータを取得した後、上記載置装置4の上記駆動部42によって上記載置部41が該照射パラメータに対応する位置に移動するように駆動して放射線照射を行う。
【0034】
本願に開示された実施例では、上記画像取得ユニット51は、CTスキャナであり、他の実施例では、他の装置を使用して画像を取得してもよい。
【0035】
実施例1では、上記コリメータモデル8の内部キャビティは、円柱体状であり、かつ1つの上記コリメータモデル8は、形状及びサイズが唯一のコリメータモデル出口82に対応する。実施例2及び実施例3では、1つのコリメータモデル8’、8’’に異なるサイズの複数のコリメータモデル出口82をマークすることにより、一回造影して複数組の上記照射パラメータを取得するという目的を達成する。具体的には、
図5に示すように、実施例2では、上記コリメータモデル8’の中心に平行な方向において、上記コリメータモデル8’の内部に異なる直径の複数の円柱状キャビティ82’が加工され、
図6に示すように、実施例3では、上記コリメータモデル8’’の端面には、異なる直径を有する複数の環状溝82’’が間隔を隔てて成形され、いくつかの円柱状キャビティ82’の中心線が重なり、いくつかの環状溝82’’の中心線が重なる。異なる直径の各円柱状キャビティ82’及び環状溝82’’は、1つのコリメータモデル出口82を表す。上記円柱状キャビティ82’及び環状溝82’’は、円状のコリメータ出口62に対応し、上記コリメータ出口62の形状が方形状又は他の形状である場合、上記円柱状キャビティ82’及び環状溝82’’は、対応して方形状キャビティ、方形状溝などに置き換えられる。好ましくは、上記コリメータモデル出口82から上記コリメータモデル入口81への方向において、上記コリメータモデル8’の内部に加工された円柱状キャビティ82’の直径は、徐々に小さくなる。
【0036】
本願では、コリメータモデル出口82が上記コリメータ出口62と形状及びサイズが同じであるが、長さが上記コリメータ6の長さよりも小さい上記コリメータモデル8を使用して患者Sと共に上記画像取得ユニット51の内部に搬送して造影し、完全なコリメータ6を上記画像取得ユニット51に入れる必要がなく、上記画像取得ユニット51の動作範囲のサイズに対する要件を低下させ、また、1つの上記コリメータモデル8’、8’’に異なるサイズの複数の上記コリメータモデル出口82をマークすることにより、一回造影して複数組の上記照射パラメータを取得するという目的を達成し、上記コリメータモデル8’、8’’を製造するコスト及び上記コリメータモデル8’、8’’と患者Sを造影するコストを大幅に減少させる。
【0037】
中性子捕捉療法は効果的ながん治療の手段として、近年ではその適用が増加しており、そのうち、ホウ素中性子捕捉療法が最も一般的なものとなった。ホウ素中性子捕捉療法に用いられる中性子は、原子炉又は加速器で供給することができる。好ましくは、上記放射線は、中性子線であり、上記放射線発生装置1は、中性子線発生装置であり、上記放射線療法システムは、中性子捕捉療法システムであり、より好ましくは、中性子捕捉療法システムは、ホウ素中性子捕捉療法システムであり、更に、上記ホウ素中性子捕捉療法システムは、加速器によるホウ素中性子捕捉療法システムである。
【0038】
以上の実施例は、本発明を説明するためのものに過ぎず、本発明に記載の技術手段を限定するものではなく、本明細書は、当業者の理解に基づいてなされたものであり、本明細書では、上記実施例を参照しながら本発明を詳細に説明したが、当業者であれば、当業者が依然として本発明を修正するか又は同等置換することができ、本発明の精神及び範囲から逸脱しない全ての技術手段及びその改良は、いずれも本発明の特許請求の範囲内に含まれるべきであることを理解されたい。