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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】着色樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C09B 11/28 20060101AFI20240917BHJP
   C08F 2/44 20060101ALI20240917BHJP
   C08F 291/00 20060101ALI20240917BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20240917BHJP
   C08K 5/1545 20060101ALI20240917BHJP
   C08L 51/00 20060101ALI20240917BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20240917BHJP
   C09B 67/20 20060101ALI20240917BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20240917BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20240917BHJP
   G03F 7/004 20060101ALN20240917BHJP
【FI】
C09B11/28 E
C08F2/44 Z
C08F291/00
C08K3/013
C08K5/1545
C08L51/00
C08L101/00
C09B67/20 F
G02B5/20 101
G02F1/1335 505
G03F7/004 505
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019219956
(22)【出願日】2019-12-04
(65)【公開番号】P2020125455
(43)【公開日】2020-08-20
【審査請求日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】P 2019018377
(32)【優先日】2019-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503454506
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE-CHEM CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】132, YAKCHON-RO, IKSAN-SI, JEOLLABUK-DO 54631, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】真鍋 ひとみ
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼石 悠
(72)【発明者】
【氏名】岡本 信之
(72)【発明者】
【氏名】森脇 章太
(72)【発明者】
【氏名】辻内 翔
【審査官】桜田 政美
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-057235(JP,A)
【文献】国際公開第2014/196464(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09B 11/28
C08F 2/44
C08F 291/00
C08K 3/013
C08K 5/1545
C08L 51/00
C08L 101/00
C09B 67/20
G02B 5/20
G02F 1/1335
G03F 7/004
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色剤及び樹脂を含み、着色剤が式(I)で表される化合物を含む着色樹脂組成物。
【化1】

[式(I)中、
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9及びR10は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、カルボキシ基、スルホ基、スルファモイル基、メタロセニル基、炭素数1~30の炭化水素基、又は前記炭化水素基中のメチレン基の1つ又は2つ以上が下記群Iから選ばれる2価の基で置き換えられた基を表し、ただし、2つ以上のメチレン基が下記群Iから選ばれる2価の基で置き換えられている場合、前記2価の基は隣り合わず、
前記炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、スルホ基、ホスホノ基、スルファモイル基、イソシアナト基、複素環で置換されていてもよく、
11、R12、R13、R14、R15及びR16は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~30の炭化水素基、又は前記炭化水素基中のメチレン基の1つ又は2つ以上が下記群Iから選ばれる2価の基で置き換えられた基を表し、ただし、2つ以上のメチレン基が下記群Iから選ばれる2価の基で置き換えられている場合、前記2価の基は隣り合わず、
前記炭化水素基に含まれる水素原子は、複素環又は極性基で置換されていてもよく、
11、R12、R13、R14、R15及びR16のうちの1つ以上が、置換基として極性基を有する基であり、
前記置換基として極性基を有する基は、下記式(po-1)~式(po-10)で表される基のうちの1つ以上であり、
【化2】

nは、1~3の整数を表し、
q-は、q価の陰イオンを表し、
qは1~3の整数を表し、
pは式(I)で表される化合物の電荷を中性に保つ係数を表す。
群I:-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-COS-、-OCS-、-SO2-、-SO3-、-NH-、-CONH-、-NHCO-、-SO2NH-、-NHSO2-又は-N=CH-]
【請求項2】
さらに、重合性化合物及び重合開始剤を含む請求項1に記載の着色樹脂組成物。
【請求項3】
着色剤が、さらに顔料(但し、式(I)で表される化合物を除く。)を含む請求項1又は2に記載の着色樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の着色樹脂組成物から形成されるカラーフィルタ。
【請求項5】
請求項4に記載のカラーフィルタを含む表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は着色樹脂組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置、エレクトロルミネッセンス表示装置及びプラズマディスプレイ等の表示装置やCCDやCMOSセンサなどの固体撮像素子に使用されるカラーフィルタは、着色硬化性樹脂組成物から製造される。このような着色硬化性樹脂組成物としては、着色剤として、式(A-X)で表される化合物を含む組成物が知られている(特許文献1)。
【化1】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2014/196464号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来から知られる式(A-X)で表される化合物を含む組成物では、形成されるカラーフィルタは耐薬品性の点で満足いくものではなかった。
そこで本発明は、耐薬品性に優れるカラーフィルタを得るのに有用な着色樹脂組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の通りである。
[1] 着色剤及び樹脂を含み、着色剤が式(I)で表される化合物を含む着色樹脂組成物。
【化2】

[式(I)中、
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9及びR10は、それぞれ独立に、水素原
子、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、カルボキシ基、スルホ基、スルファモイル基、メタロセニル基、炭素数1~30の炭化水素基、又は前記炭化水素基中のメチレン基の1つ又は2つ以上が下記群Iから選ばれる2価の基で置き換えられた基を表し、ただし、2つ以上のメチレン基が下記群Iから選ばれる2価の基で置き換えられている場合、前記2価の基は隣り合わず、
前記炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、スルホ基、ホスホノ基、スルファモイル基、イソシアナト基、複素環で置換されていてもよく、
11、R12、R13、R14、R15及びR16は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~30の炭化水素基、又は前記炭化水素基中のメチレン基の1つ又は2つ以上が下記群Iから選ばれる2価の基で置き換えられた基を表し、ただし、2つ以上のメチレン基が下記群Iから選ばれる2価の基で置き換えられている場合、前記2価の基は隣り合わず、
前記炭化水素基に含まれる水素原子は、複素環又は極性基で置換されていてもよく、
11、R12、R13、R14、R15及びR16のうちの1つ以上が、置換基として極性基を有する基であり、
nは、1~3の整数を表し、
q-は、q価の陰イオンを表し、
qは1~3の整数を表し、
pは式(I)で表される化合物の電荷を中性に保つ係数を表す。
群I:-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-COS-、-OCS-、-SO2-、-SO3-、-NH-、-CONH-、-NHCO-、-SO2NH-、-NHSO2-又は-N=CH-]
[2] さらに、重合性化合物及び重合開始剤を含む[1]に記載の着色樹脂組成物。
[3] 着色剤が、さらに顔料(但し、式(I)で表される化合物を除く。)を含む[1]又は[2]に記載の着色樹脂組成物。
[4] [1]~[3]のいずれかに記載の着色樹脂組成物から形成されるカラーフィルタ。
[5] [4]に記載のカラーフィルタを含む表示装置。
なお本明細書において、各成分として例示する化合物は、特に断りのない限り、単独で又は複数種を組合せて使用することができる。
【発明の効果】
【0006】
本発明の着色樹脂組成物によれば、耐薬品性に優れるカラーフィルタが得られる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
<着色樹脂組成物>
本発明の着色樹脂組成物は、着色剤(以下、「着色剤(A)」という場合がある。)、及び樹脂(以下、「樹脂(B)」という場合がある。)を含み、着色剤(A)が、式(I)で表される化合物(以下、「化合物(I)」という場合がある。)を含む。
本発明の着色樹脂組成物は、さらに重合性化合物(以下、「重合性化合物(C)」という場合がある。)、及び重合開始剤(以下、「重合開始剤(D)」という場合がある。)を含むことが好ましい。
本発明の着色樹脂組成物は、さらに重合開始助剤(D1)、溶剤(E)、レベリング剤(F)を含んでいてもよい。
【0008】
<着色剤(A)>
本発明の着色樹脂組成物は、着色剤(A)として、化合物(I)を含む。
【0009】
<化合物(I)>
以下、式(I)を用いて本発明について詳述するが、化合物(I)には、式(I)の共鳴構造が含まれ、さらに式(I)又はその共鳴構造式中の各基を炭素-炭素単結合又は炭素-窒素単結合の結合軸周りに回転させて得られる化合物も含まれることとする。
【0010】
【化3】

[式(I)中、
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9及びR10は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、カルボキシ基、スルホ基、スルファモイル基、メタロセニル基、炭素数1~30の炭化水素基、又は前記炭化水素基中のメチレン基の1つ又は2つ以上が下記群Iから選ばれる2価の基で置き換えられた基を表し、ただし、2つ以上のメチレン基が下記群Iから選ばれる2価の基で置き換えられている場合、前記2価の基は隣り合わず、
前記炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、スルホ基、ホスホノ基、スルファモイル基、イソシアナト基、複素環で置換されていてもよく、
11、R12、R13、R14、R15及びR16は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~30の炭化水素基、又は前記炭化水素基中のメチレン基の1つ又は2つ以上が下記群Iから選ばれる2価の基で置き換えられた基を表し、ただし、2つ以上のメチレン基が下記群Iから選ばれる2価の基で置き換えられている場合、前記2価の基は隣り合わず、
前記炭化水素基に含まれる水素原子は、複素環又は極性基で置換されていてもよく、
11、R12、R13、R14、R15及びR16のうちの1つ以上が、置換基として極性基を有する基であり、
nは、1~3の整数を表し、
q-は、q価の陰イオンを表し、
qは1~3の整数を表し、
pは式(I)で表される化合物の電荷を中性に保つ係数を表す。
群I:-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-COS-、-OCS-、-SO2-、-SO3-、-NH-、-CONH-、-NHCO-、-SO2NH-、-NHSO2-又は-N=CH-]
【0011】
1~R16で表される炭素数1~30の炭化水素基としては、炭素数1~30の脂肪族炭化水素基又は炭素数6~30の芳香族炭化水素基等が例示される。
【0012】
炭素数1~30の脂肪族炭化水素基は、飽和及び不飽和の何れであってもよく、直鎖状、分岐鎖状及び環状の何れであってもよい。
【0013】
炭素数1~30の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基(アリル基)等の直鎖状脂肪族炭化水素基;イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、2-エチルヘキシル基等の分岐鎖状脂肪族炭化水素基等が挙げられる。直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の炭素数は、好ましくは1~15であり、より好ましくは1~10であり、さらに好ましくは1~8である。
環状の脂肪族炭化水素基は、単環でも多環でもよい。該環状の脂肪族炭化水素基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。環状の脂肪族炭化水素基の炭素数は、好ましくは3~18であり、より好ましくは3~15であり、さらに好ましくは4~15である。
【0014】
炭素数6~30の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、アントリル基等が挙げられる。芳香族炭化水素基の炭素数は、好ましくは6~20であり、より好ましくは6~18であり、さらに好ましくは6~15である。
【0015】
炭素数1~30の炭化水素基は、炭素数の上限が30以下である限り、上記に挙げた脂肪族炭化水素基、及び芳香族炭化水素基を2つ以上組み合わせた基であってもよい。このような基としては、例えば、キシリル基、トリメチルフェニル基、ジプロピルフェニル基、ジ(2,2-ジメチルプロピル)フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、4-フェニルブチル基等が挙げられる。脂肪族炭化水素基、及び芳香族炭化水素基を2つ以上組み合わせた基の炭素数は、好ましくは7~25であり、より好ましくは8~20であり、さらに好ましくは8~15である。
【0016】
1~R16で表される炭化水素基中のメチレン基の1つが下記群Iから選ばれる2価の基で置き換えられた基としては、以下のものが例示される。
群I:-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-COS-、-OCS-、-SO2-、-SO3-、-NH-、-CONH-、-NHCO-、-SO2NH-、-NHSO2-又は-N=CH-
【0017】
炭化水素基中のメチレン基の1つが-O-で置き換えられた基としては、例えば、以下のものが挙げられる(*は結合手を表す)。
【0018】
【化4】
【0019】
炭化水素基中のメチレン基の1つが-S-で置き換えられた基としては、例えば、以下のものが挙げられる(*は結合手を表す)。
【0020】
【化5】
【0021】
炭化水素基中のメチレン基の1つが-CO-で置き換えられた基としては、例えば、以下のものが挙げられる(*は結合手を表す)。
【0022】
【化6】
【0023】
炭化水素基中のメチレン基の1つが-COO-で置き換えられた基としては、例えば、以下のものが挙げられる(*は結合手を表す)。
【0024】
【化7】
【0025】
炭化水素基中のメチレン基の1つが-OCO-で置き換えられた基としては、例えば、以下のものが挙げられる(*は結合手を表す)。
【0026】
【化8】
【0027】
炭化水素基中のメチレン基の1つが-COS-で置き換えられた基としては、例えば、以下のものが挙げられる(*は結合手を表す)。
【0028】
【化9】
【0029】
炭化水素基中のメチレン基の1つが-OCS-で置き換えられた基としては、例えば、以下のものが挙げられる(*は結合手を表す)。
【0030】
【化10】
【0031】
炭化水素基中のメチレン基の1つが-SO2-で置き換えられた基としては、例えば、
以下のものが挙げられる(*は結合手を表す)。
【0032】
【化11】
【0033】
炭化水素基中のメチレン基の1つが-SO3-で置き換えられた基としては、例えば、
以下のものが挙げられる(*は結合手を表す)。
【0034】
【化12】
【0035】
炭化水素基中のメチレン基の1つが-NH-で置き換えられた基としては、例えば、以下のものが挙げられる(*は結合手を表す)。
【0036】
【化13】
【0037】
炭化水素基中のメチレン基の1つが-CONH-で置き換えられた基としては、例えば、以下のものが挙げられる(*は結合手を表す)。
【0038】
【化14】
【0039】
炭化水素基中のメチレン基の1つが-NHCO-で置き換えられた基としては、例えば、以下のものが挙げられる(*は結合手を表す)。
【0040】
【化15】
【0041】
炭化水素基中のメチレン基の1つが-SO2NH-で置き換えられた基としては、例え
ば、以下のものが挙げられる(*は結合手を表す)。
【0042】
【化16】
【0043】
炭化水素基中のメチレン基の1つが-NHSO2-で置き換えられた基としては、例え
ば、以下のものが挙げられる(*は結合手を表す)。
【0044】
【化17】
【0045】
炭化水素基中のメチレン基の1つが-N=CH-で置き換えられた基としては、例えば、以下のものが挙げられる(*は結合手を表す)。
【0046】
【化18】
【0047】
1~R16で表される炭化水素基中のメチレン基の2つ以上が、前記群Iから選ばれる2価の基で置き換えられた基としては、前記2価の基が隣り合わなければ、該2価の基は前記群Iのいずれであってもよく、前記炭化水素基中のメチレン基の1つが群Iから選ばれる2価の基で置き換えられた基を適宜組み合わせた基等が挙げられる。
【0048】
11~R16で表される炭化水素基中のメチレン基の1つ又は2つ以上が、前記群Iから選ばれる2価の基で置き換えられた基としては極性基を形成しないことが好ましい。
【0049】
1~R10で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられ、塩素原子が好ましい。
【0050】
1~R10で表されるメタロセニル基としては、フェロセニル基、ニッケロセニル基、コバルトニル基、フェロセンアルキル基、フェロセンアルコキシ基等が挙げられる。
【0051】
1~R10で表される炭化水素基に含まれる水素原子が置換されていてもよいハロゲン原子としては、R1~R10で表されるハロゲン原子と同じものが挙げられる。
【0052】
1~R16で表される炭化水素基に含まれる水素原子が置換されていてもよい複素環の炭素数は、好ましくは1~20である。前記複素環としては、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む複素環等が挙げられ、具体的には、アゼチジン、ピロール、ベンゾオキサゾール、チアゾール、オキセタン、フラン、チエタン、チオフェン等が挙げられる。
【0053】
1~R10としては、水素原子、又はハロゲン原子が好ましく、R1~R10のうち1~6つがハロゲン原子であり、それ以外が水素原子であることがより好ましく、R1~R10のうち1~4つがハロゲン原子であり、それ以外が水素原子であることがさらに好ましく、R1~R10のうち2つがハロゲン原子であり、それ以外が水素原子であることがよりさらに好ましい。
【0054】
1~R10のうち2つがハロゲン原子である場合、該2つのハロゲン原子は、R7~R10のうちのいずれか2つであることが好ましく、R7及びR9がハロゲン原子であることがより好ましい。
【0055】
11~R16で表される炭化水素基に含まれる水素原子が置換されていてもよい極性基とは、炭素原子及び水素原子以外のヘテロ原子を少なくとも1つ以上含有する官能基をいう。ヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、硫黄原子、リン原子、窒素原子、ハロゲン原子が挙げられる。前記極性基としては、具体的には、ヒドロキシ基、カルボキシ基、エポキシ基、アミド基(N-メチルアミド基、N-イソプロピルアミド基、N-シクロプロピルアミド基、N-フェニルアミド基等の炭素数1~12の炭化水素基でN-置換されたアミド基も含む)、ニトリル基、アミノ基、イミド基、イソシアナト基、チオール基、アルコキシ基、スルホ基、ホスホノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、アセチル基等のアシル基、ハロゲン原子等が挙げられ、カルボキシ基、アミド基、スルホ基、ホスホノ基等の酸基が好ましく、カルボキシ基又はアミド基がより好ましく、カルボキシ基がさらに好ましい。
【0056】
炭化水素基に含まれる水素原子が極性基に置換された、置換基として極性基を有する基としては、例えば、極性基がカルボキシ基である下記式(po-1)~式(po-6)で表される基、極性基がアミド基である下記式(po-7)~式(po-10)で表される基が挙げられる。式中、*は結合手を表す。
【0057】
【化19】
【0058】
11~R16のうち少なくとも1つは、R11~R16で表される炭化水素基に含まれる水素原子が極性基に置換された、置換基として極性基を有する基である。R11~R16のうち少なくとも1つが置換基として極性基を有する基であれば、耐薬品性に優れるカラーフィルタを形成できる。
【0059】
11~R16としては、炭素数1~30の炭化水素基が好ましく、炭素数1~20の炭化水素基がより好ましく、炭化水素基が脂肪族炭化水素基であることがさらに好ましく、炭化水素基が飽和の直鎖状脂肪族炭化水素基であることがさらにより好ましい。該飽和の直鎖状脂肪族炭化水素基の炭素数は、好ましくは1~15であり、より好ましくは1~10であり、さらに好ましくは1~5である。また、R11~R16が置換基として極性基を有する基である場合には、R11~R16としては、脂肪族炭化水素基、又は脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基を2つ以上組み合わせた基であることが好ましく、R11~R16が置換基として極性基を有しない基である場合には、R11~R16としては、脂肪族炭化水素基、又は芳香族炭化水素基であることが好ましい。
【0060】
またR11~R16のうち1~4つが置換基として極性基を有する基であることが好ましく、2~4つが置換基として極性基を有する基であることがより好ましく、R11~R16のうち2つが置換基として極性基を有する基であることがさらに好ましい。
【0061】
nとしては、1~2が好ましく、1がより好ましい。
【0062】
q-で表されるq価の陰イオンは、1~3価の陰イオンであり、無機陰イオンでもよく、有機陰イオンでもよい。
該無機陰イオンとしては、例えば、水酸化物イオン、ハロゲン化物イオン(フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等)、硝酸イオン、過塩素酸イオン、塩素酸イオン、硫酸イオン、チオシアン酸イオン、リン酸イオン、リンタングステン酸イオン、リンモリブデン酸イオン、リンタングステンモリブデン酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、モリブデン酸イオン、タングステン酸イオン、チタン酸イオン、ジルコン酸イオン、ホウ酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン等が挙げられる。
該有機陰イオンとしては、例えば、酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、安息香酸イオン、パルミチン酸イオン、酒石酸イオン、エチレンジアミン四酢酸鉄イオン等の有機カルボン酸系陰イオン;メタンスルホン酸イオン、ドデシルスルホン酸イオン、ビニルスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ノナフルオロブタンスルホン酸イオン、3-(トリヒドロキシシリル)-1-プロパンスルホン酸イオン、トルエンスルホン酸イオン、クロロベンゼンスルホン酸イオン、ペンタフルオロベンゼンスルホン酸イオン、3-カルボキシフェニルスルホン酸、3-ニトロフェニルスルホン酸イオン、ベンゼンジスルホン酸イオン、ジフェニルアミン-4-スルホン酸イオン、2-アミノ-4-メチル-5-クロロベンゼンスルホン酸イオン、2-アミノ-5-ニトロベンゼンスルホン酸イオン、フタロシアニンスルホン酸イオン、パーフルオロ-4-エチルシクロヘキサンスルホン酸イオン、ナフタレンモノスルホン酸イオン、ナフタレンジスルホン酸イオン、ナフタレントリスルホン酸イオン、ナフチルアミンモノスルホン酸イオン、ナフチルアミンジスルホン酸イオン、ナフチルアミントリスルホン酸イオン、8-{[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミノ}ナフタレン-1-スルホン酸イオン、8-{[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミノ}ナフタレン-1,5-ジスルホン酸イオン、イソキノリン-5-スルホン酸イオン、ナフトールモノスルホン酸イオン、ナフトールジスルホン酸イオン、ナフトールトリスルホン酸イオン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸イオン等の有機スルホン酸系陰イオン;オクチルリン酸イオン、ドデシルリン酸イオン、オクタデシルリン酸イオン、フェニルリン酸イオン、ノニルフェニルリン酸イオン、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)ホスホン酸イオン、3-(トリヒドロキシシリル)プロピルメチルホスホン酸イオン等の有機リン酸系陰イオン;ラウリル硫酸イオン、ラウレス硫酸イオン、ポリオキシエチレンアルキルフェノールスルホン酸イオン、ラウリル硫酸イオン等の有機硫酸系陰イオン;テトラアリールホウ酸イオン、ブチルトリフェニルホウ酸イオン等の有機ホウ酸系陰イオン;トリシアノメチドイオン、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドイオン、トリス(パーフルオロエチルスルホニル)メチドイオン等のメチドイオン類;ジシアナミドイオン;トリフルオロメタンスルホンアミドイオン、ベンゼンスルホンアミドイオン等のスルホンアミドイオン類;N,N-ビス(フルオロスルホニル)イミドイオン、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドイオン、ビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミドイオン、N,N-ヘキサフルオロ-1,3-ジスルホニルイミドイオン、1,1,2,2,3,3-ヘキサフルオロプロパン-1,3-ジスルホンイミドイオン等のスルホンイミドイオン類;等が挙げられる。
【0063】
q-で表されるq価の陰イオンとしては、ヘキサフルオロリン酸イオン、タングステン酸イオン、1価の有機カルボン酸系陰イオン、1価又は2価の有機スルホン酸系陰イオン、1価の有機リン酸系陰イオン、1価の有機ホウ酸系陰イオン、1価のメチドイオン類、ジシアナミドイオン、1価のスルホンアミドイオン類、及び1価のスルホンイミドイオン類が好ましく、タングステン酸イオン、1価の有機カルボン酸系陰イオン、1価又は2価の有機スルホン酸系陰イオン、1価の有機リン酸系陰イオン、1価のメチドイオン類、ジシアナミドイオン、及び1価のスルホンイミドイオン類がより好ましく、タングステン酸イオン、1価の有機カルボン酸系陰イオン、1価又は2価の有機スルホン酸系陰イオン、1価の有機リン酸系陰イオン、1価のメチドイオン類、及び1価のスルホンイミドイオン類がさらに好ましく、タングステン酸イオン、1価の有機カルボン酸系陰イオン、1価又は2価の有機スルホン酸系陰イオン、1価の有機リン酸系陰イオン、及び1価のスルホンイミドイオン類がさらにより好ましく、タングステン酸イオン、1価の有機カルボン酸系陰イオン、1価又は2価の有機スルホン酸系陰イオン、及び1価のスルホンイミドイオン類がいっそう好ましく、1価の有機スルホン酸系陰イオン、及び1価のスルホンイミドイオン類がよりいっそう好ましく、3-カルボキシフェニルスルホン酸、及びビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドイオンが特に好ましい。
【0064】
化合物(I)としては、表1~4に示す、式(I-1)~式(I-146)で表される化合物等が挙げられる。
化合物(I)は、好ましくは式(I-25)~式(I-48)、式(I-73)、式(I-74)、式(I-77)~式(I-80)、式(I-87)、式(I-88)、式(I-109)~式(I-127)で表される化合物である。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】
【表3】
【0068】
【表4】
【0069】
表1~4中、Etはエチル基、Prはプロピル基、Phはフェニル基を表し、po-2~po-4、po-6、po-7、及びpo-9は、それぞれ、上記式(po-2)~式(po-4)、式(po-6)、式(po-7)、及び式(po-9)で表される基を意味し、an-1~an-21は、それぞれ下記式(an-1)~式(an-21)で表される基を表す。
【0070】
【化20】
【0071】
化合物(I)の合成方法は特に限定されないが、国際公開第2014/196464号に記載の方法を参考に合成することもできる。
【0072】
化合物(I)の含有量は、樹脂(B)100質量部に対して、0.05~100質量部であることが好ましく、0.1~80質量部であることがより好ましく、0.5~50質量部であることがさらに好ましく、0.5~30質量部であることがよりさらに好ましい。
【0073】
化合物(I)の含有率は、着色剤(A)の総量中、1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましい。
【0074】
着色剤(A)は、化合物(I)以外に、化合物(I)とは異なる着色剤を含んでいてもよく、該化合物(I)とは異なる着色剤は、染料(以下、染料(A1)という場合がある。)、及び顔料(以下、顔料(A2)という場合がある。)のいずれでもよく、化合物(I)とは異なる着色剤は、これら染料(A1)及び顔料(A2)の一方又は両方を含んでいてもよい。
【0075】
染料(A1)は、化合物(I)を包含しない限り、特に限定されず公知の染料を使用することができ、例えば、溶剤染料、酸性染料、直接染料、媒染染料等が挙げられる。染料としては、例えば、カラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists出版)でピグメント以外で色相を有するものに分類されている化合物や、染色ノート(色染社)に記載されている公知の染料が挙げられる。また、化学構造によれば、アゾ染料、シアニン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、フタロシアニン染料、アントラキノン染料、ナフトキノン染料、キノンイミン染料、メチン染料、アゾメチン染料、スクアリリウム染料、アクリジン染料、スチリル染料、クマリン染料、キノリン染料及びニトロ染料等が挙げられる。これらのうち、有機溶剤可溶性染料が好ましい。
【0076】
顔料(A2)としては、特に限定されず公知の顔料を使用することができ、例えば、カラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists出版)でピグメントに分類されている顔料が挙げられる。
顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、15、16、17、20、24、31、53、83、86、93、94、109、110、117、125、128、137、138、139、147、148、150、153、154、166、173、185、194、214等の黄色顔料;
C.I.ピグメントオレンジ13、31、36、38、40、42、43、51、55、59、61、64、65、71、73等のオレンジ色顔料;
C.I.ピグメントレッド9、97、105、122、123、144、149、166、168、176、177、180、192、202、209、215、216、224、242、254、255、264、265、269、291等の赤色顔料;
C.I.ピグメントブルー15、15:3、15:4、15:6、60等の青色顔料;
C.I.ピグメントバイオレット1、19、23、29、32、36、38等のバイオレット色顔料;
C.I.ピグメントグリーン7、36、58等の緑色顔料;
C.I.ピグメントブラウン23、25等のブラウン色顔料;
C.I.ピグメントブラック1、7などの黒色顔料等が挙げられる。
【0077】
顔料(A2)としては、C.I.ピグメントイエロー185等の黄色顔料;C.I.ピグメントレッド177、202、264、269、291等の赤色顔料;C.I.ピグメントブルー15:6等の青色顔料が好ましい。
【0078】
顔料は、粒径が均一であることが好ましく、顔料分散剤を含有させて分散処理を行うことで、顔料が溶液中で均一に分散した状態の顔料分散液を得ることができる。
【0079】
前記の顔料分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、ポリエステル系、ポリアミン系、アクリル系等の界面活性剤等が挙げられる。
顔料分散剤を用いる場合、その使用量は、顔料(A2)の総量に対して、好ましくは1質量%以上100質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上50質量%以下である。顔料分散剤の使用量が前記の範囲にあると、均一な分散状態の顔料分散液が得られる傾向がある。
【0080】
着色剤(A)の含有率は、着色樹脂組成物の固形分の総量に対して、好ましくは0.5~60質量%であり、より好ましくは1~50質量%であり、さらに好ましくは3~45質量%である。ここで、本明細書における「固形分の総量」とは、着色樹脂組成物の総量から溶剤の含有量を除いた量のことをいう。固形分の総量及びこれに対する各成分の含有量は、例えば、液体クロマトグラフィー又はガスクロマトグラフィーなどの公知の分析手段で測定することができる。
【0081】
<樹脂(B)>
樹脂(B)は、特に限定されないが、アルカリ可溶性樹脂であることが好ましく、不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種(a)(以下、「(a)」という場合がある。)に由来する構造単位を有する樹脂がより好ましい。樹脂(B)は、さらに、炭素数2~4の環状エーテル構造とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b)(以下、「(b)」という場合がある。)に由来する構造単位、(a)と共重合可能な単量体(c)(ただし、(a)及び(b)とは異なる。)(以下、「(c)」という場合がある。)に由来する構造単位、並びに、側鎖にエチレン性不飽和結合を有する構造単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の構造単位を有することが好ましい。
【0082】
(a)としては、具体的には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、イタコン酸無水物、3,4,5,6-テトラヒドロフタル酸無水物、こはく酸モノ〔2-(メタ)アクリロイルオキシエチル〕等が挙げられ、好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸である。
【0083】
(b)は、炭素数2~4の環状エーテル構造(例えば、オキシラン環、オキセタン環及びテトラヒドロフラン環からなる群から選ばれる少なくとも1種)と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体が好ましい。
尚、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタクリル酸よりなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。「(メタ)アクリロイル」及び「(メタ)アクリレート」等の表記も、同様の意味を有する。
(b)としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、ビニルベンジルグリシジルエーテル、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシル(メタ)アクリレート、3-エチル-3-(メタ)アクリロイルオキシメチルオキセタン、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等が挙げられ、好ましくは、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシル(メタ)アクリレート、3-エチル-3-(メタ)アクリロイルオキシメチルオキセタンである。
【0084】
(c)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-9-イル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-ベンジルマレイミド、スチレン、ビニルトルエン等が挙げられ、好ましくは、スチレン、ビニルトルエン、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-ベンジルマレイミド、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-9-イル(メタ)アクリレート等が好ましい。
【0085】
側鎖にエチレン性不飽和結合を有する構造単位を有する樹脂は、(a)と(c)との共重合体に(b)を付加させるか、(b)と(c)との共重合体に(a)を付加させることにより製造することができる。該樹脂は、(b)と(c)との共重合体に(a)を付加させさらにカルボン酸無水物を反応させた樹脂であってもよい。
【0086】
樹脂(B)のポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは3,000~100,000であり、より好ましくは5,000~50,000であり、さらに好ましくは5,000~30,000である。
樹脂(B)の分散度[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]は、好ましくは1.1~6であり、より好ましくは1.2~4である。
【0087】
樹脂(B)の酸価は、固形分換算で、好ましくは20~170mg-KOH/gであり、より好ましくは30~150mg-KOH/g、さらに好ましくは40~135mg-KOH/gである。ここで酸価は樹脂(B)1gを中和するために必要な水酸化カリウムの量(mg)として測定される値であり、例えば水酸化カリウム水溶液を用いて滴定することにより求めることができる。
【0088】
樹脂(B)の含有率は、着色樹脂組成物の固形分の総量に対しては、好ましくは10~90質量%であり、より好ましくは20~80質量%であり、さらに好ましくは25~70質量%である。
【0089】
<重合性化合物(C)>
重合性化合物(C)は、重合開始剤(D)から発生した活性ラジカル及び/又は酸によって重合しうる化合物であり、例えば、重合性のエチレン性不飽和結合を有する化合物等が挙げられ、好ましくは(メタ)アクリル酸エステル化合物である。
【0090】
中でも、重合性化合物(C)は、エチレン性不飽和結合を3つ以上有する重合性化合物であることが好ましい。このような重合性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0091】
重合性化合物(C)の重量平均分子量は、好ましくは150以上2,900以下、より好ましくは250以上1,500以下である。
【0092】
重合性化合物(C)を含む場合、重合性化合物(C)の含有率は、着色樹脂組成物の固形分の総量に対して、5~60質量%であることが好ましく、より好ましくは10~50質量%であり、さらに好ましくは15~40質量%である。
【0093】
<重合開始剤(D)>
重合開始剤(D)は、光や熱の作用により活性ラジカル、酸等を発生し、重合を開始しうる化合物であれば特に限定されることなく、公知の重合開始剤を用いることができる。活性ラジカルを発生する重合開始剤としては、例えば、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)ブタン-1-オン-2-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)オクタン-1-オン-2-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-3-シクロペンチルプロパン-1-オン-2-イミン、N-アセチルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-3-シクロヘキシルプロパン-1-オン-2-イミン、2-メチル-2-モルホリノ-1-(4-メチルスルファニルフェニル)プロパン-1-オン、2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-2-ベンジルブタン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-ピペロニル-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
【0094】
重合開始剤は、トリアジン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、アルキルフェノン化合物、オキシム化合物及びビイミダゾール化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む重合開始剤が好ましく、オキシム化合物を含む重合開始剤がより好ましい。
【0095】
重合開始剤(D)を含む場合、重合開始剤(D)の含有量は、樹脂(B)及び重合性化合物(C)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.1~30質量部であり、より好ましくは1~20質量部である。重合開始剤(D)の含有量が、前記の範囲内にあると、高感度化して露光時間が短縮される傾向があるためカラーフィルタの生産性が向上する。
【0096】
<重合開始助剤(D1)>
重合開始助剤(D1)は、重合開始剤によって重合が開始された重合性化合物の重合を促進するために用いられる化合物、もしくは増感剤である。重合開始助剤(D1)を含む場合、通常、重合開始剤(D)と組み合わせて用いられる。
重合開始助剤(D1)としては、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(通称ミヒラーズケトン)、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、9,10-ジメトキシアントラセン、2,4-ジエチルチオキサントン、N-フェニルグリシン等が挙げられる。
【0097】
これらの重合開始助剤(D1)を用いる場合、その含有量は、樹脂(B)及び重合性化合物(C)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.1~30質量部、より好ましくは1~20質量部である。重合開始助剤(D1)の量がこの範囲内にあると、さらに高感度で着色パターンを形成することができ、カラーフィルタの生産性が向上する傾向にある。
【0098】
<溶剤(E)>
溶剤(E)は、特に限定されず、当該分野で通常使用される溶剤を用いることができる。例えば、エステル溶剤(分子内に-COO-を含み、-O-を含まない溶剤)、エーテル溶剤(分子内に-O-を含み、-COO-を含まない溶剤)、エーテルエステル溶剤(分子内に-COO-と-O-とを含む溶剤)、ケトン溶剤(分子内に-CO-を含み、-COO-を含まない溶剤)、アルコール溶剤(分子内にOHを含み、-O-、-CO-及び-COO-を含まない溶剤)、芳香族炭化水素溶剤、アミド溶剤、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
【0099】
溶剤としては、
乳酸エチル、乳酸ブチル、2-ヒドロキシイソブタン酸メチル、酢酸n-ブチル、酪酸エチル、酪酸ブチル、ピルビン酸エチル、アセト酢酸メチル、シクロヘキサノールアセテート及びγ-ブチロラクトン等のエステル溶剤(分子内に-COO-を含み、-O-を含まない溶剤);
エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3-メトキシ-1-ブタノール、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル等のエーテル溶剤(分子内に-O-を含み、-COO-を含まない溶剤);
3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエーテルエステル溶剤(分子内に-COO-と-O-とを含む溶剤);
4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン(ジアセトンアルコール)、ヘプタノン、4-メチル-2-ペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン溶剤(分子内に-CO-を含み、-COO-を含まない溶剤);
ブタノール、シクロヘキサノール、プロピレングリコール等のアルコール溶剤(分子内にOHを含み、-O-、-CO-及び-COO-を含まない溶剤);
N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド及びN-メチルピロリドン等のアミド溶剤;等が挙げられる。
溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン(ジアセトンアルコール)、乳酸エチル及び3-エトキシプロピオン酸エチルがより好ましい。
【0100】
溶剤(E)を含む場合、溶剤(E)の含有率は、本発明の着色樹脂組成物の総量に対して、好ましくは60~95質量%であり、より好ましくは65~92質量%である。言い換えると、着色樹脂組成物の固形分の総量は、好ましくは5~40質量%、より好ましくは8~35質量%である。溶剤(E)の含有量が前記の範囲内にあると、塗布時の平坦性が良好になり、またカラーフィルタを形成した際に色濃度が不足しないために表示特性が良好となる傾向がある。
【0101】
<レベリング剤(F)>
レベリング剤(F)としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤及びフッ素原子を有するシリコーン系界面活性剤等が挙げられる。これらは、側鎖に重合性基を有していてもよい。
【0102】
シリコーン系界面活性剤としては、分子内にシロキサン結合を有する界面活性剤等が挙げられる。具体的には、トーレシリコーンDC3PA、同SH7PA、同DC11PA、同SH21PA、同SH28PA、同SH29PA、同SH30PA、同SH8400(商品名:東レ・ダウコーニング(株)製);KP321、KP322、KP323、KP324、KP326、KP340、KP341(信越化学工業(株)製);TSF400、TSF401、TSF410、TSF4300、TSF4440、TSF4445、TSF4446、TSF4452及びTSF4460(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)等が挙げられる。
【0103】
前記のフッ素系界面活性剤としては、分子内にフルオロカーボン鎖を有する界面活性剤等が挙げられる。具体的には、フロラード(登録商標)FC430、同FC431(住友スリーエム(株)製)、メガファック(登録商標)F142D、同F171、同F172、同F173、同F177、同F183、同F554、同R30、同RS-718-K(DIC(株)製)、エフトップ(登録商標)EF301、同EF303、同EF351、同EF352(三菱マテリアル電子化成(株)製)、サーフロン(登録商標)S381、同S382、同SC101、同SC105(旭硝子(株)製)及びE5844((株)ダイキンファインケミカル研究所製)等が挙げられる。
【0104】
前記のフッ素原子を有するシリコーン系界面活性剤としては、分子内にシロキサン結合及びフルオロカーボン鎖を有する界面活性剤等が挙げられる。具体的には、メガファック(登録商標)R08、同BL20、同F475、同F477及び同F443(DIC(株)製)等が挙げられる。
【0105】
レベリング剤(F)を含む場合、レベリング剤(F)の含有量は、着色樹脂組成物の総量に対して、好ましくは0.001~0.2質量%であり、より好ましくは0.002~0.1質量%である。尚、この含有量に、顔料分散剤の含有量は含まれない。レベリング剤(F)の含有量が前記の範囲内にあると、カラーフィルタの平坦性を良好にすることができる。
【0106】
<その他の成分>
本発明の着色樹脂組成物は、必要に応じて、充填剤、高分子化合物、密着促進剤、酸化防止剤、光安定剤、連鎖移動剤等、当該技術分野で公知の添加剤を含んでもよい。
【0107】
<着色樹脂組成物の製造方法>
本発明の着色樹脂組成物は、着色剤(A)及び樹脂(B)、並びに必要に応じて用いられる重合性化合物(C)、重合開始剤(D)、重合開始助剤(D1)、溶剤(E)、レベリング剤(F)及びその他の成分を混合することにより調製できる。
【0108】
<カラーフィルタの製造方法>
本発明の着色樹脂組成物から着色パターンを製造する方法としては、フォトリソグラフ法、インクジェット法、印刷法等が挙げられる。中でも、フォトリソグラフ法が好ましい。
【0109】
着色樹脂組成物が、着色剤及び樹脂を含み、着色剤が化合物(I)を含むことにより、耐薬品性に優れたカラーフィルタを作製することができる。該カラーフィルタは、表示装置(例えば、液晶表示装置、有機EL装置、電子ペーパー等)及び固体撮像素子に用いられるカラーフィルタとして有用である。
【実施例
【0110】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。例中、含有量ないし使用量を表す%および部は、特に断らないかぎり質量基準である。
【0111】
〔合成例1〕
還流冷却器、滴下ロート及び撹拌機を備えたフラスコ内に窒素を適量流し窒素雰囲気に置換し、エチルラクテート141部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート178部を入れ、撹拌しながら85℃まで加熱した。次いで、アクリル酸38部、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ-8-イルアクリレート及び3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ-9-イルアクリレートの混合物(含有率は1:1)25部、シクロヘキシルマレイミド137部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート50部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート338部の混合溶液を5時間かけて滴下した。一方、2,2-アゾビスイソブチロニトリル5部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート88部に溶解した混合溶液を6時間かけて滴下した。滴下終了後、4時間同温度で保持した後、室温まで冷却して、固形分25.6%の共重合体(樹脂(B-1))溶液を得た。生成した共重合体の重量平均分子量Mwは8000、分散度2.1、固形分換算の酸価は111mg-KOH/gであった。樹脂(B-1)は下記構造単位を有する。
【0112】
【化21】
【0113】
〔合成例2〕
還流冷却器、滴下ロート及び撹拌機を備えたフラスコ内に窒素を適量流して窒素雰囲気とし、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート280部を入れ、撹拌しながら80℃まで加熱した。次いで、該フラスコ内に、アクリル酸38部、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イルアクリレート及び3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-9-イルアクリレートの混合物(含有率は1:1)289部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート125部に溶解した溶液を滴下ポンプを用いて約5時間かけて滴下した。一方、重合開始剤2,2-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)33部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート235部に溶解した溶液を別の滴下ポンプを用いて約6時間かけてフラスコ内に滴下した。滴下終了後、4時間同温度で保持した後、室温まで冷却して、固形分35.1%の共重合体(樹脂(B-2))溶液を得た。生成した共重合体の重量平均分子量Mwは9200、分散度2.08、固形分換算の酸価は77mg-KOH/gであった。樹脂(B-2)は下記構造単位を有する。
【0114】
【化22】
【0115】
樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)の測定は、GPC法により以下の条件で行った。
装置 ;HLC-8120GPC(東ソー(株)製)
カラム ;TSK-GELG2000HXL
カラム温度 ;40℃
溶媒 ;THF
流速 ;1.0mL/min
被検液固形分濃度;0.001~0.01質量%
注入量 ;50μL
検出器 ;RI
校正用標準物質 ;TSK STANDARD POLYSTYRENE
F-40、F-4、F-288、A-2500、A-500
(東ソー(株)製)
上記で得られたポリスチレン換算の重量平均分子量及び数平均分子量の比(Mw/Mn)を分散度とした。
【0116】
〔合成例3〕
N,N-ジエチルアミノ-3-フェノール4部、下記式(B-1)で表される化合物0.5部、及びトリフルオロスルホン酸7.4部を混合し、100℃で3時間撹拌して反応液を得た。反応液を室温まで冷却後、反応液に水50部を加え、クロロホルム及び酢酸エチルで抽出し、それぞれの有機層を水洗した。水洗した各有機層を合わせて溶媒溜去した。残渣にp-クロラニル0.9部、アセトニトリル50部を加え、室温で12時間撹拌した。反応液を溶媒溜去後、クロロホルム50部を加え、析出した固体をろ別した。ろ液を濃縮後、濃縮したろ液に4%水酸化ナトリウム水溶液50部を加え室温で12時間撹拌した。2N塩酸で反応液をpH4まで中和し、析出した固体をろ取した。得られた固体を酢酸エチル-ヘキサン(3:1)混合溶液で3時間分散洗浄し、乾燥後、濃塩酸5部に溶解させ、溶解液を得た。得られた溶解液をフィルタろ過し、ろ液を20%食塩水にて晶析し、25%水酸化ナトリウム水溶液でpHが4になるまで中和した。析出固体をろ取し、60℃減圧オーブンにて乾燥し、式(A-Y)で表される化合物を0.21部(収率24%)得た。
【0117】
【化23】
【0118】
【化24】
【0119】
式(A-Y)で表される化合物0.77部と、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)リチウム0.5部、及びN,N-ジメチルスルホキシド12.3部を混合し、50℃で3時間撹拌し、反応液を得た。得られた反応液を20%食塩水40部に滴下し、析出した固体をろ取した。固体をクロロホルムに溶解させ、有機層を水で洗浄したのち硫酸ナトリウムを加えて乾燥後溶媒留去し、60℃減圧オーブンにて乾燥し、式(A-2)で表される化合物を0.73部(収率76%)得た。得られた化合物の質量分析結果は、m/z=654[M]+であった。なお、質量分析は、LCはAgilent製1200型を、MASSはAgilent製LC/MSD6130型を用いて測定した(以下の質量分析でも同様である)。
【0120】
【化25】
【0121】
〔合成例4〕
式(A-2)で表される化合物3部、4-アミノ安息香酸エチル5部、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩6部、4-ジメチルアミノピリジン0.5部、(+)-10-カンファースルホン酸0.4部、及びジメチルスルホキシド156部を混合し、室温で3時間撹拌した。反応物を飽和食塩水に晶析し、析出固体をろ取し、100部の水で3回水洗した。60℃減圧オーブンにて乾燥し、式(A-6)で表される化合物を1.6部(収率34%)得た。得られた化合物の質量分析結果は、m/z=892[M]+であった。
【0122】
【化26】
【0123】
〔合成例5〕
4-アミノ安息香酸エチルをアニリンに変更した以外は合成例4と同様にして、式(A-7)で表される化合物を2.0部(収率42%)得た。得られた化合物の質量分析結果は、m/z=804[M]+であった。
【0124】
【化27】
【0125】
〔合成例6〕
3-ヒドロキシジフェニルアミン0.6部、上記式(B-1)で表される化合物0.6部、及びトリフルオロメタンスルホン酸8.8部を混合し、100℃で4時間撹拌して反応液を得た。反応液を室温まで冷却後、反応液に50部の水を加え、クロロホルム及び酢酸エチルで抽出し、それぞれの有機層を水洗した。水洗した各有機層を合わせて溶媒溜去した。残渣にp-クロラニル0.6部、アセトニトリル11部を加え、室温で10時間撹拌した。反応液を溶媒溜去後、クロロホルム30部を加え、析出した固体をろ別した。ろ液を濃縮後、濃縮したろ液に4%水酸化ナトリウム水溶液20部を加え室温で12時間撹拌した。2N塩酸で反応液をpH4まで中和し、析出した固体をろ取した。得られた固体を酢酸エチル-ヘキサン(3:1)混合溶液で5時間分散洗浄し、乾燥後、濃塩酸5部に溶解させ、溶解液を得た。得られた溶解液をフィルタろ過し、ろ液を20%食塩水にて晶析し、25%水酸化ナトリウム水溶液でpHが4になるまで中和した。析出固体をろ取し、ヨウ化エチル7.6部、炭酸カリウム4.1部、及びN-メチル-2-ピロリドン5部を混合し、75℃で17時間撹拌した。反応液を室温まで冷却後、反応液に2N塩酸70部を加え、クロロホルムで抽出し有機層を水洗し、溶媒溜去した。60℃減圧オーブンにて乾燥し、式(B-2)で表される化合物を0.2部(収率15%)得た。得られた化合物の質量分析結果は、m/z=750[M]+であった。
続いて、式(B-2)で表される化合物0.2部、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)リチウム0.1部、及びN,N-ジメチルスルホキシド2.7部を混合し、50℃で5時間撹拌し、反応液を得た。得られた反応液を20%食塩水40部に滴下し、析出した固体をろ取した。固体をクロロホルムに溶解させ、有機層を水で洗浄したのち硫酸ナトリウムを加えて乾燥後溶媒溜去し、60℃減圧オーブンにて乾燥し、式(A-8)で表される化合物を0.2部(収率90%)を得た。
【0126】
【化28】
【0127】
【化29】
【0128】
〔合成例7〕
3,5-ジクロロアニリン15.0部、4-ブロモ酪酸エチル19.9部、N,N-ジイソプロピルエチルアミン35.9部、及びN,N-ジメチルホルムアミド52.5部を混合し、120℃で2時間加熱撹拌した。続けて、反応溶液にヨウ化エチル28.9部を加え、70℃で24時間加熱撹拌した。室温まで冷却後、反応物を酢酸エチルで抽出した後、抽出した反応物を水洗した。有機層を溶媒溜去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:酢酸エチル:ヘキサン=1:5)で精製した。さらに、0℃下で得られた化合物に塩化ホスホリル28.4部、及びN,N-ジメチルホルムアミド52.5部を混合し60℃で6時間加熱撹拌した。反応物を4%水酸化ナトリウム水溶液に晶析し、析出固体をろ取し、100部のメタノールで洗浄した。60℃減圧オーブンにて乾燥し、式(B-3)で表される化合物を5.0部(収率16%)得た。得られた化合物の質量分析結果は、m/z=333[M+H]+であった。
【0129】
【化30】
【0130】
式(B-1)で表される化合物を式(B-3)で表される化合物に、3-ヒドロキシジフェニルアミンをN,N-ジエチルアミノフェノールに変更した以外は合成例6と同様にして、式(B-4)で表される化合物を1.3部(収率31%)得た。得られた化合物の質量分析結果は、m/z=596[M]+であった。
【0131】
【化31】
【0132】
続いて、式(B-2)で表される化合物を式(B-4)で表される化合物に変更した以外は合成例6と同様にして、式(A-9)で表される化合物を0.4部(収率64%)得た。
【0133】
【化32】
【0134】
〔合成例8〕
ビス(トリフルオロメタンスルホニル)リチウムを3-スルホ安息香酸モノナトリウムに変更した以外は合成例7と同様にして、式(A-10)で表される化合物を0.3部(収率45%)得た。
【0135】
【化33】
【0136】
〔合成例9〕
ビス(トリフルオロメタンスルホニル)リチウムをリチウムビス(フルオロスルホニル)イミドに変更した以外は合成例3と同様にして、式(A-11)で表される化合物を0.88部(収率91%)得た。
【0137】
【化34】
【0138】
〔合成例10〕
ビス(トリフルオロメタンスルホニル)リチウムをトリフルオロメタンスルホン酸リチウムに変更した以外は合成例3と同様にして、式(A-12)で表される化合物を0.77部(収率71%)得た。
【0139】
【化35】
【0140】
〔合成例11〕
ビス(トリフルオロメタンスルホニル)リチウムをノナフルオロ-1-ブタンスルホン酸リチウムに変更した以外は合成例3と同様にして、式(A-13)で表される化合物を0.5部(収率72%)得た。
【0141】
【化36】
【0142】
〔合成例12〕
ビス(トリフルオロメタンスルホニル)リチウムをテトラフェニルホウ酸ナトリウムに変更した以外は合成例3と同様にして、式(A-14)で表される化合物を0.93部(収率83%)得た。
【0143】
【化37】
【0144】
〔合成例13〕
ビス(トリフルオロメタンスルホニル)リチウムをナトリウムジシアナミドに変更した以外は合成例3と同様にして、式(A-15)で表されるキサンテン化合物を0.78部(収率93%)得た。
【0145】
【化38】
【0146】
〔合成例14〕
ビス(トリフルオロメタンスルホニル)リチウムをヘキサフルオロリン酸リチウムに変更した以外は合成例3と同様にして、式(A-16)で表される化合物を0.58部(収率63%)得た。
【0147】
【化39】
【0148】
〔合成例15〕
ビス(トリフルオロメタンスルホニル)リチウムを3-ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウムに変更した以外は合成例3と同様にして、式(A-17)で表される化合物を0.74部(収率75%)得た。
【0149】
【化40】
【0150】
〔合成例16〕
ビス(トリフルオロメタンスルホニル)リチウムをイソキノリン-5-スルホン酸ナトリウムに変更した以外は合成例3と同様にして、式(A-18)で表される化合物を0.65部(収率63%)得た。
【0151】
【化41】
【0152】
〔合成例17〕
ビス(トリフルオロメタンスルホニル)リチウムをトリフルオロメタンスルホンアミドに変更した以外は合成例3と同様にして、式(A-19)で表される化合物を0.74部(収率75%)得た。
【0153】
【化42】
【0154】
〔合成例18〕
ビス(トリフルオロメタンスルホニル)リチウムをN,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸に変更した以外は合成例3と同様にして、式(A-20)で表される化合物を0.87部(収率87%)得た。
【0155】
【化43】
【0156】
〔合成例19〕
ビス(トリフルオロメタンスルホニル)リチウムをエチレンジアミン四酢酸モノナトリウム鉄(III)水和物に変更した以外は合成例3と同様にして、式(A-21)で表される化合物を0.65部(収率60%)得た。
【0157】
【化44】
【0158】
〔合成例20〕
ビス(トリフルオロメタンスルホニル)リチウムをビニルスルホン酸ナトリウムに変更した以外は合成例3と同様にして、式(A-22)で表される化合物を0.65部(収率74%)得た。
【0159】
【化45】
【0160】
〔合成例21〕
ビス(トリフルオロメタンスルホニル)リチウムを3-(トリヒドロキシシリル)プロピルメチルホスホネートモノナトリウム塩溶液に変更した以外は合成例3と同様にして、式(A-23)で表される化合物を0.47部(収率46%)得た。
【0161】
【化46】
【0162】
〔合成例22〕
ビス(トリフルオロメタンスルホニル)リチウムを3-(トリヒドロキシシリル)プロパン-1-スルホン酸に変更した以外は合成例3と同様にして、式(A-24)で表されるキサンテン化合物を0.32部(収率36%)得た。
【0163】
【化47】
【0164】
〔合成例23〕
1,8-ナフトスルトン0.2部、3-アミノプロピルトリエトキシシラン0.2部、及びジメチルスルホキシド8.5部を混合し、室温で3時間撹拌した後、式(B-5)で表される化合物を得た。その後、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)リチウムを式(B-5)で表される化合物に変更した以外は合成例3と同様にして、式(A-25)で表される化合物を0.78部(収率93%)得た。
【0165】
【化48】
【0166】
【化49】
【0167】
〔合成例24〕
1,8-ナフトスルトンを1,8-ナフトスルトン-4-スルホン酸ナトリウムに変更した以外は合成例23と同様にして、式(A-26)で表される化合物を0.5部(収率44%)得た。
【0168】
【化50】
【0169】
〔合成例25〕
ビス(トリフルオロメタンスルホニル)リチウムをホスホタングステン酸水和物に変更した以外は合成例3と同様にして、式(A-27)で表される化合物を0.5部(収率72%)得た。
【0170】
【化51】
【0171】
〔合成例26〕
ビス(トリフルオロメタンスルホニル)リチウムを1,1,2,2,3,3-ヘキサフルオロプロパン-1,3-ジスルホンイミドリチウムに変更した以外は合成例3と同様にして、式(A-28)で表されるキサンテン化合物を0.69部(収率63%)得た。
【0172】
【化52】
【0173】
〔合成例27〕
ビス(トリフルオロメタンスルホニル)リチウムをカリウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタニドに変更した以外は合成例3と同様にして、式(A-29)で表される化合物を0.63部(収率58%)得た。
【0174】
【化53】
【0175】
〔分散液1の作製〕
C.I.ピグメントレッド291(顔料)を10.0部、分散剤(BYK社製 BYKLPN-6919;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート60%溶液)を3.3部、樹脂(B-2)(固形分換算)を4.0部、プロピレングリコールモノメチルエーテル12.7部を混合し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート41.3部を混合し、0.4μmのジルコニアビーズ600部を加え、ペイントコンディショナー(LAU社製)を使用して1時間振盪した。その後、ジルコニアビーズをろ過により除去して分散液1を得た。
【0176】
〔分散液2の作製〕
C.I.ピグメントレッド177(顔料)を10.0部、分散剤(BYK社製 BYKLPN-6919;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート60%溶液)を4.3部、樹脂(B-2)(固形分換算)を4.0部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート59.2部を混合し、0.4μmのジルコニアビーズ600部を加え、ペイントコンディショナー(LAU社製)を使用して1時間振盪した。その後、ジルコニアビーズをろ過により除去して分散液2を得た。
【0177】
〔分散液3の作製〕
C.I.ピグメントレッド202(顔料)を10.0部、分散剤(BYK社製 BYKLPN-6919;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート60%溶液)を7.5部、樹脂(B-2)(固形分換算)を3.5部、プロピレングリコールモノメチルエーテル8.5部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート202部を混合し、0.4μmのジルコニアビーズ600部を加え、ペイントコンディショナー(LAU社製)を使用して1時間振盪した。その後、ジルコニアビーズをろ過により除去して分散液3を得た。
【0178】
〔分散液4の作製〕
C.I.ピグメントレッド264(顔料)を10.0部、分散剤(BYK社製 BYKLPN-6919;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート60%溶液)を7.6部、樹脂(B-2)(固形分換算)を3.6部、プロピレングリコールモノメチルエーテル6.7部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート55.4部を混合し、0.4μmのジルコニアビーズ600部を加え、ペイントコンディショナー(LAU社製)を使用して1時間振盪した。その後、ジルコニアビーズをろ過により除去して分散液4を得た。
【0179】
〔分散液5の作製〕
C.I.ピグメントレッド269(顔料)を10.0部、分散剤(BYK社製 BYKLPN-6919;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート60%溶液)を5.0部、樹脂(B-2)(固形分換算)を3.0部、プロピレングリコールモノメチルエーテル5.5部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート47.7部を混合し、0.4μmのジルコニアビーズ600部を加え、ペイントコンディショナー(LAU社製)を使用して1時間振盪した。その後、ジルコニアビーズをろ過により除去して分散液5を得た。
【0180】
〔分散液6の作製〕
C.I.ピグメントイエロー185(顔料)を10.0部、分散剤(BYK社製 BYKLPN-6919;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート60%溶液)を10.8部、樹脂(B-2)(固形分換算)を3.5部、プロピレングリコールモノメチルエーテル4.2部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート96.5部を混合し、0.4μmのジルコニアビーズ600部を加え、ペイントコンディショナー(LAU社製)を使用して1時間振盪した。その後、ジルコニアビーズをろ過により除去して分散液6を得た。
【0181】
〔分散液7の作製〕
C.I.ピグメントブルー15:6(顔料)を10.0部、分散剤(BYK社製 BYKLPN-6919;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート60%溶液)を5.8部、樹脂(B-2)(固形分換算)を4.0部、乳酸エチル7.6部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート96.5部を混合し、0.4μmのジルコニアビーズ600部を加え、ペイントコンディショナー(LAU社製)を使用して1時間振盪した。その後、ジルコニアビーズをろ過により除去して分散液7を得た。
【0182】
<実施例1~36、比較例1、2>
〔着色樹脂組成物の調製〕
表5~7に示す成分を混合して、各々の着色樹脂組成物を得た。
【0183】
・色材1:式(A-1)で表される化合物
【0184】
【化54】
【0185】
・色材2:式(A-2)で表される化合物
【0186】
【化55】
【0187】
・色材3:式(A-3)で表される化合物
【0188】
【化56】
【0189】
・色材4:式(A-4)で表される化合物
【0190】
【化57】
【0191】
・色材5:式(A-X)で表される化合物
【0192】
【化58】
【0193】
・色材6:式(A-6)で表される化合物
・色材7:式(A-7)で表される化合物
・色材8:式(A-8)で表される化合物
・色材9:式(A-9)で表される化合物
・色材10:式(A-10)で表される化合物
・色材11:式(A-11)で表される化合物
・色材12:式(A-12)で表される化合物
・色材13:式(A-13)で表される化合物
・色材14:式(A-14)で表される化合物
・色材15:式(A-15)で表される化合物
・色材16:式(A-16)で表される化合物
・色材17:式(A-17)で表される化合物
・色材18:式(A-18)で表される化合物
・色材19:式(A-19)で表される化合物
・色材20:式(A-20)で表される化合物
・色材21:式(A-21)で表される化合物
・色材22:式(A-22)で表される化合物
・色材23:式(A-23)で表される化合物
・色材24:式(A-24)で表される化合物
・色材25:式(A-25)で表される化合物
・色材26:式(A-26)で表される化合物
・色材27:式(A-27)で表される化合物
・色材28:式(A-28)で表される化合物
・色材29:式(A-29)で表される化合物
【0194】
・樹脂(B):樹脂(B-1)(固形分換算)
・重合性化合物(C):ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD(登録商標)DPHA;日本化薬(株)製)
・重合開始剤(D):TR-PBG327(登録商標)(常州強力電子新材料株式会社製;オキシム化合物)
・溶剤(E):溶剤(E-1):乳酸エチル
溶剤(E-2):ジアセトンアルコール
溶剤(E-3):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
・レベリング剤(F):ポリエーテル変性シリコーンオイル(固形分換算)(トーレシリコーンSH8400;東レダウコーニング(株)製)
【0195】
【表5】
【0196】
【表6】
【0197】
【表7】
【0198】
〔カラーフィルタ(着色塗膜)の作製〕
5cm角のガラス基板(イーグル2000;コーニング社製)上に、着色樹脂組成物をスピンコート法で塗布したのち、100℃で3分間プリベークして着色樹脂組成物層を形成した。放冷後、露光機(TME-150RSK;トプコン(株)製)を用いて、大気雰囲気下、60mJ/cm2の露光量(365nm基準)で光照射した。その後オーブン中、230℃で20分間ポストベークを行い、カラーフィルタを得た。
【0199】
〔耐薬品性試験〕
得られたカラーフィルタを40℃に調温したN-メチルピロリドンに10分間浸漬させた。浸漬前後のカラーフィルタについて、測色機(OSP-SP-200;オリンパス(株)製)を用いて分光を測定し、C光源の特性関数を用いてCIEのXYZ表色系におけるxy色度座標(x、y)と刺激値Yを算出した。該測定値からJIS Z 8730:2009(7.色差の計算方法)に記載される方法で色差△E*abを計算し、結果を表8~9に示した。△E*abは小さいほど色変化が小さいことを意味する。
【0200】
【表8】
【0201】
【表9】