(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-12
(45)【発行日】2024-09-24
(54)【発明の名称】半導体装置、電力変換装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20240913BHJP
H01L 21/285 20060101ALI20240913BHJP
H01L 21/288 20060101ALI20240913BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20240913BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20240913BHJP
H01L 23/532 20060101ALI20240913BHJP
H01L 23/522 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
H01L21/60 301F
H01L21/60 301P
H01L21/285 P
H01L21/285 S
H01L21/288 E
H01L21/88 M
H01L21/88 T
(21)【出願番号】P 2022578443
(86)(22)【出願日】2022-01-26
(86)【国際出願番号】 JP2022002882
(87)【国際公開番号】W WO2022163695
(87)【国際公開日】2022-08-04
【審査請求日】2023-05-16
(31)【優先権主張番号】P 2021012040
(32)【優先日】2021-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000217332
【氏名又は名称】田中電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浦地 剛史
(72)【発明者】
【氏名】柳本 辰則
(72)【発明者】
【氏名】中島 泰
(72)【発明者】
【氏名】三苫 修一
(72)【発明者】
【氏名】市川 司
【審査官】小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/175343(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/181688(WO,A1)
【文献】特開2020-059886(JP,A)
【文献】特開2014-143406(JP,A)
【文献】特開2000-286289(JP,A)
【文献】国際公開第2020/004153(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
H01L 21/285
H01L 21/288
H01L 21/3205
H01L 21/52
H01L 25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極を含む半導体素子と、
前記半導体素子の前記電極を覆う金属膜と、
前記金属膜に接合されたワイヤとを備え、
前記金属膜は、前記ワイヤよりも高い硬度を有し、
前記ワイヤの内部は前記金属膜との接合部を有し、
前記ワイヤの全体において、前記ワイヤの円形断面における平均結晶粒径は、
3μm以下であ
り、
前記ワイヤの線径は300μm以上500μm以下であり、
前記接合部の結晶粒径は、前記ワイヤの円形断面における前記平均結晶粒径より小さい、半導体装置。
【請求項2】
前記半導体素子を設置する絶縁部材と、
前記絶縁部材の下方に配置される放熱部材と、
前記絶縁部材と前記放熱部材を収容するケースと、
前記ケースの内側に配置され前記ワイヤが接続される端子と、
前記ケースの内部空間を封止する封止材と、
を備える、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記ワイヤは、鉄およびアルミニウムを含んでおり、
前記ワイヤの前記鉄の含有量は、0.01質量%以上2.0質量%以下であり、
前記ワイヤから前記鉄を除いた残部の前記アルミニウムの含有量は、99質量%以上である、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記ワイヤは、鉄、添加元素およびアルミニウムを含んでおり、
前記ワイヤの前記鉄および前記添加元素の含有量は、0.01質量%以上2.0質量%以下であり、
前記ワイヤから前記鉄および前記添加元素を除いた前記アルミニウムの含有量は、99質量%以上である、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記金属膜は、ニッケル膜および銅膜のいずれかである、請求項1~4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記金属膜は、硫黄を含んでいない無電解ニッケル-リンめっき膜であり、
前記金属膜のリンの含有量は、5質量%以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記金属膜は、無電解ニッケル-ボロンめっき膜である、請求項1~4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記金属膜は、電気めっきによって成膜されたニッケル膜および銅膜のいずれかである、請求項1~4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記金属膜は、蒸着法およびスパッタリング法のいずれかによって成膜されたニッケル膜、銅膜、チタン膜およびタングステン膜のいずれかである、請求項1~4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項10】
回路パターンと、
前記回路パターンと前記半導体素子との間に配置された接合材とをさらに備え、
前記接合材の液相温度は270℃以上である、請求項1~9のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の半導体装置を有し、入力される電力を変換して出力する主変換回路と、
前記主変換回路を制御する制御信号を前記主変換回路に出力する制御回路とを備えた電力変換装置。
【請求項12】
電極を有する半導体素子と、前記電極を覆う金属膜と、ワイヤとが準備される工程と、
前記ワイヤの内部に前記金属膜との接合部を形成する工程とを備え、
前記金属膜は、前記ワイヤよりも高い硬度を有し、
前記金属膜に前記ワイヤが接合された後において、前記ワイヤの全体において、前記ワイヤの円形断面における平均結晶粒径は、
3μm以下である、半導体装置の製造方法。
【請求項13】
回路パターンと、接合材とがさらに準備され、
前記半導体素子が270℃以上に加熱された接合材を介して前記回路パターンに接合される、請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置、電力変換装置および半導体装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、パワー半導体素子などの半導体素子を搭載した半導体モジュールが知られている。パワー半導体素子は、電力用の半導体素子である。半導体素子上には、電極が配置されている。電極は、例えば、アルミニウム(Al)製である。電極には、ワイヤ等の配線部材が接合されている。配線部材は、複数の半導体素子同士を電気的に接続している。また、配線部材は、半導体素子と回路パターンとを電気的に接続している。例えば、特許第6132014号公報(特許文献1)に記載の半導体装置は、半導体素子と、金属膜と、ワイヤとを含んでいる。金属膜は、半導体素子の電極を覆っている。金属膜は、ワイヤよりも高い硬度を有している。ワイヤは、金属膜に接合されている。ワイヤの接合界面は、15μm以下の結晶粒径のみを含んでいる。ワイヤの接合界面から離れた部分は、粒径が15μmよりも大きい結晶を含んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体モジュールなどの半導体装置の小型化および高密度化に伴って、ワイヤに流れる電流の電流密度が増加している。このため、接合された半導体素子およびワイヤの保証可能な信頼性寿命が従来より制限されてしまう課題がある。接合された半導体素子およびワイヤの接合部の寿命は、例えば、パワーサイクル試験によって評価される。
【0005】
本開示は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、従来より長い信頼性寿命を有する半導体装置、電力変換装置および半導体装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の半導体装置は、半導体素子と、金属膜と、ワイヤとを備えている。半導体素子は、電極を含んでいる。金属膜は、半導体素子の電極を覆っている。ワイヤは、金属膜に接合されている。金属膜は、ワイヤよりも高い硬度を有している。ワイヤの内部は金属膜との接合部を有している。ワイヤの全体において、ワイヤの円形断面における平均結晶粒径は、5μm以下である。ワイヤの線径は300μm以上500μm以下である。接合部の結晶粒径は、ワイヤの円形断面における平均結晶粒径より小さい。
【発明の効果】
【0007】
本開示の半導体装置によれば、ワイヤの全体において、ワイヤの円形断面における平均結晶粒径は、5μm以下である。このため、半導体装置のパワーサイクル耐量を向上させることができ、従来より長い信頼性寿命を有するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係る半導体装置の構成を概略的に示す断面図である。
【
図2】実施の形態1の第1の変型例に係る半導体装置の構成を概略的に示す断面図である。
【
図3】実施の形態1の第2の変形例に係る半導体装置の構成を概略的に示す断面図である。
【
図5】実施の形態1に係る半導体装置のワイヤの結晶を概略的に示し、
図1のIV領域に対応する拡大図である。
【
図6】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法を概略的に示すフローチャートである。
【
図7】実施の形態1に係る半導体装置に生じた亀裂を概略的に示し、
図4に対応する断面図である。
【
図8】実施の形態1に係る半導体装置に生じた亀裂を概略的に示し、
図5に対応する断面図である。
【
図9】第1の比較例に係る半導体装置および亀裂を概略的に示す断面図である。
【
図10】平均結晶粒径とパワーサイクル寿命との関係を示すグラフである。
【
図11】第2の比較例に係る半導体装置および亀裂を概略的に示す断面図である。
【
図12】第3の比較例に係る半導体装置および亀裂を概略的に示す断面図である。
【
図13】第4の比較例に係る半導体装置および亀裂を概略的に示す断面図である。
【
図14】実施の形態2に係る半導体装置のワイヤの結晶を概略的に示す断面図である。
【
図15】パワーサイクル試験前における実施の形態に係る半導体装置の第1の構造のワイヤの結晶を概略的に示す結晶方位マップである。
【
図16】パワーサイクル試験前における実施の形態に係る半導体装置の第2の構造のワイヤの結晶を概略的に示す結晶方位マップである。
【
図17】パワーサイクル試験前における第1の比較例に係る半導体装置のワイヤの結晶を概略的に示す結晶方位マップである。
【
図18】パワーサイクル試験後における実施の形態に係る半導体装置の第1の構造のワイヤの結晶を概略的に示す結晶方位マップである。
【
図19】パワーサイクル試験後における実施の形態に係る半導体装置の第1の構造のワイヤの結晶および亀裂を概略的に示す第1の断面写真である。
【
図20】パワーサイクル試験後における実施の形態に係る半導体装置の第1の構造のワイヤの結晶および亀裂を概略的に示す第2の断面写真である。
【
図21】パワーサイクル試験後における実施の形態に係る半導体装置の第1の構造のワイヤの結晶および亀裂を概略的に示す第3の断面写真である。
【
図22】パワーサイクル試験後における実施の形態に係る半導体装置の第2の構造のワイヤの結晶を概略的に示す結晶方位マップである。
【
図23】パワーサイクル試験後における第1の比較例に係る半導体装置のワイヤの結晶を概略的に示す結晶方位マップである。
【
図24】パワーサイクル試験後における第1の比較例に係る半導体装置のワイヤの結晶および亀裂を概略的に示す断面写真である。
【
図26】実施の形態3に係る電力変換装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態について図に基づいて説明する。なお、以下では、同一または相当する部分に同一の符号を付すものとし、重複する説明は繰り返さない。
【0010】
実施の形態1.
図1および
図2を用いて、実施の形態1に係る半導体装置100の構成を説明する。
【0011】
図1に示されるように、半導体装置100は、半導体素子1と、金属膜2と、ワイヤ3とを含んでいる。半導体装置100は、回路パターン41、金属パターン42、絶縁部材43、放熱部材5、第1接合材61、第2接合材62、ケース7、端子8、封止材9をさらに含んでいてもよい。
【0012】
本実施の形態において、半導体素子1は、電力用の半導体素子である。電力用の半導体素子は、パワー半導体素子と呼ばれることがある。半導体素子1は、例えば、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET:Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)等である。
【0013】
半導体素子1は、電極11を含んでいる。電極11は、例えば、アルミニウム(Al)-珪素(Si)電極である。本実施の形態において、電極11は、ワイヤ3および金属膜2よりも低い硬度を有している。本実施の形態において、硬度とは、例えば、JIS B 7725に規定されるビッカース硬さであってもよいし、JIS G 0202に規定されるロックウェル硬さであってもよい。本実施の形態に係る半導体素子1は、裏面電極12と、基板部13とをさらに含んでいる。裏面電極12は、電極11とで基板部13を挟み込んでいる。基板部13は、例えば、珪素(Si)基板、炭化珪素(SiC)基板、窒化ガリウム(GaN)基板等である。
【0014】
本実施の形態において、半導体素子1は、第1素子部1aおよび第2素子部1bを含んでいる。第1素子部1aおよび第2素子部1bは、間隔を空けて配置されている。本実施の形態において、第1素子部1aおよび第2素子部1bが並べられた方向は、第1方向DR1である。電極11が基板部13に重ねられた方向が第2方向DR2である。第1方向DR1と第2方向DR2とは、交差している。実施の形態において、第1方向DR1と第2方向DR2とは、直交している。
【0015】
金属膜2は、半導体素子1の電極11を覆っている。金属膜2は、電極11に対して基板部13とは反対側に配置されている。金属膜2は、ワイヤ3よりも高い硬度を有している。金属膜2の材料等の詳細な構成は、後述される。
【0016】
本実施の形態において、金属膜2は、第1金属膜部2aおよび第2金属膜部2bを含んでいる。第1金属膜部2aは、第1素子部1aの電極11を覆っている。第2金属膜部2bは、第2素子部1bの電極11を覆っている。
【0017】
ワイヤ3は、例えば、アルミニウム(Al)製のワイヤである。ワイヤ3は、金属膜2に接合されている。ワイヤ3は、端子8および回路パターン41に接合されている。ワイヤ3には、第1端部E1、第2端部E2および屈曲部Bが設けられている。ワイヤ3の第1端部E1は、金属膜2に接合されている。ワイヤ3の第2端部E2は、端子8に接合されている。屈曲部Bは、第1端部E1および第2端部E2の間に設けられている。屈曲部Bは、屈曲している。屈曲部Bは、金属膜2および回路パターン41のいずれかに接合されている。
【0018】
本実施の形態において、ワイヤ3は、第1ワイヤ部3aおよび第2ワイヤ部3bを含んでいる。第1ワイヤ部3aの第1端部E1、第2端部E2、第1の屈曲部B1および第2の屈曲部B2の各々は、端子8、第2金属膜部2b、回路パターン41および第1金属膜部2aの各々にそれぞれ接合されている。第2ワイヤ部3bの第1端部E1、第2端部E2および屈曲部B3の各々は、第2金属膜部2b、端子8および回路パターン41の各々にそれぞれ接合されている。
【0019】
ワイヤ3の線径は、例えば、100μm以上500μm以下である。電流がワイヤ3に流れた際に、ワイヤ3の線径が大きいほどワイヤ3の発熱が低減される。このため、ワイヤ3の線径は、例えば、400μm以上500μm以下であることが望ましい。また、ワイヤ3の線径が太い場合には、ワイヤ3の発熱が低減されるため、ワイヤ3の高集積化が可能になる。また、ワイヤ3の線径が太い場合には、ワイヤ3の本数が低減されるため、ワイヤ3の配線に要する時間を短くすることができる。
【0020】
ワイヤ3の全体において、ワイヤ3の円形断面における平均結晶粒径は、5μm以下である。本実施の形態では、ワイヤ3の結晶粒径は、電子線後方散乱回折法(EBSD:Electron BackScatter Diffraction)によって評価される。ワイヤ3の結晶粒径は、隣接する結晶同士の粒界に基づいて評価される。隣接する結晶同士の粒界は、隣接する結晶同士の結晶方位が5°以上ずれた境界によって定義されている。ワイヤ3の全体の平均結晶粒径は、ワイヤの線径と等しい直径を持つワイヤ3の円形断面における結晶方位マップに基づいて評価される。なお、厳密な平均結晶粒径は、断面SIM(Scanning Ion Microscope)観察等の結晶粒を観察可能な解析手法によって測定された複数の結晶の結晶粒径が平均化されることによって算出される。なお、ワイヤ3の結晶の詳細な構成は、後述される。
【0021】
結晶粒径が小さくなるほど金属の降伏強さが大きくなるというホール・ペッチの関係が知られている。このため、ワイヤ3の平均結晶粒径が小さいほど、ワイヤ3の強度および硬度が大きい。ここでもし、ワイヤ3の硬度が金属膜2よりも大きい場合、ワイヤ3に亀裂が発生した場合には、亀裂は金属膜2の内部に進展し短寿命にて後述するリフトオフを迎えるという課題がある。金属膜2の内部に進展した亀裂は、電極11の内部にさらに進展し、予定外の短寿命になる場合が発生し得る。これに対して、本開示では、ワイヤ3の硬度を金属膜2よりも小さくしたため、ワイヤ3に亀裂が発生した場合には、亀裂はワイヤ3の内部にのみ進展するという効果がある。ワイヤ3は前述のように結晶粒径を小さくしており、亀裂進展の速度が抑制されパワーサイクル寿命が向上するという効果を奏する。この作用に関しては段落0094~0097で詳細に説明する。
【0022】
半導体素子1は、回路パターン41に接合されている。具体的には、半導体素子1の裏面電極12は、第1接合材61によって回路パターン41に接合されている。第1接合材61は、例えば、はんだ、銀(Ag)等である。回路パターン41と金属パターン42とは、絶縁部材43を挟み込んでいる。回路パターン41および金属パターン42の各々は、絶縁部材43上に設けられている。金属パターン42は、第2接合材62によって放熱部材5に接合されている。絶縁部材43は、絶縁基板として構成されている。
【0023】
ケース7は、半導体素子1、金属膜2、ワイヤ3、回路パターン41、金属パターン42、絶縁部材43、第1接合材61、第2接合材62および封止材9を囲んでいる。ケース7には、内部空間が設けられている。内部空間には、半導体素子1、金属膜2、ワイヤ3、回路パターン41、金属パターン42、絶縁部材43、第1接合材61、第2接合材62および封止材9が収納されている。ケース7は、放熱部材5の側面および上面に接合されている。放熱部材5の下面は、ケース7から露出している。図示されないが、下面視において、ケース7は、放熱部材5を囲む環形状を有している。
【0024】
ケース7には、端子8が配置されている。端子8の第1端は、ケース7の内部空間に配置されている。端子8の第1端は、ケース7の内部空間においてケース7から露出している。端子8の第2端は、ケース7の外の領域に配置されている。端子8の第2端は、ケース7から突出している。
【0025】
端子8は、第1端部子81および第2端部子82を含んでいる。第1端部子81は、第1ワイヤ部3aと接続されている。第2端部子82は、第2ワイヤ部3bと接続されている。第1端部子81および第2端部子82の各々は、主端子として構成されていてもよいし、電源端子として構成されていてもよい。
【0026】
ケース7の内部空間には、封止材9が充填されている。封止材9は、内部空間には、半導体素子1、金属膜2、ワイヤ3、回路パターン41、金属パターン42、絶縁部材43、第1接合材61、第2接合材62を封止している。封止材9は、ゲル状の封止樹脂であってもよいし、モールド樹脂であってもよい。
【0027】
なお、
図2に示されるように、半導体装置100は、リードフレームLFをさらに含んでいてもよい。半導体装置100がリードフレームLFを含んでいる場合、半導体装置100はケース7を含んでいなくてもよい。リードフレームLFは、絶縁部材43に接合されている。なお、
図2ではリードフレームLFと絶縁部材43とが接触しているが、リードフレームLFと絶縁部材43との間には図示されない金属板が配置されていてもよい。
【0028】
リードフレームLFは、封止材9によって部分的に封止されている。リードフレームLFの端部は、封止材9の外に突出している。リードフレームLFの端部は、半導体装置100の外部の機器に接続されるための端子8として構成されている。
【0029】
リードフレームLFは、電気回路を構成している。ワイヤ3の第1端部E1は、半導体素子1に接合されている。ワイヤ3の第2端部E2は、リードフレームLFに接合されている。ワイヤ3と接合された半導体素子1は、ワイヤ3およびリードフレームLFを介して半導体装置100の外部の機器に接続可能である。
【0030】
半導体装置100がリードフレームLFを含んでいる場合、放熱部材5が金属層であってもよく、絶縁部材43が絶縁シートであってもよい。絶縁シートは、金属層に積層されている。絶縁シートは、金属層に固着している。絶縁シートは、未硬化の絶縁樹脂層を有していてもよい。
【0031】
なお、
図3に示されるように、電極11上に配置されている金属膜2は、ワイヤ3が金属膜2と接続される部分のみに形成されていてもよい。すなわち、金属膜2は、電極11を部分的に覆っていてもよい。
【0032】
次に、
図4および
図5を用いて、実施の形態1に係る半導体装置100の半導体素子1、金属膜2およびワイヤ3の構成を詳細に説明する。
図4は、
図1のIV領域の拡大図である。なお、説明の便宜のため、
図4および
図5の拡大図において、封止材9(
図1参照)は図示されていない。また、後述される
図7~
図9、
図11~
図14においても、
図4および
図5と同様に、封止材(
図1参照)は図示されていない。
【0033】
図4および
図5に示されるように、ワイヤ3は、金属膜2に直接接合によって接合されている。ワイヤ3は、例えば、超音波接合によって金属膜2に接合されている。このため、ワイヤ3には、金属膜2との接合部31が設けられている。なお、本実施の形態において、ワイヤ3の接合部31とは、ワイヤ3の金属膜2との接合界面BIからワイヤ3の内部にワイヤ3の平均結晶粒径だけ進んだ位置までの範囲のことである。接合部31は、第1方向DR1に沿って設けられている。本実施の形態では、平均結晶粒径は5μm以下であるため、ワイヤ3の接合部31とは、ワイヤ3の金属膜2との接合界面BIからワイヤ3の内部に例えば5μm以下まで進んだ位置までの範囲のことである。また、例えば、ワイヤ3の平均結晶粒径が10μmである場合には、ワイヤ3の接合部31とは、ワイヤ3の金属膜2との接合界面BIからワイヤ3の内部に例えば10μmまで進んだ位置までの範囲のことである。図示されないが、金属膜2は、複数の膜部および複数の下地膜を含んでいてもよい。複数の膜部および複数の下地膜は、交互に積層されている。これにより、金属膜2の密着性が向上する。この場合、膜部は、ワイヤ3と接合されている。
【0034】
図5に示されるように、ワイヤ3は、複数の結晶30を含んでいる。本実施の形態において、ワイヤ3の結晶30は、微細化されている。
【0035】
望ましくは、金属膜2は、ニッケル(Ni)膜および銅(Cu)膜のいずれかであってもよい。金属膜2がニッケル(Ni)膜であるニッケル(Ni)めっき膜である場合、金属膜2の厚みが3μm以上5μm以下であることが望ましい。ニッケル(Ni)めっき膜の厚みが3μmよりも小さい場合、ニッケル(Ni)めっき膜にワイヤ3が接合される際にニッケル(Ni)めっき膜が破損する可能性がある。ニッケル(Ni)めっき膜の厚みが5μmよりも大きい場合、ニッケル(Ni)めっき膜の形成に時間が掛かるため、経済的に不利である。
【0036】
また、望ましくは、金属膜2は、硫黄(S)を含んでいない無電解ニッケル(Ni)-リン(P)めっき膜であってもよい。この場合、金属膜2のリン(P)の含有量は、8質量%以下である。
【0037】
また、望ましくは、金属膜2は、無電解ニッケル(Ni)-ボロン(B)めっき膜であってもよい。
【0038】
また、望ましくは、金属膜2は、電気めっきによって成膜されたニッケル(Ni)膜および銅(Cu)膜のいずれかであってもよい。
【0039】
また、望ましくは、金属膜2は、蒸着法およびスパッタリング法のいずれかによって成膜されたニッケル(Ni)膜、銅(Cu)膜、チタン(Ti)膜およびタングステン(W)膜のいずれかであってもよい。
【0040】
図1に示されるように、半導体素子1が第1素子部1aおよび第2素子部1b等の複数の素子部を有している場合、複数の素子部の各々の上に分割された金属膜部が形成される。この場合、金属膜2は、無電解めっきおよび電気めっき等のめっきによって形成されることが望ましい。
【0041】
次に、
図1、
図2および
図6を用いて、実施の形態1に係る半導体装置100の製造方法を説明する。
【0042】
図6に示されるように、半導体装置100の製造方法は、準備される工程S101と、接合される工程S102とを含んでいる。
【0043】
図1に示されるように、準備される工程S101(
図6参照)では、半導体素子1と、金属膜2と、ワイヤ3とが準備される。本実施の形態では、回路パターン41と、金属パターン42と、絶縁部材43と、放熱部材5と、接合材(第1接合材61)と、第2接合材62と、ケース7と、端子8と、封止材9とがさらに準備される。
【0044】
電極11が金属膜2に覆われる。電極11は、電気めっきによってめっきされることによって金属膜2に覆われてもよい。また、電極11は、無電解めっきによってめっきされることで金属膜2に覆われてもよい。
【0045】
続いて、接合される工程S102(
図6参照)では、電極11を覆っている金属膜2にワイヤ3が接合される。本実施の形態では、ワイヤ3は、超音波接合によって金属膜2に接合される。ワイヤ3と金属膜2とを接合する方法は、適宜に決められてもよい。
【0046】
また、第1接合材61が加熱されることで、半導体素子1と回路パターン41とが第1接合材61によって接合される。本実施の形態において、半導体素子1が270℃以上に加熱された接合材(第1接合材61)を介して回路パターン41に接合される。第2接合材62が加熱されることで、金属パターン42と放熱部材5とが接合される。また、半導体素子1、金属膜2およびワイヤ3等を取り囲んだ状態のケース7と放熱部材5の上面とによって形成された内部空間を封止材9が封止する。
【0047】
また、
図2に示されるように、半導体装置100がリードフレームLFを含んでいる場合、接合される工程S102(
図6参照)において、未硬化の状態の絶縁シートである絶縁部材43が図示されないモールド金型に配置される。また、金属層である金属パターン42の下面がモールド金型のキャビティ底面に面接触するように配置される。続いて、未硬化の状態の絶縁シートにリードフレームLFが面接触するように配置される。続いて、リードフレームLFを介して絶縁シートに圧力が印加される。また、圧力が印加された状態でモールド金型のキャビティ内にモールド樹脂である封止材9が注入される。続いて、モールド樹脂がキャビティ内の全体に充填された後に、圧力の印加が止められる。続いて、モールド樹脂および未硬化の状態の絶縁シートが硬化する。
【0048】
次に、
図7および
図8を用いて、実施の形態1に係る半導体装置100の寿命を評価するためのパワーサイクル試験を説明する。本実施の形態において、半導体装置100の寿命とは、パワーサイクル試験によって評価されるパワーサイクル寿命のことである。
【0049】
パワーサイクル試験では、半導体素子1に電流が流れるオン状態と半導体素子1に電流が流れないオフ状態とが交互に繰り返し切り替えられる。これにより、半導体素子1は、電流によって加熱されている状態と自然冷却されている状態とに交互に繰り返し切り替えられる。このため、半導体装置100の部品同士の接合部31には、部品同士の線膨張係数の差に応じた応力が繰り返し生じる。つまり、パワーサイクル試験は、評価対象に応力による小さい変形を繰り返し加える疲労試験である。これにより、評価対象である半導体装置100には、
図7および
図8に示されるように、亀裂CRが生じることがある。
【0050】
封止材9(
図1参照)がゲル状の封止樹脂である場合、パワーサイクル試験の実施による亀裂CRは、ワイヤ3の金属膜2との接合部31に沿って進展する。すなわち、亀裂CRは、主に第1方向DR1に沿って進展する。なお、進展した亀裂CRによってワイヤ3が電極11から離れる(リフトオフする)ことで、半導体装置100が故障する。亀裂CRは、小さい強度および硬度を有する部分を進展しやすい。また、亀裂CRは、接合部31において進展しやすい。具体的には、亀裂CRは、大きい粒径を有する結晶に向かって進展しやすい。
【0051】
続いて、本実施の形態の作用効果を説明する。
実施の形態1に係る半導体装置100によれば、
図5に示されるように、ワイヤ3の全体において、ワイヤ3の円形断面における平均結晶粒径は、5μm以下である。このため、ワイヤ3の寿命が長くなる。したがって、半導体装置100は、長い寿命を有している。
【0052】
本実施の形態に係る半導体装置100を第1の比較例に係る半導体装置101(
図9参照)と比較して、本実施の形態に係る半導体装置100の作用効果を詳細に説明する。
【0053】
図5に示されるように、本実施の形態に係る半導体装置100のワイヤ3の平均結晶粒径は、5μm以下である。これに対して、
図9に示されるように、第1の比較例に係る半導体装置101のワイヤ3の平均結晶粒径は、7μmよりも大きい。
【0054】
本実施の形態に係る半導体装置100および第1の比較例に係る半導体装置101の寿命は、パワーサイクル試験によって評価された。本実施の形態に係るパワーサイクル試験の試験条件は、次の通りである。半導体素子1のジャンクション温度が、オン状態においてオフ状態よりも100℃高くなるように、電流の電流値および電流が流れる時間が定められた。半導体素子1のエミッタとコレクタとの間の電圧が試験前の値よりも5%大きくなったときに、半導体装置100が故障したと判定された。
【0055】
図8は、パワーサイクル試験によって生じた亀裂CRが本実施の形態に係る半導体装置100のワイヤ3の内部を進展した様子を示している。ワイヤ3が半導体素子1に超音波接合によって接合される際に、ワイヤ3が塑性変形する。これにより、ワイヤ3の接合部31の結晶が微細化する。
【0056】
亀裂CRは、ワイヤ3の内部を進展する。本実施の形態では、接合部31の結晶および接合部31から離れた位置の結晶は、微細化されている。このため、亀裂CRが接合部31の結晶から接合部31から離れた位置の結晶に向かって進展することが抑制されている。よって、亀裂CRはワイヤ3と金属膜2との接合部31に沿って進展する。また、接合部31から離れた位置の結晶が微細化されているため、接合部31から離れた位置の結晶に向かって亀裂CRが進展したとしても、亀裂CRの進展速度が小さい。したがって、パワーサイクル寿命が長くなる。すなわち、半導体装置100の寿命が長くなる。
【0057】
図9は、パワーサイクル試験によって生じた亀裂CRが本実施の形態に係る半導体装置101のワイヤ3の内部を進展した様子を示している。亀裂CRは、ワイヤ3内を進展する。接合部31から離れた位置の結晶は、接合部31の微細化された結晶よりも低い強度および硬度を有している。このため、生じた亀裂CRは、ワイヤ3の内部において、接合部31の結晶から接合部31から離れた位置の結晶に向かって進展する。このため、第1の比較例では、接合部31の結晶が微細化したとしても、パワーサイクル寿命が十分に向上しない。また、第1の比較例において塑性変形したワイヤ3の変形量は、実施の形態1において塑性変形したワイヤ3の変形量よりも大きい。これは、本実施の形態に係るワイヤ3の結晶が微細化された状態でワイヤ3が金属膜2に接合されるのに対し、第1の比較例に係るワイヤ3の結晶が微細化されていない状態でワイヤ3が金属膜2に接合されるためである。
【0058】
図10は、本実施の形態に係る半導体装置100および第1の比較例に係る半導体装置101にパワーサイクル試験が実施された場合のワイヤ3の平均結晶粒径とパワーサイクル寿命との関係を示すグラフである。縦軸は、パワーサイクル寿命を示している。横軸は、ワイヤ3の平均結晶粒径を示している。
【0059】
本実施の形態に係る半導体装置100のワイヤ3の平均結晶粒径が2.7μmである場合、パワーサイクル寿命は278400回だった。本実施の形態に係る半導体装置100のワイヤ3の平均結晶粒径が5μmである場合、パワーサイクル寿命は104900回だった。
【0060】
第1の比較例に係る半導体装置101のワイヤ3の平均結晶粒径が7.1μmである場合、パワーサイクル寿命は40100回だった。第1の比較例に係る半導体装置101のワイヤ3の平均結晶粒径が9.3μmである場合、パワーサイクル寿命は60500回だった。第1の比較例に係る半導体装置101のワイヤ3の平均結晶粒径が10.6μmである場合、パワーサイクル寿命は59600回だった。第1の比較例に係る半導体装置101のワイヤ3の平均結晶粒径が13.9μmである場合、パワーサイクル寿命は77300回だった。第1の比較例に係る半導体装置101のワイヤ3の平均結晶粒径が14.9μmである場合、パワーサイクル寿命は77600回だった。第1の比較例に係る半導体装置101のワイヤ3の平均結晶粒径が35.8μmである場合、パワーサイクル寿命は33900回だった。
【0061】
すなわち、本実施の形態に係る半導体装置100のパワーサイクル寿命は、第1の比較例に係る半導体装置101よりも約8倍長かった。
【0062】
以上より、平均結晶粒径が7μmよりも大きいワイヤ3を有する第1の比較例に係る半導体装置101と比べて、平均結晶粒径が5μm以下であるワイヤ3を有する本実施の形態に係る半導体装置100は明らかに傾向が異なり著しいパワーサイクル寿命の増大が認められた。
【0063】
なお、今回は半導体素子1のジャンクション温度が、オン状態においてオフ状態よりも100℃高くなるように条件設定した場合の実験結果を示したが、半導体素子1のジャンクション温度の差がオン状態とオフ状態で100℃よりも小さい場合、例えば半導体素子1のジャンクション温度がオン状態においてオフ状態よりも80℃高くなるように条件設定した場合で評価した場合でも同様に、平均結晶粒径が5μm以下の領域で顕著にパワーサイクル寿命が増大することが確認された。
【0064】
次に、本実施の形態に係る半導体装置100を第2の比較例に係る半導体装置102(
図11参照)および第3の比較例に係る半導体装置103(
図12参照)と比較して、本実施の形態に係る半導体装置100の作用効果を詳細に説明する。
【0065】
図5に示されるように、本実施の形態に係る半導体装置100は、金属膜2を含んでいる。また、ワイヤ3の全体において、ワイヤ3の平均結晶粒径は、5μm以下である。
【0066】
これに対して、
図11に示されるように、第2の比較例に係る半導体装置102は、金属膜2を含んでいない。また、第2の比較例に係る半導体装置102のワイヤ3の平均結晶粒径は、7μmよりも大きい。第2の比較例に係るワイヤ3は、例えば、高純度のアルミニウム(Al)を含んでいる。第2の比較例に係るワイヤ3のアルミニウム(Al)の含有量は、例えば、99.99質量%以上である。第2の比較例に係る半導体装置102のワイヤ3は、電極11よりも低い硬度を有している。このため、第2の比較例に係る半導体装置102に生じた亀裂CRは、ワイヤ3の内部を進展する。具体的には、亀裂CRは、ワイヤ3の内部において接合部31に沿って進展する。さらに、ワイヤ3の平均結晶粒径が大きいため、亀裂CRの進展速度が大きい。したがって、第2の比較例に係る半導体装置102のパワーサイクル寿命は、短い。
【0067】
また、本実施の形態に係る半導体装置100に対して、
図12に示されるように、第3の比較例に係る半導体装置103は、金属膜2を含んでいない。また、第3の比較例に係る半導体装置103のワイヤ3の平均結晶粒径は、5μm以下である。第3の比較例に係る半導体装置103のワイヤ3は、電極11よりも高い硬度を有している。このため、第3の比較例に係る半導体装置103に生じた亀裂CRは、電極11の内部を進展する。亀裂CRが電極11内を進展した場合、半導体素子1のチップ構造が亀裂CRによって破壊されることがある。したがって、第3の比較例に係る半導体装置103のパワーサイクル寿命は、短い。
【0068】
以上より、金属膜2を含みかつ平均結晶粒径が5μm以下であるワイヤ3を含む本実施の形態に係る半導体装置100のパワーサイクル寿命は、金属膜2を含まない第2の比較例に係る半導体装置102および第3の比較例に係る半導体装置103よりも長い。
【0069】
続いて、金属膜2による効果を説明する。
図4および
図5に示されるように、ワイヤ3の金属膜2との接合部31の寿命が長い場合、半導体装置100の他の部品の寿命が長いことが望ましい。具体的には、
図1に示されるように、第1接合材61の寿命が長いことが望ましい。第1接合材61の寿命は、第1接合材61の耐熱性が向上することで向上する。第1接合材61の耐熱性が向上することで、半導体素子1と回路パターン41との接合部31(
図5参照)の耐熱性が向上する。具体的には、第1接合材61は、高温はんだであることが好ましい。高温はんだは、例えば、鉛(Pb)系はんだ、スズ(Sn)-アンチモン(Sb)系はんだ、金(Au)系はんだ、ビスマス(Bi)系はんだ、銅(Cu)系はんだ、亜鉛(Zn)系はんだである。高温はんだが溶融した場合、高温はんだの液相温度が高い。高温はんだの液相温度は例えば、270℃である。このため、
図13に示される第4の比較例に係る半導体装置104のように、金属膜2が無電解めっきによって成膜されたニッケル(Ni)膜でありかつアモルファスを含んでいる場合、金属膜2が結晶化することで金属膜2の体積が小さくなる。これにより、金属膜2が割れることがある。
図13に示されるように、金属膜2が割れた場合、金属膜2の割れを伝って亀裂CRが電極11内に進展することがある。例えば、金属膜2がリン(P)を含んでいる場合、金属膜2はアモルファスを含んでいる。リン(P)の含有量が大きい場合、金属膜2はアモルファスの単一相を有している。また、リン(P)の含有量が小さい場合、金属相は微結晶を含む結晶構造を有している。
【0070】
本実施の形態に係る半導体装置100によれば、金属膜2は、硫黄(S)を含んでいない無電解ニッケル(Ni)-リン(P)めっき膜であってもよい。この場合、金属膜2のリン(P)の含有量は、5質量%以下である。リン(P)の含有量が5質量%以下である場合、金属相は結晶構造を有している。このため、アモルファスに起因する金属の割れを抑制することができる。また、硫黄(S)を含んでいないため、熱処理時に硫黄(S)が粒界に偏析することを抑制することができる。これにより、粒界が脆化することを抑制することができるため、熱処理時における金属膜2の割れを抑制することができる。以上より、金属膜2の耐熱性が向上する。このため、例えば、半導体装置100の製造時に270℃を超えた場合であっても金属膜2の割れを抑制することができる。
【0071】
金属膜2は、無電解ニッケル(Ni)-ボロン(B)めっき膜であってもよい。この場合、金属膜2は、結晶構造を有している。また、金属膜2に含まれるニッケル(Ni)の純度が高い。このため、熱処理時における金属膜2の割れを抑制することができる。
【0072】
金属膜2は、電気めっきによって成膜されたニッケル(Ni)膜および銅(Cu)膜のいずれかであってもよい。この場合、金属膜2は、結晶構造を有している。また、金属膜2に含まれるニッケル(Ni)の純度が高い。このため、熱処理時における金属膜2の割れを抑制することができる。
【0073】
金属膜2は、蒸着法およびスパッタリング法のいずれかによって成膜されたニッケル(Ni)膜、銅(Cu)膜およびタングステン(W)膜のいずれかであってもよい。この場合、金属膜2は、結晶構造を有している。また、金属膜2に含まれるニッケル(Ni)の純度が高い。このため、熱処理時における金属膜2の割れを抑制することができる。
【0074】
実施の形態1に係る半導体装置の製造方法によれば、
図5に示されるように、接合される工程S102(
図6参照)では、金属膜2にワイヤ3が接合される。ワイヤ3の全体において、ワイヤ3の円形断面における平均結晶粒径は、5μm以下である。このため、半導体装置100の寿命が長くなる。
【0075】
半導体素子1が270℃以上に加熱された接合材(第1接合材61)を介して回路パターン41に接合される。このため、半導体素子1と回路パターン41とを接合する接合材として高い耐熱性を有する接合材(第1接合材61)を用いることができる。具体的には、270℃以上の融点を有する接合材(第1接合材61)によって、半導体素子1および回路パターン41を接合することができる。例えば、第1接合材61の鉛(Pb)の含有率が大きい場合には、第1接合材61の融点は270℃以上である。よって、半導体装置100の耐熱性が向上する。例えば、半導体素子1の高集積化によって動作温度が高温である半導体装置100では、高い耐熱性が求められている。
【0076】
実施の形態2.
次に、
図14を用いて、実施の形態2に係る半導体装置100の構成を説明する。実施の形態2は、特に説明しない限り、上記の実施の形態1と同一の構成、製造方法および作用効果を有している。したがって、上記の実施の形態1と同一の構成には同一の符号を付し、説明を繰り返さない。
【0077】
図14に示されるように、本実施の形態に係るワイヤ3は、鉄(Fe)およびアルミニウム(Al)を含んでいる。ワイヤ3の鉄の含有量は、0.2質量%以上2.0質量%以下である。ワイヤ3から鉄を除いた残部のアルミニウムの含有量は、99.99質量%以上である。
【0078】
ワイヤ3に含まれるアルミニウム(Al)以外の元素は、アルミニウム(Al)に固溶した状態および析出した状態のいずれかの状態で存在する。このため、本実施の形態では、鉄(Fe)は、アルミニウム(Al)に固溶した状態および析出した状態のいずれかの状態で存在する。アルミニウム(Al)以外の元素がアルミニウム(Al)に固溶した状態では、ワイヤ3の導電率が大きく低下する。アルミニウム(Al)以外の元素がアルミニウム(Al)から析出した状態では、ワイヤ3の導電率が低下することは抑制されている。なお、アルミニウム(Al)への最大固溶限は、元素によって異なっている。また、元素の固溶量あたりのワイヤ3の導電率の低下率は、元素によって異なっている。
【0079】
鉄(Fe)のアルミニウム(Al)への最大固溶限は、例えば、0.05質量%である。このため、ワイヤ3の鉄(Fe)の含有量が0.2質量%以上2.0質量%以下だったとしても、鉄(Fe)の多くは析出している。このため、鉄(Fe)によってワイヤ3の導電率が低下することが抑制されている。
【0080】
望ましくは、本実施の形態に係るワイヤ3の導電率は、29×105S/m(50%IACS)以上である。さらに望ましくは、ワイヤ3の導電率は、32×105S/m(55%IACS)以上である。
【0081】
実施の形態2の変形例に係るワイヤ3は、鉄(Fe)、添加元素およびアルミニウムを含んでいる。ワイヤ3の鉄および添加元素の含有量は、0.2質量%以上2.0質量%以下である。ワイヤ3から鉄および添加元素を除いたアルミニウムの含有量は、99.99質量%以上である。
【0082】
添加元素は、例えば、マグネシウム(Mg)、珪素(Si)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、タングステン(W)等である。添加元素は、鉄(Fe)とは異なる元素である。
【0083】
続いて、本実施の形態の作用効果を説明する。
実施の形態2に係る半導体装置100によれば、
図14に示されるように、ワイヤ3は、鉄(Fe)およびアルミニウム(Al)を含んでいる。このため、鉄(Fe)によってアルミニウム(Al)の平均結晶粒径を小さくすることができる。すなわち、ワイヤ3の平均結晶粒径を小さくすることができる。また、ワイヤ3の再結晶温度を高くすることができる。具体的には、ワイヤ3の再結晶温度が175℃以上になる。これにより、パワーサイクル試験の際にワイヤ3に電流が流れることでワイヤ3が発熱したとしても、微細化した結晶が再結晶することを抑制することができる。よって、微細化した結晶が粗大化することを抑制することができる。したがって、結晶の微細化の促進と微細化した結晶の粗大化の抑制とを両立することができる。
【0084】
ワイヤ3の鉄の含有量は、0.2質量%以上2.0質量%以下である。ワイヤ3から鉄を除いた残部のアルミニウムの含有量は、99.99質量%以上である。このため、鉄(Fe)のアルミニウム(Al)への固溶限が小さい。よって、ワイヤ3の導電率の低下を抑制することができる。したがって、半導体装置100に大電流が流れる場合にも本実施の形態に係るワイヤ3を用いることができる。
【0085】
続いて、
図15~
図25を用いて、本実施の形態に係る半導体装置100の効果をより詳細に説明する。
図15は、パワーサイクル試験の前後における電子線後方散乱解析法(EBSD:Electron Backscatter Diffraction)によるワイヤ3の評価を示す結晶方位マップである。なお、
図15等の結晶方位マップは、半導体装置100の一部の結晶方位マップであるが、説明の便宜のため、四方は省略線ではなく直線によって図示されている。
【0086】
本実施の形態に係る半導体装置100の第1の構成のワイヤ3(
図15参照)、本実施の形態に係る半導体装置100の第2の構成のワイヤ3(
図16参照)および第1の比較例に係るワイヤ3(
図17参照)を比較することで、本実施の形態に係る半導体装置100の効果を説明する。
【0087】
図15に示されるように、本実施の形態に係る半導体装置100の第1の構造のワイヤ3の平均結晶粒径は、2.7μmである。第1の構造のワイヤ3のアルミニウム(Al)以外の元素の含有量は、0.4質量%である。
図16に示されるように、本実施の形態に係る半導体装置100の第2の構造のワイヤ3の平均結晶粒径は、5μmである。第2の構造のワイヤ3のアルミニウム(Al)以外の元素の含有量は、1.5質量%である。
図17に示されるように、第1の比較例に係る半導体装置101の平均結晶粒径は、35μmである。
【0088】
本実施の形態に係る半導体装置100の第1の構成のワイヤ3、第2の構成のワイヤ3および第1の比較例に係るワイヤ3に対して上述のパワーサイクル試験が実施された。
【0089】
本実施の形態に係る半導体装置100の第1の構造のワイヤ3のパワーサイクル寿命は、277000回だった。
図15に示されるように、本実施の形態に係る半導体装置100の第1の構造のワイヤ3は、パワーサイクル試験の前において接合界面BIにおける結晶粒径と接合部31において接合界面BIよりも内側の結晶粒径との差は小さかった。具体的には、実施の形態2に係る半導体装置100の第1の構造のワイヤ3のパワーサイクル試験の前における接合界面BIにおける結晶粒径と接合部31において接合界面BIよりも内側の結晶粒径の各々は、1μm程度だった。また、
図18に示されるように、本実施の形態に係る半導体装置100の第1の構造のワイヤ3のパワーサイクル試験の後における接合界面BIにおける結晶粒径と接合部31において接合界面BIよりも内側の結晶粒径の各々は、3μm程度だった。
図19~
図21に示されるように、亀裂CRは、ワイヤ3の金属膜2との接合部31に沿うようにワイヤ3の内部に進展していた。
【0090】
本実施の形態に係る半導体装置100の第2の構造のパワーサイクル寿命は、353000回だった。
図16に示されるように、本実施の形態に係る半導体装置100の第2の構造のワイヤ3は、パワーサイクル試験の前において接合界面BIにおける結晶粒径と接合部31において接合界面BIよりも内側の結晶粒径の差は小さかった。具体的には、実施の形態2に係る半導体装置100の第2の構造のワイヤ3のパワーサイクル試験の前における接合界面BIにおける結晶粒径と接合部31において接合界面BIよりも内側の結晶粒径の各々は、1μm以上2μm以下程度だった。また、
図22に示されるように、実施の形態2に係る半導体装置100の第2の構造のワイヤ3のパワーサイクル試験の後における接合界面BIにおける結晶粒径と接合部31において接合界面BIよりも内側の結晶粒径の各々は、3μm程度だった。
【0091】
第1の比較例に係る半導体装置101のワイヤ3は、
図17に示されるように、パワーサイクル試験の前において、1μm程度の平均結晶粒径を有する接合部31と、接合部31よりもワイヤ3の内側である内部領域とを含んでいる。内部領域は、2μm以上5μm以下の結晶粒径を有していた。
図20に示されるように、パワーサイクル試験の後における接合部31の面積は、パワーサイクル試験の後における接合部31の面積よりも小さかった。内部領域の多くの結晶の粒径は、5μmよりも大きかった。このため、第1の比較例に係る半導体装置101のワイヤ3は、粗大化していた。
図23に示されるように、亀裂CRが生じていた。また、
図24および
図25に示されるように、亀裂CRは、金属膜2から離れるようにワイヤの内部を進展していた。
【0092】
以上より、本開示では合金元素添加により結晶粒径5μm以下としたワイヤ3を前記ワイヤ3よりも硬質な金属膜2上にボンディングしたため、パワーサイクル試験時の亀裂が前記ワイヤ3内のみを選択的に進展し、かつ試験の期間中にワイヤ3の結晶粒径の粗大化が抑制されていたため、特徴的な長寿命が得られた。
【0093】
ワイヤ3は、鉄(Fe)を含んでいる。このため、ワイヤ3の耐熱性が向上する。よって、半導体装置100の耐熱性が向上する。
【0094】
ワイヤ3は、添加元素を含んでいる。添加元素によって、ワイヤ3の強度、再結晶温度、耐腐食性等が向上する。例えば、添加元素がマグネシウム(Mg)または珪素(Si)である場合、ワイヤ3の引張強度が向上する。また、添加元素がジルコニウム(Zr)である場合、ワイヤ3の再結晶温度が向上する。また、添加元素がマンガン(Mn)である場合、ワイヤ3の耐食性が向上する。よって、半導体装置100の強度、再結晶温度、耐腐食性等が向上する。
【0095】
なお、上記では、ワイヤ3の鉄または鉄および添加元素の含有量は0.2質量%以上2.0質量%以下で、ワイヤ3から鉄または鉄および添加元素を除いた残部のアルミニウムの含有量は99.99質量%以上の場合を説明した。しかし、ワイヤ3の鉄または鉄および添加元素の含有量は0.01質量%以上2.0質量%以下で、ワイヤ3から鉄または鉄および添加元素を除いた残部のアルミニウムの含有量は99質量%以上であっても同様の効果を有する。
【0096】
実施の形態3.
本実施の形態は、上述した実施の形態1~2に係る半導体装置100を電力変換装置に適用したものである。本開示は特定の電力変換装置に限定されるものではないが、以下、実施の形態3として、三相のインバータに本開示を適用した場合について説明する。
【0097】
図26は、本実施の形態に係る電力変換装置を適用した電力変換システムの構成を示すブロック図である。
【0098】
図26に示す電力変換システムは、電源PW、電力変換装置200、負荷Lから構成される。電源PWは、直流電源であり、電力変換装置200に直流電力を供給する。電源PWは種々のもので構成することが可能であり、例えば、直流系統、太陽電池、蓄電池で構成することができるし、交流系統に接続された整流回路やAC/DCコンバータで構成することとしてもよい。また、電源PWを、直流系統から出力される直流電力を所定の電力に変換するDC/DCコンバータによって構成することとしてもよい。
【0099】
電力変換装置200は、電源PWと負荷Lの間に接続された三相のインバータであり、電源PWから供給された直流電力を交流電力に変換し、負荷Lに交流電力を供給する。電力変換装置200は、
図26に示すように、直流電力を交流電力に変換して出力する主変換回路201と、主変換回路201を制御する制御信号を主変換回路201に出力する制御回路202とを備えている。
【0100】
負荷Lは、電力変換装置200から供給された交流電力によって駆動される三相の電動機である。なお、負荷Lは特定の用途に限られるものではなく、各種電気機器に搭載された電動機であり、例えば、ハイブリッド自動車や電気自動車、鉄道車両、エレベーター、もしくは、空調機器向けの電動機として用いられる。
【0101】
以下、電力変換装置200の詳細を説明する。主変換回路201は、スイッチング素子と還流ダイオードを備えており(図示せず)、スイッチング素子がスイッチングすることによって、電源PWから供給される直流電力を交流電力に変換し、負荷Lに供給する。主変換回路201の具体的な回路構成は種々のものがあるが、本実施の形態に係る主変換回路201は2レベルの三相フルブリッジ回路であり、6つのスイッチング素子とそれぞれのスイッチング素子に逆並列された6つの還流ダイオードから構成することができる。主変換回路201の各スイッチング素子および各還流ダイオードの少なくともいずれかは、上述した実施の形態1および2のいずれかの半導体装置100に相当する半導体装置100が有するスイッチング素子又は還流ダイオードである。6つのスイッチング素子は2つのスイッチング素子ごとに直列接続され上下アームを構成し、各上下アームはフルブリッジ回路の各相(U相、V相、W相)を構成する。そして、各上下アームの出力端子、すなわち主変換回路201の3つの出力端子は、負荷Lに接続される。
【0102】
また、主変換回路201は、各スイッチング素子を駆動する駆動回路(図示なし)を備えているが、駆動回路は半導体装置100に内蔵されていてもよいし、半導体装置100とは別に駆動回路を備える構成であってもよい。駆動回路は、主変換回路201のスイッチング素子を駆動する駆動信号を生成し、主変換回路201のスイッチング素子の制御電極に供給する。具体的には、後述する制御回路202からの制御信号に従い、スイッチング素子をオン状態にする駆動信号とスイッチング素子をオフ状態にする駆動信号とを各スイッチング素子の電極11に出力する。スイッチング素子をオン状態に維持する場合、駆動信号はスイッチング素子の閾値電圧以上の電圧信号(オン信号)であり、スイッチング素子をオフ状態に維持する場合、駆動信号はスイッチング素子の閾値電圧以下の電圧信号(オフ信号)となる。
【0103】
制御回路202は、負荷Lに所望の電力が供給されるよう主変換回路201のスイッチング素子を制御する。具体的には、負荷Lに供給すべき電力に基づいて主変換回路201の各スイッチング素子がオン状態となるべき時間(オン時間)を算出する。例えば、出力すべき電圧に応じてスイッチング素子のオン時間を変調するPWM制御によって主変換回路201を制御することができる。そして、各時点においてオン状態となるべきスイッチング素子にはオン信号を、オフ状態となるべきスイッチング素子にはオフ信号が出力されるよう、主変換回路201が備える駆動回路に制御指令(制御信号)を出力する。駆動回路は、この制御信号に従い、各スイッチング素子の電極11にオン信号又はオフ信号を駆動信号として出力する。
【0104】
本実施の形態に係る電力変換装置では、主変換回路201を構成する半導体装置100として実施の形態1~2に係る半導体装置100を適用するため、長い寿命を有する電力変換装置200を実現することができる。
【0105】
本実施の形態では、2レベルの三相インバータに本開示を適用する例を説明したが、本開示は、これに限られるものではなく、種々の電力変換装置に適用することができる。本実施の形態では、2レベルの電力変換装置としたが3レベルやマルチレベルの電力変換装置であっても構わないし、単相負荷に電力を供給する場合には単相のインバータに本開示を適用しても構わない。また、直流負荷等に電力を供給する場合にはDC/DCコンバータやAC/DCコンバータに本開示を適用することも可能である。
【0106】
また、本開示を適用した電力変換装置は、上述した負荷が電動機の場合に限定されるものではなく、例えば、放電加工機やレーザー加工機、又は誘導加熱調理器や非接触給電システムの電源装置として用いることもでき、さらには太陽光発電システムや蓄電システム等のパワーコンディショナーとして用いることも可能である。
【0107】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0108】
1 半導体素子、2 金属膜、3 ワイヤ、100 半導体装置、20 電力変換装置、201 主変換回路、202 制御回路、L 負荷、PW 電源。