(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】管理システム、管理装置および管理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20230101AFI20240917BHJP
【FI】
G06Q10/06
(21)【出願番号】P 2020068157
(22)【出願日】2020-04-06
【審査請求日】2023-02-27
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000150615
【氏名又は名称】株式会社長谷工コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100163511
【氏名又は名称】辻 啓太
(72)【発明者】
【氏名】奥村 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】河野 誠
(72)【発明者】
【氏名】由本 充
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 哲矢
【審査官】永野 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-002695(JP,A)
【文献】特開2008-063901(JP,A)
【文献】特開2013-108312(JP,A)
【文献】特開2005-145703(JP,A)
【文献】特開2008-134982(JP,A)
【文献】特開2010-238088(JP,A)
【文献】特開2009-252078(JP,A)
【文献】特開2008-130045(JP,A)
【文献】特開2005-146610(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の保管場所に保管され、ユーザによる持ち出しが可能な管理対象物を管理する管理システムであって、
前記ユーザにより使用され、前記管理対象物に対応付けられたタグに記憶された、前記管理対象物を識別する第1識別情報と、前記ユーザを識別する第2識別情報とを取得するユーザ端末と、
前記保管場所に保管された前記管理対象物の持ち出しの際に前記ユーザ端末により取得された、前記第1識別情報と前記管理対象物を持ち出したユーザを示す持出ユーザ情報としての前記第2識別情報とを対応付けて記憶する管理装置とを備え、
前記管理装置は、前記管理対象物の第1識別情報と、前記管理対象物を所持する新たなユーザを識別する第2識別情報とを含み、前記持ち出された管理対象物の所持者の変更を要求する変更要求を受信すると、前記第1識別情報に対応付けて、前記変更要求に含まれる前記第2識別情報を前記持出ユーザ情報として記憶し、
前記管理装置は、
前記持ち出された管理対象物の前記保管場所への返却の際に前記ユーザ端末により取得された、前記第1識別情報と前記管理対象物を返却したユーザを示す返却ユーザ情報としての第2識別情報とを対応付けてさらに記憶し、
前記返却された管理対象物の第1識別情報に対応付けて記憶している、前記持出ユーザ情報としての第2識別情報と、前記返却ユーザ情報としての第2識別情報とが一致しない場合、前記持出ユーザ情報としての第2識別情報で識別されるユーザのユーザ端末に、前記返却ユーザ情報としての第2識別情報で識別されるユーザによる返却を許可するか否かを問い合わせ、前記返却を許可することが前記ユーザ端末から通知されると、前記管理対象物の返却は、正当な返却であるとして処理する、管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の管理システムにおいて、
前記管理装置は、前記変更要求を、該変更要求に含まれる前記第2識別情報で識別されるユーザのユーザ端末から受信すると、前記管理対象物の第1識別情報に対応付けて、前記変更要求に含まれる前記第2識別情報を前記持出ユーザ情報として記憶する、管理システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の管理システムにおいて、
前記管理装置は、前記変更要求を受信すると、該変更要求に含まれる前記第2識別情報で識別されるユーザのユーザ端末に、前記持ち出された管理対象物の新たな所持者として登録してよいか否かを問い合わせ、前記新たな所持者として登録してよいことが前記ユーザ端末から通知されると、前記管理対象物の第1識別情報に対応付けて、前記変更要求に含まれる前記第2識別情報を前記持出ユーザ情報として記憶する、管理システム。
【請求項4】
所定の保管場所に保管され、ユーザによる持ち出しが可能な管理対象物を管理する管理システムであって、
前記ユーザにより使用され、前記管理対象物に対応付けられたタグに記憶された、前記管理対象物を識別する第1識別情報と、前記ユーザを識別する第2識別情報とを取得するユーザ端末と、
前記保管場所に保管された前記管理対象物の持ち出しの際に前記ユーザ端末により取得された、前記第1識別情報と前記管理対象物を持ち出したユーザを示す持出ユーザ情報としての前記第2識別情報とを対応付けて記憶する管理装置とを備え、
前記管理装置は、前記管理対象物の第1識別情報と、前記管理対象物を所持する新たなユーザを識別する第2識別情報とを含み、前記持ち出された管理対象物の所持者の変更を要求する変更要求を受信すると、前記第1識別情報に対応付けて、前記変更要求に含まれる前記第2識別情報を前記持出ユーザ情報として記憶し、
前記ユーザ端末は、前記保管場所に対応付けられたタグに記憶された、前記保管場所を識別する第3識別情報をさらに取得し、
前記管理装置は、
前記保管場所に保管された前記管理対象物の持ち出しの際に前記ユーザ端末により取得された、前記第1識別情報と前記管理対象物が持ち出された保管場所を示す持出場所情報としての前記第3識別情報とを対応付けてさらに記憶し、
前記持ち出された管理対象物の返却の際に前記ユーザ端末により取得された前記第3識別情報と、前記持出場所情報としての第3識別情報とが一致しない場合、返却場所が異なることを示すエラーを出力する、管理システム。
【請求項5】
所定の保管場所に保管され、ユーザによる持ち出しが可能な管理対象物を管理する管理装置であって、
記憶部と、
前記保管場所に保管された前記管理対象物の持ち出しの際に、前記ユーザにより使用されるユーザ端末により取得された、前記管理対象物に対応付けられたタグに記憶された、前記管理対象物を識別する第1識別情報と、前記管理対象物を持ち出したユーザを示す持出ユーザ情報としての前記ユーザを識別する第2識別情報とを対応付けて前記記憶部に記憶させる制御部と、を備え、
前記制御部は、前記管理対象物の第1識別情報と、前記管理対象物を所持する新たなユーザを識別する第2識別情報とを含み、前記持ち出された管理対象物の所持者の変更を要求する変更要求を受信すると、前記第1識別情報に対応付けて、前記変更要求に含まれる前記第2識別情報を前記持出ユーザ情報として前記記憶部に記憶させ、
前記記憶部は、前記持ち出された管理対象物の前記保管場所への返却の際に前記ユーザ端末により取得された、前記第1識別情報と前記管理対象物を返却したユーザを示す返却ユーザ情報としての第2識別情報とを対応付けてさらに記憶し、
前記制御部は、前記返却された管理対象物の第1識別情報に対応付けて記憶されている、前記持出ユーザ情報としての第2識別情報と、前記返却ユーザ情報としての第2識別情報とが一致しない場合、前記持出ユーザ情報としての第2識別情報で識別されるユーザのユーザ端末に、前記返却ユーザ情報としての第2識別情報で識別されるユーザによる返却を許可するか否かを問い合わせ、前記返却を許可することが前記ユーザ端末から通知されると、前記管理対象物の返却は、正当な返却であるとして処理する、管理装置。
【請求項6】
所定の保管場所に保管され、ユーザによる持ち出しが可能な管理対象物を管理する管理装置であって、
記憶部と、
前記保管場所に保管された前記管理対象物の持ち出しの際に、前記ユーザにより使用されるユーザ端末により取得された、前記管理対象物に対応付けられたタグに記憶された、前記管理対象物を識別する第1識別情報と、前記管理対象物を持ち出したユーザを示す持出ユーザ情報としての前記ユーザを識別する第2識別情報とを対応付けて前記記憶部に記憶させる制御部と、を備え、
前記制御部は、前記管理対象物の第1識別情報と、前記管理対象物を所持する新たなユーザを識別する第2識別情報とを含み、前記持ち出された管理対象物の所持者の変更を要求する変更要求を受信すると、前記第1識別情報に対応付けて、前記変更要求に含まれる前記第2識別情報を前記持出ユーザ情報として前記記憶部に記憶させ、
前記ユーザ端末は、前記保管場所に対応付けられたタグに記憶された、前記保管場所を識別する第3識別情報をさらに取得し、
前記記憶部は、前記保管場所に保管された前記管理対象物の持ち出しの際に前記ユーザ端末により取得された、前記第1識別情報と前記管理対象物が持ち出された保管場所を示す持出場所情報としての前記第3識別情報とを対応付けてさらに記憶し、
前記制御部は、前記持ち出された管理対象物の返却の際に前記ユーザ端末により取得された前記第3識別情報と、前記持出場所情報としての第3識別情報とが一致しない場合、返却場所が異なることを示すエラーを出力する、管理装置。
【請求項7】
所定の保管場所に保管され、ユーザによる持ち出しが可能な管理対象物を管理する管理装置における管理方法であって、
前記保管場所に保管された前記管理対象物の持ち出しの際に、前記ユーザにより使用されるユーザ端末により取得された、前記管理対象物に対応付けられたタグに記憶された、前記管理対象物を識別する第1識別情報と、前記管理対象物を持ち出したユーザを示す持出ユーザ情報としての前記ユーザを識別する第2識別情報とを対応付けて記憶する第1の記憶ステップと、
前記管理対象物の第1識別情報と、前記管理対象物を所持する新たなユーザを識別する第2識別情報とを含み、前記持ち出された管理対象物の所持者の変更を要求する変更要求を受信すると、前記第1識別情報に対応付けて、前記変更要求に含まれる前記第2識別情報を前記持出ユーザ情報として記憶する第2の記憶ステップと、
前記持ち出された管理対象物の前記保管場所への返却の際に前記ユーザ端末により取得された、前記第1識別情報と前記管理対象物を返却したユーザを示す返却ユーザ情報としての第2識別情報とを対応付けてさらに記憶する第3の記憶ステップと、
前記返却された管理対象物の第1識別情報に対応付けて記憶されている、前記持出ユーザ情報としての第2識別情報と、前記返却ユーザ情報としての第2識別情報とが一致しない場合、前記持出ユーザ情報としての第2識別情報で識別されるユーザのユーザ端末に、前記返却ユーザ情報としての第2識別情報で識別されるユーザによる返却を許可するか否かを問い合わせ、前記返却を許可することが前記ユーザ端末から通知されると、前記管理対象物の返却は、正当な返却であるとして処理するステップと、を含む管理方法。
【請求項8】
所定の保管場所に保管され、ユーザによる持ち出しが可能な管理対象物を管理する管理装置における管理方法であって、
前記保管場所に保管された前記管理対象物の持ち出しの際に、前記ユーザにより使用されるユーザ端末により取得された、前記管理対象物に対応付けられたタグに記憶された、前記管理対象物を識別する第1識別情報と、前記管理対象物を持ち出したユーザを示す持出ユーザ情報としての前記ユーザを識別する第2識別情報とを対応付けて記憶する第1の記憶ステップと、
前記管理対象物の第1識別情報と、前記管理対象物を所持する新たなユーザを識別する第2識別情報とを含み、前記持ち出された管理対象物の所持者の変更を要求する変更要求を受信すると、前記第1識別情報に対応付けて、前記変更要求に含まれる前記第2識別情報を前記持出ユーザ情報として記憶する第2の記憶ステップと、
前記保管場所に保管された前記管理対象物の持ち出しの際に前記ユーザ端末により取得された、前記第1識別情報と前記管理対象物が持ち出された保管場所を示す持出場所情報としての、前記保管場所に対応付けられたタグに記憶された、前記保管場所を識別する第3識別情報とを対応付けて記憶するステップと、
前記持ち出された管理対象物の返却の際に前記ユーザ端末により取得された前記第3識別情報と、前記持出場所情報としての第3識別情報とが一致しない場合、返却場所が異なることを示すエラーを出力するステップと、を含む管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理システム、管理装置および管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マンションの管理事業者が、マンションの管理費あるいは修繕積立金などを管理する口座の通帳を預かり管理することがある。管理事業者で管理される通帳は、所定の保管場所に保管されるとともに、金融機関での記帳などの必要に応じて、管理担当者などにより適宜持ち出される。このような通帳の管理の下では、通帳の紛失の防止のために、通帳の持ち出し、および、通帳が持ち出された際には、その通帳の所持者を把握する必要がある。
【0003】
特許文献1には、通帳などの重要物を管理する管理装置が記載されている。特許文献1に記載の管理装置は、重要物を収納する複数の区画からなる収納庫を備える。各区画には開閉可能な開閉扉が設けられ、開閉扉には、開閉扉の開閉を検知する開閉センサが設けられる。特許文献1に記載の管理装置によれば、開閉センサによる開閉扉の開閉の検知により、その開閉扉が設けられた区画からの重要物の持ち出しおよび区画への重要物の返却を検知することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の管理装置では、重要物の区画からの持ち出しおよび区画への返却については検知することが可能であるが、重要物が持ち出された後、重要物を所持する所持者が変更されても、新たな所持者を特定することができない。
【0006】
上記のような問題点に鑑みてなされた本発明の目的は、所定の保管場所に保管され、ユーザによる持ち出しが可能な管理対象物が持ち出された際に、管理対象物の所持者を容易に特定することができる管理システム、管理装置および管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る管理システムは、所定の保管場所に保管され、ユーザによる持ち出しが可能な管理対象物を管理する管理システムであって、前記ユーザにより使用され、前記管理対象物に対応付けられたタグに記憶された、前記管理対象物を識別する第1識別情報と、前記ユーザを識別する第2識別情報とを取得するユーザ端末と、前記保管場所に保管された前記管理対象物の持ち出しの際に前記ユーザ端末により取得された、前記第1識別情報と前記管理対象物を持ち出したユーザを示す持出ユーザ情報としての前記第2識別情報とを対応付けて記憶する管理装置とを備え、前記管理装置は、前記管理対象物の第1識別情報と、前記管理対象物を所持する新たなユーザを識別する第2識別情報とを含み、前記持ち出された管理対象物の所持者の変更を要求する変更要求を受信すると、前記第1識別情報に対応付けて、前記変更要求に含まれる前記第2識別情報を前記持出ユーザ情報として記憶する。
【0008】
本発明の一態様に係る管理システムにおいて、前記管理装置は、前記持ち出された管理対象物の前記保管場所への返却の際に前記ユーザ端末により取得された、前記第1識別情報と前記管理対象物を返却したユーザを示す返却ユーザ情報としての前記第2識別情報とを対応付けてさらに記憶し、前記返却された管理対象物の第1識別情報に対応付けて記憶している、前記持出ユーザ情報としての第2識別情報と、前記返却ユーザ情報としての第2識別情報とが一致しない場合、前記管理対象物の返却は、正当な所持者による返却ではないことを示すエラーを出力してよい。
【0009】
本発明の一態様に係る管理システムにおいて、前記管理装置は、前記持ち出された管理対象物の前記保管場所への返却の際に前記ユーザ端末により取得された、前記第1識別情報と前記管理対象物を返却したユーザを示す返却ユーザ情報としての第2識別情報とを対応付けてさらに記憶し、前記返却された管理対象物の第1識別情報に対応付けて記憶している、前記持出ユーザ情報としての第2識別情報と、前記返却ユーザ情報としての第2識別情報とが一致しない場合、前記持出ユーザ情報としての第2識別情報で識別されるユーザのユーザ端末に、前記返却ユーザ情報としての第2識別情報で識別されるユーザによる返却を許可するか否かを問い合わせ、前記返却を許可することが前記ユーザ端末から通知されると、前記管理対象物の返却は、正当な返却であるとして処理してよい。
【0010】
本発明の一態様に係る管理システムにおいて、前記管理装置は、前記変更要求を、該変更要求に含まれる前記第2識別情報で識別されるユーザのユーザ端末から受信すると、前記管理対象物の第1識別情報に対応付けて、前記変更要求に含まれる前記第2識別情報を前記持出ユーザ情報として記憶してよい。
【0011】
本発明の一態様に係る管理システムにおいて、前記管理装置は、前記変更要求を受信すると、該変更要求に含まれる前記第2識別情報で識別されるユーザのユーザ端末に、前記持ち出された管理対象物の新たな所持者として登録してよいか否かを問い合わせ、前記新たな所持者として登録してよいことが前記ユーザ端末から通知されると、前記管理対象物の第1識別情報に対応付けて、前記変更要求に含まれる前記第2識別情報を前記持出ユーザ情報として記憶してよい。
【0012】
本発明の一態様に係る管理システムにおいて、前記ユーザ端末は、前記保管場所に対応付けられたタグに記憶された、前記保管場所を識別する第3識別情報をさらに取得し、前記管理装置は、前記保管場所に保管された前記管理対象物の持ち出しの際に前記ユーザ端末により取得された、前記第1識別情報と前記管理対象物が持ち出された保管場所を示す持出場所情報としての前記第3識別情報とを対応付けてさらに記憶し、前記持ち出された管理対象物の返却の際に前記ユーザ端末により取得された前記第3識別情報と、前記持出場所情報としての第3識別情報とが一致しない場合、返却場所が異なることを示すエラーを出力してよい。
【0013】
本発明の一態様に係る管理装置は、所定の保管場所に保管され、ユーザによる持ち出しが可能な管理対象物を管理する管理装置であって、記憶部と、前記保管場所に保管された前記管理対象物の持ち出しの際に、前記ユーザにより使用されるユーザ端末により取得された、前記管理対象物に対応付けられたタグに記憶された、前記管理対象物を識別する第1識別情報と、前記管理対象物を持ち出したユーザを示す持出ユーザ情報としての前記ユーザを識別する第2識別情報とを対応付けて前記記憶部に記憶させる制御部と、を備え、前記制御部は、前記管理対象物の第1識別情報と、前記管理対象物を所持する新たなユーザを識別する第2識別情報とを含み、前記持ち出された管理対象物の所持者の変更を要求する変更要求を受信すると、前記第1識別情報に対応付けて、前記変更要求に含まれる前記第2識別情報を前記持出ユーザ情報として前記記憶部に記憶させる。
【0014】
本発明の一態様に係る管理方法は、所定の保管場所に保管され、ユーザによる持ち出しが可能な管理対象物を管理する管理装置における管理方法であって、前記保管場所に保管された前記管理対象物の持ち出しの際に、前記ユーザにより使用されるユーザ端末により取得された、前記管理対象物に対応付けられたタグに記憶された、前記管理対象物を識別する第1識別情報と、前記管理対象物を持ち出したユーザを示す持出ユーザ情報としての前記ユーザを識別する第2識別情報とを対応付けて記憶する第1の記憶ステップと、前記管理対象物の第1識別情報と、前記管理対象物を所持する新たなユーザを識別する第2識別情報とを含み、前記持ち出された管理対象物の所持者の変更を要求する変更要求を受信すると、前記第1識別情報に対応付けて、前記変更要求に含まれる前記第2識別情報を前記持出ユーザ情報として記憶する第2の記憶ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、所定の保管場所に保管され、ユーザによる持ち出しが可能な管理対象物が持ち出された際に、管理対象物の所持者を特定することができる、管理システム、管理装置および管理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係る管理システムの構成例を示す図である。
【
図2】
図1に示す管理装置の構成例を示す図である。
【
図3】
図2に示す記憶部のデータ構成の一例を示す図である。
【
図4】
図1に示す管理システムの動作の一例を示すシーケンス図である。
【
図5A】
図2に示す管理装置の動作を説明するための図である。
【
図5B】
図2に示す管理装置の動作を説明するための図である。
【
図5C】
図2に示す管理装置の動作を説明するための図である。
【
図6】
図1に示す管理システムの動作の別の一例を示すシーケンス図である。
【
図7】
図1に示す管理システムの動作のさらに別の一例を示すシーケンス図である。
【
図8】
図1に示す管理システムの動作のさらに別の一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して例示説明する。なお、各図中、同一符号は、同一または同等の構成要素を示している。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係る管理システム1の構成例を示す図である。本実施形態に係る管理システム1は、所定の保管場所に保管され、ユーザによる持ち出しが可能な管理対象物を管理するものである。管理対象物としては、例えば、マンションの管理費あるいは修繕積立金などを管理する口座の通帳、各種の証書あるいは契約書などがある。以下では、
図1に示すように、管理対象物が、所定の保管場所3に保管される通帳2である例を用いて説明する。なお、
図1においては、通帳2と、その通帳2の保管場所3とを1つずつ記載しているが、本発明はこれに限られるものではない。通常、通帳2の管理を担当する担当者であるユーザごとに保管場所3が設けられ、各保管場所3には、ユーザが管理する複数のマンションについての通帳2が保管される。
【0019】
図1に示す管理システム1は、ユーザ端末10と、管理装置20とを備える。ユーザ端末10と管理装置20とは、ネットワーク4を介して通信可能である。ネットワーク4は、インターネットあるいは携帯電話網などの、有線通信および/または無線通信による通信が可能なネットワークである。
【0020】
ユーザ端末10は、通帳2の管理を担当する担当者であるユーザにより使用される端末である。ユーザ端末10は、例えば、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末あるいはパーソナルコンピュータなどである。ユーザ端末10は、ユーザごとに所持・使用される端末であっても、複数のユーザにより共同で使用される端末であってもよい。
図1においては1台のユーザ端末10のみを示しているが、本発明はこれに限られず、複数のユーザ端末10が設けられてもよい。ユーザ端末10が複数設けられる場合、ユーザ端末10同士が通信可能であってよい。
【0021】
管理対象物である通帳2には、タグ2aが対応付けられている。タグ2aは、例えば、通帳2に貼り付けるなどして通帳2に対応付けられる。タグ2aは、例えば、通帳2を識別する識別情報である通帳ID(第1識別情報)を記憶する記憶部と、記憶された通帳IDを送信する通信部とを備えるRFID(Radio Frequency Identifier)タグである。通帳2には、タグ2aの代わりに、通帳2の通帳IDを示すコード(例えば、QRコード(登録商標)、バーコード、データマトリックスあるいはドットコードなど)が付されてもよい。また、通帳2が保管される保管場所3には、タグ3aが対応付けられている。タグ3aは、例えば、保管場所3あるいはその近傍に貼り付けるなどして保管場所3に対応付けられる。タグ3aは、例えば、保管場所3を識別する識別情報である場所ID(第3識別情報)を記憶する記憶部と、記憶された場所IDを送信する通信部と備えるRFIDタグである。保管場所3には、タグ3aの代わりに、保管場所3の場所IDを示すコードが貼り付けるなどされてもよい。
【0022】
ユーザ端末10は、通帳2に対応付けられたタグ2aに記憶された通帳IDを読み取る。すなわち、ユーザ端末10は、管理対象物である通帳2に対応付けられたタグ2aに記憶された、通帳2を識別する通帳ID(第1識別情報)を取得する。タグ2aに記憶された通帳IDの読み取りは、例えば、RFIDタグと通信を行い、RFIDタグに記憶されたデータを受信するRFIDリーダ装置により行うことができる。ユーザ端末10は、RFIDリーダ装置を内蔵していてもよいし、外付けでRFIDリーダ装置が取り付けられてもよい。タグ2aの代わりに、通帳2にコードが対応付けられている場合、ユーザ端末10は、例えば、ユーザ端末10が備えるカメラにより通帳2に対応付けられたコードを撮像し、撮像画像からコードが示す通帳IDを取得してよい。
【0023】
ユーザ端末10は、通帳2の管理を担当するユーザを識別する識別情報であるユーザID(第2識別情報)をさらに取得する。ユーザ端末10は、例えば、ユーザにより入力されたユーザIDを取得する。ユーザ端末10が複数のユーザにより共同で使用される場合、ユーザは、自身のID(ユーザID)およびパスワードなどを入力して認証されることで、ユーザ端末10の使用が可能となる。ユーザ端末10は、例えば、認証時に入力されたユーザIDを取得する。ユーザ端末10は、例えば、ユーザの社員証などに付された、ユーザIDを示すコードをカメラにより撮像し、撮像画像からコードが示すユーザIDを取得してもよい。
【0024】
また、ユーザ端末10は、通帳2の保管場所3に対応付けられたタグ3aに記憶された場所IDを読み取ってよい。すなわち、ユーザ端末10は、保管場所3に対応付けられたタグ3aに記憶された、保管場所3を識別する場所ID(第3識別情報)をさらに取得してよい。タグ3aに記憶された場所IDの読み取りは、例えば、上述したRFIDリーダ装置により行うことができる。タグ3aの代わりに、保管場所3にコードが対応付けられている場合、ユーザ端末10は、例えば、ユーザ端末10が備えるカメラにより保管場所3に対応付けられたコードを撮像し、撮像画像からコードが示す場所IDを取得してよい。
【0025】
ユーザ端末10は、取得した通帳IDと、ユーザIDとをネットワーク4を介して管理装置20に送信する。また、ユーザ端末10は、場所IDを取得した場合には、取得した場所IDをさらに管理装置20に送信する。以下では、ユーザ端末10は、通帳IDと、ユーザIDと、場所IDとを取得し、管理装置20に送信する例を用いて説明する。ユーザ端末10は、例えば、保管場所3に保管された通帳2の持ち出しの際、あるいは、持ち出された通帳2の保管場所3への返却の際に、ユーザの操作に応じて、その通帳2の通帳IDと、通帳2を持ち出すあるいは返却するユーザのユーザIDと、通帳2が持ち出されるあるいは返却される保管場所3の場所IDとを取得し、管理装置20に送信する。
【0026】
管理装置20は、例えば、サーバ装置である。管理装置20は、ユーザ端末10から送信されてきた通帳IDと、ユーザIDと、場所IDとを取得(受信)する。管理装置20は、取得した通帳IDと、ユーザIDと、場所IDとを対応付けて記憶する。管理装置20の動作の詳細は後述する。
【0027】
次に、管理装置20の構成について説明する。なお、ユーザ端末10は、タグ2a,3aの読み取り機能、ネットワーク4を介した通信機能、種々の情報を表示する表示機能などを有していればいかなる構成であってもよい。これらの機能を有する、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末あるいはパーソナルコンピュータなどの端末の構成はよく知られているため、説明を省略する。
【0028】
図2は、本実施形態に係る管理装置20の構成例を示す図である。
【0029】
図2に示す管理装置20は、通信部21と、記憶部22と、制御部23とを備える。
【0030】
通信部21は、ネットワーク4を介した通信が可能な通信モジュールを含む。通信部21は、当該通信モジュールを介して、ユーザ端末10と通信する。通信部21は、ユーザ端末10からネットワーク4を介して送信されてきた、通帳IDと、ユーザIDと、場所IDとを受信し、制御部23に出力する。また、通信部21は、制御部23の制御に従い、ユーザ端末10に種々の通知などを送信する。
【0031】
記憶部22は、例えば、半導体メモリ、磁気メモリまたは光メモリなどであるが、これらに限られず任意のメモリとすることができる。記憶部22は、例えば、一次記憶装置または二次記憶装置として機能する。記憶部22は、例えば、管理装置20に内蔵されるが、任意のインタフェースを介して管理装置20に外部から接続される構成も可能である。記憶部22は、制御部23の制御に従い、通帳2の持ち出しの際、および、持ち出された通帳2の返却の際にユーザ端末10により取得された通帳IDと、ユーザIDと、場所IDとを対応付けて記憶する。
【0032】
具体的には、記憶部22は、通帳2の通帳IDに対応付けて、その通帳2の持ち出しの際にユーザ端末10により取得されたユーザIDおよび場所IDを、通帳2の持ち出しに関する持出情報として記憶する。持出情報として記憶されるユーザIDは、通帳IDで示される通帳2を持ち出したユーザを示す持出ユーザ情報に相当する。また、持出情報として記憶される場所IDは、通帳IDで示される通帳が持ち出された保管場所3を示す持出場所情報に相当する。持出情報には、持出ユーザ情報および持出場所情報の他に、例えば、通帳2が持ち出された日時を示す持出日時情報が含まれてもよい。
【0033】
また、記憶部22は、通帳2の通帳IDに対応付けて、その通帳2が返却される際にユーザ端末10により取得されたユーザIDおよび場所IDを、通帳2の返却に関する返却情報として記憶する。返却情報として記憶されるユーザIDは、通帳IDで識別される通帳2を返却するユーザを示す返却ユーザ情報に相当する。また、返却情報として記憶される場所IDは、通帳IDで識別される通帳2が返却された保管場所3を示す返却場所情報に相当する。返却情報には、返却ユーザ情報および返却場所情報の他に、例えば、通帳2が返却された日時を示す返却日時情報が含まれてもよい。
【0034】
制御部23は、1つ以上のプロセッサである。プロセッサとしては、CPU(Central Processing Unit)などの汎用プロセッサまたは特定の処理に特化した専用プロセッサを使用することができる。制御部23は、1つ以上の専用回路が含まれてよい。専用回路としては、例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)またはASIC(Application Specific Integrated Circuit)を使用することができる。制御部23は、管理装置20全体の動作を制御する。
【0035】
制御部23は、通信部21から出力された通帳IDと、ユーザIDと、場所IDとを対応付けて記憶部22に記憶させる。制御部23は、記憶部22に記憶された情報に基づき、通帳2の持ち出しおよび返却を管理する。制御部23の動作の詳細については後述する。
【0036】
次に、本実施形態に係る管理システム1の動作について説明する。
図4は、管理システム1の動作の一例を示すシーケンス図であり、本実施形態に係る管理装置20による管理方法を説明するための図である。また、
図5A~
図5Cは、管理装置20の記憶部22に記憶される情報の遷移を示す図である。以下では、保管場所3から通帳2がユーザAにより持ち出され、その後、その通帳2がユーザAからユーザBに渡された場合を例として説明する。すなわち、保管場所3から持ち出された通帳2の所持者がユーザAからユーザBに変更された場合を例として説明する。また、以下では、ユーザAが使用するユーザ端末10をユーザ端末10Aと称し、ユーザBが使用するユーザ端末10をユーザ端末10Bと称する。また、ユーザAにより持ち出される通帳2の通帳IDを「ID_P1」とする。また、ユーザA,BのユーザIDをそれぞれ「ID_A」,「ID_B」とする。また、持ち出される通帳2が保管されている保管場所3の場所IDを「ID_L1」とする。
【0037】
保管場所3に保管された通帳2の持ち出しの際には、通帳2を持ち出すユーザAは、自身のユーザ端末10Aに、通帳2を持ち出すことを示す操作(持出操作)を行うとともに、通帳ID、ユーザIDおよび場所IDを取得するための操作を行う。例えば、ユーザAは、持ち出す通帳2に対応付けられたタグ2aおよびその通帳2が保管されていた保管場所3に対応付けられたタグ3aにRFIDリーダ装置をかざすといった操作を行う。また、ユーザAは、例えば、自身のユーザIDを入力する、あるいは、自身のユーザIDを示すコードをユーザ端末10Aが備えるカメラにより撮像するといった操作を行う。ユーザ端末10Aは、ユーザAの操作に応じて、持ち出される通帳2の通帳ID(ID_P1)と、ユーザAのユーザID(ID_A)と、通帳2が保管されていた保管場所3の場所ID(ID_L1)とを取得する(ステップS11)。ユーザ端末10Aは、通帳2の持ち出しを通知する持出通知とともに、取得した通帳IDと、ユーザIDと、場所IDとを管理装置20に送信する(ステップS12)。ユーザ端末10Aは、通帳2の持出日時(例えば、持出操作が行われた日時)をさらに管理装置20に送信してよい。
【0038】
管理装置20の制御部23は、ユーザ端末10Aから持出通知とともに送信されてきた通帳IDと、ユーザIDと、場所IDとを取得し、記憶部22に出力する(ステップS13)。制御部23は、取得した通帳IDに対応付けて、取得したユーザIDと、場所IDとを持出情報として記憶部22に記憶させる(ステップS14)。このように、管理装置20は、保管場所3に保管された通帳2の持ち出しの際にユーザ端末10により取得された、通帳IDと持出ユーザ情報としてのユーザIDとを対応付けて記憶する。また、管理装置20は、保管場所3に保管された通帳2の持ち出しの際にユーザ端末10により取得された、通帳IDと持出場所情報としての場所IDとを対応付けてさらに記憶する。したがって、
図5Aに示すように、持ち出された通帳2の通帳ID「ID_P1」に対応付けて、ユーザAのユーザID「ID_A」および通帳2の保管場所3の場所ID「ID_L1」が記憶部22に記憶される。
【0039】
ユーザAによる通帳2の持ち出し後、ユーザAが、持ち出した通帳2をユーザBに渡し、通帳2の所持者がユーザAからユーザBに変更されたとする。この場合、例えば、ユーザ端末10Aからユーザ端末10Bに、持ち出された通帳2の通帳IDを含む、通帳2の所持者の変更の許可を要求する許可要求が送信される(ステップS15)。
【0040】
ユーザ端末10Bが許可要求を受信すると、ユーザBは、例えば、許可要求に含まれる通帳IDと、ユーザAから渡された通帳2の通帳IDとが一致している場合、通帳2の所持者の変更を承認することを示す承認操作をユーザ端末10Bに入力する。ユーザ端末10Bは、承認操作が入力されると、持ち出された通帳2の所持者の変更を要求する変更要求を管理装置20に送信する(ステップS16)。ユーザ端末10Bは、通帳2(所持者が変更される通帳2)の通帳ID「ID_P1」と、通帳2の新たな所持者であるユーザBのユーザID「ID_B」とを変更要求に含める。
【0041】
制御部23は、変更要求を受信すると、変更要求に含まれる、通帳IDと、ユーザIDとを記憶部22に出力し(ステップS17)、通帳IDに対応付けてユーザIDを持出ユーザ情報として記憶部22に記憶させる(ステップS18)。すなわち、管理装置20は、通帳2の通帳IDと、その通帳2を所持する新たなユーザのユーザIDとを含む変更要求を受信すると、変更要求に含まれる通帳IDに対応付けて、変更要求に含まれるユーザIDを持出ユーザ情報として記憶する。より具体的には、管理装置20は、変更要求を、その変更要求に含まれるユーザIDで識別されるユーザのユーザ端末10から受信すると、変更要求に含まれるユーザIDを持出ユーザ情報として記憶部22に記憶させる。つまり、管理装置20は、変更要求に含まれるユーザIDで識別されるユーザと、変更要求の送信元のユーザ端末10のユーザとが一致している場合、変更要求に含まれる通帳IDに対応付けて、変更要求に含まれるユーザIDを持出ユーザ情報として記憶する。
図4においては、変更要求に含まれるユーザID「ID_B」で識別されるユーザ(ユーザB)と、変更要求の送信元であるユーザ端末10Bのユーザ(ユーザB)とが同じである。したがって、
図5Bに示すように、通帳2の通帳ID「ID_P1」に対応付けて、通帳2の新たな所持者であるユーザBのユーザID「ID_B」が記憶部22に記憶される。
【0042】
このように、本実施形態に係る管理装置20による管理方法は、第1の記憶ステップ(ステップS14)と、第2の記憶ステップ(ステップS18)とを含む。第1の記憶ステップでは、制御部23は、保管場所3に保管された通帳2の持ち出しの際にユーザ端末10により取得された、通帳2に対応付けられたタグ2aに記憶された通帳IDと、持出ユーザ情報としてのユーザIDとを対応付けて記憶する。第2の記憶ステップでは、通帳2の通帳IDと、通帳2を所持する新たなユーザを識別するユーザIDとを含む変更要求を受信すると、変更要求に含まれる通帳IDに対応付けて、変更要求に含まれるユーザIDを持出ユーザ情報として記憶する。これにより、持ち出された通帳2の所持者が変更された場合にも、変更後の所持者のユーザIDが記憶部22に記憶されるので、通帳2の所持者を容易に特定することができる。
【0043】
上述したように、
図4においては、制御部23は、変更要求を、その変更要求に含まれるユーザIDで識別されるユーザのユーザ端末10から受信すると、変更要求に含まれるユーザIDを持出ユーザ情報として記憶部22に記憶させる。変更要求に含まれるユーザIDで識別されるユーザと、変更要求の送信元のユーザ端末10のユーザとが一致している場合(通帳2を新たに所持するユーザのユーザ端末から、そのユーザのユーザIDを含む変更要求を受信した場合)、変更要求の送信元のユーザ端末10のユーザが通帳2の新たな所持者となることを承認していると考えられる。したがって、制御部23は、変更要求に含まれるユーザIDと、変更要求の送信元のユーザ端末10のユーザのユーザIDとが一致している場合、変更要求に含まれるユーザIDを持出ユーザ情報として記憶部22に記憶させる。こうすることで、通帳2の所持を意図しないユーザが通帳2の所持者として登録されることを防ぐことができる。ユーザ端末10と、そのユーザ端末10を使用するユーザのユーザIDとは、例えば、予め対応付けられ管理装置20に記憶される。
【0044】
持ち出された通帳2の保管場所3への返却の際には、ユーザは、自身のユーザ端末10に、通帳2を返却することを示す操作(返却操作)を行うとともに、通帳ID、ユーザIDおよび場所IDを取得するための操作を行う。例えば、ユーザは、返却する通帳2に対応付けられたタグ2aおよびその通帳2を返却する保管場所3に対応付けられたタグ3aにRFIDリーダ装置をかざすといった操作を行う。また、ユーザは、例えば、自身のユーザIDを入力する、あるいは、自身のユーザIDを示すコードをユーザ端末10が備えるカメラにより撮像するといった操作を行う。ユーザ端末10は、ユーザの操作に応じて、返却される通帳2の通帳IDと、通帳2を返却するユーザのユーザIDと、通帳2が返却される保管場所3の場所IDとを取得する。ユーザ端末10は、通帳2の返却を通知する返却通知とともに、取得した通帳IDと、ユーザIDと、場所IDとを管理装置20に送信する(ステップS19)。
【0045】
制御部23は、ユーザ端末10から返却通知とともに送信されてきた通帳IDと、ユーザIDと、場所IDとを取得し、記憶部22に出力する(ステップS20)。制御部23は、
図5Cに示すように、取得した通帳IDに対応付けて、取得したユーザIDと、場所IDとを返却情報として記憶部22に記憶させる(ステップS21)。このように、管理装置20は、持ち出された通帳2の返却の際にユーザ端末10により取得された、通帳IDと返却ユーザ情報としてのユーザIDとを対応付けて記憶する。また、管理装置20は、持ち出された通帳2の返却の際にユーザ端末10により取得された、通帳IDと返却場所情報としての場所IDとを対応付けて記憶する。これにより、
図5C示すように、持ち出された通帳2の通帳ID(ID_P1)に対応付けて、通帳2を返却するユーザのユーザID(例えば、ユーザBのユーザID「ID_B」)と、通帳2が返却される保管場所3の場所ID(例えば、通帳2が元々保管されていた保管場所3の場所ID_L1)とが記憶部22に記憶される。
【0046】
次に、制御部23は、返却された通帳2の通帳IDに対応付けて記憶している、持出ユーザ情報としてのユーザIDと、返却ユーザ情報としてのユーザIDとが一致しているか否かを判定する(ステップS22)。制御部23は、
図5Bに示すように、時系列的に通帳2を所持するユーザのユーザIDを記憶部22に記憶させている場合、持出ユーザ情報として記憶している最新のユーザIDと、返却ユーザ情報としてのユーザIDとが一致しているか否かを判定する。
【0047】
持出ユーザ情報としてのユーザIDと、返却ユーザ情報としてのユーザIDとが一致しないと判定した場合(ステップS22:No)、制御部23は、返却ユーザ情報としてのユーザIDで識別されるユーザによる通帳2の返却は、正当な所持者による返却ではないことを示すエラーを所定の出力先に出力する(ステップS23)。例えば、制御部23は、持出ユーザ情報としてのユーザIDで識別されるユーザのユーザ端末10にエラーを出力する。
【0048】
持出ユーザ情報としてのユーザIDと、返却ユーザ情報としてのユーザIDとが一致すると判定した場合(ステップS22:Yes)、制御部23は、返却ユーザ情報としてのユーザIDで識別されるユーザによる通帳2の返却は、正当な返却であるとして処理する(ステップS24)。制御部23は、例えば、管理対象の全ての通帳2の状態(例えば、保管場所3に保管された保管状態か、持ち出された持出状態か、など)を示す帳票を管理しており、持ち出された通帳2の状態を持出状態から保管状態に変更するなどの処理を行う。
【0049】
図4においては、持出ユーザ情報としてのユーザIDと返却ユーザ情報としてのユーザIDとが一致しない場合、エラーを所定の出力先に出力する例を用いて説明したが、本発明はこれに限られるものではない。
【0050】
図6は、持出ユーザ情報としてのユーザIDと返却ユーザ情報としてのユーザIDとが一致しない場合の、管理システム1の動作の一例を示すシーケンス図である。
図6において、
図4と同様の処理には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0051】
持出ユーザ情報としてのユーザIDと返却ユーザ情報としてのユーザIDとが一致しない場合(ステップS22:No)、制御部23は、返却された通帳2の通帳IDに対応付けて記憶されている、持出ユーザ情報としてのユーザIDで識別されるユーザのユーザ端末10に、返却ユーザ情報としてのユーザIDで識別されるユーザによる通帳2の返却を許可するか否かを問い合わせる(ステップS31)。
図6においては、最初に通帳2を持ち出したユーザAのユーザ端末10Aに問い合わせを行う例を示しているが、本発明はこれに限られるものではない。制御部23は、最新の通帳2の所持者であるユーザBのユーザ端末10Bに問い合わせを行ってもよい。制御部23は、ユーザ端末10Aおよびユーザ端末10Bに問い合わせを行ってもよい。
【0052】
管理装置20からの問い合わせを受けると、ユーザ端末10のユーザは、返却ユーザ情報としてのユーザIDで識別されるユーザによる通帳2の返却を許可する場合、当該ユーザによる通帳2の返却を許可する許可操作をユーザ端末10に入力する。ユーザ端末10は、許可操作が入力されると、管理装置20からの問い合わせに対する許可応答を管理装置20に送信する。
【0053】
制御部23は、ユーザ端末10から許可応答を受信すると、返却ユーザ情報としてのユーザIDで識別されるユーザによる通帳2の返却を、正当な返却として処理する(ステップS24)。こうすることで、持ち出された通帳2の所持者として登録されていないユーザによる通帳2の返却であっても、通帳2の所持者として登録されたユーザにより、当該返却を正当な返却であるとして追認することができる。
【0054】
また、
図4においては、通帳2の所持者の変更要求に含まれるユーザIDと、変更要求を送信したユーザ端末10のユーザのユーザIDとが一致する場合、制御部23は、通帳2の所持者の変更を記憶部22に記憶する例を用いて説明したが、本発明はこれに限られるものではない。
【0055】
図7は、通帳2の所持者が変更された場合の、管理システム1の動作の一例を示すシーケンス図である。
図7において、
図4と同様の処理には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0056】
ユーザAが、持ち出した通帳2をユーザBに渡し、通帳2の所持者がユーザAからユーザBに変更された場合、ユーザ端末10Aは、管理装置20に、持ち出した通帳2の通帳IDと、新たに通帳2を所持するユーザ(ユーザB)のユーザIDとを含む変更要求を管理装置20に送信する(ステップS41)。
【0057】
管理装置20は、変更要求を受信すると、変更要求に含まれるユーザIDで識別されるユーザのユーザ端末10(ユーザ端末10B)に、持ち出された通帳2の新たな所持者として登録してよいか否かを問い合わせる(ステップS42)。
【0058】
ユーザ端末10Bが管理装置20からの問い合わせを受信すると、ユーザBは、例えば、持ち出された通帳2の新たな所持者として登録してよいことを示す許可操作をユーザ端末10Bに入力する。ユーザ端末10Bは、許可操作が入力されると、問い合わせに対する許可応答を管理装置20に送信する(ステップS43)。
【0059】
制御部23は、ユーザ端末10Bから許可応答を受信すると、変更要求に含まれる通帳IDに対応付けて、変更要求に含まれるユーザIDを持出ユーザ情報として記憶部22に記憶させる(ステップS18)。
【0060】
このように、
図7においては、管理装置20は、変更要求を受信すると、その変更要求に含まれるユーザIDで識別されるユーザのユーザ端末10に、持ち出された通帳2の新たな所持者として登録してよいか否かを問い合わせる。そして、管理装置20は、新たな所持者として登録してよいことが通知されると、持ち出された通帳2の通帳IDに対応付けて、変更要求に含まれるユーザIDを持出ユーザ情報として記憶する。こうすることで、通帳2の所持を意図しないユーザが通帳2の所持者として登録されることを防ぐことができる。
【0061】
また、
図4においては、持出ユーザ情報としてのユーザIDと、返却ユーザ情報としてのユーザIDとが一致する場合に、通帳2の正当な返却として処理する例を用いて説明したが、本発明はこれに限られるものではない。
【0062】
図8は、持ち出された通帳2が返却される際の、管理システム1の動作の一例を示すシーケンス図である。
図8において、
図4と同様の処理には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0063】
持出ユーザ情報としてのユーザIDと、返却ユーザ情報としてのユーザIDとが一致すると判定すると(ステップS22:Yes)、制御部23は、持出場所情報としての場所IDと、返却場所情報としての場所IDとが一致するが否かを判定する(ステップS51)。
【0064】
持出場所情報としての場所IDと、返却場所情報としての場所IDとが一致しないと判定した場合(ステップS51:No)、制御部23は、通帳2の返却場所が異なることを示すエラーを出力する(ステップS52)。例えば、制御部23は、返却場所情報としてのユーザIDで識別されるユーザのユーザ端末10にエラーを出力する。こうすることで、通帳2を返却したユーザに、通帳2の返却場所が異なることを通知することができる。
【0065】
持出場所情報としての場所IDと、返却場所情報としての場所IDとが一致すると判定した場合(ステップS51:Yes)、制御部23は、正当な所持者により、正しい保管場所3に通帳2が返却されたと判定し、通帳2の返却を正当な返却として処理する(ステップS24)。
【0066】
なお、上述した
図4,6-8を参照して説明した動作は適宜組み合わせてよい。
【0067】
このように本実施形態においては、管理システム1は、ユーザ端末10と、管理装置20とを備える。ユーザ端末10は、ユーザにより使用され、管理対象物である通帳2に対応付けられたタグ2aに記憶された通帳ID(第1識別情報)と、ユーザID(第2識別情報)とを取得する。管理装置20は、保管場所3に保管された通帳2の持ち出しの際にユーザ端末10により取得された、通帳IDと持出ユーザ情報としてのユーザIDとを対応付けて記憶する。そして、管理装置20は、通帳2の通帳IDと、通帳2を所持する新たなユーザのユーザIDとを含む変更要求を受信すると、通帳IDに対応付けて、変更要求に含まれるユーザIDを持出ユーザ情報として記憶する。
【0068】
持ち出された通帳2の所持者が変更された場合にも、持ち出された通帳IDに対応付けて、通帳2の新たな所持者のユーザIDが登録される。そのため、所定の保管場所3に保管され、ユーザによる持ち出しが可能な管理対象物(例えば、通帳2)が持ち出された際に、管理対象物の所持者を容易に特定することができる。
【0069】
本発明に係る管理システム1、管理装置20および管理方法は、上述した実施形態に示す具体的な構成に限られず、特許請求の範囲を逸脱しない限り、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0070】
1 管理システム
2 通帳(管理対象物)
3 保管場所
2a,3a タグ
4 ネットワーク
10 ユーザ端末
20 管理装置
21 通信部
22 記憶部
23 制御部