(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-12
(45)【発行日】2024-09-24
(54)【発明の名称】決済代行装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/24 20120101AFI20240913BHJP
G06Q 50/40 20240101ALI20240913BHJP
【FI】
G06Q20/24
G06Q50/40
(21)【出願番号】P 2024128169
(22)【出願日】2024-08-02
(62)【分割の表示】P 2023577423の分割
【原出願日】2023-08-22
【審査請求日】2024-08-02
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 “QUADRAC 決済/認証を担うプラットフォームを運用 オープンループの‘真の目的’にアプローチ”,CardWave,2022.08.25,第35巻、第4号,pp.10~14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】509288585
【氏名又は名称】QUADRAC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097102
【氏名又は名称】吉澤 敬夫
(74)【代理人】
【識別番号】100119301
【氏名又は名称】蟹田 昌之
(72)【発明者】
【氏名】三露 学
(72)【発明者】
【氏名】高田 昌幸
【審査官】池田 聡史
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2023/105712(WO,A1)
【文献】特開2023-061670(JP,A)
【文献】国際公開第2022/018852(WO,A1)
【文献】国際公開第2022/054574(WO,A1)
【文献】特開2005-173835(JP,A)
【文献】“三井住友カード 「Visaのタッチ決済」で改札通過の実証実験 交通利用とショッピングの連動を目指す,CardWave,日本,株式会社インフキュリオンコンサルティング,2021年04月25日,第34巻, 第2号,pp.50~51
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クレジットカードを用いた運賃決済を代行する決済代行装置であって、
ネットワークを介して、乗車駅に設置された乗車駅端末、降車駅に設置された降車駅端末、及び決済処理を実行する決済装置に接続され、
前記乗車駅端末及び/又は前記降車駅端末を設置している交通機関を識別する交通機関識別情報と前記乗車駅端末及び/又は前記降車駅端末を設置している交通機関のクレジットカード加盟店としての情報を識別する加盟店識別情報とを対応付けて記憶するとともに、前記乗車駅端末及び/又は前記降車駅端末を設置していない交通機関を識別する交通機関識別情報と前記乗車駅端末及び/又は前記降車駅端末を設置していない交通機関のクレジットカード加盟店としての情報を識別する加盟店識別情報とを対応付けて記憶し、
前記乗車駅端末から乗車駅を識別する駅識別情報を受信し、
前記乗車駅端末に対して通行制御に関する信号を送信し、
前記乗車駅端末からクレジットカード情報を受信し、
前記降車駅端末から降車駅を識別する駅識別情報を受信し、
前記降車駅端末に対して通行制御に関する信号を送信し、
前記降車駅端末から前記クレジットカード情報を受信し、
前記乗車駅端末から受信した駅識別情報により乗車駅を識別し、前記降車駅端末から受信した駅識別情報により降車駅を識別し、前記乗車駅端末から受信した駅識別情報により識別する乗車駅から前記降車駅端末から受信した駅識別情報により識別する降車駅までの運賃情報を、前記乗車駅端末から受信した駅識別情報により識別する乗車駅から前記降車駅端末から受信した駅識別情報により識別する降車駅までの区間を運営する交通機関ごとに算出し、前記運賃情報が算出される交通機関には、前記乗車駅端末及び/又は前記降車駅端末を設置している交通機関と前記乗車駅端末及び/又は前記降車駅端末を設置していない交通機関とが含まれ、
前記乗車駅端末及び前記降車駅端末から受信したクレジットカード情報の一方と、前記運賃情報を算出した前記乗車駅端末及び/又は前記降車駅端末を設置している交通機関を識別する交通機関識別情報に対応付けて記憶されている前記乗車駅端末及び/又は前記降車駅端末を設置している交通機関のクレジットカード加盟店としての情報を識別する加盟店識別情報と、前記算出した前記乗車駅端末及び/又は前記降車駅端末を設置している交通機関の運賃情報と、を対応付けて記憶するとともに、
前記乗車駅端末及び前記降車駅端末から受信したクレジットカード情報の一方と、前記運賃情報を算出した前記乗車駅端末及び/又は前記降車駅端末を設置していない交通機関を識別する交通機関識別情報に対応付けて記憶されている前記乗車駅端末及び/又は前記降車駅端末を設置していない交通機関のクレジットカード加盟店としての情報を識別する加盟店識別情報と、前記算出した前記乗車駅端末及び/又は前記降車駅端末を設置していない交通機関の運賃情報と、を対応付けて記憶し、
前記対応付けて記憶されているクレジットカード情報と、前記乗車駅端末及び/又は前記降車駅端末を設置している交通機関のクレジットカード加盟店としての情報を識別する加盟店識別情報と、前記乗車駅端末及び/又は前記降車駅端末を設置している交通機関の運賃情報のみならず、
前記対応付けて記憶されているクレジットカード情報と、前記乗車駅端末及び/又は前記降車駅端末を設置していない交通機関のクレジットカード加盟店としての情報を識別する加盟店識別情報と、前記乗車駅端末及び/又は前記降車駅端末を設置していない交通機関の運賃情報を、前記決済装置に送信する決済代行装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレジットカードを用いた運賃決済に関する。
【背景技術】
【0002】
運賃計算を行う運賃計算サーバと料金の決済を行う決済サーバとを備えた運賃収受システムが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のシステムでは、改札機が決済装置に対して決済処理を要求しており、その結果を受けて改札機の通行制御を行っている。しかるところ、決済装置からの応答には数秒以上を要することがある。このため、特許文献1に記載のシステムでは、改札機での通行制御に時間がかかり、特に通勤ラッシュ時などの混雑時において、駅の円滑な運営が困難になるという虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、次の一実施形態を含む。
【0006】
クレジットカードを用いた運賃決済を代行する決済代行装置であって、
ネットワークを介して、乗車駅に設置された乗車駅端末、降車駅に設置された降車駅端末、交通機関ごとの運賃を計算する運賃計算装置、及び決済処理を実行する決済装置に接続され、
前記交通機関を識別する交通機関識別情報と、前記交通機関のクレジットカード加盟店としての情報を識別する加盟店識別情報と、を対応付けて記憶し、
前記乗車駅端末から乗車駅を識別する駅識別情報を受信し、
前記乗車駅端末から受信した駅識別情報を前記運賃計算装置に送信し、
前記運賃計算装置から乗車駅での通行制御に関する信号を受信し、
前記運賃計算装置から受信した通行制御に関する信号を前記乗車駅端末に対して送信し、
前記乗車駅端末からクレジットカード情報を受信し、
前記降車駅端末から降車駅を識別する駅識別情報を受信し、
前記降車駅端末から受信した駅識別情報を前記運賃計算装置に送信し、
前記運賃計算装置から、降車駅での通行制御に関する信号と、前記交通機関識別情報と、前記交通機関識別情報により識別される交通機関ごとの運賃情報と、を受信し、
前記運賃計算装置から受信した通行制御に関する信号を前記降車駅端末に対して送信し、
前記降車駅端末から前記クレジットカード情報を受信し、
前記乗車駅端末及び前記降車駅端末から受信したクレジットカード情報と、前記運賃計算装置から受信した交通機関識別情報に対応付けて記憶されている加盟店識別情報と、前記運賃計算装置から受信した運賃情報と、を対応付けて記憶し、
前記対応付けて記憶されているクレジットカード情報と、加盟店識別情報と、運賃情報とを前記決済装置に送信する決済代行装置。
【0007】
クレジットカードを用いた運賃決済を代行する決済代行装置であって、
ネットワークを介して、乗車駅に設置された乗車駅端末、降車駅に設置された降車駅端末、及び決済処理を実行する決済装置に接続され、
前記交通機関を識別する交通機関識別情報と、前記交通機関のクレジットカード加盟店としての情報を識別する加盟店識別情報と、を対応付けて記憶し、
前記乗車駅端末から乗車駅を識別する駅識別情報を受信し、
前記乗車駅端末に対して通行制御に関する信号を送信し、
前記乗車駅端末からクレジットカード情報を受信し、
前記降車駅端末から降車駅を識別する駅識別情報を受信し、
前記降車駅端末に対して通行制御に関する信号を送信し、
前記降車駅端末から前記クレジットカード情報を受信し、
前記乗車駅端末から受信した駅識別情報と前記降車駅端末から受信した駅識別情報とを用いて交通機関ごとの運賃情報を算出し、
前記乗車駅端末及び前記降車駅端末から受信したクレジットカード情報と、前記運賃情報を算出した交通機関を識別する交通機関識別情報に対応付けて記憶されている加盟店識別情報と、前記算出した運賃情報と、を対応付けて記憶し、
前記対応付けて記憶されているクレジットカード情報と、加盟店識別情報と、運賃情報とを前記決済装置に送信する決済代行装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一実施形態によれば、改札機などの駅端末に代わり、決済代行装置が決済装置に対して決済要求を行う。駅端末は、決済装置からの応答を待つことなく、決済代行装置からの信号に応じて駅での通行制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態1に係る決済代行装置を備えたシステムの構成例を説明する模式図である。
【
図3】交通機関情報テーブルを説明する模式図である。
【
図5A】実施形態1に係る決済代行装置の動作例を説明する図である。
【
図5B】実施形態1に係る決済代行装置の動作例を説明する図である。
【
図5C】実施形態1に係る決済代行装置の動作例を説明する図である。
【
図6】実施形態2に係る決済代行装置を備えたシステムの構成例を説明する模式図である。
【
図7A】実施形態2に係る決済代行装置の動作例を説明する図である。
【
図7B】実施形態2に係る決済代行装置の動作例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施形態1に係る決済代行装置]
図1は実施形態1に係る決済代行装置を備えたシステムの構成例を説明する模式図である。本実施形態に係る決済代行装置は、クレジットカードを用いた運賃決済を代行する装置である。
図1に示すように、本実施形態に係る決済代行装置は、ネットワークを介して、乗車駅に設置された乗車駅端末、降車駅に設置された降車駅端末、交通機関ごとの運賃を計算する運賃計算装置、及び決済処理を実行する決済装置に接続されている。ネットワークの一例にはインターネットが含まれる。
【0011】
(乗車駅端末、降車駅端末)
乗車駅端末は乗車駅に設置された駅端末であり、降車駅端末は降車駅に設置された駅端末である。本実施形態の乗車駅端末や降車駅端末の一例には、駅に設置された改札機の他、駅員が所持する端末などが含まれる。「設置」には端末が駅に固定されている場合だけではなく、駅員が所持する場合などのような、駅で端末が使用されるすべての形態が含まれる。
【0012】
本実施形態の適用にあたり、駅端末は、すべての交通機関が運営する駅に設置されている必要はなく、少なくとも運賃計算の起点や終点となる乗車駅と降車駅に設置されていれば足りる。換言すると、本実施形態において、駅端末は、後述するB駅やC駅などのような通過駅には設けられていてもよいし、設けられていなくてもよい。
【0013】
乗車駅端末及び降車駅端末は、例えば、それぞれ、利用客のスマートフォンや非接触ICカードなどから利用客のクレジットカード情報を読み取るリーダライタ機能を有している。クレジットカード情報は、クレジットカードを用いた決済に必要となる情報であり、クレジットカード情報の一例には、クレジットカード番号のほか、クレジットカードの有効期限や発行国などの情報を含む。
【0014】
クレジットカードは、決済の可否を決済装置に問い合わせるものであればよく、その名称を問わない。クレジットカードの一例には、いわゆるクレジットカードと呼ばれるカードのほか、決済の可否を決済装置に問い合わせるプリペイドカードやデビットカードなどと呼ばれるカードが含まれる。クレジットカードは、カードそれ自体に電子的な金銭がチャージされないものに限られ、カードそれ自体に電子的な金銭がチャージされるものはクレジットカードに含まれない。後者のカードにあっては、決済装置に決済の可否を問い合わせるのではなく、カードにチャージされている金額との関係で決済の可否が判断されるからである。
【0015】
(運賃計算装置)
運賃計算装置は運賃情報を計算する装置である。運賃計算装置の一例には運賃計算を実行するコンピュータデバイスが含まれる。コンピュータデバイスの一例にはサーバ装置やICチップが搭載された基板が含まれる。運賃情報とは、例えば350円や740円などのような、乗車駅から降車駅までの運賃に関する情報をいう。
【0016】
(決済装置)
決済装置とは、決済処理を実行する装置である。決済装置の一例には、クレジットカードを発行している金融機関のコンピュータデバイスが含まれる。コンピュータデバイスの一例にはサーバ装置やICチップが搭載された基板が含まれる。決済処理の一例には、オーソリゼーション(一般的には略してオーソリと呼ばれることが多い。)などの、利用可否に関する処理が含まれる。
【0017】
(決済代行装置)
決済代行装置は、クレジットカードを用いた運賃決済を代行する装置である。決済代行装置の一例にはコンピュータデバイスが含まれる。コンピュータデバイスの一例にはサーバ装置やICチップが搭載された基板が含まれる。
【0018】
本実施形態の決済代行装置には、駅情報テーブル、交通機関情報テーブル、及び運賃情報テーブルという3つのテーブルが記憶されている。以下、順に説明する。
【0019】
(駅情報テーブル)
図2は、駅情報テーブルを説明する模式図である。
図2に示すように、決済代行装置は、例えばテーブル形式にて、駅識別情報を記憶することができる。駅識別情報とは駅を識別する情報である。駅識別情報には、駅の名称や後述する交通機関識別情報などが対応付けて記憶されていてもよい。
【0020】
(交通機関情報テーブル)
図3は、交通機関情報テーブルを説明する模式図である。
図3に示すように、決済代行装置は、例えばテーブル形式にて、交通機関を識別する交通機関識別情報と、交通機関のクレジットカード加盟店としての情報を識別する加盟店識別情報と、を対応付けて記憶することができる。交通機関識別情報は交通機関を識別する情報である。加盟店識別情報は、交通機関のクレジットカード加盟店としての情報を識別する情報である。加盟店識別情報は、例えば、決済装置を管理する金融機関と交通機関との間で締結された加盟店契約などに基づき、金融機関から交通機関に対して割り当てられる。交通機関識別情報には、加盟店識別情報のほか、交通機関の名称などが対応付けて記憶されていてもよい。
【0021】
本実施形態によれば、本来、本実施形態に係る駅端末、つまり、決済代行装置との間で所定のプロトコルに従った通信を行う機能を備えた駅端末を各駅に配置する必要がある。当該機能を備えない駅端末では、決済代行装置による通行制御を実行できない。しかるところ、乗車駅や降車駅ではない通過駅では通行制御を行う必要がない。また、本実施形態に係る駅端末を設置していない駅を通過駅とする直通運転時において、交通機関ごとに運賃を計算することができれば便利である。そこで、本実施形態では、決済代行装置が、乗車駅端末及び/又は降車駅端末を設置している交通機関の交通機関識別情報と交通機関のクレジットカード加盟店としての情報を識別する加盟店識別情報とを対応付けて記憶するとともに、乗車駅端末及び/又は降車駅端末を設置していない交通機関の交通機関識別情報と交通機関のクレジットカード加盟店としての情報を識別する加盟店識別情報とを対応付けて記憶するデータ構造を採用することとする。このようにすれば、すべての駅に本実施形態に係る駅端末を設置する必要がない。また、本実施形態に係る駅端末が設置されていない駅を通過駅とする直通運転時においても、交通機関ごとの運賃決済を実行することができる。もっとも、本発明はこのデータ構造に限定されるものではなく、本発明の決済代行装置には、決済代行装置が当該データ構造を持つ場合だけでなく、乗車駅端末及び/又は降車駅端末を設置している交通機関のみの交通機関識別情報と当該交通機関のクレジットカード加盟店としての情報を識別する加盟店識別情報とを対応付けて記憶するデータ構造を持つ場合も含まれる。
【0022】
(運賃情報テーブル)
図4は、運賃情報テーブルを説明する模式図である。
図4に示すように、決済代行装置は、例えばテーブル形式にて、クレジットカード情報と、加盟店識別情報と、運賃情報と、を対応付けて記憶することができる。
【0023】
(動作例)
図5A乃至
図5Cは、実施形態1に係る決済代行装置の動作例を説明する図である。
【0024】
以下では、利用客が、A駅からB駅とC駅を通過してD駅まで直通運転される電車に乗車する場合を一例として採り上げる。A駅は乗車駅であり、A駅を識別する駅識別情報は「123456」であるものとする。B駅は通過駅であり、B駅を識別する駅識別情報は「234567」であるものとする。C駅は通過駅であり、C駅を識別する駅識別情報は「345678」であるものとする。D駅は降車駅であり、D駅を識別する駅識別情報は「456789」であるものとする。
【0025】
また、A駅からB駅までの区間はX鉄道により運営されており、当該区間の運賃は300円であるものとする。また、B駅からC駅までの区間はY鉄道により運営されており、当該区間の運賃は200円であるものとする。また、C駅からD駅までの区間はZ電鉄により運営されており、当該区間の運賃は400円であるものとする。また、X鉄道を識別する交通機関識別情報はXであり、Y鉄道を識別する交通機関識別情報はYであり、Z電鉄を識別する交通機関識別情報はZであるとする。
【0026】
また、X鉄道は、決済装置を管理する金融機関のクレジットカード加盟店であり、当該加盟店を識別する加盟店識別情報は「001」であるものとする。また、Y鉄道も、決済装置を管理する金融機関のクレジットカード加盟店であり、当該加盟店を識別する加盟店識別情報は「002」であるものとする。また、Z電鉄も、決済装置を管理する金融機関のクレジットカード加盟店であり、当該加盟店を識別する加盟店識別情報は「003」であるものとする。
【0027】
また、X鉄道とZ電鉄が運営する駅には本実施形態に係る駅端末が設置されているが、Y鉄道が運営する駅には本実施形態に係る駅端末が配置されていないものとする。X鉄道の駅に設置されている駅端末が乗車駅端末であり、Z電鉄の駅に設置されている駅端末が降車駅端末となる。
【0028】
また、決済代行装置は、交通機関情報テーブルにおいて、X鉄道とZ電鉄の交通機関識別情報とこれら交通機関のクレジットカード加盟店としての情報を識別する加盟店識別情報とを対応付けて記憶するとともに、Y鉄道の交通機関識別情報とクレジットカード加盟店としての情報を識別する加盟店識別情報とを対応付けて記憶しているものとする。
【0029】
【0030】
(ステップ10)
まず、乗車駅端末は、例えば、利用客のクレジットカードやスマートフォンなどの利用者端末からクレジットカード情報を読み取る。
【0031】
(ステップ11)
次に、決済代行装置は、乗車駅端末から乗車駅を識別する駅識別情報を受信する。具体的には、決済代行装置は、X鉄道が運営するA駅の駅端末から駅識別情報「123456」を受信する。
【0032】
本ステップにおいて、決済代行装置は、乗車駅端末から、例えば、駅識別情報とともに、クレジットカード番号を一意に特定できる値を受信してもよい。乗車駅端末は、例えば、ステップ10で読み取ったクレジットカード情報に含まれるクレジットカード番号を用いて、クレジットカード番号を一意に特定できる値を生成や取得などすることができる。クレジットカード番号を一意に特定できる値の一例には、クレジットカード番号をパラメータとするハッシュ関数を求めて得られるハッシュ値、クレジットカード番号を暗号鍵で暗号化して得られる値、1などの所定の数字から順にインクリメントして得られるクレジットカード番号に一対一に対応する値などが含まれる。
【0033】
(ステップ12)
次に、決済代行装置は、ステップ11で受信した駅識別情報を運賃計算装置に送信する。具体的には、決済代行装置は、ステップ11で受信した駅識別情報「123456」を運賃計算装置に送信する。なお、ステップ11で駅識別情報とともにクレジットカード番号を一意に特定できる値を受信する場合、決済代行装置は、駅識別情報と当該値を運賃計算装置に送信する。
【0034】
(ステップ13)
次に、決済代行装置は、運賃計算装置から、乗車駅での通行制御に関する信号を受信する。当該信号の一例には、「正常」あるいは「異常」を示す情報が含まれる。当該信号は、例えば、二重乗車であるかどうかのチェック(例:サイクルチェック)の結果などに基づき生成される。
【0035】
(ステップ14)
次に、決済代行装置は、乗車駅端末に対して、ステップ13で運賃計算装置から受信した通行制御に関する信号を送信する。
【0036】
(ステップ15)
次に、乗車駅端末は、決済代行装置から受信した通行制御に関する信号に基づいて通行制御を行う。通行制御の一例には、例えば、受信した信号が正常を示すものであれば改札機の扉を開くあるいは開いたままとする制御、異常を示すものであれば改札機の扉を閉じるあるいは閉じたままとする制御のほか、駅端末などの画面に正常や異常であることを示す表示を行う制御などが含まれる。
【0037】
(ステップ16)
次に、決済代行装置は、乗車駅端末から乗車駅端末がステップ10で読み取ったクレジットカード情報を受信する。クレジットカード情報には、上記のとおり、例えば、クレジットカード番号のほか有効期限や発行国などの情報が含まれる。このように、駅端末における通行制御の後にクレジットカード情報を受信することにより、駅端末がクレジットカード情報の送信に優先して通行制御を実行することができるため、通行制御の実行に要する時間を短縮することができる。
【0038】
本ステップは、ステップ11において実行されてもよい。すなわち、決済代行装置は、ステップ11において、乗車駅端末から駅識別情報を受信するとともに、クレジットカード情報を受信してもよい。「前記乗車駅端末からクレジットカード情報を受信し」には、本実施形態のように、乗車駅端末から駅識別情報を受信した後に、クレジットカード情報を受信する形態のほか、本実施形態とは異なり、乗車駅端末から駅識別情報とともにクレジットカード情報を受信する形態が含まれる。
【0039】
(ステップ17)
次に、降車駅端末は、例えば、利用客のクレジットカードやスマートフォンなどの利用者端末からクレジットカード情報を読み取る。
【0040】
(ステップ18)
次に、決済代行装置は、降車駅端末から降車駅を識別する駅識別情報を受信する。具体的には、決済代行装置は、Z電鉄が運営するD駅の駅端末から駅識別情報「456789」を受信する。
【0041】
本ステップにおいて、決済代行装置は、ステップ11の場合と同様に、降車駅端末から、例えば、駅識別情報とともに、クレジットカード番号を一意に特定できる値を受信してもよい。
【0042】
(ステップ19)
次に、決済代行装置は、ステップ18で受信した受信した駅識別情報を運賃計算装置に送信する。具体的には、決済代行装置は、ステップ18で受信した駅識別情報「456789」を運賃計算装置に送信する。
【0043】
ステップ18で駅識別情報とともにクレジットカード番号を一意に特定できる値を受信する場合、決済代行装置は、ステップ12の場合と同様に、駅識別情報と当該値を運賃計算装置に送信する。運賃計算装置は、ステップ12と本ステップで、決済代行装置からクレジットカード番号を一意に特定できる値を受信する場合は、当該値を用いて、ステップ12で決済代行装置から受信した乗車駅の駅識別情報と本ステップで決済代行装置から受信した降車駅の駅識別情報を用いて、利用客がどの駅から電車に乗り、どの駅で電車から降りたのかを求めることができる。本実施形態の例でいうと、運賃計算装置は、A駅が乗車駅であり、D駅が降車駅であるとして、運賃計算を実行することができる。
【0044】
(ステップ20)
次に、決済代行装置は、運賃計算装置から、降車駅での通行制御に関する信号と、交通機関識別情報と、交通機関識別情報により識別される交通機関ごとの運賃情報と、を受信する。具体的には、決済代行装置は、運賃計算装置から、X鉄道の交通機関識別情報Xと運賃情報300円、Y鉄道の交通機関識別情報Yと運賃情報200円、Z電鉄の交通機関識別情報Zと運賃情報400円を受信する。通行制御に関する信号の一例は、ステップ13の場合と同様であるので、説明を省略する。
【0045】
(ステップ21)
次に、決済代行装置は、降車駅端末に対して、ステップ20で運賃計算装置から受信した通行制御に関する信号を送信する。なお、本ステップにおいて、決済代行装置は、ステップ20で受信した交通機関ごとの運賃情報の和(つまり、A駅からD駅までの合計運賃900円)を計算し、その計算結果を通行制御に関する信号とともに、降車駅端末に送信してもよい。また、合計運賃は、決済代行装置で計算するのではなく、運賃計算装置で計算してこれを運賃計算装置から決済代行装置に送信してもよい。その場合、決済代行装置は、運賃計算装置から受信した合計運賃を通行制御に関する信号とともに、降車駅端末に送信することができる。
【0046】
(ステップ22)
次に、降車駅端末は、決済代行装置から受信した通行制御に関する信号に基づいて通行制御を行う。降車駅での通行制御は、基本的にはステップ15で説明した乗車駅での通行制御と同じであるが、これに加えて、さらに、例えば駅端末に運賃情報を表示するなどの制御を行うことが可能である。
【0047】
(ステップ23)
次に、決済代行装置は、降車駅端末から降車駅端末がステップ17で読み取ったクレジットカード情報を受信する。駅端末における通行制御の後にクレジットカード情報を受信することにより、ステップ16の場合と同様に、駅端末がクレジットカード情報の送信に優先して通行制御を実行することができるため、通行制御の実行に要する時間を短縮することができる。なお、ステップ16の場合と同様に、本ステップは、ステップ18において実行されてもよい。すなわち、決済代行装置は、ステップ18において、降車駅端末から駅識別情報を受信するとともに、クレジットカード情報を受信してもよい。「前記降車駅端末からクレジットカード情報を受信し」には、本実施形態のように、降車駅端末から駅識別情報を受信した後に、クレジットカード情報を受信する形態のほか、本実施形態とは異なり、降車駅端末から駅識別情報とともにクレジットカード情報を受信する形態が含まれる。
【0048】
(ステップ24)
次に、決済代行装置は、ステップ16とステップ23で乗車駅端末及び降車駅端末からそれぞれ受信したクレジットカード情報の一方と、ステップ20で運賃計算装置から受信した交通機関識別情報に対応付けて記憶されている加盟店識別情報と、ステップ20で運賃計算装置から受信した運賃情報と、を対応付けて記憶する。具体的には、X鉄道の加盟店識別情報001と運賃情報300円とステップ16とステップ23で乗車駅端末及び降車駅端末からそれぞれ受信したクレジットカード情報の一方とを対応付けて記憶し、Y鉄道の加盟店識別情報002と運賃情報200円とステップ16とステップ23で乗車駅端末及び降車駅端末からそれぞれ受信したクレジットカード情報の一方とを対応付けて記憶し、Z電鉄の加盟店識別情報003と運賃情報400円とステップ16とステップ23で乗車駅端末及び降車駅端末からそれぞれ受信したクレジットカード情報の一方とを対応付けて記憶する。なお、決済代行装置は、例えば、
図3の交通機関情報テーブルから、ステップ20で運賃計算装置から受信した交通機関識別情報に対応付けて記憶されている加盟店識別情報を読み出し、この読み出した加盟店識別情報をクレジットカード情報と運賃情報に対応付けて記憶する。
【0049】
(ステップ25)
次に、決済代行装置は、ステップ24で対応付けて記憶した加盟店識別情報とクレジットカード情報と運賃情報とを決済装置に送信する。例えば、決済代行装置は、決済装置に対して、X鉄道の加盟店識別情報001と運賃情報300円とクレジットカード情報とを対応付けて送信し、Y鉄道の加盟店識別情報002と運賃情報200円とクレジットカード情報とを対応付けて送信し、Z電鉄の加盟店識別情報003と運賃情報400円とクレジットカード情報とを対応付けて送信する。
【0050】
以上説明した実施形態1によれば、改札機などの駅端末に代わり、決済代行装置が決済装置に対して決済要求を行う。このため、駅端末は、決済装置からの応答を待つことなく、決済代行装置からの信号に応じて駅での通行制御を行うことができる。また、決済代行装置は、交通機関情報テーブルにおいて、X鉄道とZ電鉄の交通機関識別情報とこれら交通機関のクレジットカード加盟店としての情報を識別する加盟店識別情報とを対応付けて記憶するとともに、Y鉄道の交通機関識別情報とクレジットカード加盟店としての情報を識別する加盟店識別情報とを対応付けて記憶している。このため、駅端末が設置されていない駅を運営する交通機関を含めて、交通機関ごとの運賃決済を実行することができる。
【0051】
[実施形態2に係る決済代行装置]
図6は実施形態2に係る決済代行装置を備えたシステムの構成例を説明する模式図である。本実施形態は、決済代行装置が運賃計算処理を実行する点で、当該処理を決済代行装置とは別の運賃計算装置が実行する実施形態1と相違し、その他の点で実施形態1と同じ構成を有する。以下、実施形態2に係る決済代行装置の動作例を説明する。
【0052】
(ステップ40)
まず、乗車駅端末は、例えば、利用客のクレジットカードやスマートフォンなどの利用者端末からクレジットカード情報を読み取る。本ステップは上記したステップ10と同じステップである。
【0053】
(ステップ41)
次に、決済代行装置は、乗車駅端末から乗車駅を識別する駅識別情報を受信する。具体的には、決済代行装置は、X鉄道が運営するA駅の駅端末から駅識別情報「123456」を受信する。本ステップは上記したステップ11と同じステップである。ステップ11の場合と同様に、本ステップにおいて、決済代行装置は、乗車駅端末から、例えば、駅識別情報とともに、クレジットカード番号を一意に特定できる値を受信してもよい。
【0054】
(ステップ42)
次に、決済代行装置は、乗車駅端末に対して、通行制御に関する信号を送信する。当該信号は、ステップ14で説明したものと同じものである。
【0055】
(ステップ43)
次に、乗車駅端末は、決済代行装置から受信した通行制御に関する信号に基づいて通行制御を行う。本ステップの通行制御は、ステップ15と同じものである。
【0056】
(ステップ44)
次に、決済代行装置は、乗車駅端末から乗車駅端末がステップ40で読み取ったクレジットカード情報を受信する。本ステップは、ステップ16と同じステップである。ステップ16の場合と同様に、本ステップはステップ41において実行されてもよい。
【0057】
(ステップ45)
次に、降車駅端末は、例えば、利用客のクレジットカードやスマートフォンなどの利用者端末からクレジットカード情報を読み取る。本ステップはステップ17と同じステップである。
【0058】
(ステップ46)
次に、決済代行装置は、降車駅端末から降車駅を識別する駅識別情報を受信する。具体的には、決済代行装置は、Z電鉄が運営するD駅の駅端末から駅識別情報「456789」を受信する。本ステップは上記したステップ18と同じステップである。ステップ18の場合と同様に、本ステップにおいて、決済代行装置は、降車駅端末から、例えば、駅識別情報とともに、クレジットカード番号を一意に特定できる値を受信してもよい。
【0059】
(ステップ47)
次に、決済代行装置は、降車駅端末に対して、通行制御に関する信号を送信する。当該信号は、ステップ21で説明したものと同じものである。
【0060】
(ステップ48)
次に、降車駅端末は、決済代行装置から受信した通行制御に関する信号に基づいて通行制御を行う。本ステップの通行制御は、ステップ22で説明したものと同じであるので、説明を省略する。
【0061】
(ステップ49)
次に、決済代行装置は、降車駅端末から降車駅端末がステップ45で読み取ったクレジットカード情報を受信する。本ステップは、ステップ23と同じステップである。ステップ23の場合と同様に、本ステップはステップ46において実行されてもよい。
【0062】
(ステップ50)
次に、決済代行装置は、ステップ41で乗車駅端末から受信した駅識別情報とステップ46で降車駅端末から受信した駅識別情報とを用いて交通機関ごとの運賃情報を算出する。具体的には、決済代行装置は、X鉄道の運賃情報として300円を算出し、Y鉄道の運賃情報として200円を算出し、Z電鉄の運賃情報として400円を算出する。ステップ19で説明したのと同様に、ステップ41とステップ46で、決済代行装置からクレジットカード番号を一意に特定できる値を受信する場合は、当該値を用いて、決済代行装置は、ステップ41で受信した駅識別情報により識別される駅が乗車駅であり、ステップ46で受信した駅識別情報により識別される駅が降車駅であるとして、運賃計算を実行することができる。
【0063】
(ステップ51)
次に、決済代行装置は、ステップ44とステップ49で乗車駅端末及び降車駅端末からそれぞれ受信したクレジットカード情報の一方と、ステップ50で運賃情報を算出した交通機関を識別する交通機関識別情報に対応付けて記憶されている加盟店識別情報と、ステップ50で算出した運賃情報と、を対応付けて記憶する。具体的には、X鉄道の加盟店識別情報001と運賃情報300円とステップ44とステップ49で乗車駅端末及び降車駅端末からそれぞれ受信したクレジットカード情報の一方とを対応付けて記憶し、Y鉄道の加盟店識別情報002と運賃情報200円とステップ44とステップ49で乗車駅端末及び降車駅端末からそれぞれ受信したクレジットカード情報の一方とを対応付けて記憶し、Z電鉄の加盟店識別情報003と運賃情報400円とステップ44とステップ49で乗車駅端末及び降車駅端末からそれぞれ受信したクレジットカード情報の一方とを対応付けて記憶する。
【0064】
(ステップ52)
次に、決済代行装置は、ステップ51で対応付けて記憶した加盟店識別情報とクレジットカード情報と運賃情報とを決済装置に送信する。具体的には、決済代行装置は、決済装置に対して、X鉄道の加盟店識別情報001と運賃情報300円とクレジットカード情報とを対応付けて送信し、Y鉄道の加盟店識別情報002と運賃情報200円とクレジットカード情報とを対応付けて送信し、Z電鉄の加盟店識別情報003と運賃情報400円とクレジットカード情報とを対応付けて送信する。
【0065】
実施形態1に係る決済代行装置は、決済代行装置とは別に運賃計算装置を構築や管理などすることが可能であり、複数の交通機関が相互乗り入れしている路線などのように、運賃計算の処理が比較的複雑になる場合に好ましく適用することができる。これに対し、実施形態2に係る決済代行装置は、決済代行装置と運賃計算装置を同じデバイスの中に作り込むことが可能であり、2点間の駅が決まれば運賃が容易に計算できる1社の交通機関が運営する路線などのように、運賃計算が比較的シンプルな場合に好ましく適用することができる。
【0066】
以上、実施形態について説明したが、これらの説明は一例を示すものであり、これらの説明によって請求の範囲に記載された構成は何ら限定されるものではない。上記の説明と異なる形態であっても、請求の範囲に記載された構成を備える形態であれば、本発明の効果を奏するものであり、本発明に含まれる。
【要約】
改札機などの駅端末に代わり、決済代行装置が決済装置に対して決済要求を行う。駅端末は、決済装置からの応答を待つことなく、決済代行装置からの信号に応じて駅での通行制御を行うことができる。