(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】残留空気の陽圧通気を可能とするバルーンガイドカテーテル
(51)【国際特許分類】
A61M 25/10 20130101AFI20240917BHJP
A61M 25/00 20060101ALI20240917BHJP
【FI】
A61M25/10 540
A61M25/00 542
A61M25/00 620
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020082472
(22)【出願日】2020-05-08
【審査請求日】2023-03-17
(32)【優先日】2019-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515248931
【氏名又は名称】ニューラヴィ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ブレンダン・ケーシー
(72)【発明者】
【氏名】カール・キーティング
(72)【発明者】
【氏名】ロナルド・ケリー
【審査官】川上 佳
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-095065(JP,A)
【文献】国際公開第2013/163254(WO,A1)
【文献】特開2014-124393(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/10
A61M 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルーンガイドカテーテルであって、
外側面と、近位端と、反対側の遠位端とを有するカテーテルシャフトであって、内部に画定され、内部を通って前記近位端から前記遠位端まで軸方向に延在する、主ルーメンを有し、主軸が、ガイドワイヤを内部に受容するように構成されており、前記カテーテルシャフトは、内部に軸方向に画定され、前記主ルーメンを半分取り囲んで配置された膨張ルーメンを有し、前記膨張ルーメンは、前記カテーテルシャフトから半径方向外側に画定された入口ベントと、前記カテーテルシャフトの前記遠位端に近接して配設された第1及び第2の排気ベントと、を有し、前記第1の排気ベントは、前記膨張ルーメンの遠位終端を通って長手方向に配設され、前記第2の排気ベントは、前記主ルーメンと流体連通して半径方向内側に配設されている、カテーテルシャフトと、
前記第1及び第2の排気ベントそれぞれに配設された多孔質膜であって、内部に画定され、ガスのみが通過することを可能にするように寸法決めされた複数の孔を有する、多孔質膜と、
前記カテーテルシャフトの前記遠位端に近接して前記カテーテルシャフトの前記外側面の周りに固定され、前記入口ベントと一致する、拡張可能なバルーンと、を備える、バルーンガイドカテーテル。
【請求項2】
前記カテーテルシャフトは、前記主ルーメンが内部を通って長手方向に延在する形成された管状主ライナーを備え、前記カテーテルシャフトは、前記膨張ルーメンが内部を通って長手方向に延在する形成された管状膨張ライナーを更に備え、前記バルーンガイドカテーテルは補強部材を更に備え、前記補強部材が、編組又はコイルであり、前記補強部材が、(i)前記形成された管状主ライナーのみ、(ii)前記多孔質膜を備える前記形成された管状主ライナーのアセンブリのみ、又は(iii)前記形成された管状主ライナー、前記多孔質膜、及び前記形成された管状膨張ライナーのアセンブリ、の周りに配設されている、請求項1に記載のバルーンガイドカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、以下:2019年5月9日に出願された米国特許仮出願第62/845,683号、2019年5月9日に出願された米国特許仮出願第62/845,699号、2019年5月9日に出願された米国特許仮出願第62/845,711号、及び2019年5月9日に出願された米国特許仮出願第62/845,747号の利益を主張するものであり、これらはそれぞれ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、血管内医療システムに関する。具体的には、本発明は、体内に導入される前に医師又は介在医によって準備されている間に、内部に閉じ込められた残留空気の陽圧通気による改善されたバルーンガイドカテーテルに関する。
【背景技術】
【0003】
現在、カテーテルは、様々な血管内医療処置又は治療に関連して広く使用されている。このような血管内カテーテルの広く採用されている使用又は用途の1つは、シースガイドカテーテル(非バルーンガイドカテーテル)又はバルーンガイドカテーテルを内頸動脈内に導入して、ガイドワイヤ(複数可)、マイクロカテーテル(複数可)、ステントレトリーバ(複数可)、又は中間カテーテル(複数可)などの補助装置の導管として機能する、急性虚血性脳卒中(AIS)後の血栓除去医療手技にある。シースガイドカテーテル(非バルーンガイドカテーテル)は、血管内の意図される治療位置へのアクセスを維持し、補助装置を用いた治療位置への複数の通過を容易にすることによって、処置時間を短縮する。バルーンガイドカテーテルの使用は、一旦拡張状態に膨張された後、血流を停止し、かつ血管の完全な付着を達成する、追加の利点を提供する。血流停止は、ステントレトリーバ及び/又は直接吸引カテーテルが、捕捉された血塊と共にバルーンガイドカテーテル内に後退するにつれ、血塊に及ぼされる血圧を制限する際、並びに吸引段階の吸引性能を最大化する際に追加の安全性を提供する。このような利点は容易に明らかであり、臨床的に証明されているが、バルーンガイドカテーテルの使用は、いくらかの努力を要する準備工程が必要であり、その後膨張ルーメン及びバルーンの両方において、膨張媒体と交換される残留空気の膨張ルーメンを除去することが必要となる。バルーンガイドカテーテルを体内に導入する前に実施されるこれらの準備工程は、そのような準備工程を必要としないシースガイドカテーテル(非バルーンガイドカテーテル)を使用することを選択する代わりに、かかる利点にもかかわらず、一部の医師又は介在医が、バルーンガイドカテーテルを完全に使用することを阻止する。
【0004】
従来のバルーンガイドカテーテルは、身体の標的血管内に導入する前に、医師又は介在医によって準備され、その後内部に閉じ込められた残留空気を適切にパージするために、多段階プロセスを行う。この準備手順は、典型的には、残留空気を除去するために、膨張ポートに真空又は陰圧を加え、その直後に膨張媒体をカテーテル内に再び分配することを必要とする。このような膨張ルーメンの真空手順は、残留空気の完全な排出を確実にするために複数回繰り返される必要があり得る。パージ工程に正確に従わないか、又はパージ工程が完全に省略されない場合、バルーンガイドカテーテル内の残留空気は、バルーン破損の場合、血管内に排気され、患者に対し危険かつ有害な影響を及ぼす恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、バルーンガイドカテーテルからの残留空気をパージする工程又は動作の工数を合理化し、その望ましさ及び使いやすさを向上させると共に時間効率を最適化し、かつ人的エラーの可能性を低減することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、装置から残留空気を除去するための準備工程又は動作の工数を最小化する、改善されたバルーンガイドカテーテルを目的とする。
【0007】
本発明の別の態様は、陽圧通気による改善されたバルーンガイドカテーテル、及びかかる本発明のカテーテルの使用方法に関する。
【0008】
本発明の更に別の態様は、排気ベント及び膨張ベントの位置により、膨張媒体を有するバルーンの膨張が、膨張ルーメンからの残留空気の十分な及び完全な抽気時にのみ生じることを確実にする、改善されたバルーンガイドカテーテルに関する。
【0009】
本発明の更に別の態様は、膨張媒体が二重機能又は目的を果たし、最初に膨張ルーメンから残留空気をパージして、一旦抽気された後、バルーンを膨張させる、改善されたガイドカテーテルに関する。
【0010】
本発明の更に別の態様は、医師又は介在医によって準備されているとき、患者に導入される前に、バルーンが残留空気を適切にパージしていることを視覚的に検証可能である、改善されたバルーンガイドカテーテルに関する。
【0011】
本発明の更に別の態様は、体内への導入前に残留空気がパージされる陽圧通気による改善されたバルーンガイドカテーテルを提供することにより、準備中の真空又は陰圧の必要性を排除する。
【0012】
本発明の一態様は、外側面と、近位端と、反対側の遠位端とを有するカテーテルシャフトを含むバルーンガイドカテーテルに関する。カテーテルシャフトは、内部に画定され、内部を通って近位端から遠位端まで軸方向に延在する、主ルーメンを有する。主軸は、ガイドワイヤを内部に受容するように構成されている。カテーテルシャフトは、内部に軸方向に画定され、主ルーメンを半包取り囲んで配置された膨張ルーメンを有する。膨張ルーメンは、カテーテルシャフトから半径方向外側に画定された入口ポートと、カテーテルシャフトの遠位端に近接して配設された少なくとも1つの排気ベントとを有し、少なくとも1つの排気ベントは、膨張ルーメンの遠位終端を通って長手方向に、又は主ルーメンと流体連通して半径方向内側に配設されている。カテーテルは、少なくとも1つの排気ベントに配設された多孔質膜を更に含み、多孔質膜は、内部に画定され、ガスのみが通過することを可能にするように寸法決めされた複数の孔を有する。更に、カテーテルは、カテーテルシャフトの遠位端に近接してカテーテルシャフトの外側面の周りに固定され、入口ポートと一致する、拡張可能なバルーンも有する。
【0013】
本発明の別の態様は、先行する段落で説明されたバルーンガイドカテーテルの使用方法に関する。この方法は、バルーンガイドカテーテルを標的血管に導入する前に、少なくとも1つの排気ベントを介して、膨張ルーメン及び拡張可能なバルーンから遠位に残留空気を確実に通気することによって、バルーンガイドカテーテルを準備する工程を含む。
【0014】
本発明のまた更なる別の態様は、陽圧遠位通気式バルーンガイドカテーテルの製造方法に関する。この方法は、管状主ライナーを形成して、内部を通って軸方向に主ルーメンを形成する工程を含む。形成された管状主ライナーは、選択された表面にエッチング領域及びポリマーストライク層を有する。形成された管状主ライナーを通って半径方向に第1の開口部を穿孔する。第1の開口部は、管状主ライナーを通って軸方向に画定された主ルーメンと流体連通する半径方向の排気ベントとして機能する。微多孔質膜の両表面の選択された部分にエッチングされたかつポリマーストライク層を有する微多孔質膜を提供し、形成された管状主ライナー内に画定された穿孔された排気ベントを覆うように微多孔質膜を位置付ける。形成された管状主ライナーを、熱を印加しながら微多孔質膜と一緒に付着させて積層する。その後、マンドレル、形成された管状主ライナー、及び微多孔質膜を含む積層アセンブリの上にポリマージャケットを位置付ける。熱収縮を加えて、ポリマージャケットのリフローを引き起こし、ポリマージャケットを微多孔質膜のエッチング/ストライク層、及び形成された管状主ライナーのエッチング/ストライク層に結合する。同様の方法で、内部を通って軸方向に膨張ルーメンを有する管状膨張ライナーを形成する。形成された管状膨張ライナーは、選択された表面にエッチング領域及びポリマーストライク層を有する。形成された管状膨張ライナーを通って半径方向に第2の開口部を穿孔し、第2の開口部は、管状膨張ライナーを通って軸方向に画定された膨張ルーメンと流体連通する半径方向の排気ベントとして機能する。形成された管状膨張ライナーの第2の開口部を、形成された管状主ライナーの第1の開口部に対して長手方向に位置付ける。形成された管状膨張ライナーの周りに少なくとも1つのジャケットを適用する。次いで、熱収縮を加えて、少なくとも1つの外側ジャケットのリフローを引き起こし、編組への、形成された管状膨張ライナーの形成された管状主ライナーへの融合アセンブリを形成する。その後、熱収縮は、融合アセンブリの周りにバルーンを取り付ける前に除去される。任意に、形成された管状膨張ライナーの第2の開口部を、形成された管状主ライナーの第1の開口部に対して長手方向に位置付ける前に、当該方法は、(i)形成された管状膨張ライナーを含まない形成された管状主ライナー、(ii)形成された管状膨張ライナーを含む形成された管状主ライナー、又は(iii)形成された管状主ライナー、の周りに巻かれた編組又はコイルを適用する工程を更に含んでよく、編組の一部が、形成された管状膨張ライナーの周りに巻き付けられている一方で、編組の別の部分は、形成された管状主ライナーと形成された管状膨張ライナーとの間に配設されている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明の上記及びその他の特徴は、本発明を例示する以下の発明を実施するための形態及び図面からより容易に明らかになるものであり、幾つかの図面全体にわたり類似の参照番号は類似の要素を示す。
【
図1A】陽圧遠位通気構成を有する本発明のバルーンガイドカテーテルの長手方向断面図である。収縮状態にある間の当該バルーンが描写されている。
【
図1B】破線1B-1Bに沿った
図1Aのバルーンカテーテルの半径方向断面図である。
【
図1D】バルーンが完全に膨張した状態にある、
図1Aの本発明のバルーンガイドカテーテルの長手方向断面図である。
【
図1E】並列に配置された二重の膨張ルーメンを有する、本発明による例示的なバルーンガイドカテーテルの遠位端の部分図を描写する。
【
図1F】本発明による別の例示的なバルーンガイドカテーテルの遠位端の部分図を描写し、二重の膨張ルーメンは、一方の膨張ルーメンが主/中央ルーメンの上方に配設され、他方の膨張ルーメンが主/中央ルーメンの下方に位置付けられて配置されている。
【
図1G】本発明のカテーテルの例示的な半径方向断面図の代替構成であり、半分取り囲む膨張ルーメン及び主/ガイドルーメンが偏心して配置されている(2つのルーメンは、同じ中心を共有せず、同心でもない)ことを図示する。
【
図1H】本発明のカテーテルの例示的な半径方向断面図の別の構成であり、半分取り囲む膨張ルーメン及び主/ガイドルーメンが同心円状に配置されている(2つのルーメンは、同じ中心を共有している)ことを描写する。
【
図2A】バルーンが完全に収縮した状態にある、本発明のバルーンガイドカテーテルの代替構成の概略図である。
【
図2B】
図2Aのバルーンガイドカテーテルの部分縦断面図である。
【
図2C】
図2Aのバルーンガイドカテーテルの製造における一連の連続的な段階又は工程を描写する。
【
図2D】
図2Aのバルーンガイドカテーテルの製造における一連の連続的な段階又は工程を描写する。
【
図2E】
図2Aのバルーンガイドカテーテルの製造における一連の連続的な段階又は工程を描写する。
【
図2F】
図2Aのバルーンガイドカテーテルの製造における一連の連続的な段階又は工程を描写する。
【
図2G】
図2Aのバルーンガイドカテーテルの製造における一連の連続的な段階又は工程を描写する。
【
図3A】本発明の陽圧通気式バルーンガイドカテーテルの封止隆起部機構の部分縦断面図である。図面において、バルーンが膨張状態にあるとき、残留ガスは、膨張ルーメンの終端にある長手方向に配設された排気ベントを介して、かつ多孔質膜を通って漏出されることが可能である。
【
図3B】
図3Aのバルーンガイドカテーテルの部分縦断面図であり、収縮状態のバルーンは、排気ベントを通って近位に残留空気が通過することを禁止するように隆起部に対して封止されている。
【
図4A】複数の拡張可能かつ分離可能なフィンガーを備える拡張可能な遠位先端を有する、本発明によるバルーンガイドカテーテルの更に別の構成の部分縦断面図である。図面において、バルーンは膨張状態で描写され、拡張可能な遠位先端は拡張状態にある。
【
図4B】バルーンが収縮状態にあり、拡張可能な遠位先端が圧縮状態にある、
図4Aのバルーンガイドカテーテルの部分縦断面図である。
【
図4C】線IV(C)-IV(C)に沿った、
図4Bのカテーテルの拡張可能な遠位先端の半径方向断面図である。
【
図4E】拡張可能な遠位先端を封入するバルーンが制限バンドによって半径方向に拘束されている、本発明によるバルーンガイドカテーテルの別の構成の上面長手方向図である。図面において、バルーンは収縮状態で示され、拡張可能な遠位先端は圧縮状態にある。
【
図4F】バルーンが膨張状態で示され、拡張可能な遠位先端が拡張状態にある、
図4Eのバルーンガイドカテーテルである。
【
図4G】本発明によるバルーンガイドカテーテルの更に別の構成の上面長手方向図であり、拡張可能な遠位先端は複数のフィンガーであり、バルーンは、フィンガーの間の遠位溶接パターンに沿って固定されている。図面において、バルーンは収縮状態で描写され、拡張可能な遠位先端は圧縮状態にある。
【
図4H】バルーンが膨張状態にあり、拡張可能な遠位先端が拡張状態にある、
図4Gのバルーンガイドカテーテルである。
【
図4I】線IV(I)-IV(I)に沿った、
図4Hのカテーテルの遠位端の半径方向断面図である。
【
図5A】編組の一部分が膨張ライナーの半径方向外側に描写され、編組の別の部分が膨張ライナーの半径方向内側に描写されている例示的な編組構成を例示し、並びに、中央ライナー、編組、及び内側ライナーのそれぞれの周りに配設された任意の3つの別個のポリマージャケットを描写する、組み立てられたバルーンガイドカテーテルの上面長手方向図である。
【
図5B】線V(B)-V(B)に沿った
図5Aのカテーテルの長手方向断面図である。
【
図5C】線V(C)-V(C)に沿った
図5Aのカテーテルの半径方向断面図である。
【
図6A】本発明による、組み立てられたバルーンガイドカテーテルの代替的な拡張可能な遠位先端の上面長手方向図であり、拡張可能な遠位先端は拡張可能なメッシュ又は編組であり、拡張可能な遠位先端は、バルーンが収縮した圧縮状態で描写されている。
【
図6B】
図6Aのカテーテルの上面長手方向図であり、拡張可能な遠位先端は、バルーンが膨張した拡張状態で描写されている。
【発明を実施するための形態】
【0016】
「遠位」又は「近位」という用語は、以下の説明において、治療医師若しくは医療介在医に対する位置又は方向に関して使用される。「遠位」又は「遠位に」とは、医師若しくは介在医から離れた位置又は離れる方向である。「近位」又は「近位に」又は「近接した」とは、医師若しくは医療介在医に近い位置又は向かう方向である。「閉塞」、「凝塊」、又は「閉鎖」という用語は、互換的に使用される。
【0017】
従来のバルーンカテーテルは同軸設計を有し、バルーンカテーテルの中央に配設された中央ルーメンは、内部を通してガイドワイヤを受容し、膨張ルーメンは、中央ルーメンの周りに同軸上に配設され、中央ルーメンを完全に/十分に取り囲む。本発明のバルーンガイドカテーテルは、膨張ルーメンが主ルーメンを部分的に取り囲むか、又は半分取り囲むように設計されており、すなわち、膨張ルーメンは膨張ルーメンを完全に取り囲まないように設計されている。更に、膨張ルーメンの中心は、主ルーメンの中心と同じ中心を共有してもよいが、必ずしもそうである必要はない。
図1Gは、本発明のカテーテルの例示的な半径方向断面図の代替構成であり、半分取り囲む膨張ルーメン及び主/ガイドルーメンが偏心して配置されている(2つのルーメンは、同心ではなく、同じ中心を共有していない)ことを例示し、
図1Hは、本発明のカテーテルの例示的な半径方向断面図の別の構成であり、半分取り囲む膨張ルーメン及び主/ガイドルーメンが同心円状に配置されている(2つのルーメンは、同じ中心を共有する)ことを描写する。
【0018】
身体の血管を通って曲折経路を横断するとき、現在配置されている膨張ルーメンは、接続され得るシャフトを提供することによって、改善された送達性をシャフト全体にわたって提供し、また、同心の設計は、同心ルーメンを提供するために外側シャフトと内側シャフトとの間で実質的に未接続である必要があるので、従来の完全に/十分に取り囲む同心(同軸)設計では接続性が得られない。更に、中央ルーメンの周りの膨張ルーメンの従来の同心(同軸)設計は、カテーテルの内側面と外側面との間のかなりの貴重な断面積を占め、カテーテルの内側面と外側面との間に様々な壁厚を有し得る本発明の部分的に/半分取り囲む設計と比べて、カテーテルの外周の周りに実質的に均一に延在し、カテーテルの外周の周りで変化してカテーテルの内側面と外側面との間の断面積の減少を可能にする。このようなカテーテルの外周の周りの壁厚の変化により、所与のルーメン断面積のための膨張/収縮ルーメンを画定するために必要とされる材料が少なくなるため、従来の十分に/完全に取り囲む同心設計と比べて、所与の外径に対してより大きな内径が可能となる。理想的には、本発明の部分的に/半分取り囲む設計の内径は、カテーテルシャフト全体にわたって円形性を維持して、円形性を長手方向にほぼ維持する補助装置を収容し、外側面は、円形性からわずかに楕円性に逸脱して膨張/収縮ルーメンを収容する。所与の外径に対するより大きな内径は、本発明のカテーテルが、同じ所与の外径を有する十分に/完全に取り囲む同心設計で収容されるであろうよりも、大きい外径を有する補助装置を受容することを可能にする。更に、本発明の設計のより大きな内径は、所与の吸引真空圧に対するより大きな吸引(中間カテーテルによる同時吸引)流量を可能にする。より大きな吸引流量は、標的治療位置内での流れ反転を強化するために役立ち、血管内の血塊面により大きな吸引力を印加して、吸引のみで又はステントレトリーバと併せて血塊の回収を成功させるのを助ける。本発明の部分的に/半分取り囲む設計の内側面及び外側面の両方が楕円性を有してもよいことが理解される。内側楕円性を有する外側円形性を維持する追加の実施形態も想定され得る。内側楕円性を有する実施形態は、バルーンガイドカテーテルにおいて、円形を有する内側中間カテーテルと組み合わされると、バルーンガイドカテーテルの内側楕円形断面と中間カテーテルの外側円形断面との間にもたらされる追加の体積が、吸引流に利用され得るカテーテル間の追加の断面領域を提供するため、有利である。したがって、所与の外径を有するバルーンガイドカテーテル内に外側円形性を有する所与の中間カテーテルを収容するとき、内側楕円性を有するバルーンガイドカテーテルは、内側円形性を有するバルーンガイドカテーテルと比べて、特に、膨張/収縮ルーメンを収容するためにカテーテルの壁厚に対してより大きな断面積も必要とする同心の設計に対して、大きな吸引流量を可能にする。
【0019】
図1Aに描写される長手方向断面図を参照すると、本発明の陽圧通気式バルーンガイドカテーテルは、従来の装置を準備するときに典型的に必要とされる真空又は陰圧の必要性を排除する。本発明のバルーンガイドカテーテルは、ガイドワイヤ又は他の補助装置を受容するために、内部を通って長手方向に画定された主/中央ルーメン105を有するカテーテルシャフト又は本体100を含む。また、
図1Bの半径方向断面図に例示されるように、主/中央ルーメン105から半径方向外側に配設され、かつ部分的に/半分取り囲む(ただし、共通の中心を共有しない)膨張ルーメン110も、カテーテルシャフト又は本体100内に画定される。膨張ルーメンの近位端は、膨張ポート115と流体連通している。
図1Aに示すように、膨張ポート115は、典型的には、カテーテル本体100のそれに対して半径方向外側に角度付けされる。手動装置(例えば、シリンジ)120又は自動圧力装置は、膨張ルーメン110内に膨張媒体(例えば、液体)を分配することによって陽圧を生成するために、近位膨張ポート115に取り付けられ得る。膨張媒体は、好ましくは、水、蒸留水、脱イオン水、ヘパリン、生理食塩水、造影剤/薬剤、又はこれらのいくつかの組み合わせを含有する溶液などの液体溶液である。好ましい実施形態では、膨張媒体は、造影剤及び生理食塩水の溶液であり、最も好ましくは、造影剤と生理食塩水との50:50の比の溶液である。膨張媒体溶液は、典型的には室温で保管される。
【0020】
膨張ルーメン110は、内部に画定された1つ以上の排気ベントを有する。これらの排気ベントは、膨張ルーメン内に閉じ込められた残留空気を半径方向、長手方向、又はその両方の方向に排出/パージするように構成され得る。
図1Aに示される実施例では、残留空気は、両方ともカテーテルの遠位端150に向かって配設された2つの排気ベント135、135’からパージされる。排気ベント135のうちの1つは、カテーテルの遠位先端又は遠位端150の近位に配設され、カテーテルシャフト又は本体100内で半径方向内側に画定され、膨張ルーメン110と主/中央ルーメン105との間のパージされた残留空気の流体連通のための導管として機能する。他方の排気ベント135’は、膨張ルーメン110の遠位先端又は遠位端150に長手方向に配置される。半径方向排気ベント又は長手方向排気ベントの両方ではなくいずれかを代替的に有することが想到され、かつ本発明の意図される範囲内である。更に、バルーンカテーテルが半径方向排気ベントを有する場合、所望に応じて、2つ以上が設けられてもよい。
【0021】
微多孔質膜140は、排気孔135、135’のそれぞれを覆い、微多孔質膜の孔は、ガス(例えば、残留空気)のみが通過することを可能にするように寸法決めされ、膨張ルーメンを通して分配される液体(膨張媒体)は、微多孔質膜を通って浸透することが防止され、バルーン内の容積が膨張媒体を充填したときに、膨張ルーメン内の圧力がバルーンを増大及び膨張させることを可能にする。好ましくは、微多孔質膜は、焼結ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、例えば、焼結ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)の特定の等級(多孔性及び厚さに基づく)であり、空気分子が通過することを可能にするが、2つの属性、(i)疎水性膜、及び(ii)モル体積のために、水、生理食塩水及び造影剤などのより大きな分子に対するバリアとして作用する。膜は、本質的に疎水性であり、非加圧系中に小さな細孔が存在しても、膜が比較的高い張力(極性)流体に反発することを可能にする。一方で、ガスは、非常に比較的低い圧力下で、そのような膜を容易に通過する。例えば、水蒸気はePTFE微多孔質膜を通過するが、時間依存性である。二番目の要因に関して、水及び造影剤分子のサイズは、空気分子が多数の小さい孔径を有する膜を通過することを可能にする空気分子よりも大きい。本発明に関連して、分子の相対的なサイズは、ルーメンを通して流体を注入するこの適用時間フレーム内効果を現す有効な特性であり、比較的高い圧力下で微多孔質膜を通して空気が放出される。ePTFE微多孔質膜の微細孔はサイズが異なり、好ましくは約0.02μm~約500μmのサイズ範囲、より好ましくは約5μm~約100μmのサイズ範囲である。
図1Cは、半径方向に配設された排気ベント135を覆う微多孔質膜140を明確に示す、
図1Bの破線領域1Cの拡大図である。
図1A~1Cでは、微多孔質膜140は、中央ルーメン105の半径方向外側(すなわち、膨張ルーメン110内)に配設される。所望により、微多孔質膜は膨張ルーメン内に配設されてもよい(
図1A~1C)。微多孔質膜は、中央ルーメン105と膨張ルーメン110との間の壁内に完全に配設されてもよく、又は、微多孔質膜の第1の部分が膨張ルーメンと中央ルーメンとの間の壁の中へ半径方向内向きに延在する一方で、微多孔質膜の第2の部分は、膨張ルーメン内へ半径方向外側に延在する、その組み合わせであってもよい。好ましくは、微多孔質膜の一部は中央ルーメン内へと半径方向内側に延在しないが、これは、補助装置を通過するときに障害を潜在的にもたらす可能性があるためである。
【0022】
膨張ルーメン110は、カテーテル本体100を通って近位端145に近接して、その反対側の遠位先端又は遠位端150まで軸方向に延在する。膨張/入口ベント130は、カテーテル本体100を通って半径方向外側に画定され、膨張ルーメン110と膨張ベント130を覆うバルーン125との間の膨張媒体のための導管として機能する。バルーン125は、カテーテル本体100の遠位部分の外側面に結合又は接着されて、膨張ベント130の上にシールを形成する。
図1Aに示される収縮状態では、膨張ルーメン110内の上昇した圧力がバルーン125によって及ぼされる対向する力の所定の圧力を超えるまで、バルーン125は膨張ベント130に対して物理的に接触し、膨張媒体の通過を一時的に防止する。
【0023】
図1A~1Cに示される実施形態は、単一の膨張ルーメンを有する本発明のバルーンカテーテルを描写する。2つ以上の膨張ルーメンを有することが可能であり、かつ本発明の意図される範囲内である。
図1Eは、二重膨張ルーメン設計110’、110”を描写し、2つの膨張ルーメンが並列に配置されている。第1の膨張ルーメン110’では、流体はルーメンを通って近位端から遠位端に流れる一方、流体は、第2の膨張ルーメン110”を通って遠位端から近位端へと反対方向に流れる。二重膨張ルーメン設計の別の構成を
図1Fに示す。ここで、二重膨張ルーメンは、一方が主/中央ルーメンの上方に配設され、他方は主/中央ルーメ下方に配設される。すなわち、第1の膨張ルーメン110’は、主/中央ルーメン105の上方方に配置され、第2の膨張ルーメン110”は、主/中央ルーメン105の下方に配置される。遠位端から近位端に流体が流れる第1の膨張ルーメン110’は、残留ガスが通過することができるようにポートに微多孔質膜140を有するが、膨張媒体は膜を通過して、残留空気がシステムからパージ、排出又は放流されたときにバルーンを膨張させることを禁止されている。
【0024】
本発明による組み立てられたカテーテルの斜視断面図及び長手方向断面図を、それぞれ
図2A及び
図2Bに描写する。
図2C~2Gは、
図2A及び2Bに示されるカテーテルの組み立て及び製造中の一連の連続的な工程又は段階を描写する。最初に、
図2Cでは、主/中央ルーメン105は、マンドレル205の周りに主/中央ライナー210(例えば、PTFE製)を巻き付けることによって形成されて、形成された主/中央チューブを製造してもよい。好ましくは、マンドレル215は、壁厚のPTFE層(典型的には約0.00075インチ~約0.001インチ)で浸漬されたSilver Plated Coated(SPC)マンドレルであり、その後エッチングされる。ポリマーストライク層(例えば、ポリエーテルブロックアミド(PEBAX(登録商標))又はウレタン材料)が、エッチングされたPTFE上にコーティングされる。ポリマーストライク層の壁厚は、数千分の1インチであってもよいが、本出願では、以下に詳細に記載されるように、約0.00025インチの厚さは、リフローするポリマージャケット材料と連通及び接着するのに十分である。あるいは、予め形成された管を主/中央チューブとして使用してもよい。第1の孔又は開口部は、形成された管状の主/中央内側ライナー210(SPCマンドレル上のPTFE)を通して半径方向に穿孔され、主/中央ルーメン105内への半径方向排気ベント135として機能する。微多孔質膜140を形成する焼結PTFEの選択された等級(所望の多孔性及び厚さに基づく)は、マンドレル205及び形成された管状主/中央内側ライナー210の周りにより容易に装着及び位置決めするために、パッチから、又は管状構成から切断される。両側の微多孔質膜140の選択された部分又は表面全体を処理して(例えば、従来技術を用いてエッチング)、微多孔質膜140の選択された部分又は縁部における薄いポリマーストライク層の適用を促進してもよく、微多孔質膜は、ポリマーストライク層に沿ってカテーテルポリマー基材との固有溶接部を形成する。微多孔質膜のように、形成された管状PTFE主/中央内側ライナー210もまた処理され(例えば、エッチング)、ポリマーストライク層を用いて準備される。
図2Dを参照すると、切断された微多孔質膜140は、形成された管状PTFE主/中央内側ライナー210内に画定された穿孔された排気ベント135の上に配置され、好ましくは中央に配置される。その後、形成された管状PTFE主/中央内側ライナー210は、カテーテルの積層構造加工工程中に熱を印加することで、切断された微多孔質膜140と一緒に取り付けられる(例えば、溶接又は結合)。
【0025】
図2Eに示されるように、ワイヤ編組機を使用して、編組又はコイル155が、組み立てられたSPC浸漬マンドレル205の周りに、形成された管状ePTFE主/中央ライナー210及びePTFE微多孔質膜パッチ140を用いて緊密に適用される又は巻かれる。編組155は、構造的支持、並びにePTFE微多孔質膜パッチ140の管状に形成されたePTFE主/中央ライナー210への保持の両方を提供する。その後、スカイブされたポートを有するポリマージャケット材料235が、スカイブの真上に位置する。
図2Fでは、熱収縮管がアセンブリ上に位置付けられ、次いで熱を印加して材料をリフロー及び結合させ、その後、熱収縮管を除去する。好ましくは、フッ化エチレンプロピレン(FEP)熱収縮がアセンブリ上を摺動し、熱を印加して、ポリマージャケット材料235のリフローを引き起こし、編組、膜のエッチング/ストライク部分、並びにPTFEを被覆するストライク層に結合させる。
【0026】
別個に形成された膨張ライナー410(例えば、PTFE)は、
図5Aに示されるように、それ自体の内部マンドレル(例えば、SPCマンドレル)の周りに巻き付けられ、膨張ルーメン110を形成する。形成された管状膨張ライナーは、編組の上方、編組の下方、又は編組ストランドの間に位置付けられてもよい(すなわち、編組の一部分が、形成された管状膨張ライナーの上方にある一方で、編組の別の部分は、形成された管状膨張ライナーの下方にある)。あるいは、形成された管状膨張ライナーとして、予め形成されたチューブを使用してもよい。形成された管状ePTFE膨張ライナーは、形成された管状の主/中央ライナーに対して長手方向に位置付けられてもよい。1つの構成では、形成された管状膨張ライナー及び主/中央ライナーは、ePTFE微多孔質膜140、及びバルーン125への排気ベント130が半径方向排気ベント135と実質的に半径方向に位置合わせされるように配置される(
図2A及び2Bに示すように)。あるいは、
図1Aに例示するように、微多孔質膜140及び膨張ベント130は、半径方向排気ベント135と半径方向に位置合わせされる必要はない。組み立てられた外側ジャケット、編組、膨張ルーメン及びライナーは、FEP熱収縮処理を受けたとき、リフロー中に一緒に融合される。バルーンの取り付けの前に、FEP熱収縮が除去される。
図2Gのバルーン125は、バルーンが入口ベント130を覆うように、外側ジャケット、編組、膨張ルーメン及びライナーの融合アセンブリの上に位置付けられている。次いで、バルーンは両方の端で熱溶接されて、カテーテルシャフト又は本体100の外側面との固有の溶接部を形成する。
【0027】
図5Aを参照すると、様々なショア硬度を有するいくつかの追加の熱可塑性外側チューブ、スリーブ又はジャケット(500、500’、500”)は、所望に応じて完成したカテーテル剛性プロファイルを調整するために、それぞれの主/中央ライナー210、編組455、膨張ライナー410の上に位置付けられてもよい。ジャケットは、その長さに沿ってカテーテルの剛性を変化させるために、次々に載置される。異なる硬度のジャケットは、中央ルーメン、編組及び膨張ルーメンアセンブリの上に配置され、各ジャケットは、次のジャケットに突き合わせて(物理的に接触して)長手方向に連続して配設されるか、又は隣接するジャケットの間に材料を流すために空間が残されてもよい。長手方向に配設された単一の外側ジャケットは、特定の材料が押出成形され得る壁厚がどの程度低くなるかに相関する、より低い輪郭壁厚を可能にする。これらのジャケットは、編組パターンを通ってリフローされ、中央及び膨張ルーメンのストライク層と結合される。リフロープロセスは、アセンブリ上にFEP熱収縮チューブを通すことと、熱を印加してジャケットをリフローすることと、FEP熱収縮を後で除去することと、を含む。次いで、バルーンをアセンブリに熱溶接する。半径方向に配設された外側ジャケットも可能である。
【0028】
構成要素が所望のように組み立てられ、位置付けられると、インサートは、好ましくは、加熱中に開口部の封止を防止し、それによって以下の領域における流体連通を維持するように配置される。(i)膨張ルーメンの端、(ii)バルーンと膨張ルーメンとの間、及び(iii)膨張ルーメンとPTFE微多孔質膜との間。熱が印加され、それにより、熱可塑性材料がリフローして、固定されたアセンブリを形成する一方で、インサートは、通信チャネルの封止を禁止する。最後に、インサートが取り外され、バルーン125が、固定されたアセンブリに組み立てられる(例えば、熱溶接)。
図2A及び2Bの構成では、バルーン125の遠位端は、カテーテルの壁内(すなわち、PTFE中央ライナーと外側ジャケットとの間)に封止される。その後、バルーン125を反転させ、その近位端を、組み立てられたカテーテル本体の外側面にレーザ溶接する。
図1Aに描写される代替的な構成では、遠位端又は遠位先端150の周りに巻き付けるのではなく、バルーンは、その近位端及び遠位端の両方においてカテーテルシャフトの外側面にレーザ溶接される。ルアー又は他のコネクタ160は、組み立てられたカテーテルの近位端に取り付けられてもよい。
【0029】
膨張/排気ベントの位置は、残留空気の完全な通気を促し、残留空気が十分に抽気されたときにのみ、バルーンは、カテーテルの残留空気を抽気するために最初に使用された膨張媒体と共に膨張する。これを容易にするために、好ましくは、膨張ポートのサイズ及び排気ベントのサイズは、バルーンを膨張させるために必要とされる圧力が、残留空気を通気するために必要とされる圧力よりも大きくなるように最適化される。
【0030】
図2A~2Gでは、編組155は、組み立てられた形成された管状PTFE主/中央ライナーの外周部の周りに巻かれ、ePTFE微多孔質膜がそこに固定されて、微多孔質膜を定位置に保持する。ePTFE微多孔質膜は、別の方法で編組の上に位置付けられてもよく、すなわち、形成された管状の主/中央ライナーの外周の周りに、形成された管状膨張ライナーの全体的に半径方向内側(すなわち、下方/下側)に編組が巻き付けられてもよい。別の設計中では、編組は、組み立てられた形成された管状PTFE主/中央ライナー、ePTFE微多孔質膜、及び形成された管状膨張ライナーの外周の周りに巻き付けられてもよい。また更に別の構成では、編組の一部分は、形成された管状膨張ライナー(すなわち、形成された管状膨張ライナーと形成された管状主/中央ライナーとの間)の半径方向内側(すなわち、下方/下側に)に巻き付けられ、別の部分は、形成された管状膨張ライナーの半径方向外側(すなわち、上方/上側)に巻き付けられてもよい(
図5Aに示すように)。
【0031】
本発明の陽圧通気式バルーンガイドカテーテルは、体内への導入前に医師又は介在医によって準備される。具体的には、膨張媒体を収容するシリンジ120は、膨張ポート115を介して膨張ルーメン110に接続される。医師又は介在医が、シリンジ120を使用して膨張媒体を膨張ルーメン110内に分配すると、内部の残留空気は膨張ルーメン110を通って遠位方向に膨張媒体によって押される。残留空気は、膨張媒体によって膨張ルーメンを通して確実に押されるため、カテーテルから残留空気をパージするための真空又は陰圧の必要性を排除する。より詳細には、最初に、バルーンが収縮し、カテーテル本体の外側面に対して物理的に接触して緊密に巻き付けられると、残留空気は、微多孔質膜140を通過し、排気開口部135、135’を通ってカテーテル本体から出る際に最も抵抗の少ない経路又は通路をたどる。膨張媒体が膨張ポート内に導入されると、残留ガス(例えば、空気)のみが微多孔質膜140を透過し、それぞれの半径方向及び長手方向に構成された排気開口部135、135’を通って外向きに出てくる。微多孔質膜140は、最初にカテーテル内に以前閉じ込められていた残留ガス(例えば、空気)が多孔質膜を通過して排気開口部135、135’から外向きに出てくるという事実により、液体膨張媒体が透過することを阻止するため、膨張ルーメン110内の圧力は、いくらか均等化又は一定のままである。しかしながら、カテーテル内の残留ガス(例えば、空気)が一旦抽気されると、膨張ルーメン内への加圧膨張媒体の継続的な分配が、膨張開口部130に圧力を増大させ、バルーン125に半径方向外向きの力をかけて、膨張媒体を充填するにつれて半径方向外側に膨張させる。
図1Aは、収縮状態にある間のバルーン125を描写する。
図1Dは、残留空気がカテーテルからパージされ、膨張媒体がバルーンを完全に充填した時点の、完全に膨張した状態にある間のバルーンを描写する。
【0032】
1つの膨張開口部130のみが
図1Aに示されているが、バルーン125のより速い膨張/拡張のために、2つ以上の膨張開口部も想到され、かつ本発明の意図される範囲内である。収縮状態にある間(
図1Aに見られるように)、バルーン125は、膨張開口部130を封止するカテーテル本体の外側面と物理的に接触し、膨張開口部130は、膨張開口部130でバルーンに加えられる圧力が所定の閾値を超えるまで、放流媒体が通過できないように閉鎖される。
【0033】
本発明のバルーンガイドカテーテルの主/中央ルーメン305及び部分的に/半分取り囲む膨張ルーメン310の代替構成が
図3Aに示され、バルーンは膨張状態にある。再び膨張媒体が近位端345に受容され、遠位端350からパージ又は排出される。バルーン325は、その近位端においてカテーテルシャフト又は本体300に直接レーザ溶接され、一方、バルーン325の遠位孔340の反対側の遠位端(例えば、微多孔質膜又は複数の長手方向開口部)が、カテーテル本体の外側面とバルーンとの間の境界面に配設される。微多孔質膜340は、前の実施形態に関して詳細に説明したものと同様であり、残留ガス(例えば、残留空気)が通過することのみを可能にし、いかなる液体/溶液(例えば、膨張媒体)の通過を禁止する。隆起部、突起、突出部、又は他の隆起面375は、カテーテル本体の外側面から半径方向外側に延在し、微多孔質膜340の近位に位置する。血管内に挿入される前にバルーンガイドカテーテルを準備する間、装置は、遠位端が上方を向くように位置付けられる。膨張媒体が膨張ルーメンを通って注入されると、残留ガスは、バルーン325内でわずかに膨張して隆起部375を越えて向けられ、微多孔質膜340を通って出る。空気が漏出すると、膨張媒体の通過は、微多孔質膜340によって遮断され、バルーン325は圧力が増加して完全に膨張する。しかしながら、医師又は介在医は、バルーン内に見える残留ガスが存在しなくなるまで、バルーン325を部分的にのみ膨張させる必要がある。体内への挿入の前に、膨張媒体は、陰圧/真空下でシリンジ内に戻され、バルーン325が収縮する。収縮状態にある間、バルーン325は、隆起部、突起又は突出部375に対して封止を形成し、バルーンに戻る近位方向へのガスの通過を防止し、それによって、体内への挿入前に、収縮状態で空気をパージしたルーメンを維持する。
【0034】
本発明によるバルーンカテーテルの構成のまた更なる変更において、その遠位端における組み立てられたカテーテル本体は、
図4A~4Dに描写されるように、拡張可能な遠位端又は遠位先端450を有するように構成されてもよい。バルーンが収縮されているときに圧縮状態にある間の、カテーテルの拡張可能な遠位端又は遠位先端のより小さい直径に対して、拡張可能な遠位端又は遠位先端は、バルーンが膨張されているとき、より大きい直径を有する拡張状態にある。具体的には、拡張可能な遠位端又は遠位先端450は、オーバーモールドされたバルーン425によって共に半径方向に圧縮可能な複数の分離拡張可能なフィンガー480に分割される。この特定の構成では、拡張可能なフィンガーの外側輪郭に実質的に一致するのではなく、拡張可能な状態にある間では、その代わりにオーバーモールドされたバルーンが、フィンガーの先端又は端に沿って緊張して引っ張られ、フィンガーの先端又は端と物理的に接触する(フィンガー間のバルーンの物理的接触なし)。
図4A及び
図4Bに示される構成では、バルーンは、主ライナー210及び外側ジャケット500を通してパンチ孔と一致する多孔質膜440の遠位のカテーテルシャフトの外周の周りにのみ溶接又は固定される。更に詳細に説明するように、接着剤結合又は熱融着など、拡張可能かつ分離可能なフィンガーの周りでバルーンを固定するための他の取り付け方法が想到され、かつ本発明の意図される範囲内である。カテーテルの拡張可能な遠位端又は遠位先端450は、所望により、2つ以上の任意の数の拡張可能かつ分離可能なフィンガー480に分割されてもよい。フィンガー480の数が多いほど、カテーテルのバルーンが膨張媒体で膨張されているときに、隣接する分離可能なフィンガーの間の拡張可能な材料が互いに広がる必要がある距離が短くなる。フィンガー480の数が少ないほど、フィンガーが拡張する直径が大きくなる。フィンガー間の空間は、所望に応じて調整することができる。すなわち、材料を膨張させる力が比較的低いように、隣接するフィンガーの間の空間を増加させて、十分な膨張可能な材料を可能にする。隣接するフィンガーの間の空間は、拡張可能な材料が所定の直径で最大膨張に達するように低減されてもよい。フィンガーは、任意に、曲折経路を通してナビゲートするときに可撓性を最適化するために、横方向の曲げ力を最小化するのに役立つ特徴部を含んでもよい。
【0035】
膨張媒体を膨張ルーメン405内に分配する前に、バルーン425は収縮状態にあり、カテーテルの拡張可能な遠位端又は遠位先端450は、
図4Bに見られるように、半径方向に圧縮された状態にある。この半径方向に圧縮された状態にある間、隣接するフィンガー480は、遠位端又は遠位先端の外径がカテーテルの残りの部分の外径以下であるように、それらの間に最小の距離間隔を有する。バルーン425が収縮状態にあるとき、バルーン425は、収縮封止として機能する隆起部475に対して物理的に接触して緊張して引っ張られて、残留ガス(例えば、空気)が排気ベント485を近位方向に通ってバルーン425内に戻ることを禁止する。
【0036】
図4Aを参照すると、膨張中、バルーン425は半径方向に膨張して長手方向に収縮し、それによって拡張可能な遠位先端450を近位に引っ張り、隣接するフィンガー480間の距離間隔を拡大する。このような拡大された遠位端又は遠位先端により、より幅広い口部が吸引のためにカテーテルの遠位端上に提供され、血塊と係合されたときにより大きな吸引力が得られる。血塊が係合されると、吸引力は、バルーンが収縮している間に維持されてもよく、遠位口部は、より大きなガイド又はバルーンガイドカテーテルを通して抽出するために血塊を把持するのを支援するために、血塊を半径方向に圧縮する。バルーンは、バルーン及び拡張可能な遠位端又は遠位先端450の特定の拡張プロファイルを画定する際に、所望に応じて厚さが変化してもよい。
【0037】
図4Cは、線IV(C)-IV(C)に沿った
図4Bのカテーテルの4本のフィンガーの半径方向断面図であり、フィンガーは圧縮状態にあり(縮径)、バルーンは収縮している。
図4Dの別の図は、
図4Aの拡張可能な遠位先端の端面図を描写し、具体的には、バルーンが膨張された状態で、拡張可能な遠位端又は遠位先端の4本のフィンガーが膨張状態(拡大直径)にある。
【0038】
図4Fに示されるように、膨張時にバルーンの直径を半径方向に制限するために、拡張可能な遠位端又は遠位先端450(
図4E)の近位側のバルーンの周りに制限バンド495が配設されてもよい。放射線不透過性材料が制限バンド495のために選択される場合、バンドは、血管内の標的部位へのカテーテルのナビゲーション中にマーカーの二重機能を果たすことができる。バルーン425は、カテーテルシャフトの外側面に近位に接着又は固定され、制限バンド495の下側にて、任意の方法で固定されることなく(連結解除)、フィンガー480を遠位に封入する。したがって、膨張媒体によるバルーン425の膨張/収縮中、制限バンド495の下側のバルーン425の任意の摺動移動が妨げられず、許容される。バルーン425が膨張媒体で膨張されると、バルーン内の圧力が増加し(「IP」矢印で示される)、バルーンの直径を拡大させ、次いで、バルーン材料に張力(「T」矢印で示される)を印加してフィンガーを開放又は分離させ、それによって拡張可能な遠位先端の直径を増加させる。好ましくは、拡張可能な遠位先端又は遠位端450は、膨張したバルーンの外径よりも大きい外径に拡張する。
【0039】
カテーテルの拡張可能な遠位先端又は遠位端の更に別の代替的構成が、
図4G及び
図4Hに例示されている。この特定の設計では、バルーンの近位端が、カテーテルシャフトの外側面に近接して固定される一方で、バルーンの反対側の端は、フィンガーの間で遠位に固定される(例えば、接合又は溶接)。このような遠位溶接パターン(破線で示される)は、
図4H、及び
図4Hの拡張可能な遠位先端の
図4Iの遠位端図に示されるように、バルーンを封止し、拡張中のフィンガーの膨張を促進する。
【0040】
カテーテルの拡張可能な遠位端又は遠位先端の最後の構成が
図6A及び6Bに描写されており、フィンガーは、カテーテルシャフトの遠位端に取り付けられた拡張可能なケージ、メッシュ又は編組480’で置き換えられている。バルーン425の近位端が、カテーテルシャフトの外側面に固定されている一方で、その反対側の遠位端は編組480’を封入し、編組を介して主軸の遠位端に遠位に結合されている。拡張可能な遠位先端の上で拡張可能なバルーン材料の特定の編組パターン及び所望の拡張性の程度を選択することによって、バルーンが膨張媒体で膨張/拡張するにつれて、編組480’は開放される(すなわち、直径が増加する)。拡張が意図されるカテーテルの遠位端又は遠位先端(例えば、フィンガー480又は編組480’)の拡張を制限するため、形成された管状PTFE主/中央ライナーのいかなる部分もその遠位端又は遠位先端の部分に存在しない(すなわち、遠位に延在しない)が、しかしながら、形成された管状PTFE主/中央ライナーの遠位終端は、軸方向に延在し、そのため拡張可能な遠位端又は遠位先端がカテーテルシャフトの遠位端にヒンジにより接続される位置を補強してもよいことに留意されたい。更に、バルーンの遠位端は、近位に延在して編組を封入するカテーテルの遠位先端で反転されてもよい。
【0041】
本明細書に記載される本発明の実施形態のそれぞれにおいて、残留空気がカテーテルから遠位に排出されるので、本発明のバルーンカテーテルは、体内に導入される前に装置をパージすることによって準備される。体内への導入の前にカテーテルをパージしないことにより、血管系に不必要に侵入する排出された残留空気が、患者に害を及ぼす可能性がある。本発明のバルーンガイドカテーテルに関連する陽圧通気システムは、装置から残留空気をパージするための準備工程を簡略化し、それによって医師又は介在医による装置の使用に対する障害を最小限に抑える。
【0042】
以上、本発明の好ましい実施形態に適用されるような本発明の基本的な新規特徴を示し、記載し、かつ指摘してきたが、当業者であれば、例示されたシステム/装置の形態及び詳細、並びにそれらの操作における様々な省略、置換、及び変更を、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく実施し得ることが理解されよう。例えば、同じ結果を達成するために、実質的に同じ機能を実質的に同じやり方で実行して同じ結果を達成する構成要素及び/又は工程の組み合わせはすべて、本発明の範囲内に包含されるように明らかに意図される。また、上述のある実施形態から別の実施形態への要素の置き換えも、完全に意図及び想定の範囲内である。また、図面は必ずしも一定の比例尺で描かれておらず、あくまでも概念的なものにすぎない点も理解されるべきである。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲に示される内容によってのみ限定されるものとする。
【0043】
本明細書に引用されたすべての発行済み特許、係属中の特許出願、刊行物、論文、書籍、又は他の参照文献はいずれも、その全体がそれぞれ参照により組み込まれる。
【0044】
〔実施の態様〕
(1) バルーンガイドカテーテルであって、
外側面と、近位端と、反対側の遠位端とを有するカテーテルシャフトであって、内部に画定され、内部を通って前記近位端から前記遠位端まで軸方向に延在する、主ルーメンを有し、主軸が、ガイドワイヤを内部に受容するように構成されており、前記カテーテルシャフトは、内部に軸方向に画定され、前記主ルーメンを半分取り囲んで配置された膨張ルーメンを有し、前記膨張ルーメンは、前記カテーテルシャフトから半径方向外側に画定された入口ポートと、前記カテーテルシャフトの前記遠位端に近接して配設された少なくとも1つの排気ベントとを有し、前記少なくとも1つの排気ベントは、前記膨張ルーメンの遠位終端を通って長手方向に、又は前記主ルーメンと流体連通して半径方向内側に配設されている、カテーテルシャフトと、
前記少なくとも1つの排気ベントに配設された多孔質膜であって、内部に画定され、ガスのみが通過することを可能にするように寸法決めされた複数の孔を有する、多孔質膜と、
前記カテーテルシャフトの前記遠位端に近接して前記カテーテルシャフトの前記外側面の周りに固定され、前記入口ポートと一致する、拡張可能なバルーンと、を備える、バルーンガイドカテーテル。
(2) 前記カテーテルシャフトは、前記主ルーメンが内部を通って長手方向に延在する形成された管状主ライナーを備え、前記カテーテルシャフトは、前記膨張ルーメンが内部を通って長手方向に延在する形成された管状膨張ライナーを更に備え、前記少なくとも1つの排気ベントが、前記主ルーメンと流体連通して半径方向内側に配設され、前記バルーンガイドカテーテルは補強部材を更に備え、前記補強部材が、編組又はコイルであり、前記補強部材が、(i)前記形成された管状主ライナーのみ、(ii)多孔質部材を備える前記形成された管状主ライナーのアセンブリのみ、又は(iii)前記形成された管状主ライナー、前記多孔質部材、及び前記形成された管状膨張ライナーのアセンブリ、の周りに配設されている、実施態様1に記載のバルーンガイドカテーテル。
(3) 前記少なくとも1つの排気ベントが、前記膨張ルーメンの前記遠位終端を通って長手方向に配設され、前記バルーンガイドカテーテルは、前記入口ポートと一致する前記カテーテルシャフトの前記外側面から半径方向外側に配設され、長手方向に配設された前記排気ベントの近位に位置付けられた、隆起部を更に備え、前記バルーンは、収縮状態にある間、前記隆起部に物理的に接触し、内部を通って近位方向への空気の通過を封止する、実施態様1に記載のバルーンガイドカテーテル。
(4) 前記カテーテルシャフトの前記遠位端に装着された拡張可能な遠位先端を更に備え、前記拡張可能なバルーンの近位端が、前記カテーテルシャフトの前記外側面に固定されている一方で、前記拡張可能なバルーンの反対側の遠位端は、前記拡張可能な遠位先端を封入し、前記拡張可能な遠位先端は、前記拡張可能なバルーンが収縮しているときの第1の直径を有する圧縮状態から、前記拡張可能なバルーンが膨張しているときの前記第1の直径より大きい第2の直径を有する拡張状態へ移行する、実施態様1に記載のバルーンガイドカテーテル。
(5) 前記拡張可能な遠位先端は、複数の拡張可能かつ分離可能なフィンガーであり、前記拡張可能なバルーンは、(i)前記拡張可能な遠位先端に固定されているが、前記拡張可能かつ分離可能なフィンガーの間に固定されていない、又は(ii)前記拡張可能な遠位先端の前記複数の拡張可能かつ分離可能なフィンガーのそれぞれに沿って、かつそれらの間に固定されている、実施態様4に記載のバルーンガイドカテーテル。
【0045】
(6) 前記拡張可能な遠位先端の近位にある前記拡張可能なバルーンの周りに配設された抵抗バンドを更に備え、前記拡張可能なバルーンは、前記抵抗バンドから連結解除され、それにより、前記抵抗バンドの下での前記拡張可能なバルーンの自由な運動が可能となる、実施態様4に記載のバルーンガイドカテーテル。
(7) 前記拡張可能な遠位先端が、前記カテーテルシャフトの前記遠位端に装着された拡張可能な編組である、実施態様4に記載のバルーンガイドカテーテル。
(8) バルーンガイドカテーテルを使用するための方法であって、前記バルーンガイドカテーテルは、外側面と、近位端と、反対側の遠位端とを有するカテーテルシャフトであって、内部に画定され、内部を通って前記近位端から前記遠位端まで軸方向に延在する、主ルーメンを有し、主軸が、ガイドワイヤを内部に受容するように構成されており、前記カテーテルシャフトは、内部に軸方向に画定され、前記主ルーメンに対して偏心して配置された膨張ルーメンを更に有し、前記膨張ルーメンは、前記カテーテルシャフトから半径方向外側に画定された入口ポートと、前記カテーテルシャフトの前記遠位端に近接して配設された少なくとも1つの排気ベントとを有し、前記少なくとも1つの排気ベントは、前記膨張ルーメンの遠位終端を通って長手方向に、又は前記主ルーメンと流体連通して半径方向内側に配設されている、カテーテルシャフトを有し、前記バルーンガイドカテーテルは、前記少なくとも1つの排気ベントに配設された多孔質膜であって、内部に画定され、ガスのみが通過することを可能にするように寸法決めされた複数の孔を有する、多孔質膜を更に含み、前記バルーンガイドカテーテルはまた、前記カテーテルシャフトの前記遠位端に近接して前記カテーテルシャフトの前記外側面の周りに固定され、前記入口ポートと一致する、拡張可能なバルーンを含み、前記方法は、
前記バルーンガイドカテーテルを標的血管に導入する前に、前記少なくとも1つの排気ベントを介して、前記膨張ルーメン及び前記拡張可能なバルーンから遠位に残留空気を確実に通気することによって、前記バルーンガイドカテーテルを準備する工程を含む、方法。
(9) 前記カテーテルシャフトは、前記主ルーメンが内部を通って長手方向に延在する形成された管状主ライナーを備え、前記カテーテルシャフトは、前記膨張ルーメンが内部を通って長手方向に延在する形成された管状膨張ライナーを更に備え、前記少なくとも1つの排気ベントが、前記主ルーメンと流体連通して半径方向内側に配設され、前記バルーンガイドカテーテルは補強部材を更に備え、前記補強部材が、編組又はコイルであり、前記補強部材が、(i)前記形成された管状主ライナーのみ、(ii)多孔質部材を備える前記形成された管状主ライナーのアセンブリのみ、又は(iii)前記形成された管状主ライナー、前記多孔質部材、及び前記形成された管状膨張ライナーのアセンブリ、の周りに配設されている、実施態様8に記載の方法。
(10) 前記拡張可能なバルーンを収縮させながら、前記入口ポートと一致する前記カテーテルシャフトの前記外側面から半径方向外側に配設され、長手方向に配設された前記排気ベントの近位に位置付けられた隆起部に対して物理的に接触している収縮した前記バルーンを封止することによって、前記膨張ルーメンの前記遠位終端を通って長手方向に配設された前記少なくとも1つの排気ベントを通って近位に戻る空気の通過を封止する工程を更に含む、実施態様8に記載の方法。
【0046】
(11) 前記バルーンガイドカテーテルは、前記カテーテルシャフトの前記遠位端に装着された拡張可能な遠位先端を更に備え、前記拡張可能なバルーンの近位端が、前記カテーテルシャフトの前記外側面に固定されている一方で、前記拡張可能なバルーンの反対側の遠位端は、前記拡張可能な遠位先端を封入し、前記方法は、前記拡張可能な遠位先端を、前記拡張可能なバルーンが収縮しているときの第1の直径を有する圧縮状態から、前記拡張可能なバルーンが膨張しているときの前記第1の直径より大きい第2の直径を有する拡張状態へ移行させる工程を更に含む、実施態様8に記載の方法。
(12) 前記拡張可能な遠位先端は、複数の拡張可能かつ分離可能なフィンガーであり、前記拡張可能なバルーンは、(i)前記拡張可能な遠位先端に固定されているが、前記拡張可能かつ分離可能なフィンガーの間に固定されていない、又は(ii)前記拡張可能な遠位先端の前記複数の拡張可能かつ分離可能なフィンガーのそれぞれに沿って、かつそれらの間に固定されている、実施態様11に記載の方法。
(13) 前記バルーンガイドカテーテルは、前記拡張可能な遠位先端の近位にある前記バルーンの周りに配設された抵抗バンドを更に備え、前記拡張可能なバルーンは、前記抵抗バンドから連結解除され、それにより、前記抵抗バンドの下での前記拡張可能なバルーンの自由な運動が可能となる、実施態様11に記載の方法。
(14) 前記拡張可能な遠位先端が、前記カテーテルシャフトの前記遠位端に装着された拡張可能な編組である、実施態様11に記載の方法。
(15) 陽圧遠位通気式バルーンガイドカテーテル(positive distal vented balloon guide catheter)の製造方法であって、
管状主ライナーを形成して、内部を通って軸方向に主ルーメンを形成する工程であって、形成された前記管状主ライナーは、選択された表面にエッチング領域及びポリマーストライク層を有する、工程と、
前記形成された管状主ライナーを通って半径方向に第1の開口部を穿孔する工程であって、前記第1の開口部は、前記管状主ライナーを通って軸方向に画定された前記主ルーメンと流体連通する半径方向の排気ベントとして機能する、工程と、
微多孔質膜の両表面の選択された部分にエッチングされたかつポリマーストライク層を有する前記微多孔質膜を提供する工程と、
前記形成された管状主ライナー内に画定された穿孔された前記排気ベントを覆うように前記微多孔質膜を位置付ける工程と、
前記形成された管状主ライナーを、熱を印加しながら前記微多孔質膜と一緒に付着させて積層する工程と、を含む、方法。
【0047】
(16) マンドレル、前記形成された管状主ライナー、及び前記微多孔質膜を含む積層アセンブリの上にポリマージャケットを位置付ける工程と、
熱収縮を加えて前記ポリマージャケットのリフローを引き起こし、前記ポリマージャケットを前記微多孔質膜のエッチング/ストライク層、及び前記形成された管状主ライナーの前記エッチング/ストライク層に結合する工程と、を更に含む、実施態様15に記載の方法。
(17) 管状膨張ライナーを形成して、内部を通って軸方向に膨張ルーメンを形成する工程であって、形成された前記管状膨張ライナーは、選択された表面にエッチング領域及びポリマーストライク層を有する、工程と、
前記形成された管状膨張ライナーを通って半径方向に第2の開口部を穿孔する工程であって、前記第2の開口部は、前記管状膨張ライナーを通って軸方向に画定された前記膨張ルーメンと流体連通する半径方向の排気ベントとして機能する、工程と、
前記形成された管状膨張ライナーの前記第2の開口部を、前記形成された管状主ライナーの前記第1の開口部に対して長手方向に位置付ける工程と、
前記形成された管状膨張ライナーの周りに少なくとも1つのジャケットを適用する工程と、
熱収縮を加えて、少なくとも1つの外側ジャケットのリフローを引き起こし、前記編組への、前記形成された管状膨張ライナーの前記形成された管状主ライナーへの融合アセンブリを形成する工程と、
前記融合アセンブリの周りにバルーンを取り付ける前に、前記熱収縮を除去する工程と、を更に含む、実施態様16に記載の方法。
(18) 前記形成された管状膨張ライナーの前記第2の開口部を、前記形成された管状主ライナーの前記第1の開口部に対して長手方向に位置付ける工程の前に、(i)前記形成された管状膨張ライナーを含まない前記形成された管状主ライナー、(ii)前記形成された管状膨張ライナーを含む前記形成された管状主ライナー、又は(iii)前記形成された管状主ライナー、の周りに巻かれた編組又はコイルを適用する工程を更に含み、前記編組の一部が、前記形成された管状膨張ライナーの周りに巻き付けられている一方で、前記編組の別の部分は、前記形成された管状主ライナーと前記形成された管状膨張ライナーとの間に配設されている、実施態様17に記載の方法。