IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本碍子株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-12
(45)【発行日】2024-09-24
(54)【発明の名称】コア基板およびインターポーザ
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20240913BHJP
   H01L 25/065 20230101ALI20240913BHJP
   H01L 25/18 20230101ALI20240913BHJP
【FI】
H01L25/08 H
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022578373
(86)(22)【出願日】2022-01-24
(86)【国際出願番号】 JP2022002456
(87)【国際公開番号】W WO2022163588
(87)【国際公開日】2022-08-04
【審査請求日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2021/003321
(32)【優先日】2021-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100134991
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 和樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148507
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多 弘行
(72)【発明者】
【氏名】若園 芳嗣
(72)【発明者】
【氏名】谷 信
【審査官】庄司 一隆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2007/129526(WO,A1)
【文献】特開2001-060767(JP,A)
【文献】特開2013-054369(JP,A)
【文献】特開2000-164417(JP,A)
【文献】特開2013-053041(JP,A)
【文献】特開2015-135870(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 25/00-25/07
25/10-25/11
25/16-25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子が搭載されるインターポーザを構成するための、インダクタが内蔵されたコア基板であって、
第1面と、厚み方向において前記第1面と反対の第2面とを有し、前記第1面と前記第2面との間に貫通孔を有するセラミック基板と、
前記貫通孔を貫通する導体部と、
前記貫通孔において前記導体部を囲み、セラミックスからなる磁性体部と、
を備え、
前記導体部は焼結金属からなる、コア基板。
【請求項2】
前記導体部は非中空体である、請求項1に記載のコア基板。
【請求項3】
前記導体部と前記磁性体部とが互いに、有機材料を介さないで結合されている、請求項1または2に記載のコア基板。
【請求項4】
前記導体部と前記磁性体部とが互いに無機結合されている、請求項1または2に記載のコア基板。
【請求項5】
前記導体部と前記磁性体部とが互いに焼結している、請求項1または2に記載のコア基板。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載のコア基板と、
前記コア基板の前記導体部に接続された底面を有する接続ビアを含む配線部と、
を備え、前記接続ビアの前記底面は前記磁性体部および前記セラミック基板から離されている、インターポーザ。
【請求項7】
前記接続ビアが配置されたビア孔を有する絶縁体層をさらに備え、前記絶縁体層は前記コア基板の前記磁性体部および前記セラミック基板の各々と前記配線部とを隔てている、請求項6に記載のインターポーザ。
【請求項8】
前記絶縁体層の前記ビア孔は、前記導体部に向かってテーパ状である、請求項7に記載のインターポーザ。
【請求項9】
前記絶縁体層は有機物を含有する、請求項7または8に記載のインターポーザ。
【請求項10】
前記配線部はめっき層である、請求項6から9のいずれか1項に記載のインターポーザ。
【請求項11】
請求項1から5のいずれか1項に記載のコア基板と、
前記コア基板の前記導体部に接続された電極パッドと、
前記電極パッドに接続された底面を有する接続ビアを含む配線部と、
を備え、前記接続ビアの前記底面は前記磁性体部および前記セラミック基板から離されている、インターポーザ。
【請求項12】
前記電極パッドは、前記磁性体部を覆う部分を有している、請求項11に記載のインターポーザ。
【請求項13】
前記電極パッドは銀を含む、請求項11または12に記載のインターポーザ。
【請求項14】
前記電極パッドは焼結金属層である、請求項11から13のいずれか1項に記載のインターポーザ。
【請求項15】
前記配線部はめっき層である、請求項11から14のいずれか1項に記載のインターポーザ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コア基板およびインターポーザに関し、特に、半導体素子が搭載されるインターポーザを構成するための、インダクタが内蔵されたコア基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開2019-179792号公報(特許文献1)によれば、半導体装置において、半導体素子とマザーボードとの間にインターポーザが配置されている。半導体素子およびマザーボードの各々と、インターポーザとは、はんだボールを用いて接続されている。インターポーザとしては多層配線プリント板が示されており、これは、コア基板と、半導体素子に面するようにコア基板に積層された3層の導体回路層と、マザーボードに面するようにコア基板に積層された3層の導体回路層と、を含む。インターポーザの半導体素子搭載側においては、3層の導体回路層を通過することで段階的に配線寸法が縮小する。
【0003】
集積回路(IC:Integrated Circuit)等の半導体素子のために、効率的なパワーマネージメントが求められることがある。典型的には、プロセッサチップ(半導体素子)が有する複数の演算コアの各々への供給電圧が、プロセッサの演算処理量などに応じて、電圧レギュレータによって制御される。電圧レギュレータを構成するためには、通常、スイッチ、キャパシタおよびインダクタを必要とする。演算コアごとに供給電圧を制御するためには、スイッチ、キャパシタおよびインダクタが、演算コアごとに必要になる。特にインダクタは、半導体素子に内蔵することが困難であり、通常、半導体素子とは別に準備される。このインダクタのフットプリントを抑えつつ十分なインダクタンスを確保するために、磁性体を用いることが提案されている。
【0004】
米国特許出願公開第2019/0279806号明細書(特許文献2)によれば、ダイ(半導体素子)とボード(マザーボード)との間に配置されたパッケージ基板(ここでは、一種のインターポーザ)が開示されている。このパッケージ基板には、前述した目的のためのインダクタが内蔵されている。具体的には、このパッケージ基板は、基板コアと、それを貫通する導電性貫通孔と、この導電性貫通孔の周りの磁性被覆と、を有している。磁性被膜は、磁性粒子を含んでいてよい。基板コアは、その上にビルドアップ層(導体回路層)が形成されることになる任意の基板であってよい。コア基板としては、有機材が例示されている。
【0005】
国際公開第2007/129526号(特許文献3)によれば、インダクタが設けられたコア基板が開示されている。インダクタの製造方法としては、長手方向に延在する磁性体の軸方向に貫通孔が形成され、この貫通孔の内面に金属めっきによって導体が形成される。導体に中空を形成することで、導体と磁性体との間の熱膨張の差により発生するストレスが開放される。基板へインダクタを組み込む方法としては、基板に貫通孔が形成され、この貫通孔にインダクタが挿入され、インダクタと基板との間が樹脂で充填される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2019-179792号公報
【文献】米国特許出願公開第2019/0279806号明細書
【文献】国際公開第2007/129526号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
インターポーザに接合されることになる、ダイ(半導体素子)は、近年、複数の演算コアを搭載している。特に、データサーバ向けなどの高性能プロセッサは、演算処理能力を高めるために多くの演算コアを有しているので、ダイ面積当たりの演算コア数が多く、演算コア当たりのダイ面積が小さくなってきている。これに対応するために、インターポーザの単位面積当たりに、より大きなインダクタンスを有する、高密度インダクタが求められている。
【0008】
上記の米国特許出願公開第2019/0279806号明細書においては、主に有機材からなる基板コアに、導電性貫通孔(導体部)と、当該導体部の周りに設けられ磁性粒子を含む磁性被膜(磁性体部)と、を形成することが例示されている。この場合、磁性体部は、基板コアの有機材の耐熱温度以下で形成される必要がある。これを満たす工法として、典型的には、磁性粒子が分散された樹脂を固化する工法がある。しかしながら、樹脂中に分散された磁性粒子によって磁性体部が構成される場合、磁性粒子の充填率(体積当たりの磁性粒子の割合)の限界に起因して、高透磁率を確保しにくい。インターポーザの上述した高密度化に対応して、インターポーザに内蔵されるインダクタのサイズを小さくする必要があるところ、上述したように磁性体部の透磁率を高くしにくいことから、高密度化によって各インダクタの寸法が小さくなると十分なインダクタンスを確保しにくくなる。
【0009】
上記の国際公開第2007/129526号においては、インダクタの導体(導体部)は、めっき膜からなる。言い換えれば、導体部の形成方法として、めっき法が用いられる。これに起因して、導体部の電気特性(特に導電性)のばらつきが大きくなりやすい。
【0010】
本発明は以上のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、半導体素子が搭載されるインターポーザを構成するための、インダクタが内蔵されたコア基板であって、コア基板の単位面積当たりに大きなインダクタンスを有するインダクタを内蔵し、かつ安定的な電気特性を有するコア基板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一態様に従うコア基板は、半導体素子が搭載されるインターポーザを構成するための、インダクタが内蔵されたコア基板であって、セラミック基板と、導体部と、磁性体部とを有している。セラミック基板は、第1面と、厚み方向において第1面と反対の第2面とを有しており、第1面と第2面との間に貫通孔を有している。導体部は貫通孔を貫通している。磁性体部は、貫通孔において導体部を囲んでおり、セラミックスからなる。導体部は焼結金属からなる。
【発明の効果】
【0012】
上記一態様によれば、磁性体部は、磁性粒子が分散された樹脂からなるのではなく、セラミックスからなる。これにより、当該セラミックスを緻密に焼結させることによって、磁性体部の透磁率は十分に高めることができる。よって、コア基板は、単位面積当たりに、大きなインダクタンスを有するインダクタを内蔵することができる。また、導体部は焼結金属からなる。これにより、導体部がめっき膜である場合に比して、導体部の電気特性のばらつきを抑えることができる。よって、コア基板の電気特性を安定化することができる。
【0013】
この発明の目的、特徴、局面、および利点は、以下の詳細な説明と添付図面とによって、より明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施の形態1における電子機器の構成を概略的に示す断面図である。
図2図1の変形例の電子機器を示す断面図である。
図3】本発明の実施の形態1におけるコア基板に内蔵されているインダクタの構成を示す模式図である。
図4図3に示された第1インダクタおよび第2インダクタの電気的接続の例を示す回路図である。
図5】実施の形態1におけるコア基板の構成を概略的に示す図であり、図6の線V-Vに沿う部分断面図である。
図6図5の線VI-VIに沿う部分断面図である。
図7】比較例のコア基板の構成を示す部分断面図である。
図8】実施の形態2におけるコア基板の構成を概略的に示す部分断面図である。
図9】実施の形態3におけるコア基板の構成を概略的に示す部分断面図である。
図10】実施の形態4におけるコア基板の構成を概略的に示す部分断面図である。
図11】実施の形態5におけるコア基板の構成を概略的に示す部分断面図である。
図12】実施の形態6におけるコア基板の構成を概略的に示す部分断面図である。
図13】実施の形態7におけるコア基板の構成を概略的に示す部分断面図である。
図14】実施の形態8におけるコア基板の構成を概略的に示す部分断面図である。
図15】実施の形態9におけるコア基板の構成を概略的に示す部分断面図である。
図16】実施の形態10におけるコア基板の構成を概略的に示す部分断面図である。
図17】実施の形態11におけるインターポーザの構成を概略的に示す図であり、図18の線XVII-XVIIに沿う部分断面図である。
図18図17のインターポーザの第2面の構成を概略的に示す部分平面図である。
図19】実施の形態12におけるインターポーザの構成を概略的に示す図であり、図20の線XIX-XIXに沿う部分断面図である。
図20図19のインターポーザの第2面の構成を概略的に示す部分平面図である。
図21】実施の形態13におけるコア基板の構成を概略的に示す部分平面図である。
図22図21の線XXII-XXIIに沿う部分断面図である。
図23】実施の形態14におけるコア基板の構成を概略的に示す部分平面図である。
図24図23の線XXIV-XXIVに沿う部分断面図である。
図25図23の変形例を示す部分平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。
【0016】
<実施の形態1>
図1は、実施の形態1における電子機器901の構成を概略的に示す断面図である。電子機器901は、インターポーザ700と、半導体素子811(ダイ)と、マザーボード812と、パッケージ基板813とを有している。インターポーザ700は、コア基板601と、配線層791と、配線層792とを有している。
【0017】
配線層791および配線層792のそれぞれは、コア基板601の一方の面上および他方の面上に(具体的には、後述する第1面SF1および第2面SF2上に、直接的または間接的に)積層されている。配線層791および配線層792の各々は、ビルドアップ法またはスパッタ法などによってコア基板601上に積層されてもよいし、別体の配線板として接合されてもよい。
【0018】
配線層791は、コア基板601に面する側から、半導体素子811に面する側へと、配線寸法(例え、ラインアンドスペース(L/S)寸法)が縮小されるように構成された多層配線層であることが好ましい。これにより、コア基板601の配線寸法(L/S)がそれほど高くなくても、小さな端子ピッチを有する半導体素子811を搭載可能なインターポーザ700を構成することができる。具体的には、配線層791は、コア基板601に面する通常配線層と、半導体素子811に面する微細配線層との積層体であってよい。
【0019】
通常配線層は、板状の有機材(例えば、エポキシ系の部材)または無機材(例えば、低温同時焼成セラミックス(LTCC:Low Temperature Co-fired Ceramics)材または非磁性フェライト材)に配線構造を設けることによって形成されてよい。この有機材へ配線構造を形成するためには、例えば、Cuめっきが用いられる。無機材へ配線構造を形成するためには、無機材を焼成工程によって形成する際に、Ag(銀)またはCu(銅)の焼成によって配線構造が同時に形成される。
【0020】
微細配線層は、微細配線の形成容易性の観点で、配線構造を板状の有機材(例えば、エポキシ系またはポリイミド系の部材)に設けることによって形成されることが好ましい。この有機材へ配線構造を形成するためには、例えば、Cuめっきが用いられる。
【0021】
半導体素子811は、インターポーザ700の配線層791上に搭載されている。半導体素子811はインターポーザ700の配線層791に、例えば、はんだボール821によって接続されている。半導体素子811は、IC(Integrated Circuit)チップであってよい。特に、ICチップが、複数の演算コアを有するプロセッサチップである場合、前述した電圧レギュレータを、後述するインダクタを用いて構成することができる。
【0022】
インターポーザ700は、配線層792がパッケージ基板813に接合されることによって、パッケージ基板813に搭載されている。この接合は、例えば、はんだボール823によって行われている。パッケージ基板813はマザーボード812に搭載されており、これは、例えば、はんだボール822を用いた接合によって行われている。
【0023】
上記によれば、インターポーザ700の素子側(半導体素子811に面する側)が配線層791によって構成されており、インターポーザ700の基板側(パッケージ基板813およびマザーボード812に面する側)が配線層792によって構成されている。インターポーザ700の素子側および基板側の各々には、複数の端子(図示せず)が設けられている。素子側の端子ピッチは、基板側の端子ピッチよりも小さくてよく、この場合、インターポーザ700は、端子ピッチを変換する機能を有している。なお変形例として、インターポーザの用途によっては、配線層791および配線層792のいずれか、または両方が、省略されてよい。
【0024】
図2は、電子機器901(図1)の変形例の電子機器902を示す断面図である。電子機器902においては、パッケージ基板813(図1)を介することなくインターポーザ700がマザーボード812に接合されており、この接合は、例えば、はんだボール822によって行われている。
【0025】
図3は、本発明の実施の形態1におけるコア基板601に内蔵されているインダクタの構成を示す模式図である。コア基板601には、複数のインダクタL1およびL2が内蔵されており、さらなるインダクタL3~L6等が内蔵されていてもよく、インダクタの数は任意である。なお、以下においては、インダクタL1およびL2の構成について詳述するが、インダクタL3~L6なども同様の構成を有していてよい。
【0026】
図4は、図3に示されたインダクタL1およびインダクタL2の電気的接続の例を示す回路図である。本実施の形態においては、インダクタL1とインダクタL2との直列接続によって、これらの各々のインダクタンスよりも大きな合成インダクタンスを有するインダクタが構成され、当該インダクタの両端が、半導体素子811(図1)に面することになる第2面SF2上に配置される。これにより、半導体素子811へ、十分に大きなインダクタンスを有するインダクタを容易に接続することができる。なお、コア基板に内蔵された複数のインダクタ間の電気的接続は、図4に示されたものに限定されず、コア基板の用途に応じて適宜設計されてよい。これにより、任意の数のインダクタの直列構造、任意の数のインダクタの並列構造、またはこれらの組み合わせが構成されてよい。
【0027】
図5は、本発明の実施の形態1におけるコア基板601の構成を概略的に示す図であり、図6の線V-Vに沿う部分断面図である。図6は、図5の線VI-VIに沿う部分断面図である。前述したように、コア基板601は、インターポーザ700を構成するためのものであり、インダクタL1およびインダクタL2が内蔵されている。コア基板601は、セラミック基板100と、第1導体部201と、第2導体部202と、第1磁性体部301と、第2磁性体部302と、接続部450と、端子部401と、端子部402とを有している。なお、第1導体部201および第2導体部202を総称して導体部200ともいう。また、第1磁性体部301および第2磁性体部302を総称して磁性体部300ともいう。
【0028】
セラミック基板100は、第1面SF1と、厚み方向において第1面SF1と反対の第2面SF2とを有している。セラミック基板100は、セラミック焼結体からなる基板である。セラミック焼結体は、実質的に有機成分を含んでおらず、ガラス成分は含んでいてよい。言い換えれば、セラミック基板100は、ガラスセラミックスからなっていてよい。セラミック基板100はLTCCからなるのが望ましい。LTCCは、900℃程度以下で焼結させることができるセラミックスであり、AgまたはCuの融点よりも十分に低温で焼結させることができるので、AgまたはCuを主成分とする電気抵抗の低い導体を内蔵して同時焼結することができる。セラミック基板100は、第1面SF1と第2面SF2との間に第1貫通孔HL1および第2貫通孔HL2を有している。セラミック基板100は、4ppm/℃以上、16ppm/℃以下の熱膨張係数を有していることが好ましい。セラミック基板100は、1GHzにおいて、8以下の比誘電率と、0.01以下の誘電正接とを有していることが好ましい。
【0029】
第1導体部201および第2導体部202のそれぞれは、第1貫通孔HL1および第2貫通孔HL2を貫通している。これら導体部200は非中空体である。言い換えれば、導体部200は、その内部に中空を有していない。また、これら導体部200は、例えば、Agおよび/またはCuからなる。導体部200は焼結金属からなる。
【0030】
第1磁性体部301は、第1貫通孔HL1において第1導体部201を囲んでいる。第2磁性体部302は、第2貫通孔HL2において第2導体部202を囲んでいる。第1磁性体部301および第2磁性体部302のそれぞれは、第1導体部201および第2導体部202に直接接していてよい。これら磁性体部300の各々は、厚み方向に垂直な断面視(図6)において、円形状の内縁と、円形状の外縁とを有していてよい。なおこれら内縁および外縁は、円形状に代わって他の形状を有してよく、例えば、楕円形状、または、四角形状などの多角形状を有してよい。多角形状の角部は面取りされてよい。同様に、断面視において、第1貫通孔HL1、第2貫通孔HL2、および各導体部200も、図6に示されているような円形状に代わって他の形状を有してよい。
【0031】
磁性体部300は、セラミックス(セラミック焼結体)からなり、有機成分を含んでいない。インダクタの体積を小さくするために、磁性体部300を構成する磁性材料は、高い透磁率を有することが望ましく、磁性体部300は、70%以上の緻密性を有していることが好ましい。インダクタの電気損失を小さくするために、磁性体部300を構成する磁性材料は、高周波での磁気損失が小さい軟磁性材料であることが望ましく、例えば、周波数100MHzでの磁気損失の正接が0.1以下の軟磁性材料であることが望ましい。磁性体部300を構成する磁性材料は、高周波での磁気損失を小さくするために、高い体積電気抵抗率を有することが望ましく、具体的には、電気的な絶縁体であることが望ましい。磁性体部300は、フェライト系材料からなることが好ましく、当該材料の結晶構造は、製造容易性の観点からはスピネル構造であることが好ましく、例えばNi-Zn系フェライトまたはNi-Zn-Cu系フェライトが用いられ、高透磁率の観点からは、厚み方向(図5における縦方向)に沿ったc軸配向性を有する六方晶構造であることが好ましい。
【0032】
なおコア基板601の製造方法は焼成工程を含む。この焼成工程において、セラミック基板100と同時に、導体部200(第1導体部201および第2導体部202)と磁性体部300(第1磁性体部301および第2磁性体部302)とが焼成される。よって、導体部200と磁性体部300とは互いに、有機材料を介さないで結合されている。言い換えれば、導体部200と磁性体部300とは互いに無機結合されている。具体的には、導体部200と磁性体部300とは互いに焼結している。
【0033】
接続部450は、セラミック基板100の第1面SF1上において、第1導体部201の一方端と、第2導体部202の一方端と、を互いに電気的に接続している。セラミック基板100の第2面SF2上において、端子部401は第1導体部201の他方端に接続されており、端子部402は第2導体部202の他方端に接続されている。端子部401と端子部402とは互いに離れている。よって、第1導体部201の一方端と第2導体部202の一方端とが互いに電気的に接続されており、かつ、第1導体部201の他方端と第2導体部202の他方端とが互いに電気的に分離されている。これにより、図4に示された回路が構成される。
【0034】
コア基板601(図5および図6)の設計例を、以下に説明する。セラミック基板100は、面内方向において50mmの辺を有する正方形状を有し、厚み方向において550μmの寸法を有する。複数の貫通孔(第1貫通孔HL1および第2貫通孔HL2等)は450μmピッチで配列される。セラミック基板100は、例えば、Ba-Si-Al-O元素を主成分とするLTCC材料、またはガラスアルミナで形成される。磁性体部300(図6)の各々は、外径350μmと、内径100μmとを有する。導体部200の各々は外径100μmを有する。導体部200は、Agの粉末焼結によって形成される。磁性体部300は、フェライト焼結体からなり、その比透磁率を16と見積もるものとする。この場合、1つのインダクタ(例えば、インダクタL1)のインダクタンスは、本発明者の見積によれば、140MHzにおいて約2nHである。
【0035】
図7は、比較例のコア基板690の構成を示す部分断面図である。コア基板690においては、ガラスエポキシ樹脂からなる樹脂基板190に第1貫通孔HL1および第2貫通孔が形成されている。第1貫通孔HL1の側壁に第1磁性体部391および第1導体部291が順に形成されており、第1導体部291は、樹脂材281によって充填された中空構造を有している。同様に、第2貫通孔HL2の側壁に第2磁性体部392および第2導体部292が順に形成されており、第2導体部292は、樹脂材282によって充填された中空構造を有している。なお第1導体部291および第2導体部292を総称して導体部290ともいう。
【0036】
上記のように、第1磁性体部391および第2磁性体部392(総称して磁性体部390ともいう)は樹脂基板190内に形成されている。よって、磁性体部390の形成工程は、樹脂基板190の耐熱温度以下で行われる必要がある。この制約上、磁性体部390は、セラミック焼結体ではなく、磁性粒子が分散された樹脂からなる。この場合、磁性体部390において磁性粒子間の空隙は樹脂によって充填されており、この充填率を70%以上に高めることは、通常、困難である。その結果、第1磁性体部391および第2磁性体部392の比透磁率は、第1磁性体部301および第2磁性体部302(図5)に比して、高めることが困難であり、例えば、6程度である。
【0037】
コア基板690の設計例を、以下に説明する。樹脂基板190は、面内方向において50mmの辺を有する正方形状を有し、厚み方向において1000μmの寸法を有する。複数の貫通孔(第1貫通孔HL1および第2貫通孔HL2等)は500μmピッチで配列される。磁性体部390の各々は、外径400μmと、内径200μmとを有する。導体部20の各々は外径200μmを有する。導体部20は、Cuめっきによって形成される。磁性体部390は、磁性粒子が分散された樹脂からなり、その比透磁率を6と見積もるものとする。この場合の1つのインダクタ(例えば、インダクタL1)のインダクタンスは、本発明者の見積によれば、140MHzにおいて約1nHである。この値は、本実施の形態の場合において見積もられた約2nHの半分である。
【0038】
本実施の形態によれば、磁性体部300(図5)は、磁性体部390(図7)のように磁性粒子が分散された樹脂からなるのではなく、セラミック焼結体からなる。これにより、当該セラミックスを緻密に焼結させることによって、磁性体部300の透磁率は十分に高めることができる。よって、コア基板601は、単位面積当たりに、大きなインダクタンスを有するインダクタを内蔵することができる。また、導体部200は焼結金属からなる。これにより、導体部200がめっき膜である場合に比して、導体部200の電気特性、特に導電性、のばらつきを抑えることができる。よって、コア基板の電気特性を安定化することができる。
【0039】
導体部200は非中空体である。これにより、導体部200の電気抵抗を低減することができる。
【0040】
導体部200と磁性体部300とは互いに、有機材料を介さないで結合されている。言い換えれば、導体部200と磁性体部300とは互いに無機結合されている。具体的には、導体部200と磁性体部300とは互いに焼結している。これにより、導体部200と磁性体部300とが互いに有機材料を介して結合されている場合に比して、コア基板601の耐熱性を高めることができる。
【0041】
セラミック基板100(図5)は、樹脂基板190(図7)に比して、高い剛性を有している。これにより、セラミック基板100に他の部材が付加された後も、セラミック基板100には反りが生じにくい。よって、反りの小さなコア基板601を得ることができる。反りが抑制されることによって、第1に、配線層791および配線層792(図1)の形成歩留まり、特に、配線構造の密度が高い配線層791の歩留まり、が向上する。第2に、半導体素子811(図1)の実装の歩留まりが向上する。
【0042】
磁性体部300が、厚み方向に垂直な断面視(図6)において、円形状の内縁と、円形状の外縁とを有している場合、導体部200に対して磁性体部300を当該断面視において等方的に配置することができる。
【0043】
磁性体部300が70%以上の緻密性を有している場合、磁性体部300の透磁率を十分に高めやすい。
【0044】
セラミック基板100が4ppm/℃以上16ppm/℃以下の熱膨張係数を有している場合、セラミック基板100の熱膨張係数を、コア基板601を含むインターポーザ700に実装されることになる半導体素子811(図1)の熱膨張係数と、インターポーザ700が搭載されることになる典型的なマザーボード812(図1)の熱膨張係数と、の間とすることができる。これにより、電子機器901(図1)または電子機器902(図2)における、熱膨張収縮に起因しての反りの発生を、抑制することができる。
【0045】
磁性体部300が絶縁体からなる場合、図5および図に示されているように磁性体部300が導体部200に直接接していても、導体部200から磁性体部300への電流の拡散を避けることができる。
【0046】
磁性体部300が導体部200に直接接している場合、磁性体部300を配置する領域が十分に確保しやすくなる。
【0047】
コア基板601は、第1導体部201および第1磁性体部301によって構成されるインダクタL1と、第2導体部202および第2磁性体部302によって構成されるインダクタL2と、を有している。これにより、コア基板601中に複数のインダクタを内蔵することができる。
【0048】
接続部450は、セラミック基板100の第1面SF1上において第1導体部201の一方端(図5における下端)と第2導体部202の一方端(図5における下端)とを互いに電気的に接続している。これにより、第1導体部201および第1磁性体部301によって構成されるインダクタL1と、第2導体部202および第2磁性体部302によって構成されるインダクタL2と、を互いに電気的に接続することができる。
【0049】
図5に示されているように、第1導体部201の他方端(図中、上端)と第2導体部202の他方端(図中、上端)とが互いに電気的に分離されている場合、第1導体部201および第1磁性体部301によって構成されるインダクタL1と、第2導体部202および第2磁性体部302によって構成されるインダクタL2とが、並列ではなく直列に接続される。これにより、合成インダクタンスを高めることができる。
【0050】
<実施の形態2>
図8は、実施の形態2におけるコア基板602の構成を概略的に示す部分断面図である。コア基板602は接続部450(図5:実施の形態1)を有していない。またコア基板602は端子部401および端子部402(図5:実施の形態1)を有していない。なお、これら以外の構成については、上述した実施の形態1の構成とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。本実施の形態のコア基板602によれば、コア基板601(図5:実施の形態1)と同様にインダクタL1およびインダクタL2を内蔵しつつ、コア基板601に比して構成を簡素化することができる。
【0051】
<実施の形態3>
図9は、実施の形態3におけるコア基板603の構成を概略的に示す部分断面図である。コア基板603は第2磁性体部302(図5:実施の形態1)を有していない。なお、これ以外の構成については、上述した実施の形態1の構成とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。本実施の形態のコア基板603によっても、コア基板601(図5:実施の形態1)と同様に、端子部401と端子部402との間にインダクタを配置することができる。なお当該インダクタは、実施の形態1と同様にインダクタL1を含むものの、実施の形態1と異なりインダクタL2(図5)は含まない。
【0052】
<実施の形態4>
図10は、実施の形態4におけるコア基板604の構成を概略的に示す部分断面図である。コア基板604は接続部450(図9:実施の形態3)を有していない。またコア基板60は端子部401および端子部402(図9:実施の形態3)を有していない。なお、これら以外の構成については、上述した実施の形態3の構成とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。本実施の形態のコア基板604によれば、コア基板603(図9:実施の形態3)と同様にインダクタL1を内蔵しつつ、コア基板603に比して構成を簡素化することができる。
【0053】
<実施の形態5>
図11は、実施の形態5におけるコア基板605の構成を概略的に示す部分断面図である。コア基板605は、接続部450および第2導体部202(図9:実施の形態3)を有していない。またコア基板605は、第2面SF2上の端子部402に代わって、第1面上において第1導体部201の一方端に接続された端子部403を有している。なお、これら以外の構成については、上述した実施の形態3の構成とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。本実施の形態のコア基板605によれば、コア基板603(図9:実施の形態)と同様にインダクタL1を内蔵しつつ、コア基板603に比して構成を簡素化することができる。
【0054】
<実施の形態6>
図12は、実施の形態6におけるコア基板606の構成を概略的に示す部分断面図である。コア基板606は端子部401および端子部403(図11:実施の形態5)を有していない。なお、これら以外の構成については、上述した実施の形態5の構成とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。本実施の形態のコア基板606によれば、コア基板605(図11:実施の形態5)と同様にインダクタL1を内蔵しつつ、コア基板605に比して構成を簡素化することができる。
【0055】
<実施の形態7>
図13は、実施の形態7におけるコア基板607の構成を概略的に示す部分断面図である。
【0056】
コア基板607は、第1絶縁体セラミック膜551および第2絶縁体セラミック膜552を含む複数の絶縁体セラミック膜550を有している。第1絶縁体セラミック膜551は第1磁性体部301を第1導体部201から隔てている。第2絶縁体セラミック膜552は第2磁性体部302を第2導体部202から隔てている。
【0057】
コア基板607は、セラミック基板100の第1面SF1を含む平面に沿って、第1磁性体部301および第2磁性体部302の各々を少なくとも部分的に覆う絶縁体層511を有している。絶縁体層511は、第1磁性体部301および第2磁性体部302の各々と、接続部450との間を隔てている。絶縁体層511は、図示されているように、第1磁性体部301および第2磁性体部302の各々を部分的に覆っていてよい。
【0058】
コア基板607は、セラミック基板100の第2面SF2を含む平面に沿って、第1磁性体部301および第2磁性体部302の各々を少なくとも部分的に覆う絶縁体層512を有している。絶縁体層512は、第1磁性体部301と端子部401との間を隔てており、また第2磁性体部302と端子部402との間を隔てている。絶縁体層512は、図示されているように、第1磁性体部301および第2磁性体部302の各々を全体的に覆っていてよい。
【0059】
絶縁体層511および絶縁体層512は、非磁性体からなっていてよい。絶縁体層511および絶縁体層512は、無機材料、有機材料またはこれらの混合物からなる。当該無機材料は、セラミック基板100の材料と同じであってよく、あるいは、異なっていてよい。絶縁体セラミック膜550は、非磁性体からなっていてよい。絶縁体セラミック膜550の材料は、セラミック基板100の材料と同じであってよく、あるいは、異なっていてよい。絶縁体層511の材料と、絶縁体層512の材料と、絶縁体セラミック膜550の材料とは、互いに異なっていてよいが、共通の材料であることが好ましい。この共通の材料は、セラミック基板100の材料と同じであってよく、あるいは異なっていてよい。
【0060】
なお、上記以外の構成については、上述した実施の形態1の構成とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0061】
本実施の形態によれば、絶縁体セラミック膜550が磁性体部300を導体部200から隔てている。これにより、導体部200と磁性体部300とが直接接することに起因しての悪影響を避けることができる。特に、無視できない導電性を磁性体部300が有している場合(特に、磁性体部300が導体の場合)において、導体部200から磁性体部300への電流の拡散を防止することができる。
【0062】
<実施の形態8>
図14は、実施の形態8におけるコア基板608の構成を概略的に示す部分断面図である。
【0063】
コア基板608は、セラミック基板100の第1面SF1を含む平面に沿って第1磁性体部301および第2磁性体部302の各々を少なくとも部分的に覆う絶縁体層501を有している。絶縁体層501は、第1磁性体部301および第2磁性体部302の各々と、接続部450との間を隔てている。絶縁体層501は、図示されているように、第1面SF1を含む平面に沿って第1磁性体部301および第2磁性体部302を全体的に覆っていてよい。
【0064】
コア基板608は、セラミック基板100の第2面SF2を含む平面に沿って第1磁性体部301および第2磁性体部302の各々を少なくとも部分的に覆う絶縁体層502を有している。絶縁体層502は、第1磁性体部301と端子部401との間を隔てており、また第2磁性体部302と端子部402との間を隔てている。絶縁体層502は、図示されているように、第2面SF2を含む平面に沿って第1磁性体部301および第2磁性体部302を全体的に覆っていてよい。
【0065】
絶縁体層501および絶縁体層502は、非磁性体からなっていてよい。絶縁体層501および絶縁体層502は、無機材料、有機材料またはこれらの混合物からなる。当該無機材料は、セラミック基板100の材料と同じであってよく、あるいは、異なっていてよい。絶縁体層501の材料と、絶縁体層502の材料とは、互いに異なっていてよいが、共通の材料であることが好ましい。この共通の材料は、セラミック基板100の材料と同じであってよく、あるいは異なっていてよい。
【0066】
なお、上記以外の構成については、上述した実施の形態1の構成とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0067】
本実施の形態によれば、絶縁体層501がセラミック基板100の第1面SF1を含む平面に沿って磁性体部300を少なくとも部分的に覆っている。これにより、磁性体部300と第1面SF1上の構成との間の影響を抑制することができる。また、絶縁体層502がセラミック基板100の第2面SF2を含む平面に沿って磁性体部300を少なくとも部分的に覆っている。これにより、磁性体部300と第2面SF2上の構成との間の影響を抑制することができる。
【0068】
<実施の形態9>
図15は、実施の形態9におけるコア基板609の構成を概略的に示す部分断面図である。コア基板609は、コア基板608(図14:実施の形態8)の構成に加えて、絶縁体セラミック膜550(図13:実施の形態7)を有している。絶縁体層501および絶縁体層502の材料は、セラミック基板100の材料と同じであってよく、あるいは、異なっていてよい。前者および後者の各々の場合において、絶縁体セラミック膜550の材料は、セラミック基板100の材料と同じであってよく、あるいは、異なっていてよい。
【0069】
なお、上記以外の構成については、上述した実施の形態7または8の構成とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0070】
<実施の形態10>
前述したコア基板608(図14:実施の形態8)およびコア基板609(図15:実施の形態9)においては、導体部200と接続部450との境界面と、絶縁体層501と接続部450との境界面とが、ほぼ同一平面上にある。またこれらコア基板608およびコア基板609においては、端子部401と第1導体部201との境界面と、端子部401と絶縁体層502との境界面とが、ほぼ同一平面上にあり、また、端子部402と第2導体部202との境界面と、端子部402と絶縁体層502との境界面とが、ほぼ同一平面上にある。しかしながら、境界面の配置はこれに限定されるものではない。例えば、上述した実施の形態9と、以下で説明する本実施の形態10との間で、境界面の配置には相違がある。
【0071】
図16は、本実施の形態10におけるコア基板610の構成を概略的に示す部分断面図である。コア基板610においては、導体部200と接続部450との境界面がセラミック基板100の第1面SF1にほぼ一致している。また、端子部401と第1導体部201との境界面と、端子部402と第2導体部202との境界面との各々が、セラミック基板100の第2面SF2にほぼ一致している。
【0072】
なお、導体部200と、それに接続される配線部(本実施の形態および他の実施の形態における、接続部450、端子部401、端子部402および端子部403など)との間の上述した境界面は、顕微鏡観察可能な境界面であってよいが、これに代わって、仮想的な境界面であってもよい。仮想的な境界面は、顕微鏡観察可能な境界面とは無関係に想定されてよい。
【0073】
<実施の形態11>
図17は、本実施の形態11におけるインターポーザ701の構成を概略的に示す図であり、図18の線XVII-XVIIに沿う部分断面図である。図18は、図17のインターポーザ701の第2面SF2の構成を概略的に示す部分平面図である。インターポーザ701は、インターポーザ700(図1または図2)の一例である。具体的には、インターポーザ701は、コア基板606(図12:実施の形態6)と、配線層791(図1または図2)としての、配線部441および絶縁体層502と、配線層792(図1または図2)としての、配線部443および絶縁体層501と、を含む。なお図18においては、図を見やすくするために、コア基板606の構成が実線が示されており、コア基板606に付加された他の構成が破線で示されている。
【0074】
配線部441は、配線パターン441pと、接続ビア441vとを有している。接続ビア441vは、コア基板606の第1導体部201に接続された底面を有している。接続ビア441vの底面は第1磁性体部301およびセラミック基板100から離されている。なお配線パターン441pのパターンレイアウトは、図18においては円形を有しているが、これに限定されるわけではなく、インターポーザ701に求められる回路構成に応じて適宜設計されてよい。
【0075】
同様に、配線部443は、配線パターン443pと、接続ビア443vとを有している。接続ビア443vは、コア基板606の第1導体部201に接続された底面を有している。接続ビア443vの底面は第1磁性体部301およびセラミック基板100から離されている。なお配線パターン443pのパターンレイアウトは、インターポーザ701に求められる回路構成に応じて適宜設計されてよい。
【0076】
絶縁体層502は、接続ビア441vが配置されたビア孔HV2を有している。ビア孔HV2は、図17に示されているように第1導体部201に向かってテーパ状であることが好ましいが、ビア孔HV2の形状は、これに限定されるものではなく、ストレート状であってもよい。絶縁体層502は、コア基板606の第1磁性体部301およびセラミック基板100の各々と、配線部441とを隔てている。絶縁体層502は、有機物を含有していることが好ましく、有機絶縁体層であってよく、例えばエポキシ系樹脂層であってよい。
【0077】
同様に、絶縁体層501は、接続ビア443vが配置されたビア孔HV1を有している。ビア孔HV1は、図17に示されているように第1導体部201に向かってテーパ状であることが好ましいが、ビア孔HV1の形状は、これに限定されるものではなく、ストレート状であってもよい。絶縁体層501は、コア基板606の第1磁性体部301およびセラミック基板100の各々と、配線部443とを隔てている。絶縁体層501は、有機物を含有していることが好ましく、有機絶縁体層であってよく、例えばエポキシ系樹脂層であってよい。
【0078】
配線部441は、めっき層であってよい。この場合、配線部441および絶縁体層502は、セミアディティブ法によって形成されてよく、例えば、概略、次のように形成されてよい。コア基板606の第2面SF2上に、未だビア孔HV2が形成されていない絶縁体層502としての有機絶縁膜が貼り付けられる。次に、レーザー加工によってビア孔HV2が形成される。次に、絶縁体層502の、ビア孔HV2の内面を含む表面上に、無電解銅めっきによってシード層が形成される。次に、配線部441の配線パターン44pが形成されることになる領域を露出するめっきレジストが絶縁体層502上に形成される。次に、上述したシード層およびめっきレジストを用いて、電解銅めっきが施される。次に、めっきレジストが剥離される。以上により、配線部441が形成される。配線部443および絶縁体層501も、同様に形成されてよい。

【0079】
本実施の形態によれば、接続ビア441vの底面は磁性体部301およびセラミック基板100から離されている。具体的には、絶縁体層502がコア基板606の第1磁性体部301およびセラミック基板100の各々と配線部441とを隔てている。これにより、第1磁性体部301およびセラミック基板100の成分が配線部441へ混入することが避けられる。具体的には、第1磁性体部301およびセラミック基板100の成分が、配線部441としてのめっき層を形成するためのめっき液中に溶出することが避けられる。これにより、配線部441の電気特性(特に導電性)のばらつきを抑制することができる。配線部443についても同様である。
【0080】
絶縁体層502のビア孔HV2が第1導体部201に向かってテーパ状である場合、上記のような構成を確保しつつ、第1導体部201から離れた位置においてビア孔HV2のサイズを、より大きくすることができる。これにより、その内部に配置された接続ビア441vの電気抵抗を、より小さくすることができる。絶縁体層501のビア孔HV1についても同様である。
【0081】
絶縁体層502が有機物を含有する場合(特に、絶縁体層502が有機絶縁体層である場合)、第1磁性体部301およびセラミック基板100の成分が配線部441へ混入することを、より避けやすい。具体的には、第1磁性体部301およびセラミック基板100の成分が、配線部441としてのめっき層を形成するためのめっき液中に溶出することを、より避けやすい。
【0082】
なお本実施の形態においては、インターポーザが有するコア基板として実施の形態6のコア基板606が用いられているが、他の実施の形態のコア基板が用いられてもよい。
【0083】
<実施の形態12>
図19は、本実施の形態12におけるインターポーザ702の構成を概略的に示す図であり、図20の線XIX-XIXに沿う部分断面図である。図20は、図19のインターポーザ702の第2面SF2の構成を概略的に示す部分平面図である。インターポーザ702は、インターポーザ700(図1または図2)の一例である。具体的には、インターポーザ702は、コア基板606(図12:実施の形態6)と、配線層791(図1または図2)としての、配線部441、絶縁体層502および電極パッド481と、配線層792(図1または図2)としての、配線部443、絶縁体層501および電極パッド483と、を含む。なお図20においては、図を見やすくするために、コア基板606の構成が実線が示されており、コア基板606に付加された他の構成が破線で示されている。
【0084】
電極パッド481は、コア基板606の第1導体部201に接続されている。配線部441の接続ビア441vの底面は、前述した実施の形態11とは異なり本実施の形態においては、電極パッド481に接続されている。接続ビア441vの底面は第1磁性体部301およびセラミック基板100から離されている。電極パッド481は第1導体部201を覆っている。電極パッド481は、第1磁性体部301を覆う部分を有していてよい。具体的には、電極パッド481は、第2面SF2に沿って第1磁性体部301を、図19に示されているように部分的に覆っていてよい。その場合、電極パッド481の縁は、図19および図20に示されているように、第1磁性体部301上に配置される。変形例として、電極パッド481は第2面SF2に沿って第1磁性体部301をちょうど覆っていてよく、その場合、電極パッド481の縁は、第1磁性体部301とセラミック基板100との境界上に配置される。他の変形例として、電極パッド481は第1磁性体部301を、マージンを有しつつ覆っていてよく、その場合、電極パッド481の縁は、上記境界から離れてセラミック基板100上に配置される。電極パッド481は焼結金属層である。焼結金属層は、ペースト層の印刷と、その焼結とによって形成され得る。電極パッド481は、主成分として、銀、銅、または、銀・銅合金を含んでよく、例えば、焼結銀層、焼結銅層、または、焼結銀・銅合金層であってよい。
【0085】
同様に、電極パッド483は、コア基板606の第1導体部201に接続されている。配線部443の接続ビア443vの底面は、前述した実施の形態11とは異なり本実施の形態においては、電極パッド483に接続されている。接続ビア443vの底面は第1磁性体部301およびセラミック基板100から離されている。電極パッド483は第1導体部201を覆っている。電極パッド483は、第1磁性体部301を覆う部分を有していてよい。具体的には、電極パッド483は、第1面SF1に沿って第1磁性体部301を、図19に示されているように部分的に覆っていてよい。その場合、電極パッド483の縁は、図19に示されているように、第1磁性体部301上に配置される。変形例として、電極パッド483は第1面SF1に沿って第1磁性体部301をちょうど覆っていてよく、その場合、電極パッド483の縁は、第1磁性体部301とセラミック基板100との境界上に配置される。他の変形例として、電極パッド483は第1磁性体部301を、マージンを有しつつ覆っていてよく、その場合、電極パッド483の縁は、上記境界から離れてセラミック基板100上に配置される。電極パッド483は焼結金属層である。電極パッド483は、主成分として、銀、銅、または、銀・銅合金を含んでよく、例えば、焼結銀層、焼結銅層、または、焼結銀・銅合金層であってよい。
【0086】
なお、上記以外の構成については、上述した実施の形態11の構成とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0087】
本実施の形態によれば、接続ビア441vの底面は磁性体部301およびセラミック基板100から離されている。具体的には、絶縁体層502および電極パッド481が、コア基板606の第1磁性体部301およびセラミック基板100の各々と配線部441とを隔てている。これにより、第1磁性体部301およびセラミック基板100の成分が配線部441へ混入することが避けられる。具体的には、第1磁性体部301およびセラミック基板100の成分が、配線部441としてのめっき層を形成するためのめっき液中に溶出することが避けられる。これにより、配線部441の電気特性、特に導電性、のばらつきを抑制することができる。配線部443についても同様である。
【0088】
電極パッド481が第1磁性体部301を覆う部分を有している場合、第1磁性体部301の成分の混入を、より確実に避けることができる。電極パッド483についても同様である。
【0089】
電極パッド481が、主成分として、銀、銅、または、銀・銅合金を含む場合、電極パッド481の成分が配線部441へ混入することを避けやすい。具体的には、電極パッド481の成分が、配線部441としてのめっき層を形成するためのめっき液中に溶出することを避けやすい。これにより、配線部441の電気特性(特に導電性)のばらつきを、より確実に抑制することができる。この効果は、電極パッド481が実質的に、銀または銅からなる場合、より確実に得られる。またこの効果は、電極パッド481が焼結銀層または焼結銅層である場合、より確実に得られる。よって電極パッド481は、焼結銀層であることが好ましい。電極パッド483についても同様である。
【0090】
なお本実施の形態においては、インターポーザが有するコア基板として実施の形態6のコア基板606が用いられているが、他の実施の形態のコア基板が用いられてもよい。
【0091】
<実施の形態13>
図21は、本実施の形態13におけるコア基板613の構成を概略的に示す部分平面図である。図22は、図21の線XXII-XXIIに沿う部分断面図である。コア基板613は、2つのインダクタL1およびL2(図22)を有している。インダクタL1は、貫通孔HL1Aに設けられた、導体部201Aおよび磁性体部301Aを有している。インダクタL2は、貫通孔HL1Bに設けられた、導体部201Bおよび磁性体部301Bを有している。磁性体部301Aと磁性体部301Bとは互いに離れている。具体的には、磁性体部301Aと磁性体部301Bとは、セラミック基板100によって隔てられている。なお、コア基板613のインダクタL1およびL2の各々は、コア基板606(図12:実施の形態6)のインダクタL1と同様の構成を有していてよい。
【0092】
<実施の形態14>
図23は、本実施の形態14におけるコア基板614の構成を概略的に示す部分平面図である。図24は、図23の線XXIV-XXIVに沿う部分断面図である。コア基板614は、2つのインダクタL1およびL2(図24)を有している。前述した実施の形態13と同様に本実施の形態においても、インダクタL1およびインダクタL2はそれぞれ、導体部201Aおよび導体部201Bを有している。一方で、前述した実施の形態13と異なり本実施の形態14においては、インダクタL1およびインダクタL2は、貫通孔HL1に設けられた磁性体部301を共有している。よって導体部201Aと導体部201Bとは、セラミック基板100によってではなく磁性体部301によって隔てられている。
【0093】
共通の磁性体部301中に設けられる導体部の数は、図23に示されているように2個に限定されるわけではない。図25は、図23の変形例を示す部分平面図である。本変形例においては、共通の磁性体部301の中に6つの導体部201A~201Fが設けられている。またその配置は、第1方向(図中、縦方向)に沿った配列と、第2方向(図中、斜め方向)に沿った配列とを有している。
【0094】
なお本実施の形態のように、複数の導体部が共通の磁性体部の中に配置される構成は、前述した実施の形態1~12のいずれのコア基板に適用されてもよい。
【0095】
上述した実施の形態および変形例は、互いに自由に組み合わされてよい。この発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0096】
100:セラミック基板
200,201,201A~201F,202:導体部
300,301,301A,301B,302:磁性体部
401~403:端子部
441,443:配線部
441p,443p:配線パターン
441v,443v:接続ビア
450:接続部
481,483:電極パッド
501,502,511:絶縁体層
550:絶縁体セラミック膜
551:第1絶縁体セラミック膜
552:第2絶縁体セラミック膜
601~610,613~615:コア基板
700~702:インターポーザ
791,792:配線層
811:半導体素子
812:マザーボード
813:パッケージ基板
821~823:はんだボール
901,902:電子機器
HL1,HL1A,HL1B,HL2:貫通孔
HV1,HV2:ビア孔
L1~L6:インダクタ
SF1:第1面
SF2:第2面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25