(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】X線撮影制御装置およびX線診断装置
(51)【国際特許分類】
A61B 6/46 20240101AFI20240917BHJP
A61B 6/08 20060101ALI20240917BHJP
【FI】
A61B6/46 502
A61B6/08 509B
(21)【出願番号】P 2020052668
(22)【出願日】2020-03-24
【審査請求日】2023-01-31
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】政橋 順史
(72)【発明者】
【氏名】小林 由昌
(72)【発明者】
【氏名】小高 達昭
(72)【発明者】
【氏名】有川 信弘
(72)【発明者】
【氏名】小谷 篤司
(72)【発明者】
【氏名】杜 儒霖
(72)【発明者】
【氏名】屋代 正二
(72)【発明者】
【氏名】田中 秀明
【審査官】増渕 俊仁
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-217973(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0016750(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線の撮影範囲に配置された、被検体の位置合わせを補助する補助具を含むカメラ画像を取得するカメラ画像取得部と、
補助具および撮影位置と、X線撮影条件とが対応付けられて記憶された記憶部と、を備え、
前記カメラ画像に含まれた補助具を認識し、認識した補助具に対応付けられた撮影位置に、X線撮影装置を移動させる移動制御部と、
前記移動制御部によって認識された補助具に対応付けられたX線撮影条件を前記記憶部から読み出し、前記読み出したX線撮影条件に基づいてX線撮影を実行するX線撮影制御部と、
を備える、X線撮影制御装置。
【請求項2】
X線の撮影範囲に配置された、被検体の位置合わせを補助する補助具を含むカメラ画像を取得するカメラ画像取得部と、
前記カメラ画像に含まれた補助具に応じた撮影位置に、X線撮影装置を移動させる移動制御部と、を備え、
前記補助具は、被検体を所望の姿勢で天板上に固定するための冶具である、
X線撮影制御装置。
【請求項3】
X線の撮影範囲に配置された、被検体の位置合わせを補助する補助具を含むカメラ画像を取得するカメラ画像取得部と、
前記カメラ画像に含まれた補助具に応じた撮影位置に、X線撮影装置を移動させる移動制御部と、を備え、
前記補助具は、X線照射部から照射されるX線を検出するX線検出器に取り付けられたマーカーである、
X線撮影制御装置。
【請求項4】
補助具と撮影位置とが対応付けられて記憶された記憶部をさらに備え、
前記移動制御部は、前記カメラ画像に含まれた補助具を認識し、認識した補助具に対応付けられた撮影位置に、前記X線撮影装置を移動させる、
請求項2または3に記載のX線撮影制御装置。
【請求項5】
前記記憶部には、撮影部位ごとに、補助具と撮影位置とが対応付けられて記憶され、
前記移動制御部は、撮影部位を設定する操作を受け付け、設定された撮影部位について、前記認識した補助具に対応付けられた撮影位置に、前記X線撮影装置を移動させる、
請求項
4に記載のX線撮影制御装置。
【請求項6】
前記記憶部には、検査目的ごとに、補助具と撮影位置とが対応付けられて記憶され、
前記移動制御部は、検査目的を設定する操作を受け付け、設定された検査目的について、前記認識した補助具に対応付けられた撮影位置に、前記X線撮影装置を移動させる、
請求項
4に記載のX線撮影制御装置。
【請求項7】
前記撮影位置は、X線を照射するX線管の位置を含む、
請求項1乃至
6のいずれか1項に記載のX線撮影制御装置。
【請求項8】
前記撮影位置は、X線の照射範囲を形成するX線絞りの位置を含む、
請求項1乃至
6のいずれか1項に記載のX線撮影制御装置。
【請求項9】
前記撮影位置は、X線を検出するX線検出器の位置を含む、
請求項1乃至
6のいずれか1項に記載のX線撮影制御装置。
【請求項10】
前記撮影位置は、被検体が載置される天板の位置を含む、
請求項1乃至
6のいずれか1項に記載のX線撮影制御装置。
【請求項11】
前記移動制御部は、認識した補助具に対応付けられた撮影位置が前記記憶部に複数ある場合に、当該複数の撮影位置の候補を表示し、当該撮影位置を選択する操作を受け付ける、
請求項1または
4に記載のX線撮影制御装置。
【請求項12】
前記記憶部には、補助具および撮影位置と、X線撮影条件とが対応付けられて記憶され、
前記移動制御部によって認識された補助具に対応付けられたX線撮影条件を前記記憶部から読み出し、前記読み出したX線撮影条件に基づいてX線撮影を実行するX線撮影制御部をさらに備える、
請求項
4に記載のX線撮影制御装置。
【請求項13】
前記X線撮影制御部は、前記X線撮影条件を表示し、当該X線撮影条件を変更する操作を受け付ける、
請求項
12に記載のX線撮影制御装置。
【請求項14】
前記移動制御部は、前記X線管の前記撮影位置が当該X線管の可動範囲外である場合、前記X線管の撮影位置を前記可動範囲内とするように補助具の推奨補助具位置を算出する、
請求項
7に記載のX線撮影制御装置。
【請求項15】
前記移動制御部は、前記推奨補助具位置に基づいて天板の推奨天板位置を決定し、前記天板を前記推奨天板位置へ移動させることにより、前記補助具を前記推奨補助具位置へ移動させる、
請求項
14に記載のX線撮影制御装置。
【請求項16】
前記推奨補助具位置をディスプレイに表示させる表示制御部をさらに備える、
請求項
14に記載のX線撮影制御装置。
【請求項17】
前記補助具は、被検体を所望の姿勢で天板上に固定するための冶具である、
請求項
1に記載のX線撮影制御装置。
【請求項18】
前記補助具は、X線照射部から照射されるX線を検出するX線検出器に取り付けられたマーカーである、
請求項
1に記載のX線撮影制御装置。
【請求項19】
請求項1乃至
18のうちいずれか一項に記載のX線撮影制御装置と、
X線の撮影範囲に配置された前記補助具を含む範囲を撮影可能なカメラと、
を備える、X線診断装置。
【請求項20】
請求項1乃至
18のうちいずれか一項に記載のX線撮影制御装置と、
X線の撮影範囲に配置された前記補助具を含む範囲を撮影可能な複数のカメラと、
を備える、X線診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、X線撮影制御装置及びX線診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、整形外科等においてX線の一般撮影を行う際、膝関節等の撮影対象を適切な姿勢に位置決めする固定具等の補助具が用いられる。撮影者は、例えば、寝台上に補助具を配置し、撮影対象を位置決めした後にX線の撮影を行う。この場合、撮影者は、X線の撮影を適切に行うため、位置決めされた撮影対象に対してX線管球を適切な位置に配置する操作を行わなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、補助具を用いたX線撮影において撮影者の負担を軽減してX線の撮影を適切に行うことである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係るX線撮影制御装置は、カメラ画像取得部と、移動制御部と、を備える。カメラ画像取得部は、X線の撮影範囲に配置された、被検体の位置合わせを補助する補助具を含むカメラ画像を取得する。移動制御部は、前記カメラ画像に含まれた補助具に応じた撮影位置に、X線撮影装置を移動させる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係るX線診断装置により補助具を撮影する様子の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係るX線診断装置の構成を例示する図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係るX線診断装置による登録処理の処理手順を例示するフローチャートである。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係るX線診断装置による位置調整処理の処理手順を例示するフローチャートである。
【
図5】
図5は、第1の実施形態に係るX線診断装置による位置調整処理において検査時に設置された補助具を撮影する様子の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態に係るX線診断装置による位置調整処理においてX線照射装置を撮影位置へ移動させる様子の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、第1の実施形態に係るX線診断装置による位置調整処理の後に患者が寝台に固定された様子の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、第2の実施形態に係るX線診断装置の構成を例示する図である。
【
図9】
図9は、第3の実施形態に係るX線診断装置による位置調整処理の処理手順を例示するフローチャートである。
【
図10】
図10は、第3の実施形態の変形例に係るX線診断装置による位置調整処理の処理手順を例示するフローチャートである。
【
図11】
図11は、第4の実施形態に係るX線診断装置の構成を例示する図である。
【
図12】
図12は、第4の実施形態に係るX線診断装置による登録処理の処理手順を例示するフローチャートである。
【
図13】
図13は、第4の実施形態に係るX線診断装置による位置調整処理の処理手順を例示するフローチャートである。
【
図14】
図14は、第5の実施形態に係るX線診断装置の構成を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら、X線撮影制御装置及びX線診断装置の実施形態について詳細に説明する。以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0008】
(第1の実施形態)
図1に示すように、X線診断装置1は、寝台部30上に配置された補助具60をカメラ16により撮影し、撮影した画像の認識結果に基づいて、X線照射部12を適切な撮影位置に自動的に移動させるものである。本実施形態では、X線照射部12の撮影位置は、X線を照射するX線管の位置である。
【0009】
補助具60は、整形外科等においてX線の一般撮影を行う際に、膝関節等の撮影対象を適切な姿勢に位置決めするための治具(固定具)である。補助具60は、寝台部30上に配置される。補助具60の形状や大きさは種々あり、被検体の大きさや検査目的等に応じて適宜使い分けられる。例えば、撮影対象が膝である場合、膝を所定角度に屈曲させた状態で固定するため、三角柱形状の補助具が用いられる。また、撮影対象が頭である場合、頭を所定の位置で固定するため、直方体、L字形状等の補助具が用いられる。
【0010】
カメラ16は、寝台部30上に配置された補助具60を撮影可能な位置に設けられる。すなわち、カメラ16は、X線の撮影範囲に配置された被検体の位置合わせを補助する補助具を含む範囲を撮影可能な位置に設けられる。カメラ16は、例えば、光学式のデジタルカメラである。
【0011】
X線診断装置1は、
図2に示すように、撮影部10、寝台部30、コンソール部40、X線検出器50を備える。撮影部10、寝台部30及びX線検出器50は、X線撮影装置2を形成する。X線撮影装置2は、撮影装置の一例である。
【0012】
撮影部10は、高電圧発生部11、X線照射部12、支持アーム14、及びカメラ16を備える。
【0013】
高電圧発生部11は、X線管の陰極から発生する熱電子を加速するために、陽極と陰極の間に印加する高電圧を発生させてX線管へ出力する。
【0014】
X線照射部12は、X線管、及び、X線絞りを備える。X線管は、X線を発生させる真空管である。X線管は、管球と、管球に設けられたフィラメント(陰極)と、タングステン陽極とを備える。X線管は、フィラメントより放出された熱電子を高電圧によって加速させる。X線管は、この加速電子をタングステン陽極に衝突させることでX線を発生させる。
【0015】
X線絞りは、鉛等の金属板で構成される。X線絞りは、開口領域外のX線を遮蔽することにより、X線管が発生したX線の被検体Pへの照射範囲(以下、X線照射範囲と呼ぶ)を絞り込む。X線絞りは、X線の遮蔽される領域を任意のサイズに調節することにより、X線照射範囲の大きさを調整する。
【0016】
支持アーム14は、X線照射部12を支持する。支持アーム14により支持されたX線照射部12は、天板33上にX線を照射する。支持アーム14は、スライド可能、かつ、複数の回転軸のそれぞれを中心に回転可能に支持される。支持アーム14は、スライド及び回転に係る動作を実現するための複数の動力源が該当する適当な箇所に備えられている。これらの動力源は支持アーム駆動装置を構成する。支持アーム駆動装置は、処理回路44からの駆動信号を読み込んで支持アーム14をスライド運動、回転運動、直線運動させる。
【0017】
寝台部30は、基台部31、寝台駆動部32、天板33を備える。基台部31は、床面に設置され、支持フレーム34を鉛直方向(Z方向)に移動可能に支持する筐体である。
【0018】
寝台駆動部32は、寝台部30の筐体内に収容され、被検体Pが設置された天板33を天板33の長手方向(Y方向)に移動するモータあるいはアクチュエータである。寝台駆動部32は、処理回路44からの駆動信号を読み込んで、天板33を床面に対して水平方向や垂直方向に移動させる。支持アーム14または天板33が移動することにより、被検体Pに対する撮影軸の位置関係が変化する。なお、寝台駆動部32は、天板33に加え、支持フレーム34を天板33の長手方向に移動させてもよい。
【0019】
天板33は、支持フレーム34の上面に設けられ、被検体P、X線検出器50、補助具60が設置される。
【0020】
なお、寝台部30は、天板33が支持フレーム34に対して移動可能であってもよいし、天板33と支持フレーム34とが一緒に、基台部31に対して移動可能であってもよい。
【0021】
X線検出器50は、天板33上に設置されることにより使用される。X線検出器50は、X線管から発せられ被検体Pを透過したX線を検出する。このようなX線検出器50としては、X線を直接電荷に変換するものと、光に変換した後、電荷に変換するものとが使用可能であり、ここでは前者を例に説明するが後者であっても構わない。すなわち、X線検出器50は、例えば、被検体Pを透過したX線を電荷に変換して蓄積する平面状のFPD(Flat Panel Detector)と、このFPDに蓄積された電荷を読み出すための駆動パルスを生成するゲートドライバとを備えている。FPDの大きさは、例えば8~16インチの範囲内の値である。FPDは微小な検出素子を列方向及びライン方向に2次元的に配列して構成される。各々の検出素子はX線を感知し、入射X線量に応じて電荷を生成する光電膜と、この光電膜に発生した電荷を蓄積する電荷蓄積コンデンサと、電荷蓄積コンデンサに蓄積された電荷を所定のタイミングで出力するTFT(薄膜トランジスタ)を備えている。蓄積された電荷はゲートドライバが供給する駆動パルスによって順次読み出される。
【0022】
コンソール部40は、メモリ41、ディスプレイ42、入力インターフェース43及び処理回路44を備える。
【0023】
メモリ41は、種々の情報を記憶するHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、集積回路等の記憶装置である。また、メモリ41は、HDDやSSD等以外にも、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、フラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体であってもよい。なお、メモリ41は、フラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)等の半導体メモリ素子等との間で種々の情報を読み書きする駆動装置であってもよい。また、メモリ41の保存領域は、X線診断装置1内にあってもよいし、ネットワークで接続された外部記憶装置内にあってもよい。
【0024】
メモリ41は、例えば、X線画像、処理回路44によって実行されるプログラム、及び処理回路44の処理に用いられる各種データ等を記憶する。メモリ41には、補助具60とX線照射部12の撮影位置とが対応付けられて記憶される。メモリ41は、記憶部の一例である。
【0025】
ディスプレイ42は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ42は、処理回路44によって生成された医用画像(X線画像)や、操作者からの各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を出力する。例えば、ディスプレイ42は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイである。また、ディスプレイ42は、表示部の一例である。また、ディスプレイ42は、撮影部10に設けられてもよい。また、ディスプレイ42は、デスクトップ型でもよいし、コンソール部40本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。
【0026】
入力インターフェース43は、操作者からの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路44に出力する。例えば、入力インターフェース43は、被検体情報、撮影条件、各種コマンド信号の入力等を操作者から受け付ける。例えば、入力インターフェース43は、支持アーム14の移動指示、X線照射範囲の設定、X線撮影の実行、及び処理回路44の各種処理等を行うためのトラックボール、マウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチパネルディスプレイ、及びフットスイッチ等により実現される。また、入力インターフェース43は、入力部及び操作部の一例である。また、入力インターフェース43は、撮影部10に設けられてもよい。また、入力インターフェース43は、コンソール部40本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。なお、入力インターフェース43はマウス、キーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路44へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース43の例に含まれる。入力インターフェース43は、操作部の一例である。
【0027】
処理回路44は、X線診断装置1全体の動作を制御する。処理回路44は、メモリ41内のプログラムを呼び出し実行することにより、システム制御機能441、カメラ画像取得機能442、登録機能443、決定機能444、移動制御機能445及びX線撮影制御機能446を実行するプロセッサである。
【0028】
なお、
図2においては、単一の処理回路44にてシステム制御機能441、カメラ画像取得機能442、登録機能443、決定機能444、移動制御機能445及びX線撮影制御機能446が実現されるものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより各機能を実現するものとしても構わない。また、システム制御機能441、カメラ画像取得機能442、登録機能443、決定機能444、移動制御機能445及びX線撮影制御機能446は、それぞれシステム制御回路、カメラ画像取得回路、登録回路、決定回路、移動制御回路及びX線制御回路と呼んでもよく、個別のハードウェア回路として実装してもよい。
【0029】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、ASIC、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(CompleX Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)等の回路を意味する。プロセッサはメモリ41に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、メモリ41にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、
図2における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。上記「プロセッサ」の説明は、以下の各実施形態及び変形例でも同様である。
【0030】
処理回路44は、システム制御機能441により、入力インターフェース43を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、X線診断装置1における複数の構成要素各々を制御する。例えば、処理回路44は、撮影条件に従って、撮影部10における各種構成要素を制御する。システム制御機能441を実現する処理回路44は、システム制御部の一例である。
【0031】
例えば、処理回路44は、システム制御機能441により、入力インターフェース43から入力された支持アーム14や天板33の駆動に関する情報に基づいて、支持アーム駆動装置及び寝台駆動部32の制御を行う。処理回路44は、支持アーム駆動装置の制御を行うことにより、X線照射部12の位置及びX線の照射方向(以下、X線照射方向と呼ぶ)を調整する。また、処理回路44は、X線検出器50から出力されたデータに基づいてX線画像を生成する。なお、処理回路44は、生成されたX線画像に対して各種合成処理や減算(サブトラクション)処理等を行なってもよい。また、処理回路44は、メモリ41から所望のX線画像を取得してディスプレイ42に表示する。
【0032】
処理回路44は、カメラ画像取得機能442により、カメラ16の制御を行う。処理回路44は、カメラ16を制御することにより、天板33上の撮影画像をカメラ16に生成させる。処理回路44は、X線検出器50及び補助具60等が天板33上に設置された状態でカメラ16に撮影画像を生成させることにより、X線検出器50及び補助具60等を含む撮影画像をカメラ16に生成させることができる。これにより、処理回路44は、X線の撮影範囲に配置された、被検体の位置合わせを補助する補助具60を含むカメラ画像を取得する。そして、処理回路44は、生成された撮影画像をコンソール部40に送信させる。処理回路44は、例えば、後述の登録処理において、登録時において登録対象の補助具60が撮影された撮影画像(以下、登録画像と呼ぶ)を、カメラ16に生成させる。また、処理回路44は、例えば、検査時において検査時に設置された補助具60が撮影された撮影画像(以下、検出画像と呼ぶ)を、カメラ16に生成させ、検出画像を取得する。カメラ画像取得機能442を実現する処理回路44は、カメラ画像取得部の一例である。
【0033】
処理回路44は、登録機能443により、登録時において補助具60が撮影された登録画像を登録する。具体的には、例えば、処理回路44は、使用される可能性のある補助具の登録画像を、補助具60の種類ごとにメモリ41に保存する。「登録」の用語は、「保存」又は「記憶」と呼んでもよい。「登録画像」の用語は、「参照画像」のように、適宜、他の用語に読み替えてもよい。登録時は、例えば、X線診断装置1の据え付け時、又は、新規の種類の補助具の導入時である。登録機能443を実現する処理回路44は、登録部の一例である。
【0034】
また、処理回路44は、登録機能443により、補助具の種類ごとに、登録対象の補助具に対するX線照射部12の相対位置を設定する。登録機能443を実現する処理回路44は、設定部の一例である。
【0035】
処理回路44は、決定機能444により、検出画像と、補助具の種類ごとに保存された登録画像を用いて、検査時において天板33上に設置された補助具60の位置と種類とを特定する。この際、処理回路44は、例えば、画像認識技術等により、登録画像を用いて、検出画像から補助具60を検出する。その後、補助具60の検出結果に基づいて、検査室内における補助具60の位置を特定する。そして、補助具60の検出結果と、例えば、登録画像のそれぞれとの類似度を算出し、所定の類似度よりも大きい登録画像に対応する補助具の種類を、検査時に設置された補助具の種類として特定する。決定機能444を実現する処理回路44は、検出画像と登録画像に基づいて、補助具60の位置を特定する特定部の一例である。
【0036】
なお、検査用の補助具の種類と位置の特定には、学習済みの機械学習モデルを用いてもよい。この場合、例えば、学習済みの機械学習モデルとして、前記検出画像の入力を受け付けて前記検出画像に含まれる補助具の種類と位置とを出力する多層のネットワークモデルが用いられる。多層のネットワークモデルは、例えば、生物の脳の神経回路を模した深層ニューラルネットワーク(DNN:Deep Neural Network)であってもよく、コンボリューションニューラルネットワーク(CNN:Convolution Neural Network)であってもよい。
【0037】
また、処理回路44は、決定機能444により、検査時に設置された補助具の種類に対応するX線照射部12の相対位置を取得し、決定機能444により特定された補助具の位置と、取得したX線照射部12の相対位置とに基づいて、X線照射部12の撮影位置を決定する。この際、処理回路44は、検査時に設置された補助具の種類に対応するX線照射部12の補助具に対する相対位置を読み出し、検査時に設置された補助具の種類に対応するX線照射部12の撮影位置を決定する。決定機能444を実現する処理回路44は、X線照射部12の相対位置と補助具の位置とに基づいてX線照射部12の撮影位置を決定する位置決定部の一例である。
【0038】
処理回路44は、移動制御機能445により、カメラ画像に含まれた補助具に応じた撮影位置に、X線管を移動させる。具体的には、処理回路44は、カメラ画像に含まれた補助具を認識し、認識した補助具に対応付けられた撮影位置に、X線管を移動させる。この際、処理回路44は、X線照射部12を撮影位置に移動させることにより、X線管を移動させる。移動制御機能445を実現する処理回路44は、移動制御部の一例である。
【0039】
処理回路44は、X線撮影制御機能446により、例えば、システム制御機能441からの情報を読み込んで、高電圧発生部11における管電流、管電圧、焦点サイズ、照射時間、パルス幅、X線照射範囲(X線照射部12の絞りの範囲)等のX線条件の制御を行う。X線撮影制御機能446を実現する処理回路44は、X線制御部の一例である。
【0040】
以上のように構成されたX線診断装置1は、登録処理と位置調整処理とを実行する。登録処理とは、補助具とX線照射部12との位置関係を登録する処理である。登録処理は、カメラ画像取得機能442、登録機能443により実行される。
【0041】
位置調整処理とは、カメラ16により撮影された補助具60に基づいて、X線照射部12を適切な位置に移動させる処理である。位置調整処理は、カメラ画像取得機能442、決定機能444、移動制御機能445により実行される。
【0042】
なお、以下で説明する登録処理における処理手順は一例に過ぎず、各処理は可能な限り適宜変更可能である。また、以下で説明する処理手順について、実施の形態に応じて、適宜、ステップの省略、置換、及び追加が可能である。
【0043】
図3を参照して登録処理を説明する。ユーザは、登録対象の補助具が天板33上に設置され、かつ、登録対象の補助具に応じた適切な撮影位置にX線照射部12の位置及び向きが調整された状態で、入力インターフェース43において登録処理を開始させる指示を入力する。処理回路44は、入力インターフェース43において登録処理を開始させる指示が入力されたことに基づいて、登録処理を開始する。
【0044】
(登録処理)
(ステップS101)
処理回路44は、
図1に示したように、カメラ画像取得機能442により、天板33上に設置された登録対象の補助具60の撮影をカメラ16に実行させ、登録対象の補助具60を含む登録画像を生成させる。
【0045】
(ステップS102)
処理回路44は、登録機能443により、補助具の種類ごとに、登録画像を保存する。これにより、登録対象の補助具60が設定される。
【0046】
(ステップS103)
処理回路44は、登録機能443により、登録対象の補助具60に対するX線照射部12の位置を登録する。これにより、処理回路44は、補助具60とX線照射部12との相対的な位置関係を記憶する。登録されるX線照射部12の位置は、補助具60上の撮影対象がX線照射部12によって適切にX線撮影される位置である。
【0047】
図4は、本実施形態に係る位置調整処理の手順の一例を示すフローチャートである。処理回路44は、例えば、検査時において補助具60が天板33上に設置され、入力インターフェース43において位置調整処理を開始させる指示が入力されたことに基づいて、位置調整処理を開始する。
【0048】
(位置調整処理)
(ステップS111)
処理回路44は、カメラ画像取得機能442により、天板33上に設置された補助具60の撮影をカメラ16に実行させ、検出画像を生成させる。
図5は、検査時において天板33上に設置された補助具60を撮影する様子の一例を示す図である。
【0049】
(ステップS112)
処理回路44は、決定機能444により、検出画像に基づいて、設置された補助具の位置と種類とを特定する。検出画像から検出した補助具が登録済みの補助具とは異なると判断された場合、設置された補助具が未知の補助具であることを示す情報が、ディスプレイ42に表示されてもよい。このとき、撮影技師は、設置された補助具に対して前述の登録処理を実行してもよい。また、特定した補助具の種類が前回の検査で用いられた補助具の種類と異なる場合、今回の検査時に設置された補助具の種類が前回の検査で使用された補助具の種類と異なることが、ディスプレイ42に表示されてもよい。
【0050】
(ステップS113)
処理回路44は、決定機能444により、特定された補助具の種類に対応するX線照射部12の相対位置を読み出し、読み出したX線照射部12の相対位置を、設置された補助具の位置に適用することにより、X線照射部12の撮影位置を決定する。
【0051】
(ステップS114)
処理回路44は、移動制御機能445により、支持アーム駆動装置を制御することにより、X線照射部12を撮影位置へ移動させる。
図6は、X線照射部12を撮影位置へ移動させる様子の一例を示す図である。
【0052】
X線照射部12が撮影位置に移動すると、撮影技師は、補助具60を用いて天板33上において患者を所望の姿勢で固定した後、撮影部位に対するX線撮影を実行する。
図7は、位置調整処理の後に患者が寝台に固定された様子の一例を示す図である。
【0053】
以下、本実施形態に係るX線診断装置1の効果について説明する。
【0054】
本実施形態のX線診断装置1は、被検体及び補助具が設置される天板33を有する寝台部30と、X線を発生させるX線管と絞りとを有するX線照射部12と、コンソール部40とを備える。また、本実施形態のコンソール部40は、登録画像と登録対象の補助具とを関連付けて保存し、登録対象の補助具に対するX線照射部12の相対位置を設定し、検出画像と登録画像とに基づいて、検査時における天板33上に設置された補助具の位置を特定し、相対位置と特定された補助具の位置とに基づいて、X線照射部12の撮影位置を決定し、X線照射部12を撮影位置へ移動させることができる。また、X線診断装置1は、天板33上を撮影可能なカメラ16を備える。また、補助具60は、被検体を所望の姿勢で固定するために用いられる冶具である。X線照射部12が撮影位置に移動すると、撮影技師は、補助具60を用いて天板33上において患者を所望の姿勢で固定した後、撮影部位に対するX線撮影を実行することができる。本実施形態のコンソール部40は、X線撮影制御装置に相当する。X線撮影制御装置は、医用画像処理装置と呼ばれてもよい。
【0055】
すなわち、上記の構成及び動作により、本実施形態のX線診断装置1によれば、補助具に対する適切なX線照射部12の相対位置が、補助具の導入時又は据え付け時に設定される。このため、検査時において、検査時に設置された補助具60が天板33上に設置された状態で、検査時に設置された補助具の位置を特定することにより、X線照射部12の適切な撮影位置を算出し、算出された撮影位置にX線照射部12を自動的に移動させることができる。そして、X線照射部12が撮影位置に移動すると、撮影技師は、補助具60を用いて天板33上において患者を所望の姿勢で固定した後、撮影部位に対するX線撮影を実行することができる。このように、認識した補助具の置き方に応じて自動でX線管/絞りの位置を決定できるため、X線照射装置の位置の調整にかかる時間を短縮することができ、これにより、検査時間を短縮することができる。また、検査の前にX線照射部12の相対位置の設定を行うため、検査時にX線照射部12の位置の調整を行う場合に比べて、時間的制約が少ない中でX線照射部12の位置の調整を行うことができる。このため、より適した位置を撮影位置として設定することができ、検査精度を向上させることができる。これに加え、補助具の位置とX線照射部12の相対位置とに基づいてX線照射部12を撮影位置へ移動させる構成により、X線照射部12の撮影位置の再現性の向上を図ることができる。
【0056】
また、本実施形態のX線診断装置1は、補助具の種類ごとに、登録画像と登録対象の補助具とを関連付けて保存し、X線照射部12の相対位置を設定し、登録画像と検出画像とに基づいて天板33上に設置された補助具の種類と位置とを特定し、特定された補助具の位置と、特定された補助具の種類に対応するX線照射部12の相対位置とに基づいて、X線照射装置の撮影位置を決定することができる。
【0057】
すなわち、上記の構成及び動作により、本実施形態のX線診断装置1によれば、補助具の導入時又は据え付け時に、適切なX線照射部12の相対位置を補助具の種類ごとに設定することにより、天板33上に設置された検査時に設置された補助具の種類と位置を特定し、検査時に設置された補助具の種類に応じたX線照射部12の適切な撮影位置を算出することができる。そして、算出された撮影位置にX線照射部12を自動的に移動させることにより、認識した補助具の種類と位置に応じて自動でX線管/絞りの位置を決定できるため、検査時間を短縮することができ、検査精度を向上させることができる。
【0058】
なお、位置調整処理では、特定した補助具の種類に応じて、X線照射部12の位置に加えて、X線照射範囲(X線照射部12における絞りの範囲)が自動的に調整されてもよい。この場合、処理回路44は、例えば、登録機能443により、登録対象の補助具の種類に応じたX線照射範囲を設定し、決定機能444により、X線照射部12の撮影位置に加えて、検査時に設置された補助具の種類に対応するX線照射範囲を取得し、取得したX線照射範囲を検査時におけるX線の照射範囲として決定し、X線撮影制御機能446により、X線照射部12の絞りを制御することにより、決定したX線の照射範囲にX線照射範囲を調整する。処理回路44は、例えば、検査時に設置された補助具が、撮影部位が膝である場合に使用される種類であった場合、撮影部位が頭である場合に使用される種類であった場合に比べて、X線照射範囲を小さく(狭く)する。
【0059】
なお、認識したカメラ画像に基づいて、補助具60の位置と種類の両方を特定する例について示したが、補助具60の位置のみが特定されてもよい。例えば、撮影部位ごとに、1種類の補助具60と、補助具60に対するX線照射部12の撮影位置が設定されていてもよい。この場合、処理回路44は、登録機能443により、撮影部位ごとに、補助具60の位置とX線照射部12の撮影位置とを対応付けて登録する。メモリ41には、撮影部位ごとに、補助具60とX線照射部12の撮影位置とが対応付けられて記憶される。処理回路44は、ユーザによる撮影部位を設定する操作を受け付ける。処理回路44は、決定機能444により、カメラ画像に含まれた補助具60を認識し、設定された撮影部位について、認識した補助具60に対応付けられた撮影位置に、X線照射部12を移動させる。
【0060】
また、検査目的ごとに、1種類の補助具60と、補助具60に対するX線照射部12の撮影位置が設定されていてもよい。検査目的は、例えば、検査で実行される手技である。この場合、処理回路44は、登録機能443により、検査目的ごとに、補助具60の位置とX線照射部12の撮影位置とを対応付けて登録する。メモリ41には、検査目的ごとに、補助具60とX線照射部12の撮影位置とが対応付けられて記憶される。処理回路44は、ユーザによる検査目的を設定する操作を受け付ける。処理回路44は、決定機能444により、カメラ画像に含まれた補助具60を認識し、設定された検査目的について、認識した補助具60に対応付けられた撮影位置に、X線照射部12を移動させる。
【0061】
なお、認識した補助具60に対応付けられたX線照射部12の撮影位置がメモリ41に複数記憶されている場合には、ユーザにより、使用される撮影位置が選択されるようにしてもよい。この場合、処理回路44は、登録機能443により、登録対象の補助具に対するX線照射部12の相対位置を、補助具ごとに複数設定する。また、処理回路44は、システム制御機能441及び決定機能444により、認識した補助具に対応付けられた撮影位置がメモリ41に複数ある場合に、複数の撮影位置の候補をディスプレイ42に表示し、ユーザによる撮影位置を選択する操作を受け付ける。
【0062】
なお、処理回路44は、決定機能444により、X線照射部12の撮影位置に加えて、X線照射部12によるX線の照射方向を決定してもよい。この場合、例えば、処理回路44は、登録機能443により、登録対象の補助具に対するX線照射部12の相対位置に加えて、X線の照射方向を設定し、移動制御機能445により、X線照射部12の向きを設定された照射方向に調整する。
【0063】
また、登録処理において、処理回路44は、X線照射部12の位置に加えて、登録対象の補助具60に対するX線条件を登録してもよい。登録されるX線条件は、例えば、補助具60上の撮影対象を適切に撮影可能にするパラメータであり、例えば、管電流、管電圧、焦点サイズ、照射時間、パルス幅、X線照射範囲(X線照射部12における絞りの範囲)等である。この場合、メモリ41には、補助具60およびX線照射部12の撮影位置と、X線撮影条件とが対応付けられて記憶される。処理回路44は、X線撮影制御機能446により、決定機能444及び移動制御機能445によって認識された補助具60に対応付けられたX線撮影条件をメモリ41から読み出し、読み出したX線撮影条件に基づいてX線撮影を実行する。具体的には、処理回路44は、位置調整処理において、検査時に設置された補助具60に対応するX線照射部12の位置とともに、検査時に設置された補助具60に対応するX線条件を読み出す。そして、処理回路44は、X線照射部12を撮影位置へ移動させるとともに、読み出したX線条件に基づいて、X線照射部12から照射されるX線のX線条件を制御する。これにより、検査精度をさらに向上させることができる。なお、撮影技師は、読み出したX線条件に基づいて設定されたX線条件を適宜修正した後、検査を実行してもよい。この場合、処理回路44は、システム制御機能441及びX線撮影制御機能446により、X線撮影条件をディスプレイ42に表示し、X線撮影条件を変更する操作を受け付ける。X線撮影制御機能446を実現する処理回路44は、X線撮影制御部の一例である。
【0064】
また、登録処理において、処理回路44は、X線照射部12の位置に加えて、登録対象の補助具60に対する撮影部位を登録してもよい。この場合、登録される撮影部位は、登録対象の補助具60を用いて適切にX線撮影を行うことが可能な部位である。例えば、登録対象の補助具60が三角柱形状の補助具である場合、「膝」が撮影部位として登録される。この場合、処理回路44は、位置調整処理において、検査時に設置された補助具60の種類に加えて撮影部位を取得し、検査時に設置された補助具60の種類と撮影部位に対応するX線照射部12の位置を読み出す。そして、処理回路44は、X線照射部12を撮影位置へ移動させる。これにより、複数の撮影部位に対して使用可能な補助具60が検査において用いられる場合でも、撮影部位に応じた適切なX線照射部12の位置を用いることにより、検査精度をさらに向上させることができる。
【0065】
また、
図1では、天板33上に設置されたX線検出器50の上に補助具60が載せられる例を示したが、天板33上に設置された補助具60の上にX線検出器50が載せられてX線撮影が行われてもよい。
【0066】
また、
図1では、寝台部30上に被検体Pが載せられた状態でX線撮影を行う例を示したが、X線診断装置1は、被検体Pが立った状態又は座った状態でX線撮影が行われる装置であってもよい。この場合においても、カメラ16は、X線の撮影範囲に配置された被検体の位置合わせを補助する補助具を含む範囲を撮影可能な位置に設けられる。
【0067】
(第2の実施形態)
第2の実施形態について説明する。本実施形態は、第1の実施形態の構成を以下の通りに変形したものである。本実施形態では、X線診断装置1は、カメラ16を2つ備える。第1の実施形態と同様の構成、動作、及び効果については、説明を省略する。なお、X線診断装置1又は検査室内に設けられるカメラ16は3つ以上であってもよい。
【0068】
図8は、第2の実施形態に係るX線診断装置1の構成例を示す図である。
図8に示すように、撮影部10には、複数のカメラ16が設けられている。複数のカメラ16のそれぞれは、天板33上に設置された補助具を撮影することができる。カメラ16は、検査室内において異なる位置に固定されている。したがって、カメラ16による撮影により、補助具を異なる角度から撮影した複数の撮影画像を得ることができる。複数のカメラ16は、登録画像及び検出画像を撮影可能である。
【0069】
処理回路44は、カメラ画像取得機能442により、カメラ16のそれぞれに対して、前述の制御を行う。
【0070】
処理回路44は、登録機能443により、補助具の種類ごとに、登録対象の補助具と2つの登録画像とを関連付けて保存する。
【0071】
処理回路44は、決定機能444により、検査時に設置された補助具が撮影された検出画像と、補助具の種類ごとに保存された登録画像とに基づいて、天板33上に設置された検査時に設置された補助具の位置と種類とを特定する。この際、処理回路44は、例えば、公知の画像処理技術等により、2つの検出画像から検査時に設置された補助具の3次元画像を生成する。その後、検査時に設置された補助具の3次元画像と、登録画像とに基づいて、天板33上における検査時に設置された補助具の位置及び種類を特定する。
【0072】
本実施形態のX線診断装置1は、天板33上を撮影可能なカメラ16を複数備える。すなわち、上記の構成及び動作により、本実施形態のX線診断装置1によれば、補助具を異なる角度から撮影した複数の撮影画像を用いることにより、補助具の種類と位置の特定の精度が向上する。
【0073】
(第3の実施形態)
【0074】
第3の実施形態について説明する。本実施形態は、第1の実施形態の構成を以下の通りに変形したものである。本実施形態では、第1の実施形態に対して、処理回路44が実行する位置調整処理の一部が異なる。本実施形態では、処理回路44は、算出した撮影位置がX線照射部12の可動範囲から外れた場合に、天板33の移動により補助具の位置を調整する。第1の実施形態と同様の構成、動作、及び効果については、説明を省略する。
【0075】
処理回路44は、決定機能444により、X線照射部12の撮影位置が当該X線照射部12の可動範囲外である場合、X線照射部12の相対位置に基づいて、X線照射部12の撮影位置を可動範囲内とするように補助具の位置(以下、推奨補助具位置と呼ぶ)を算出する。X線照射部12の可動範囲は、支持アームの構造的制約や、検査室内の各種器具の配置、患者の座る位置等によって、予め設定されている。そして、処理回路44は、推奨補助具位置に基づいて天板33の位置(以下、推奨天板位置と呼ぶ)を算出する。具体的には、処理回路44は、補助具が推奨補助具位置に位置するように推奨天板位置を算出する。
【0076】
処理回路44は、移動制御機能445により、寝台駆動部32を制御することにより、天板33を推奨天板位置へ移動させる。
【0077】
以下、X線診断装置1により実行される位置調整処理の動作について説明する。
図9は、本実施形態に係るX線診断装置1により実行される位置調整処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図9におけるステップS211~ステップS213、ステップS217の処理は、それぞれ、第1の実施形態におけるステップS111~ステップS114の処理と同様のため、説明を省略する。
【0078】
(位置調整処理)
(ステップS214)
処理回路44は、決定機能444により、ステップS213で決定したX線照射部12の撮影位置がX線照射部12の可動範囲の範囲内であるか否かを判断する。X線照射部12の撮影位置がX線照射部12の可動範囲の範囲内である場合(ステップS214-Yes)、処理はステップS217に進み、X線照射部12を撮影位置へ移動させる。X線照射部12の撮影位置がX線照射部12の可動範囲の範囲外である場合(ステップS214-No)、処理はステップS215に進む。
【0079】
(ステップS215)
処理回路44は、決定機能444により、X線照射部12の可動範囲と、特定された補助具の種類に対応するX線照射部12の相対位置とに基づいて、推奨補助具位置を算出する。そして、推奨補助具位置に基づいて推奨天板位置を算出する。
【0080】
(ステップS216)
処理回路44は、移動制御機能445により、寝台駆動部32を制御することにより、天板33を推奨天板位置へ移動させる。天板33が推奨天板位置に移動することにより、補助具が推奨補助具位置に移動する。
【0081】
以下、本実施形態に係るX線診断装置1の効果について説明する。
【0082】
本実施形態のX線診断装置1は、X線照射部12の撮影位置がX線照射部12の可動範囲の範囲外である場合、X線照射部12の可動範囲とX線照射部12の相対位置とに基づいて、X線照射部12の撮影位置がX線照射部12の可動範囲内となるような、検査室内における補助具の推奨補助具位置を算出することができる。また、本実施形態のX線診断装置1は、天板33を寝台部30に対して移動させることにより、補助具を推奨補助具位置へ移動させることができる。
【0083】
すなわち、上記の構成及び動作により、本実施形態のX線診断装置1によれば、可動範囲などの条件を満足しない不適切な位置に検査時に設置された補助具が設置された場合でも、検査時に設置された補助具が適切な位置に移動するように天板33の駆動を自動的に調整することができる。そして、推奨補助具位置に移動した後の検査時に設置された補助具に対するX線照射部12の撮影位置を再計算し、X線照射部12を適切な撮影位置に自動的に移動させることができる。このため、本実施形態のX線診断装置1においても、第1の実施形態の効果と同様の効果が得られる。
【0084】
(第3の実施形態の変形例)
第3の実施形態の変形例について説明する。本実施形態は、第3の実施形態の構成を以下の通りに変形したものである。本実施形態では、第3の実施形態に対して、処理回路44が実行する位置調整処理の一部が異なる。本変形例では、処理回路44は、算出した補助具の推奨補助具位置を撮影技師に対して伝達する。第3の実施形態と同様の構成、動作、及び効果については、説明を省略する。
【0085】
処理回路44は、システム制御機能441により、検査時に設置された補助具の推奨補助具位置をディスプレイ42に表示させる。システム制御機能441を実現する処理回路44は、表示制御部の一例である。
【0086】
以下、X線診断装置1により実行される位置調整処理の動作について説明する。
図10は、本実施形態に係るX線診断装置1により実行される位置調整処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図10におけるステップS311~ステップS314、ステップS317の処理は、それぞれ、第3の実施形態におけるステップS211~ステップS214、ステップS217の処理と同様のため、説明を省略する。
【0087】
(位置調整処理)
(ステップS315)
処理回路44は、決定機能444により、X線照射部12の可動範囲と、特定された補助具の種類に対応するX線照射部12の相対位置とに基づいて、推奨補助具位置を算出する。
【0088】
(ステップS316)
処理回路44は、推奨補助具位置をディスプレイ42に表示させる。
【0089】
以下、本変形例に係るX線診断装置1の効果について説明する。
【0090】
本変形例のX線診断装置1は、X線照射部12の撮影位置がX線照射部12の可動範囲の範囲外である場合、X線照射部12の可動範囲とX線照射部12の相対位置とに基づいて、X線照射部12の撮影位置がX線照射部12の可動範囲内となるような、検査室内における補助具の推奨補助具位置を算出することができる。また、本実施形態のX線診断装置1は、推奨補助具位置をディスプレイ42に表示させることができる。
【0091】
すなわち、上記の構成及び動作により、本変形例のX線診断装置1によれば、可動範囲などの条件を満足しない不適切な位置に検査時に設置された補助具が設置された場合には、検査時に設置された補助具を設置する適切な位置をディスプレイ42に表示させることにより、補助具の適切な設置位置を撮影技師に伝達することができる。
【0092】
なお、補助具の推奨補助具位置をディスプレイ42に表示する代わりに、天板33上の推奨補助具位置にライト、プロジェクタ等を用いて可視光を当てることにより、補助具の推奨補助具位置を天板33上に表示してもよい。
【0093】
(第4の実施形態)
第4の実施形態について説明する。本実施形態は、第1の実施形態の構成を以下の通りに変形したものである。本実施形態では、第1の実施形態に対して、特定した検出対象の補助具の種類と位置とに応じて、X線検出器の位置を自動で調整する。第1の実施形態と同様の構成、動作、及び効果については、説明を省略する。
【0094】
図11は、第4の実施形態に係るX線診断装置1の構成例を示す図である。本実施形態では、
図11に示すように、寝台部30は、X線検出器50を備える。
【0095】
X線検出器50は、天板33の内部に取り付けられている。X線検出器50は、天板33及び寝台部30のそれぞれに対してスライド可能に支持される。X線検出器50は、スライドに係る動作を実現するための動力源を適当な箇所に備える。これらの動力源は検出器駆動装置を構成する。検出器駆動装置は、移動制御機能445からの駆動信号を読み込んでX線検出器50をスライド運動させる。X線検出器50については、第1の実施形態のX線検出器と同様であるため、説明を省略する。
【0096】
処理回路44は、登録機能443により、補助具の種類ごとに、登録対象の補助具に対するX線照射部12の相対位置に加えて、登録対象の補助具に対するX線検出器50の相対位置を設定する。X線検出器50の相対位置は、X線照射部12から照射されたX線を検出可能な位置である。
【0097】
処理回路44は、決定機能444により、検査時に設置された補助具に応じたX線検出器50の補助具に対する相対位置を取得し、決定機能444により特定された補助具の位置と、取得したX線検出器50の相対位置とに基づいて、X線照射部12から照射されたX線を検出可能なX線検出器50の位置(以下、検出位置と呼ぶ)を決定する。この際、処理回路44は、検査時に設置された補助具の種類に対応するX線検出器50の補助具に対する相対位置を読み出し、検査時に設置された補助具の位置に基づいて、検査時に設置された補助具の種類に対応するX線検出器50の検出位置を決定する。
【0098】
処理回路44は、移動制御機能445により、例えば、入力インターフェース43から入力されたX線検出器50の駆動に関する情報に基づいて、支持アーム駆動装置及び寝台駆動部32の制御に加えて、検出器駆動装置の制御を行うことにより、X線検出器50の位置を制御する。移動制御機能445を実現する処理回路44は、X線検出器を検出位置へ移動させる位置制御部の一例である。
【0099】
以下、X線診断装置1により実行される登録処理の動作について説明する。
図12は、本実施形態に係るX線診断装置1により実行される登録処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図12におけるステップS401~ステップS402の処理は、それぞれ、第1の実施形態におけるステップS101~ステップS102の処理と同様のため、説明を省略する。
【0100】
(登録処理)
(ステップS403)
処理回路44は、登録機能443により、登録対象の補助具に対して適切な撮影位置にX線照射部12が位置する状態での、登録対象の補助具に対するX線照射部12の相対位置とX線検出器50の相対位置を取得する。この際、登録対象の補助具の位置は、登録画像に対する画像処理によって自動的に算出されてもよく、入力インターフェース43での操作により入力されてもよい。その後、処理回路44は、X線照射部12の相対位置とX線検出器50の相対位置を、登録対象の補助具の種類と関連付けて保存する。これにより、登録対象の補助具に対する適切なX線照射部12の相対位置とX線検出器50の相対位置が設定される。
【0101】
以下、X線診断装置1により実行される位置調整処理の動作について説明する。
図13は、本実施形態に係るX線診断装置1により実行される位置調整処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図13におけるステップS411~ステップS412、ステップS414の処理は、それぞれ、第1の実施形態におけるステップS111~ステップS112、ステップS114の処理と同様のため、説明を省略する。
【0102】
(位置調整処理)
(ステップS413)
処理回路44は、決定機能444により、特定された補助具の種類に対応するX線照射部12の相対位置とX線検出器50の相対位置とを読み出し、読み出したX線照射部12の相対位置を特定した補助具の位置に適用することにより、X線照射部12の撮影位置を決定し、読み出したX線検出器50の相対位置を特定した補助具の位置に適用することにより、X線検出器50の撮影位置を決定する。
【0103】
(ステップS415)
処理回路44は、移動制御機能445により、検出器駆動装置を制御することにより、X線検出器50を検出位置へ移動させる。X線検出器50の撮影位置がX線検出器50の可動範囲外である場合は、天板33を移動させることによりX線検出器50を検出位置へ移動させてもよい。X線検出器50の可動範囲は、天板33の構造的制約や、検査室内の各種器具の配置等によって、予め設定されている。
【0104】
以下、本実施形態に係るX線診断装置1の効果について説明する。
【0105】
本実施形態のX線診断装置1は、寝台部30に設けられ、寝台部30に対して移動可能であり、X線照射部12から照射されるX線を検出するX線検出器50を備え、登録対象の補助具に対するX線検出器50の相対位置を設定し、検出対象の補助具の位置とX線検出器50の相対位置とに基づいてX線検出器50の検出位置を決定し、X線検出器50を検出位置へ移動させることができる。
【0106】
すなわち、上記の構成及び動作により、本実施形態のX線診断装置1によれば、X線照射部12の相対位置に加えて補助具に対する適切なX線検出器50の相対位置を補助具の導入時又は据え付け時に設定することにより、特定した検査時に設置された補助具の位置に基づいて、X線照射部12の撮影位置に加えてX線検出器50の適切な検出位置を算出することができる。そして、X線検出器50を適切な検出位置に自動的に移動させることにより、検査技師によるX線検出器50の位置の調整にかかる時間を削減することができる。
【0107】
(第5の実施形態)
第5の実施形態について説明する。本実施形態は、第1の実施形態の構成を以下の通りに変形したものである。本実施形態では、補助具60は、X線検出器を収容したX線検出器50に設けられるマーカーである。補助具60は、被検体の大きさ、検査目的、使用されるX線検出器50の種類等に応じて適宜使い分けられる。本実施形態では、X線診断装置1は、補助具60をカメラ16で撮影し、カメラ16で撮影された画像から補助具60を特定する。X線診断装置1は、特定した補助具60に応じて、X線検出器50の位置に応じた適切な撮影位置に、X線照射部12を自動的に移動させる。第1の実施形態と同様の構成、動作、及び効果については、説明を省略する。
【0108】
図14は、第5の実施形態に係るX線診断装置1の構成例を示す図である。
図14に示すように、X線検出器50の表面には、複数の補助具60が取り付けられている。補助具60は、例えば、カメラ16による撮影画像において認識可能なシールである。補助具60は、X線検出器50において天板33上に設置された状態において上側を向く面に設けられることが好ましい。補助具60は、X線検出器50におけるX線を検出する検出面の向きや等を特定するため、3つ以上設けられることが好ましい。
【0109】
X線検出器50には、X線検出器の種類に応じて、異なる種類の補助具60が設けられる。X線検出器は、種類によって、大きさ、素子数等のうち少なくとも1つが異なる。また、補助具60は、種類によって、大きさ、色、形状等のうち少なくとも1つが異なる。補助具60の種類は、それぞれ、X線検出器の種類のうちの1つ以上と対応付けられている。したがって、補助具60の種類を特定することにより、X線検出器50の種類を特定することができる。また、補助具60の位置を特定することにより、X線検出器50の位置を特定することができる。
【0110】
以下、本実施形態に係るX線診断装置1の効果について説明する。
【0111】
本実施形態のX線診断装置1では、補助具60は、X線検出器50に取り付けられたマーカーである。
【0112】
すなわち、上記の構成及び動作により、本実施形態のX線診断装置1によれば、補助具に対する適切なX線照射部12の相対位置をX線検出器50の導入時又は据え付け時に設定することにより、X線検出器50に対する適切なX線照射部12の相対位置が設定される。さらに、検査で用いられるX線検出器50の撮影画像に基づいてX線検出器50のマーカーの位置を特定することにより、X線検出器50の位置を特定することができる。そして、X線照射部12の適切な撮影位置を算出し、算出された撮影位置にX線照射部12を自動的に移動させることにより、X線検出器50に対して適切な位置に、X線照射部12を自動的に移動させることができる。これにより、認識したX線検出器50の位置に応じて自動でX線管/絞りの位置を決定できるため、検査時間を短縮することができる。また、検査の前にX線照射部12の相対位置の設定を行うため、検査時にX線照射部12の位置の調整を行う場合に比べて、時間的制約が少ない中でX線照射部12の位置の調整を行うことができる。このため、より適した位置を撮影位置として設定することができ、検査精度を向上させることができる。
【0113】
また、本実施形態のX線診断装置1によれば、X線検出器50の導入時又は据え付け時に、適切なX線照射部12の相対位置をX線検出器50の種類ごとに設定することにより、X線検出器50に対する適切なX線照射部12の相対位置がX線検出器50の種類ごとに設定される。さらに、検査時に設置されたX線検出器50のマーカーの種類と位置を特定することにより、X線検出器50の種類を特定し、検査時に設置された補助具の種類に応じたX線照射部12の撮影位置を算出することにより、X線検出器50の種類に応じた適切なX線照射部12の撮影位置を算出することができる。そして、算出された撮影位置にX線照射部12を自動的に移動させることにより、認識したX線検出器50の種類と位置に応じて自動でX線管/絞りの位置を決定できるため、検査時間を短縮することができ、検査精度を向上させることができる。
【0114】
なお、補助具60は、グリッドホルダーであってもよい。グリッドホルダーは、X線検出器50に設けられ、X線検出器50のグリッドを検出素子に対して固定する。グリッドホルダーは、X線検出器50の種類等に応じて適宜使い分けられる。このため、補助具60をカメラ16で撮影し、カメラ16で撮影された画像から補助具60の位置を特定することにより、X線検出器50の位置を特定することができる。また、カメラ16で撮影された画像から補助具60の種類を特定することにより、X線検出器50の種類を特定することができる。
【0115】
(第1の実施形態乃至第5の実施形態の変形例)
なお、位置調整処理において、検査時に設置された補助具の種類は、撮影技師が入力してもよい。この場合、処理回路44は、決定機能444により、入力された補助具の種類に対応する登録画像を読み出し、読み出した登録画像と検出画像とに基づいて、検査時に設置された補助具の位置を特定する。そして、処理回路44は、決定機能444により、入力された補助具の種類に対応するX線照射部12の相対位置を読み出し、検査時に設置された補助具の位置とX線照射部12の相対位置とに基づいて、X線照射部12の撮影位置を算出する。補助具が前述のマーカーであり、検査時に設置された補助具の種類が撮影技師により入力される場合、補助具として設けられるマーカーは1つでもよい。
【0116】
位置調整処理は、検査で用いられる補助具が天板33上に設置され、被検体Pが天板33上に配置される前に実行されることが好ましい。ただし、補助具を用いて被検体Pを固定した状態においても、補助具を十分に認識可能な撮影画像をカメラ16により撮影可能な場合には、被検体Pを天板33上に配置した後に位置調整処理を実行してもよい。この場合、被検体Pと補助具が撮影された検出画像に対して画像認識処理を行うことにより、被検体Pの位置と撮影部位を特定し、特定した被検体Pの位置と撮影部位に基づいて補助具の推奨位置を算出し、ディスプレイ42に表示してもよい。また、被検体Pが天板33上に配置される前に位置調整処理を実行し、補助具を用いて被検体Pを固定したあとに、位置調整処理を再び実行してもよい。この場合、被検体Pを天板33上に配置する際に補助具の位置がずれた場合でも、X線照射部12の撮影位置を適切な位置に再調整することができる。
【0117】
また、カメラ16は、検査室内に固定されてもよい。この場合、カメラ16はネットワーク等によりX線診断装置1と接続され、カメラ16で撮影された撮影画像はネットワーク等によりX線診断装置1に送信される。また、カメラ16は、図示しない駆動装置の駆動により寝台部30に対して移動可能であってもよい。
【0118】
また、上述の実施形態等では、X線管の位置を適切な撮影位置に自動的に移動させる例について説明したが、これに限るものではない。例えば、カメラ16で撮影した補助具60を含む画像の認識結果に基づいて、X線管の位置の代わりに、X線の照射範囲を形成するX線絞りの位置、X線を検出するX線検出器50の位置、又は被検体が載置される天板33の位置を適切な撮影位置に自動的に移動させるものであってもよい。また、カメラ16で撮影した補助具60を含む画像の認識結果に基づいて、X線管の位置、X線絞りの位置、X線検出器50の位置、及び天板33の位置のうちの2つ以上のそれぞれを、適切な撮影位置に自動的に移動させるものであってもよい。
【0119】
また、X線診断装置は、位置調整処理において所定の撮影範囲内に補助具が見当たらない場合、撮影オーダに応じた補助具のセットアップを支援してもよい。この場合、例えば、検査時において天板上に設置された補助具の位置と種類とを特定する際において、取得した検出画像から補助具を検出できなかった場合、撮影範囲に補助具が見当たらないことを示す表示がディスプレイに表示される。そして、撮影オーダに応じた補助具の配置位置が、天板上に表示されることにより、所定の撮影範囲内に補助具を配置することがユーザに促される。
【0120】
また、補助具は、被検体の複数個所に取り付けられるものであってもよい。具体的には、補助具は、被検体に貼り付け可能な粘着性を有するシート状に形成され、ユーザは、当該補助具を被検体の頭部、腕部、脚部等の複数個所に取り付ける。また、記憶部には、複数の補助具の位置、または、複数の補助具により特定される被検体の姿勢と、撮影位置との関係が対応付けられて記憶されてもよい。この場合、カメラ画像取得部は、被検体に取り付けられた補助具を含むカメラ画像を取得し、当該カメラ画像により表される複数の補助具の位置、または、複数の補助具により特定される被検体の姿勢を検出する。移動制御部は、検出された複数の補助具の位置に対応付けられた撮影位置、または、検出された被検体の姿勢に対応付けられた撮影位置でX線撮影が行われるよう、X線撮影装置を移動させる。
【0121】
また、コンソール部40は、単一のコンソールにて複数の機能を実行するものとして説明したが、複数の機能を別々のコンソールが実行することにしても構わない。例えば、処理回路44のカメラ画像取得機能442、登録機能443等の機能は、異なるコンソール装置に分散して搭載されても構わない。
【0122】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、補助具を用いたX線撮影において撮影者の負担を軽減してX線の撮影を適切に行うことができる。
【0123】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0124】
1…X線診断装置
10…撮影部
11…高電圧発生部
12…X線照射部
14…支持アーム
16…カメラ
30…寝台部
31…基台部
32…寝台駆動部
33…天板
34…支持フレーム
40…コンソール部
41…メモリ
42…ディスプレイ
43…入力インターフェース
44…処理回路
50…X線検出器
60…補助具
441…システム制御機能
442…カメラ画像取得機能
443…登録機能
444…決定機能
445…移動制御機能
446…X線撮影制御機能
P…被検体