(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】仮想POSサーバおよび仮想POSシステム
(51)【国際特許分類】
G06F 8/00 20180101AFI20240917BHJP
G06Q 30/06 20230101ALI20240917BHJP
G06F 21/62 20130101ALI20240917BHJP
【FI】
G06F8/00
G06Q30/06
G06F21/62
(21)【出願番号】P 2020085186
(22)【出願日】2020-05-14
【審査請求日】2023-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】箕浦 悠介
【審査官】北川 純次
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-067825(JP,A)
【文献】特開2014-235460(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0113375(US,A1)
【文献】特開平11-259557(JP,A)
【文献】特開2016-009377(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 8/00
G06F 21/62
G06Q 30/06
G07G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
POSアプリケーションプログラムを記憶するメモリと、
情報端末と通信する通信インターフェースと、
キーワードごとに設定された実行レベルを示す実行可否テーブルを備える記憶装置と、
前記情報端末がユーザによる操作に応じて呼び出したキーワードを前記通信インターフェースを介して取得し、
前記情報端末を操作するユーザの権限レベルを特定し、前記ユーザの権限レベルが前記キーワードに設定された実行レベル以上である権限を有する場合、前記キーワードによって要求される処理を前記POSアプリケーションプログラムで実行し、前記POSアプリケーションプログラムの処理結果を前記情報端末へ転送するプロセッサと、
を有する仮想POSサーバ。
【請求項2】
前記記憶装置は、実行可能なキーワードを示す情報を記憶したキーワードライブラリを備え、
前記プロセッサは、前記情報端末から取得したキーワードが前記キーワードライブラリに存在しない場合、エラー処理を実行する、
請求項1に記載の仮想POSサーバ。
【請求項3】
さらに、登録者の認証情報に対応づけて当該登録者に設定された権限レベルを記憶する認証データベースを有し、
前記プロセッサは、前記認証データベースと前記情報端末から取得するユーザの認証情報とに基づいてユーザの権限レベルを特定する、
請求項1に記載の仮想POSサーバ。
【請求項4】
前記メモリは、複数のPOSアプリケーションプログラムを記憶し、
前記プロセッサは、前記通信インターフェースを介して通信する情報端末に対してキーワードによって要求される処理を実行するPOSアプリケーションを割り当てる、
請求項1乃至3の何れか1項に記載の仮想POSサーバ。
【請求項5】
仮想POSサーバと情報端末とを含む仮想POSシステムにおいて、
前記情報端末は、
前記仮想POSサーバと通信する第1の通信インターフェースと、
ユーザによる操作に応じて呼び出すキーワードを前記第1の通信インターフェースを介して前記仮想POSサーバへ送信する第1のプロセッサと、を有し、
前記仮想POSサーバは、
POSアプリケーションプログラムを記憶するメモリと、
前記情報端末と通信する第2の通信インターフェースと、
キーワードごとに設定された実行レベルを示す実行可否テーブルを備える記憶装置と、
前記情報端末がユーザによる操作に応じて呼び出したキーワードを前記第2の通信インターフェースを介して取得し、
前記情報端末を操作するユーザの権限レベルを特定し、前記ユーザの権限レベルが前記キーワードに設定された実行レベル以上である権限を有する場合に、前記キーワードによって要求される処理を前記POSアプリケーションプログラムで実行し、前記POSアプリケーションプログラムの処理結果を前記情報端末へ転送する第2のプロセッサと、を有する
、
仮想POSシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、仮想POSサーバおよび仮想POSシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、専用のハードウエアで構成された専用のPOSレジを店舗に設置しない決済処理システムが考えられている。専用のPOSレジを用いない店舗で実現される決済処理システムとしては、ユーザが所持する携帯端末(スマートフォン、タブレットPC等)を用いて商品を決済する決済処理システム(例えば、スマホPOSと称されるPOSシステム)などがある。また、店舗に配置したショッピングカートなどに設置した情報端末(タブレット等)を用いて商品の決済を行う決済処理システム(例えば、カートPOSと称されるPOSシステム)もある。
【0003】
しかしながら、従来のスマホPOSやカートPOSなどの決済処理システムは、ビジネスロジックの異なる個々の店舗ごとに開発しなければならない。個々の店舗におけるビジネスロジックの全てを携帯端末などの情報端末に移植することは、開発に多くの手間と時間が掛かる。従って、多種多様な店舗に情報端末を用いて決済を行う決済処理システムを提供するためには、個々の店舗に対応した決済処理システムを簡単に開発できるものが要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の課題を解決するため、情報端末を用いた決済処理システムの開発が容易にできる仮想POSサーバおよび仮想POSシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、仮想POSサーバは、メモリと通信インターフェースと記憶装置とプロセッサとを有する。メモリは、POSアプリケーションプログラムを記憶する。通信インターフェースは、情報端末と通信する。記憶装置は、キーワードごとに設定された実行レベルを示す実行可否テーブルを備える。プロセッサは、情報端末がユーザによる操作に応じて呼び出したキーワードを通信インターフェースを介して取得し、情報端末を操作するユーザの権限レベルを特定し、ユーザの権限レベルがキーワードに設定された実行レベル以上である権限を有する場合、キーワードによって要求される処理を前記POSアプリケーションプログラムで実行し、POSアプリケーションプログラムの処理結果を情報端末へ転送する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係る仮想POSサーバを含む仮想POSシステムの構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る仮想POSサーバにおける制御系の構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る仮想POSシステムにおける情報端末の制御系の構成例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る仮想POSサーバにおいて仮想POSを実現するためのソフトウエアの構成例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る仮想POSサーバの記憶装置に設けられる実行可否テーブルの構成例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る仮想POSシステムの動作を概略的に説明するための図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る仮想POSシステムの動作例を説明するためのシーケンスである。
【
図8】
図8は、実施形態に係る仮想POSサーバの動作例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。
図1は、実施形態に係る仮想POSサーバ11を含む仮想POSシステム1の構成例を示す図である。
図1に示すように、実施形態に係る仮想POSシステム1は、仮想POSサーバ11、基地局12および情報端末13により構成される。仮想POSサーバ11は、基地局12を介して情報端末13と通信する。
【0009】
仮想POSサーバ11は、POS(Point Of Sales)レジとして動作するアプリケーションプログラム(以下、POSアプリケーションとも称する)がインストールされたサーバ装置である。仮想POSサーバ11は、POSアプリケーションを実行することにより仮想POSとして動作する。仮想POSは、POSレジの周辺機器としての仮想デバイス(プリンタ、スキャナ、ディスプレイ、ドロア、カードリーダなど)を用いたPOSレジとしての処理を実行する機能である。
図1に示す構成例において、仮想POSサーバ11は、複数の仮想POSを有する。仮想POSサーバ11では、情報端末13ごとに割り当てる仮想POSが情報端末13からの処理要求に対してPOSレジとしての処理結果を返す。
【0010】
基地局12は、情報端末13と無線通信を行うための機器である。基地局12は、ローカルエリアネットワークなどのネットワークを介して仮想POSサーバ11と接続される。すなわち、仮想POSサーバ11と情報端末13とは、基地局12を介して通信接続される。
【0011】
情報端末13は、ユーザが使用するコンピュータである。例えば、情報端末13は、スマートフォン、タブレットPC、あるいは、ショッピングカートに取り付けられた情報機器などである。情報端末13は、通信機能を有し、基地局12を介して仮想POSサーバ11と通信する。情報端末13は、仮想POSサーバ11へ仮想POSに実行を要求するキーワードを送信する。
【0012】
次に、実施形態に係る仮想POSシステム1における仮想POSサーバ11の構成について説明する。
図2は、実施形態に係る仮想POSシステム1における仮想POSサーバ11の制御系の構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、仮想POSサーバ11は、中央処理装置111、記憶装置(メモリ)112、通信インターフェース(I/F)113、ディスプレイインターフェース(I/F)114、および、ディスプレイ115などを有する。
【0013】
中央処理装置111は、仮想POSサーバ11による情報処理を実行する。中央処理装置111は、プロセッサ121、ROM(read-only memory)122、RAM(random-access memory)123などを有する。プロセッサ121は、プログラムを実行する演算回路を含む。プロセッサ121は、例えば、CPUである。プロセッサ121は、ROM122又は記憶装置112が記憶するプログラムを実行する。プロセッサ121は、プログラムを実行することで各部の制御およびデータ処理などを実行する。プロセッサ121は、第2のプロセッサとしての機能を含む。
【0014】
また、プロセッサ121は、オペレーティングシステム(OS)上で動作するPOSアプリケーションプログラムを実行することで仮想POSとして機能する。また、プロセッサ121は、仮想デバイスプログラムを実行することによりPOSレジの周辺機器に相当する各種のデバイスを仮想的に実現する。また、プロセッサ121は、キーワード実行プログラムを実行することにより情報端末13から与えられたキーワードに応じた処理を仮想POSに実行させる。
【0015】
ROM122は、不揮発性のメモリである。ROM122は、プロセッサ121が実行するプログラムを記憶する。RAM123は、揮発性のメモリである。RAM123は、一時的にデータを保持するワーキングメモリとして使用される。例えば、RAM123は、プロセッサ121が処理を実行するために使用するデータあるいは処理結果などを一時的に記憶する。
【0016】
記憶装置112は、書き換え可能な不揮発性のメモリを含む記憶装置である。記憶装置112は、プロセッサ121が実行するプログラム、各種の処理に用いる設定データ、処理結果などを示すデータを保存する。本実施形態において、記憶装置112は、仮想POSとして機能するためのプログラム群を記憶する。また、記憶装置112は、各種のデータも記憶する。
【0017】
通信インターフェース112は、情報端末11と通信するためのインターフェースである。
図1に示す構成例において、プロセッサ121は、通信インターフェース112により基地局12を介して情報端末11と通信する。通信インターフェース112は、第2の通信インターフェースとしての機能を含む。
【0018】
ディスプレイ115は、ディスプレイインターフェース(I/F)114を介して中央処理装置に接続される。ディスプレイ115は、仮想POSによる処理結果を確認するための画面などを表示する。ディスプレイ115は、仮想POSサーバ11の外部装置であっても良い。例えば、プロセッサ121は、キーワードに対応する仮想POSによる処理結果をディスプレイ115に表示するようにしても良い。これにより、システム管理者などの人物が、POSアプリケーションを含む仮想POSの動作や状態を確認できるようにしても良い。
【0019】
次に、実施形態に係るPOSシステム1における情報端末13の制御系の構成について説明する。
図3は、実施形態に係る情報端末13の制御系の構成例を示すブロック図である。
図3に示すように、情報端末13は、プロセッサ311、ROM(read-only memory)312、RAM(random-access memory)313、記憶装置314、通信インターフェース(I/F)315、デバイスインターフェース(I/F)316、タッチパネル317、および、ディスプレイ318などを有する。
【0020】
プロセッサ311は、プログラムを実行する演算回路を含む。プロセッサ311は、第1のプロセッサとしての機能を含む。プロセッサ311は、例えば、CPUである。プロセッサ311は、ROM312又は記憶装置314が記憶するプログラムを実行する。例えば、プロセッサ311は、オペレーティングシステム(OS)上で動作するアプリケーションプログラムを実行することで各種の処理を実現する。例えば、プロセッサ311は、アプリケーションプログラムによりユーザにGUI(グラフィカルユーザインターフェース)を提供する。また、プロセッサ311は、アプリケーションプログラムによってユーザがGUIを用いて入力する情報をキーワードの実行要求として仮想POSサーバ11へ送信する機能を実現する。
【0021】
ROM312は、不揮発性のメモリである。ROM312は、プロセッサ311が実行するプログラムを記憶する。RAM313は、揮発性のメモリである。RAM313は、一時的にデータを保持するワーキングメモリとして使用される。例えば、RAM313は、プロセッサ311が処理を実行するために使用するデータあるいは処理結果などを一時的に記憶する。
【0022】
記憶装置314は、書き換え可能な不揮発性のメモリを含む記憶装置である。記憶装置314は、プロセッサ311が実行するプログラム、各種の処理に用いる設定データ、処理結果などを示すデータを保存する。
通信インターフェース315は、仮想POSサーバ11と通信するためのインターフェースである。通信インターフェース315は、第1の通信インターフェースとしての機能を含む。
図1に示す構成例において、通信インターフェース315は、基地局12と無線通信を行う通信インターフェースである。
【0023】
デバイスインターフェース316は、タッチパネル317およびディスプレイ318と接続するためのインターフェースである。ディスプレイ318は、画面を表示する表示器である。ディスプレイ318は、デバイスインターフェース316を介して入力する画像信号に基づいて画像を表示する。タッチパネル317は、ディスプレイ318の表示画面上に設けられる。タッチパネル317は、ユーザがタッチした部位を検知する。タッチパネル317は、デバイスインターフェース316を介してユーザがタッチした部位を示す情報をプロセッサ311へ供給する。
【0024】
次に、実施形態に関わる仮想POSサーバ11が仮想POSとして機能するために記憶装置112に記憶されるデータについて説明する。
図4は、実施形態に関わる仮想POSサーバ11の記憶装置112に記憶されるデータの例を示す図である。
図4に示す例において、記憶装置112には、オペレーティングシステム(OS)プログラム131、デバイスドライバプログラム132、フィルタドライバプログラム133、POSアプリケーションプログラム134、仮想デバイスプログラム135、キーワード実行プログラム136などのプログラムが記憶されている。さらに、記憶装置112には、キーワードライブラリ317、認証データベース138および実行可否テーブル139なども記憶する。
【0025】
OSプログラム(以下、OS)131は、アプリケーションプログラムなどを動作させるための基本プログラムである。デバイスドライバプログラム(以下、デバイスドライバ)132は、周辺機器を動作させるためのプログラムである。フィルタドライバプログラム(以下、フィルタドライバ)133は、デバイスドライバ132と仮想デバイスプログラム135との間でデータを入出力するプログラムである。
【0026】
デバイスドライバ132は、POSレジの周辺機器に相当する仮想デバイスごとにインストールされる。例えば、POSレジの周辺機器に相当する仮想デバイスとして、プリンタ、スキャナ、ディスプレイ、ドロア、カードリーダなどを利用する場合、それぞれに対応するデバイスドライバプログラムが記憶装置112に記憶される。
【0027】
POSアプリケーションプログラム(以下、POSアプリケーション)134は、仮想POSとして動作するプログラムである。プロセッサ121は、POSアプリケーション134を実行することによりPOSレジと同等の処理を行う仮想POSとして動作する。POSアプリケーション134は、例えば、OS131上で動作するアプリケーションプログラムである。POSアプリケーション134は、仮想POSサーバ11が具備する仮想POSの台数分だけ記憶装置112にインストールされる。
【0028】
仮想デバイスプログラム(以下、仮想デバイス)135は、POSレジの周辺機器に相当する仮想デバイスとして動作するプログラムである。POSレジの周辺機器に相当する仮想デバイスには、プリンタ、スキャナ、ディスプレイ、ドロア、カードリーダなどがある。仮想デバイス135は、POSレジの周辺機器として利用するデバイスごとに記憶装置112にインストールされる。また、記憶装置112には、各仮想デバイス135に対応するデバイスドライバ132およびフィルタドライバ133がインストールされる。
【0029】
キーワード実行プログラム(以下、キーワード実行)136は、キーワードに応じてアプリケーションを実行させるプログラムである。キーワード実行136は、キーワード駆動による自動評価を行う手法としてISO/IEC/IEEE DIS 29119-2で標準化されたキーワード駆動テストが適用できる。例えば、キーワード実行136は、予めキーワードを羅列して作成されたテストスクリプトによって各キーワードに応じた処理をPOSアプリ134に実行させる。
【0030】
また、キーワードライブラリ317は、仮想POSが実行可能なキーワード(有効なキーワード)を示す情報を記憶したファイルである。例えば、プロセッサ121は、キーワードライブラリ317を検索することにより情報端末13から受けたキーワードが実行可能な(有効な)キーワードであるかを判定する。プロセッサ121は、キーワードライブラリ317に記憶されるキーワードに対応する処理をキーワード実行プログラム136によってPOSアプリケーション134に実行させる。
【0031】
また、認証データベース138は、ユーザを認証するための認証情報を含む登録者のユーザが情報を記憶するデータベースである。認証データベース138に登録する認証情報は、情報端末13を操作するユーザを認証できる情報であれば良い。例えば、認証情報は、パスワードなどのユーザが記憶する情報であっても良いし、ユーザが所持するカードなどから読み取る情報であっても良いし、ユーザの生体情報であっても良い。
【0032】
さらに、認証データベース138は、登録者の認証情報に対応づけて当該登録者に設定された権限レベルを記憶する。登録者に設定される権限レベルは、登録者の権限の高さを示す情報である。権限レベルは、POSアプリケーション134に実行させる各キーワードに対して設定される実行レベルと比較される情報である。例えば、ユーザ(登録者)の権限レベルが高ければ高いほど、実行レベルの高いキーワードが実行可となる。
なお、記憶装置112は、認証データベース138を用いてユーザ認証を行うためのユーザ認証用のアプリケーションプログラムも記憶される。ユーザ認証用のアプリケーションプログラムは、入力されるユーザログイン情報に含まれる認証情報と認証データベース138に登録されている認証情報とによるユーザ認証を行う。
【0033】
また、実行可否テーブル139は、各キーワードに対して設定される実行レベルを示す情報を格納する。実行レベルは、登録者に対して設定される権限レベルに対応する情報である。中央処理装置111は、ユーザの権限レベルが入力したキーワードを実行可とするレベルである場合、当該キーワードを実行する。
【0034】
図5は、実行可否テーブル319の構成例を示す図である。
図5に示すように、実行可否テーブル319には、各キーワードに対応づけて実行レベルが記憶される。キーワードに対応する処理は、ユーザの権限レベルが実行レベル以上である場合に実行可となる。すなわち、ユーザの権限レベルが実行レベル以上であれば、キーワードは実行可と判定される。また、ユーザの権限レベルが実行レベル未満であれば、キーワードは実行不可と判定される。
【0035】
例えば、一般ユーザの権限レベルを「1」、店舗のマネージャーの権限レベルを「2」、システム管理者の権限レベルを「3」とすることを想定する。この場合、実行レベル1のキーワードは、一般のユーザ、店舗のマネージャーおよびシステム管理者を含む各ユーザが実行できるように制御される。また、実行レベル2のキーワードは、一般のユーザを実行不可とし、店舗のマネージャーおよびシステム管理者が実行できるように制御される。実行レベル3のキーワードは、一般のユーザおよび店舗のマネージャーを実行不可とし、システム管理者が実行できるように制御される。
【0036】
次に、実施形態に係る仮想POSシステム1においてキーワードを実行するための処理の流れを概略的に説明する。
図6は、実施形態に係る仮想POSシステム1においてキーワードを実行するための処理の流れを概略的に説明するための概念図である。
情報端末13は、仮想POSに対するユーザによる操作などを受け付けるためのGUI(グラフィカルユーザインターフェース)を提供するアプリケーションプログラムがインストールされている。情報端末13は、ユーザによるGUIの操作に応じて仮想POSに要求可能なキーワードを呼び出す。情報端末13は、ユーザの操作に応じて呼び出したキーワードを仮想POSサーバ11へ送信する。
【0037】
図6に示す構成例において、仮想POSサーバ11は、複数の仮想POSを有する。仮想POSサーバ11は、通信接続した情報端末13に対して1つの仮想POSを割り当てる。仮想POSサーバ11の仮想POSは、割り当てられた情報端末13からのキーワードを受信する。仮想POSサーバ11は、情報端末13からキーワードを受信すると、キーワードライブラリ137を検索することにより受信したキーワードが実行可能な有効なキーワードであるかを確認する。
【0038】
仮想POSサーバ11は、情報端末13から受信したキーワードが有効なキーワードであると確認した場合、当該キーワードの実行レベルを特定する。仮想POSサーバ11は、ユーザの権限レベルが当該キーワードの実行レベル以上であるか否かにより当該キーワードが実行可であるか否かを判定する。キーワードが実行可である場合、仮想POSサーバ11は、当該キーワードに応じた処理をPOSアプリケーションに実行させる。仮想POSサーバ11は、POSアプリケーションによる処理結果をキーワードの送信元である情報端末13へ送信する。
【0039】
また、
図7は、実施形態に係る仮想POSシステム1においてキーワードとしての商品入力に対応する処理を実行する流れを概略的に示すシーケンスである。
図7に示す処理例において、ユーザは、情報端末13において商品情報(例えば、みかん1個およびれもん2個)を入力して入力(登録)ボタンをタッチする。情報端末13は、入力ボタンがタッチされると、ユーザ操作に対応するキーワードとして商品入力を呼び出す。キーワードとしての商品入力を呼び出すと、情報端末13は、呼び出したキーワード(商品入力)の実行要求を仮想POSサーバ11へ送信する。
【0040】
仮想POSサーバ11は、情報端末13からキーワードとしての商品入力の実行要求を受けると、キーワードライブラリ137により受信したキーワード(商品入力)を検索する。仮想POSサーバ11は、キーワードライブラリ137に受信したキーワードとしての商品入力が存在すれば、受信した商品入力というキーワードが有効であると判定する。すなわち、仮想POSサーバ11は、キーワードライブラリ137を参照して商品入力がキーワードとして有効か否かを判定する。
【0041】
商品入力がキーワードとして有効である場合、仮想POSサーバ11は、ユーザの権限レベルに基づいて当該キーワード(商品入力)が実行可能か否かを判定する。例えば、仮想POSサーバ11は、ユーザの権限レベルが当該キーワード(商品入力)の実行レベル以上であるか否かを判定する。ユーザの権限レベルが商品入力の実行レベル以上である場合、仮想POSサーバ11は、商品入力を仮想POSに実行させ、その実行結果を情報端末13へ返す。
【0042】
次に、実施形態に係る仮想POSサーバ11における仮想POSの動作について説明する。
図8は、実施形態に係る仮想POSサーバ11における仮想POSとしての処理の流れを説明するためのフローチャートである。
まず、情報端末13のプロセッサ311は、ユーザ操作に応じて仮想POSシステムを利用するためのアプリケーションプログラムを起動させる。情報端末13のプロセッサ311は、アプリケーションが起動すると、通信インターフェース315による無線通信によって基地局12を介して仮想POSサーバ11へアクセス要求を送信する。
【0043】
仮想POSサーバ11は、ネットワークインターフェース113により情報端末13からのアクセス要求を受信する。仮想POSサーバ11の中央処理装置111は、情報端末13からのアクセス要求を受信すると、当該情報端末13に対して1つの仮想POSを割り当てる。中央処理装置111は、情報端末13に割り当てた仮想POSのPOSアプリケーション134を動作させ、当該情報端末13との通信接続を確立する(ACT11)。
【0044】
これにより、複数の仮想POSを有する仮想POSサーバ11は、1つの仮想POSで1つの情報端末13からのキーワードを処理できる状態となる。中央処理装置111は、情報端末13との通信接続が確立すると、ユーザを認証するためのユーザの認証情報を含むユーザログイン情報を情報端末13へ要求する。
【0045】
情報端末13のプロセッサ311は、仮想POSサーバ11からのユーザログイン情報の要求に応じてユーザから認証情報を取得する。情報端末13のプロセッサ311は、ログイン画面を表示し、ユーザの認証情報を含むユーザログイン情報を取得する。例えば、情報端末13のプロセッサ311は、ユーザログイン情報として、ユーザがタッチパネル317を用いて入力するユーザIDと認証情報としてのパスワードとを取得する。また、情報端末13のプロセッサ311は、カメラ又はセンサなどを用いてユーザの顔画像又は指紋などの生体情報をユーザの認証情報として取得しても良い。情報端末13のプロセッサ311は、ユーザから取得した認証情報を含むユーザログイン情報を仮想POSサーバ11へ送信する。
【0046】
中央処理装置111は、通信インターフェース113を介して情報端末13からのユーザログイン情報を取得する。中央処理装置111は、情報端末13からユーザログイン情報を取得すると、取得したユーザログイン情報を用いたユーザ認証を行う(ACT12)。中央処理装置111は、ユーザ認証として、取得したユーザログイン情報に含まれる認証情報と認証データベース138に記憶している登録者の認証情報とを照合する。中央処理装置111は、取得した認証情報と認証データベース138に登録している登録者の認証情報とが同一人物のものであると判定した場合、当該ユーザが登録者であると特定する。中央処理装置111は、ユーザ認証によってユーザが認証データベース138に登録された登録者であると特定すると、ログイン完了を示す情報を情報端末13へ送信する。
【0047】
中央処理装置111は、ログイン完了を示す情報を情報端末13へ通知した後、当該情報端末13からのキーワードの入力待ちの状態となる(ACT13)。情報端末13のプロセッサ311は、仮想POSサーバ11からのログイン完了の通知を受けてキーワードの入力が可能な状態となる。この状態において、情報端末13は、ユーザにより操作指示が操作内容に対応するキーワードを呼び出して仮想POSサーバ11へ送信する。
【0048】
情報端末13からのキーワードを受信した場合(ACT14、YES)、中央処理装置111は、キーワードライブラリ137において受信したキーワードを検索する(ACT15)。情報端末13から受信したキーワードがキーワードライブラリ137に存在しない場合(ACT16、NO)、中央処理装置111は、受信したキーワードが有効なキーワードでないと判断する。この場合、中央処理装置111は、エラー処理として、有効なキーワードでない旨を情報端末13へ送信する(ACT17)。
【0049】
情報端末13から受信したキーワードがキーワードライブラリ137に存在する場合(ACT16、YES)、中央処理装置111は、受信したキーワードが有効なキーワードであると判断する。受信したキーワードが有効なキーワードである場合、中央処理装置111は、当該ユーザが当該キーワードを実行できる権限レベルを有するか否かを判定する(ACT18)。
【0050】
例えば、中央処理装置111は、認証データベース138を参照して当該情報端末13のユーザの権限レベルを特定する。また、中央処理装置111は、実行可否テーブル139を参照して当該キーワードに設定されている実行レベルを特定する。当該ユーザの権限レベルとキーワードの実行レベルとを特定すると、中央処理装置111は、当該ユーザの権限レベルが当該キーワードの実行レベル以上であるか否かによって当該キーワードを実行できるか否かを判定する。ユーザの権限レベルがキーワードの実行レベル以上である場合、中央処理装置111は、ユーザがキーワードを実行できる権限レベルを有すると判定する。また、ユーザの権限レベルがキーワードの実行レベル未満である場合、中央処理装置111は、ユーザがキーワードを実行できる権限レベルを持っていないと判定する。
【0051】
ユーザがキーワードを実行できる権限レベルを有していないと判定した場合(ACT18、NO)、中央処理装置111は、当該キーワードが実行不可であると判定する。ユーザがキーワードを実行できる権限レベルを有していない場合、中央処理装置111は、実行する権限レベルがないため、当該キーワードが実行不可である旨の通知を情報端末13へ送信する(ACT19)。
【0052】
ユーザがキーワードを実行できる権限レベルを有すると判定した場合(ACT18、YES)、中央処理装置111は、当該キーワードが実行可であると判定する。キーワードが実行可であると判定した場合、中央処理装置111は、当該キーワードに応じた処理を割り当てられた仮想POSとしてのPOSアプリケーションに実行させる(ACT20)。中央処理装置111は、キーワードに応じた処理をPOSアプリケーションに実行させた処理結果を得ると、処理結果をキーワードの送信元である情報端末13へ送信する(ACT21)。
【0053】
中央処理装置111は、処理結果を送信した後、あるいは、キーワード受信待ちの間、情報端末からの終了指示を受け付ける。情報端末13からの終了指示がなければ(ACT22、NO)、中央処理装置111は、上記ACT14からの処理を繰り返し実行する。また、情報端末13からの終了指示があれば(ACT22、NO)、中央処理装置111は、情報端末13に割り当てた仮想POSとしての処理を終了する。
【0054】
以上のように、実施形態に係る仮想POSシステムは、個々の店舗のビジネスロジックを適用した仮想POSを備える仮想POSサーバとユーザが操作する情報端末と有する。情報端末は、ユーザ操作に応じたキーワードを仮想POSサーバへ送信する。仮想POSサーバは、仮想POSによって情報端末からのキーワードに対応した処理を実行し、その処理結果を情報端末へ送信する。
【0055】
このような仮想POSシステムでは、情報端末と仮想POSサーバとの間でメッセージを送受信するためのアプリケーションプログラムを開発すれば良いこととなる。この結果として、個々の店舗のビジネスロジックを全て情報端末に移植するような開発作業が不要となる。従って、上述した実施形態によれば、スマートフォン、タブレットPCあるいはカートに取り付けた機器などの情報端末をユーザが操作することで商品などの決済を仮想POSで実行できるシステムが容易に開発できる。
【0056】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載した内容を付記する。
[1]
POSアプリケーションプログラムを記憶するメモリと、
情報端末と通信する通信インターフェースと、
前記情報端末がユーザによる操作に応じて呼び出したキーワードを前記通信インターフェースを介して取得し、前記キーワードによって要求される処理を前記POSアプリケーションプログラムで実行し、前記POSアプリケーションプログラムの処理結果を前記情報端末へ転送するプロセッサと、
を有する仮想POSサーバ。
[2]
前記プロセッサは、前記情報端末を操作するユーザが前記キーワードによって要求される処理を実行可とする権限を有する場合に、前記キーワードによって要求される処理を前記POSアプリケーションプログラムで実行する、
[1]に記載の仮想POSサーバ。
[3]
さらに、キーワードごとに設定された実行レベルを示す実行可否テーブルを有し、
前記プロセッサは、前記情報端末を操作するユーザの権限レベルを特定し、前記ユーザの権限レベルが前記キーワードに設定された実行レベル以上である権限を有する場合に、前記キーワードによって要求される処理を前記POSアプリケーションプログラムで実行する、
[1]に記載の仮想POSサーバ。
[4]
前記メモリは、複数のPOSアプリケーションプログラムを記憶し、
前記プロセッサは、前記通信インターフェースを介して通信する情報端末に対してキーワードによって要求される処理を実行するPOSアプリケーションを割り当てる、
[1]乃至[3]の何れか1つに記載の仮想POSサーバ。
[5]
仮想POSサーバと情報端末とを含む仮想POSシステムにおいて、
前記情報端末は、
前記仮想POSサーバと通信する第1の通信インターフェースと、
ユーザによる操作に応じて呼び出すキーワードを前記第1の通信インターフェースを介して前記仮想POSサーバへ送信する第1のプロセッサと、を有し、
前記仮想POSサーバは、
POSアプリケーションプログラムを記憶するメモリと、
前記情報端末と通信する第2の通信インターフェースと、
前記情報端末がユーザによる操作に応じて呼び出したキーワードを前記第2の通信インターフェースを介して取得し、前記キーワードによって要求される処理を前記POSアプリケーションプログラムで実行し、前記POSアプリケーションプログラムの処理結果を前記情報端末へ転送する第2のプロセッサと、を有する、
仮想POSシステム。
【符号の説明】
【0057】
1…仮想POSシステム、11…仮想POSサーバ、13…情報端末、111…中央処理装置、112…記憶装置、113…通信インターフェース(第2の通信インターフェース)、114…ディスプレイインターフェース、115…ディスプレイ、121…プロセッサ(第2のプロセッサ)、311…プロセッサ(第1のプロセッサ)、315…通信インターフェース(第1の通信インターフェース)。