(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】商品販売データ処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/20 20120101AFI20240917BHJP
G06Q 20/28 20120101ALI20240917BHJP
G06Q 20/34 20120101ALI20240917BHJP
G07G 1/12 20060101ALI20240917BHJP
【FI】
G06Q20/20 370
G06Q20/28
G06Q20/34 310
G07G1/12 321L
G07G1/12 351C
(21)【出願番号】P 2022138158
(22)【出願日】2022-08-31
(62)【分割の表示】P 2021026406の分割
【原出願日】2016-12-19
【審査請求日】2022-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000145068
【氏名又は名称】株式会社寺岡精工
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100145481
【氏名又は名称】平野 昌邦
(72)【発明者】
【氏名】金子 知樹
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 文克
(72)【発明者】
【氏名】馬場 智幸
(72)【発明者】
【氏名】沖山 智紀
(72)【発明者】
【氏名】田辺 裕示
【審査官】松野 広一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-026125(JP,A)
【文献】特開平04-180196(JP,A)
【文献】特開2005-086497(JP,A)
【文献】特開2009-075986(JP,A)
【文献】特開2016-099898(JP,A)
【文献】特開2007-087316(JP,A)
【文献】特開2009-053764(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G07G 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品の登録と精算とを含む第1取引に応じた処理を行う第1取引処理手段と、
前記第1取引に応じた処理が開始されてから完了するまでにおいて、前記第1取引での代金の支払いに使用するものとして取得されたプリペイドカードの情報における残高を増加させる第2取引に応じた処理を行う第2取引処理手段と、
前記第1取引に対応する第1レシートと前記第2取引に対応する第2レシートとのそれぞれに同一のプリペイドカードの識別情報を印刷する印刷手段とを備え、
前記印刷手段は、
前記第2取引において、増加分の残高に相当する現金
を受け取った店員による当該現金の金額の指定操
作が行われたことにより、プリペイドカードの情報における残高が増加されると、前記第2レシートを印刷し、
前記第2取引の完了に応じて再開された前記第1取引において
現金の受け渡しが行われることなく、前記プリペイドカードの情報における残高が減少されると、前記第1レシートを印刷する
商品販売データ処理装置。
【請求項2】
前記印刷手段は、前記第1レシートにおいて示される取引番号と前記第2レシートにおいて示される取引番号とが連続するように印刷を行う
請求項1に記載の商品販売データ処理装置。
【請求項3】
前記第2取引が行われているときに、前記第1取引が保留されていることを示す情報を表示する表示手段をさらに備える
請求項1または2に記載の商品販売データ処理装置。
【請求項4】
商品販売データ処理装置における商品販売データ処理方法であって、
商品の登録と精算とを含む第1取引に応じた処理を行う第1取引処理ステップと、
前記第1取引に応じた処理が開始されてから完了するまでにおいて、前記第1取引での代金の支払いに使用するものとして取得されたプリペイドカードの情報における残高を増加させる第2取引に応じた処理を行う第2取引処理ステップと、
前記第1取引に対応する第1レシートと前記第2取引に対応する第2レシートとのそれぞれに同一のプリペイドカードの識別情報を印刷する印刷ステップとを備え、
前記印刷ステップは、
前記第2取引において、増加分の残高に相当する現金
を受け取った店員による当該現金の金額の指定操
作が行われたことにより、プリペイドカードの情報における残高が増加されると、前記第2レシートを印刷し、
前記第2取引の完了に応じて再開された前記第1取引において
現金の受け渡しが行われることなく、前記プリペイドカードの情報における残高が減少されると、前記第1レシートを印刷する
商品販売データ処理方法。
【請求項5】
コンピュータを、
商品の登録と精算とを含む第1取引に応じた処理を行う第1取引処理手段、
前記第1取引に応じた処理が開始されてから完了するまでにおいて、前記第1取引での代金の支払いに使用するものとして取得されたプリペイドカードの情報における残高を増加させる第2取引に応じた処理を行う第2取引処理手段、
前記第1取引に対応する第1レシートと前記第2取引に対応する第2レシートとのそれぞれに同一のプリペイドカードの識別情報を印刷する印刷手段として機能させるためのプログラムであって、
前記印刷手段は、
前記第2取引において、増加分の残高に相当する現金
を受け取った店員による当該現金の金額の指定操
作が行われたことにより、プリペイドカードの情報における残高が増加されると、前記第2レシートを印刷し、
前記第2取引の完了に応じて再開された前記第1取引において
現金の受け渡しが行われることなく、前記プリペイドカードの情報における残高が減少されると、前記第1レシートを印刷する
プログラム。
【請求項6】
商品販売データ処理装置と外部装置とを含むシステムであって、
前記商品販売データ処理装置は、
商品の登録と精算とを含む第1取引に応じた処理を行う第1取引処理手段と、
前記第1取引に応じた処理が開始されてから完了するまでにおいて、前記第1取引での代金の支払いに使用するものとして取得されたプリペイドカードの情報における残高を増加させる第2取引に応じた処理を行う第2取引処理手段と、
前記第1取引に対応する第1レシートと前記第2取引に対応する第2レシートとのそれぞれに同一のプリペイドカードの識別情報を印刷する印刷手段とを備え、
前記外部装置は、
前記第2取引において、増加分の残高に相当する現金
を受け取った店員による当該現金の金額の指定操
作が行われたことにより、プリペイドカードの情報における残高を増加させ、
前記第2取引の完了に応じて再開された前記第1取引において、精算が行われることにより、前記プリペイドカードの情報における残高を減少させるプリペイドカード残高変更手段を備え、
前記印刷手段は、
前記第2取引において、前記外部装置によりプリペイドカードの情報における残高が増加されると、前記第2レシートを印刷し、
前記第2取引の完了に応じて再開された前記第1取引において
現金の受け渡しが行われることなく、前記外部装置によりプリペイドカードの情報における残高が減少されると、前記第1レシートを印刷する
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品販売データ処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、電子マネーの使用が普及している。例えば、店舗での買い物の精算にあたり、プリペイドカードなどの媒体の使用により電子マネーでの代金の支払いを行うことができる。また、このようなプリペイドカードは、現金やクレジットカードの利用額を電子マネーの金額に変換し、変換された電子マネーの金額をプリペイドカードに対応させて管理することにより、電子マネーのチャージ(入金)を行えるようになっている。そこで、プリペイドカード等の電子マネー記憶媒体に対応してチャージの処理が可能なようにされたPOSレジスタが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
POSレジスタにおける1取引に対応する商品についての登録から精算までの処理(会計処理)と、プリペイドカードへのチャージの処理とについては1つの取引において混在させないことが定められている。このため、POSレジスタは、会計処理とチャージ処理とは、それぞれ異なる取引として処理を行うようにされている。
【0005】
例えば、POSレジスタにて商品が登録され、プリペイドカードにより決済を行おうとしたところ、プリペイドカードのチャージ残高が支払金額に満たなかったため、チャージしてから支払いをし直すという状況はしばしば起こる。このような場合、上記のように会計処理とチャージ処理とが個別の取引として扱われることから、以下のように、取引が切り替わる都度に、プリペイドカードの情報の読み取り(即ち、プリペイドカードへのアクセス)が行われる。
まず、例えば買上商品の登録が完了して小計操作が行われた後において、1回目のプリペイドカードの情報の読み取りが行われる。ここで、プリペイドカードのチャージ残高が支払金額に満たない状態であることが分かるので、店員は、これまでの取引を保留させたうえでチャージ処理を開始させる操作を行い、プリペイドカードにチャージを行う。このチャージの際に、2回目のプリペイドカードの情報の読み取りが行われる。そして、チャージ処理が完了すると、店員は保留された取引を再開させる操作を行う。そして、取引が再開された後において、チャージ後のプリペイドカードが支払いに使用できるように、3回目のプリペイドカードの情報の読み取りが行われる。
このように、状況によっては、異なる取引において同じ顧客に関する情報を利用できるのにも係わらず、取引ごとに顧客に関する情報をPOSレジスタに取得させる必要が生じており、取引の進行の妨げとなっている。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、異なる取引において同じ顧客に関する情報を利用できる場合に、取引ごとに顧客に関する情報を媒体から読み取らせる必要がないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するための本発明の一態様は、顧客に関連する情報である顧客関連情報を取得する情報取得手段と、取引ごとに対応する取引対応処理を、前記顧客関連情報を利用して実行する取引対応処理手段と、1の取引対応処理のもとで処理対象とされた顧客関連情報を、他の取引対応処理のもとでも処理対象となるように引き継ぐための引き継ぎ条件が満たされたか否かについて判定する条件判定手段とを備え、前記取引対応処理手段は、前記引き継ぎ条件が満たされたことに応じて、1の取引対応処理のもとで処理対象とされた顧客関連情報を、他の取引対応処理のもとで処理対象となるように設定する商品販売データ処理装置である。
【0008】
また、本発明の一態様は、コンピュータを、顧客に関連する情報である顧客関連情報を取得する情報取得手段、取引ごとに対応する取引対応処理を、前記顧客関連情報を利用して実行する取引対応処理手段、1の取引対応処理のもとで処理対象とされた顧客関連情報を、他の取引対応処理のもとでも処理対象となるように引き継ぐための引き継ぎ条件が満たされたか否かについて判定する条件判定手段として機能させるためのプログラムであって、前記取引対応処理手段は、前記引き継ぎ条件が満たされたことに応じて、1の取引対応処理のもとで処理対象とされた顧客関連情報を、他の取引対応処理のもとで処理対象となるように設定するプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、異なる取引において同じ顧客に関する情報を利用できる場合に、取引ごとに顧客に関する情報を媒体から読み取らせる必要がないようにできるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態におけるPOSシステムの構成例を示す図である。
【
図2】本実施形態におけるPOSレジスタの外観例を示す正面図及び側面図である。
【
図3】本実施形態におけるPOSレジスタの外観例を示す斜視図である。
【
図4】本実施形態におけるPOSレジスタの構成例を示す図である。
【
図5】本実施形態におけるプリペイドカード情報データベースの一例を示す図である。
【
図6】本実施形態における会計処理画面の一例を示す図である。
【
図7】本実施形態におけるプリペイドカード関連情報エリアに表示されるプリペイドカード関連情報の一例を示す図である。
【
図8】本実施形態におけるチャージ処理画面の一例を示す図である。
【
図9】本実施形態におけるチャージ処理後の会計処理画面の一例を示す図である。
【
図10】本実施形態におけるチャージ処理対応レシートと会計処理対応レシートとの一例を示す図である。
【
図11】本実施形態におけるPOSレジスタが会計処理とチャージ処理とに関連して実行する処理手順例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施形態の説明>
図1は、本実施形態におけるPOS(Point Of Sales)システムの構成例を示している。同図のPOSシステムは、店舗STにおいて設置される2台のPOSレジスタ100(商品販売データ処理装置の一例)と1台のストアコントローラ200と1台の通信装置300と、店舗STの外部に設置されるプリペイドカード管理サーバ400とを備える。
【0012】
POSレジスタ100は、店舗STの売り場にて配置され、顧客により購入される商品についての会計処理を店員の操作に応じて行う。ここでの会計処理は、顧客の買上商品を精算対象として登録する商品の商品登録処理と、商品登録処理により登録された商品に対応する合計金額に応じて精算を行う精算処理とを含む。
【0013】
ストアコントローラ200は、店舗STにてPOSシステムを管理する上位の情報処理装置である。ストアコントローラ200は、例えば店舗STにおけるバックヤードなどに設置される。
ストアコントローラ200は、商品マスタなどの種々の情報を管理する。ストアコントローラ200は、POSレジスタ100に、最新の商品マスタを適宜送信する。商品マスタとは、各商品の商品識別情報(例えば、JANコード)、商品名(品名、アイテム名)、販売価格、値引き情報などの商品情報を格納したファイルである。
ストアコントローラ200は、最新の商品情報が反映された商品マスタを、外部(例えば、本部のサーバ、CD-ROM等の媒体)から取得し、POSレジスタ100に適宜送信する。
同図のストアコントローラ200は、POSレジスタ100のそれぞれと、例えば有線または無線によるLAN(Local Area Network)を経由して通信可能に接続される。
【0014】
通信装置300は、プリペイドカード管理サーバ400が存在するネットワークとの接続と、店舗STにおけるLANとの接続を中継するゲートウェイとしての機能を有する。
【0015】
プリペイドカード管理サーバ400は店舗STの外に備えられている。プリペイドカード管理サーバ400と、店舗ST内の通信装置300とは例えばネットワークを経由して通信可能に接続されている。これにより、店舗STにおけるストアコントローラ200、POSレジスタとPOSレジスタ100は、通信装置300を中継してプリペイドカード管理サーバ400と通信可能に接続される。
なお、プリペイドカード管理サーバ400は、例えば図示しない他の店舗における通信装置を介して、他の店舗におけるPOSレジスタやストアコントローラなどと通信が可能に接続されてよい。
【0016】
なお、同図に示したPOSシステムの構成は一例である。例えば、POSシステムの構成として、店舗STにおいて備えられるPOSレジスタ100の数は特に限定されない。また、POSシステムの構成として、ストアコントローラ200を含まない構成としてもよい。なお、POSシステムの構成として、ストアコントローラ200を含まない構成とする場合には、POSレジスタ100にストアコントローラ200としての機能を兼用させてもよい。
【0017】
図2及び
図3は、本実施形態におけるPOSレジスタ100の外観例を示している。
図2(a)はPOSレジスタ100を操作する店員(オペレータ)側(前方)から本実施形態のPOSレジスタ100をみた正面図であり、
図2(b)はPOSレジスタ100の側面図である。また、
図3は、POSレジスタ100を右前方からみた斜視図である。
【0018】
同図のPOSレジスタ100は、タッチパネル付表示部104、キー操作部105、顧客用表示部106、自動釣銭機107、スキャナ部108、印字部109、カードリーダ110、及びドロア120を備える。
【0019】
タッチパネル付表示部104は、タッチパネル104aを備えた店員用の表示装置である。タッチパネル付表示部104においては、商品登録処理や精算処理に応じた会計処理画面などが表示される。また、店員は、タッチパネル104aに対して商品登録、会計などに関する所定の操作を行うことができる。
【0020】
キー操作部105は、商品登録処理時において数量、会計処理時において顧客から受け取った預金の金額の入力を行うための数字キー、会計を締めるための締めキー等の操作キーが設けられたキーボードである。
【0021】
顧客用表示部106は、顧客に対して買上対象の商品の商品名や価格を通知するための表示装置である。
自動釣銭機107は、顧客に支払うべき釣銭のうち、少なくとも貨幣を釣銭排出口107aに排出するための釣銭機であり、顧客から預かった預金のうち少なくとも貨幣を投入するための預金投入口107bを備える。
【0022】
スキャナ部108は、買上対象の商品や品券に付されたコード情報(例えば、バーコード等)、または、商品カタログや商品注文シートに表記されたコード情報を読み取る。
なお、スキャナ部108は、バーコードのほか、例えば二次元コードを読み取るようにされてもよい。
【0023】
印字部109は、用紙に印字を行うことで、買上対象の商品の明細書であるレシート等を発行する。なお、以降の説明にあたり、印字と印刷とは同義で用いる。
【0024】
ドロア120は、顧客から受け取った紙幣及び貨幣を収納する収納部であり、キー操作部105の操作に応じて
図2(b)の矢印Aの方向に引き出されるようになっている。
【0025】
カードリーダ110は、例えばIC(Integrated Circuit)カードに対応するリーダライタである。カードリーダ110が対応するICカードとの通信方式は、接触型と非接触型とのいずれであってもよい。また、カードリーダ110は、磁気カードに磁気記録された情報の読み取りや、磁気カードへの情報の書き込みが可能なように構成されていてもよい。
本実施形態のカードリーダ110が読み取り(及び書き込み)対象とするカード(ICカードあるいは磁気カード)は、プリペイドカードである。プリペイドカードは、予め電子マネーのチャージ(入金)が行われたうえで、プリペイドカードに入金された金額(チャージ残高:有価額の一例)から支払いのための代金が差し引かれるようにして使用される。
なお、カードリーダ110は、プリペイドカードの他に、会員カードやクレジットカードなどに対応して情報の読み取りが可能なようにされてよい。
また、同図のカードリーダ110は、POSレジスタ100の本体に取り付けられて店員が操作するようにされている。しかしながら、カードリーダ110は、例えばPOSレジスタ100とは別体とされて、POSレジスタ100と有線または無線により通信が可能なように接続されてもよい。この場合、カードリーダ110によりプリペイドカードを読み取らせる操作を顧客に行ってもらうようにすることができる。
【0026】
図4は、POSレジスタ100の構成例を示すブロック図である。同図において、
図2に示した構成に対応するブロックには同一の符号を付してその説明を省略する。
同図に示すように、POSレジスタ100は、CPU(Central Processing Unit)111、記憶部102、RAM(Random Access Memory)113、タッチパネル付表示部104、キー操作部105、顧客用表示部106、自動釣銭機107、スキャナ部108、印字部109、カードリーダ110、通信部111及びドロア120を備える。これらの各部位は、内部バス及び通信線を介してそれぞれ接続されている。
【0027】
通信部111は、例えばPOSレジスタ100の上位装置であるストアコントローラ200などとの間で通信を行う。
【0028】
CPU101は、プログラムを実行することにより、POSレジスタ100における各種の処理を実行する。CPU101の処理によってPOSレジスタ100としての各種機能が実現される。
【0029】
記憶部102は、CPU101が利用する各種データを記憶する補助記憶装置である。記憶部102は、例えば、CPU101に実行させるプログラムやタッチパネル付表示部104に表示させる画像データ等を記憶する。
【0030】
RAM103は、記憶部102から読み出されたプログラムやワークエリアのデータが展開される主記憶装置である。また、RAM103には、例えばストアコントローラ200から取り込んだ商品に関する情報等が記憶される。
【0031】
本実施形態におけるPOSレジスタ100は、プリペイドカードの使用による代金の支払いと、プリペイドカードに対するチャージ(入金)とに対応する。
プリペイドカードには、チャージ残高の管理形式として、プリペイドカードが備えるICチップ(あるいは磁気媒体)にチャージ残高の情報が記憶される形式と、サーバにてチャージ残高が管理される形式とがある。本実施形態のプリペイドカードは、上記のいずれの形式とされてもよいが、以降の説明においては、サーバにてチャージ残高が管理される形式である場合を例に挙げて説明する。
プリペイドカードを使用して代金の支払いが行われる場合には、例えば会計処理中において小計操作が行われて登録された商品の合計金額が確定された段階で、店員あるいは顧客がカードリーダ110によりプリペイドカードに記憶されている情報を読み取らせる操作を行う。本実施形態のプリペイドカードには、プリペイドカードを一意に識別するカード識別子が記憶されている。カード識別子は、プリペイドカードの所有者である顧客にも一意に対応することから、顧客を識別する識別子としても機能する。
カードリーダ110によりプリペイドカードから読み取られたカード識別子は、POSレジスタ100にて取得される。POSレジスタ100は、取得したカード識別子を含むプリペイドカード情報要求を、通信装置300経由でプリペイドカード管理サーバ400に送信する。
【0032】
プリペイドカード管理サーバ400は、発行済みのプリペイドカードごとに対応するプリペイドカード情報のデータベース(プリペイドカード情報データベース)を記憶している。
図5は、プリペイドカード情報データベースの一例を示している。同図のプリペイドカード情報データベースにおける1つの行(レコード)が、1つのプリペイドカードに対応するプリペイドカード情報である。
同図のプリペイドカード情報は、顧客識別子、カード識別子、チャージ残高、及びポイント残高の情報項目を含む。
顧客識別子の領域には、対応のプリペイドカードの所有者が店舗の会員として登録している場合に、所有者に付与された会員識別子が格納される。例えば同図の場合、カード番号「XXXXXXXXXX1111」、「XXXXXXXXXX1112」、「XXXXXXXXXX1114」を含む各プリペイドカード情報には顧客識別子が格納されている。つまり、カード番号「XXXXXXXXXX1111」、「XXXXXXXXXX1112」、「XXXXXXXXXX1114」のプリペイドカードの所有者は会員登録を行っていることが示される。一方、カード番号「XXXXXXXXXX1113」を含むプリペイドカード情報には顧客識別子が格納されていない。つまり、カード番号「XXXXXXXXXX1113」のプリペイドカードの所有者は会員登録を行っていないことが示される。
カード識別子の領域には、対応のプリペイドカードを一意に示すカード識別子が格納される。
チャージ残高の領域には、対応のプリペイドカードにチャージされた電子マネーの残高を示す値が格納される。
ポイント残高の領域には、プリペイドカードに対応して付与されたポイントの残高を示す値が格納される。即ち、この場合には、プリペイドカードがポイントカードとしても機能する場合を例に挙げている。
このような情報項目を含むプリペイドカード情報は、プリペイドカードの所有者である顧客に関連する情報(顧客関連情報)の1つとして捉えられる。また、本実施形態において顧客関連情報は、プリペイドカード情報に含まれる全ての情報項目である必要はなく、例えば、プリペイドカード情報に含まれる情報項目のうちの一部であってもよい。
【0033】
プリペイドカード管理サーバ400は、プリペイドカード情報要求が受信されたことに応じて、自己が記憶するプリペイドカード情報のうちから、受信されたプリペイドカード情報要求に含まれているカード識別子を含むプリペイドカード情報を検索する。プリペイドカード管理サーバ400は、検索されたプリペイドカード情報を、プリペイドカード情報要求の送信元のPOSレジスタ100に送信する。
プリペイドカード情報を受信したPOSレジスタ100は、受信されたプリペイドカード情報を、会計処理画面上で表示する。
【0034】
図6は、本実施形態のPOSレジスタ100のタッチパネル付表示部104にて表示される会計処理画面の一例を示している。同図の会計処理画面は、1取引における商品の登録が完了して小計操作が行われ、カードリーダ110にプリペイドカードを読み取らせたことに応じてプリペイドカード管理サーバ400からプリペイドカード情報を受信した段階での表示の態様例を示している。
同図の会計処理画面はタブTAB1に対応して表示されている。タブTAB1は或る1取引に対応する。
例えば、タブTAB2またはタブTAB3に対してタッチ操作を行うと、それぞれに対応する他の1取引に対応する会計処理画面が表示される。
また、会計処理画面には、プリペイドカード使用宣言ボタンBT1が配置されている。店員は、代金の支払いにプリペイドカードが使用される場合には、プリペイドカード使用宣言ボタンBT1を操作して、プリペイドカードの使用の宣言を行う。そのうえで、店員(または顧客)は、カードリーダ110にプリペイドカードを読み取らせる操作を行う。
【0035】
同図の会計処理画面においては、ボタンエリアAR1、登録項目エリアAR2、登録確認エリアAR3、小計エリアAR4及びプリペイドカード関連情報エリアAR5が配置されている。
ボタンエリアAR1は、商品の品目ごとに対応付けられたボタンや、所定の操作モードを指定するボタンなどが配置される。
【0036】
登録項目エリアAR2には、1取引に対応するこれまでの会計処理における商品登録処理によって登録された商品の項目がリスト形式で表示される。ここでは、「商品1」との商品名であって税抜価格が3000円の商品が1つ登録された例が示されている。
【0037】
登録確認エリアAR3には、店員の操作によって登録された商品の情報が確認のために表示される。同図の場合のように、「商品1」としての商品種別の商品が1つ登録された際には、登録確認エリアAR3において、商品名(「商品1」)と、商品1の価格とが表示される。但し、同図の場合には、小計操作が行われた後の状態であって既に商品の登録が確定していることから、登録確認エリアAR3は特に表示が行われていない状態となっている。
【0038】
小計エリアAR4には、1取引において登録された商品の小計に関する情報が表示される。同図においては、登録された商品の小計に関する情報として、登録された商品の個数と、登録された全ての商品についての税込の合計金額とが表示されている。同図の例では、1つの商品が登録されており、その税込の合計金額が3240円であることが示されている。
【0039】
ここでは、1取引において登録された買上商品は「商品1」の1つである場合を例に挙げる。そのうえで、この場合には、前述のように、プリペイドカードの使用による支払いのために、小計操作後においてプリペイドカードの読み取りが行われたことに応じて、POSレジスタ100においてプリペイドカード情報が取得されている。同図のプリペイドカード関連情報エリアAR5においては、取得されたプリペイドカード情報の内容を含むプリペイドカード関連情報が表示される。
【0040】
図7は、
図6のプリペイドカード関連情報エリアAR5に表示されるプリペイドカード関連情報の一例を示している。同図に示されるように、プリペイドカード関連情報エリアAR5においては、チャージ残高エリアAR51、カード識別子エリアAR52、ポイント残高エリアAR53、及びポイント付与対象金額エリアAR54が配置されている。
チャージ残高エリアAR51は、プリペイドカードのチャージ残高が示されるエリアである。同図の例では、「マネー残高:¥2、000」との表示により、チャージ残高が2000円であることが示されている。
カード識別子エリアAR52は、プリペイドカードのカード識別子が示されるエリアである。同図のカード識別子エリアAR52における「カード番号」はカード識別子の別称である。また、同図のカード識別子エリアAR52においては、カード番号を形成する所定桁数のうち下4桁のみ具体的な数が示され、残る各桁の数については「X」による伏せ字により隠蔽されている。
【0041】
ポイント残高エリアAR53は、プリペイドカードにポイントカードとしての機能が与えられている場合において、ポイント残高が示されるエリアである。同図においては、「1234P」との表示により、ポイント残高が1234ポイントであることが示されている。
ポイント付与対象金額エリアAR54は、プリペイドカードにポイントカードとしての機能が与えられている場合において、今回の取引に対応して付与されるポイントの算出基準となる金額(ポイント付与対象金額)を示すエリアである。同図においては、ポイント付与対象金額が3000円であることが示されている。つまり、同図は、登録された商品の税抜合計金額をポイント付与対象金額とするように運用されている場合の例を示している。
【0042】
同図のプリペイドカード関連情報エリアAR5において、チャージ残高エリアAR51、カード識別子エリアAR52、及びポイント残高エリアAR53にて示される情報は、プリペイドカード管理サーバ400から取得されたプリペイドカード情報に含まれていた情報の内容が反映される。また、プリペイドカード関連情報エリアAR5において、ポイント付与対象金額エリアAR54にて示されるポイント付与対象金額は、対応の取引における商品登録処理の結果に応じて求められた合計金額に基づくものである。
【0043】
説明を
図6に戻す。同図の例では、商品の合計金額が3240円であるのに対して、プリペイドカード関連情報エリアAR5にて示されるチャージ残高が2000円となっている。つまり、プリペイドカードのチャージ残高が支払金額に満たない状況である。
このような場合、POSレジスタ100は、チャージ残高が支払金額に満たないことを店員に伝えるためのチャージ残高不足報知を行う。このようなチャージ残高不足報知は、例えば表示によって行われてもよいし、音の出力によって行われてもよい。
【0044】
チャージ残高不足報知を確認した店員は、顧客にその旨を伝えたうえで、チャージするか否かについても顧客に問い合わせる。顧客が、プリペイドカードの使用をせず、現金やクレジットカード等の他の決済種別により支払いを行うことの申し出を行ったのであれば、店員は申し出られた決済種別に対応する精算処理が行われるように操作を行う。
一方、顧客が、プリペイドカードをチャージしたうえでプリペイドカードを使用して支払うことを申し出た場合、店員は、プリペイドカードにチャージするための操作に移る。このために、店員は、同図の会計処理画面におけるチャージ宣言ボタンBT2に対する操作を行う。チャージ宣言ボタンBT2は、プリペイドカードへのチャージを行う処理をPOSレジスタ100に実行させることを宣言する操作が行われるボタンである。
【0045】
本実施形態のPOSレジスタ100において、プリペイドカードへのチャージを行うチャージ処理は、会計処理とは個別の取引として扱われる。つまり、チャージ処理と会計処理とは、それぞれ異なる取引に対応する個別の取引対応処理である。
そこで、POSレジスタ100は、チャージ宣言ボタンBT2に対する操作が行われたことに応じて、これまでの会計処理中であった取引を保留する。そのうえで、POSレジスタ100は、チャージ処理としての新たな取引を設定する。この結果、タッチパネル付表示部104においては、
図6に示した会計処理画面に代えてチャージ処理画面が表示される。
【0046】
ここで、本実施形態においては、このように会計処理中においてチャージ宣言ボタンBT2に対する操作が行われた場合には、取引間でのプリペイドカード情報の引き継ぎが可能な条件(引き継ぎ条件)が満たされたものとして扱われる。
引き継ぎ条件が満たされたことに応じて、POSレジスタ100は、保留の対象とした会計処理のもとで取得したプリペイドカード情報を、別の取引であるチャージ処理に引き継がせる。つまり、POSレジスタ100は、保留の対象とした会計処理のもとで取得したプリペイドカード情報を、チャージ処理の設定に際して、当該チャージ処理で利用する情報として設定する。
【0047】
図8は、
図6の会計処理画面に代わって表示されるチャージ処理画面の一例を示している。同図において、
図6と同一部分については同一符号を付して説明を省略する。
同図のチャージ処理画面の場合、ボタンエリアAR1においては、商品を示すボタンに代えて、チャージ指示ボタンBT11、BT12が配置される。チャージ指示ボタンBT11、BT12は、チャージ金額(プリペイドカードへの入金金額)の指定とともにチャージを指示する操作が行われるボタンである。同図の例では、チャージ指示ボタンBT11が、1000円のチャージ金額を指定してチャージを指示する操作が行われるボタンであり、チャージ指示ボタンBT12が、3000円のチャージ金額を指定してチャージを指示する操作が行われるボタンである。
なお、ボタンエリアAR1におけるチャージ指示ボタンの配置数と、各チャージ指示ボタンに対応して設定されるチャージ金額は、同図の例に限定されるものではなく、適宜変更されてよい。
【0048】
また、同図のチャージ処理画面においては、例えば「仮締め」と示された取引ステイタスエリアAR6が新たに配置されている。「仮締め」と示された取引ステイタスエリアAR6の表示は、現在においてチャージ処理のバックグラウンドで保留中の取引のあることを示す。
また、同図のチャージ処理画面の登録確認エリアAR3においては、保留中の取引における合計金額(「この場合には、3240円」)と、保留中の取引においてこれまでに入金されている預かり金(「この場合には、0円」)が示されている。
【0049】
また、上記のようにして、
図6に対応する会計処理にて取得されたプリペイドカード情報がチャージ処理に引き継がれたことで、同図のチャージ処理画面におけるプリペイドカード関連情報エリアAR5は、
図6の会計処理画面の場合と同様の内容が引き続いて表示された状態にある。
このようにプリペイドカード情報がチャージ処理に引き継がれたことで、チャージ処理に移行した際に、再度、プリペイドカードをカードリーダ110に読み取らせる必要はない。
【0050】
上記のようにチャージ処理画面が表示された状態のもとで、店員は、顧客から申し出を受けたチャージ金額に応じたチャージの操作を行う。ここでは顧客が3000円のチャージを申し出た。店員は、この申し出に応じて、顧客から3000円の現金を受け取ったうえで、チャージ指示ボタンBT12を操作する。チャージ指示ボタンBT12は、前述のように3000円のチャージ金額を指定してチャージを指示するためのボタンである。
チャージ指示ボタンBT12が操作されたことに応じて、POSレジスタ100は、プリペイドカードのチャージ残高について3000円の増加となるように更新する処理(チャージ残高更新処理)を実行する。
このために、POSレジスタ100は、自己が取り込んだプリペイドカード情報のチャージ残高の値に対して、3000円に対応する値を加算するようにして、チャージ残高を更新する。同図の例の場合、チャージ前のチャージ残高は2000円であった。従って、3000円のチャージ金額によるチャージ残高の更新により、チャージ残高は5000円となる。
さらに、POSレジスタ100は、チャージ残高更新処理として、プリペイドカード管理サーバ400に対して、プリペイドカード情報更新要求を送信する。プリペイドカード情報更新要求には、更新後のチャージ残高の情報を含むプリペイドカード情報が含まれている。プリペイドカード管理サーバ400は、プリペイドカード情報更新要求を受信したことに応じて、受信されたプリペイドカード情報更新要求に含まれているプリペイドカード情報により、自己が記憶するプリペイドカード情報のうち、同じカード識別子のプリペイドカード情報を更新する。このようにして、プリペイドカード管理サーバ400において管理するプリペイドカード情報について、POSレジスタ100によるチャージ処理の結果が反映される。
このようなチャージ処理が行われた結果、同図のチャージ処理画面のプリペイドカード関連情報エリアAR5におけるチャージ残高エリアAR51におけるチャージ残高の表示は、同図の2000円を示す状態から、5000円を示す状態に変化する。
【0051】
チャージ処理が完了すると、店員は、チャージ残高が5000円となったプリペイドカードの使用による支払いに対応するため、保留されていた取引を解除し、呼び出すための保留取引解除操作を行う。保留取引解除操作は、具体的な図示は省略するが、チャージ処理画面における所定のボタンに対する操作であればよい。
保留取引解除操作が行われたことに応じて、POSレジスタ100は、これまでにおける取引の保留を解除し、これまでのチャージ処理画面の表示から、保留が解除された取引についての会計処理画面の表示に切り替える。
【0052】
図9は、
図8のチャージ処理画面から切り替えられる会計処理画面の一例を示している。同図において、
図6と同一部分については同一符号を付して説明を省略する。
本実施形態においては、上記のようにチャージ処理による取引から、取引の保留解除により会計処理による取引に移行した場合にも、プリペイドカード情報の引き継ぎ条件が満たされたものとして扱われる。
引き継ぎ条件が満たされたことに応じて、POSレジスタ100は、チャージ処理のもとでチャージ残高が更新されたプリペイドカード情報を、別の取引である会計処理に引き継がせる。この場合、POSレジスタ100は、チャージ処理のもとでチャージ残高が更新されたプリペイドカード情報により、保留が解除された会計処理のもとで取り込んでいたプリペイドカード情報を更新する。このようにして、チャージ処理から、チャージ処理の直前まで行われていた会計処理が再開される際にも、プリペイドカード情報の引き継ぎが行われる。
このようにプリペイドカード情報の引き継ぎが行われたことに応じて、同図のプリペイドカード関連情報エリアAR5のチャージ残高エリアAR51におけるチャージ残高の表示は5000円を示す状態となっている。
このようにプリペイドカード情報の引き継ぎが行われることで、会計処理の保留が解除されて、会計処理が再開された段階において、改めてプリペイドカードからカード識別子をカードリーダ110により読み取らせる必要がない。
【0053】
また、同図の会計処理画面において、ボタンエリアAR1、登録項目エリアAR2、及び小計エリアAR4における表示は、
図6から変更はなく同様である。
これに対して、登録確認エリアAR3においては、プリペイド残高から支払いに充当する充当金額が表示される。同図の登録確認エリアAR3においては、充当金額として、小計エリアAR4において表示される税込の合計金額と同じ3240円であることが示されている。
以降においては、3240円の合計金額に対して、5000円のチャージ残高から3240円を支払いに充当するようにして精算処理が実行される。
【0054】
なお、
図6、
図9に示した会計処理画面は、会計処理のもとで行われる商品登録処理に際して表示される商品登録画面である。商品登録処理が完了して例えば小計操作が行われると、会計処理画面は、商品登録画面から小計画面に遷移する。
例えば、会計処理画面として小計画面が表示された状態の会計処理による取引を保留し、プリペイドカード情報を引き継いだチャージ処理による取引に遷移し、保留を解除してチャージ処理後のプリペイドカード情報を引き継いだ会計処理による取引に戻ることも可能である。このような場合も、小計画面において、
図9の例に準じてチャージ後のプリペイドカード情報が表示される。
【0055】
前述のように、会計処理とチャージ処理とは、異なる取引に対応する取引対応処理として扱われる。このため、
図8により説明したチャージ処理が完了した段階で、当該チャージ処理に対応する1つの取引が完了したことになる。POSレジスタ100は、取引ごとに対応してレシートを発行する。従って、
図8により説明したチャージ処理が完了したことに応じて、POSレジスタ100は、チャージ処理の結果を示すレシート(チャージ処理対応レシート)を発行する。また、
図6、
図9により説明した会計処理が完了したことに応じて、POSレジスタ100は、会計処理の完了を示すレシート(会計処理対応レシート)を発行する。
図10は、上記のようにして発行されるチャージ処理対応レシートと会計処理対応レシートとの一例を示している。
図10(a)は、
図8により説明したチャージ処理の完了に応じて発行されたチャージ処理対応レシートを示す。
図10(b)は、
図6、
図9により説明した会計処理の完了に応じて発行された会計処理対応レシートを示す。
このように、チャージ処理対応レシートと会計処理対応レシートとはそれぞれ個別に発行される。
【0056】
図11のフローチャートを参照して、本実施形態におけるPOSレジスタ100が会計処理とチャージ処理とに関連して実行する処理手順例について説明する。
まず、POSレジスタ100が会計処理に関連して実行する処理手順例から説明する。
ステップS101:POSレジスタ100は、待機状態のもとで、1つ目の商品を登録する操作が行われたことに応じて、1取引に対応する処理として会計処理を開始する。前述のように会計処理は、商品登録処理と精算処理とを含む。会計処理が開始されて以降、POSレジスタ100は、会計処理として、店員の商品登録操作に応じて商品登録処理を実行し、店員の決済に関する操作に応じて精算処理を実行する。
ステップS102:POSレジスタ100は、プリペイドカードからのカード識別子の読み取りが行われたか否かについて判定する。
【0057】
ステップS103:店員または顧客が、カードリーダ110にプリペイドカードを読み取らせる操作を行ったことに応じて、プリペイドカードからのカード識別子の読み取りが行われる。プリペイドカードからのカード識別子の読み取りが行われたことに応じて、POSレジスタ100は、プリペイドカード情報の取得のための処理を実行する。つまり、POSレジスタ100は、前述のように、プリペイドカードから読み取られたカード識別子を含むプリペイドカード情報要求をプリペイドカード管理サーバ400に送信する。POSレジスタ100は、プリペイドカード情報要求に応答してプリペイドカード管理サーバ400から送信されたプリペイドカード情報を受信する。このようにして、POSレジスタ100は、プリペイドカード情報を取得する。
【0058】
ステップS104:ステップS103の処理の後、あるいは、ステップS102にてプリペイドカードからのカード識別子の読み取りが行われなかったことが判定された場合、POSレジスタ100は、以下の処理を実行する。つまり、POSレジスタ100は、会計処理と個別に実行されたチャージ処理のもとで取引保留トリガが発生したか否かについて判定する。
ステップS105:取引保留トリガが発生した場合、POSレジスタ100は、ステップS101にて開始された会計処理を保留させる。この際、POSレジスタ100は、ステップS101にて開始されてからこれまでに行われた会計処理の結果を廃棄することなく、例えばRAM103に記憶させておく。
【0059】
ステップS106:ステップS105により会計処理を保留させた後において、POSレジスタ100は、チャージ処理のもとで取引保留解除トリガが発生されたか否かについて判定する。
ステップS107:取引保留解除トリガが発生されると、POSレジスタ100は、チャージ処理の対象とされていたプリペイドカード情報を、会計処理の処理対象として取り込む。この際、POSレジスタ100は、会計処理のもとでこれまで処理対象としていたプリペイドカード情報を、チャージ処理の対象とされていたプリペイドカード情報により更新する。この処理によって、チャージ処理によってチャージ残高が更新されたプリペイドカード情報が、保留解除後の会計処理に引き継がれる。
ステップS108:POSレジスタ100は、これまでの会計処理の保留を解除し、保留された段階の状態から会計処理を再開させる。
【0060】
ステップS109:ステップS108の処理の後、あるいはステップS104にて取引保留トリガが発生していないことが判定された場合、あるいはステップS106にて取引保留解除トリガが発生していないことが判定された場合、POSレジスタ100は、会計処理が完了したか否かについて判定する。会計処理は、例えば精算処理のもとで支払金額に対する決済が完了し、会計処理対応レシートが発行されたことに応じて完了する。
会計処理が完了していない場合には、ステップS102に処理が戻される。一方、会計処理が完了した場合、POSレジスタ100は、同図の処理を終了する。
【0061】
次に、POSレジスタ100がチャージ処理に関連して実行する処理手順例から説明する。
ステップS201:チャージ処理に関連して、まずPOSレジスタ100は、チャージ処理宣言操作が行われるのを待機している。チャージ処理宣言操作は、前述のようにチャージ宣言ボタンBT2に対する操作である。
ステップS202:チャージ処理宣言操作が行われると、POSレジスタ100は、現在において会計処理が実行中であるか否かについて判定する。
【0062】
ステップS203:会計処理が実行中である場合、POSレジスタ100は、実行中の会計処理に対する取引保留トリガを発生させる。取引保留トリガの発生により、ステップS104、S105として示すように、実行中であった会計処理が保留される。
ステップS204:また、POSレジスタ100は、これまで実行中であった会計処理において処理対象とされていたプリペイドカード情報の取り込みを行う。この処理によって、会計処理において処理対象とされていたプリペイドカード情報について、会計処理においても処理対象となるように設定される。つまり、取引間におけるプリペイドカード情報の引き継ぎが行われる。
【0063】
ステップS205:チャージ処理を開始する。チャージ処理は、
図8にて説明したチャージ処理画面の表示に関する処理と、チャージ処理画面にて配置されたチャージ指示ボタンに対する操作に応じたチャージ残高更新処理を含む。
また、ステップS202にて会計処理が実行中ではないことが判定されたことで、ステップS203、S204をスキップしてステップS205に至った場合には、会計処理が実行されていない状態から、チャージ処理のみが開始される。つまり、この場合には、チャージ処理が会計処理の途中で行われるのではなく、チャージ処理から取引が開始される状況に対応する処理となる。
ステップS206:POSレジスタ100は、ステップS205により開始されたチャージ処理が完了するのを待機している。
【0064】
ステップS207:チャージ処理が完了すると、POSレジスタ100は、保留中の会計処理が有るか否かについて判定する。
ステップS208:保留中の会計処理が有る場合、POSレジスタ100は、取引保留解除トリガを発生させる。取引保留トリガの発生により、ステップS106~S107として示すように、会計処理の保留が解除される。また、以降の会計処理のもとでは、チャージ処理によりプリペイド残高が更新された後のプリペイドカード情報が処理対象となる。
一方、保留中の会計処理が無い場合、POSレジスタ100は、ステップS208をスキップする。
【0065】
ステップS209:また、POSレジスタ100は、今回のチャージ処理に引き続き、チャージ処理後のプリペイドカード情報を引き継いでの新規の会計処理の開始指示(情報引継による会計開始指示)が得られたか否かについて判定する。
情報引き継ぎによる会計開始指示は、例えば店員によるPOSレジスタ100に対する所定操作によって行われるものであればよい。一具体例として、チャージ処理の完了に際して保留中の会計処理がない場合において、新規な会計処理の開始に応じた操作(例えば1つ目の商品についての商品登録のための操作)が行われると、POSレジスタ100は、この新規に開始しようとしている会計処理について、情報引き継ぎによるものであるか否かについて確認するダイアログを表示させる。表示されたダイアログに対して店員が情報引き継ぎによる会計処理の開始であることを宣言する操作を行うと、POSレジスタ100は、情報引き継ぎによる会計開始指示が得られたものと判定する。一方、表示されたダイアログに対して店員が情報引き継ぎによらない会計処理の開始であることを宣言する操作を行うと、POSレジスタ100は、情報引き継ぎによる会計開始指示ではなく、通常の会計開始指示が得られたものと判定する。また、情報引き継ぎによる会計処理は、チャージ処理が完了してすぐに開始される。そこで、チャージ処理が完了して一定時間以上を経過してから新規な会計処理の開始に応じた操作が行われた場合には、情報引き継ぎによらない会計開始指示が得られたと判定してもよい。
ステップS210:情報引き継ぎによる会計開始指示が得られたと判定された場合、POSレジスタ100は、情報引き継ぎによる会計処理を新規に開始する。ステップS201の処理の後は、ステップS102以降の処理に遷移する。
ステップS209にて、情報引き継ぎによらない会計開始指示が得られたと判定された場合には、同図の処理が終了される。
【0066】
上記したように本実施形態においては、会計処理による取引が開始された後において、当該会計処理による取引を保留してチャージ処理による取引に遷移する際に、会計処理にて処理対象とされていたプリペイドカード情報がチャージ処理に引き継がれる。そして、POSレジスタ100は、引き継がれたプリペイドカード情報を利用してチャージ処理を行うことができる。また、チャージ処理が完了して、保留された会計処理が再開される際にも、チャージ処理によりチャージ残高が更新されたプリペイドカード情報が、会計処理に引き継がれる。このように、本実施形態では、会計処理、会計処理保留、チャージ処理、会計処理再開(保留解除)の順で取引が遷移する場合において、取引間でプリペイドカード情報の引き継ぎが行われる。これにより、本実施形態においては、最初の会計処理による取引の段階でプリペイドカードからカード識別子の読み取りを行ってプリペイドカード情報を取得しておけば、以降において取引が遷移する都度にプリペイドカードからの情報の読み取りを行う必要がない。これにより、店員、あるいは顧客がプリペイドカードをカードリーダ110に読み取らせる操作を行う回数が削減されることとなり、取引を効率よく進めていくことが可能になる。
【0067】
また、顧客がプリペイドカードを使用して買い物をするにあたり、現在のチャージ残高が、自分が購入したい商品に応じた支払金額に満たないことを事前に把握している場合には、顧客は、先にプリペイドカードのチャージ処理を受けてから、会計処理を受けるようにする場合がある。同図の処理のもとであれば、このようにチャージ処理、会計処理の順で取引が行われる場合においても、ステップS209、S210により、チャージ処理に際して処理対象とされたプリペイドカード情報を、次の新規の会計処理に引き継がせることができる。つまり、この場合には、チャージ処理に続く会計処理に際してプリペイドカードの読み取りを行う必要がない。
【0068】
また、同図の処理手順のもとでは、チャージ処理対応レシート(
図10(a))はステップS206にてチャージ処理の完了したことが判定されたタイミングに応じて発行され、会計処理対応レシート(
図10(b))は、ステップS109にて会計処理の完了したことが判定されたタイミングに応じて発行される。つまり、チャージ処理対応レシートと会計処理対応レシートとは、それぞれが個別のタイミングで発行されている。
しかしながら、チャージ処理対応レシートと会計処理対応レシートとは同じタイミングで発行されてよい。例えば、チャージ処理による取引からプリペイドカード情報を引き継いでの会計処理による取引に遷移した後、ステップS109により会計処理が完了したタイミングで、チャージ処理対応レシートと会計処理対応レシートとを発行するようにしてよい。この場合、チャージ処理対応レシートと会計処理対応レシートとのそれぞれに対応した2枚を発行してもよいし、チャージ処理結果と会計処理結果とが統合して印刷された2枚のレシートが発行されるようにしてもよい。
【0069】
なお、同図の例では、チャージ処理が完了して保留が解除された会計処理に移行した際、特にプリペイドカードを読み取らせる必要はない場合について説明した。しかしながら、例えばPOSシステムの運用や仕様等によっては、保留解除後の会計処理にチャージ処理後のプリペイドカード情報が引き継がれているとしても、チャージ処理により処理されたプリペイドカード情報の顧客と、保留解除後の会計処理を受ける顧客とが同一であるかどうかの確認などのために、保留解除後の会計処理においてプリペイドカードの読み取りが必要になる場合があってもよい。
この場合において、保留解除後の会計処理に際して、保留前の会計処理のときに提示したのとは別のプリペイドカードを店員に提示してしまい、店員が提示されたプリペイドカードを読み取る操作を行ってしまうというエラーが起こる可能性がある。このようなエラーは、例えば顧客が店舗STに対応するプリペイドカードを複数枚所有していたために、プリペイドカードを混同してしまったような場合に起こり得る。
そこで、POSレジスタ100は、保留解除後の会計処理に際して、保留前の会計処理のときとは別のプリペイドカードが読み取られた場合には、その旨を通知するエラーメッセージを表示などにより出力するようにしてよい。この場合、店員は、顧客にその旨を伝えて、保留前の会計処理の時に読み取らせたプリペイドカードを提示してもらったうえで、再度、プリペイドカードの読み取り操作を行えばよい。
また、例えば、エラーメッセージの出力に際して、今回読み取られたプリペイドカードでの決済と、保留前の会計処理で読み取られたプリペイドカードの読み取り直しとのいずれかを店員が選択できるようにしてもよい。この場合において、今回読み取られたプリペイドカードでの決済が選択された場合には、保留前の会計処理にて読み取られたプリペイドカード情報が、保留解除後の会計処理にて読み取られたプリペイドカード情報により書き換えられたうえで、以降の会計処理が行われるようにされればよい。
【0070】
<変形例>
以下、本実施形態の変形例について説明する。
[第1変形例]
上記実施形態では、プリペイドカードのプリペイドカード情報がプリペイドカード管理サーバ400により管理される形式である場合を例に挙げている。しかしながら、本実施形態の構成は、プリペイドカード自体にプリペイドカード情報が記憶される形式にも対応することができる。
【0071】
プリペイドカード情報が記憶される形式のプリペイドカードが使用される場合、上記実施形態の例のように、会計処理、会計処理保留、チャージ処理、会計処理再開(保留解除)の順で取引が遷移する場合には、プリペイドカードの読み取りは以下のように行われる。
この場合には、1回目の会計処理のもとで商品登録が完了した段階で、カードリーダ110によりプリペイドカードからプリペイドカード情報を読み取らせることが行われる。この後において、1回目の会計処理が保留され、チャージ処理が開始される際には、1回目の会計処理の段階で読み取られたプリペイドカード情報がチャージ処理に引き継がれる。この際、プリペイドカードの読み取りの必要はない。
【0072】
次に、チャージ処理が完了して、会計処理の保留が解除され、会計処理が再開される。再開された会計処理のもとでは、チャージ処理後のチャージ残高から支払金額に充当するようにして精算処理が行われる。この場合、再開された会計処理が完了した段階で、チャージ残高は会計処理が開始される前の段階から変更されている。そこで、この場合には、再開された会計処理において精算処理が終了した段階で、カードリーダ110によりプリペイドカードに対してプリペイドカード情報の書き込み(更新)を行うようにすればよい。この際には、再開された会計処理のもとでの精算処理の結果が反映されたプリペイドカード情報が書き込まれる。また、この際には、再開された会計処理の前におけるチャージ処理の履歴もプリペイドカード情報としてプリペイドカードに書き込まれるようにしてよい。
【0073】
この場合、会計処理、会計処理保留、チャージ処理、会計処理再開(保留解除)の順で取引が遷移する間において、カードリーダ110によるプリペイドカードからの情報の読み取りは、チャージ処理前の会計処理のときと、再開された会計処理のときとで2回となる。再開された会計処理の際のカードリーダ110によるプリペイドカードへのアクセスは、プリペイドカード情報の読み取りではなく、プリペイドカード情報の書き込みであるが、データの書き込みに際しても、通信確立からデータ書き込みのシーケンスにおいて照合等のためにプリペイドカードからの所定の情報の読み取りは行われる。しかしながら、チャージ処理に際しては、カードリーダ110によるプリペイドカードからの読み取りは不要である。つまり、本変形例の場合にも、プリペイドカードからの情報の読み取りは、取引の遷移の都度行われる場合と比較して削減される。
【0074】
[第2変形例]
また、例えば家族や仲間などのグループで大量の商品を購入するような場合には、1人では全ての商品を持ちきれないので、グループのメンバーで商品を分けて持ったうえで、各メンバーが順番で会計を受けるようにする場合がある。このような場合において、それぞれが異なる取引となる会計ごとに発生したポイントを、グループのメンバーのうちの1名が所有する1つのポイントカードに集約させたい場合がある。
この場合、会計ごとに同じ1つのポイントカードをカードリーダ110により読み取ってもらえば、ポイントを集約させることができる。しかしながら、会計ごとに同じポイントカードを逐一、カードリーダ110に読み取らせることは効率的ではないといえる。
【0075】
そこで、本変形例では、例えば、1つの会計処理の際に、現会計処理で処理対象としているポイントカード情報を次の会計処理に引き継がせることを宣言する操作が行われた場合に、引き継ぎ条件が満たされたとして、次の会計処理が開始されたときに、現会計処理にて処理対象とされていたポイントカード情報を、次の会計処理の処理対象として取り込むようにされる。このようなポイントカード情報も、ポイントカードを所有する顧客に関連する顧客関連情報の一例である。
【0076】
上記のような処理により、ポイントカードのポイントがサーバで管理される形式のもとでは、1番目のメンバーが受ける会計においては、ポイントカード情報をPOSレジスタ100がサーバから取得するためのポイントカードの読み取りが行われる。しかしながら、以降のメンバーが受ける会計に際しては、それぞれ、ポイントカード情報は前回の会計から引き継がれているので、ポイントカードの読み取りは不要である。引き継がれたポイントカード情報は、会計ごとにおける精算処理結果に応じてポイント残高が加算されていくように更新され、更新されるごとにサーバが管理するポイントカード情報も更新される。
また、ポイントカードにポイントが記録される形式では、メンバーが受ける会計のうち1番目の会計においてポイントカードからポイントカード情報を取得するためのポイントカードの読み取りが行われる。そして、最後の会計において、ポイントカードに、加算後ポイント残高が反映されたポイントカード情報を書き込むために、ポイントカードの読み取りが行われる。つまり、この場合には、3回以上の会計が行われる場合に、最初と最後との間の会計においてポイントカードの読み取りが不要となる。
【0077】
また、1のメンバーによる現会計と次のメンバーの会計との間に、グループのメンバー以外の顧客の取引が介在する状況となることが考えられる。そこで、本変形例においては、このような状況に対応して、現会計の終了に際してポイントカードの引き継ぎを宣言する操作が行われたことに応じて、現会計で処理対象とされたポイントカード情報を記憶させておくようにすればよい。そして、次のメンバーの会計の開始に際して、例えば店員による操作などに応じて、記憶されたポイントカード情報が処理対象として設定されるようにすればよい。
【0078】
[第3変形例]
店員の操作により商品の登録が行われる登録装置と、顧客の操作に応じて精算処理が行われる精算装置とが分離された構成のPOSシステムが知られている。本実施形態の顧客関連情報の引き継ぎの構成は、このようなPOSシステムにも適用が可能である。
例えば、プリペイドカードによる支払いに関して、登録装置で精算処理が可能なようにされた場合には、以下のように本実施形態の構成を登録装置に適用できる。
つまり、店員は、1取引に応じた商品登録の完了に応じて小計操作を行い、プリペイドカードの使用に対応する精算処理のためにプリペイドカードを登録装置に読み込ませ、登録装置にプリペイドカード情報をサーバから取得させる。ここで、登録装置が、プリペイドカード情報に含まれるチャージ残高と登録商品の合計金額とを比較したところ、チャージ残高が不足していることが判定された。そこで、登録装置はチャージ残高が不足していることの報知を行う。そこで、店員は、顧客からのチャージ処理宣言操作を行って、精算処理を保留させたうえで、チャージ処理を実行する。この際、チャージ処理宣言操作により引き継ぎ条件が満たされていることから、登録装置は、チャージ処理前のプリペイドカード対応の精算処理に対応して取得されたプリペイドカード情報をチャージ処理での処理対象となるように設定する。
そして、登録装置は、チャージ処理が行われた後、精算処理の保留を解除して精算処理を再開させる。チャージ処理から精算処理に移行する際にも、引き継ぎ条件が満たされたとしてプリペイドカード情報が引き継がれることから、プリペイドカードの読み取りを行う必要がない。つまり、登録装置において、精算処理、精算処理保留、チャージ処理、精算処理再開の順で取引が遷移するにあたって、取引ごとにプリペイドカードの情報を読み取る必要がないようにできる。
例えば、プリペイドカードによる支払いに関しては登録装置で精算処理が可能なようにされた場合には、以下のように本実施形態の構成を登録装置に適用できる。
【0079】
また、プリペイドカードによる支払いに関して、精算装置で精算処理が可能なようにされた場合には、以下のように本実施形態の構成を登録装置に適用できる。
つまり、精算装置は、登録装置にて行われた商品登録の結果に基づく精算情報を利用して、まず、精算処理を開始させる。精算処理の開始にあたっては、例えば決済種別の選択が行われる。顧客が決済種別としてプリペイドカードによる支払いを選択すると、精算装置は、顧客の操作によるプリペイドカードの読み取りを受け付けてプリペイドカード情報をサーバから取得する。
精算装置が精算処理として、精算情報が示す合計金額の支払いをプリペイドカード情報に含まれるチャージ残高から充当しようとしたところ、チャージ残高が不足していることが判定された。そこで、精算装置は、チャージ残高が不足している旨を表示等により顧客に報知する。ここで、顧客がチャージ処理宣言操作を行うと、精算装置は、精算処理を保留させたうえで、チャージ処理を実行する。この際、チャージ処理宣言操作により引き継ぎ条件が満たされていることから、精算装置は、チャージ処理前の精算処理に対応して取得されたプリペイドカード情報をチャージ処理での処理対象となるように設定する。
そして、精算装置は、チャージ処理が行われた後、精算処理の保留を解除して精算処理を再開させる。チャージ処理から精算処理に移行する際にも、引き継ぎ条件が満たされたとしてプリペイドカード情報が引き継がれることから、プリペイドカードの読み取りを行う必要がない。つまり、精算装置においても、精算処理、精算処理保留、チャージ処理、精算処理再開の順で取引が遷移するにあたって、取引ごとにプリペイドカードの情報を読み取る必要がないようにできる。
【0080】
また、第2変形例のように、ポイントカードを異なる複数の会計に対して集約させるためのポイントカード情報の引き継ぎの構成も、POSシステムにおける登録装置または精算装置に適用できる。
例えば、ポイントカード情報の引き継ぎの構成を精算装置に適用するのであれば、精算装置について、1の取引に応じた精算処理中において、ポイントカード情報の引き継ぎを指示する操作が可能なようにする。そして、ポイントカード情報の引き継ぎを指示する操作が行われたのであれば、精算装置は、現精算処理にて処理対象とされているポイントカード情報を次の取引に対応する精算処理に引き継がせるように処理を実行すればよい。
【0081】
[第4変形例]
なお、取引間で引き継ぎが行われる顧客関連情報としては、これまでに説明したプリペイドカード情報、ポイントカード情報に限定されるものではなく、顧客に関連する他の情報であってもよい。例えば、上記実施形態においては、プリペイドカード情報やポイントカード情報におけるカード識別子が顧客関連情報に含まれるものとしている。しかしながら、例えば、プリペイドカードやポイントカード等のカード機能を、携帯電話、スマートフォンなどの携帯端末に持たせることもできる。このような場合には、カード機能を有する携帯端末を識別する識別子を顧客関連情報に含めてよい。
【0082】
<実施形態の総括>
(1)以上説明したように、本実施形態としての一態様は、顧客に関連する情報である顧客関連情報(例えば、プリペイドカード情報、ポイントカード情報)を取得する情報取得手段と、取引ごとに対応する取引対応処理を、顧客関連情報を利用して実行する取引対応処理手段と、1の取引対応処理のもとで処理対象とされた顧客関連情報を、他の取引対応処理のもとでも処理対象となるように引き継ぐための引き継ぎ条件が満たされたか否かについて判定する条件判定手段とを備え、取引対応処理手段は、引き継ぎ条件が満たされたことに応じて、1の取引対応処理のもとで処理対象とされた顧客関連情報を、他の取引対応処理のもとで処理対象となるように設定する商品販売データ処理装置(例えば、POSレジスタ100)である。
上記構成によれば、顧客関連情報についての取引条件が満たされたことに応じて、1の取引にて処理対象とされていた顧客関連情報が他の取引においても処理対象となるように引き継がれる。これにより、取引ごとに対応して顧客関連情報に対応付けられた媒体の読み込み(媒体へのアクセス)を行う必要がなくなり、例えば取引を効率的に行っていくことが可能になる。
【0083】
(2)本実施形態としての一態様は、上記の商品販売データ処理装置であって、顧客関連情報に含まれる有価額の変更に関する有価額変更関連処理(例えば、会計処理中におけるチャージ処理宣言操作の受け付け、あるいはチャージ処理)を行う有価額変更関連処理手段をさらに備え、条件判定手段は、有価額変更関連処理の実行が指示されたことにより引き継ぎ条件が満たされたと判定し、取引対応処理手段は、条件判定手段により引き継ぎ条件が満たされたと判定されたことに応じて、1の取引対応処理のもとで処理対象とされた顧客関連情報を、他の取引対応処理のもとで処理対象となるように設定する。
上記構成によれば、例えば会計処理中においてプリペイドカードのチャージ処理宣言操作が行われた場合には、会計処理からチャージ処理に移行する際に、会計処理にて処理対象とされていたプリペイドカード情報がチャージ処理に引き継がれるようにできる。あるいは、チャージ処理から会計処理に移行する場合にも、チャージ処理により増加されたチャージ残高が反映されたプリペイドカード情報を次の会計処理に引き継がせて、プリペイドカードを使用した決済を行うことが可能になる。これにより、プリペイドカードの使用を伴う一連の取引において、会計処理とチャージ処理との間で取引対応処理が遷移する都度にプリペイドカードの読み取りを行う必要がなくなる。
【0084】
(3)本実施形態としての一態様は、上記の商品販売データ処理装置であって、新規の取引対応処理を設定する新規取引設定手段をさらに備え、新規取引設定手段は、条件判定手段により引き継ぎ条件が満たされたと判定されたことに応じて、顧客関連情報の引き継ぎ先となる新規の取引対応処理を設定する。
上記構成によれば、例えば引き継ぎ条件がチャージ処理宣言操作の行われることであると定められた場合には、チャージ処理宣言操作が行われたことに応じて、新規の取引対応処理として、先の取引対応処理において処理対象とされていた顧客関連情報を引き継いだチャージ処理を設定することができる。
【0085】
(4)本実施形態としての一態様は、上記の商品販売データ処理装置であって、取引対応処理を保留する取引保留手段をさらに備え、取引保留手段は、条件判定手段により引き継ぎ条件が満たされたと判定されたことに応じて1の取引対応処理を保留する。
上記構成によれば、例えば会計処理からチャージ処理に遷移することに応じて引き継ぎ条件が満たされるようにした場合に、会計処理を終了させるのではなく保留させることで、チャージ処理の後に保留を解除して会計処理を再開させることができる。
【0086】
(5)本実施形態としての一態様は、上記の商品販売データ処理装置であって、1の取引対応処理に対応する画面と他の取引対応処理に対応する画面とのそれぞれにおいて、取得された顧客関連情報を表示させる表示手段をさらに備える。
上記構成によれば、或る1の取引対応処理から他の取引対応処理に顧客関連情報を引き継がせるにあたり、共通の顧客関連情報を引き継ぎ元の取引対応処理の画面と、引き継ぎ先の取引対応処理の画面とに表示される。これにより、例えば顧客関連情報が正しく引き継がれているか否かの確認が容易となる。
【0087】
(6)本実施形態としての一態様は、コンピュータを、顧客に関連する情報である顧客関連情報を取得する情報取得手段、取引ごとに対応する取引対応処理を、顧客関連情報を利用して実行する取引対応処理手段、1の取引対応処理のもとで処理対象とされた顧客関連情報を、他の取引対応処理のもとでも処理対象となるように引き継ぐための引き継ぎ条件が満たされたか否かについて判定する条件判定手段として機能させるためのプログラムであって、取引対応処理手段は、引き継ぎ条件が満たされたことに応じて、1の取引対応処理のもとで処理対象とされた顧客関連情報を、他の取引対応処理のもとで処理対象となるように設定するプログラムである。
【0088】
なお、上述のPOSレジスタ100等としての機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述のPOSレジスタ100等としての処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、インターネットやWAN、LAN、専用回線等の通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。このように、プログラムを記憶した記録媒体は、CD-ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。また、記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部または外部に設けられた記録媒体も含まれる。配信サーバの記録媒体に記憶されるプログラムのコードは、端末装置で実行可能な形式のプログラムのコードと異なるものでもよい。すなわち、配信サーバからダウンロードされて端末装置で実行可能な形でインストールができるものであれば、配信サーバで記憶される形式は問わない。なお、プログラムを複数に分割し、それぞれ異なるタイミングでダウンロードした後に端末装置で合体される構成や、分割されたプログラムのそれぞれを配信する配信サーバが異なっていてもよい。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、ネットワークを介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0089】
100 POSレジスタ、101 CPU、102 記憶部、103 RAM、104 タッチパネル付表示部、104a タッチパネル、105 キー操作部、106 顧客用表示部、107 自動釣銭機、107a 釣銭排出口、107b 預金投入口、108 スキャナ部、109 印字部、110 カードリーダ、111 通信部、120 ドロア、200 ストアコントローラ、300 通信装置、400 プリペイドカード管理サーバ