(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-13
(45)【発行日】2024-09-25
(54)【発明の名称】交通管制装置、および、学習モデル生成方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/01 20060101AFI20240917BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20240917BHJP
【FI】
G08G1/01 A
G08G1/00 A
(21)【出願番号】P 2020184090
(22)【出願日】2020-11-04
【審査請求日】2023-10-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】下川 裕亮
(72)【発明者】
【氏名】谷本 智彦
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 晃一
【審査官】貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-194845(JP,A)
【文献】特開2017-151545(JP,A)
【文献】特開2017-215798(JP,A)
【文献】特開2020-135231(JP,A)
【文献】特開2020-140328(JP,A)
【文献】中国実用新案第211237114(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が走行する道路の複数の路線の複数の区間を、区間の特性に基づいて複数のグループに分類する分類部と、
それぞれの前記グループごとに、当該グループに属する区間ごとの交通量と速度との関係を示す情報に基づいて、当該区間ごとに当該グループに属するのが適切か否かを判定する判定部と、
それぞれの前記グループごとに、過去交通データに基づいて機械学習を行うことによって事故発生危険度に関する事故予報の学習モデルを生成する学習処理部と、を備える交通管制装置。
【請求項2】
車両が走行する道路の複数の路線の複数の区間を、区間の特性に基づいて複数のグループに分類
し、その場合に、前記路線の種類と、車線の種類と、区間の種類と、に基づいて前記複数の区間を分類する分類部と、
それぞれの前記グループごとに、過去交通データに基づいて機械学習を行うことによって事故発生危険度に関する事故予報の学習モデルを生成する学習処理部と、を備える交通管制装置。
【請求項3】
新たに事故予測の対象となる区間、または、前記複数の区間のうち交通状況が変化した区間、である新区間について、道路情報収集端末から交通データを取得する取得部と、
前記新区間について、前記交通データと、複数の前記学習モデルのうち区間の特性が一致する前記グループに対応する前記学習モデルと、に基づいて事故予測を行う予測処理部と、をさらに備える請求項1
または請求項2に記載の交通管制装置。
【請求項4】
分類部が、車両が走行する道路の複数の路線の複数の区間を、区間の特性に基づいて複数のグループに分類する分類ステップと、
判定部が、それぞれの前記グループごとに、当該グループに属する区間ごとの交通量と速度との関係を示す情報に基づいて、当該区間ごとに当該グループに属するのが適切か否かを判定する判定ステップと、
学習処理部が、それぞれの前記グループごとに、過去交通データに基づいて機械学習を行うことによって事故発生危険度に関する事故予報の学習モデルを生成する学習処理ステップと、
を含む学習モデル生成方法。
【請求項5】
分類部が、車両が走行する道路の複数の路線の複数の区間を、区間の特性に基づいて複数のグループに分類
し、その場合に、前記路線の種類と、車線の種類と、区間の種類と、に基づいて前記複数の区間を分類する分類ステップと、
学習処理部が、それぞれの前記グループごとに、過去交通データに基づいて機械学習を行うことによって事故発生危険度に関する事故予報の学習モデルを生成する学習処理ステップと、
を含む学習モデル生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、交通管制装置、および、学習モデル生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、車両が走行する道路の路線について、路線を分割した区間ごとに、過去の交通データに基づいて機械学習を行うことによって事故予測の学習モデルを生成する技術がある。その場合、区間ごとに、学習モデルと現在の交通データを用いて、事故予測(事故の発生しやすさの予測)を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-151545号公報
【文献】特開2018-18214号公報
【文献】特開2020-135243号公報
【文献】特開2020-61088号公報
【文献】特開2012-59058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、例えば、新規路線の区間や、路線が延伸された場合の新たな区間や、既存の区間であっても車線数の増減などによって交通状況が変化した区間など(以下、それらの区間を合わせて「新区間」と称する。)については、学習モデルの生成に必要な過去の交通データを集めるのに数か月などの長期間を要するという問題があった。
【0005】
そこで、本発明の実施形態の課題は、新区間に適用できる学習モデルを予め生成することができる交通管制装置、および、学習モデル生成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の交通管制装置は、車両が走行する道路の複数の路線の複数の区間を、区間の特性に基づいて複数のグループに分類する分類部と、それぞれの前記グループごとに、過去交通データに基づいて機械学習を行うことによって事故発生危険度に関する事故予報の学習モデルを生成する学習処理部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1の実施形態の交通管制装置の機能構成等を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態において、道路に関して事故予測の単位となる区間と車両感知器との関係を示す模式図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態における区間の分類の説明図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態におけるQ‐V分布情報を模式的に示す図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態の交通管制装置によるSOMの学習処理を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、第2の実施形態の交通管制装置によるSOMの適用処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態の交通管制装置、および、学習モデル生成方法を図面に基づいて説明する。なお、以下において、「路線」とは、道路法における路線の意味を含むが、それに限定されず、管理単位の道路という意味も含むものとする。
【0009】
本実施形態の理解を容易にするために、背景技術についてあらためて説明する。高速道路などの自動車専用道路において事故や渋滞などが発生すると、道路利用者は、移動時間が増えたり、迂回を考える必要が生じたりすることにより、不便になる。
【0010】
そのため、事故予報(事故予測)や渋滞予測など、機械学習(AI(Artificial Intelligence)を含む。)を用いた予測や予報の技術が研究されている。一方で、機械学習には、過去の事故データなど、学習時にある一定量以上のサンプルデータが必要となる。
【0011】
例えば、これまで、長年利用されている高速道路であれば、事故、渋滞などのサンプルデータは多く蓄積されている。したがって、例えば、区間ごとに、過去の交通データに基づいて機械学習を行うことによって事故予測の学習モデルを生成し、その学習モデルと現在の交通データを用いて、事故予測を行うことができる。
【0012】
しかし、区間によっては過去の事故データが少ないため、事故予報を行うために学習が十分に行えない区間もある。更に、既存の区間で事故データが十分にある区間でも車線数の増減や近隣の大型ショッピングセンタ開業などによって交通状況が変化した区間などについては、学習モデルの生成に必要な過去の交通データを集めるのに数か月などの長期間を要するという問題があった。
【0013】
そこで、以下では、新区間にすぐに適用できる学習モデルを予め生成する技術について説明する。
【0014】
[第1の実施形態]
以下、第1の実施形態について、説明する。
図1は、第1の実施形態の交通管制装置3の機能構成等を示すブロック図である。
図2は、第1の実施形態において、道路に関して事故予測の単位となる区間と車両感知器との関係を示す模式図である。
【0015】
図1に示す交通管制装置3は、
図2に示す道路R上の区間1、2、3、・・・に対応する車両感知器1により計測される交通データ等を用いて、各区間における事故予測(事故の発生しやすさの予測)を行うコンピュータ装置である。なお、
図2の白抜き矢印Yは、道路R(以下、単に「道路」とも称する。)上における車両の流れ方向を示す。
【0016】
車両感知器1は、道路R上を走行する車両を検知可能なセンサを含む。このセンサは、例えば、路面下に設置されるループコイルや、路面を上方から監視するカメラまたは超音波センサなどから構成される。
【0017】
また、車両感知器1は、交通データ処理部を含む。具体的に、交通データ処理部は、センサによって計測された交通データに基づいて、道路R上を走行する車両の交通量[台/h]、平均速度(以下、単に「速度」とも称する。)[km/h]、車両密度[台/km]、占有率(オキュパンシー)[%]などを算出し、算出結果を交通管制装置3に送信する。この算出と送信は、例えば、1分や5分等の時間単位で実行される。なお、車両感知器1はセンサによる計測結果だけを交通管制装置3に送信し、交通管制装置3が交通量等の交通データを算出するようにしてもよい。
【0018】
なお、
図1においては、説明を簡潔にするために、交通管制装置3を、1台のコンピュータ装置のように示しているが、複数台のコンピュータ装置によって実現してもよい。交通管制装置3は、処理部31と、記憶部32と、入力部33と、表示部34と、通信部35と、を備える。
【0019】
処理部31は、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、を備え、各種処理を実行する。
【0020】
CPUは、交通管制装置3の動作を統括的に制御する。ROMは、各種プログラムやデータを記憶する記憶媒体である。RAMは、各種プログラムを一時的に記憶したり、各種データを書き換えたりするための記憶媒体である。
【0021】
そして、CPUは、RAMをワークエリア(作業領域)として、ROM、記憶部32等に格納されたプログラムを実行する。処理部31の詳細については後述する。
【0022】
記憶部32は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などの記憶装置であり、各種情報を記憶する。記憶部32は、例えば、事故帳票データ321、分類データ322、学習モデル323を記憶する。
【0023】
事故帳票データ321は、道路における事故の詳細を記録した帳票データである。事故帳票データ321は、例えば、事故の発生地点、事故の発生原因、事故状況、緊急車両(救急車両、事故処理車両、パトカー等)出動情報、事故処理完了までの時間、車線封鎖状況、負傷者情報、落下物の有無、事故車両の自走可否情報などの各種情報を含む。
【0024】
分類データ322は、分類部312による複数の区間の分類結果のデータである。
【0025】
学習モデル323は、一例として、学習処理部314によってグループごとに作成される、自己組織化マップ(SOM:Self-Organizing Map)を用いた事故予測の学習モデルである(詳細は後述)。一般に、自己組織化マップとは、プロセス解析や、制御、検索システム、さらには経営のための情報分析など、実社会における重要な分野に応用されるニューラルネットワークの一種であり、高次元の入力データを、教師信号(入力データに対して理想的と考えられる出力)などの予備知識なしにクラスタリングするためのアルゴリズムである。なお、自己組織化マップの詳細については、例えば特開2014-35639号公報に開示されているため、ここではこれ以上の説明を省略する。
【0026】
また、学習モデル323を作成する手法は、上述の自己組織化マップを用いた手法に限定されず、ニューラルネットワーク、深層学習、ランダムフォレスト、SVM(サポートベクターマシン)などを用いた手法であってもよい。
【0027】
記憶部32は、ほかにも、道路の区間、車線数、インターチェンジ、パーキングエリアの場所等の情報である道路情報や、車両感知器1から取得したセンサ情報や、気象データ管理装置2から取得した気象データや、処理部31による各種演算処理結果などの各種情報を記憶する。
【0028】
入力部33は、交通管制装置3に対するユーザの操作を受け付ける入力装置であり、例えば、キーボード、マウス等である。
【0029】
表示部34は、液晶表示装置(LCD(Liquid Crystal Display))、有機EL(Electro-Luminescence)表示装置等により実現される。
【0030】
通信部35は、外部装置(車両感知器1、気象データ管理装置2等)と通信するための通信インタフェースである。
【0031】
処理部31は、機能構成として、取得部311、分類部312、判定部313、学習処理部314、予測処理部315、制御部316を備える。
【0032】
取得部311は、外部装置や記憶部32から各種情報を取得する。取得部311は、例えば、車両感知器1からセンサ情報(交通データ)を取得する。また、取得部311は、気象データ管理装置2から気象データを取得する。
【0033】
また、取得部311は、新たに事故予測の対象となる新区間について、車両感知器1から交通データを取得する。
【0034】
分類部312は、車両が走行する道路の複数の路線の複数の区間を、区間の特性に基づいて複数のグループに分類(以下、「グルーピング」とも称する)する。より具体的には、例えば、分類部312は、複数の区間を、区間の特性に基づいて複数のグループに分類する場合に、路線の種類と、車線の種類と、区間の種類と、に基づいて分類する。
【0035】
図3は、第1の実施形態における区間の分類の説明図である。
まず、路線を、大都市等の中心部から外側に放射状に延びる路線である放射線と、大都市部の周囲に配置され複数の放射線を連結する路線である環状線に分類する。次に、放射線と環状線のそれぞれについて、車線数に応じて3車線区間、2車線区間、1車線区間に分類する。
【0036】
3車線区間については、更に、付加(付加車線)なし区間、付加車線有区間、ゆずり合い車線有区間に分類する。また、付加なし区間、付加車線有区間、ゆずり合い車線有区間のそれぞれについて、本線(合流/分流なし)、分流部、合流部、本線料金所に分類する。また、
図3では図示を省略しているが、2車線区間、1車線区間も同様に分類する。
【0037】
このようにして、複数の路線の複数の区間を複数のグループ(
図3のグループ1~12など)に分類できる。また、分類部312は、機械学習用の事故帳票データ321を、グループごとに分類する。つまり、区間をグループに分類することと、事故帳票データ321をそのグループごとに分類することは、実質的に同義である。
【0038】
図2に戻って、判定部313は、それぞれのグループごとに、当該グループに属する区間ごとの交通量と速度との関係を示す情報(例えばQ‐V分布情報)に基づいて、当該区間ごとに当該グループに属するのが適切か否かを判定する。
【0039】
ここで、
図4は、第1の実施形態におけるQ‐V分布情報を模式的に示す図である。ここで、Q‐V分布情報において、縦軸は速度(V)を示し、横軸は交通量(Q:単位時間当たりの車両通過台数)を示す。
【0040】
図4(a)は3車線区間の場合のQ‐V分布情報であり、
図4(b)は2車線区間の場合のQ‐V分布情報である。
図4に示すように、3車線区間と2車線区間では、通行できる車両台数が大きく変わるため、Q‐V分布情報にも有意な差がある。逆に、複数の3車線区間を比較した場合、それらのQ‐V分布情報は類似すると考えられる。同様に、複数の2車線区間を比較した場合、それらのQ‐V分布情報は類似すると考えられる。
【0041】
同様にして、例えば、
図3のグループ1~12については、それぞれのグループに属する複数の区間の間では、Q‐V分布情報は類似すると考えられる。また、異なるグループに属する2つの区間の間では、Q‐V分布情報には有意な差があると考えられる。
【0042】
したがって、判定部313は、例えば、Q‐V分布情報に対応する画像のパターンマッチング処理によって、グループごとに、区間それぞれが当該グループに属するのが適切か否かを判定することができる。不適切な区間があった場合、例えば、分類部312によって再分類を行えばよい。
【0043】
図2に戻って、学習処理部314は、それぞれのグループ(
図3のグループ1~12)ごとに、過去交通データに基づいて機械学習を行うことによって事故発生危険度に関する事故予報の学習モデル323(
図3のSOM1~12)を生成する。また、学習処理部314は、機械学習を行う場合に、さらに気象データ(気温、路面温度、降水有無、降水量、日射角度、日照強度など)を用いてもよい。
【0044】
予測処理部315は、新区間について、現在(直近)の交通データ(例えば速度、交通量、占有率)と、複数の学習モデル323のうち区間の特性が一致するグループに対応する学習モデル323と、に基づいて事故予測を行う。また、予測処理部315は、事故予測を行う場合に、さらに気象データ(気温、路面温度、降水有無、降水量、日射角度、日照強度など)を用いてもよい。
【0045】
制御部316は、各部311~315が実行する処理以外の処理を実行する。制御部316は、例えば、予測処理部315による予測処理結果を表示部34に表示させる。
【0046】
図5は、第1の実施形態の交通管制装置3による学習モデル323の学習処理を示すフローチャートである。
ステップS1において、取得部311は、事故データ(事故帳票データ321)を取得する。
【0047】
次に、ステップS2において、分類部312は、事故データを路線の種類で分類する(
図3参照)。
【0048】
次に、ステップS3において、分類部312は、事故データを車線の種類で分類する(
図3参照)。
【0049】
次に、ステップS4において、分類部312は、事故データを区間の種類で分類する(
図3参照)。
【0050】
次に、ステップS5において、学習処理部314は、それぞれのグループごとに、過去交通データ、気象データ、事故データを用いて学習モデル323を機械学習する。
【0051】
このように、第1の実施形態の交通管制装置3によれば、複数の路線の複数の区間を区間の特性に基づいて複数のグループに分類し、グループごとに過去交通データに基づいて機械学習を行うことによって、事故予報の学習モデル323を予め生成することができる。つまり、従来技術のように路線単位や地点ごとのデータで学習モデルを学習するのではなく、区間の特性が類似する複数の区間のデータで学習モデル323を学習することで、効率的に学習できる。
【0052】
また、Q‐V分布情報(
図4)に基づいて、グルーピングが適切か否かを判定することができる。
【0053】
また、グルーピングの際に、具体的に、路線の種類と、車線の種類と、区間の種類と、に基づいて実効性の高いグルーピングを行うことができる。
【0054】
[第2の実施形態]
以下、第2の実施形態について、説明する。第1の実施形態と同様の事項については、説明を適宜省略する。
【0055】
第2の実施形態は、新たな事故予測の対象となる新規開通区間等で、学習に用いる事故データの蓄積が十分でない区間に対して、事故予報機能を適用する場合について、説明する。
新規路線の区間や、路線が延伸された場合の新たな区間では、学習モデルの生成に必要な過去の交通データを集めるのに数か月などの長期間を要するという問題があった。
第2の実施形態の交通管制装置3の構成は、第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
第2の実施形態における交通管制装置3は、以下の
図6に示す処理を行う。
【0056】
図6は、第2の実施形態の交通管制装置3による学習モデル323の適用処理を示すフローチャートである。
ステップS11において、取得部311は、新区間の情報を取得する。新区間の情報は、例えば、ユーザが入力部33によって入力すればよいが、これに限定されない。
【0057】
次に、ステップS12において、予測処理部315は、新区間の路線の種類を判定する。
【0058】
次に、ステップS13において、予測処理部315は、新区間の車線の種類を判定する。
【0059】
次に、ステップS14において、予測処理部315は、新区間の区間の種類を判定する。ここまでの処理で、新区間が属するグループが決定する。
【0060】
次に、ステップS15において、予測処理部315は、新区間の属するグループに対応する学習モデル323を適用する。つまり、予測処理部315は、新区間について、交通データと、該当する学習モデル323と、気象データと、に基づいて事故予測を行う。
【0061】
このように、本実施形態の交通管制装置3によれば、複数の路線の複数の区間を区間の特性に基づいて複数のグループに分類し、グループごとに過去交通データに基づいて機械学習を行うことによって、新区間に適用できる学習モデル323を予め生成することができる。つまり、従来技術のように路線単位や地点ごとのデータで学習モデルを学習するのではなく、区間の特性が類似する複数の区間のデータで学習モデル(学習モデル323)を学習することで、効率的に学習できる。
【0062】
また、Q‐V分布情報(
図4)に基づいて、グルーピングが適切か否かを判定することができる。
【0063】
また、グルーピングの際に、具体的に、路線の種類と、車線の種類と、区間の種類と、に基づいて実効性の高いグルーピングを行うことができる。
【0064】
また、新たに事故予測の対象となる新区間が発生した場合に、その新区間が属するグループに対応する学習モデル323を用いて、高精度に事故予測を行うことができる。
【0065】
本実施形態の交通管制装置3のCPUで実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0066】
さらに、当該プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、本実施形態で実行される当該プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0067】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態およびその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0068】
例えば、グルーピングの際に、さらに、交通データ(速度、交通量、占有率など)や気象データを用いてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1…車両感知器、2…気象データ管理装置、3…交通管制装置、31…処理部、32…記憶部、33…入力部、34…表示部、35…通信部、311…取得部、312…分類部、313…判定部、314…学習処理部、315…予測処理部、316…制御部、321…事故帳票データ、322…分類データ、323…学習モデル、R…道路