(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】スチームトラップ
(51)【国際特許分類】
F16T 1/38 20060101AFI20240917BHJP
F16T 1/30 20060101ALI20240917BHJP
【FI】
F16T1/38 Z
F16T1/30 B
(21)【出願番号】P 2020112374
(22)【出願日】2020-06-30
【審査請求日】2023-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000137018
【氏名又は名称】株式会社ベン
(74)【代理人】
【識別番号】100093148
【氏名又は名称】丸岡 裕作
(74)【復代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】細川 重章
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 玄理
【審査官】大内 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-148264(JP,A)
【文献】特開昭57-173694(JP,A)
【文献】特開昭57-129999(JP,A)
【文献】実開昭57-80798(JP,U)
【文献】実開昭47-14716(JP,U)
【文献】特開昭57-124198(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16T 1/00- 1/48
F16K 31/18-31/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の入口及び出口を有したケーシングを備え、該ケーシング内に上記入口から流入した流体のドレンを貯留する貯留室を設け、上記ケーシングを構成する壁部に、上記貯留室に開口する弁口を有し該貯留室内のドレンを上記出口に流出させるための流出路を形成し、上記流出路の弁口を開閉する弁体を有するとともに該弁体を開閉駆動してその開時にドレンを上記流出路に流出させる弁機構を備えたスチームトラップにおいて、
上記流出路を、一端に上記弁口を有し他端に他端口を有した直状の弁口側通路と、該弁口側通路の他端口に連通する始端口及び終端口を有するとともに上記弁口側通路の他端口に対向する壁面を有した中間通路と、該中間通路の終端口に連通する連通口を有し上記出口に至る出口側通路とから構成し、
上記ケーシングを、上記貯留室を形成するとともに上記弁口側通路及び出口側通路を有したケーシング本体と、該ケーシング本体に取付けられ上記中間通路を有した部分体とを備えて構成し、上記部分体を、耐腐食性及び耐磨耗性の材料で形成し、上記ケーシング本体に対して着脱可能に
し、
上記部分体に、上記始端口及び終端口が開口するとともに上記ケーシング本体に接合される接合面を形成し、
上記ケーシング本体に、上記始端口及び終端口に対応して上記他端口及び連通口が開口するとともに上記部分体の接合面が接合される被接合面を形成し、
上記ケーシング本体に接合された上記部分体を止着解除可能に止着する止着手段を備えたことを特徴とするスチームトラップ。
【請求項2】
上記中間通路を、上記始端口を含み上記弁口側通路と同軸の上路と、上記弁口側通路の他端口に上記上路を通して対向する壁面を有し上記上路の下流側に該上路の軸線に直交する軸線を有して連設される主路と、上記終端口を含み上記主路の下流側に該主路の軸線に直交するとともに上記上路の軸線と平行な軸線を有して上記主路に連設される下路とから構成したことを特徴とする
請求項1記載のスチームトラップ。
【請求項3】
上記接合面に、上記始端口及び終端口が開口する面を有した嵌合凸部及び該嵌合凸部に嵌合する関係にある嵌合凹部の何れか一方を形成し、
上記被接合面に、上記他端口及び連通口が開口する面を有し上記嵌合凸部及び嵌合凹部のいずれか他方を形成したことを特徴とする
請求項1または2記載のスチームトラップ。
【請求項4】
上記接合面と被接合面との間に介装されるシート状パッキンを備えたことを特徴とする
請求項1乃至3何れかに記載のスチームトラップ。
【請求項5】
上記部分体にボルトが挿通される複数のボルト挿通孔を形成し、上記ケーシング本体に、上記ボルト挿通孔に対応して設けられボルトが螺合する複数の雌ネジ部を形成し、上記止着手段を上記ボルトで構成したことを特徴とする
請求項1乃至4何れかに記載のスチームトラップ。
【請求項6】
上記弁口側通路を有したブッシュを備え、該ブッシュを、耐腐食性及び耐磨耗性の材料で形成し、上記ケーシング本体の壁部の所要箇所に形成した貫通孔に挿通して固着したことを特徴とする
請求項1乃至5何れかに記載のスチームトラップ。
【請求項7】
上記ブッシュの他端口側の他端部を、上記部分体の始端口から中間通路内に遊挿されるように上記貫通孔から突出形成したことを特徴とする
請求項6記載のスチームトラップ。
【請求項8】
上記ケーシング本体を、上記弁機構を出し入れ可能な大きさの開口を有し上記貯留室を構成する凹所を備えた容器と、該容器の開口を塞ぐ蓋とを備えて構成し、
上記出口側通路を、上記連通口を含む該連通口側の上流路と、上記出口側の下流路とに分割し、
上記容器に、上記入口及び出口を形成するとともに、上記出口側通路の下流路を形成し、
上記蓋に、上記弁口側通路を形成するとともに、上記出口側通路の上流路を形成し、
上記部分体を、上記蓋に対して着脱可能にしたことを特徴とする
請求項1乃至7何れかに記載のスチームトラップ。
【請求項9】
流体の入口及び出口を有したケーシングを備え、該ケーシング内に上記入口から流入した流体のドレンを貯留する貯留室を設け、上記ケーシングを構成する壁部に、上記貯留室に開口する弁口を有し該貯留室内のドレンを上記出口に流出させるための流出路を形成し、上記流出路の弁口を開閉する弁体を有するとともに該弁体を開閉駆動してその開時にドレンを上記流出路に流出させる弁機構を備えたスチームトラップにおいて、
上記流出路を、一端に上記弁口を有し他端に他端口を有した直状の弁口側通路と、該弁口側通路の他端口に連通する始端口及び終端口を有するとともに上記弁口側通路の他端口に対向する壁面を有した中間通路と、該中間通路の終端口に連通する連通口を有し上記出口に至る出口側通路とから構成し、
上記ケーシングを、上記貯留室を形成するとともに上記弁口側通路及び出口側通路を有したケーシング本体と、該ケーシング本体に取付けられ上記中間通路を有した部分体とを備えて構成し、上記部分体を、耐腐食性及び耐磨耗性の材料で形成し、上記ケーシング本体に対して着脱可能にし、
上記ケーシング本体を、上記弁機構を出し入れ可能な大きさの開口を有し上記貯留室を構成する凹所を備えた容器と、該容器の開口を塞ぐ蓋とを備えて構成し、
上記出口側通路を、上記連通口を含む該連通口側の上流路と、上記出口側の下流路とに分割し、
上記容器に、上記入口及び出口を形成するとともに、上記出口側通路の下流路を形成し、
上記蓋に、上記弁口側通路を形成するとともに、上記出口側通路の上流路を形成し、
上記部分体を、上記蓋に対して着脱可能にしたことを特徴とするスチームトラップ。
【請求項10】
上記弁機構を、上記弁口を開閉する弁体と、上記貯留室に収納されるとともに上面に流体が通過可能な小孔が設けられ上記入口側から貯留室に流入する流体を受けて内部のドレン量が低下すると浮上しドレン量が増加すると沈降するカップ状のバケットと、上記蓋の内面側に一端が軸支され他端にバケットが取付けられ該バケットの沈降により一方向に揺動し上記バケットの浮上により他方向へ揺動するレバーと、該レバーの一方向への揺動時に上記弁体が上記弁口を開にし上記レバーの他方向への揺動時に上記弁体が上記弁口を閉にするように上記弁体を上記レバーに連係させる連係部とを備えたことを特徴とする
請求項8または9記載のスチームトラップ。
【請求項11】
上記連係部を、一端に上記弁体を支持するとともに中間部が上記貯留室を構成する壁部に上記レバーの揺動中心と同軸に軸支されて揺動可能に設けられる揺動杆と、該揺動杆に設けられ上記レバーの一方向の揺動時に該レバーに押圧されて該レバーと同動し上記レバーの他方向への揺動時に該レバーによる押圧が解除される舌片と、上記揺動杆の他端に設けられ上記レバーによる押圧が解除されたとき自重により揺動杆を他方向へ揺動させて上記弁口に対して上記弁体を閉にするウエイトとを備えて構成したことを特徴とする請求項10記載のスチームトラップ。
【請求項12】
上記容器に、上記入口及び出口をこれらの軸線が一方向中心線上に位置するように形成するとともに上記開口をその軸線が上記一方向中心線に直交する他方向中心線上に位置するように形成し、上記蓋に、上記弁口側通路及び上記出口側通路の上流路をこれらの軸線が上記他方向中心線と平行になるように形成し、上記バケットをその軸線が上記他方向中心線と平行になるように設け、上記容器に、上記出口に連通するとともに上記バケット内に流体を吹き込むように上記他方向中心線上に軸線を有して上記貯留室に開口する流出口を有した流入路を形成したことを特徴とする請求項10または11記載のスチームトラップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気を主とする流体が流通する配管系に生じたドレンを自動的に排出するスチームトラップに係り、特に、エロージョンやコロージョンの抑制を図ったスチームトラップに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、スチームトラップとしては、蒸気と凝縮水であるドレン(復水)との比重差を利用するバケット式やフロート式のメカニカルトラップ、蒸気とトラップの熱力学的特性差を利用したディスク式やオリフィス式のサーモダイナミックトラップ、あるいは、蒸気とトラップの温度差を利用した蒸気膨張式やバイメタル式のサーモスタティックトラップ等がある。これらのスチームトラップにおいては、経時的にエロージョンやコロージョンにより摩耗や腐食が生じ易いので、従来からこれらの抑制を図ったスチームトラップが提案されている。
【0003】
従来、この種のスチームトラップとしては、例えば、特許第6346751号公報(特許文献1)に掲載された技術が知られている。
図9に示すように、このスチームトラップTaは、例えば、バケット式のメカニカルトラップであり、流体の入口101及び出口102を有した炭素鋼からなるケーシング100を備え、このケーシング100内に入口101から流入した流体のドレン(復水)を貯留する貯留室103を設け、ケーシング100を構成する壁部に、貯留室103に開口する弁口104を有し貯留室103内のドレンを出口102に流出させるための流出路105を形成し、流出路105の弁口104を開閉する弁体106を有するとともにこの弁体106を開閉駆動する弁機構107を備えている。
【0004】
弁機構107は、弁口104を開閉する弁体106と、貯留室103に収納されるとともに上面に流体が通過可能な小孔(図示せず)が設けられ入口101側から貯留室103に流入する流体を受けて内部の蒸気量が多くなってドレン量が低下すると浮上し蒸気量が少なくなってドレン量が増加すると沈降するカップ状のバケット108と、貯留室103を構成する壁部の内面側に一端が軸支され他端にバケット108が取付けられこのバケット108の浮沈により揺動するレバー109とを備えて構成されている。弁体106は、このレバー109に、バケット108の浮上時に弁口104を閉にし沈降時に弁口104を開にするように連係させられている。
【0005】
また、流出路105は、弁口104から立ち上がる直状の弁口側通路110と、弁口側通路110に直交して連通するとともに弁口104に対向する壁面を有した中間通路111と、中間通路111に連通し出口102に至る出口側通路112とから構成されている。中間通路111の基端には開放した基端開口113が形成されており、この基端開口113から閉止部材120が圧入されている。閉止部材120は、炭素鋼より耐食性の高い耐食性金属としてのステンレス製であり、底部121及び開口122を有した有底の円筒状に形成され、その側部に弁口側通路110に連通する連通孔123が形成され、底部121が中間通路111の基端開口113側に位置するようにこの基端開口113から中間通路111に圧入されて溶接固定されている。
【0006】
これにより、高温の蒸気を含んだ流体が入口101から貯留室103に流入すると、ドレンが徐々に貯留されてくる。バケット108内の蒸気量が多いときはバケット108は浮上するので、弁体106が弁口104を閉じトラップする。一方、バケット108内の蒸気量が少なくなってドレンが所定量を超えるとバケット108は沈降するので弁体106が弁口104を開く。これにより、貯留室103内に溜まったドレンが弁口104を通って流出路105に流出し、出口102から排出される。この場合、蒸気とドレンとの混合流が生じて流出路105に噴出する現象も生じることがあり、そのため、流出路105の弁口側通路110から中間通路111に混合流体が繰り返し激しく当たることになるので、この部位にエロージョンやコロージョンを生じやすくなるが、この部位には、耐食性の高いステンレス製の閉止部材120が設けられているので、エロージョンやコロージョンの抑制が図られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、この従来のスチームトラップTaにおいては、弁口104から噴出する高圧の流体を、耐食性の高いステンレス製の閉止部材120に当てるようにしてこの部位にエロージョンやコロージョンが生じる事態を抑制しているが、閉止部材120は、中間通路111に圧入して溶接固定されることから、加工性が悪く、取付けも煩雑で組立効率に劣り、製造効率が悪いという問題があった。また、閉止部材120は中間通路111の基端側の一部に設けられるので、この閉止部材120の後流側においては、エロージョンやコロージョンを防止できない。そのため、経年的に多少なりともエロージョンやコロージョンが生じる場合もあり、その場合には、閉止部材120のみを交換することが難しいので、汎用性に劣るという問題もある。また、ケーシング100全体をステンレスなどの耐食性の高い材料で形成することも考えられるが、その場合には、コストが高くなってしまう。
【0009】
本発明は上記の問題点に鑑みて為されたもので、エロージョンやコロージョンを生じやすい部位の耐エロージョン性能や耐コロージョン性能を向上させるとともに、この部位の加工性や組立性を向上させて製造効率の向上を図り、容易に交換できるようにして汎用性の向上を図ったスチームトラップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような目的を達成するため、本発明のスチームトラップは、流体の入口及び出口を有したケーシングを備え、該ケーシング内に上記入口から流入した流体のドレンを貯留する貯留室を設け、上記ケーシングを構成する壁部に、上記貯留室に開口する弁口を有し該貯留室内のドレンを上記出口に流出させるための流出路を形成し、上記流出路の弁口を開閉する弁体を有するとともに該弁体を開閉駆動してその開時にドレンを上記流出路に流出させる弁機構を備えたスチームトラップにおいて、
上記流出路を、一端に上記弁口を有し他端に他端口を有した直状の弁口側通路と、該弁口側通路の他端口に連通する始端口及び終端口を有するとともに上記弁口側通路の他端口に対向する壁面を有した中間通路と、該中間通路の終端口に連通する連通口を有し上記出口に至る出口側通路とから構成し、
上記ケーシングを、上記貯留室を形成するとともに上記弁口側通路及び出口側通路を有したケーシング本体と、該ケーシング本体に取付けられ上記中間通路を有した部分体とを備えて構成し、上記部分体を、耐腐食性及び耐磨耗性の材料で形成し、上記ケーシング本体に対して着脱可能にした構成としている。
【0011】
ここで、耐腐食性及び耐磨耗性の材料としては、ステンレス(SUS)を始め、ニッケル、クロム、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム、チタン、ジルコニウム、ニオブ及びアルミニウムからなる群より選択される少なくとも1種類を主成分に含む金属、これらの金属を基材に溶射やめっき等で被覆した材料、あるいはセラミックス等を挙げることができる。ケーシング本体の一般部は、例えば、球状黒鉛鋳鉄(FCD)や炭素鋼で形成することができる。ステンレス等の耐腐食性及び耐磨耗性の材料に比較して安価なので、経済的に有利になる。高価にはなるが、部分体と同様に、耐腐食性及び耐磨耗性の材料で形成しても良いことは勿論である。
【0012】
これにより、部分体は、ケーシング本体に着脱可能に取付けられる部材であり、中間通路を全て含むことから、加工性や組立性を向上させることができ、製造効率の向上を図ることができる。そして、本スチームトラップの使用においては、高温の蒸気を含んだ流体が入口から貯留室に流入し、弁機構の弁体は、蒸気量が多いときは弁口を閉じトラップする一方、蒸気量が少なくなってドレン量が多くなると弁口を開き、貯留室内に溜まったドレンを弁口を通って流出路に流出させ、ドレンを出口から排出させる。この場合、蒸気とドレンとの混合流が生じて流出路に噴出する現象も生じることがあり、そのため、流出路の弁口側通路から中間通路に混合流体が繰り返し激しく当たることになるので、この部位にエロージョンやコロージョンを生じやすくなるが、この中間通路は、部分体に形成されており、部分体は耐腐食性及び耐磨耗性の材料で形成されているので、エロージョンやコロージョンの抑制を図ることができる。特に、従来に比較して、中間通路の全体が耐腐食性及び耐磨耗性の材料で形成されているので、中間通路の後流側の壁部についてもエロージョンやコロージョンの抑制を図ることができ、より一層、耐エロージョン性能や耐コロージョン性能を向上させることができる。
【0013】
また、経時的に部分体に多少なりともエロージョンやコロージョンが生じるようであれば、部分体を取外し、新しいものと交換すればよい。この場合、部分体は、ケーシング本体に着脱可能に取付けられる部材なので、交換が極めて容易であり、そのため、汎用性の向上を図ることができる。
【0014】
そして、必要に応じ、上記部分体に、上記始端口及び終端口が開口するとともに上記ケーシング本体に接合される接合面を形成し、
上記ケーシング本体に、上記始端口及び終端口に対応して上記他端口及び連通口が開口するとともに上記部分体の接合面が接合される被接合面を形成し、
上記ケーシング本体に接合された上記部分体を止着解除可能に止着する止着手段を備えた構成としている。
【0015】
これにより、部分体をケーシング本体に取付けるときは、部分体をその接合面をケーシング本体の被接合面に接合し、止着手段により止着すればよい。また、部分体をケーシング本体から取外すときは、止着手段の止着を解除し、部分体をその接合面をケーシング本体の被接合面から離間させて取外す。そのため、止着手段の止着及び止着解除するだけで、部分体をケーシング本体から取付け取外しできるようになるので、取付け取外しが極めて容易であり、汎用性を向上させることができる。
【0016】
また、必要に応じ、上記中間通路を、上記始端口を含み上記弁口側通路と同軸の上路と、上記弁口側通路の他端口に上記上路を通して対向する壁面を有し上記上路の下流側に該上路の軸線に直交する軸線を有して連設される主路と、上記終端口を含み上記主路の下流側に該主路の軸線に直交するとともに上記上路の軸線と平行な軸線を有して上記主路に連設される下路とから構成した構成としている。
【0017】
これにより、部分体を加工するときは、例えば、鋳造及び/または機械加工により、主路の端部に当たる部分に孔を開けて主路を加工するとともに、主路に直交させて上路及び下路を加工し、その後、孔をメクラ部材で塞いで行うことができる。そのため、加工を容易に行うことができる。
【0018】
更に、必要に応じ、上記接合面に、上記始端口及び終端口が開口する面を有した嵌合凸部及び該嵌合凸部に嵌合する関係にある嵌合凹部の何れか一方を形成し、
上記被接合面に、上記他端口及び連通口が開口する面を有し上記嵌合凸部及び嵌合凹部のいずれか他方を形成した構成としている。
これにより、部分体をその接合面をケーシング本体の被接合面に接合して取付けた際には、嵌合凸部と嵌合凹部とが互いに嵌合するので、部分体のケーシング本体に対する位置決めができるとともに、ケーシング本体に対して動きにくくなり、取付けを強固にすることができる。
【0019】
更にまた、必要に応じ、上記接合面と被接合面との間に介装されるシート状パッキンを備えた構成としている。これにより、部分体をその接合面をケーシング本体の被接合面に接合して取付けた際には、ケーシング本体の弁口側通路の他端口と部分体の中間通路の始端口とが連通し、ケーシング本体の出口側通路の連通口と部分体の中間通路の終端口とが連通するが、接合面と被接合面との間にパッキンが介装されるので、他端口と始端口との間、連通口と終端口との間からの流体の漏れを抑止することができ、気密性を向上させることができる。
【0020】
また、必要に応じ、上記部分体にボルトが挿通される複数のボルト挿通孔を形成し、上記ケーシング本体に、上記ボルト挿通孔に対応して設けられボルトが螺合する複数の雌ネジ部を形成し、上記止着手段を上記ボルトで構成した構成としている。止着手段の構成を簡易にすることができる。また、ボルトを締めあるいは緩めることにより部分体の止着及び止着解除を行うことができるので、操作性が極めてよく、この点でも組立性を向上させることができる。
【0021】
更に、必要に応じ、上記弁口側通路を有したブッシュを備え、該ブッシュを、耐腐食性及び耐磨耗性の材料で形成し、上記ケーシング本体の壁部の所要箇所に形成した貫通孔に挿通して固着した構成としている。ここで、耐腐食性及び耐磨耗性の材料は、上記の部分体と同様の材料で構成することができる。弁口側通路が耐腐食性及び耐磨耗性の材料で形成されているので、この部位のエロージョンやコロージョンの抑制を図ることができる。
【0022】
この場合、上記ブッシュの他端口側の他端部を、上記部分体の始端口から中間通路内に遊挿されるように上記貫通孔から突出形成したことが有効である。ブッシュの他端部が中間通路内に遊挿されるので、弁口側通路と中間通路とが連続して耐腐食性及び耐磨耗性の材料で形成されることになり、そのため、より一層エロージョンやコロージョンの抑制を図ることができる。
【0023】
そしてまた、必要に応じ、上記ケーシング本体を、上記弁機構を出し入れ可能な大きさの開口を有し上記貯留室を構成する凹所を備えた容器と、該容器の開口を塞ぐ蓋とを備えて構成し、上記出口側通路を、上記連通口を含む該連通口側の上流路と、上記出口側の下流路とに分割し、上記容器に、上記入口及び出口を形成するとともに、上記出口側通路の下流路を形成し、上記蓋に、上記弁口側通路を形成するとともに、上記出口側通路の上流路を形成し、上記部分体を、上記蓋に対して着脱可能にした構成としている。これにより、ケーシング本体を、容器と蓋とを備えて構成し、この蓋に対して部分体を着脱可能に取付けるようにしたので、蓋を容器から取外した状態で、部分体の取付け取外しを行うことができるので、メンテナンスをやり易くすることができる。
【0024】
また、必要に応じ、上記弁機構を、上記弁口を開閉する弁体と、上記貯留室に収納されるとともに上面に流体が通過可能な小孔が設けられ上記入口側から貯留室に流入する流体を受けて内部のドレン量が低下すると浮上しドレン量が増加すると沈降するカップ状のバケットと、上記蓋の内面側に一端が軸支され他端にバケットが取付けられ該バケットの沈降により一方向に揺動し上記バケットの浮上により他方向へ揺動するレバーと、該レバーの一方向への揺動時に上記弁体が上記弁口を開にし上記レバーの他方向への揺動時に上記弁体が上記弁口を閉にするように上記弁体を上記レバーに連係させる連係部とを備えた構成としている。バケット型の弁機構を蓋に取付けたので、蓋の容器に対する取付け取外しによって、弁機構の取付やメンテナンスをすることができる。
【0025】
この場合、上記連係部を、一端に上記弁体を支持するとともに中間部が上記貯留室を構成する壁部に上記レバーの揺動中心と同軸に軸支されて揺動可能に設けられる揺動杆と、該揺動杆に設けられ上記レバーの一方向の揺動時に該レバーに押圧されて該レバーと同動し上記レバーの他方向への揺動時に該レバーによる押圧が解除される舌片と、上記揺動杆の他端に設けられ上記レバーによる押圧が解除されたとき自重により揺動杆を他方向へ揺動させて上記弁口に対して上記弁体を閉にするウエイトとを備えて構成したことが有効である。バケットで揺動されるレバーではなく、ウエイトの自重により揺動する揺動杆により弁体を閉じるので、この弁体の閉時の衝撃を緩和することができる。
【0026】
また、必要に応じ、上記容器に、上記入口及び出口をこれらの軸線が一方向中心線上に位置するように形成するとともに上記開口をその軸線が上記一方向中心線に直交する他方向中心線上に位置するように形成し、上記蓋に、上記弁口側通路及び上記出口側通路の上流路をこれらの軸線が上記他方向中心線と平行になるように形成し、上記バケットをその軸線が上記他方向中心線と平行になるように設け、上記容器に、上記出口に連通するとともに上記バケット内に流体を吹き込むように上記他方向中心線上に軸線を有して上記貯留室に開口する流出口を有した流入路を形成したことが有効である。部分体をバランスよく配置することができる。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように本発明のスチームトラップによれば、使用時に、貯留室内に溜まったドレンが弁口を通って流出路に流出する際に、蒸気とドレンとの混合流が生じて流出路に噴出する現象も生じることがあり、そのため、流出路の弁口側通路から中間通路に混合流体が繰り返し激しく当たることになるので、この部位にエロージョンやコロージョンを生じやすくなるが、この中間通路は、部分体に形成されており、部分体は耐腐食性及び耐磨耗性の材料で形成されているので、エロージョンやコロージョンの抑制を図ることができる。特に、従来に比較して、中間通路の全体が耐腐食性及び耐磨耗性の材料で形成されているので、中間通路の後流側の壁部についてもエロージョンやコロージョンの抑制を図ることができ、より一層、耐エロージョン性能や耐コロージョン性能を向上させることができる。
【0028】
また、部分体は、ケーシング本体に着脱可能に取付けられる部材であり、中間通路を全て含むことから、加工性や組立性を向上させることができ、製造効率の向上を図ることができる。そして、経時的に部分体に多少なりともエロージョンやコロージョンが生じるようであれば、部分体を取外し、新しいものと交換すればよい。この場合、部分体は、ケーシング本体に着脱可能に取付けられる部材なので、交換が極めて容易であり、そのため、汎用性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の実施の形態に係るスチームトラップを示し、(a)はケーシング本体から部分体を取外した状態のケーシングの分解斜視図、(b)はケーシング本体に部分体を取付けた状態のケーシングの斜視図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係るスチームトラップを示す分解斜視図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係るスチームトラップの要部を示す一部断面分解斜視図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係るスチームトラップの部分体を示し、(a)は上から見た斜視図、(b)は下から見た斜視図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係るスチームトラップを示す断面図である。
【
図6】本発明の実施の形態に係るスチームトラップを示す要部拡大断面図である。
【
図7】本発明の実施の形態に係るスチームトラップの動作を示し、(a)はトラップ時の状態を示す断面図、(b)はドレンの排出時の状態を示す断面図である。
【
図8】本発明の別の実施の形態に係るスチームトラップを示す断面図である。
【
図9】従来のスチームトラップの一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施の形態に係るスチームトラップについて詳細に説明する。
図1乃至
図7に示すように、本発明の実施の形態に係るスチームトラップTは、所謂バケットタイプのスチームトラップであり、流体の入口2及び出口3を有したケーシング1を備えている。ケーシング1内には、入口2から流入した流体のドレンを貯留する貯留室4が設けられており、ケーシング1を構成する壁部には、貯留室4に開口する弁口11を有し貯留室4内のドレンを出口3に流出させるための流出路10が形成され、貯留室4内には、流出路10の弁口11を開閉する弁体51を有するとともにこの弁体51を開閉駆動してその開時にドレンを流出路10に流出させる弁機構50が備えられている。
【0031】
流出路10は、一端に弁口11を有し他端に他端口12を有した直状の弁口側通路13と、弁口側通路13の他端口12に連通する始端口14及び終端口15を有するとともに弁口側通路13の他端口12に対向する壁面を有した中間通路16と、中間通路16の終端口15に連通する連通口17を有し出口3に至る出口側通路18とから構成されている。
【0032】
ケーシング1は、貯留室4を形成するとともに弁口側通路13及び出口側通路18を有したケーシング本体5と、ケーシング本体5に取付けられ中間通路16を有した部分体30とを備えて構成されている。ケーシング本体5は、弁機構50を出し入れ可能な大きさの開口6を有し貯留室4を構成する凹所を備えた容器7と、容器7の開口6を塞ぎボルト8で固定される蓋20とを備えて構成されている。符号21は、容器7と蓋20との間に介装されるパッキンである。ケーシング本体5を構成する容器7及び蓋20の一般部は、例えば、球状黒鉛鋳鉄(FCD)や炭素鋼で形成することができる。実施の形態では、FCD450の鋳物で形成されている。材質はこれに限定されない。
【0033】
入口2及び出口3は、容器7に形成されている。容器7において、入口2及び出口3は、これらの軸線が一方向中心線P上に位置するように形成されているとともに、開口6は、その軸線が一方向中心線Pに直交する他方向中心線Q上に位置するように形成されている。容器7には、出口3に連通するとともに後述の弁機構50のバケット53内に流体を吹き込むように他方向中心線Q上に軸線を有して貯留室4に開口する流出口22を有した流入路23が形成されている。また、出口側通路18は、連通口17を含むこの連通口17側の上流路24と、出口3側の下流路25とに分割されており、容器7には、出口側通路18の下流路25が形成されている。部分体30をバランスよく配置することができる。
【0034】
一方、蓋20には、弁口側通路13が形成されているとともに、出口側通路18の上流路24が形成されている。蓋20において、弁口側通路13及び出口側通路18の上流路24は、これらの軸線が他方向中心線Qと平行になるように形成されている。
【0035】
部分体30は、ブロック状の部材であり、耐腐食性及び耐磨耗性の材料で形成されており、ケーシング本体5の蓋20の上面に対して着脱可能に取付けられる。耐腐食性及び耐磨耗性の材料としては、上掲したように種々あるが、実施の形態では、ステンレス(SUS)を用いている。例えば、SCS13、あるいは、SCS14の鋳物で形成されている。
【0036】
部分体30の下面には、始端口14及び終端口15が開口するとともにケーシング本体5の蓋20に接合される接合面31が形成されている。一方、ケーシング本体5の蓋20の上面には、始端口14及び終端口15に対応して弁口側通路13の他端口12及び出口側通路18の連通口17が開口するとともに部分体30の接合面31が接合される被接合面32が形成されている。また、実施の形態では、ケーシング本体5に接合された部分体30を止着解除可能に止着する止着手段33が備えられている。
【0037】
接合面31には、始端口14及び終端口15が開口する面を有した嵌合凸部34及び嵌合凸部34に嵌合する関係にある嵌合凹部35の何れか一方(実施の形態では嵌合凸部34)が形成されており、被接合面32には、他端口12及び連通口17が開口する面を有し嵌合凸部34及び嵌合凹部35のいずれか他方(実施の形態では嵌合凹部35)が形成されている。嵌合凸部34及び嵌合凹部35は小判型に形成されている。また、実施の形態においては、接合面31と被接合面32との間であって、嵌合凸部34と嵌合凹部35との間に介装されるシート状で小判型のパッキン36が備えられている。
【0038】
部分体30には、ボルト37が挿通される複数(実施の形態では4つ)のボルト挿通孔38が、所要の間隔を隔てて形成されている。一方、ケーシング本体5の蓋20の上面側には、ボルト挿通孔38に対応して設けられボルト37が螺合する複数の雌ネジ部39が形成されている。そして、止着手段33は、4本のボルト37で構成されている。止着手段33の構成を簡易にすることができる。
【0039】
部分体30において、中間通路16は、始端口14を含み弁口側通路13と同軸の上路40と、弁口側通路13の他端口12に上路40を通して対向する壁面を有しこの上路40の下流側に上路40の軸線に直交する軸線を有して連設される主路41と、終端口15を含み主路41の下流側にこの主路41の軸線に直交するとともに上路40の軸線と平行な軸線を有して主路41に連設される下路42とから構成されている。主路41の端部に当たる部分には、主路41の仕上げ加工をするための孔43が開設されており、この孔43は、メクラ部材44で塞がれている。
【0040】
また、実施の形態においては、弁口11及び弁口側通路13を有したブッシュ45が備えられている。ブッシュ45は、部分体30と同様に、耐腐食性及び耐磨耗性の材料で形成されている。実施の形態では、例えば、SUS630で形成されている。ケーシング本体1の蓋20の壁部の所要箇所には、貫通孔46が形成され、ブッシュ45はこの貫通孔46にネジ手段によりねじ込まれて挿通されて固着されている。また、ブッシュ45の他端口12側の他端部47は、部分体30の始端口14から中間通路16内に遊挿されるように貫通孔46から突出形成されている。
【0041】
弁機構50は、弁口11を開閉する弁体51を備えている。弁体51もブッシュ45と同様に、耐腐食性及び耐磨耗性の材料で形成されている。実施の形態では、例えば、SUS630で形成されている。また、弁機構50は、貯留室4に収納されるとともに上面に流体が通過可能な小孔52が設けられ入口2側から流出口22を通って貯留室4に流入する流体を受けて内部のドレン量が低下すると浮上しドレン量が増加すると沈降するカップ状のバケット53と、蓋20の内面側に取付部材54aを介して一端が軸59により軸支され他端にバケット53が取付けられこのバケット53の沈降により一方向Raに揺動しバケット53の浮上により他方向Rbへ揺動するレバー54と、レバー54の一方向Raへの揺動時に弁体51が弁口11を開にしレバー54の他方向Rbへの揺動時に弁体51が弁口11を閉にするように弁体51をレバー54に連係させる連係部55とを備えて構成されている。
【0042】
連係部55は、一端に弁体51を支持するとともに中間部が貯留室4を構成する壁部にレバー54の揺動中心と同軸に取付部材54aを介して軸支されて揺動可能に設けられる揺動杆56と、揺動杆56に設けられレバー54の一方向Raの揺動時にレバー54に押圧されてレバー54と同動しレバー54の他方向Rbへの揺動時にレバー54による押圧が解除される舌片57と、揺動杆56の他端に設けられレバー54による押圧が解除されたとき自重により揺動杆56を他方向Rbへ揺動させて弁口11に対して弁体51を閉にするウエイト58とを備えて構成されている。バケット53で揺動されるレバー54ではなく、ウエイト58の自重により揺動する揺動杆56により弁体51を閉じるので、この弁体51の閉時の衝撃を緩和することができる。
【0043】
従って、この実施の形態に係るスチームトラップTにおいて、部分体30を加工するときは、ステンレスを用いて鋳造し、その後、孔43を利用して主路41を仕上げ加工するとともに、主路41に直交する上路40及び下路42を仕上げ加工する。その後、孔43をメクラ部材44で塞いで行うことができる。そのため、加工を容易に行うことができる。即ち、部分体30は、ケーシング本体5の蓋20に着脱可能に取付けられる部材であり、中間通路16を全て含むことから、鋳造等で型成形でき、加工性を向上させることができ、製造効率の向上を図ることができる。
【0044】
次に、この実施の形態に係るスチームトラップTを組み立てるときは、蓋20にブッシュ45と弁機構50を取付け、この蓋20を容器7にパッキン21を介してボルト8で固定する。また、蓋20には、部分体30をボルト37で固定する。この取付けの際には、部分体30をその接合面31をケーシング本体5の被接合面32にパッキン36を介して接合し、止着手段33としてのボルト37により止着すればよい。この場合、止着手段33としてのボルト37で止着するだけで、部分体30をケーシング本体5の蓋20に取付けることができるので、作業が容易であり、組立性を向上させることができる。
【0045】
部分体30をその接合面31をケーシング本体5の被接合面32に接合して取付けた際には、嵌合凸部34と嵌合凹部35とが互いに嵌合するので、部分体30のケーシング本体5に対する位置決めができるとともに、部分体30がケーシング本体5に対して動きにくくなり、取付けを強固にすることができる。また、部分体30をその接合面31をケーシング本体5の被接合面32に接合して取付けた際には、ケーシング本体5の弁口側通路13の他端口12と部分体30の中間通路16の始端口14とが連通し、ケーシング本体5の出口側通路18の連通口17と部分体30の中間通路16の終端口15とが連通するが、接合面31と被接合面32との間にパッキン36が介装されるので、他端口12と始端口14との間、連通口17と終端口15との間からの流体の漏れを抑止することができ、気密性を向上させることができる。
【0046】
そして、この状態で、本スチームトラップTを使用すると、高温の蒸気を含んだ流体が入口2から貯留室4に流入し、
図7(a)に示すように、弁機構50の弁体51は、蒸気量が多いときは弁口11を閉じトラップする一方、蒸気量が少なくなってドレン量が多くなると、
図7(b)に示すように、弁口11を開き、貯留室4内に溜まったドレンを弁口11を通って流出路10に流出させ、ドレンを出口3から排出させる。この場合、蒸気とドレンとの混合流が生じて流出路10に噴出する現象も生じることがあり、そのため、流出路10の弁口側通路13から中間通路16に混合流体が繰り返し激しく当たることになるので、この部位にエロージョンやコロージョンを生じやすくなるが、この中間通路16は、部分体30に形成されており、部分体30は耐腐食性及び耐磨耗性の材料であるステンレスで形成されているので、エロージョンやコロージョンの抑制を図ることができる。特に、従来に比較して、中間通路16の全体が耐腐食性及び耐磨耗性の材料で形成されているので、中間通路16の後流側の壁部についてもエロージョンやコロージョンの抑制を図ることができ、より一層、耐エロージョン性能や耐コロージョン性能を向上させることができる。
【0047】
また、この場合、弁口11のあるブッシュ45や弁体51も耐腐食性及び耐磨耗性の材料で形成されているので、この部位のエロージョンやコロージョンの抑制も図ることができる。特に、ブッシュ45の他端部47が中間通路16内に遊挿されるので、弁口側通路13と中間通路16とが連続して耐腐食性及び耐磨耗性の材料で形成されることになり、そのため、より一層エロージョンやコロージョンの抑制を図ることができる。
【0048】
そして、経時的に部分体30に多少なりともエロージョンやコロージョンが生じるようであれば、部分体30を取外し、新しいものと交換すればよい。この場合、止着手段33としてのボルト37を取外して止着を解除し、部分体30をその接合面31をケーシング本体5の被接合面32から離間させ、新しいものと交換し、再び、ボルト37を締めて取付ける。ボルト37を締めあるいは緩めることにより部分体30の止着及び止着解除を行うことができるので、操作性が極めてよく、また、交換が極めて容易であり、そのため、汎用性の向上を図ることができる。
【0049】
また、ケーシング本体5は、容器7と蓋20とを備えて構成され、この蓋20に対して部分体30が着脱可能に取付けられるので、蓋20を容器7から取外した状態でも、部分体30の取付け取外しを行うことができるので、メンテナンスをやり易くすることができる。更に、バケット型の弁機構50を蓋20に取付けたので、蓋20の容器7に対する取付け取外しによって、弁機構50の取付やメンテナンスも容易に行うことができる。
【0050】
尚、上記実施の形態では、本発明をバケット型のスチームトラップTに適用した例を示したが、本発明は、他のスチームトラップにも適用できる。例えば、
図8に示すように、フロート70を備えたフロート型のスチームトラップTに適用できる。このスチームトラップTは、上記と異なり、弁口11を含む流出路10が蓋20を通すことなく容器7に設けられており、そのため、部分体30は容器7に対して着脱可能にすればよく、適宜変更して差支えない。当業者は、本発明の新規な教示及び効果から実質的に離れることなく、これら例示である実施の形態に多くの変更を加えることが容易であり、これらの多くの変更は本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0051】
T スチームトラップ
1 ケーシング
2 入口
3 出口
4 貯留室
5 ケーシング本体
6 開口
7 容器
8 ボルト
10 流出路
11 弁口
12 他端口
13 弁口側通路
14 始端口
15 終端口
16 中間通路
17 連通口
18 出口側通路
20 蓋
21 パッキン
P 一方向中心線
Q 他方向中心線
22 流出口
23 流入路
24 上流路
25 下流路
30 部分体
31 接合面
32 被接合面
33 止着手段
34 嵌合凸部
35 嵌合凹部
36 パッキン
37 ボルト(止着手段)
38 ボルト挿通孔
39 雌ネジ部
40 上路
41 主路
42 下路
43 孔
44 メクラ部材
45 ブッシュ
46 貫通孔
47 他端部
50 弁機構
51 弁体
52 小孔
53 バケット
54 レバー
Ra 一方向
Rb 他方向
54a 取付部材
55 連係部
56 揺動杆
57 舌片
58 ウエイト
59 軸
70 フロート