(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】基準マーカー
(51)【国際特許分類】
A61B 90/00 20160101AFI20240917BHJP
A61B 34/20 20160101ALI20240917BHJP
【FI】
A61B90/00
A61B34/20
(21)【出願番号】P 2021577209
(86)(22)【出願日】2020-07-22
(86)【国際出願番号】 IB2020056893
(87)【国際公開番号】W WO2021019369
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2023-07-12
(32)【優先日】2019-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521188539
【氏名又は名称】オーグメディクス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【氏名又は名称】立花 顕治
(74)【代理人】
【識別番号】100207217
【氏名又は名称】樋口 智夫
(72)【発明者】
【氏名】ウルフ、スタート
(72)【発明者】
【氏名】エリメレック、ニザン
【審査官】木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0175228(US,A1)
【文献】特表2008-507361(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00―90/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用マーキング装置であって:
放射線透過性プレートの中に所定のパターンで埋め込まれた複数の放射線不透過性要素と;そして
前記放射線透過性プレートに接続された第1の端部と、1つまたは複数の固定レセプタクルとを含む第2の端部と、を有するシグモイド取り付けアームと;
を有し、
前記シグモイド取り付けアームは、前記第1の端部と前記放射線透過性プレートを、患者に行われる手術の部位に前記第2の端部より近くに配置するように構成される、
ことを特徴とする医療用マーキング装置。
【請求項2】
前記シグモイド取り付けアームが放射線透過性である、ことを特徴とする請求項1に記載の医療用マーキング装置。
【請求項3】
前記シグモイド取り付けアームが、直線部分によって第2の曲線部分に接続された第1の曲線部分を有する、ことを特徴とする請求項1または2に記載の医療用マーキング装置。
【請求項4】
前記シグモイド取り付けアームが
、第2の曲線部分に直接接続され
た第1の曲線部分を有する、ことを特徴とする請求項
1または2に記載の医療用マーキング装置。
【請求項5】
前記所定のパターンは、対称軸および対称面を有さない、ことを特徴とする請求項1-4のいずれか1項に記載の医療用マーキング装置。
【請求項6】
前記放射線透過性プレートは、当該放射線透過性プレートの表面の上に追加の所定のパターンで配置された、複数の光学反射器を有し、前記追加の所定のパターンは前記放射線透過性プレートの位置と方向の明確な尺度を可能にするように構成される、ことを特徴とする請求項1-5のいずれか1項に記載の医療用マーキング装置。
【請求項7】
前記手術の部位は、前記患者の脊椎の部位である、ことを特徴とする請求項1-6のいずれか1項に記載の医療用マーキング装置。
【請求項8】
1組の前記医療用マーキング装置の内のそれぞれの前記医療用マーキング装置の前記シグモイド取り付けアームは、異なる長さを有する、ことを特徴とする請求項1-7のいずれか1項に記載の医療用マーキング装置。
【請求項9】
前記1組の前記医療用マーキング装置の内のそれぞれの前記医療用マーキング装置の前記複数の放射線不透過性要素の前記所定のパターンは、それぞれの前記医療用マーキング装置の前記シグモイド取り付けアームの前記長さと1対1対応を有する、ことを特徴とする請求項8に記載の医療用マーキング装置。
【請求項10】
第1の表面および第2の表面を有するスペーサーをさらに備え、前記第2の表面は外科用クランプに固定的に接続するように構成され、前記外科用クランプは患者の骨に取り付けられるように構成され、前記1つまたは複数の固定レセプタクルは、前記シグモイド取り付けアームを前記スペーサーの前記第1の表面に取り外し可能に接続するように構成される、ことを特徴とする請求項1-9のいずれか1項に記載の医療用マーキング装置。
【請求項11】
前記第1の表面と前記第2の表面との間に一定の距離がある、ことを特徴とする請求項10に記載の医療用マーキング装置。
【請求項12】
前記第1の表面が第1のプレートを有し、前記第2の表面が第2のプレートを有し、前記医療用マーキング装置は、前記第1のプレートを前記第2のプレートに接続し、前記第1のプレートと前記第2のプレートとの間隔を調整するように構成された、調整可能な機構をさらに備える、ことを特徴とする請求項10に記載の医療用マーキング装置。
【請求項13】
前記スペーサーは、前記一定の距離の異なる数値を有する1組のスペーサーを有し、そしてスペーサーは前記患者の特性に従って前記1組のスペーサーから選択される、ことを特徴とする請求項
11に記載の医療用マーキング装置。
【請求項14】
前記患者の骨に取り付けるための外科用クランプをさらに有し、前記外科用クランプは支持構造を有し、前記1つまたは複数の固定レセプタクルは、前記シグモイド取り付けアームが前記支持構造から取り外し可能に接続するように構成される、ことを特徴とする請求項1-13のいずれか1項に記載の医療用マーキング装置。
【請求項15】
前記外科用クランプは、取り付けを有効にするように構成されたクランプ調整要素を有し、そして前記支持構造は前記クランプ調整要素を囲む、ことを特徴とする請求項14に記載の医療用マーキング装置。
【請求項16】
前記外科用クランプは1組の前記外科用クランプを有し、前記1組の外科用クランプの内の前記外科用クランプの前記支持構造は、異なる深さを有する、ことを特徴とする請求項14または15に記載の医療用マーキング装置。
【請求項17】
前記医療用マーキング装置は階段状の形状を有する、ことを特徴とする請求項1-16のいずれか1項に記載の医療用マーキング装置。
【請求項18】
前記医療用マーキング装置は、前記放射線透過性プレートと前記シグモイド取り付けアームの前記第2の端部の下側の表面との間に、既知の機械的偏移を有する、ことを特徴とする請求項1-17のいずれか1項に記載の医療用マーキング装置。
【請求項19】
患者の解剖学的構造と位置合わせされるべき医療用マーキング装置であって:
放射線透過性プレートの中に所定のパターンで埋め込まれた複数の放射線不透過性要素を有する前記放射線透過性プレートと;そして
前記放射線透過性プレートに接続された第1の端部と、支持構造に接続されるように構成された第2の端部と、を有するシグモイド取り付けアームと;
を有し、
前記放射線透過性プレートが、前記シグモイド取り付けアームの前記第2の端部から横方向に偏移され、かつ前記第2の端部の垂直方向下方にあるように、前記医療用マーキング装置は、位置決めされ、構成される、
ことを特徴とする医療用マーキング装置。
【請求項20】
前記支持構造は患者の脊椎の骨に取り付けられるように構成される、ことを特徴とする請求項19に記載の医療用マーキング装置。
【請求項21】
前記支持構造は外科用クランプを有する、ことを特徴とする請求項19または20に記載の医療用マーキング装置。
【請求項22】
方法であって:
クランプが患者の脊椎の骨に取り付けられた後に、前記患者の脊椎のスキャンと、前記クランプに取り付けられた基準マーカーのスキャンとをメモリに記憶するステップであって、
前記基準マーカーは、シグモイド取り付けアームと放射線透過性プレートとを有し、
前記シグモイド取り付けアームは前記放射線透過性プレートに接続される第1の端部と、前記クランプに取り付けられるように構成される第2の端部とを有し、
前記放射線透過性プレートは当該放射線透過性プレートの中に所定のパターンで埋め込まれた複数の放射線不透過性要素を有し、
前記シグモイド取り付けアームは、前記第1の端部と前記放射線透過性プレートを、患者に行われる手術の部位に対して前記第2の端部より近くに配置するように構成される、
ステップと;および
記憶された前記スキャンの分析に基づいて、前記基準マーカーの参照フレームを前記患者の脊椎の参照フレームに位置合わせするステップと;
を有する、ことを特徴とする方法。
【請求項23】
患者マーカーが前記クランプに取り付けられた後に、頭部搭載ディスプレイ(HMD)を介して、
前記患者マーカーの複数の反射器の反射器画像を取得するステップと;および
前記位置合わせと取得された前記反射器画像とに基づいて、前記HMD上に表示された画像を、前記患者の脊椎の解剖学的構造と位置合わせするステップと;
をさらに有する、ことを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
取得された前記反射器画像に基づいて、前記患者マーカーの位置と方向を決定するステップと;そして
前記決定された患者マーカーの位置と方向に基づいて、表示された前記画像を位置合わせするステップと;
をさらに有する、ことを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記患者マーカーは、前記
基準マーカーが前記クランプから取り外された後に、前記クランプに取り付けられる、ことを特徴とする請求項
23または24に記載の方法。
【請求項26】
前記患者マーカーは既知の既定の寸法を有し、表示された前記画像を位置合わせする前記ステップは、前記患者マーカーの前記寸法にさらに基づく、ことを特徴とする請求項23または24に記載の方法。
【請求項27】
前記
基準マーカーは前記放射線透過性プレートと前記シグモイド取り付けアームの前記第2の端部の下側表面との間に既知の機械的偏移を有し、そして表示された前記画像を位置合わせする前記ステップは、前記既知の機械的偏移にさらに基づく、ことを特徴とする請求項23または24に記載の方法。
【請求項28】
前記記憶されたスキャンの分析は、前記複数の放射線不透過性要素の前記所定のパターンの識別を有する、ことを特徴とする請求項22-27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記シグモイド取り付けアームが放射線透過性である、ことを特徴とする請求項22-28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記シグモイド取り付けアームが、直線部分によって第2の曲線部分に接続された第1の曲線部分を有する、ことを特徴とする請求項22-29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記シグモイド取り付けアームが
、第2の曲線部分に直接接続され
た第1の曲線部分を有する、ことを特徴とする請求項22-29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記所定のパターンは、対称軸および対称面を有さない、ことを特徴とする請求項22-31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記スキャンはコンピュータトモグラフィ(CT)スキャンである、ことを特徴とする請求項22-32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記スキャンは透視スキャンである、ことを特徴とする請求項22-33のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に基準マーカー、特に画像誘導手術に存在する複数の参照フレームの位置合わせに使用できるマーカーに関する。
【背景技術】
【0002】
画像誘導手術に使用される拡張現実システムでは、システムは、手術で使用されるオブジェクト、および/または手術を受ける患者の要素を追跡する必要がある。追跡には、患者の基準系および患者を画像化する透視施設の基準系を含む、手術中に作動するさまざまな基準系の位置合わせが必要である。位置合わせには通常、基準マーカーが必要であり、そのような多くのマーカーが知られている。マーカーの例を記載する参考資料を以下に示す。
【0003】
Ben-Haimらの米国特許第6,314,310号(特許文献1)は、X線ガイド下手術用の装置について記載している。装置は、被験者の身体と接触して配置される参照要素を含み、要素は、複数の基準マークを含む。
【0004】
Jutrasらの米国特許第7,107,091号(特許文献2)は、画像誘導手術システムでの使用に適合した手術装置について記載している。この装置は、相互に依存して可動な骨要素の監視を容易にする。
【0005】
Teichmanらの米国特許9,179,984(特許文献3)は、マルチ構成追跡アレイを含むナビゲーションシステムについて記載している。複数の追跡装置をマルチ構成追跡アレイ上に配置することができる。
【0006】
Haiderらの米国特許9,498,231(特許文献4)はオンツール追跡システムを利用したコンピュータ支援手術について記載している。
【0007】
Doanらの米国特許9,844,413(特許文献5)は、身体の目に見えない3次元構造を追跡する監視システムについて記載している。追跡装置は、オブジェクトとその周辺の機器の画像情報を取得する。すべてのオブジェクトには、少なくとも1つのパターンセグメントを持つ3D追跡マーカーが付いている。
【0008】
ショハム(Shoham)らの米国特許第9,872,733号(特許文献6)は、髄内釘手術で遠位ネジ穴を開けるための機械的ガイドを提供するシステムについて記載している。ドリルガイドは、X線透視画像から得られたデータを使用して、遠位の固定ネジ穴に対してロボットによって自動的に配置される。
【0009】
Yangらの米国特許10,034,713(特許文献7)および米国特許出願2017/0252109(特許文献8)は、ハンドヘルド器具の位置と向きを追跡するためのシステムについて記載している。支持部材は、手持ち式器具の長手方向部分に対して1つまたは複数のマーカーを固定し、マーカーを含むマーカー平面は、長手方向部分の長手方向軸に対してある角度で配向される。
【0010】
Wilkinsonらの米国特許10,080,616(特許文献9)は、参照マーカー配列が固定されている骨の画像データにアクセスするシステムについて記載している。
【0011】
Lavalleeらの米国特許10,085,709(特許文献10)および米国特許出願2017/0164919(特許文献11)は、2D X線画像の少なくとも一部に3D画像を投影し、画像の射影幾何学データを調整し、その調整は、画像から画像への位置合わせ技術を使用する、画像と初期3D画像の投影との位置合わせを含む。
【0012】
McLachlinらの米国特許10,166,079(特許文献12)は、医療処置中に術中の画像位置合わせを実行することについて記載している。深さ符号化されたマーカーが対象オブジェクトに提供される。マーカーは、少なくとも2つの画像化システムによって画像化可能であり、マーカーは、少なくとも深さの次元において非対称性を有する。
【0013】
Rogerらの米国特許10,194,993(特許文献13)は、患者の手術を支援するためのシステムについて記載している。このシステムは、ディスプレイ装置と、ディスプレイ装置に表示するための記憶装置とからなり、記憶装置は、患者に配置された1つまたは複数の外科用ナビゲーションマーカーを含む、患者の解剖学的構造の少なくとも一部の画像を記憶する。
【0014】
Stallingsらの米国特許出願2011/0004259(特許文献14)は、解剖学的構造上に基準マーカーを配置するための装置について記載している。装置は、基準ベースおよび固定部材を含む。基準ベースは、追跡センサーの視野内に基準マーカーを配置するように構成されたターンおよび延長部を含む。
【0015】
Robbinsらの米国特許出願2011/0098553(特許文献15)は、磁気共鳴(MR)画像の自動位置合わせを記載し、それは、カメラ追跡システムで表示されるマーカーに対して既知の位置にMR表示マーカーを配置することにより、画像ガイダンスシステムで実行される。
【0016】
Doanらの米国特許出願2015/0150641(特許文献16)は、1つまたは複数のパターンタグを有する位置および方向追跡システムを記載し、各タグは複数の対照的な部分を含む。パターンタグに関する画像情報を取得するためのトラッカーと、パターンタグのパターンを説明する幾何学的情報を含むデータベースがある。
【0017】
Cameronらへの米国特許出願2015/0366620(特許文献17)は、ポートベースの手術用のアクセスポートと共に使用するためのガイドについて記載している。ガイドは、外科的開口部上に配置可能な本体と、アクセスポートを外科的開口部に取り外し可能に受け入れるために本体に結合されたグリップとを含む。
【0018】
Sieglerらの米国特許出願2017/0281283(特許文献18)は、追跡マーカー支持構造が、患者の骨格領域に取り外し可能かつ安全に取り付けられるように構成される、1つまたは複数の基準参照マーカーを含む追跡マーカー支持構造を記載している。
【0019】
Kostrzewskiの米国特許出願2018/0200002(特許文献19)は、別個のナビゲーションシステムを必要とせずに、外科手術中の患者の位置追跡および手術器具ガイダンスのための組み込みナビゲーション機能を備えたロボット手術システムを記載している。
【0020】
McLachlinらの米国特許出願2018/0318035(特許文献20)は、外科手術中に脊椎の一部の周りに固定され、外科ナビゲーションシステムによって追跡される参照タイについて記載している。
【0021】
Abhariらの米国特許出願2019/0015163(特許文献21)は、医療処置の場所に関連するナビゲーション情報がどのように決定されるかを記載している。次に、ナビゲーション情報が共通の座標空間にマッピングされ、手術部位の保存されたライブ光学画像の視野に関連するナビゲーション情報が決定される。
【0022】
参照により本特許出願に組み込まれた文書は、本明細書で明示的または暗黙的に作成された定義と矛盾する方法でこれらの組み込まれた文書に用語が定義されている場合を除き、本出願の不可欠な部分と見なされ、またその場合は本明細書の定義のみを考慮する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【文献】米国特許第6,314,310号
【文献】米国特許第7,107,091号
【文献】米国特許第9,179,984号
【文献】米国特許第9,498,231号
【文献】米国特許第9,844,413号
【文献】米国特許第9,872,733号
【文献】米国特許第10,034,713号
【文献】米国特許出願2017/0252109
【文献】米国特許第10,080,616号
【文献】米国特許第10,085,709号
【文献】米国特許出願2017/0164919
【文献】米国特許第10,166,079号
【文献】米国特許第10,194,993号
【文献】米国特許出願2011/0004259
【文献】米国特許出願2011/0098553
【文献】米国特許出願2015/0150641
【文献】米国特許出願2015/0366620
【文献】米国特許出願2017/0281283
【文献】米国特許出願2018/0200002
【文献】米国特許出願2018/0318035
【文献】米国特許出願2019/0015163
【発明の概要】
【0024】
本発明の一実施形態は、放射線透過性プレートの中に第1の所定のパターンで埋め込まれた第1の数の複数の放射線不透過性要素と、放射線透過性プレートに近接する表面上に第2の所定のパターンで配置された第2の数の複数の光学反射器と、を含む放射線透過性プレートと;そして放射線透過性プレートに接続された第1の端部と、1つまたは複数の固定レセプタクルとを含む第2の端部と、を有するシグモイド取り付けアームと;を有することを特徴とする医療用マーキング装置を提供する。
【0025】
典型的にはシグモイド取り付けアームが放射線透過性である。
開示された一実施形態ではシグモイド取り付けアームが、直線部分によって第2の曲線部分に接続された第1の曲線部分を有する。
開示された更なる一実施形態では、シグモイド取り付けアームが、第2の曲線部分に直接接続された第1の曲線部分を有する。
開示された別の一実施形態では、第1および第2の所定のパターンは、対称軸および対称面を有さない。
【0026】
本発明の一実施形態によれば更に、機器であって:
患者の骨に取り付けるための外科用クランプと;
外科用クランプに固定的に接続するように構成された第1の表面および第2の表面を有するスペーサーと;そして
マーキング装置であって:
所定のパターンで放射線透過性プレートの中に埋め込まれた複数の放射線不透過性要素を含む放射線透過性プレートと;そして
シグモイド取り付けアームであって:放射線透過性プレートに固定的に接続される第1の端部と;スペーサーの第1の表面と嵌合するように構成され、アームをスペーサーから取り外し可能に接続するように構成された1つまたは複数の固定レセプタクルを含む第2の端部と;を有するシグモイド取り付けアームと;
を含むマーキング装置と;
を有することを特徴とする機器が提供される。
【0027】
別の実施形態では、第1の表面とスペーサー表面との間に一定の距離がある。
さらに別の実施形態では、第1の表面が第1のプレートを有し、第2の表面が第2のプレートを有し、機器は、第1と第2のプレートの間隔を調整するように構成された、第1と第2のプレートを接続する、調整可能な機構をさらに備える。
【0028】
本発明の一実施形態によれば更に、機器であって:
患者の骨に取り付けるための外科用クランプと;
連結を有効にするように構成されたクランプ調整要素と;
クランプ調整要素を囲む支持構造と;そして
マーキング装置であって:
所定のパターンで放射線透過性プレートの中に埋め込まれた複数の放射線不透過性要素を含む放射線透過性プレートと;
放射線透過性プレートに固定的に接続された第1の端部と、支持構造からアームを取り外し可能に接続するように構成された1つまたは複数の締結レセプタクルを含む第2の端部と、を有するシグモイド取り付けアームと;
を有するマーキング装置と;
を有することを特徴とする機器が提供される。
【0029】
本発明の一実施形態によれば更に、方法であって:
第1の所定のパターンで配置された第1の数の複数の放射線不透過性要素を放射線透過性プレートに埋め込むステップと;
第2の数の複数の光学反射器を、放射線透過性プレートに近接する表面上に第2の所定のパターンで配置するステップと;そして
シグモイド取り付けアームの第1の端部を放射線透過性プレートに接続するステップであって、シグモイド取り付けアームは、1つまたは複数の固定レセプタクルを備える第2の端部を有する、ステップと;
を有することを特徴とする方法が提供される。
【0030】
本発明の一実施形態によれば更に、方法であって:
患者の骨に外科用クランプを取り付けるステップと;
第1の所定のパターンで配置された第1の数の複数の放射線不透過性要素を放射線透過性プレートに埋め込み、第2の数の複数の光学反射器を第2の所定のパターンで放射線透過性プレートに近接する表面に配置するステップと;
シグモイド取り付けアームの第1の端部を外科用クランプに接続するステップであって、シグモイド取り付けアームは、放射線透過性プレートに固定的に接続された第2の端部を有する、ステップと;
透視スキャンを形成するために、放射線透過性プレート、シグモイド取り付けアーム、および外科用クランプを透視スキャンするステップと;
第1の光学スキャンを形成するために、第2の数の複数の光学反射器を光学的に走査するステップと;
シグモイド取り付けアームの第1の端部を外科用クランプから切り離し、第3の所定のパターンで第3の数の複数の反射器を有する患者マーカーを外科用クランプに接続するステップと;
第2の光学スキャンを形成するために、第3の数の複数の光学反射器を光学的に走査するステップと;
第1および第2の光学スキャンから、放射線透過性プレートの位置および方向と患者マーカーの位置および方向との間の差異を示す補正ベクトルを導出するステップと;そして
補正ベクトルおよび透視スキャンに応答して、患者の参照フレームを外科用クランプの参照フレームに位置合わせするように、患者と外科用クランプとの間の空間変換を決定するステップと;
を有する、ことを特徴とする方法が提供される。
【0031】
典型的に、方法は参照フレームの位置合わせに応答して、患者に対して手術を行う専門家に対し、患者と位置合わせされた患者の保存された画像を提示するステップを有する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本開示は以下の図面を参照した実施形態の詳細な説明により、より十分に理解されよう:
【
図1】本発明の実施形態による、医療処置の準備段階中に使用される医療用マーキング装置を示す概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態による、クランプから分離された装置の概略図である。
【
図3】本発明の一実施形態による、装置の概略分解図である。
【
図4】本発明の実施形態による、処置の準備段階および後続段階の両方で実行されるステップのフローチャートである。
【
図5】本発明の実施形態による、処置の後続段階の概略図である。
【
図6】本発明の代替の実施形態による、医療用マーキング装置の概略図である。
【
図7】本発明の代替の実施形態による、医療用マーキング装置の概略図である。
【
図8】本発明の代替の実施形態による、医療用マーキング装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
(概要)
本発明の実施形態は、患者に対する画像誘導手術に存在する異なる参照フレームを位置合わせするために使用される基準マーカーを提供する。画像誘導手術は、拡張現実頭部搭載型ディスプレイを装着した医療専門家が実行することができ、ディスプレイが正しく動作するためには、医療専門家に提示される患者の画像が実際の患者と一致している必要がある。基準マーカーによって提供される位置合わせにより、必要な画像の位置合わせが保証される。
【0034】
開示された実施形態では、マーカーは、患者に対して行われる処置の準備段階で、患者の1つまたは複数の棘突起に取り付けられたクランプに接続されている。患者間の身体的差異に対応するために、本発明の実施形態は、基準マーカーをクランプに取り付けるための代替システム、マーカーをクランプに接続する固定幅および可変幅スペーサーを含む代替システムを提供する。
【0035】
基準マーカーは、所定のパターンで配置された放射線不透過性要素で構成されているため、マーカーと患者のコンピュータ断層撮影(CT)スキャン画像により、患者の解剖学的構造とクランプの参照フレームを準備段階で位置合わせできる。
【0036】
処置の後続段階で、基準マーカーが患者マーカーに置き換えられる。本発明のいくつかの実施形態では、基準マーカーはまた、光学反射器を含み、これらの画像を使用して、患者マーカーの異なる位置に対応することができる。
【0037】
準備段階で得られた位置合わせは処置の後続段階で使用され、それにより患者マーカーの画像を使用して患者を追跡し、専門家に提示される画像が正しく位置合わせされる。
【0038】
CT施設は通常、視野が狭い術中CTスキャナーで構成されているため、位置合わせを成功させるには、基準マーカーの放射線不透過性要素と椎体は近接している必要がある。本発明の実施形態は、「階段」の形態の基準マーカーを有することによってこの近接を達成し、階段の一部は、放射線不透過性要素を含むプレートを含み、基準マーカーの階段状の形態は、プレートが椎体の近くに配置されることを可能にする。階段の第2の部分はクランプに取り付けられ、2つの部分の間に既知の機械的オフセットがある。
【0039】
本発明の幾つかの実施形態では、プレートは放射線透過性であり、所定のパターンで埋め込まれた上記の複数の放射線不透過性要素を有する。上記の階段状の形状を実現するために、シグモイド形状取り付けアームの第1の端部が放射線透過性プレートに固定的に接続されている。さらに、シグモイド形状取り付けアームは、棘突起に取り付けられたクランプへのアームの取り外し可能な接続のために構成された1つまたは複数の固定レセプタクルを含む第2の端部を有する。
【0040】
開示された実施形態では、放射線透過性プレート、シグモイド形状取り付けアーム、および外科用クランプは、透視スキャンを形成するように透視スキャンされる。透視スキャンおよび所定の機械的オフセットに応答して、患者の参照フレームを外科用クランプの参照フレームに位置合わせするように、患者と外科用クランプとの間の空間変換が決定される。
【0041】
通常、参照フレームの位置合わせに応答して、患者に対して手術を行う医療専門家には、患者と位置合わせされた患者の保存された画像が提示される。
【0042】
(システムの説明)
以下では、すべての方向参照(たとえば、上、下、上、下、左、右、上、下、上、下、垂直、および水平)は、読者が本発明を理解するのを助けるための識別目的でのみ使用され、位置、向き、または本発明の実施形態の使用に関して制限を生じさせない。
【0043】
ここで、本発明の実施形態による、患者20の医療処置の準備段階中に使用される医療マーキング装置10を示す概略図である
図1を参照する。本明細書で言及される処置は、準備段階およびその後の段階を含むと想定され、以下により詳細に記載されるように、装置10は、準備段階中に使用され得る。装置10は、本明細書では基準マーカー10とも呼ばれる。以下にも説明されるように、医療専門家は、処置の後続段階で拡張現実システムを使用する。
【0044】
拡張現実システムは、医療専門家が観察できるように、患者20の要素の仮想画像を投影する。画像の投影は、実際の患者の専門的観察と同時に実行されるため、投影される画像は患者と位置合わせされている必要がある。拡張現実システムで投影された画像を患者と位置合わせするために、患者の参照フレームと患者の骨に取り付けられたクランプのフレームが、マーキング装置10を使用して準備段階で位置合わせされる。拡張現実システムが使用されている場合、準備段階で計算されたクランプの位置合わせは、システムによって生成された画像を正しく位置合わせするために使用される。
【0045】
本明細書の説明において、処置は、患者20の脊椎に対する手術を含むと想定され、手術の前に、そして処置の準備段階において、上記の位置合わせを実行するために、医療専門家は、外科用骨クランプ24を患者20に挿入する。クランプの挿入部位28は、処置の後続段階の間に手術されるべき患者の脊椎の部位32に近いが、それから離れている。専門的なクランプ24は、患者の脊椎のセクション、典型的には患者の1つまたは複数の棘突起にクランプし、そしてクランプは、マーカー10が固定される支持構造36を有する。クランプ24と同様のクランプは、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第16/120,480に記載されている。
【0046】
図2は、クランプ24から分離された装置10の概略図であり、
図3は、本発明の実施形態による、装置10の概略分解図である。装置10は、典型的にはポリイミドなどの生体適合性プラスチックで形成された放射線透過性プレート50を備える。本明細書では球を含むと想定される複数の実質的に類似の放射線不透過性要素54がプレート50内に埋め込まれる。要素54は、本明細書では長方形の側面上の点から構成されると想定される、所定のパターンでプレート50内に埋め込まれる。ただし、他の便利な所定のパターンを使用することもできる。いくつかの実施形態では、所定のパターンは、対称の軸または平面を持たない。通常、プレート50はカバー52によって保護されている。
【0047】
放射線透過性シグモイド型取り付けアーム58は、典型的にはプレート50と同じ生体適合性プラスチックから形成され、アームの第1の端部62によってプレートの端部66に接続されている。アームの第2の端部70は、1つまたは複数の固定レセプタクル74を含み、これにより、アームが支持構造36に所定の方向に安全にしっかりと固定して、支持されうる。本発明の実施形態では、支持構造36は、クランプ24の調整要素102を取り囲み、調整要素は、クランプの顎を患者20の骨に取り付けることを可能にする。本発明の実施形態では、支持構造は、異なる深さ d を有する。
【0048】
第2の端部70は、支持構造36の上面82に接続する下面78を有する。開示された実施形態では、レセプタクル74は、拘束ネジ86および穴92を含み、ネジおよび穴は、それぞれ上面82のネジ穴96およびスタッド100に嵌合する。
【0049】
図から明らかなように、アーム58の長さは、アームの第2の端部の下面78からのプレート50の分離を画定する。本発明の実施形態は、装置10の複数のセットを含み、セットの各メンバーは、一般に本明細書に記載される通りであるが、他のセットメンバーとは異なる既知の長さのアーム58を有する。アーム58は、直線セクション120によって分離された2つの曲線セクション112、116から形成され、アームの異なる長さは、直線セクション120の長さを変えることによって形成される。本発明の実施形態では、直線セクション120の長さは、0(ゼロ)から最大約7cmまで変わる。ただし、7cmを超える値も可能である。セクション120の長さが0であるとき、2つの湾曲したセクションは、介在する直線セクションなしで一緒に接続されていることが理解されよう。
【0050】
階段状の配置でそれぞれのシグモイド取り付けアーム58に接続されたそれぞれの、プレート50を含む、装置のセットの各メンバーは、典型的には射出成形によって単一の部品として形成され得る。セットの各メンバーは既知の寸法を有し、その結果、プレート50と、アームの第2の端部の下面78を含むアームの第2の端部と、の間に既知の機械的オフセットが存在することが理解されよう。
【0051】
通常、装置10のセットの各メンバーについて、放射線不透過性要素54の所定のパターンは、既知の機械的オフセットと1対1で対応するように構成される。この場合、パターンの識別は、機械的オフセットに一意で明確な尺度を提供し、そしてこの対応関係の提供は、本発明の実施形態が実質的に任意のオフセットをサポートすることを可能にする。以下に説明するように、対応関係はコンピュータメモリに記憶され得、そしてメモリはアクセスされ得、それにより装置10のセットの所与のメンバーの機械的オフセットの一意の値がメンバーの放射線不透過性要素のパターンから決定され得る。
【0052】
上記の装置10のセットに加えて、本発明の実施形態はまた、支持構造36の異なる深さ d を有するクランプ24のセットを含む。任意の所与のアーム長58について、支持構造26の深さがクランプ24のセットから選択された所与のクランプからのプレート50の分離を画定することが理解されよう。
【0053】
図1に戻ると、装置10は、通常、装置10のセットから選択され、クランプ24は、通常、クランプ24のセットから選択されるので、装置が支持構造36の上面82に取り付けられると、装置のプレート50は脊椎の部位32に可能な限り近く、つまり、処置の後続段階で実行される手術の部位にできるだけ近くなる。選択された装置10が表面82に取り付けられると、装置および患者の脊椎のコンピュータ断層撮影(CT)スキャンが実行される。スキャンは、患者20をCTスキャン施設、典型的には術中CTスキャナーに挿入することによって実行され得る。挿入は、CTスキャン施設を患者20に持ってくることによって、または患者を施設に運ぶことによって実施され得る。
【0054】
メモリ114に結合されたコンピュータプロセッサ108を含む処理システム104は、装置10および患者の脊椎のスキャンを受信し、スキャンを画像118としてメモリに格納する。上記で言及された1対1の対応関係はまた、対応関係122としてメモリ114に格納され得る。処理システムは、格納された画像を分析し、放射線不透過性要素54によって形成されたパターンを識別し、そして識別されたパターンから装置10の参照フレーム、したがって取り付けられたクランプ24の参照フレームを、患者の解剖学的構造の参照フレームに位置合わせする。
【0055】
図4は、本発明の実施形態による、処置の準備段階および後続段階の両方で実行されるステップのフローチャートである。最初のステップ150および準備段階の取り付けステップ152において、クランプ24が患者20に挿入され、調整要素102を使用して、患者の1つまたは複数の棘突起にクランプされ、そして
図1を参照して上で説明したように、基準マーカー10がクランプの支持構造36に取り付けられる。
【0056】
スキャンステップ154において、上記のように取り付けられた基準マーカー10のCTスキャンが実行され、スキャンの画像118がメモリ114に記憶される。分析ステップ156において、処理システムは、記憶された画像を分析し、分析からマーカー10の参照フレーム、したがって取り付けられたクランプ24の参照フレームを、患者の解剖学的構造の参照フレームに位置合わせする。
【0057】
ステップ156の位置合わせは、患者の解剖学的構造の参照フレームに対するクランプの上面82の位置および向きを提供するために、プレート50の下面78との既知の機械的オフセットを使用することが理解されよう。上記の1対1の対応関係がメモリ114に対応関係122として格納されている場合、処理システムは、解析ステップ156において、格納された対応関係を使用して、分析によって識別されたパターンから機械的オフセットを決定することができる。
【0058】
分析ステップ156は、患者と外科用クランプの間の空間変換も決定する。これは、機械的オフセットとともに、2つの参照フレーム間の位置合わせを計算するために使用される。
【0059】
準備段階の最終ステップ158で、基準マーカー10がクランプ24から取り外され、上面82が露出したままになる。
【0060】
図5は、本発明の実施形態による、処置の後続段階の概略図である。後続段階では、患者マーカーの取り付けステップ160および位置合わせステップ162が実行され、これらのステップは、以下でさらに説明される。後続段階では、医療専門家180が患者を手術する。医療専門家180は、拡張現実頭部搭載型ディスプレイ(HMD)184を装着する。これは、患者に位置合わせされた保存された画像を医療専門家に提示するように構成されている。動作するために、HMD184は、システム104のプロセッサ108に結合され、記憶された画像は、メモリ114に記憶され得る。あるいは、HMD184は、プロセッサ108によって実行されるものと同様の機能を実行する独自の専用プロセッサを有する。HMD184と同様のディスプレイは、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,928,629号に記載されている。
【0061】
HMD184の位置合わせを実行するために、取り付けステップ160で、既知の所定の寸法の患者マーカー190をクランプ24の支持構造36の上面82に取り付ける。マーカー190は、レセプタクル74と実質的に同様の固定レセプタクル198を備えている。そのため、上記の開示された実施形態では、レセプタクル198は、拘束ネジ202および穴206を含み、ネジおよび穴は、クランプ24の上面82において、ねじ穴96およびスタッド100とそれぞれ嵌合する。マーカー190と同様の患者マーカーは、参照により本明細書に組み込まれるPCT特許出願PCT/IB2019/053524に記載されている。
【0062】
患者マーカー190は、患者マーカーの表面に組み込まれた光学反射器194を含み、反射器は、反射器の画像を分析して、マーカーの位置および方向の明確な尺度を提供できるように、所定のパターンで配置される。
【0063】
位置合わせステップ162において、HMDは、可視光または不可視光を患者マーカー190に投射し、マーカーの反射器194の画像を取得する。取得した画像から、HMDプロセッサが患者マーカーの位置と方向を決定する。患者マーカーは既知の寸法を有し、上面82に取り付けられているので、プロセッサは、ステップ156で見出された位置合わせ(基準マーカー10の参照フレームと患者の解剖学的構造の参照フレームとの間)を適用して、HMDによって投影された画像が患者の解剖学的構造20と整列することを確実にする。
【0064】
上記の説明は、基準マーカー10および患者マーカー190が、クランプ24を介して、脊椎の部位32、すなわち、患者20に対して行われる手術の部位に可能な限り近く、どのように取り付けられ得るかについての詳細を提供する。以下の説明は、患者マーカーおよび基準マーカーが手術部位に可能な限り近くなるように、代替的または追加的に使用され得る本発明の実施形態の例のさらなる詳細を提供する。
【0065】
図6は、本発明の代替の実施形態による、クランプ24から分離された医療用マーキング装置250の概略図である。以下に説明する違いを除けば、装置250の動作は装置10の動作とほぼ同じであり(
図1-5)、装置250と10の両方で同じ参照番号で示される要素は、構造と動作がほぼ同じである。装置250は、本明細書では基準マーカー250とも呼ばれる。
【0066】
シグモイド型アームの第2の端部70が支持構造36の上面82に直接接続するように構成される装置10とは対照的に、装置250では、シグモイド型アームの第2の端部と表面82との間に介在するスペーサー254がある。スペーサー254は、予め設定された固定距離 h によって分離された、一対の対向する平行な表面、スペーサー上面258およびスペーサー下面262を有するように形成される。組み立てられると、下面262は、支持構造36の上面82と固定的にかみ合い、シグモイド型アームの下面78は、スペーサー254の上面258と取り外し可能にかみ合う。
【0067】
スペーサー下面262が支持構造表面82と固定的にかみ合うことができるように、スペーサー下面は、スタッド100と整列し、適合するスペーサー下面の中への2つの止まり穴266入口を有する。さらに、スペーサー254は、スペーサーの穴274にある拘束ネジ270を含む。拘束ネジは、ネジ穴96にねじ込まれると、スペーサーを支持構造36に固定して固定し、一方でネジ270の頭は、穴274内でスペーサーの上面258の下にあるように構成される。拘束ネジ270および止まり穴266は、スペーサー下面固定レセプタクル290として機能する。
【0068】
スペーサー254が支持構造36を支持するように固定されると、シグモイド型アームの下面78は、スペーサーの上面と取り外し可能に嵌合され得る。スペーサー上面は、穴92と整列する2つのネジ穴278を含む。シグモイド型アームの下面をスペーサーと取り外し可能に嵌合させるために、一対の保持ネジ282が穴92を通過し、ネジ穴278にねじ込まれる。穴278は、スペーサー上面固定レセプタクル294として機能する。
【0069】
スペーサー254は、通常、そのようなスペーサーのセットの一部である。一実施形態では、そのセットのスペーサーは、1cm~5cmの範囲の h の値を有するが、他の実施形態では、セットは、異なる範囲の h を有する。スペーサー254は、プレートを患者の脊椎に可能な限り近づけたまま、プレート50をクランプ24より上に上げるために使用され、選択されたスペーサーの h の値は、患者の特性に従って選択され得る。異なる値の h を有する一組のスペーサー254を有することは、一組の装置10について上で言及された、異なる長さのアーム58の必要性を置き換えるか、またはそれに追加されると理解されよう。
【0070】
マーカー250を使用する処置では、上記のようにスペーサー254の上面にマーカー250を取り付けた後、それは蛍光透視法でキャンされ、そしてスペーサーの上面から取り外すことができる。取り外した後、
図6に示すように、患者マーカー190をスペーサー上面に取り付けることができる。患者マーカーの取り付けは、ネジ282と実質的に同様のネジ302によって実施され、穴206を貫通し、ネジ穴278にねじ込まれる。ネジ302およびネジ穴278は、患者マーカーの固定レセプタクル298として機能し、レセプタクル298は、レセプタクル294と実質的に類似している。
【0071】
図4のフローチャートに戻ると、マーカー10の代わりにマーカー250が使用される場合、フローチャートの各ステップについての上記の動作は、以下を除いて実質的に類似している。
【0072】
ステップ152では、スペーサー254が最初に支持構造36に固定的に取り付けられ、次に基準マーカー250が上記のようにスペーサーに取り外し可能に取り付けられる。
【0073】
ステップ158において、基準マーカー250がスペーサーから除去され、ステップ160において、患者マーカー190が、上記のように、スペーサーに取り付けられる。
【0074】
基準マーカー250および患者マーカー190がスペーサーの上面で同じ位置に取り付けられているので、ステップ156で見出された位置合わせを位置合わせステップ162で使用できることが理解されよう。
【0075】
図7は、本発明の代替の実施形態による、クランプ24から分離された医療用マーキング装置350の概略図である。以下に説明する違いを除けば、装置350の動作は装置250の動作とほぼ同じであり(
図1~6)、装置250と350の両方で同じ参照番号で示される要素は、構造と動作がほぼ同じである。装置350は、本明細書では基準マーカー350とも呼ばれる。
【0076】
スペーサーの上面と下面の間に事前設定された固定距離を持つスペーサー254を使用する装置250とは対照的に、装置350は調整可能スペーサー354とも呼ばれるスペーサー354を使用し、それは、上部調整可能スペーサープレート358と下部調整可能スペーサープレート362との間に調整可能な距離を有する。調整可能スペーサー354の2つのプレートの要素は、固定スペーサー254の2つの表面のそれぞれの要素に対応する。したがって、上部プレート358のネジ穴378および穴374は、穴278と274に実質的に類似し、穴374が拘束ネジ270の通過を可能にする。ネジ282およびネジ穴378は、上部調節可能スペーサープレートの固定レセプタクル394として機能する。
【0077】
下部プレート362の穴366は、直径および位置が止まり穴266と実質的に類似しているが、穴366は必ずしも止まり穴ではない。下部プレート362はまた、穴374と整列し、ネジ270を保持するようなサイズの穴374Aを備える。拘束ネジ270および穴366は、下部調節可能スペーサープレートの固定レセプタクル390として機能する。
【0078】
調節可能なスペーサー354は、調節可能なスペーサー354の下部プレートと上部プレートを接続する調節可能機構400を備える。機構400は、上部プレートを互いに実質的に平行に維持し、一方機構の操作は、プレートの分離を調整する。
【0079】
図7に示される一実施形態では、調節可能機構400は、時計回りおよび反時計回りのネジ山を有するロッド404を含み、ネジ山は、上部プレート358にスライド式に取り付けられたそれぞれのナット
408、412と嵌合するように構成される。調節可能機構400は、さらに2つのレバー416、420を含み、それらの支点が下部プレート362に結合され、それらの端点がそれぞれのナットに取り付けられている。調節可能機構400のロッド404の回転は、ナットの間の分離を増加または減少させ、それに応じて、調整可能なスペーサー354の上部プレートと下部プレートとの間の分離を減少または増加させる。
【0080】
プレートを互いに実質的に平行に維持しながら、プレートの調整可能な分離を提供する、スペーサー354の上部プレートと下部プレートを接続するための他の機構は、当業者には明らかであろう。そのようなメカニズムはすべて、本発明の範囲内に含まれると想定される。
【0081】
図4のフローチャートに戻ると、マーカー10の代わりにマーカー350が使用される場合、フローチャートの各ステップについての上記の動作は、以下を除いて実質的に類似している。
【0082】
ステップ152において、下部プレート362は、最初に支持構造36に固定的に取り付けられ、次に、基準マーカー350は、上記のように、上部プレート358に取り外し可能に取り付けられる。
【0083】
ステップ158において、基準マーカー350がスペーサー上部プレート358から除去され、ステップ160において、患者マーカー190が、上記のように、スペーサー上部プレートに取り付けられる。
【0084】
基準マーカー350および患者マーカー190が同じ位置、すなわちスペーサー上部プレートの上面、に取り付けられているため、テップ156で見出された位置合わせを位置合わせステップ162で使用されうることが理解されよう。
【0085】
図8は、本発明の代替の実施形態による、クランプ24から分離された医療用マーキング装置450の概略図である。以下に説明する違いを除けば、装置450の動作は装置250の動作とほぼ同じであり(
図1~6)、装置250と450の両方で同じ参照番号で示される要素は、構造と動作がほぼ同じである。装置450は、本明細書では基準マーカー450とも呼ばれる。
【0086】
装置250とは対照的に、複数の光学反射器454が、プレート50のカバー52の表面458上に配置される。一実施形態では、反射器454は、典型的には対称の回転軸なし(360°回転するための自明な対称軸以外に)で、そして対称のミラー平面なしで、所定のパターンで表面上に配置される。所定のパターンは、プレート50の位置および方向の明確な尺度を提供するために反射器の画像を分析できるように構成される。反射器454の画像化、および画像の分析は、実質的に患者マーカー190の反射器194について上記で説明した通りである。
【0087】
装置450は、通常、
図1および2を参照して上記で説明したスペーサー254および/またはスペーサー354とともに使用される。使用される装置450がこれらのスペーサーの1つと共に使用される場合、患者マーカー190は、上記のようにスペーサーに対して配置され得る。しかしながら、反射器454が存在するため、患者マーカー190は、
図4のフローチャートの変化を参照して以下で説明されるように、代替的に他の任意の便利な位置に配置され得る。
【0088】
明確にするために、以下のフローチャートの変更の説明では、装置450はスペーサー254と共に使用されると想定される。当業者は、装置450がスペーサー354と共に使用される場合、またはプレート50を支持構造36から効果的に分離する他の任意のスペーサーと共に使用される場合、必要な変更を加えてこの説明を適合させることができる、ことを理解しよう。
【0089】
フローチャートのステップ152において、スペーサー254は、最初に、ネジ270を使用して支持構造36に取り付けられ、次に、基準マーカー450が、上記のように、ネジ282を使用してスペーサーに取り付けられる。
【0090】
ステップ154および156は、
図4を参照して上記のように実行され、マーカー450の
参照フレーム、したがって取り付けられたクランプ24の
参照フレームを、患者の解剖学的構造の
参照フレームに位置合わせする。
【0091】
ステップ158において、基準マーカー450をスペーサーから除去する前に、マーカーの反射器454が光学的にスキャンされ、HMD184を使用して画像化される。HMD184に関連するプロセッサは、画像を分析して反射器の位置および向きを見つける。したがって、HMDの基準枠内のプレート50の。次に、マーカー450をスペーサー254から除去することができ、スペーサーを支持構造36から除去することができる。
【0092】
ステップ160および162は、一般に上記のように実施され、その結果、ステップ160において、患者マーカー190は、支持構造36の上面82に取り付けられる。
【0093】
ステップ162において、患者マーカー190が光学的にスキャンされ、追跡され、HMDのプロセッサは、ステップ158で見出されたプレート50の位置および向きを使用して、プレートの位置と患者マーカーの位置との間の補正ベクトルを生成することができる。補正ベクトルは、基準マーカーと患者マーカーが異なる場所(つまり、スペーサーと支持構造)に取り付けられているという事実を補正する。ステップ162において、HMDプロセッサは、この補正ベクトルを適用して、HMDによって投影された画像が患者20の解剖学的構造と整列することを確実にする。
【0094】
上記の説明は、患者マーカー190および基準マーカー450がクランプ24に関連する異なる要素に取り付けられている特定の場合に関するものである。当業者は、必要な変更を加えて、異なる取り付けの場合に説明を適合させることができ、そしてそのようなすべての場合は、本発明の範囲に含まれると想定される。
【0095】
上記の実施形態は例として引用されており、本発明は、本明細書で特に示され、記載されているものに限定されないことが理解されよう。むしろ、本発明の範囲は、上記の様々な特徴の組み合わせ、および、サブ組み合わせの両方、ならびに前述の説明を読んだときに当業者に想起される、先行技術に開示されていないその変形および修正を含む。