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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】バッテリ端子
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/552 20210101AFI20240917BHJP
【FI】
H01M50/552
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020155160
(22)【出願日】2020-09-16
(65)【公開番号】P2022049116
(43)【公開日】2022-03-29
【審査請求日】2023-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】田沼 賢一
【審査官】瀧口 博史
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-112586(JP,A)
【文献】実開平04-098268(JP,U)
【文献】韓国登録特許第10-1786595(KR,B1)
【文献】特開2001-160390(JP,A)
【文献】特開平10-064611(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50
H01R 11/00
H01R 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリに接続されて負荷に電力を供給するためのバッテリ端子であって、
前記バッテリに接続される板状のバッテリ接続部と、電線に接続される電線接続部と、前記バッテリ接続部を挟んで前記電線接続部とは反対側である該バッテリ接続部の面方向の一方側に設けられてブースターケーブルのワニ口端子に挟持される板状の延在部と、を備え、
前記延在部は、前記一方に交差する幅方向の端縁を切り欠いて形成されて前記ワニ口端子が挿入される切欠き部を有していることを特徴とするバッテリ端子。
【請求項2】
バッテリに接続されて負荷に電力を供給するためのバッテリ端子であって、
前記バッテリに接続される板状のバッテリ接続部と、該バッテリ接続部の面方向の一方側に設けられた板状の延在部と、を備え、
前記延在部は、前記一方に交差する幅方向の端縁を切り欠いて形成された切欠き部を有し、
前記延在部は、前記幅方向に延出する第1延出部と、該第1延出部に対して前記一方に異なる位置から前記延在部の板厚方向に延出する第2延出部と、該第2延出部の端部から折れ曲がって前記幅方向に延出する第3延出部と、を備え、
前記第3延出部は、前記第1延出部に対して前記一方および板厚方向に離間して設けられていることを特徴とするバッテリ端子。
【請求項3】
前記延在部は、前記幅方向に延出する第1延出部と、該第1延出部に対して前記一方に異なる位置から前記延在部の板厚方向に延出する第2延出部と、該第2延出部の端部から折れ曲がって前記幅方向に延出する第3延出部と、を備え、
前記第3延出部は、第1延出部に対して前記一方および板厚方向に離間して設けられていることを特徴とする請求項1に記載のバッテリ端子。
【請求項4】
前記延在部は、前記第1延出部の端部から折れ曲がって前記第2延出部と同じ方向に延出される第4延出部をさらに備えることを特徴とする請求項2または3に記載のバッテリ端子。
【請求項5】
前記延在部は、前記幅方向に延出する第5延出部を備え、
前記第5延出部は、前記切欠き部を挟んで前記第1延出部から離れた側に設けられていることを特徴とする請求項2~4のうち何れか一項に記載のバッテリ端子。
【請求項6】
前記第1延出部は、前記一方に離間して一対設けられ、
前記一対の第1延出部の間には、前記第3延出部が設けられていることを特徴とする請求項2~のうち何れか一項に記載のバッテリ端子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリに接続されるバッテリ端子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両におけるバッテリから車両内の各負荷への電力供給は、バッテリからの電力を中継するためのバッテリ端子台を介して行われることがある(例えば、特許文献1参照)。を介して行われることが多い(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1には、車両に搭載されるバッテリにおける端子取付け面から突出して設けられた棒状電極に電気的に接続されるバッテリ端子台が開示されている。このバッテリ端子台と棒状電極との接続は、棒状電極に直に接続されるバッテリターミナルを介して行われる。
【0004】
バッテリ端子台は、1枚の金属板が一体的に切り抜かれ折れ曲がって形成されたバスバー部と、該バスバー部を覆うハウジング部と、を備える。バスバー部は、バッテリターミナルに接続されるバッテリ接続部と、4つの負荷接続部と、板バネ端子と、を備える。板バネ端子は、バッテリ接続部の端縁に連続するとともに、該バッテリ接続部の端縁で折れ曲がって立設して設けられている。
【0005】
ここで、バッテリが、所謂上がった状態になって、例えばエンジンのセルモータ等の負荷部品に必要な電力が供給できなくなった際に、別バッテリの電力を負荷部品に供給するためのジャンプスタートが行われることがある。ジャンプスタートの際には、先端にワニ口端子を有するブースターケーブルが用いられる。このブースターケーブルのワニ口端子を、バッテリ端子台の板バネ端子にクランプすることで、別バッテリからの電力供給が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-50091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のバッテリ端子台において、板バネ端子は、矩形板状に形成されているためにブースターケーブルのワニ口端子によりクランプされた状態で、例えば応力が作用した際に板バネ端子に対してワニ口端子が移動され易かった。
【0008】
本発明は、ジャンプスタートの際のワニ口端子の移動規制を図ったバッテリ端子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、バッテリに接続されて負荷に電力を供給するためのバッテリ端子であって、前記バッテリに接続される板状のバッテリ接続部と、電線に接続される電線接続部と、前記バッテリ接続部を挟んで前記電線接続部とは反対側である該バッテリ接続部の面方向の一方側に設けられてブースターケーブルのワニ口端子に挟持される板状の延在部と、を備え、前記延在部は、前記一方に交差する幅方向の端縁を切り欠いて形成されて前記ワニ口端子が挿入される切欠き部を有していることを特徴とするバッテリ端子である。
請求項2に記載された発明は、バッテリに接続されて負荷に電力を供給するためのバッテリ端子であって、前記バッテリに接続される板状のバッテリ接続部と、該バッテリ接続部の面方向の一方側に設けられた板状の延在部と、を備え、前記延在部は、前記一方に交差する幅方向の端縁を切り欠いて形成された切欠き部を有し、前記延在部は、前記幅方向に延出する第1延出部と、該第1延出部に対して前記一方に異なる位置から前記延在部の板厚方向に延出する第2延出部と、該第2延出部の端部から折れ曲がって前記幅方向に延出する第3延出部と、を備え、前記第3延出部は、第1延出部に対して前記一方および板厚方向に離間して設けられていることを特徴とするバッテリ端子である。
【0010】
請求項に記載された発明は、請求項1に記載の発明において、前記延在部は、前記幅方向に延出する第1延出部と、該第1延出部に対して前記一方に異なる位置から前記延在部の板厚方向に延出する第2延出部と、該第2延出部の端部から折れ曲がって前記幅方向に延出する第3延出部と、を備え、前記第3延出部は、第1延出部に対して前記一方および板厚方向に離間して設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項に記載された発明は、請求項2または3に記載の発明において、前記延在部は、前記第1延出部の端部から折れ曲がって前記第2延出部と同じ方向に延出される第4延出部をさらに備えることを特徴とする。
【0012】
請求項に記載された発明は、請求項2~4のうち何れか一項に記載の発明において、前記延在部は、前記幅方向に延出する第5延出部を備え、前記第5延出部は、前記切欠き部を挟んで前記第1延出部から離れた側に設けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項に記載された発明は、請求項2~のうち何れか一項に記載の発明において、前記第1延出部は、前記一方に離間して一対設けられ、前記一対の第1延出部の間には、前記第3延出部が設けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、バッテリ接続部の面方向の一方側に設けられた延在部を備え、延在部は、一方に交差する幅方向の端縁を切り欠いて形成された切欠き部を有している。これによれば、延在部が、ブースターケーブルのワニ口端子によりクランプされた状態で、ワニ口端子において延在部の延在方向(一方)に対向する一対の対向片のうち、一方が切欠き部に挿入されることで、ジャンプスタートの際の延在部に対するワニ口端子の長手方向の移動を規制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施の形態に係るバッテリ端子を示す斜視図である。
図2】前記バッテリ端子を側方から見た図である。
図3】前記バッテリ端子が、ジャンプスターターのワニ口端子によりクランプされた状態を示す斜視図である。
図4図3のI-I線に沿う断面図である。
図5図3のII-II線に沿う断面図である。
図6】前記バッテリ端子の変形例を示す斜視図である。
図7】前記バッテリ端子の他の変形例を示す斜視図である。
図8】前記バッテリ端子のさらに他の変形例を示す斜視図である。
【0016】
以下、本発明の一実施の形態を図1~5に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施の形態に係るバッテリ端子としての給電端子を示す斜視図である。図2は、給電端子を側方から見た図である。図3は、給電端子が、ジャンプスターターのワニ口端子によりクランプされた状態を示す斜視図である。
【0017】
本発明の一実施の形態に係る給電端子1(バッテリ端子)は、図1、3に示すように、バッテリ本体101の上面101aから突出して設けられたバッテリポスト102にバッテリターミナル10を介して電気的かつ機械的に接続されて、バッテリ100から各負荷への電力供給を行うものである。以下では、給電端子1の後述する長方形板状のバッテリ接続部2の板厚方向を「上下方向Z」と記し、バッテリ接続部2の長手方向を「前後方向X」と記し、上下方向Zと長手方向に直交する幅方向を「左右方向Y」と記す場合がある。また、バッテリ接続部2から見て(後述する)ワニ口接続部3側を「前方X1」と記し、これとは反対側の(後述する)電線接続部4側を「後方X2」と記す場合がある。
【0018】
バッテリターミナル10は、図3に示すように、バッテリポスト102を挿通して接続させる挿通部110を有するポスト接続部11と、後述する給電端子1に接続される端子接続部12と、を備える。本実施形態では、端子接続部12は、ポスト接続部11の右方側(図2における右下)に連続して設けられている。
【0019】
端子接続部12は、図3に示すように、ポスト接続部11を構成する上壁11Aおよび下壁11B間にスタッドボルト13が挟み込まれて保持されることで構成されている。このスタッドボルト13に、後述する給電端子1が電気的かつ機械的に接続されることで、バッテリ100の電力が、バッテリターミナル10の端子接続部12、および給電端子1を介して、各種の負荷に供給される。
【0020】
給電端子1は、図1、2に示すように、長方形板状のバッテリ接続部2と、該バッテリ接続部2の前後方向X (一方)に連続して、後述するジャンプスターター200のワニ口端子210に挟持(クランプ)されるワニ口接続部3と、バッテリ接続部2の後方X2に連続して電線10の一方の端末部に接続される電線接続部4と、を備える。
【0021】
バッテリ接続部2は、図1に示すように、スタッドボルト13の軸部130を挿通させるボルト孔2Aを有して長方形板状に形成されている。このバッテリ接続部2は、長手方向が前後方向Xに沿い、幅方向が左右方向Yに沿い、板厚方向が上下方向Zに沿うように配置される。バッテリ接続部2は、図3に示すように、ボルト孔2Aにスタッドボルト13の軸部130が挿通された状態で、ナット14が締め付けられることでスタッドボルト13を介してバッテリポスト102に接続される。
【0022】
ワニ口接続部3は、図1、2に示すように、バッテリ接続部2の前方X1(一方)に連続するとともに、バッテリ接続部2の同一面上に位置する板状の接続部本体31と、後述するジャンプスターター200のワニ口端子210に挟持される被挟持部32と、延出片33と、切欠き部34と、を備える。このワニ口接続部3は、被挟持部32、延出片33および切欠き部34が、接続部本体31の前後方向Xを軸として対称になるように接続部本体31の幅方向Yの各端縁それぞれに設けられている。
【0023】
ここで、ジャンプスターター200は、ジャンプスタートの際に用いられるものであり、図3に示すように、一対のワニ口部21、21から成るワニ口端子210と、把持部22と、該ワニ口端子210に電気的に接続されるブ―スターケーブル20と、を備える。また、一対のワニ口部21、21は、不図示の付勢手段で互いに近接するように付勢されている。このようなジャンプスターター200は、ブースターケーブル20を介して別バッテリの電力がバッテリ100に供給されるようになっている。
【0024】
一対のワニ口部21、21は、図3~5に示すように、ワニ口接続部3を幅方向Yに挟持する一対の挟持板部23、23と、各挟持板部23の下端縁から幅方向Yの内方に延びて形成された曲げ片24(図4参照)と、各挟持板部23の前後方向Xの各端縁それぞれから延びて形成されて互いに対向する対向片25(図5参照)と、を備える。各対向片25には、各挟持板部23から離れた端縁を切り欠いて形成された歯部26(図3参照)が設けられている。
【0025】
被挟持部32は、図1に示すように、接続部本体31の前後方向Xに離間して設けられた一対の上保持片35、35と、該一対の上保持片35、35の間に位置する下保持片36と、を備える。以下では、一対の上保持片35、35のうち前方X1に位置する上保持片を「前側上保持片35A」と記し、後方X2に位置する上保持片を「後側上保持片35B」と記す場合がある。本実施形態では、図5に示すように、各ワニ口部21の対向片25間の寸法L2が、一対の上保持片35、35の前後寸法L1より僅かに大きい寸法となるように形成されている。即ち、各ワニ口部21の一対の対向片25、25のうち一方が(後述する)切欠き部34に挿入され、他方が、(後述する)前側上保持片35Aの前端縁に当接されるようになっている。
【0026】
各上保持片35A、35Bは、図1に示すように、接続部本体31の同一面上かつ幅方向Yに延出される上側第1板部351と、該上側第1板部351の先端から折れ曲がって下方に向けて延出される上側第2板部352と、を備えて略L字状に形成されている。図5に示すように、各上保持片35A、35Bにおいて、上側第1板部351と上側第2板部352との境界に位置する角部351Sは、後述する延出片33の先端33Sより幅方向Yの外側に位置している。
【0027】
図4に示すように、上側第2板部352の幅方向Yの外面352Aは、後述する下保持片36の下側第2板部362の幅方向Yの端面362Aより僅かに外方に位置して、ワニ口部21の挟持板部23が当接されるように構成されている。また、図4に示すように、上側第2板部352の下端面352Bは、下保持片36の下側第2板部362の上面362Bから離間して設けられて、上側第2板部352と下保持片36の下側第2板部362との間に、ワニ口部21の曲げ片24が挿入されるように構成されている。
【0028】
下保持片36は、図1に示すように、接続部本体31の幅方向Yの端縁から下方に向けて延出される下側第1板部361と、該下側第1板部361から幅方向Yの外側に延出される下側第2板部362と、を備えて略L字状に形成されている。下側第1板部361の付け根部分(接続部本体31の幅方向Yの端縁)と、後述する切欠き部34の内縁34aとは、幅方向Yの同位置に設けられている。
【0029】
延出片33は、バッテリ接続部2の前方X1に隣接する位置において、接続部本体31の同一面上かつ幅方向Yに延出して設けられている。延出片33の先端33Sは、バッテリ接続部2の幅方向Yの各端縁2aより外側に位置している。
【0030】
切欠き部34は、図1に示すように、延出片33と、被挟持部32の後側上保持片35Bとの間に設けられているとともに、接続部本体31の幅方向Yの各端縁を切り欠いて、幅方向Yの内方に向けて延びて形成されている。なお、本実施形態では、各切欠き部34の内縁34aは、バッテリ接続部2の幅方向Yの各端縁2aの内側に位置している。また、切欠き部34の内縁34aは、図5に示すように、各上保持片35A、35Bにおいて上側第1板部351と上側第2板部352との境界に位置する角部351Sに対して幅方向Yの内側に位置しているとともに、延出片33の先端33Sに対して幅方向Yの内側に位置している。即ち、本実施形態における切欠き部34は、その内縁34aが、図5に示すように、各上保持片35A、35Bの各角部351S、延出片33の先端33Sに対して、最も幅方向Yの内側に位置した構成のことである。
【0031】
電線接続部4は、図1に示すように、電線10を載置する載置部41と、該載置部41の左右の端縁から延びて形成されて電線10を加締める一対の加締め片42、42と、を備える。電線10は、一方の端末部が電線接続部4に接続され、他方の端末部が不図示の負荷に接続されることで、バッテリの電力が不図示の負荷に供給される。
【0032】
このような給電端子1をバッテリ100に接続する場合には、図3に示すように、バッテリポスト102にバッテリターミナル10のポスト接続部11を挿通して接続させる。そして、給電端子1のバッテリ接続部2を、バッテリターミナル10の端子接続部12に近付けて、バッテリ接続部2のボルト孔2Aに、スタッドボルト13の軸部130を挿通させて、ナット14で締め付ける。こうして、給電端子1がバッテリターミナル10を介してバッテリに接続される。この際、ワニ口接続部3の接続部本体31は、バッテリ本体101の上面101aに対向して設けられている。
【0033】
次に、ジャンプスターター200のワニ口端子210を給電端子1のワニ口接続部3に接続して、ジャンプスタートを行う際には、図3に示すように、一対のワニ口部21、21を付勢手段の付勢力に抗して離間させ、一対のワニ口部21、21の離間方向がワニ口接続部3の幅方向Yとなる向きで、一対のワニ口部21、21を上方からワニ口接続部3の被挟持部32に近付ける。各ワニ口部21は、対向片25の一方が、延出片33と後側上保持片35Bとの間にある切欠き部34に挿入されるとともに、曲げ片24が、各上保持片35の上側第2板部352と下保持片36の下側第2板部362の間に進入されて、歯部26が切欠き部34の内縁34aに当接する。この際、各ワニ口部21の挟持板部23には、各上保持片35の上側第1板部351が当接されている。これにより、ジャンプスターター200のワニ口端子210が、給電端子1のワニ口接続部3に電気的かつ機械的に接続される。この状態で、ジャンプスタートが行われる。
【0034】
上述した実施形態によれば、バッテリ接続部2の面方向の一方側に設けられたワニ口接続部3(延在部)を備え、ワニ口接続部3は、幅方向Yの端縁を切り欠いて形成された切欠き部34を有し、切欠き部34の幅方向Yの内縁34aは、バッテリ接続部2の幅方向Yの端縁2aより内側に設けられている。これによれば、ワニ口接続部3が、ジャンプスターター200のワニ口端子210によりクランプされた状態で、ワニ口端子210においてワニ口接続部3の長手方向X(一方)に対向する一対の対向片25のうち、一方が切欠き部34に挿入され、他方が前側上保持片35Aの前端縁に当接されることで、ジャンプスタートの際のワニ口接続部3に対するワニ口端子210の長手方向Xの移動を規制することができる。
【0035】
ここで、本実施形態では、図5に示すように、各ワニ口部21の対向片25間の寸法L2が、一対の上保持片35、35の前後寸法L1より僅かに大きい寸法となるように形成されている。即ち、各ワニ口部21の一対の対向片25、25のうち一方が切欠き部34に挿入され、他方が、前側上保持片35Aの前端縁に当接されるように構成されている一例について説明しているが、例えば、各ワニ口部21の対向片25間の寸法L2が、一対の上側第1板部351の前後方向Xの寸法L1より遥かに大きい場合であって、一方の対向片25が切欠き部34に挿入された状態で、他方の対向片25が前側上保持片35Aの前端縁に当接されなくても(他方の対向片25がフリー状態になっても)、ワニ口接続部3に対するワニ口端子210の長手方向Xの移動を規制することができる。即ち、本実施形態のワニ口接続部3は、サイズの異なるワニ口端子210にも対応可能にすることができる。
【0036】
また、ワニ口接続部3(延在部)は、幅方向Yに延出する上側第1板部351(第1延出部)と、該上側第1板部351に対して長手方向X(一方)に異なる位置からワニ口接続部3の上下方向Z(板厚方向)に延出する下側第1板部361(第2延出部)と、該下側第1板部361の端部から折れ曲がって幅方向Yに延出する下側第2板部362(第3延出部)と、を備え、下側第2板部362は、第1延出部に対して長手方向Xおよび上下方向Z(板厚方向)に離間して設けられている。これによれば、ワニ口接続部3が、ジャンプスターター200のワニ口端子210によりクランプされた状態で、ワニ口端子210の先端部に位置する曲げ片24が、上保持片35の上側第1板部351と、下保持片36の下側第2板部362との間に進入されることで、ワニ口接続部3に対するワニ口端子210の上下方向Zの移動を規制することができる。
【0037】
また、ワニ口接続部3は、一対の上保持片35A(35)、35B(35)、下保持片36、延出片33および切欠き部34が、接続部本体31の前後方向Xを軸として対称になるように接続部本体31の幅方向Yの各端縁それぞれに設けられている。これによれば、ワニ口接続部3が、ジャンプスターター200のワニ口端子210によりクランプされた状態で、ジャンプスターター200が幅方向Yに引っ張られたとしても、ワニ口端子210の脱落が抑制される。
【0038】
また、ワニ口接続部3(延在部)は、上側第1板部351(第1延出部)の端部から折れ曲がって下側第1板部361(第2延出部)と同じ方向に延出される上側第2板部352(第4延出部)をさらに備える。これによれば、ワニ口接続部3が、ジャンプスターター200のワニ口端子210によりクランプされた状態で、各上保持片35の上側第1板部351に、各ワニ口部21の挟持板部23が当接されていることにより、接触面積(導通面積)を確保することができる。
【0039】
また、ワニ口接続部3(延在部)は、幅方向Yに延出する延出片33(第5延出部)を備え、延出片33は、切欠き部34を挟んで上側第1板部351(第1延出部)から離れた側に設けられている。これによれば、延出片33が設けられていることにより、切欠き部34の幅方向Yの寸法を長くすることができるから、ワニ口接続部3が、ジャンプスターター200のワニ口端子210によりクランプされた状態で、ワニ口接続部3に対するワニ口端子210の長手方向Xの移動を、より一層規制することができる。
【0040】
また、上側第1板部351(第1延出部)は、前後方向X(一方)に離間して一対設けられ、一対の上側第1板部351の間には、下側第2板部362(第3延出部)が設けられている。これによれば、ワニ口接続部3が、ジャンプスターター200のワニ口端子210によりクランプされた状態で、各ワニ口部21の一対の対向片25間に、一対の上側第1板部351が挟まれるとともに、ワニ口端子210の先端部に位置する曲げ片24が、上保持片35の上側第1板部351(第1延出部)と、下保持片36の下側第2板部362(第3延出部)との間に進入されている。これにより、各ワニ口部21は、対向片25が切欠き部34に挿入され、被挟持部32の上保持片35、35の各上側第1板部351、および下保持片36の下側第2板部362の3か所で支持されることにより、各ワニ口部21の傾きが抑制されつつ、ワニ口接続部3に対するワニ口端子210の長手方向X、幅方向Y、上下方向Zの移動を規制することができる。
【0041】
また、給電端子1がバッテリ100に接続された状態で、ワニ口接続部3の接続部本体31は、バッテリ本体101の上面101aに対向して設けられている。ワニ口接続部3が水平に配置されていることで、ワニ口端子210の取付方向が上方に限定されるので、誤った方向からワニ口端子210のワニ口接続部3への取付けが抑制され、ワニ口端子210が上方から正しい格好でワニ口接続部3に取り付けられることにより、ジャンプスタートの際のワニ口接続部3に対するワニ口端子210の移動を略確実に規制することができる。
【0042】
尚、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
【0043】
前記実施形態では、切欠き部34は、図1に示すように、延出片33と、被挟持部32の後側上保持片35Bとの間に設けられているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、延出片33と、被挟持部32の後側上保持片35Bとのうち、少なくとも何れか一方が省略されていても、切欠き部34の内縁34aが、切欠き部34の前後方向Xの両側に隣接する位置にある幅方向Yの端縁より、幅方向Yの内側に位置していれば、本発明の権利範囲に含むものとする。
【0044】
また、前記実施形態では、給電端子1(バッテリ端子)は、バッテリ接続部2およびワニ口接続部3(延在部)が、同一面上に位置するように連続形成されているが、本発明はこれに限定されるものではない。図6に示すように、給電端子1A(バッテリ端子)は、バッテリ接続部2およびワニ口接続部3が、段差部15を有して連結されていてもよい。即ち、バッテリ接続部2とワニ口接続部3の接続部本体31との間に段差部15を含む構成も、本発明の権利範囲に含むものとする。
【0045】
また、前記実施形態において、給電端子1(バッテリ端子) のワニ口接続部3(延在部)は、各上保持片35A、35Bが、接続部本体31の同一面上かつ幅方向Yに延出される上側第1板部351と、該上側第1板部351の先端から折れ曲がって下方に向けて延出される上側第2板部352と、を備えて略L字状に形成されているが、本発明はこれに限定されるものではない。図7に示すように、給電端子1B(バッテリ端子)は、各上保持片35A、35Bが、接続部本体31の同一面上かつ幅方向Yに延出される上側第1板部351のみ有して構成されていてもよい。即ち、上側第2板部352は省略されてもよい。この場合には、上側第1板部351と下保持片36の下側第2板部362との間に、ワニ口部21の曲げ片24が挿入されてもよい。これによれば、各上保持片35が上側第2板部352を有している場合に比して、ジャンプスターター200のワニ口端子210がワニ口接続部3をクランプした状態でワニ口端子210の上下方向Zの移動量が多少大きくなるものの、ジャンプスタートの際のワニ口接続部3に対するワニ口端子210の長手方向Xの移動を規制することができる。
【0046】
また、前記実施形態において、ワニ口接続部3(延在部)は、電線接続部4を備えて各負荷に電力を供給する給電端子1の一部を構成していたが、本発明はこれに限定されるものではない。図8に示すように、ワニ口接続部3を含むバッテリ端子1Cは、バッテリターミナル10と一体に形成されていてもよい。即ち、ワニ口接続部3は、ポスト接続部11(バッテリ接続部)を構成する上壁11Aの前方X1に連続して設けられていてもよい。
【0047】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部、もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0048】
1、1A、1B 給電端子 (バッテリ端子)
1C バッテリ端子
10 バッテリターミナル
11 ポスト接続部(バッテリ接続部)
100 バッテリ
2 バッテリ接続部
3 ワニ口接続部 (延在部)
33 延出片 (第5延出部)
34 切欠き部
351 上側第1板部 (第1延出部)
352 上側第2板部 (第4延出部)
361 下側第1板部(第2延出部)
362 下側第2板部 (第3延出部)
X 前後方向(一方)
Z 上下方向(板厚方向)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8