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特許7555690法面安定化擁壁における擁壁パネルの支持構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】法面安定化擁壁における擁壁パネルの支持構造
(51)【国際特許分類】
   E02D 17/20 20060101AFI20240917BHJP
   E02D 29/02 20060101ALI20240917BHJP
【FI】
E02D17/20 103H
E02D29/02 302
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2024067867
(22)【出願日】2024-04-19
【審査請求日】2024-05-31
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390029012
【氏名又は名称】株式会社エスイー
(74)【代理人】
【識別番号】100124316
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】加来 哲也
(72)【発明者】
【氏名】早川 道洋
【審査官】小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-173049(JP,A)
【文献】特許第7285385(JP,B1)
【文献】特開2019-078065(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第112854260(CN,A)
【文献】米国特許第5468098(US,A)
【文献】中国実用新案第209941733(CN,U)
【文献】特開平08-151644(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111119232(CN,A)
【文献】中国実用新案第211849515(CN,U)
【文献】中国実用新案第212715014(CN,U)
【文献】中国実用新案第213572034(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 17/20
E02D 29/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
法面の上部に、軸方向を前記法面の上部に沿った方向に向けて配置され、前記法面に固定される墨出しブロックと、この墨出しブロックの下方に配置されて前記法面の上部に沿った方向に配列し、前記墨出しブロックに支持されながら、山中に定着される補強材の前記法面から突出する頭部が定着される複数枚の擁壁パネルとを備える法面安定化擁壁において、
前記複数枚の全擁壁パネルの下方寄りに対応した位置、またはその付近の前記地山に形成された支持面と、前記全擁壁パネルの下端との間に、前記全擁壁パネルに跨り、下部に被支持面を有し、前記全擁壁パネルの荷重の少なくとも一部を負担可能な梁が配置されて前記全擁壁パネルが前記梁を介して前記支持面に支持され、
前記補強材の地中への定着が完了するまでの間、前記墨出しブロックに支持された状態にある前記全擁壁パネルが、前記支持面に支持された前記梁に補助的に支持されていることを特徴とする法面安定化擁壁における擁壁パネルの支持構造。
【請求項2】
法面の上部に、軸方向を前記法面の上部に沿った方向に向けて配置され、前記法面に固定される墨出しブロックと、この墨出しブロックの下方に配置されて前記法面の上部に沿った方向に配列し、前記墨出しブロックに支持されながら、山中に定着される補強材の前記法面から突出する頭部が定着される複数枚の擁壁パネルとを備える法面安定化擁壁において、
前記複数枚の全擁壁パネルの下方寄りに対応した位置、またはその付近の前記地山に形成された支持面と、前記全擁壁パネルの下端との間に、前記全擁壁パネルに跨り、下部に被支持面を有し、前記全擁壁パネルの荷重の少なくとも一部を負担可能な梁が配置されて前記全擁壁パネルが前記梁を介して前記支持面に支持され、
前記梁の前記被支持面と前記支持面との間に、下部に被支持面を有し、前記擁壁パネルの荷重の少なくとも一部を負担可能な支柱を持つ複数本の補助支持装置が設置され、
前記補強材の地中への定着が完了するまでの間、前記墨出しブロックに支持された状態にある前記全擁壁パネルが前記梁を介し、前記支持面に支持された前記補助支持装置に補助的に支持されていることを特徴とする法面安定化擁壁における擁壁パネルの支持構造。
【請求項3】
前記梁は上部に前記全擁壁パネルの下端が接触する支持面を有することを特徴とする請求項1、もしくは請求項2に記載の法面安定化擁壁における擁壁パネルの支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は法面の安定化の目的で、法面に沿って配列し、擁壁を構成する擁壁パネルを設置完了まで仮支持する墨出しブロックが擁壁パネルを支持する能力を失った場合等に備え、擁壁パネルの下に配置される梁に擁壁パネルを補助的に支持させる法面安定化擁壁における擁壁パネルの支持構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地山への掘削(切土)により形成された法面を崩落に対して安定化させる目的で、法面に沿って擁壁パネルを高さ方向に配列させて擁壁を構築する場合に、最上段に設置されるべき擁壁パネルの位置が決まっているような場合、擁壁パネルは上段側から下段側へ向かって設置されていくことになる。法面に最初に設置される最上段の擁壁パネルは切土される前の地山に支持されながら、法面に設置される。
【0003】
この場合、ある段の擁壁パネルを法面に設置するときに、その擁壁パネルを設置済みの上段側の擁壁パネルに支持させることができなければ、擁壁パネルはその下端において地山に支持されることになる。この関係で、設置すべき擁壁パネルの下端が位置する箇所の地山を残し、地山に水平面等の支持面を形成しながら、地山を掘削することが必要になる(特許文献1~特許文献5参照)。
【0004】
但し、擁壁パネルを上段側から下段側へ向かって設置する方法では、擁壁パネルは主に地山の支持面に支持された状態で位置決めされながら、法面に設置されるため、支持面の形成には正確さが要求される。支持面の形成に誤差があれば、擁壁パネルの設置に施工誤差を残し、擁壁パネルの幅方向に配列する擁壁パネルを整然と配列させることが難しくなるからである。
【0005】
特許文献4では上段分のプレキャスト板を貫通し、最終的にそのプレキャスト板を斜面(法面)に定着させる棒状補強材の軸力を調整する(増加させる)ことで、斜面に固定された一段目(上段分)のプレキャスト板の下に、二段目(下段分)のプレキャスト板の下端が法尻の段部に支持されたまま、二段目のプレキャスト板が一段目(上段分)のプレキャスト板に吊り下げられた状況を一時的に実現させている(段落0002、図1)。
【0006】
詳しく言えば、特許文献4では「(下段分)プレキャスト板による斜面補強の前に一時的に出現する素掘り状態の斜面が崩壊することを防止するために、上段分のプレキャスト板でのナット緊締工程におけるナットの締付け力を調整し、プレキャスト板を強制的に斜面に押さえつけること」をしている。
【0007】
この方法とは異なり、下段側の擁壁パネルを上段側の擁壁パネルに支持させながら、擁壁パネルを下向きに設置していくことを可能にする法面安定化擁壁とその構築方法を出願人は先に提案している(特許文献6参照)。
【0008】
この方法では法面の上部に、直下に配置される擁壁パネルを支持する能力を持つ墨出しブロックを擁壁パネルに先行して固定し、墨出しブロックに擁壁パネルを係合させることで、擁壁パネルを墨出しブロックに支持させている。
【0009】
但し、各擁壁パネルはそれ自体を厚さ方向に貫通する補強材が地中に埋設され、充填材の充填により地中に定着されることで、最終的に法面に固定された状態になり、その作業が終了するまでは、墨出しブロックが擁壁パネルを仮支持することになる。墨出しブロックは例えばその背面側から地山側へ突出する定着具が地山中に埋設されることで、法面に固定されるため(請求項1)、直下の擁壁パネルの設置から補強材の定着までの期間に亘り、擁壁パネルを支持し続ける能力を持つとは限らない。
【0010】
このため、補強材が完全に定着される前には、例えば地震動の発生等、何らかの原因で擁壁パネルを支持する墨出しブロックが補強材の地中への定着完了までの間、定着具が地山から抜け出すことで、擁壁パネルを支持し続ける能力を失い、擁壁パネルと共に落下する可能性がないとは言えない。定着具が地山から抜け出すことがないとしても、擁壁パネルが墨出しブロックから離脱し、墨出しブロックから落下する可能性もある。
【0011】
この想定事項に対し、特許文献6の墨出しブロックが擁壁パネルを支持し続ける能力を失ったときの備えとしての、擁壁パネルを補助的に支持させる補助支持装置(特許文献7参照)、並びに補助支持装置を使用した擁壁パネルの支持構造を追加で提案している(特許文献8参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】特開平7-34464号公報(請求項1、段落0005~0018、図6図8
【文献】特開2010-106433号公報(段落0020、図4図8
【文献】特開2012-246706号公報(請求項1、段落0012~0016、図2図5
【文献】特開2014-109189号公報(請求項1、段落0002~0006、図1図2
【文献】特開2015-1084号公報(図1図5
【文献】特許第6746264号公報(請求項1、段落0009~0036、図1図6
【文献】特許第7194850号公報(請求項1、段落0011~0033、図1図3
【文献】特許第7194853号公報(請求項1、段落0013~0047、図1図5
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
只、擁壁パネルを直接、補助支持装置で支持すると、原則的に補助支持装置は1枚の擁壁パネルの荷重を支持本数分で割った大きさの集中荷重として受けることになる。例えば2本の補助支持装置を1枚の擁壁パネルの重心から等しい距離の位置に配置すれば(特許文献7の図3)、理論的には両補助支持装置は等しい荷重を負担する。しかしながら、擁壁パネルの背面と法面との間に充填される充填材の量が擁壁パネルの中心の両側で均等にならない場合等、擁壁パネルの重心が中心に位置しない場合に2本の補助支持装置の負担すべき荷重に差が生じ得る。
【0014】
1枚の擁壁パネルを支持する2本の補助支持装置の負担すべき荷重に差が生じた場合、擁壁パネルが面内で傾斜を生じ得ることが想定され、充填材充填後の完成時の擁壁パネル、あるいは法面安定化擁壁の設置(施工)精度に影響する可能性がある。
【0015】
本発明は上記背景より、墨出しブロックが擁壁パネルを支持し続ける能力を失ったときの備えとしての補助支持装置に擁壁パネルを補助的に支持させる場合に想定される擁壁パネルの傾斜を回避する擁壁パネルの支持構造を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
請求項1に記載の発明の法面安定化擁壁における擁壁パネルの支持構造は、法面の上部に、軸方向を前記法面の上部に沿った方向に向けて配置され、前記法面に固定される墨出しブロックと、この墨出しブロックの下方に配置されて前記法面の上部に沿った方向に隣接し、前記墨出しブロックに支持されながら、地山中に定着される補強材の前記法面から突出する頭部が定着される複数枚の擁壁パネルとを備える法面安定化擁壁において、
前記複数枚の全擁壁パネルの下方寄りに対応した位置、またはその付近の前記地山に形成された支持面と、前記全擁壁パネルの下端との間に、前記全擁壁パネルに跨り、下方に被支持面を有し、前記全擁壁パネルの荷重の少なくとも一部を負担可能な梁が配置され、前記全擁壁パネルが前記梁を介して前記支持面に支持され、
前記補強材の地中への定着が完了するまでの間、前記墨出しブロックに支持された状態にある前記全擁壁パネルが、前記支持面に支持された前記梁に補助的に支持されていることを構成要件とする。
【0017】
「法面の上部に沿った方向」とは、擁壁パネル5が長さ方向に配列する場合の長さ方向であり、主に水平方向であるが、水平に対して傾斜した方向であることもある。「法面の上部」は基本的に図11-(a)に示す法面10の最上部の縦断面上、隅角部となった部分を指す。擁壁パネル5の長さ方向(法面10の上部に沿った方向)は墨出しブロック4の軸方向である。この水平方向等に軸方向を向けて墨出しブロック4が法面10に配置される。擁壁パネル5の幅方向は法面10に沿った高さ方向になる。
【0018】
墨出しブロック4は例えば図1-(a)に示すようにその背面側から突出する定着具(アンカー)43が地山中に埋設(定着)されることで、法面10に固定されるが、定着具43以外の方法で固定される場合の他、定着具43と他の方法の併用で固定される場合もある。以下では定着具43を用いる場合の例で説明する。
【0019】
定着具43は一部が墨出しブロック4中に埋設された状態で墨出しブロック4の背面から突出する場合と、墨出しブロック4を厚さ方向に貫通する場合がある。いずれの場合も、定着具43は予め、または最終的に(墨出しブロック4の法面10への固定後)墨出しブロック4に一体化する。定着具43の地山中での定着状態は単純に地山中に挿入(貫入)されて維持する場合と、地山中に注入される充填材中に埋設されて維持する場合がある。
【0020】
擁壁パネル5は墨出しブロック4には基本的にそれぞれの対向する面に形成される凸部52と凹部42が対向する方向に互いに嵌合し、擁壁パネル5が墨出しブロック4に下向きに係合することで、支持される。係合のみでは擁壁パネル5の墨出しブロック4への支持が困難な場合には、図8に示すように擁壁パネル5を厚さ方向に貫通するボルト81を墨出しブロック4に螺入させるか、貫通させることで、墨出しブロック4による擁壁パネル5の支持が補われる。
【0021】
擁壁パネル5は図9-(d)に示すように厚さ方向に貫通する補強材7が地山中に形成される削孔12中に挿入され、グラウト材中に埋設されることで、擁壁パネル5が法面10に固定された状態を永続的に維持する。削孔12中への補強材7の挿入とグラウト材の充填後には墨出しブロック4は擁壁パネル5の支持から解放される。言い換えれば、墨出しブロック4は補強材7の挿入とグラウト材の充填が終了するまでの間、擁壁パネル5を暫定的(仮)に支持する。補強材7は図7-(b)に示すように擁壁パネル5の立面上の中央部等に厚さ方向に貫通して形成された挿通孔55を挿通する。
【0022】
地山は図9-(b)に示すように法面10に先行して設置される墨出しブロック4と、これに直接、支持される1段目(最上段)の擁壁パネル5を設置するために掘削され、このときに形成された法面10に(c)に示すように墨出しブロック4と擁壁パネル5が設置される。このときの法面10の下には未掘削の地山が残されている。この法面10下の地山の上面が請求項1における「支持面11」になる。
【0023】
この支持面11上に、下部に被支持面1Aを有する梁1が設置されるか(請求項1)、または支柱21を有する補助支持装置2が設置される(請求項2)。補助支持装置2は擁壁パネル5の長さ方向には1枚の擁壁パネル5に付き、長さ方向の両側寄りの位置を含む2箇所以上に配置される。長さ方向の両側寄りの位置は図2に示すように中央部と両側の中間部の位置を含む。補助支持装置2は梁1の被支持面1Aの下に、梁1の軸方向に間隔を置いて配置される。
【0024】
請求項1における「擁壁パネルの下方寄り」とは、擁壁パネル5の幅方向(高さ方向)の下方寄りを指し、主には擁壁パネル5の下端面に対応した位置かその付近等を指す。「下方」寄りである理由は、下端面が法面10の表面側(切土側)に位置するように擁壁パネル5が鉛直に対して傾斜して法面10に固定されることが多い関係で、擁壁パネル5が支持される支持面11上に近いためであり、下端部に対応した位置が最適である。
【0025】
「全擁壁パネルの荷重の少なくとも一部を負担可能な梁」とは、擁壁パネル5の係合により墨出しブロック4が擁壁パネル5を支持している状態での全擁壁パネル5の荷重の少なくとも一部を負担する能力を梁1が有することを言う。「少なくとも一部」とは、梁1が1枚の擁壁パネル5の荷重の一部のみを負担する場合から、墨出しブロック4が擁壁パネル5を支持し続ける能力を失った場合の、全擁壁パネル5の荷重を負担する場合まであることを意味する。
【0026】
梁1は全擁壁パネル5の荷重の少なくとも一部を負担しながら、地山の支持面11に伝達し、支持面11に支持させる。梁1は全擁壁パネル5の荷重を負担する場合があることから、軸方向には全擁壁パネル5に跨る長さを持つ。梁1は全擁壁パネル5の安定上、図2に示すように全擁壁パネル5の全長以上の長さを持つことが望ましいが、必ずしもその必要はない。
【0027】
「墨出しブロックに支持された状態にある全擁壁パネルが、支持面に支持された梁に補助的に支持され」とは、基本的には墨出しブロック4が擁壁パネル5を支持するが、墨出しブロック4とは別に、全擁壁パネル5の荷重の少なくとも一部を負担する能力を持つ梁1が擁壁パネル5を地山の支持面11に支持させることを言う。
【0028】
「下部に被支持面を有する梁」とは、梁1が支持面11側の下部に支持面11に面接触する被支持面1Aを有することを言う。被支持面1Aは支持面11に面接触するよう、支持面11に平行な面をなす等、支持面11に沿った形状をする。支持面11が水平面であれば、被支持面1Aは水平な面をなし、支持面11が水平に対して傾斜した面であれば、被支持面1Aは水平に対して傾斜した面をなす。支持面11が段差を有する断面形状であれば、その断面形状に対応した形状をする。
【0029】
なお、支持面11が梁1の被支持面1Aを安定させて支持する上では、被支持面1Aと支持面11に梁1の幅方向に生じる圧力が均等になるよう、支持面11は梁1の縦断面上の成方向の中心線に垂直な平面をなすように形成されることが適切である。
【0030】
図1は梁1にH型鋼を使用した場合の例を示しているが、この場合、下部フランジ1aの下面が被支持面1Aになり、上部フランジ1bの上面が後述の支持面1Bになる。梁1は上下のフランジ1a、1bとウェブ1cに無用な応力を生じさせないためには、図1に示すようにウェブ1cの縦断面上の成方向の中心を通る中心線が、擁壁パネル5の縦断面上の中心を通る面内方向の中心線と同一直線上に位置する等、ウェブ1cの中心線が擁壁パネル5の中心線と平行になるように配置される。梁1にはH型鋼の他、フランジとウェブを有する溝形鋼、角形鋼管、あるいはこれらを組み合わせた形状の鋼材の他、鉄筋コンクリート製の部材等も使用される。
【0031】
梁1は全擁壁パネル5に跨った状態で、被支持面1Aにおいて支持面11に支持されることで、全擁壁パネル5からの荷重を等分布荷重として支持面11に伝達し、支持面11の全面に、梁1の全長に均等に分布する圧力を作用させる。特許文献7、8のように例えば1枚の擁壁パネル5が2本の補助支持装置を介して支持面11に支持される場合、各補助支持装置には集中荷重が作用し、各補助支持装置が負担する荷重がそのまま支持面11に集中荷重として伝達される。
【0032】
2本の補助支持装置が擁壁パネル5の重心から等しい距離にある場合、両補助支持装置に作用する荷重は原則的には等しいが、前記のような何らかの理由で等しくならない場合に、各補助支持装置の下面に作用する支持面11からの反力に差が生じ、擁壁パネル5が面内で傾斜を生じ得る。
【0033】
それに対し、本発明では梁1が全擁壁パネル5に跨ることで、梁1の全長が軸方向に一様に全擁壁パネル5の荷重を受けるため、仮に背面の充填材71の質量を含めた擁壁パネル5の重心が中心に位置しない場合にも、全擁壁パネル5の荷重は梁1の軸方向に均等になるか、均等になり易くなり、被支持面1Aから支持面11には実質的に等分布荷重として伝達されることになる。この結果、支持面11からの反力も梁1の軸方向に均等に作用するため、擁壁パネル5が面内で傾斜することは回避され易くなる。
【0034】
全擁壁パネル5の荷重が梁1の軸方向に均等に被支持面1Aから下向きに作用することは、梁1の被支持面1Aと支持面11との間に、特許文献7、8の複数本の補助支持装置2が設置される場合(請求項2)にも言える。この場合、梁1の被支持面1A下には等分布荷重が下向きに作用するため、その下に配置される複数本の補助支持装置2には等分布荷重を設置本数分で割った分の荷重が作用する。補助支持装置2は下部に、支持面11に面接触する被支持面3Aを有する。1本の補助支持装置2は少なくとも1枚の擁壁パネル5の荷重の一部を負担する能力を持つ。
【0035】
従って擁壁パネル5の立面上、例えば図4に示すように各擁壁パネル5の中心から梁1の軸方向に等距離の位置に2本の補助支持装置2、2が配置された場合、2本の補助支持装置2、2の軸線が立面上、擁壁パネル5の中心を通る鉛直線から等距離Lに位置することと、その距離Lと、梁1の軸方向の端部寄りに位置する補助支持装置2の軸線から擁壁パネル5の長さ方向の端部までの距離Lとが等しいことが満たされれば、全補助支持装置2に均等に擁壁パネル5の荷重が作用することになる。
【0036】
梁1の軸方向端部寄りに配置される補助支持装置2が分担する梁1からの荷重は、擁壁パネル5の端部から、梁1の中間部寄りに隣接する補助支持装置2との間の中間距離までの区間分、図4で言えば、2L分の分布荷重の合計になる。梁1の端部寄り以外の中間部に配置される補助支持装置2が分担する梁1からの荷重は、その補助支持装置2から梁1の軸方向両側寄りに隣接する2本の補助支持装置2までの間の中間距離間の区間(2L)分の分布荷重の合計になる。
【0037】
図4に示すように隣接する2本の補助支持装置2、2間の距離が2Lであるとした場合、端部寄りに配置される補助支持装置2から擁壁パネル5の端部までの距離がLであれば、全補助支持装置2が分担すべき梁1からの荷重は2L分の分布荷重になり、原則として等しくなる。
【0038】
「全擁壁パネルの荷重の少なくとも一部を負担可能な支柱を持つ補助支持装置」とは、補助支持装置2を構成する支柱21が擁壁パネル5の荷重の少なくとも一部を圧縮力として負担可能な能力を有することを言う。補助支持装置2は梁1の被支持面1Aと支持面11の間に介在する支柱21を基本の構成要素として有する。補助支持装置2が支柱21のみからなる場合、支柱21の下端には、下面が支持面11に面接触する被支持面3Aとなるプレートが接合される。
【0039】
図3は補助支持装置2として後述の昇降装置3付き支柱21を使用し、H型鋼の梁1の下に配置した場合の例を示している。この場合も、梁1と補助支持装置2(支柱21)に無用な応力を生じさせないためには、図1のように梁1の断面上の中心線の向きを上記のように設定した上で、支柱21の軸線が梁1のウェブ1cの中心線上に位置する等、少なくとも梁1の中心線と支柱21の軸線が平行になるように梁1と補助支持装置2が配置される。
【0040】
擁壁パネル5が何らかの理由で墨出しブロック4と共に、または墨出しブロック4から降下、または落下しようとした場合に、支柱21が擁壁パネル5の全荷重を負担したときに、擁壁パネル5が降下することがあった場合の備えとして、擁壁パネル5を墨出しブロック4に支持されていた元の位置に復元させるための昇降装置(ジャッキ)3が補助支持装置2として直列に接続されることもある。支柱21に昇降装置3が接続される場合、支柱21と昇降装置3が擁壁パネル5の荷重による圧縮力を負担し、昇降装置3が接続されない場合には、支柱21が圧縮力を負担する。
【0041】
梁1は下部に支持面11に面接触する被支持面1Aを有する断面形状をすれば、特に断面上の上部の形状は問われないが、上部に全擁壁パネル5の下端面が面接触する支持面1Bを有する断面形状をすれば(請求項3)、梁1自体が全擁壁パネル5を面で支持するため、全擁壁パネル5の支持状態での全擁壁パネル5の安定性が向上する。例えば擁壁パネル5の鉛直面に対する傾斜角度が小さい場合に、擁壁パネル5の縦断面上の重心(図心)を通る中心線が梁1の断面上の中心より縦断面上の表面側にある場合でも、擁壁パネル5の、降下や転倒に対する安定性が確保され易い。
【0042】
また梁1が全擁壁パネル5の下端に面接触する支持面1Bを有し、支持面1Bが全擁壁パネル5の下端を面で支持することで、擁壁パネル5を面内での傾斜に対して安定させることができる。その上、擁壁パネル5の下端面に作用する反力が分散するため、擁壁パネル5の下端面への損傷も回避され易い。
【発明の効果】
【0043】
地山に形成した支持面と、全擁壁パネルの下端との間に、下部に被支持面を有し、全擁壁パネルの荷重の少なくとも一部を負担可能な梁を配置し、梁を介して全擁壁パネルを支持面に支持させ、墨出しブロックに支持された状態にある全擁壁パネルを、支持面に支持された梁に補助的に支持させるため、梁の全長に軸方向に一様に全擁壁パネルの荷重を受ける状態にすることができる。
【0044】
従って背面の充填材の質量を含めた擁壁パネルの重心が中心に位置しない場合にも、全擁壁パネルの荷重を梁の軸方向に均等に作用させるか、均等に作用させ易くなるため、梁の被支持面から地山の支持面に実質的に等分布荷重として伝達させることができる。この結果、支持面からの反力も梁の軸方向に均等に作用するため、擁壁パネルが面内で傾斜することを回避し易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】(a)は擁壁パネルを墨出しブロックに支持させながら、地山の支持面上に設置された梁に擁壁パネルを補助的に支持させたときの様子を示した縦断面図、(b)は(a)の詳細例を示した破線円部分の拡大図である。
図2図1-(a)に示す擁壁パネルが長さ方向に3枚、配列したときの擁壁パネルの表面側を示した立面図である。
図3】(a)は擁壁パネルを墨出しブロックに支持させながら、擁壁パネルの下端面下に配置された梁と地山の支持面上に設置された補助支持装置に擁壁パネルを補助的に支持させたときの様子を示した縦断面図、(b)は(a)の詳細例を示した破線円部分の拡大図である。
図4図3-(a)に示す擁壁パネルが長さ方向に3枚、配列したときの擁壁パネルの表面側を示した立面図である。
図5】(a)は法面最上部の上部に沿った方向に配置される墨出しブロックの製作例を示した表面側(擁壁パネル側)の立面図、(b)は(a)のx-x線断面図である。
図6】(a)は図5-(a)に示す墨出しブロックの表面側を示した斜視図、(b)は(a)の墨出しブロックの背面側(法面側)を示した斜視図である。
図7】(a)は擁壁パネルの製作例を示した立面図であり、中心線の左側が表面側を、右側が背面側(法面側)を示している。(b)は(a)のx-x線断面図、(c)は(a)の平面図である。
図8】墨出しブロックに擁壁パネルを支持させた状態で、調整部材と引寄せ装置を用いて擁壁パネル下端部の高さを調整した様子を示した縦断面図である。
図9】(a)は地山を掘削し、法面を形成する様子を示した縦断面図、(b)は法面の最上部に墨出しブロックを固定する様子を示した縦断面図、(c)は墨出しブロックに支持させながら、最上段の擁壁パネルを設置する様子を示した縦断面図、(d)は擁壁パネルを地山に固定する補強材を地中に挿入するための削孔を形成し、補強材を挿入した様子を示した縦断面図である。
図10】(a)は擁壁パネルの背面と法面との間の空隙に充填材(裏込め材)を注入する様子を示した縦断面図、(b)は擁壁パネルの表面に突出した補強材の頭部を擁壁パネルに定着する様子を示した縦断面図、(c)は最上段の擁壁パネルの下段側に隣接して擁壁パネルを設置する場合の法面形成時の様子を示した縦断面図、(d)は新たに形成した法面に下段側の擁壁パネルを設置する様子を示した縦断面図である。
図11】(a)は図9-(c)に示す状況を示した斜視図、(b)は図10-(a)に示す状況を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図1-(a)は法面10の上部に配置され、法面10に固定される墨出しブロック4と、墨出しブロック4の下方に配置されて墨出しブロック4に支持される複数枚の擁壁パネル5とを備える法面安定化擁壁(以下、擁壁)6において、全擁壁パネル5の下に全擁壁パネル5を支持可能な梁1を配置し、梁1に全擁壁パネル5を補助的に支持させた支持構造の例を示す。梁1は全擁壁パネル5の荷重の少なくとも一部を負担可能な能力を持ち、全擁壁パネル5の下方寄りに対応した位置、またはその付近の地山に形成された支持面11と、擁壁パネル5の下端面との間に配置される。
【0047】
墨出しブロック4は軸方向を法面10の上部に沿った方向に向けて配置される。梁1は図2に示すように全擁壁5パネルに跨る長さを持ち、下部に支持面11に面接触する被支持面1Aを有し、被支持面1Aにおいて支持面11に支持されることで、全擁壁パネル5を支持面11に支持させる。梁1は補強材7の地中への定着が完了するまでの間、墨出しブロック4に支持された状態にある全擁壁パネル5を補助的に支持し、支持面11に支持させる。
【0048】
墨出しブロック4は例えば背面側から地山側へ突出する定着具43が地山中に埋設されることで、法面10に固定される。図面では墨出しブロック4の固定に定着具43を使用した場合の例を示しているが、墨出しブロック4は定着具43以外の手段を用いて法面10に固定されることもある。「背面側」は地山側を指す。擁壁6の設置(構築)状態で擁壁6の表面になる側を「表面側」と言う。図面では鉛直面に対して傾斜した法面10に擁壁6を構築する様子を示しているが、法面10は鉛直面の場合もある。法面10の頂部に沿った方向には墨出しブロック4は複数本、配列し、擁壁パネル5は墨出しブロック4の下に複数枚、配列する。
【0049】
擁壁パネル5は擁壁パネル5自身を厚さ方向に貫通し、地山中に埋設されて定着される補強材7の法面10から突出する頭部が擁壁パネル5に表面側から定着されることで、法面10に固定される。補強材7は後述するように地中に形成される、図9-(d)に示す削孔12内に充填されるグラウト材(充填材71)内に埋設され、削孔12内に定着される。墨出しブロック4は擁壁パネル5が補強材7で法面10に固定されるまでの間、一時的に擁壁パネル5を支持する。墨出しブロック4による擁壁パネル5の具体的な支持方法は後述する。
【0050】
梁1は被支持面1Aを持つ断面形状であれば、形態と材料を問わないが、主に形鋼等の鋼材か鉄筋コンクリート製の部材が使用される。形鋼であれば、梁1にはH型鋼、溝形鋼、角形鋼管、T形鋼等を十字形に組み合わせた鋼材等、少なくとも底面が被支持面1Aとなる下部フランジ1aと、下部フランジ1aの面外曲げ剛性を確保するウェブ1cを有する鋼材が適する。鉄筋コンクリート製部材であれば、方形断面形状の部材が適する。
【0051】
梁1が全擁壁パネル5を支持した状態での擁壁パネル5の降下(落下)や転倒に対する安定性を向上させる上では、梁1は特に上部に全擁壁パネル5の下端が面接触する支持面1Bを有する断面形状をすることが適切である。支持面1Bを有することは梁1が上部フランジ1bを有することであるから、形鋼であれば、上記のH型鋼等の使用が適する。梁1がH型鋼の場合、下部フランジ1aの下面が被支持面1Aになり、上部フランジ1bの上面が支持面1Bになる。
【0052】
梁1がH型鋼の場合、梁1は上下のフランジ1a、1bとウェブ1cに無用な応力を生じさせないようにする上では、原則として図1に示すようにウェブ1cの断面上の中心(図心)を通る成方向の中心線が、擁壁パネル5の断面上の中心を通る面内方向の中心線と平行になる状態で支持面11上に設置される。
【0053】
ウェブ1cの断面上の中心線が擁壁パネル5の断面上の中心線と平行でなければ、梁1自体が転倒し易くなる上、ウェブ1cと下部フランジ1aに偏心による捩じりモーメントを作用させることになる。ウェブ1cの断面上の中心を通る中心線が、擁壁パネル5の断面上の中心を通る中心線と同一直線上に位置すれば、ウェブ1cに偏心荷重を作用させないため、最も合理的な配置状態になる。
【0054】
図1に示すように擁壁パネル5(法面10)が鉛直面に対して傾斜する場合、擁壁パネル5の断面上の中心を通る中心線とウェブ1cの断面上の中心を通る中心線が平行になった状態で梁1が支持面11上に配置される場合、支持面11は被支持面1A(下部フランジ1a)と平行な面として整形される。言い換えれば、支持面11は擁壁パネル5の断面上の中心を通る中心線、及びウェブ1cの断面上の中心を通る中心線に垂直な平面をなすように整形される。
【0055】
この支持面11上に梁1の下部フランジ1aが直接、もしくは間接的に載置され、梁1は被支持面1Aにおいて支持面11に支持される。上部フランジ1bの上面である支持面1B上に擁壁パネル5の下端面が直接、もしくは間接的に載置される。支持面11がウェブ1cの中心線に垂直な場合、梁1は支持面11からの反力をウェブ1cの中心線の方向に受けることができる。
【0056】
上部フランジ1bの法面10側の一部が擁壁パネル5の背面から法面10側へ張り出す場合、その部分は擁壁パネル5の背面との法面10との間に充填される充填材71中に埋設される。擁壁パネル5が擁壁6の最下段である場合、後述する擁壁6の構築作業終了後、梁1は充填材71中や埋戻し土中に埋設される場合と回収される場合がある。
【0057】
図2は3枚の擁壁パネル5が長さ方向に隣接して配列した場合の1本の梁1による支持状態を示す。梁1は全擁壁パネル5に跨る長さを持ち、全擁壁パネル5の全長を支持する。基本的には梁1は全擁壁パネル5の全長以上の長さを持ち、全擁壁パネル5の全長を完全に支持するが、全長未満の場合もある。「全擁壁パネル5の全長」は図4に示す1枚の擁壁パネル5の長さ2Lの枚数分を言う。
【0058】
梁1は擁壁パネル5を支持した使用状態で1本化されていればよく、現場、またはその付近で複数本の梁構成材を軸方向に接合することで、梁1が製作されることもある。梁1の被支持面1Aは軸方向に連続するため、被支持面1Aから支持面11には、全擁壁パネル5の荷重が梁1の軸方向に均等に分布する等分布荷重が作用する。
【0059】
図2では特に梁1が全擁壁パネル5を完全に支持した状態で、地震動等による全擁壁パネル5と梁1との間に梁1の軸方向に相対移動が生じ得ることを想定し、相対移動が生じた場合での安定性確保のために、梁1の全長を全擁壁パネル5の全長より大きくし、全擁壁パネル5の全長に余長を加えた長さを梁1に与えている。
【0060】
図2に示す例では長さ方向に隣接する2枚の擁壁パネル5、5は両者間に跨る連結部材8が双方に接合されることで、隣接する擁壁パネル5、5の幅方向(高さ方向)の位置が統一されながら、長さ方向に整然と配列する。
【0061】
連結部材8は支持面11上での作業性より、擁壁パネル5の下方寄りの部分に配置される。連結部材8は例えば図2に示すように擁壁パネル5の下端部(下方側)の凸部58の表面に重なり、後述する調整部材9と同様、図8に示すように凸部58に埋設されているインサート54に螺入等するボルト81等により擁壁パネル5に接合される。
【0062】
連結部材8による隣接する擁壁パネル5、5の連結時には、各擁壁パネル5の、連結部材8と重複しない位置に接続され、後述の引寄せ装置91で法面10に固定される調整部材9を用いて各擁壁パネル5の下端部の位置が調整される。この調整により、各擁壁パネル5の法面10に対する高さが調整され、隣接する擁壁パネル5、5の幅方向の位置が統一される。
【0063】
調整部材9は上記のように擁壁パネル5の下端部の凸部58の表面に重なり、インサート54に螺入等するボルト81等により接合される。調整部材9には擁壁パネル5の設置角度を調整し、擁壁パネル5の下端部の高さを調整する引寄せ装置91を接続するための被吊り具(アイボルト)9aが接続される。
【0064】
引寄せ装置91は地山との間の引張力を直接、利用して擁壁パネル5の下端部を法面10側へ引き寄せるか、または引張力を反力として利用して擁壁パネル5の下端部を法面10側へ押し込む働きをする。引張力の反力を取る地山にはアンカーピン等の定着具43が定着される。引張力を利用する場合の引寄せ装置91としては図8に示すようなレバーブロック(登録商標)の使用が適する。
【0065】
レバーブロック(登録商標)の場合、チェーン91aの一端に接続されたフック91bが被吊り具9aに接続され、他端に接続されたフック91cが定着具43に接続された状態で、レバー91dを往復動させることで、チェーン91aに張力が付与される。チェーン91aへの張力導入に伴い、フック91b、91c間距離が短縮されて擁壁パネル5の下端部が法面10に接近し、擁壁パネル5の設置角度が調整され、同時に下端部の高さが調整される。
【0066】
図3図1における梁1の被支持面1Aと支持面11との間に、下部に支持面11に面接触する被支持面3Aを有し、全擁壁パネル5の荷重の少なくとも一部を負担可能な支柱21を持つ補助支持装置2を設置し、全擁壁パネル5を梁1を介し、支持面11に支持された補助支持装置2に補助的に支持させた場合の支持構造の例を示す。この例では全擁壁パネル5が梁1に支持された状態で、梁1がその軸方向に均等な間隔で配列した複数本の補助支持装置2に支持される。
【0067】
補助支持装置2(支柱21)は下端面の被支持面3Aにおいて支持面11に支持された状態で、補強材7の地中への定着が完了するまでの間、墨出しブロック4に支持された状態にある全擁壁パネル5を梁1と共に補助的に支持し、支持面11に支持させる。支柱21は墨出しブロック4と共に擁壁パネル5の荷重を負担する。補助支持装置2が支柱21のみからなる場合、支柱21が支持面11上で沈下しないよう、支柱21の下端面は、下面が被支持面3Aになるプレート(ベースプレート34)等により閉塞させられる。
【0068】
補助支持装置2の支柱21は擁壁パネル5を縦断面で見たときに、支柱21の軸線が擁壁パネル5の面内方向を向いた状態で支持面11上に設置される。前記のように梁1のウェブ1cの断面上の中心を通る中心線は、原則的に擁壁パネル5の断面上の中心を通る中心線と同一直線上に位置するように梁1は配置される。
【0069】
これに対応し、擁壁パネル5の荷重に起因する偏心による曲げモーメントを支柱21に発生させないようにする上では、原則として縦断面上、支柱21の軸線がウェブ1cの中心線と同一直線上に位置するように支柱21が梁1の下に配置される。この場合、支柱21の軸線は擁壁パネル5の断面上の中心を通る中心線と同一直線上に位置し、支柱21には擁壁パネル5から転倒させようとする力は作用せず、偏心による曲げモーメントも作用しない。
【0070】
支持面11は図1の例と同じく、擁壁パネル5の断面上の中心を通る中心線、及びウェブ1cの断面上の中心を通る中心線に垂直な平面をなすように整形される。梁1の下面である被支持面1Aには支柱21の上端面、または上端面に接合されるプレート等の上面が支持面として直接、もしくは間接的に接触する。
【0071】
支柱21には主に1本の、または互いに重なり、全体として伸縮し得るように組み合わせられる複数本の鋼管、または角形鋼管等の、主に筒状の鋼材等が使用される。図1に示すように昇降装置3が支柱21に直列に接続される場合には、支柱21は1本の鋼材等からも構成可能である。支柱21に昇降装置3が付属する場合にも、支柱21は複数本の鋼材等から全体として伸縮自在に構成されることもあるが、1本の鋼材等のみから構成されることもある。
【0072】
図1は昇降装置3がジャッキベース等、筒状の支柱21の内部に挿入可能な、外周面に雄ねじが形成された鋼棒等、鋼材の軸材31とこの雄ねじに螺入するハンドル33付きのナット32から構成される場合の例を示す。軸材31の上部は支柱21内に単純に挿入される。この場合、ハンドル33(ナット32)の軸回りの回転に伴い、ハンドル33が軸材31に対して昇降し、それに応じ、ハンドル33かナット32に支持された支柱21が昇降する。昇降装置3は軸材31の下端に接続、または接合されたベースプレート34において支持面11上に載置される。この場合、ベースプレート34の下面が被支持面3Aになる。
【0073】
この場合、ベースプレート34の被支持面3Aが支柱21の軸方向に垂直な面をなし、支持面11がベースプレート34の底面に平行であることで、上記のように支柱21が負担する擁壁パネル5の荷重に起因してベースプレート34が支持面11に沿って滑りを生じることもなく、支持面11からの反力を軸材31(支柱21)の軸方向に受けることができる。
【0074】
図3に示す例では支柱21の下側に下方から昇降装置3を接続している関係で、ベースプレート34が昇降装置3の軸材31の下面に接合されているが、昇降装置3が支柱21の軸方向中間部に接続されるような場合には、支柱21の下端に上記したプレートが接合される。
【0075】
図4は長さ方向に配列した図3-(a)に示す3枚の擁壁パネル5を支持した梁1が複数本の補助支持装置2に支持された状態にあるときの様子を示す。長さ方向に隣接する2枚の擁壁パネル5、5間に連結部材8が跨って双方に接合され、各擁壁パネル5の下端部に調整部材9が接合されていることは、図2の例と同様である。
【0076】
前記のように梁1の被支持面1A下には等分布荷重が下向きに作用することから、その下に配置される複数本の補助支持装置2が梁1の軸方向に均等な間隔で配列すれば、各補助支持装置2には梁1からの等分布荷重を設置本数分で割った分の荷重が作用する。
【0077】
例えば図4に示すように各擁壁パネル5の立面上の中心から梁1の軸方向に等距離Lの位置に2本の補助支持装置2、2を配置した場合に、隣接する2本の補助支持装置2、2間の中心間距離を2Lとし、梁1の端部寄りに配置される補助支持装置2から擁壁パネル5の端部までの距離をLにすれば、全補助支持装置2が分担すべき梁1からの荷重は2L分の分布荷重になり、原則として等しくすることができる。
【0078】
以下、墨出しブロック4と擁壁パネル5のそれぞれの具体的な形態と両者の組み合わせ構造を説明する。墨出しブロック4の表面側の下方側には図5図6に示すように表面側が凸となった、擁壁パネル5を擁壁パネル5の設置時に仮受け(仮支持)するための凸部41が形成される。墨出しブロック4は擁壁6を構成する擁壁パネル5に先行して法面10に設置され、固定されるため、墨出しブロック4の背面側からは地山中に挿入される定着具(アンカー)43が突設される。図6-(a)は図5-(a)に示す墨出しブロック4の表面をやや斜め上方から見た様子を、図6-(b)は背面をやや斜め上方から見た様子を示す。
【0079】
墨出しブロック4の表面側に凸部41が形成されることで、凸部41の上方には相対的に表面側が凹となった凹部42が形成される。墨出しブロック4を軸方向に見たときの縦断面上、凸部41と凹部42は図5-(b)、図1-(a)に示すように後述の擁壁パネル5の凸部52が墨出しブロック4の凸部41に下向きに係合したときに、凸部52が凹部42に、擁壁パネル5の凹部51が凸部41に擁壁パネル5の厚さ方向に嵌合するような形状に形成される。
【0080】
定着具43は例えば墨出しブロック4を後述のように揚重機13から吊り下げたまま法面10に対して位置決めした後に、墨出しブロック4の表面側から地中に打ち込まれる。定着具43の接続位置には、例えば図5-(a)、図6-(a)に示すように墨出しブロック4を厚さ方向に貫通する貫通孔44が形成され、定着具43は墨出しブロック4の表面側から貫通孔44に打ち込まれ、地中に挿入される。
【0081】
図5図8では墨出しブロック4の貫通孔44の凹部42側に、定着具43がアンカーピンのように、貫通孔44を貫通して地中に打ち込まれる定着部分と、定着部分に連続して屈曲し、墨出しブロック4に法面10側へ係止する係止部分を有するL字形状をする場合に、係止部分が入り込み、墨出しブロック4に係止する縦溝46を形成している。この場合、定着具43の係止部分は定着部分が地中に打ち込まれるに従い、縦溝46に法面10(地山)側へ係止することで、墨出しブロック4を法面10に押し付け、背面を法面に密着させる働きをする。
【0082】
図7-(b)に示すように擁壁パネル5の背面側の上方側(上方寄り)の、墨出しブロック4の凸部41に対応した位置には、背面側が凹となった凹部51が形成され、この凹部51の上に背面側が凸となり、墨出しブロック4の凹部42に重なる凸部52が形成される。
【0083】
擁壁パネル5の上方側の背面側は墨出しブロック4の表面側に対向して組み合わせられる、あるいは厚さ方向に重ね合わせられる。このとき、擁壁パネル5の凸部52が墨出しブロック4の凸部41に下方側へ係合することにより擁壁パネル5が墨出しブロック4に(仮)支持される。擁壁パネル5の凸部52は墨出しブロック4の凹部42に厚さ方向に嵌合し、墨出しブロック4の凸部41は擁壁パネル5の凹部51に厚さ方向に嵌合する。
【0084】
図9-(c)に示すように擁壁パネル5が墨出しブロック4に重なったときの、図5-(a)に示す墨出しブロック4の擁壁パネル5との接続用の、横向きのインサート45に対応した位置には、図7-(a)、図8に示すようにボルト81等が挿入、または螺入するための連結用孔53が擁壁パネル5の表面側から形成される。擁壁パネル5の表面側からは、図7-(a)、図10-(d)に示すように擁壁パネル5自身が吊り支持されるためのアイボルト等の被吊り具5Bが接続されるためのインサート54が埋設される。
【0085】
擁壁パネル3を表面側から、または背面側から見たときの立面上の中心部の1箇所、または幅方向の中心線付近の複数箇所には、図7図9に示すように地山中に埋設され、定着される補強材7が擁壁パネル5を厚さ方向に貫通するための挿通孔55が形成される。補強材7の、擁壁パネル5の表面から突出する頭部は擁壁パネル5表面の、挿通孔55の周囲に固定された図2に示す定着板5Cに定着される。
【0086】
擁壁パネル5にはまた、図7図8に示すように地山中に存在する雨水等の滞水を排出するための水抜き孔56が背面から表面まで貫通して形成される。水抜き孔56には、擁壁パネル5の設置状態で水抜き孔56の底になる部分が、擁壁パネル5の背面側から表面側へかけて水平に対して下向きに傾斜するような傾斜が付けられる。この他、擁壁パネル5には擁壁パネル5の表面側から背面と法面10との間の空隙中へ充填材71を充填(注入)するための注入孔59が擁壁パネル5を厚さ方向に貫通して形成される。
【0087】
以下、図9図10に基づき、法面10に沿った高さ方向に擁壁パネル5が2段、配列する場合の擁壁6を構築する施工手順例を説明する。以下の施工手順は並行する場合も前後する場合もある。擁壁パネル5は長さ方向には複数枚、配置される。
【0088】
図9-(a)に示すように地山を掘削し、構築すべき擁壁6、あるいは設置すべき擁壁パネル5の傾斜角度に応じた角度の法面10を形成する。法面10は少なくとも1段(1枚)の擁壁パネル5の高さ分に、梁1の高さ分、または梁1の高さと補助支持装置1の高さ(長さ)分を加えた深さ、形成される。その後、(b)に示すように法面10の最上部(上部)に、軸方向を水平方向等、法面10の上部に沿った方向に向けて墨出しブロック4を設置する。このとき、予め背面側に一体化して背面から突出している、または設置後に突出する定着具43を地山中に挿入し、固定する。
【0089】
墨出しブロック4の揚重機13による吊り込みは図9-(b)に示すように墨出しブロック4の上面側のインサート45に接続された被吊り具4Aを揚重機13のワイヤから吊り下げることにより行われる。墨出しブロック4の軸方向に複数本の墨出しブロック4を配列させる場合には、図12に示すようにこの時点で全墨出しブロック4が法面10に設置され、固定される。被吊り具4Aは墨出しブロック4の設置後に外される。
【0090】
墨出しブロック4の設置後、図9-(c)、図11-(a)に示すように被吊り具5Bが接続された擁壁パネル5を墨出しブロック4の表面側へ吊り込み、墨出しブロック4の凸部41に擁壁パネル5の上方側の凸部52を下方側へ係合させて擁壁パネル5を墨出しブロック4に支持させる。このとき、図9に示すように擁壁パネル5の連結用孔53はそれに対応する、墨出しブロック4表面側のインサート45に合致させられる。
【0091】
連結用孔53からはボルト81等が墨出しブロック4のインサート45に螺入等させられ、擁壁パネル5が墨出しブロック4に接合される。図9-(b)、または(c)の時点で図1に示す梁1が支持面11上に設置される。または図3に示す補助支持装置2が支持面11上に設置され、補助支持装置2上に梁1が設置される。梁1は全擁壁パネル5の下に配置される。図9-(c)の状況を図11-(a)に示す。梁1、または梁1と補助支持装置2は設置後から、後述の補強材7の頭部の擁壁パネル5表面への定着が完了するまでの間、直上の複数枚の擁壁パネル5の荷重を墨出しブロック4と共に負担する。
【0092】
その後、図9-(d)に示すように擁壁パネル5の挿通孔55を通じ、例えば二重管のケーシングパイプ等の削孔器具を用いて挿通孔55を挿通する補強材7を挿入するための削孔12が形成される。削孔12内への補強材7の挿入後、もしくは挿入前、または同時に削孔12内にモルタル等のグラウト材が充填され、グラウト材の硬化によって補強材7が削孔12内(グラウト材中)に定着される。
【0093】
補強材7の軸方向先端部は削孔12中へのグラウト材の注入等により削孔12内で定着され、補強材7に軸方向に引張力を与えられた状態で、後述のように擁壁パネル5の表面に突出する頭部が擁壁パネル5表面の定着板5Cに定着されることで、地山に圧縮力を加え、擁壁パネル5を法面10に密着させた状態に保つ。
【0094】
擁壁パネル5を墨出しブロック4に支持させた時点で、または墨出しブロック4に接合した時点で1段分の擁壁パネル5の設置が完了するが、擁壁パネル5の設置状態での安定性を確保する目的で、図10-(a)に示すように前記の擁壁パネル5の注入孔59を通じて擁壁パネル5の背面と法面10との間の空隙に充填材71が充填(注入)され、擁壁パネル5が法面10に固定される。
【0095】
このとき、挿通孔55からの充填材71の漏れ出しを防止するために、図8に示すように挿通孔55には弾性変形可能な閉塞材5Dが擁壁パネル5の表面側から暫定的に挿入される。閉塞材5Dは充填材71の充填後に回収される。擁壁パネル5が法面10に固定された時点で、梁1、または梁1と補助支持装置2は1段目の支持面11から回収され、新たに下段側に形成される支持面11上に、下段側の擁壁パネル5の設置前、または設置後に設置される。図10-(a)の状況を図11-(b)に示す。
【0096】
充填材71は補強材7が挿入された削孔12内に充填されるグラウト材と実質的に同一材料である。擁壁パネル5の背面には図7図8に示すように充填材71の充填領域を区画し、充填領域からの充填材71の漏れ(充填材71の無秩序な流出)を阻止するための止液材(シール材)5Aが固定されているため、削孔12内へのグラウト材の充填時に充填材としてのグラウト材を削孔12内から溢れ(流出)させて擁壁パネル5の背面側へ回り込ませることもある。その場合、図10-(a)に示す工程は省略される。
【0097】
擁壁パネル5の法面10への固定後、図10-(b)に示すように挿通孔55を貫通し、擁壁パネル5の表面側へ突出する補強材7の頭部が挿通孔55の周囲に設置された、図3に示す定着板5C等にナット等を用いて定着させられる。擁壁6が墨出しブロック4と1段の擁壁パネル5のみから構成される場合には、図10-(b)の作業が終了した時点で施工(擁壁6の構築作業)は終了する。
【0098】
図10-(d)に示す擁壁パネル5の下段側に擁壁パネル5を配列させる場合には、図10-(c)に示すように最上段の擁壁パネル5の下方の地山が掘削され、その下段側の擁壁パネル5を設置するための法面10と支持面11が形成される。この場合、前記のように図10-(d)に示すように擁壁パネル5表面側の下方側の、擁壁パネル5の上方側の凸部52に対応した位置に凹部57が形成され、凹部57の下に凹部51に対応した凸部58が形成される。
【0099】
下段側の擁壁パネル5設置用の法面10の形成後、図10-(d)に示すように下段側の擁壁パネル5の上方側の背面が上段側の擁壁パネル5の下方側の表面に対向して組み合わせられる。下段側の擁壁パネル5の上方側の凸部52は上段側の擁壁パネル5の下方側の凹部57に嵌合等しながら凸部58に下方側へ係合し、下段側の擁壁パネル5が上段側の擁壁パネル5に支持される。
【0100】
その後、下段側の擁壁パネル5の補強材7による法面10への固定、下段側の擁壁パネル5の背面側への充填材7の充填、下段側の擁壁パネル5を挿通した補強材4の頭部の擁壁パネル5への定着の作業が終了した時点で、2段の擁壁パネル5、5からなる擁壁6の構築が終了する。擁壁パネル5が3段以上、配列する場合には更に図10-(d)以下の作業が繰り返される。
【符号の説明】
【0101】
1……梁、1a……下部フランジ、1A……被支持面、1b……上部フランジ、1B……支持面、1c……ウェブ、
2……補助支持装置、21……支柱、
3……昇降装置、31……軸材、32……ナット、33……ハンドル、34……ベースプレート、3A……被支持面、
4……墨出しブロック、41……凸部、42……凹部、43……定着具、44……貫通孔、45……インサート、46……縦溝、4A……被吊り具、
5……擁壁パネル、51……(上方側の)凹部、52……(上方側の)凸部、53……連結用孔、54……インサート、55……挿通孔、56……水抜き孔、57……(下方側の)凹部、58……(下方側の)凸部、59……注入孔、
5A……止液材、5B……被吊り具、5C……定着板、5D……閉塞材、
6……法面安定化擁壁、
7……補強材、71……充填材、
8……連結部材、81……ボルト、
9……調整部材、9a……被吊り具、
91……引寄せ装置、91a……チェーン、91b……フック、91c……フック、91d……レバー、
10……法面、
11……支持面、
12……削孔、
13……揚重機。
【要約】
【課題】法面の安定化の目的で、法面に沿って配列し、擁壁を構成する擁壁パネルを設置完了まで仮支持する墨出しブロックが擁壁パネルを支持する能力を失った場合等に備え、擁壁パネルの下に配置される梁に擁壁パネルを補助的に支持させる。
【解決手段】複数枚の全擁壁パネル5の下方寄りに対応した位置、またはその付近の地山に形成された支持面11と、全擁壁パネル5の下端との間に、全擁壁パネル5に跨り、下部に被支持面1Aを有し、全擁壁パネル5の荷重の少なくとも一部を負担可能な梁1を配置して全擁壁パネル5を梁1を介して支持面11に支持させ、頭部が擁壁パネル5に定着される補強材7の地中への定着が完了するまでの間、墨出しブロック4に支持された状態にある全擁壁パネル5を、支持面11に支持された梁1に補助的に支持させる。
【選択図】図1
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