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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】頭部支持装置
(51)【国際特許分類】
   A45D 44/02 20060101AFI20240917BHJP
【FI】
A45D44/02 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2024542991
(86)(22)【出願日】2024-02-02
(86)【国際出願番号】 JP2024003518
【審査請求日】2024-07-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000108672
【氏名又は名称】タカラベルモント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100174425
【弁理士】
【氏名又は名称】水崎 慎
(74)【代理人】
【識別番号】100203932
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 克宗
(72)【発明者】
【氏名】高田 知明
(72)【発明者】
【氏名】安藤 正美
(72)【発明者】
【氏名】峯瀬 拓也
【審査官】高橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-77378(JP,A)
【文献】特開2010-178980(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 44/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施術者の頭部を支持するためにシャンプーボウルの縁に着脱される頭部支持装置であって、
前記シャンプーボウルの縁に取り付けられる基台部と、
前記基台部の上に連結構造で連結された揺動部と、を有し、
前記揺動部が、
被施術者の後頭部又は後頭部近傍に当接する第一当接部と、
前記第一当接部に対して前記シャンプーボウルの内側と反対側において上側に立ち上がった突状支持部と、
前記突状支持部の上端部側から取り付けられて前記突状支持部を内側に収め、外側が被施術者の頸部又は頸部近傍に当接する第二当接部と、を有し、
前記第二当接部の内側に、前記突状支持部の上端部の全体を遮蔽する揺動空間が形成され、
前記揺動部が、前記基台部に対して、前記シャンプーボウルの内側又は外側に向けて揺動し、前記第二当接部が、前記突状支持部の上端部を支点として、前記突状支持部に対して前記シャンプーボウルの内側又は外側に向けて揺動する、
ことを特徴とする頭部支持装置。
【請求項2】
前記揺動空間が、前記突状支持部の上端部が当たる内側被支持部から下側に向かうにしたがって、前記第二当接部が揺動する方向に徐々に広がっている、
ことを特徴とする請求項1に記載された頭部支持装置。
【請求項3】
前記第二当接部が、前記突状支持部の上端部に載せられて着脱自在である、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載された頭部支持装置。
【請求項4】
前記突状支持部が、前記第二当接部が揺動する方向と交差した左右側方に一対で構成され、
前記第二当接部が、前記突状支持部同士の間において窪んでいる
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載された頭部支持装置。
【請求項5】
前記連結構造が、
前記揺動部が揺動する方向に伸びて左右に一対で構成されたレール部と、
左右に一対で構成されてそれぞれの前記レール部に連結された軸部と、から構成された、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載された頭部支持装置。
【請求項6】
前記軸部が、前記レール部同士の内側から前記レール部を通って外側に向けて左右側方に突出した
ことを特徴とする請求項に記載された頭部支持装置。
【請求項7】
前記第二当接部が、
被施術者の首を通すために前記シャンプーボウルの縁に形成された凹状の首載置空間を塞ぐカバー部を有する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載された理美容装置。
【請求項8】
被施術者が利用する施術台と、
前記施術台の背もたれ部の後側に配置された前記シャンプーボウルと、
前記シャンプーボウルに取り付けられた請求項1又は請求項2に記載された頭部支持装置と、を有する、
ことを特徴とする理美容装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、シャンプーボウルに着脱されて被施術者の頭部を支持する頭部支持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ヘアサロン等の理美容施設には、シャンプーやスカルプマッサージ等の施術に用いられる装置として、例えば、下記特許文献1に記載された可搬式のシャンプーボウルがある。このシャンプーボウルには、被施術者の頭部を支持するための頭部支持器具が取り付けられている。
【0003】
頭部支持器具は、左右一対の柱状の部材の間に、被施術者の後頭部を支持するための部材(特許文献1でいう頭部支持基部)が回転軸を介して吊り下げられ、この頭部支持基部の間に、被施術者の頸部を支持するための部材(特許文献1でいう頸部載置部)が回転軸を介して吊り下げられている。被施術者の頭部が頭部支持器具に置かれると、頭部の姿勢に応じて、両部材が二つの回転軸を介して揺動する。したがって、頭部支持器具は、被施術者の姿勢に柔軟に適応する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-77378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記した頭部支持器具は、各部材(頭部支持基部及び頸部載置部)を吊り下げている部位が、被施術者の頭部の周囲において露出していることから、施術者が被施術者の後頭部や襟足を触る際に干渉し、施術の妨げとなる。また、回転軸の清掃も煩雑である。
【0006】
本開示は、上記の実情に鑑みて提案されたものであり、施術の妨げとならない構造であり、かつ、清掃が容易な頭部支持装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本開示に係る頭部支持装置は、被施術者の頭部を支持するためにシャンプーボウルの縁に着脱される頭部支持装置であって、前記シャンプーボウルの縁に取り付けられる基台部と、前記基台部の上に連結構造で連結された揺動部と、を有し、前記揺動部が、後頭部又は後頭部近傍に当接する第一当接部と、前記第一当接部に対して前記シャンプーボウルの内側と反対側において上側に立ち上がった突状支持部と、前記突状支持部の上端部側から取り付けられて前記突状支持部を内側に収め、外側が頸部又は頸部近傍に当接する第二当接部と、を有し、前記揺動部が、前記基台部に対して、前記シャンプーボウルの内側又は外側に向けて揺動し、前記第二当接部が、前記突状支持部の上端部を支点として、前記シャンプーボウルの内側又は外側に向けて揺動する、ことを特徴とする。
【0008】
本開示に係る頭部支持装置は、前記第二当接部が、前記突状支持部の上端部に載せられて着脱自在である、ことを特徴とする。
【0009】
本開示に係る頭部支持装置は、前記突状支持部が、前記第二当接部が揺動する方向と交差した左右側方に一対で構成され、前記第二当接部が、前記突状支持部同士の間において窪んでいる、ことを特徴とする。
【0010】
本開示に係る頭部支持装置は、前記連結構造が、前記揺動部が揺動する方向に伸びて左右に一対で構成されたレール部と、左右に一対で構成されてそれぞれの前記レール部に連結された軸部と、から構成された、ことを特徴とする。
【0011】
本開示に係る頭部支持装置は、前記軸部が、前記レール部同士の内側から前記レール部を通って外側に向けて左右側方に突出した、ことを特徴とする。
【0012】
本開示に係る頭部支持装置は、前記第二当接部が、被施術者の首を通すために前記シャンプーボウルの縁に形成された凹状の首載置空間を塞ぐカバー部を有する、ことを特徴とする。
【0013】
本開示に係る理美容装置は、被施術者が利用する施術台と、前記施術台の背もたれ部の後側に配置された前記シャンプーボウルと、前記シャンプーボウルに取り付けられた請求項1又は請求項2に記載された頭部支持装置と、を有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本開示に係る頭部支持装置は、被施術者の頭部を支持するためにシャンプーボウルの縁に着脱されるものであって、シャンプーボウルの縁に取り付けられる基台部と、基台部の上に連結構造で連結された揺動部とを有し、揺動部が、後頭部又は後頭部近傍に当接する第一当接部と、第一当接部に対してシャンプーボウルの内側と反対側において上側に立ち上がった突状支持部と、この突状支持部の上端部側から取り付けられて突状支持部を内側に収め、外側が頸部又は頸部近傍に当接する第二当接部とを有し、揺動部が、基台部に対して、シャンプーボウルの内側又は外側に向けて揺動し、第二当接部が、突状支持部の上端部を支点として、シャンプーボウルの内側又は外側に向けて揺動する。第二当接部は、突状支持部の上端部を支点として、振り子のように揺動運動をするものであり、突状支持部は、第二当接部の内側に収まっているため、第二当接部の揺動が実現しつつ、揺動運動の支点が遮蔽されている。すなわち、頭部支持装置は、揺動運動の支点となる突状支持部の上端部ごと突状支持部の全体が遮蔽されていることから、施術の妨げとならない構造であるうえ、湯水や施術用の薬液が付着せず、清掃が容易である。また、一般的に、横方向に伸びた棒等を回転軸とした場合、棒を支持するための構造の分だけ、横方向に嵩張るが、本開示は、上側に伸びた突状支持部の上端部を揺動運動の支点としていることから、横方向に嵩張ることが無く、小型となる。更に、第二当接部の揺動と、揺動部の揺動とによって、頭部支持装置は、被施術者の頭部の姿勢に適応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本開示の実施形態に係る頭部支持装置が取り付けられたシャンプーボウルを有する理美容装置の非施術状態の斜視図である。
図2図2は、本開示の実施形態に係る頭部支持装置が取り付けられたシャンプーボウルを有する理美容装置の施術状態の斜面図である。
図3図3は、本開示の実施形態に係る頭部支持装置の斜視図である。
図4図4は、本開示の実施形態に係る頭部支持装置の分解斜視図である。
図5図5は、本開示の実施形態に係る頭部支持装置の前面図である。
図6図6は、本開示の実施形態に係る頭部支持装置の側面図である。
図7図7は、図5のVII-VII断面であって、本開示の実施形態に係る頭部支持装置の側面断面図である。
図8図8は、図7と同一の断面において姿勢が異なるものであって、本開示の実施形態に係る頭部支持装置の側面断面図である。
図9図9は、本開示の実施形態に係る頭部支持装置であって、カバー部材が取り付けられた状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示に係る頭部支持装置は、第二当接部が、突状支持部の上端部に載せられて着脱自在である。すなわち、第二当接部が突状支持部の上端部に載せられただけの簡便な構造である。第二当接部が容易に着脱できることから、清掃のための着脱の煩わしさも無い。
【0017】
本開示に係る頭部支持装置は、突状支持部が、第二当接部が揺動する方向と交差した左右側方に一対で構成され、第二当接部が、突状支持部同士の間において窪んでいる。被施術者の頭部は、突状支持部の間に渡されて窪んだ第二当接部に支持されるため、頭部の姿勢が安定する。特に、第二当接部が窪んだ分だけ、頭部が、揺動運動の支点となる突状支持部の上端部よりも下側に配置されることになるため、頭部の姿勢が安定する。
【0018】
本開示に係る頭部支持装置は、連結構造が、揺動部が揺動する方向に伸びて左右に一対で構成されたレール部と、左右に一対で構成されてそれぞれのレール部に連結された軸部とから構成されている。第二当接部が、突状支持部の上端部という「点」を支点として揺動するのに対して、揺動部は、レール部という「線」に沿って揺動する。したがって、第一当接部は、揺動部がレール部に沿って揺動することで、角度を変えながら振り子のように前後方向に向けて揺動し、上下方向にも変位し、なおかつ、第二当接部が揺動する。よって、頭部支持装置は、被施術者の頭部の姿勢に適応することができる。レール部と軸部であれば、連結構造は簡便である。
【0019】
本開示に係る頭部支持装置は、軸部が、レール部同士の内側からレール部を通って外側に向けて左右側方に突出している。したがって、軸部がレール部の外側からレール部に通された場合と比較して、連結構造は、横方向に嵩張ることが無く、小型となる。よって、頭部支持装置は、施術の妨げとならない構造である。
【0020】
本開示に係る頭部支持装置は、第二当接部が、被施術者の首を通すためにシャンプーボウルの縁に形成された凹状の首載置空間を塞ぐカバー部を有している。小型である分、首載置空間の隙間が広くなるが、カバー部によって隙間が遮蔽される。また、頭部支持装置の大きさに関わらず、そもそも首載置空間が広い場合であっても、カバー部によって隙間が遮蔽される。よって、首載置空間の隙間から湯水が飛散することが抑止される。
【0021】
本開示に係る理美容装置は、被施術者が利用する施術台と、施術台の背もたれ部の後側に配置されたシャンプーボウルと、シャンプーボウルに取り付けられた上記の頭部支持装置とを有している。よって、上記した頭部支持装置と同様の効果を奏する。
【0022】
以下、本開示の実施形態に係る頭部支持装置を図面に基づいて説明する。図1及び2には、本実施形態に係る頭部支持装置8が備えられた理美容装置1が示されている。図1には、シャンプーボウル9による施術が実行される前の状態が示され、図2には、シャンプーボウル9による施術が可能な状態が示されている。
【0023】
図1及び2に示されているとおり、理美容装置1は、被施術者(図示省略)が利用する施術台2と、この施術台2の後方に配置されて被施術者の頭部が置かれるシャンプーボウル9とを有している。施術台2は、被施術者が横たわるシート部3と、このシート部3を下から支持した昇降部4とを有している。シート部3は、被施術者が座る座部5と、この座部5の前方に連結されて被施術者の脚が載せられる脚置き部6と、座部5の後方に連結されて被施術者の上半身が載せられる背もたれ部7とを有している。シート部3は、座部5の左右側に配置されて被施術者の腕が載せられる肘置き部(図示省略)を有している場合もある。施術台2は、昇降部4が稼働して上下に伸縮することで、シート部3が昇降し、また、背もたれ部7が倒れ又は起きることでシート部3の角度が変化する。背もたれ部7が倒れると、シート部3は、水平又は概ね水平となる。施術台2の姿勢は、施術者(図示省略)に操作されることで、任意に変化するし、また、予め決定された姿勢に、自動的に変化する。
【0024】
シャンプーボウル9は、被施術者が、シート部3に仰向けに横たわった状態で頭部を置き、施術を受けるためのものである。施術者は、シャンプーボウル9の後側又は左右側に立ち(又はスツールに座り)、被施術者の頭部及び頭髪を施術する。施術は、例えば、シャンプー、スカルプマッサージ、カラー、パーマ、アイメイク等が含まれる。シャンプーボウル9は、台座部10の上に設置されている。シャンプーボウル9は、底部14と周壁部15とから構成され、概ね半球状である。シャンプーボウル9において、底部14には、排水口11が形成され、周壁部15の内面には、給湯水の止水栓12や、給湯水が放出されるシャワーヘッド13等が設置されている。周壁部15のうち、シート部3と対面する前側の縁の一部は陥没し、凹状の首載置空間16が形成されている。首載置空間16には、頭部支持装置8が配置されている。頭部支持装置8は自在に着脱される。頭部支持装置8には、被施術者の首や頭部が置かれ、頭部の姿勢に追随して頭部支持装置8の一部が揺動する。
【0025】
ここで、頭部支持装置8を図面に基づいて詳説する。図3ないし9には、頭部支持装置8の外観及び断面が示されている。なお、以下では、頭部支持装置8が揺動する方向のうち、シャンプーボウル9の内側に向かう方向を前側(Front)とし、シャンプーボウル9の外側に向かう方向を後側(Back)とし、前側及び後側方向と交差する方向をそれぞれ左右側(Right Side、Left Side)とし、高さ方向をそれぞれ上側及び下側(Up、Down)とする(図3参照)。
【0026】
図3及び4に示されているとおり、頭部支持装置8は、シャンプーボウル9の縁に取り付けられる基台部17と、この基台部17の上に連結構造32で連結された揺動部24とを有している。揺動部24は、連結構造32を構成するレール部26と、被施術者の頭部に当接する半球状の第一当接部27と、上側に立ち上がった棒状又は薄板状の突状支持部28と、この突状支持部28に取り付けられた第二当接部29とを有している。第二当接部29は、第二当接本体部33と、この第二当接本体部33に被せられた当接カバー部36とを有している。図7及び8に示されているとおり、第一当接部27は、揺動部24と共に第一揺動支点45を中心に前後方向に向けて揺動する。また、第二当接部29は、突状支持部28の上端部である第二揺動支点46を支点として前後方向に向けて揺動する。
【0027】
図3ないし6に示されているとおり、基台部17は、左右一対の台座部18と、この両台座部18の間で左右方向に伸びて両台座部18に連接された棒状の基台連接部19とを有している。それぞれの台座部18は、概ね円形状かつ平坦な平板部20と、この平板部20の上面から上側に立ち上がった脚部21R(21L)と、この脚部21R(21L)に取り付けられた軸部22R(22L)及び緩衝部23F,23Bとを有している。したがって、平板部20、脚部21R,21L、軸部22R,22L及び緩衝部23F,23Bは、何れも左右一対で構成されている。
【0028】
それぞれの脚部21R(21L)は、二つの軸部22R(22L)及び二つの緩衝部23F,23Bを有している。左側の脚部21Lに取り付けられた軸部22Lは、脚部21Lの左側面から、左側に向けて突出している。軸部22Lは、前後に並んでいて、前側の軸部22Lが後側の軸部22Lよりも僅かに上側に配置されている(図6参照)。左側の脚部21Lに取り付けられた一方の緩衝部23Fは、脚部21Lの前側面から前側に向けて突出し、左側の脚部21Lに取り付けられた他方の緩衝部23Bは、脚部21Lの後面から後側に向けて突出している。一方で、右側の脚部21Rに取り付けられた軸部22Rは、脚部21Rの右側面から、右側に向けて突出している。軸部22Rは、前後に並んでいて、前側の軸部22Rが後側の軸部22Rよりも僅かに上側に配置されている。右側の脚部21Rに取り付けられた一方の緩衝部23Fは、脚部21Rの前側面から前側に向けて突出し、右側の脚部21Rに取り付けられた他方の緩衝部23Bは、脚部21Rの後面から後側に向けて突出している。
【0029】
揺動部24において、レール部26、第一当接部27及び突状支持部28は、左右一対で構成されている。レール部26は、左右方向に長手の本体部25の両端部に形成されている。それぞれのレール部26は、左右方向に貫通した孔によって形成され、揺動部24が揺動する方向である前後方向に伸びていて、第一揺動支点45を中心とした円周に沿って湾曲している(図7参照)。本体部25の前側であって、レール部26同士の間には、前側規制部30が形成され、本体部25の後側であって、レール部26同士の間には、後側規制部31が形成されている。それぞれの第一当接部27は、レール部26同士の間に配置されてそれぞれのレール部26に隣接していて、本体部25の前側に取り付けられている。それぞれの突状支持部28は、第一当接部27よりも後側に配置されていて、それぞれのレール部26の真後ろに取り付けられている。
【0030】
連結構造32は、揺動部24が有する一対のレール部26と、基台部17が有する一対の軸部22R,22Lとから構成されている。脚部21R,21Lが、レール部26同士の間に配置され、それぞれの脚部21R,21Lとレール部26とが左右方向に隣接した状態で、軸部22R,22Lが、レール部26を、内側から外側に向けて通されている。揺動部24と基台部17とが、連結構造32によって連結された状態において、軸部22R,22Lが、レール部26内をスライドすることで、揺動部24が、基台部17に対して、前後方向に向けて揺動する。
【0031】
第二当接本体部33は、左右方向に長手であり、前面及び後面が平坦である。第二当接本体部33は、左右一対の被挿入溝部34と、この被挿入溝部34同士の間においてそれぞれの被挿入溝部34に連接された当接本体凹状部35とを有している。被挿入溝部34は、第二当接本体部33の左右両端部に形成され、第一当接部27の突状支持部28が挿入される。当接本体凹状部35は、被挿入溝部34同士の間における第二当接本体部33の上端部であり、下側に向けて窪んでいる。
【0032】
当接カバー部36は、平坦なカバー前面部37と、平坦なカバー後面部38と、カバー前面部37の上端部とカバー後面部38の上端部とを連接したカバー凹状部39とを有している。カバー前面部37とカバー後面部38とは間を空けて対面している。カバー凹状部39は、当接カバー部36の上端部であり、下側に向けて窪んでいる。なお、図9に示されているとおり、当接カバー部36は、幅広カバー部44を有するものであってもよい。幅広カバー部44は、カバー後面部38の後側面に自在に着脱される。幅広カバー部44は、薄板状であり、当接カバー部36の左右方向の幅よりも広く形成されている。
【0033】
当接カバー部36の内面の形状と、第二当接本体部33の外面の形状とは、概ね一致している。したがって、第二当接本体部33の前後の厚みは、当接カバー部36のカバー前面部37とカバー後面部38との間に入る大きさであるし、第二当接本体部33の当接本体凹状部35の形状と、当接カバー部36のカバー凹状部39の形状とは、概ね一致している。
【0034】
基台部17、揺動部24、第二当接本体部33及び当接カバー部36は、以下のとおりに組み立てられる。図3及び4において、基台部17と揺動部24とが、連結構造32によって連結される。当接カバー部36が、第二当接本体部33に取り付けられる。当接カバー部36に取り付けられることで、第二当接本体部33は、当接カバー部36によって覆われる。第二当接本体部33の被挿入溝部34に、突状支持部28が挿入されることで、第二当接部29が、突状支持部28の上端部に、上側から被せられる。よって、第二当接部29は、突状支持部28に対して上下方向に着脱自在である。なお、第二当接本体部33が突状支持部28に取り付けられた後に、当接カバー部36を第二当接本体部33に取り付けることも可能である。
【0035】
図5に示されているとおり、基台部17の軸部22R,22Lは、揺動部24のレール部26同士の内側からレール部26を通って外側に向けて左右側方に突出している。揺動部24の突状支持部28は、第二当接部29の内側に収められ、突状支持部28の全体が第二当接部29に覆われて遮蔽されている。したがって、頭部支持装置8の左右両端部には、連結構造32や突状支持部28等が露出していない。
【0036】
組み立てられた頭部支持装置8は、シャンプーボウル9の首載置空間16に配置され、周壁部15に取り付けられる(図1及び2参照)。具体的には、基台部17の平板部20が、周壁部15の上端縁に載置され、ボルト等が通されて周壁部15に固定される。なお、首載置空間16において、周壁部15と頭部支持装置8との間に隙間がある場合であっても、第二当接部29が、幅広カバー部44を有していた場合(図9参照)、隙間は、幅広カバー部44によって塞がれる(図9参照)。
【0037】
次に、頭部支持装置8の動作、作用及び効果説を、第二当接部29の内部構造と共に説明する。
【0038】
図7及び8に示されているとおり、第二当接本体部33の被挿入溝部34は、揺動部24の突状支持部28の前側と対面する内側前面対面部40と、突状支持部28の後側と対面する内側後面対面部41と、内側前面対面部40の上端部と内側後面対面部41の上端部とに連接されて突状支持部28の上端部が当たる内側被支持部42とを有している。被挿入溝部34の内側には、内側前面対面部40、内側後面対面部41及び内側被支持部42によって囲まれた揺動空間43が形成されている。揺動空間43は、突状支持部28よりも広い。したがって、内側前面対面部40と内側後面対面部41との間隔は、前後方向における突状支持部28の厚みよりも広い。また、内側前面対面部40及び内側後面対面部41は、内側被支持部42から下側に向かうにしたがって徐々に離れている。よって、第二当接部29は、突状支持部28の上端部を第二揺動支点46として、前後方向に向けて揺動する。なお、内側被支持部42を支点とした内側前面対面部40に対する内側後面対面部41の角度(なお、内側被支持部42を支点とした内側後面対面部41に対する内側前面対面部40の角度とも言い換えられる。)、内側前面対面部40との内側後面対面部41との距離(揺動空間43の広さ)は、任意である。
【0039】
揺動部24のレール部26は、基台部17の軸部22L(22R)に支持され、レール部26内の孔の範囲において軸部22L(22R)に沿ってスライドする。軸部22L(22R)は、上下に僅かにズレて配置され、レール部26は、第一揺動支点45を中心とした円周に沿って湾曲しているため、揺動部24の軌跡は、弧状である。したがって、揺動部24は、第一揺動支点45を中心に前後方向に向けて弧を描いて揺動する。よって、第一当接部27も、揺動部24と共に第一揺動支点45を中心に前後方向に向けて揺動する。揺動部24が前側に揺動し、後側規制部31が、基台部17の緩衝部23Bに当たると、揺動部24の揺動運動が規制される。同様に、揺動部24が後側に揺動し、前側規制部30が、基台部17の緩衝部23Fに当たると、揺動部24の揺動運動が規制される。
【0040】
上記のとおり構成された頭部支持装置8に、被施術者の頭部が置かれると、第一当接部27が、被施術者の後頭部又は後頭部近傍に当接する。第二当接部29は、第一当接部27に対してシャンプーボウル9の内側と反対側に在るため、第二当接部29は、被施術者の頸部又は頸部近傍に当接する。被施術者の体格は様々であるし、施術中における頭部の姿勢も様々である。すなわち、被施術者は、顎を引いて頭を下に向けて動かす場合もあれば、見上げるように頭を上に向けて動かす場合もある。
【0041】
そこで、上記のとおり、頭部支持装置8では、第二当接部29が、突状支持部28の上端部という「点」を支点として、振り子のように揺動運動をするものであるのに対して、揺動部24は、レール部26という「線」に沿って揺動する(図7及び8参照)。したがって、第一当接部27は、揺動部24がレール部26に沿って揺動することで、角度を変えながら振り子のように前後方向に向けて揺動し、上下方向にも変位し、なおかつ、第二当接部29も揺動する。よって、頭部支持装置8は、被施術者の頭部の姿勢に適応することができる。レール部26と軸部22R,22Lであれば、連結構造32は簡便である。
【0042】
頭部支持装置8では、揺動部24の突状支持部28は、第二当接部29の内側に収められ、突状支持部28の全体が第二当接部29に覆われて遮蔽されている(図5参照)。すなわち、揺動運動の第二揺動支点46となる突状支持部28の上端部ごと突状支持部28の全体が遮蔽されていることから、施術の妨げとならない構造であるうえ、湯水や施術用の薬液が付着せず、清掃が容易である。
【0043】
更に、基台部17の軸部22R,22Lは、揺動部24のレール部26同士の内側からレール部26を通って外側に向けて左右側方に突出している(図5参照)。したがって、頭部支持装置8の左右両端部には、連結構造32や突状支持部28等が露出していない。よって、頭部支持装置8は、施術の妨げとならない構造であるし、小型である。
【0044】
頭部支持装置8では、第二当接本体部33の被挿入溝部34に、突状支持部28が挿入されることで、第二当接部29が、揺動部24の突状支持部28の上端部に、上側から被せられる(図7及び8参照)。すなわち、第二当接部29が突状支持部28の上端部に載せられただけの簡便な構造である。よって、第二当接部29は、突状支持部28に対して容易に着脱自在であり、清掃のための着脱の煩わしさも無い。
【0045】
頭部支持装置8では、第二当接本体部33が当接本体凹状部35を有し、当接カバー部36がカバー凹状部39を有することから(図1参照)、被施術者の頭部は、突状支持部28の間に渡されて窪んだ第二当接部29に支持される。したがって、頭部の姿勢が安定する。特に、カバー凹状部39は、揺動運動の第二揺動支点46となる突状支持部28の上端部よりも下側に在ることから、頭部も、突状支持部28の上端部よりも下側に配置されることになるため、頭部の姿勢が安定する。
【0046】
頭部支持装置8では、第二当接部29が、幅広カバー部44を有している(図9参照)。シャンプーボウル9の首載置空間16において、周壁部15と頭部支持装置8との間の隙間が空く場合であっても、幅広カバー部44によって隙間が塞がれて遮蔽される。よって、首載置空間16の隙間から湯水が飛散することが抑止される。
【0047】
なお、本開示の他の実施形態では、突状支持部は、左右に長い一枚の板状である。この場合、当接カバー部はカバー凹状部を有していない。
別の他の実施形態では、連結構造が回転軸であり、揺動部が回転軸を中心に揺動する。
別の他の実施形態では、基台部の脚部にレール部が形成され、揺動部に軸部が形成されている。
別の他の実施形態では、第二当接部が突状支持部の上端部に連結されている。すなわち、第二当接部が突状支持部の上端部に単に載せられただけの構造ではない。
別の他の実施形態では、第二当接部が窪んでいない。この場合、第二当接本体部は、当接本体凹状部を有しておらず、平坦であり、当接カバー部は、カバー凹状部を有しておらず、平坦である。
別の他の実施形態では、軸部がレール部の外側からレール部を通ってレール部同士の内側に向けて突出している。
【0048】
以上、本開示の実施形態を詳述したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではない。そして本開示は、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0049】
1 理美容装置
2 施術台
3 シート部
4 昇降部
5 座部
6 脚置き部
7 背もたれ部
8 頭部支持装置
9 シャンプーボウル
10 台座部
11 排水口
12 止水栓
13 シャワーヘッド
14 底部
15 周壁部
16 首載置空間
17 基台部
18 台座部
19 基台連接部
20 平板部
21R,21L 脚部
22R,22L 軸部
23F,23B 緩衝部
24 揺動部
25 本体部
26 レール部
27 第一当接部
28 突状支持部
29 第二当接部
30 前側規制部
31 後側規制部
32 連結構造
33 第二当接本体部
34 被挿入溝部
35 当接本体凹状部
36 当接カバー部
37 カバー前面部
38 カバー後面部
39 カバー凹状部
40 内側前面対面部
41 内側後面対面部
42 内側被支持部
43 揺動空間
44 幅広カバー部(カバー部)
45 第一揺動支点
46 第二揺動支点
【要約】
施術の妨げとならない構造であり、かつ、清掃が容易な頭部支持装置を提供する。頭部支持装置8は、基台部17の上に連結構造32で連結された揺動部24を有し、揺動部24は、レール部26と、被施術者の頭部に当接する第一当接部27と、上側に立ち上がった棒状又は薄板状の突状支持部28と、この突状支持部28に取り付けられた第二当接部29とを有し、第一当接部27は、揺動部24と共に第一揺動支点45を中心に前後方向に向けて揺動し、また、第二当接部29は、突状支持部28の上端部である第二揺動支点46を支点として前後方向に向けて揺動する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9