(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】車内置き去り防止装置
(51)【国際特許分類】
G08B 21/02 20060101AFI20240917BHJP
G08B 25/04 20060101ALI20240917BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20240917BHJP
G08B 21/00 20060101ALI20240917BHJP
【FI】
G08B21/02
G08B25/04 K
H04N7/18 D
G08B21/00 U
(21)【出願番号】P 2022197172
(22)【出願日】2022-12-09
【審査請求日】2022-12-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521494212
【氏名又は名称】株式会社グリーンワークス
(74)【代理人】
【識別番号】100141829
【氏名又は名称】山田 牧人
(74)【代理人】
【識別番号】100123663
【氏名又は名称】広川 浩司
(72)【発明者】
【氏名】田畑 雅弘
【審査官】松原 徳久
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2020-0048199(KR,A)
【文献】特開2024-068008(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1730823(KR,B1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0033277(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R16/00-17/02
21/00-21/13
21/34-21/38
G08B19/00-31/00
H04N7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作しているエンジンの停止に伴いオンからオフになる連動電源を備えた車両に設けられる車両側機器と、
前記車両の外に設置され、前記車両側機器からの無線通信による信号を受信して通知を行う通知機器と、を有し、
前記車両側機器は、
前記通知機器に無線通信により信号を送信する送信部と、
操作されることで前記送信部に第1の信号を送信させる確認スイッチと、
前記連動電源がオンからオフになったことを検出する検出部と、を有し、
前記検出部は、前記エンジンの動作中に前記連動電源からの電力を蓄電する蓄電部と、前記連動電源がオンからオフになるのに伴い、前記蓄電部からの電力によってオフからオンに切り替わるスイッチング回路部と、を有し、
前記送信部は、前記検出部で前記連動電源がオンからオフになったことを検出したら第2の信号を送信し、
前記通知機器は、前記送信部から前記第2の信号を受信した後、第1の時間が経過する間に前記第1の信号を受信しなかった場合、確認不実行通知を行う車内置き去り防止装置。
【請求項2】
動作しているエンジンの停止に伴いオンからオフになる連動電源を備えた車両に設けられる車両側機器と、
前記車両の外に設置され、前記車両側機器からの無線通信による信号を受信して通知を行う通知機器と、を有し、
前記車両側機器は、
前記通知機器に無線通信により信号を送信する送信部と、
操作されることで前記送信部に第1の信号を送信させる確認スイッチと、
前記連動電源がオンからオフになったことを検出する検出部と、を有し、
前記検出部は、前記エンジンの動作中に前記連動電源からの電力を蓄電する蓄電部と、前記蓄電部からの電力によって動作し、前記連動電源がオンからオフになって第2の時間が経過したら、前記連動電源がオンからオフになったと判別する判定部と、を有
し、
前記送信部は、前記検出部で前記連動電源がオンからオフになったことを検出したら第2の信号を送信し、
前記通知機器は、前記送信部から前記第2の信号を受信した後、第1の時間が経過する間に前記第1の信号を受信しなかった場合、確認不実行通知を行う車内置き去り防止装置。
【請求項3】
前記車両は常用電源を有し、
前記送信部と前記確認スイッチは前記常用電源から電力の供給を受ける請求項1
または2のいずれか1項に記載の車内置き去り防止装置。
【請求項4】
前記通知機器は、前記確認不実行通知を行う表示部および/または音声発生部を有する請求項1
または2に記載の車内置き去り防止
装置。
【請求項5】
前記通知機器は、インターネット網に接続されており、ソーシャルネットワーキングサービスを通じて前記確認不実行通知を行う請求項1
または2に記載の車内置き去り防止
装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バス等の車内に人を置き去りにしている可能性がある場合に通知を行う車内置き去り防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
保育園の送迎バスに園児が置き去りにされるなど、車内に人が置き去りとされる事故が発生している。これを防止するため、車内に警報や通知を発する車内置き去り防止装置を設置することがある。このような車内置き去り防止装置として、例えば特許文献1に挙げるようなものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車内置き去り防止装置の多くは、特許文献1のように、車内に人が置き去りとなっていないか否かをセンサやカメラなどを用いて検出し、置き去りが発生していると判別した場合には、警報や通知を発生する。しかし、このような装置は、車内に複数の機器を設置する必要があり、コストが高くなると共に、それぞれに電源を確保する必要もあり、車のバッテリーを消耗する原因ともなる。
【0005】
より簡易的な車内置き去り防止装置として、車内後部にスイッチを設けた装置が知られている。この装置においては、運転者がエンジンを停止させると、自動的に警報が鳴動し、運転者が車内後部に移動してスイッチを操作することで、警報が停止する。この装置によれば、警報を停止するためには、運転者が車内後部に移動しなければならないため、車内に人が残っていないかを自然に確認できる。
【0006】
車内の置き去りを確実に防止するためには、運転者だけでなく、施設の関係者や保護者など、より多くの人が車内の状況に気付けるようにすることが望ましい。このため、施設等に受信機を設置し、車内のスイッチが操作されたら、受信機に無線で信号を送信し、信号を受信した受信機が通知を行う装置が考えられる。
【0007】
しかし、このような装置では、スイッチの操作がされた場合は通知がされて周囲の人がそれに気付くことができるが、スイッチの操作がされない場合、すなわち車内に置き去りが発生している可能性のある状況では、周囲の人がむしろ気付きにくいという問題がある。
【0008】
本発明は前記課題を鑑みてなされたものであり、車内で置き去りの確認がされていないことを周囲の人に確実に知らせることのできる車内置き去り防止装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明に係る車内置き去り防止装置は、動作しているエンジンの停止に伴いオンからオフになる連動電源を備えた車両に設けられる車両側機器と、前記車両の外に設置され、前記車両側機器からの無線通信による信号を受信して通知を行う通知機器と、を有し、前記車両側機器は、前記通知機器に無線通信により信号を送信する送信部と、操作されることで前記送信部に第1の信号を送信させる確認スイッチと、前記連動電源がオンからオフになったことを検出する検出部と、を有し、前記検出部は、前記エンジンの動作中に前記連動電源からの電力を蓄電する蓄電部と、前記連動電源がオンからオフになるのに伴い、前記蓄電部からの電力によってオフからオンに切り替わるスイッチング回路部と、を有し、前記送信部は、前記検出部で前記連動電源がオンからオフになったことを検出したら第2の信号を送信し、前記通知機器は、前記送信部から前記第2の信号を受信した後、第1の時間が経過する間に前記第1の信号を受信しなかった場合、確認不実行通知を行う。
【0010】
また、本発明に係る車内置き去り防止装置は、動作しているエンジンの停止に伴いオンからオフになる連動電源を備えた車両に設けられる車両側機器と、前記車両の外に設置され、前記車両側機器からの無線通信による信号を受信して通知を行う通知機器と、を有し、前記車両側機器は、前記通知機器に無線通信により信号を送信する送信部と、操作されることで前記送信部に第1の信号を送信させる確認スイッチと、前記連動電源がオンからオフになったことを検出する検出部と、を有し、前記検出部は、前記エンジンの動作中に前記連動電源からの電力を蓄電する蓄電部と、前記蓄電部からの電力によって動作し、前記連動電源がオンからオフになって第2の時間が経過したら、前記連動電源がオンからオフになったと判別する判定部と、を有し、前記送信部は、前記検出部で前記連動電源がオンからオフになったことを検出したら第2の信号を送信し、前記通知機器は、前記送信部から前記第2の信号を受信した後、第1の時間が経過する間に前記第1の信号を受信しなかった場合、確認不実行通知を行う。
【0012】
また、本発明に係る車内置き去り防止装置は、前記車両は常用電源を有し、前記送信部と前記確認スイッチは前記常用電源から電力の供給を受ける。
【0013】
また、本発明に係る車内置き去り防止装置は、前記通知機器は、前記確認不実行通知を行う表示部および/または音声発生部を有する。
【0014】
また、本発明に係る車内置き去り防止装置は、前記通知機器は、インターネット網に接続されており、ソーシャルネットワーキングサービスを通じて前記確認不実行通知を行う。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る車内置き去り防止装置によれば、車内で置き去りの確認が行われていないことを施設や外部に知らせることができる。このため車内置き去り防止装置は、車両に人を置き去りにしたままの状態をより確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施形態における車内置き去り防止装置の概要的な配置図である。
【
図2】車両が有する電源と車両側機器の構成図である。
【
図5】車両側機器と通知機器のフローチャートである。
【
図7】変形例に係る車両側機器のフローチャートである。
【
図8】変形例に係る車両側機器におけるタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態について図面に沿って詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態の車内置き去り防止装置は、車両50に設けられる車両側機器10と、車両の外である施設60内に設置される通知機器20と、を有している。車両50は、バスなど多人数を乗車させる車であるが、乗用車など少人数を乗車させる車であってもよい。施設60は、保育園や幼稚園、小学校、福祉施設などであり、通知機器20からの通知を認識できる人が常駐している部屋に通知機器20を設置することが望ましい。車両側機器10からは、無線通信により通知機器20に信号を送信することができる。
【0018】
図2には、車両50が有する電源と車両側機器10の構成図を示している。
図2の接続線のうち、2本線は電源線を、1本線は信号線を、それぞれ表している。
図2に示すように、車両50は、バッテリー30を有している。バッテリー30は、常用電源31と連動電源32に接続されている。常用電源31は、車両50のエンジンの動作あるいは停止に関わらず、電力を常時供給する電源である。連動電源32は、車両50のエンジンが動作している際には電力を供給し、エンジンが停止したらオンからオフに切り替わって電力の供給を停止する電源である。連動電源32は、イグニッション電源とアクセサリー電源(ACC電源)の2種類が用意されている。イグニッション電源は、エンジンの始動時(セルモーター動作時)にも電力を供給する電源である。アクセサリー電源は、エンジンの始動時に一旦、電力の供給を停止し、エンジンが動作開始したら電力を供給する電源である。本例において、連動電源32はイグニッション電源である。
【0019】
車両側機器10は、車両50内部の後方に設置される確認スイッチ11と、車両50内部の任意の位置に設置される緊急スイッチ12と、を有している。確認スイッチ11は、車両50のエンジン停止後に、運転手が車両50内部の後方まで降車していない子供がいないか点検しつつ移動し、操作することで、置き去りがないことを確認するためのスイッチである。緊急スイッチ12は、車両50内部に置き去りにされた子供が操作することで、置き去りにされたことを外部に知らせるためのスイッチである。確認スイッチ11と緊急スイッチ12は、無線通信により信号を送信する送信部14に接続されている。確認スイッチ11または緊急スイッチ12が操作されたら、送信部14は通知機器20に対して信号を送信する。送信部14は、特定小電力無線などを使用することができ、送信部14からの信号は、到達距離が数十メートル程度あるため、施設60に駐車した車両50から施設60内の通知機器20まで到達させることができる。
【0020】
連動電源32には、検出部13が接続されている。検出部13は、連動電源32がオンからオフになることを検出することができる。検出部13で連動電源32がオンからオフになることを検出したら、送信部14は通知機器20に対して信号を送信する。
【0021】
送信部14は、確認スイッチ11が操作された場合、第1の信号を通知機器20に送信する。送信部14は、検出部13で連動電源32がオンからオフになることを検出した場合、第2の信号を通知機器20に送信する。送信部14は、緊急スイッチ12が操作された場合、第3の信号を通知機器20に送信する。通知機器20は、受信した信号の種類に応じて、通知を行うことができる。
【0022】
図3に示すように、通知機器20は、車両側機器10からの信号を受信する受信部21と、受信部21で受信した信号に基づき表示部23、音声発生部24、外部通知部25を動作させる制御部22と、を有している。表示部23は、視覚を通じて通知を認識させる表示を行うことができる。表示部23としては、例えば、回転灯、ランプ、モニターなどを用いることができる。音声発生部24は、聴覚を通じて通知を認識させる音声発生を行うことができる。音声発生部24としては、例えば、ブザーやスピーカーなどを用いることができる。外部通知部25は、インターネット網からソーシャルネットワーキングサービスを通じて保護者などに通知を行うことができる。
【0023】
制御部22は、車両側機器10から確認スイッチ11が操作されたことを示す第1の信号を受信した場合、表示部23と音声発生部24および外部通知部25により第1の信号を受信したことを示す確認通知を行う。制御部22は、車両側機器10から連動電源32がオンからオフになったことを示す第2の信号を受信した場合、第1の時間が経過する間に第1の信号を受信しなかった場合に、確認不実施通知を行う。制御部22は、車両側機器10から緊急スイッチ12が操作されたことを示す第3の信号を受信した場合、表示部23と音声発生部24および外部通知部25により第3の信号を受信したことを示す緊急通知を行う。
【0024】
検出部13の構成について説明する。
図4に示すように、検出部13は、連動電源32に接続されており、出力部46から連動電源32がオンからオフになったことを出力することができる。出力部46は、送信部14に接続されている。検出部13は、エンジンの動作中、連動電源32がオンの間に、当該連動電源32からの電力を蓄電する蓄電部42を有している。蓄電部42としては、コンデンサを用いることができる。なお、蓄電部42としては、キャパシタや電池などを用いることもできる。検出部13は、連動電源32がオンからオフになるのに伴い、蓄電部42からの電力によってオフからオンに切り替わるスイッチング回路部13aを有している。
【0025】
スイッチング回路部13aは、連動電源32のプラス側に接続されたダイオード40と発光ダイオード41とを有している。連動電源32がオンの際には、発光ダイオード41が点灯する。スイッチング回路部13aは、このほかにMOSFET43、フォトカプラ45、およびトランジスタ44を有している。蓄電部42は、ダイオード41の下流側に接続されている。
【0026】
MOSFET43のゲートは、連動電源32のプラス側に接続されている。MOSFET43のドレインは、ダイオード41の下流側に接続されている。MOSFET43のソースは、グランドに接続されている。フォトカプラ45は、ダイオード41とトランジスタ44のコレクタとの間に配置されている。トランジスタ44は、ベースがMOSFET43のドレインと同電位となる位置に接続されており、コレクタがフォトカプラ45側に、エミッタがグランド側に、それぞれ接続されている。
【0027】
連動電源32がオンの場合、連動電源32からの電力により蓄電部42に電力が蓄電される。また、発光ダイオード41は発光している。このとき、MOSFET43はオンであり、トランジスタ44のベースはグランドと同電位のため、トランジスタ44はオフとなっている。このため、フォトカプラ45もオフとなっている。
【0028】
連動電源33がオンからオフに切り替わると、MOSFET43はオフになる。これに伴い、蓄電部42からの電力によってトランジスタ44はオンになり、フォトカプラ45もオンになる。出力部46からは、フォトカプラ45がオンになったことによる信号が出力される。これによって、送信部14が第2の信号を送信することができる。
【0029】
次に、車内置き去り防止装置の動作について、フローチャートに基づき説明する。
図5に示すように、車両50において連動電源32であるイグニッション電源がオンの状態からスタートする(S1)。検出部13は、イグニッション電源がオンからオフになることを検出する(S2)。S2でイグニッション電源がオフになったことを検出したら、送信部14は第2の信号を送信する(S3)。車両側機器10は、確認スイッチ11が操作されたら(S4)、送信部14が第1の信号を送信する(S5)。
【0030】
S3において車両側機器10から第2の信号が送信されたら、通知機器20の制御部22は、これを受信する(S6)。制御部22は、第2の信号を受信したら車両側機器10から第1の信号を受信したかを判別する(S7)。第1の信号を受信したら、制御部22は、表示部23や音声発生部24および外部通知部25により確認通知を行う(S8)。S7において第1の信号を受信していなかったら、制御部22は、第2の信号を受信してから第1の時間が経過したかを判別する(S9)。第1の時間は、例えば5分間とすることができる。なお、第1の時間は、それ以外の任意の時間に設定することができるが、短すぎると運転手が車内を確認している間に第1の時間が経過してしまい、また、長すぎると置き去りが発生していた場合にその時間が長くなるため、適切な範囲とすることが必要であり、例えば、3~10分の間に設定することができる。S9において第1の時間が経過していなかったら、S7からのフローを繰り返す。S9において第1の時間が経過していたら、通知機器20は確認不実行通知を行う(S10)。確認不実行通知は、車両50においてエンジン停止後に必要な確認がされていないことを通知するものであり、表示部23や音声発生部24での発報と共に、外部通知部25により保護者等への連絡を行うことで、車両50で置き去りが発生していないかを速やかに確認するよう促すことができる。なお、緊急スイッチ12が操作された場合、車両側機器10は、動作フローに関わらず送信部14から第3の信号を送信する。
【0031】
このように、本実施形態の車内置き去り防止装置は、基本的にはエンジン停止後に運転者が車内を点検しつつ車両50後部の確認スイッチ11を操作することで、車内に置き去りが発生しないようにしているが、エンジン停止に伴いオフになる連動電源32がオフになったことを検出した時点で、車両側機器10から通知機器20に第2の信号を送信しておき、一定時間内に確認スイッチ11が操作されず、第1の信号を受信しない場合に、確認不実行通知を行うことで、車内で置き去りの確認が行われていないことを施設や外部に知らせることができる。確認スイッチ11が操作されたことを通知するだけでは、確認スイッチ11が操作されなかったことを認識しにくいが、本実施形態の車内置き去り防止装置によれば、確認スイッチ11が操作されなかったことを通知するので、車両50に人を置き去りにしたままの状態をより確実に防止することができる。また、連動電源32がオンからオフになったことを検出して、車両50外の通知機器20に第2の信号を送信しておき、通知機器20側で一定時間が経過したら確認不実行通知を行うので、エンジン停止後に車両50のバッテリー30が切れた場合にも、確実に通知を行うことができる。
【0032】
次に、車両側機器10の変形例について説明する。
図6には、変形例に係る車両側機器10の構成図を示している。この図には、連動電源33と検出部15および送信部14を示しており、確認スイッチ11などは省略している。本例において、連動電源33はアクセサリー電源である。このため、連動電源32は、車両50のエンジンを始動するためセルモーターが動作している間、一旦オフになり、エンジンが動作開始したら再度オンになる。
【0033】
連動電源33に接続される検出部15は、連動電源33がオンの際に蓄電する蓄電部15aと、蓄電部15aからの電力によって動作する判定部15bと、判定部15bからの出力に基づき信号出力を変化させるリレー部15cと、を有している。蓄電部15aは、コンデンサなどで構成することができる。判定部15bは、マイコンなどで構成することができる。リレー部15cは、フォトカプラなどで構成することができる。
【0034】
検出部15の判定部15bは、連動電源33がオンからオフになって第2の時間が経過したら、連動電源33がオンからオフになったと判別する。判定部15bは、連動電源33がオンからオフになった第2の時間が経過する前に、連動電源33がオフからオンになった場合には、連動電源33がオンのままと判別する。判定部15bは、連動電源33がオンからオフになったと判別した場合には、リレー部15cを動作させて送信部14から第2の信号を送信させる。
【0035】
この場合の動作フローにつき説明する。
図7にはフローチャートを、
図8にはタイムチャートを、それぞれ示している。時間t0においてアクセサリー電源はオフであり、ユーザーが時間t1においてアクセサリー電源をオンにする操作を行うと、アクセサリー電源はオフからオンとなる(S2-1)。その後、ユーザーが時間t2においてエンジン始動の操作を行うと、アクセサリー電源はオンからオフになる。判定部15bは、アクセサリー電源がオフになるか否かを監視している(S2-2)。判定部15bは、S2-2においてアクセサリー電源がオフになったら、アクセサリー電源がオンであるか否かを判別する。また、判定部15bは、S2-3においてアクセサリー電源がオンになっていない場合に、アクセサリー電源がオフになってから第2の時間が経過したか否かを判別する(S2-4)。判定部15bは、S2-4において第2の時間が経過したと判別した場合には、連動電源32がオンからオフになったものとして、リレー部15cを動作させて送信部14に第2の信号を送信させる(S2-5)。
【0036】
図8においては、時間t4においてユーザーがエンジンをオフにする操作を行い、これに伴いアクセサリー電源も時間t4においてオフになる。t4から第2の時間が経過した時間t5において、判定部15bは連動電源33がオンからオフになったと判別し、リレー部15cの出力をオフからオンに変化させる。リレー部15cに供給される電源は、時間t1においてアクセサリー電源がオンになると、蓄電部15aに蓄電された電力によってオンになる。アクセサリー電源が短時間オフになっても、蓄電部15aからの電力は、リレー部15cに供給される。時間t4においてエンジンがオフになり、第2の時間経過後にリレー部15cがオンとなった後、蓄電部15aの電力がなくなった時間t6において、リレー部15cに供給される電源もオフになる。
【0037】
S2-2でアクセサリー電源がオフになってから第2の時間が経過する前に、S2-3においてアクセサリー電源がオンになった場合は、エンジン始動時に一時的にアクセサリー電源がオフになっていたものとして、第2の信号は送信されない(アクセサリー電源がオフになるまでS2-2のステップを繰り返す)。第2の時間は、エンジンの始動に必要な時間より長くする必要がある。例えば、第2の時間は5秒に設定することができる。なお、第2の時間はそれ以外の任意の時間に設定できる。送信部14から第2の信号が送信された後のフローは
図5と同様である。
【0038】
図8においては、時間t2においてユーザーがエンジン始動の操作を行い、これに伴いアクセサリー電源はオンからオフになり、時間t3でエンジンが動作を開始してアクセサリー電源は再びオフからオンになる。時間t2から時間t3までの間隔は、1~2秒であり、第2の時間よりは短い。このため、判定部15bは、エンジン始動時にアクセサリー電源がオンからオフになったと判別しない。これにより、連動電源33をアクセサリー電源とした場合であっても、エンジン始動時に連動電源33が短時間オフになることにより、第2の信号を無用に送信することを防止できる。
【0039】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の適用は本実施形態には限られず、その技術的思想の範囲内において様々に適用されうるものである。上述の実施形態では、車両側機器10は緊急スイッチ12を有しているが、有していなくてもよい。また、確認スイッチ11や緊急スイッチ12および送信部14は、常用電源31ではなく連動電源32に接続されていてもよい。この場合、エンジン停止後に信号を送信するための電力を必要とするため、検出部13内の蓄電部とは別に、蓄電可能な部品が別途設けられる。また、通知機器20は、表示部23と音声発生部24および外部通知部25を有しているが、これらのうち少なくとも1つ以上を有していればよい。
【0040】
本実施形態において送信部14は、車両側機器10に1つ設けられ、確認スイッチ11と緊急スイッチ12および検出部13が送信部14に接続されているが、確認スイッチ11と緊急スイッチ12および検出部13にそれぞれ送信部14が一体的に設けられていてもよい。この場合、確認スイッチ11に設けられた送信部14は第1の信号を送信し、検出部13に設けられた送信部14は第2の信号を送信し、緊急スイッチ12に設けられた送信部14は第3の信号を送信する。
【符号の説明】
【0041】
10 車両側機器
11 確認スイッチ
12 緊急スイッチ
13 検出部
13a スイッチング回路部
14 送信部
15 検出部
15a 蓄電部
15b 判定部
15c リレー部
20 通知機器
21 受信部
22 制御部
23 表示部
24 音声発生部
25 外部通知部
30 バッテリー
31 常用電源
32 連動電源
33 連動電源
40 ダイオード
41 発光ダイオード
42 蓄電部
43 MOSFET
44 トランジスタ
45 フォトカプラ
46 出力部
50 車両
60 施設