(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】通信装置およびその制御方法ならびにプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 36/22 20090101AFI20240917BHJP
H04W 12/02 20090101ALI20240917BHJP
H04W 76/15 20180101ALI20240917BHJP
H04W 84/10 20090101ALI20240917BHJP
H04W 88/06 20090101ALI20240917BHJP
【FI】
H04W36/22
H04W12/02
H04W76/15
H04W84/10 110
H04W88/06
(21)【出願番号】P 2020094905
(22)【出願日】2020-05-29
【審査請求日】2023-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯田 潔
【審査官】吉江 一明
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-220890(JP,A)
【文献】特開2018-014619(JP,A)
【文献】特開2016-086238(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0119914(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置と第1の無線通信方式で無線通信を行う第1の通信手段と、
前記情報処理装置と
、前記第1の通信手段による通信で使用される周波数帯と共通する周波数帯を使用する第2の無線通信方式で無線通信を行う第2の通信手段と、
前記第1の通信手段により前記情報処理装置と接続した後に、前記第2の通信手段で送受信するデータの性質に応じて、前記第1の通信手段による通信と前記第2の通信手段による通信の接続状態を制御する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、
前記第2の通信手段で送受信するデータ
のデータ量が
所定量より少ない場合、前記第1の通信手段による前記情報処理装置との接続状態を維持したまま、前記第2の通信手段による前記情報処理装置との通信を確立し、
前記第2の通信手段で送受信するデータ
のデータ量が
前記所定量以上の場合、前記第1の通信手段による前記情報処理装置との接続を切断したうえで、前記第2の通信手段による前記情報処理装置との通信を確立し、前記第2の通信手段によるデータの送受信が完了した後に、再び前記第1の通信手段により前記情報処理装置と接続する、ことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
操作内容と、送受信する前記データ量と、を関連付けて記録する記憶手段、を更に有し、
前記制御手段は、前記通信装置に対して行われた操作内容に基づいて、前記第2の通信手段で送受信するデータのデータ量が前記所定量以上か否かを判定する、ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記第1の通信手段による通信は、暗号化されていない無線通信である、ことを特徴とする請求項1
又は2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記第2の通信手段による通信は、暗号化された無線通信である、ことを特徴とする請求項1から
3のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記第2の通信手段で行う送受信により、秘匿情報および画像データの少なくともいずれかを通信する、ことを特徴とする請求項
4に記載の通信装置。
【請求項6】
前記第2の通信手段による通信は、前記第1の通信手段による通信よりも通信速度が速い、ことを特徴とする請求項1から
5のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項7】
前記第1の通信手段による通信の消費電力は、前記第2の通信手段による通信の消費電力よりも低い、ことを特徴とする請求項1から
6のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項8】
前記第1の無線通信方式は、Bluetooth(登録商標) Low Energyの通信方式であり、前記第2の無線通信方式は、Bluetooth Classicの通信方式である、ことを特徴とする請求項5に記載の通信装置。
【請求項9】
第1の通信手段と第2の通信手段とを有する通信装置の制御方法であって、
情報処理装置と
、前記第1の通信手段による通信で使用される周波数帯と共通する周波数帯を使用する第1の無線通信方式で無線通信を行う第1の通信工程と、
前記情報処理装置と第2の無線通信方式で無線通信を行う第2の通信工程と、
前記第1の通信手段により前記情報処理装置と接続した後に、前記第2の通信手段で送受信するデータの性質に応じて、前記第1の通信手段による通信と前記第2の通信手段による通信の接続状態を制御する制御工程と、を有し、
前記制御工程では、
前記第2の通信手段で送受信するデータの
データ量が
所定量より少ない場合、前記第1の通信手段による前記情報処理装置との接続状態を維持したまま、前記第2の通信手段による前記情報処理装置との通信を確立し、
前記第2の通信手段で送受信するデータの
データ量が
前記所定量以上の場合、前記第1の通信手段による前記情報処理装置との接続を切断したうえで、前記第2の通信手段による前記情報処理装置との通信を確立し、前記第2の通信手段によるデータの送受信が完了した後に、再び前記第1の通信手段により前記情報処理装置と接続する、ことを特徴とする通信装置の制御方法。
【請求項10】
コンピュータを、請求項1から
8のいずれか1項に記載の通信装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置およびその制御方法ならびにプログラムに関し、特に複数の無線通信方式で外部装置と無線通信する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より複数の無線通信方式で外部装置と通信する機能を備える通信装置が知られている。このような通信装置には、第1の無線通信方式を用いて第2の無線通信方式で接続するための情報とトリガとを通信し、その後第2の無線通信方式による通信を開始する(ハンドオーバーともいわれる)技術を備えるものが知られている。
【0003】
特許文献1には、Bluetooth(登録商標) Low Energyから無線LANにハンドオーバーする技術が開示されている。また、特許文献2には、3つの無線通信方式で通信可能な撮像装置と、当該撮像装置と通信する複数の通信装置とが存在する場合に、状況に応じて元の通信を維持するか切断するかを全体のシステムとして判断して実行する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-103650号公報
【文献】特開2018-011269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、Bluetooth(登録商標)や無線LANには、同様の周波数帯(例えば2.4GHz帯)を使用するものがある。このような複数の無線通信(例えば第1及び第2の無線通信)が並列して確立された状態であると、例えば第1の無線通信の存在によりハンドオーバー後の第2の無線通信のスループットが低下する場合がある。すなわち、第1の無線通信から第2の無線通信にハンドオーバーした後は、第1の無線通信を切断したほうが第2の無線通信のスループットが向上することが期待される。
【0006】
また、ハンドオーバーの際に第1の無線通信を切断した場合、第1の無線通信を再開するには時間がかかる場合がある。このため、第2の無線通信へのハンドオーバーの際に、常に第1の無線通信を切断するようにすると、第2の無線通信の後に第1の無線通信を行いたい場合に、第1の無線通信を用いた処理を完了させるまでに不要に時間を要することが想定される。
【0007】
このような課題に対し、上述の特許文献1では、異なる無線通信方式にハンドオーバーする技術が提案されているものの、異なる無線通信方式の通信にハンドオーバーした後に元の無線通信の維持や切断を制御することについては考慮していない。また、特許文献2では、撮像装置側では、外部装置とBluetooth(登録商標)接続中に無線LAN接続要求を受けた場合、Bluetooth(登録商標)を切断して無線LAN接続を開始することを開示している。しかし、Bluetooth(登録商標)の接続中に無線LANへのハンドオーバーした場合に、ハンドオーバー後の通信を考慮した第1の無線通信の接続の維持や切断を制御することは考慮していない。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされ、その目的は、第1の無線通信方式から第2の無線通信方式にハンドオーバーする場合に、必要とする通信のスループットの低下を抑制することが可能な技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題を解決するため、例えば本発明の通信装置は以下の構成を備える。すなわち、情報処理装置と第1の無線通信方式で無線通信を行う第1の通信手段と、前記情報処理装置と、前記第1の通信手段による通信で使用される周波数帯と共通する周波数帯を使用する第2の無線通信方式で無線通信を行う第2の通信手段と、前記第1の通信手段により前記情報処理装置と接続した後に、前記第2の通信手段で送受信するデータの性質に応じて、前記第1の通信手段による通信と前記第2の通信手段による通信の接続状態を制御する制御手段と、を有し、前記制御手段は、前記第2の通信手段で送受信するデータのデータ量が所定量より少ない場合、前記第1の通信手段による前記情報処理装置との接続状態を維持したまま、前記第2の通信手段による前記情報処理装置との通信を確立し、前記第2の通信手段で送受信するデータのデータ量が前記所定量以上の場合、前記第1の通信手段による前記情報処理装置との接続を切断したうえで、前記第2の通信手段による前記情報処理装置との通信を確立し、前記第2の通信手段によるデータの送受信が完了した後に、再び前記第1の通信手段により前記情報処理装置と接続する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、第1の無線通信方式から第2の無線通信方式にハンドオーバーする場合に、必要とする通信のスループットの低下を抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態1に係る通信装置の一例としてのデジタルカメラの機能構成例を示すブロック図、及びデジタルカメラの外観の一例を示す外観図
【
図2】本実施形態におけるスマートフォンの機能構成例を示すブロック図
【
図3B】本実施形態におけるデジタルカメラのユーザインターフェース(UI)の一例を示す図
【
図4B】本実施形態におけるスマートフォンのUIの一例を示す図
【
図5】本実施形態におけるペアリングの動作を示すシーケンス図
【
図6】本実施形態における画像転送の動作を示すシーケンス図
【
図7】本実施形態におけるデジタルカメラにおける一連の動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態1)
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0013】
以下では通信装置の一例として、複数の無線通信方式で外部装置と通信可能なデジタルカメラを用いる例を説明する。しかし、本実施形態は、デジタルカメラに限らず、複数の無線通信方式で外部装置と通信可能な他の機器にも適用可能である。これらの機器には、例えばスマートフォンを含む携帯電話機、ゲーム機、タブレット端末、時計型や眼鏡型の情報端末、医療機器、車載用システムの機器などが含まれてよい。
【0014】
(デジタルカメラの構成)
図1は、本実施形態の通信装置の一例としてデジタルカメラ100の機能構成例を示すブロック図である。なお、
図1に示す機能ブロックの1つ以上は、ASICやプログラマブルロジックアレイ(PLA)などのハードウェアによって実現されてもよいし、CPUやMPU等のプログラマブルプロセッサがソフトウェアを実行することによって実現されてもよい。また、ソフトウェアとハードウェアの組み合わせによって実現されてもよい。従って、以下の説明において、異なる機能ブロックが動作主体として記載されている場合であっても、同じハードウェアが主体として実現されうる。
【0015】
図1(a)は、本実施形態の通信装置の一例であるデジタルカメラ100の構成例を示すブロック図である。なお、ここでは通信装置の一例としてデジタルカメラについて述べるが、通信装置はこれに限らない。例えば通信装置は携帯型のメディアプレーヤや、いわゆるタブレットデバイス、パーソナルコンピュータなどの情報処理装置であってもよい。
【0016】
制御部101は、CPUなどの1以上のプロセッサを含み、入力された信号や、後述のプログラムに従ってデジタルカメラ100の各部を制御する。なお、制御部101が装置全体を制御する代わりに、複数のハードウェアが処理を分担することで、装置全体を制御してもよい。
【0017】
撮像部102は、例えば、光学レンズユニットと絞り・ズーム・フォーカスなど制御する光学系と、光学レンズユニットを経て導入された光(映像)を電気的な映像信号に変換するための撮像素子などで構成される。撮像素子としては、一般的には、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)や、CCD(Charge Coupled Device)が利用される。撮像部102は、制御部101に制御されることにより、撮像部102に含まれるレンズで結像された被写体光を、撮像素子により電気信号に変換し、ノイズ低減処理などを行いデジタルデータを画像データとして出力する。本実施形態のデジタルカメラ100では、画像データは、DCF(Design Rule for Camera File system)の規格に従って、記録媒体110に記録される。
【0018】
不揮発性メモリ103は、例えばEEPROMなどの、電気的に消去・記録可能なメモリを含み、制御部101で実行される後述のプログラム等が格納される。
【0019】
作業用メモリ104は、撮像部102で撮像された画像データを一時的に保持するバッファメモリや、表示部106の画像表示用メモリ、制御部101の作業領域等として使用される。
【0020】
操作部105は、ユーザがデジタルカメラ100に対する指示をユーザから受け付けるために用いられる。操作部105は例えば、ユーザがデジタルカメラ100の電源のON/OFFを指示するための電源ボタンや、撮影を指示するためのレリーズスイッチ、画像データの再生を指示するための再生ボタンを含む。さらに、後述の通信部111を介して外部機器との通信を開始するための専用の接続ボタンなどの操作部材を含む。また、後述する表示部106に形成されるタッチパネルも操作部105に含まれる。なお、レリーズスイッチは、SW1およびSW2を有する。レリーズスイッチが、いわゆる半押し状態となることにより、SW1がONとなる。これにより、AF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、AWB(オートホワイトバランス)処理、EF(フラッシュプリ発光)処理等の撮影準備を行うための指示を受け付ける。また、レリーズスイッチが、いわゆる全押し状態となることにより、SW2がONとなる。これにより、撮影を行うための指示を受け付ける。
【0021】
表示部106は、撮影の際のビューファインダー画像の表示、撮影した画像データの表示、対話的な操作のための文字表示などを行う。但し、表示部106は必ずしもデジタルカメラ100が内蔵する必要はない。デジタルカメラ100は内部又は外部の表示部106と接続することができ、表示部106の表示を制御する表示制御機能を少なくとも有していればよい。
【0022】
記録媒体110は、撮像部102から出力された画像データを記録することができる。記録媒体110は、デジタルカメラ100に着脱可能なよう構成してもよいし、デジタルカメラ100に内蔵されていてもよい。すなわち、デジタルカメラ100は少なくとも記録媒体110にアクセスする手段を有していればよい。
【0023】
通信部111は、1つ以上の通信回路または通信モジュールを含み、外部装置と接続するための通信インターフェースである。本実施形態のデジタルカメラ100は、通信部111を介して、外部装置とデータのやりとりを行うことができる。例えば、撮像部102で生成した画像データを、通信部111を介して外部装置に送信することができる。なお、本実施形態では、通信部111は外部装置とIEEE802.11の規格に従った、いわゆる無線LANで通信するためのインターフェースを含む。制御部101は、通信部111を制御することで外部装置との無線通信を実現する。なお、通信方式は無線LANに限定されるものではなく、例えば赤外通信方式も含む。
【0024】
近距離無線通信部112は、例えば無線通信のためのアンテナと無線信号を処理するため変復調回路や通信コントローラから構成される。近距離無線通信部112は、変調した無線信号をアンテナから出力し、またアンテナで受信した無線信号を復調することによりIEEE802.15の規格(いわゆるBluetooth(登録商標))に従った近距離無線通信を実現する。近距離無線通信部112は、Bluetooth(登録商標)Low Energyの通信方式による通信と、Bluetooth(登録商標)Classicの通信方式による通信とを別々の通信として、通信の確立や切断を制御することができる。Bluetooth(登録商標)Low Energyの通信と、Bluetooth(登録商標)Classicの通信は、共に2.4GHxの周波数帯を用いる通信である。
【0025】
Bluetooth(登録商標)Low Energyは大きなデータを送受信する用途には向かないが、消費電力が非常に小さい。また、Bluetooth(登録商標) Classicは、Bluetooth(登録商標)Low Energyほど低消費電力ではないが、通信路を暗号化して1Mbps以上のスループットを出すことができる(すなわち通信速度が速い)。本実施形態では、Bluetooth(登録商標)Low Energyを非暗号化通信路として使用し、必要に応じてBluetooth(登録商標)Classicを暗号化通信路として確立し、秘匿情報および画像転送に用いる。なお、本実施形態では、上記2つのBluetooth(登録商標)を用いる場合を例に説明する。しかし、同様の周波数帯を用いる通信であってスループットが異なるものであれば、Bluetooth(登録商標)5や他のバージョンのBluetooth(登録商標)を用いてもよい。また、同様の周波数帯を用いる通信であってスループットが異なるものであれば、Bluetooth(登録商標)と他の通信方式の通信(例えば無線LAN通信)との組み合わせや、他の通信方式の通信の組み合わせてであってよい。
【0026】
なお、通信部111による無線LAN通信も上記Bluetooth(登録商標)通信と同様の周波数帯(例えば2.4GHz帯)を用いる通信である。上記Bluetooth(登録商標)通信は、無線LAN通信と比べて通信可能な範囲が狭くてよい(つまり、通信可能な距離が短い)。また、Bluetooth(登録商標)通信は、無線LAN通信と比べて通信速度が遅い。その一方で、Bluetooth(登録商標)通信は、無線LAN通信と比べて消費電力が少ない。
【0027】
なお、本実施形態におけるデジタルカメラ100の通信部111は、インフラストラクチャモードにおけるアクセスポイントとして動作するAPモードと、インフラストラクチャモードにおけるクライアントとして動作するCLモードとを有している。そして、通信部111をCLモードで動作させることにより、本実施形態におけるデジタルカメラ100は、インフラストラクチャモードにおけるCL機器として動作することが可能である。デジタルカメラ100がCL機器として動作する場合、周辺のAP機器に接続することで、AP機器が形成するネットワークに参加することが可能である。また、通信部111をAPモードで動作させることにより、本実施形態におけるデジタルカメラ100は、APの一種ではあるが、より機能が限定された簡易的なAP(以下、簡易AP)として動作することも可能である。デジタルカメラ100が簡易APとして動作すると、デジタルカメラ100は自身でネットワークを形成する。デジタルカメラ100の周辺の装置は、デジタルカメラ100をAP機器と認識し、デジタルカメラ100が形成したネットワークに参加することが可能となる。上記のようにデジタルカメラ100を動作させるためのプログラムは不揮発性メモリ103に保持されているものとする。
【0028】
なお、本実施形態におけるデジタルカメラ100はAPの一種であるものの、CL機器から受信したデータをインターネットプロバイダなどに転送するゲートウェイ機能は有していない簡易APである。したがって、自機が形成したネットワークに参加している他の装置からデータを受信しても、それをインターネットなどのネットワークに転送することはできない。
【0029】
次に、デジタルカメラ100の外観について説明する。
図1(b)、
図1(c)はデジタルカメラ100の外観の一例を示す図である。レリーズスイッチ105aや再生ボタン105b、方向キー105c、タッチパネル105dは、前述の操作部105に含まれる操作部材である。また、表示部106には、撮像部102による撮像の結果得られた画像が表示される。
【0030】
(スマートフォンの構成)
図2は、本実施形態の情報処理装置の一例であるスマートフォン200の構成例を示すブロック図である。なお、ここでは情報処理装置としてスマートフォンを用いる場合を例に説明するが、情報処理装置はこれに限らない。例えば情報処理装置は、無線機能付きのデジタルカメラ、タブレットデバイス、あるいはパーソナルコンピュータなどであってもよい。
【0031】
制御部201は、CPUなどの1以上のプロセッサを含み、入力された信号や、後述のプログラムに従ってスマートフォン200の各部を制御する。なお、制御部201が装置全体を制御する代わりに、複数のハードウェアが処理を分担することで、装置全体を制御してもよい。
【0032】
撮像部202は、撮像部202に含まれるレンズで結像された被写体光を電気信号に変換し、ノイズ低減処理などを行いデジタルデータを画像データとして出力する。撮像された画像データはバッファメモリに蓄えられた後、制御部201にて所定の演算を行い、記録媒体210に記録される。
【0033】
不揮発性メモリ203は、例えば、EEPROMなどの、電気的に消去・記録可能なメモリを含む。不揮発性メモリ203には、制御部201が実行する基本的なソフトウェアであるOS(オペレーティングシステム)や、このOSと協働して応用的な機能を実現するアプリケーションが記録されている。また、本実施形態では、不揮発性メモリ203には、デジタルカメラ100と通信するためのアプリケーションが格納されている。
【0034】
作業用メモリ204は、表示部206の画像表示用メモリや、制御部201の作業領域等として使用される。操作部205は、スマートフォン200に対する指示をユーザから受け付けるために用いられる。操作部205は例えば、ユーザがスマートフォン200の電源のON/OFFを指示するための電源ボタンや、表示部206に形成されるタッチパネルなどの操作部材を含む。
【0035】
表示部206は、画像データの表示、対話的な操作のための文字表示などを行う。但し、表示部206は必ずしもスマートフォン200が備える必要はない。スマートフォン200は表示部206と接続することができ、表示部206の表示を制御する表示制御機能を少なくとも有していればよい。
【0036】
記録媒体210は、撮像部202から出力された画像データを記録することができる。記録媒体210は、スマートフォン200に着脱可能なよう構成してもよいし、スマートフォン200に内蔵されていてもよい。すなわち、スマートフォン200は少なくとも記録媒体210にアクセスする手段を有していればよい。
【0037】
通信部211は、1つ以上の通信回路または通信モジュールを含み、外部装置と接続するための通信インターフェースである。本実施形態のスマートフォン200は、通信部211を介して、デジタルカメラ100とデータのやりとりを行うことができる。本実施形態では、制御部101は、通信部211を介して、外部装置とデータのやりとりを行うことができる。なお、デジタルカメラ100との接続では、直接接続してもよいしアクセスポイントを介して接続してもよい。データを通信するためのプロトコルとしては、例えば無線LANを通じたPTP/IP(Picture Transfer Protocol over Internet Protocol)を用いることができる。なお、デジタルカメラ100との通信はこれに限定されるものではない。例えば、通信部211は、赤外線通信モジュール、Bluetooth(登録商標)通信モジュール、WirelessUSB等の無線通信モジュールを含むことができる。さらには、USBケーブルやHDMI(登録商標),IEEE1394など、有線接続を採用してもよい。
【0038】
近距離無線通信部212は、例えば無線通信のためのアンテナと無線信号を処理するため変復調回路や通信コントローラから構成される。近距離無線通信部212は、変調した無線信号をアンテナから出力し、またアンテナで受信した無線信号を復調することによりIEEE802.15の規格に従った近距離無線通信を実現する。本実施形態では、近距離無線通信部212は、IEEE802.15.1の規格(いわゆるBleutooth(登録商標))に従って他の装置と通信する。近距離無線通信部212は、Bluetooth(登録商標)Low Energyの通信方式による通信と、Bluetooth(登録商標)Classicの通信方式による通信とを別々の通信として、通信の確立や切断を制御することができる。本実施形態では、Bluetooth(登録商標)Low Energyを非暗号化通信路として使用し、必要に応じてBluetooth(登録商標) Classicを暗号化通信路として確立し、秘匿情報および画像転送に用いる。
【0039】
公衆網通信部213は、公衆無線通信を行う際に用いられる通信インターフェースである。スマートフォン200は、公衆網通信部213を介して、他の機器と通話することができる。この際、制御部201はマイク214およびスピーカ215を介して音声信号の入力と出力を行うことで、通話を実現する。本実施形態では、公衆網通信部213はアンテナであり、制御部101は、アンテナを介して、公衆網に接続することができる。なお、通信部211および公衆網通信部213は、一つのアンテナで兼用することも可能である。
【0040】
(デジタルカメラのUIの例)
次に、
図3Aを参照して、デジタルカメラ100の表示部106に表示されるユーザインターフェース(UI)の例について説明する。
【0041】
図3A(a)には、スマートフォン200と通信するための、Wi-Fi(登録商標)・Bluetooth(登録商標)による通信の設定画面を示している。Bluetooth(登録商標)ペアリング311は、Bluetooth(登録商標)でスマートフォン200と接続する場合に、最初に行う設定項目である。
【0042】
ニックネーム312は、デジタルカメラ100とスマートフォン200とを接続する場合に、スマートフォン200上に複数表示される接続対象機器の中からユーザの所有するデジタルカメラ100を見つけ易くするために用いられる任意の有限文字列である。ニックネーム312を選択すると、表示画面は
図3A(b)に示すニックネーム入力画面に遷移する。表示部材315に入力したニックネームが表示され、キーボードを模した入力部材316を操作することでユーザは任意のニックネームを設定することができる。
【0043】
画像転送313は、Bluetooth(登録商標)ペアリングの完了後に選択可能となるメニューであり、記録媒体110に保存された画像をスマートフォン200にBluetooth(登録商標)Clasicを用いて送信するための機能である。画像転送については後述する。また、
図3A(c)~(d)及び
図3Bに示すUIについては、シーケンス図の説明と共に後述する。
【0044】
(スマートフォンのUI)
図4A(a)は、デジタルカメラ100と無線通信するためのスマートフォン200のアプリケーションのトップ画面を示している。Bluetooth(登録商標)アイコン401は、Bluetooth(登録商標)を用いた外部装置との通信状態を示すアイコンである。Bluetooth(登録商標)によるペアリング、および、接続がなされていない場合には、Bluetooth(登録商標)アイコン401はグレーアウト表示となる。また、Bluetooth(登録商標)ペアリングが完了していない場合、カメラ内画像一覧406などのメニューアイコンもグレーアウト表示となり、機能を実行できない状態を表す。
【0045】
スマートフォン200は、外部装置とWi-Fi(登録商標)により接続していない場合に、Wi-Fi(登録商標)アイコン402、および、Wi-Fi(登録商標)切断アイコン403をグレーアウト表示する。また、スマートフォン200は、Wi-Fi(商 標)接続情報405が未接続の状態を示すように制御する。デジタルカメラ100とBluetooth(登録商標)によって、または、Wi-Fi(登録商標)によって接続されると、デジタルカメラ100のニックネーム404を表示する。
図4A(a)のその他のスマートフォンUI、及び
図4A(b)及び
図4Bに示すスマートフォンUIについては、シーケンス図の説明と共に後述する。
【0046】
(Bluetooth(登録商標)のペアリングシーケンス)
次に、
図5を参照して、Bluetooth(登録商標)のペアリングシーケンスについて説明する。なお、以下で説明するデジタルカメラ100の動作は、特に言及しない限り、制御部101が不揮発性メモリ103に格納されたプログラムを作業用メモリ104に展開、実行してデジタルカメラ100の各部を制御することにより実現される。また、スマートフォン200の動作は、特に言及しない限り、制御部201が不揮発性メモリ203に格納されたプログラムを作業用メモリ204に展開、実行してスマートフォン200の各部を制御することにより実現される。
【0047】
S501において、デジタルカメラ100は、
図3A(a)に示した入力画面においてユーザによるBluetooth(登録商標)ペアリング311の選択を受け付け、Bluetooth(登録商標)Low Energyを起動する。S502において、デジタルカメラ100は、アドバタイズ信号を定期的にブロードキャストする動作を開始する。このとき、デジタルカメラ100は、
図3A(c)に示すペアリング中画面320を表示部106に表示し、ペアリング操作が実施中であることをユーザに示す。
【0048】
S504において、スマートフォン200は、
図4A(a)に示した専用アプリケーションが起動している場合に(デジタルカメラ100等の外部装置から送信される)アドバタイズ信号を常に監視する。そして、条件の合ったアドバタイズ信号を検知すると、表示部206に
図4A(b)に示すダイアログ411を表示する。スマートフォン200は、ダイアログ411のBluetooth(登録商標)搭載カメラ一覧412として、アドバタイズ信号から取得したデジタルカメラのニックネームを表示する。ユーザは、Bluetooth(登録商標)搭載カメラ一覧412により、一目でペアリング対象のデジタルカメラを識別することができる。
【0049】
S503において、スマートフォン200は、Bluetooth(登録商標)搭載カメラ一覧412において、ユーザによるデジタルカメラ100の選択を受け付ける。その後、S504において、スマートフォン200は、Bluetooth(登録商標)Low Energyのコネクション要求(すなわち接続要求)をデジタルカメラ100に対して送信する。
【0050】
S505において、デジタルカメラ100は、コネクション要求を受理して、スマートフォン200とのBluetooth(登録商標)Low Energyのコネクション(接続)を確立する。S506において、デジタルカメラ100は、スマートフォン200とのBluetooth(登録商標)Low Energyのコネクションが確立すると、カメラIDをスマートフォン200に通知する。カメラIDは、デジタルカメラ100を一意に識別可能な情報を表す。つづけて、S507において、スマートフォン200は、スマートフォン識別情報をデジタルカメラ100へ送信する。デジタルカメラ100は、スマートフォン200のスマートフォン識別情報を取得する。
【0051】
S508において、デジタルカメラ100は、ペアリング情報を秘匿通信であるBluetooth(登録商標)Classicで通信するため、スマートフォン200に対して、Bluetooth(登録商標)Classicペアリング情報通信開始要求を送信する。
【0052】
S509において、スマートフォン200は、ペアリング情報通信開始要求を受信したことに応じて、デジタルカメラ100へBluetooth(登録商標)Classic開始要求を送信する。
【0053】
S510において、デジタルカメラ100は、Bluetooth(登録商標)Classic接続のための手続きを実施して、スマートフォン200とBluetooth(登録商標)Classicコネクションを確立する。更に、S511において、デジタルカメラ100とスマートフォン200は、Bluetooth(登録商標)Classicプロトコルの仕様に従って、鍵情報を交換する。このとき、デジタルカメラ100とスマートフォン200の間の共通のペア設定コードが生成される。デジタルカメラ100は、
図3A(d)に示す画面を表示し、これからBluetooth(登録商標)Classicで通信する相手のニックネームとペア設定コード331を表示する。スマートフォン200は、
図4B(c)に示すダイアログ421を表示部206に表示し、デジタルカメラ100のニックネームとペア設定コード422を表示する。この時、ユーザはデジタルカメラ100に表示されるペア設定コード331とスマートフォン200に表示されるペア設定コード422が同じ番号であることを確認する。これは、仮に同じ操作を近くで実施しているユーザが居ても、ペアリング操作実施中の相手がデジタルカメラ100とスマートフォン200であることを証明するための確認となる。S512において、デジタルカメラ100は
図3A(d)に示すOKボタン332に対する操作を受け付ける。また、S513において、スマートフォン200は、
図4B(c)に示すダイアログ421で「ペア設定する」ボタン423に対する操作を受け付ける。
【0054】
S514では、スマートフォン200及びデジタルカメラ100のそれぞれで上記ボタンが操作されたことに応じて、デジタルカメラ100とスマートフォン200とは、両者の間の暗号化を開始する。以降、デジタルカメラ100とスマートフォン200の間のBluetooth(登録商標)Classic通信は暗号化された状態となり、セキュアな通信を行うことができる。S515において、デジタルカメラ100とスマートフォン200のそれぞれは、このセキュアな通信を用いて、データを交換する。具体的には、Wi-Fi(登録商標)ハンドオーバーに用いるSSIDや、セキュリティキーといったペアリングに必要な情報をデジタルカメラ100とスマートフォン200の間で交換する。
【0055】
S516では、デジタルカメラ100は、S507で取得したスマートフォン識別情報とS515で取得したペアリング情報を紐づけて不揮発性メモリ103に保存する。デジタルカメラ100は、更に、
図3B(e)に示すペアリング完了画面340を表示部106に表示して、ペアリングが終了したことをユーザに示し、更なるスマートフォンの操作を促す。
【0056】
S517において、スマートフォン200は、S506で取得したカメラIDと、S515で取得したペアリング情報を紐づけて不揮発性メモリ203に保存する。このとき、スマートフォン200は、
図4A(a)に示すBluetooth(登録商標)アイコン401が点灯させ、デジタルカメラのニックネーム404を表示する。さらに、スマートフォン200は、カメラ内画像一覧406のグレーアウトを解除することで、デジタルカメラ100とのペアリングが完了したことをユーザに示す。
【0057】
その後、S518において、デジタルカメラ100またはスマートフォン200は、Bluetooth(登録商標)Classicコネクションを切断すると、S519において、Bluetooth(登録商標)ペアリングが完了する。このように、交換されるデータ量が少ないことが予め分かっている、ペアリング時のBluetooth(登録商標)Classic通信を行う場合には、Bluetooth(登録商標)Low Energyのコネクションを維持したまま、当該通信を行う。
【0058】
(Bluetooth(登録商標)Classicによる画像転送のシーケンス)
次に、
図6を参照して、Bluetooth(登録商標)Low Energyによってコネクション(接続)を確立しているデジタルカメラ100とスマートフォン200がBluetooth(登録商標)Classicにハンドオーバーするシーケンスを説明する。本実施形態では、ハンドオーバー後のBluetooth(登録商標)Classicにおいて画像転送を行う。なお、以下で説明するデジタルカメラ100の動作は、特に言及しない限り、制御部101が不揮発性メモリ103に格納されたプログラムを作業用メモリ104に展開、実行してデジタルカメラ100の各部を制御することにより実現される。また、スマートフォン200の動作は、特に言及しない限り、制御部201が不揮発性メモリ203に格納されたプログラムを作業用メモリ204に展開、実行してスマートフォン200の各部を制御することにより実現される。
【0059】
本実施系形態の画像転送機能は、デジタルカメラ100の記録媒体110に保存された画像のうち、スマートフォン200に未転送の画像を、縮小してスマートフォン200に転送する機能である。画像転送など大量のデータを送信する場合には、Bluetooth(登録商標)Classicよりも更に高速な無線LANを用いて送信する方法を用いることもできるが、無線LANを用いる方法では適切でない場合がある。たとえば、スマートフォンの機種によっては、デジタルカメラ100と通信するアプリケーションがフォアグラウンドでアクティブな状態になっていない場合には、無線LAN通信を切断してしまうものがある。本実施形態では、画像転送を開始した場合にはユーザが気に留めていなくても最後まで画像転送を完了させるように、Bluetooth(登録商標)Low Engergyよりも高速なBluetooth(登録商標)Classicを用いて画像転送を行う。
【0060】
S601において、デジタルカメラ100は、
図3A(a)に示した画面に対して、ユーザによる画像転送313を選択する操作を受け付ける。そして、S602において、デジタルカメラ100は、スマートフォン200へ画像転送開始要求を送信する。
【0061】
S603において、スマートフォン200は、Bluetooth(登録商標)Classic開始要求をデジタルカメラ100へ送信するとともに、
図4B(d)に示す画面を表示する。S604において、デジタルカメラ100とスマートフォン200は、それぞれBluetooth(登録商標)Classic接続のための手続きを実施し、相手装置とBluetooth(登録商標)Classicコネクションを確立する。
【0062】
S605において、デジタルカメラ100とスマートフォン200は、それぞれ、画像転送のためのBluetooth(登録商標)Classicコネクションを確立すると、Bluetooth(登録商標)Low Energyコネクションを切断する。このようにするのは、Bluetooth(登録商標)Low Energyのコネクションを維持することにより、画像転送を行うBluetooth(登録商標)Classicのスループットを落とさないようにするためである。S606において、デジタルカメラ100はスマートフォン200に対してBluetooth(登録商標)Classic通信を用いて画像データを送信する。なお、デジタルカメラ100では、画像転送の処理をバックグラウンドで実施し、撮影などの操作に対する処理を並行して実行することができる。なお、ユーザがデジタルカメラ100のメニューから画像転送313を選択した場合には、デジタルカメラ100は、
図3B(f)に示す画像転送画面350を表示部106に表示して、画像転送の進捗の提示と画像転送機能のキャンセル手段を提供する。一方、スマートフォン200は、画像データを受け取る毎に、
図4B(d)に示す画面に受信した画像のサムネイル441を追加表示する。
【0063】
画像転送が終了すると、S607において、デジタルカメラ100は、Bluetooth(登録商標)Classicコネクションを切断する。S608において、デジタルカメラ100は、再びBluetooth(登録商標)Low Engergyによりスマートフォン200と通信を確立するため、アドバタイズ信号の送信を開始する。
【0064】
S609において、スマートフォン200は、デジタルカメラ100に対してコネクション要求を送信する。また、S610において、デジタルカメラ100は、スマートフォン200からコネクション要求を受信したことに応じて、Bluetooth(登録商標)Low Energyのコネクションを確立する。
【0065】
このように、Bluetooth(登録商標)Classicで大量データを送信する場合は、Bluetooth(登録商標)Low Energyのコネクションを切断するようにした。このようにすることで、Bluetooth(登録商標)Low Energyによる影響を低減させて、Bluetooth(登録商標)Classic通信のスループットの低下を抑制することができる。
【0066】
(デジタルカメラにおけるBluetooth(登録商標)Classic通信の動作)
更に、
図7を参照して、Bluetooth(登録商標)Low Energyコネクションが確立した状態から、Bluetooth(登録商標)Classic通信にハンドオーバーする際のデジタルカメラ100の動作について説明する。なお、以下で説明するデジタルカメラ100の動作は、特に言及しない限り、制御部101が不揮発性メモリ103に格納されたプログラムを作業用メモリ104に展開、実行してデジタルカメラ100の各部を制御することにより実現される。
【0067】
S701において、スマートフォン200からBluetooth(登録商標)Classic開始要求を受信する。S702において、デジタルカメラ100は、当該開始要求を受信したことに応じて、Bluetooth(登録商標)Classic通信の準備を開始する。具体的には、デジタルカメラ100は、Bluetooth(登録商標)Classic上でSerial Port Profile(SPP)などのデータ通信のためのサービスを立ち上げる。また、Service Discovery Protocol(SDP)を用いて、Bluetooth(登録商標)Classicマスターであるスマートフォン200からデジタルカメラ100のSPPサービスを検知できるようにして、接続要求を待つ。
【0068】
S703において、デジタルカメラ100は、スマートフォン200からBluetool(登録商標)Classic接続要求を受信すると、デジタルカメラ100とBluetooth(登録商標)Classicコネクションを確立する。このとき、デジタルカメラ100は、デジタルカメラ100における操作や通信目的からこのBluetooth(登録商標)Classic通信の目的を把握している。
【0069】
S704において、デジタルカメラ100は、Bluetooth(登録商標)Classicコネクションにより、所定量以上のデータの送受信を行うか否かを判定する。換言すれば、デジタルカメラ100は、Bluetooth(登録商標)Classicで送受信するデータの性質を判定する。例えば、ペアリング操作や画像転送などの操作内容と、送受信するデータの性質(例えば送受信するデータ量)とを予め関連付けたデータテーブルを、不揮発性メモリ103に記録しておく。デジタルカメラ100は、当該データテーブルを読み出し、操作内容に対するデータの性質(送受信するデータ量)を取得する。例えば、ペアリング操作時のように、Bluetooth(登録商標)Classicで送受信するデータ量が所定量より少ないと判定した場合、S706に処理を進める。この場合、デジタルカメラ100は、Bluetooth(登録商標)Low Energyコネクションを維持し(切断することなく)、例えばペアリング操作等のための通信を実行する。一方、デジタルカメラ100は、Bluetooth(登録商標)Classicで送受信されるデータ量が所定量以上であると判定した場合、S705に処理を進める。なお、デジタルカメラ100は、Bluetooth(登録商標)Classicで送受信されるデータ量を判断できない場合は、送受信するデータ量が所定量以上であると判定する。
【0070】
なお、本ステップの説明では、Bluetooth(登録商標)Classicで送受信するデータの性質を判定する例として、送受信するデータ量を判定する場合を例に説明したが、この例に限定されない。デジタルカメラ100は、Bluetooth(登録商標)Classicで行うデータの送受信が秘匿情報の通信であるか否かを判定してもよいし、この判定を送受信するデータ量の判定と組み合わせてもよい。この場合、上記データテーブルには、ペアリング操作や画像転送などの操作内容と、送受信するデータの性質(例えば送受信するデータが秘匿情報であるか否か)とが関連付けられていればよい。
【0071】
S705において、デジタルカメラ100は、画像データの送信などBluetooth(登録商標)Classicにより(所定量以上の)大量データを送受信するため、Bluetooth(登録商標)Low Energyコネクションを切断する。
【0072】
S706において、Bluetooth(登録商標)Classicによるデータ通信が完了すると、デジタルカメラ100はBluetooth(登録商標)Classicコネクションを切断してBluetooth(登録商標)Classic通信を終了する。
【0073】
S707において、デジタルカメラ100は、Bluetooth(登録商標)Low Energyによる通信を再開できるように、アドバタイズを開始する。S708において、デジタルカメラ100は、スマートフォン200からコネクション要求を受信すると、スマートフォン200とBluetooth(登録商標)Low Energyのコネクションを確立する。デジタルカメラ100は、Bluetooth(登録商標)Low Energyのコネクションを確立すると、その後、本処理を終了する。
【0074】
以上説明したように、本実施形態では、Bluetooth(登録商標)Classicで送受信するデータの性質に応じて、当該通信と、予め確立されているBluetooth(登録商標)Low Energy通信の接続状態を制御するようにした。より具体的には、デジタルカメラ100は、Bluetooth(登録商標)Classicによる通信により所定量以上のデータの送受信を行なうと判定した場合、予め確立されているBluetooth(登録商標)Low Energyコネクションを切断する。このようにすることで、Bluetooth(登録商標)Classic通信を用いた必要な通信のスループットの低下を防止することができる。また、Bluetooth(登録商標)Classicによる通信により所定量よりデータの送受信を行わないと判定した場合には、Bluetooth(登録商標)Low Energyのコネクションを維持する。このようにすることで、Bluetooth(登録商標)Low Energyの再接続にかかるオーバーヘッドをなくし、結果的に通信時間を短縮することができる。
【0075】
なお、上述の実施形態では、2つの通信(Bluetooth(登録商標)Low Energyと、Bluetooth(登録商標)Classic)が同様の周波数帯を用いる場合を例に説明した。しかし、上述の実施形態は、それぞれの通信が使用する周波数帯の一部が重複する場合にも適用可能である。この場合であっても上述した効果と同様の効果を得ることができる。
【0076】
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0077】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0078】
101…制御部、103…不揮発性メモリ、105…操作部、106…表示部、112…近距離無線通信部