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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/84 20060101AFI20240917BHJP
   B60S 1/02 20060101ALI20240917BHJP
【FI】
H05B3/84
B60S1/02 400A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020187056
(22)【出願日】2020-11-10
(65)【公開番号】P2022076607
(43)【公開日】2022-05-20
【審査請求日】2023-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000220033
【氏名又は名称】東京コスモス電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梶 真志
【審査官】柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/022520(WO,A1)
【文献】特開2018-198145(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0314540(US,A1)
【文献】実開平01-145079(JP,U)
【文献】特開2017-228521(JP,A)
【文献】特開平05-144558(JP,A)
【文献】実開昭58-002887(JP,U)
【文献】特表2006-500789(JP,A)
【文献】特開2017-111937(JP,A)
【文献】特開2020-119879(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/84
B60S 1/02
H05B 3/20
B60R 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用の撮像装置であって、
車両のフロントガラスを介して車内から車外を撮像する撮像部と、
底部と後壁部と右側壁部と左側壁部とを有し、前記後壁部に前記撮像部を支持し、前記底部の前縁部と、前記後壁部の上縁部と、前記右側壁部及び前記左側壁部の上縁部とが前記フロントガラスに固定され、その内側に前記撮像部の前方を開放する開口部を形成する取付部であって、前記底部が台形状の平板形状を有し、後方側から前方側に向かうほど前記撮像部の画角に応じて幅方向に拡がるように形成された前記取付部と、
前記取付部の前記底部の裏面に配設され、自身の生じた熱を、前記底部を伝導して加熱対象である前記フロントガラスに向かって放散させる発熱装置と、
を備え、
前記発熱装置は、
自身の表面が前記取付部の前記底部の前記裏面に接するように配設された基板と、
前記基板の前記表面に沿って延びるように配置され、通電により発熱する第1の発熱部と、
前記基板の面方向に前記第1の発熱部を避けて、前記第1の発熱部の隙間に沿って延びるように前記基板の裏面に配置され、通電により発熱する第2の発熱部と、を有し、
前記第1の発熱部は、前記基板の前記表面上で、前記取付部の前記底部の後方側縁部に対応する位置に並んで配置された第1端子及び第2端子と、前記取付部の前記底部の全面に亘るように配置された第1延在部及び第2延在部とを有し、
前記第1延在部は、一端が前記第1端子に接続され、前記第1端子から前記基板の前記表面に沿って前記幅方向に蛇行しつつ、他端側が前記底部の前方側縁部まで延びるように配置されて、
前記第2延在部は、一端が前記第2端子に接続され、前記第2端子から前記基板の前記表面に沿って前記幅方向に蛇行しつつ、他端側が前記底部の前方側縁部まで延びるように配置されて、
前記第1延在部と前記第2延在部とは、前記他端側が前記底部の前方側縁部近傍で接続され、
前記第2の発熱部は、前記基板の前記裏面上で、前記取付部の前記底部の後方側縁部に対応する位置に並んで配置された第3端子及び第4端子と、前記取付部の前記底部の全面に亘るように配置された第3延在部及び第4延在部とを有し、
前記第3延在部は、一端が前記第3端子に接続され、前記第3端子から前記基板の前記表面に沿って前記幅方向に蛇行しつつ、他端側が前記底部の前方側縁部まで延びるように配置されて、
前記第4延在部は、一端が前記第4端子に接続され、前記第4端子から前記基板の前記表面に沿って前記幅方向に蛇行しつつ、他端側が前記底部の前方側縁部まで延びるように配置されて、
前記第3延在部と前記第4延在部とは、前記他端側が前記底部の前方側縁部近傍で接続されている、
撮像装置
【請求項2】
前記フロントガラスの車外の温度を測定する測定部と、
前記測定部で測定された温度情報に基づいて、前記第1の発熱部と前記第2の発熱部に対する通電状態を制御する制御部と、
を備える請求項1に記載の撮像装置
【請求項3】
前記第2の発熱部は、前記第1の発熱部と異なる発熱量を有する請求項1または2に記載の撮像装置
【請求項4】
前記第1の発熱部および前記第2の発熱部のうち少なくとも一方は、発熱量の異なる複数の発熱領域を形成するように部分的に異なる発熱量を有する請求項1~3のいずれか一項に記載の撮像装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、加熱対象を加熱する発熱装置が実用化されている。発熱装置は、例えば、車内からフロントガラスを介して車外を撮像する撮像装置に配置することができる。発熱装置が、フロントガラスを加熱することにより、フロントガラスの曇りを抑制して、撮像部の画質の低下を抑制することができる。ここで、発熱装置は、加熱対象を広い範囲で加熱することが求められる。
【0003】
そこで、加熱対象を広い範囲で加熱する技術として、例えば、特許文献1には、フロントガラスにおけるカメラ装置の前方に位置する部分の曇りを抑制する車載カメラ装置が提案されている。この車載カメラ装置は、通電により発熱する熱線をS字状に折り曲げて配置することにより、フロントガラスの広い範囲を加熱することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6303974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の車載カメラ装置は、S字状に折り曲げられた熱線の間に隙間が形成されるため、フロントガラスを均一に加熱することが困難であった。
【0006】
本開示は、加熱対象を均一に加熱する発熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る発熱装置は、基板と、基板の表面に沿って延びるように配置され、通電により発熱する第1の発熱部と、基板の面方向に第1の発熱部を避けるように基板の裏面に配置され、通電により発熱する第2の発熱部とを備えるものである。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、加熱対象を均一に加熱することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の実施の形態1に係る発熱装置を備えた撮像装置の構成を示す図である。
図2】撮像装置をフロントガラスに固定した様子を示す図である。
図3】発熱装置の構成を示す図である。
図4】発熱装置を製造する様子を示す図である。
図5】実施の形態2に係る発熱装置を備えたサイドミラーの構成を示す図である。
図6】実施の形態3の発熱装置の構成を示す図である。
図7】実施の形態4の発熱装置の構成を示す図である。
図8】実施の形態5の発熱装置の構成を示す図である。
図9】実施の形態6の発熱装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示に係る実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0011】
(実施の形態1)
図1に、本開示の実施の形態1に係る発熱装置を備えた撮像装置の構成を示す。撮像装置は、撮像部1と、取付部2と、発熱装置3とを有する。
【0012】
撮像部1は、図示しないフロントガラスを介して車外を撮像するもので、取付部2に取り付けられている。撮像部1は、例えば、カメラなどから構成することができる。
【0013】
取付部2は、撮像部1をフロントガラスに取り付けるためのもので、底部4と、後壁部5と、右側壁部6aと、左側壁部6bとを有する。取付部2は、絶縁性材料から形成することができる。
【0014】
底部4は、台形状の平板形状を有し、後部側に撮像部1が配置される。底部4は、後部から前部に向かうほど撮像部1の画角に応じて幅方向D1に拡がるように形成されている。
【0015】
後壁部5は、底部4の後縁部から上方に立ち上がるように配置され、撮像部1を取り付けるための窓部5aが形成されている。撮像部1は、窓部5aから取付部2の前方を撮像するように後壁部5に固定される。
【0016】
右側壁部6aおよび左側壁部6bは、底部4の両側縁部から上方に立ち上がるように配置され、上縁部が後壁部5の上縁部から底部4の前縁部に向かって下方に傾斜して延びるように形成されている。また、右側壁部6aおよび左側壁部6bは、底部4の拡がりに従って、後部から前部に向かうほど幅方向D1に拡がるように配置されている。
【0017】
底部4の前縁部、後壁部5の上縁部、右側壁部6aおよび左側壁部6bの上縁部からなる取付部2の縁部が接着剤などで車両のフロントガラスに固定され、その内側に撮像部1の前方を開放する開口部7が形成される。すなわち、開口部7は、撮像部1の撮像範囲に応じた大きさで前方に開口するように形成されている。
【0018】
発熱装置3は、底部4の裏面に配置され、通電により発熱するように形成されている。発熱装置3で生じた熱は、底部4を伝導して加熱対象であるフロントガラスに向かって放散されることにより、フロントガラスが加熱されることになる。
【0019】
図2に示すように、取付部2の縁部が車両のフロントガラスFに固定される。これにより、取付部2の開口部7が、撮像部1の前方を開放するように配置され、フロントガラスFを介して車両の前方が撮像部1で撮像される。
また、撮像装置は、電源8と、測定部9と、制御部10とをさらに有する。測定部9が制御部10を介して電源8に接続され、この電源8が発熱装置3に接続されている。
【0020】
電源8は、発熱装置3に給電して発熱装置3を発熱させるものである。
測定部9は、フロントガラスFの環境情報を測定するもので、例えば車外と車内の温度を測定する温度計などから構成することができる。
【0021】
制御部10は、測定部9で測定された環境情報に基づいて電源8のオンとオフを切り換えて、発熱装置3によるフロントガラスFの加熱を制御する。
【0022】
次に、発熱装置3の構成について詳細に説明する。
【0023】
図3に示すように、発熱装置3は、基板11と、発熱部12および13とを有する。
基板11は、発熱部12および13を支持するもので、平板形状を有し、絶縁性材料から構成されている。
【0024】
発熱部12は、基板11の表面に沿って幅方向D1に蛇行しつつ、幅方向D1に直交する交差方向D2に延びるように配置されている。発熱部12は、導電性材料から形成され、通電により発熱するように所定の抵抗値を有する。ここで、発熱部12は、端子14aおよび14bと、延在部15aおよび15bとを有する。
【0025】
端子14aおよび14bは、電源8に電気的に接続されるもので、基板11の縁部11a側に幅方向D1に並んで配置されている。
【0026】
延在部15aは端子14aに接続されると共に、延在部15bは端子14bに接続されている。延在部15aおよび15bは、端子14aおよび14bからそれぞれ幅方向D1に蛇行しつつ基板11の縁部11b側に向かって延びるように配置され、縁部11b近傍で互いに接続されている。
【0027】
このとき、延在部15aおよび15bは、互いに内側に入り込むように蛇行方向を揃えて形成されている。すなわち、延在部15aが基板11の一側部側へ蛇行する部分では、その内側に入り込むように延在部15bが一側部側へ蛇行し、延在部15bが基板11の他側部側へ蛇行する部分では、その内側に入り込むように延在部15aが他側部側へ蛇行する。
【0028】
これにより、延在部15aと延在部15bに挟まれた部分に隙間16が形成され、延在部15a同士または延在部15b同士に挟まれた部分に隙間17が形成される。ここで、隙間16は、幅方向D1に延びる隙間16aと、交差方向D2に延びる隙間16bとを交互に接続するように形成される。また、隙間17は、幅方向D1に延びるように形成される。そして、隙間16aと隙間17が、交差方向D2に交互に並ぶように配置される。
【0029】
発熱部13は、基板11の裏面に沿って幅方向D1に蛇行しつつ交差方向D2に延びるように配置されている。発熱部13は、導電性材料から形成され、通電により発熱するように所定の抵抗値を有する。発熱部13は、発熱部12とほぼ同じ抵抗値を有するように発熱部12とほぼ同じ材料およびほぼ同じ断面積で形成されている。ここで、発熱部13は、端子18aおよび18bと、延在部19aおよび19bとを有する。
【0030】
端子18aおよび18bは、電源8に電気的に接続されるもので、基板11の縁部11a側に幅方向D1に並んで配置されている。このとき、端子18aは端子14aを基板11の一側部側に避けるように配置されると共に、端子18bは端子14bを基板11の他側部側に避けるように配置されている。
【0031】
延在部19aは端子18aに接続されると共に、延在部19bは端子18bに接続されている。延在部19aおよび19bは、端子18aおよび18bからそれぞれ幅方向D1に蛇行しつつ基板11の縁部11b側に向かって延びるように配置され、基板11の縁部11b近傍で互いに接続されている。
【0032】
そして、延在部19aおよび19bは、基板11の面方向に延在部15aおよび15bを避けるように基板11の裏面に配置されている。具体的には、延在部19aおよび19bは、延在部15aと延在部15bから形成される隙間16および17に沿って延びるように配置される。このとき、延在部19aおよび19bは、延在部15aおよび15bに交差する部分でのみ延在部15aおよび15bと重なり、延在部15aおよび15bと同じ方向に延びる部分が延在部15aおよび15bを避けるように配置されている。
【0033】
また、延在部19aおよび19bは、交差方向D2に隣り合う隙間16aと隙間17に沿って延びるように形成されたU字部分を有し、延在部19aのU字部分と延在部19bのU字部分とが交差方向D2に交互に並ぶように配置されている。そして、延在部19aは、基板11の一側部側の隙間16bに沿って延びるように形成された直線部分によりU字部分が互いに接続されている。同様に、延在部19bは、基板11の他側部側の隙間16bに沿って延びるように形成された直線部分によりU字部分が互いに接続されている。
【0034】
ここで、発熱装置3は、基板11の表面が取付部2の底部4に対向するように配置される。このとき、発熱装置3は、基板11の縁部11aが底部4の前部側に位置すると共に縁部11bが底部4の後部側に位置し、基板11の一側部が底部4の左側部側に位置すると共に基板11の他側部が底部4の右側部側に位置するように配置される。そして、延在部15aおよび15b、延在部19aおよび19bは、底部4の全面にわたるように配置されている。
【0035】
次に、発熱装置3の製造方法について説明する。
【0036】
まず、図4(a)に示すように、基板11の表面に金属板101aが固定されると共に基板11の裏面に金属板101bが固定される。例えば、金属板101aおよび101bは、基板11に対して直接接合することにより、一体的に固定することができる。また、金属板101aおよび101bは、接着剤などにより基板11に固定することもできる。
【0037】
なお、基板11は、例えば樹脂などの絶縁性材料から構成することができる。また、金属板101aおよび101bは、例えば銅などの導電性材料から構成することができる。
【0038】
続いて、図4(b)に示すように、金属板101aおよび101bを一度にエッチング加工して、基板11の表面に発熱部12を形成すると共に基板11の裏面に発熱部13を形成する。
【0039】
これにより、発熱部12および13を一度に形成することができ、例えば基板11に対して発熱部12および13を接着剤などで貼り付けるなど工程を削減して、その労力を抑制することができる。
【0040】
なお、発熱部12および13は、基板11に金属ペーストをスクリーン印刷などで塗布して形成することもできる。
【0041】
次に、実施の形態1の動作について説明する。
【0042】
まず、図2に示すように、撮像部1が、取付部2を介してフロントガラスFに固定されて、そのフロントガラスFを介して車両前方の様子が撮像される。
【0043】
ここで、車外の温度が低下すると、フロントガラスFが曇って撮像部1の画質が低下するおそれがある。そこで、測定部9が車外の温度を測定し、その温度を制御部10に出力する。制御部10は、測定部9で測定された温度が所定の閾値以下か否かを判定し、所定の閾値以下の場合には、電源8をオンにする。
【0044】
これにより、図3に示すように、端子14aおよび14b、端子18aおよび18bを介して、延在部15aおよび15b、延在部19aおよび19bに電源8からそれぞれ通電されて、延在部15aおよび15b、延在部19aおよび19bが発熱する。
【0045】
延在部19aおよび19bで生じた熱は、基板11の裏面側から表面側に伝導する。そして、延在部15aおよび15bで生じた熱と、基板11を伝導した延在部19aおよび19bの熱とが、取付部2の底部4を伝導して、底部4の表面からフロントガラスF側に放散される。この底部4から放散された熱でフロントガラスFが加熱されることによりフロントガラスFの曇りを除去することができ、撮像部1の画質の低下を抑制することができる。このとき、延在部15aおよび15b、延在部19aおよび19bは、底部4の全面にわたるように配置されているため、フロントガラスFにおいて撮像部1の撮像範囲に対応する部分の曇りを除去することができ、撮像部1の画質の低下を確実に抑制することができる。
【0046】
ここで、発熱部13は、基板11の面方向に発熱部12を避けるように基板11の裏面に配置されている。このため、発熱部13は、底部4において発熱部12が配置されていない部分を加熱することができ、フロントガラスFを均一に加熱することができる。これにより、例えば底部4の面方向に熱を均一に伝導する均熱板などを配置することなく、フロントガラスFの曇りを均一に除去することができ、撮像部1の画質の低下を確実に抑制することができる。
【0047】
また、延在部19aおよび19bは、延在部15aおよび15bの隙間16および17に沿って延びるように基板11の裏面に配置されている。これにより、延在部15aおよび15b、延在部19aおよび19bが、底部4の全面を満たすように配置されるため、フロントガラスFをより均一に加熱することができる。
【0048】
このとき、延在部19aおよび19bは、延在部15aおよび15bに交差する部分でのみ延在部15aおよび15bと重なり、延在部15aおよび15bと同じ方向に延びる部分が延在部15aおよび15bを避けるように配置されている。このため、延在部19aおよび19bは、延在部15aおよび15bとの重なりを大きく抑制して配置することができ、フロントガラスFをより均一に加熱することができる。
【0049】
また、延在部19aおよび19bは、交差方向D2に隣り合う隙間16aと隙間17に沿って形成された複数のU字部分を有し、延在部19aのU字部分が、基板11の一側部側の隙間16bに沿って形成された直線部分により互いに接続されると共に、延在部19bのU字部分が、基板11の他側部側の隙間16bに沿って形成された直線部分により互いに接続されている。これにより、延在部19aおよび19bは、延在部15aおよび15bとの重なりをより大きく抑制して配置することができ、フロントガラスFをより均一に加熱することができる。
【0050】
また、制御部10は、測定部9で測定される温度に基づいて、発熱部12および13への通電を選択的に切り換えることができる。例えば、制御部10は、所定の閾値より小さい第1の設定値が予め設定されている。制御部10は、測定部9で測定される温度が所定の閾値より低く且つ第1の設定値より高い場合には、発熱部12のみに通電するように電源8を制御して延在部15aおよび15bを発熱させる。また、制御部10は、測定部9で測定される温度が第1の設定値より低い場合には、発熱部12および13に通電するように電源8を制御して延在部15aおよび15bと延在部19aおよび19bとを発熱させる。
これにより、フロントガラスFの曇りの度合に応じて発熱装置3の発熱量を変えることができ、フロントガラスFの曇りを効率的に抑制することができる。
【0051】
一方、制御部10は、測定部9で測定された温度が所定の閾値より高い場合には、電源8をオフにする。
このように、制御部10が、測定部9で測定された温度に基づいて発熱部12および13の発熱を制御することにより、フロントガラスFの曇りを抑制して、撮像部1の画質を維持することができる。
【0052】
本実施の形態によれば、発熱部13が、基板11の面方向に発熱部12を避けるように基板11の裏面に配置されるため、フロントガラスFを均一に加熱することができ、撮像部1の画質の低下を確実に抑制することができる。
【0053】
(実施の形態2)
以下、本開示の実施の形態2について説明する。ここでは、上記の実施の形態1との相違点を中心に説明し、上記の実施の形態1との共通点については、共通の参照符号を使用して、その詳細な説明を省略する。
【0054】
上記の実施の形態1では、発熱装置3は、撮像装置に配置されたが、加熱対象を加熱することができればよく、これに限られるものではない。
【0055】
例えば、図5に示すように、車両のサイドミラーに配置することができる。サイドミラーは、筐体21と、ミラー本体22と、発熱装置3とを有する。
【0056】
筐体21は、ミラー本体22を支持するもので、車両の側部、例えば左側部に固定されている。
ミラー本体22は、車両の後方、例えば左後方の様子を車室内から視認するためのもので、車両後方を向くように筐体21の後部に配置されている。
【0057】
発熱装置3は、実施の形態1と同様の構成を有し、ミラー本体22の裏面に配置される。このとき、発熱装置3は、基板11の表面がミラー本体22に対向するように配置される。ここで、発熱装置3は、基板11の縁部11aがミラー本体22の下部側に位置すると共に縁部11bがミラー本体22の上部側に位置し、基板11の一側部がミラー本体22の右側部側に位置すると共に基板11の他側部がミラー本体22の左側部側に位置するように配置される。そして、延在部15aおよび15b、延在部19aおよび19bは、ミラー本体22の全面にわたるように配置される。
【0058】
また、実施の形態2のサイドミラーは、実施の形態1と同様に、電源8と、測定部9と、制御部10とを有する。
【0059】
このような構成により、車両後方の様子がミラー本体22を介して車室内から視認される。ここで、ミラー本体22に曇りおよび霜などの阻害物質が生じて、車室内からの視認性が低下するおそれがある。そこで、ドライバーが、図示しないミラー用ヒータスイッチをオンにすると、その起動信号が制御部10に入力される。そして、測定部9が、制御部10の制御の下、車外の温度を測定し、その温度を制御部10に出力する。制御部10は、測定部9で測定された温度が所定の閾値以下か否かを判定し、所定の閾値以下の場合には、電源8をオンにする。
【0060】
これにより、図3に示すように、端子14aおよび14b、端子18aおよび18bを介して、延在部15aおよび15b、延在部19aおよび19bに電源8からそれぞれ通電されて、延在部15aおよび15b、延在部19aおよび19bが発熱する。
【0061】
延在部15aおよび15b、延在部19aおよび19bで生じた熱は、ミラー本体22を加熱し、ミラー本体22に付着した阻害物質が除去される。これにより、ミラー本体22の視認性の低下を抑制することができる。
【0062】
ここで、発熱部13が、基板11の面方向に発熱部12を避けるように基板11の裏面に配置されている。このため、発熱部13は、ミラー本体22において発熱部12が配置されていない部分を加熱することができ、ミラー本体22を均一に加熱することができる。これにより、ミラー本体22に付着した阻害物質を均一に除去することができ、ミラー本体22の視認性の低下を確実に抑制することができる。
【0063】
本実施の形態によれば、発熱部13が、基板11の面方向に発熱部12を避けるように基板11の裏面に配置されるため、ミラー本体22を均一に加熱することができ、ミラー本体22の視認性の低下を確実に抑制することができる。
【0064】
(実施の形態3)
以下、本開示の実施の形態3について説明する。ここでは、上記の実施の形態1および2との相違点を中心に説明し、上記の実施の形態1および2との共通点については、共通の参照符号を使用して、その詳細な説明を省略する。
【0065】
上記の実施の形態1および2では、発熱部13は、発熱部12とほぼ同じ抵抗値を有するように形成されたが、通電により発熱すればよく、これに限られるものではない。
【0066】
例えば、図6に示すように、実施の形態1の発熱部13に換えて発熱部31を配置することができる。
【0067】
発熱部31は、発熱部12より小さな発熱量を有するように形成されるもので、端子18aおよび18bと、延在部32aおよび32bとを有する。
【0068】
延在部32aおよび32bは、実施の形態1と同様に、端子18aおよび18bからそれぞれ幅方向D1に蛇行しつつ基板11の縁部11b側に向かって延びるように配置され、基板11の縁部11b近傍で互いに接続されている。このとき、延在部32aおよび32bは、基板11の面方向に延在部15aおよび15bを避けて隙間16および17に沿って延びるように配置される。
【0069】
ここで、延在部32aおよび32bは、延在部15aおよび15bより細く形成、すなわち断面積が小さく形成されている。このため、延在部32aおよび32bは、延在部15aおよび15bより小さな発熱量を有することになる。
なお、端子18aおよび18bは、実施の形態1と同様の構成を有する。
【0070】
このような構成により、制御部10は、測定部9で測定される温度に基づいて、発熱部12および31への通電を選択的に切り換えることができる。例えば、制御部10は、所定の閾値より小さい第1の設定値と、第1の設定値より小さい第2の設定値とが予め設定されている。制御部10は、測定部9で測定される温度が所定の閾値より低く且つ第1の設定値より高い場合には、発熱部31のみに通電するように電源8を制御して延在部32aおよび32bを発熱させる。これにより、発熱装置3は、フロントガラスFの曇りの度合に応じた小さな発熱量でフロントガラスFを加熱することができる。
【0071】
また、制御部10は、測定部9で測定される温度が第1の設定値より低く且つ第2の設定値より高い場合には、発熱部12のみに通電するように電源8を制御して延在部15aおよび15bを発熱させる。これにより、発熱装置3は、フロントガラスFの曇りの度合に応じた中程度の発熱量でフロントガラスFを加熱することができる。
【0072】
さらに、制御部10は、測定部9で測定される温度が第2の設定値より低い場合には、発熱部12および31に通電するように電源8を制御して延在部15aおよび15b、延在部32aおよび32bを発熱させる。これにより、発熱装置3は、フロントガラスFの曇りの度合に応じた高い発熱量でフロントガラスFを加熱することができる。
このとき、延在部32aおよび32bは、基板11の面方向に延在部15aおよび15bを避けて隙間16および17に沿って延びるように配置されている。このため、フロントガラスFを均一に加熱することができ、撮像部1の画質の低下を確実に抑制することができる。
【0073】
なお、発熱部31は、発熱部12と異なる発熱量を有すればよく、発熱部12より大きな発熱量を有するように形成することもできる。すなわち、延在部32aおよび32bは、延在部15aおよび15bより太い幅で形成、すなわち断面積が大きくなるように形成することができる。これにより、制御部10は、上記と同様に、フロントガラスFの曇りの度合に応じた発熱量でフロントガラスFを加熱する制御を行うことができる。
【0074】
本実施の形態によれば、発熱部31が、発熱部12と異なる発熱量を有するため、フロントガラスFを均一に加熱する機能を保持しつつ、フロントガラスFの曇りの度合に応じて発熱装置3の発熱量を3段階で変えることができる。
【0075】
(実施の形態4)
以下、本開示の実施の形態4について説明する。ここでは、上記の実施の形態1~3との相違点を中心に説明し、上記の実施の形態1~3との共通点については、共通の参照符号を使用して、その詳細な説明を省略する。
【0076】
上記の実施の形態1~3では、発熱部12の延在部15aおよび15bと、発熱部13または31の延在部とは、一様な幅で形成、すなわち一様な断面積で形成されたが、基板11の表面および裏面に沿って延びるように形成されていればよく、これに限られるものではない。
【0077】
例えば、図7に示すように、実施の形態3の発熱部12に換えて発熱部41を配置することができる。
【0078】
発熱部41は、基板11の表面に互いに発熱量の異なる低発熱領域R1と高発熱領域R2とを形成するように部分的に異なる発熱量を有する。具体的には、発熱部41は、端子14aおよび14bと、延在部42aおよび42bとを有する。
【0079】
延在部42aおよび42bは、実施の形態3と同様に、端子14aおよび14bからそれぞれ幅方向D1に蛇行しつつ基板11の縁部11b側に向かって延びるように配置され、基板11の縁部11b近傍で互いに接続されている。
【0080】
ここで、延在部42aおよび42bは、基板11の縁部11b側に対して縁部11a側が細くなるように形成、すなわち断面積が小さくなるように形成されている。これにより、延在部42aおよび42bは、基板11の表面において縁部11a側の半部に低い発熱量の低発熱領域R1を形成すると共に、縁部11b側の半部に高い発熱量の高発熱領域R2を形成する。
なお、端子14aおよび14bは、実施の形態3と同様の構成を有する。
【0081】
このような構成により、電源8から発熱部41に通電されると、延在部42aおよび42bが、低発熱領域R1と高発熱領域R2を形成するように発熱する。ここで、発熱装置3は、基板11の縁部11aが取付部2の底部4の前部側に位置すると共に縁部11bが底部4の後部側に位置するように配置されている。このため、底部4とフロントガラスFとの距離が近い部分に低発熱領域R1が配置されると共に底部4とフロントガラスFとの距離が遠い部分に高発熱領域R2が配置されることになる。
【0082】
このように、発熱装置3は、フロントガラスFとの距離に応じた発熱量で発熱するため、フロントガラスFをより均一に加熱することができる。
【0083】
なお、発熱部31および41のうち少なくとも一方が、互いに発熱量の異なる複数の発熱領域を形成するように部分的に異なる発熱量を有すればよく、発熱部41のみが複数の発熱領域を形成するものに限られるものではない。例えば、発熱部31が、低発熱領域R1と高発熱領域R2を形成するように部分的に異なる発熱量を有することもできる。
また、発熱部41は、複数の発熱領域を形成することができればよく、2つの発熱領域を形成するものに限られるものではない。
【0084】
本実施の形態によれば、発熱部31および41のうち少なくとも一方が、互いに発熱量の異なる複数の発熱領域を形成するように部分的に異なる発熱量を有するため、フロントガラスFをより均一に加熱することができ、撮像部1の画質の低下をより確実に抑制することができる。
【0085】
なお、発熱装置3が、実施の形態2のサイドミラーに配置される場合には、基板11の縁部11aがミラー本体22の上部側に位置すると共に縁部11bがミラー本体22の下部側に位置するように配置される。このため、ミラー本体22の上半部に低発熱領域R1が配置されると共にミラー本体22の下半部に高発熱領域R2が配置されることになる。
ここで、ミラー本体22に付着した阻害物質、例えば着雪は、自重により下方に移動するため、ミラー本体22の下半部において着雪の付着量が増加する。このとき、ミラー本体22の下半部には、高発熱領域R2が配置されているため、付着量が増加した着雪を確実に除去することができる。
【0086】
このように、発熱装置3は、阻害物質の付着量に応じた発熱量で発熱するため、ミラー本体22に付着した阻害物質を確実に除去することができる。
【0087】
(実施の形態5)
以下、本開示の実施の形態5について説明する。ここでは、上記の実施の形態1~4との相違点を中心に説明し、上記の実施の形態1~4との共通点については、共通の参照符号を使用して、その詳細な説明を省略する。
【0088】
上記の実施の形態1~4では、基板11の裏面に配置される発熱部の延在部は、隙間16および17の全体に沿って延びるように配置されたが、基板11の表面に配置される発熱部を避けるように配置すればよく、これに限られるものではない。
【0089】
例えば、図8に示すように、実施の形態4の発熱部31に換えて発熱部51を配置することができる。
【0090】
発熱部51は、発熱部41が形成する低発熱領域R1および高発熱領域R2のうち低発熱領域R1のみに対応して配置される。具体的には、発熱部51は、端子18aおよび18bと、延在部52aおよび52bとを有する。
【0091】
延在部52aおよび52bは、端子18aおよび18bからそれぞれ幅方向D1に蛇行しつつ基板11の縁部11b側に向かって延びるように配置され、その先端部が互いに接続されている。
【0092】
ここで、延在部52aおよび52bは、発熱部41が形成する低発熱領域R1および高発熱領域R2のうち低発熱領域R1のみに対応して配置されている。
なお、端子18aおよび18bは、実施の形態4と同様の構成を有する。
【0093】
このような構成により、電源8から発熱部51に通電されると、延在部52aおよび52bが発熱する。ここで、延在部52aおよび52bは、低発熱領域R1に対応して配置されている。このため、フロントガラスFにおいて低発熱領域R1に対応する部分を均一に加熱することができ、撮像部1の画質の低下を確実に抑制することができる。このとき、延在部52aおよび52bは、高発熱領域R2と比べて隙間16および17の幅が広い低発熱領域R1に対応して配置されるため、フロントガラスFの曇りを効果的に除去することができる。
また、制御部10が、発熱部41および51への通電を選択的に切り換えて、低発熱領域R1の発熱量を段階的に変えることもできる。
【0094】
なお、発熱部41および51の一方が複数の発熱領域を形成し、発熱部41および51の他方は複数の発熱領域のうち一部の発熱領域に対応して配置されていればよく、発熱部51を低発熱領域R1に対応して配置するものに限られるものではない。
例えば、発熱部51が低発熱領域R1および高発熱領域R2を形成し、発熱部41を低発熱領域R1のみに対応して配置することもできる。
【0095】
また、3つ以上の発熱領域を形成した場合に、発熱部41および51の他方は、一部の発熱領域に対応して配置されていればよく、1つの発熱領域のみに対応して配置するものに限られるものではない。
【0096】
本実施の形態によれば、発熱部41および51の一方が複数の発熱領域を形成し、発熱部41および51の他方は複数の発熱領域のうち一部の発熱領域に対応して配置されるため、フロントガラスFにおいてその一部の発熱領域に対応する部分を均一に加熱することができる。
【0097】
(実施の形態6)
以下、本開示の実施の形態6について説明する。ここでは、上記の実施の形態1~5との相違点を中心に説明し、上記の実施の形態1~5との共通点については、共通の参照符号を使用して、その詳細な説明を省略する。
【0098】
上記の実施の形態1~5では、基板11の裏面に配置される発熱部は、基板11の表面に配置される発熱部の隙間16および17に沿って延びるように形成されたが、基板11の表面に配置される発熱部を避けるように配置されていればよく、これに限られるものではない。
【0099】
例えば、図9に示すように、実施の形態5の発熱部41に換えて発熱部61を配置することができる。
【0100】
発熱部61は、端子14aおよび14bと、延在部62aおよび62bとを有する。なお、端子14aおよび14bは、実施の形態5と同様の構成を有する。
【0101】
延在部62aおよび62bは、端子14aおよび14bから基板11の縁部11b側に延びるように形成され、その縁部11b近傍において互いに接続されている。このとき、延在部62aおよび62bは、基板11において縁部11b側の一半部まで交差方向D2に直線状に延びて、その一半部において幅方向D1に蛇行して延びるように形成されている。
【0102】
このため、発熱部51の延在部52aおよび52bは、延在部62aおよび62bにおいて交差方向D2に延びる直線部分に対応して配置されることになる。このとき、延在部52aおよび52bは、基板11の面方向に延在部62aおよび62bの直線部分を避けるように直線部分に対して交差するように配置される。
【0103】
このように、延在部52aおよび52bが、基板11の面方向に延在部62aおよび62bの直線部分を避けるように配置されるため、フロントガラスFを均一に加熱することができ、撮像部1の画質の低下を確実に抑制することができる。
このとき、延在部52aおよび52bは、延在部62aおよび62bを半分以上避けるように配置することが好ましい。
【0104】
本実施の形態によれば、発熱部51が、基板11の面方向に発熱部61を避けるように基板11の裏面に配置されるため、フロントガラスFを均一に加熱することができ、撮像部1の画質の低下を確実に抑制することができる。
【0105】
その他、上記の実施の形態は、何れも本発明の実施をするにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。例えば、上記の実施の形態で説明した各部の形状や個数などについての開示はあくまで例示であり、適宜変更して実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本開示に係る発熱装置は、通電により発熱する装置に利用できる。
【符号の説明】
【0107】
1 撮像部
2 取付部
3 発熱装置
4 底部
5 後壁部
5a 窓部
6a 右側壁部
6b 左側壁部
7 開口部
8 電源
9 測定部
10 制御部
11 基板
11a,11b 縁部
12,13,31,41,51,61 発熱部
14a,14b,18a,18b 端子
15a,15b,19a,19b,32a,32b,42a,42b,52a,52b,62a,62b 延在部
16,16a,16b,17 隙間
21 筐体
22 ミラー本体
101a,101b 金属板
D1 幅方向
D2 交差方向
F フロントガラス
R1 低発熱領域
R2 高発熱領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9