(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】箱替機
(51)【国際特許分類】
B65G 43/00 20060101AFI20240917BHJP
B65G 69/02 20060101ALI20240917BHJP
B65B 1/06 20060101ALI20240917BHJP
【FI】
B65G43/00 K
B65G69/02
B65B1/06
(21)【出願番号】P 2024060064
(22)【出願日】2024-04-03
【審査請求日】2024-04-03
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】397051689
【氏名又は名称】杉山電機システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉山 良夫
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-085723(JP,U)
【文献】特開昭61-064616(JP,A)
【文献】特開2003-081444(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 43/00-43/10
B65G 47/00-47/96
B65G 69/00-69/34
B65B 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納箱に投入されるワークの数が
第1所定数に到達すると、空きの収納箱に箱替えする箱替機であって、
前記収納箱を搬送する搬送部を有するコンベヤと、
前記搬送部の移動量を検出して電気信号に変換して出力するエンコーダと、
前記収納箱に投入される前記ワークの数が前記
第1所定数に到達すると、投入された前記ワークの数が前記
第1所定数に到達した前記収納箱を前記コンベヤのワーク投入箇所から下流側に送り出すように、且つ新たに投入される前記ワークを投入可能に前記空きの収納箱を上流側から前記ワーク投入箇所に送り込むように前記搬送部を移動させる制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記空きの収納箱を前記上流側から前記ワーク投入箇所に送り込むように前記搬送部を移動させる際の前記搬送部の前記移動量を前記エンコーダから出力される前記電気信号に基づいて算出し、前記算出した前記搬送部の前記移動量が予め記憶している前記搬送部の前記移動量に一致すると、前記移動させている前記搬送部を停止させ
、
前記制御装置は、前記ワーク投入箇所において前記収納箱に前記ワークが投入されている際、
前記収納箱に投入される前記ワークの数が前記第1所定数より少ない第2所定数に到達すると、投入されている前記ワークの落下位置が前記収納箱の内部で前後に所定量だけズレ動くように前記搬送部を正逆転に往復移動させ、
前記所定量は、前記エンコーダから出力される前記電気信号に基づいて前記算出される箱替機。
【請求項2】
請求項1に記載の箱替機であって、
前記制御装置は、予め記憶している前記搬送部の前記移動量および前記所定量を設定可能な入力部を備える箱替機。
【請求項3】
請求項2に記載の箱替機であって、
前記制御装置は、通信回線を介して外部装置に接続可能であり、
予め記憶している前記搬送部の前記移動量および前記所定量は、前記外部装置から前記通信回線を介して設定可能である箱替機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箱替機に関し、詳しくは、収納箱に投入されるワークの数が所定数に到達すると、空きの収納箱に箱替えする箱替機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、収納箱に投入されるワークの数が所定数に到達すると、空きの収納箱に箱替えする箱替機が既に知られている。下記特許文献1には、投入されるワークの数が所定数に到達すると、横送り装置により収納箱をワークの投入箇所から下流側に搬送しつつ、新たに投入されるワークを投入可能に空きの収納箱を上流側から投入箇所に搬送する技術が開示されている。これにより、人手を介することなく収納箱に所定数量ずつワークを収めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
横送り装置が、例えば、チェーンコンベヤの場合を説明する。その場合、搬送チェーンによる収納箱の搬送量は、搬送する収納箱の箱サイズに応じて、予め、チェーンコンベヤの搬送チェーンに取り付けられるドグによる位置制御、もしくはタイマーによる搬送時間制御等で決められる。そのため、収納箱の箱サイズが変更されると、収納箱の搬送量の設定を変更(搬送チェーンに取り付けられるドグの位置を変更、タイマーによる搬送時間を変更等)する作業が必要となっていた。したがって、この変更作業が煩わしいものとなっていた。そこで、収納箱の搬送量の設定を容易に変更可能な箱替機を提供することが求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の1つの特徴において、箱替機は、収納箱に投入されるワークの数が所定数に到達すると、空きの収納箱に箱替えする。箱替機は、コンベヤと、エンコーダと、制御装置を備える。コンベヤは、収納箱を搬送する搬送部を有する。エンコーダは、搬送部の移動量を検出して電気信号に変換して出力する。制御装置は、収納箱に投入されるワークの数が所定数に到達すると、投入されたワークの数が所定数に到達した収納箱をコンベヤのワーク投入箇所から下流側に送り出す。さらに、制御装置は、新たに投入されるワークを投入可能に空きの収納箱を上流側からワーク投入箇所に送り込むように搬送部を移動させる。また、制御装置は、空きの収納箱を上流側からワーク投入箇所に送り込むように搬送部を移動させる際の搬送部の移動量をエンコーダから出力される電気信号に基づいて算出する。そして、制御装置は、算出した搬送部の移動量が予め記憶している搬送部の移動量に一致すると、移動させている搬送部を停止させる。
【0006】
そのため、予め記憶しておく搬送部の移動量を変更するだけで、収納箱の搬送量を変更できる。すなわち、従来技術で説明したような搬送チェーンに取り付けられるドグの位置を変更、タイマーによる搬送時間を変更等の作業が不要である。したがって、収納箱の搬送量の設定を容易に変更できる。
【0007】
本開示の他の特徴において、制御装置は、ワーク投入箇所において収納箱にワークが投入されている際、投入されているワークの落下位置が収納箱の内部で前後に所定量だけズレ動くように搬送部を正逆転に往復移動させる。所定量は、エンコーダから出力される電気信号に基づいて算出される。
【0008】
そのため、収納箱にワークが投入されている際、収納箱の内部でワークを前後に散らす(行き亘らせる)ことができる。したがって、収納箱に多くのワークを投入できる。
【0009】
本開示の他の特徴において、制御装置は、予め記憶している搬送部の移動量または所定量を設定可能な入力部を備える。そのため、これら移動量または所定量の設定を入力部により簡便に実施できる。
【0010】
本開示の他の特徴において、制御装置は、通信回線を介して外部装置に接続可能である。予め記憶している搬送部の移動量または所定量は、外部装置から通信回線を介して設定可能である。そのため、外部装置から通信回線を介して各種の設定をできる。すなわち、設定パネルの入力部で行う各種の設定を遠隔から実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図5】
図1の箱替機のチェーンコンベヤの主要部の斜視図である。
【
図6】
図1の箱替機の電気的構成を示すブロック図である。
【
図7】
図1の箱替装置の一連の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施形態に係る箱替機1を、
図1~18を参照して説明する。以下の説明にあたって、上下、前後、左右は、各図に示す上下、前後、左右の向きである。
図1に示すように、箱替機1は、収納箱6に投入されるワーク7の数が所定数(箱入れ数のことであり、この例では、100)に到達すると、空きの収納箱6に自動で箱替えする機械である。
【0013】
はじめに、
図1~6を参照して、箱替機1を説明する。
図1~2に示すように、箱替機1は、床フロア(図示しない)に対して平行なベース2と、ベース2に対して直交する支柱4を備える。支柱4は、ベース2の後部から上方に突出するように備えられる。以下に、これらベース2と、支柱4を個別に説明する。
【0014】
まず、
図1~5を参照して、ベース2を説明する。
図1~2に示すように、ベース2は、ベース本体10と、ベース本体10を床フロアに対して移動させる4個のキャスタ11を備える。ベース本体10は、左右一対のサイドフレーム12と、左右一対のサイドフレーム12の前部を橋渡すフロントフレーム(図示しない)と、一対のサイドフレーム12の後部を橋渡すリヤフレーム(図示しない)を備える。
【0015】
図1~2に示すように、4個のキャスタ11は、左のサイドフレーム12の前部と後部および右のサイドフレーム12の前部と後部にそれぞれ備えられる。この4個のキャスタ11により、箱替機1は床フロア上を自由に移動できる。ベース2は、コンベヤの一例であるチェーンコンベヤ3を備える。
【0016】
図5に示すように、チェーンコンベヤ3は、両端(左端、右端)にそれぞれ主スプロケット21が固着された前後2本の回転軸20と、左の前後の主スプロケット21および右の前後の主スプロケット21にそれぞれ無端状に掛け渡された搬送チェーン22を備える。前側の回転軸20は、フロントフレームに回転可能に支持されている。同様に、後側の回転軸20は、リヤフレームに回転可能に支持されている。
【0017】
なお、説明の便宜上、前後2本の回転軸20のうち、前側の回転軸20を駆動軸20と記す。駆動軸20は、軸方向の中央の左寄りにおいて、補助スプロケット23を備える。同様に、駆動軸20は、軸方向の中央の右寄りにおいて、タイミングプーリ24を備える。フロントフレームは、駆動機構25を備える。駆動機構25は、モータ26と、モータ26と一体を成す減速機27を備える。
【0018】
図5に示すように、減速機27は、ブラケット29を介してフロントフレームに固定される。減速機27の出力軸27aは、スプロケット27bを備える。補助スプロケット23とスプロケット27bには、駆動チェーン28が無端状に掛け渡されている。そのため、モータ26が駆動(正転または逆転)すると、駆動チェーン28、駆動軸20を介して搬送チェーン22が移動(前に移動(進出)または後に移動(退行))する。
【0019】
図5に示すように、フロントフレームは、例えば、インクリメンタル式のロータリエンコーダ30を備える。ロータリエンコーダ30は、ブラケット32を介してフロントフレームに固定される。ロータリエンコーダ30の検出軸30aは、タイミングプーリ30bを備える。タイミングプーリ24とタイミングプーリ30bには、タイミングベルト31が無端状に掛け渡されている。これらタイミングプーリ24とタイミングプーリ30bとタイミングベルト31を使用することにより、動力伝達の際のベルトのスリップを防止できる。
【0020】
そのため、モータ26の駆動にともない駆動軸20が回転すると、タイミングベルト31を介してロータリエンコーダ30の検出軸30aも回転する。その際、ロータリエンコーダ30は、検出軸30aの回転方向と回転変位量を検出して電気信号(パルス)に変換して出力する。
【0021】
なお、予め、搬送チェーン22の移動量(収納箱6の搬送量)とロータリエンコーダ30が出力する電気信号は対応付けられている。例えば、搬送チェーン22が「1cm」、「10cm」、「60cm」移動すると、ロータリエンコーダ30から「1パルス」、「10パルス」、「60パルス」の電気信号(「1個のパルス」、「10個のパルス」、「60個のパルス」)が出力される。
【0022】
図2に示すように、ベース本体10の前寄り位置に設けられワーク7が投入される位置であるワーク投入箇所は、箱検出スイッチ33を備える。箱検出スイッチ33は、空きの収納箱6をチェーンコンベヤ3の上流側からワーク投入箇所に送り込んだことを検出するためのスイッチである。箱検出スイッチ33は、ベース本体10に揺動可能に組み付けられたアーム33aと、アーム33aの先端に回転可能に組み付けられたローラ33bを備える。
【0023】
図2に示すように、チェーンコンベヤ3の上流側から送り込まれた空きの収納箱6がワーク投入箇所(後述するホッパ40の下方の位置)に到達すると、到達した空きの収納箱6の下面にローラ33bと共にアーム33aが下方に押されて揺動する。すると、アーム33aの近傍に設けられたスイッチ(図示しない)が動作する。これにより、空きの収納箱6がワーク投入箇所に到達したことを検出できる。
【0024】
図1~2に示すように、ベース本体10は、ワーク投入箇所における収納箱6の上方にホッパ40を備える。ホッパ40は、上開口41と下開口42が連通するダクト状の部材である。ホッパ40は、下開口42の下部にシャッタ部材43を備える。シャッタ部材43は、ホッパ40の下開口42の縁に取り付けられた矩形状のベース43aと、ベース43aに沿ってスライドするシャッタ43bと、シャッタ43bをスライドさせるシャッタシリンダ43cと、センサ44を備える。
【0025】
図1に示すように、シャッタシリンダ43cの動作によりシャッタ43bがスライド(進出または退行)すると、ホッパ40の下開口42を開閉(閉塞または開放)できる。そのため、ホッパ40からワーク7が収納箱6に過剰に投入されることを防止できる。センサ44は、ホッパ40に順次投入されるワーク7を検出できる。ホッパ40は、略コ字形状の架台45により、ワーク投入箇所における収納箱6の上方に設けられる。
【0026】
次に、
図1~5を参照して、支柱4を説明する。
図3に示すように、支柱4は、支柱本体50と、支柱本体50の下部の後面に取り付けられた制御装置60を備える。支柱本体50は、収納箱6を掴む把持部51を備える。把持部51は、支柱本体50に対して上下方向に沿って昇降する昇降ベース52と、昇降ベース52に対して左右方向に沿って同期してスライドする一対のスライドベース53と、一対のスライドベース53にそれぞれ固着されたクランプアーム54を備える。
【0027】
なお、この同期してスライドするとは、一対のスライドベース53が同時に遠ざかるまたは近づく方向にスライドする、という意味合いである。なお、以下の説明では、単に、スライドとする。このように一対のスライドベース53にクランプアーム54がそれぞれ固着されていると、クランプアーム54も一対を成すこととなる。そのため、一対のスライドベース53をスライドさせると、一対のクランプアーム54が収納箱6の左右の側面をそれぞれ押し当てる。したがって、一対のクランプアーム54が収納箱6を掴むことができる。
【0028】
その際、収納箱6の開口6aの縁に形成されたフランジ6bの直下を一対のクランプアーム54が掴むように昇降ベース52の高さ位置が設定されている。そのため、収納箱6のフランジ6bが一対のクランプアーム54に下支えされる。したがって、一対のクランプアーム54が掴んだ収納箱6が下方に抜け落ちることを防止できる。また、支柱本体50は、昇降ベース52の駆動源である第1シリンダ55と、一対のスライドベース53の駆動源である第2シリンダ56を備える。
【0029】
ここで、
図6を参照して箱替機1の電気的な構成であるブロック図を説明する。制御装置60は、モータ26と、ロータリエンコーダ30と、箱検出スイッチ33とシャッタシリンダ43cと、センサ44と、第1シリンダ55および第2シリンダ56に電気的に接続されている。そのため、制御装置60は、箱検出スイッチ33により、空きの収納箱6をチェーンコンベヤ3の上流側からワーク投入箇所に搬送されたことを検出できる。
【0030】
また、制御装置60は、シャッタシリンダ43cにより、シャッタ43bをスライドできる。また、制御装置60は、センサ44により、ホッパ40に順次投入されるワーク7の数を計数(カウント)できる。また、制御装置60は、CPU回路61と、記憶部62および設定パネル63を備える。
【0031】
CPU回路61は、リバーシブルカウンタ61aと、一致判別回路61bと、モータ駆動回路61cを備える。リバーシブルカウンタ61aには、ロータリエンコーダ30から出力される電気信号が入力され計数(カウント)される。例えば、搬送チェーン22の移動量(収納箱6の搬送量)が「60cm」である場合、ロータリエンコーダ30から「60パルス」の電気信号が出力されるため、リバーシブルカウンタ61aは、「数値60」を計数する。
【0032】
一致判別回路61bは、リバーシブルカウンタ61aで計数された数値が、予め記憶部62に記憶の搬送チェーン22の移動量と一致したか否かを判別する。例えば、搬送チェーン22の移動量(収納箱6の搬送量)が「60cm」であることを一致判別回路61bが判別したい場合、予め記憶部62に搬送チェーン22の移動量として「数値60」を記憶させておく。そして、一致判別回路61bは、リバーシブルカウンタ61aが計数した数値が、予め記憶部62に記憶の搬送チェーン22の移動量に到達すると、搬送チェーン22が所望量移動した(収納箱6が所望量搬送された)と判別する。
【0033】
モータ駆動回路61cは、搬送チェーン22を移動させるモータ26を駆動させる回路である。例えば、搬送チェーン22を「60cm」移動(収納箱6を「60cm」搬送)させたい場合、予め記憶部62に「数値60」を記憶させておく。モータ26の駆動による搬送チェーン22の移動にともない、ロータリエンコーダ30から電気信号が出力されリバーシブルカウンタ61aが計数する。
【0034】
搬送チェーン22の移動量の増加にともない、ロータリエンコーダ30から出力される電気信号量が増加して、リバーシブルカウンタ61aの計数量も増加する。やがて、搬送チェーン22の移動量が「60cm」に到達すると、リバーシブルカウンタ61aの計数が「数値60」となる。したがって、一致判別回路61bは、搬送チェーン22が所望量移動したと判別するため、モータ駆動回路61cはモータ26を停止させる。
【0035】
図3、7に示すように、制御装置60は、支柱本体50の上部の後面に設定パネル63を備える。設定パネル63は、ホッパ40に投入されるワーク7の数を表示可能な表示部63aと、各種の設定(例えば、チェーンコンベヤ3の上流側からワーク投入箇所に搬送する収納箱6の搬送量の設定)をするための入力部63bを備える。表示部63aは、例えば、デジタル数字を表示可能である。入力部63bは、例えば、テンキーを備える。入力部63bから行われた各種の設定は、記憶部62に記憶される。
【0036】
設定パネル63は、支柱本体50の上部の後面に取り付けられるため、作業者の目線位置(図示しない)と設定パネル63の高さ位置が近くなる。そのため、作業者による各種の設定の作業がし易いものとなる。
図6に示すように、制御装置60は、通信回線71を介して外部装置70に接続されている。外部装置70は、制御装置60の設定パネル63の機能を備える。
【0037】
そのため、外部装置70から通信回線71を介して各種の設定をできる。すなわち、設定パネル63の入力部63bで行う各種の設定を遠隔から実施できる。ホッパ40の上流側には、プレス装置(図示しない)が配置されている。プレス装置では、素材(図示しない)がプレスされワーク7が連続して成形される。連続して成形されたワーク7は、ホッパ40に順次投入される。
【0038】
続いて、
図7~18を参照して、箱替機1の一連の動作を説明する。以下の説明にあたって、
図7に示すように、シャッタシリンダ43cが退行してホッパ40の下開口42が開放されており、ワーク投入箇所にある収納箱6にワーク7が「96個」投入された状態から説明する。また、空きの収納箱6は、チェーンコンベヤ3の上流側に3段積みされている状態から説明する。また、空きの収納箱6の搬送に要する搬送チェーン22の移動量が「60cm」に設定されている場合を説明する。
【0039】
図7に示す状態から、プレス装置で成形されたワーク7が上開口41からホッパ40に投入される。すると、ホッパ40に投入されたワーク7がセンサ44により検出されるため、検出されたワーク7が制御装置60により計数(カウント)され設定パネル63の表示部63aに表示される(
図8参照)。この場合、1個のワーク7が検出されたため、表示部63aには、「97」が表示される。
【0040】
次に、
図8に示す状態から、さらに、プレス装置で成形されたワーク7が上開口41からホッパ40に投入される。すると、同様に、ホッパ40に投入されたワーク7がセンサ44により検出されるため、検出されたワーク7が制御装置60により計数(カウント)され設定パネル63の表示部63aに表示される。この場合、1個のワーク7が検出されたため、表示部63aには、「98」が表示される(
図9参照)。
【0041】
その際、残り2個で所定数(箱入れ数である100)に到達するため、予備動作が行われる。この予備動作として、制御装置60は、一対のスライドベース53(一対のクランプアーム54)が互いに遠ざかるように(開くように)第2シリンダ56を作動させる。
【0042】
次に、
図9に示す状態から、制御装置60は、一対のスライドベース53が開いた状態のまま昇降ベース52が上昇するように第1シリンダ55を作動させる(
図10参照)。次に、
図10に示す状態から、さらに、プレス装置で成形されたワーク7が上開口41からホッパ40に投入される。すると、同様に、ホッパ40に投入されたワーク7がセンサ44により検出されるため、検出されたワーク7が制御装置60により計数(カウント)され設定パネル63の表示部63aに表示される。
【0043】
この場合、1個のワーク7が検出されたため、表示部63aには、「99」が表示される(
図11参照)。その際、別の予備動作が行われる。この別の予備動作として、制御装置60は、一対のクランプアーム54が下から2段目(以降において、単に、「2段目」と記す)の空きの収納箱6を掴むように(一対のスライドベース53が互いに近づくように)第2シリンダ56を作動させる。そして、一対のクランプアーム54が2段目の収納箱6を掴んだ状態のまま昇降ベース52が上昇する。これにより、2段目と3段目の空きの収納箱6が持ち上げられる。
【0044】
次に、
図11に示す状態のまま、箱入れ数に到達するまで、昇降ベース52が上昇した状態を保持する(
図12参照)。次に、
図12に示す状態から、さらに、プレス装置で成形されたワーク7が上開口41からホッパ40に投入される。すると、同様に、ホッパ40に投入されたワーク7がセンサ44により検出されるため、検出されたワーク7が制御装置60により計数(カウント)され設定パネル63の表示部63aに表示される。
【0045】
この場合、1個のワーク7が検出されたため、表示部63aには、「0」が表示される(
図13参照)。これにより、制御装置60は、箱入れ数に到達したことを認識できる。そのため、制御装置60は、投入されたワーク7がホッパ40を通過して収納箱6に投入された後にシャッタ部材43のシャッタ43bが進出するようにシャッタシリンダ43cを作動させる。したがって、ホッパ40の下開口42が閉塞される。
【0046】
次に、
図13に示す状態から、制御装置60は、モータ駆動回路61cによりモータ26を正転方向に駆動させる。そのため、搬送チェーン22が前に移動するため収納箱6の搬送が開始する(
図14参照)。すなわち、箱入れ数(所定数)に到達したワーク投入箇所にある収納箱6がローラコンベヤ5に搬送される。なお、ワーク投入箇所にある収納箱6が搬送されると、箱検出スイッチ33のアーム33aが上方にばね(図示しない)の付勢力により戻される。同時に、チェーンコンベヤ3の上流側にある1段目の空きの収納箱6もワーク投入箇所に向けて搬送される。
【0047】
その際、引き続いて、プレス装置で成形されたワーク7が上開口41からホッパ40に投入される。すると、同様に、ホッパ40に投入されたワーク7がセンサ44により検出されるため、検出されたワーク7が制御装置60により計数(カウント)され設定パネル63の表示部63aに表示される。この場合、1個のワーク7が検出されたため、表示部63aには、「1」が表示される(
図15参照)。なお、ホッパ40の下開口42が閉塞されているため、投入されたワーク7はホッパ40の下開口42から落下することなくホッパ40内に留まった状態である。
【0048】
また、搬送チェーン22が前に移動することにより、ロータリエンコーダ30から電気信号が出力される。やがて、制御装置60の一致判別回路61bが搬送チェーン22の移動量が「60cm」に到達したと判別する。すると、モータ駆動回路61cはモータ26を停止させる。これにより、箱入れ数に到達した収納箱6(ワーク7が「100個」収納された収納箱6)はローラコンベヤ5に乗り移る(
図16参照)。乗り移った収納箱6は、出荷先へ搬送される。
【0049】
また、チェーンコンベヤ3の上流側から搬送された空きの収納箱6はワーク投入箇所に到達している。その際、到達した空きの収納箱6により箱検出スイッチ33が作動する。そのため、制御装置60は、シャッタ部材43のシャッタ43bが退行するようにシャッタシリンダ43cを作動させる。したがって、ホッパ40の下開口42が開放されるため、ホッパ40内に留まっていたワーク7が新たな収納箱6(空きの収納箱6)に投入される。
【0050】
次に、
図16に示す状態から、引き続き、プレス装置で成形されたワーク7が上開口41からホッパ40に投入される。すると、同様に、ホッパ40に投入されたワーク7がセンサ44により検出されるため、検出されたワーク7が制御装置60により計数(カウント)され設定パネル63の表示部63aに表示される。この場合、1個のワーク7が検出されたため、表示部63aには、「2」が表示される(
図17参照)。これと同時に、制御装置60は、昇降ベース52が下降するように第1シリンダ55を作動させる。
【0051】
次に、
図17に示す状態から、引き続き、プレス装置で成形されたワーク7が上開口41からホッパ40に投入される。すると、同様に、ホッパ40に投入されたワーク7がセンサ44により検出されるため、検出されたワーク7が制御装置60により計数(カウント)され設定パネル63の表示部63aに表示される。この場合、1個のワーク7が検出されたため、表示部63aには、「3」が表示される(
図18参照)。以降、プレス装置で成形されたワーク7のホッパ40への投入が繰り返され、やがて、表示部63aに「96」が表示されると(ワーク投入箇所にある収納箱6にワーク7が「96個」投入されると)、
図7に戻って、上述した一連の動作を繰り返す。
【0052】
なお、制御装置60は、ワーク投入箇所において収納箱6にワーク7が投入されている際、投入されているワーク7の落下位置が収納箱6の内部で前後に所定量(例えば、「10cm」)だけズレ動くように搬送チェーン22を正逆転に往復移動させてもよい。例えば、ワーク投入箇所にある収納箱6にワーク7が「30個」投入されると、収納箱6を前に「10cm」移動させる。その後に、同「60個」投入されると、収納箱6を後に「20cm」移動させる。その後に、同「90個」投入されると、収納箱6を前に「10cm」移動させる。このように収納箱6が移動するように、制御装置60はモータ駆動回路61cによりモータ26を駆動させる。
【0053】
この場合でも、ズレ動く前後の所定量は、搬送チェーン22の移動量の設定と同様に、制御装置60の設定パネル63の入力部63bから入力させ記憶部62に記憶させる。また、この場合でも、ズレ動く前後の所定量は、ロータリエンコーダ30から出力される電気信号に基づいて算出される。
【0054】
実施形態に係る箱替機1は、上述したように構成されている。この構成によれば、箱替機1は、チェーンコンベヤ3と、ロータリエンコーダ30と、制御装置60を備える。チェーンコンベヤ3は、収納箱6を搬送する搬送チェーン22を有する。ロータリエンコーダ30は、搬送チェーン22の移動量を検出して電気信号に変換して出力する。制御装置60は、収納箱6に投入されるワーク7の数が所定数に到達すると、投入されたワーク7の数が所定数に到達した収納箱6をチェーンコンベヤ3のワーク投入箇所から下流側に送り出す。さらに、制御装置60は、新たに投入されるワーク7を投入可能に空きの収納箱6を上流側からワーク投入箇所に送り込むように搬送チェーン22を移動させる。そして、制御装置60は、空きの収納箱6を上流側からワーク投入箇所に送り込むように搬送チェーン22を移動させる際の搬送チェーン22の移動量をロータリエンコーダ30から出力される電気信号に基づいて算出する。制御装置60は、算出した搬送チェーン22の移動量が予め記憶している搬送チェーン22の移動量に一致すると、移動させている搬送チェーン22を停止させる。
【0055】
そのため、予め記憶しておく搬送チェーン22の移動量を変更するだけで、収納箱6の搬送量を変更できる。すなわち、従来技術で説明したような搬送チェーンに取り付けられるドグの位置を変更、タイマーによる搬送時間を変更等の作業が不要である。したがって、収納箱6の搬送量の設定を容易に変更できる。
【0056】
また、この構成によれば、制御装置60は、ワーク投入箇所において収納箱6にワーク7が投入されている際、投入されているワーク7の落下位置が収納箱6の内部で前後に所定量だけズレ動くように搬送チェーン22を正逆転に往復移動させる。所定量は、ロータリエンコーダ30から出力される電気信号に基づいて算出される。そのため、収納箱6にワーク7が投入されている際、収納箱6の内部でワーク7を前後に散らす(行き亘らせる)ことができる。したがって、収納箱6に多くのワーク7を投入できる。
【0057】
また、この構成によれば、制御装置60は、予め記憶している搬送チェーン22の移動量または所定量を設定可能な入力部63bを備える。そのため、これら移動量または所定量の設定を入力部63bにより簡便に実施できる。
【0058】
また、この構成によれば、制御装置60は、通信回線71を介して外部装置70に接続可能である。予め記憶している搬送チェーン22の移動量または所定量は、外部装置70から通信回線71を介して設定可能である。そのため、外部装置70から通信回線71を介して各種の設定をできる。すなわち、設定パネル63の入力部63bで行う各種の設定を遠隔から実施できる。
【0059】
実施形態を上記構造を参照して説明したが、本発明の目的を逸脱せずに多くの交代、改良、変更が可能であることは当業者であれば明らかである。したがって、実施形態は、添付された請求項の精神と目的を逸脱しない全ての交代、改良、変更を含み得る。例えば、実施形態は、特別な構造に限定されず、下記のように変更が可能である。
【0060】
実施形態では、コンベヤの例として、チェーンコンベヤ3を説明した。これに替えて、コンベヤがベルトコンベヤでも構わない。箱替機1において、収納箱6に投入されるワーク7の数が所定数は、100に限定されることなく、いくつでも構わない。
【符号の説明】
【0061】
1 箱替機
6 収納箱
7 ワーク
3 チェーンコンベヤ(コンベヤ)
22 搬送チェーン(搬送部)
30 ロータリエンコーダ(エンコーダ)
60 制御装置
63b 入力部
70 外部装置
71 通信回線
【要約】
【課題】収納箱の搬送量の設定を容易に変更可能な箱替機を提供すること。
【解決手段】箱替機は、収納箱6に投入されるワーク7の数が所定数に到達すると、空きの収納箱6に箱替えする。箱替機1の制御装置60は、空きの収納箱6を上流側からワーク投入箇所に送り込むように搬送部22を移動させる際の搬送部22の移動量をエンコーダから出力される電気信号に基づいて算出する。そして、制御装置60は、算出した搬送部22の移動量が予め記憶している搬送部22の移動量に一致すると、移動させている搬送部22を停止させる。
【選択図】
図2