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特許7555741共有セル管理装置、共有セル管理方法及び共有セル管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】共有セル管理装置、共有セル管理方法及び共有セル管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 40/18 20200101AFI20240917BHJP
   G06Q 99/00 20060101ALI20240917BHJP
【FI】
G06F40/18
G06Q99/00
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020120122
(22)【出願日】2020-07-13
(65)【公開番号】P2022017056
(43)【公開日】2022-01-25
【審査請求日】2023-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】519138036
【氏名又は名称】株式会社ディーバ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】小林 正興
(72)【発明者】
【氏名】中谷 泰俊
【審査官】長 由紀子
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-293109(JP,A)
【文献】特開平06-096078(JP,A)
【文献】特表2003-536164(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0138587(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 40/00-58
G06Q 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なるシートにそれぞれ含まれる一つ以上のセルを一つの共有セルとし、当該共有セルに対応付けて識別情報を記憶するとともに、前記共有セルに設定された何れかの前記セルに対応付けて一つのシート全体をセル内シートとしてさらに記憶する記憶部と、
同一の前記識別情報に対応する前記共有セルに設定された各前記セルの値が一致するように処理を実行する処理部と、
を備え、
前記処理部は、前記セル内シートに対応付けられた前記セルの値を直接入力できないようにする一方、前記セル内シートにおいて定められた一つの代表セルの値を、前記セル内シートに対応付けられた前記セルの値として設定し、
前記処理部は、前記共有セルに設定された何れかの前記セルの値が更新された場合に、当該更新された前記セルと同じ前記共有セルに設定された他の前記セルの値が、前記更新された後の前記セルの値に更新されるように処理を実行
前記処理部は、前記セル内シートの前記代表セルの値が更新された場合には、前記セル内シートに対応付けられた前記セルの値が、前記更新された後の前記代表セルの値に更新されるように処理を実行するとともに、当該更新された前記セルと同じ前記共有セルに設定された他の前記セルの値が、前記更新された後の前記代表セルの値に更新されるように処理を実行する、
共有セル管理装置。
【請求項2】
プロセッサにより実行される共有セル管理方法であって、
異なるシートにそれぞれ含まれる一つ以上のセルを一つの共有セルとし、当該共有セルに対応付けて識別情報を記憶するとともに、前記共有セルに設定された何れかの前記セルに対応付けて一つのシート全体をセル内シートとしてさらに記憶する記憶ステップと、
同一の前記識別情報に対応する前記共有セルに設定された各前記セルの値が一致するように処理を実行する処理ステップと、
を含み、
前記処理ステップは、前記共有セルに設定された何れかの前記セルの値が更新された場合に、当該更新された前記セルと同じ前記共有セルに設定された他の前記セルの値が、前記更新された後の前記セルの値に更新されるように処理を実行
前記処理ステップは、前記セル内シートの前記代表セルの値が更新された場合には、前記セル内シートに対応付けられた前記セルの値が、前記更新された後の前記代表セルの値に更新されるように処理を実行するとともに、当該更新された前記セルと同じ前記共有セルに設定された他の前記セルの値が、前記更新された後の前記代表セルの値に更新されるように処理を実行する、
共有セル管理方法。
【請求項3】
コンピュータを、
異なるシートにそれぞれ含まれる一つ以上のセルを一つの共有セルとし、当該共有セルに対応付けて識別情報を記憶するとともに、前記共有セルに設定された何れかの前記セルに対応付けて一つのシート全体をセル内シートとしてさらに記憶する記憶部、
同一の前記識別情報に対応する前記共有セルに設定された各前記セルの値が一致するように処理を実行する処理部、
として機能させ、
前記処理部は、前記共有セルに設定された何れかの前記セルの値が更新された場合に、当該更新された前記セルと同じ前記共有セルに設定された他の前記セルの値が、前記更新された後の前記セルの値に更新されるように処理を実行
前記処理部は、前記セル内シートの前記代表セルの値が更新された場合には、前記セル内シートに対応付けられた前記セルの値が、前記更新された後の前記代表セルの値に更新されるように処理を実行するとともに、当該更新された前記セルと同じ前記共有セルに設定された他の前記セルの値が、前記更新された後の前記代表セルの値に更新されるように処理を実行する、
共有セル管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共有セル管理装置、共有セル管理方法及び共有セル管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
予算や予算計画を立てる業務には、例えば部署ごとに情報を収集して集計する作業が含まれる。このような集計を要する作業では、一般にスプレッドシート(表計算ソフト)を利用して作業されることが多い。下記特許文献1には、スプレッドシートに関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-216463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、各部署から収集されるデータには、複数の部署で共通して用いられるデータが含まれる。共通して用いられるデータとして、例えば、為替レートや、標準原価、残存価格、社内売上等がある。このような共通して用いられるデータを各部署の入力に任せると、入力ミスなどにより不一致が生じ易くなる。他方、スプレッドシートには、何れかのシートのセルに入力されたデータを、他のシートのセルに反映させる機能がある。この機能を利用する場合、データの反映先となるセルに、反映元となるセルを指定する数式を設定し、反映元となるセルにデータを入力する一方、反映先となるセルにはデータを直接入力しないことになる。この場合、データを反映させる方向が一方向に固定化されることになり、利便性に欠ける。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、異なるシートにあるセルのデータを共有し、相互に反映させることができる共有セル管理装置、共有セル管理方法及び共有セル管理プログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様である共有セル管理装置は、異なるシートにそれぞれ含まれる一つ以上のセルを一つの共有セルとし、当該共有セルに対応付けて識別情報を記憶する記憶部と、同一の前記識別情報に対応する前記共有セルに設定された各前記セルの値が一致するように処理を実行する処理部と、を備え、前記処理部は、何れかの前記シートにおいて、前記共有セルに設定された何れかの前記セルの値が編集された場合に、当該セルと同じ前記共有セルに設定された他の前記セルの値が、前記編集された後の前記セルの値に更新されるように処理を実行する。
【0007】
上記態様において、前記記憶部は、前記共有セルに設定された一つの前記セルに対応付けて、一つのシートをセル内シートとしてさらに記憶し、前記処理部は、前記セル内シートにおいて定められた一つの代表セルの値を、当該セル内シートに対応付けられた前記セルの値として設定することとしてもよい。
【0008】
上記態様において、前記処理部は、前記セル内シートの前記代表セルの値が更新され、当該セル内シートに対応付けられた前記セルの値が更新された場合に、当該セルと同じ前記共有セルに設定された他の前記セルの値が、前記更新された後の前記セルの値に更新されるように処理を実行することとしてもよい。
【0009】
本発明の他の態様である共有セル管理方法は、プロセッサにより実行される共有セル管理方法であって、異なるシートにそれぞれ含まれる一つ以上のセルを一つの共有セルとし、当該共有セルに対応付けて識別情報を記憶する記憶ステップと、同一の前記識別情報に対応する前記共有セルに設定された各前記セルの値が一致するように処理を実行する処理ステップと、を含み、前記処理ステップは、何れかの前記シートにおいて、前記共有セルに設定された何れかの前記セルの値が編集された場合に、当該セルと同じ前記共有セルに設定された他の前記セルの値が、前記編集された後の前記セルの値に更新されるように処理を実行する。
【0010】
上記態様において、前記記憶ステップは、前記共有セルに設定された一つの前記セルに対応付けて、一つのシートをセル内シートとしてさらに記憶し、前記処理ステップは、前記セル内シートにおいて定められた一つの代表セルの値を、当該セル内シートに対応付けられた前記セルの値として設定することとしてもよい。
【0011】
上記態様において、前記処理ステップは、前記セル内シートの前記代表セルの値が更新され、当該セル内シートに対応付けられた前記セルの値が更新された場合に、当該セルと同じ前記共有セルに設定された他の前記セルの値が、前記更新された後の前記セルの値に更新されるように処理を実行することとしてもよい。
【0012】
本発明の他の態様である共有セル管理プログラムは、コンピュータを、異なるシートにそれぞれ含まれる一つ以上のセルを一つの共有セルとし、当該共有セルに対応付けて識別情報を記憶する記憶部、同一の前記識別情報に対応する前記共有セルに設定された各前記セルの値が一致するように処理を実行する処理部、として機能させ、前記処理部は、何れかの前記シートにおいて、前記共有セルに設定された何れかの前記セルの値が編集された場合に、当該セルと同じ前記共有セルに設定された他の前記セルの値が、前記編集された後の前記セルの値に更新されるように処理を実行する。
【0013】
上記態様において、前記記憶部は、前記共有セルに設定された一つの前記セルに対応付けて、一つのシートをセル内シートとしてさらに記憶し、前記処理部は、前記セル内シートにおいて定められた一つの代表セルの値を、当該セル内シートに対応付けられた前記セルの値として設定することとしてもよい。
【0014】
上記態様において、前記処理部は、前記セル内シートの前記代表セルの値が更新され、当該セル内シートに対応付けられた前記セルの値が更新された場合に、当該セルと同じ前記共有セルに設定された他の前記セルの値が、前記更新された後の前記セルの値に更新されるように処理を実行することとしてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、異なるシートにあるセルのデータを共有し、相互に反映させることができる共有セル管理装置、共有セル管理方法及び共有セル管理プログラムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態に係る共有セル管理装置を含む共有セル管理システムの構成を例示する図である。
図2図1に示す共有セル管理装置の物理的な構成を例示する図である。
図3図1に示す利用者端末の物理的な構成を例示する図である。
図4】共有セル管理システムで共有セルを更新するしくみを説明するための図である。
図5A】A社の利用者端末で共有セルを設定する際の手順を説明するための図である。
図5B】A社の利用者端末で共有セルを設定する際の手順を説明するための図である。
図6A】B社の利用者端末で共有セルを設定する際の手順を説明するための図である。
図6B】B社の利用者端末で共有セルを設定する際の手順を説明するための図である。
図7】共有セル管理システムで共有セルを更新する際の動作を説明するためのシーケンスチャートである。
図8】変形例におけるセル内シートを説明するための図である。
図9】変形例における共有セルの設定例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係る共有セル管理装置2を含む共有セル管理システム1の概略構成図である。同図に示すように、本実施形態における共有セル管理システム1は、共有セル管理装置2と、一台以上の利用者端末3とを備える。共有セル管理装置2と利用者端末3とは、ネットワークNを介して相互に情報を送受信する。ネットワークNは、例えば、インターネット、LAN、専用線、電話回線、企業内ネットワーク、移動体通信網、ブルートゥース(登録商標)、WiFi(Wireless Fidelity)、その他の通信回線、それらの組み合わせ等のいずれであってもよく、有線であるか無線であるかを問わない。
【0019】
共有セル管理装置2は、例えば、演算処理能力の高いコンピュータによって構成され、そのコンピュータにおいて所定のサーバ用プログラムが動作することにより、サーバ機能を実現するものである。ここで、共有セル管理装置2を構成するコンピュータは、必ずしも1台である必要はなく、ネットワークN上に分散する複数のコンピュータから構成されてもよい。
【0020】
図2に示すように、共有セル管理装置2は、物理的な構成として、例えば、プロセッサ21と、通信インタフェース22と、記憶装置23とを備える。
【0021】
プロセッサ21は、算術論理演算ユニット及び各種レジスタから構成される。プロセッサ21は、記憶装置23に格納されているコンピュータプログラム230を実行することで、各種の機能を実現する。
【0022】
通信インタフェース22は、ネットワークNに接続し、ネットワークN上の他の端末と通信をするハードウェアモジュールである。
【0023】
記憶装置23は、例えば、ディスクドライブ又は半導体メモリ等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。この記憶装置23には、例えば、コンピュータプログラム230、及び各種のデータ232が格納される。
【0024】
コンピュータプログラム230は、所定の処理を行うためのプログラムであり、共有セル管理装置2のメインプログラムやメインプログラムの動作中に適宜呼び出されて実行される複数のソフトウェアモジュールを含む。ソフトウェアモジュールは、それぞれ特定の処理を実行するためにモジュール化されたサブプログラムであり、例えば、プロシージャ、サブルーチン、メソッド、関数及びデータ構造等を用いて作成される。
【0025】
本実施形態におけるコンピュータプログラム230は、例えば、スプレッドシートエンジン231をさらに含む。スプレッドシートエンジン231は、表計算ソフトとしてのスプレッドシート機能を提供するためのプログラムである。したがって、プロセッサ21が、スプレッドシートエンジン231を実行することで、スプレッドシート機能を提供する処理部として機能することになる。
【0026】
各種のデータ232として、例えば、各利用者端末3で管理されているスプレッドシートのブックデータ、及び共有セルデータがある。ここで、スプレッドシートでは、ブック単位にファイルが構成され、一つのブックが一つ以上のシートで構成され、一つのシートが複数のセルで構成される。共有セル管理装置2に記憶されるブックデータは、例えば、各利用者端末3で管理されているそれぞれのブックデータが、所定のタイミングでそれぞれ共有セル管理装置2にアップロードされることで、記憶される。例示的に、図4には、A社の利用者端末3aで管理されているブックデータBaに対応するA社ブックデータBa’と、B社の利用者端末3bで管理されているブックデータBbに対応するB社ブックデータBb’とが記憶されている。
【0027】
共有セルデータは、共有セルに関するデータの集まりである。共有セルデータには、例えば、共有セル名称、共有データ、及び対象セル情報が含まれる。共有セル名称は、共有セルを特定する名称(識別情報)である。共有データは、共有セルに格納されている実データである。対象セル情報は、共有セルとして設定された複数のセルを特定する情報である。セルを特定する情報には、例えば、ブックID、シート番号及びセル番号が含まれる。
【0028】
図1に示す利用者端末3は、利用者が使用する端末である。利用者端末3は、例えば、ノートPC(パーソナルコンピュータ)、PC、タブレット端末等が該当するが、スプレッドシート機能を実現できる端末であれば、どのような端末にも適用できる。
【0029】
図3に示すように、利用者端末3は、物理的な構成として、例えば、プロセッサ31と、通信インタフェース32と、入力デバイス33と、表示デバイス34と、記憶装置35とを備える。
【0030】
プロセッサ31は、算術論理演算ユニットおよび各種レジスタから構成される。プロセッサ31は、例えば、記憶装置35に格納されているコンピュータプログラム350を実行し、入力デバイス33から入力された情報に従って共有セル管理装置2にリクエストを送信し、共有セル管理装置2からのレスポンスを受信する。
【0031】
通信インタフェース32は、例えば共有セル管理装置2との接続インタフェースを提供するものであり、無線通信インタフェース又は有線通信インタフェースから構成される。また、入力デバイス33は、ユーザからの入力を受け付けるインタフェースを提供するものであり、キーボード、タッチパネル、マウス等を例示することができる。また、表示デバイス34は、表示インタフェースをユーザに提供するものであり、例えば、有機ELディスプレイ、液晶ディスプレイ等が挙げられる。
【0032】
記憶装置35は、例えば、ディスクドライブ又は半導体メモリ等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。この記憶装置35には、例えば、コンピュータプログラム350、及び各種のデータ352が格納される。
【0033】
コンピュータプログラム350は、所定の処理を行うためのプログラムであり、例えば、利用者端末3のメインプログラムやメインプログラムの動作中に適宜呼び出されて実行される複数のソフトウェアモジュールを含む。コンピュータプログラム350は、共有セル管理装置2からネットワークNを介してダウンロードされ、インストールされてもよい。
【0034】
本実施形態におけるコンピュータプログラム350は、例えば、スプレッドシートエンジン351をさらに含む。スプレッドシートエンジン351は、上述したスプレッドシートエンジン231と同様に、表計算ソフトとしてのスプレッドシート機能を提供するためのプログラムである。したがって、プロセッサ31が、スプレッドシートエンジン351を実行することで、スプレッドシート機能を提供する処理部として機能することになる。
【0035】
各種のデータ352として、例えば、スプレッドシートのブックデータがある。このブックデータは、各セルに格納される実データを含む。
【0036】
図4を参照し、共有セル管理システム1で共有セルを更新するしくみについて説明する。同図は、A社の利用者端末3aとB社の利用者端末3bとの間で設定された共有セルが、共有セル管理装置2で管理されることを例示する模式図である。
【0037】
A社の利用者端末3aでは、A社のブックBaに含まれるシートSaのセルのうち、セルCaが共有セルに設定されている。
【0038】
A社の利用者端末3aのスプレッドシートエンジン351aは、共有セルに設定されているセルCaが編集され、更新指示がなされると、利用者端末3aに記憶されているセルCaの値を更新するとともに、編集後のセルCaの値を共有セル管理装置2に送信する。
【0039】
A社の利用者端末3aのスプレッドシートエンジン351aは、B社の利用者端末3bで編集されたセルCbの値を、共有セル管理装置2から受信した場合に、利用者端末3aに記憶されているセルCaの値を、受信したセルCbの値で更新する。
【0040】
B社の利用者端末3bでは、B社のブックBbに含まれるシートSbのセルのうち、セルCbが共有セルに設定されている。
【0041】
B社の利用者端末3bのスプレッドシートエンジン351bは、共有セルに設定されているセルCbが編集され、更新指示がなされると、利用者端末3bに記憶されているセルCbの値を更新するとともに、編集後のセルCbの値を共有セル管理装置2に送信する。
【0042】
B社の利用者端末3bのスプレッドシートエンジン351bは、A社の利用者端末3aで編集されたセルCaの値を、共有セル管理装置2から受信した場合に、利用者端末3bに記憶されているセルCbの値を、受信したセルCaの値で更新する。
【0043】
共有セル管理装置2は、A社のブックデータBa’、B社のブックデータBb’及び共有セルデータCsを管理する。
【0044】
共有セル管理装置2のスプレッドシートエンジン231は、A社の利用者端末3aから、共有セルに設定されているセルCaの編集後の値を受信した場合に、セルCaに対応付けられた共有セルデータCsの共有データを、編集後のセルCaの値で更新する。そして、スプレッドシートエンジン231は、編集後のセルCaの値を、B社の利用者端末3bに送信する。
【0045】
共有セル管理装置2のスプレッドシートエンジン231は、B社の利用者端末3bから、共有セルに設定されているセルCbの編集後の値を受信した場合に、セルCbに対応付けられた共有セルデータCsの共有データを、編集後のセルCbの値で更新する。そして、スプレッドシートエンジン231は、編集後のセルCbの値を、A社の利用者端末3aに送信する。
【0046】
図5乃至図6を参照し、利用者端末3において共有セルを設定する際の手順について説明する。図5A及び図5Bは、A社の利用者端末3aで共有セルを設定する際の手順を例示する模式図である。図6A及び図6Bは、B社の利用者端末3bで共有セルを設定する際の手順を例示する模式図である。
【0047】
最初に、図5Aに示すように、A社の担当者が、A社のブックBaに含まれるシートSaのセルの中から、“B社”に対する“売上高”の“金額”を入力するセルCaを選択して右クリックすると、プルダウンメニューMaが表示される。このプルダウンメニューMaに表示された複数のメニューの中から“共有セル化”を選択すると、図5Bに示す共有セル名称登録画面Gaが表示される。
【0048】
続いて、A社の担当者が、共有セル名称登録画面Gaの入力欄Iaに、共有セル名称として、“A→B 内部取引金額”を入力し、OKボタンOaを押下すると、セルCaを特定する情報と、入力した共有セル名称とを含む情報が、共有セル登録要求情報として、共有セル管理装置2に送信される。
【0049】
続いて、共有セル管理装置2は、共有セル登録要求情報に基づいて、共有セルデータCsを登録する。これにより、共有セル名称に“A→B 内部取引金額”を格納し、対象セル情報にセルCaを特定する情報を格納した共有セルデータCsが記憶装置23に登録される。
【0050】
続いて、図6Aに示すように、B社の担当者が、B社のブックBbに含まれるシートSbのセルの中から、“A社”に対する“売上原価”を入力するセルCbを選択して右クリックすると、プルダウンメニューMbが表示される。このプルダウンメニューMbに表示された複数のメニューの中から“共有セルを貼付け”を選択すると、図6Bに示す共有セル名称選択画面Gbが表示される。
【0051】
続いて、B社の担当者が、共有セル名称選択画面Gbに表示された共有セル名称リストLbの中から“A→B 内部取引金額”を選択し、OKボタンObを押下すると、セルCbを特定する情報と、選択した共有セル名称とを含む情報が、共有セル設定要求情報として、共有セル管理装置2に送信される。
【0052】
続いて、共有セル管理装置2は、共有セル設定要求情報に基づいて、共有セルデータCsを更新する。これにより、共有セル名称に“A→B 内部取引金額”を格納する共有セルデータCsの対象セル情報に、セルCbを特定する情報が追加され、更新される。
【0053】
次に、図7のシーケンスチャートを参照し、共有セルを更新する際の動作について説明する。この動作では、上述した図5乃至図6に示すように、A社の利用者端末3aとB社の利用者端末3bとの間で共有セルが設定されていることを前提とする。
【0054】
最初に、A社の担当者が、スプレッドシートエンジン351aを実行する利用者端末3aを操作して、ブックBaに含まれるシートSaのセルCaを編集して更新を指示する(ステップS101)。
【0055】
続いて、A社の利用者端末3aのスプレッドシートエンジン351aは、利用者端末3aに記憶されているセルCaの値を更新する(ステップS102)。
【0056】
続いて、A社の利用者端末3aのスプレッドシートエンジン351aは、編集されたセルCaの値を共有セル管理装置2に送信する(ステップS103)。
【0057】
続いて、共有セル管理装置2のスプレッドシートエンジン231は、セルCaに対応付けられた共有セルデータCsの共有データを、A社の利用者端末3aから受信したセルCaの値で更新する(ステップS104)。
【0058】
続いて、共有セル管理装置2のスプレッドシートエンジン231は、A社の利用者端末3aから受信したセルCaの値を、B社の利用者端末3bに送信する(ステップS105)。
【0059】
続いて、B社の利用者端末3bのスプレッドシートエンジン351bは、利用者端末3bに記憶されているセルCbの値を、共有セル管理装置2から受信したセルCaの値で更新する。(ステップS105)。
【0060】
ここで、B社のブックBbに含まれるシートSbのセルCbが編集された場合には、上記ステップS101乃至ステップS105で説明した、A社の利用者端末3aの処理とB社の利用者端末3bの処理とを入れ替え、さらにセルCaとセルCbとを入れ替えることで、上記と同様に共有セルを更新することができる。
【0061】
上述したように、実施形態における共有セル管理装置2によれば、何れかのシートにおいて、共有セルに設定された何れかのセルの値が編集された場合に、そのセルと同じ共有セルに設定された他のセルの値を、編集されたセルの値と一致するように更新させることができる。
【0062】
したがって、実施形態における共有セル管理装置2によれば、異なるシートにあるセルのデータを共有し、相互に反映させることができる。
【0063】
[変形例]
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、他の様々な形で実施することができる。このため、上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈されるものではない。例えば、上述した各処理ステップは処理内容に矛盾を生じない範囲で任意に順番を変更し、又は並列に実行することができる。
【0064】
(セル内シート)
上述した実施形態では、共有セルに設定する各セルに直接値を入力していたが、これに限定されない。例えば、共有セルに設定された一つのセルに対応付けて、一つのシートをセル内シートとしてさらに記憶させることとしてもよい。この場合、セル内シートにおいて定められた一つの代表セルの値を、セル内シートに対応付けられたセルの値として設定することができる。
【0065】
図8を参照して具体的に説明する。例えば、A社のシートSaのセルの中から、“A社”の“北海道”における“6月”の純売上を入力するセルCaを共有セルに設定し、そのセルCaに対応付けて、一つのセル内シートScaを設定することができる。このセル内シートScaでは、“取引先100”、“取引先101”及び“取引先102”それぞれの“純売上”の合計を表示するセルCvが代表セルに設定されている。この場合、共有セルに設定したセルCaの値は直接入力することができず、セル内シートScaの各“純売上”を入力するセルの値を変更することで更新される代表セルCvの値が、セルCaの値として入力される。
【0066】
したがって、セル内シートScaの代表セルCvの値が更新され、そのセル内シートScaに対応付けられたセルCaの値が更新されると、そのセルCaと同じ共有セルに設定された他のセルの値(例えばB社のセルの値)が、更新されたセルCaの値と一致するように更新される。
【0067】
(その他の変形例)
上述した実施形態では、共有セルをA社とB社との二社間で設定する場合について説明したが、三社以上でも同様に設定することができる。また、上述した実施形態では、共有セルとして、一つのシートに一つのセルを設定する場合について説明したが、一つのシートに複数のセルを設定することとしてもよい。これらの変形例について、図9を参照して具体的に説明する。
【0068】
同図は、A社、B社及びC社の間で、共有セルを設定する場合について例示する模式図である。同図では、A社のシートSaの“米ドル”の“4月”の“予想レート”を入力するセルCaと、B社のシートSbの“仕向先”となる“米国”の“4月”の“レート”を入力するセルCbと、C社のシートScの“原材料A”の“予想レート”を入力するセルCc1と、C社のシートScの“原材料B”の“予想レート”を入力するセルCc2と、が共有セルとして設定されている。C社のシートScには、2つのセルCc1及びセルCc2が、共有セルに設定されている。
【0069】
なお、共有セルを設定するのは、会社間であることに限定されず、例えば、同一会社の部署間又は社員間で共有することとしてもよい。また、複数の利用者端末3間で共有セルを設定することに限定されず、同一端末内で管理しているブック間やシート間で共有セルを設定することとしてもよい。
【0070】
また、セルを共有することに限定されず、共有シートとして一つのシートに属する全てのセルの値及び計算式等を共有することとしてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1…共有セル管理システム、2…共有セル管理装置、3…利用者端末、21…プロセッサ、22…通信インタフェース、23…記憶装置、31…プロセッサ、32…通信インタフェース、33…入力デバイス、34…表示デバイス、35…記憶装置、230…コンピュータプログラム、231…スプレッドシートエンジン、350…コンピュータプログラム、351…スプレッドシートエンジン、N…ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9