(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】ポリテトラフルオロエチレン樹脂チューブの製造方法
(51)【国際特許分類】
C08J 7/00 20060101AFI20240917BHJP
C08J 7/04 20200101ALI20240917BHJP
B29C 48/09 20190101ALI20240917BHJP
F16L 11/04 20060101ALI20240917BHJP
【FI】
C08J7/00 301
C08J7/04 Z CEW
B29C48/09
F16L11/04
(21)【出願番号】P 2020088944
(22)【出願日】2020-05-21
【審査請求日】2023-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000211156
【氏名又は名称】中興化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】島田 肇
(72)【発明者】
【氏名】菅澤 淳
【審査官】山本 晋也
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-323923(JP,A)
【文献】特開2007-237597(JP,A)
【文献】特開2012-092901(JP,A)
【文献】特開平10-337405(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J
B32B
B01D
F16L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリテトラフルオロエチレン樹脂チューブの製造方法であって、
ポリテトラフルオロエチレンファインパウダーを含む混和物を押出成形してチューブ状の押出成形品を得ることと、
前記押出成形品に対し延伸処理を行わずに第1焼成を行なって第1チューブ状前駆体を得ることと、
前記第1焼成を行った後、別の処理を行わずにポリテトラフルオロエチレンディスパージョンを前記第1チューブ状前駆体の外表面に塗布して第2チューブ状前駆体を得ることと、
前記第2チューブ状前駆体に対し第2焼成を行うこととを含む、製造方法。
【請求項2】
前記押出成形品は、20μm以下の肉厚を有する、請求項1に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリテトラフルオロエチレン樹脂チューブの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂チューブは、潤滑性、耐薬品性、及び耐熱性等に優れていることから、幅広い分野で応用されている。チューブが使用される機器等の小型化に伴い、チューブの外径の小径化と同時の内径の大径化が求められつつある。このような要求には、例えば、チューブの薄肉化により答えることができる。
【0003】
PTFE樹脂チューブを製造する方法のうち、PTFE樹脂の分散液(ディスパージョン)を使用するディップコーティング-焼成法は、薄肉のチューブの製造に適している。しかし、当該製造法で得られるチューブでは、強度が不足がちになる。
【0004】
対して、押出成形法により得られるチューブには高い強度を期待できるものの、押出成形による薄肉チューブの製造は難しい。例えば、樹脂ペーストの押出成形により肉厚が薄いチューブを製造した場合、得られるチューブにピンホールが発生しやすい。
【0005】
特許文献1(特開2006-205680号公報)には、ディップコーティング-焼成法で得られるPTFE樹脂チューブの強度を改善するために、肉厚を適度に高く調整することが記載されている。単純にコーティング及び焼成を交互に繰り返すことで肉厚を調整できるものの、焼成を多く繰り返すと樹脂の熱劣化が過度に進行してしまう問題がある。この問題を解消する手段として、特許文献1では、重ね塗りの回数を減らしつつも所望の肉厚に調整されたPTFE薄肉チューブを得る方法を採用している。具体的には、純粋なPTFE樹脂分散液の焼成層を内層として形成し、外層として増粘剤入りのPTFE樹脂分散液の焼成層を形成している。外層の形成に用いる分散液に含ませる増粘剤の添加量を調節することによって、内層の外周への分散液のコーティング厚を調整できる。一回のコーティング厚を厚くすることで、重ね塗りの回数を減らすことができる。
【0006】
特許文献2(国際公開WO2008/102878)には、押出成形によりPTFE成形品を製造する際、二次粒子ではなく一次粒子であるPTFE粉末を分散液に用いることで、50μm以下の厚みを有する成形品を得る方法が記載されている。
【0007】
特許文献3(特開平10-337405号公報)には、多孔質構造層と非多孔質構造層とが厚み方向に一体化されたフッ素樹脂チューブの製造方法として、フッ素樹脂チューブを少なくとも1軸方向に延伸して配向形成し、このチューブの外面または内面にフッ素樹脂の水性懸濁液を塗布し、該チューブを延伸軸方向に固定した状態で焼成することが記載されている。フッ素樹脂の材料粉末と液状潤滑剤との混和物をチューブ状に押出し次いで液状潤滑剤を加熱除去して得られたチューブは、少なくとも1軸方向に延伸することで多孔質化される。一方の面に塗布した懸濁液を焼成することで、非多孔質層が形成される。多孔質構造層と非多孔質構造層とが厚み方向に一体化されているため、薬剤等を真空脱気する装置における膜材として用いたときに、優れた脱気処理効率を発揮するとともに処理液のチューブ透過を防止できる。脱気処理の膜材として機能するにあたって、チューブには一定以上の肉厚、例えば、0.1 mm以上の肉厚が必要になると予想される。
【0008】
特許文献4(特開2007-237597号公報)には、電離放射線の吸収線量が200~4000GyであるPTFE樹脂を用いることで、肉厚が7~50μmと薄いPTFE製チューブが得られることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2006-205680号公報
【文献】国際公開WO2008/102878
【文献】特開平10-337405号公報
【文献】特開2007-237597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、高歩留りである、薄肉のポリテトラフルオロエチレン樹脂チューブの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
ポリテトラフルオロエチレン樹脂チューブの製造方法は、ポリテトラフルオロエチレンファインパウダーを含む混和物を押出成形してチューブ状の押出成形品を得ることと、前記押出成形品に対し延伸処理を行わずに第1焼成を行なって第1チューブ状前駆体を得ることと、第1焼成を行った後、別の処理を行わずにポリテトラフルオロエチレンディスパージョンを前記第1チューブ状前駆体の外表面に塗布して第2チューブ状前駆体を得ることと、前記第2チューブ状前駆体に対し第2焼成を行うこととを含む。
【発明の効果】
【0012】
上記製造方法により、薄肉のポリテトラフルオロエチレン樹脂チューブを高い歩留りで製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】フッ素樹脂チューブの製造方法の一例を概略的に示す断面図。
【
図2】一例のPTFE樹脂チューブを概略的に示す斜視図。
【
図3】
図2に示す仮想面III-III’に沿った断面図。
【
図4】
図2に示す仮想面IV-IV’に沿った断面図。
【
図5】一例の第1チューブ状前駆体を概略的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
発明の実施形態に係るポリテトラフルオロエチレン樹脂チューブの製造方法は、ポリテトラフルオロエチレンファインパウダーを含む混和物を押出成形してチューブ状の押出成形品を得ることと、該押出成形品に対し第1焼成を行なって第1チューブ状前駆体を得ることと、ポリテトラフルオロエチレンディスパージョンを第1チューブ状前駆体の外表面に塗布して第2チューブ状前駆体を得ることと、第2チューブ状前駆体に対し第2焼成を行うこととを含む。
【0015】
四フッ化エチレン樹脂、即ち、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂を含む材料を肉厚が薄いチューブ状に押出成形し、得られた押出成形品を焼成して得られる薄肉チューブでは、ピンホールが発生しやすい。このチューブの外表面にPTFEの分散液(ディスパージョン)を塗布した後に焼成することにより、ピンホールを埋めることができる。チューブの長さ方向に沿った側面に分散液を塗布することが望ましい。これにより、薄肉チューブの高歩留り製造を達成できる。
【0016】
即ち、第1ポリテトラフルオロエチレン粉末(第1PTFE粉末)を含む混和物を押出成形してチューブ状の押出成形品を得て、該押出成形品に対し第1焼成を行なって第1チューブ状前駆体を得て、第2ポリテトラフルオロエチレン粉末(第2PTFE粉末)を含む分散液を第1チューブ状前駆体の外表面に塗布して第2チューブ状前駆体を得て、第2チューブ状前駆体に対し第2焼成を行うことで、薄肉なピンホールレスチューブを高い歩留りで製造できる。
【0017】
PTFEファインパウダーとして、PTFE成形品の押出成形に汎用されている材料を用いることができる。ファインパウダーとは、乳化重合で得られた水性分散液を凝析・乾燥して得られるものである。ファインパウダーは、例えば、重合により生成した1次粒子が凝集して粒径100μm程度の2次粒子となったものを主体とし得る。
【0018】
PTFEファインパウダーは、充填剤や添加剤等を含まない、PTFEのみの粉末であることが望ましい。即ち、PTFEファインパウダーは、PTFEから成ることが望ましい。PTFEファインパウダーは、バージンPTFEパウダーであることが好ましい。
【0019】
PTFEファインパウダーに対し、吸収線量200Gy以上4000Gy以下の電離放射線を照射してもよい。上記量の電離放射線を照射することにより、押出成形時の圧力を低減できる。200Gy以上の吸収線量により、押出圧力の低減効果が得られる。4000Gy以下の吸収線量であれば、押出成形品の機械的強度が低下しない。電離放射線としては、電磁波としてのX線,γ線,荷電粒子としてのβ線,陽電子,電子,α線,陽子,重陽子,重イオン,中間子、その他荷電を持たない素粒子の単独あるいはこれらの混合放射線が挙げられる。
【0020】
例えば、PTFEファインパウダーに潤滑剤等の押出助剤を混合することで、ペースト状の混和物を得ることができる。PTFEファインパウダーを含んだ混和物をチューブ状に押出成形することで、チューブ形状の押出成形品を得ることができる。この押出成形品に対し焼成(第1焼成)を実施することで、単層のチューブ形状を有するPTFE成形品、即ち第1チューブ状前駆体が得られる。
【0021】
押出助剤としては、例えば、汎用されているソルベントナフサ(例えば、登録商標:Isoper E、エクソン化学社製)、ホワイトオイル、炭素数6乃至12の流動パラフィン(例えば、登録商標:カクタスノルマルパラフィンN-10、(株)ジャパンエナジー製)を挙げることができる。
【0022】
PTFEファインパウダーと押出助剤とを混合して得られる混和物は、押出成形に供する前に熟成してもよい。また、熟成させた混和物を圧縮して、圧縮成型体(ビレット)を造ってもよい。圧縮することにより、PTFEファインパウダーにおける空気を除き、押出成形品の均一性を向上させることができる。圧縮成型体の形状は特に限定されないが、例えば、円柱形状であり得る。圧縮成型体を押出機に入れ、押出成形を行う。
【0023】
押出成形は、得られる押出成形品の肉厚が20μm以下になる条件で行うことが望ましい。押出成形品の肉厚が15μm以下になる条件がより好ましく、肉厚が10μm以下になる条件が更に好ましい。肉厚が薄い程、ピンホールが発生しやすくなる傾向があるが、後段でPTFEディスパージョンを塗布してピンホールを埋めることができる。
【0024】
押出成形の際、加熱を行ってもよい。例えば、押出成形機の金型(例えば、ダイ又はダイス)の温度を40℃以上95℃以上に設定することで、加熱しながら押出成形を行ってもよい。金型を50℃以上60℃以下に加熱することが好ましい。
【0025】
押出成形品の焼成(第1焼成)における焼成温度は、特に限定されるものではない。PTFEの融点390℃を超える温度、例えば、400℃以上の温度で焼成することが望ましい。
【0026】
焼成に先駆けて、押出成形品を乾燥させることでPTFE樹脂を結晶化させることが好ましい。乾燥により助剤を除去できるという側面もあるが、典型的な押出助剤は200℃程度で揮発するため、予め除去しなくても焼成時に揮発する。
【0027】
押出成形において、芯線を用いてもよい。PTFEファインパウダーを含んだ混和物により芯線の外周を被覆するように押出成形を行うことで、芯線上にチューブ状の押出成形品を形成できる。また、芯線上の押出成形品をそのまま焼成(第1焼成)に供することで、芯線を被覆した形態の第1チューブ状前駆体を得ることができる。芯線を被覆した形態であれば、PTFEディスパージョンを第1チューブ状前駆体の外表面に塗布する際、連続的なコーティング法を採用しやすくなる。
【0028】
芯線としては、例えば、銅、アルミニウム等の金属から成る金属線、又は樹脂から成る芯材を用いることができる。芯線の径は、所望のチューブ内径に応じて適宜変更することができる。
【0029】
PTFEファインパウダーを用いて得られた押出成形品に対して別の処理を行わずに、第1焼成まで完了することが望ましい。例えば、未焼成の押出成形品を延伸すると、ピンホールを起点にチューブが裂けたり、更にピンホールが発生したりするおそれがある。特に、チューブ径を拡大させるように放射方向へ延伸すると、長手方向に沿ってチューブが裂ける恐れがある。押出成形により得られたチューブでは、樹脂が押出方向に沿うように配向している。薄肉のチューブであっても配向により長手方向への強度が確保されている一方で、それに交差する方向への強度は弱い。ピンホールがある部分では配向が不規則になっており、何れの方向への延伸によってもチューブが裂けやすい。従って、第1焼成を行う前の押出成形品に対し延伸処理をしないことが望ましい。第1焼成を行った後であっても、延伸を行うと上記の不具合が生じるおそれがある。
【0030】
PTFEディスパージョンは、分散媒と、この分散媒中のPTFE粉末とを含む。PTFEディスパージョンとして、ディップコーティング法等の、被覆により樹脂チューブを成形する手法にて汎用されている材料を用いることができる。例えば、PTFEディスパージョンは、乳化重合によりPTFE粉末を水性分散媒に分散させた水性分散液である。PTFEディスパージョンは、PTFE粉末を含んだ懸濁液(サスペンション)であり得る。
【0031】
PTFEディスパージョンに含まれているPTFE粉末は、充填剤や添加剤等を含まない、PTFEのみの粉末であることが望ましい。即ち、PTFEディスパージョンは、PTFEから成る粉末が分散媒中に分散しているものであることが望ましい。PTFEディスパージョンは、バージンPTFEのディスパージョンであることが好ましい。
【0032】
分散媒は、例えば、水等であり得る。PTFEディスパージョンの組成は特に限定されるものではなく、例えば、ディップコーティング法等の手法において汎用されている組成の分散液や懸濁液を用いることができる。
【0033】
PTFEディスパージョンを第1チューブ状前駆体の外表面に塗布することで、第2チューブ状前駆体を得る。第1チューブ状前駆体の外側の全面にPTFEディスパージョンを塗布することが望ましい。PTFEディスパージョンを塗布するには、例えば、第1チューブ状前駆体をPTFEディスパージョンに浸漬させることができる。具体的には、芯線上に形成した第1チューブ状前駆体を用いたディップコーティング方式を採用することが好ましい。ディップコーティング方式では、第1チューブ状前駆体ごと芯線をPTFEディスパージョン中に通して、一定速度で引き上げることにより、均一なコーティング厚を形成できる。
【0034】
第1チューブ状前駆体にPTFEディスパージョンを塗布して得られた第2チューブ状前駆体を焼成する。こうして、ピンホールが塞がった、ピンホールレス樹脂チューブが得られる。また、第1チューブ状前駆体の外側の全面にPTFEディスパージョンを塗布して得られた第2チューブ状前駆体を焼成することで、2層構造のPTFE樹脂チューブが得られる。
【0035】
PTFEディスパージョンを一度塗布し、その後の焼成を行った後、得られたチューブの外面にPTFEディスパージョンをさらに塗布し、焼成を行ってもよい。分散液の塗布および焼成を交互に繰り返すことで、チューブの肉厚を所望の厚みに調整することもできる。
【0036】
或いは、PTFEディスパージョンの塗布および焼成を行った後、PTFE粉末と充填剤とを含んだ複合材料を含んだ充填剤入り分散液を塗布し、焼成(第3焼成)を行ってもよい。充填剤として、例えば、イミド樹脂の粉末をPTFE粉末に混合することができる。PTFE粉末とイミド樹脂粉末との混合粉末を用いて外層を形成することで、チューブ外面の耐摩耗性を向上させることができる。また、充填剤として、例えば、炭素材料等の導電性を有する材料を含ませることで、電気的性質をチューブに付与することができる。但し、第1チューブ状前駆体の外表面に直接塗布する分散液は、充填剤を含まないPTFEディスパージョンとする。
【0037】
PTFEファインパウダーを用いて得られた押出成形品に対する第1焼成を行った後、別の処理を行わずにPTFEディスパージョンを第1チューブ状前駆体に塗布することが望ましい。例えば、第1チューブ状前駆体を延伸すると、焼成前の押出成形品の場合と同様にピンホールを起点にチューブが裂けたり、更にピンホールが発生したりするおそれがある。従って、第1チューブ状前駆体に対し延伸処理をしないことが望ましい。
【0038】
第1焼成の後、PTFEディスパージョンの塗布に適した温度まで第1チューブ状前駆体を冷ますことだけを行い、続けて第1チューブ状前駆体にPTFEディスパージョンを塗布することが望ましい。例えば、押出成形の際に芯線上に押出成形品を形成し、PTFEディスパージョンの塗布を行うまで一貫して同じ芯線を用い、第1焼成後の第1チューブ状前駆体が形成された芯線をそのまま送り出してPTFEディスパージョンに浸漬させることで、第1焼成から分散液の塗布までを続けて行ってもよい。或いは、第1焼成を行った後、第1チューブ状前駆体を、例えば、巻取りロールに一旦巻き取ってもよい。第1チューブ状前駆体を巻き取ったロールを供給ロールとして用いて、分散液の塗布を改めて開始してもよい。
【0039】
フッ素樹脂チューブの製造方法の具体例を、図面を参照しながら説明する。
図1は、フッ素樹脂チューブの製造方法の一例を概略的に示す断面図である。この例では、押出成形法により芯線上に第1チューブ状前駆体を形成した後、同じ芯線上に第1チューブ状前駆体を保持したまま続けてディップコーティング法によるPTFEディスパージョンの塗布へと移行する。
【0040】
押出成形機50が備える押出金型51にPTFEファインパウダーを含む混和物20が充填される。混和物20は、PTFEファインパウダーと押出助剤等の他の材料との混合物である。混和物20は、例えば、PTFEファインパウダーを含んだペーストであり得る。或いは、混和物20は、PTFEファインパウダーを含んだ圧縮成型体(ビレット)であり得る。
【0041】
押出金型51の内部に芯線4が供給されている。芯線4は、押出金型51の内側を通り抜けて、押出金型51の吐出口52から外部へ引き出されている。
【0042】
押出用ラム53が吐出口52へ向かって動かされることにより、混和物20が圧縮されながら芯線4とともに吐出口52から押し出される。こうして、芯線4の外周を覆うチューブ状の押出成形品21が得られる。
【0043】
芯線4の線径を調整することで、押出成形品21のチューブ内径を制御できる。芯線4を用いない場合は、例えば、押出金型51内にコアピンを設置し、コアピンの径によりチューブ内径を制御できる。押出金型51の吐出口52の口径を調整することで、押出成形品21の外径を制御できる。また、外径を制御するために、例えば、適切な寸法のサイジングダイスを用いてもよい。芯線4の線径(又はコアピン径)及び吐出口52の口径(又はダイス寸法)の調整により、押出成形品の肉厚を制御できる。
【0044】
芯線4上の押出成形品21は、乾燥炉61に供給されて、そこで乾燥(第1乾燥)に供される。押出成形品21を乾燥させることにより、PTFE樹脂の結晶化が促進される。続いて、押出成形品21は加熱炉62に供給され、そこで第1焼成に供される。第1焼成により、芯線4を被覆した形態で第1チューブ状前駆体22が得られる。
【0045】
芯線4上の第1チューブ状前駆体22は、冷却装置63を経由して、浴槽71内の分散液30へ供給される。分散液30は、PTFEディスパージョンである。冷却装置63による冷却の手段は特に限定されず、例えば、空冷および水冷等を含み得る。冷却装置63を省略して、その代わりに加熱炉62から浴槽71までの距離が長くなるようにガイドローラー90の配置や数を設定し、放熱時間を稼いでもよい。また、ガイドローラー90の配置及び数は、
図1に示すものに限られない。
【0046】
第1チューブ状前駆体22(及びその中にある芯線4)は、分散液30に浸漬された後、引き上げられる。当該ディップコーティングを経由して分散液30が第1チューブ状前駆体22の外表面に塗布され、第1チューブ状前駆体22とその外周を被覆する分散PTFE被膜31とを含む第2チューブ状前駆体10が得られる。この時、第1チューブ状前駆体22に生じていたピンホールに分散液30の一部が充填される。
【0047】
芯線4の外周を被覆している第1チューブ状前駆体22と、その更に外周を被覆している分散PTFE被膜31とを含んだ第2チューブ状前駆体10は、乾燥炉81及び加熱炉82に順次供給され、乾燥(第2乾燥)および第2焼成に供される。第2焼成を経由して、内層2と外層3とを含んだ2層構造のPTFE樹脂チューブ1が得られる。なお、内層2は、第1チューブ状前駆体22が第2焼成により再度加熱されたものに対応する。
【0048】
芯線4上のPTFE樹脂チューブ1は、冷却装置83を経由して、巻取りロール91へ供給される。冷却装置83による冷却の手段は特に限定されず、例えば、空冷および水冷等を含み得る。冷却装置83を省略して、その代わりに加熱炉82から巻取りロール91までの距離が長くなるようにガイドローラー90の配置や数を設定し、放熱時間を稼いでもよい。また、ガイドローラー90の配置及び数は、
図1に示すものに限られない。PTFE樹脂チューブ1は、芯線4を含んだまま、巻取りロール91に巻き取られる。
【0049】
使用時に芯線4を抜去することで、中空構造のPTFE樹脂チューブ1を使用できる。例えば、
図2-
図4に示す構造のPTFE樹脂チューブ1を得ることができる。
図2は、一例のPTFE樹脂チューブを概略的に示す斜視図である。
図3及び
図4は、
図2に示す仮想面III-III’及びIV-IV’にそれぞれ沿って切断した断面図である。
【0050】
図2に示すPTFE樹脂チューブ1は、中空の円筒形状を有する。当該例では、PTFE樹脂チューブ1は、円筒の放射方向へ内層2及び外層3が積層されている2層構造を有する。
図3に示すように、PTFE樹脂チューブ1の長手方向に沿う一部にて内層2及び外層3が各々円形の断面を有し得る。一方で、
図4に示すように、他の部分では内層2の断面形状が完全な円になっていない状態にあり得る。内層2が欠けている部分には、外層3の一部である突起33が入り込み得る。
【0051】
突起33は、第1チューブ状前駆体22に生じたピンホールに充填された分散液30から形成されたものである。
図5に、第1チューブ状前駆体に分散液30を塗布する前の状態の断面図を示す。具体的には、
図5は、
図1に示す位置Aを通過するときの第1チューブ状前駆体22の断面図であって、ピンホール23を含む断面図である。第1チューブ状前駆体22が第2PTFE粉末を含んだ分散液30の中を通り抜ける際、該分散液(PTFEディスパージョン)が第1チューブ状前駆体22の外周に付着すると共にその一部がピンホール23に入り込む。第2焼成によりピンホール23に入った分散液が突起33になり、ピンホール23が塞がれる。
【0052】
上記例は、2層構造のPTFE樹脂チューブの製造の一例であるが、実施の形態は上記の例に限定されるものではない。例えば、分散液30による塗布および続く焼成の回数は、
図1に示したように1回に限られず、例えば、それぞれ2回以上行ってもよい。また、第2焼成の後、例えば、充填剤を含んだ分散液等、上記分散液30とは異なる組成の分散液を外層3の外表面に更に塗布および焼成し、3層構造のPTFE樹脂チューブを製造することもできる。その他、第1焼成を行った後、芯線4と第1チューブ状前駆体22とをロールに一旦巻き取り、これを供給ロールとして用いて改めて分散液30へ供給してもよい。また、芯線4を用いずに、押出成形およびPTFEディスパージョンのコーティングを行うこともできる。
【0053】
芯線4を用いない場合は、例えば、
図6に示す構造の押出成形機を用いることができる。
図6は、一例の押出成形機の概略断面図である。
【0054】
図示する例の押出成形機は、シリンダー51a及び該シリンダー51aの下部にシールリング51bを介して配置されているダイ51cを有する。また、このダイ51cの下部には、外周部にバンドヒーター54が巻かれたダイス51dが配置されている。シリンダー51aの内側には、ラム53aやラムヘッド53bを介してマンドレル55が配置されている。マンドレル55の下部には、コアピン51eが連結されている。一般的には、ダイス51dの先端部(下端部)には、センターリングブッシュ56が挿着される。
【0055】
なお、ダイ51cにおける中央部の傾斜した傾斜角(θ)は、例えば、30°以上60°以下であり得る。高絞り比(RR:Reduction Ratio)にて成形する場合においては、傾斜角(θ)は10°以上20°以下とすることが好ましい。また、ダイス部分はバンドヒーター54等により、例えば、50℃以上60℃以下に加熱することができる。
【0056】
こうした構成の押出機において、
図6に示すように、シリンダー-マンドレル部の断面積をS
1、ダイス-コアピンの断面積をS
2としたとき、上記RRはS
1/S
2となり、RRが高いほど絞り比が大きくなる。
【0057】
図7は、他の例の押出成形機の概略断面図である。
図7は、
図1に示した押出成形機50のより詳細な図に該当し得る。
図7については、
図6と同部材は同符番を付して説明する。当該押出成形機はコアピンを有さず、ガイドチューブ57を有する。このガイドチューブ57内に芯線4が挿入される。ダイス51dのストレート部とガイドチューブ57間には、クリアランスが設けられている。なお、押出成形機は、シリンダー51a及びダイ51cの外周に、2分割された筒状の枠体58a,58b及びこれら枠体58a,58bを固定する環状のクランプ59をさらに有し得る。
【0058】
以下のとおり、2層構造のチューブが得られていることを確認できる。チューブの主軸を交差する切断面にてチューブを切断することで、断面を露出させる。チューブの断面を光学顕微鏡により観察する。チューブの内層は押出成形に適したPTFEファインパウダーから形成されており、外層は分散液の塗布-焼成に適したPTFEディスパージョン用のPTFE粉末から形成されている。PTFEファインパウダーとディスパージョン用PTFE粉末とで、粒子径、透明度、及び分子量等の少なくとも1つが異なり得る。そうした場合に、チューブ断面の観察により、内層と外層とを区別することができる。
【0059】
切断および観察するチューブは、芯線上に設けられたままのチューブでもよく、或いは、芯線を抜き取ってからチューブを切断および観察してもよい。芯線がない状態ではチューブがつぶれやすいため、少なくとも切断は、芯線が入った状態で行うことが望ましい。
【0060】
切断面の位置に応じて、観察される断面が異なる。第1チューブ状前駆体にてピンホールが生じていた位置を切断面が交差した場合は、
図4と同様に内層2の断面が完全な輪になってなく、外層3の内面に突起33が形成されている状態の断面が観察され得る。ピンホールが生じていた何れの位置も切断面が交差しなかった場合は、
図3と同様に内層2と外層3との何れの断面もが完全な輪型になっている状態のチューブ断面が観察され得る。
【0061】
チューブの各層を形成する樹脂材料は、次のようにして確認できる。示差走査熱量計(DSC)を用い、融点を測定することで樹脂材料がPTFEであることを確認することが可能である。
【0062】
PTFE樹脂チューブにおけるピンホールの有無は、次のようにして確認できる。芯線を被覆しているままの状態のチューブの場合は、スパークテスターを使用し、外径と芯線間で通電の有無を確認する。通電が確認された場合は、ピンホールがあると判断する。芯線を含まないチューブ単独の状態の場合は、チューブの片端を封止し、もう一方の端部からエアーを導入後、水中でリークが無いかを確認する。エアー漏れが確認される場合は、ピンホールがあると判断する。
【0063】
[実施例]
<製造>
本実施例では特許文献4(特開2007-237597号公報)を参考に押出成形および第1焼成を行い、得られた第1チューブ状前駆体を成形品の外表面にPTFEディスパージョンを塗布し、第2焼成を行うことで、PTFE樹脂チューブを製造した。実施形態は、本実施例に限られない。例えば、押出成形時に薄肉押出し品を得る方法としては、γ線を照射する代わりに薄肉押し出しに適した樹脂を用いる方法やフッ素樹脂助剤を用いる方法等、その他の方法を用いても良い。
【0064】
(実施例1)
図1を参照しながら説明した製造方法と同様の方法により、PTFE樹脂チューブを製造した。詳細には、次のとおりである。
【0065】
PTFEファインパウダーとしては、ケマーズ社製PTFE 640-Jを用いた。この樹脂にCo60(電離放射線)を線源とするγ線を3000Gyの吸収線量にて照射処理した。
【0066】
PTFEディスパージョンとしては、旭硝子(株)製のAD-912を用いた。
【0067】
次に、電離放射線を照射した樹脂パウダー(PTFEファインパウダー)100質量部に対してナフサ21質量部を加えた後、ターブラーミキサーを用いて常温にて混合した。つづいて、この混合物を予備成形機にて円筒状に成形した後、φ2.6(mm)ダイス及びφ2.58(mm)コアピン(チップ)を取り付けたペースト押出機に投入し、押出成形した。得られた押出成形品を、180℃~200℃での第1乾燥および380℃~400℃での第1焼成に供した。
【0068】
第1焼成により得られた第1チューブ状前駆体を冷却後、その外表面にPTFEディスパージョンをディップコーティング法により塗布した。
【0069】
PTFEディスパージョンは界面活性剤と蒸留水を添加し、PTFE成分濃度を54wt%になるように調整したものを使用し、一定の速度で引き上げた。ついで、得られた第2チューブ状前駆体に対し、140℃~180℃での第2乾燥及び380℃~400℃での第2焼成を行った。得られた2層構造のポリテトラフルオロエチレン樹脂チューブを、冷却後、ロールに巻き取った。
【0070】
(実施例2)
まず、PTFEファインパウダーとしては、三井・デュポンフロロケミカル社製のテフロン(登録商標)640-Jを使用した。この樹脂にCo60(電離放射線)を線源とするγ線を3000Gyの吸収線量にて照射処理した。次に、電離放射線を照射した樹脂パウダー100質量部に対してナフサ21質量部を加えた後、ターブラーミキサーを用いて常温にて混合した。つづいて、この混合物を予備成形機にて円筒状に成形した後、φ2.6(mm)ダイス、またガイドチューブ(チップ)を取り付けた押出機に投入し、ガイドチューブの内径から外径φ2.58(mm)の銀メッキした銅線を芯材として通し、押出と同調させて引張り、180℃~200℃に設定した加熱炉にて押出助剤を除去した(第1乾燥)。次いで、380℃~400℃に設定した加熱炉を通り焼成させ、芯線の上にPTFE層が被覆された成形品を得た(第1焼成)。この後、この成形品を定尺にカットし、芯材である銀メッキされた銅線を両端から引張り、引き伸ばし、被覆したPTFE層から引き抜いて内径φ2.58mm、肉厚7μm~8μmのチューブを得た。
【0071】
次いで、得られたチューブの外表面に、実施例1と同様の条件で、PTFEディスパージョンを塗布し、第2乾燥および第2焼成を行った。得られた2層構造のポリテトラフルオロエチレン樹脂チューブを、冷却後、ロールに巻き取った。
【0072】
(比較例1)
押出成形のみ行って、PTFE樹脂チューブを製造した。即ち、押出成形品を焼成後、得られたチューブ状成形品にはPTFEディスパージョンを塗布しなかった。詳細には、実施例1と同様の手順により調製したPTFEファインパウダーを含む混和物を用い、実施例1と同様の条件で押出成形、第1乾燥、及び第1焼成を行った。第1焼成により得られたチューブ状成形品をそのままロールに巻き取った。
【0073】
(比較例2)
第1焼成を行う前に、押出成形品に対し延伸を行った。詳細には、実施例1と同様の条件で押出成形を行い、得られた押出成形品に対し第1乾燥を行った後、軸方向への2倍延伸を行った。延伸後の押出成形品を用いたことを除き、第1焼成以降の手順を実施例1と同様の条件で行った。
【0074】
下記表1に、実施例1-2及び比較例1-2におけるPTFE樹脂チューブの製造の条件をまとめる。具体的には、押出金型のサイズ、芯線の線径、及びPTFEディスパージョンをの塗布の有無を示す。なお、実施例1及び比較例1-2では芯線を用いていないため、芯線の線径については“-”と表記する。また、実施例2ではコアピンを用いていないため、コアピンのサイズについては“-”と表記する。
【0075】
【0076】
<評価>
(チューブの肉厚の確認)
実施例1-2及び比較例1-2にて製造した各チューブについて、次のようにして肉厚を測定した。チューブの主軸を交差する切断面にてチューブを切断することで、断面を露出させた。断面を光学顕微鏡で観察し、肉厚を測定した。
【0077】
(ピンホールの確認)
実施例1-2及び比較例1-2にて製造した各チューブについて、先に説明した方法によりピンホールの有無を確認した。具体的には、実施例1並びに比較例1及び2については、水中でエアーのリークの有無を確認する方法を採用し、実施例2についてはスパークテスターを使用する方法を採用した。
【0078】
下記表2に、確認したチューブ肉厚、及びピンホールの有無をまとめる。
【0079】
【0080】
表4が示すとおり、実施例1-2及び比較例1-2にて薄肉のチューブが得られた。実施例1-2で製造したPTFE樹脂チューブには、ピンホールがなかった。一方で、比較例1及び比較例2で製造したチューブには、ピンホールが含まれていた。
【0081】
以上説明した実施形態によればポリテトラフルオロエチレン樹脂チューブの製造方法が提供される。この製造方法では、PTFEファインパウダーを含む混和物の押出成形によりチューブ状の押出成形品を得ること、押出成形品に対する第1焼成を行なって第1チューブ状前駆体を得ること、PTFEディスパージョンを第1チューブ状前駆体の外表面に塗布して第2チューブ状前駆体を得ること、及び第2チューブ状前駆体に対する第2焼成を行うことを含んでいる。この製造方法では、薄肉のポリテトラフルオロエチレン樹脂チューブを高い歩留りで製造できる。
【0082】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] ポリテトラフルオロエチレン樹脂チューブの製造方法であって、
ポリテトラフルオロエチレンファインパウダーを含む混和物を押出成形してチューブ状の押出成形品を得ることと、
前記押出成形品に対し第1焼成を行なって第1チューブ状前駆体を得ることと、
ポリテトラフルオロエチレンディスパージョンを前記第1チューブ状前駆体の外表面に塗布して第2チューブ状前駆体を得ることと、
前記第2チューブ状前駆体に対し第2焼成を行うこととを含む、製造方法。
[2] 前記押出成形品は、20μm以下の肉厚を有する、[1]に記載の製造方法。
【符号の説明】
【0083】
1…PTFE樹脂チューブ、2…内層、3…外層、4…芯線、10…第2チューブ状前駆体、20…混和物、21…押出成形品、22…第1チューブ状前駆体、23…ピンホール、30…分散液、31…分散PTFE被膜、33…突起、50…押出成形機、51…押出金型、51a…シリンダー、51b…シールリング、51c…ダイ、51d…ダイス、51e…コアピン、52…吐出口、53…押出用ラム、53a…ラム、53b…ラムヘッド、54…バンドヒーター、55…マンドレル、56…センターリングブッシュ、57…ガイドチューブ、58a…枠体、58b…枠体、59…クランプ、61…乾燥炉、62…加熱炉、63…冷却装置、71…浴槽、81…乾燥炉、82…加熱炉、83…冷却装置、90…ガイドローラー、91…巻取りロール。