(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】画像形成装置及び制御方法
(51)【国際特許分類】
G03G 21/10 20060101AFI20240917BHJP
G03G 21/12 20060101ALI20240917BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240917BHJP
【FI】
G03G21/10
G03G21/12
G03G21/00 370
G03G21/00 310
(21)【出願番号】P 2020054221
(22)【出願日】2020-03-25
【審査請求日】2023-02-15
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井口 健
(72)【発明者】
【氏名】菊地 和彦
(72)【発明者】
【氏名】杉山 禎
(72)【発明者】
【氏名】伊勢 時彦
【審査官】山下 清隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-194645(JP,A)
【文献】特開2010-160319(JP,A)
【文献】特開2007-298623(JP,A)
【文献】特開2007-219454(JP,A)
【文献】米国特許第10824092(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/10
G03G 21/00
G03G 21/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーを収容するトナーカートリッジから補給されるトナーを用いてシート上にトナー像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部において生じた廃トナーを収容する廃トナー回収容器と、
前記廃トナー回収容器内に設けられた撹拌パドルを回転させるパドルモーターと、
前記トナーの種別毎に係数を記憶する記憶部と、
前記トナーカートリッジから前記画像形成部に前記トナーを補給する際に、補給量に関連する値であるカウント値を取得し、前記カウント値を前記トナーの種別に応じた前記係数で補正し、補正後のカウント値で累積カウント値を更新し、更新後の累積カウント値に応じて前記パドルモーターを駆動させる制御部と、
を備え、
前記画像形成部から前記廃トナー回収容器へトナーが導入される開口部である廃トナー導入口の位置は前記トナーの種別毎に定められており、前記係数はトナーの種別毎にその種別のトナーに対応する前記廃トナー導入口の位置に応じて定められる、画像形成装置。
【請求項2】
トナーを収容するトナーカートリッジから補給されるトナーを用いてシート上にトナー像を形成する画像形成部と、前記画像形成部において生じた廃トナーを収容する廃トナー回収容器と、前記廃トナー回収容器内に設けられた撹拌パドルを回転させるパドルモーターと、前記トナーの種別毎に係数を記憶する記憶部と、を備える画像形成装置が、
前記トナーカートリッジから前記画像形成部に前記トナーを補給する際に、補給量に関連する値であるカウント値を取得するステップと、
前記カウント値を前記トナーの種別に応じた前記係数で補正するステップと、
補正後のカウント値で累積カウント値を更新するステップと、
更新後の累積カウント値に応じて前記パドルモーターを駆動させるステップと、
を有し、
前記画像形成部から前記廃トナー回収容器へトナーが導入される開口部である廃トナー導入口の位置は前記トナーの種別毎に定められており、前記係数はトナーの種別毎にその種別のトナーに対応する前記廃トナー導入口の位置に応じて定められる、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像形成装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、トナーを用いた画像形成装置において、廃トナーを回収する仕組みが用いられている。例えば、ドラムユニットから中間転写ベルトへの転写の際にドラムユニット上に残ってしまったトナーや、中間転写ベルトから用紙への転写の際に中間転写ベルト上に残ってしまったトナーなどが、廃トナーとして回収される。これらの廃トナーは、廃トナーボックス等の廃トナー回収容器に格納される。廃トナー回収容器には、容器内の廃トナーを均すこと等を目的として、撹拌パドルが設けられている。撹拌パドルの制御には、容器内における廃トナー量の増加量が一定値を超えると動作するような制御が採用されていることがある。
【0003】
しかしながら、画像形成装置の動作環境などの要因により、特定の位置に廃トナーが溜まりやすいという問題点があった。このように特定の位置に廃トナーが溜まってしまうと、廃トナーの回収容器の収容量に余裕があるにも関わらずセンサーで検知されて交換を促す通知がされてしまうなど、廃トナーの回収容器の効率的な活用が難しくなる場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、廃トナーの回収容器において廃トナーを効率的に回収することができる画像処理装置及び制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の画像形成装置は、画像形成部と、廃トナー回収容器と、パドルモーターと、記憶部と、制御部と、を持つ。画像形成部は、トナーを収容するトナーカートリッジから補給されるトナーを用いてシート上にトナー像を形成する。廃トナー回収容器は、前記画像形成部において生じた廃トナーを収容する。パドルモーターは、前記廃トナー回収容器内に設けられた撹拌パドルを回転させる。記憶部は、前記トナーの種別毎に係数を記憶する。制御部は、前記トナーカートリッジから前記画像形成部に前記トナーを補給する際に、補給量に関連する値であるカウント値を取得する。制御部は、前記カウント値を前記トナーの種別に応じた前記係数で補正する。制御部は、補正後のカウント値で累積カウント値を更新する。制御部は、更新後の累積カウント値に応じて前記パドルモーターを駆動させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態に係る画像形成装置1の構成例を示す図である。
【
図2】実施形態に係る画像形成装置1のハードウェアブロック図である。
【
図4】廃トナーボックス40の構成例を示す図である。
【
図5】本実施形態における画像形成装置1の動作の流れの具体例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態の画像形成装置及び制御方法を、図面を参照して説明する。
図1は、実施形態に係る画像形成装置1の構成例を示す図である。
図2は、実施形態に係る画像形成装置1のハードウェアブロック図である。まず、
図1及び
図2を用いて画像形成装置1について説明する。
【0009】
画像形成装置1は、給紙部11、複数の搬送ローラー12、レジストローラー13、画像形成部14、定着部15、排紙部16、画像読取部17、コントロールパネル18、ディスプレイ19、記憶部20、制御部21及びパドルモーター30を備える。画像形成装置1は、トナーなどの現像剤を用いてシート上に画像を形成する。シートは、例えば紙やラベル用紙である。シートは、その表面に画像形成装置1が画像を形成できる物であればどのような物であってもよい。
【0010】
給紙部11は、給紙カセット111及び給紙ローラー112を備える。給紙カセット111には、1又は複数のシートが収容される。給紙ローラー112は、回転することによって、給紙カセット111に収容されているシートを1枚取り出し、取り出されたシートを搬送路110に送り出す。
【0011】
画像形成装置1の内部には、画像形成の対象となるシートが搬送される搬送路110が設けられている。搬送路110は、シートが通過可能な空間に対して、複数の搬送ローラー12が設けられることによって形成される。搬送ローラー12は、モーターの駆動によって回転することにより、搬送路110に位置するシートを搬送する。
【0012】
レジストローラー13は、搬送路110の途中に設けられる。レジストローラー13は、画像形成部14の転写部の手前に設けられることが一般的である。搬送路110において搬送されてきたシートが、回転していないレジストローラー13に対して当接することによって、シートの傾きが補正される。その後、レジストローラー13が回転すると、傾きが補正されたシートが画像形成部14へ進入する。
【0013】
画像形成部14は、画像読取部17によって生成された画像情報又は受信された画像情報に基づいて、搬送路110に沿って搬送されてきたシート上に画像を形成する。画像形成部14は、例えば現像器及び転写器を備える。画像形成部14は、例えば以下のような処理によって画像を形成する。画像形成部14の現像器は、画像情報に基づいて感光体ドラム上に静電潜像を形成する。画像形成部14の現像器は、静電潜像にトナーを付着させることによって可視像を形成する。画像形成部14の転写器は、可視像をシート上に転写する。
【0014】
定着部15は、シートに対して加熱及び加圧を行うことによって、可視像をシート上に定着させる。
排紙部16は、排紙トレイ161を備える。排紙部16には、可視像が定着されたシートが排出される。例えば、搬送路110に沿って搬送されてきたシートが、搬送ローラー12によって付勢されて排紙トレイ161上に排出されてもよい。
【0015】
画像読取部17は、例えばスキャナーである。画像読取部17は、読み取り対象の画像情報を光の明暗として読み取る。画像読取部17は、読み取られた画像情報を記録する。記録された画像情報は、画像形成装置1の記憶部20に保存されてもよいし、ネットワークを介して他の情報処理装置に送信されてもよい。記録された画像情報は、画像形成部14によってシート上に画像形成されてもよい。
【0016】
コントロールパネル18は、複数のボタンを有する。コントロールパネル18は、ユーザーの操作を受け付ける。コントロールパネル18は、ユーザーによって行われた操作に応じた信号を、画像形成装置1の制御部21に出力する。
【0017】
ディスプレイ19は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどの画像表示装置である。ディスプレイ19は、画像形成装置1に関する種々の情報を表示する。コントロールパネル18とディスプレイ19とは一体のタッチパネルとして構成されてもよい。
【0018】
記憶部20は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の記憶装置を用いて構成される。記憶部20は、画像形成装置1が動作する際に必要となるデータを記憶する。記憶部20は、画像形成装置1において形成される画像のデータを一時的に記憶したり、保存したりしてもよい。
【0019】
制御部21は、Central Processing Unit(CPU)等のプロセッサーとメモリとを用いて構成される。制御部21は、記憶部20に予め記憶されているプログラムを読み出して実行する。制御部21は、画像形成装置1に備えられる各機器の動作を制御する。制御部21は、コントロールパネル18に対して行われるユーザーの操作に応じて画像形成装置1の動作を制御する。
【0020】
パドルモーター30は、制御部21の制御に応じて駆動する。パドルモーター30は、後述する撹拌パドルを回転させる。
【0021】
図3は、画像形成部14の構成例を示す図である。画像形成部14は、1又は複数のプロセスユニット141、二次転写ローラー142、二次転写対向ローラー143、中間転写ベルト144、1又は複数のトナーカートリッジ145、1又は複数の補給モーター146及び転写クリーナー147を備える。プロセスユニット141、トナーカートリッジ145及び補給モーター146は、トナーの種別ごとに設けられる。
図3の例では、トナーの種別として、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)及びブラック(K)がある。トナーの種別として、これら4つのトナーとは異なるトナーが用いられてもよい。例えば、消色トナーや、蛍光色トナーや、装飾トナーが用いられてもよい。
図3では、各色のトナーに対応する各機能部を、それぞれ“Y”、“M”、“C”、“K”という符号で区別している。例えば、141-Yは、イエロー用のプロセスユニット141を表す。
【0022】
プロセスユニット141は、無端ベルトである中間転写ベルト144にトナー像を形成する。プロセスユニット141は、感光体ドラム1401、帯電器1402、露光装置1403、現像装置1404、感光体クリーナー1405及び一次転写ローラー1406を備える。プロセスユニット141はY,M,C,Kそれぞれ同様の構成で4色分設けられる。
【0023】
感光体ドラム1401は、自身の表面に静電潜像を生成する。感光体ドラム1401は、像担持体である。感光体ドラム1401は、例えば、円柱状のドラムである。感光体ドラム1401は、外周面に感光体物質を有し、光が照射された部分だけ静電気を放出する性質を有する。
【0024】
帯電器1402は、感光体ドラム1401の表面に静電気を帯電させる。帯電器1402は、例えば針電極である。
露光装置1403は、感光体ドラム1401の表面に形成対象の画像の静電潜像を形成する。露光装置1403は、例えばレーザー照射装置である。
【0025】
現像装置1404は、感光体ドラム1401の表面にトナーを供給し、静電潜像をトナーで現像する。
感光体クリーナー1405は、感光体ドラム1401の残留トナーを除去する。除去されたトナーは、廃トナーとして廃トナーボックスに収集される。
【0026】
一次転写ローラー1406は、感光体ドラム1401の表面に現像された静電潜像を中間転写ベルト144に転写する。
二次転写ローラー142は、中間転写ベルト144上のトナー像をシート上に転写する。
【0027】
二次転写対向ローラー143は、中間転写ベルト144を挟んで二次転写ローラー142と対向する位置に存在する。二次転写対向ローラー143は、自身と二次転写ローラー142との間に上記シートを挟み、画像が転写されたシートを搬送する。
【0028】
中間転写ベルト144の長手方向の一方には、上述した二次転写ローラー142及び二次転写対向ローラー143が設けられる。中間転写ベルト144の長手方向の他方には、転写クリーナー147が設けられる。転写クリーナー147は、中間転写ベルト144の残留トナーを除去する。転写クリーナー147によって除去されたトナーは、廃トナーとして廃トナーボックスに収集される。
【0029】
プロセスユニット141に対し、各種別のトナーが充填されたトナーカートリッジ145が設けられる。
補給モーター146は、駆動することによってトナーカートリッジ145内の回転撹拌部材(不図示)を回転させる。回転撹拌部材の回転に応じて、トナーカートリッジ145内のトナーが移動し、管を介して現像装置1404に落下する。このような動作によって、トナーカートリッジ145内のトナーが現像装置1404に補給される。
【0030】
図4は廃トナーボックス40の構成例を示す図である。廃トナーボックス40は、画像形成装置1に脱着可能に構成される。廃トナーボックス40は、廃トナー回収容器の一具体例である。廃トナーボックス40は、撹拌パドル401、検知部402、収容部403及び複数の廃トナー導入口404を備える。
【0031】
廃トナーボックス40は、画像形成装置1に装着されることによって、撹拌パドル401に接続されているギアーとパドルモーター30とが連結する。パドルモーター30の駆動に応じて、撹拌パドル401は回転する。撹拌パドル401が回転することによって、廃トナーボックス40内の廃トナーは、検知部203方向へ移送され、且つ、その高さが略均一に均される。
【0032】
検知部402は、所定の高さに至った廃トナーを検知する。例えば、廃トナー導入口404から廃トナーボックス40内に廃トナーが移動することに応じて、廃トナーボックス40内の廃トナーの量が増加する。この増加に伴って、検知部402付近の廃トナー量も増加する。検知部402付近の廃トナーが蓄積することにしたがって、その高さも高くなる。廃トナーの高さが所定の閾値を超えると、検知部402によって廃トナーが検知される。検知部402は、廃トナーの検知結果を制御部21に出力する。
【0033】
収容部403は、廃トナーボックスの壁面や底面で形成された廃トナーボックス40内の空間である。収容部403には、廃トナーが収容される。
【0034】
廃トナー導入口404は、画像形成装置1において生じた廃トナーを廃トナーボックス40内の収容部403に導入するための開口部である。廃トナー導入口404は、例えば画像形成部14のクリーナー毎に設けられる。具体的には、廃トナー導入口404は、転写クリーナー147と、各感光体の感光体クリーナー1405と、に対して個々に設けられてもよい。
図4の具体例では、廃トナー導入口404-Bからは、転写クリーナー147によって生成された廃トナーが廃トナーボックス40内に移動する。廃トナー導入口404-Yからは、イエローの感光体クリーナー1405-Yによって生成された廃トナーが廃トナーボックス40内に移動する。廃トナー導入口404-M、404-C及び404-Kについても同様である。
【0035】
次に、画像形成装置1の画像形成中における制御部21によるパドルモーター30の制御について説明する。制御部21は、各トナーカートリッジ145から現像装置1404へ補給されるトナーの量(補給量)を、トナーの種別毎にカウントする。本実施形態では、補給量を示す値として、補給モーター146の駆動時間がカウントされる。補給量を示す値として、補給モーター146の回転数がカウントされてもよいし、他の値が用いられてもよい。以下、補給量を示す値としてカウントされた値を“カウント値”という。
【0036】
制御部21は、カウント値を取得すると、そのカウント値が得られたトナーの種別に応じた係数を取得する。トナーの種別に応じたカウント値は、記憶部20に予め記憶されていてもよい。制御部21は、得られたカウント値を、トナーの種別に応じた係数を用いて補正する。係数の値が高いほど、より高い補正値が得られる。そして、制御部21は、補正後のカウント値を用いて累積カウント値を更新する。例えば、制御部21は、更新前の累積カウント値に対し、補正後のカウント値を加算することによって更新してもよい。累積カウント値は、トナーの種別に関わらず共通して用いられる値である。
【0037】
トナーの種別毎の係数は、トナーに関連する所定の基準に基づいて設定される。例えば、廃トナー導入口404の位置に応じて係数が設定されてもよい。具体的には、廃トナー導入口404の位置の高さが低いほど高い係数が設定されてもよい。廃トナー導入口404の位置の高さが低いほど、より少ない量の廃トナーで廃トナー導入口404の高さに廃トナーの山が達してしまうおそれがあるためである。このような係数が設定されることにより、廃トナー導入口404の位置の高さがより低いトナーに合わせて撹拌パドル401を回転させ、廃トナーの山を均すことで、廃トナー導入口404に廃トナーの山が到達し廃トナーの導入が阻害されてしまうことを有効に防止することが可能となる。
【0038】
例えば、トナーの種別が、他の種別のトナーと中間転写ベルト144において重ね合わせて使用されるトナーであるか否かに応じて係数が設定されてもよい。具体的には、他の種別のトナーと中間転写ベルト144において重ね合わせて使用されるトナーである場合には、重ね合わせて使用されないトナーに比べて高い係数が設定されてもよい。他の種別のトナーと重ね合わせて使用されるトナーの具体例として、カラー印刷で使用される複数のトナー(C,M,Y)がある。重ね合わせて使用されないトナーの具体例として、モノクロ印刷で使用されるトナー(K)がある。他の種別のトナーと重ね合わせて使用される場合には、逆転写が生じてしまうおそれがある。逆転写が生じてしまうと、他の種別のトナーまでもが廃トナーとしてその廃トナー導入口404から導入されてしまい、その廃トナー導入口404から導入される廃トナーの量が増加する。そのため、より少ない補給量で、廃トナー導入口404の高さに廃トナーの山が達してしまうおそれがある。このような係数が設定されることにより、他の種別のトナーと重ね合わせて使用されるトナーに合わせて撹拌パドル401を回転させ、廃トナーの山を均すことで、廃トナー導入口404に廃トナーの山が到達し廃トナーの導入が阻害されてしまうことを有効に防止することが可能となる。一方で、重ね合わせて使用されないトナーの係数を相対的に低く設定することで、積極的に廃トナーが検知部402に送り込まれて早く検知されてしまうことを防止することが可能となる。
【0039】
例えば、トナーの種別が、他の種別のトナーと中間転写ベルト144において重ね合わせて使用されるトナーである場合には、さらに、中間転写ベルト144においてより下流に位置するほど高い係数が設定されてもよい。より下流であるほど、逆転写が生じやすく、逆転写による廃トナー量も増大するためである。
【0040】
例えば、スタンバイ時に感光体ドラム1401が中間転写ベルト144に当接しているか否かに応じて係数が設定されてもよい。具体的には、スタンバイ時に感光体ドラム1401が中間転写ベルト144に当接しているトナー(以下「当接トナー」という。)である場合には、スタンバイ時に感光体ドラム1401が中間転写ベルト144に当接していないトナー(以下「離間トナー」という。)である場合に比べて、低い係数が設定されてもよい。当接トナーである場合、スタンバイ時から画像形成が行われるまでの間に、感光体ドラム1401と中間転写ベルト144との間で位置の変化が生じない。そのため、廃トナーが生じにくい。一方、離間トナーである場合には、スタンバイ時から画像形成が行われるまでの間に、感光体ドラム1401と中間転写ベルト144との間で当接するため位置の変化が生じる。そのような当接のタイミングで、廃トナーが生じてしまうおそれがある。したがって、当接トナーに比べて離間トナーの方が生じる廃トナーの量が多くなる可能性がある。このような事情に基づいて、離間トナーに対してより高い係数が設定されることで、廃トナーをより適切に均すことが可能となる。
【0041】
以上の事情に基づき、例えば
図3及び
図4に示される構成に対し、以下のような係数が設定されてもよい。なお、例えば各種別のトナーにおいて、50カウントされた際に1度補正が行われる。
【0042】
Kの係数:1.0倍
Cの係数:1.8倍
Mの係数:1.6倍
Yの係数:1.5倍
【0043】
例えば従来では50+50+50+50=200カウントとして累積カウント値が得られるような状況において、本実施形態では50×1.0+50×1.8+50×1.6+50×1.5=295カウントが累積カウント値として得られる。そのため、このようなカラー印刷が行われた場合には、より早いタイミングで撹拌パドル401が回転する。一方、モノクロ印刷が行われた場合には、従来では50カウントとして累積カウント値が得られるような状況において、本実施形態でも50カウントとして累積カウント値が得られる。このように、Kの係数が1.0倍であれば、モノクロ印刷の場合には従来と本実施形態とで累積カウント値は変わらない。したがって、モノクロ印刷の場合には、不必要に早く撹拌パドル401が回転されることを防止できる。
【0044】
図5は、本実施形態における画像形成装置1の動作の流れの具体例を示すフローチャートである。現像装置1404においてトナー量が少ないことを示す所定の基準が満たされると、制御部21は、基準が満たされた種別のトナーに応じた補給モーター146を駆動させる。補給モーター146の駆動に応じて、トナー量が少なくなっていた現像装置1404に対しトナーが補給される。制御部21は、補給モーター146の駆動に応じてカウント値を取得する(ACT101)。また、制御部21は、補給されたトナーに応じた係数を取得する(ACT102)。制御部21は、取得された係数を用いて、カウント値を補正する(ACT103)。制御部21は、補正後のカウント値を用いて累積カウント値を更新する(ACT104)。制御部21は、更新後の累積カウント値が所定の閾値(撹拌閾値)以上であるか否か判定する(ACT105)。更新後の累積カウント値が撹拌閾値未満である場合には(ACT105-NO)、そのまま処理を終える。一方、更新後の累積カウント値が所定の撹拌閾値以上である場合には(ACT105-YES)、制御部21は、パドルモーター30を駆動させることで撹拌パドル401を回転させる(ACT106)。
【0045】
このように構成されることで、廃トナーの回収容器(廃トナーボックス40)において、廃トナーを効率的に回収することが可能となる。具体的には、トナーの種別毎に係数が定められ、係数を用いてカウント値を補正することにより、トナーの種別に応じたカウント値が得られる。そのため、トナーの種別に応じた廃トナーの蓄積の特性に応じて、撹拌パドル401の回転を制御することが可能となる。
【0046】
なお、上記の例では各種別のトナーにおいて、50カウントされた際に1度補正が行われるように説明したがこれに限定されない。例えば、補給モーター146のON時間に基づいてカウントとし(例えば12msごとに1カウント)、補給モーター146がOFFになるとカウントを停止する。このとき得られたカウント値に係数をかけることで補正を行ってもよい。
【0047】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
例えば、係数は、画像形成装置1の管理者やメンテナンスを行う者によって設定変更されてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1…画像形成装置、11…給紙部、111…給紙カセット、12…搬送ローラー、13…レジストローラー、14…画像形成部、15…定着部、16…排紙部、161…排紙トレイ、17…画像読取部、18…コントロールパネル、19…ディスプレイ、20…記憶部、21…制御部、30…パドルモーター、141…プロセスユニット、1401…感光体ドラム、1402…帯電器、1403…露光装置、1404…現像装置、1405…感光体クリーナー、1406…一次転写ローラー、142…二次転写ローラー、143…二次転写対向ローラー、144…中間転写ベルト、145…トナーカートリッジ、146…補給モーター、147…転写クリーナー、40…廃トナーボックス40、401…撹拌パドル、402…検知部、403…収容部、404…廃トナー導入口