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特許7555757画像処理装置、制御方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】画像処理装置、制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20240917BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240917BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20240917BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20240917BHJP
【FI】
B41J29/38 801
B41J2/01 451
B41J2/01 401
G06F3/12 320
G06F3/12 373
H04N1/00 C
H04N1/00 127A
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020135747
(22)【出願日】2020-08-11
(65)【公開番号】P2022032200
(43)【公開日】2022-02-25
【審査請求日】2023-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新元 啓祐
【審査官】大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-087483(JP,A)
【文献】特開2014-192640(JP,A)
【文献】特開2011-205351(JP,A)
【文献】特開2015-035147(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
B41J 2/01
G06F 3/12
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷ジョブを実行する処理を行う画像処理装置であって
印刷ジョブを実行する処理に関連するログを生成する生成手段、
を有し
記生成手段は、
前記印刷ジョブに複数のページが含まれ、かつ、当該複数のページの印刷の処理に関連する所定の印刷条件化しなかった場合、前記印刷ジョブを単位として1つのログを生成し、
前記印刷ジョブに複数のページが含まれ、かつ、当該複数のページの印刷の処理に関連する前記所定の印刷条件の少なくとも一部化した場合、前記印刷ジョブについて、前記変化の前後の前記所定の印刷条件に基づき複数のログを生成し、
前記所定の印刷条件は、前記画像処理装置に装着される記録剤の容器に関する条件を含む
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記生成手段は、前記画像処理装置に装着される記録剤の容器に関する情報を含む前記複数のログを生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記記録剤の容器に関する情報は、前記記録剤の容器の種類を示す情報である
ことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記生成手段は、前記印刷ジョブが終了した場合、前記印刷ジョブが終了した時点におけるログを生成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記生成手段は、前記変化の前の前記所定の印刷条件に基づくログと、前記変化の後の前記所定の印刷条件に基づくログとを分割して生成し、
前記分割して生成されたログは、同じジョブ識別子を有することを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記生成したログを前記画像処理装置の内部の記憶手段に記憶する制御手段と、
前記記憶手段に記憶されている前記ログをサーバに送信する送信手段と、
をさらに有することを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記送信手段によって前記ログを送信した場合、前記ログを前記記憶手段から削除し、前記送信手段によって前記ログが送信できない場合、前記記憶手段から削除しないことを特徴とする請求項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記記憶手段に記憶されている前記ログが、記憶領域の上限に達した場合、前記画像処理装置の使用に制限をかけることを特徴とする請求項6または7に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記画像処理装置は、画像形成装置であり、
前記生成手段は、前記所定の印刷条件で定義され得る項目ごとの印刷枚数を含まないログを生成することを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記生成手段は、印刷枚数と、装着されているインクタンクの種別とを含むログを生成することを特徴とする請求項に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記所定の印刷条件は、前記画像処理装置に備えられているセンサから取得される情報及び前記画像処理装置の印刷設定の情報の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記センサから取得される情報は、前記画像処理装置に装着されている前記記録剤の容器の識別情報を含むことを特徴とする請求項11に記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記記録剤の容器は、インクタンクであることを特徴とする請求項12に記載の画像処理装置。
【請求項14】
前記センサから取得される情報は、前記画像処理装置の内部ステータスの情報を含むことを特徴とする請求項11乃至13のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項15】
前記画像処理装置は、複数の印刷ジョブを実行する処理を行い、前記複数の印刷ジョブを単位として前記ログを記録することを特徴とする請求項1乃至14のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項16】
前記印刷ジョブを実行する処理に関連する前記所定の印刷条件の変化を検出する検出手段
をさらに有する請求項1乃至15のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項17】
前記検出手段が、第一の時点で前記所定の印刷条件の変化を検出した場合、前記生成手段は、前記第一の時点におけるログを生成し、かつ、
前記検出手段が、前記第一の時点よりも後の時点である第二の時点で前記第一の時点からの前記所定の印刷条件の変化を検出した場合、前記生成手段は、前記第一の時点から第二の時点におけるログを生成することを特徴とする請求項16に記載の画像処理装置。
【請求項18】
前記所定の印刷条件は、ログを分割する対象となる印刷条件であり、
前記生成手段は、
前記検出手段で前記所定の印刷条件の変化を検出した場合に、前記印刷ジョブについて、前記変化の前後の前記所定の印刷条件に基づき複数のログを生成し、
前記検出手段で前記所定の印刷条件とは異なる印刷条件の変化が検出した場合には、前記異なる印刷条件の変化の前後の前記異なる印刷条件に基づく複数のログは生成しないことを特徴とする請求項16または17のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項19】
印刷ジョブを実行する画像処理装置の制御方法であって
印刷ジョブを実行する処理に関連するログを生成する生成工程、
を有し
記生成工程では、
前記印刷ジョブに複数のページが含まれ、かつ、当該複数のページの印刷の処理に関連する所定の印刷条件化しなかった場合、前記印刷ジョブを単位として1つのログを生成し、
前記印刷ジョブに複数のページが含まれ、かつ、当該複数のページの印刷の処理に関連する前記所定の印刷条件の少なくとも一部が変化した場合、前記印刷ジョブについて、前記変化の前後の前記所定の印刷条件に基づき複数のログを生成し、
前記所定の印刷条件は、前記画像処理装置に装着される記録剤の容器に関する条件を含む
ことを特徴とする画像処理装置の制御方法。
【請求項20】
コンピュータを、請求項1乃至18のいずれか一項に記載の画像処理装置の各手段として機能させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ログの記録制御の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置におけるユーザの使用情報または履歴などのログが、画像形成装置の不具合解析または課金システム以外にも、様々なサービスに活用されている。
【0003】
特許文献1には、インクジェットプリンタにおけるログの記録方法が開示されている。特許文献1では、ページ単位で生成するページ情報と、ジョブ単位で生成するジョブ情報とを、それぞれログとして記憶している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-105287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、有効な情報を維持しつつ、記録する情報量を削減したログとして、基本的にはジョブ単位でログを記録し、印刷条件に変化があった場合には時系列情報を維持しつつログを生成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る画像処理装置は、印刷ジョブを実行する処理を行う画像処理装置であって、前印刷ジョブを実行する処理に関連するログを生成する生成手段、を有し、前記生成手段は、前記印刷ジョブに複数のページが含まれ、かつ、当該複数のページの印刷の処理に関連する所定の印刷条件化しなかった場合、前記印刷ジョブを単位として1つのログを生成し、前記印刷ジョブに複数のページが含まれ、かつ、当該複数のページの印刷の処理に関連する前記所定の印刷条件の少なくとも一部化した場合、前記印刷ジョブについて、前記変化の前後の前記所定の印刷条件に基づき複数のログを生成し、前記所定の印刷条件は、前記画像処理装置に装着される記録剤の容器に関する条件を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、有効な情報を維持しつつ、記録する情報量を削減したログとして、基本的にはジョブ単位でログを記録し、印刷条件に変化があった場合には時系列情報を維持しつつログを生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】情報処理システムの全体の構成の一例を示す図である。
図2】MFPの概略構成を示すブロック図である。
図3】PCの概略構成を示すブロック図である。
図4】MFPがログを記録する処理を示すフローチャートである。
図5】ジョブ途中でインクタンクを交換したケースのイメージ図である。
図6】ジョブを処理した際に生成されるログの例を示す図である。
図7】比較例のログを説明する図である。
図8】ジョブの処理途中でモータ温度のステータスが変化したケースのイメージ図である。
図9】生成されるログを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態は本発明を限定するものではなく、また、本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。なお、同一の構成については、同じ符号を付して説明する。
【0011】
<<実施形態1>>
<システム構成>
図1は、本実施形態における情報処理システムの全体の構成の一例を示す図である。情報処理システムは、画像処理装置(画像形成装置)であるMFP(Multi-Function Peripheral)100と、PC200と、ログ収集サーバ300と、を含む。PC200は、通信ネットワーク400を介してMFP100と接続されている。MFP100は、通信ネットワーク400を介してPC200およびログ収集サーバ300と接続されている。通信ネットワーク400は、具体的にはインターネットである。例えば、MFP100は、外部のアクセスポイントを介して無線LANに接続され、さらに外部のアクセスポイントが備えるルータの機能により(つまり、外部のアクセスポイントが無線LANルータの場合)、インターネットに接続される。よって、MFP100とログ収集サーバ300とは、インターネットを介して接続される。
【0012】
MFP100が通信ネットワーク400に初めて接続されると、MFP100は、PC200およびログ収集サーバ300と通信を行い、MFP100をログ収集サーバ300に登録する。MFP100をログ収集サーバ300に登録することによって、MFP100とログ収集サーバ300とが関連付けられた状態となり、MFP100とログ収集サーバ300とが相互に通信可能な状態となる。MFP100は、ジョブ実施時またはインクタンク交換時などにおける情報をログとしてMFP100内の記憶媒体に記憶する。記憶したログは、MFP100から通信ネットワーク400を介してログ収集サーバ300に送信される。MFP100とログ収集サーバ300との間の通信、および、PC200とMFP100と間の通信は、HTTPまたはXMPPなどを通じた制御が行われる。尚、他のプロトコルを用いた制御が行われてもよい。
【0013】
<システムの概要>
次に、各装置の説明をするに先立って、図1に示すようなシステムにおいて行わる内容と、起こり得る問題を補足的に説明する。MFP100からログ収集サーバ300には、ログが定期的または不定期で、通信ネットワーク400を介して送信される。例えば、MFP100を使用するユーザの同意の上で、MFP100のログをログ収集サーバ300に送信することが行われる。ログ収集サーバ300(またはログ収集サーバ300からログ情報を受け取る他のサーバ)は、ログを分析することで、MFP100の不具合を解析したり、サブスクリプションサービスの利用状況を確認したりすることが行われる。また、ログを分析することで、ユーザの利用方法に応じて新たなサービスをサービス提供者から提案したり、使用頻度の高いユーザに特典を与えたりすることなどが行われる。なお、サブスクリプションサービスとは、サブスクリプション契約の下で特定のサービスを受けることができるサービスである。サブスクリプション契約の内容は特に限定されない。例えば、本実施形態では、月々定額料金を支払うことによって、サブスクリプションサービス対象(以下、単に「サービス対象」とも呼ぶ)のインクタンクのインクを用いて所定の印刷枚数まで利用可能となる契約とする。所定の印刷枚数を超える場合は追加課金がされる。なお、サービス対象インクタンクは、サブスクリプション契約が締結された場合のみに使用が許可されるタンクである。サービス対象インクタンクは、一般に市販されているタンク(以下、一般インクタンクと呼ぶ)と同型であり、どちらもMFP100に装着可能である。但し、MFP100は、サービス対象インクタンクであるか一般インクタンクであるかを判別することが可能となっている。
【0014】
MFP100は、ログをMFP100内の記憶媒体に記憶し、所定のタイミングで、記憶しているログを、通信ネットワーク400を介してログ収集サーバ300に送信する。ここで、不揮発メモリの記録容量が乏しいMFP100では、ログの記憶に用いることが可能な記憶領域に制約が生じ得る。特に、家庭用のMFP100では、装置本体のコストを極力抑制することが要求される。このため、容量の大きい不揮発メモリを搭載することが困難である場合がある。また、家庭用のMFP100では、ネットワークが常時インターネット環境に繋がっているとは限らない。このため、通信ネットワーク400を介してログ収集サーバ300へ送信できなかったログを、MFP100内で保持し続ける必要が生じることがある。尚、上記では、理解を容易にするために、MFP100が家庭用のMFPである例を説明したが、家庭用に限られず、ビジネス用途のMFPでも同様のことが生じ得る。このことから、限られた記憶領域を効率的に活用して、ログをMFP100内で記憶することが求められる。
【0015】
一方で、ログを収集する方法として、大きく2つの方法がある。第1の方法は、ページ単位でログを収集する方法である。第2の方法は、ジョブ単位でログを収集する方法である。ページ単位でログを収集する場合、ジョブに含まれるページ数に比例してログの情報量が増えるので、情報量の削減効果は低い。一方、ジョブ単位でログを収集する場合、ジョブに含まれるページ数が増えても、相応してログの情報量が増えることはない。このため、情報量の削減効果が期待できる。
【0016】
しかしながら、ジョブ単位でログを収集する際に、ページ単位で設定または条件が変わる項目、例えば用紙種類または使用インクタンク種別などを記録する場合、ログの情報量が増えてしまう。例えば、ログには、項目ごと(用紙種類ごとまたはインクタンク種別ごと)に、印刷枚数のカウンタを設ける必要がある。この結果、ジョブ単位としてログを収集する場合にも、情報量が増えてしまうことがある。具体例を挙げて説明する。
【0017】
具体例として、インクタンク種別にA,B,Cの3種類が存在し、これらのインク種別で記録された枚数をログとして記録する場合を想定する。この場合、ジョブ単位のログの項目(レコード)に、インクタンク種別Aで印刷した枚数、インクタンク種別Bで印刷した枚数、およびインクタンク種別Cで印刷した枚数のカウンタを用意する。そして5枚印刷のジョブを受け、最初の3枚をインクタンク種別Aで印刷し、残りの2枚をインクタンク種別Bに差し替えて行ったと想定する。この場合、ログには、インクタンク種別Aの印刷枚数が3枚、インクタンク種別Bの印刷枚数が2枚、インクタンク種別Cの印刷枚数が0枚、という形で1つのログに記録されることになる。
【0018】
つまり、ジョブ単位のログを記録する際において、ページ単位で設定または条件が変わる項目は、その定義数分のカウンタを用意する必要がある。前述の例では、インクタンク種別A、B、Cの計3つの印刷枚数のカウンタを用意する必要がある。このため、ページ単位で設定または条件が変わる項目、または、その定義数が多い場合、ジョブ単位のログを記録することで、ログのレコードサイズが大きくなってしまうことがある。また、このようなジョブ単位のログの記録方法では、各印刷枚数カウンタを用いてカウントすることで、インクタンク種別ごとに印刷した枚数の内訳をログから得ることができる。しかしながら、使用した枚数はログから把握できるものの、ログからは時系列情報が失われている。このため、インクタンクをどの順序で使用したかといった情報をログから得ることができない。そのため、ジョブ単位で記録されたログでは、不具合解析等の詳細な分析に使用する情報が不足している。
【0019】
本実施形態では、有効な情報を維持しつつ、記録する情報量を削減したログを生成するログの記録方法を説明する。概略を説明すると、記憶領域を節約した効率的なログの記録方法として、前述したように、基本的にはジョブ単位でログを記録する。つまり、ページが変わってもログは分けず、複数ページで1つのログを記録する。ただし、一つのジョブ内において、印刷時に指定する設定情報、または、センサから取得した機器の環境情報などの情報に変化があった場合には、単一ジョブ内でもログを分割して生成する。これにより、時系列情報を維持しつつ、例えば不具合解析または異常予測といった詳細なユーザ履歴を使ったサービスにログを活用することができる。以下、詳細に説明する。
【0020】
<装置構成>
図2は、本実施形態のMFP100の概略構成を示すブロック図である。MFP100は、CPU101、ROM102、RAM103、画像メモリ104、データ変換部105、読取制御部106、読取部107、表示操作部108、通信制御部109、解像度変換処理部110、および符号復号化処理部111を有する。また、印刷制御部112、印刷部113、USBファンクション制御部114、USBホスト制御部115、ログ管理部116、およびCPUバス121を有する。
【0021】
CPU101は、システム制御部であり、MFP100の全体を制御する。ROM102は、CPU101が実行する制御プログラム、データテーブル、または組み込みオペレーティングシステム(OS)プログラム等の固定データを格納する。本実施形態では、ROM102に格納されている各制御プログラムは、ROM102に格納されている組み込みOSの管理下で、スケジューリング、タスクスイッチ、および割り込み処理等のソフトウエア実行制御を行う。
【0022】
RAM103は、バックアップ電源を必要とするSRAM(Static Random Access Memory)等で構成され、図示しないデータバックアップ用の1次電池によってデータが保持されている。RAM103には、消去すべきでないプログラム制御変数等のデータを格納する。また、RAM103には、生成されたログを記憶しておくメモリエリアも設けられており、インターネットに接続されていない場合などのようにログ収集サーバ300にログを送信できない場合には、このメモリエリアにログを蓄積していく。ログをログ収集サーバ300に送信すると、RAM103のメモリエリアからログが削除される。
【0023】
画像メモリ104は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、画像データを蓄積する。また、画像メモリ104の一部の領域は、ソフトウエア処理の実行のためのワークエリアとして使用される。データ変換部105は、ページ記述言語(PDL:Page Description Language)等の解析等を行い、画像データの変換を行う。読取部107は、CISイメージセンサによって原稿を光学的に読み取り、電気的な画像データに変換する。読取制御部106は、この変換された画像データに、図示しない画像処理制御部を介して、2値化処理および中間調処理等の各種画像処理を施し、高精細な画像データを出力する。なお、読取制御部106および読取部107は、下記の2つの制御方式のどちらでもよい。第1の方式は、原稿を搬送しながら、固定されているCISイメージセンサで読み取りを行うシート読取制御方式である。また、第2の方式は、原稿台に固定されている原稿を、移動するCISイメージセンサでスキャンするブック読取制御方式である。
【0024】
表示操作部108は、数値入力キー、モード設定キー、決定キー、または取り消しキー等の必要最低限のキーと、LED(発光ダイオード)または7セグメント表示部などから構成される。表示操作部108は、ユーザによって複合機としての各種機能の起動を行うことができる。上記の各種キーは、LCD上に表示されるいわゆるソフトキーで実現され、ユーザからの操作を受け付けることができる。LCDは、ジョブ中でなく、かつ、一定時間ユーザによる操作がない場合、消費電力低減のため、バックライトをOFFにする。
【0025】
通信制御部109は、通信ネットワークに接続し、インターネットプロバイダへの接続、および、ログ収集サーバ300とのデータ通信を行う。なお、通信ネットワークへの接続に関しては、HTTP、XMPP、MQTTなど公知の方法を使用するものとし、説明を省略する。解像度変換処理部110は、ミリ系の画像データとインチ系の画像データとの相互変換等の解像度変換制御を行う。なお、解像度変換処理部110において、画像データの拡大縮小処理も可能である。符号復号化処理部111は、MFP100で扱う画像データ(非圧縮、MH、MR、MMR、JBIG、JPEG等)に符号復号化処理を行う。
【0026】
印刷制御部112は、印刷される画像データに対し、図示しない画像処理制御部を介して、スムージング処理、印刷濃度補正処理、または色補正等の各種画像処理を施すことにより、高精細な画像データに変換し、印刷部113に出力する。印刷部113は、レーザビームプリンタまたはインクジェットプリンタ等として機能する印刷部であり、印刷制御部112で生成したカラー画像データまたはモノクロ画像データを印刷部材に印刷する。印刷部113は、印刷部内で制御するハードウェアの状態を検知するセンサを備えている。このセンサによって、モータ温度または部品の消耗状態の検出、および、装着インクタンクの検知が可能である。
【0027】
USBファンクション制御部114は、USBインターフェースの通信制御を行うものであり、USB通信規格に従って、プロトコル制御を行う。USBファンクション制御部114は、CPU101が実行するUSBファンクション制御タスクからのデータを、パケットに変換し、PC200にUSBパケット送信を行う。またUSBファンクション制御部114は、逆に、PC200からのUSBパケットを、データに変換してCPU101に対し送信を行う。USBホスト制御部115は、USB通信規格で定められたプロトコルで通信を行う為の制御部である。USB通信規格は、双方向のデータ通信を高速に行うことができる規格であり、1台のホスト(マスター)に対し、複数のハブまたはファンクション(スレーブ)を接続することが出来る。USBホスト制御部115は、USB通信におけるホストの機能を有する。
【0028】
ログ管理部116は、読取制御部106および印刷制御部112からジョブに関する情報を取得し、履歴情報としてログを生成する。生成したログは、RAM103のログを記憶するメモリエリアに記録する。尚、上記で説明した構成要素101~106、108~112、114~116は、CPU101が管理するCPUバス121を介して、相互に接続されている。
【0029】
図3は、PC200の概略構成を示すブロック図である。PC200は、CPU201、ROM202、RAM203、内部記憶装置204、外部記憶装置205、操作部207、表示部208、通信部209およびUSBホスト制御部210を有する。CPU201は、ROM202、RAM203、内部記憶装置204、または外部記憶ディスク206から読み出されたプログラムに従って、システムバスを介してPC200全体の動作を制御するものである。ROM202は、CPU201の制御プログラム等を格納している。RAM203は、一時的にプログラムまたは画像データを記憶し、PC200の処理を高速に動作させるためのものである。内部記憶装置204には、オペレーティングシステム、各種アプリケーションプログラム、および画像データ等が格納されている。通常、これらのアプリケーションプログラムは、これらが記憶されたコンピュータ可読媒体である外部記憶ディスク206(CD/DVDメディアなど)からデータを受け取り、外部記憶装置205を制御することによりインストールを行う。操作部207は、オペレータからの指示入力手段としてのキーボードまたはマウス(不図示)を制御するものである。表示部208は、オペレータに対して各種表示を行うものである。通信部209は、通信ネットワークに接続し、インターネットプロバイダへの接続との間でのデータ通信を行う。USBホスト制御部210は、USB通信規格で定められたプロトコルで通信を行う為の制御部である。なお、図3では、情報処理装置の構成としてPC200の構成を説明したが、ログ収集サーバ300も図3の情報処理装置の構成である。
【0030】
<フローチャート>
図4は、本実施形態においてMFP100がログを記録する処理を示すフローチャートである。図4で示される一連の処理は、MFP100のCPU101がROM102に記憶されているプログラムコードをRAM103に展開し実行することにより行われる。より詳細には、図4で示される処理は、ログ管理部116によって行われる処理である。あるいはまた、図4におけるステップの一部または全部の機能をASICまたは電子回路等のハードウェアで実現してもよい。なお、各処理の説明における記号「S」は、当該フローチャートにおけるステップであることを意味する。
【0031】
S401においてログ管理部116は、ユーザがPC200またはMFP100を操作することで印刷またはコピー等を指示したことをトリガーに、ジョブの処理が開始したことを検出する。ジョブの処理の開始を検出すると、S402に進み、ジョブの処理の開始を検出しない場合、即ち、ユーザからの指示を受けていない場合、S401の処理を繰り返す。
【0032】
S402においてログ管理部116は、開始を検出したジョブのジョブ情報を取得する。ジョブ情報は、ジョブに関連する情報のことであり、ジョブ情報には、印刷設定情報および環境情報が含まれる。印刷設定情報は、例えば印刷時に指定されている両面印刷設定または印刷品位などの設定情報である。その他、印刷設定情報には、ジョブを一意に特定するジョブ識別子および印刷枚数などの情報も含まれる。環境情報は、センサから取得した機器の状態などを示す情報である。ログ管理部116は、取得したジョブ情報に基づいてログを生成することになる。取得したジョブ情報は、ログ管理部116にて保持される。
【0033】
S403においてログ管理部116は、ジョブ情報によって特定される印刷条件の変化があるかを判定する。印刷条件の変化は、例えば読取制御部106または印刷制御部112から送られる情報に基づいて判定することができる。S401で開始を検出したジョブの処理中に、印刷条件の変化(即ち、ジョブ情報の変化)がある場合、S404に処理が進み、そうでない場合、S407に処理が進む。なお、ジョブ情報のうち所定のジョブ情報の変化がある場合のみS404に処理が進み、そうでない場合にS407に進んでもよい。つまり、ログの分割生成対象のジョブ情報をあらかじめ決めておき、その対象ジョブ情報の変化がある場合にはS404に進み、対象ジョブ情報以外ジョブ情報(対象ジョブ情報とは異なるジョブ情報)の変化の場合はS407へ進んでもよい。
【0034】
ジョブの処理中にジョブ情報の変化があった場合、S404においてログ管理部116は、ジョブの終了を待たずに、この時点までの情報(ジョブ情報が変化する前までの情報)を用いてログ生成処理を行う。ログ生成処理では、取得および保持しているジョブ情報を元に1つのログを生成する。そしてS405に進み、ログ管理部116は、生成したログを不揮発メモリであるRAM103のメモリエリアに保存する。次いで、S406においてログ管理部116は、S402で取得していたジョブ情報の更新を行う。例えば、ログ管理部116は、再度、ジョブ情報を取得し、取得したジョブ情報を保存し直すことで、現在参照するジョブ情報の更新を行う。そして、S407に処理が進む。
【0035】
S407では、S401で開始したジョブが終了したかを検出する。ジョブが終了した場合、S408に進み、そうでない場合、即ち、ジョブが継続中の場合にはS403に戻り、再度の処理を繰り返す。例えば、単一ジョブの処理中において再度のジョブ情報の変化があった場合には、再びS404に処理が進み、再度、その時点でのログを生成する。即ち、ジョブを開始後に、第一時点において第一時点までのログを生成していた場合において、第二時点において再度のジョブ情報の変化を検出した場合には、第一時点におけるログ生成後から、第二時点までのログが新たに生成されることになる。
【0036】
ジョブの終了を検出した場合、S408において、ログ管理部116は、その時点で取得および保持しているジョブ情報を元に1つのログを生成する。そして、S409に進み、ログ管理部116は、生成したログを不揮発メモリであるRAM103のメモリエリアに保存する。そして、S410においてログ管理部116は、取得および保持していたジョブ情報を削除して、処理を終了する。
【0037】
このように、本実施形態においては、ジョブ単位でログを生成する際に、ジョブ情報に変化があった場合には、ログを分割して生成する。尚、ログの分割生成は、単一ジョブの処理が全て終了した時点で行われず、単一ジョブの処理中に行われる。つまり、単一ジョブにおいてジョブ情報の変化が生じたタイミングで、変化前の情報を基に1つのログを生成する処理が行われる。これを単一ジョブ全体で見た場合に、結果としてログが分割されて生成されているように見えるものである。このようにログを分割して生成することで、時系列情報などの有効な情報を維持しつつ、記録する情報量を削減したログを生成することができる。
【0038】
<具体例>
図5および図6を用いて具体例を説明する。図5は、ジョブ情報で特定されるジョブの内容を可視化した図である。図6は、図5のジョブ情報に従ってジョブを処理した際に生成されるログの例を示す図である。
【0039】
図5は、コピー/普通紙/A4(スラッシュは、&の意味で用いている)の単一ジョブにおいて、ジョブ途中でインクタンクを交換したケースのイメージ図である。このケースでは、ユーザはA4かつ普通紙のコピーを実施し、1ページ目の終わりおよび4ページ目の終わりでそれぞれBk(ブラック)のインクタンクを交換し、5ページ目まで継続してコピーした例である。コピージョブが投入されたとき、最初にログ管理部116は、印刷設定情報として、ジョブごとに発行されるJobID、ジョブの種別を示すJobMode、ならびに、出力するメディアの種別情報およびサイズ情報を取得し保持する。また、ログ管理部116は、環境情報として、装着されているインクタンク種別を示すインクタンク種別情報およびインクタンク識別IDを取得し保持する。これらは、図4のS402の処理に相当する。
【0040】
次に、ログ管理部116は、1ページ目と2ページ目との間でインクタンク識別IDの変化を検知する。そして、非課金の標準インクタンク(サブスクリプションサービス対象外の一般インクタンク)から課金対象のインクタンク(サブスクリプションサービス対象のインクタンク)にBkのインクタンクが交換されたことを検出する。即ち、ジョブ情報(印刷条件)の変化があったことを検出する(S403)。そして、ジョブ途中であるものの、保持しているジョブ情報を元に、ログ管理部116は、Bkのインクタンク種別を、非課金標準インクタンクとしたログを生成する。このログは、図6(a)の1ページ目のログに相当する。次に、ログ管理部116は、保持しているジョブ情報のうち、Bkに装着されているインクタンク種別および識別IDの情報を更新して(S406)、継続してジョブ情報の変化を監視する。
【0041】
そして、ログ管理部116は、4ページ目と5ページ目との間でインクタンク識別IDの変化を検知し、課金対象のインクタンクから非課金の標準インクタンクに交換されたこと検出する。即ち、ジョブ情報(印刷条件)の変化があったことを検出する(S403)。そして、ジョブ途中であるものの、保持しているジョブ情報を元に、ログ管理部116は、Bkのインクタンク種別を、課金対象インクタンクとしたログを生成する。このログは、図6(b)の2ページ目~4ページ目のログに相当する。次に、ログ管理部116は、保持しているジョブ情報のうち、Bkのインクタンク種別および識別IDの情報を更新した上で、最後の5ページ目の印刷処理を行う。
【0042】
5ページ目の印刷処理によって、このジョブの処理は終了する。そこで、ログ管理部116は、ジョブ終了時に保持していたジョブ情報を元にログを生成する。このときのログは、図6(c)に示すように、Bkのインクタンク種別が非課金標準インクタンクのログが生成される。
【0043】
このように、本ケースでは、5ページコピーの1つのジョブの処理が終了した場合に、ジョブの処理の途中で、ジョブ情報が変化したことに伴い、ログを3分割して生成したこととなる。本例では、図6に示しているように、装着インクタンクなどのジョブ情報の項目ごとの印刷枚数カウンタを設けていない。即ち、非課金標準タンクで印刷した枚数および課金対象インクタンクで印刷した枚数をカウントする印刷枚数カウンタを設けていない。代わりに、図6に示すように、1つの印刷枚数カウンタと各種ジョブ情報の値とで構成されたログを生成している。このようなログを生成することで、各種ジョブ情報の項目が複数パターン存在する場合でも、それぞれに印刷枚数カウンタを設ける必要がなく、ログのレコードサイズを節約することができる。
【0044】
例えば、ページ単位で用紙種別およびインクタンク種別が変わる可能性があるような場合のログを記録する場合を想定する。このとき、インクタンク種別がN個存在し、メディア種別がM種存在する場合、印刷枚数のカウンタサイズ×(M+N)のレコードサイズが必要になる。一方、本実施形態では、印刷枚数カウンタ1つと用紙種別およびインクタンク種別の定義値を格納する領域をそれぞれ1つずつ用意することになる。そのため、ページ単位で変化する項目および定義数が多い場合、即ち、上述の(M+N)の値が大きい場合、本実施形態を用いることによる不揮発メモリの記録領域の節約効果は大きくなる。
【0045】
一方、これらの分割されたログを受信したログ収集サーバ300は、ジョブごとに付与されているJobID(ジョブ識別子)を用いて、分割されたログをジョブごとに紐づけることができる。このため、ログ収集サーバ300は、ジョブごとの集計およびユーザの使用履歴の情報を得ることが可能である。図6に示すように、ログは、時系列で生成されるので、JobIDが「0001」が付与されたログを時系列順に解析することで、各条件での印刷枚数の内訳だけでなく、ジョブ情報の変化の様子もログ収集サーバ300で確認することができる。即ち、ログ収集サーバ300は、図6(a)(b)(c)のように、1ページ目の終わり、および、4ページ目の終わりでジョブ情報が変化していることを検出できる。この時系列情報は、課金システムなどの高い精度が求められるサービスにおいて、有用な情報となる。例えば、何かしらの問題が生じたことで、ユーザが期待するサービスをユーザに提供できなかった場合、事後のフォローが求められる。インク交換のタイミングまたは回数によって提供するサービス内容に影響がある場合、ログに時系列情報が含まれていることで、より精度の高いフォローを行うことができる。また、時系列情報を加えることでサービスが適正に利用されているかを検出することもできる。例えば図5のように、ページ間で2度のインクタンク交換がMFP100の動作仕様上、不可能だった場合を想定する。この場合において、本実施形態で生成されたログを解析することで、ログ収集サーバ300は、単一ジョブの情報をジョブ単位で1つのログとして記録するような内訳だけのログの記録では検出できなかった2度のインクタンク交換を検出できる。このため、動作保証外で使用するユーザを検出することできる。
【0046】
<比較例>
図7は、比較例のログを説明する図である。図7(a)は、ページ単位でログを記録する例を示す図である。図7(b)は、ジョブ単位でログを記録する例であり、図6で示したように、ログの分割生成が行われない例を示している図である。図7(a)では、ページ単位でログを記録するため、ページ数が増えることに相応して、記録すべきログの情報量が増えてしまう。図7(b)では、ジョブ単位でログが記録されるものの、前述したように、インクタンク種別がN個存在し、メディア種別がM種存在する場合、印刷枚数のカウンタサイズ×(M+N)のレコードサイズが必要になる。一方で、本実施形態の図6に示したようなログの分割を行うことで、有効な情報を維持しつつ、記録する情報量を削減したログを生成することができる。
【0047】
<具体例2>
図8および図9を用いて本実施形態の他の具体例を説明する。図8および図9では、環境情報の変化を検知してログを分割する例を説明する。図8は、コピー/普通紙/A4のジョブを処理する場合においてジョブの処理途中でモータ温度のステータスが変化したケースのイメージ図である。図9は、図8のケースにおいて生成されるログを示した図である。
【0048】
このケースでは、ユーザは、A4かつ普通紙のコピーを実施している。そして、2,3,4ページ目の終わりでモータの温度ステータスに変化が生じている。コピージョブが投入されたとき、最初にログ管理部116は、印刷設定情報として、ジョブごとに発行されるJobID、ジョブの種別を示すJobMode、ならびに、出力するメディアの種別情報およびサイズ情報を取得し保持する。また、ログ管理部116は、環境情報として、装着されているインクタンク種別を示すインクタンク種別情報およびインクタンク識別IDを取得し保持する。また、ログ管理部116は、環境情報として、情報処理装置の内部ステータスの情報を取得し保持する。本例では、ログ管理部116は、内部ステータスの情報として、搬送ローラの摩耗状態およびモータの温度ステータスを取得し保持する。これらは、図4のS402の処理に相当する。
【0049】
次に、ログ管理部116は、2ページ目と3ページ目との間でモータの温度ステータスの変化を検知し、モータ温度が正常から高温レベル1に変化したことを検出する。即ち、ジョブ情報に変化があったことを検出する(S403)。そして、ジョブ途中であるものの、保持しているジョブ情報を元に、ログ管理部116は、モータ温度ステータスを、正常温度としたログを生成する。このログは、図9(a)の1ページ目~2ページ目のログに相当する。次に、ログ管理部116は、保持しているジョブ情報のうち、モータ温度のステータスを示す情報を更新して(S406)、継続してジョブ情報の変化を監視する。
【0050】
そして、ログ管理部116は、3ページ目と4ページ目の間で再びモータの温度ステータスを検知し、モータ温度が高温レベル1から正常に変化したことを検出する。即ち、ジョブ情報に変化があったことを検出する(S403)。そして、ジョブ途中であるものの、保持しているジョブ情報を元に、ログ管理部116は、モータ温度ステータスを高温レベル1としたログを生成する。このログは、図9(b)の3ページ目のログに相当する。以降も同様に処理を行い、4ページ目と5ページ目との間でモータ温度ステータスが正常温度のログを生成する。このログは、図9(c)の4ページ目のログに相当する。そして、最後に5ページ目のジョブ終了時に、保持していた情報を元にモータ温度ステータスが高温レベル2のログを生成する。このログは、図9(d)の5ページ目のログに相当する。
【0051】
よって本ケースでは5ページ印刷の1つのジョブに対して、ジョブ情報が変化したことに伴い、ログを4分割して生成したこととなる。本例では、搬送ローラの摩耗状態またはモータの温度ステータスごとの印刷枚数カウンタを設けるのでなく、1つの印刷枚数カウンタで項目を構成したログを用いている。これにより、搬送ローラまたは温度のステータスが複数パターン存在する場合でも、パターンごとに印刷枚数カウンタを設ける必要がない。そのため、ログのレコードサイズを節約することができ、不揮発メモリの記録容量が乏しい画像形成装置において、効率的な不揮発メモリの活用を行うことができる。
【0052】
一方、これらの分割されたログを受信したログ収集サーバ300は、ジョブごとに付与されているJobIDを用いて、分割されたログをジョブごとに紐づけることができ、ジョブごとの集計およびユーザの使用履歴の情報を得ることが可能である。また、分割されたログを時系列順に解析することで、各条件での印刷枚数の内訳だけでなく、図9(a)~(d)のようにジョブ中のステータス遷移を解析することができる。つまり、図8に示すイメージ図のような情報を、ログから得ることができる。この時系列情報は、装置の異常予測など情報量が必要となるサービスを提供する上で、有用な情報となる。例えば、ジョブの実施タイミングに加えて、ジョブ中のモータ温度または各種センサの情報をログに含めることで、それらの状態遷移を解析可能となる。この結果、モータ温度の乱高下、および、その他のセンサ状態の急激な変化を検知することが可能となり、異常予測または障害発生時の障害分析に活用できる。例えば図8のようにページ間でモータ温度が徐々に温度が上昇したのではなく、ページ間で温度が乱高下していた場合、モータまたはその周辺パーツのトラブルを意味している、などと推測することができる。
【0053】
以上説明したように、ログ管理部116は、単一ジョブのログを生成する際に、印刷時に指定される印刷設定情報、または、センサから取得した機器の環境情報といったジョブ情報を取得する。そしてジョブ処理中にジョブ情報の変化を検出した場合、ジョブ途中でも変化前後でログを分割して生成する。このように生成されるログは、ジョブ情報の項目ごとの印刷枚数カウンタは設けず、1つの印刷枚数カウンタと各種ジョブ情報の値によって構成されている。これにより、記憶領域を節約した効率的なログの記録が可能となる。また、時系列情報を失わずに効率的なログの記録が行われるため、詳細なユーザ履歴を使ったサービス、例えば課金サービスまたは異常予測といったサービスにも活用することが可能となる。このように、本実施形態の処理によれば、有効な情報を維持しつつ、記録する情報量を削減したログを生成することができる。
【0054】
<<その他の実施形態>>
上述した実施形態では、ログ管理部は、基本仕様としてジョブ単位でログ生成を行うことを前提としているが、複数のジョブをまとめたジョブグループを基本単位として、ジョブ情報の変化に伴い、ジョブグループ単位のログを分割してもよい。また、装着インクタンク情報またはモータ温度の変化を例に挙げて説明したが、上記例に限定されるものではない。その他のユーザが設定する印刷設定または画像形成装置が接続している外部機器に関する情報の変化を検知してもよい。
【0055】
また、上記の実施形態では、ログを生成して記憶する情報処理装置の例として画像形成装置を例に挙げて説明したが、これに限られない。所定のジョブに基づいて処理制御を行い、その際のログを生成して記録する処理を行う情報処理装置に適用可能である。
【0056】
また、上記の実施形態では、情報処理装置がログ収集サーバ300にログを送信し、送信したログを情報処理装置の記憶媒体から削除する例を説明した。このとき、情報処理装置がログ収集サーバ300と通信できない状態が継続して、ログが記憶媒体の記憶領域の上限に達した場合、情報処理装置の使用に制限をかけるように構成されていてもよい。
【0057】
また、上記の実施形態では、ログ収集サーバ300にログを送信する例を説明したが、MFP100が内部にログを記録し、所定の記録量を超えた場合に、古いログから削除するような形態の情報処理装置に適用してもよい。
【0058】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0059】
100 MFP
116 ログ管理部
300 ログ収集サーバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9