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特許7555708超音波診断の超音波撮像のための模範提示ガイダンス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】超音波診断の超音波撮像のための模範提示ガイダンス
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/00 20060101AFI20240917BHJP
【FI】
A61B8/00
【請求項の数】 18
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020006163
(22)【出願日】2020-01-17
(65)【公開番号】P2020124480
(43)【公開日】2020-08-20
【審査請求日】2023-01-11
(31)【優先権主張番号】16/264,310
(32)【優先日】2019-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517356184
【氏名又は名称】キャプション ヘルス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(72)【発明者】
【氏名】カドゥー,チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】チャウダリー,アリ
(72)【発明者】
【氏名】グッタ,サラ
(72)【発明者】
【氏名】ホン,ハ
(72)【発明者】
【氏名】シェイ,チン
(72)【発明者】
【氏名】ケプセル,キリアン
(72)【発明者】
【氏名】パラジュリ,ンレイプシュ
(72)【発明者】
【氏名】ポルヴェール,ニコラス
【審査官】永田 浩司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/108667(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第2612599(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0343428(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0359512(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 - 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波診断システムの超音波撮像用プローブの操作者を模範動作教示によりガイドするための方法であって、
前記超音波撮像用プローブを利用して、被験者の対象器官の一連の画像クリップを取得するステップと、
取得した複数の前記画像クリップによって表される前記対象器官の特定のビューを決定するステップと、
前記特定のビューに対して、前記取得した複数の画像クリップの各々の品質を評価するステップと、
前記取得した複数の画像クリップの評価された前記品質が前記特定のビューの所定の合格品質を下回る場合に、前記超音波診断システムのメモリ内で、前記取得した画像クリップの各々について、前記対象器官の次に取得される画像クリップの前記特定のビューに関する品質の向上を行うために予め決定された、前記超音波撮像用プローブの模範動作を計算するステップと、前記模範動作が前記一連の画像クリップと関係づけられて、制限期間内に所定の閾値の回数だけ計算されたという決定に応答して、前記模範動作を、前記対象器官の次に取得される画像クリップのユーザインターフェースへの表示と同時に、前記超音波診断システムの前記ユーザインターフェースに表示するステップと、を含むこと、
を特徴とする方法。
【請求項2】
前記取得した複数の画像クリップの一つに対応する、各々の計算された前記模範動作を、固定サイズの先入れ先出しキューに登録するステップと、
前記模範動作が前記先入れ先出しキューのエントリの閾値の数だけ存在するという決定に応答して、前記模範動作を前記ユーザインターフェースに表示するステップと、をさらに含むこと
を特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記計算された模範動作の前記先入れ先出しキューへの前記登録を、前記計算された模範動作に紐づけられた確率が所定の閾値を超えた場合にのみ行うこと、
を特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記模範動作の選択された一つは、前記超音波撮像用プローブの位置を変えることなく前記超音波撮像用プローブを回転させる指示として示されること、
を特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記模範動作の選択された一つは、前記超音波撮像用プローブの位置を特定の方向に変えることであること、
を特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記模範動作の選択された一つは、前記超音波撮像用プローブの位置を変えることなく前記超音波撮像用プローブのピッチを変えることであること、
を特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
超音波診断システムの超音波撮像用プローブの操作者を模範動作教示によりガイドするために構成されたデータ処理システムであり、
メモリと少なくとも一つのプロセッサを有する計算機と、
前記計算機に接続された表示部と、
前記計算機と前記表示部に接続されたビーム形成回路と、
前記ビーム形成回路に接続されたトランスデューサを有する超音波撮像用プローブと、
前記計算機のメモリにおいて実行される模範教示ガイダンスモードモジュールと、
を有し、前記模範教示ガイダンスモードモジュールはプログラムコードを有し、
前記プログラムコードは前記計算機の前記プロセッサによって実行されることにより、
前記超音波撮像用プローブを利用して、被験者の対象器官の一連の画像クリップを取得するステップと、
取得された複数の画像クリップによって表される前記対象器官の特定のビューを決定するステップと、
前記特定のビューに対して、前記取得した複数の画像クリップの各々の品質を評価するステップと、
前記取得した複数の画像クリップの評価された前記品質が前記特定のビューの所定の合格品質を下回る場合に、前記超音波診断システムのメモリ内で、前記取得した複数の画像クリップの各々について、前記対象器官の次に取得される画像クリップの前記特定のビューに関する品質の向上を行うために予め決定された、前記超音波撮像用プローブの模範動作を計算するステップと、前記模範動作が前記一連の画像クリップと関係づけられて、制限期間内に所定の閾値の回数だけ計算されたという決定に応答して、前記模範動作を、前記対象器官の次に取得される画像クリップのユーザインターフェースへの表示と同時に、前記超音波診断システムの前記ユーザインターフェースに表示するステップと、を含むこと、
を特徴とするデータ処理システム。
【請求項8】
前記取得した画像クリップの一つに対応する、各々の計算された模範動作を、固定サイズの先入れ先出しキューに登録するステップと、
前記模範動作が前記先入れ先出しキューのエントリの閾値の数だけ存在するという決定に応答して、前記模範動作を前記ユーザインターフェースに表示するステップと、をさらに含むこと
を特徴とする請求項7に記載のデータ処理システム。
【請求項9】
前記計算された模範動作の前記先入れ先出しキューへの前記登録を、前記計算された模範動作に紐づけられた確率が所定の閾値を超えた場合にのみ行うこと、
を特徴とする請求項8に記載のデータ処理システム。
【請求項10】
前記模範動作の選択された一つは、前記超音波撮像用プローブの位置を変えることなく前記超音波撮像用プローブを回転させる指示として示されること、
を特徴とする請求項7に記載のデータ処理システム。
【請求項11】
前記模範動作の選択された一つは、前記超音波撮像用プローブの位置を特定の方向に変えることであること、
を特徴とする請求項7に記載のデータ処理システム。
【請求項12】
前記模範動作の選択された一つは、前記超音波撮像用プローブの位置を変えることなく前記超音波撮像用プローブのピッチを変えることであること、
を特徴とする請求項7に記載のデータ処理システム。
【請求項13】
超音波診断システムの超音波撮像用プローブの操作者を模範動作教示によりガイドするためのコンピュータプログラム製品であり、前記コンピュータプログラム製品はプログラム命令が組み込まれたコンピュータの読み取り可能な記憶媒体を含み、前記プログラム命令は装置によって実行可能であり、前記プログラム命令の実行によって前記装置は、
前記超音波撮像用プローブを利用して、被験者の対象器官の一連の画像クリップを取得るステップと、
取得された複数の画像クリップによって表される前記対象器官の特定のビューを決定するステップと、
前記特定のビューに対して、前記取得した複数の画像クリップの各々の品質を評価するステップと、
前記取得した複数の画像クリップの評価された前記品質が前記特定のビューの所定の合格品質を下回る場合に、前記超音波診断システムのメモリ内で、前記取得した画像クリップの各々について、前記対象器官の次に取得される画像クリップの前記特定のビューに関する品質の向上を行うために予め決定された、前記超音波撮像用プローブの模範動作を計算するステップと、前記模範動作が前記一連の画像クリップと関係づけられて、制限期間内に所定の閾値の回数だけ計算されたという決定に応答して、前記模範動作を、前記対象器官の次に取得される画像クリップのユーザインターフェースへの表示と同時に、前記超音波診断システムの前記ユーザインターフェースに表示するステップと、を含むこと、
を特徴とするコンピュータプログラム製品。
【請求項14】
前記取得した複数の画像クリップの一つに対応する、各々の計算された模範動作を、固定サイズの先入れ先出しキューに登録するステップと、
前記模範動作が前記先入れ先出しキューのエントリの閾値の数だけ存在するという決定に応答して、前記模範動作を前記ユーザインターフェースに表示するステップと、をさらに含むこと
を特徴とする請求項13に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項15】
前記計算された模範動作の前記先入れ先出しキューへの前記登録を、前記計算された模範動作に紐づけられた確率が所定の閾値を超えた場合にのみ行うこと、
を特徴とする請求項14に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項16】
前記模範動作の選択された一つは、前記超音波撮像用プローブの位置を変えることなく前記超音波撮像用プローブを回転させる指示として示されること、
を特徴とする請求項13に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項17】
前記模範動作の選択された一つは、前記超音波撮像用プローブの位置を特定の方向に変えることであること、
を特徴とする請求項13に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項18】
前記模範動作の選択された一つは、前記超音波撮像用プローブの位置を変えることなく前記超音波撮像用プローブのピッチを変えることであること、
を特徴とする請求項13に記載のコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、超音波撮像、特に超音波画像の取得に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波撮像(ソノグラフィと呼ばれることもある)は高周波の音波を用いて生体内の三次元的構造を観測するための医療画像技術である。超音波画像をリアルタイムに取得するため、体内の臓器の動きや人体の血管を通る血流、組織の硬さなどを映す。又、X線画像診断のように電離放射線が用いられないため、長期的なX線被ばくによる組織や臓器の損傷というリスクを伴うことなく、長時間使用できる。
【0003】
超音波画像を得るためには、超音波検査の際に、一般にプローブと呼ばれるトランスデューサを直接肌に当てるか、もしくは身体の開口部から挿入する。肌の上にジェルを薄く塗り、トランスデューサから発せられる超音波をジェルという媒体を介して体内に発信させる。そして、体内の構造から戻ってくる反射波を計測することにより、超音波画像が構成される。超音波信号の強度(検知される反射波の振幅)および音波が体内を伝播するのに要する時間に基づき画像を計算するための情報を生成する。
【0004】
超音波撮像は、他の代表的な医療画像方法と比較して、医療従事者と患者にとっていくつかの利点を有する。まず、第一に、リアルタイムで画像を得ることができる。また、超音波撮像に必要な装置は持ち運び可能な為、患者の傍まで持って行くことができる。さらに、実用面において、他の医用画像撮影装置と比べて大幅に低コストであり、前述したように、有害な電離放射線を使用しないという点が挙げられる。しかしながら、高品質な画像の生成は検査者の熟練に大きく依存するという問題がある。
【0005】
これに関して、画像化対象に選択された身体部分に応じて、熟練した操作者は、超音波プローブを最初にどこに配置するかを知っておく必要がある。次に、熟練した操作者は、プローブを空間内で方向付けする方法を知っている必要があり、最後に、熟練した操作者は、所望の画像を取得するためにプローブをどこに移動するかを知っておく必要がある。一般に、超音波操作者は、超音波撮像中に生成された画像が提供する視覚的フィードバックに基づいて、プローブの初期配置、方向付け、および移動の際にガイドされる。したがって、本質的に、プローブのナビゲーションは、反復的な試行錯誤からなる手動プロセスです。簡潔に言えば、超音波ナビゲーションの最新のプロセスは最適ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の実施形態は、超音波診断に関する技術の欠点に対処し、超音波撮像用プローブの操作を模範動作教示によりガイドするための新規かつ非自明な方法、システム、およびコンピュータプログラム製品を提供する。本発明の一実施形態では、超音波撮像用プローブの操作者を模範動作教示によりガイドするための方法は、超音波診断装置の超音波撮像用プローブを利用して被検体の対象器官の一連の画像クリップを取得するステップと、取得した複数の画像クリップによって表現される前記対象器官の特定のビューを決定するステップと、取得した前記画像クリップの各々の前記特定のビューに対する品質を評価するステップと、を含む。
【0007】
前記取得された画像クリップの前記評価された品質が、前記特定のビューに関する所定の合格品質を下回っている場合、予め決められた超音波撮像用プローブの模範動作が、次に取得される前記対象器官の画像クリップの前記特定のビューに対する品質改良のために、前記超音波診断システムのメモリ内で計算される。次に、模範動作が、前記一連の画像クリップに関連して閾値回数だけ計算されたことを判定するとこれに応答して、前記模範動作が、次に取得された前記対象器官の画像クリップの前記超音波診断システムのユーザインターフェースへの表示と同時に、前記ユーザインターフェースに表示される。
【0008】
実施形態の一態様では、前記方法は、取得した画像クリップの各々に対応して計算された各模範動作を固定サイズの先入れ先出しキューに登録するステップと、前記模範動作が先入れ先出しキューのエントリの閾値数内に存在するという判定に応答して、前記ユーザインターフェースに前記模範動作を表示するステップをさらに含む。オプションで、前記計算された模範動作を登録するステップは、該計算された模範動作に紐づけられた確率が閾値を超えたときにのみ実行される。実施形態の別の態様では、前記模範動作の選択された一つは、超音波撮像用プローブの位置を変更することなく、超音波撮像用プローブを回転させる指示として、又は、指定された方向に超音波撮像用プローブの位置を変更する指示として、または、超音波撮像用プローブの位置を変えることなく超音波撮像用プローブのピッチを変える指示として表示される。
【0009】
本発明の別の実施形態として、データ処理システムが、超音波撮像の操作者への模範動作教示によるガイドのために構成される。前記システムは、メモリと一つ以上のプロセッサを有する計算機と、前記計算機に接続された表示部と、前記計算機と前記表示部に接続されたビーム形成回路と、前記ビーム形成回路に接続されたトランスデューサを有する超音波撮像用プローブを含む。注意すべきは、模範教示ガイダンスモジュールが前記計算機の前記メモリで実行されることである。該模範教示ガイダンスモジュールは、前記コンピュータの前記プロセッサによる実行時に有効にされるプログラムコードを含み、該プログラムコードは、超音波診断装置の超音波撮像用プローブを利用して被検体の対象器官の一連の画像クリップを取得するステップと、取得した複数の画像クリップによって表現される前記対象器官の特定のビューを決定するステップと、取得した前記画像クリップの各々の前記特定のビューに対する品質を評価するステップと、前記取得された画像クリップの前記評価された品質が、前記特定のビューに関する所定の品質を下回っている場合、予め決められた超音波撮像用プローブの模範動作が、次に取得される前記対象器官の画像クリップの前記特定のビューに対する品質改良のために、前記超音波診断システムのメモリ内で計算するステップと、次に、模範動作が、前記一連の画像クリップに関連して閾値回数だけ計算されたことを判定するとこれに応答して、前記模範動作を、次に取得された前記対象器官の画像クリップの前記超音波診断システムのユーザインターフェースへの表示と同時に、前記ユーザインターフェースに表示するステップと、を実行する。
【0010】
本願発明の追加の態様は、一部は本明細書の詳細な説明に述べられており、又、一部は本明細書から明白であり、さらに、本発明の実施によって習得される。本発明の態様は請求項において記載した要素および要素の組み合わせにより実現及び達成することができる。本願発明の概略的な説明と以下の詳細な説明は共に、本発明の代表的及び説明的な例であって本願を限定するものではないことが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本明細書に添付された図面は、本明細書に組み込まれて本明細書の一部を構成するものであり、また、本発明の実施形態を示し、本明細書に記載される説明と共に本発明の原理を説明する役割を担っている。図面は現在の望ましい実施例を開示しているが、本発明はこれらに示される細かな構成や手段に限定されるものではない。
図1】超音波撮像用プローブの操作者を模範動作教示によりガイドするためのプロセスを示す。
図2】超音波撮像用プローブの操作者を模範動作教示によりガイドするために構成されたデータ処理システムの概略図である。
図3】超音波撮像用プローブの操作者を模範動作教示によりガイドするためのプロセスを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態は、超音波撮像用プローブの操作者を規範的にガイドする方法を提供する。本発明の実施形態によれば、超音波診断システムの超音波撮像用プローブを利用して、被験者の対象器官の一連の画像クリップが取得される。一つの特定のビューが、前記画像クリップと前記対象器官とに基づいて決定され、該特定のビューに基づいて各画像クリップの合格品質が決定される。各画像クリップの判定された品質が前記合格品質を下回る程度に応じて、前記画像クリップの各々に対して、超音波撮像用プローブの模範動作が、前記超音波診断システムのメモリ内で計算される。前記模範動作が前記一連の画像クリップに関連する閾値の回数だけ計算されたという決定に応答して、次に、前記模範動作が超音波診断システムのディスプレイに表示される。
【0013】
より詳しい説明を、超音波撮像用プローブの操作者を模範動作教示によりガイドするプロセスを示す図1を用いて行う。図1に示すように、超音波撮像用プローブ120を備える超音波撮像システム110は対象器官130を撮像するために超音波撮像動作を行う。超音波撮像システム110のユーザインターフェース140は超音波撮像用プローブ120により取得した対象器官130のビデオクリップ155の同時表示160Aを提示する。ユーザインターフェース140に配置される品質メータ150は、同時表示160A上に表示したビデオクリップの品質をスライディングスケールで示す。この品質とは対象器官130に関して得られた既知のビューに対する品質の度合いである。例えば、心臓の撮像に関する場合、既知のビューには、予想されるいくつかのビューをあげると、傍胸骨長軸ビュー、傍胸骨短軸ビュー、心尖部二腔ビュー、心尖部三腔ビュー、心尖部四腔ビュー、心尖部五腔ビュー、及び肋骨下ビュー等がある。ビデオクリップ155が前記特定のビューにおける品質閾値に合致もしくは超えると判定される程度に応じて成功アイコン165が品質メータ150に関係づけて表示される。また、対象器官130の既知のビューに基づく、以前に取得された理想的な基準画像160Bがユーザインターフェース140に表示される。
【0014】
次に、ビデオクリップ155は、前記既知のビューに対する対象器官130の画像化の品質の改善を目的として、特定の模範教示ガイダンス175を推奨する必要性に関する確率と相関する品質を決定するために処理される。これに関して、模範教示ガイダンス175は、取得されたビデオクリップの2次標準品質を見直すために、超音波撮像用プローブ120の異なる所定の動き195の中から選択することができる。これらの動き195は、例えば、時計回りまたは反時計回りのいずれかの方向への超音波撮像用プローブ120の回転、胸骨から横方向に離れる、または胸骨に向かって内側に向かう超音波撮像用プローブ120の動き、および、超音波撮像用プローブ120のテールを上下に傾けることにより撮像用ビームを上下に向ける、または、超音波撮像用プローブ120のテールを内側にまたは横方向に傾けることにより撮像用ビームを下方にスライドさせたり、標識の方へ近づけたり標識から離れたりして揺動させる等の動きがあるが、これらはほんの数例をあげただけである。
【0015】
模範教示ガイダンス175は、次に、ビデオクリップ155に紐付けて先入れ先出しキュー145に登録され、キュー145に登録された最も古いエントリが最新のエントリを登録する際に除去される。次に、模範教示ガイダンス論理185がキュー145内のエントリを監視する。模範教示ガイダンス論理185は、キュー145内の所定の閾値数のエントリが模範教示ガイダンス175に対して存在すると判断すると、模範教示ガイダンス175を表すアイコン135がユーザインターフェース140に表示され、キュー145内の所定の閾値数のエントリが模範教示ガイダンス175に対して残っている間ユーザインターフェース140に表示され続ける。キュー145内の模範教示ガイダンス175に対する閾値数だけのエントリがもはや存在しなくなると、アイコン135はユーザインターフェース140から削除される。次に、キュー145内に所定の閾値数だけのエントリを有する新しい模範教示ガイダンスのアイコンが表示されるか、またはどの模範教示ガイダンスにも対応しない空エントリが閾値数だけ存在する場合は、どのアイコンも表示されない。
【0016】
オプションとして、ユーザインターフェース140に追加部分170を設け、対象器官130が存在する身体の一部の象徴的な画像(アイコニックイメージ)と、対象器官130の指定されたビューを得るための、アイコニックイメージに対する超音波撮像用プローブ120の推奨される動きをアイコン画像上で表示するようにしても良い。ユーザインターフェースの追加部分170は、対象器官130が存在する身体の一部のアイコニックイメージに重ね合わされた空間定位表示部180を含む。空間定位表示部180は等間隔な角度の十二の位置で示されたクロックアングルインジケータとして構成される。これに関して、図1でわかるように、前記クロックアングル位置のうち関連する分の数字だけが示される。前記位置は、対象器官130の指定されたビューに対する画像群を取得するために超音波撮像用プローブ120を移動させる方向の範囲として選択される。このようにして、推奨される動きと空間定位表示部180との組み合わせは、選択されたビューにおいて十分な品質のビデオクリップが取得できるよう、超音波撮像システム110の操作者に手短に使える視覚的ガイダンスを提供する。
【0017】
図1を用いて説明したプロセスは、超音波診断用データ処理システムによって実施することができる。図2は超音波撮像用プローブの操作者を模範動作教示によりガイドするために構成されたデータ処理システムの概略図である。該システムはホストコンピューティングシステム210を含む。ホストコンピューティングシステム210は一つ以上のプロセッサと、メモリと、表示部と、を有する計算機を含み、また、データ記憶装置250も含む。ホストコンピューティングシステム210はさらに、超音波撮像システム240に接続されており、超音波撮像システム240は、ビーム形成回路220の動作によって、手持ち式撮像用装置230を哺乳類の被験体の診断対象である器官の近くに置くことで取得した超音波画像をメモリに記憶するように構成されている。
【0018】
ホストコンピューティングシステム210は、ニューラルネットワークとニューラルネットワークへのプログラムインタフェースを保存したローカル又はリモート(クラウド上の)の固定記憶装置(図示せず)に通信可能に接続されている。該ニューラルネットワークは、対象器官の一つ以上の特徴、例えば、心臓の駆出率や大動脈弁狭窄の有無を特徴づけするよう訓練される。そのために、超音波撮像システム240により取得された、対象器官の指定されたビューのビデオクリップ画像がニューラルネットワークに提供され、該ニューラルネットワークはビデオクリップ画像の特徴づけをその特徴づけの信頼度と共に出力するためにプログラムインタフェースにアクセスする。次に、超音波撮像システム240はビデオクリップ画像のみならず、前記特徴付け、またオプションで、前記信頼度もホストコンピューティングシステム210の表示部に表示する。
【0019】
本発明の実施形態によると、超音波撮像システム240には模範教示ガイダンスモジュール300が含まれる。モジュール300にはコンピュータプログラムの命令が含まれ、該コンピュータプログラムの命令はホストコンピューティングシステム210によって実行されることにより、対象器官のビデオクリップ画像を、前記対象器官の指定されたビュー、および前記取得されたビデオクリップ画像の品質に対応する決定値に基づいて受信することを実行可能にされる。前記プログラムコードはさらに、取得したビデオクリップ画像を、ニューラルネットワーク260の利用によって理想的な画像からの差異と相関させることを実行可能にされる。この点に関して、ニューラルネットワーク260の利用によって計算された偏差は、理想的位置に対する超音波撮像用プローブ230の相対的位置として、例えば理想的位置の左、理想的位置の右、理想的位置の上、理想的位置の下、のように表すことができる。同様に、該位置は不確定または理想的な場所とすることができる。
【0020】
前記プログラムコードはさらに、決定された差異を、ニューラルネットワーク270を使用して前記差異を修正するために必要な、ガイダンスデータ記憶装置250に格納された模範教示ガイダンスと相関させることを実行可能にされる。具体的には、模範教示ガイダンスは、例示すると、時計回りまたは反時計回りのいずれかの方向の超音波撮像用プローブ230の回転、胸骨から横に離れる方向への、または胸骨に向かって内側への超音波撮像用プローブ230の移動、超音波撮像用プローブ230のテールを上方または下方へ傾けることによって画像化ビームの照準をそれぞれ下方または上方へ向けることを含むことができるが、これはいくつかの例を挙げただけである。同様に、模範教示ガイダンスは、差異が理想的範囲内である限り「ガイド不要」にすることができる。または、模範教示ガイダンスは、差異が不定と表現されるほど大きくなっている限りは、やり直すことができる。最後に、前記プログラムコードは、ホストコンピューティングシステム210のディスプレイに、対応付けられた改善策を表示するために実行可能にされる。
【0021】
模範教示ガイダンスモジュール300の動作のさらなる説明において、図3は、超音波撮像用プローブの操作者を模範動作教示によりガイドするためのプロセスを示すフローチャートである。ブロック310で始まり、対象器官を撮像するために一つのビューが指定され、ブロック320で、この指定されたビューに従って対象器官のビデオクリップ画像が取得される。ブロック330では、取得されたビデオクリップ画像の品質が、指定されたビューに基づいて決定される。これに関して、ビデオクリップ画像の品質は、例えば、対象器官の特定のビューに対するビデオクリップの品質を決定するように訓練されたニューラルネットワークにビデオクリップ画像を入力することによって、または、コンテンツベースの画像検索操作中に、前記ビデオクリップ画像を既知の品質の既知のビデオクリップの組と比較することによって決定することができる。
【0022】
次に、ブロック340で、前記決定された品質に相関する模範教示ガイダンスが計算される。該決定された品質には、超音波撮像用プローブの姿勢の理想的姿勢からの差異の決定値、および超音波撮像用プローブの特定の動きによって出力されるビデオクリップ画像を理想的な形に改善する確率と、を含む。これに関して、前記模範教示ガイダンスは、前記指定されたビューの画像の品質を前記決定された品質から改良できることがわかっている一つ以上の動きを含む。決定ブロック350において、前記模範教示ガイダンスが理想的な形の方向へ、出力されるビデオクリップ画像を改善する可能性のある確率の閾値に紐付けられている場合、ブロック360で、前記模範教示ガイダンスは固定サイズの先入れ先出しキューに登録され、前記模範教示ガイダンスが前記キューに追加されるときに、このキューに登録されている、最も古いエントリが該キューから排出される。
【0023】
決定ブロック370では、同じタイプの模範教示ガイダンスに対して閾値の数だけのエントリが前記キュー内に存在するかどうかが判定される。そうである場合、ブロック380において、閾値の数だけのエントリがキューに存在する模範教示ガイダンスに対応するアイコンが、前記超音波診断システムへ接続されたユーザインターフェースに表示される。しかし、そうでなければ、ブロック390において、ガイダンスはユーザインターフェースに表示されない。その後、プロセスはブロック320で繰り返される。このようにして、模範教示ガイダンスが、出力されるビデオクリップ画像を改善する閾値以上の確率を有し、そのような模範教示ガイダンスの決定が制限期間内に閾値回数行われたことが明らかである場合にのみ、超音波診断プローブの操作者へのユーザインターフェースに該模範教示ガイダンスが提示される。これにより該模範教示ガイダンスに信頼性を付与することができる。
【0024】
本発明は、システム、方法、コンピュータプログラム製品、またはそれらの組合せによって実施することができる。コンピュータプログラム製品は、プロセッサに本発明の態様を実行させるためのコンピュータ読み取り可能なプログラム命令を有する一つ以上のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を含むことができる。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、命令実行装置が使用する命令を保持および保存することができる有形の装置とすることができる。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、例えば、電子記憶装置、磁気記憶装置、光記憶装置、電磁記憶装置、半導体記憶装置、またはこれらの適切な組合せでよいが、これらに限定されない。
【0025】
本明細書に説明されているコンピュータ読み取り可能なプログラム命令は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体から、それぞれの計算機または処理装置にダウンロード、あるいはネットワークを介して外部コンピュータまたは外部記憶装置にダウンロードすることができる。コンピュータ読み取り可能なプログラム命令は、全てユーザのコンピュータ上で実行することもできるが、部分的にユーザのコンピュータ上で、スタンドアローンのソフトウェアパッケージとして、一部ユーザのコンピュータ上かつ一部遠隔コンピュータ上で、または全て遠隔コンピュータあるいは遠隔サーバ上で実行することもできる。本発明の態様は、本発明の実施形態による方法、装置(システム)、およびコンピュータプログラム製品のフローチャートおよびブロック図を参照しながら説明している。フローチャートやブロック図の各ブロックおよびブロックの組み合わせは、コンピュータ読み取り可能なプログラム命令によって実施することができることが理解されよう。
【0026】
これらコンピュータ読み取り可能なプログラム命令を、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサに与えることによって、コンピュータまたはプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサにより実行される命令がフローチャートやブロック図の一つもしくは複数のブロックによって指定される機能または動作の実行手段として機能する機械を生成することができる。これらのコンピュータ読み取り可能なプログラム命令は、計算機、プログラム可能データ処理装置、および/または他の装置に特定の機能の仕方をするよう指示することができるコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶することもできる。そうすることにより、命令が記憶されたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、フローチャートやブロック図の一つ又は複数のブロックにおいて指定された機能や動作の態様を実行する命令を含む製品を含むことができる。
【0027】
コンピュータ読み取り可能なプログラム命令をコンピュータ、他のプログラム可能なデータ処理装置、または他の装置に読み込んで、一連の動作ステップをコンピュータ、他のプログラム可能な装置、または他の装置の上で実行させることにより、コンピュータで実施されるプロセスを生成することができる。こうすることにより、コンピュータ、他のプログラム可能な装置、または他の装置で実行される命令が、フローチャートやブロック図の一つ又は複数のブロックにおいて指定された機能または動作を実行することができる。
【0028】
図面のフローチャートおよびブロック図は、本発明の様々な実施形態において実装可能なシステム、方法、およびコンピュータプログラム製品のアーキテクチャ、機能、および動作を示している。この点において、フローチャートまたはブロック図における各ブロックは、指定された論理機能を実行するための一つ以上の実行可能な命令を含む、複数の命令のモジュール、セグメント、または一部分を表している。いくつかの代替的な実装形態では、ブロックに記載された機能は、図に記載された順序とは異なる順序で実行することができる。例えば、連続して図示された二つのブロックは、実質的に同時に実行されてもよく、または、関連する機能に応じて、逆の順序で実行することができる。また、ブロック図および/またはフローチャートの各ブロック、およびブロック図および/またはフローチャートのブロックの組合せは、特定の機能または動作を実行する、または特定目的のハードウェアやコンピュータの命令の組合せを実行する、専用ハードウェアベースのシステムによって実行することができる。
【0029】
最後に、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明するために用いられているものであり、本発明を限定することを意図するものではない。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「一つの」および「前記」は、文脈が単数形に限定することを明確に指示していない限り、複数の指示対象を含んでいることに留意が必要である。また、本明細書で使用される「含む」は、本明細書に記載される特徴、整数、ステップ、動作、要素又は構成部分の存在を示すものであるが、他の特徴、整数、ステップ、動作、要素又は構成部分の存在を除外するものではない。
【0030】
以下の特許請求の範囲における、すべてのミーンズプラスファンクションまたはステッププラスファンクションの構成要素から成る構造、材料、動作、及び均等物は、請求項に含まれる他の要素と組み合わせて請求項で指定されるようにそのファンクションを実行するための全ての構造、材料、動作、及び均等物を含むものとする。本発明の明細書の記載は、説明および図説のために提示したものであり、開示された形態で本発明を網羅的に説明したり限定したりすることを意図するものではない。本発明の範囲および精神から逸脱することなく、当業者には多くの修正および変形が明らかであろう。開示された実施形態は、本発明の原理および実際の適用を最もよく説明し、当業者が、意図された特定の使用に適した様々な修正を伴う様々な実施形態を実施するために本発明を理解できるように選択されている。
【0031】
本発明は、本明細書に開示された実施形態に関連して開示してきたが、以下の請求項で定義される本願発明の特許請求の範囲から離れることなく変形や変更ができることを理解すべきである。
図1
図2
図3