(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】撮像レンズ
(51)【国際特許分類】
G02B 13/00 20060101AFI20240917BHJP
G02B 13/18 20060101ALI20240917BHJP
【FI】
G02B13/00
G02B13/18
(21)【出願番号】P 2020132098
(22)【出願日】2020-08-04
【審査請求日】2023-08-04
(73)【特許権者】
【識別番号】521351719
【氏名又は名称】東京晨美光学電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100213285
【氏名又は名称】古畑 依里
(74)【代理人】
【識別番号】100112520
【氏名又は名称】林 茂則
(72)【発明者】
【氏名】山崎 真輝
【審査官】森内 正明
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-116594(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0045714(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0056568(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0101728(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0101729(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0204560(US,A1)
【文献】特開2021-96439(JP,A)
【文献】特開2021-96446(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00 - 17/08
G02B 21/02 - 21/04
G02B 25/00 - 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子上に被写体像を形成する撮像レンズであって、物体側から像面側に向かって順に、
正の屈折力を有する第1レンズと、
負の屈折力を有する第2レンズと、
正の屈折力を有する第3レンズと、
負の屈折力を有する第4レンズと、
負の屈折力を有する第5レンズと、
正の屈折力を有する第6レンズと、
負の屈折力を有する第7レンズと、
負の屈折力を有する第8レンズから
構成され、
前記第8レンズは、変曲点が設けられた非球面形状の像面側の面を有し、
レンズ系全体の焦点距離をf、前記第4レンズの焦点距離をf4としたとき、
-12.0<f4/f<-3.0、
を満足する撮像レンズ。
【請求項2】
前記第6レンズの物体側の面の近軸曲率半径をR6f、前記第6レンズの像面側の面の近軸曲率半径をR6rとしたとき、
1<R6f/R6r<30、
を満足する請求項1に記載の撮像レンズ。
【請求項3】
前記第2レンズの焦点距離をf2、前記第6レンズの焦点距離をf6としたとき、
-2.5<f2/f6<-0.3、
を満足する請求項1または2に記載の撮像レンズ。
【請求項4】
前記第7レンズの焦点距離をf7としたとき、
-15.0<f7/f<-3.5、
を満足する請求項1~3のいずれか一項に記載の撮像レンズ。
【請求項5】
前記第8レンズの物体側の面の近軸曲率半径をR8f、前記第8レンズの像面側の面の近軸曲率半径をR8rとしたとき、
1<R8f/R8r<100、
を満足する請求項1~4のいずれか一項に記載の撮像レンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CCDセンサやCMOSセンサ等の撮像素子上に被写体像を形成する撮像レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
IoT(Internet of Things)技術の進展により、スマートフォンや携帯電話機等の携帯情報機器はもとより、ゲーム機、家電製品、自動車等の多くの製品や機器がネットワークに繋がり、これらモノの間で様々な情報の共有が行われている。IoT環境の下では、モノに内蔵されたカメラからの画像情報を利用することにより様々なサービスの提供が可能となる。ネットワークで伝達される画像情報は年々増加の一途を辿っており、当該カメラに対しては高い解像度が要求される。
【0003】
解像度の高い鮮明な画像を得るためには、カメラに内蔵される撮像レンズにおいて諸収差を良好に補正する必要がある。8枚のレンズから成るレンズ構成は、撮像レンズを構成するレンズの枚数が多いことから設計上の自由度が高く、諸収差を良好に補正できる。特許文献1には、こうした8枚構成の撮像レンズが開示されている。
【0004】
特許文献1に記載の撮像レンズは、正の屈折力を有する第1レンズ、負の屈折力を有する第2レンズ、正の屈折力を有する第3レンズ、第4レンズ、第5レンズ、第6レンズ、第7レンズ、負の屈折力を有する第8レンズを有する。当該撮像レンズでは、第1レンズの屈折力をレンズ系全体の屈折力よりも一定の範囲内で弱くするとともに、第3レンズの形状を、曲率半径で規定される特定の形状に限定する。また、第2レンズと第3レンズとの間の距離に対して第2レンズの厚さを一定の範囲内に収めることで、撮像レンズによる諸収差の良好な補正を実現する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】中国特許出願公開第111007631号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載の撮像レンズによれば、広角でありながらも比較的良好に諸収差を補正できる。しかしながら、撮像レンズに要求される解像度は年々高くなってきており、高解像度への対応を考慮した場合、特許文献1に記載のレンズ構成では諸収差の補正の程度が不十分である。また近年では、光量が少ない環境下での撮影や、撮影時における被写体のぶれ抑制等への観点から、撮像レンズの低Fナンバー化が強く求められている。
【0007】
本発明の目的は、小型でありながらもFナンバーが小さく、諸収差を良好に補正することのできる撮像レンズを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の撮像レンズは、撮像素子上に被写体像を形成する撮像レンズであって、物体側から像面側に向かって順に、正の屈折力を有する第1レンズと、負の屈折力を有する第2レンズと、正の屈折力を有する第3レンズと、負の屈折力を有する第4レンズと、第5レンズと、第6レンズと、第7レンズと、負の屈折力を有する第8レンズとを備える。第8レンズは、変曲点が設けられた非球面形状の像面側の面を有する。
【0009】
本発明の撮像レンズにおいては、正の屈折力を有する第1レンズの像面側に、負の屈折力を有する第2レンズを配置する。これにより、撮像レンズの低背化を好適に図りつつ色収差を良好に補正できる。また、第3レンズが正の屈折力を有することから、第1レンズから第3レンズまでの屈折力の配列が正負正となり、広範囲の波長について色収差を良好に補正できる。
【0010】
さらに、第8レンズの像面側の面を、変曲点を有する非球面形状に形成することにより、バックフォーカスを確保しつつ画像周辺部の像面湾曲および歪曲収差を良好に補正できる。第8レンズのこのような形状によれば、撮像レンズから出射した光線の撮像素子の像面への入射角度を主光線角度(CRA:Chief Ray Angle)の範囲内に抑制しつつ近軸および周辺の諸収差についても良好に補正できる。
【0011】
なお、本発明において「レンズ」とは、屈折力を有する光学要素を指すものとする。よって、光の進行方向を変えるプリズムや平板のフィルタ等の光学要素は本発明の「レンズ」に含まれず、これら光学要素は適宜、撮像レンズの前後や各レンズ間に配置することができる。
【0012】
上記構成の撮像レンズにおいて第4レンズは、負の屈折力を有することが望ましい。
【0013】
負の屈折力を有する第4レンズを第3レンズの像面側に配置することにより、第3レンズおよび第4レンズの屈折力の配列が正負となるため、高解像度化において必須となる色収差の補正を精細に行うことができる。
【0014】
上記構成の撮像レンズは、第1レンズの物体側の面の近軸曲率半径をR1f、第1レンズの像面側の面の近軸曲率半径をR1rとしたとき、次の条件式(1)を満足することが望ましい。
3.5<|R1r/R1f|<8.5 (1)
【0015】
条件式(1)を満足することにより球面収差を良好に補正できる。
【0016】
上記構成の撮像レンズは、レンズ系全体の焦点距離をf、第3レンズの焦点距離をf3としたとき、次の条件式(2)を満足することが望ましい。
1.35<f3/f<4.50 (2)
【0017】
条件式(2)を満足することにより、球面収差、コマ収差、非点収差および像面湾曲をバランスよく良好に補正できる。
【0018】
上記構成の撮像レンズは、第1レンズの焦点距離をf1、第3レンズの焦点距離をf3としたとき、次の条件式(3)を満足することが望ましい。
1.20<f3/f1<4.50 (3)
【0019】
条件式(3)を満足することによりコマ収差を良好に補正できる。
【0020】
上記構成の撮像レンズは、レンズ系全体の焦点距離をf、第4レンズの焦点距離をf4としたとき、次の条件式(4)を満足することが望ましい。
-12.00<f4/f<-3.00 (4)
【0021】
条件式(4)を満足することにより像面湾曲を良好に補正できる。
【0022】
上記構成の撮像レンズは、第3レンズの焦点距離をf3、第4レンズの焦点距離をf4としたとき、次の条件式(5)を満足することが望ましい。
-5.50<f4/f3<-0.80 (5)
【0023】
条件式(5)を満足することにより像面湾曲を良好に補正できる。
【0024】
上記構成の撮像レンズは、レンズ系全体の焦点距離をf、第2レンズ、第3レンズおよび第4レンズの合成焦点距離をf234としたとき、次の条件式(6)を満足することが望ましい。
-8.00<f234/f<-2.00 (6)
【0025】
条件式(6)を満足することにより、球面収差およびコマ収差をバランスよく良好に補正できる。
【0026】
上記構成の撮像レンズは、第4レンズと第5レンズとの間の光軸上の距離をD45、第5レンズと第6レンズとの間の光軸上の距離をD56としたとき、次の条件式(7)を満足することが望ましい。
2.0<D45/D56<4.0 (7)
【0027】
条件式(7)を満足することにより、球面収差、コマ収差、非点収差および像面湾曲をバランスよく良好に補正できる。
【0028】
上記構成の撮像レンズにおいて第6レンズは、物体側の面が凹面であることが望ましい。
【0029】
第6レンズの物体側の面を凹面に形成することにより、非点収差、像面湾曲および歪曲収差を良好に補正できる。
【0030】
上記構成の撮像レンズにおいて第6レンズは、近軸においてメニスカスレンズとなる形状を有し、物体側の面の近軸曲率半径をR6f、像面側の面の近軸曲率半径をR6rとしたとき、次の条件式(8)を満足することが望ましい。
1.0<R6f/R6r<30.0 (8)
【0031】
条件式(8)を満足することにより、撮像レンズの低背化を図りつつ歪曲収差および倍率色収差を良好に補正できる。
【0032】
上記構成の撮像レンズは、第2レンズの焦点距離をf2、第6レンズの焦点距離をf6としたとき、次の条件式(9)を満足することが望ましい。
-2.50<f2/f6<-0.30 (9)
【0033】
条件式(9)を満足することにより、撮像レンズの低背化を図りつつ球面収差、像面湾曲および倍率色収差をバランスよく良好に補正できる。
【0034】
上記構成の撮像レンズは、第3レンズの焦点距離をf3、第6レンズの焦点距離をf6としたとき、次の条件式(10)を満足することが望ましい。
0.50<f3/f6<2.50 (10)
【0035】
条件式(10)を満足することにより、撮像レンズの低背化を図りつつ球面収差、像面湾曲および倍率色収差をバランスよく良好に補正できる。
【0036】
上記構成の撮像レンズは、レンズ系全体の焦点距離をf、第7レンズの焦点距離をf7としたとき、次の条件式(11)を満足することが望ましい。
-15.00<f7/f<-3.50 (11)
【0037】
条件式(11)を満足することにより、コマ収差および倍率色収差を良好に補正できる。
【0038】
上記構成の撮像レンズは、レンズ系全体の焦点距離をf、第6レンズおよび第7レンズの合成焦点距離をf67としたとき、次の条件式(12)を満足することが望ましい。
0.50<f67/f<4.00 (12)
【0039】
条件式(12)を満足することにより、球面収差およびコマ収差を良好に補正できる。
【0040】
上記構成の撮像レンズは、第8レンズの物体側の面の近軸曲率半径R8f、第8レンズの像面側の面の近軸曲率半径をR8rとしたとき、次の条件式(13)を満足することが望ましい。
1.0<R8f/R8r<100.0 (13)
【0041】
条件式(13)を満足することにより、撮像レンズの低背化を図りつつ球面収差、像面湾曲および倍率色収差をバランスよく良好に補正できる。
【0042】
上記構成の撮像レンズにおいて一層の低Fナンバー化を図るためには、さらに次の条件式(13a)を満足することが望ましい。
20.0<R8f/R8r<100.0 (13a)
【0043】
上記構成の撮像レンズは、第7レンズの焦点距離をf7、第8レンズの焦点距離をf8としたとき、次の条件式(14)を満足することが望ましい。
0.05<f8/f7<0.80 (14)
【0044】
条件式(14)を満足することにより、球面収差、コマ収差、非点収差、像面湾曲および倍率色収差をバランスよく良好に補正できる。
【0045】
上記構成の撮像レンズは、レンズ系全体の焦点距離をf、第7レンズと第8レンズとの間の光軸上の距離をD78としたとき、次の条件式(15)を満足することが望ましい。
0.03<D78/f<0.15 (15)
【0046】
条件式(15)を満足することにより、球面収差、コマ収差、非点収差および像面湾曲をバランスよく良好に補正できる。また、バックフォーカスを確保しつつ撮像レンズの小型化を好適に実現できる。
【0047】
上記構成の撮像レンズにおいて軸上色収差および倍率色収差をより良好に補正するためには、第3レンズのアッベ数をνd3、第4レンズのアッベ数をνd4としたとき、次の条件式(16)および(17)を満足することが望ましい。
35<νd3 (16)
35<νd4 (17)
【0048】
上記構成の撮像レンズにおいては、さらに次の条件式(16a)および(17a)を満足することが望ましい。
35<νd3<90 (16a)
35<νd4<90 (17a)
【0049】
上記構成の撮像レンズにおいて倍率色収差を良好に補正するためには、第7レンズのアッベ数をνd7、第8レンズのアッベ数をνd8としたとき、次の条件式(18)および(19)を満足することが望ましい。
νd7<35 (18)
35<νd8 (19)
【0050】
上記構成の撮像レンズにおいては、さらに次の条件式(18a)および(19a)を満足することが望ましい。
15<νd7<35 (18a)
35<νd8<90 (19a)
【0051】
本発明の撮像レンズは、レンズ系全体の焦点距離をf、第1レンズの物体側の面から像面までの光軸上の距離をTLとしたとき、次の条件式(20)を満足することが望ましい。当該条件式(20)を満足することにより撮像レンズの小型化を図ることができる。
TL/f<1.3 (20)
【0052】
なお、撮像レンズと像面との間には通常、赤外線カットフィルターやカバーガラス等の挿入物が配置されることも多いが、本明細書ではこれら挿入物の光軸上の距離については空気換算長を用いる。
【0053】
本発明の撮像レンズにおいては、第1レンズから第8レンズまでの各レンズを、空気間隔を隔てて配列することが望ましい。各レンズが空気間隔を隔てて配列されることにより、本発明の撮像レンズは接合レンズを一枚も含まないレンズ構成になる。このようなレンズ構成では、撮像レンズを構成する8枚のレンズの全てをプラスチック材料から形成できるため、撮像レンズの製造コストを抑制できる。
【0054】
本発明の撮像レンズにおいては、第1レンズから第8レンズまでの各レンズの両面を非球面形状に形成することが望ましい。各レンズの両面を非球面形状に形成することにより、近軸からレンズ周辺部に亘って諸収差をより良好に補正できる。特にレンズ周辺部における諸収差を良好に補正できる。
【0055】
上記構成の撮像レンズにおいては、第7レンズおよび第8レンズのうち少なくとも二面を、変曲点を有する非球面形状に形成することが望ましい。第8レンズの像面側の面に加えて、変曲点を有する非球面形状のレンズ面をさらに一面設けることにより、撮像レンズから出射した光線の像面への入射角度をCRAの範囲内により好適に抑制できるとともに、画像周辺部の諸収差をより良好に補正できる。
【0056】
本発明の撮像レンズは、画角を2ωとしたとき、65°≦2ωを満足することが望ましい。本条件式を満足することにより、撮像レンズの広角化が図られ、撮像レンズの小型化とともに広角化を実現できる。
【0057】
本明細書においては、各レンズの面形状を曲率半径の符号を用いて特定する。曲率半径が正か負かは一般的な定義、すなわち光の進行方向を正として、曲率半径の中心がレンズ面からみて像面側にある場合には曲率半径を正とし、物体側にある場合には曲率半径を負とする定義に従う。よって、「曲率半径が正となる物体側の面」とは、物体側の面が凸面であることを指し、「曲率半径が負となる物体側の面」とは、物体側の面が凹面であることを指す。また、「曲率半径が正となる像面側の面」とは、像面側の面が凹面であることを指し、「曲率半径が負となる像面側の面」とは、像面側の面が凸面であることを指す。なお、本明細書での曲率半径は近軸曲率半径を指しており、レンズ断面図におけるレンズの概形にそぐわない場合がある。
【発明の効果】
【0058】
本発明の撮像レンズによれば、諸収差が良好に補正された高い解像度を有しながらもFナンバーが小さく、小型のカメラへの組込みに特に適した撮像レンズを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【
図1】数値実施例1に係る撮像レンズの概略構成を示す断面図である。
【
図2】
図1に示す撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す収差図である。
【
図3】数値実施例2に係る撮像レンズの概略構成を示す断面図である。
【
図4】
図3に示す撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す収差図である。
【
図5】数値実施例3に係る撮像レンズの概略構成を示す断面図である。
【
図6】
図5に示す撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す収差図である。
【
図7】数値実施例4に係る撮像レンズの概略構成を示す断面図である。
【
図8】
図7に示す撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す収差図である。
【
図9】数値実施例5に係る撮像レンズの概略構成を示す断面図である。
【
図10】
図9に示す撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す収差図である。
【
図11】数値実施例6に係る撮像レンズの概略構成を示す断面図である。
【
図12】
図11に示す撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す収差図である。
【
図13】数値実施例7に係る撮像レンズの概略構成を示す断面図である。
【
図14】
図13に示す撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す収差図である。
【
図15】数値実施例8に係る撮像レンズの概略構成を示す断面図である。
【
図16】
図15に示す撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す収差図である。
【
図17】数値実施例9に係る撮像レンズの概略構成を示す断面図である。
【
図18】
図17に示す撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す収差図である。
【
図19】数値実施例10に係る撮像レンズの概略構成を示す断面図である。
【
図20】
図19に示す撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す収差図である。
【
図21】数値実施例11に係る撮像レンズの概略構成を示す断面図である。
【
図22】
図21に示す撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す収差図である。
【
図23】数値実施例12に係る撮像レンズの概略構成を示す断面図である。
【
図24】
図23に示す撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す収差図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
(第1の実施の形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。本実施の形態に係る撮像レンズは、低Fナンバー化に対して特に適したレンズ構成を有する。
【0061】
図1、
図3、
図5、
図7、
図9および
図11は、本実施の形態の数値実施例1~6に係る撮像レンズの概略構成を示す断面図である。いずれの数値実施例も基本的なレンズ構成は同一であるため、ここでは数値実施例1の断面図を参照しながら本実施の形態に係る撮像レンズについて説明する。
【0062】
図1に示すように本実施の形態に係る撮像レンズは、物体側から像面側に向かって順に、正の屈折力を有する第1レンズL1と、負の屈折力を有する第2レンズL2と、正の屈折力を有する第3レンズL3と、負の屈折力を有する第4レンズL4と、第5レンズL5と、第6レンズL6と、第7レンズL7と、負の屈折力を有する第8レンズL8とを備える。第1レンズL1から第8レンズL8までの各レンズは空気間隔を隔てて配列する。第8レンズL8と撮像素子の像面IMとの間にはフィルタ10を配置する。このフィルタ10は省略することもできる。なお、本明細書においては特に言及しない限り、各レンズの屈折力とは近軸における屈折力を指すものとする。
【0063】
第1レンズL1は、物体側の面の曲率半径r1(=R1f)が正となり、像面側の面の曲率半径r2(=R1r)が負となる形状を有する。第1レンズL1は、近軸において両凸レンズとなる形状である。第1レンズL1の形状は本数値実施例1に係る形状に限定されない。第1レンズL1の形状は、第1レンズL1の屈折力が正となるような形状であればよい。第1レンズL1の形状としては、曲率半径r1およびr2が共に正となる形状や、曲率半径r1およびr2が共に負となる形状でもよい。前者は近軸において物体側に凸面を向けたメニスカスレンズとなる形状であり、後者は近軸において物体側に凹面を向けたメニスカスレンズとなる形状である。
【0064】
本実施の形態では第1レンズL1と第2レンズL2との間に開口絞りSTを設ける。この開口絞りSTの位置は本数値実施例1の位置に限定されず、例えば第1レンズL1の物体側に設けてもよい。また、第2レンズL2と第3レンズL3との間に開口絞りSTを設けるようにしてもよいし、第3レンズL3と第4レンズL4との間や、第4レンズL4と第5レンズL5との間等に開口絞りSTを設けるようにしてもよい。
【0065】
第2レンズL2は、物体側の面の曲率半径r4および像面側の面の曲率半径r5が共に正となる形状を有する。第2レンズL2は、近軸において物体側に凸面を向けたメニスカスレンズとなる形状である。第2レンズL2の形状は本数値実施例1に係る形状に限定されない。第2レンズL2の形状は、第2レンズL2の屈折力が負となるような形状であればよい。第2レンズL2の形状としては、近軸において物体側に凹面を向けたメニスカスレンズとなる形状でもよい。また、曲率半径r4が負となり、曲率半径r5が正となる形状、すなわち近軸において両凹レンズとなる形状でもよい。撮像レンズの小型化の観点からは、曲率半径r4が正となる形状が望ましい。
【0066】
第3レンズL3は、物体側の面の曲率半径r6が正となり像面側の面の曲率半径r7が負となる形状であり、近軸において両凸レンズとなる形状を有する。第3レンズL3の形状は、第3レンズL3の屈折力が正となるような形状であればよく、本数値実施例1に係る形状に限定されない。第3レンズL3の形状としては、近軸において物体側に凸面を向けたメニスカスレンズとなる形状や、近軸において物体側に凹面を向けたメニスカスレンズとなる形状でもよい。撮像レンズの小型化の観点からは、曲率半径r6が正となる形状が望ましい。
【0067】
第4レンズL4は、物体側の面の曲率半径r8および像面側の面の曲率半径r9が共に正となる形状であって、近軸において物体側に凸面を向けたメニスカスレンズとなる形状を有する。第4レンズL4の形状は本数値実施例1に係る形状に限定されず、第4レンズL4の屈折力が負となるような形状であればよい。第4レンズL4の形状としては、近軸において両凹レンズとなる形状や、近軸において物体側に凹面を向けたメニスカスレンズとなる形状でもよい。
【0068】
第5レンズL5は負の屈折力を有する。第5レンズL5の屈折力は負に限定されない。第5レンズL5の屈折力は正でもよいし、近軸において零でもよい。
【0069】
第5レンズL5は、物体側の面の曲率半径r10が負となり、像面側の面の曲率半径r11が正となる形状を有する。第5レンズL5は、近軸において両凹レンズとなる形状を有する。第5レンズL5の形状は本数値実施例1に係る形状に限定されない。第5レンズL5の形状としては、近軸において物体側に凸面を向けたメニスカスレンズとなる形状や、近軸において物体側に凹面を向けたメニスカスレンズとなる形状でもよい。また、第5レンズL5の形状は、近軸において両凸レンズとなる形状でもよい。さらに、第5レンズL5の形状は、曲率半径r10およびr11が共に無限大となる形状、すなわち近軸において屈折力が零となり、レンズ周辺部の屈折力が正または負となる形状でもよい。こうした形状の第5レンズL5は、近軸では屈折力が無いもののレンズ周辺部においては屈折力を有するため、レンズ周辺部における諸収差をさらに補正したい場合の補正レンズとして有効である。
【0070】
第6レンズL6は正の屈折力を有する。第6レンズL6の屈折力は正に限定されない。第6レンズL6の屈折力は負でもよいし、近軸において零でもよい。
【0071】
第6レンズL6は、物体側の面の曲率半径r12(=R6f)および像面側の面の曲率半径r13(=R6r)が共に負となる形状を有する。第6レンズL6は、近軸において物体側に凹面を向けたメニスカスレンズとなる形状である。第6レンズL6の形状は本数値実施例1に係る形状に限定されない。第6レンズL6の形状としては、近軸において物体側に凸面を向けたメニスカスレンズとなる形状や、近軸において両凸レンズとなる形状でもよい。また、第6レンズL6の形状は近軸において両凹レンズとなる形状でもよい。さらに、第5レンズL5と同様に第6レンズL6の形状は、近軸の屈折力が零であって、レンズ周辺部において屈折力が正または負となる形状でもよい。なお、諸収差を良好に補正する観点からは、第6レンズL6の物体側の面を近軸において凹面に形成することが望ましい。
【0072】
第7レンズL7は負の屈折力を有する。第7レンズL7の屈折力は負に限定されない。第7レンズL7の屈折力は正でもよいし、近軸において零でもよい。
【0073】
第7レンズL7は、物体側の面の曲率半径r14が負となり、像面側の面の曲率半径r15が正となる形状であり、近軸において両凹レンズとなる形状を有する。第7レンズL7の形状は本数値実施例1に係る形状に限定されない。第7レンズL7の形状は、近軸において物体側に凸面を向けたメニスカスレンズとなる形状や、近軸において物体側に凹面を向けたメニスカスレンズとなる形状でもよい。また、第7レンズL7の形状は近軸において両凸レンズとなる形状でもよい。さらに、第7レンズL7の形状は、第5レンズL5または第6レンズL6と同様、近軸では屈折力が零であって、レンズ周辺部において屈折力が正または負となる形状でもよい。
【0074】
第8レンズL8は、物体側の面の曲率半径r16(=R8f)および像面側の面の曲率半径r17(=R8r)が共に正となる形状を有する。第8レンズL8は、近軸において物体側に凸面を向けたメニスカスレンズとなる形状である。第8レンズL8の形状は本数値実施例1に係る形状に限定されず、第8レンズL8の屈折力が負となるような形状であればよい。第8レンズL8の形状としては、近軸において両凹レンズとなる形状や、物体側に凹面を向けたメニスカスレンズとなる形状でもよい。なお、撮像レンズの低背化を図りつつバックフォーカスを確保する観点からは、第8レンズL8の像面側のを、曲率半径r17が正となる形状、すなわち近軸において凹面に形成することが望ましい。
【0075】
さらに、第8レンズL8において像面側の面は変曲点が設けられた非球面形状である。ここで変曲点とは、曲線上で曲率の符号が変化する点を指し、レンズ面上の曲線で曲がる方向が変わる点を指すものとする。なお、本実施の形態に係る撮像レンズにおける第8レンズL8の像面側の面は、極点を有する非球面形状である。第8レンズL8の有するこのような形状により、軸上の色収差のみならず軸外の倍率色収差が良好に補正されるとともに、撮像レンズから出射した光線の像面IMへの入射角度がCRAの範囲内に好適に抑制される。本実施の形態に係る撮像レンズでは、第7レンズL7の像面側の面および第8レンズL8の両面が、変曲点を有する非球面形状である。このため、画像周辺部の諸収差はより良好に補正されることになる。要求される光学性能や撮像レンズの小型化の程度によっては、第7レンズL7および第8レンズL8のレンズ面のうち、第8レンズL8の像面側の面を除く他のレンズ面を、変曲点の無い非球面形状に形成するようにしてもよい。
【0076】
本実施の形態に係る撮像レンズは、以下に示す条件式(1)~(20)を満足する。
3.5<|R1r/R1f|<8.5 (1)
1.35<f3/f<4.50 (2)
1.20<f3/f1<4.50 (3)
-12.00<f4/f<-3.00 (4)
-5.50<f4/f3<-0.80 (5)
-8.00<f234/f<-2.00 (6)
2.0<D45/D56<4.0 (7)
1.0<R6f/R6r<30.0 (8)
-2.50<f2/f6<-0.30 (9)
0.50<f3/f6<2.50 (10)
-15.00<f7/f<-3.50 (11)
0.50<f67/f<4.00 (12)
1.0<R8f/R8r<100.0 (13)
20.0<R8f/R8r<100.0 (13a)
0.05<f8/f7<0.80 (14)
0.03<D78/f<0.15 (15)
35<νd3 (16)
35<νd3<90 (16a)
35<νd4 (17)
35<νd4<90 (17a)
νd7<35 (18)
15<νd7<35 (18a)
35<νd8 (19)
35<νd8<90 (19a)
TL/f<1.3 (20)
但し、
f:レンズ系全体の焦点距離
f1:第1レンズL1の焦点距離
f2:第2レンズL2の焦点距離
f3:第3レンズL3の焦点距離
f4:第4レンズL4の焦点距離
f6:第6レンズL6の焦点距離
f7:第7レンズL7の焦点距離
f8:第8レンズL8の焦点距離
f67:第6レンズL6および第7レンズL7の合成焦点距離
f234:第2レンズL2~第4レンズL4の合成焦点距離
νd3:第3レンズL3のアッベ数
νd4:第4レンズL4のアッベ数
νd8:第8レンズL8のアッベ数
R1f:第1レンズL1の物体側の面の曲率半径
R1r:第1レンズL1の像面側の面の曲率半径
R6f:第6レンズL6の物体側の面の曲率半径
R6r:第6レンズL6の像面側の面の曲率半径
R8f:第8レンズL8の物体側の面の曲率半径
R8r:第8レンズL8の像面側の面の曲率半径
D45:第4レンズL4と第5レンズL5との間の光軸上の距離
D56:第5レンズL5と第6レンズL6との間の光軸上の距離
D78:第7レンズL7と第8レンズL8との間の光軸上の距離
TL:第1レンズL1の物体側の面から像面IMまでの光軸X上の距離
(フィルタ10は空気換算長)
【0077】
また、本実施の形態に係る撮像レンズは次の条件式を満足する。
65°≦2ω
但し、
ω:半画角
【0078】
なお、上記各条件式の全てを満たす必要はなく、上記各条件式のそれぞれを単独に満たすことにより、各条件式に対応する作用効果をそれぞれ得ることができる。
【0079】
本実施の形態では各レンズのレンズ面を非球面で形成する。これら非球面の非球面式を次式に示す。
【数1】
但し、
Z:光軸方向の距離
H:光軸に直交する方向の光軸からの距離
C:近軸曲率(=1/r、r:近軸曲率半径)
k:円錐定数
An:第n次の非球面係数
【0080】
次に、本実施の形態に係る撮像レンズの数値実施例を示す。基本的なレンズデータを示す各表において、fはレンズ系全体の焦点距離、FnoはFナンバー、ωは半画角をそれぞれ示す。また、iは物体側より数えた面番号、rは近軸曲率半径、dは光軸上の面間距離、ndは基準波長588nmにおける屈折率、νdは当該基準波長におけるアッベ数である。なお、面番号に*(アスタリスク)の符号が付加された面は非球面であることを示す。
【0081】
【0082】
f234=-37.310mm
f67=9.047mm
R1f=4.506mm
R1r=-22.119mm
R6f=-22.934mm
R6r=-3.534mm
R8f=100.000mm
R8r=3.503mm
D45=0.821mm
D56=0.276mm
D78=0.505mm
TL=9.587mm
【0083】
【0084】
各条件式の値を以下に示す。
|R1r/R1f|=4.9
f3/f=1.76
f3/f1=1.91
f4/f=-6.21
f4/f3=-3.53
f234/f=-4.84
D45/D56=3.0
R6f/R6r=6.5
f2/f6=-1.60
f3/f6=1.76
f7/f=-6.62
f67/f=1.17
R8f/R8r=28.6
f8/f7=0.13
D78/f=0.07
TL/f=1.2
本数値実施例1に係る撮像レンズは上記各条件式を満足する。
【0085】
図2は、球面収差(mm)、非点収差(mm)、および歪曲収差(%)をそれぞれ示す収差図である。非点収差図および歪曲収差図には基準波長(588nm)における収差量を示す。また、非点収差図にあってはサジタル像面(S)およびタンジェンシャル像面(T)をそれぞれ示す(
図4、
図6、
図8、
図10、
図12、
図14、
図16、
図18、
図20、
図22および
図24においても同じ)。
図2に示されるように、本数値実施例1に係る撮像レンズによれば諸収差を良好に補正できる。
【0086】
【0087】
f234=-36.738mm
f67=8.980mm
R1f=4.510mm
R1r=-22.244mm
R6f=-21.499mm
R6r=-3.486mm
R8f=99.999mm
R8r=3.503mm
D45=0.800mm
D56=0.278mm
D78=0.504mm
TL=9.587mm
【0088】
【0089】
各条件式の値を以下に示す。
|R1r/R1f|=4.9
f3/f=1.65
f3/f1=1.79
f4/f=-4.97
f4/f3=-3.00
f234/f=-4.77
D45/D56=2.9
R6f/R6r=6.2
f2/f6=-1.61
f3/f6=1.66
f7/f=-6.68
f67/f=1.17
R8f/R8r=28.5
f8/f7=0.13
D78/f=0.07
TL/f=1.2
本数値実施例2に係る撮像レンズは上記各条件式を満足する。
図4に示されるように、本数値実施例2に係る撮像レンズによっても諸収差を良好に補正できる。
【0090】
【0091】
f234=-38.589mm
f67=8.481mm
R1f=4.524mm
R1r=-22.327mm
R6f=-32.131mm
R6r=-3.342mm
R8f=100.000mm
R8r=3.462mm
D45=0.837mm
D56=0.263mm
D78=0.487mm
TL=9.587mm
【0092】
【0093】
各条件式の値を以下に示す。
|R1r/R1f|=4.9
f3/f=1.75
f3/f1=1.89
f4/f=-6.08
f4/f3=-3.47
f234/f=-5.02
D45/D56=3.2
R6f/R6r=9.6
f2/f6=-1.81
f3/f6=1.95
f7/f=-4.74
f67/f=1.10
R8f/R8r=28.9
f8/f7=0.18
D78/f=0.06
TL/f=1.2
本数値実施例3に係る撮像レンズは上記各条件式を満足する。
図6に示されるように、本数値実施例3に係る撮像レンズによっても諸収差を良好に補正できる。
【0094】
【0095】
f234=-37.518mm
f67=8.586mm
R1f=4.511mm
R1r=-21.940mm
R6f=-33.019mm
R6r=-3.420mm
R8f=100.000mm
R8r=3.479mm
D45=0.855mm
D56=0.268mm
D78=0.495mm
TL=9.588mm
【0096】
【0097】
各条件式の値を以下に示す。
|R1r/R1f|=4.9
f3/f=1.87
f3/f1=2.03
f4/f=-7.94
f4/f3=-4.24
f234/f=-4.87
D45/D56=3.2
R6f/R6r=9.7
f2/f6=-1.76
f3/f6=2.04
f7/f=-5.06
f67/f=1.11
R8f/R8r=28.7
f8/f7=0.17
D78/f=0.06
TL/f=1.2
本数値実施例4に係る撮像レンズは上記各条件式を満足する。
図8に示されるように、本数値実施例4に係る撮像レンズによっても諸収差を良好に補正できる。
【0098】
【0099】
f234=-37.630mm
f67=8.509mm
R1f=4.508mm
R1r=-22.400mm
R6f=-100.002mm
R6r=-3.716mm
R8f=100.000mm
R8r=3.507mm
D45=0.853mm
D56=0.273mm
D78=0.521mm
TL=9.587mm
【0100】
【0101】
各条件式の値を以下に示す。
|R1r/R1f|=5.0
f3/f=1.76
f3/f1=1.90
f4/f=-6.15
f4/f3=-3.50
f234/f=-4.88
D45/D56=3.1
R6f/R6r=26.9
f2/f6=-1.73
f3/f6=1.88
f7/f=-5.86
f67/f=1.10
R8f/R8r=28.5
f8/f7=0.15
D78/f=0.07
TL/f=1.2
本数値実施例5に係る撮像レンズは上記各条件式を満足する。
図10に示されるように、本数値実施例5に係る撮像レンズによっても諸収差を良好に補正できる。
【0102】
【0103】
f234=-37.327mm
f67=8.843mm
R1f=4.489mm
R1r=-21.600mm
R6f=-23.475mm
R6r=-3.514mm
R8f=300.000mm
R8r=3.471mm
D45=0.824mm
D56=0.289mm
D78=0.492mm
TL=9.586mm
【0104】
【0105】
各条件式の値を以下に示す。
|R1r/R1f|=4.8
f3/f=1.75
f3/f1=1.91
f4/f=-6.10
f4/f3=-3.48
f234/f=-4.84
D45/D56=2.9
R6f/R6r=6.7
f2/f6=-1.62
f3/f6=1.77
f7/f=-7.28
f67/f=1.15
R8f/R8r=86.4
f8/f7=0.12
D78/f=0.06
TL/f=1.2
本数値実施例6に係る撮像レンズは上記各条件式を満足する。
図12に示されるように、本数値実施例6に係る撮像レンズによっても諸収差を良好に補正できる。
【0106】
(第2の実施の形態)
続いて、本発明を具体化した第2の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。本実施の形態に係る撮像レンズは、低背化に対して特に有効なレンズ構成を有する。
【0107】
図13、
図15、
図17、
図19、
図21および
図23は、本実施の形態の数値実施例7~12に係る撮像レンズの概略構成を示す断面図である。いずれの数値実施例も基本的なレンズ構成は同一であるため、ここでは数値実施例7の断面図を参照しながら本実施の形態に係る撮像レンズについて説明する。なお、本実施の形態に係る撮像レンズと上記第1の実施の形態に係る撮像レンズとは、第1レンズL1、第3レンズL3~第5レンズL5および第7レンズL7の近軸における形状が異なる。また、本実施の形態に係る撮像レンズは、上記条件式(1)~(20)のうち、条件式(13a)、(18)および(18a)を満足しないものの、その他の各条件式については満足する。その他の基本的な構成については上記第1の実施の形態に係る撮像レンズと本実施の形態に係る撮像レンズとは共通するため、当該共通の構成についてはここでは詳細な説明を省略する。
【0108】
図13に示すように本実施の形態に係る撮像レンズは、物体側から像面側に向かって順に空気間隔を隔てて、正の屈折力を有する第1レンズL1と、負の屈折力を有する第2レンズL2と、正の屈折力を有する第3レンズL3と、負の屈折力を有する第4レンズL4と、第5レンズL5と、第6レンズL6と、第7レンズL7と、負の屈折力を有する第8レンズL8とを備える。このうち第5レンズL5~第7レンズL7の屈折力は上記第1の実施の形態に係る撮像レンズと同様、本実施の形態の屈折力に限定されない。
【0109】
第1レンズL1は、物体側の面の曲率半径r2(=R1f)および像面側の面の曲率半径r3(=R1r)が共に正となり、近軸において物体側に凸面を向けたメニスカスレンズとなる形状を有する。第1レンズL1の形状としては、屈折力が正となるような形状であればよい。
【0110】
本数値実施例7では第1レンズL1の物体側に開口絞りSTを設けている。開口絞りSTの位置は上記第1の実施の形態と同様、本数値実施例7の位置に限定されるものではない。
【0111】
第2レンズL2は、物体側の面の曲率半径r4および像面側の面の曲率半径r5が共に正となり、近軸において物体側に凸面を向けたメニスカスレンズとなる形状を有する。第2レンズL2の形状としては、第2レンズL2の屈折力が負となるような形状であればよい。
【0112】
第3レンズL3は、物体側の面の曲率半径r6および像面側の面の曲率半径r7が共に正となり、近軸において物体側に凸面を向けたメニスカスレンズとなる形状を有する。第3レンズL3の形状としては、第3レンズL3の屈折力が正となるような形状であればよい。
【0113】
第4レンズL4は、物体側の面の曲率半径r8および像面側の面の曲率半径r9が共に負となり、近軸において物体側に凹面を向けたメニスカスレンズとなる形状を有する。第4レンズL4の形状としては、第4レンズL4の屈折力が負となるような形状であればよい。
【0114】
第5レンズL5は負の屈折力を有する。第5レンズL5は、物体側の面の曲率半径r10および像面側の面の曲率半径r11が共に負であって、近軸において物体側に凹面を向けたメニスカスレンズとなる形状を有する。第5レンズL5の形状は本数値実施例7に係る形状に限定されない。
【0115】
第6レンズL6は正の屈折力を有する。第6レンズL6は、物体側の面の曲率半径r12(=R6f)および像面側の面の曲率半径r13(=R6r)が共に負となり、近軸において物体側に凹面を向けたメニスカスレンズとなる形状を有する。第6レンズL6の形状は本数値実施例7に係る形状に限定されない。
【0116】
第7レンズL7は負の屈折力を有する。第7レンズL7は、物体側の面の曲率半径r14および像面側の面の曲率半径r15が共に正となり、近軸において物体側に凸面を向けたメニスカスレンズとなる形状を有する。第7レンズL7の形状は本数値実施例7に係る形状に限定されない。
【0117】
第8レンズL8は、物体側の面の曲率半径r16(=R8f)および像面側の面の曲率半径r17(=R8r)が共に正となり、近軸において物体側に凸面を向けたメニスカスレンズとなる形状を有する。第8レンズL8の形状としては、第8レンズL8の屈折力が負となるような形状であればよい。
【0118】
また、上記第8レンズL8の像面側の面は変曲点が設けられた非球面形状である。本実施の形態に係る撮像レンズでは、第7レンズL7の両面および第8レンズL8の両面がそれぞれ、変曲点を有する非球面形状である。
【0119】
次に、本実施の形態に係る撮像レンズの数値実施例を示す。本実施の形態に係る撮像レンズにおいても、上記第1の実施の形態に係る撮像レンズで用いた非球面式を各レンズに適用する。また、基本的なレンズデータを示す各表において各記号が示す意味は、上記第1の実施の形態において示した意味と同一である。
【0120】
【0121】
f234=-29.256mm
f67=13.678mm
R1f=2.847mm
R1r=20.327mm
R6f=-12.379mm
R6r=-4.696mm
R8f=4.205mm
R8r=2.475mm
D45=0.309mm
D56=0.253mm
D78=0.348mm
TL=8.103mm
【0122】
【表14】
各条件式の値を以下に示す。
|R1r/R1f|=7.1
f3/f=2.38
f3/f1=2.80
f4/f=-9.86
f4/f3=-4.14
f234/f=-4.15
D45/D56=1.2
R6f/R6r=2.6
f2/f6=-1.04
f3/f6=1.34
f7/f=-12.64
f67/f=1.94
R8f/R8r=1.7
f8/f7=0.16
D78/f=0.05
TL/f=1.2
本数値実施例7に係る撮像レンズは上記各条件式を満足する。
図14に示されるように、本数値実施例7に係る撮像レンズによれば諸収差を良好に補正できる。
【0123】
【0124】
f234=-30.650mm
f67=13.826mm
R1f=2.851mm
R1r=20.357mm
R6f=-12.268mm
R6r=-4.688mm
R8f=4.206mm
R8r=2.483mm
D45=0.314mm
D56=0.252mm
D78=0.347mm
TL=8.103mm
【0125】
【表16】
各条件式の値を以下に示す。
|R1r/R1f|=7.1
f3/f=2.39
f3/f1=2.80
f4/f=-11.53
f4/f3=-4.83
f234/f=-4.35
D45/D56=1.2
R6f/R6r=2.6
f2/f6=-1.03
f3/f6=1.34
f7/f=-12.06
f67/f=1.96
R8f/R8r=1.7
f8/f7=0.17
D78/f=0.05
TL/f=1.1
本数値実施例8に係る撮像レンズは上記各条件式を満足する。
図16に示されるように、本数値実施例8に係る撮像レンズによっても諸収差を良好に補正できる。
【0126】
【0127】
f234=-28.762mm
f67=17.702mm
R1f=2.830mm
R1r=20.981mm
R6f=-10.449mm
R6r=-4.865mm
R8f=4.203mm
R8r=2.522mm
D45=0.327mm
D56=0.251mm
D78=0.342mm
TL=8.101mm
【0128】
【表18】
各条件式の値を以下に示す。
|R1r/R1f|=7.4
f3/f=2.20
f3/f1=2.63
f4/f=-10.59
f4/f3=-4.82
f234/f=-4.07
D45/D56=1.3
R6f/R6r=2.1
f2/f6=-0.81
f3/f6=1.04
f7/f=-10.05
f67/f=2.50
R8f/R8r=1.7
f8/f7=0.21
D78/f=0.05
TL/f=1.1
本数値実施例9に係る撮像レンズは上記各条件式を満足する。
図18に示されるように、本数値実施例9に係る撮像レンズによっても諸収差を良好に補正できる。
【0129】
【0130】
f234=-33.659mm
f67=15.495mm
R1f=2.835mm
R1r=18.955mm
R6f=-11.468mm
R6r=-4.829mm
R8f=4.207mm
R8r=2.494mm
D45=0.308mm
D56=0.247mm
D78=0.340mm
TL=8.101mm
【0131】
【表20】
各条件式の値を以下に示す。
|R1r/R1f|=6.7
f3/f=2.13
f3/f1=2.50
f4/f=-9.36
f4/f3=-4.39
f234/f=-4.76
D45/D56=1.2
R6f/R6r=2.4
f2/f6=-0.93
f3/f6=1.10
f7/f=-11.60
f67/f=2.19
R8f/R8r=1.7
f8/f7=0.18
D78/f=0.05
TL/f=1.1
本数値実施例10に係る撮像レンズは上記各条件式を満足する。
図20に示されるように、本数値実施例10に係る撮像レンズによっても諸収差を良好に補正できる。
【0132】
【0133】
f234=-30.437mm
f67=23.250mm
R1f=2.801mm
R1r=19.032mm
R6f=-7.744mm
R6r=-4.550mm
R8f=4.188mm
R8r=2.556mm
D45=0.342mm
D56=0.236mm
D78=0.345mm
TL=8.103mm
【0134】
【表22】
各条件式の値を以下に示す。
|R1r/R1f|=6.8
f3/f=2.30
f3/f1=2.75
f4/f=-10.84
f4/f3=-4.72
f234/f=-4.29
D45/D56=1.4
R6f/R6r=1.7
f2/f6=-0.72
f3/f6=0.93
f7/f=-8.50
f67/f=3.27
R8f/R8r=1.6
f8/f7=0.26
D78/f=0.05
TL/f=1.1
本数値実施例11に係る撮像レンズは上記各条件式を満足する。
図22に示されるように、本数値実施例11に係る撮像レンズによっても諸収差を良好に補正できる。
【0135】
【0136】
f234=-32.489mm
f67=25.099mm
R1f=2.763mm
R1r=17.445mm
R6f=-10.682mm
R6r=-4.963mm
R8f=3.827mm
R8r=2.568mm
D45=0.347mm
D56=0.189mm
D78=0.334mm
TL=8.104mm
【0137】
【表24】
各条件式の値を以下に示す。
|R1r/R1f|=6.3
f3/f=2.21
f3/f1=2.65
f4/f=-9.98
f4/f3=-4.51
f234/f=-4.59
D45/D56=1.8
R6f/R6r=2.2
f2/f6=-0.84
f3/f6=1.03
f7/f=-4.85
f67/f=3.54
R8f/R8r=1.5
f8/f7=0.61
D78/f=0.05
TL/f=1.1
本数値実施例12に係る撮像レンズは上記各条件式を満足する。
図24に示されるように、本数値実施例12に係る撮像レンズによっても諸収差を良好に補正できる。
【0138】
したがって、上記各実施の形態に係る撮像レンズをスマートフォン、携帯電話機および携帯情報端末等の携帯情報機器や、ゲーム機、家電製品、自動車等に内蔵されるカメラの撮像光学系に適用した場合、当該カメラの高機能化と小型化の両立を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0139】
本発明は、スマートフォン等の携帯情報機器、医療機器、ゲーム機、家電製品および自動車等に内蔵される比較的小型のカメラに組み込まれる撮像レンズに適用できる。
【符号の説明】
【0140】
X 光軸
ST 開口絞り
L1 第1レンズ
L2 第2レンズ
L3 第3レンズ
L4 第4レンズ
L5 第5レンズ
L6 第6レンズ
L7 第7レンズ
L8 第8レンズ
10 フィルタ
IM 像面