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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-12
(45)【発行日】2024-09-24
(54)【発明の名称】回転切削工具
(51)【国際特許分類】
   B23D 77/00 20060101AFI20240913BHJP
【FI】
B23D77/00
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023531776
(86)(22)【出願日】2022-06-15
(86)【国際出願番号】 JP2022023973
(87)【国際公開番号】W WO2023276672
(87)【国際公開日】2023-01-05
【審査請求日】2023-10-25
(31)【優先権主張番号】P 2021106571
(32)【優先日】2021-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000220103
【氏名又は名称】株式会社アライドマテリアル
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 祐満
【審査官】中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-183854(JP,A)
【文献】特開2012-091306(JP,A)
【文献】実開平06-031919(JP,U)
【文献】国際公開第2019/044791(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23D 67/00-81/00
B23C 1/00-9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円周上に第1から第5の切刃を有し、
前記第1の切刃から前記第2の切刃までの回転角が60±1°、
前記第2の切刃から前記第3の切刃までの回転角が75±1°、
前記第3の切刃から前記第4の切刃までの回転角が60±1°、
前記第4の切刃から前記第5の切刃までの回転角が75±1°、
前記第5の切刃から前記第1の切刃までの回転角が90±1°である、回転切削工具。
【請求項2】
円周上に第1から第5の切刃を有し、
前記第1の切刃から前記第2の切刃までの回転角が60±1°、
前記第2の切刃から前記第3の切刃までの回転角が72±1°、
前記第3の切刃から前記第4の切刃までの回転角が60±1°、
前記第4の切刃から前記第5の切刃までの回転角が84±1°、
前記第5の切刃から前記第1の切刃までの回転角が84±1°である、回転切削工具。
【請求項3】
円周上に第1から第4の切刃を有し、
前記第1の切刃から前記第2の切刃までの回転角が72±1°、
前記第2の切刃から前記第3の切刃までの回転角が108±1°、
前記第3の切刃から前記第4の切刃までの回転角が90±1°、
前記第4の切刃から前記第1の切刃までの回転角が90±1°である、回転切削工具。
【請求項4】
台金と、前記台金の外周円上に設けられた第1のチップから第3のチップとを備え、前記第1のチップから前記第3のチップには、第1の切刃から第3の切刃が設けられており、
前記第1の切刃から前記第2の切刃までの回転角が126±1°、
前記第2の切刃から前記第3の切刃までの回転角が126±1°、
前記第3の切刃から前記第1の切刃までの回転角が108±1°である、回転切削工具。
【請求項5】
円周上に3から5枚の切刃が不等間隔で配置されており、
各々の前記切刃の隣接する前記切刃の間の回転角度を不等分割角とし、
各不等分割角の最大公約数が12、15または18であり、各不等分割角の最大角度差が15°以上40°以下であり、F(θ)={X(θ)+Y(θ)1/2(ここで、最大切れ刃数をnとし、1からn番目の前記切刃の回転角度をθ1からθnとすると、X(θ)=θ2cosθ1+θ3cos(θ1+θ2)+…+θ1cos(θ1+θ2+…+θn)、Y(θ)=θ2sinθ1+θ3sin(θ1+θ2)+…+θ1sin(θ1+θ2+…+θn))の式で表されるF(θ)の値が5.5以上29以下である、回転切削工具。
【請求項6】
円周上に第1から第4の切刃を有し、
前記第1の切刃から前記第2の切刃までの回転角が105±1°、
前記第2の切刃から前記第3の切刃までの回転角が90±1°、
前記第3の切刃から前記第4の切刃までの回転角が90±1°、
前記第4の切刃から前記第1の切刃までの回転角が75±1°である、回転切削工具。
【請求項7】
円周上に第1から第4の切刃を有し、
前記第1の切刃から前記第2の切刃までの回転角が90±1°、
前記第2の切刃から前記第3の切刃までの回転角が90±1°、
前記第3の切刃から前記第4の切刃までの回転角が105±1°、
前記第4の切刃から前記第1の切刃までの回転角が75±1°である、回転切削工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、回転切削工具に関する。本出願は、2021年6月28日に出願した日本特許出願である特願2021-106571号に基づく優先権を主張する。当該日本特許出願に記載された全ての記載内容は、参照によって本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
従来、回転切削工具は、たとえば、国際公開第2020/003679号公報(特許文献1)、国際公開第2020/003680号公報(特許文献2)、特開2011-62790号公報(特許文献3)、超硬リーマによる加工精度に関する研究(第4報)(精密機械48巻6号、1982年6月)(非特許文献1)に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2020/003679号公報
【文献】国際公開第2020/003680号公報
【文献】特開2011-62790号公報
【非特許文献】
【0004】
【文献】超硬リーマによる加工精度に関する研究(第4報)(精密機械48巻6号、1982年6月)
【発明の概要】
【0005】
本開示に従った回転切削工具は、円周上に第1から第5の切刃を有し、第1の切刃から第2の切刃までの回転角が60±1°、第2の切刃から第3の切刃までの回転角が75±1°、第3の切刃から第4の切刃までの回転角が60±1°、第4の切刃から第5の切刃までの回転角が75±1°、第5の切刃から第1の切刃までの回転角が90±1°である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、実施の形態に従った回転切削工具としてのリーマ100の正面図である。
図2図2は、図1で示すリーマ100の先端部106を拡大して示す図である。
図3図3は、図2中の矢印IIIで示す方向から見た4枚刃のリーマ100の側面図である。
図4図4は、別の実施の形態に従った5枚刃のリーマ100の側面図である。
図5図5は、別の実施の形態に従った3枚刃のリーマ100の側面図である。
図6図6は、切削抵抗の合力を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[本開示が解決しようとする課題]
従来の回転切削工具では切削加工面に送りマークが発生するという問題があった。さらに、真円度が悪化するという問題があった。
【0008】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、実施の形態に従った回転切削工具としてのリーマ100の正面図である。図1で示すように、実施の形態1に従ったリーマ100は台金109を有する。台金109の根元部107は円柱状であり、先端部106よりも大径である。
【0009】
台金109の回転中心軸に沿って孔108が設けられている。孔108にクーラントが供給される。クーラントはリーマ100の先端部106から排出され、被削材とリーマ100との接触部分にクーラントが供給される。台金109は、たとえば超硬合金または鋼材により構成される。
【0010】
図2は、図1で示すリーマ100の先端部106を拡大して示す図である。リーマ100の先端部106においては、第1のチップ121および第3のチップ123が設けられている。先端部106には、図2では示されていない他のチップが設けられている。
【0011】
図3は、図2中の矢印IIIで示す方向から見た4枚刃のリーマ100の側面図である。図3で示すように、リーマ100の台金109の外周円上には第1のチップ121から第4のチップ124が設けられている。
【0012】
第1のチップ121から第4のチップ124には、第1の切刃101から第4の切刃104が設けられている。第1の切刃101から第4の切刃104は、被削材と接触して被削材を加工する部分である。第1のチップ121から第4のチップ124は、たとえば、超硬合金、ダイヤモンドまたは立方晶窒化ホウ素などの超硬質工具材料により構成される。
【0013】
第1の切刃101から第2の切刃102までの回転角はθ1、第2の切刃102から第3の切刃103までの回転角はθ2、第3の切刃103から第4の切刃104までの回転角はθ3、第4の切刃104から第1の切刃101までの回転角はθ4である。θ1からθ4は、θ1、θ2、θ3およびθ4の順に切削時の回転方向に沿って並んでいる。
【0014】
台金109には4本のフルート131-134が設けられている。4本のフルート131-134は台金109の長手方向に沿って延びている。
【0015】
フルート131-134には、孔108に接続されるクーラント孔111-114が設けられている。これにより、クーラント孔111-114には孔108からクーラントが供給される。
【0016】
一例として、θ1が72±1°、θ2が108±1°、θ3が90±1°、θ4が90±1°である。
【0017】
他の例として、θ1が105±1°、θ2が90±1°、θ3が90±1°、θ4が75±1°である。
【0018】
別の例として、θ1が90±1°、θ2が90±1°、θ3が105±1°、θ4が75±1°である。
【0019】
図4は、別の実施の形態に従った5枚刃のリーマ100の側面図である。図4で示すように、リーマ100の台金109の外周円上には第1のチップ121から第5のチップ125が設けられている。第1のチップ121から第5のチップ125には、第1の切刃101から第5の切刃105が設けられている。第1の切刃101から第5の切刃105は、被削材と接触して被削材を加工する部分である。第1のチップ121から第5のチップ125は、たとえば、超硬合金、ダイヤモンドまたは立方晶窒化ホウ素などの超硬質工具材料により構成される。
【0020】
第1の切刃101から第2の切刃102までの回転角はθ1、第2の切刃102から第3の切刃103までの回転角はθ2、第3の切刃103から第4の切刃104までの回転角はθ3、第4の切刃104から第5の切刃105までの回転角はθ4、第5の切刃105から第1の切刃101までの回転角はθ5である。
【0021】
台金109には5本のフルート131-135が設けられている。5本のフルート131-135は台金109の長手方向に沿って延びている。
【0022】
フルート131-135には、孔108に接続されるクーラント孔111-115が設けられている。これにより、クーラント孔111-115には孔108からクーラントが供給される。クーラント孔111-115は設けられなくてもよい。孔108は台金109の先端において開口していてもよく、開口していなくてもよい。
【0023】
一例として、θ1が60±1°、θ2が75±1°、θ3が60±1°、θ4が75±1°、θ5が90±1°である。
【0024】
他の例として、θ1が60±1°、θ2が72±1°、θ3が60±1°、θ4が84±1°、θ5が84±1°である。
【0025】
図5は、別の実施の形態に従った3枚刃のリーマ100の側面図である。図4で示すように、リーマ100の台金109の外周円上には第1のチップ121から第3のチップ123が設けられている。第1のチップ121から第3のチップ123には、第1の切刃101から第3の切刃103が設けられている。第1の切刃101から第3の切刃103は、被削材と接触して被削材を加工する部分である。第1のチップ121から第3のチップ123は、たとえば、超硬合金、ダイヤモンドまたは立方晶窒化ホウ素などの超硬質工具材料により構成される。
【0026】
第1の切刃101から第2の切刃102までの回転角はθ1、第2の切刃102から第3の切刃103までの回転角はθ2、第3の切刃103から第1の切刃101までの回転角はθ3である。
【0027】
台金109には3本のフルート131-133が設けられている。3本のフルート131-133は台金109の長手方向に沿って延びている。
【0028】
フルート131-133には、孔108に接続されるクーラント孔111-113が設けられている。これにより、クーラント孔111-113には孔108からクーラントが供給される。
【0029】
一例として、θ1が126±1°、θ2が126±1°、θ3が108±1°である。
図6は、切削抵抗の合力を示す図である。第2の切刃102の回転軌道102aが円弧で示される。
【0030】
被削材との接触点において第2の切刃102の切削抵抗(背分力)の大きさをF1で表す。第1の切刃101を基準軸のx軸とし、x軸に垂直な軸をy軸として、図6に示すようにx軸、y軸を決めた場合、第2の切刃102は基準軸であるx軸から角度θ1をなしている。F1のx分力は-F1cosθ1であり、y分力は-F1sinθ1となる。
【0031】
被削材との接触点において第3の切刃103の切削抵抗(背分力)の大きさをF2で表す。第3の切刃103は基準軸であるx軸から角度θ1+θ2をなしている。F2のx分力は-F2cos(θ1+θ2)であり、y分力は-F2sin(θ1+θ2)となる。
【0032】
被削材との接触点において第nの切刃の切削抵抗(背分力)の大きさをFn-1で表す。第nの切刃は基準軸であるx軸から角度θ1+θ2+…+θn-1をなしている。Fn-1のx分力は-Fn-1cos(θ1+θ2+…+θn-1)であり、y分力は-Fn-1sin(θ1+θ2+…+θn-1)となる。
【0033】
被削材との接触点において第1の切刃101の切削抵抗(背分力)の大きさをFnで表す。第1の切刃101は基準軸であるx軸から角度θ1+θ2+…+θnをなしている。Fnのx分力は-Fncos(θ1+θ2+…+θn)であり、y分力は-Fnsin(θ1+θ2+…+θn)となる。
【0034】
x成分の合力は、-F1cosθ1-F2cos(θ1+θ2)-…-Fn-1cos(θ1+θ2+…+θn-1)-Fncos(θ1+θ2+…+θn)となる。
【0035】
y成分の合力は、-F1sinθ1-F2sin(θ1+θ2)-…-Fn-1sin(θ1+θ2+…+θn-1)-Fnsin(θ1+θ2+…+θn)となる。
【0036】
切削抵抗F1からFnの大きさは切削長さθ1からθnに比例すると仮定し、任意の定数をFとするとF1=F・θ2、F2=F・θ3、Fn-1=F・θn、Fn=F・θ1となる。
【0037】
これによりx合力を計算すると-F・θ2cosθ1-F・θ3cos(θ1+θ2)-…-F・θncos(θ1+θ2+…+θn-1)-F・θ1cos(θ1+θ2+…+θn)=-F{θ2cosθ1+θ3cos(θ1+θ2)+…+θncos(θ1+θ2+…+θn-1)+θ1cos(θ1+θ2+…+θn)}となる。
【0038】
X(θ)=θ2cosθ1+θ3cos(θ1+θ2)+…+θncos(θ1+θ2+…+θn-1)+θ1cos(θ1+θ2+…+θn)とすると、x合力=-F・X(θ)…式(1)となる。
【0039】
y合力を計算すると-F・θ2sinθ1-F・θ3sin(θ1+θ2)-…-F・θnsin(θ1+θ2+…+θn-1)-F・θ1sin(θ1+θ2+…+θn)=-F{θ2sinθ1+θ3sin(θ1+θ2)+…+θnsin(θ1+θ2+…+θn-1)+θ1sin(θ1+θ2+…+θn)}となる。
【0040】
Y(θ)=θ2sinθ1+θ3sin(θ1+θ2)+…+θnsin(θ1+θ2+…+θn-1)+θ1sin(θ1+θ2+…+θn)とすると、y合力=-F・Y(θ)…式(2)となる。
【0041】
これらの2つの式(1)および(2)から合力を計算すると、以下の式で表される。
合力=F{X(θ)+Y(θ)1/2…式(3)
F(θ)={X(θ)+Y(θ)1/2…式(4)
本開示の回転切削工具においては、円周上に3から5枚の切刃が不等間隔で配置されている。各々の切刃の隣接する切刃の間の回転角度を不等分割角とする。各不等分割角の最大公約数が12、15または18であり、各不等分割角の最大角度差が15°以上40°以下であり、F(θ)={X(θ)+Y(θ)1/2(ここで、最大切れ刃数をnとし、1からn番目の切刃の回転角度をθ1からθnとすると、X(θ)=θ2cosθ1+θ3cos(θ1+θ2)+…+θ1cos(θ1+θ2+…+θn)、Y(θ)=θ2sinθ1+θ3sin(θ1+θ2)+…+θ1sin(θ1+θ2+…+θn))の式で表されるF(θ)の値が5.5以上29以下である。
【0042】
不等分割角とは、複数の切刃の複数の分割角度のうちのある分割角度と他の分割角度とが異なることをいう。たとえば、4枚刃において、分割角度が90°、90°、70°、110°であれば、不等分割角である。
【0043】
(実施例1)
まず、表1で示す試料番号1から8、6-1および6-2の3枚刃のリーマ(図1,2,5参照)を準備した。なお、θの単位は「°」である。試料番号6-1は試料番号6の角度θ1からθ3を±1°の範囲で変更したものである。試料番号6-2は試料番号6の角度θ1からθ3を±2°の範囲で変更したものである。
【0044】
【表1】
【0045】
表1における「θ1」から「θ3」は図5におけるθ1からθ3である。「F(θ)」とは、式(4)で示す値である。「最大公約数」とは、θ1からθ3の最大公約数である。「最大角度差」とはθ1からθ3の最大角度差である。
【0046】
試料番号1から8、6-1および6-2のリーマを用いて、内径が11.2mmの下孔をリーマで加工して内径を12mmとする加工テストをした。加工条件は以下の通りである。
【0047】
チップの材質:多結晶ダイヤモンド
台金の材質:超硬合金
工具径D:12mm
工具突き出し長さL:70mm
被削材の材質:ADC12(アルミダイキャスト)
下孔の寸法および形状:内径11.2mm、深さ20mmの止まり孔
加工数:5
周速:249m/min
送り(mm/rev):0.6(3枚刃)、0.8(4枚刃)、1(5枚刃)
回転数:6600min-1
加工深さ:18mm
設備:立形マシニングセンタ(主軸BT30)
切削油:エマルション系水溶性クーラント 希釈率10%
切削加工の結果、切削加工面の送りマークの有無を目視で調べた。さらに、加工後の孔の真円度を真円度・円筒形状測定機にて調べた。真円度はJIS B 0621-1984に従い、円形形体を二つの同心の幾何学的円で挟んだとき、同心二円の間隔が最小となる場合の二円の半径の差をいう。その結果を表2に示す。
【0048】
【表2】
【0049】
表2中「真円度」は加工された孔の真円度の平均値である。各々の孔の入口、中間部および奥で真円度を測定し、最も大きい値をその孔の真円度とした。試料番号6から8および6-1において送りマークが無く、かつ、真円度が良好な値を示した。
【0050】
(実施例2)
表3で示す試料番号11から30、51から53および29-1から29-3の4枚刃のリーマ(図1,2,3参照)を準備した。試料番号29-1および29-2は試料番号29の角度θ1からθ4を±1°の範囲で変更したものである。試料番号29-3は試料番号29の角度θ1からθ4を±2°の範囲で変更したものである。
【0051】
【表3】
【0052】
表3における「θ1」から「θ4」は図3におけるθ1からθ4である。「F(θ)」とは、式(4)で示す値である。「最大公約数」とは、θ1からθ4の最大公約数である。「最大角度差」とはθ1からθ4の最大角度差である。
【0053】
試料番号11から30、51から53および29-1から29-3のリーマを用いて、内径が11.2mmの下孔をリーマで加工して内径を12mmとする加工テストをした。加工条件は実施例1において記載した通りである。
【0054】
切削加工の結果、切削加工面の送りマークの有無を目視で調べた。さらに、加工後の孔の真円度を真円度・円筒形状測定機にて調べた。その結果を表4に示す。
【0055】
【表4】
【0056】
表4中「真円度」は加工された孔の真円度の平均値である。試料番号25、27、29、30、51から53、29-1および29-2において送りマークが無く、かつ、真円度が良好な値を示した。
【0057】
(実施例3)
表5で示す試料番号31から46、および40-1から40-3の5枚刃のリーマ(図1,2,4参照)を準備した。試料番号40-1および40-2は試料番号40の角度θ1からθ5を±1°の範囲で変更したものである。試料番号40-3は試料番号40の角度θ1からθ5を±2°の範囲で変更したものである。
【0058】
【表5】
【0059】
表5における「θ1」から「θ5」は図4におけるθ1からθ5である。「F(θ)」とは、式(4)で示す値である。「最大公約数」とは、θ1からθ5の最大公約数である。「最大角度差」とはθ1からθ5の最大角度差である。
【0060】
試料番号31から46、および40-1から40-3のリーマを用いて、内径が11.2mmの下孔をリーマで加工して内径を12mmとする加工テストをした。加工条件は実施例1において記載した通りである。
【0061】
切削加工の結果、切削加工面の送りマークの有無を目視で調べた。さらに、加工後の孔の真円度を真円度・円筒形状測定機にて調べた。その結果を表6に示す。
【0062】
【表6】
【0063】
表6中「真円度」は加工された2つの孔の真円度の平均値である。試料番号37、39から41、43から46、40-1および40-2において送りマークが無く、かつ、真円度が良好な値を示した。
【0064】
なお、リーマに限らず、ドリル、エンドミルなどの他の回転切削工具においても同様の効果が得られることが確認された。
【0065】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0066】
100 リーマ、101 第1の切刃、102 第2の切刃、102a 回転軌道、103 第3の切刃、104 第4の切刃、105 第5の切刃、106 先端部、107、 根元部、108 孔、109 台金、111-115 クーラント孔、121 第1のチップ、122 第2のチップ、123 第3のチップ、124 第4のチップ、125、 第5のチップ、131-135 フルート。
図1
図2
図3
図4
図5
図6