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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-12
(45)【発行日】2024-09-24
(54)【発明の名称】半導体構造およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/20 20060101AFI20240913BHJP
【FI】
H01L21/20
【請求項の数】 19
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023062427
(22)【出願日】2023-04-06
(65)【公開番号】P2023160752
(43)【公開日】2023-11-02
【審査請求日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】111115529
(32)【優先日】2022-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】515087558
【氏名又は名称】環球晶圓股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Global Wafers Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.8 Industrial East Road 2,Science Park,Hsinchu City, Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】100204490
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 葉子
(72)【発明者】
【氏名】林 伯融
(72)【発明者】
【氏名】劉 嘉哲
【審査官】平野 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-139655(JP,A)
【文献】特表2018-509776(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0365469(US,A1)
【文献】国際公開第2022/008836(WO,A1)
【文献】特表2011-515861(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0012128(US,A1)
【文献】特開2008-166349(JP,A)
【文献】特表2015-512148(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1厚さT1を有する炭化ケイ素基板と、
前記炭化ケイ素基板上に位置し、T1*0.001%~T1*0.01%の厚さ範囲であり、且つ1nm~100nmの範囲である第2厚さT2を有し、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)で構成された核生成層と、
前記核生成層上に位置し、前記炭化ケイ素基板から間隔を空けて配置された窒化ガリウム層と、
を含み、
前記AlGaNが、下記の式(1)で表され、
AlxGa(100%-x)N 式(1)
式(1)中、アルミニウム含有量Xが、20%~60%の範囲である半導体構造。
【請求項2】
前記第2厚さT2が、T1*0.002%~T1*0.007%の厚さ範囲である請求項1に記載の半導体構造。
【請求項3】
前記第2厚さT2が、T1*0.003%~T1*0.005%の厚さ範囲である請求項2に記載の半導体構造。
【請求項4】
前記炭化ケイ素基板が、4インチの炭化ケイ素ウェハ基板である請求項に記載の半導体構造。
【請求項5】
(1)中、前記アルミニウム含有量Xが、30%~50%の範囲である請求項1に記載の半導体構造。
【請求項6】
前記炭化ケイ素基板が、6インチの炭化ケイ素ウェハ基板である請求項に記載の半導体構造。
【請求項7】
前記半導体構造が、-25μm~+25μmの範囲の湾曲度を有する請求項1に記載の半導体構造。
【請求項8】
前記半導体構造が、-5μm~+5μmの範囲の湾曲度を有する請求項1に記載の半導体構造。
【請求項9】
前記窒化ガリウム層が、第3厚さT3を有し、前記第3厚さT3が、T1*0.02%~T1*1%の厚さ範囲である請求項1に記載の半導体構造。
【請求項10】
前記窒化ガリウム層が、前記第3厚さT3を有し、前記第3厚さT3が、T1*0.04%~T1*0.5%の厚さ範囲である請求項に記載の半導体構造。
【請求項11】
前記窒化ガリウム層が、前記第3厚さT3を有し、前記第3厚さT3が、T1*0.1%~T1*0.3%の厚さ範囲である請求項10に記載の半導体構造。
【請求項12】
前記第1厚さT1が、500μmである請求項1に記載の半導体構造。
【請求項13】
前記第2厚さT2が、20nmである請求項1に記載の半導体構造。
【請求項14】
前記核生成層が、AlGaN層を含み、前記AlGaN層が、第1側および前記第1側の反対側にある第2側を含み、前記第1側が、前記炭化ケイ素基板と接触し、前記第2側が、前記窒化ガリウム層と接触し、前記AlGaN層中のアルミニウム含有量が、前記第1側から前記第2側に向かって減少する請求項1に記載の半導体構造。
【請求項15】
前記AlGaN層中の前記アルミニウム含有量が、直線的に減少する請求項14に記載の半導体構造。
【請求項16】
前記AlGaN層中の前記アルミニウム含有量が、非直線的に減少する請求項14に記載の半導体構造。
【請求項17】
窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)中のアルミニウム含有量の比率に対する半導体構造の湾曲度の回帰プロット図を提供することと、
形成したい前記半導体構造の理想の湾曲度を設定し、前記回帰プロット図に基づいて理想のアルミニウム含有量を計算することと、
炭化ケイ素基板を提供することと、
前記理想のアルミニウム含有量に基づいて、前記炭化ケイ素基板上にAlGaNで構成された核生成層を形成することと、
前記核生成層上に窒化ガリウム層を形成することと、
を含む半導体構造の製造方法。
【請求項18】
前記理想の湾曲度が、-25μm~+25μmの範囲に設定された請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記半導体構造が高出力デバイスまたは無線周波数デバイスに使用される半導体構造である時、前記理想のアルミニウム含有量が、50%~60%の範囲である請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体構造に関するものであり、特に、半導体構造およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
窒化ガリウム(gallium nitride, GaN)エピタキシャル層を炭化ケイ素(silicon carbide, SiC)基板上に成長させるためには、通常、炭化ケイ素基板と窒化ガリウムエピタキシャル層の間に窒化アルミニウムをバッファ層またはウェッティング層として形成し、窒化ガリウムの成長を促進する必要がある。例えば、窒化ガリウムを炭化ケイ素基板上に直接成長させると、窒化ガリウムの3D(three-dimensional)成長が生じるため、窒化ガリウムの表面が粗くなり、後続のエピタキシャル成長が行えなくなる。そのため、窒化ガリウムエピタキシャル層を形成する一般的な方法は、窒化アルミニウムの使用を必要とする。しかしながら、窒化アルミニウムは、抵抗値が高く、通常、高温で成長させる必要があるため、その湾曲度(bow)を容易に制御することができない。上記の観点から、いかにして半導体構造が優れた幾何学的品質を有するように窒化ガリウムエピタキシャル層の形成を制御するかが、早急に解決すべき課題となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
関連技術は、半導体構造が優れた幾何学的品質を有するように窒化ガリウムエピタキシャル層の形成を制御するための解決手段をまだ提供していない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、窒化アルミニウムガリウム(aluminum gallium nitride, AlGaN)で作られた核生成層上に窒化ガリウム層を形成し、優れた幾何学的品質を有する半導体構造を提供する。
【0005】
本発明の半導体構造は、炭化ケイ素基板、核生成層、および窒化ガリウム層を含む。炭化ケイ素基板は、第1厚さT1を有する。核生成層は、炭化ケイ素基板上に位置し、第2厚さT2を有する。核生成層は、AlGaNで構成され、第2厚さT2は、T1*0.002%~T1*0.006%の厚さ範囲である。窒化ガリウム層は、核生成層上に位置し、炭化ケイ素基板から間隔を空けて配置される。
【0006】
本発明の1つの実施形態において、第2厚さT2は、T1*0.002%~T1*0.007%の厚さ範囲である。
【0007】
本発明の1つの実施形態において、第2厚さT2は、T1*0.003%~T1*0.005%の厚さ範囲である。
【0008】
本発明の1つの実施形態において、AlGaNは、式(1):AlGa(100%-x)Nで表され、式(1)中、アルミニウム含有量Xは、20%~60%の範囲である。
【0009】
本発明の1つの実施形態において、炭化ケイ素基板は、4インチの炭化ケイ素ウェハ基板である。
【0010】
本発明の1つの実施形態において、AlGaNは、式(1):AlGa(100%-x)Nで表され、式(1)中、アルミニウム含有量Xは、30%~50%の範囲である。
【0011】
本発明の1つの実施形態において、炭化ケイ素基板は、6インチの炭化ケイ素ウェハ基板である。
【0012】
本発明の1つの実施形態において、半導体構造は、-25μm~+25μmの範囲の湾曲度を有する。
【0013】
本発明の1つの実施形態において、半導体構造は、-5μm~+5μmの範囲の湾曲度を有する。
【0014】
本発明の1つの実施形態において、窒化ガリウム層は、第3厚さT3を有し、第3厚さT3は、T1*0.02%~T1*1%の厚さ範囲である。
【0015】
本発明の1つの実施形態において、窒化ガリウム層は、第3厚さT3を有し、第3厚さT3は、T1*0.04%~T1*0.5%の厚さ範囲である。
【0016】
本発明の1つの実施形態において、窒化ガリウム層は、第3厚さT3を有し、第3厚さT3は、T1*0.1%~T1*0.3%の厚さ範囲である。
【0017】
本発明の1つの実施形態において、第1厚さT1は、500μmである。
【0018】
本発明の1つの実施形態において、第2厚さT2は、20nmである。
【0019】
本発明の1つの実施形態において、核生成層は、AlGaN層を含み、AlGaN層は、第1側および第1側の反対側にある第2側を含み、第1側は、炭化ケイ素基板に接触し、第2側は、窒化ガリウム層に接触し、AlGaN層中のアルミニウム含有量は、第1側から第2側に向かって減少する。
【0020】
本発明の1つの実施形態において、AlGaN層中のアルミニウム含有量は、直線的に減少する。
【0021】
本発明の1つの実施形態において、AlGaN層中のアルミニウム含有量は、非直線的に減少する。
【0022】
本発明は、さらに、半導体構造体の製造方法を提供する。この方法は、以下のステップを含む。AlGaN中のアルミニウム含有量の比率に対する半導体構造体の湾曲度の回帰プロット図を提供する。形成したい半導体構造体の理想の湾曲度を設定し、回帰プロット図に基づいて、理想のアルミニウム含有量を計算する。炭化ケイ素基板を提供する。理想のアルミニウム含有量に基づいて、炭化ケイ素基板上にAlGaNで構成された核生成層を形成する。核生成層上に窒化ガリウム層を形成する。
【0023】
本発明の1つの実施形態において、理想の湾曲度は、-25μm~+25μmの範囲に設定される。
【0024】
本発明の1つの実施形態において、半導体構造が高出力デバイスまたは無線周波数デバイスに使用される半導体構造である場合、理想のアルミニウム含有量は、50%~60%の範囲である。
【0025】
本発明の1つの実施形態において、半導体構造が光デバイスに使用される半導体構造である場合、理想のアルミニウム含有量は、20%~50%の範囲である。
【発明の効果】
【0026】
以上のように、本発明の実施形態に係る半導体構造は、AlGaNで構成された核生成層の厚さを制御し、AlGaN中のアルミニウム含有量を制御することにより、形成されたAlGaN層を2D形態で連続的に成長させることができるため、後続の工程において応力の低い窒化ガリウムのエピタキシャル層を形成するために使用することができる。したがって、形成された半導体構造は、優れた幾何学的品質を有し、湾曲度を適切な範囲で制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の1つの実施形態に係る半導体構造の製造方法のフローチャートである。
図2A】AlGaN中のアルミニウム含有量の比率に対する半導体構造の湾曲度の回帰プロット図である。
図2B】AlGaN中のアルミニウム含有量の比率に対する半導体構造の湾曲度の回帰プロット図である。
図3A】本発明の1つの実施形態に係る半導体構造の製造方法の概略的断面図である。
図3B】本発明の1つの実施形態に係る半導体構造の製造方法の概略的断面図である。
図3C】本発明の1つの実施形態に係る半導体構造の製造方法の概略的断面図である。
図3D】本発明の1つの実施形態に係る半導体構造の製造方法の概略的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、本発明の1つの実施形態に係る半導体構造の製造方法のフローチャートである。以下、本発明の1つの実施形態に係る半導体構造の製造方法の具体的なステップについて、図2A図2Bの回帰プロット図および図3A図3Dの概略的断面図とともに、図1を参照しながら説明する。
【0029】
図1AのステップS10を参照すると、いくつかの実施形態において、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)中のアルミニウム含有量の比率に対する半導体構造の湾曲度の回帰プロット図を提供する。例えば、異なるアルミニウム含有量のAlGaN層を炭化ケイ素ウェハ基板上に形成し、アルミニウム含有量の比率が半導体構造の湾曲度に及ぼす影響を確認する。表1および表2に示した実験結果に示されているように、異なるアルミニウム含有量のAlGaN層を4インチの炭化ケイ素ウェハ基板または6インチの炭化ケイ素ウェハ基板上に形成し、形成された半導体構造の湾曲度を確認する。
【0030】
炭化ケイ素ウェハ基板(4インチ)
【0031】
【表1】
【0032】
炭化ケイ素ウェハ基板(6インチ)
【0033】
【表2】
【0034】
本発明のいくつかの実施形態において、表1および表2に示した実験結果に基づくと、アルミニウム含有量と湾曲度の間の関係は、二次関数(例えば、式:y=ax+bx+c)により計算され、図2Aおよび図2Bに示した回帰プロット図が得られる。図2Aに示すように、図2Aは、4インチの炭化ケイ素ウェハ基板上にAlGaNを形成した時の回帰プロット図である。また、図2Bに示すように、図2Bは、6インチの炭化ケイ素ウェハ基板上にAlGaNを形成した時の回帰プロット図である。
【0035】
続いて、図1AのステップS20を参照すると、いくつかの実施形態において、形成したい半導体構造の理想の湾曲度を設定し、回帰プロット図に基づいて対応する理想のアルミニウム含有量を計算する。いくつかの実施形態において、理想の湾曲度は、-25μm~+25μmの範囲に設定される。いくつかの好ましい実施形態において、理想の湾曲度は、-5μm~+5μmの範囲に設定される。図2Aを参照すると、AlGaNを4インチの炭化ケイ素ウェハ基板上に形成し、理想の湾曲度を-5μm~+5μmの範囲に設定した場合、図2Aの回帰プロット図からわかるように、AlGaNの理想のアルミニウム含有量は、20%~60%の範囲である。図2Bを参照すると、AlGaNを6インチの炭化ケイ素ウェハ基板上に形成し、理想の湾曲度を-25μm~+25μmの範囲に設定した場合、図2Bの回帰プロット図からわかるように、AlGaNの理想のアルミニウム含有量は、30%~75%の範囲であり、好ましくは、30%~50%の範囲である。
【0036】
さらに一歩進み、半導体構造が高出力デバイスまたは無線周波数デバイスに使用される場合、アルミニウム含有量を増やして、より高い抵抗値を達成することができる。したがって、理想のアルミニウム含有量は、回帰プロット図から、50%~60%の範囲であると推定することができる。また、半導体構造が光デバイスに使用される場合、アルミニウム含有量を減らして、より低い抵抗値を達成することができる。したがって、理想のアルミニウム含有量は、回帰プロット図から、20%~50%の範囲であると推定することができる。具体的に説明すると、AlGaNを4インチの炭化ケイ素ウェハ基板上に形成し、高出力デバイスまたは無線周波数デバイスの半導体構造に使用した場合、理想の湾曲度を-5μm~+5μmの範囲に設定した時、図2Aの回帰プロット図からわかるように、AlGaNの理想のアルミニウム含有量は、50%~60%であってもよい。半導体構造が光デバイスに使用される半導体構造である場合、アルミニウム含有量を減らして、より低い抵抗値を達成することができる。したがって、理想のアルミニウム含有量は、回帰プロット図から、20%~50%の範囲であると推定することができる。AlGaNを6インチの炭化ケイ素ウェハ基板上に形成し、高出力デバイスまたは無線周波数デバイスの半導体構造に使用した場合、理想の湾曲度を-25μm~+25μmの範囲に設定した時、図2Bの回帰プロット図からわかるように、AlGaNの理想のアルミニウム含有量は、50%~75%であってもよい。半導体構造が光デバイスに使用される半導体構造である場合、アルミニウム含有量を減らして、より低い抵抗値を達成することができる。したがって、回帰プロット図からわかるように、理想のアルミニウム含有量は、30%~50%の範囲であると推定することができる。したがって、AlGaN中のアルミニウムの含有量を上記の範囲で制御した時、形成された半導体構造は、優れた幾何学的形状および理想の湾曲度を有することができる。一方、AlGaN中のアルミニウム含有量が上記の範囲を超えると、湾曲度が高すぎて、その後に優れたエピタキシャル品質を有する窒化ガリウム層を得ることができない。
【0037】
次に、図1AのステップS30および図3Aを参照すると、いくつかの実施形態において、炭化ケイ素基板102を提供する。炭化ケイ素基板102は、4インチの炭化ケイ素ウェハ基板または6インチの炭化ケイ素ウェハ基板である。また、炭化ケイ素基板102は、第1厚さT1を有する。
【0038】
その後、図1AのステップS40および図3Bを参照すると、上記の理想のアルミニウム含有量に基づいて、炭化ケイ素基板102上にAlGaNで構成された核生成層104を形成する。例えば、炭化ケイ素基板102が4インチの炭化ケイ素ウェハ基板である場合、理想のアルミニウム含有量は、20%~60%の範囲である。また、炭化ケイ素基板102が6インチの炭化ケイ素ウェハ基板である場合、理想のアルミニウム含有量は、30%~50%の範囲である。さらに、形成された半導体構造が高出力デバイス、無線周波数デバイス、または光デバイスであるかどうかに応じて、理想のアルミニウム含有量をさらに50%以上になるように調整して、より高い抵抗値を実現することができ、または50%未満になるように調整して、より低い抵抗値を実現することができる。
【0039】
例えば、本発明の実施形態において、AlGaNは、式(1):AlGa(100%-x)Nで表され、式(1)中、炭化ケイ素基板102が4インチの炭化ケイ素ウェハ基板である時、アルミニウム含有量Xは、20%~60%の範囲であり、炭化ケイ素基板102が6インチの炭化ケイ素ウェハ基板である時、アルミニウム含有量Xは、30%~50%の範囲である。
【0040】
本発明の実施形態において、核生成層104のエピタキシャルプロセスは、上述した理想のアルミニウム含有量に基づいて行われる。いくつかの実施形態において、形成された核生成層104は、AlGaN層を含む。例えば、AlGaN層は、第1側および第1側の反対側にある第2側を含み、第1側は、炭化ケイ素基板102に接触し、第2側は、後に形成される窒化ガリウム層に接触する。エピタキシャル方法に基づくと、核生成層104のAlGaN層中のアルミニウム含有量は、第1側から第2側に向かって徐々に減少することができる。例えば、AlGaN層の第1側は、より高いアルミニウム濃度を有することができ、第2側は、より低いアルミニウム濃度を有することができるが、AlGaN層(核生成層104)全体のアルミニウム含有量は、依然として上記の理想のアルミニウム含有量の範囲である。
【0041】
いくつかの実施形態において、核生成層104のAlGaN層中のアルミニウム含有量が第1側から第2側に向かって減少する場合、AlGaN層のアルミニウム含有量は、直線的に減少する。例えば、AlGaN層の第1側から第2側までの距離に基づき、AlGaN層中のアルミニウム含有量は、第1側から1nmの距離ごとに1%減少するように比例的に減少することができる。別の実施形態において、核生成層104のAlGaN層中のアルミニウム含有量が第1側から第2側に向かって減少する場合、AlGaN層のアルミニウム含有量は、非直線的に減少してもよい。例えば、アルミニウム含有量の非直線的な減少は、段階的な減少や非比例的な減少を含んでもよい。
【0042】
いくつかの実施形態において、核生成層104は、金属有機化学気相成長(metal-organic chemical vapor deposition, MOCVD)によって形成される。また、AlGaNで構成された核生成層104は、第2厚さT2を有する。いくつかの実施形態において、第2厚さT2は、T1*0.001%~T1*0.01%の範囲の厚さである。いくつかの好ましい実施形態において、第2厚さT2は、T1*0.002%~T1*0.007%の範囲の厚さである。いくつかの最も好ましい実施形態において、第2厚さT2は、T1*0.003%~T1*0.005%の範囲の厚さである。第2厚さT2と第1厚さT1が上記の比例関係を満たす場合、形成された半導体構造が優れた幾何学的形状および理想の湾曲度を有することをさらに確実にすることができる。
【0043】
いくつかの実施形態において、第2厚さT2は、例えば、1nm~100nmの範囲の厚さである。いくつかの特定の実施形態において、第2厚さT2は、例えば、1nm~40nmの範囲の厚さである。いくつかの好ましい実施形態において、第2厚さT2は、例えば、15nm~25nmの範囲の厚さである。第2厚さT2を上記の範囲に制御した場合、形成されたAlGaN層を2D形態で連続的に成長させることができるため、後続の工程において応力の低い窒化ガリウムエピタキシャル層を確実に形成することができる。
【0044】
次に、図1AのステップS50および図3Cを参照すると、核生成層104上に窒化ガリウム層106を形成する。窒化ガリウム層106は、ノンドープであってもよく、または鉄や炭素等の深い準位のエネルギー勾配ドーパント源でドープしてもよい。窒化ガリウム層106は、第3厚さT3を有する。いくつかの実施形態において、第3厚さT3は、T1*0.02%~T1*1%の範囲の厚さである。いくつかの好ましい実施形態において、第3厚さT3は、T1*0.04%~T1*0.5%の範囲の厚さである。いくつかの最も好ましい実施形態において、第3厚さT3は、T1*0.1%~T1*0.3%の範囲の厚さである。1つの実施形態において、炭化ケイ素基板102の第1厚さT1が500μmである時、核生成層104の第2厚さT2は、例えば、20nmであり、窒化ガリウム層106の第3厚さT3は、例えば、1.5μmである。別の実施形態において、炭化ケイ素基板102の第1厚さT1は、350μm~500μmであってもよく、窒化ガリウム層106の第3厚さT3は、例えば、0.3μm~2μmである。
【0045】
最後に、図3Cを参照すると、いくつかの実施形態において、窒化ガリウム層106上にバリア層108を形成してもよい。いくつかの実施形態において、バリア層108は、AlGaN、窒化アルミニウム(aluminum nitride, AlN)、または窒化インジウムアルミニウム(indium aluminum nitride, InAlN)を含む材料で作られてもよく、例えば、1~30nmの厚さを有する。バリア層108を形成した後、本発明のいくつかの実施形態に係る半導体構造が完成する。
【0046】
以上のように、本発明の実施形態の半導体構造は、AlGaNで構成された核生成層の厚さを制御し、AlGaN中のアルミニウム含有量を制御することにより、形成されたAlGaN層を2D形態で連続的に成長させることができるため、後続の工程において応力の低い窒化ガリウムのエピタキシャル層を形成するために使用することができる。したがって、形成された半導体構造は、優れた幾何学的品質を有し、湾曲度を適切な範囲に制御することができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の半導体構造およびその製造方法は、高電力デバイス、無線周波数デバイス、光デバイス等の半導体デバイスに適用することができる。
【符号の説明】
【0048】
102 炭化ケイ素基板
104 核生成層
106 窒化ガリウム層
108 バリア層
S10、S20、S30、S40、S50 ステップ
T1 第1厚さ
T2 第2厚さ
T3 第3厚さ
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D