(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
B65D 21/02 20060101AFI20240917BHJP
B65D 21/032 20060101ALI20240917BHJP
【FI】
B65D21/02 210
B65D21/032
(21)【出願番号】P 2020038428
(22)【出願日】2020-03-06
【審査請求日】2022-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003052
【氏名又は名称】弁理士法人勇智国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀田 康孝
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-284168(JP,A)
【文献】実開昭63-192235(JP,U)
【文献】実開平04-035532(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 21/02
B65D 21/032
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を収容可能な可搬式の容器であって、
前記容器の底面を規定する底壁と、前記底壁の周縁から、前記底壁から離れる方向に延びる筒状の周壁とを少なくとも含む本体と、
ロック部と受け部とを含み、前記周壁に設けられたロック機構と、
使用者による把持が可能に構成され、前記周壁に設けられた操作部材とを備え、
前記周壁の延在方向を上下方向、前記底壁の側を下側と定義した場合、前記容器は、前記ロック機構および前記操作部材を有する別の容器と前記上下方向に積み重ね可能に構成されており、
前記ロック機構は、前記容器が前記別の容器と積み重ねられたときに、前記ロック部が前記別の容器の前記受け部と係合する、または、前記受け部が前記別の容器の前記ロック部と係合することで、前記容器と前記別の容器とを前記上下方向に連結状態でロックするように構成されており、
前記操作部材は、前記使用者に前記操作部材が把持された状態で前記容器が持ち上げられるのに伴って、前記本体に対して上方向に移動することで、前記ロック部を、前記別の容器の前記受け部に係合可能なロック位置から、前記別の容器の前記受け部に係合不能なアンロック位置へ移動させるように構成されており、
前記ロック機構は、前記ロック部を前記ロック位置に向けて付勢する少なくとも1つの付勢部材を更に含み、
前記操作部材および前記ロック部のうち少なくとも一方は、他方に当接可能な傾斜面を有し、
前記ロック部は、前記操作部材の移動に伴って、前記傾斜面の作用で前記ロック位置から前記アンロック位置へ向けて移動するように構成されていることを特徴とする容器。
【請求項2】
物品を収容可能な可搬式の容器であって、
前記容器の底面を規定する底壁と、前記底壁の周縁から、前記底壁から離れる方向に延びる筒状の周壁とを少なくとも含む本体と、
ロック部と受け部とを含み、前記周壁に設けられたロック機構と、
使用者による把持が可能に構成され、前記周壁に設けられた操作部材とを備え、
前記周壁の延在方向を上下方向、前記底壁の側を下側と定義した場合、前記容器は、前記ロック機構および前記操作部材を有する別の容器と前記上下方向に積み重ね可能に構成されており、
前記ロック機構は、前記容器が前記別の容器と積み重ねられたときに、前記ロック部が前記別の容器の前記受け部と係合する、または、前記受け部が前記別の容器の前記ロック部と係合することで、前記容器と前記別の容器とを前記上下方向に連結状態でロックするように構成されており、
前記操作部材は、前記使用者に前記操作部材が把持された状態で前記容器が持ち上げられるのに伴って、前記本体に対して上方向に移動することで、前記ロック部を、前記別の容器の前記受け部に係合可能なロック位置から、前記別の容器の前記受け部に係合不能なアンロック位置へ移動させるように構成されており、
前記受け部は、2つの受け部材を含み、
前記ロック部は、リンクを介して前記操作部材に連結され、前記別の容器の前記2つの受け部材に夫々係合可能な2つのロック部材を含み、
前記操作部材は、前記上方向の移動に応じて、前記2つのロック部材を前記ロック位置から前記アンロック位置へ回動させるように構成されており、
前記ロック機構は、前記2つのロック部材の夫々を前記ロック位置に向けて付勢する少なくとも1つの付勢部材を更に含み、
前記2つのロック部材の各々は、フック状の先端部を有し、
前記2つの受け部材の各々は、前記周壁の上部に設けられ、且つ、フック状に形成され、上面に傾斜面を含む上端部を有し、
前記ロック機構は、前記容器と前記別の容器とが前記上下方向に近づくにつれて、前記容器および前記別の容器のうち一方の前記2つのロック部材が、夫々、他方の前記2つの受け部材の前記傾斜面に押圧され、前記アンロック位置に向けて回動した後、前記少なくとも1つの付勢部材の付勢力で前記ロック位置に復帰し、前記先端部を介して前記2つの受け部材の前記上端部に係合するように構成されていることを特徴とする容器。
【請求項3】
請求項2に記載の容器であって、
前記2つのロック部材は、同じ方向に回動可能であることを特徴とする容器。
【請求項4】
物品を収容可能な可搬式の容器であって、
前記容器の底面を規定する底壁と、前記底壁の周縁から、前記底壁から離れる方向に延びる筒状の周壁とを少なくとも含む本体と、
ロック部と受け部とを含み、前記周壁に設けられたロック機構と、
使用者による把持が可能に構成され、前記周壁に設けられた操作部材とを備え、
前記周壁の延在方向を上下方向、前記底壁の側を下側と定義した場合、前記容器は、前記ロック機構および前記操作部材を有する別の容器と前記上下方向に積み重ね可能に構成されており、
前記ロック機構は、前記容器が前記別の容器と積み重ねられたときに、前記ロック部が前記別の容器の前記受け部と係合する、または、前記受け部が前記別の容器の前記ロック部と係合することで、前記容器と前記別の容器とを前記上下方向に連結状態でロックするように構成されており、
前記操作部材は、前記周壁の少なくとも一部の外面に略平行に、前記容器の前記上下方向の高さの範囲内で、前記上下方向に直線状に移動可能であって、前記使用者に前記操作部材が把持された状態で前記本体に対して上方向に直線状に移動されることで、前記ロック部を、前記別の容器の前記受け部に係合可能なロック位置から、前記別の容器の前記受け部に係合不能なアンロック位置へ移動させるように構成されていることを特徴とする容器。
【請求項5】
請求項4に記載の容器であって、
前記ロック機構は、前記容器の前記上下方向の高さの範囲内にあることを特徴とする容器。
【請求項6】
請求項1~5の何れか1つに記載の容器であって、
前記周壁の少なくとも一部の外面は、略平面であって、
前記ロック部は、前記ロック位置と前記アンロック位置との間で、前記周壁の少なくとも一部の外面に略平行に移動可能であることを特徴とする容器。
【請求項7】
請求項6に記載の容器であって、
前記周壁は、4つの側壁を含み、
前記4つの側壁のうち2つは、互いに略平行に配置され、
前記ロック機構および前記操作部材は、夫々、前記4つの側壁のうち2つの各々に設けられていることを特徴とする容器。
【請求項8】
請求項1~7の何れか1つに記載の容器であって、
前記ロック部は、前記上下方向と交差する方向に移動するように構成されていることを特徴とする容器。
【請求項9】
請求項4または5に記載の容器であって、
前記ロック機構は、前記ロック部を前記ロック位置に向けて付勢する少なくとも1つの付勢部材を更に含むことを特徴とする容器。
【請求項10】
請求項9に記載の容器であって、
前記操作部材および前記ロック部のうち少なくとも一方は、他方に当接可能な傾斜面を有し、
前記ロック部は、前記操作部材の移動に伴って、前記傾斜面の作用で前記ロック位置から前記アンロック位置へ向けて移動するように構成されていることを特徴とする容器。
【請求項11】
請求項1、4~5の何れか1つに記載の容器であって、
前記操作部材は、前記上下方向に直線状に移動するように構成され、
前記ロック部は、前記操作部材の移動方向と交差する方向に直線状に移動するように構成されていることを特徴とする容器。
【請求項12】
請求項11に記載の容器であって、
前記ロック部および前記受け部のうち一方は、孔部を有し、
前記ロック部および前記受け部のうち他方は、前記孔部に係合可能に構成されていることを特徴とする容器。
【請求項13】
請求項1、9~10の何れか1つに記載の容器であって、
前記受け部は、離間配置された2つの受け部材を含み、
前記ロック部は、前記別の容器の前記2つの受け部材に夫々係合可能な2つのロック部材を含み、
前記少なくとも1つの付勢部材は、前記2つのロック部材の間に配置され、前記2つのロック部材を互いから離れる方向に付勢する単一の付勢部材であることを特徴とする容器。
【請求項14】
請求項13に記載の容器であって、
前記2つのロック部材の各々は、前記周壁の下部に設けられ、且つ、第1傾斜面を含む下面を有し、
前記2つの受け部材の各々は、前記周壁の上部に設けられ、且つ、前記操作部材の移動方向と交差する方向に延在する孔部と、第2傾斜面を含む上面とを有し、
前記ロック機構は、前記容器と前記別の容器とが前記上下方向に近づくにつれて、前記容器および前記別の容器のうち一方の前記2つのロック部材が他方の前記2つの受け部材に夫々押圧され、前記第1傾斜面および前記第2傾斜面の作用で前記アンロック位置に向けて移動した後、前記少なくとも1つの付勢部材の付勢力で前記ロック位置に復帰し、前記孔部に係合するように構成されていることを特徴とする容器。
【請求項15】
請求項1~14の何れか1つに記載の容器であって、
前記本体は、前記容器の上面を規定する上壁を含み、
前記底壁は、第1位置決め部を有し、
前記上壁は、前記第1位置決め部に対応する形状を有する第2位置決め部を有し、
前記第1位置決め部および前記第2位置決め部は、前記容器が前記別の容器と積み重ねられたときに、前記第1位置決め部が前記別の容器の前記第2位置決め部と係合する、または、前記第2位置決め部が前記別の容器の前記第1位置決め部と係合することで、前記容器と前記別の容器とを、前記上下方向に直交する横方向に位置決めするように構成されていることを特徴とする容器。
【請求項16】
請求項15に記載の容器であって、
前記ロック部および前記受け部のうち一方は、前記周壁の上部に設けられ、
前記ロック部および前記受け部のうち他方は、前記周壁の下部に設けられ
前記第1位置決め部は、上方に凹む凹部であって、
前記第2位置決め部は、前記ロック部および前記受け部のうち前記一方よりも上方に突出する凸部であることを特徴とする容器。
【請求項17】
請求項16に記載の容器であって、
前記凹部は、台形状の断面を有する凹部であって、
前記凸部は、台形状の断面を有する凸部であることを特徴とする容器。
【請求項18】
請求項17に記載の容器であって、
前記第1位置決め部は、段差部として構成された第3位置決め部を有し、
前記第2位置決め部は、前記第3位置決め部に嵌合可能な段差部として構成された第4位置決め部を有することを特徴とする容器。
【請求項19】
請求項1~18の何れか1つに記載の容器であって、
前記使用者による把持が可能に構成され、前記本体に設けられたハンドルを更に備えたことを特徴とする容器。
【請求項20】
請求項1~19の何れか1つに記載の容器であって、
前記ロック部および前記受け部のうち一方は、前記周壁の上部に、前記周壁の上端よりも上方に突出するように設けられ、
前記ロック部および前記受け部のうち他方は、前記周壁の下部に、前記周壁の下端から下方に突出しないように設けられていることを特徴とする容器。
【請求項21】
請求項1~20の何れか1つに記載の容器であって、
前記本体は、
前記底壁を含む有底箱状の収容部と、
前記容器の上面を規定する上壁を含み、前記収容部の上端の開口を被覆可能な蓋とを含むことを特徴とする容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を収容可能な可搬式の容器、より詳細には、積み重ねて連結することが可能な可搬式の容器に関する。
【背景技術】
【0002】
別の容器と積み重ねられた状態で連結され、一体として持ち運びが可能な容器が知られている。例えば、特許文献1には、バネで付勢されたロックラッチと、ロックラッチに対応する溝を有する容器が開示されている。積み重ね時には、容器に設けられたロックラッチが、別の容器の溝とスナップクローズ状態で協働し、2つの容器が連結状態でロックされる。ロックの解除時には、使用者は、ボタンを操作し、ロック解除位置に移動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】独国特許発明第102008058007号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の容器では、ロックを解除するためのボタン(操作部)は、使用者が容器を持ち上げるときに把持する把持凹部の近傍に設けられている。しかしながら、ロックを解除する動作をしながら容器を持ち上げるのは容易ではない場合がある。
【0005】
本発明は、積み重ねて連結することが可能な可搬式の容器の連結解除時の操作性の向上に寄与しうる技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、物品を収容可能な可搬式の容器が提供される。容器は、本体と、ロック機構と、操作部材とを備える。本体は、底壁と周壁とを少なくとも含む。底壁は、容器の底面を規定する。周壁は、底壁の周縁から、底壁から離れる方向に延びる筒状の壁である。ロック機構は、ロック部と受け部とを含む。ロック機構は、周壁に設けられている。操作部材は、使用者による把持が可能に構成されている。操作部材は、周壁に設けられている。
【0007】
周壁の延在方向を上下方向、底壁の側を下側と定義した場合、容器は、ロック機構および操作部材を有する別の容器と上下方向に積み重ね可能に構成されている。ロック機構は、容器が別の容器と積み重ねられたときに、ロック部が別の容器の受け部と係合する、または、受け部が別の容器のロック部と係合することで、容器と別の容器とを上下方向に連結状態でロックするように構成されている。操作部材は、使用者に操作部材が把持された状態で容器が持ち上げられるのに伴って、本体に対して上方向に移動することで、ロック部を、ロック位置からアンロック位置へ移動させるように構成されている。ロック位置は、ロック部が別の容器の受け部に係合可能な位置である。アンロック位置は、ロック部が別の容器の受け部に係合不能な位置である。
【0008】
なお、本態様において、操作部材が「本体に対して上方向に移動する」とは、操作部材が厳密な上方向に直線状に移動することのみならず、斜め上方向に直線状に移動すること、および、回動しつつ上方向に移動することを含む。言い換えると、使用者が操作部材を把持して容器を持ち上げるときの操作部材の移動方向が主に上方向成分を含んでいればよい。
【0009】
本態様の容器は、周壁に設けられたロック機構によって、別の容器の上または下に積み重ねられた状態で連結され、ロックされることが可能である。また、容器は、同じく周壁に設けられ、ロック部をロック位置からアンロック位置へ移動させる、つまり、ロックを解除するように構成された操作部材を備える。操作部材は、使用者によって把持され、その状態で容器が持ち上げられるのに伴って、自重で相対的に下方にとどまろうとする本体に対して上方へ移動することで、ロックを解除する。このような構成により、使用者は、操作部材を把持して容器を持ち上げるだけで、容器の連結および積み重ね状態を解除することができる。このように、本態様によれば、優れた操作性を有する容器が提供される。
【0010】
本発明の一態様において、周壁の少なくとも一部の外面は、略平面であってもよい。そして、ロック部は、ロック位置とアンロック位置との間で、周壁の少なくとも一部の外面に略平行に移動可能であってもよい。本態様によれば、ロック部の移動領域を周壁に比較的近い領域に制限することができるため、容器の配置に必要な横方向のスペースを比較的小さくすることができる。なお、本態様でいう「略平面」は、厳密な平面を要するものではなく、若干の湾曲を許容する意である。
【0011】
本発明の一態様において、周壁は、4つの側壁を含んでもよい。4つの側壁のうち2つは、互いに略平行に配置されてもよい。そして、ロック機構および操作部材は、夫々、これら2つ側壁の各々に設けられていてもよい。言い換えると、2つの側壁に対応して、2つのロック機構と、2つの操作部材とが設けられてもよい。なお、本態様でいう「略平行」は、厳密な平行を要するものではなく、若干のずれや湾曲を許容する意である。また、側壁の厚みが均一でない場合、2つの側壁の夫々の外面が略平行であればよい。本態様によれば、2つのロック機構により、複数の容器を連結状態でより確実にロックすることができる。また、使用者は、両手で2つの操作部材を把持した状態で容器を持ち上げることができるため、より安定した持ち上げ動作が可能となる。
【0012】
本発明の一態様において、ロック部は、上下方向と交差する方向に移動するように構成されていてもよい。本態様によれば、ロック部は、ロック位置とアンロック位置との間で、容器が持ち上げられる方向と交差する方向に移動するため、操作部材が操作されない状態で容器が持ち上げられるときに、ロックが解除される可能性を低減することができる。
【0013】
本発明の一態様において、ロック機構は、ロック部をロック位置に向けて付勢する少なくとも1つの付勢部材を更に含んでもよい。本態様によれば、ロック部をロック位置でより安定的に保持することができる。また、付勢力によって、ロック部をアンロック位置からロック位置へ復帰させることが可能となる。
【0014】
本発明の一態様において、操作部材およびロック部のうち少なくとも一方は、他方に当接可能な傾斜面を有してもよい。ロック部は、操作部材の移動に伴って、傾斜面の作用でロック位置からアンロック位置へ向けて移動するように構成されていてもよい。本態様によれば、シンプルな構成により、操作部材によるロック部の移動を実現することができる。
【0015】
本発明の一態様において、操作部材は、上下方向に直線状に移動するように構成されていてもよい。そして、ロック部は、操作部材の移動方向に交差する方向に直線状に移動するように構成されていてもよい。本態様によれば、操作部材およびロック部の構成を簡素化することができる。
【0016】
本発明の一態様において、ロック部および受け部のうち一方は、孔部を有し、ロック部および受け部のうち他方は、孔部に係合可能に構成されていてもよい。本態様によれば、ロック部および受け部の構成を簡素化することができる。なお、本態様でいう孔部は、有底の凹部であってもよいし、貫通孔であってもよい。
【0017】
本発明の一態様において、受け部は、離間配置された2つの受け部材を含んでもよい。ロック部は、別の容器の2つの受け部材に夫々係合可能な2つのロック部材を含んでもよい。そして、少なくとも1つの付勢部材は、2つのロック部材の間に配置され、2つのロック部材を互いから離れる方向に付勢する単一の付勢部材であってもよい。本態様によれば、単一の付勢部材を利用して、2つの容器を2か所でロック可能なロック機構を実現することができる。
【0018】
本発明の一態様において、2つのロック部材の各々は、周壁の下部に設けられていてもよい。また、2つのロック部材の各々は、第1傾斜面を含む下面を有してもよい。2つの受け部材の各々は、周壁の上部に設けられていてもよい。また、2つの受け部材の各々は、操作部材の移動方向と交差する交差方向に延在する孔部と、第2傾斜面を含む上面とを有してもよい。そして、ロック機構は、容器と別の容器とが上下方向に近づくにつれて、容器および別の容器のうち一方の2つのロック部材が他方の2つの受け部材に夫々押圧され、第1傾斜面および第2傾斜面の作用でアンロック位置に向けて移動した後、少なくとも1つの付勢部材の付勢力でロック位置に復帰し、孔部に係合するように構成されていてもよい。本態様によれば、操作部材が操作されない状態で、2つの容器のうち一方が持ち上げられ、他方の上に積み重ねられる場合、積み重ね動作に伴ってロックが作動するため、使用者は特別なロックのための操作をする必要がなく、操作性が更に向上する。なお、本態様でいう孔部は、有底の凹部であってもよいし、貫通孔であってもよい。
【0019】
本発明の一態様において、受け部は、2つの受け部材を含んでもよい。ロック部は、リンクを介して操作部材に連結され、別の容器の2つの受け部材に夫々係合可能な2つのロック部材を含んでもよい。そして、操作部材は、上方向の移動に応じて、2つのロック部材をロック位置からアンロック位置へ回動させるように構成されていてもよい。本態様によれば、リンクを利用して、操作部材と2つのロック部材との合理的な連動構造を実現することができる。
【0020】
本発明の一態様において、ロック機構は、2つのロック部材の夫々をロック位置に向けて付勢する少なくとも1つの付勢部材を更に含んでもよい。2つのロック部材の各々は、フック状の先端部を有してもよい。2つの受け部材の各々は、周壁の上部に設けられていてもよい。また、2つの受け部材の各々は、フック状に形成され、上面に傾斜面を含む上端部を有してもよい。そして、ロック機構は、容器と別の容器とが上下方向に近づくにつれて、容器および別の容器のうち一方の2つのロック部材が、夫々、他方の2つの受け部材の傾斜面に押圧され、アンロック位置に向けて回動した後、少なくとも1つの付勢部材の付勢力でロック位置に復帰し、先端部を介して2つの受け部材の上端部に係合するように構成されていてもよい。本態様によれば、操作部材が操作されない状態で、2つの容器のうち一方が持ち上げられ、他方の上に積み重ねられる場合、積み重ね動作に伴ってロックが作動するため、使用者は特別なロックのための操作をする必要がなく、操作性が更に向上する。
【0021】
本発明の一態様において、2つのロック部材は、同じ方向に回動可能であってもよい。本実施形態によれば、2つのロック部材が互いに反対方向に移動する場合に比べ、コンパクトなロック機構を実現することができる。
【0022】
本発明の一態様において、本堤は、容器の上面を規定する上壁を含んでもよい。底壁は、第1位置決め部を有してもよい。上壁は、第1位置決め部に対応する形状を有する第2位置決め部を有してもよい。そして、第1位置決め部および第2位置決め部は、容器が別の容器と積み重ねられたときに、第1位置決め部が別の容器の第2位置決め部と係合する、または、第2位置決め部が別の容器の第1位置決め部と係合することで、容器と別の容器とを、上下方向に直交する横方向に位置決めするように構成されていてもよい。本態様によれば、上下方向に積み重ねられ、連結された複数の容器が横方向にずれる可能性を低減することができる。なお、第1位置決め部および第2位置決め部は、典型的には、一方を凹部、他方を凸部として構成することができる。
【0023】
本発明の一態様において、ロック部および受け部のうち一方は周壁の上部に設けられ、ロック部および受け部のうち他方は、周壁の下部に設けられてもよい。第1位置決め部は、上方に凹む凹部であって、第2位置決め部は、ロック部および受け部のうち周壁の上部に設けられた一方よりも上方に突出する凸部であってもよい。本態様によれば、複数の容器が積み重ねられるときに、ロック部と受け部の係合に先立って、凸部(第2位置決め部)が凹部(第1位置決め部)内に進入するため、積み重ね動作が容易となる。
【0024】
本発明の一態様において、凹部は、台形状の断面を有する凹部であって、凸部は、台形状の断面を有する凸部であってもよい。本態様によれば、積み重ね動作が更に容易となる。更に、本態様において、第1位置決め部は、段差部として構成された第3位置決め部を有し、第2位置決め部は、第3位置決め部に嵌合可能な段差部として構成された第4位置決め部を有してもよい。この場合、第1位置決め部と第2位置決め部とによって、緩やかな位置決めを行い、更に、第3位置決め部と第4位置決め部とによって、より確実な位置決めを行うことが可能となる。
【0025】
本発明の一態様において、容器は、使用者による把持が可能に構成され、本体に設けられたハンドルを更に備えてもよい。本態様によれば、使用者は、操作部材ではなく、ハンドルを把持し、容器を別の容器の上に積み重ねたり、単一の容器、または、積み重ねられた複数の容器を持ち運んだりすることができる。
【0026】
本発明の一態様において、ロック部および受け部のうち一方は、周壁の上部に、周壁の上端よりも上方に突出するように設けられてもよい。そして、ロック部および受け部のうち他方は、周壁の下部に、周壁の下端から下方に突出しないように設けられていてもよい。本態様によれば、地面、床等への載置に支障のないロック機構の配置を実現することができる。
【0027】
本発明の一態様において、本体は、底壁を含む有底箱状の収容部と、容器の上面を規定する上壁を含み、収容部の上端の開口を被覆可能な蓋とを含んでもよい。本態様によれば、物品の出し入れが容易な容器が提供される。
【0028】
本発明の一態様において、容器は、可搬式の電動工具を収容可能に構成されていてもよい。本態様によれば、複数の電動工具を効率的に運ぶことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図5】
図4に対応する2つの容器の断面図であって、ロックが解除された状態を示す。
【
図6】
図4に対応する2つの容器の断面図であって、容器が連結され、ロックされた状態を示す。
【
図7】ロックされた状態にある2つの容器の左側面図である。
【
図8】
図4に対応する2つの容器の断面図であって、容器の連結過程の説明図である。
【
図9】連結され、ロックされた状態の2つの容器の斜視図である。
【
図13】ロックされた状態にある2つの容器の左側面図である。
【
図14】連結され、ロックされた状態の2つの容器の斜視図である。
【
図16】ロック機構および操作部材の一部を断面で示す容器の左側面図でる。
【
図17】ロックが解除された状態の2つの容器の左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0031】
[第1実施形態]
以下、
図1~
図8を参照して、第1実施形態に係る容器1Aについて説明する。
【0032】
まず、容器1Aの概略構成について説明する。
【0033】
容器1Aは、物品を収容するための収容空間を内部に有する中空体である。本実施形態では、容器1Aは、電動工具および電動工具に装着される充電式バッテリを収容可能に構成されている。また、容器1Aは、可搬式の容器であって、使用者がハンドル35を把持して持ち運ぶことが可能な大きさを有する。更に、容器1Aは、別の容器1Aに積み重ねられ、積み重ねられた状態で、別の容器1Aと連結可能に構成されている。
【0034】
図1~
図3に示すように、容器1Aの本体10Aは、全体としては、直方体状に形成されており、6つの外面を有する。容器1Aは、例えば、地面、床、台車、机等の平面上に載置された状態での使用や、使用者によって持ち運ばれる状態での使用を前提として構成されている。なお、載置されるときと、持ち運ばれるときとで、容器1Aの向きは基本的に同じである。
【0035】
そこで、以下では、説明の便宜上、容器1Aが、水平面上に載置されたときの姿勢を基準として、容器1Aの上下方向を定義する。つまり、水平面上に配置される側が容器1Aの下側であり、水平面から離れる側が上側である。また、容器1Aの6つの外面のうち、水平面側に配置される面を底面(下面ともいう)11Aと定義する。容器1Aが水平面上に載置されたときに、底面11Aの上側に、底面11Aと向き合うように配置される面を上面12Aと定義する。なお、底面11Aおよび上面12Aは、長方形状である。底面11Aおよび上面12Aを取り巻く4つの側面のうち、底面11Aおよび上面12Aの長辺に接続する互いに略平行な2つの平面を、前面13および後面14と定義する。底面11Aおよび上面12Aの短辺に接続する互いに略平行な2つの平面を、左面15および右面16と定義する。
【0036】
以下、容器1Aの詳細な構成について説明する。
【0037】
図1~
図3に示すように、容器1Aの本体10Aには、物品の出し入れが容易な構成が採用されている。より詳細には、本体10Aは、上端が開放された矩形箱状の収容部2Aと、収容部2Aの上端の開口を覆うように構成された蓋3Aとによって形成されている。なお、本実施形態では、収容部2Aおよび蓋3Aは、何れも合成樹脂製である。
【0038】
収容部2Aは、底面11Aを有する底壁21Aと、底壁21Aの周縁から上方向に延びる筒状の周壁22とを含む。本実施形態では、周壁22の上端面は、概ね同一平面上にある。また、長方形状の底壁21Aに対応して、周壁22は、矩形状の4つの側壁を含む矩形筒状の壁部として形成されている。以下では、周壁22のうち、前面13、後面14、左面15、および右面16に夫々対応する壁部を、前壁23、後壁24、左壁25、および右壁26というものとする。
【0039】
蓋3Aは、上面12Aを有する上壁31Aと、上壁31Aの周縁から下方に延びる筒状の周壁32とを含む。収容部2Aの周壁22および蓋3Aの周壁32は、全体として、本体10Aの周壁10を構成する。蓋3Aは、後壁24の上端部に複数のヒンジ(図示略)を介して連結されており、閉位置(
図1~
図3の位置)と、開位置(図示略)との間で回動可能である。閉位置は、蓋3Aの周壁32の下端面が収容部2Aの周壁22の上端面に当接し、蓋3Aが収容部2Aの上端の開口を覆う位置である。開位置は、周壁32が周壁22の上端から離間し、収容部2Aの開口を開放する位置である。
【0040】
図1に示すように、上壁31Aの上面12A側には、使用者が把持可能なハンドル35が設けられている。ハンドル35は、横長のU字状に形成されており、ハンドル35の両端部が蓋3Aに回動可能に連結されている。上壁31Aには、ハンドル35に整合する形状の収容凹部311が設けられている。ハンドル35は、不使用時には、収容凹部311内に配置される。このとき、ハンドル35は、上面12Aから上方に突出しない。
【0041】
図1~
図2に示すように、本実施形態では、蓋3Aは、蓋ロック機構4によって、収容部2Aに対して閉位置で固定状に保持される(つまり、ロックされる)。蓋ロック機構4は、収容部2Aに設けられたロック部材41と、蓋3Aに設けられた係止突起43(
図2参照)とを含む。より詳細には、ロック部材41の下部は、収容部2Aの前壁23に回動可能に支持されており、ロック部材41の上部は、前壁23に対して概ね前後方向に移動可能とされている。係止突起43は、蓋3Aの前面側に設けられ、前方へ突出する概ね直方体状の突起である。ロック部材41の上後端部は、係止突起43に係合可能に構成されている。ロック部材41は、係止突起43に係合することで、蓋3Aの閉位置から開位置への回動を禁止する。よって、蓋ロック機構4によって蓋3Aがロックされているときには、使用者は、ハンドル35を把持し、容器1Aを持ち上げることができる。なお、ロック部材41および係止突起43は何れも、後方へ凹む凹部内に配置されており、ロック部材41が係止突起43に係合する位置に配置されると、ロック部材41の前面は、収容部2Aおよび蓋3Aの前面13と概ね面一となる。
【0042】
また、
図1~
図4に示すように、容器1Aは、連結ロック機構5Aと、操作部材8とを備えている。連結ロック機構5Aは、容器1Aと別の容器1Aとを積み重ねられた状態で連結し、2つの容器1Aを連結状態で保持する(つまり、ロックする)ための機構である。より詳細には、連結ロック機構5Aは、ロック部51と、受け部57Aとを含む。ロック部51は、容器1Aが別の容器1Aの上に積み重ねられたときに、別の容器1Aの受け部57Aに係合可能に構成されている。受け部57Aは、容器1Aの上に別の容器1Aが積み重ねられたときに、別の容器1Aのロック部51に係合可能に構成されている。操作部材8は、ロック部51と受け部57Aの係合(つまり、連結ロック機構5Aによるロック)を解除するための部材である。
【0043】
本実施形態では、連結ロック機構5Aは、4つの側壁のうちの対向する一対の壁部、より詳細には、左壁25および右壁26の夫々に設けられている。また、操作部材8も、左壁25および右壁26の夫々に設けられている。つまり、容器1Aには、連結ロック機構5Aおよび操作部材8が、夫々、2つずつ設けられている。
【0044】
以下、連結ロック機構5Aおよび操作部材8の詳細について、順に説明する。なお、以下の説明では、左壁25に設けられた連結ロック機構5Aおよび操作部材8を例として説明するが、右壁26に設けられた連結ロック機構5Aおよび操作部材8も、実質的に同じ構成を有する。よって、右壁26に設けられた連結ロック機構5Aおよび操作部材8の説明は省略する。
【0045】
図1~
図4に示すように、本実施形態では、連結ロック機構5Aは、ロック部51と、受け部57Aを含む支持体54Aと、付勢部材59とを主体として構成されている。
【0046】
本実施形態では、ロック部51は、2つのロック部材52を含む。2つのロック部材52は、周壁22の左面15に略平行に移動可能に配置されている。より詳細には、2つのロック部材52は、夫々、左壁25に固定された支持体54Aによって、前後方向に直線状に移動可能に支持されている。
【0047】
支持体54Aは、フレーム55Aと、カバープレート56Aとを含む。フレーム55Aは、矩形状の枠であって、一方の開口端が左壁25に当接するように左壁25に固定されている。なお、本実施形態では、フレーム55Aは、収容部2Aと一体的に合成樹脂で形成されているが、収容部2Aとは別個に形成されていてもよい。カバープレート56Aは、フレーム55Aのもう一方の開口端を覆うように配置され、フレーム55Aに固定されている。なお、本実施形態では、カバープレート56Aは、フレーム55Aにネジで固定されているが、例えば、樹脂バネ等、別の手段で固定されていてもよい。このような構成により、支持体54Aの内部には、ロック部51および後述する操作部材8の収容空間が形成されている。なお、支持体54Aの下端は、上下方向において、左壁25の下端と概ね同じ位置にあり、左壁25から下方に突出しない。これにより、容器1Aが地面、床等に載置されたときに、支持体54Aやその内部に配置されたロック部材52が邪魔になることが防止されている。
【0048】
また、支持体54Aの下前端部および下後端部には、夫々、貫通孔541が形成されている。詳細は後述するが、貫通孔541は、ロック部材52が前後方向に通過可能な貫通孔である。また、支持体54A(詳細には、カバープレート56A)の中央部には、矩形状の貫通孔543が形成されている。貫通孔543は、使用者が手を差し入れることが可能な大きさに設定されている。また、支持体54Aの下前端部と下後端部の夫々の角部には、切欠き部545が形成されている。切欠き部545は、後述する受け部材58Aに整合する形状を有する。
【0049】
図4に示すように、各ロック部材52は、直線状に延びる長尺の係合部521と、係合部521の軸方向の一端部から、軸方向に交差する(詳細には略直交する)方向に突出する作動部526とを含む。なお、本実施形態では、ロック部材52は、合成樹脂で形成されている。2つのロック部材52は、夫々の係合部521が前後方向に延在し、且つ、夫々の作動部526が支持体54Aのより内側に配置されて上方に突出する向きで、支持体54Aの下端部内に配置されている。つまり、2つのロック部材52は、前後方向において反対向きに配置されている。なお、支持体54Aは、ロック部材52の前後方向の移動を案内するためのスライドガイド構造(詳細には、フレーム55Aの下部と、カバープレート56Aに設けられたガイドリブ)を有する。
【0050】
係合部521のうち、作動部526と反対側の端部(以下、外側端部522という)の下面は、傾斜面523を含む。傾斜面523は、外側端部522の先端(前後方向において、支持体54Aの外側方向)に向かうにつれて、上方に傾斜している。また、作動部526のうち、外側端部522側の側面は、傾斜面527を含む。傾斜面527は、もう一方のロック部材52側(前後方向において、支持体54Aの内側方向)に向かうにつれて、下方に傾斜している。
【0051】
付勢部材59は、2つのロック部材52の間に配置されている。本実施形態では、付勢部材59には、圧縮コイルバネが採用されている。付勢部材59は、常時、圧縮状態とされており、2つのロック部材52を、互いから離れる方向に(つまり、前後方向において、支持体54Aの外側に向けて)付勢する。このため、2つのロック部材52の外側端部522は、夫々、互いに近づく方向の外力が付与されない初期状態では、貫通孔541から支持体54Aの外側へ突出する。以下、初期状態の各ロック部材52の位置を、突出位置ともいう。一方、付勢部材59の付勢力に対抗する外力が付与されると、2つのロック部材52は、外側端部522が支持体54Aの内側に退避する位置まで移動可能である。以下、外側端部522が支持体54Aの内側に退避した状態の各ロック部材52の位置を、退避位置ともいう。
【0052】
本実施形態では、受け部57Aは、2つの受け部材58Aを含む。2つの受け部材58Aは、左壁25に固定状に支持されている。より詳細には、2つの受け部材58Aは、左壁25に固定された支持体54A(詳細には、フレーム55A)の一部として構成されている。2つの受け部材58Aは、夫々、フレーム55Aの上前端部および上後端部のうち、周壁22(左壁25)よりも上方に突出するように構成された部分である。なお、本実施形態では、受け部材58Aは、閉位置に配置された蓋3Aの上端(上面12A)よりも上方に突出している。
【0053】
また、2つの受け部材58Aは、前後方向に互いから離間して配置されている。より詳細には、2つの受け部材58Aは、突出位置にあるときの2つのロック部材52の外側端部522の夫々の真上に配置されている。なお、本実施形態では、2つの受け部材58Bの離間距離は、支持体54Aの下端部(詳細には、2つの切欠き部545を有する部分)の前後方向の幅と概ね等しく設定されている。
【0054】
また、各受け部材58Aには、前後方向に受け部材58Aを貫通する係止孔581が設けられている。係止孔581は、別の容器1Aのロック部材52の外側端部522が嵌合可能に構成されている。更に、受け部材58Aの上面は、傾斜面583を含む。傾斜面583は、上方に向かうにつれて、もう一方の受け部材58Aから離れる方向に傾斜している。傾斜面583は、ロック部材52の傾斜面523に概ね整合する(傾斜角が概ね等しい)平面として構成されている。
【0055】
操作部材8について説明する。操作部材8は、使用者による把持が可能に構成されている。また、操作部材8は、使用者に把持された状態で容器1Aが上方に持ち上げられるのに伴って、収容部2Aに対して移動するように構成されている。本実施形態では、操作部材8は、収容部2Aに対して上下方向に移動可能であって、容器1Aの持ち上げに伴って、自重によって相対的に下方にとどまろうとする収容部2Aに対して上方向に直線状に移動するように構成されている。
【0056】
より詳細には、
図1、
図3および
図4に示すように、操作部材8は、周壁22の左面15に略平行に、上下方向に直線状に移動可能に配置されている。上述のように、操作部材8は、支持体54Aの内部に配置され、支持体54Aを介して左壁25に支持されている。
【0057】
図4に示すように、操作部材8は、全体としては横長の略U字状に構成されており、把持部81と、一対のアーム83と、一対の作動部85とを含む。なお、本実施形態では、操作部材8は、合成樹脂で形成されている。把持部81は、使用者によって把持される部分であって、直線状に延在するとともに、使用者が握りやすい形状を有する。一対のアーム83は、把持部81の両端部から、把持部81に概ね直交する方向に突出する部分である。一対の作動部85は、一対のアーム83の先端から、互いに近づく方向に斜めに突出する部分である。作動部85の内側の傾斜面851は、ロック部材52の作動部526の傾斜面527に概ね整合する(傾斜角が概ね等しい)平面として構成されている。なお、一対のアーム83の下端部は、補強のため、直線状に延在する連結部87によって連結されている。
【0058】
操作部材8は、支持体54Aの内部において、把持部81が前後方向に延在し、アーム83が下方に突出する向きで、ロック部51の上側に配置されている。なお、支持体54Aは、操作部材8の上下方向の移動を案内するためのスライドガイド構造(詳細には、フレーム55Aの前部および後部と、カバープレート56Aに設けられたガイドリブ)を有する。
【0059】
操作部材8の移動可能範囲における最下方位置は、一対の作動部85の下端が、上下方向において、2つのロック部材52の係合部521の上端に概ね当接する位置(
図4に示す位置)に設定されている。操作部材8が最下方位置にあるときには、2つのロック部材52の作動部526は、操作部材8の一対の作動部85の間(内側)に配置される。2つのロック部材52は、付勢部材59の付勢力により、作動部526の傾斜面527と、作動部85の傾斜面851とが当接した状態で、突出位置で保持される。また、
図3に示すように、操作部材8が最下方位置にあるときには、把持部81は、支持体54Aの貫通孔543から露出する位置に配置される。使用者は、貫通孔543に手を差し入れ、支持体54Aの上部と共に、把持部81を把持することができる。
【0060】
使用者が、把持部81を把持した状態で、容器1A全体を持ち上げると、
図5の上側容器1Aに示すように、操作部材8は、左壁25および左壁25に支持された連結ロック機構5Aに対して上方へ移動する。これに伴い、傾斜面851および傾斜面527の作用により、2つのロック部材52は、付勢部材59の付勢力に抗して互いに近づく方向に移動する。把持部81の上端がフレーム55Aの上部に当接する最上方位置まで操作部材8が移動すると、2つのロック部材52は、夫々、退避位置に配置される。使用者が把持部81の把持を解除すると、付勢部材59の付勢力によって、2つのロック部材52が突出位置へ復帰するのに伴って、傾斜面851および傾斜面527の作用により、操作部材8は、最下方位置へ戻る。
【0061】
以下、複数の容器1Aの積み重ねおよび連結について説明する。なお、使用者は、次の2つの方法のうち何れかにより、地面、床、台車等に載置され、初期状態にある容器1A(以下、下側容器1Aという)に、別の容器1A(以下、上側容器1Aという)を積み重ねることができる。
【0062】
第1の方法は、左右の操作部材8を両手で把持した状態で上側容器1Aを持ち上げ、下側容器1Aの上に積み重ねる方法である。この場合、
図5に示すように、容器1Aの持ち上げに伴って操作部材8が最上方位置に配置されるため、上側容器1Aのロック部材52は退避位置に保持される。使用者は、上側容器1Aの支持体54Aの下端部を、2つの受け部材58Aの間に挿入できるように位置合わせする。使用者は、上側容器1Aを下側容器1Aに対して下方へ移動させ、上側容器1Aの底面11Aを下側容器1Aの上面12A上に配置する。上側容器1Aのロック部材52の外側端部522は、下側容器1Aの受け部材58Aの係止孔581に対向する。
【0063】
使用者が操作部材8の把持を解除すると、
図6に示すように、ロック部材52が退避位置から突出位置へ移動し、外側端部522が夫々に対応する受け部材58Aの係止孔581に進入する。これにより、ロック部材52と受け部材58Aとが係合し、下側容器1Aと上側容器1Aとが、連結ロック機構5Aによって上下方向に連結され、ロックされる。また、
図7に示すように、2つの受け部材58Aは、夫々、支持体54Aの切欠き部545に嵌合する。これにより、下側容器1Aと上側容器1Aとは、横方向(前後方向)に位置決めされた状態で保持される。
【0064】
第2の方法は、上側容器1Aの蓋3Aに設けられたハンドル35を把持した状態で上側容器1Aを持ち上げ、下側容器1Aに積み重ねる方法である。この場合、操作部材8が引き上げられないため、上側容器1Aのロック部材52は、突出位置に保持されている。このため、使用者が上側容器1Aを下側容器1Aに対して位置合わせし、下方へ移動させる過程で、最初に、突出位置にある2つのロック部材52の傾斜面523が、夫々、下側容器1Aの2つの受け部材58Aの傾斜面583に上側から当接する。
図8に示すように、上側容器1Aが更に下方へ移動されると、傾斜面523および傾斜面583の作用により、2つのロック部材52は互いに近づく方向に移動し、退避位置、つまり、支持体54Aの内側に配置される。これにより、支持体54Aの下端部はスムーズに2つの受け部材58Aの間に進入する。
【0065】
上側容器1Aが下側容器1Aに載置されると、ロック部材52の外側端部522は、受け部材58Aの係止孔581に対向する。
図6に示すように、ロック部材52は、付勢部材59の付勢力で突出位置へ移動して受け部材58Aに係合し、下側容器1Aと上側容器1Aとが、連結ロック機構5Aによって上下方向に連結され、ロックされる。
【0066】
このように、第2の方法によれば、使用者がハンドル35を片手で把持して上側容器1Aを持ち上げ、下側容器1Aの上に積み重ねる動作に伴ってロックが自動的に作動する。つまり、本実施形態の容器1Aは、操作部材8を操作する場合でも、操作部材8を操作しない場合でも、特別なロックのための操作をする必要がない。
【0067】
なお、ここでは2つの容器1Aを積み重ねて連結する例を挙げたが、使用者は、上述の第1または第2の方法による連結を繰り返すことで、3つ以上の容器1Aを積み重ね、連結状態でロックすることができる。使用者は、上下方向に積み重ねられ、連結ロック機構5Aによって連結され、ロックされた状態の複数の容器1Aを、最も上側に配置された容器1Aのハンドル35を把持して持ち運ぶことができる。あるいは、使用者は、連結ロック機構5Aによって連結され、ロックされた状態の複数の容器1Aを、台車に載せて安定した状態で運ぶことができる。上述のように、本実施形態の容器1Aは電動工具を収容可能である。よって、使用者は、複数の電動工具を効率的に運ぶことができる。
【0068】
以下、上下方向に積み重ねられて連結された複数の容器1A(上側容器1Aおよび下側容器1A)の連結の解除について説明する。
【0069】
上述のように、複数の容器1Aが積み重ねられた状態では、
図6に示すように、上側容器1Aの2つのロック部材52は突出位置に配置され、下側容器1Aの2つの受け部材58Aに係合している。使用者は、左右の操作部材8を両手で把持した状態で上側容器1A全体を持ち上げ、操作部材8を上方へ移動させる。
図5に示すように、操作部材8の上方への移動に伴って、2つのロック部材52が、夫々、退避位置に移動し、外側端部522が受け部材58Aの係止孔581から離脱する。つまり、連結ロック機構5Aによるロックが解除される。使用者がそのまま上側容器1Aを更に上方へ持ち上げると、支持体54Aの下端部が2つの受け部材58Aの間から離脱し、上側容器1Aの下側容器1Aからの取り外しが完了する。
【0070】
以上に説明したように、本実施形態の容器1Aは、本体10Aの周壁10(詳細には、収容部2Aの周壁22)に設けられた連結ロック機構5Aによって、別の容器1Aの上または下に積み重ねられた状態で連結され、ロックされることが可能である。また、容器1Aは、周壁10に設けられ、ロック部51のロック部材52を突出位置から退避位置へ移動させる、つまり、ロックを解除するように構成された操作部材8を備える。操作部材8は、使用者によって把持され、その状態で容器1Aが持ち上げられるのに伴って、自重によって相対的に下方にとどまろうとする本体10Aに対して上方へ移動することで、ロックを解除するように構成されている。このような構成により、使用者は、操作部材8を把持して容器1Aを持ち上げるだけで、容器1Aの連結および積み重ね状態を解除することができる。このように、本実施形態の容器1Aは、優れた操作性を発揮することができる。
【0071】
また、本実施形態では、2対のロック部材52は、夫々、本体10Aの左面15および右面16に略平行に移動可能である。よって、左右方向において、ロック部材52の移動領域を周壁10に比較的近い領域域に制限することができるため、容器1Aの配置に必要な左右方向のスペースを比較的小さくすることができる。特に、本実施形態では、左壁25および右壁26の夫々に対応して、連結ロック機構5Aおよび操作部材8が設けられている。よって、2つの連結ロック機構5Aにより、複数の容器1Aを連結状態でより確実にロックすることができる。また、使用者は、両手で2つの操作部材8を把持した状態で容器1Aを持ち上げることができるため、より安定した持ち上げ動作が可能となる。
【0072】
更に、ロック部材52は、容器1Aが持ち上げられる方向(上方向)と交差する前後方向に移動するように構成されている。よって、操作部材8が操作されない状態で容器1Aが持ち上げられるときに、ロックが解除される可能性を低減することができる。
【0073】
また、本実施形態では、傾斜面527、851というシンプルな構成によって、操作部材8の上下方向に直線状の移動を、ロック部材52の前後方向の直線状の移動に変換する構成が実現されている。また、2つのロック部材52は、ロック位置に向けて付勢部材59によって付勢され、受け部材58Aに設けられた係止孔581に係合する。このような構成により、ロック部材52はロック位置でより安定的に保持される。特に、本実施形態では、2つのロック部材52を互いから離れる方向に付勢する単一の付勢部材59を利用して、部品数の増加を抑えつつ、2つの容器1Aを2か所でロック可能な効率的な連結ロック機構5Aが実現されている。
【0074】
[第2実施形態]
以下、
図9~
図13を参照して、第2実施形態に係る容器1Bについて説明する。容器1Bの構成は、その大部分において、第1実施形態の容器1A(
図1参照)の構成と実質的に同一である(形状が若干異なる場合を含む)。よって、以下の説明および参照する図面では、第1実施形態と実質的に同一の構成については、同一の符号を付してその説明を簡略化または省略する。なお、この点については、これ以降の実施形態でも同様である。
【0075】
図9~
図12に示すように、第1実施形態の容器1Aと同様、本実施形態の容器1Bの本体10Bは、上端が開放された矩形箱状の収容部2Bと、収容部2Bの上端の開口を覆うように構成された蓋3Bとによって形成されている。収容部2Bは、底面11Bを有する底壁21Bと、底壁21Bの周縁から上方向に延びる筒状の周壁22とを含む。周壁22は、前壁23、後壁24、左壁25、および右壁26を含む。蓋3Bは、後壁24の上端部に複数のヒンジ(図示略)を介して連結されており、閉位置と、開位置との間で回動可能である。蓋3Bは、上面12Bを有する上壁31Bと、上壁31Bの周縁から下方に延びる周壁32とを含む。
【0076】
図11および
図12に示すように、本実施形態では、第1実施形態とは異なり、底壁21Bは、上方に凹む凹部211を有する。より詳細には、凹部211は、平面部212と、4つの傾斜部213とを含む。平面部212は、底壁21Bのうち、底壁21Bの輪郭より一回り小さい矩形状の部分であって、容器1Bが水平面上に配置されると、水平面と略平行に、水平面より上側に配置される。傾斜部213は、平面部212の周縁から周壁22の下端へ向けて斜め下方に延びる。つまり、凹部211は、台形状の断面を有する凹部である。平面部212に対する傾斜部213の傾斜は比較的緩やかである。また、平面部212と傾斜部213との境界は面取りされており、平面部212と傾斜部213はなだらかに接続している。隣接する傾斜部213の境界、および傾斜部213と周壁22の下端との境界についても同様である。更に、底壁21Bの傾斜部213の各々の略中央部には、断面三角形状の段差部214が設けられている。つまり、底壁21Bは、4つの段差部214を有する。
【0077】
一方、蓋3Bの上壁31Bは、上方に突出する凸部301を有する。つまり、上面12Bは、平面状ではない。より詳細には、凸部301は、底壁21Bの凹部211に対応する形状を有し、平面部302と、4つの傾斜部303とを含む上面12Bによって規定されている。平面部302は、底壁21Bの凹部211の平面部212と概ね同一の形状を有し、4つの傾斜部303は、夫々、4つの傾斜部213と概ね同一形状を有する。つまり、凸部301は、台形状の断面を有する凸部である。これらの境界が面取りされている点も凹部211と同様である。また、上壁31Bの傾斜部303の各々の略中央部には、断面三角形状の段差部304が設けられている。つまり、上壁31Bは、4つの段差部304を有する。段差部304は、段差部214と概ね同一形状を有し、底壁21Bの4つの段差部214に々対応する位置に設けられている。
【0078】
図9および
図10に示すように、第1実施形態と同様、蓋3Bの上壁31B(より詳細には、平面部302)には、ハンドル35が設けられている。また、蓋3Bは、第1実施形態と同一構成の蓋ロック機構4によって、収容部2Bに対して閉位置でロックされる。なお、本実施形態で参照する図では、蓋ロック機構4のうち、収容部2Bの前壁23に設けられたロック部材41(
図1参照)の図示が省略されている。
【0079】
本実施形態でも、容器1Bは、容器1Bと別の容器1Bとが積み重ねられた状態で連結するための連結ロック機構5Bと、ロックを解除するための操作部材8とを備えている。なお、連結ロック機構5Bの構成は、支持体54Bの構成の一部が第1実施形態と異なるものの、他の構成は実質的に同一である。以下では、左壁25に設けられた支持体54Bの構成を例示して説明するが、右壁26に設けられた支持体54Bも、実質的に同じ構成を有するため、その説明は省略する。
【0080】
図9、
図12および
図13に示すように、支持体54Bは、第1実施形態の支持体54Aと同様、左壁25に固定された矩形枠状のフレーム55Bと、フレーム55Bに固定されたカバープレート56Bとを含む。支持体54Bの内部には、2つのロック部材52と操作部材8とが、夫々、前後方向および上下方向に移動可能に収容されている。
【0081】
支持体54Bの一部である受け部57Bは、2つの受け部材58Bを含む。2つの受け部材58Bは、フレーム55Bの上前端部および上後端部のうち、周壁10よりも上方に突出するように構成された部分である。なお、第1実施形態の受け部材58A(
図3参照)は、蓋3Aの上端(上面12A)よりも上方に突出するが、本実施形態では、閉位置に配置された蓋3Bの上端(平面部302の上面)は、受け部材58Bの上端よりも上方に位置する。但し、蓋3Bの上端は、受け部材58Bの上端と同じ位置にあってもよいし、受け部材58Bの上端より下方にあってもよい。
【0082】
また、本実施形態でも、2つの受け部材58Bは、前後方向に互いから離間して配置されており、突出位置にあるときの2つのロック部材52の外側端部522の夫々の真上に配置される。但し、本実施形態では、2つの受け部材58Bの離間距離は、支持体54Bの下端部(詳細には、2つの切欠き部545を有する部分)の前後方向の幅よりも大きく設定されている。第1実施形態と同様、各受け部材58Bは、ロック部材52の外側端部522が嵌合可能な係止孔581を有し、受け部材58Bの上面は、傾斜面583を含む。
【0083】
以下、複数の容器1B(上側容器1Bおよび下側容器1B)の積み重ねおよび連結について説明する。なお、積み重ね方法には、操作部材8を把持して行う第1の方法と、ハンドル35を把持して行う第2の方法がある点については、第1実施形態で説明した通りである。
【0084】
第1の方法および第2の方法の何れにおいても、使用者は、上側容器1Bの底壁21Bの凹部211が下側容器1Bの蓋3Bの凸部301に対向するように位置合わせを行う。上述のように、本実施形態では、受け部57Bよりも凸部301の上端面の方が上側に位置する。また、凹部211および凸部301の側面は、夫々、緩やかな傾斜部213、303である。このような構成により、上側容器1Bが下側容器1Bに対して下方に移動し、下側容器1Bの凸部301に上側容器1Bの凹部211が嵌まり合う過程で、上側容器1Bは、下側容器1Bに対して適切な位置に導かれる。よって、使用者は、横方向(前後方向および左右方向)の位置合わせを厳密に行う必要がなく、積み重ね動作が容易となる。また、下側容器1Bの凸部301に上側容器1Bの凹部211が嵌まり合うと、下側容器1Bの段差部304に上側容器1Bの段差部214が嵌まり合い、下側容器1Bと上側容器1Bの横方向(前後方向および左右方向)の相対移動が規制される。
【0085】
上側容器1Bおよび下側容器1Bの連結およびロック時の連結ロック機構5Bの動作は、基本的に、第1実施形態の連結ロック機構5Aと同様である。すなわち、上側容器1Bが下側容器1Bに載置されると、上側容器1Bの2つのロック部材52が、夫々、下側容器1Bの2つの受け部材58Bに係合し、下側容器1Bと上側容器1Bとを上下方向に連結した状態でロックする。但し、本実施形態では、支持体54Bの下端部の前後方向の幅は、2つの受け部材58Bの離間間隔より小さい。このため、第2の方法では、ロック部材52は、外側端部522が僅かに支持体54Bの外側に突出する状態まで退避位置に向けて移動し、傾斜面583を乗り越えた後、係止孔581に進入することになる。
【0086】
なお、本実施形態では、上述のように2つの受け部材58Bの離間距離が設定されている。このため、
図13に示すように、上側容器1Bと下側容器1Bとが連結され、ロックされても、下側容器1Bの受け部材58Bは、上側容器1Bの支持体54Bの切欠き部545には嵌合せず、受け部材58Bと、支持体54Bの下端部の端との間には隙間が存在する。つまり、第1実施形態とは異なり、受け部材58Bおよび切欠き部545は、下側容器1Bと上側容器1Bの横方向(前後方向)の位置決め機能は備えていない。代わりに、互いに嵌り合う下側容器1Bの蓋3Bの凸部301および段差部304と、上側容器1Bの凹部211の段差部214とが、この位置決め機能を発揮することができる。
【0087】
複数の容器1B(上側容器1Bおよび下側容器1B)の連結の解除方法については、第1実施形態の方法と同じであるため、ここでの説明は省略する。
【0088】
以上に説明したように、本実施形態の容器1Bも、容器1Aと基本的に同じ構成を有する連結ロック機構5Bおよび操作部材8を備えるため、優れた操作性を発揮することができる。また、容器1Bの底壁21Bおよび上壁31Bは、夫々、凹部211および凸部301を有する。容器1Bが別の容器1Bと積み重ねられたときに、凹部211が別の容器1Bの凸部301と係合する、または、凸部301が別の容器の凹部211と係合する(嵌り合う)ことで、容器1Bと別の容器1Bとを横方向に位置決めすることができる。よって、連結ロック機構5B自体には横方向の位置決め機能がなくても、凹部211および凸部301により、上下方向に積み重ねられ、連結された複数の容器1Bが横方向にずれる可能性を低減することができる。なお、底壁21Bに凸部、上壁31Bに凹部を設けることも可能であるが、底壁21Bに凹部211を設けることで、容器1Bを地面、床等により安定して載置することができる。
【0089】
[第3実施形態]
以下、
図14~
図20を参照して、第3実施形態に係る容器1Cについて説明する。
【0090】
図14に示すように、本実施形態の容器1Cの本体10Aは、上端が開放された矩形箱状の収容部2Aと、閉位置と開位置の間で回動可能な蓋3Aとによって形成されている。なお、厳密にいうと、本実施形態の収容部2Aは、第1実施形態の収容部2Aとは上下方向の高さが異なるが、実質的な構成は同一といってよい。
【0091】
本実施形態でも、容器1Cは、容器1Cと別の容器1Cとが積み重ねられた状態で連結するための連結ロック機構6と、ロックを解除するための操作部材9とを備えている。以下、これらの詳細について、順に説明する。なお、以下では、左壁25に設けられた連結ロック機構6および操作部材9の構成を例示して説明するが、右壁26に設けられた連結ロック機構6および操作部材9も、実質的に同じ構成を有するため、その説明は省略する。
【0092】
図14~
図16に示すように、連結ロック機構6は、ロック部61と、受け部67と、付勢部材69とを主体として構成されている。なお、本実施形態では、ロック部材62および受け部材68は、夫々、合成樹脂で形成されている。
【0093】
本実施形態では、ロック部61は、2つのロック部材62を含む。2つのロック部材62は、周壁22の左面15に略平行に移動可能に配置されている。より詳細には、2つのロック部材62は、夫々、左壁25に固定された支持ピン63によって、左右方向に延在する回動軸周りに回動可能に支持されている。
【0094】
各ロック部材62は、フック状の先端部621を有する部材として構成されている。ロック部材62の先端部621とは反対側の端部は、支持ピン63に対して回動可能に連結されている。各ロック部材62は、付勢部材69によって、常時、回動軸周りの周方向において、フック(爪)の突出する方向(つまり、フックが引っ掛かる方向)に向けて(
図15の矢印B方向に)付勢されている。本実施形態では、付勢部材69には、捩りコイルバネが採用されている。なお、フック(爪)が突出する向き、および、付勢部材69による付勢方向は、2つのロック部材62で同一である。これにより、2つのロック部材62が互いに反対方向に回動する場合に比べ、前後方向においてロック部材62の移動に必要な領域を抑えることができる。
【0095】
各ロック部材62は、付勢部材69の付勢力に抗する外力が付与されない初期状態では、支持ピン63から下方に延在し、先端部621が下側に配置される。このとき、ロック部材62の下端は、収容部2Aの下端から下方には突出しない。以下では、初期状態の各ロック部材62の位置を、第1回動位置ともいう。ロック部材62が第1回動位置にあるとき、先端部621の下面のうち、フック(爪)の先端に向かう面は、先端に向かうにつれて上方向に傾斜している。以下、この面を傾斜面623という。
【0096】
一方、付勢部材69の付勢力に対抗する外力が付与されると、2つのロック部材62は、フック(爪)の突出する方向とは逆方向(つまり、フックが外れる方向)に回動する。このとき、先端部621は、上方に移動する。以下では、各ロック部材62がフックが外れる方向に最大限回動されたときの位置を、第2回動位置ともいう。
【0097】
本実施形態では、受け部67は、2つの受け部材68を含む。2つの受け部材68は、左壁25に固定状に支持されている。2つの受け部材68は、夫々、周壁10および閉位置に配置された蓋3Aの上端(上面12A)よりも上方に突出している。
【0098】
各受け部材68は、フック状の先端部681を有する部材として構成されている。また、各受け部材68は、フック(爪)の先端が、ロック部材62のフックの先端と逆方向を向くように配置されている。2つの受け部材68の夫々の先端部681は、第1回動位置にあるときの2つのロック部材52の先端部621の夫々の真上に位置する。詳細は後述するが、受け部材68の先端部681は、別の容器1Cのロック部材62の先端部621に係合可能に構成されている。また、先端部681の上面のうち、フック(爪)の先端に向かう面は、先端に向かうにつれて下方向に傾斜している。以下、この面を傾斜面683という。傾斜面683は、ロック部材62の傾斜面623に概ね整合する(傾斜角が概ね等しい)平面として構成されている。
【0099】
なお、詳細な説明は省略するが、左壁25に設けられるロック部材62および受け部材68と、左壁25に設けられるロック部材62および受け部材68とでは、夫々のフック(爪)の先端が逆方向を向くように配置されている。
【0100】
本実施形態でも、操作部材9は、使用者による把持が可能に構成されている。また、操作部材9は、使用者に把持された状態で容器1Cが上方に持ち上げられるのに伴って、収容部2Aに対して移動するように構成されている。より詳細には、本実施形態では、操作部材9は、長尺部材であって、2つのロック部材62の夫々にリンク64を介して連結され、容器1Cの持ち上げに伴って、自重によって相対的に下方にとどまろうとする収容部2Aに対して、斜め上下方向に移動可能に構成されている。
【0101】
リンク64は、ロック部材62と一体的に形成されており、ロック部材62の支持ピン63が連結されている側の端部(先端部621とは反対側の端部)から直線状に延びている。2つのロック部材62に接続する2つのリンク64は、夫々、ジョイントピン641(
図16参照)を介して、操作部材9の両端部に対して回動可能に連結されている。このように、本実施形態では、操作部材9は、リンク64およびロック部材62と共に、支持ピン63を固定点とするリンク機構を構成している。操作部材9の斜め上下方向の移動に伴って、2つのロック部材62は、夫々、第1回動位置と第2回動位置との間で支持ピン63の軸周りに回動する。
【0102】
使用者が、操作部材9を操作していない状態では、
図15に示すように、ロック部材62は、付勢部材69によって矢印B方向に付勢されて第1回動位置に配置され、操作部材9は、その移動範囲における最下方位置に配置される。一方、使用者が操作部材9を把持した状態で、容器1C全体を持ち上げると、操作部材9は、斜め上方(
図15の矢印M方向)に移動する。操作部材9の移動に伴って、リンク64の先端部が引き上げられるため、リンク64とロック部材62は、付勢部材69の付勢力に抗して、矢印Bと逆方向に支持ピン63の軸周りに回動する。
図17に示すように、操作部材9が、リンク64が概ね上下方向に延在する最上方位置まで引き上げられると、リンク64およびロック部材62の回動が停止され、2つのロック部材52は、夫々、第2回動位置に配置される。使用者が操作部材9の把持を解除すると、付勢部材69の付勢力によって、2つのロック部材62が第1回動位置へ回動するのに伴って、操作部材9は、リンク64を介して斜め下方向に移動され、最下方位置へ戻る。
【0103】
このように、本実施形態では、リンク64を利用した操作部材9と2つのロック部材62との合理的な連動構造が実現されている。
【0104】
以下、複数の容器1C(上側容器1Cおよび下側容器1C)の積み重ねおよび連結について説明する。なお、積み重ね方法には、操作部材9を把持して行う第1の方法と、ハンドル35を把持して行う第2の方法がある点については、第1実施形態で説明した通りである。
【0105】
第1の方法では、使用者は、上述のように、操作部材9を把持して上側容器1Aを持ち上げ、
図17に示すように、ロック部材62が第2回動位置に配置された状態とする。使用者は、上側容器1Cを下側容器1Cに載置し、操作部材9に対する操作を解除する。これにより、
図18に示すように、ロック部材62が第1回動位置に復帰し、下側容器1Cと上側容器1Cとが、連結ロック機構6によって上下方向に連結され、ロックされる。
【0106】
第2の方法では、使用者はまず、ハンドル35を把持し、上側容器1Aを持ち上げる。このとき、操作部材9は最下方位置にあるため、上側容器1Cのロック部材62は、第1回動位置に保持されている。使用者は、上側容器1Cのロック部材62を下側容器1Cの受け部材68に対して位置合わせし、上側容器1Cを下側容器1Cに対して下方へ移動させる。この過程で、
図19に示すように、2つのロック部材62の傾斜面623が、夫々、下側容器1Cの2つの受け部材68の傾斜面683に上側から当接する。
【0107】
上側容器1Cが更に下方へ移動されるのに伴い、
図20に示すように、2つのロック部材62は、付勢部材69の付勢力に抗して、フック(爪)の先端が傾斜面683に当接する位置まで回動される。このとき、リンク64によってロック部材62に連結された操作部材9は、若干斜め上方に移動する。ロック部材62のフックの先端が、受け部材68のフックの先端を乗り越えると、付勢部材69の付勢力により、ロック部材62は、第1回動位置に復帰する。操作部材9は、最下方位置へ復帰する。これにより、
図18に示すように、ロック部材62の先端部621(爪)と、受け部材68の先端部681(爪)とが係合し、下側容器1Cと上側容器1Cとが、連結ロック機構6によって上下方向に連結され、ロックされる。
【0108】
このように、本実施形態でも、第2の方法によれば、使用者がハンドル35を片手で把持して上側容器1Cを持ち上げ、下側容器1Cの上に積み重ねる動作に伴ってロックが自動的に作動する。つまり、本実施形態の容器1Cは、操作部材8を操作する場合でも、操作部材8を操作しない場合でも、特別なロックのための操作をする必要がない。
【0109】
以下、複数の容器1C(上側容器1Cおよび下側容器1C)の連結の解除について説明する。
【0110】
上述のように、複数の容器1Cが積み重ねられた状態では、
図18に示すように、ロック部材62と、受け部材68とが係合しており、操作部材9は最下方位置にある。使用者は、左右の操作部材9を両手で把持した状態で上側容器1C全体を持ち上げる。
図17に示すように、操作部材8の斜め上方への移動に伴って、2つのロック部材52が、夫々、アンロック位置まで回動し、ロック部材62と受け部材68との係合が解除される。つまり、連結ロック機構6によるロックが解除される。使用者がそのまま上側容器1Cを更に上方へ持ち上げると、上側容器1Cの下側容器1Cからの取り外しが完了する。
【0111】
以上に説明したように、本実施形態の容器1Cは、本体10Aの周壁10(詳細には、収容部2Aの周壁22)に設けられた連結ロック機構6によって、別の容器1Cの上または下に積み重ねられた状態で連結され、ロックされることが可能である。また、容器1Cは、周壁10に設けられ、ロック部61のロック部材62を第1回動位置から第2回動位置へ回動させる、つまり、ロックを解除するように構成された操作部材9を備える。操作部材9は、使用者によって把持され、その状態で容器1Cが持ち上げられるのに伴って、自重によって相対的に下方にとどまろうとする本体10Aに対して斜め上方へ移動することで、ロックを解除するように構成されている。このような構成により、使用者は、操作部材9を把持して容器1Cを持ち上げるだけで、容器1Cの連結および積み重ね状態を解除することができる。このように、本実施形態の容器1Cは、優れた操作性を発揮することができる。
【0112】
また、左壁25および右壁26に夫々設けられた2つの連結ロック機構6のロック部61(ロック部材61)は、夫々、対応する受け部67(受け部材68)と係合する(フックが引っ掛かる)方向が逆である。よって、2つの連結ロック機構6により、確実なロック状態が維持される。
【0113】
上記実施形態の各構成要素と請求項の各構成要素の対応関係を以下に示す。但し、実施形態の各構成要素は単なる一例であって、本発明の各構成要素を限定するものではない。
【0114】
容器1A、1B、1Cの各々は、「容器」の一例である。本体10A、10Bの各々は、「本体」の一例である。底壁21A、21Bの各々は、「底壁」の一例である。底面11A、11Bの各々は、「底面」の一例である。周壁10は、「周壁」の一例である。連結ロック機構5A、5B、6の各々は、「ロック機構」の一例である。ロック部51、61の各々は、「ロック部」の一例である。受け部57A、57B、67の各々は、「受け部」の一例である。操作部材8、9の各々は、「操作部材」の一例である。
【0115】
左面15、右面16の各々は、「周壁の少なくとも一部の外面」の一例である。前壁23、後壁24、左壁25、右壁26は、「4つの側壁」の一例である。左壁25および右壁26は、「側壁のうち2つ」の一例である。付勢部材59、69の各々は、「付勢部材」の一例である。傾斜面851、傾斜面527の各々は、「傾斜面」の一例である。係止孔581は、「孔部」の一例である。受け部材58A、58B、68の各々は、「受け部材」の一例である。ロック部材52、62の各々は、「ロック部材」の一例である。ロック部材52の突出位置、退避位置は、夫々、「ロック位置」、「アンロック位置」の一例である。ロック部材62の第1回動位置、第2回動位置は、夫々、「ロック位置」、「アンロック位置」の一例である。傾斜面523は、「第1傾斜面」の一例である。傾斜面583は、「第2傾斜面」の一例である。リンク64は、「リンク」の一例である。先端部621は、「ロック部材のフック状の先端部」の一例である。先端部681および傾斜面683は、夫々、「受け部材の上端部」および「傾斜面」の一例である。
【0116】
上壁31Bおよび上面12Bは、夫々、「上壁」および「上面」の一例である。凹部211は、「第1位置決め部」および「凹部」の一例である。段差部214は、「第1位置決め部」の別の一例である。また、段差部214および段差部304は、夫々、「第3位置決め部」および「第4位置決め部」の一例である。凸部301は、「第2位置決め部」および「凸部」の一例である。段差部304は、「第2位置決め部」の別の一例である。ハンドル35は、「ハンドル」の一例である。収容部2A、2Bの各々は、「収容部」の一例である。蓋3A、3Bの各々は、「蓋」の一例である。
【0117】
上記実施形態は単なる例示であり、本発明に係る容器は、例示された容器1A、1B、1Cの構成に限定されるものではない。例えば、下記に例示される変更を加えることができる。なお、これらの変更は、これらのうちいずれか1つのみ、あるいは複数が、実施形態に示す容器1A、1B、1Cの各々、あるいは各請求項に記載された発明と組み合わされて採用されうる。
【0118】
容器1A、1B、1Cの形状は、略直方体状である必要はない。例えば、周壁10は、上述の例とは異なる形状の平板状の4つの側壁で構成されてもよいし、断面が四角形以外の多角形状の断面を有してもよい。あるいは、周壁10は、少なくとも一部が湾曲した壁であってもよい。例えば、周壁22は、楕円筒状に形成され、周壁のうち、連結ロック機構5A、5B、6が設けられる部分のみが平面状の外面を有してもよい。
【0119】
また、例えば、容器1A、1B、1Cは、蓋3A、3Bを備えない容器であってもよい。つまり、本体10A、10Bは、収容部2A、2Bのみで構成されてもよい。この場合、底壁21A、21Bの周縁部が、周壁22の環状の上端部に整合する形状を有すれば、収容部2A、2Bを、別の容器1A、1B、1Cの収容部2A、2Bに積み重ねることが可能である。また、物品の出し入れのための蓋3A、3Bは、上壁31A、31Bではなく、周壁10の一部に設けられてもよい。例えば、前壁23が蓋として開閉可能に構成されていてもよい。
【0120】
上記実施形態でも言及したように、同一構成の連結ロック機構5A、5B、6、操作部材8、9を有し、本体10A、10Bが積み重ね可能である限りにおいて、上下方向の高さが異なる複数の容器1A、1Bまたは1Cは、同一モデルの容器とみなすことができる。例えば、
図21に示すように、上側容器1Bと下側容器1Bとは、収容部2Bの高さが異なるものの、同一モデルの容器である。
【0121】
第1~第3実施形態の各々で例示された構成は、適宜、省略され、または、別の実施形態の構成に追加されうる。例えば、
図22に示すように、第2実施形態の容器1Bの凹部211を有する底壁21Bと、凸部301を有する上壁31Bとが、第3実施形態の容器1Cに適用されてもよい。図示は省略するが、同様に、凹部211を有する底壁21Bと、凸部301を有する上壁31Bとが、第1実施形態の容器1Aに適用されてもよい。
【0122】
連結ロック機構5A、5B、6およびロック部51を動作させる操作部材8、9の構成(形状、配置、数、連動態様等)は、適宜、変更可能である。以下、連結ロック機構5A、5B、6および操作部材8、9に関し、採用されうる変形を例示する。
【0123】
例えば、連結ロック機構5A、5B、6の数は、1であっても3以上であってもよい。但し、より確実な連結のためには、連結ロック機構5A、5B、6は、複数設けられることが好ましい。また、各連結ロック機構5A、5B、6におけるロック部材52、62の数および対応する受け部材58A、58B、68の数は、1であっても3以上であってもよい。
【0124】
第1、第2実施形態の連結ロック機構5A、5Bにおいて、2つのロック部材52は、2つの付勢部材によって夫々付勢されてもよい。また、例えば、2つのロック部材52は、前後方向において、ロック位置に向けて、互いに近づく方向に(つまり、第1、第2実施形態とは逆方向に)付勢されていてもよい。この場合、例えば、左壁25および右壁26の各々の前後方向の中央部に、単一の受け部材が設けられる。そして、受け部材の上端部の前面側と後面側に、夫々、傾斜面が設けられてもよい。また、操作部材8は、上下方向に直線状に移動可能に配置され、上方への移動に伴って、傾斜面を利用して、2つのロック部材52をアンロック位置へ向けて互いから離れる方向に移動させるように構成されればよい。
【0125】
また、上記実施形態とは逆に、ロック部51が周壁10の上部に設けられ、受け部57A、57Bが周壁10の下部に設けられてもよい。また、例えば、受け部57A、57Bは、収容部2Aの周壁22ではなく、蓋3A、3Bの周壁32に設けられていてもよい。更に、連結ロック機構5A、5Bは、左壁25および右壁26ではなく、前壁23および後壁24に設けられてもよい。
【0126】
ロック部51および操作部材8は、共通する支持体54A、54Bに支持されるのではなく、別個の支持体を介して周壁10に対して移動可能に支持されていてもよい。また、受け部57A、57Bは、支持体54A、54Bの一部ではなく、支持体54A、54Bとは別個に周壁10に固定されていてもよい。
【0127】
第3実施形態の連結ロック機構6において、2つのロック部材62は、前後方向において、ロック位置に向けて、互いに近づく方向に付勢されていてもよいし、互いから離れる方向に付勢されていてもよい。この変更に応じて、受け部材68の位置も適宜変更される。ロック部材62と操作部材9とは、例示したリンク64とは異なるタイプのリンクによって連結されていてもよい。連結ロック機構6は、左壁25および右壁26ではなく、前壁23および後壁24に設けられてもよい。
【0128】
第2実施形態の容器1Bにおける横方向の位置決め構造は、収容部2Bの底壁21Bの凹部211と、蓋3Bの上壁31Bの凸部301のみであってもよい。つまり、段差部214および段差部304は省略されてもよい。また、凹部211および凸部301や、段差部214および段差部304の形状、数、および配置は、適宜変更されうる。
【0129】
付勢部材59、69の種類は、例示されたものに限られず、引っ張りコイルバネ、板バネ、ラバーバネ等が好適に採用されうる。
【0130】
容器1A、1B、1Cは、電動工具およびバッテリを収容可能な所謂工具ケースではなく、他の物品を収容可能な容器であってもよい。また、本体10A、10Bは、例えば、少なくとも一部が金属であってもよいし、段ボールであってもよい。ロック部材52、62および操作部材8、9の材質についても、同様に、適宜、変更が可能である。
【0131】
更に、本発明および上記実施形態とその変形例の趣旨に鑑み、以下の態様が構築される。以下の態様は、実施形態に示す容器1A、1B、1C、上記変形例、または各請求項に記載された発明と組み合わされて採用されうる。
【0132】
[態様1]
前記ロック機構は、前記周壁に固定され、前記ロック部を前記ロック位置と前記アンロック位置との間で移動可能に支持する支持体を含み、
前記支持体は、前記操作部材を移動可能に支持する。
支持体54A、54Bの各々は、「支持体」の一例である。
[態様2]
前記支持体は、中空体であって、
前記操作部材のうち、使用者によって把持される把持部を露出させる開口を有する。
[態様3]
前記受け部は、前記支持体の一部として構成されている。
[態様4]
前記支持体は、前記ロック部の移動を案内する第1スライドガイドを有する。
[態様5]
前記支持体は、前記操作部材の移動を案内する第2スライドガイドを有する。
[態様6]
前記4つの側壁のうち2つは、互いに略平行に配置され、
前記ロック機構および前記操作部材は、夫々、前記4つの側壁のうち2つの各々に設けられ、
前記2つのロック機構は、夫々の前記2つのロック部材のフックの先端が逆方向を向くように配置されている。
[態様7]
前記容器は、可搬式の電動工具を収容可能に構成されている。
【符号の説明】
【0133】
1A、1B、1C:容器、10A、10B:本体、10:周壁、11A、11B:底面、12A、12B:上面、13:前面、14:後面、15:左面、16:右面、2A、2B:収容部、21A、21B:底壁、211:凹部、212:平面部、213:傾斜部、22:周壁、23:前壁、24:後壁、25:左壁、26:右壁、3A、3B:蓋、31A、31B:上壁、311:収容凹部、301:凸部、302:平面部、303:傾斜部、32:周壁、35:ハンドル、4:蓋ロック機構、41:ロック部材、43:係止突起、5A、5B:連結ロック機構、51:ロック部、52:ロック部材、521:係合部、522:外側端部、523:傾斜面、526:作動部、527:傾斜面、54A、54B:支持体、541:貫通孔、543:貫通孔、545:切欠き部、55A、55B:フレーム、56A、56B:カバープレート、57A、57B:受け部、58A、58B:受け部材、581:係止孔、583:傾斜面、59:付勢部材、6:連結ロック機構、61:ロック部、62:ロック部材、621:先端部、623:傾斜面、63:支持ピン、64:リンク、641:ジョイントピン、67:受け部、68:受け部材、681:先端部、683:傾斜面、69:付勢部材、8:操作部材、81:把持部、83:アーム、85:作動部、851:傾斜面、87:連結部、9:操作部材