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  • 特許-電動式直動装置 図1
  • 特許-電動式直動装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-12
(45)【発行日】2024-09-24
(54)【発明の名称】電動式直動装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 25/20 20060101AFI20240913BHJP
   H02K 7/06 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
F16H25/20 Z
H02K7/06 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023527072
(86)(22)【出願日】2020-11-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-20
(86)【国際出願番号】 CN2020127975
(87)【国際公開番号】W WO2022099490
(87)【国際公開日】2022-05-19
【審査請求日】2023-04-27
(73)【特許権者】
【識別番号】523159133
【氏名又は名称】▲張 賢▼良
(74)【代理人】
【識別番号】100151208
【弁理士】
【氏名又は名称】植田 吉伸
(72)【発明者】
【氏名】▲張 賢▼良
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0295468(US,A1)
【文献】特開平01-098752(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 25/20
H02K 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ、軸受、ロックナット、ブッシュ、ヘリサート、ねじ軸、ローラーチェーン及びガイドシートを備え、
モータは、ステーター、永久磁石を含む、
ローラチェーンは、ローラー、ローラーホルダを含む、
ガイドシートは、ローラローガイドシート、ローラー止め輪を含む、
ねじ軸にはガイド溝とねじ部が設けられている、
ガイドシートは前側又は後側又は両側に配置され、
モータの駆動により、ブッシュ及びヘリサートの組み合わせが回転運動を発生し、ねじ軸(12)をねじ駆動する、ローラーチェーンとガイドシートを組み合わせたガイド溝を用いて方向付けを行う、方向付けは2本、3本、4本、5本、6本、8本からN本のガイド溝を使用して行われ、ガイド溝が直線である、ねじ軸は、回転運動を発生することができず、対応する直線往復運動のみを発生することができ、軸方向推力を出力する、又はガイド溝は螺旋状又は波状であり、ねじ軸が対応する軸方向運動及び径方向回転を同時に発生することを特徴とする電動式直動装置。
【請求項2】
モータは、永久磁石と組み合わせられたブッシュ及びヘリサートの組み合わせを直接駆動するか、或いは、モータは、ギア伝達、ベルト伝達又はチェーン伝達を介してブッシュ及びヘリサートの組み合わせを連動させることを特徴とする請求項1に記載の電動式直動装置。
【請求項3】
ブッシュ、ヘリサート、ねじ軸の組み合わせを用いることで、ねじギャップをなくすことができ、波形設計によるブッシュの弾性変形によってねじすきまをなくすか、又はねじ軸の中心位置を調整し、止めねじで対応するワッシャーに内向きの拘束力を加えることによってねじすきまをなくすことにより、ねじすきまをなくすことを容易にする構造設計であることを特徴とする請求項1に記載の電動式直動装置。
【請求項4】
直動装置が無限ストローク又は有限ストロークであることを特徴とする請求項1に記載の電動式直動装置。
【請求項5】
ーラーチェーンとガイドシートとの組み合わせ、又はローラーチェーンの代わりに、四角形又は菱形の断面のガイドストリップからなる無限ストロークタイプの直動装置、クロスローラー、クロスローラーホルダ又はボールとガイドシートの組合せ、又はクロスローラー、クロスローラーホルダ又はボールの代わりに四角形又は菱形の断面のガイドストリップからなる有限ストロークタイプの直動装置、前記ガイドストリップは硬質材料とコーティングのガイドストリップ又は軟質の高分子複合材のガイドストリップであることを特徴とする請求項に記載の電動式直動装置。
【請求項6】
ガイドシートと防塵カバー又は他のコンポーネントがフランジ接続又はねじ接続によって固定される請求項1に記載の電動式直動装置。
【請求項7】
ねじ軸が中空ねじ軸又は中実ねじ軸であることを特徴とする請求項1に記載の電動式直動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動式直動装置に関し、特に、モータの回転運動を、ねじ軸が推力を出力する直線往復運動に変換する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
時代の変化に伴い、自動化技術への要求が益々高まっており、様々な複雑な作業条件を満たすために、コンパクトな構造で大ストローク、大推力化、高い位置決め精度及び復帰精度、長寿命化、メンテナンス性を図る電動式直動装置が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
回転運動を直線運動に変換する従来の装置は、大きな推力に耐えられないか、構造が複雑で多くのスペースを占めるか、精度が低く寿命が短いか、コストが非常に高くメンテナンスが難しいなど、多面的機能を有することは困難である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、技術の発展に対応し、従来技術の欠陥を克服するために、モジュール設計を採用し、同じ設計又は同じサイズのコンポーネントを異なる材質やコーティングで組み合わせて様々な用途に適応する電動式直動装置を提供する。
【0005】
上記目的を実現するために、本発明は以下の技術的手段を採用する。前記装置は、モータ(1)、(2)、(3)、(11)、(14)、軸受(5)、(18)、ロックナット(16)、ブッシュ(15)、ヘリサート(4)、ねじ軸(12)、ローラーチェーン(8)、(7)及びガイドシート(10)、(6)、(9)を備え、モータの駆動により、ブッシュ(15)及びヘリサート(4)の組み合わせが回転運動を発生し、ローラーチェーン(8)、(7)とガイドシート(10)、(6)、(9)によって方向付けられるねじ軸(12)が対応する直線往復運動を発生して、軸方向推力を出力する。
【0006】
好ましくは、永久磁石同期サーボモータは、永久磁石(3)と組み合わせられたブッシュ(15)及びヘリサート(4)の組み合わせを直接駆動するか、或いは、モータ(21)は、ギア(23)、(24)伝達、ベルト伝達、又はチェーン伝達を介してブッシュ(25)及びヘリサート(30)の組み合わせを連動させる。
【0007】
両端のクロスローラー軸受(18)と深溝玉軸受(5)の組み合わせ(又はアンギュラ玉軸受(28)、(29)の組み合わせなど径方向と軸方向の複合荷重を同時に受けることができる他の軸受ユニット)は、ブッシュ(15)が回転運動をするように支持するとともに軸方向反力を受ける。
【0008】
ブッシュ(15)とヘリサート(4)の組み合わせは、モータの駆動により同期して回転してねじ軸(12)を駆動する。ブッシュ(15)、ヘリサート(4)、ねじ軸(12)の組み合わせを用いることで、ねじギャップをなくすことができ、メンテナンスや交換も簡単になり、台形ねじによる伝達が好ましく、異なる材質やコーティングの組み合わせにより、高推力、高精度、低コストの様々な用途に適用できる。低推力の用途では通常のタングレスヘリサート(30)を使用することでコストを削減できる。
【0009】
方向付けは2本、3本、4本、5本、6本、8本からN本のガイド溝を使用して行われ、無限ストロークタイプの直動装置はローラーチェーン(8)、(7)とガイドシート(10)、(6)、(9)との組み合わせが好ましく、有限ストロークタイプの直動装置はクロスローラー(33)、(34)又はボールとガイドシート(31)との組み合わせが好ましく、全体のガイド・位置決め精度を確保する。構造を簡素化するために、ローラーチェーン(8)、(7)又はクロスローラー(33)、(34)又はボールの代わりに四角形又は菱形などの断面のガイドストリップを使用することもでき、複数の溝で方向付けを行う構造を使用するので、複数の硬質材料とコーティングのガイドストリップ又は軟質の高分子複合材のガイドストリップを組み合わせることで、耐摩耗性、ゼロギャップ及び低コスト化を実現できる。
【0010】
ガイド溝が直線の場合、ねじ軸(12)は、回転運動を発生することができず、対応する直線往復運動のみを発生することができる。ガイド溝は、ねじ軸が対応する軸方向運動及び径方向回転を同時に発生するように、用途に応じて螺旋状又は波状などの形状に設計可能である。
【0011】
ブッシュ(15)とヘリサート(4)、エンドカバー(11)とガイドシート(10)を一体化することで、部品点数を削減し、狭いスペースでの用途に適用できる。
【0012】
ガイドシートは前側又は後側又は両側に配置され、他のコンポーネントとフランジ接続又は螺合などで固定される。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、構造がコンパクトであり、中空ねじ軸は電線、液体、気体などが通過して空間を効率的に利用することができ、ブッシュ、ヘリサート、ねじ軸の組み合わせは、ねじギャップをなくすことができ、加工やギャップの調整が容易であり、ガイド・位置決めの精度が高く、摺動部品と転動部品のメンテナンスや交換が容易であり、長寿命で低コストであり、異なる材質やコーティングで組み合わせることで、小スペース、高推力、高精度、低コストの様々な用途に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態による無限ストロークタイプの電動式直動装置の断面図である。
図2】本発明の別の実施形態による有限ストロークタイプの電動式直動装置の断面図である。
図2a図2の有限ストロークタイプの電動式直動装置のねじ軸の斜視図である。
図3】本発明の他の実施形態による無限ストロークタイプの電動式直動装置(両端のガイドシートに防塵カバーが付いている)の断面図である。
図4】本発明の電動式直動装置のねじ軸、ヘリサート、ブッシュの組み合わせ(ローラーによるガイド)でねじギャップをなくす構造の立体断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。
【0016】
本発明の一実施形態は:
【0017】
図1に示すように、無限ストロークタイプの電動式直動装置は、永久磁石同期サーボモータ(1)、(2)、(3)、(11)、(14)、深溝玉軸受(5)、クロスローラー軸受(18)、ロックナット(16)、ブッシュ(15)、ヘリサート(4)、ねじ軸(12)、ローラーチェーン(8)、(7)及びガイドシート(10)、(6)、(9)を備えることを特徴とする。
【0018】
永久磁石同期サーボモータは、永久磁石(3)と組み合わせられたブッシュ(15)及びヘリサート(4)の組み合わせが回転運動を発生するように直接駆動する。
【0019】
両端のクロスローラー軸受(18)と深溝玉軸受(5)との組み合わせは、ブッシュ(15)が回転運動をするように支持するとともに軸方向反力を受ける。
【0020】
ブッシュ(15)とヘリサート(4)との組み合わせは、モータの駆動により同期して回転し、台形ねじの伝達によってねじ軸(12)を駆動する。材質及びコーティングの異なるブッシュ(15)、ヘリサート(4)、ねじ軸(12)の組み合わせを選択することができる。
【0021】
ローラーチェーン(8)、(7)とガイドシート(10)、(6)、(9)を組み合わせた2本のガイド溝を用いて方向付けを行う。
【0022】
ガイド溝が直線であり、ねじ軸(12)は、回転運動を発生することができず、対応する直線往復運動のみを発生することができ、軸方向推力を出力する。
【0023】
本発明の別の一実施形態は:
【0024】
図2に示すように、有限ストロークタイプの電動式直動装置は、モータ(21)、モータサポート(22)、歯車(23)、(24)、連結プレート(27)、アンギュラ玉軸受(28)、(29)、ロックナット(26)、ブッシュ(25)、ヘリサート(30)、ねじ軸(32)、クロスローラー(33)、クロスローラーホルダ(34)、スナップリング(35)及びガイドシート(31)を備えることを特徴とする。
【0025】
モータは、歯車(23)、(24)の伝達によって、ブッシュ(25)及びヘリサート(30)の組み合わせが回転運動を発生するように駆動する。
【0026】
両端のアンギュラ玉軸受(28)、(29)の組み合わせは、ブッシュ(25)が回転運動をするように支持するとともに軸方向反力を受ける。
【0027】
ブッシュ(25)とヘリサート(30)の組み合わせは、モータ(21)の駆動により同期して回転してねじ軸(32)を駆動する。ヘリサート(30)はリン青銅製の細目のタングレスヘリサートを使用する。
【0028】
クロスローラー(33)、クロスローラーホルダ(34)及びガイドシート(31)を組み合わせた4本のガイド溝を用いて方向付けを行う。
【0029】
図2aに示すように、有限ストロークタイプの電動式直動装置のねじ軸(32)は前部にガイド溝、後部にねじ部が設けられ、ガイド溝の形状aがV字状である。
【0030】
ガイド溝が直線であり、ねじ軸(32)は、回転運動を発生することができず、対応する直線往復運動のみを発生することができ、軸方向推力を出力する。
【0031】
本発明の他の一実施形態は:
【0032】
図3に示すように、無限ストロークタイプの電動式直動装置(両端のガイドシートに防塵カバーが付いている)は、ステッピングモータ(47)、(48)、(59)、(63)、(64)、(65)、深溝玉軸受(46)、クロスローラー軸受(50)、ロックナット(67)、ブッシュ(61)、ヘリサート(49)、ねじ軸(57)、ローラーチェーン(43)、(44)、(53)、(54)、ガイドシート(68)、(42)、(45)、(58)、(52)、(55)及び防塵カバー(41)、(56)を備えることを特徴とする。
【0033】
ステッピングモータは、ローター(47)と組み合わせられたブッシュ(61)及びヘリサート(49)の組み合わせが回転運動を発生するように直接駆動する。
【0034】
両端のクロスローラー軸受(50)と深溝玉軸受(46)との組み合わせは、ブッシュ(61)が回転運動をするように支持するとともに軸方向反力を受ける。
【0035】
ブッシュ(61)とヘリサート(49)との組み合わせは、ステッピングモータのローター(47)により同期して回転し、細目ねじの伝達によってねじ軸(57)を駆動する。材質及びコーティングの異なるブッシュ(61)、ヘリサート(49)、ねじ軸(57)の組み合わせを選択することができる。
【0036】
ローラーチェーン(43)、(44)、(53)、(54)とガイドシート(68)、(42)、(45)、(58)、(52)、(55)を組み合わせた両端の2本ずつのガイド溝を用いて方向付けを行う。
【0037】
ガイド溝が直線であり、ねじ軸(57)は、回転運動を発生することができず、対応する直線往復運動のみを発生することができ、軸方向推力を出力する。
【0038】
図4に示すように、2つのヘリサート(74)、(76)の構造を採用し、cで示された波状の設計によりブッシュの弾性変形でねじギャップをなくすことができる。単一のヘリサート(74)の場合は、複数の止めねじ(72)で対応するワッシャー(71)に内側への力を付与することで、ねじ軸(75)の中心位置を調整し、ねじギャップをなくすことができる。
【0039】
以上は本発明の好ましい実施形態にすぎず、保護範囲を限定するものではなく、本発明の技術的本質に基づいて創造的な労働なしに行われたすべての追加、変更、削除、及び修正は、いずれも本発明の技術的手段の保護範囲に属する。
【符号の説明】
【0040】
1.コイル、2.ステーター、3.永久磁石、4.ヘリサート、5.深溝玉軸受、6.ローラー止め輪、7.ローラーホルダ、8.ローラー、9.ローラー止め輪、10.ローラーガイドシート、11.前側エンドカバー、12.ねじ軸、13.ローラー軸受押さえ板、14.後側エンドカバー、15.ブッシュコア、16.ロックナット、17.ボビンオイルシール、18.クロスローラー軸受、19.フラットヘッドボルト
【0041】
21.モータ、22.モータサポート、23.小歯車、24.大歯車、25.ブッシュ、26.ロックナット、27.連結プレート、28.アンギュラ玉軸受、29.アンギュラ玉軸受、30.ヘリサート、31.ガイドシート、32.ねじ軸、33.クロスローラー、34.クロスローラーホルダ、35.スナップリング、
【0042】
41.防塵カバー、42.ローラー止め輪、43.ローラー、44.ローラーホルダ、45.ローラー止め輪、46.深溝玉軸受、47.ローター、48.ステーター、49.ヘリサート、50.クロスローラー軸受、51.軸受止め輪、52.ローラー止め輪、53.ローラー、54.ローラーホルダ、55.ローラー止め輪、56.防塵カバー、57.ねじ軸、58.ローラーガイドシート、59.前側エンドカバー、60.軸受止め輪、61.ブッシュ、62.軸受止め輪、63.コイルボビン、64.コイル、65.後側エンドカバー、66.ボビンオイルシール、67.ロックナット、68.ローラーガイドシート、
【0043】
71.ワッシャー、72.止めねじ、73.ブッシュ、74.ヘリサート、75.ねじ軸、76.ヘリサート。


図1
図2
図2a
図3
図4