(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-12
(45)【発行日】2024-09-24
(54)【発明の名称】縦型半導体素子およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 29/06 20060101AFI20240913BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20240913BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20240913BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
H01L29/78 652P
H01L29/78 652T
H01L29/78 653A
H01L29/06 301V
H01L29/06 301G
H01L29/78 658E
H01L29/78 658G
H01L29/78 658A
(21)【出願番号】P 2023528993
(86)(22)【出願日】2021-11-17
(86)【国際出願番号】 EP2021081968
(87)【国際公開番号】W WO2022106458
(87)【国際公開日】2022-05-27
【審査請求日】2023-05-30
(31)【優先権主張番号】102020214398.6
(32)【優先日】2020-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】マルティネス-リミア,アルベルト
(72)【発明者】
【氏名】クレープス,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】シュバイガー,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ファイラー,ボルフガング
【審査官】恩田 和彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-170807(JP,A)
【文献】特開2016-225455(JP,A)
【文献】特開2012-004312(JP,A)
【文献】国際公開第2013/132568(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/104264(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/06
H01L 29/12
H01L 29/78
H01L 21/336
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の導電型を備えたドリフト領域(21)と、
前記ドリフト領域(21)上または上方のトレンチ構造と、
前記ドリフト領域(21)上または上方の前記トレンチ構造の少なくとも1つの側壁に横方向に隣接して配置された遮蔽構造(23)であって、前記遮蔽構造(23)は、前記第1の導電型とは異なる第2の導電型を有し、
前記遮蔽構造(23)は、前記遮蔽構造(23)が第1の厚さを有する第1の領域(23.1)と、前記第1の厚さよりも小さい第2の厚さを有する第2の領域(23.2)と、を少なくとも有するように、遮蔽構造トレンチ構造(23.3)の少なくとも一部を有するものと、
前記ドリフト領域(21)上もしくは上方のエッジ終端構造(215)であって、前記エッジ終端構造(215)は前記第2の導電型を有し、
前記遮蔽構造(23)は第1のドーピングレベルを有し、前記エッジ終端構造(215)は前記第1のドーピングレベルとは異なる第2のドーピングレベルを有し、
前記エッジ終端構造(215)は、少なくとも前記遮蔽構造(23)の前記第2の領域(23.2)で、前記ドリフト領域(21)と、前記遮蔽構造(23)との間に配置されているものと、
を有する、縦型半導体素子(200)
において、
ソース/ドレイン電極(212)と、誘電体構造(210)と、をさらに有し、前記ソース/ドレイン電極(212)は、前記エッジ終端構造(215)上方に配置され、前記誘電体構造(210)は、前記エッジ終端構造(215)と、前記ソース/ドレイン電極(212)との間に配置され、
前記遮蔽構造(23)は、前記ソース/ドレイン電極(212)から電気的に絶縁されている、
縦型半導体素子(200)。
【請求項2】
前記ドリフト領域(21)はn導電型であり、前記遮蔽構造(23)は少なくとも1つのp導電型領域を有する、請求項
1に記載の縦型半導体素子(200)。
【請求項3】
前記エッジ終端構造(215)は、前記遮蔽構造(23)の前記第2の領域(23.2)に横方向に接触する、請求項1
または2に記載の縦型半導体素子(200)。
【請求項4】
少なくとも1つの第2の遮蔽構造(823.1、823.2、823.3)をさらに有し、前記少なくとも1つの第2の遮蔽構造(823.1、823.2、823.3)は、前記遮蔽構造(23)と前記トレンチ構造の側壁との間に横方向に配置されており、前記第2の遮蔽構造(823.1、823.2、823.3)は、前記第2の導電型と、第3のドーピングレベルとを有する、請求項1~
3のいずれか一項に記載の縦型半導体素子(200)。
【請求項5】
前記エッジ終端構造(215)は、前記遮蔽構造(23)を前記ドリフト領域(21)から分離させる、請求項1~
4のいずれか一項に記載の縦型半導体素子(200)。
【請求項6】
第3の遮蔽構造(923)であって、前記遮蔽構造(23)は、前記第3の遮蔽構造(923)と、前記トレンチ構造の側壁との間に横方向に配置され、前記第3の遮蔽構造(923)は、前記第2の導電型と、第4のドーピングレベルと、を有し、前記第3の遮蔽構造(923)は、第3の厚さを有する第3の領域(923.1)と、前記第3の厚さよりも小さい第4の厚さを有する第4の領域(923.2)と、を少なくとも有するものと、
前記ドリフト領域(21)上または上方の第2のエッジ終端構造(215.2)であって、前記第2のエッジ終端構造(215.2)は、前記第2の導電型と、前記第4のドーピングレベルとは異なる第5のドーピングレベルと、を有し、
前記第2のエッジ終端構造(215.2)は、少なくとも前記第3の遮蔽構造(923)の前記第4の領域で、前記ドリフト領域(21)と、前記第3の遮蔽構造(923)と、の間に配置されているものと、をさらに有する、請求項1~
5のいずれか一項に記載の縦型半導体素子(200)。
【請求項7】
前記ドリフト領域(21)上または上方のチャネルストッパ(214)と、さらなるエッジ終端構造(215.3)と、をさらに有し、前記さらなるエッジ終端構造(215.3)は、前記遮蔽構造(23)と、前記チャネルストッパ(214)との間に配置されている、請求項1~
6のいずれか一項に記載の縦型半導体素子(200)。
【請求項8】
第1の導電型を備えたドリフト領域(21)を形成するステップ(2008)と、
前記ドリフト領域(21)上または上方にトレンチ構造を形成するステップ(2010)と、
前記ドリフト領域(21)上または上方に前記トレンチ構造の少なくとも1つの側壁に横方向に隣接して配置された遮蔽構造(23)を形成するステップ(2020)であって、前記遮蔽構造(23)は、前記第1の導電型とは異なる第2の導電型を有し、前記遮蔽構造(23)は、前記遮蔽構造(23)が第1の厚さを有する第1の領域(23.1)と、前記第1の厚さよりも小さい第2の厚さを有する第2の領域(23.2)と、を少なくとも有するように、遮蔽構造トレンチ構造(23.3)の少なくとも一部を有するステップと、
前記ドリフト領域(21)上または上方にエッジ終端構造(215)を形成するステップ(2030)であって、前記エッジ終端構造(215)は前記第2の導電型を有し、前記遮蔽構造(23)は第1のドーピングレベルを有し、前記エッジ終端構造(215)は前記第1のドーピングレベルとは異なる第2のドーピングレベルを有し、前記エッジ終端構造(215)は、少なくとも前記遮蔽構造(23)の前記第2の領域で、前記ドリフト領域(21)と、前記遮蔽構造(23)との間に配置されているステップと、
を有する、縦型半導体素子の製造方法(2000)
において、
ソース/ドレイン電極(212)と、誘電体構造(210)とを形成するステップであって、前記ソース/ドレイン電極(212)は、前記エッジ終端構造(215)上方に配置され、前記誘電体構造(210)は、前記エッジ終端構造(215)と、前記ソース/ドレイン電極(212)との間に配置されているステップをさらに有し、
前記遮蔽構造(23)は、前記ソース/ドレイン電極(212)から電気的に絶縁されている、
縦型半導体素子の製造方法(2000)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
縦型半導体素子およびその製造方法が提供される。
【背景技術】
【0002】
従来のトランジスタ(例えばMOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)やMISFET(metal insulator semiconductor field-effect transistor))では、例えば、ゲート電圧の印加により電子経路が形成されるnpn接合部のp領域などの反転チャネルによって、アクティブに切り換え可能な素子が提供される。ワイドバンドギャップ半導体(例えば炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN))をパワーエレクトロニクスに適用する場合、トレンチゲートを有するいわゆる垂直パワーMOSFETの使用が有利である場合がある。そのようなパワーMOSFET100の一例が、
図1に概略的に示されている。
【0003】
パワーMOSFET100は、実質的に活性領域110とエッジ終端120とからなる。示されたパワーMOSFET100では、nドープドリフト領域1が、nドープ半導体基板2上に配置されている。任意に、半導体基板2とドリフト領域1との間に、nドープnバッファ領域4が配置されていることがある。
【0004】
活性領域110には、ソース電極12、ドレイン電極13、およびゲート電極11が配置されている。活性領域110では、パワーMOSFET100は、高濃度pドープ(p+)領域3と、nドープ分布領域8(拡散領域とも称される)と、pドープチャネル領域5と、nドープソース領域6と、誘電体(例えば、中間酸化物)10と、ゲート溝18(ゲートトレンチとも称される)と、ゲート酸化物9と、をさらに有する。
【0005】
エッジ終端120において、パワーMOSFET100は、pドープエッジ終端構造15を有する。高濃度nドープ(n+)チャネルストッパ7(チャネルストッパとも称される)および/またはチャネルストップ金属14(チャネルストップ金属とも称される)がさらに設けられていてもよい。
【0006】
活性領域110は、一般的に、電流の流れ(例えば、順方向の場合は高電流、逆方向の場合は低逆電流のみ)を制御するために用いられ、並列接続された多数の同一セルから構成される場合が多い。このようなパワーMOSFET100の遮断能力は、基本的に、高電界強度の結果として高電圧で生じるアバランシェ効果によって、上方制限される。活性領域110、および、例えばゲートパッドなどのその他の領域は、垂直方向の高い逆電圧のみを吸収することができる。比較的小さいフィレット半径を有する平面状のpn接合部が関与している結果、それらの周辺部では電圧が増加するとともに、高電界が形成されている。このような高電界は、既にこれらの領域の垂直方向の遮断能力の数分の一で、アバランシェを引き起こす可能性がある。
【0007】
したがって、逆電流が小さい場合に数ボルト(V)~数kVの高い逆電圧BVdsを吸収するために、パワーMOSFET100はエッジ終端120を必要とする。エッジ終端120は、パワーMOSFET100の活性領域110の構成要素を横方向に囲み、電圧が大きい場合でも上記電界を低減する。高いアバランシェ耐量を達成するために、エッジ終端120における降伏は、理想的には、パワーMOSFET100の活性領域110の他の領域の降伏電圧を超えた場合に起こる。
【0008】
炭化ケイ素(SiC)を基にしたパワーMOSFET100は、シリコン(Si)MOSFETに比べて、約1桁大きい降伏電界強度を有するという利点を有する。これにより、SiCパワーMOSFET100では、同等の遮断能力で、より小さい厚さの高濃度ドープドリフト領域1が可能になる。これは、特定用途における順方向の場合のパワーMOSFETの抵抗(R
on)に対して有利である。高電界は、
図1に示されたパワーMOSFET100の特に「上部」領域で発生する。ゲート酸化物9を有するMOS(metal-oxide semiconductor)制御ヘッドは、活性領域110の上部領域に配置されている。ゲート酸化物9が例えば3MV/cmを超える高電界に晒されて信頼性が低下しないようにするために、パワーMOSFET100の端部領域120には、通常、1μmを超える深度のp+領域3が設けられている。
【0009】
SiCにおけるドーパントの拡散係数は非常に小さいため、シリコンで使用可能な拡散を利用してドーパントを深部に供給することなく、ドープされる領域を注入によって作成する必要がある。そのためには、ドーピングプロファイルごとに異なるエネルギーとドーズ量で、基本的に複数の注入を行う必要がある。深い領域に対しては、1MeVを超える非常に高い注入エネルギーが必要である。その後、温度ステップによってドーパントの活性化が行われる。深いp+領域は、MOS制御ヘッドの領域で順方向の場合における垂直電流の流れを制限する。電流が制限されているにもかかわらず、順方向の場合におけるMOSFET100の低抵抗Ronを達成するために、任意に、ドリフト領域1よりも高濃度ドープされたn拡散領域8を、例えば注入によってp+領域間に導入してもよい。
【0010】
従来、エッジ終端120に対して、エッジ終端構造15によって、いわゆるJunction Termination Extension(JTE)(「空乏層終端拡張」)が形成されている。JTE領域pRand15は、p+領域3の横方向端部において、nドリフト領域1を有するp+領域3の保護対象のpn接合よりも浅くない(深度が小さくない)。これにより、等価な一次元pn接合の降伏電圧の範囲で、エッジ終端120の高い遮断能力が達成される。このために、使用される半導体材料の有効破壊電荷量の範囲にあるエッジ終端構造15の有効総ドーズ量が必要となる。したがって、総ドーズ量は保護対象のp+領域3のドーズ量を大幅に下回る。降伏電圧は、エッジ終端構造15の有効総ドーズ量からの偏差、および半導体/酸化物界面、または酸化物10の上方に位置するパッシベーション(図示せず)における表面電荷に対して、ある程度の耐性しかない。ドーズ量偏差に対する降伏電圧の感度は、ドリフト領域1のドーピングが増加するにつれて増加する。これは、電圧クラス1200V以下のSiC素子で典型的であるように、1015cm-3を大幅に上回るドーパントについて特に当てはまる。
【0011】
注入による深いp+領域3およびエッジ終端構造15の形成には、高い注入エネルギーが必要である。しかし、エッジ終端構造15は、少なくともp+領域3と同じ深度であるか、好ましくはより深いことが望ましい。しかし、そのドーズ量が小さいため、エッジ終端構造15は同じ最大注入エネルギーではp+領域3よりも浅いため、p+領域3よりもさらに高い注入エネルギーでエッジ終端構造15を形成する必要がある。p+領域3には既に非常に高い最大注入エネルギーが使用されているため、エッジ終端構造15を形成するためにはより高い注入エネルギーが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題は、少なくともドープ半導体領域の横方向端部におけるエッジ終端構造が、ドープ半導体領域の保護対象のpn接合よりもそれほど浅くない縦型半導体素子を提供することである。エッジ終端構造には、ドープ半導体領域よりも高い注入エネルギーを必要とするべきでない。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本課題は、発明の一態様によれば、第1の導電型を備えたドリフト領域と、ドリフト領域上もしくは上方またはその上部に配置されたトレンチ構造と、ドリフト領域上もしくは上方またはその上部のトレンチ構造の少なくとも1つの側壁に横方向に隣接して配置された遮蔽構造であって、遮蔽構造は、第1の導電型とは異なる第2の導電型を有し、遮蔽構造は、遮蔽構造が第1の厚さを有する第1の領域と、第1の厚さよりも小さい第2の厚さを有する第2の領域と、を少なくとも有するように、遮蔽構造トレンチ構造の少なくとも一部を有するものと、ドリフト領域上もしくは上方またはその上部に配置されたエッジ終端構造であって、エッジ終端構造は第2の導電型を有し、遮蔽構造は第1のドーピングレベルを有し、エッジ終端構造は第1のドーピングレベルとは異なる第2のドーピングレベルを有し、エッジ終端構造は、少なくとも遮蔽構造の第2の領域で、ドリフト領域と、遮蔽構造との間に配置されているものと、を有する縦型半導体素子によって解決される。
【0014】
本半導体素子は、パワーエレクトロニクス用途に使用することができる。これらには、例えば、自動車用インバータ(電気自動車またはハイブリッド車)が含まれる。非自動車分野では、例えば太陽光発電または風力発電インバータ(再生可能エネルギー生成)、列車駆動装置、または高電圧整流器における高電圧直流伝送(HVDC)など、複数の用途が可能である。
【0015】
本課題は、本発明のさらなる態様によれば、縦型半導体素子の製造方法によって解決される。半導体素子は、前述したように配置されている。本方法は、第1の導電型を備えたドリフト領域を形成するステップと、ドリフト領域上もしくは上方またはその上部にトレンチ構造を形成するステップと、ドリフト領域上もしくは上方またはその上部にトレンチ構造の少なくとも1つの側壁に横方向に隣接して配置された遮蔽構造を形成するステップであって、遮蔽構造は、第1の導電型とは異なる第2の導電型を有し、遮蔽構造は、遮蔽構造が第1の厚さを有する第1の領域と、第1の厚さよりも小さい第2の厚さを有する第2の領域と、を少なくとも有するように、遮蔽構造トレンチ構造の少なくとも一部を有するステップと、ドリフト領域上もしくは上方またはその上部にエッジ終端構造を形成するステップであって、エッジ終端構造は第2の導電型を有し、遮蔽構造は第1のドーピングレベルを有し、エッジ終端構造は第1のドーピングレベルとは異なる第2のドーピングレベルを有し、エッジ終端構造は、少なくとも遮蔽構造の第2の領域で、ドリフト領域と、遮蔽構造との間に配置されているステップと、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本態様の改善形態は、引用形式請求項および明細書に記載されている。本発明の実施形態が図示され、以下に詳述される。
【
図2】様々な実施形態に係る縦型半導体素子の概略図である。
【
図3】様々な実施形態に係る縦型半導体素子の概略図である。
【
図4】様々な実施形態に係る縦型半導体素子の概略図である。
【
図5】様々な実施形態に係る縦型半導体素子の概略図である。
【
図6】様々な実施形態に係る縦型半導体素子の概略図である。
【
図7】様々な実施形態に係る縦型半導体素子の概略図である。
【
図8】様々な実施形態に係る縦型半導体素子の概略図である。
【
図9】様々な実施形態に係る縦型半導体素子の概略図である。
【
図10】様々な実施形態に係る縦型半導体素子の概略図である。
【
図11】様々な実施形態に係る縦型半導体素子の概略図である。
【
図12】様々な実施形態に係る縦型半導体素子の概略図である。
【
図13】様々な実施形態に係る縦型半導体素子の概略図である。
【
図14】様々な実施形態に係る縦型半導体素子の概略図である。
【
図15】様々な実施形態に係る縦型半導体素子の概略図である。
【
図16】様々な実施形態に係る縦型半導体素子の概略図である。
【
図17】様々な実施形態に係る縦型半導体素子の概略図である。
【
図18】様々な実施形態に係る縦型半導体素子の概略図である。
【
図19】様々な実施形態に係る縦型半導体素子の概略図である。
【
図20】様々な実施形態に係る縦型半導体素子の製造方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の詳細な説明では、本明細書の一部を構成し、本発明を実施することができる特定の実施例が説明のために示されている、添付の図面を参照する。本発明の保護範囲から逸脱することなく、他の実施例を使用してもよく、構造的または論理的な変更を行ってもよいことは自明である。特に別段の指示がない限り、本明細書に記載された様々な実施例の特徴を互いに組み合わせてもよいことは自明である。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきものではなく、本発明の保護範囲は、添付の請求項によって定義される。図において、同一または類似の要素には、適切である限り、同一の参照符号を付している。
【0018】
図2~
図19は、様々な実施形態に係る縦型半導体素子200の概略図である。縦型半導体素子200は、例えば、nチャネルSiCトレンチMOSFETである。縦型半導体素子200は、
図1に示された活性領域110と類似して配置された活性領域110を有する。しかしながら、縦型半導体素子200は、
図1に示された半導体素子100とは異なり他のエッジ終端220を有し、エッジ終端220の異なる実施形態が
図2~
図19に示されている。
【0019】
様々な実施形態において、縦型半導体素子200は、半導体基板22(
図1の活性領域110では半導体基板2と称される)上にドリフト領域21(
図1の活性領域110ではドリフト領域1と称される)を有する。半導体基板22は、例えば、GaN基板やSiC基板であってもよい。半導体基板22上には、弱n導電型半導体ドリフト領域21(ドリフトゾーン21とも称される)が形成(例えば、堆積)されていてもよく、例えば、GaNまたはSiCドリフト領域である。ドリフト領域21の上方またはその上部には、活性領域110にトレンチ構造が形成されてもよい。したがって、トレンチ構造(その長手方向が図の記載面に対して垂直に延伸する)は、ドリフト領域21上または上方に形成されてもよい。
【0020】
縦型半導体素子200は、第1のソース/ドレイン電極(例えば、ソース電極)212と、第2のソース/ドレイン電極(例えば、ドレイン電極)213(
図1の活性領域110では、それぞれ電極12、13と称される)と、をさらに有する。以下では、第1のソース/ドレイン電極212がソース電極であり、第2のソース/ドレイン電極213がドレイン電極であると例示的に仮定する。ソース電極およびドレイン電極は、隣接する半導体とオーミック接触している。
【0021】
縦型半導体素子200は、トレンチ構造(トレンチゲートとも称される)に、
図1に示されたゲート電極11をさらに有する。ゲート電極11は、例えばポリシリコン(poly-Si)またはゲート金属であり、絶縁体9(
図1参照)、例えばゲート酸化物および/または誘電体(例えば中間酸化物)210によってソース電極12、212から電気的に絶縁されている。
図1において、この誘電体は参照符号10が付されている。
【0022】
nドープ分布領域8(拡散領域とも称される)、pドープチャネル領域5およびnドープソース領域6は、
図1に示されるように、ソース電極12、212とドリフト領域1、21との間に、ゲート電極11に横方向に隣接して配置され、ゲート酸化物9がそれらをゲート電極11から分離している。
【0023】
様々な実施形態において、ソース電極212は、nドープソース領域6に電気的に接触してもよい。ドレイン電極213は、半導体基板22の裏面にあってもよい。
遮蔽構造23は、様々な実施形態において、トレンチ構造またはゲート電極11の側壁に横方向に隣接して形成されている。遮蔽構造23は、活性領域110とエッジ終端220との間の接合領域に配置されている。様々な実施形態において、ソース電極212は、遮蔽構造23に接触することができる。
【0024】
遮蔽構造23に横方向に隣接して、および/または遮蔽構造23とドリフト領域21との間(例えば、ドリフト領域21の上部)において、半導体素子200のエッジ終端220にエッジ終端構造215が形成されている。
【0025】
遮蔽構造23とドリフト領域21との間のpn接合、およびエッジ終端構造215とドリフト領域21との間のpn接合において、空間電荷ゾーン217が形成されてもよく、空間電荷ゾーン217は典型的なドーピング比によって、逆電圧が増加するにつれて主にドリフト領域21およびエッジ終端構造215に延伸する場合がある。エッジ終端構造215を導入することにより、遮蔽構造を有さない変形例(
図1)と比較して、遮蔽構造23の周辺部における電界強度の増加は逆電圧下で減少する。これにより、例えば、半導体素子200の早期の電気的降伏が防止される。エッジ終端構造215は、電界分布に変化をもたらす。
【0026】
エッジ終端構造215の注入前に生成され、遮蔽構造23の横方向端部の領域に配置された遮蔽構造トレンチ構造23.3の結果として、エッジ終端構造215は、(p+遮蔽構造23の形成よりも)高い最大注入エネルギーを使用しないにもかかわらず、横方向領域において、遮蔽構造23よりも(半導体基板22の方向に)それほど浅くなく、任意には深い。この基準は、遮蔽構造トレンチ構造23.3の最小幅、位置、および最小深度に影響し得る。遮蔽構造トレンチ構造23.3の最大幅は、遮蔽構造トレンチ構造23.3が遮蔽構造23内にあるように選択してよい。
【0027】
ソース電極212を基準電位に置いた場合、ドレイン金属213が正電位にあるときに逆方向となる場合がある。これにより、空間電荷ゾーン217がドリフト領域21に形成される場合があり、空間電荷ゾーン217は、例えばドーピング濃度比がドーピングレベル(ドリフト領域21)<<ドーピングレベル(エッジ終端構造215)<<ドーピングレベル(遮蔽構造23)であるため、ドリフト領域21およびエッジ終端構造215に実質的に延伸する場合がある。しかしながら、空間電荷ゾーン217は、遮蔽構造23内へわずかしか延伸しない。エッジ終端構造215が遮蔽構造23よりもそれほど浅くなく、好ましくは深い場合、遮蔽構造23のフィレット領域における電界強度は、エッジ終端構造215がない場合、または遮蔽構造23よりもそれほど浅いエッジ終端構造215の場合と比べて低下し、アバランシェ降伏電圧は増加する。エッジ終端構造215のフィレットは、エッジ終端構造215が遮蔽構造23よりも低いドーピングレベルを有する場合、遮蔽構造23のフィレットよりも降伏に関して重要でない場合がある。
【0028】
エッジ終端構造215のドーピングレベルは、遮蔽構造23のフィレットにおける降伏が、同じくフィレットを有するチャネルストッパ27に面したエッジ終端構造215の端部と同じ圧力で生じるように選択されてもよい。
【0029】
エッジ終端構造215は、空間電荷ゾーン217に完全に含まれていてもよい。
エッジ終端構造215が遮蔽構造23よりもそれほど浅くないが、それほど深くもない場合、
図3に示されるように、エッジ終端構造215が完全に空乏化していない場合(領域315)、前述の2つの点での降伏電圧が等しいという最適条件が生じる場合がある。
【0030】
この状況は、遮蔽構造トレンチ構造23.3または第2の領域23.2の関連において、エッジ終端構造215に配置された遮蔽構造23のコーナー(包囲または包含されたコーナーとも称される)を、高電界から保護することを可能にし得る。様々な実施形態において、ソース電極212上の任意のフィールドプレート212.1の使用によってこれをさらに補助してもよい。
【0031】
一実施形態では、
図4に示されるように、チャネルストッパ27に向いた遮蔽構造トレンチ構造23.3の下側コーナーは、依然として遮蔽構造23内に配置されてもよく、(この場合、遮蔽構造トレンチ構造23.3は、例えば、U字形状(U字形状の曲率半径によって矩形となる場合もある)、V字形状またはW字形状を有する)、これにより、遮蔽構造トレンチ構造23.3または底部216は、逆方向の場合において高電界から保護される。
【0032】
遮蔽構造トレンチ構造23.3は、説明された実施形態に限定されるものではなく、他の設計構成に使用されてもよい。フィールドプレート212.1は、それぞれ任意であってもよい。エッジ終端構造215および/または第2のエッジ終端構造215.1は、いわゆる空乏層終端拡張(JTE)領域であってもよい。
【0033】
図8は、遮蔽構造トレンチ構造23.3を第2の遮蔽構造(例えばフィールドリング)823.1(活性領域への接合部において、
図1では遮蔽構造3として図示)、823.2、823.3と組み合わせた使用を示すが、その数は3つに限定されない。ここで、遮蔽構造23は、遮蔽構造823.1、823.2、823.3、23のうちチャネルストッパ27から最も小さい距離に位置するように配置されている。遮蔽構造トレンチ構造23.3は、ここでは、
図9に示されるように、完全に遮蔽構造23内に配置されてもよい。遮蔽構造23およびエッジ終端構造215は、
図8に示された実施形態ではフローティング(誘電体構造210によってフィールドプレート212.1から電気的に絶縁される)するように配置されており、エッジ終端構造215は少なくとも部分的に遮蔽構造23を取り囲む。
【0034】
一実施形態では、
図9に示されるように、複数のフローティング遮蔽構造23、923(遮蔽構造923は第3の遮蔽構造とも称される)も、第1および第2の領域または遮蔽構造トレンチ構造23.3と共に配置されてもよい。任意に、第2の遮蔽構造823.1、823.2、823.3もまた、遮蔽構造トレンチ構造23.3と共に配置されてもよい。図示の実施形態では、遮蔽構造トレンチ構造23.3を有する各遮蔽構造23、923には、遮蔽構造23、923を少なくとも部分的に取り囲む(例えばpエッジリングとしての)エッジ終端構造215.1、215.2が対応付けられている。それぞれの遮蔽構造トレンチ構造23.3は、ここでも、それぞれの遮蔽構造23、923の底面内に(例えばU字形状、V字形状、W字形状として)完全に配置されてもよく、または1つもしくは複数の端部に(例えばL字形状、鏡面L字形状、頭部を回転したL字形状(Γ字形状に類似)、T字形状、頭部を回転したT字形状に)配置されてもよい。
【0035】
一実施形態では、
図10に示されるように、複数のフローティング遮蔽構造23、923は、遮蔽構造トレンチ構造23.3を有してパターニングされてもよい。選択的に、第2の遮蔽構造823.1、823.2、823.3の全ても同様である。ここで、第2の領域23.2または遮蔽構造トレンチ構造23.3を有する各遮蔽構造23、923には、エッジ終端構造215.1、215.2が対応付けられていてもよく、エッジ終端構造215.1、215.2は、対応付けられた遮蔽構造23、923を少なくとも部分的に取り囲む。
図10に図示された実施形態では、少なくとも2つの隣接するエッジ終端構造215.1、215.2は、接触するか、移行するか、関連して、もしくは一体的に構成することができる。
【0036】
図11は、遮蔽構造トレンチ構造23.3が複数の遮蔽構造にわたって横方向に延伸する実施形態を示す。具体的に、遮蔽構造トレンチ構造23.3は、遮蔽構造23で開始し、第2の遮蔽構造823.2、823.3を越えて延伸し、チャネルストッパ27に最も近い第3の遮蔽構造923で終了する。エッジ終端構造215は、遮蔽構造23、823.2、823.3、923のうちの複数を共に取り囲む。
【0037】
図12および
図13は、
図11に示された実施形態に類似した実施形態を示し、1つ(
図13)または互いに分離した(
図12)複数のエッジ終端構造215が形成され、それぞれ遮蔽構造23、823.2、823.3、923の1つ(
図12)または複数(
図13)を少なくとも部分的に取り囲む。遮蔽構造の数は3つに限定されず、エッジ終端構造215の数は2つに限定されない。
【0038】
図14は、
図8に示された実施形態に類似した実施形態を示し、遮蔽構造23に対応付けられたエッジ終端構造215と、チャネルストッパ27との間に、例えば環状および/または同心状のさらなるエッジ終端構造215.3が形成されている。エッジ終端構造215は、少なくとも部分的に、または、例えば横方向および半導体基板22の方向に完全に遮蔽構造23を取り囲む。
【0039】
図15に示された実施形態では、フローティング遮蔽構造23、923のうちの複数は、遮蔽構造トレンチ構造23.3を有してパターニングされてもよく、選択的に、第2の遮蔽構造823.1、823.2のうちの一部または全ても同様である。ここで、遮蔽構造トレンチ構造23.3を有する各遮蔽構造23、923には、エッジ終端構造215.1、215.2が対応付けられており、エッジ終端構造215.1、215.2はそれぞれ遮蔽構造23、923を少なくとも部分的に取り囲む。それぞれの遮蔽構造トレンチ構造23.3は、それぞれの遮蔽構造23、923の中に完全に配置されてもよい。1つまたは複数のさらなるエッジ終端構造215.3は、チャネルストッパ27の前方に配置されてもよい。
【0040】
図16は、
図15に示された実施形態に類似した実施形態を示し、
図10、
図11および
図13に示された実施形態に類似して、遮蔽構造23、923が共通のエッジ終端構造215.1によって少なくとも部分的に取り囲まれている。
【0041】
図17は、
図11に示された実施形態に類似した実施形態を示し、
図14~
図16に示された実施形態に類似して、少なくとも1つのさらなるエッジ終端構造215.3がチャネルストッパ27の前方に形成されている。
【0042】
図18は、
図12に示された実施形態に類似した実施形態を示し、
図14~
図16に示された実施形態に類似して、少なくとも1つのさらなるエッジ終端構造215.3がチャネルストッパ27の前方に形成されている。
【0043】
図19は、
図13に示された実施形態に類似した実施形態を示し、
図14~
図16に示された実施形態に類似して、少なくとも1つのさらなるエッジ終端構造215.3がチャネルストッパ27の前方に形成されている。
【0044】
nチャネルSiCトレンチMOSFETを用いて説明したが、実施形態はこれに限定されず、他の深いp+領域を有するパワー素子に適用してもよい。例えば、nおよびpドーピングや電位の符号を入れ替えることによって、pチャネルSiCトレンチMOSFETや、例えばプレーナMOSFETに適用してもよい。また、半導体材料として、シリコンまたはGaNのような他のワイドバンドギャップ半導体を使用してもよい。
【0045】
様々な実施形態において、nドープドリフト領域21は、半導体素子200のエッジ終端220において、nドープ半導体基板22上に配置されている。任意に、nドープnバッファ領域24が、半導体基板22とドリフト領域21との間に配置されてもよい。また、エッジ終端220において、縦型半導体素子200はpドープエッジ終端構造215を有してもよい。また、エッジ終端220において、高濃度nドープ(n+)チャネルストッパ27(チャネルストッパとも称される)および/またはチャネルストップ金属214(チャネルストップ金属とも称される)が設けられていてもよい。換言すると、エッジ終端220は、エッジ終端構造215を有してもよく、遮蔽構造23およびチャネルストップ金属214の部分が両側面にあってもよい。
【0046】
様々な実施形態において、縦型半導体素子200は、第1の導電型を備えたドリフト領域21を有する。ドリフト領域21の上または上方の活性領域には、トレンチ構造が形成されている。ゲート電極11は、
図1に示され、上述したように、トレンチ構造内に形成されている。
【0047】
様々な実施形態において、ドリフト領域21はn導電型であり、遮蔽構造23は少なくとも1つのp導電型領域を有する。
遮蔽構造23は、ドリフト領域21上または上方のトレンチ構造の少なくとも1つの側壁に横方向に隣接して、例えばエッジ終端220および/または活性領域110内の、例えば活性領域110からエッジ終端220への接合領域に配置されている。遮蔽構造23は、第1の導電型とは異なる第2の導電型を有する。遮蔽構造23は、第1の厚さを有する第1の領域23.1と、第1の厚さよりも小さい第2の厚さを有する第2の領域23.2と、を少なくとも有する。
【0048】
構造体の厚さは、本明細書の範囲では、構造体製造時の主加工面に垂直な方向における構造体の空間的広がりとして理解される。具体的に、遮蔽構造23の厚さは、半導体基板22の表面に対向する側からソース電極212に対向する側へ向かう遮蔽構造23の寸法である。
【0049】
エッジ終端構造215は、ドリフト領域21上または上方に配置されている。エッジ終端構造215は、第2の導電型を有する。遮蔽構造23は、第1のドーピングレベルを有し、エッジ終端構造215は、第1のドーピングレベルとは異なる第2のドーピングレベルを有する。
【0050】
ドーピングレベルは、この明細書の範囲では、ドープ領域における1cm3あたりのドーパント原子の数として理解され、この技術分野で通常であるように、数に応じて、「--」、「-」、付加なし、「+」または「++」の付加によって、例えばn+ドープ領域(高濃度nドープ領域)、またはpドープ領域(低濃度pドープ領域)と示すことができる。
【0051】
エッジ終端構造215は、少なくとも、ドリフト領域21と遮蔽構造23との間の遮蔽構造23の第2の領域23.2に配置されている。「第2の領域に」という表現は、エッジ終端構造が、遮蔽構造23とドリフト領域21との間の遮蔽構造23の第2の領域23.2の下方および/または隣接して配置されているため、これらがエッジ終端構造215によって少なくとも局所的に互いに分離されていると理解することができる。これにより、pn接合が変位し、横方向の降伏強度が向上する。
【0052】
エッジ終端構造215は、遮蔽構造23の第2の領域23.2に横方向に接触してもよい。
縦型半導体素子200は、
図2に示されるように、ソース/ドレイン電極(例えばソース電極)212を有してもよく、遮蔽構造23は、ソース/ドレイン電極212に導電的に接続されてもよい。代替的に、遮蔽構造23は、
図8に示されるように、ソース/ドレイン電極212から電気的に分離されてもよい。
【0053】
様々な実施形態において、誘電体構造210は、遮蔽構造23の第1の領域23.1および第2の領域23.2上または上方に少なくとも部分的に配置されている。
様々な実施形態において、ソース/ドレイン電極212および誘電体構造210は、ドリフト領域21上または上方に形成されている。ソース/ドレイン電極212は、エッジ終端構造215上方に配置され、誘電体構造210は、エッジ終端構造215とソース/ドレイン電極212との間に配置されている。
【0054】
様々な実施形態において、遮蔽構造23はトレンチ構造23.3(遮蔽構造トレンチ構造とも称される)を有し、
図4に示されるように、第2の領域23.2は、トレンチ構造23.3の底部216に配置されてもよい。例えば、トレンチ構造23.3は、矩形形状、V字形状、W字形状、またはU字形状のうちの少なくとも1つを有する。
【0055】
具体的に、様々な実施形態によれば、半導体素子200はエッジ領域220において、エッジ終端構造215の注入前に、遮蔽構造23の横方向端部の領域に遮蔽構造トレンチ構造23.3を有する。エッジ終端構造215は、遮蔽構造23の注入エネルギーと比較して高い注入エネルギーを必要とすることなく形成することができる。
【0056】
エッジ終端構造215は、少なくとも遮蔽構造23の横方向端部において、p+ドープ遮蔽構造23およびnドリフト領域21のpn接合よりも(上面から見て)それほど浅くないように形成されてもよい。これにより、例えば、エッジ終端構造215の形成に、p+ドープ遮蔽構造23の形成に要するよりも高い注入エネルギーは不要とすることができる。したがって、エッジ終端構造215を生成するための労力を低減することができる。
【0057】
様々な実施形態において、少なくとも1つの第2の遮蔽構造823.1、823.2、823.3は、
図8に示されるように、遮蔽構造23とトレンチ構造の側壁との間に横方向に配置されている(
図8は例として3つの第2の遮蔽構造823.1、823.2、823.2を示す)。少なくとも1つの第2の遮蔽構造823.1、823.2、823.3は、例えば、第2の導電型と、第3のドーピングレベルとを有する。少なくとも1つの第2の遮蔽構造823.1、823.2、823.3は、一実施例では、例えば
図18に示されるように、第1の厚さを有する少なくとも1つの領域と、第1の厚さより小さい第2の厚さを有する別の領域と、を有する。
【0058】
エッジ終端構造215は、少なくとも部分的に、遮蔽構造23と、少なくとも1つの第2の遮蔽構造823.1、823.2、823.3との間に配置されてもよい。
様々な実施形態において、エッジ終端構造215は、遮蔽構造23がドリフト領域21から分離されるように構成されてもよい。様々な実施形態において、エッジ終端構造215は、遮蔽構造23および少なくとも1つの第2の遮蔽構造823.1、823.2、823.3が、ドリフト領域21から分離されるように配置されてもよい。
【0059】
遮蔽構造23の第2の領域23.2は、
図2に示されるように、トレンチ構造の側壁からより大きい距離で配置されている遮蔽構造23の側に配置されてもよい。代替的に、遮蔽構造23の第2の領域23.2は、トレンチ構造の側壁からより少ない距離で配置されている遮蔽構造23の側に配置されている。
【0060】
様々な実施形態において、第3の遮蔽構造923および第2のエッジ終端構造215.2は、例えば
図10および
図12に示されるように、ドリフト領域21上または上方に形成されてもよい。遮蔽構造23は、第3の遮蔽構造923と、トレンチ構造の側壁との間に横方向に配置されている。第3の遮蔽構造923は、第2の導電型と、第4のドーピングレベルと、を有する。第3の遮蔽構造923は、第3の厚さを有する第3の領域23.1と、第3の厚さよりも小さい第4の厚さを有する第4の領域23.2と、を少なくとも有する。第2のエッジ終端構造215.2は、第2の導電型と、第4のドーピングレベルとは異なる第5のドーピングレベルと、を有する。第2のエッジ終端構造215.2は、少なくとも第3の遮蔽構造923の第4の領域で、ドリフト領域21と、第3の遮蔽構造923との間に配置されている。エッジ終端構造215は、遮蔽構造23および第3の遮蔽構造923をドリフト領域21から分離するように配置されてもよい。少なくとも1つの第2の遮蔽構造823.1、823.2は、遮蔽構造23と、第3の遮蔽構造923との間に横方向に配置されてもよい。
【0061】
様々な実施形態において、チャネルストッパ214(チャネルストップ構造)は、ドリフト領域21上または上方に形成されている。遮蔽構造23は、トレンチ構造の側壁と、チャネルストッパ214との間に配置されてもよい。遮蔽構造23の第2の領域23.2は、チャネルストッパ214からより大きい距離で配置されている遮蔽構造23の側に配置されてもよい。
【0062】
様々な実施形態において、チャネルストッパ214は、ドリフト領域21上または上方に配置され、さらなるエッジ終端構造215.3は、遮蔽構造23と、チャネルストッパ214との間に配置されている。
【0063】
例えば、遮蔽構造23と、第2および第3の遮蔽構造823.1、823.2、823.3、923の少なくとも1つとは、共通のエッジ終端構造215.1によってドリフト領域21から分離されている。
【0064】
図20は、様々な実施形態に係る縦型半導体素子の形成方法2000のフローチャートを示す。以下では説明のために、特徴に
図2~
図19に示された例示的な実施形態の参照符号が付されている。
【0065】
様々な実施形態において、縦型半導体素子の形成方法2000は、(2008において)第1の導電型を備えたドリフト領域21を形成するステップと、(2010において)ドリフト領域21上または上方にトレンチ構造を形成するステップと、(2020において)ドリフト領域21上または上方にトレンチ構造の少なくとも1つの側壁に横方向に隣接して配置された遮蔽構造23を形成するステップであって、遮蔽構造23は、第1の導電型とは異なる第2の導電型を有し、遮蔽構造23は、第1の厚さを有する第1の領域23.1と、第1の厚さよりも小さい第2の厚さを有する第2の領域23.2と、を少なくとも有するステップと、(2030において)ドリフト領域21上または上方にエッジ終端構造215を形成するステップであって、エッジ終端構造215は第2の導電型を有し、遮蔽構造23は第1のドーピングレベルを有し、エッジ終端構造215は第1のドーピングレベルとは異なる第2のドーピングレベルを有し、エッジ終端構造215は、少なくとも遮蔽構造23の第2の領域で、ドリフト領域21と、遮蔽構造23との間に配置されているステップと、を有する。
【0066】
遮蔽構造23、823.1、823.2、823.3、923およびエッジ終端構造215.1、215.2、215.3は、例えばイオン注入によって形成でき、例えば、SiCトレンチ構造またはSiCドリフト領域の場合はアルミニウムイオン注入によって、GaNトレンチ構造またはGaNドリフト領域の場合はMgイオンによって形成することができる。高エネルギーイオン注入を行わずにドリフト領域に深く埋設された遮蔽構造またはエッジ終端構造を提供するために、その底部216で注入が行われる遮蔽構造トレンチ構造を形成してもよい。
【0067】
様々な実施形態において、遮蔽構造23、823.1、823.2、823.3、923およびエッジ終端構造215.1、215.2、215.3の一部または全部は、いわゆるTot注入(Tot Implantation)を用いて形成されてもよい。その際、遮蔽構造またはエッジ終端構造は、SiCまたはGaNドリフト領域においてドーピングを引き起こさないイオン種、例えばアルゴンイオンを注入することによって形成される。これらの遮蔽構造またはエッジ終端構造は、電気導電性でなくなる。したがって、遮蔽効果は維持される。このような電気的に非導電性の遮蔽構造をソース電極に接続することは任意である。
【0068】
エッジ終端220は、様々な実施形態によれば、
図5~
図7に示されるように、例えばSiCなどの半導体材料からウェハ/基板22を提供するステップと、例えばエピタキシによって、異なるドーピングの同じ性質の材料を形成、例えば成長させるステップと、例えば、nソース6、n+チャネルストッパ27(任意)、pチャネル5、n拡張部8(任意)、p+遮蔽構造23、さらなるp+遮蔽構造823.1、823.2、823.3、923(任意)の領域を注入することによって、適切なマスクを用いて適切なドーピングの機能層をドープするステップと、遮蔽構造トレンチ構造23.3を形成するステップと、を有する方法によって製造されてもよい。
【0069】
本方法は、例えば、エッジ終端構造215、215.1、215.2、215.3(任意)の領域を注入することによって、適切なマスクを用いて適切なドーピングのさらなる機能層をドープするステップと、ドーパントを活性化するために熱処理するステップと、をさらに有してもよい。
【0070】
本方法は、MOSヘッドのパターニング、例えば適切なマスクを用いてゲートトレンチ構造を敷設するステップと、誘電体、例えばゲート酸化物9、例えばSiO2を被着するステップと、ゲート電極11、例えばポリシリコンを被着するステップと、をさらに有してもよい。
【0071】
異なるガスによる熱処理は、前述の各ステップの後に任意で行われる。
本方法は、誘電体構造10、210を形成するステップ、例えば1つまたは複数の絶縁層10、210を被着するステップと、半導体基板22の前面の一部に電極12、212.1を形成するステップと、半導体素子の上面に適切なマスクおよびプロセスを用いて前面メタライゼーション層212およびパッシベーション層(図示せず)を被着するステップと、任意にウェハを薄研削した後に適切なプロセスを用いてウェハの背面にドレインメタライゼーション層213を被着するステップと、をさらに有してもよい。
【0072】
p+遮蔽構造23、遮蔽構造トレンチ構造23.3、およびエッジ終端構造215を示すプロセス実施部分の実施形態は、
図5~
図7にエッジ終端220について示されている。これにより、遮蔽構造トレンチ構造23.3およびエッジ終端構造215を遮蔽構造23に少なくとも部分的に自己整合的に生成することができる。
【0073】
図5によると、遮蔽構造23がp+マスク219を用いた注入によって生成された後、pエッジマスク221を被着して、フォトリソグラフィ的にパターニングしてもよい。
図6によると、p+マスク219のエッチングは、pエッジマスク221をマスキングとして用いて行ってもよく、同時に遮蔽構造トレンチ構造23.3を形成してもよい。チャネルストッパ27の方向を向くエッジは、これによって、p+遮蔽構造23に自己整合され、
図6に示されるように、p+遮蔽構造23の底面のすぐ内側に位置してもよい。
図7によると、エッジ終端構造215の注入が行われてもよい。この一連の方法は、製造方法における前述のまたは他の適切な箇所で実施されてもよい。
【0074】
説明および図示された実施形態は、例示のためにのみ選択されている。異なる実施形態は、完全に、または個々の特徴に関連して、互いに組み合わせてもよい。また、一実施形態は、別の実施形態の特徴によって補足されてもよい。さらに、記載された方法ステップは、記載された順序以外で繰り返され、実施されてもよい。特に、本発明は、記載された方法に限定されない。