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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】電動弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/04 20060101AFI20240917BHJP
【FI】
F16K31/04 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021150610
(22)【出願日】2021-09-15
(65)【公開番号】P2023043092
(43)【公開日】2023-03-28
【審査請求日】2023-06-26
(73)【特許権者】
【識別番号】391002166
【氏名又は名称】株式会社不二工機
(74)【代理人】
【識別番号】110002608
【氏名又は名称】弁理士法人オーパス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 竜也
(72)【発明者】
【氏名】荒井 裕介
【審査官】橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-128036(JP,A)
【文献】特開2007-255573(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/00-31/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁口を有する弁本体と、前記弁口と向かい合う弁体と、前記弁本体に対して回転可能なローターと、前記ローターの回転が伝達される駆動軸と、を有する電動弁であって、
前記駆動軸に前記ローターの回転が伝達されると、前記駆動軸が前記弁口に近づく方向または前記弁口から離れる方向に移動し、
前記駆動軸が、
前記弁口に近づく方向に移動したときばねを介さずに前記弁体を押し、
前記弁口から離れる方向に移動したとき前記弁体を引き、
前記弁体に対して相対的に回転可能であることを特徴とする電動弁。
【請求項2】
前記弁体に取り付けられた連結部材を有し、
前記駆動軸および前記連結部材の一方が、突起部を有し、
前記駆動軸および前記連結部材の他方が、前記駆動軸が前記弁口から離れる方向に移動したとき前記突起部が引っ掛かる突起受部を有する、請求項1に記載の電動弁。
【請求項3】
前記突起部が、前記突起受部に対して相対的に回転可能なように前記突起受部に引っ掛かる、請求項2に記載の電動弁。
【請求項4】
前記弁体が前記連結部材に対して相対的に回転可能なように、前記連結部材が前記弁体に取り付けられる、請求項2に記載の電動弁。
【請求項5】
前記連結部材が、前記弁体に取り付けられる平板形状の基部と、前記基部の周縁部から前記駆動軸側に延び、前記基部の中心から離れる方向に弾性変形可能な複数の弾性片と、を有し、
前記複数の弾性片が、前記基部の中心側に突出する前記突起部を有し、
前記突起受部が、前記駆動軸の一端部に配置され、
前記駆動軸の一端部が、前記複数の弾性片に囲まれている、請求項2~請求項4のいずれか一項に記載の電動弁。
【請求項6】
前記駆動軸に取り付けられた連結部材を有し、
前記弁体および前記連結部材の一方が、突起部を有し、
前記弁体および前記連結部材の他方が、前記駆動軸とともに前記連結部材が前記弁口から離れる方向に移動したとき前記突起部が引っ掛かる突起受部を有する、請求項1に記載の電動弁。
【請求項7】
前記駆動軸が、前記弁口に近づく方向に移動したとき、前記駆動軸に接合された部材が前記弁体に接し、前記部材を介して前記弁体を押す、請求項1に記載の電動弁。
【請求項8】
前記部材が、ボールである、請求項7に記載の電動弁。
【請求項9】
前記弁体に前記弁口から離れる方向の力を加える開弁ばねをさらに有している、請求項1に記載の電動弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動弁に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、従来の電動弁の一例を開示している。特許文献1に開示されている電動弁は、弁室と、弁室に弁口を介して接続された第1通路と、弁室に接続された第2通路と、弁口と上下方向に向かい合う弁体と、を有している。電動弁は、ローターの回転に応じて弁体を上下方向に移動させ、第1通路から第2通路に流れる冷媒の流量、および、第2通路から第1通路に流れる冷媒の流量を制御する。
【0003】
電動弁において、ローターの回転は駆動軸に伝達される。駆動軸は雄ねじを有している。駆動軸の雄ねじは、案内部材の雌ねじに螺合されている。ローターが一方向に回転すると駆動軸が回転されて、駆動軸はねじ送り作用によって下方に移動する。駆動軸によって弁体が下方に押され、弁体が弁口を閉じる。ローターが他方向に回転すると駆動軸が回転されて、駆動軸はねじ送り作用によって上方に移動する。開弁ばねによって弁体が上方に押され、弁体が弁口を開く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-135908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記電動弁において、第1通路の冷媒圧力が第2通路の冷媒圧力よりも高いとき、弁体に対して上向きの力が加わる。そして、当該上向きの力および開弁ばねが弁体を上方に押す力に逆らって、駆動軸が弁体を下方に押すことで弁口が閉じる。また、第2通路の冷媒圧力が第1通路の冷媒圧力よりも高いとき、弁体に対して下向きの力が加わる。そして、当該下向きの力に逆らって、開弁ばねが弁体を上方に押すことで弁口が開く。
【0006】
電動弁を流れる冷媒の流量を増やすためには、弁口径を大きくすることが効果的である。しかしながら、弁口径を大きくすると、前記下向きの力が大きくなるため、開弁ばねが弁体を上方に押す力(以下、「ばね力」という。)を大きくする必要がある。また、弁口径を大きくすると、前記上向きの力も大きくなるため、当該上向きの力およびばね力に逆らって駆動軸が弁体を下方に押す力も大きくする必要がある。そのため、駆動軸などの部品に加わる力が大きくなり、部品の摩耗が促進されて、電動弁の耐久性が低くなる。
【0007】
上記電動弁において、弁体を駆動軸に固定することで、弁口を開くときに駆動軸が弁体を上方に引き上げることができる。これにより、電動弁において、弁口径を大きくしてもばね力を大きくする必要がなくなり、部品の摩耗を抑制することができる。しかしながら、弁体を駆動軸に固定すると弁体が駆動軸とともに回転し、弁体が弁口を囲む弁座と回転方向に擦れる。そのため、弁体の摩耗および弁座の摩耗が促進されて、電動弁の耐久性が低くなる。
【0008】
そこで、本発明は、電動弁の耐久性を確保しつつ大きい弁口径を採用することができる電動弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る電動弁は、弁口を有する弁本体と、前記弁口と向かい合う弁体と、前記弁本体に対して回転可能なローターと、前記ローターの回転が伝達される駆動軸と、を有する電動弁であって、前記駆動軸に前記ローターの回転が伝達されると、前記駆動軸が前記弁口に近づく方向または前記弁口から離れる方向に移動し、前記駆動軸が、前記弁口に近づく方向に移動したとき前記弁体を押し、前記弁口から離れる方向に移動したとき前記弁体を引き、前記弁体に対して相対的に回転可能であることを特徴とする。
【0010】
本発明において、前記弁体に取り付けられた連結部材を有し、前記駆動軸および前記連結部材の一方が、突起部を有し、前記駆動軸および前記連結部材の他方が、前記駆動軸が前記弁口から離れる方向に移動したとき前記突起部が引っ掛かる突起受部を有する、ことが好ましい。
【0011】
本発明において、前記突起部が、前記突起受部に対して相対的に回転可能なように前記突起受部に引っ掛かることが好ましい。
【0012】
本発明において、前記弁体が前記連結部材に対して相対的に回転可能なように、前記連結部材が前記弁体に取り付けられることが好ましい。
【0013】
本発明において、前記連結部材が、前記弁体に取り付けられる平板形状の基部と、前記基部の周縁部から前記駆動軸側に延び、前記基部の中心から離れる方向に弾性変形可能な複数の弾性片と、を有し、前記複数の弾性片が、前記基部の中心側に突出する前記突起部を有し、前記突起受部が、前記駆動軸の一端部に配置され、前記駆動軸の一端部が、前記複数の弾性片に囲まれている、ことが好ましい。
【0014】
本発明において、前記駆動軸に取り付けられた連結部材を有し、前記弁体および前記連結部材の一方が、突起部を有し、前記弁体および前記連結部材の他方が、前記駆動軸とともに前記連結部材が前記弁口から離れる方向に移動したとき前記突起部が引っ掛かる突起受部を有する、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、駆動軸にローターの回転が伝達されると、駆動軸が回転しつつ弁口に近づく方向または弁口から離れる方向に移動する。そして、駆動軸が、弁口に近づく方向に移動したとき弁体を押し、弁口から離れる方向に移動したとき弁体を引き、弁体に対して相対的に回転可能である。このようにしたことから、駆動軸が弁口から離れる方向に弁体を引くので、弁体を弁口から離れる方向に押す開弁ばねによらずに、弁口を開くことができる。また、駆動軸が弁体に対して相対的に回転可能であるので、弁体が弁口を囲む弁座に接したときに駆動軸が弁体に対して回転して、弁体と弁座とが擦れることを防ぐことができる。そのため、電動弁の耐久性を確保しつつ大きい弁口径を採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施例に係る電動弁の断面図である。
図2図1の電動弁の一部を拡大した断面図である。
図3図1の電動弁が有する連結部材の六面図である。
図4】従来の電動弁の弁体に加わる力を説明する図である(正流れ状態)。
図5】従来の電動弁の弁体に加わる力を説明する図である(逆流れ状態)。
図6図1の電動弁の弁体に加わる力を説明する図である(正流れ状態)。
図7図1の電動弁の弁体に加わる力を説明する図である(逆流れ状態)。
図8】本発明の第2実施例に係る電動弁の一部を拡大した断面図である。
図9図8の電動弁が有する連結部材の六面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施例)
以下、本発明の第1実施例に係る電動弁1について、図1図3を参照して説明する。本実施例の電動弁1は、例えば、エアコンの冷凍サイクルにおいて冷媒流量を制御するために使用される。
【0018】
図1は、本発明の第1実施例に係る電動弁の断面図である。図2は、図1の電動弁の一部(主に弁体、連結部材および駆動機構)を拡大した断面図である。図2において、ステーターユニットの記載を省略している。図3は、図1の電動弁が有する連結部材の六面図である。図3において、左側から1番目の図が左側面図であり、左側から2番目の3つの図が、上側から下側に順に平面図、正面図および底面図であり、左側から3番目の図が右側面図であり、左側から4番目の図が背面図である。
【0019】
図1図2に示すように、本実施例に係る電動弁1は、弁本体10と、ホルダー20と、弁体支持部材25と、キャン30と、弁体40と、連結部材45と、駆動機構50と、
、ステーターユニット80と、を有している。
【0020】
弁本体10は、直方体形状を有している。弁本体10は、弁室13と、弁室13に接続された弁口14と、を有している。弁口14は、弁座15に囲まれている。弁本体10は、第1通路17と、第2通路18と、を有している。第1通路17の一端部は弁口14を介して弁室13と接続され、第1通路17の他端部は弁本体10の右側面10aに開口している。第2通路18の一端部は弁室13と接続され、第2通路18の他端部は弁本体10の左側面10bに開口している。弁本体10は、取付孔19を有している。取付孔19は、弁本体10の上面10cに開口している。取付孔19の内周面には、雌ねじが形成されている。取付孔19の底面19aには、弁室13が開口している。
【0021】
ホルダー20は、円筒形状を有している。ホルダー20の外周面の下部には、雄ねじが形成されている。ホルダー20の雄ねじは、弁本体10の取付孔19の雌ねじに螺合される。ホルダー20は、弁本体10にねじ構造で取り付けられている。
【0022】
弁体支持部材25は、円筒形状を有している。弁体支持部材25は、取付孔19の内側において、弁本体10とホルダー20との間に配置されている。弁体支持部材25の下部は、取付孔19側から弁室13に圧入されている。弁体支持部材25の外周面には、下方を向く環状平面25aが形成されている。環状平面25aは、取付孔19の底面19aに接している。弁体支持部材25は、弁体40を上下方向(軸線L方向)に移動可能に支持する。
【0023】
キャン30は、上端部が塞がれかつ下端部が開口した円筒形状を有している。キャン30の下端部は、円環板形状の接合部材35の外周縁に接合されている。接合部材35の内側にはホルダー20の上部20aが配置されている。接合部材35の内周縁は、ホルダー20に接合されている。キャン30は、接合部材35およびホルダー20を介して、弁本体10に固定されている。
【0024】
弁体40は、ステム41と、弁部42と、ボール受け部43と、を有している。ステム41は、円柱形状を有している。ステム41は、弁体支持部材25の内側に配置されている。ステム41は、弁体支持部材25によって上下方向に移動可能に支持されている。弁部42は、ステム41の下端部に連設されている。弁部42は、円環形状を有している。弁部42は、ステム41の外周面から径方向外方に突出している。弁部42は、弁口14と上下方向に対向して配置されている。ボール受け部43は、円形の平板部43aと、平板部43aの下面に連設された凸部43bと、を有している。平板部43aの上面には、円すい形状の凹部が形成されている。凸部43bは、ステム41の上端面41aに形成された孔41bに嵌合されている。弁体40は、弁部42が弁口14に対して進退することにより、弁口14の開口面積を無段階に変更する。弁体40は、弁口14を閉じてもよい(すなわち、開口面積を0としてもよい)。
【0025】
図3に示すように、連結部材45は、基部46と、複数の弾性片47と、を有している。基部46は、円板形状を有している。本実施例において、連結部材45は、基部46の周方向に等角度間隔で配置された3つの弾性片47を有する。各弾性片47は、基部46の周縁部から上方に延びている。各弾性片47は、本体部48と、突起部49と、を有している。本体部48は、長方形枠形状を有している。本体部48は、基部46に対して直角である。本体部48の下辺は、基部46の周縁部に連設されている。突起部49は、本体部48の上辺から下方に延びる細板形状を有している。突起部49は、S字形状に曲げられている。突起部49の下端部は、本体部48に対して基部46の中心側に突出している。連結部材45の形状は、基部46の中心を対称軸が通る回転対称性を有する。連結部材45は、板金をプレス加工することによって形成される。
【0026】
連結部材45は、弁体40に取り付けられている。具体的には、連結部材45の基部46の下面がステム41の上端面41aに接しており、基部46の中央の貫通孔46aにボール受け部43の凸部43bが挿通されている。基部46は、ステム41の上端面41aとボール受け部43の平板部43aとの間に保持されている。ボール受け部43は、連結部材45を弁体40に取り付けるための部材でもある。連結部材45は、接着剤などによって弁体40に接合されていてもよい。
【0027】
駆動機構50は、弁体40を上下方向に移動させる。駆動機構50は、ローター51と、永久磁石55と、遊星歯車機構60と、案内部材68と、駆動軸70と、ボール76と、開弁ばね77と、を有している。
【0028】
ローター51は、円筒形状を有している。ローター51の外径は、キャン30の内径より小さい。ローター51は、キャン30の内側に回転可能に配置されている。ローター51の上端部には、円形の連結板52が接合されている。連結板52は、ローター51の上端部を塞いでいる。連結板52の中央をローター軸53が貫通している。ローター51は、連結板52を介してローター軸53に連結されている。ローター軸53は、ローター51とともに回転する。
【0029】
ローター51は、複数のN極と複数のS極とを有している。複数のN極と複数のS極とは、上下方向に延在している。複数のN極と複数のS極とは、ローター51の外周面に周方向に交互に配置されている。
【0030】
永久磁石55は、キャン30の内側においてローター51の上方に配置されている。永久磁石55は、円板形状を有している。永久磁石55は、ローター軸53の上端部に固定されている。永久磁石55は、ローター51と同軸に配置されており、ローター51とともに回転される。ローター51と永久磁石55との間には、円板形状の磁気遮蔽部材56が配置されている。磁気遮蔽部材56は、ケイ素鉄などの透磁率が比較的高い軟磁性体である。磁気遮蔽部材56は、ローター軸53に固定されている。磁気遮蔽部材56は、ローター51が生じる磁束を吸収する。磁気遮蔽部材56は、ローター51が生じる磁界によって永久磁石55が生じる磁界が歪むことを抑制する。
【0031】
永久磁石55は、1つのN極と1つのS極とを有している。永久磁石55における直径で区画された一方の部分に1つのN極が配置され、他方の部分に1つのS極が配置されている。
【0032】
遊星歯車機構60は、ローター51の内側に配置されている。遊星歯車機構60は、歯車ケース61と、固定リング歯車62と、太陽歯車63と、複数の遊星歯車64と、キャリア65と、出力歯車66と、出力軸67と、を有している。歯車ケース61は、円筒形状を有している。歯車ケース61の下端部は、ホルダー20の上部20aに同軸に接合されている。固定リング歯車62は、内歯車である。固定リング歯車62は、歯車ケース61の上端部に固定されている。太陽歯車63は、連結板52と同軸に配置されている。太陽歯車63は、連結板52と一体化されている。太陽歯車63をローター軸53が貫通している。太陽歯車63は、ローター51および連結板52とともに回転される。複数の遊星歯車64は、固定リング歯車62と太陽歯車63との間に配置されている。キャリア65は、円板形状を有している。キャリア65の中央をローター軸53が貫通している。キャリア65は、ローター軸53を中心として回転可能である。キャリア65は、複数の遊星歯車64を回転自在に支持する。出力歯車66は、有底円筒形状を有している。出力歯車66は内歯車である。出力歯車66と太陽歯車63との間に複数の遊星歯車64が配置されている。出力軸67は、円柱形状を有している。出力軸67の上部は、出力歯車66の底部に形成された孔に圧入されている。出力軸67の下部には、上下方向に延びるスリット67aが形成されている。太陽歯車63の回転は、固定リング歯車62、複数の遊星歯車64、キャリア65および出力歯車66によって減速されて、出力軸67に伝達される。
【0033】
案内部材68は、円筒形状を有している。案内部材68は、ホルダー20の上部20aの内側に配置されている。案内部材68の内周面の下部には、雌ねじ68cが形成されている。案内部材68の内側には、出力軸67が配置されている。案内部材68は、出力軸67を回転可能に支持している。
【0034】
駆動軸70は、例えば、円柱形状の金属棒を切削加工することにより形成される。駆動軸70は、第1部分71と、第2部分72と、第3部分73と、突起受部74と、を有している。
【0035】
第1部分71は、長方形の平板形状を有している。第1部分71の厚さは、出力軸67のスリット67aの幅よりわずかに小さい。第1部分71は、出力軸67のスリット67aの内側に上下方向に移動可能に配置される。スリット67aおよび第1部分71によって、出力軸67の回転を駆動軸70に伝達しつつ、出力軸67に対する駆動軸70の上下方向の移動を可能にしている。
【0036】
第2部分72は、円柱形状を有している。第2部分72は、第1部分71の下端部に連設されている。第2部分72の外周面には、雄ねじ72cが形成されている。雄ねじ72cは、案内部材68の雌ねじ68cに螺合される。なお、案内部材68が雄ねじを有し、駆動軸70が雌ねじを有していてもよい。
【0037】
第3部分73は、円板形状を有している。第3部分73は、第2部分72の下端部に同軸に連設されている。第3部分73の外径は、第2部分72の外径より大きい。第3部分73の下面には、円すい形状の凹部が形成されており、凹部にボール76が接合されている。ボール76は、ボール受け部43の平板部43aの凹部に接する。
【0038】
突起受部74は、円環形状を有している。突起受部74は、第3部分73の外周面から径方向外方に突出している。突起受部74の外径は、連結部材45の各弾性片47に内接する円C1より小さく、連結部材45の各突起部49に内接する円C2より大きい(図3)。第3部分73および突起受部74は、駆動軸70における弁体40側の端部(一端部)である。第3部分73および突起受部74は、連結部材45の複数の弾性片47の内側に配置されており、複数の弾性片47に囲まれている。第3部分73と連結部材45の基部46とが、上下方向に間隔をあけて向かい合っている。突起受部74は、複数の弾性片47のそれぞれの突起部49の下方にあり、各突起部49が、突起受部74に引っ掛かっている。具体的には、上方から見たときに各突起部49と突起受部74とが重なっており、各突起部49の下端部が、突起受部74に上下方向に軽く接しているか、または、上下方向にわずかな間隔をあけて配置されている。これにより、各突起部49が、突起受部74に対して相対的に回転可能なように突起受部74に引っ掛かる。したがって、駆動軸70が上方に移動したとき突起受部74に突起部49が引っ掛かるとともに、駆動軸70が連結部材45に対して相対的に軸線L周りに回転可能となる。
【0039】
開弁ばね77は、弁体支持部材25と連結部材45の基部46との間に配置されている。開弁ばね77は、圧縮コイルばねである。開弁ばね77は、連結部材45を介して弁体40を上方に押している。なお、電動弁1において、開弁ばね77を省略してもよい。
【0040】
ステーターユニット80は、ケース81と、ステーター82と、基板83と、を有している。ケース81は、合成樹脂製である。ケース81は、箱形状を有している。ケース81は、ステーター82および基板83を収容している。ステーター82および基板83は、ケース81の内側にねじ止めされている。ステーター82は、円筒形状を有している。ステーター82の内側にキャン30が配置される。ステーター82は、ローター51とともにステッピングモーターを構成する。
【0041】
基板83は、角度センサー84を含む電子部品が実装されている。角度センサー84は、磁気式角度センサーである。角度センサー84は、基板83の下面に実装されている。角度センサー84は、キャン30の上方に配置されている。角度センサー84は、キャン30を介して、永久磁石55と上下方向に向かい合っている。角度センサー84は、角度センサー84を通る磁界の向きおよび大きさを検出する。角度センサー84が出力する電気信号に基づいて、永久磁石55の回転角度を取得することができる。
【0042】
電動弁1において、弁口14、ホルダー20、弁体支持部材25、キャン30、弁体40、連結部材45、ローター51、連結板52、ローター軸53、永久磁石55、出力軸67、案内部材68、駆動軸70、ステーター82は、それぞれの中心軸が軸線Lと一致する。
【0043】
次に、電動弁1の基本的な動作について説明する。
【0044】
電動弁1において、ステーター82に電流を流して、ローター51を一方向に回転させる。ローター51の回転は、遊星歯車機構60を介して駆動軸70に伝達される。駆動軸70が回転すると、駆動軸70と案内部材68とのねじ送り作用により、駆動軸70が下方に移動する。駆動軸70によって弁体40が下方に押され、弁体40が下方に移動して弁口14の開口面積が小さくなる。電動弁1は、弁口14が閉じると閉弁状態になる。
【0045】
電動弁1において、ステーター82に電流を流して、ローター51を他方向に回転させる。ローター51の回転は、遊星歯車機構60を介して駆動軸70に伝達される。駆動軸70が回転すると、駆動軸70と案内部材68とのねじ送り作用により、駆動軸70が上方に移動する。開弁ばね77によって弁体40が上方に押され、弁体40が上方に移動して弁口14の開口面積が大きくなる。なお、開弁ばね77の力だけでは弁体40が上方に移動しない場合、駆動軸70が上方に移動すると、突起受部74に突起部49が引っ掛かり、連結部材45および弁体40が上方に引き上げられる。電動弁1は、弁口14が開くと開弁状態になる。
【0046】
弁体40と駆動軸70との連結方法について説明する。まず、連結部材45の基部46を弁体40のステム41の上端面41aに配置する。ボール受け部43の凸部43bを、基部46の貫通孔46aに通し、弁体40の孔41bに嵌合させて、連結部材45を弁体40に取り付ける。駆動軸70の一端部(第3部分73および突起受部74)を連結部材45の複数の弾性片47の内側に挿入して、複数の弾性片47のそれぞれの突起部49に突起受部74を当接させる。駆動軸70の一端部の挿入を進めると、突起部49が突起受部74に押されて弾性片47が基部46の中心から離れる方向に弾性変形し、突起受部74が突起部49を乗り越えると複数の弾性片47が復元する。これにより、駆動軸70に接合されたボール76がボール受け部43に接するとともに、複数の弾性片47のそれぞれの突起部49が突起受部74に引っ掛かり、連結部材45によって弁体40と駆動軸70とが連結される。なお、電動弁1の組立工程において、ステッピングモーターを動作させて、ねじ送り作用により駆動軸70を弁体40側に移動させることで、駆動軸70の一端部を連結部材45の複数の弾性片の内側に挿入するようにしてもよい。
【0047】
次に、図4図7を参照して、従来の電動弁901の動作と、電動弁1の動作と、について説明する。
【0048】
図4図5は、従来の電動弁の弁体に加わる力を説明する図である。図6図7は、図1の電動弁の弁体に加わる力を説明する図である。図4図6は、第1通路から第2通路に冷媒が流れる正流れ状態を示す。正流れ状態では、第1通路の冷媒圧力P1が第2通路の冷媒圧力P2より高い。図5図7は、第2通路から第1通路に冷媒が流れる逆流れ状態を示す。逆流れ状態では、第2通路の冷媒圧力P2が第1通路の冷媒圧力P1より高い。図4A図5A図6A図7Aは、駆動軸が弁体を下方に押す様子を示す。図4B図5B図6B図7Bは、駆動軸が移動を停止している様子を示す。図7Cは、駆動軸が上方に移動する様子を示す。図4図7では、各部品を模式的に示している。図4図7において、細線の矢印は冷媒の流れを模式的に示す。
【0049】
図4Aは、正流れ状態の電動弁901を示しており、駆動軸970がボール976を介して力Fcで弁体940を下方に押している。弁体940には、開弁ばね977が弁体940を上方に押す力Fsと冷媒による上向きの力Frとが加わっている。正流れ状態において、力Frの大きさは、第1通路917の冷媒圧力P1と第2通路918の冷媒圧力P2との差圧に弁口914の通路面積Sを乗じた値である(Fr=(P1-P2)×S)。そのため、以下の式(1)が成立すれば、電動弁901において、弁体940を下方に移動させて弁口914を閉じることができる。なお、以下の各式において、Fc、Fs、Frは力の大きさを示す。各式の左辺において、正の符号(+)または符号なしは下向きの力を示し、負の符号(-)は上向きの力を示す。各式の右辺において、正の符号(+)または符号なしは上向きの力を示し、負の符号(-)は下向きの力を示す。
Fc>Fs+Fr …(1)
【0050】
図4Bは、正流れ状態の電動弁901を示しており、駆動軸970が移動を停止している。弁体940には、開弁ばね977が弁体940を上方に押す力Fsと冷媒による上向きの力Frとが加わっている。力Fsおよび力Frは共に上向きの力であるため、以下の式(2)が成立する。そのため、電動弁901において、駆動軸970が移動を停止しているときは駆動軸970が力Fsと力Frとを合わせた力を受け止め、そして、駆動軸970が上方に移動したとき、弁体940が当該力によって上方に移動して、弁口914を開くことができる。
0<Fs+Fr …(2)
【0051】
図5Aは、逆流れ状態の電動弁901を示しており、駆動軸970がボール976を介して力Fcで弁体940を下方に押している。弁体940には、開弁ばね977が弁体940を上方に押す力Fsと冷媒による下向きの力Frとが加わっている。逆流れ状態において、力Frの大きさは、第2通路918の冷媒圧力P2と第1通路917の冷媒圧力P1との差圧に弁口914の通路面積Sを乗じた値である(Fr=(P2-P1)×S)。そのため、以下の式(3)が成立すれば、電動弁901において、弁体940を下方に移動させて弁口914を閉じることができる。
Fc>Fs-Fr …(3)
【0052】
図5Bは、逆流れ状態の電動弁901を示しており、駆動軸970が移動を停止している。弁体940には、開弁ばね977が弁体940を上方に押す力Fsと冷媒による下向きの力Frとが加わっている。そのため、電動弁901において、以下の式(4)が成立すれば、駆動軸970が移動を停止しているときは駆動軸970が力Fsから力Frを差し引いた力を受け止め、そして、駆動軸970が上方に移動したとき、弁体940が当該力によって上方に移動して、弁口914を開くことができる。
0<Fs-Fr …(4)
【0053】
逆流れ状態の電動弁901において、式(4)に示すように、開弁ばね977が弁体940を上方に押す力Fsが、冷媒による下向きの力Frより大きいとき、開弁ばね977によって弁体940を上方に移動させることができる。そして、力Frは弁口914の通路面積Sに比例するため、弁口914の径を大きくすると、力Frより大きい力Fsを弁体940に加えることができる開弁ばね977が必要になる。また、力Fsが大きくなると、駆動軸970が弁体940を下方に押す力Fcも大きくする必要がある。そのため、各部品に加わる力が大きくなる。
【0054】
図6Aは、正流れ状態の電動弁1を示しており、駆動軸70がボール76を介して力Fcで弁体40を下方に押している。弁体40には、開弁ばね77が弁体40を上方に押す力Fsと冷媒による上向きの力Frとが加わっている。正流れ状態において、力Frの大きさは、第1通路17の冷媒圧力P1と第2通路18の冷媒圧力P2との差圧に弁口14の通路面積Sを乗じた値である(Fr=(P1-P2)×S)。そのため、上記式(1)が成立すれば、電動弁1において、弁体40を下方に移動させて弁口14を閉じることができる。
【0055】
図6Bは、正流れ状態の電動弁1を示しており、駆動軸70が移動を停止している。弁体40には、開弁ばね77が弁体40を上方に押す力Fsと冷媒による上向きの力Frとが加わっている。力Fsおよび力Frは共に上向きの力であるため、上記式(2)が成立する。そのため、電動弁1において、駆動軸70が移動を停止しているときは駆動軸70が力Fsと力Frとを合わせた力を受け止め、そして、駆動軸70が上方に移動したとき、弁体40が当該力によって上方に移動して、弁口14を開くことができる。
【0056】
図7Aは、逆流れ状態の電動弁1を示しており、駆動軸70がボール76を介して力Fcで弁体40を下方に押している。弁体40には、開弁ばね77が弁体40を上方に押す力Fsと冷媒による下向きの力Frとが加わっている。逆流れ状態において、力Frの大きさは、第2通路18の冷媒圧力P2と第1通路17の冷媒圧力P1との差圧に弁口14の通路面積Sを乗じた値である(Fr=(P2-P1)×S)。そのため、上記式(3)が成立すれば、電動弁1において、弁体40を下方に移動させて弁口14を閉じることができる。
【0057】
図7Bは、逆流れ状態の電動弁1を示しており、駆動軸70が移動を停止している。弁体40には、開弁ばね77が弁体40を上方に押す力Fsと冷媒による下向きの力Frとが加わっている。そのため、電動弁1において、上記式(4)が成立すれば、駆動軸70が移動を停止しているときは駆動軸70が力Fsから力Frを差し引いた力を受け止め、そして、駆動軸70が上方に移動したとき、弁体40が当該力によって上方に移動して、弁口14を開くことができる。
【0058】
逆流れ状態の電動弁1において、上記式(4)が成立しない場合でも、図7Cに示すように、駆動軸70が上方に移動すると突起受部74に突起部49が引っ掛かる。これにより、連結部材45および弁体40に対して駆動軸70が上方に引き上げる力Fcが加わる。そのため、以下の式(5)が成立すれば、駆動軸70が上方に移動したとき、弁体40を上方に移動させて弁口14を開くことができる。そのため、電動弁1において、弁口14の径を大きくした場合でも、力Fcを大きくすることで弁口14を開くことができ、開弁ばね77が弁体40を上方に押す力Fsを大きくする必要がない。
0<Fs-Fr+Fc …(5)
【0059】
以上説明したように、電動弁1は、弁口14を有する弁本体10と、弁口14と向かい合う弁体40と、弁本体10に対して回転可能なローター51と、ローター51の回転が伝達される駆動軸70と、を有する。駆動軸70にローター51の回転が伝達されると、駆動軸70が下方(弁口14に近づく方向)または上方(弁口14から離れる方向)に移動する。駆動軸70が、下方に移動したとき弁体40を押し、上方に移動したとき弁体40を引き、弁体40に対して相対的に回転可能である。このようにしたことから、駆動軸70が上方に弁体40を引くので、開弁ばね77によらずに弁口14を開くことができる。また、駆動軸70が弁体40に対して相対的に回転可能であるので、弁体40が弁座15に接したときに駆動軸70が弁体40に対して回転して、弁体40と弁座15とが擦れることを防ぐことができる。そのため、電動弁1の耐久性を確保しつつ弁口14の径を大きくすることができる。
【0060】
また、電動弁1は、弁体40に取り付けられた連結部材45を有する。連結部材45が複数の突起部49を有している。駆動軸70が、当該駆動軸70が上方に移動したとき複数の突起部49が引っ掛かる突起受部74を有する。そして、突起部49が、突起受部74に対して相対的に回転可能なように突起受部74に引っ掛かる。このようにすることで、比較的簡易な構成によって、駆動軸70が、下方に移動したとき弁体40を押し、上方に移動したとき弁体40を引き、弁体40に対して相対的に回転可能なように、弁体40と駆動軸70とを連結することができる。なお、弁体40が連結部材45に対して相対的に回転可能なように、連結部材45が弁体40に取り付けられていてもよい。この場合、例えば、弁体40のステム41の上端面41aとボール受け部43の平板部43aとの間隔を連結部材45の基部46の厚さよりわずかに大きくする。
【0061】
また、連結部材45が、弁体40に取り付けられる平板形状の基部46と、基部46の周縁部から駆動軸70側に延び、基部46の中心から離れる方向に弾性変形可能な複数の弾性片47と、を有する。各弾性片47が、基部46の中心側に突出する突起部49を有する。突起受部74が、駆動軸70における弁体40側の端部(一端部)に配置されている。駆動軸70の一端部が、複数の弾性片47に囲まれている。このようにすることで、複数の弾性片47を基部46の中心から離れる方向に弾性変形させ、駆動軸70の一端部(第3部分73および突起受部74)を複数の弾性片47の内側に配置し、複数の弾性片47を復元させて、突起部49を突起受部74に引っ掛けることができる。そのため、比較的簡易な構成の連結部材45によって弁体40と駆動軸70とを連結することができる。
【0062】
上述した電動弁1は、連結部材が突起部を有し、駆動軸が突起受部を有していたが、連結部材が突起受部を有し、駆動軸が突起部を有していてもよい。また、電動弁1は、連結部材が弁体に取り付けられた構成を有していたが、連結部材が駆動軸に取り付けられた構成であってもよい。この構成では、弁体および連結部材の一方が、突起部を有し、弁体および連結部材の他方が、駆動軸とともに連結部材が前記弁口から離れる方向に移動したとき突起部が引っ掛かる突起受部を有する。
【0063】
(第2実施例)
以下、本発明の第2実施例に係る電動弁2について、図8図9を参照して説明する。
【0064】
図8は、本発明の第2実施例に係る電動弁の一部(主に弁体、連結部材および駆動機構)を拡大した断面図である。図8において、ステーターユニットの記載を省略している。図9は、図8の電動弁が有する連結部材の六面図である。図9において、左側から1番目の図が左側面図であり、左側から2番目の3つの図が、上側から下側に順に平面図、正面図および底面図であり、左側から3番目の図が右側面図であり、左側から4番目の図が背面図である。
【0065】
電動弁2は、連結部材45に代えて、当該連結部材45と構成の異なる連結部材145を有すること以外は、上述した電動弁1と同一(実質的に同一を含む)である。そのため、電動弁2の説明において、電動弁1と同一の構成については同一の符号を付して詳細説明を省略する。
【0066】
連結部材145は、基部146と、複数の弾性片147と、を有している。基部146は、円板形状を有している。本実施例において、連結部材145は基部146の周方向に等角度間隔で配置された3つの弾性片147を有する。各弾性片147は、基部146の周縁部から上方に延びている。各弾性片147は、本体部148と、突起部149と、を有している。本体部148は、長方形板形状を有している。本体部148は、S字形状に曲げられている。本体部148の下端部は、基部146の周縁部に連設されている。本体部148の上端部は、基部146の中心から離れる方向に向けられている。突起部149は、半球形状を有している。突起部149は、本体部148に対して基部146の中心側に突出している。連結部材145の形状は、基部146の中心を対称軸が通る回転対称性を有する。連結部材145は、板金をプレス加工することによって形成される。
【0067】
連結部材145は、弁体40に取り付けられている。具体的には、連結部材145の基部146の下面がステム41の上端面41aに接しており、基部146の中央の貫通孔146aにボール受け部43の凸部43bが挿通されている。基部146は、ステム41の上端面41aとボール受け部43の平板部43aとの間に保持されている。ボール受け部43は、連結部材145を弁体40に取り付けるための部材でもある。
【0068】
駆動軸70の一端部(第3部分73および突起受部74)は、連結部材145の複数の弾性片147の内側に配置されており、複数の弾性片147に囲まれている。第3部分73と基部146とが、上下方向に間隔をあけて向かい合っている。突起受部74は、複数の弾性片147のそれぞれの突起部149の下方にあり、各突起部149が、突起受部74に引っ掛かっている。具体的には、上方から見たときに各突起部149と突起受部74とが重なっており、各突起部149が、突起受部74に上下方向に軽く接しているか、または、上下方向にわずかな間隔をあけて配置されている。これにより、駆動軸70が上方に移動したとき突起受部74に突起部149が引っ掛かるとともに、駆動軸70が連結部材145に対して相対的に軸線L周りに回転可能となる。
【0069】
電動弁2においても、上述した電動弁1と同様の作用効果を奏する。
【0070】
上記に本発明の実施例を説明したが、本発明は実施例の構成に限定されるものではない。前述の実施例に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものや、実施例の特徴を適宜組み合わせたものも、本発明の趣旨に反しない限り、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0071】
1、2…電動弁、10…弁本体、10a…右側面、10b…左側面、10c…上面、13…弁室、14…弁口、15…弁座、17…第1通路、18…第2通路、19…取付孔、19a…底面、20…ホルダー、20a…上部、25…弁体支持部材、25a…環状平面、30…キャン、35…接合部材、40…弁体、41…ステム、41a…上端面、41b…孔、42…弁部、43…ボール受け部、43a…平板部、43b…凸部、45…連結部材、46…基部、46a…貫通孔、47…弾性片、48…本体部、49…突起部、50…駆動機構、51…ローター、52…連結板、53…ローター軸、55…永久磁石、56…磁気遮蔽部材、60…遊星歯車機構、61…歯車ケース、62…固定リング歯車、63…太陽歯車、64…遊星歯車、65…キャリア、66…出力歯車、67…出力軸、67a…スリット、68…案内部材、68c…雌ねじ、70…駆動軸、71…第1部分、72…第2部分、72c…雄ねじ、73…第3部分、74…突起受部、76…ボール、77…開弁ばね、80…ステーターユニット、81…ケース、82…ステーター、83…基板、84…角度センサー、145…連結部材、146…基部、146a…貫通孔、147…弾性片、148…本体部、149…突起部、901…電動弁、914…弁口、917…第1通路、918…第2通路、940…弁体、970…駆動軸、977…開弁ばね

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9