(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】運行管理支援装置、運行管理支援方法及び運行管理支援プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/40 20240101AFI20240917BHJP
G06Q 10/0631 20230101ALI20240917BHJP
【FI】
G06Q50/40
G06Q10/0631
(21)【出願番号】P 2019016326
(22)【出願日】2019-01-31
【審査請求日】2022-01-14
【審判番号】
【審判請求日】2023-12-04
(73)【特許権者】
【識別番号】510084297
【氏名又は名称】株式会社ブロードリーフ
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【氏名又は名称】秋山 敦
(72)【発明者】
【氏名】山崎 陽介
(72)【発明者】
【氏名】向田 智昭
(72)【発明者】
【氏名】木下 大勝
(72)【発明者】
【氏名】市橋 良祐
【合議体】
【審判長】伏本 正典
【審判官】松田 直也
【審判官】下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-27684(JP,A)
【文献】特開2018-84935(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗り物の運行管理を支援するための運行管理支援装置であって、
前記乗り物の運行日程と、該運行日程において対応可能な前記乗り物の運転者の候補との対応関係を示す運転者候補データを記憶する記憶部と、
ユーザー操作により入力された複数の運行日に及ぶ前記運行日程を表示画面に表示させる運行日程表示部と、
入力された前記運行日程をキーとして前記運転者候補データをもとに候補となる複数の運転者を表示画面に提示する運転者候補提示部と、
候補となる複数の運転者
の中から、ユーザー操作により複数の運転者の選択を受け付けて、前記運行日程の運行日毎に割り当てられたメイン運転者及びサブ運転者の組み合わせを表示画面に表示させる運転者割り当て表示部と、
割り当てられた前記メイン運転者及びサブ運転者の組み合わせ毎に、前記運行日程において運行を担当する運行日が示された内容を含む業務書類データを作成し、該業務書類データを前記表示画面に提示する業務書類提示部と、を備え、
前記業務書類提示部は、前記メイン運転者及びサブ運転者の組み合わせ毎
に前記業務書類データを作成する運行管理支援装置。
【請求項2】
ユーザー操作の入力を受け付けて、前記運行日程の運行日に割り当てられた前記メイン運転者及びサブ運転者それぞれの拘束時間、運転時間、及び実車距離を予測する時間/距離予測部と、
割り当てられた前記メイン運転者及びサブ運転者それぞれに、予測され
た前記拘束時間、運転時間、及び実車距離のいずれかが、所定の労働基準に基づいた所定の閾値を超えているか否かを判定する閾値判定部と、
割り当てられた前記メイン運転者及びサブ運転者のうち、前記拘束時間、運転時間、及び実車距離のいずれかが前記所定の閾値を超えている場合に、表示画面に所定の労働基準に基づいた前記所定の閾値を超えていることをユーザー報知するユーザー報知部と、をさらに備えている、請求項1に記載の運行管理支援装置。
【請求項3】
乗り物の運行管理を支援するための運行管理支援方法であって、
前記乗り物の運行日程と、該運行日程において対応可能な前記乗り物の運転者の候補との対応関係を示す運転者候補データを記憶する記憶部を備えたコンピュータが、
ユーザー操作により入力された複数の運行日に及ぶ前記運行日程を表示画面に表示させる運行日程表示工程と、
入力された前記運行日程をキーとして前記運転者候補データをもとに候補となる複数の運転者を表示画面に提示する運転者候補提示工程と、
候補となる複数の運転者
の中から、ユーザー操作により複数の運転者の選択を受け付けて、前記運行日程の運行日毎に割り当てられたメイン運転者及びサブ運転者の組み合わせを表示画面に表示させる運転者割り当て表示工程と、
割り当てられた前記メイン運転者及びサブ運転者の組み合わせ毎に、前記運行日程において運行を担当する運行日が示された内容を含む業務書類データを作成し、該業務書類データを表示画面に提示する業務書類提示工程と、を実行し、
前記業務書類提示工程では、前記メイン運転者及びサブ運転者の組み合わせ毎
に前記業務書類データを作成する運行管理支援方法。
【請求項4】
乗り物の運行管理を支援するための運行管理支援装置としてのコンピュータに、
ユーザー操作により入力された複数の運行日に及ぶ運行日程を表示画面に表示させる運行日程表示処理と、
入力された前記運行日程をキーとして、前記乗り物の運行日程と、該運行日程において対応可能な前記乗り物の運転者の候補との対応関係を示す運転者候補データをもとに候補となる複数の運転者を表示画面に提示する運転者候補提示処理と、
候補となる複数の運転者
の中から、ユーザー操作により複数の運転者の選択を受け付けて、前記運行日程の運行日毎に割り当てられたメイン運転者及びサブ運転者の組み合わせを表示画面に表示させる運転者割り当て表示処理と、
割り当てられた前記メイン運転者及びサブ運転者の組み合わせ毎に、前記運行日程において運行を担当する運行日が示された内容を含む業務書類データを作成し、該業務書類データを表示画面に提示する業務書類提示処理と、を実行させ、
前記業務書類提示処理では、前記メイン運転者及びサブ運転者の組み合わせ毎
に前記業務書類データを作成する運行管理支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運行管理支援装置、運行管理支援方法及び運行管理支援プログラムに係り、特に、乗り物の運行管理に関する業務書類の作成を支援するための運行管理支援装置、運行管理支援方法及び運行管理支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バスの予約受付から運行指示書や配車予定表の作成、日報や運行実績表の管理までインターネット上で一括して管理、閲覧することが可能なバス運行管理システムが知られている。当該システムの中には、観光施設データや時刻表データ、有料道路料金データ等の各種データを記憶しておき、出発地から目的地までの移動距離、移動時間及び移動経路のほか、移動運賃を自動計算することができる等、新たな付加価値を備えたものが提案されているところである(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の運行管理方法では、タコグラフの設置が義務付けされたタクシーやバス、トラック等の運送業者の運転者が労働基準法を遵守した状態で運行計画を実行することができることが開示されている。
具体的には、運行計画を作成する運行計画作成工程と、作成された運行計画の所要時間をユーザー端末に記録された過去の運行情報から算出し、運行計画が労働基準法を遵守しているか否かを判定する運行計画判定工程と、複数の運転者の候補から、労働基準法を遵守した状態で実行できる運転者を一人選択する運転者選択工程と、から構成されている。
そして、最適な運行計画及び運転者が選択された後、運転者の氏名と運行計画とが表示された運行指示書を出力することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年では国内旅行業界において客層の変化が生じており、具体的には外国人旅行客の急増に伴って比較的長期のバス旅行ツアーの需要が増えてきている。
そうした中で、バス運転者による交通事故の発生を防止すべく、運転者の労働条件の改善を図ることが重要となっており、例えば労働大臣告示「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」等が告知されているところである。
そのため、バス旅行ツアーにおいて複数日に及ぶ運行日程の場合には、原則として運行管理者が運行指示書を2部(正副)作成した上で、運行指示書(正)をバス運転者に携帯させて、運行指示書(副)を運行管理者側で保管しておく必要があるほか、一人ではなく複数人の運転者によって運行業務が遂行される必要がある。
【0006】
上記のような状況において、特許文献1のような従来のバス運行管理システムでは、1件の旅行行程に対して通常1件の運行指示書を作成するシステムとなっていたため、複数日に及ぶ運行日程の場合に、各運転者にとってどの運行日が自分の担当日になるのか把握することが比較的困難であった。そのため、実務的には、出力された運行指示書に対して各運転者が手書きで自分の担当日に印を付したり、運行管理者が運転者の人数分だけ同じ旅行行程のデータを作成する等して対応していた。
従って、各運転者及び運行管理者にとって業務上必要となる情報が記入された運行指示書(運行管理に関する業務書類)の作成を支援することが可能な運行管理支援装置が求められていた。
【0007】
また、複数日に及ぶ運行日程において複数の運転者が関与する場合において、運転者毎に、上記のような労働基準に従った拘束時間、運転時間、及び実車距離の条件を満たしているかチェックする機能を兼ね備えた運行管理支援装置が求められていた。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、複数日に及ぶ運行日程において複数の運転者が関与する場合に、各運転者及び運行管理者にとって業務上必要な情報が記入された業務書類(特に運行指示書)の作成を支援可能な運行管理支援装置、運行管理支援方法及び運行管理支援プログラムを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、運行日程において複数の運転者が関与する場合であっても、運転者毎に労務管理する機能を兼ね備えた運行管理支援装置、運行管理支援方法及び運行管理支援プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題は、本発明の運行管理支援装置によれば、乗り物の運行管理を支援するための運行管理支援装置であって、前記乗り物の運行日程と、該運行日程において対応可能な前記乗り物の運転者の候補との対応関係を示す運転者候補データを記憶する記憶部と、ユーザー操作により入力された複数の運行日に及ぶ前記運行日程を表示画面に表示させる運行日程表示部と、入力された前記運行日程をキーとして前記運転者候補データをもとに候補となる複数の運転者を表示画面に提示する運転者候補提示部と、候補となる複数の運転者の中から、ユーザー操作により複数の運転者の選択を受け付けて、前記運行日程の運行日毎に割り当てられたメイン運転者及びサブ運転者の組み合わせを表示画面に表示させる運転者割り当て表示部と、割り当てられた前記メイン運転者及びサブ運転者の組み合わせ毎に、前記運行日程において運行を担当する運行日が示された内容を含む業務書類データを作成し、該業務書類データを前記表示画面に提示する業務書類提示部と、を備え、前記業務書類提示部は、前記メイン運転者及びサブ運転者の組み合わせ毎に前記業務書類データを作成すること、により解決される。
上記構成により、複数日に及ぶ運行日程において複数の運転者が関与する場合であっても、割り当てられた運転者毎に、運行日程において各自が運行業務を担当する担当日が示された内容を含む業務書類データを作成することができる。そのため、各運転者及び運行管理者にとって業務上必要な情報が記入された業務書類の作成を支援可能な運行管理支援装置を実現することができる。
【0011】
このとき、ユーザー操作の入力を受け付けて、前記運行日程の運行日に割り当てられた前記メイン運転者及びサブ運転者それぞれの拘束時間、運転時間、及び実車距離を予測する時間/距離予測部と、割り当てられた前記メイン運転者及びサブ運転者それぞれに、予測された前記拘束時間、運転時間、及び実車距離のいずれかが、所定の労働基準に基づいた所定の閾値を超えているか否かを判定する閾値判定部と、割り当てられた前記メイン運転者及びサブ運転者のうち、前記拘束時間、運転時間、及び実車距離のいずれかが前記所定の閾値を超えている場合に、表示画面に所定の労働基準に基づいた前記所定の閾値を超えていることをユーザー報知するユーザー報知部と、をさらに備えていると良い。
上記構成により、運行日程において複数の運転者が関与する場合であっても、割り当てられた運転者毎に労務管理する機能を兼ね備えた運行管理支援装置を実現できる。
【0013】
また、乗り物の運行管理を支援するための運行管理支援方法であって、前記乗り物の運行日程と、該運行日程において対応可能な前記乗り物の運転者の候補との対応関係を示す運転者候補データを記憶する記憶部を備えたコンピュータが、ユーザー操作により入力された複数の運行日に及ぶ前記運行日程を表示画面に表示させる運行日程表示工程と、入力された前記運行日程をキーとして前記運転者候補データをもとに候補となる複数の運転者を表示画面に提示する運転者候補提示工程と、候補となる複数の運転者の中から、ユーザー操作により複数の運転者の選択を受け付けて、前記運行日程の運行日毎に割り当てられたメイン運転者及びサブ運転者の組み合わせを表示画面に表示させる運転者割り当て表示工程と、割り当てられた前記メイン運転者及びサブ運転者の組み合わせ毎に、前記運行日程において運行を担当する運行日が示された内容を含む業務書類データを作成し、該業務書類データを表示画面に提示する業務書類提示工程と、を実行し、前記業務書類提示工程では、前記メイン運転者及びサブ運転者の組み合わせ毎に前記業務書類データを作成する運行管理支援方法も実現できる。
【0014】
また、乗り物の運行管理を支援するための運行管理支援装置としてのコンピュータに、ユーザー操作により入力された複数の運行日に及ぶ運行日程を表示画面に表示させる運行日程表示処理と、入力された前記運行日程をキーとして、前記乗り物の運行日程と、該運行日程において対応可能な前記乗り物の運転者の候補との対応関係を示す運転者候補データをもとに候補となる複数の運転者を表示画面に提示する運転者候補提示処理と、候補となる複数の運転者の中から、ユーザー操作により複数の運転者の選択を受け付けて、前記運行日程の運行日毎に割り当てられたメイン運転者及びサブ運転者の組み合わせを表示画面に表示させる運転者割り当て表示処理と、割り当てられた前記メイン運転者及びサブ運転者の組み合わせ毎に、前記運行日程において運行を担当する運行日が示された内容を含む業務書類データを作成し、該業務書類データを表示画面に提示する業務書類提示処理と、を実行させ、前記業務書類提示処理では、前記メイン運転者及びサブ運転者の組み合わせ毎に前記業務書類データを作成する運行管理支援プログラムも実現できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の運行管理支援装置、運行管理支援方法及び運行管理支援プログラムによれば、複数日に及ぶ運行日程において複数の運転者が関与する場合に、各運転者及び運行管理者にとって業務上必要な情報が記入された業務書類(特に運行指示書)の作成を支援することができる。
また、運行日程において複数の運転者が関与する場合であっても、運転者毎に労務管理する機能を兼ね備えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明にかかる運行管理支援システム全体の構成図である。
【
図2】運行管理支援装置及びユーザー端末のソフト構成図である。
【
図3】運行日程表示処理、車両候補提示処理の一例を示す図である。
【
図5】運転者割り当て表示処理の一例を示す図である。
【
図6】労務管理チェック処理の一例を示す図である。
【
図7】運行指示書データに関する業務書類提示処理の一例を示す図である。
【
図8】点呼記録簿データに関する業務書類提示処理の一例を示す図である。
【
図9】本発明にかかる運行管理支援プログラムの処理の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る実施形態について
図1~
図9を参照して説明する。
本実施形態は、バス運行管理に関する業務書類の作成を支援するための運行管理支援装置であって、バスの運行日程と、運行日程において対応可能なバスの運転者の候補との対応関係を示す運転者候補データを記憶する記憶部と、ユーザー操作の入力を受け付けて、入力された複数日に及ぶ運行日程をユーザー端末の表示画面上に表示させる運行日程表示部と、入力された運行日程をキーとして運転者候補データを参照し、候補となる複数の運転者を表示画面上に提示する運転者候補提示部と、提示された運転者の候補から、ユーザー操作による所定の運転者の選択を受け付けて、運行日程において運行日毎に割り当てられた運転者を表示画面上に表示させる運転者割り当て表示部と、割り当てられた運転者毎に、運行日程において各自が運行業務を担当する担当日が示された内容を含む業務書類データを作成した上で、業務書類データを表示画面上に提示する業務書類提示部と、を備えていることを特徴とする発明に関するものである。
【0018】
本実施形態となる運行管理支援システムS全体の構成を
図1に示す。
運行管理支援システムSは、車両の運行管理に関する業務書類(業務書類データ)の作成を支援するための運行管理支援装置1と、運行管理支援装置1とネットワークを通じて接続され、車両の運行管理者や運転者等のユーザーによって保有されるユーザー端末100と、から主に構成されている。
ここで「業務書類」とは、運行業務前に必要な書類となる見積書や手配書、運行指示書、配車予定表、点呼記録簿等のほか、運行業務後に必要な書類となる運転日報や日報一覧表、乗務員実績一覧表等、また売上業務において必要な請求書等が含まれるものである。
【0019】
運行管理支援装置1は、ネットワークを介して接続されるユーザー端末100に対して、ソフトウェアサービスを提供するクラウドサーバーである。
具体的には、運行管理業務に関するソフトウェアサービスをユーザー端末100に対して提供するものである。詳しく述べると、ユーザー端末100に対して運行管理に関する業務書類作成画面(以下、書類作成画面)を提示し、ユーザー操作の入力又は選択を受け付けて書類作成画面を更新させて、ユーザーが種々の業務書類データを効率良く作成できるように支援する。
また、運行管理支援装置1は、顧客となる運行管理者や運転者から入手した種々の顧客データを管理しておくための顧客管理用データサーバーとしての機能と、運行管理に関する業務書類作成を支援するための各種プログラム及び各種データを管理しておくための業務書類作成用データサーバーとしての機能と、を有している。
【0020】
ユーザー端末100は、運行管理者等のユーザーによって操作される情報端末であって、具体的には、PC、タブレット端末、スマートフォン等のコンピュータである。
ユーザー端末100は、運行管理支援装置1とネットワークを介して接続され、運行管理支援装置1からソフトウェアサービスの提供を受けるものである。
具体的には、ユーザー操作による車両の運行日程や車両情報、運転者情報等の入力又は選択を受け付けて、表示画面上で種々の業務書類データを作成することができ、完成した業務書類データを業務書類として出力することができる。
【0021】
<運行管理支援装置のハード構成>
運行管理支援装置1は、データの演算・制御処理装置としてのCPUと、記憶装置としてのROM、RAM、及びHDD(SSD)と、ホームネットワーク又はインターネットを通じて情報データの送受信を行う通信用インタフェースとを備えたコンピュータである。
また、運行管理支援装置1は、所定の書式で表示される文字又は画像の情報を表示する表示装置と、CPUに所定の指令を入力するときユーザー入力操作される入力装置と、外付けハードディスク等の記憶媒体装置と、文字又は画像の情報を出力する印刷装置と、をさらに備えている。
なお、ユーザー端末100についても同様のハード構成を備えたコンピュータである。
【0022】
運行管理支援装置1のROM、HDD、及び外部記憶装置には、
図2に示すように、コンピュータとして必要な機能を果たすメインプログラムに加えて、運行管理支援プログラムが記憶されており、これらプログラムがCPUによって実行されることにより、運行管理支援装置1の機能が発揮されることになる。
【0023】
<運行管理支援装置のソフト構成>
運行管理支援装置1は、
図2に示すように、機能面から説明すると、不図示の「車両候補データ」、「運転者候補データ」、「労務管理データ」、
図7に示す「運行指示書データ」、
図8に示す「点呼記録簿データ」等、各種プログラム及び各種データを記憶しておく記憶部10と、運行日程表示部11と、車両候補提示部12と、運転者候補提示部13と、運転者割り当て表示部14と、労務管理チェック部15と、業務書類提示部16と、を主な構成要素として備えている。
これらは、CPU、ROM、RAM、HDD、通信用インタフェース、及び各種プログラム等によって構成されている。
【0024】
なお、ユーザー端末100についても機能面から説明すると、各種プログラム及び各種データを保持して格納しておく記憶部110と、運行管理支援装置1に向けて各種データを発信するデータ発信部111と、各種データを受信するデータ受信部112と、を主な構成要素として備えている。
【0025】
記憶部10に記憶される「車両候補データ」は、車両の運行日程と、予め登録された車両の中から当該運行日程において対応可能な車両の候補との対応関係を示すテーブルデータである。また「運転者候補データ」は、車両の運行日程と、予め登録された運転者の中から当該運行日程において対応可能な運転者の候補との対応関係を示すテーブルデータである。
これら「車両候補データ」、「運転者候補データ」は、ユーザー操作による所定の車両及び運転者の予約、予約キャンセル等の入力を受け付けたときに随時アップデートされるものであって、所定の運行日(運行日程)に対する所定の車両及び運転者の空き状況の情報が一元管理されたデータである。
これらデータを参照することで、例えば、所定の運行日程において対応可能な車両、運転者の候補をユーザー端末100の表示画面上に提示する機能を利用できる。
【0026】
「労務管理データ」は、運転者の労務管理に関する情報が一元管理されたデータであって、当該労務管理データを参照することで、例えば、所定の運行日程において所定の運転者の労務管理をチェックする機能を利用できる。
労務管理に関する情報は、例えば、労働大臣告示「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」や国土交通省告示「貸切バス交替運転者の配置基準」に基づいて作成されており、具体的には以下の通りである。
『拘束時間』
4週間を平均し、1週間当たり65時間を超えてはならない。労使協定がある場合には、71.5時間まで延長可能。
4週の拘束時間は260時間を超えてはならない。労使協定がある場合には、286時間まで延長可能。
1日の拘束時間は13時間を超えてはならない。ただし、16時間までは延長可能。
15時間を超える勤務は、1週間に2回を越えてはならない。
『運転時間』
4週間を平均し、1週間当たり40時間を超えてはならない。労使協定がある場合には、44時間まで延長可能。
2日を平均し、1日当たり9時間を超えてはならない。
『休日取扱』
休日の1日目は30時間以上、連休2日目以降は24時間以上の連続した時間を確保しなければならない。
『実車距離』
実車距離は、原則500kmを超えてはならない。ただし、600kmまで延長可能。
【0027】
「運行指示書データ」は、
図7に示すように、運行管理者によって作成され、運転者に対し運行日程の詳細を指示するための業務書類データであって、所定の運行日程において複数の運転者が関与する場合には、割り当てられた運転者毎に作成されるものである。
詳しく述べると、運行指示書データには、主に「台帳ナンバー」「運行日程」、「始業/出庫時刻」、「配車時刻/配車場所」、「出発時刻」、「到着時刻/到着場所」、「運行日程の詳細(主な経由地、予定時間、宿泊場所)」、「車両情報」、「運転者」、及び「ガイド」等の情報が含まれている。
図7の本実施例を見ると、本運行日程に対して2つの運行指示書データが作成されていることが分かる。具体的には、左側の運行指示書データでは、運行日程「2019年1月14日(月)~1月16日(水)」、車両番号「品川200 あ、大型 40人乗り」、メイン運転者「運転 一郎」、サブ運転者「運転 二郎」、及びガイド「案内 一子」等が設定されていることが分かる。特に、運行日程の詳細では、各運転者が運行業務を担当する担当日を示すが内容として、1月14日(月)及び16日(水)の運行日において「運行」の表示が設定されている。
一方で、右側の運行指示書データでは、運行日程、車両番号及びガイド等については同様の設定がなされているところ、メイン運転者「運転 三郎」、サブ運転者「運転 四郎」そして運行日程の詳細では、1月15日(火)の運行日において「運行」の表示が設定されている点が異なっている。
すなわち、運転者(メイン運転者)毎に、正確に言えば、メイン運転者及びサブ運転者の組み合わせ毎に運行指示書データが作成されており、かつ、当該運行指示書データには、割り当てられた各運転者(運転者の組み合わせ)が運行業務を担当する担当日が明示された内容が含まれている。
【0028】
「点呼記録簿データ」は、
図8に示すように、運行管理者によって作成され、運転者に対し乗務前点呼、乗務後点呼、必要に応じて中間点呼が実施された内容を記録するための業務書類データであって、運行日毎に作成されるものである。
詳しく述べると、点呼記録簿データには、主に「運行日」、「始業/出庫時刻」、「配車時刻/配車場所」、「運転者」及び「(乗務前)点呼時間/点呼結果」等の情報が含まれている。
図8の本実施例を見ると、本運行日程(1月14日(月)~1月16日(水))に対して運行日毎に3つの点呼記録簿データが作成されていることが分かる。具体的には、一番上側の点呼記録簿データでは、運行日「2019年1月14日(月)」、メイン運転者「運転 一郎」、サブ運転者「運転 二郎」、点呼時間「―」、点呼結果「―」等が設定されていることが分かる。
また、中央の点呼記録簿データでは、運行日「2019年1月15日(火)」、メイン運転者「運転 三郎」、サブ運転者「運転 四郎」等が設定されていることが分かる。
すなわち、点呼記録簿データにおいては、複数日に及ぶ運行日程において複数の運転者が関与する場合であっても、運行日毎に割り当てられた各運転者の情報が反映されて記入されていることが分かる。
【0029】
運行日程表示部11は、ユーザー操作の入力を受け付けて、入力された運行日程をユーザー端末100の表示画面上に表示させるものである。
具体的には、
図3に示す書類作成画面において、まずユーザー操作による表示項目「運行日程」の選択を受け付けて、当該項目の中の空白セルをアクティブにする。
そして、ユーザー操作による所定の運行日程の入力を受け付けて、入力された当該運行日程の内容を当該アクティブセルに表示させる。
図3の本実施例を見ると、運行日程「2019年1月14日(月)~1月16日(水)」が表示されていることが分かる。
【0030】
車両候補提示部12は、ユーザー入力された上記運行日程をキーとして、不図示の「車両候補データ」を参照し、複数の車両の候補をユーザー端末100の表示画面上に提示するものである。
具体的には、
図3に示す書類作成画面において、上記運行日程のユーザー入力がなされた後、ユーザー操作による表示ボタン「空き状況」の選択を受け付けると、不図示の「車両候補データ」を参照し、予め登録された車両の中から当該運行日程において対応可能な車両の候補をポップアップ表示させるように提示する。
図3の本実施例を見ると、本運行日程において対応可能なバスの候補が一覧表示されており、また一番先頭に表示された社番「0001」、プレートNо.「品川200 あ」、車種「大型」の車両がユーザー操作によって選択され、割り当てられたことが分かる。
【0031】
運転者候補提示部13は、ユーザー入力された上記運行日程をキーとして、不図示の「運転者候補データ」を参照し、複数の運転者の候補をユーザー端末100の表示画面上に提示するものである。
具体的には、
図4に示す書類作成画面において、上記運行日程のユーザー入力、上記車両のユーザー選択がなされた後、ユーザー操作による表示項目「メイン運転者」における表示ボタン「?」の選択を受け付けて、不図示の「運転者候補データ」を参照し、予め登録された運転者の中から対応可能な運転者の候補をポップアップ表示させるように提示する。
図4の本実施例を見ると、本運行日程、本車両において対応可能な運転者の候補が一覧表示されており、一番先頭にはコード「0001」、運転者「運転 一郎」、二番目にはコード「0002」、運転者「運転 二郎」等がメイン運転者の候補として提示されていることが分かる。
なお、所定の車両と、当該車両の運転担当者(運転専任者)との対応関係を示すテーブルデータ(車両/運転者対応データ)を予め記憶しておくことで、例えば、上記車両のユーザー選択がなされれば、選択された車両に基づいて当該車両の運転担当者を一応の「メイン運転者」として提示することもできる。そうすれば、ユーザー操作の負担を削減することが可能である。
【0032】
運転者割り当て表示部14は、提示された運転者の候補から、ユーザー操作による所定の運転者の選択を受け付けて、上記運行日程において運行日毎に割り当てられた運転者をユーザー端末100の表示画面上に表示させるものである。
具体的には、まず
図4に示す書類作成画面において、ユーザー操作による運転者「運転 一郎」の選択を受け付けて、
図5に示すように、上記運行日程、上記車両(社番「0001」、プレートNо.「品川200 あ」)において運転者「運転 一郎」をメイン運転者として表示画面に表示させる。同様にして、運転者「運転 二郎」をサブ運転者として表示させる。
そして、
図5に示す書類作成画面の下段において、複数のタブの中からユーザー操作によるタブ「運転者切替」の選択操作を受け付けることで、運行日毎にメイン運転者及びサブ運転者の入力が可能となる入力ウィンドウを表示させる。なお、このときデフォルトでは、全ての運行日において同一のメイン運転者(運転 一郎)、同一のサブ運転者(運転 二郎)を表示させている。
そして、ユーザー操作による所定の運転者の選択を順次受け付けて、運行日毎に割り当てられたメイン運転者及びサブ運転者を表示画面に表示させるものである。
【0033】
図5の本実施例を見ると、タブ「運転者切替」の入力ウィンドウにおいて、運行日「1月14日(月)」及び「1月16日(水)」に対してメイン運転者「運転 一郎」、サブ運転者「運転 二郎」が割り当てられていることが分かる。
また、運行日「1月15日(火)」に対してメイン運転者「運転 三郎」、サブ運転者「運転 四郎」が割り当てられていることが分かる。
なお、ユーザー選択によるメイン運転者(サブ運転者)の割り当て操作と同様にして、「ガイド」の割り当て操作をすることができる。
図5の本実施例を見ると、全ての運行日においてガイド「案内 一子」が割り当てられていることが分かる。
【0034】
上記において、本運行日程では、割り当てられた車両の台数が一台に設定されているところ、もし複数の車両が割り当てられている場合には、タブ「運転者切替」の入力ウィンドウにおいて左側にボタン表示された項目「▲前車両」又は「▼次車両」のユーザー選択操作を受け付けることで、車両毎に切替表示してメイン運転者及びサブ運転者を割り当てていく処理が可能である。
【0035】
また上記において、比較的長期に及ぶ運行日程において、ユーザーによるメイン運転者及びサブ運転者の割り当て操作を極力容易にしたい場合には、タブ「運転者切替」の入力ウィンドウにおいて左側に表示された表示ボタン「一括変更」を利用すると良い。
当該表示ボタン「一括変更」のユーザー選択操作を受け付けることで、アクティブ表示された所定の運行日以降の運行日全てについて、当該所定の運行日に割り当てられたメイン運転者及びサブ運転者の氏名を一括表示させる処理が可能である。
【0036】
労務管理チェック部15は、ユーザー操作による「所定の運転者への労務管理チェック」の選択を受け付けて、上記運行日程において所定の運転者に対し所定の労働基準に基づいた労務管理チェックを実行するものである。
具体的には、
図5に示す書類作成画面において、ユーザー操作による所定のメイン運転者(サブ運転者)の割り当て選択を受け付けた後、さらにユーザー操作による表示項目「メイン運転者」における表示ボタン「?」の選択を受け付けると、
図6に示すように、労務管理チェックの対象となる運転者の候補をポップアップ表示させるように提示する。
そして、
図6に示す書類作成画面において、例えば、ユーザー操作による運転者「運転 一郎」の選択を受け付けた上で、さらに表示ボタン「OK『労務管理チェック』」の選択を受け付けると、労務管理チェックを実行する。
【0037】
労務管理チェック部15は、具体的な機能部として、時間/距離予測部15aと、閾値判定部15bと、ユーザー報知部15cと、を有している。
時間/距離予測部15aは、ユーザー操作の入力を受け付けて、所定の運行日程において運行業務が割り当てられた運転者毎の拘束時間、運転時間、休日取扱い及び実車距離を予測するものである。
具体的には、
図6に示すように、ユーザー操作による所定の運転者への「労務管理チェック」の実行を受け付けると、運行日程「1月14日(月)~1月16日(水)」において運転者「運転 一郎」に対し拘束時間に関する4つのチェック項目、運転時間に関する2つのチェック項目、休日取扱いに関する1つのチェック項目、実車距離に関する1つのチェック項目の時間/距離を予測する。
図6の本実施例を見ると、拘束時間の第1チェック項目「48時間00分」、第2チェック項目「190時間30分」、第3チェック項目「15時間30分」、第4チェック項目「1回」と予測されていることが分かる。
なお、上記ユーザー操作を運転者毎に実行することで、運転者毎にこれら所定の労働基準に基づいた項目の時間/距離を予測することが可能である。
【0038】
閾値判定部15bは、割り当てられた運転者毎に、予測された拘束時間、運転時間、休日取扱い及び実車距離のいずれかが所定の労働基準に基づいた所定の閾値を超えているか否かを判定するものである。
具体的には、
図6に示すように、所定の運転者の拘束時間、運転時間、休日取扱い及び実車距離の予測結果に対して、所定の労働基準に基づいた判定「OK」、「注意」「警告(NG)」を実行する。
図6の本実施例を見ると、拘束時間の第1チェック項目の予測結果に対して判定「OK」、第3チェック項目の予測結果に対して判定「注意」、運転時間の第2チェック項目の予測結果に対して判定「警告(NG)」を提示していることが分かる。
【0039】
ユーザー報知部15cは、割り当てられた運転者の中で上記いずれかが所定の閾値を超えている場合には、表示画面上において所定の労働基準に基づいた所定の閾値を超えていることをユーザー報知するものである。
具体的には、
図6に示すように、所定の運転者の拘束時間、運転時間、休日取扱い及び実車距離の予測結果のいずれかに対して判定「警告」を提示する場合には、赤色の背景色で判定「警告」を示してユーザーへの警告喚起を促す。また、黄色の背景色で判定「注意」を示して、ユーザーへの注意喚起を促している。
なお、ユーザー報知の方法として、ユーザーへの警告喚起に加えて、判定「警告」が示された当該運転者に対し別の運転者の選択を促す等の処理が実行されると望ましい。
【0040】
上記において、
図6に示すように、所定の運転者に対し表示ボタン「OK『労務管理チェック』」の選択を受け付けると労務管理チェックが実行されるところ、既に労務管理チェックを事前に実行している場合や、一連の業務書類作成の最後に労務管理チェックを実行したい場合には、
図6に示す表示ボタン「OK」のユーザー選択を受け付けると良い。
そうすれば、労務管理チェックを実行することなく運転者の割り当てを実行することができる。
【0041】
業務書類提示部16は、割り当てられた上記運転者毎に、上記運行日程において各自が運行業務を担当する担当日が示された内容を含む「業務書類データ」を作成した上で、当該業務書類データをユーザー端末100の表示画面上に提示するものである。
具体的には、業務書類データの一例として「運行指示書データ」を作成する場合には、一連の運行日程の詳細内容が入力された後で、
図5に示す書類作成画面の上段においてユーザー操作による表示ボタン「運行指示書の印刷」の選択を受け付けると、「運行指示書データ」の作成を開始する。
そして、
図7に示すように、運転者毎に、詳しく述べるとメイン運転者及びサブ運転者の組み合わせ毎に、各自が担当日となる所定の運行日に対し「運行」の表示を設定した上でそれぞれの運行指示書データを作成する。
【0042】
図7の本実施例を見ると、上述したように、本運行日程に対して2つの運行指示書データが作成されている。具体的には、左側の運行指示書データでは、メイン運転者「運転 一郎」、サブ運転者「運転 二郎」が設定されており、かつ、運行日「1月14日(月)」及び「1月16日(水)」において自分の担当日を示す表示マーク「運行」が設定されている。一方で、右側の運行指示書データでは、メイン運転者「運転 三郎」、サブ運転者「運転 四郎」が設定されており、かつ、運行日「1月15日(火)」において自分の担当日を示す表示マーク「運行」が設定されている。
なお、運行指示書データにおいて各自の担当日を示す内容を記入する方法としては、表示マーク「運行」を付す方法以外であっても良く、その他の目印となるマークを付す方法等が考えられる(例えば、自分の担当日となる運行日を太枠で囲む等の方法が考えられる)。
【0043】
上記において、
図7に示すように、運行指示書データでは、全ての運行日においてメイン運転者1名及びサブ運転者1名が設定されているところ、その他の実施例としてメイン運転者1名のみが設定されている運行日や、メイン運転者1名及びサブ運転者2名の合計3名が設定されている運行日があっても良い。
そのような場合であっても、メイン運転者及びサブ運転者の組み合わせ毎に運行指示書データを作成するとユーザーにとって望ましい。その際に、例えば2日間の運行日程において、2名の運転者が1日目と2日目でメイン運転者とサブ運転者を単に入れ替えただけの組み合わせの相違が生じたとしても、当該相違については考慮しないことにする方がより望ましい。
【0044】
また業務書類提示部16は、上記のほか、運行日毎に割り当てられた各運転者(各運転者の組み合わせ)の情報が反映された内容を含む「業務書類データ」を作成した上で、当該業務書類データをユーザー端末100の表示画面上に提示することも可能である。
具体的には、業務書類データの一例として「点呼記録簿データ」を作成する場合には、一連の運行日程の詳細内容が入力された後で、
図5に示す書類作成画面においてユーザー操作による不図示の表示ボタン「点呼記録簿の作成」の選択を受け付けると、「点呼記録簿データ」の作成を開始する。
そして、
図8に示すように、運行日毎に、各運転者(運転者の組み合わせ)の情報が反映された点呼記録簿データを作成する。
図8の本実施例を見ると、上述したように、本運行日程に対して運行日毎に3つの点呼記録簿データが作成されている。具体的には、一番上側の点呼記録簿データにおいて運行日「1月14日(月)」、メイン運転者「運転 一郎」、サブ運転者「運転 二郎」が設定されており、また、中央の点呼記録簿データにおいて運行日「1月15日(火)」、メイン運転者「運転 三郎」、サブ運転者「運転 四郎」が設定されていることが分かる。
【0045】
<運行管理支援プログラム>
次に、運行管理支援装置1で実行される運行管理支援プログラムの処理について、
図9に基づいて説明する。
本実施形態に係る上記プログラムは、記憶部10を備えた運行管理支援装置1の機能的な構成要素として、上述した運行日程表示部11と、車両候補提示部12と、運転者候補提示部13と、運転者割り当て表示部14と、労務管理チェック部15と、業務書類提示部16と、を実現させるために各種プログラムを集約させたユーティリティプログラムであって、運行管理支援装置1のCPUがこの運行管理支援プログラムを実行する。
上記プログラムは、ユーザーからの操作指示を受け付けて実行されるものである。
なお、運行管理支援装置1の記憶部10には、不図示の「車両候補データ」、「運転者候補データ」、「労務管理データ」、
図7に示す「運行指示書データ」、
図8に示す「点呼記録簿データ」が記憶されている。
【0046】
図9に示す運行管理支援処理フローでは、まず、運行日程表示部11が、ユーザー操作の入力を受け付けて、入力された運行日程をユーザー端末100の表示画面上に表示させるステップS1から始まる。
具体的には、
図3に示す書類作成画面上の表示項目「運行日程」において、ユーザー操作による運行日程「2019年1月14日(月)~1月16日(水)」の入力を受け付けることで、入力された当該運行日程の内容を表示させることができる。
【0047】
次に、ステップS2で、車両候補提示部12が、ユーザー入力された上記運行日程をキーとして、不図示の「車両候補データ」を参照し、複数の車両の候補をユーザー端末100の表示画面上に提示する。
具体的には、
図3に示す書類作成画面において、上記表示項目「運行日程」の隣位置にある表示ボタン「空き状況」のユーザー選択を受け付けることで、不図示の「車両候補データ」を参照し、予め登録された車両の中から対応可能な車両の候補をポップアップ表示させるように提示する。
図3の本実施例を見ると、本運行日程において対応可能なバスの候補が一覧表示されており、また、社番「0001」、プレートNо.「品川200 あ」の車両がユーザー選択によって割り当てられていることが分かる。
【0048】
次に、ステップS3で、運転者候補提示部13が、ユーザー入力された上記運行日程(上記車両)をキーとして、不図示の「運転者候補データ」を参照し、複数の運転者の候補をユーザー端末100の表示画面上に提示する。
具体的には、
図4に示す書類作成画面において、ユーザー操作による表示項目「メイン運転者」における表示ボタン「?」の選択を受け付けることで、不図示の「運転者候補データ」を参照し、予め登録された運転者の中から対応可能な運転者の候補をポップアップ表示させるように提示する。
図4の本実施例を見ると、本運行日程、本車両において対応可能な運転者の候補が一覧表示されていることが分かる。
【0049】
次に、ステップS4で、運転者割り当て表示部14が、提示された運転者の候補から、ユーザー操作による所定の運転者の選択を受け付けて、運行日毎に割り当てられた運転者をユーザー端末100の表示画面上に表示させる。
具体的には、
図5に示すように、メイン運転者「運転 一郎」、サブ運転者「運転 二郎」を表示画面に表示させる。
そして、
図5に示す書類作成画面の下段において、複数のタブの中からユーザー操作によるタブ「運転者切替」の選択操作を受け付けた上で、運行日毎に割り当てられたメイン運転者及びサブ運転者を表示画面に表示させる。
図5の本実施例を見ると、タブ「運転者切替」の入力ウィンドウにおいて、運行日「1月14日(月)」及び「1月16日(水)」に対してメイン運転者「運転 一郎」、サブ運転者「運転 二郎」が割り当てられていることが分かる。
【0050】
次に、ステップS5で、労務管理チェック部15が、ユーザー操作による所定の運転者への労務管理チェックの選択を受け付けて、上記運行日程において当該運転者に対し所定の労働基準に基づいた労務管理チェックを実行する。割り当てられた運転者毎に当該労務管理チェックを実行する。
具体的には、
図5に示す書類作成画面において、ユーザー操作による表示項目「メイン運転者」における表示ボタン「?」の選択を受け付けることで、
図6に示すように、労務管理チェックの対象となる運転者の候補をポップアップ表示させるように提示する。
そして、
図6に示す書類作成画面において、例えば、ユーザー操作による運転者「運転 一郎」の選択を受け付けて、さらに表示ボタン「OK『労務管理チェック』」の選択を受け付けることで、労務管理チェックを実行する。
すなわち、時間/距離予測部15aが、所定の運行日程において運行業務が割り当てられた運転者毎の拘束時間、運転時間、休日取扱い及び実車距離を予測する。
図6の本実施例を見ると、拘束時間の第1チェック項目「48時間00分」、第2チェック項目「190時間30分」、第3チェック項目「15時間30分」、第4チェック項目「1回」と予測されていることが分かる。
【0051】
次に、ステップS6で、閾値判定部15bが、割り当てられた運転者毎に、予測された拘束時間、運転時間、休日取扱い及び実車距離のいずれかが所定の労働基準に基づいた所定の閾値を超えているか否かを判定する。
割り当てられた運転者全てにおいて上記いずれの値も所定の閾値を超えていない場合には(ステップS6:Yes)、ステップS7に進む。一方で、割り当てられた運転者の中で上記いずれかの値が所定の閾値を超えている場合には(ステップS6:Nо)、ユーザー報知部15cが、所定の運転者に対し所定の労働基準に基づいた所定の閾値を超えていることをユーザー報知し、当該運転者の割り当てを変更するように促した上で(ステップS8)、ステップS5に戻り、運転者の再割り当てを行う。
図6の本実施例を見ると、「拘束時間」の第1チェック項目の予測結果に対して白色の背景色で判定「OK」を提示している一方で、「運転時間」の第2チェック項目の予測結果に対して赤色の背景色で判定「警告(NG)」を提示していることが分かる。
【0052】
次に、ステップS7で、業務書類提示部16が、割り当てられた上記運転者毎に、上記運行日程において各自が運行業務を担当する担当日が示された内容を含む「運行指示書データ」を作成した上で、当該運行指示書データをユーザー端末100の表示画面上に提示する。
具体的には、一連の運行日程の詳細内容が入力された後で、
図5に示す書類作成画面の上段においてユーザー操作による表示ボタン「運行指示書の印刷」の選択を受け付けると、「運行指示書データ」の作成を開始する。
そして、
図7に示すように、運転者毎に(メイン運転者及びサブ運転者の組み合わせ毎に)、各自が担当日となる所定の運行日に対し「運行」の表示を設定した上でそれぞれの運行指示書データを作成する。
図7の本実施例を見ると、上述したように、本運行日程に対して2つの運行指示書データが作成されている。具体的には、左側の運行指示書データでは、メイン運転者「運転 一郎」、サブ運転者「運転 二郎」が設定されており、かつ、運行日「1月14日(月)」及び「1月16日(水)」において自分の担当日を示す表示マーク「運行」が設定されている。
【0053】
上記ステップS1からステップS8を経て
図9のプロセスを終了する。
上記の運行管理支援プログラムの構成により、複数日に及ぶ運行日程において複数の運転者が関与する場合に、各運転者及び運行管理者にとって業務上必要な情報が記入された業務書類(運行指示書)の作成を支援することができる。また、運転者毎に労務管理する機能を備えたプログラムを実現することができる。
【0054】
<その他の実施形態>
上記実施形態では、
図9に示すように、運転者割り当て表示処理(ステップS4)において運行日毎に全ての運転者を割り当てた後に、労務管理チェック処理(ステップS5)において当該運転者毎に労務管理チェックを実行しているところ、特に限定されることなく変更可能である。
例えば、1人ずつ運転者を割り当てていくタイミングで労務管理チェックを実行することとしても良い。具体的には、
図4に示す書類作成画面において、提示された運転者の候補の中から所定の運転者をユーザー選択するタイミングにて、表示ボタン「OK『労務管理チェック』」の選択操作を実行すれば良い。
そうすることで、1人ずつ運転者の労務管理をチェックしながら、精度良く所望の運転者を割り当てていくことが可能となる。
【0055】
上記実施形態では、
図9に示すように、労務管理チェック処理(ステップS5)が、「運行計画用」として業務書類提示処理(ステップS7)の前に実行されているところ、特に限定されることなく、「運行実績用」として、業務書類提示処理(ステップS7)後にも別途実行されても良い。
そのようにすることで、「運行計画用」として運行指示書の作成前に労務管理をチェックするほか、「運行実績用」として運行後の日報管理における労務管理チェックとしても利用することができる。
【0056】
上記実施形態では、運行管理支援装置1が読み取り可能な記録媒体に運行管理支援プログラムが記憶されており、運行管理支援装置1がこの運行管理支援プログラムを読み出して実行することによって処理が実行される。ここで運行管理支援装置1が読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等をいう。また、この運行管理支援プログラムを通信回線によってユーザー端末100に配信し、この配信を受けたユーザー端末100が当該プログラムを実行するように構成しても良い。
【0057】
上記実施形態では、
図1に示すように、運行管理支援装置1が、ネットワークを介して接続されるユーザー端末100に対して、ソフトウェアサービスを提供するクラウドサーバーとなっているが、特に限定されることなく変更可能である。
具体的には、ユーザー端末に運行管理支援プログラムを直接インストールさせて、ユーザー端末自身が、運行管理支援装置として機能し、自身の表示画面上に書類作成画面を表示させることで、運行管理に関する業務書類の作成を支援する構成にしても良い。
【0058】
上記実施形態では、具体例としてバスの運行管理支援装置について説明したが、特に限定されることなく、タクシーやトラックのような自動車、電車等の乗り物のほか、船舶、航空機等の乗り物の運行管理支援装置としても利用することができる。
【0059】
上記実施形態では、主として本発明に係る運行管理支援装置、運行管理支援方法及び運行管理支援プログラムに関して説明した。
ただし、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0060】
S 運行管理支援システム
1 運行管理支援装置
10 記憶部
11 運行日程表示部
12 車両候補提示部
13 運転者候補提示部
14 運転者割り当て表示部
15 労務管理チェック部
15a 時間/距離予測部
15b 閾値判定部
15c ユーザー報知部
16 業務書類提示部
100 ユーザー端末
110 記憶部
111 データ発信部
112 データ受信部