(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】弁装置組立体
(51)【国際特許分類】
F16K 27/00 20060101AFI20240917BHJP
F25B 41/26 20210101ALI20240917BHJP
【FI】
F16K27/00 B
F25B41/26 Z
(21)【出願番号】P 2023512945
(86)(22)【出願日】2022-03-25
(86)【国際出願番号】 JP2022014738
(87)【国際公開番号】W WO2022215563
(87)【国際公開日】2022-10-13
【審査請求日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】P 2021066500
(32)【優先日】2021-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】391002166
【氏名又は名称】株式会社不二工機
(74)【代理人】
【識別番号】110002608
【氏名又は名称】弁理士法人オーパス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】海沼 広司
(72)【発明者】
【氏名】宮本 和弘
【審査官】橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開平5-052437(JP,A)
【文献】特開2015-061451(JP,A)
【文献】特開平4-106376(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 27/00-27/12
F25B 31/00-31/02
39/00-41/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の弁装置を組み合わせた弁装置組立体であって、
前記複数の弁装置のそれぞれが、複数の冷媒通路を有する1つの弁本体と、前記弁本体に取り付けられた複数の弁ユニットと、を有し、
前記複数の弁装置のうちの第1の弁装置が有する前記弁本体(以下、「第1の弁本体」という。)と、第2の弁装置が有する前記弁本体(以下、「第2の弁本体」という。)と、が離れて配置されており、
前記第1の弁本体と前記第2の弁本体とが、ボルトによって連結されており、
前記ボルトが、前記第1の弁本体および前記第2の弁本体より熱伝導率の低い材料で構成されており、
前記第1の弁本体と前記第2の弁本体との間に、スペーサーが挟まれており、
前記スペーサーが、前記第1の弁本体および前記第2の弁本体より熱伝導率の低い材料で構成されており、
前記第1の弁本体と前記第2の弁本体とが隙間をあけて配置されており、
前記隙間には、前記第1の弁本体の前記冷媒通路と前記第2の弁本体の前記冷媒通路とを接続する配管が配置されておらず、
前記第1の弁本体の前記複数の冷媒通路が、直線状に延びる主冷媒通路(以下、「第1の主冷媒通路」という)と、前記第1の主冷媒通路に接続され、前記弁ユニットが配置される2つの分岐冷媒通路と、を含み、
前記第2の弁本体の前記複数の冷媒通路が、直線状に延びる主冷媒通路(以下、「第2の主冷媒通路」という)と、前記第2の主冷媒通路に接続され、前記弁ユニットが配置される2つの分岐冷媒通路と、を含み、
前記ボルトが、前記第1の主冷媒通路および前記第2の主冷媒通路と直交して配置されていることを特徴とする弁装置組立体。
【請求項5】
前記第1の主冷媒通路が、空調装置の圧縮機の吐出口に接続され、
前記第2の主冷媒通路が、前記圧縮機の吸入口にアキュムレータを介して接続される、請求項1に記載の弁装置組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の弁装置を組み合わせた弁装置組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用空調装置の一例が特許文献1に開示されている。特許文献1の車両用空調装置は、圧縮機と、室内凝縮器と、室外熱交換器と、室内蒸発器と、アキュムレータと、第1膨張弁と、第2膨張弁と、第1開閉弁と、第2開閉弁と、逆止弁と、を有している。また、車両用空調装置は、第1冷媒通路と、第2冷媒通路と、第3冷媒通路と、バイパス通路と、を有している。
【0003】
圧縮機の吐出口は、室内凝縮器の入口と接続されている。第1冷媒通路は、室内凝縮器の出口と室外熱交換器の入口とを接続している。第2冷媒通路は、室外熱交換器の出口とアキュムレータの入口とを接続している。第3冷媒通路は、室外熱交換器の出口と室内蒸発器の入口とを接続している。室内蒸発器の出口はアキュムレータの入口と接続されている。アキュムレータの出口は、圧縮機の吸入口と接続されている。
【0004】
第1膨張弁は、第1冷媒通路の通路面積を変更可能である。第1開閉弁は、第2冷媒通路を開閉可能である。第2膨張弁は第3冷媒通路の通路面積を変更可能である。逆止弁は、第3冷媒通路における室外熱交換機の出口と第2膨張弁との間に配置されている。逆止弁は、室外熱交換機の出口から第2膨張弁への冷媒の流れを許容する。逆止弁は、第2膨張弁から室外熱交換機の出口への冷媒の流れを禁止する。
【0005】
バイパス通路は、第1冷媒通路における室内凝縮器の出口と第1膨張弁との間の箇所と、第3冷媒通路における逆止弁と第2膨張弁との間の箇所と、を接続している。第2開閉弁は、バイパス通路を開閉可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した車両用空調装置では、第1開閉弁がコネクタを介して配管と接続されている。第1膨張弁、第2開閉弁および逆止弁も、コネクタを介して配管等と接続されている。そのため、車両用空調装置は、接続箇所が多く、冷媒が漏れる可能性が高まるという課題を有している。
【0008】
このような課題を解決可能な弁装置の一例として、複数の冷媒通路を有する1つの弁本体と、弁本体に取り付けられた複数の弁ユニットと、を有する弁装置がある。この弁装置は、1つの弁本体の内部で複数の冷媒通路と弁ユニットとが接続されており、冷媒通路同士の接続箇所や冷媒通路と弁ユニットとの接続箇所での冷媒の漏れを抑制できる。この弁装置は、車両用空調装置に複数組み込むことができる。そして、車両用空調装置に組み込みやすくしたり、複数の弁装置の設置に必要なスペースを小さくしたりするために、2つの弁装置を組み合わせ、互いに固定して弁装置組立体とする場合がある。しかしながら、弁装置組立体が有する一方の弁装置に高温の冷媒が流れ、他方の弁装置に低温の冷媒が流れると、一方の弁装置と他方の弁装置との間で熱交換して、冷房効率および暖房効率が低下してしまうおそれがある。
【0009】
そこで、本発明は、弁装置間での熱交換を抑制できる弁装置組立体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る弁装置組立体は、
複数の弁装置を組み合わせた弁装置組立体であって、
前記複数の弁装置のそれぞれが、複数の冷媒通路を有する1つの弁本体と、前記弁本体に取り付けられた複数の弁ユニットと、を有し、
前記複数の弁装置のうちの第1の弁装置が有する前記弁本体(以下、「第1の弁本体」という。)と、第2の弁装置が有する前記弁本体(以下、「第2の弁本体」という。)と、が離れて配置されていることを特徴とする。
【0011】
本発明において、
前記第1の弁本体と前記第2の弁本体とが、ボルトによって連結されており、
前記ボルトが、前記第1の弁本体および前記第2の弁本体より熱伝導率の低い材料で構成されている、ことが好ましい。
【0012】
本発明において、
前記第1の弁本体と前記第2の弁本体との間に、スペーサーが挟まれており、
前記スペーサーが、前記第1の弁本体および前記第2の弁本体より熱伝導率の低い材料で構成されている、ことが好ましい。
【0013】
本発明において、
前記第1の弁本体と前記第2の弁本体とが隙間をあけて配置されており、
前記隙間には、前記第1の弁本体の前記冷媒通路と前記第2の弁本体の前記冷媒通路とを接続する配管が配置されていない、ことが好ましい。
【0014】
本発明において、
前記第1の弁本体の前記冷媒通路が、空調装置の圧縮機の吐出口に接続され、
前記第2の弁本体の前記冷媒通路が、前記圧縮機の吸入口にアキュムレータを介して接続される、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の弁装置組立体は、複数の弁装置を組み合わせており、複数の弁装置のそれぞれが、複数の冷媒通路を有する1つの弁本体と、前記弁本体に取り付けられた複数の弁ユニットと、を有している。そして、複数の弁装置のうちの第1の弁装置が有する弁本体(第1の弁本体)と、第2の弁装置が有する弁本体(第2の弁本体)と、が離れて配置されている。このようにすることで、第1の弁本体と第2の弁本体とが接して熱交換してしまうことを抑制できる。そのため、冷房効率および暖房効率が低下してしまうことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施例に係る弁装置組立体を有する空調装置の概略構成を示す図である。
【
図2】
図1の空調装置が冷房モードのときの冷媒の流れを示す図である。
【
図3】
図1の空調装置が暖房モードのときの冷媒の流れを示す図である。
【
図4】
図1の空調装置が除湿暖房モードのときの冷媒の流れを示す図である。
【
図5】
図1の空調装置が有する高圧側弁装置の斜視図である。
【
図11】
図5の高圧側弁装置が有する第1の高圧側開閉弁ユニットの断面図である。
【
図12】
図1の空調装置が有する低圧側弁装置の斜視図である。
【
図18】
図12の低圧側弁装置が有する第1の低圧側開閉弁ユニットの一部の断面図である。
【
図19】高圧側弁装置と低圧側弁装置とを組み合わせた弁装置組立体を高圧側弁装置の正面方向から見た図である。
【
図20】高圧側弁装置と低圧側弁装置とを組み合わせた弁装置組立体を上方から見た図である。
【
図21】
図19の弁装置組立体の変形例の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施例に係る弁装置組立体について、
図1~
図21を参照して説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施例に係る弁装置組立体を有する空調装置の概略構成を示す図である。
図2~
図4は、
図1の空調装置の冷媒の流れを示す図である。
図2~
図4は、冷房モード、暖房モードおよび除湿暖房モードのときの冷媒の流れを示す図である。
図2~
図4において、ハッチングで示す装置は、冷媒通路を閉じた状態または動作停止状態を示している。
図5~
図8は、
図1の空調装置が有する高圧側弁装置の斜視図、正面図、平面図および右側面図である。
図9は、
図7のA1-A1線に沿う断面図である。
図10は、
図6のB1-B1線に沿う断面図である。
図11は、
図5の高圧側弁装置が有する第1の高圧側開閉弁ユニットの断面図である。
図12~
図15は、
図1の空調装置が有する低圧側弁装置の斜視図、正面図、平面図および右側面図である。
図16は、
図14のA2-A2線に沿う断面図である。
図17は、
図13のB2-B2線に沿う断面図である。
図18は、
図12の低圧側弁装置が有する第1の低圧側開閉弁ユニットの一部の断面図である。
図19、
図20は、
図5の高圧側弁装置と
図12の低圧側弁装置とを組み合わせた弁装置組立体を高圧側弁装置の正面方向および上方から見た図である。
図21は、
図19の弁装置組立体の変形例の構成を示す図である。
図21は、弁装置組立体を高圧側弁装置の正面方向から見た図である。各図において、矢印Xで示すX方向が左右方向(横方向)であり、矢印Yで示すY方向が前後方向であり、矢印Zで示すZ方向が上下方向である。矢印Xにおいて「X」の文字がある方が右方向であり、矢印Yにおいて「Y」の文字がある方が後方向であり、矢印Zにおいて「Z」の文字がある方が上方向である。
【0019】
本実施例に係る弁装置組立体を有する空調装置1は、例えば、車両に搭載され、車室への送風空気を冷却したり加熱したりする車両用空調装置である。また、空調装置1は、車両に搭載された走行用のバッテリーも冷却可能である。
【0020】
図1に示すように、空調装置1は、弁装置組立体5と、圧縮機30と、室内凝縮器40と、ポンプ41と、ヒーターコア42と、室外熱交換器50と、室内蒸発器60と、バッテリー用蒸発器70と、アキュムレータ80と、を有している。また、空調装置1は、第1膨張弁91と、第2膨張弁92と、第3膨張弁93と、逆止弁94と、を有している。弁装置組立体5は、高圧側弁装置10および低圧側弁装置20を有している。
【0021】
高圧側弁装置10および低圧側弁装置20について説明する。高圧側弁装置10および低圧側弁装置20は、
図19、
図20に示すように組み合わされ、弁装置組立体5を構成する。高圧側弁装置10は、圧縮機30の吐出口に直接的(すなわち機能的な部材を介さず)に接続される。高圧側弁装置10には、比較的高温の冷媒が流れる。低圧側弁装置20は、圧縮機30の吸入口にアキュムレータ80を介して接続される。低圧側弁装置20には、比較的低温の冷媒が流れる。
【0022】
図5~
図11に示すように、高圧側弁装置10は、高圧側弁本体100と、第1の高圧側開閉弁ユニット300と、第2の高圧側開閉弁ユニット400と、を有している。高圧側弁装置10は、第1の弁装置である。
【0023】
高圧側弁本体100は、例えば、アルミニウム合金を押出加工することにより形成されている。高圧側弁本体100は、直方体形状を有している。高圧側弁本体100は、正面101と、背面102と、左側面103と、右側面104と、底面107と、上面108と、を有している。各面は、平面である。正面101と背面102とは、互いに平行に配置されている。左側面103と右側面104とは、互いに平行に配置されている。左側面103は、正面101に対して直角である。底面107および上面108は、互いに平行に配置されている。底面107は、正面101および左側面103に対して直角である。高圧側弁本体100は、第1の弁本体である。
【0024】
正面101は、高圧側主冷媒通路開口116を有している。底面107は、第1の高圧側分岐冷媒通路開口316と、第2の高圧側分岐冷媒通路開口416と、を有している。
【0025】
高圧側主冷媒通路開口116は、
図1に示すように、配管P10を介して圧縮機30の吐出口と接続されている。第1の高圧側分岐冷媒通路開口316は、配管P11を介して室外熱交換器50の一方の接続口と接続されている。第2の高圧側分岐冷媒通路開口416は、配管P12を介して室内凝縮器40の入口と接続されている。
【0026】
高圧側弁本体100は、切削加工によって形成された複数の冷媒通路を有している。具体的には、高圧側弁本体100は、高圧側主冷媒通路110と、第1の高圧側分岐冷媒通路310と、第2の高圧側分岐冷媒通路410と、を有している。
【0027】
高圧側主冷媒通路110は、正面101から背面102に向けて直線状に延びている。高圧側主冷媒通路110は、高圧側主冷媒通路開口116と接続されている。高圧側主冷媒通路110は、円柱形状を有している。高圧側主冷媒通路110の径は、全体にわたって同一でもよい。高圧側主冷媒通路110は、円柱形状以外の柱形状を有していてもよい。正面101は、一の面である。
【0028】
第1の高圧側分岐冷媒通路310は、底面107から上面108に向けて直線状に延びている。第1の高圧側分岐冷媒通路310は、第1の高圧側分岐冷媒通路開口316と接続されている。底面107は、他の面である。
【0029】
第1の高圧側分岐冷媒通路310には、第1の高圧側開閉弁ユニット300が配置される。第1の高圧側分岐冷媒通路310は、
図9、
図10に示すように、第1の高圧側主弁室311と、第1の高圧側主弁口312と、を有している。第1の高圧側主弁室311の中心軸は、上下方向に平行である。第1の高圧側主弁室311と、第1の高圧側主弁口312と、は同軸に配置されている。第1の高圧側主弁口312は、第1の高圧側主弁室311に開口している。第1の高圧側主弁口312は、第1の高圧側主弁室311において第1の高圧側主弁座313に囲まれている。
【0030】
第1の高圧側主弁室311は、円柱形状を有している。第1の高圧側主弁室311は、第1の高圧側分岐冷媒通路310の円柱形状部分である。第1の高圧側主弁室311の一部は、高圧側主冷媒通路110と重なっている。第1の高圧側主弁室311と高圧側主冷媒通路110とが重なった箇所に、第1の高圧側接続開口317が形成されている。第1の高圧側接続開口317は、高圧側主冷媒通路110と第1の高圧側分岐冷媒通路310(第1の高圧側主弁室311)とを接続する。第1の高圧側主弁口312は、第1の高圧側主弁室311より小さい径の円柱形状を有している。第1の高圧側主弁口312は、第1の高圧側主弁室311と第1の高圧側分岐冷媒通路開口316とを接続する。第1の高圧側主弁室311および第1の高圧側主弁口312は、円柱形状以外の柱形状を有していてもよい。
【0031】
第2の高圧側分岐冷媒通路410は、底面107から上面108に向けて直線状に延びている。第2の高圧側分岐冷媒通路410は、第2の高圧側分岐冷媒通路開口416と接続されている。
【0032】
第2の高圧側分岐冷媒通路410には、第2の高圧側開閉弁ユニット400が配置される。第2の高圧側分岐冷媒通路410は、
図10に示すように、第2の高圧側主弁室411と、第2の高圧側主弁口412と、を有している。第2の高圧側主弁室411の中心軸は、上下方向に平行である。第2の高圧側主弁室411と、第2の高圧側主弁口412と、は同軸に配置されている。第2の高圧側主弁口412は、第2の高圧側主弁室411に開口している。第2の高圧側主弁口412は、第2の高圧側主弁室411において第2の高圧側主弁座413に囲まれている。
【0033】
第2の高圧側主弁室411は、円柱形状を有している。第2の高圧側主弁室411は、第2の高圧側分岐冷媒通路410の円柱形状部分である。第2の高圧側主弁室411の一部は、高圧側主冷媒通路110と重なっている。第2の高圧側主弁室411と高圧側主冷媒通路110とが重なった箇所に、第2の高圧側接続開口417が形成されている。第2の高圧側接続開口417は、高圧側主冷媒通路110と第2の高圧側分岐冷媒通路410(第2の高圧側主弁室411)とを接続する。第2の高圧側主弁口412は、第2の高圧側主弁室411より小さい径の円柱形状を有している。第2の高圧側主弁口412は、第2の高圧側主弁室411と第2の高圧側分岐冷媒通路開口416とを接続する。第2の高圧側主弁室411および第2の高圧側主弁口412は、円柱形状以外の柱形状を有していてもよい。
【0034】
高圧側主冷媒通路110の中心軸は前後方向に平行である。第1の高圧側分岐冷媒通路310の中心軸および第2の高圧側分岐冷媒通路410の中心軸は、上下方向に平行である。高圧側主冷媒通路110の中心軸と、第1の高圧側分岐冷媒通路310の中心軸と、は左右方向にずれて配置(すなわち左右方向に間隔をあけて配置)されており、互いに交わらない。高圧側主冷媒通路110の中心軸と、第2の高圧側分岐冷媒通路410の中心軸と、も左右方向にずれて配置されており、互いに交わらない。
【0035】
高圧側弁本体100は、左側面103から右側面104まで貫通する貫通孔109を有している。貫通孔109には、ボルト7が配置される。
【0036】
第1の高圧側開閉弁ユニット300は、上面108において正面101寄りに配置されている。第1の高圧側開閉弁ユニット300は、第1の高圧側分岐冷媒通路310を開閉可能(すなわち、通路面積を0または0より大きい面積に変更可能)である。第1の高圧側開閉弁ユニット300は、第1の弁ユニットである。
【0037】
図9~
図11に示すように、第1の高圧側開閉弁ユニット300は、高圧側弁本体100が有する第1の高圧側主弁室311、第1の高圧側主弁口312および第1の高圧側主弁座313とともにパイロット式の開閉弁を構成する。第1の高圧側主弁室311は、第1の弁室である。第1の高圧側主弁口312は、第1の弁口である。なお、第1の高圧側開閉弁ユニット300は、例えば、特開2016-200198に開示されている電動弁のように、弁室および弁座を有していてもよい。
【0038】
第1の高圧側開閉弁ユニット300は、主弁体320と、弁体駆動部330と、を有している。
【0039】
主弁体320は、胴部321と、大径フランジ部322と、小径フランジ部323と、を一体的に有している。胴部321は、円柱形状を有している。大径フランジ部322は、胴部321の上部に連設されている。小径フランジ部323は、胴部321の下部に連設されている。胴部321は、パイロット通路325を有している。大径フランジ部322は、均圧通路326を有している。主弁体320は、第1の高圧側主弁座313に接離し、第1の高圧側主弁口312を開閉(すなわち、開口面積を0または0より大きい面積に変更)する。主弁体320の大径フランジ部322と高圧側弁本体100との間には、開弁ばね337が配置されている。開弁ばね337は、圧縮コイルばねである。開弁ばね337は、主弁体320(大径フランジ部322)を上方に押している。
【0040】
弁体駆動部330は、固定鉄心331と、ケース332と、プランジャ333と、電磁コイル334と、パイロット弁体335と、弁軸336と、を有している。
【0041】
固定鉄心331は、大径円筒部331aと、小径円筒部331bと、を一体的に有している。大径円筒部331aは、高圧側弁本体100にねじ構造によって取り付けられている。小径円筒部331bは、大径円筒部331aと同軸に配置されている。小径円筒部331bは、高圧側弁本体100の上面108から突出している。大径円筒部331aの内側には、主弁体320の大径フランジ部322が上下方向に移動可能に配置されている。主弁体320の大径フランジ部322は、第1の高圧側主弁室311と大径円筒部331aの内側の第1の高圧側背圧室314とを区画している。パイロット通路325は、第1の高圧側背圧室314と第1の高圧側主弁口312とを接続する。均圧通路326は、第1の高圧側主弁室311と第1の高圧側背圧室314とを接続する。
【0042】
ケース332は、下端が開口しかつ上端が塞がれた円筒形状を有している。ケース332の下端の内側には、固定鉄心331の小径円筒部331bが配置されている。ケース332の下端は、固定鉄心331に接合されている。
【0043】
プランジャ333は、円筒形状を有している。プランジャ333は、ケース332の内側に上下方向に移動可能に配置されている。プランジャ333の下端と固定鉄心331との間には、プランジャばね338が配置されている。プランジャばね338は、圧縮コイルばねである。プランジャばね338は、プランジャ333を上方に押している。
【0044】
電磁コイル334は、円筒形状を有している。電磁コイル334の内側にケース332が挿入される。電磁コイル334は、ケース332の外側に配置されている。電磁コイル334は、固定鉄心331およびプランジャ333を磁化する。
【0045】
パイロット弁体335は、弁軸336の下端に一体的に連設されている。パイロット弁体335は、第1の高圧側背圧室314に配置されている。パイロット弁体335は、弁軸336を介してプランジャ333に接続されている。パイロット弁体335には、円板形状のパッキンであるパイロット弁部335aが設けられている。パイロット弁部335aは、パイロット通路325を開閉する。
【0046】
弁軸336は、細長い円筒形状を有している。弁軸336の上端は、プランジャ333の下端に固定されている。弁軸336は、固定鉄心331の小径円筒部331bの内側に配置されている。弁軸336は、小径円筒部331bによって上下方向に移動可能に支持されている。
【0047】
第1の高圧側開閉弁ユニット300において、電磁コイル334に通電すると、プランジャ333が磁力によって固定鉄心331に近づき、パイロット弁体335(パイロット弁部335a)がパイロット通路325を閉じる。さらに、パイロット弁体335が主弁体320を下方に押して、主弁体320が第1の高圧側主弁座313に接し、第1の高圧側主弁口312が閉じる。第1の高圧側主弁口312が閉じた状態において、第1の高圧側主弁室311および第1の高圧側背圧室314から第1の高圧側主弁口312への冷媒の流れが遮断されており、冷媒は第1の高圧側主弁室311および第1の高圧側背圧室314に留まる。主弁体320は、冷媒によって第1の高圧側主弁座313に押し付けられる。
【0048】
第1の高圧側開閉弁ユニット300において、電磁コイル334の通電を停止すると、プランジャ333が、プランジャばね338に押されて上方に移動する。プランジャ333とともにパイロット弁体335も上方に移動して、パイロット通路325が開く。第1の高圧側背圧室314の冷媒がパイロット通路325を介して第1の高圧側主弁口312に流れて、冷媒による主弁体320を第1の高圧側主弁座313に押し付ける力が弱まる。開弁ばね337が主弁体320を上方に押して、主弁体320が第1の高圧側主弁座313から離れ、第1の高圧側主弁口312が開く。これにより、第1の高圧側主弁室311の冷媒は、第1の高圧側主弁口312に流れる。
【0049】
第2の高圧側開閉弁ユニット400は、上面108において背面102寄りに配置されている。第2の高圧側開閉弁ユニット400は、第2の高圧側分岐冷媒通路410を開閉可能(すなわち、通路面積を0または0より大きい面積に変更可能)である。第2の高圧側開閉弁ユニット400は、第2の弁ユニットである。
【0050】
図10に示すように、第2の高圧側開閉弁ユニット400は、高圧側弁本体100が有する第2の高圧側主弁室411、第2の高圧側主弁口412および第2の高圧側主弁座413とともにパイロット式の開閉弁を構成する。第2の高圧側主弁室411は、第2の弁室である。第2の高圧側主弁口412は、第2の弁口である。なお、第2の高圧側開閉弁ユニット400は、例えば、特開2016-200198に開示されている電動弁のように、弁室および弁座を有していてもよい。
【0051】
第2の高圧側開閉弁ユニット400は、主弁体420と、弁体駆動部430と、を有している。主弁体420および弁体駆動部430は、第1の高圧側開閉弁ユニット300の主弁体320および弁体駆動部330と同一(実質的に同一を含む)の構成を有しているため、詳細説明を省略する。
【0052】
高圧側弁装置10の製造方法について説明する。
【0053】
押出加工によって直方体形状のアルミニウム合金製のワークピースを作製する。切削加工によってワークピースに冷媒通路を形成して高圧側弁本体100を作製する。具体的には、切削加工によって、ワークピースの正面101から背面102に向けて直線状に延びる円柱形状の高圧側主冷媒通路110を形成する。ワークピースの上面108から底面107に向けて直線状に延びる第1の高圧側主弁室311を形成する。このとき、第1の高圧側主弁室311の一部が、高圧側主冷媒通路110と重なるようにする。換言すると、第1の高圧側主弁室311の中心軸と高圧側主冷媒通路110の中心軸との最短距離が、第1の高圧側主弁室311の半径と高圧側主冷媒通路110の半径とを合わせた値より小さくなるようにする。これにより、第1の高圧側主弁室311と高圧側主冷媒通路110とを接続する第1の高圧側接続開口317が形成される。第1の高圧側主弁室311の形成と同時に、第1の高圧側主弁座313を形成する。第1の高圧側主弁室311の内周面に雌ねじを形成する。ワークピースの底面107から上面108に向けて直線状に延びる第1の高圧側主弁口312を形成する。また、第1の高圧側主弁室311、第1の高圧側主弁口312、第1の高圧側主弁座313および第1の高圧側接続開口317と同一(実質的に同一を含む)の方法で、第2の高圧側主弁室411、第2の高圧側主弁口412、第2の高圧側主弁座413および第2の高圧側接続開口417を形成する。なお、高圧側主冷媒通路110と、第1の高圧側主弁室311と、第2の高圧側主弁室411と、を形成する順番は任意である。切削加工によって、ワークピースの左側面103から右側面104まで貫通する貫通孔109を形成する。
【0054】
別工程で第1の高圧側開閉弁ユニット300および第2の高圧側開閉弁ユニット400を作製する。そして、第1の高圧側開閉弁ユニット300を第1の高圧側主弁室311にねじ構造によって取り付け、第2の高圧側開閉弁ユニット400を第2の高圧側主弁室411にねじ構造によって取り付ける。このようにして、高圧側弁装置10が完成する。
【0055】
図12~
図18に示すように、低圧側弁装置20は、低圧側弁本体200と、第1の低圧側開閉弁ユニット500と、第2の低圧側開閉弁ユニット600と、を有している。低圧側弁装置20は、第2の弁装置である。
【0056】
低圧側弁本体200は、例えば、アルミニウム合金を押出加工することにより形成されている。低圧側弁本体200は、直方体形状を有している。低圧側弁本体200は、正面201と、背面202と、左側面203と、右側面204と、底面207と、上面208と、を有している。各面は、平面である。正面201と背面202とは、互いに平行に配置されている。左側面203と右側面204とは、互いに平行に配置されている。左側面203は、正面201に対して直角である。底面207および上面208は、互いに平行に配置されている。底面207は、正面201および左側面203に対して直角である。低圧側弁本体200は、第2の弁本体である。
【0057】
正面201は、低圧側主冷媒通路開口216を有している。底面207は、第1の低圧側分岐冷媒通路開口516と、第2の低圧側分岐冷媒通路開口616と、を有している。
【0058】
低圧側主冷媒通路開口216は、
図1に示すように、配管P20を介してアキュムレータ80の入口と接続されている。第1の低圧側分岐冷媒通路開口516は、配管P21を介して配管P11と接続されている。第2の低圧側分岐冷媒通路開口616は、配管P22を介して室内蒸発器60の一方の接続口と接続されている。
【0059】
低圧側弁本体200は、切削加工によって形成された複数の冷媒通路を有している。具体的には、低圧側弁本体200は、低圧側主冷媒通路210と、第1の低圧側分岐冷媒通路510と、第2の低圧側分岐冷媒通路610と、を有している。
【0060】
低圧側主冷媒通路210は、正面201から背面202に向けて直線状に延びている。低圧側主冷媒通路210は、低圧側主冷媒通路開口216と接続されている。低圧側主冷媒通路210は、円柱形状を有している。低圧側主冷媒通路210の径は、全体にわたって同一でもよい。低圧側主冷媒通路210は、円柱形状以外の柱形状を有していてもよい。正面201は、一の面である。
【0061】
第1の低圧側分岐冷媒通路510は、L字形状を有している。第1の低圧側分岐冷媒通路510は、底面207から上面208に向けて直線状に延びるとともに右側面204側に直角に折れ曲がっている。第1の低圧側分岐冷媒通路510は、第1の低圧側分岐冷媒通路開口516と接続されている。
【0062】
第1の低圧側分岐冷媒通路510には、第1の低圧側開閉弁ユニット500が配置される。第1の低圧側分岐冷媒通路510は、
図16、
図17に示すように、第1の低圧側主弁室511と、第1の低圧側主弁口512と、を有している。第1の低圧側主弁室511の中心軸は、左右方向に平行である。第1の低圧側主弁室511と、第1の低圧側主弁口512と、は同軸に配置されている。第1の低圧側主弁口512は、第1の低圧側主弁室511に開口している。第1の低圧側主弁口512は、第1の低圧側主弁室511において第1の低圧側主弁座513に囲まれている。また、第1の低圧側分岐冷媒通路510は、第1の接続通路515を有している。第1の接続通路515の中心軸は、上下方向に平行である。第1の接続通路515は、第1の低圧側主弁室511と第1の低圧側分岐冷媒通路開口516とを接続する。
【0063】
第1の低圧側主弁室511は、円柱形状を有している。第1の低圧側主弁口512は、第1の低圧側主弁室511より小さい径の円柱形状を有している。第1の低圧側主弁口512は、第1の低圧側分岐冷媒通路510の円柱形状部分である。第1の低圧側主弁口512の一部は、低圧側主冷媒通路210と重なっている。第1の低圧側主弁口512と低圧側主冷媒通路210とが重なった箇所に、第1の低圧側接続開口517が形成されている。第1の低圧側接続開口517は、低圧側主冷媒通路210と第1の低圧側分岐冷媒通路510(第1の低圧側主弁口512)とを接続する。第1の低圧側主弁室511および第1の低圧側主弁口512は、円柱形状以外の柱形状を有していてもよい。
【0064】
第2の低圧側分岐冷媒通路610は、L字形状を有している。第2の低圧側分岐冷媒通路610は、底面207から上面208に向けて直線状に延びるとともに右側面204側に直角に折れ曲がっている。第2の低圧側分岐冷媒通路610は、第2の低圧側分岐冷媒通路開口616と接続されている。
【0065】
第2の低圧側分岐冷媒通路610には、第2の低圧側開閉弁ユニット600が配置される。第2の低圧側分岐冷媒通路610は、
図17に示すように、第2の低圧側主弁室611と、第2の低圧側主弁口612と、を有している。第2の低圧側主弁室611の中心軸は、左右方向に平行である。第2の低圧側主弁室611と、第2の低圧側主弁口612と、は同軸に配置されている。第2の低圧側主弁口612は、第2の低圧側主弁室611に開口している。第2の低圧側主弁口612は、第2の低圧側主弁室611において第2の低圧側主弁座613(図示なし)に囲まれている。また、第2の低圧側分岐冷媒通路610は、第2の接続通路615を有している。第2の接続通路615の中心軸は、上下方向に平行である。第2の接続通路615は、第2の低圧側主弁室611と第2の低圧側分岐冷媒通路開口616とを接続する。
【0066】
第2の低圧側主弁室611は、円柱形状を有している。第2の低圧側主弁口612は、第2の低圧側主弁室611より小さい径の円柱形状を有している。第2の低圧側主弁口612は、第2の低圧側分岐冷媒通路610の円柱形状部分である。第2の低圧側主弁口612の一部は、低圧側主冷媒通路210と重なっている。第2の低圧側主弁口612と低圧側主冷媒通路210とが重なった箇所に、第2の低圧側接続開口617が形成されている。第2の低圧側接続開口617は、低圧側主冷媒通路210と第2の低圧側分岐冷媒通路610(第2の低圧側主弁口612)とを接続する。第2の低圧側主弁室611および第2の低圧側主弁口612は、円柱形状以外の柱形状を有していてもよい。
【0067】
低圧側主冷媒通路210の中心軸は前後方向に平行である。第1の低圧側主弁口512の中心軸および第2の低圧側主弁口612の中心軸は、左右方向に平行である。低圧側主冷媒通路210の中心軸と、第1の低圧側主弁口512の中心軸と、は互いに交わっている。低圧側主冷媒通路210の中心軸と、第2の低圧側主弁口612の中心軸と、も互いに交わっている。
【0068】
低圧側弁本体200は、右側面204に開口するねじ孔209を有している。ねじ孔209の内周面には、雌ねじが形成されている。ねじ孔209には、ボルト7が螺合される。
【0069】
第1の低圧側開閉弁ユニット500は、上面208において正面201寄りに配置されている。第1の低圧側開閉弁ユニット500は、第1の低圧側分岐冷媒通路510を開閉可能(すなわち、通路面積を0または0より大きい面積に変更可能)である。第1の低圧側開閉弁ユニット500は、第1の弁ユニットである。
【0070】
図16~
図18に示すように、第1の低圧側開閉弁ユニット500は、低圧側弁本体200とともに二段パイロット式の開閉弁を構成する。低圧側弁本体200は、上述したように、第1の低圧側主弁室511、第1の低圧側主弁口512、第1の低圧側主弁座513を有している。低圧側弁本体200は、さらに、第1の低圧側背圧室514、二段目パイロット弁室521、二段目パイロット通路522、二段目パイロット弁座523および二段目均圧通路529を有している。第1の低圧側主弁室511は、第1の弁室である。第1の低圧側主弁口512は、第1の弁口である。
【0071】
第1の低圧側背圧室514は、円柱形状を有している。第1の低圧側背圧室514は、第1の低圧側主弁室511と同軸に配置されている。蓋体281は、低圧側弁本体200の左側面203に形成される第1の低圧側背圧室514の開口を塞いでいる。二段目パイロット弁室521は、円柱形状を有している。二段目パイロット弁室521の中心軸は、上下方向に平行である。二段目パイロット通路522は、二段目パイロット弁室521より小さい径の円柱形状を有している。二段目パイロット通路522は、二段目パイロット弁室521と同軸に配置されている。二段目パイロット通路522は、二段目パイロット弁室521と第1の低圧側主弁口512とを接続する。二段目パイロット通路522は、二段目パイロット弁室521において二段目パイロット弁座523に囲まれている。二段目均圧通路529は、第1の低圧側背圧室514と二段目パイロット弁室521とを接続している。
【0072】
第1の低圧側開閉弁ユニット500は、弁体駆動部530と、主弁体540と、を有している。
【0073】
主弁体540は、胴部541と、大径フランジ部542と、小径フランジ部543と、を一体的に有している。胴部541は、円柱形状を有している。大径フランジ部542は、胴部541の一端部(
図16において左側の端部)に連設されている。小径フランジ部543は、胴部541の他端部(
図16において右側の端部)に連設されている。胴部541は、均圧通路546を有している。均圧通路546は、第1の低圧側主弁室511と第1の低圧側背圧室514とを接続する。主弁体540は、第1の低圧側主弁座513に接離し、第1の低圧側主弁口512を開閉(すなわち、開口面積を0または0より大きい面積に変更)する。主弁体540の大径フランジ部542と低圧側弁本体200(蓋体281)との間には、閉弁ばね547が配置されている。閉弁ばね547は、圧縮コイルばねである。閉弁ばね547は、主弁体540を右方に押している。
【0074】
弁体駆動部530は、二段目パイロット弁体525と、固定鉄心531と、ケース532と、プランジャ533と、電磁コイル534と、一段目パイロット弁体535と、ばね受け部材536と、を有している。
【0075】
二段目パイロット弁体525は、円板形状を有している。二段目パイロット弁体525は、一段目パイロット通路527と、一段目均圧通路528と、を有している。二段目パイロット弁体525は、二段目パイロット弁座523に接離し、二段目パイロット通路522を開閉する。
【0076】
固定鉄心531は、大径円筒部531aと、小径円筒部531bと、を一体的に有している。大径円筒部531aは、低圧側弁本体200にねじ構造によって取り付けられている。小径円筒部531bは、大径円筒部531aと同軸に配置されている。小径円筒部531bは、低圧側弁本体200の上面208から突出している。大径円筒部531aの内側には、二段目パイロット弁体525が上下方向に移動可能に配置されている。二段目パイロット弁体525は、二段目パイロット弁室521と大径円筒部531aの内側の一段目パイロット弁室524とを区画している。一段目パイロット通路527は、一段目パイロット弁室524と二段目パイロット通路522とを接続する。一段目均圧通路528は、一段目パイロット弁室524と二段目パイロット弁室521とを接続する。二段目パイロット弁体525と大径円筒部531aとの間には、開弁ばね537が配置されている。開弁ばね537は、圧縮コイルばねである。開弁ばね537は、二段目パイロット弁体525を上方に押している。
【0077】
ケース532は、下端が開口しかつ上端が塞がれた円筒形状を有している。ケース532の下端の内側には、固定鉄心531の小径円筒部531bが配置されている。ケース532の下端は、固定鉄心531に接合されている。
【0078】
プランジャ533は、上端が開口しかつ下端が塞がれた円筒形状を有している。プランジャ533は、ケース532の内側に上下方向に移動可能に配置されている。プランジャ533の下端と固定鉄心531との間には、第1プランジャばね538が配置されている。第1プランジャばね538は、圧縮コイルばねである。第1プランジャばね538は、プランジャ533を上方に押している。プランジャ533の下端には、貫通孔533aが形成されている。
【0079】
電磁コイル534は、円筒形状を有している。電磁コイル534の内側にケース532が挿入される。電磁コイル534は、ケース532の外側に配置されている。電磁コイル534は、固定鉄心531およびプランジャ533を磁化する。
【0080】
一段目パイロット弁体535は、細長い円柱形状を有している。一段目パイロット弁体535は、プランジャ533の貫通孔533aおよび小径円筒部531bの内側に配置されている。一段目パイロット弁体535の上端には、円柱形状のばね受け部材536が連設されている。ばね受け部材536は、プランジャ533の内側に配置されている。ばね受け部材536の径は、貫通孔533aの径より大きい。ばね受け部材536とケース532の上端との間には、第2プランジャばね539が配置されている。第2プランジャばね539は、圧縮コイルばねである。第2プランジャばね539は、ばね受け部材536を下方に押してプランジャ533に押し付けている。一段目パイロット弁体535の下端には、円錐形状の一段目パイロット弁部535aが設けられている。一段目パイロット弁部535aは、一段目パイロット弁室524に配置されている。一段目パイロット弁部535aは、一段目パイロット通路527を開閉する。
【0081】
第1の低圧側開閉弁ユニット500において、電磁コイル534に通電すると、プランジャ533が磁力によって固定鉄心531に近づき、一段目パイロット弁体535(一段目パイロット弁部535a)が一段目パイロット通路527を閉じる。さらに、一段目パイロット弁体535が二段目パイロット弁体525を下方に押して、二段目パイロット弁体525が二段目パイロット弁座523に接し、二段目パイロット通路522が閉じる。二段目パイロット通路522が閉じると、第1の低圧側背圧室514から二段目均圧通路529、二段目パイロット弁室521および二段目パイロット通路522を経由した第1の低圧側主弁口512への冷媒の流れが遮断される。第1の低圧側背圧室514の冷媒圧力が第1の低圧側主弁室511の冷媒圧力と同一(実質的に同一を含む)となる。閉弁ばね547が主弁体540を右方に押して、主弁体540が第1の低圧側主弁座513に接し、第1の低圧側主弁口512が閉じる。第1の低圧側主弁口512が閉じた状態において、第1の低圧側主弁室511から第1の低圧側主弁口512への冷媒の流れが遮断される。冷媒は第1の低圧側主弁室511、第1の低圧側背圧室514、一段目パイロット弁室524および二段目パイロット弁室521に留まる。二段目パイロット弁体525は、冷媒によって二段目パイロット弁座523に押し付けられ、主弁体540は、冷媒によって第1の低圧側主弁座513に押し付けられる。
【0082】
第1の低圧側開閉弁ユニット500において、電磁コイル534の通電を停止すると、プランジャ533が、第1プランジャばね538に押されて上方に移動する。プランジャ533とともに一段目パイロット弁体535も上方に移動して、一段目パイロット通路527が開く。一段目パイロット弁室524の冷媒が、一段目パイロット通路527および二段目パイロット通路522を介して第1の低圧側主弁口512に流れて、冷媒による二段目パイロット弁体525を二段目パイロット弁座523に押し付ける力が弱まる。開弁ばね537が二段目パイロット弁体525を上方に押して、二段目パイロット弁体525が二段目パイロット弁座523から離れ、二段目パイロット通路522が開く。第1の低圧側背圧室514の冷媒が二段目均圧通路529、二段目パイロット弁室521および二段目パイロット通路522を介して第1の低圧側主弁口512に流れる。冷媒による主弁体540を第1の低圧側主弁座513から離す力が当該主弁体540に加わり、主弁体540が第1の低圧側主弁座513から離れ、第1の低圧側主弁口512が開く。これにより、第1の低圧側主弁室511の冷媒は、第1の低圧側主弁口512に流れる。
【0083】
第2の低圧側開閉弁ユニット600は、上面208において背面202寄りに配置されている。第2の低圧側開閉弁ユニット600は、第2の低圧側分岐冷媒通路610を開閉可能(すなわち、通路面積を0または0より大きい面積に変更可能)である。第2の低圧側開閉弁ユニット600は、第2の弁ユニットである。
【0084】
図17に示すように、第2の低圧側開閉弁ユニット600は、低圧側弁本体200とともに二段パイロット式の開閉弁を構成する。低圧側弁本体200は、上述したように、第2の低圧側主弁室611、第2の低圧側主弁口612、第2の低圧側主弁座613を有している。低圧側弁本体200は、さらに、第2の低圧側背圧室614(図示なし)、二段目パイロット弁室621、二段目パイロット通路622、二段目パイロット弁座623および二段目均圧通路629(図示なし)を有している。第2の低圧側主弁室611は、第2の弁室である。第2の低圧側主弁口612は、第2の弁口である。
【0085】
第2の低圧側背圧室614は、円柱形状を有している。第2の低圧側背圧室614は、第2の低圧側主弁室611と同軸に配置されている。蓋体282は、低圧側弁本体200の左側面203に形成される第2の低圧側背圧室614の開口を塞いでいる。二段目パイロット弁室621は、円柱形状を有している。二段目パイロット弁室621の中心軸は、上下方向に平行である。二段目パイロット通路622は、二段目パイロット弁室621より小さい径の円柱形状を有している。二段目パイロット通路622は、二段目パイロット弁室621と同軸に配置されている。二段目パイロット通路622は、二段目パイロット弁室621と第2の低圧側主弁口612とを接続する。二段目パイロット通路622は、二段目パイロット弁室621において二段目パイロット弁座623に囲まれている。二段目均圧通路629は、第2の低圧側背圧室614と二段目パイロット弁室621とを接続している。
【0086】
第2の低圧側開閉弁ユニット600は、弁体駆動部630と、主弁体640(図示なし)と、を有している。弁体駆動部630および主弁体640は、第1の低圧側開閉弁ユニット500の弁体駆動部530および主弁体540と同一(実質的に同一を含む)の構成を有しているため、詳細説明を省略する。
【0087】
低圧側弁装置20の製造方法について説明する。
【0088】
押出加工によって直方体形状のアルミニウム合金製のワークピースを作製する。切削加工によってワークピースに冷媒通路を形成して低圧側弁本体200を作製する。具体的には、切削加工によって、ワークピースの正面201から背面202に向けて直線状に延びる円柱形状の低圧側主冷媒通路210を形成する。ワークピースの左側面203から右側面204に向けて直線状に延びる第1の低圧側背圧室514を形成する。第1の低圧側背圧室514から右側面204に向けて直線状に延びる第1の低圧側主弁室511を形成する。第1の低圧側主弁室511の形成と同時に、第1の低圧側主弁座513を形成する。第1の低圧側主弁室511から右側面204に向けて直線状に延びる第1の低圧側主弁口512を形成する。このとき、第1の低圧側主弁室511の一部が、低圧側主冷媒通路210と重なるようにする。具体的には、第1の低圧側主弁室511の中心軸と低圧側主冷媒通路210の中心軸とを互いに交差するように配置する。これにより、第1の低圧側主弁口512と低圧側主冷媒通路210とを接続する第1の低圧側接続開口517が形成される。第1の低圧側背圧室514から右側面204側に直線状に延びる二段目均圧通路529を形成する。第1の低圧側背圧室514の内周面に雌ねじを形成する。ワークピースの底面207から上面208に向けて第1の接続通路515を形成する。ワークピースの上面208から底面207に向けて直線状に延びる二段目パイロット弁室521を形成する。二段目パイロット弁室521の形成と同時に、二段目パイロット弁座523を形成する。二段目パイロット弁室521から底面207に向けて直線状に延びる二段目パイロット通路522を形成する。二段目パイロット弁室521の内周面に雌ねじを形成する。また、第1の低圧側主弁室511、第1の低圧側主弁口512、第1の低圧側主弁座513、第1の低圧側背圧室514、第1の接続通路515、第1の低圧側接続開口517、二段目パイロット弁室521、二段目パイロット通路522、二段目パイロット弁座523および二段目均圧通路529と同一(実質的に同一を含む)の方法で、第2の低圧側主弁室611、第2の低圧側主弁口612、第2の低圧側主弁座613、第2の低圧側背圧室614、第2の接続通路615、第2の低圧側接続開口617、二段目パイロット弁室621、二段目パイロット通路622、二段目パイロット弁座623および二段目均圧通路629を形成する。切削加工によって、ワークピースの右側面204から左側面203に向けて直線状に延びるねじ孔209を形成する。ねじ孔209の内周面に雌ねじを形成する。なお、低圧側主冷媒通路210と、第1の低圧側主弁口512と、第2の低圧側主弁口612と、を形成する順番は任意である。
【0089】
別工程で第1の低圧側開閉弁ユニット500および第2の低圧側開閉弁ユニット600を作製する。第1の低圧側主弁室511に主弁体540および閉弁ばね547を配置し、第1の低圧側背圧室514にねじ構造によって蓋体281を取り付ける。第2の低圧側主弁室611に主弁体640および閉弁ばね647(図示なし)を配置し、第2の低圧側背圧室614にねじ構造によって蓋体282を取り付ける。そして、弁体駆動部530を第1の低圧側主弁室511にねじ構造によって取り付け、弁体駆動部630を第2の低圧側主弁室611にねじ構造によって取り付ける。このようにして、低圧側弁装置20が完成する。
【0090】
図19、
図20に示すように、弁装置組立体5は、高圧側弁装置10の高圧側弁本体100と、低圧側弁装置20の低圧側弁本体200と、が離れて配置されている。具体的には、高圧側弁本体100の右側面104と低圧側弁本体200の右側面204とが隙間をあけて対向している。隙間は、例えば、1~30mmである。高圧側弁本体100と低圧側弁本体200とは、ボルト7によって互いに連結されている。高圧側弁本体100と低圧側弁本体200との間には、スペーサー8が挟まれている。スペーサー8は、円環板形状を有している。ボルト7は、高圧側弁本体100および低圧側弁本体200(例えば、アルミニウム合金)より熱伝導率が低い材料(例えば、ステンレスやエンジニアリングプラスチック)で構成されている。スペーサー8も、ボルト7と同様に、高圧側弁本体100および低圧側弁本体200より熱伝導率が低い材料で構成されている。このようにすることで、高圧側弁本体100と低圧側弁本体200との間での熱交換を抑制して、冷房効率および暖房効率の低下を抑制できる。なお、
図21に示す弁装置組立体5Aのように、スペーサー8の代わりにナット9を用いて高圧側弁本体100および低圧側弁本体200をボルト7に固定してもよい。高圧側弁本体100の右側面104と低圧側弁本体200の右側面204との隙間には、高圧側弁本体100と低圧側弁本体200とを固定する部材(ボルト7の一部およびスペーサー8)のみ配置されている。当該隙間には、高圧側弁本体100の冷媒通路と低圧側弁本体200の冷媒通路とを接続する配管等は配置されていない。
【0091】
圧縮機30は、冷媒を吸入し、冷媒を圧縮し、高温高圧の冷媒を吐出する。圧縮機30の吐出口は、配管P10を介して高圧側弁装置10の高圧側主冷媒通路開口116と接続されている。室内凝縮器40は、ポンプ41によってヒーターコア42との間で熱交換媒体(水など)が循環される。圧縮機30が吐出した冷媒の熱はヒーターコア42で放出される。ヒーターコア42は、車室への送風空気を加熱する。室内凝縮器40の入口は、配管P12を介して高圧側弁装置10の第2の高圧側分岐冷媒通路開口416と接続されている。室内凝縮器40の出口は、第1膨張弁91が配置された配管P13を介して配管P22と接続されている。第1膨張弁91は、配管P13の通路面積を無段階に変更可能である。室外熱交換器50の内部に冷媒が流れ、冷媒と外気とが熱交換する。室外熱交換器50の一方の接続口は、配管P11を介して高圧側弁装置10の第1の高圧側分岐冷媒通路開口316と接続されている。配管P11は、配管P21を介して低圧側弁装置20の第1の低圧側分岐冷媒通路開口516と接続されている。室外熱交換器50の他方の接続口は、第2膨張弁92が配置された配管P14を介して室内蒸発器60の他方の接続口と接続されている。第2膨張弁92は、配管P14の通路面積を無段階に変更可能である。室内蒸発器60の内部に冷媒が流れ、冷媒と車室への送風空気とが熱交換する。室内蒸発器60は、送風空気を冷却する。室内蒸発器60の一方の接続口は、配管P22を介して低圧側弁装置20の第2の低圧側分岐冷媒通路開口616と接続されている。バッテリー用蒸発器70は、図示しない走行用のバッテリーを冷却する。バッテリー用蒸発器70の入口は、第3膨張弁93が配置された配管P15を介して配管P14に接続されている。配管P15は、配管P14における室外熱交換器50と第2膨張弁92との間の箇所と接続されている。第3膨張弁93は、配管P15の通路面積を無段階に変更可能である。バッテリー用蒸発器70の出口は、逆止弁94が配置された配管P16を介して配管P20と接続されている。逆止弁94は、バッテリー用蒸発器70から配管P20への冷媒の流れを許容する。逆止弁94は、配管P20からバッテリー用蒸発器70への冷媒の流れを禁止する。アキュムレータ80は、入口から流入した冷媒を気相と液相とに分離する。アキュムレータ80の出口から気相の冷媒が流出する。アキュムレータ80の入口は、配管P20を介して低圧側弁装置20の低圧側主冷媒通路開口216と接続されている。アキュムレータ80の出口は、圧縮機30の吸入口と接続されている。アキュムレータ80から圧縮機30に気相の冷媒が流れる。なお、本明細書において、「無段階」は、実質的に無段階であることを含む。
【0092】
空調装置1は、図示しない制御装置を有している。制御装置は、高圧側弁装置10(第1の高圧側開閉弁ユニット300、第2の高圧側開閉弁ユニット400)、低圧側弁装置20(第1の低圧側開閉弁ユニット500、第2の低圧側開閉弁ユニット600)、圧縮機30、ポンプ41、第1膨張弁91、第2膨張弁92および第3膨張弁93を制御する。空調装置1は、冷房モード、暖房モードおよび除湿暖房モードを有している。
【0093】
冷房モードにおいて、空調装置1の制御装置は、第1の高圧側開閉弁ユニット300によって第1の高圧側分岐冷媒通路310を開き、第2の高圧側開閉弁ユニット400によって第2の高圧側分岐冷媒通路410を閉じ、第1の低圧側開閉弁ユニット500によって第1の低圧側分岐冷媒通路510を閉じ、第2の低圧側開閉弁ユニット600によって第2の低圧側分岐冷媒通路610を開く。また、制御装置は、第1膨張弁91によって配管P13の通路面積を0(全閉)とし、第2膨張弁92によって配管P14の通路面積を冷媒が膨張可能な大きさとし、第3膨張弁93によって配管P15の通路面積を冷媒が膨張可能な大きさとする。そして、制御装置は、ポンプ41の動作を停止させ、圧縮機30を動作させる。
図2に示すように、冷房モードにおいて、冷媒は、順に、圧縮機30、配管P10、高圧側弁装置10(高圧側主冷媒通路110、第1の高圧側分岐冷媒通路310)、配管P11、室外熱交換器50、配管P14(第2膨張弁92)、室内蒸発器60、配管P22、低圧側弁装置20(第2の低圧側分岐冷媒通路610、低圧側主冷媒通路210)、配管P20、アキュムレータ80を通り、圧縮機30に戻る。また、冷媒は、配管P14から分岐して、順に、配管P15(第3膨張弁93)、バッテリー用蒸発器70、配管P16(逆止弁94)を通り、配管P20に合流する。冷房モードにおいて、送風空気は室内蒸発器60で冷却されたあと車室に送られる。また、冷房モードにおいて、走行用のバッテリーはバッテリー用蒸発器70によって冷却される。
【0094】
暖房モードにおいて、空調装置1の制御装置は、第1の高圧側開閉弁ユニット300によって第1の高圧側分岐冷媒通路310を閉じ、第2の高圧側開閉弁ユニット400によって第2の高圧側分岐冷媒通路410を開き、第1の低圧側開閉弁ユニット500によって第1の低圧側分岐冷媒通路510を開き、第2の低圧側開閉弁ユニット600によって第2の低圧側分岐冷媒通路610を閉じる。また、制御装置は、第1膨張弁91によって配管P13の通路面積を最大(全開)とし、第2膨張弁92によって配管P14の通路面積を冷媒が膨張可能な大きさとし、第3膨張弁93によって配管P15の通路面積を0(全閉)とする。そして、制御装置は、ポンプ41を動作させ、圧縮機30を動作させる。
図3に示すように、暖房モードにおいて、冷媒は、順に、圧縮機30、配管P10、高圧側弁装置10(高圧側主冷媒通路110、第2の高圧側分岐冷媒通路410)、配管P12、室内凝縮器40、配管P13(第1膨張弁91)、室内蒸発器60、配管P14(第2膨張弁92)、室外熱交換器50、配管P11、配管P21、低圧側弁装置20(第1の低圧側分岐冷媒通路510、低圧側主冷媒通路210)、配管P20、アキュムレータ80を通り、圧縮機30に戻る。暖房モードにおいて、送風空気は室内蒸発器60を通過し(冷却なし)、ヒーターコア42で加熱されたあと車室に送られる。
【0095】
除湿暖房モードにおいて、空調装置1の制御装置は、第1の高圧側開閉弁ユニット300によって第1の高圧側分岐冷媒通路310を開き、第2の高圧側開閉弁ユニット400によって第2の高圧側分岐冷媒通路410を開き、第1の低圧側開閉弁ユニット500によって第1の低圧側分岐冷媒通路510を閉じ、第2の低圧側開閉弁ユニット600によって第2の低圧側分岐冷媒通路610を開く。また、制御装置は、第1膨張弁91によって配管P13の通路面積を最大(全開)とし、第2膨張弁92によって配管P14の通路面積を冷媒が膨張可能な大きさとし、第3膨張弁93によって配管P15の通路面積を0(全閉)とする。そして、制御装置は、ポンプ41を動作させ、圧縮機30を動作させる。
図4に示すように、除湿暖房モードにおいて、冷媒は、順に、圧縮機30、配管P10、高圧側弁装置10(高圧側主冷媒通路110、第1の高圧側分岐冷媒通路310)、配管P11、室外熱交換器50、配管P14(第2膨張弁92)、室内蒸発器60、配管P22、低圧側弁装置20(第2の低圧側分岐冷媒通路610、低圧側主冷媒通路210)、配管P20、アキュムレータ80を通り、圧縮機30に戻る。また、冷媒は、順に、圧縮機30、配管P10、高圧側弁装置10(高圧側主冷媒通路110、第2の高圧側分岐冷媒通路410)、配管P12、室内凝縮器40、配管P13(第1膨張弁91)を通り、配管P22に合流する。除湿暖房モードにおいて、送風空気は室内蒸発器60で冷却(除湿)され、ヒーターコア42で加熱されたあと車室に送られる。
【0096】
以上説明したように、空調装置1の高圧側弁装置10は、1つの高圧側弁本体100と、高圧側弁本体100に取り付けられた第1の高圧側開閉弁ユニット300および第2の高圧側開閉弁ユニット400と、を有している。高圧側弁本体100が、高圧側主冷媒通路110と、高圧側主冷媒通路110と接続された第1の高圧側分岐冷媒通路310と、高圧側主冷媒通路110と接続された第2の高圧側分岐冷媒通路410と、を有している。第1の高圧側開閉弁ユニット300が、第1の高圧側分岐冷媒通路310の通路面積を変更可能である。第2の高圧側開閉弁ユニット400が、第2の高圧側分岐冷媒通路410の通路面積を変更可能である。高圧側主冷媒通路110が、高圧側弁本体100の正面101から背面102に向けて直線状に延びる円柱形状を有している。第1の高圧側分岐冷媒通路310が有する円柱形状の第1の高圧側主弁室311の一部が、高圧側主冷媒通路110と重なっている。第2の高圧側分岐冷媒通路410が有する円柱形状の第2の高圧側主弁室411の一部が、高圧側主冷媒通路110と重なっている。このようにしたことから、高圧側主冷媒通路110と第1の高圧側分岐冷媒通路310(第1の高圧側主弁室311)とが互いに重なる部分において接続される。高圧側主冷媒通路110とおよび第2の高圧側分岐冷媒通路410(第2の高圧側主弁室411)とが互いに重なる部分において接続される。そのため、高圧側弁本体100において、高圧側主冷媒通路110と第1の高圧側分岐冷媒通路310とを接続するための補助的な通路が不要であり、高圧側主冷媒通路110と第2の高圧側分岐冷媒通路410とを接続するための補助的な通路が不要である。そのため、高圧側弁装置10は、高圧側主冷媒通路110の形状(経路)、第1の高圧側分岐冷媒通路310の形状(経路)および第2の高圧側分岐冷媒通路410の形状(経路)を簡素化できる。低圧側弁装置20も、高圧側弁装置10と同一(実質的に同一を含む)の作用効果を奏する。
【0097】
また、第1の高圧側分岐冷媒通路310が、高圧側弁本体100の底面107から上面108に向けて直線状に延びている。第2の高圧側分岐冷媒通路410が、高圧側弁本体100の底面107から上面108に向けて直線状に延びている。このようにすることで、第1の高圧側分岐冷媒通路310の形状および第2の高圧側分岐冷媒通路410の形状をさらに簡素化できる。
【0098】
また、高圧側主冷媒通路110の中心軸と、第1の高圧側分岐冷媒通路310の第1の高圧側主弁室311の中心軸と、が交わらないように配置されている。高圧側主冷媒通路110の中心軸と、第2の高圧側分岐冷媒通路410の第2の高圧側主弁室411の中心軸と、が交わらないように配置されている。例えば、高圧側主冷媒通路110の中心軸と第1の高圧側主弁室311の中心軸とが交わるように配置され、高圧側主冷媒通路110の中心軸と第2の高圧側主弁室411の中心軸とが交わるように配置された構成の場合、高圧側主冷媒通路110が第1の高圧側主弁室311および第2の高圧側主弁室411を貫通して配置される。このような構成では、第1の高圧側主弁室311と第2の高圧側主弁室411との間で冷媒が流通しやすく、冷媒が主弁体320および主弁体420の動作に影響を及ぼすおそれがある。一方、上述した高圧側弁本体100では、高圧側主冷媒通路110の中心軸と第1の高圧側主弁室311の中心軸とを交わらないように配置し、高圧側主冷媒通路110の中心軸と第2の高圧側主弁室411の中心軸とを交わらないように配置している。すなわち、第1の高圧側主弁室311および第2の高圧側主弁室411をかすめるように高圧側主冷媒通路110を配置している。これにより、第1の高圧側主弁室311と第2の高圧側主弁室411との間で冷媒が流通しにくくなり、冷媒が主弁体320および主弁体420の動作に及ぼす影響を低減できる。
【0099】
また、弁装置組立体5は、高圧側弁装置10と低圧側弁装置20とを有している。高圧側弁装置10が、複数の冷媒通路を有する1つの高圧側弁本体100と、高圧側弁本体100に取り付けられた第1の高圧側開閉弁ユニット300および第2の高圧側開閉弁ユニット400と、を有している。低圧側弁装置20が、複数の冷媒通路を有する1つの低圧側弁本体200と、低圧側弁本体200に取り付けられた第1の低圧側開閉弁ユニット500および第2の低圧側開閉弁ユニット600と、を有している。そして、高圧側弁本体100と低圧側弁本体200とが離れて配置されている。このようにすることで、高圧側弁本体100と低圧側弁本体200とが互いに接して熱交換してしまうことを抑制できる。そのため、冷房効率および暖房効率が低下してしまうことを抑制できる。
【0100】
また、高圧側弁本体100と低圧側弁本体200とが、ボルト7によって連結されている。そして、ボルト7が、高圧側弁本体100および低圧側弁本体200より熱伝導率の低い材料で構成されている。このようにすることで、ボルト7を介して高圧側弁本体100と低圧側弁本体200とが熱交換してしまうことを抑制できる。そのため、冷房効率および暖房効率が低下してしまうことを抑制できる。なお、高圧側弁本体100と低圧側弁本体200とは、例えば、高圧側弁本体100および低圧側弁本体200の形状に合わせて作製された金属製または合成樹脂製の固定具などによって、隙間をあけて互いに固定されていてもよい。
【0101】
また、高圧側弁本体100と低圧側弁本体200との間に、スペーサー8が挟まれている。そして、スペーサー8が、高圧側弁本体100および低圧側弁本体200より熱伝導率の低い材料で構成されている。このようにすることで、スペーサー8によって高圧側弁本体100と低圧側弁本体200とが確実に離れて配置され、スペーサー8を介して高圧側弁本体100と低圧側弁本体200とが熱交換してしまうことを抑制できる。そのため、冷房効率および暖房効率が低下してしまうことを抑制できる。
【0102】
また、高圧側弁本体100と低圧側弁本体200とが隙間をあけて配置されている。当該隙間には、高圧側弁本体100の冷媒通路と低圧側弁本体200の冷媒通路とを接続する配管が配置されていない。このようにすることで、配管を介して高圧側弁本体100と低圧側弁本体200とが熱交換してしまうことを抑制できる。そのため、冷房効率および暖房効率が低下してしまうことを抑制できる。
【0103】
また、高圧側弁本体100の高圧側主冷媒通路開口116(高圧側主冷媒通路110)が、圧縮機30の吐出口に接続されている。低圧側弁本体200の低圧側主冷媒通路開口216(低圧側主冷媒通路210)が、圧縮機30の吸入口にアキュムレータ80を介して接続されている。このようにすることで、高圧側弁本体100に高温の冷媒が流れ、低圧側弁本体200に低温の冷媒が流れる。そのため、高温の冷媒が流れる冷媒通路と、低温の冷媒が流れる冷媒通路と、を分離することができる。
【0104】
上述した高圧側弁装置10および低圧側弁装置20は、それが組み込まれる上位装置やシステムの制御装置によって各弁ユニットが制御される。このような構成以外にも、例えば、低圧側弁装置20が制御ユニットを有しており、制御ユニットが上位装置やシステムからのすべての信号を受信して、高圧側弁装置10および低圧側弁装置20の複数の弁ユニットを集中制御してもよい。この構成において、制御ユニットはケースに収容され、低圧側弁装置20の低圧側弁本体200の表面(例えば、背面202)に配置されることが好ましい。このようにすることで、低圧側弁本体200の冷媒通路を流れる比較的低温の冷媒によって制御ユニットの温度上昇を抑制できる。さらに、制御ユニットが、高圧側弁装置10および低圧側弁装置20の各弁ユニットの故障を検知できる機能を備えていてもよい。制御ユニットは、例えば、コイルに通電したときのコイルの電圧に基づいて故障を検知してもよい。制御ユニットが検知した弁ユニットの故障情報を含む信号は上位装置やシステムに送信され、故障した弁ユニットを含む弁装置の交換などのメンテナンスを促すことができる。
【0105】
また、上述した高圧側弁装置10の第1の高圧側開閉弁ユニット300および第2の高圧側開閉弁ユニット400は、電磁力で動作するパイロット式の開閉弁ユニットである。このような開閉弁ユニットは、主弁口が閉じた閉弁状態を維持するために通電が必要である。そして、高圧側弁装置10において、これら開閉弁ユニットに代えて、通電を停止しても開弁状態および閉弁状態を維持するラッチ式の開閉弁ユニットを採用してもよい。低圧側弁装置20においても、ラッチ式の開閉弁ユニットを採用してもよい。
【0106】
上述した高圧側弁装置10は、2つの開閉弁ユニットを有するものであったが、高圧側弁装置10は、3つ以上の弁ユニットを有していてもよい。高圧側弁装置10において、一方の開閉弁ユニットまたは両方の開閉弁ユニットに代えて、冷媒通路の通路面積を無段階(実質的に無段階であることを含む)に変更可能な流量調整弁ユニットを採用してもよい。
【0107】
上述した弁装置組立体5は、2つの弁装置を有するものであったが、弁装置組立体5は、3つ以上の弁装置を有していてもよい。
【0108】
本明細書において、「円筒」や「円柱」等の形状を示す各用語は、実質的にその用語の形状を有する部材や部材の部分にも用いられている。例えば、「円筒形状の部材」は、円筒形状の部材と実質的に円筒形状の部材とを含む。
【0109】
上記に本発明の実施例を説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。前述の実施例に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものや、実施例の特徴を適宜組み合わせたものも、本発明の趣旨に反しない限り、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0110】
1…空調装置、5…弁装置組立体、5A…弁装置組立体、7…ボルト、8…スペーサー、9…ナット、10…高圧側弁装置、20…低圧側弁装置、30…圧縮機、40…室内凝縮器、41…ポンプ、42…ヒーターコア、50…室外熱交換器、60…室内蒸発器、70…バッテリー用蒸発器、80…アキュムレータ、91…第1膨張弁、92…第2膨張弁、93…第3膨張弁、94…逆止弁、100…高圧側弁本体、101…正面、102…背面、103…左側面、104…右側面、107…底面、108…上面、109…貫通孔、110…高圧側主冷媒通路、116…高圧側主冷媒通路開口、200…低圧側弁本体、201…正面、202…背面、203…左側面、204…右側面、207…底面、208…上面、209…ねじ孔、210…低圧側主冷媒通路、216…低圧側主冷媒通路開口、281…蓋体、282…蓋体、300…第1の高圧側開閉弁ユニット、310…第1の高圧側分岐冷媒通路、311…第1の高圧側主弁室、312…第1の高圧側主弁口、313…第1の高圧側主弁座、314…第1の高圧側背圧室、316…第1の高圧側分岐冷媒通路開口、317…第1の高圧側接続開口、320…主弁体、321…胴部、322…大径フランジ部、323…小径フランジ部、325…パイロット通路、326…均圧通路、330…弁体駆動部、331…固定鉄心、331a…大径円筒部、331b…小径円筒部、332…ケース、333…プランジャ、334…電磁コイル、335…パイロット弁体、335a…パイロット弁部、336…弁軸、337…開弁ばね、338…プランジャばね、400…第2の高圧側開閉弁ユニット、410…第2の高圧側分岐冷媒通路、411…第2の高圧側主弁室、412…第2の高圧側主弁口、413…第2の高圧側主弁座、416…第2の高圧側分岐冷媒通路開口、417…第2の高圧側接続開口、420…主弁体、430…弁体駆動部、500…第1の低圧側開閉弁ユニット、510…第1の低圧側分岐冷媒通路、511…第1の低圧側主弁室、512…第1の低圧側主弁口、513…第1の低圧側主弁座、514…第1の低圧側背圧室、515…第1の接続通路、516…第1の低圧側分岐冷媒通路開口、517…第1の低圧側接続開口、521…二段目パイロット弁室、522…二段目パイロット通路、523…二段目パイロット弁座、524…一段目パイロット弁室、525…二段目パイロット弁体、527…一段目パイロット通路、528…一段目均圧通路、529…二段目均圧通路、530…弁体駆動部、531…固定鉄心、531a…大径円筒部、531b…小径円筒部、532…ケース、533…プランジャ、533a…貫通孔、534…電磁コイル、535…一段目パイロット弁体、535a…一段目パイロット弁部、536…ばね受け部材、537…開弁ばね、538…第1プランジャばね、539…第2プランジャばね、540…主弁体、541…胴部、542…大径フランジ部、543…小径フランジ部、546…均圧通路、547…閉弁ばね、600…第2の低圧側開閉弁ユニット、610…第2の低圧側分岐冷媒通路、611…第2の低圧側主弁室、612…第2の低圧側主弁口、613…第2の低圧側主弁座、614…第2の低圧側背圧室、615…第2の接続通路、616…第2の低圧側分岐冷媒通路開口、617…第2の低圧側接続開口、621…二段目パイロット弁室、622…二段目パイロット通路、623…二段目パイロット弁座、629…二段目均圧通路、630…弁体駆動部、640…主弁体、647…閉弁ばね、P10~P16、P20~P22…配管