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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-12
(45)【発行日】2024-09-24
(54)【発明の名称】セキュリティリレー
(51)【国際特許分類】
   H01H 47/00 20060101AFI20240913BHJP
   H01H 45/00 20060101ALI20240913BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
H01H47/00 Z
H01H45/00 Z
H02J13/00 311M
H02J13/00 311K
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2024513849
(86)(22)【出願日】2023-12-25
(86)【国際出願番号】 JP2023046369
【審査請求日】2024-02-29
(73)【特許権者】
【識別番号】395023613
【氏名又は名称】株式会社システムデザイン
(74)【代理人】
【識別番号】100074169
【弁理士】
【氏名又は名称】広瀬 文彦
(72)【発明者】
【氏名】飯田 光浩
(72)【発明者】
【氏名】福城 茂生
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-168162(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0358722(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 47/00
H01H 45/00
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部からの信号によって外部回路(10)の通電の可否を制御するためのセキュリティリレーにおいて、
前記セキュリティリレー(1)は、電磁石(310)を有する電磁部(300)と、前記電磁石への通電に伴い可動接点(410)と固定接点(420)とを接触または離間する接点部(400)と、を備える有接点リレーからなり、外部からの信号を受信するとともに、該受信した信号を解析した上で、解析結果を基に前記外部回路の通電の可否を判断する制御部(100)と、前記制御部(100)に対して電力を供給する電源供給部(200)と、を備え、
前記制御部(100)は、外部装置(20)から信号を受信するための受信部(110)を備え、前記外部装置(20)からの通電許可信号を前記受信部(110)が受信・解析することにより、前記外部回路(10)の通電の可否を判断した上で、前記外部回路(10)を通電状態にするとともに前記電磁部(300)に通電する通電処理を行うものであり、
前記電源供給部(200)は、前記電磁部(300)側のリレー端子と、前記接点部(400)のリレー端子との両方に接続される構成からなり、前記制御部(100)の電源を確保するため、前記電磁部(300)側のリレー端子間が非通電の時には、前記接点部(400)側のリレー端子から電力を取得して前記制御部(100)に制御機能を発揮するための電力を供給し、前記電磁部(300)側のリレー端子間が通電している時には、前記電磁部(300)側のリレー端子から電力を取得して前記制御部(100)に制御機能を発揮するための電力を供給することを特徴とするセキュリティリレー。
【請求項2】
外部からの信号によって外部回路(10)の通電の可否を制御するためのセキュリティリレーにおいて、
前記セキュリティリレー(1)は、入力信号に応じて指示を出す入力部(500)と、前記入力部(500)が出す指示によって動作する出力部(600)と、を備える半導体リレーからなり、外部からの信号を受信するとともに、該受信した信号を解析した上で、解析結果を基に前記外部回路の通電の可否を判断する制御部(100)と、前記制御部(100)に対して電力を供給する電源供給部(200)と、を備え、
前記制御部(100)は、外部装置(20)から信号を受信するための受信部(110)を備え、前記外部装置(20)からの通電許可信号を前記受信部(110)が受信・解析することにより、前記外部回路(10)の通電の可否を判断した上で、前記外部回路(10)を通電状態にするとともに前記入力部(500)に通電する通電処理を行うものであり、
前記電源供給部(200)は、前記入力部(500)側のリレー端子と、前記出力部(600)のリレー端子との両方に接続される構成からなり、前記制御部(100)の電源を確保するため、前記入力部(500)側のリレー端子間が非通電の時には、前記出力部側(600)のリレー端子から電力を取得して前記制御部(100)に制御機能を発揮するための電力を供給し、前記入力部(500)側のリレー端子間が通電している時には、前記入力部(500)側のリレー端子から電力を取得して前記制御部(100)に制御機能を発揮するための電力を供給することを特徴とするセキュリティリレー。
【請求項3】
外部からの信号によって外部回路(10)の通電の可否を制御するためのセキュリティリレーにおいて、
前記セキュリティリレー(1)は、入力信号を受信する入力部(700)と、前記入力部(700)が受けた信号によって動作する出力部(800)と、を備えるトランス結合リレーからなり、外部からの信号を受信するとともに、該受信した信号を解析した上で、解析結果を基に前記外部回路の通電の可否を判断する制御部(100)と、前記制御部(100)に対して電力を供給する電源供給部(200)と、を備え、
前記制御部(100)は、外部装置(20)から信号を受信するための受信部(110)を備え、前記外部装置(20)からの通電許可信号を前記受信部(110)が受信・解析することにより、前記外部回路(10)の通電の可否を判断した上で、前記外部回路(10)を通電状態にするとともに前記入力部(700)に通電する通電処理を行うものであり、
前記電源供給部(200)は、前記入力部(700)側のリレー端子と、前記出力部(800)のリレー端子との両方に接続される構成からなり、前記制御部(100)の電源を確保するため、前記入力部(700)側のリレー端子間が非通電の時には、前記出力部(800)側のリレー端子から電力を取得して前記制御部(100)に制御機能を発揮するための電力を供給し、前記入力部(700)側のリレー端子間が通電している時には、前記入力部(700)側のリレー端子から電力を取得して前記制御部(100)に制御機能を発揮するための電力を供給することを特徴とするセキュリティリレー。
【請求項4】
前記外部回路(10)は、ヒューズまたは開閉器による通電制御を行う回路からなり、前記セキュリティリレー(1)は、前記ヒューズの端子間または開閉器の通電の可否を制御することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載のセキュリティリレー。
【請求項5】
前記セキュリティリレー(1)は、前記外部回路(10)の電圧変動を検知することで、前記外部回路(10)の抜き取りを検知するための監視手段(900)を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項の何れかに記載のセキュリティリレー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リレーに関し、特に、外部からのリレー通電許可指示の有無により接続した外部回路への通電を制御することを可能とするセキュリティ機能を備えたセキュリティリレーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、様々な工夫が施されたリレーが数多く使用されており、多種多様な機能を有するリレーが開発されて使用されている。リレーは、機器の一部の端子に対する通電をトリガーとして、他の端子側の通電を制御する装置であり、例えば、大電流を流す際の安全性を確保したり、操作の確実性を確保するために用いられる装置である。近年では、通電制御のみならず、セキュリティ機能を備えたセキュリティリレーも存在する。
【0003】
種々の機能を備えるリレーに係る技術として、例えば、特開平8-168162号公報が存在する。ここでは、制御データを記憶しておく記憶手段と、情報を入力する入力手段と、外部との間で情報を通信する通信手段と、指示手段の指示するモードに対応して制御データの書き込みを制御する記憶制御手段とを備えた開閉器の入切操作などの制御機能、地絡保護や過電流保護などの保護機能、電流や電圧などの計測機能、シーケンスなどの上位制御装置との伝送機能を一体化して持つ、多機能保護リレーに関する技術が開示されている。
【0004】
この技術によれば、確かに、多くの機能を有するリレーを提供することが可能となるが、例えば、不正に接点装置を開閉するような異常事態には対応することが困難であることや、リレーが接続される外部回路の不正操作に対応することが困難であり、セキュリティの観点から十分な技術とは言えないものであった。
【0005】
リレーのセキュリティ機能は、通電を遮断して不正利用を排除することを可能とするために重要であり、自動車の電子部品をはじめとするリレーを利用する機器を、不正な操作から保護するという防犯上の観点から有効な機能であると考えられる。そこで、外部からのリレー通電許可指示の有無により外部回路の通電を制御するためのセキュリティ機能を備えたセキュリティリレーの開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平8-168162号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記問題を解決するために、外部からのリレー通電許可指示の有無により接続した外部回路への通電を制御することを可能とするセキュリティ機能を備えたセキュリティリレーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために本発明に係るセキュリティリレーは、外部からの信号によって外部回路の通電の可否を制御するためのセキュリティリレーであって、前記セキュリティリレーは、電磁石を有する電磁部と、前記電磁石への通電に伴い可動接点と固定接点とを接触または離間する接点部と、を備える有接点リレーからなり、外部からの信号を受信するとともに、該受信した信号を解析した上で、解析結果を基に前記外部回路の通電の可否を判断する制御部と、前記制御部に対して電力を供給する電源供給部と、を備え、前記制御部は、外部装置から信号を受信するための受信部を備え、前記外部装置からの通電許可信号を前記受信部が受信・解析することにより、前記外部回路の通電の可否を判断した上で、前記外部回路を通電状態にするとともに前記電磁部に通電する通電処理を行うものであり、前記電源供給部は、前記電磁部側のリレー端子と、前記接点部のリレー端子との両方に接続される構成からなり、前記制御部の電源を確保するため、前記電磁部側のリレー端子間が非通電の時には、前記接点部側のリレー端子から電力を取得して前記制御部に制御機能を発揮するための電力を供給し、前記電磁部側のリレー端子間が通電している時には、前記電磁部側のリレー端子から電力を取得して前記制御部に制御機能を発揮するための電力を供給する構成である。
【0010】
また、本発明に係るセキュリティリレーは、外部からの信号によって外部回路の通電の可否を制御するためのセキュリティリレーであって、前記セキュリティリレーは、入力信号に応じて指示を出す入力部と、前記入力部が出す指示によって動作する出力部と、を備える半導体リレーからなり、外部からの信号を受信するとともに、該受信した信号を解析した上で、解析結果を基に前記外部回路の通電の可否を判断する制御部と、前記制御部に対して電力を供給する電源供給部と、を備え、前記制御部は、外部装置から信号を受信するための受信部を備え、前記外部装置からの通電許可信号を前記受信部が受信・解析することにより、前記外部回路の通電の可否を判断した上で、前記外部回路を通電状態にするとともに前記入力部に通電する通電処理を行うものであり、前記電源供給部は、前記入力部側のリレー端子と、前記出力部のリレー端子との両方に接続される構成からなり、前記制御部の電源を確保するため、前記入力部側のリレー端子間が非通電の時には、前記出力部側のリレー端子から電力を取得して前記制御部に制御機能を発揮するための電力を供給し、前記入力部側のリレー端子間が通電している時には、前記入力部側のリレー端子から電力を取得して前記制御部に制御機能を発揮するための電力を供給する構成でもある。
【0011】
更に、本発明に係るセキュリティリレーは、外部からの信号によって外部回路の通電の可否を制御するためのセキュリティリレーであって、前記セキュリティリレーは、入力信号を受信する入力部と、前記入力部が受けた信号によって動作する出力部と、を備えるトランス結合リレーからなり、外部からの信号を受信するとともに、該受信した信号を解析した上で、解析結果を基に前記外部回路の通電の可否を判断する制御部と、前記制御部に対して電力を供給する電源供給部と、を備え、前記制御部は、外部装置から信号を受信するための受信部を備え、前記外部装置からの通電許可信号を前記受信部が受信・解析することにより、前記外部回路の通電の可否を判断した上で、前記外部回路を通電状態にするとともに前記入力部に通電する通電処理を行うものであり、前記電源供給部は、前記入力部側のリレー端子と、前記出力部のリレー端子との両方に接続される構成からなり、前記制御部の電源を確保するため、前記入力部側のリレー端子間が非通電の時には、前記出力部側のリレー端子から電力を取得して前記制御部に制御機能を発揮するための電力を供給し、前記入力部側のリレー端子間が通電している時には、前記入力部側のリレー端子から電力を取得して前記制御部に制御機能を発揮するための電力を供給する構成でもある。
【0012】
また、前記外部回路は、ヒューズまたは開閉器による通電制御を行う回路からなり、前記セキュリティリレーは、前記ヒューズの端子間または開閉器の通電の可否を制御する構成である。
また、前記セキュリティリレーは、前記外部回路の電圧変動を検知することで、前記外部回路の抜き取りを検知するための監視手段を備えた構成である。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、上記詳述した通りの構成であるので、以下のような効果がある。
1.セキュリティリレーに制御部を設ける構成としたため、制御部が受信した信号を基に外部回路に対する通電の可否を制御可能となり、セキュリティを確保することが可能となる。また、電源供給部を設けたため、制御部の電源を任意に切り替えて供給することが可能となり、確実に制御部の電源を確保することが可能となる。
2.セキュリティリレーの基本構造を有接点リレーとしたため、コストを抑制した簡易的な構造で制御部による通電制御を行うことが可能となる。また、電磁部側または接点部側の電源を切り替えることで、電源を確保することが可能となる。
【0014】
3.セキュリティリレーの基本構造を半導体リレーとしたため、機械式に比べて耐用年数が長く故障の少ない、高速で耐圧性のある、セキュリティ機能を有する小型のリレーを提供することが可能となる。
4.セキュリティリレーの基本構造をトランス結合リレーとしたため、より耐用年数が長く故障の少ない、セキュリティ機能を有するリレーを提供することが可能となる。
【0015】
5.外部回路をヒューズまたは開閉器としたため、自動車などの運行制御においてリレーのみならずヒューズ等を介して、認証された外部装置からの信号がないと通電・運行が出来ないようにセキュリティを確保することが可能となる。
6.セキュリティリレーに監視手段を設けたため、外部回路に対する不正が発生したことを容易に検知でき、より高度なセキュリティを確保することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係るセキュリティリレーを、図面に示す実施例に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明に係るセキュリティリレーの概念図であり、図2は、機械式セキュリティリレーの概念図である。図3は、半導体リレーからなるセキュリティリレーの概念図であり、図4は、トランス結合リレーからなるセキュリティリレーの概念図である。
【0017】
本発明のセキュリティリレー1は、図1に示すように、制御部100と、電源供給部200と、を備えるリレーであり、リレーの基本構造として、機械式、半導体式、トンランス結合式を選択することが可能なセキュリティリレーであり、外部からのリレー通電許可指示等の信号により、外部回路の通電の可否に係る制御を可能としたセキュリティ機能を備えたセキュリティリレーである。
【0018】
制御部100は、外部からの信号Sを受信するとともに、受信した信号Sを解析した上で、解析結果を基にセキュリティリレー1が接続される外部回路10の通電の可否を判断する部材である。セキュリティリレー1は、図1に示すように、外部回路10へ接続されている。制御部100は、受信した信号Sが認証可能な信号であるか否かを解析した上で、認証可能である場合に、電接続された外部回路10の通電を開始する。すなわち、セキュリティリレー1が接続された外部回路10を備える電子機器等は、信号Sの認証がないと、起動することが出来ない構成であり、これによりセキュリティを保つことが可能となる。
【0019】
電源供給部200は、制御部100に対して電力を供給する部材である。本実施例では、制御部100に対する電力として、後述するリレー端子からの電力を選択し、または切り替えて、制御部100の電源として電力を供給する。
【0020】
本実施例では、図1に示すように、電源供給部200は、セキュリティリレーの入力側端子(端子Aおよび端子B)、および、出力側端子(端子Cおよび端子D)の両方に接続され、入力側の端子間が非通電の時には、電源供給部200は、出力側の端子から電力を取得して制御部100に制御機能を発揮するための電力を供給する。この電力は、微弱であるため、セキュリティリレー1が制御する外部回路10が接続される電子機器等には影響を与えない。
【0021】
入力側の端子(端子Aおよび端子B)間が通電している場合には、出力側の端子から電力を取得することが出来なくなる。そこで、電源供給部200は、入力側の端子から電力を取得することで、制御部100に制御機能を発揮するための電力を供給する。この構成とすることにより、制御部100の電源を切り替えることが可能となり、確実に制御部100の電源を確保することが可能となる。なお、電源供給部200の動作の詳細については後述する。
【0022】
制御部100は、図1に示すように、本実施例では、受信部110を備える構成である。受信部110は、スマートフォンやスマートキーなど通信機能を有する外部装置20が発する信号を受信する。外部装置20からの通電許可信号を、受信部110が受信・解析することにより、外部回路10への通電の可否を判断する。外部装置20からの通電許可信号が認証されると、外部回路10に通電を行うよう制御部100が制御を行う構成である。
【0023】
本実施例では、制御部100と外部装置20との通信は、Bluetooth(登録商標)暗号化通信を用いており、ペアリングによって、制御部100と外部装置20との認証・通信を行う構成であるが、この構成に限定されることはなく、Wi-Fiなどの他の通信規格を利用することはもちろん可能である。
【0024】
上記構成とすることにより、例えば、自動車のキーの解錠・施錠、エンジン始動の際に、認証されたスマートキーまたは認証されたスマートフォンを保有していないと、自動車と通信ができないため、自動車内の通電が開始されず、自動車を全く動かすことが出来ない構成とすることが可能となり、自動車の盗難回避など、セキュリティの確保が容易に可能となる。また、セキュリティリレー1自体に細工を施してリレーの通電を可能としたとしても、セキュリティリレー1が接続されている外部回路10への通電が開始されないため、自動車を動かすことが出来ないこととなり、更に高度なセキュリティを確保することが可能となる。本構成により、強固なセキュリティが実現可能となり、認証された外部装置20からの信号がないと外部回路10へ通電させ、始動させることが出来ないというセキュリティを確保することが可能となった。
【0025】
次に、セキュリティリレー1の実施例について説明する。本発明に係るセキュリティリレー1は、図2に示すように、リレーの構造として、有接点リレーを選択することが可能である。本実施例では、電磁石310を有する電磁部300と、電磁石310への通電に伴い、可動接点410と固定接点420とを接触または離間する接点部400と、を備える有接点リレーからなる構成である。
【0026】
より詳細には、電磁部300は、接点部400側の通電/非通電を切り替えるための部材であり、図1に示すように、本実施例では、コイルを有する電磁石310を備える。電磁部300側の端子(端子Aおよび端子B)間の通電により、端子間に設けられた電磁石310が磁力を発生する。
【0027】
接点部400は、接続された電子機器への電力の供給を行うための部材であり、本実施例では、図1に示すように、可動接点410と固定接点420とを備える。電磁部300の電磁石310への通電により発生した磁力によって、可動接点410が固定接点420に接する事により、接点部400側の端子(端子Cおよび端子D)間が通電し、電子機器に電力が供給される。また、電磁部300への通電が遮断された際に、可動接点410と固定接点420との接触が解除され、端子C-D間の通電が遮断され、電子機器への電力の供給が停止する構成である。
【0028】
制御部100は、外部装置20からの通電許可信号を受信部110が受信・解析することにより、外部回路10を通電状態にするとともに電磁部300に通電する通電処理を行う。
【0029】
電源供給部200は、図2に示すように、電磁部300側のリレー端子(端子Aおよび端子B)と、接点部400のリレー端子(端子Cおよび端子D)との両方に接続される構成からなる。電磁部300側のリレー端子間が非通電の時には、接点部400側のリレー端子から電力を取得した上で、制御部100に対して制御機能を発揮するための電力を供給する。また、電磁部300側のリレー端子間が通電している時には、電磁部300側のリレー端子から電力を取得した上で、制御部100に対して制御機能を発揮するための電力を供給する構成である。この構成とすることにより、確実に制御部100の電源を確保することが可能となり、セキュリティを確保する事が可能となる。
【0030】
本発明に係るセキュリティリレー1は、図3に示すように、リレーの構造として、半導体リレーを選択することが可能である。この実施例では、入力信号に応じて指示を出す入力部500と、入力部500が出す指示によって動作する出力部600と、を備える半導体リレーからなる構成である。
【0031】
より詳細には、入力部500は、出力部600側の通電/非通電を切り替えるための部材であり、一実施例として、図3に示すように、発光素子510を備える入力回路からなる構成とすることが可能である。発光素子510は、本実施例ではLEDからなり、LEDが通電することにより、発光して光信号を発する構成である。
【0032】
出力部600は、本発明のセキュリティリレー1が設置される電子機器への電力の供給を行うための部材であり、本実施例では、例えば、図3に示すように、受光素子610を備える構成とすることが可能である。入力部500の発光素子510への通電による光信号の発信によって、受光素子610が該光信号を感知して電流が流れ、駆動回路630を駆動させることにより、出力回路620が通電可能となり出力部600側の端子(端子Cおよび端子D)間が通電し、電子機器に電力が供給される。また、入力部500への通電が遮断された際に、発光素子510による光信号が解除され、端子C-D間の通電が遮断され、電子機器への電力の供給が停止する構成である。
【0033】
なお、本実施例では、セキュリティリレー1を構成する半導体リレーの入力部500と出力部600は、ソリッドステート・リレー(SSR)の構成を用いることが可能である。また、発光素子510および受光素子610としては、フォトカプラ、フォトトライアック、LEDとフォトダイオードアレイの組み合わせなど、適宜構成を選択して使用することが可能である。また、駆動回路630は、ゼロクロス回路およびトリガー回路からなる構成とすることが可能である。更に、出力部600の出力回路620には、サイリスタやトライアック、MOSFET等を適宜選択して用いることが可能である。更に、発光素子510および受光素子610を用いない構成を選択することも、もちろん可能である。
【0034】
制御部100は、外部装置20からの通電許可信号を受信部110が受信・解析することにより、外部回路10を通電状態にするとともに、入力部500に通電する通電処理を行う。
【0035】
電源供給部200は、図3に示すように、入力部500側のリレー端子(端子Aおよび端子B)と、出力部600のリレー端子(端子Cおよび端子D)との両方に接続される構成からなる。入力部500側のリレー端子間が非通電の時には、出力部600側のリレー端子から電力を取得した上で、制御部100に制御機能を発揮するための電力を供給する。また、入力部500側のリレー端子間が通電している時には、入力部500側のリレー端子から電力を取得した上で、制御部100に対して制御機能を発揮するための電力を供給する構成である。この構成とすることにより、確実に制御部100の電源を確保することが可能となり、セキュリティを確保する事が可能となる。
【0036】
本発明に係るセキュリティリレー1のリレー構造を、上記構造からなる半導体リレーとすることにより、機械式の構成と比較して、耐用期間が長くなり、リレーが故障して使用不能となる事態を長期に渡って防止することが可能となった。また、動作が高速であるため、迅速に動作するセキュリティ機能を有したセキュリティリレー1を提供する事が可能となった。更に、小型化を図ることが可能となるため、設置場所の制限が少なくなり、利便性の高いセキュリティリレー1を提供することが可能となった。
【0037】
本発明に係るセキュリティリレー1の他の実施例として、図4に示すように、リレーの構造として、トランス結合リレーを選択することが可能である。この実施例では、入力信号を受信する入力部700と、入力部700が受けた信号によって動作する出力部800と、を備えるトランス結合リレーからなる構成である。
【0038】
より詳細には、入力部700は、出力部800側の通電/非通電を切り替えるための部材であり、本実施例では、図4に示すように、リレーを構成するトランスの一次コイル710からなる。また、出力部800は、本発明のセキュリティリレー1が設置される電子機器への電力の供給を行うための部材であり、本実施例では、図4に示すように、リレーを構成するトランスの二次コイル810を備える。
【0039】
すなわち、トランスの一次コイル710に通電すると、電磁誘導によって二次コイル810に電流が流れる。これにより、出力部800側が通電可能となり、出力部800側の端子(端子Cおよび端子D)間が通電し、電子機器に電力が供給される。また、入力部700への通電が遮断された際には、電磁誘導導作用がなくなるため、二次コイル810側の通電が停止し、端子C-D間の通電が遮断され、電子機器への電力の供給が停止する構成である。本実施例では、セキュリティリレー1を構成する入力部700と出力部800は、トランスからなり、鉄芯(図示せず)に一次コイル710と二次コイル810が捲回された構造からなる。
【0040】
制御部100は、外部装置20からの通電許可信号を受信部110が受信・解析することにより、外部回路10を通電状態にするとともに、入力部700に通電する通電処理を行う。
【0041】
電源供給部200は、図4に示すように、入力部700側のリレー端子(端子Aおよび端子B)と、出力部800のリレー端子(端子Cおよび端子D)との両方に接続される構成からなる。入力部700側のリレー端子間が非通電の時には、出力部800側のリレー端子から電力を取得した上で、制御部100に制御機能を発揮するための電力を供給する。また、入力部700側のリレー端子間が通電している時には、入力部700側のリレー端子から電力を取得した上で、制御部100に対して制御機能を発揮するための電力を供給する構成である。この構成とすることにより、確実に制御部100の電源を確保することが可能となり、セキュリティを確保する事が可能となった。
【0042】
本発明に係るセキュリティリレー1のリレー構造を、上記構造からなるトランス結合リレーとすることにより、機械式の構成と比較して、耐用期間が長くなり、リレーが故障して使用不能となる事態を長期に渡って防止することが可能となり、利便性の高いセキュリティリレー1を提供することが可能となった。
【0043】
外部回路10は、本実施例では、ヒューズまたは開閉器による通電制御を行う回路からなる。すなわち、本発明に係るセキュリティリレー1は、ヒューズの端子間または開閉器の通電の可否を制御する構成である。この構成とすることにより、例えば、自動車などの運行制御において、リレーのみならずヒューズ等を介して、認証された外部装置からの信号がないと通電・運行が出来ないようにセキュリティを確保することが可能となった。すなわち、電源をリレー端子から取得した上で、リレー以外の制御を容易に行うことが可能となり、充分なセキュリティを確保することが可能となった。
【0044】
本発明に係るセキュリティリレー1は、図2乃至図4に示すように、監視手段900を備える構成とすることが可能である。監視手段900は、セキュリティリレー1が接続して制御する外部回路10の電圧変動を検知する。これにより、外部回路10が抜き取られたり、不正操作が行われたりしたことを検知する。この構成とすることにより、外部回路10に対する不正が発生したことを容易に検知でき、より高度なセキュリティを確保することが可能となった。
【0045】
本発明に係るセキュリティリレー1は、上記のように自動車に用いるほか、工作機械、家電、建物の施錠・解錠など、あらゆる機器に用いることが可能であり、既存のリレーと置き換えるだけで、容易にセキュリティ機能を追加することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】本発明に係るセキュリティリレーの概念図
図2】機械式セキュリティリレーの概念図
図3】半導体リレーからなるセキュリティリレーの概念図
図4】トランス結合リレーからなるセキュリティリレーの概念図
【符号の説明】
【0047】
1 セキュリティリレー
S 信号
10 外部回路
20 外部装置
100 制御部
110 受信部
200 電源供給部
300 電磁部
310 電磁石
400 接点部
410 可動接点
420 固定接点
500 入力部
510 発光素子
600 出力部
610 受光素子
620 出力回路
630 駆動回路
700 入力部
710 一次コイル
800 出力部
810 二次コイル
900 監視手段
【要約】
【課題】
外部からのリレー通電許可指示の有無により接続した外部回路への通電を制御することを可能とするセキュリティ機能を備えたセキュリティリレーを提供する。
【解決手段】
外部からの信号によって外部回路の通電の可否を制御するためのセキュリティリレーであって、前記セキュリティリレーは、外部からの信号を受信するとともに、該受信した信号を解析した上で、解析結果を基に前記外部回路の通電の可否を判断する制御部と、前記制御部に対して電力を供給する電源供給部と、を備え、前記制御部は、外部装置から信号を受信するための受信部を備え、前記外部装置からの通電許可信号を前記受信部が受信・解析することにより、前記外部回路の通電の可否を判断した上で、通電処理を行う構成である。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4